JP5435788B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
このように、感光体ドラムが未使用状態から脱するまでは表面電位が著しく低下するので、当該V字現象を鑑みた運転条件などの調整が必要になるが、上記従来の技術では、用紙の厚みや種類に応じて転写圧力を単に変更するだけであり、未使用状態に近い感光体ドラムの磨耗を積極的に促進させる点については格別な配慮がなされていない。
そして、転写材を挟んで感光体ドラムの表面に対峙し、このトナー像を転写材に転写させる転写ローラと、この転写ローラに施されており、この転写ローラの感光体ドラムへの押圧力を高めて感光体ドラムの磨耗を促進させ、この感光体ドラムの未使用時点の表面性に起因した帯電特性の劣化状態を解消させるV字現象解消手段とを具備する。
ここで、本発明は、未使用状態に近い感光体ドラムでは帯電特性が劣化するV字現象に着目したものである。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、転写ローラによる感光体ドラムへの押圧力は、初期ドラムの状態では高める一方、耐久ドラムの状態では減らされ、この耐久ドラムの磨耗の進行は遅くされている。よって、感光体ドラムの長寿命化を達成でき、良好な画像形成を長期間に亘って行える。
第3の発明によれば、第2の発明の作用に加えてさらに、保持部材を2層、詳しくは、初期摺動部と耐久摺動部とで構成させ、前者の初期摺動部は初期ドラムの状態で磨耗するのに対し、後者の耐久摺動部は、初期摺動部が摩滅した後に、転写ローラを保持できる。よって、感光体ドラムへの押圧力を高めて磨耗を促進できるし、また、この目的を達成した後には、最適な転写圧力で固定可能になる。
第4の発明によれば、第3の発明の作用に加えてさらに、耐久摺動部を初期摺動部に比して磨耗し難い材料で構成すれば、初期ドラムの状態から耐久ドラムの状態に移行した後には、耐久ドラムの磨耗の進行は確実に遅くなる。
第5の発明によれば、第1から第4の発明の作用に加えてさらに、有機系の感光層を有した感光体ドラムを組み合わせることで、有効な研磨作用を発揮することができる。また、有機系の感光層を有した感光体ドラムは安価で大量生産が容易である。しかし、その表面は極めて平滑であり、その表面平滑性が初期ドラムに大きな影響を及ぼす一方、特に削られ易く、その磨耗が耐久ドラムに大きな影響を及ぼす懸念があるが、上記V字現象解消手段を備えれば、この感光体ドラムの特性を長期間に亘って維持可能になり、特に顕著な効果を奏する。
第6の発明によれば、第1から第5の発明の作用に加えてさらに、接触帯電式の帯電器を使用した場合においてより効果的である。接触帯電式の帯電器は、コロナ放電式の帯電器による場合に比してオゾンや窒素酸化物が生じないため、画像品質の向上を図ることができるものの、初期ドラムの帯電特性が顕著に劣化する。しかし、上述したV字現象解消手段を備えれば、接触帯電式の帯電器を用いても所望の表面電位を得ることができ、画像形成時における帯電電流の補正も不要になる。
図1には、画像形成装置の一例であるカラー印刷可能なプリンタ1の構造が概略的に示されている。同図に示された断面はプリンタ1の左側面からみたものである。このため、プリンタ1の前面は同図中の右側に、背面は左側にそれぞれ位置する。
また、この装置本体2の下方には給紙カセット4が配置され、その収容部40には、枚葉の用紙が積層された状態で収納されている。同図でみて収容部40の右上方には給紙ローラ46が設けられる。
また、給紙カセット4は、プリンタ1の前面側、つまり、図1において右方向に向けて引き出し可能に構成されており、この引き出した状態にて、収容部40に新たな用紙を補充したり、用紙を別の種類の用紙に入れ替え可能となる。
画像形成部16には4個の画像形成ユニット17が並設され、各ユニット17には感光体ドラム18がそれぞれ設けられている(図1,2)。この感光体ドラム18は回転自在に設置され、図示しない駆動モータによって図1,2の時計回りにそれぞれ駆動する。
