以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の課題を解決するために必須の構成要件であるとは限らない。
〔電子機器〕
図1に、本発明の一実施形態に係る表示ドライバーが適用された電子機器の構成例のブロック図を示す。
電子機器10は、表示モジュール20、ホストプロセッサー30、電源回路40を含む。表示モジュール20は、液晶表示パネル(広義には表示パネル)50と、第1の表示ドライバー100と、第2の表示ドライバー200とを含む。液晶表示パネル50は、単純マトリックス型の表示パネルである。この液晶表示パネル50は、一対の透明なガラス基板の間に、透明電極で形成され互いに交差するように配置された複数のコモン電極、複数のセグメント電極、配向膜及び液晶等を封入して形成される。液晶表示パネル50において、コモン電極及びセグメント電極の交差位置に対応して画素が形成される。第1の表示ドライバー100及び第2の表示ドライバー200は、カスケード接続されており、両表示ドライバーは、液晶表示パネル50が形成されるガラス基板上にCOG実装される。第1の表示ドライバー100及び第2の表示ドライバー200は、ガラス基板上に形成された配線層を介して、液晶表示パネル50のコモン電極及びセグメント電極と電気的に接続される。
このガラス基板には、フレキシブル基板が接続される。フレキシブル基板には、多層構造の信号線が形成されており、第1の表示ドライバー100の各端子及び第2の表示ドライバー200の各端子は、フレキシブル基板に形成された信号線を介して電気的に接続される。同様に、フレキシブル基板に形成された信号線を介して、第1の表示ドライバー100及び第2の表示ドライバー200は、ホストプロセッサー30及び電源回路40と電気的に接続される。
第1の表示ドライバー100及び第2の表示ドライバー200は、同様の構成を有しており、液晶表示パネル50を、複数ラインを同時選択するマルチライン選択駆動法により駆動(MLS駆動)できるように構成されている。第1の表示ドライバー100及び第2の表示ドライバー200は、MS端子を有し、該MS入力端子にマスター動作又はスレーブ動作を選択する信号が入力される。本実施形態では、このMS端子に入力される信号により、第1の表示ドライバー100は、マスター動作するようにマスターモード(第1のモード)に設定され、第2の表示ドライバー200は、スレーブ動作するようにスレーブモード(第2のモード)に設定される。従って、第1の表示ドライバー100が、液晶表示パネル50を駆動するための表示タイミング信号を生成し、該表示タイミング信号を第2の表示ドライバー200に供給する。これにより、第1の表示ドライバー100及び第2の表示ドライバー200が、互いに同期して液晶表示パネル50を駆動することができる。
ホストプロセッサー30は、内蔵するメモリー又は図示しないメモリーに記憶されたプログラムを読み込んで、該プログラムに対応した処理を実行することで、第1の表示ドライバー100及び第2の表示ドライバー200により液晶表示パネル50の駆動制御を行う。このため、ホストプロセッサー30は、第1の表示ドライバー100及び第2の表示ドライバー200がそれぞれ内蔵する制御レジスターに制御データを設定することで、各表示ドライバーの動作を制御する。また、ホストプロセッサー30は、第1の表示ドライバー100及び第2の表示ドライバー200に、液晶表示パネル50に表示させる画像に対応した表示データを供給する。
電源回路40は、第1の表示ドライバー100及び第2の表示ドライバー200のそれぞれに、動作電源電圧及び液晶表示パネル50の駆動電源電圧、或いはこれらの電圧を生成するための基準電圧を供給する。
図1に示す構成を有する電子機器10としては、携帯電話機、パーソナルコンピューター、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、車載用の電子機器、ページャー、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS(Point of sale system)端末、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
〔表示ドライバー〕