また、この感光体ドラム18と給紙カセット4との間には露光部15が備えられており(図1)、この露光部15からは、レーザ光が各感光体ドラム18に向けてそれぞれ照射される。そして、これら図1,2に示されるように、各感光体ドラム18の周囲の適宜位置には、帯電器20、現像器24、中間転写ローラ(転写ローラ)13やクリーニング部50がそれぞれ設けられている。
なお、この図2の参照符号26はギャップ規制コロである。当該ギャップ規制コロ26は、現像ローラ25の両端に設けられており、感光体ドラム18に連れ回って現像ローラ25と感光体ドラム18とのギャップを設定する。
また、用紙搬送方向でみて2次転写部30の下流側には、定着部32、排出分岐部34及び排紙トレイ36が順番に配置されている。
ここで、本実施例のトナーには、微量の研磨剤(酸化チタン、シリカ、アルミナなど)が添加されている。上記のクリーニング部50は、図2に示されるように、感光体ドラム18の回転方向でみて中間転写ローラ13との転写位置の下流側にて、この感光体ドラム18に向けて開口したハウジング51を備えており、このハウジング51の適宜位置に、クリーニングブレード52やトナー回収部80を有している。
詳しくは、トナー回収部80は、ハウジング51の底面近傍にスクリュー88を有する。このスクリュー88は、図2でみてクリーニングブレード52の右側に設置されており、感光体ドラム18の回転軸線方向に沿って延び、その先端が図示しない駆動モータに連結されている。そして、この駆動モータが駆動すると、ハウジング51内の残留トナー等は、スクリュー88を経由して回収容器に集められる。
本実施例では、図2に示されるように、中間転写ローラ13が中間転写ベルト12を挟んで対応の感光体ドラム18に対峙している。なお、この中間転写ローラ13は例えば導電性発泡EPDM製である。
より具体的には、本実施例の保持部材62は略U字状の断面を有した耐久摺動部64を備え、この略U字状部分が、図3でみて下方に向けて開口し、シャフト60の周壁に係合可能に構成されている。
また、この支持軸68はコイル状の押しバネ70を挿通しており、この押しバネ70の下端が上端面65に、押しバネ70の上端が図示しないスペーサにそれぞれ接触している。
詳しくは、この初期摺動部66は、略三日月状の断面を有する連続曲面で形成され、上述した略U字状部分の底面に沿って湾曲してシャフト60の回転軸線方向に沿って延びている。なお、本実施例の初期摺動部66は、耐久摺動部64よりも磨耗し易い材質、例えばポリカーボネート製(厚さ:約1mm)であり、上記略U字状部分の底面に貼り付けられて耐久摺動部64に一体形成される。
この状態でプリンタ1を起動させ、感光体ドラム18や中間転写ローラ13が回転すると、これら感光体ドラム18と中間転写ローラ13との線速差も相俟って、感光体ドラム18の表面は、中間転写ローラ13からの大きな押圧力によって中間転写ベルト12に接触して磨耗する。
その後、初期摺動部66が例えば計30,000枚分の出力終了時点で磨滅すると、耐久摺動部64の略U字状部分の底面がシャフト60の周壁に接触して保持し続ける。
詳しくは、各感光体ドラム18に対し、イレーサランプ19が点灯し(図2)、帯電器20が感光体ドラム18の表面をそれぞれ帯電する。
各トナー像は中間転写ベルト12に重ね合わされ(1次転写)、2次転写部30にて用紙に2次転写される。なお、感光体ドラム18の表面に残留したトナーはクリーニング部50で除去される。
この片面印刷に対し、両面印刷を行う場合には、定着部32から排出された用紙は、排出分岐部34でその搬送方向が切り替えられる。
ところで、上述の初期摺動部66は連続曲面で形成されているが、必ずしもこの例に限定されるものでなく、例えば凹凸形状による部分的な曲面で構成し、シャフト60に接触して削れ易い突起部分を有していても良い。
中間転写ローラ13は、感光体ドラム18の表面に形成されたトナー像を転写ベルト12に転写する。
そして、初期ドラムでは帯電特性が劣化する。この現象は、図4の1点鎖線で示されるように、感光体ドラム18の表面電位を縦軸、印字枚数を横軸にとれば、帯電から所望の電圧を感光体ドラム18に付与しているにも拘わらず、その表面電位がアルファベットの略V字の如くのカーブ形状で現れる(V字現象)。
また、同図の破線はコロナ放電式の帯電器による場合である。表面電位の低下傾向は感光体ドラム18に直接に接触する帯電器20と同様である。しかし、本実施例で示した帯電器20はコロナ放電式よりもV字現象が顕著に現れることが分かる。
詳しくは、保持部材62を初期摺動部66と耐久摺動部64との2層で構成させ、初期摺動部66は初期ドラムの状態で磨耗するのに対し、耐久摺動部64は、この初期摺動部66が摩滅した後に、中間転写ローラ13のシャフト60を保持できる。よって、感光体ドラム18への押圧力を高めて初期ドラムの磨耗を促進できるし、また、この目的を達成した後には、画像形成に関する最適な転写圧力(図5の値a)で固定可能になる。この結果、良好な画像形成を長期間に亘って行え、プリンタ1の信頼性が向上する。
さらにまた、有機系の感光層を有したOPCドラム18は安価で大量生産が容易である。しかし、その表面は極めて平滑であり、その表面平滑性が初期ドラムに大きな影響を及ぼす一方、特に削られ易く、その磨耗が耐久ドラムに大きな影響を及ぼす懸念があるが、上記V字現象解消手段を備えれば、このOPCドラム18の特性を長期間に亘って維持可能になり、特に顕著な効果を奏する。
例えば、上記実施例では、中間転写ベルトを採用したカラー印刷可能なプリンタ1で説明されている。しかし、本発明は、感光体ドラム18のトナー像を用紙に直接に転写する場合にも適用可能であり、本発明の転写材は用紙であっても良く、また、本発明はモノクロ印刷のみのプリンタにも適用できる。
さらにまた、この実施例では画像形成装置としてプリンタに具現化した例を示しているが、本発明の画像形成装置は、複合機、複写機やファクシミリ等にも当然に適用可能である。
12 中間転写ベルト(転写材)
13 中間転写ローラ(転写ローラ)
18 感光体ドラム
20 帯電器
60 シャフト(回転軸)
62 保持部材
64 耐久摺動部
66 初期摺動部(V字現象解消手段)
Claims (4)
- 感光体ドラムの表面に帯電や露光を経て形成された潜像をトナーで現像してトナー像を形成する画像形成装置であって、
転写材を挟んで前記ドラムの表面に対峙し、このトナー像を前記転写材に転写させる転写ローラと、
この転写ローラに施されており、この転写ローラの前記感光体ドラムへの押圧力を高めて当該感光体ドラムの磨耗を促進させ、この感光体ドラムの未使用時点の表面性に起因した帯電特性の劣化状態を解消させるV字現象解消手段とを備え、
前記V字現象解消手段は、
前記転写ローラの回転軸を回転自在に保持する保持部材と、
前記保持部材を介して前記転写ローラの回転軸を前記感光体ドラムに向けて押圧する押しバネとを含んでおり、かつ、
前記保持部材は、前記転写ローラの回転軸の周面に対して前記感光体ドラムとは反対側で接触し、前記感光体ドラムの未使用時点の表面性に起因して帯電特性が劣化する初期状態から前記回転軸との摩擦により摩耗し始めて前記帯電特性が回復する耐久状態に移行すると摩滅する初期摺動部と、前記初期摺動部が摩滅した後の前記耐久状態で前記回転軸を保持する耐久摺動部とを有することにより、前記初期状態から前記耐久状態に移行するまでの間は前記初期摺動部の摩耗が進行するのに従って前記押しバネによる前記感光体ドラムへの押圧力を減らし、前記耐久状態となると前記耐久摺動部による前記回転軸の保持に伴い前記押圧力を固定させることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記耐久摺動部の材質は、前記初期摺動部に比して磨耗性の低い材料で構成されていることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記感光体ドラムは、その表面に有機系の感光層を有した感光体ドラムであることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記感光体ドラムの表面に接触して帯電させる帯電器をさらに具備することを特徴とする画像形成装置。
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