図2に、図1の第1の表示ドライバー100の構成例のブロック図を示す。図2では、第1の表示ドライバー100の構成例を示すが、第2の表示ドライバー200も同様の構成を有する。図2では、第1の表示ドライバー100が4ライン同時選択のMLS駆動を行うものとして説明するが、本実施形態は同時選択ライン数に限定されない。なお、図2において図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第1の表示ドライバー100は、ホストプロセッサー用インターフェイス110と、発振回路112と、制御回路114と、コモンアドレスデコーダー116と、コモン出力演算回路118と、コモンドライバー120と、ページアドレス制御回路122と、カラムアドレス制御回路124と、ラインアドレス制御回路126と、表示データRAM128と、表示データラッチ回路130と、MLSデコーダー132と、セグメントドライバー134とを含む。本実施形態における駆動部は、コモンドライバー120及びセグメントドライバー134を含んで構成され、コモンアドレスデコーダー116、コモン出力演算回路118、及びMLSデコーダー132の少なくとも1つを更に含んでもよい。
ホストプロセッサー用インターフェイス110は、第1の表示ドライバー100が有する入力端子又は入出力端子を介してホストプロセッサー30から入力される入力信号の入力インターフェイス処理や、第1の表示ドライバー100が有する出力端子又は入出力端子を介してホストプロセッサー30に出力する出力信号の出力インターフェイス処理を行う。
発振回路112は、第1の表示ドライバー100が生成する表示タイミング信号の基準となる発振クロックOSCを発振動作により生成する。例えば、制御回路114は、発振クロックOSCに基づいて、複数種類の表示タイミング信号を生成する。この制御回路114は、コモンアドレスデコーダー116等の第1の表示ドライバー100の各部を制御する制御信号を生成する。
コモンアドレスデコーダー116は、制御回路114において生成されMLS駆動において同時選択される複数のコモン電極に対応したコモンアドレスをエンコードする。このエンコード結果はコモンドライバー120に出力される。コモンアドレスは、同時選択される複数のコモン電極毎に割り当てられ、MLS駆動を行う際にコモンアドレスを指定することで、対応するコモン電極が選択される。
コモン出力演算回路118は、制御回路114において生成される液晶交流化信号FR、MLS駆動パターンを識別するフィールド信号F1、F2に基づいて、コモン出力の出力レベルを制御する。
コモンドライバー120は、コモンアドレスデコーダー116のエンコード結果に基づいて、コモン出力の選択/非選択を制御し、選択されたコモン出力として、コモン出力演算回路118で生成された出力レベルを出力する。
ページアドレス制御回路122は、ホストプロセッサー用インターフェイス110を介してホストプロセッサー30から入力される表示データを表示データRAM128にアクセスするためのページアドレスを制御する。ページアドレスは、ホストプロセッサー30から入力される表示データのバス幅をアクセス単位として定義される。
カラムアドレス制御回路124は、ホストプロセッサー用インターフェイス110を介してホストプロセッサー30から入力される表示データを表示データRAM128にアクセスするためのカラムアドレスを制御する。カラムアドレスは、液晶表示パネル50のセグメント電極に対応して定義される。
ラインアドレス制御回路126は、表示データRAM128に保存された表示データのうち読み出しラインを特定するラインアドレスを制御する。ラインアドレスは、液晶表示パネル50のコモン電極に対応して定義される。
表示データRAM128は、液晶表示パネル50の画素の並びに対応して、各画素の表示データが記憶される記憶領域を有する。各記憶領域は、ページアドレス及びカラムアドレスにより特定される。これにより、表示データRAM128には、ページアドレス及びカラムアドレスにより特定される領域に表示データが書き込まれる。一方、表示データRAM128からは1ライン単位で表示データが読み出される。
表示データラッチ回路130は、表示データRAM128から読み出された1ライン分の表示データをラッチする。
MLSデコーダー132は、表示データと、制御回路114において生成されMLS駆動を行うための表示タイミング信号とをエンコードする。より具体的には、MLSデコーダー132は、表示データラッチ回路130によってラッチされた表示データと、制御回路114によって生成される液晶交流化信号FR、フィールド信号F1、F2とに基づいて、セグメント出力の出力レベルを制御する。このMLSデコーダー132のエンコード結果は、セグメントドライバー134に出力される。
セグメントドライバー134は、MLSデコーダー132のエンコード結果に基づいて、セグメント電極に、MLSデコーダー132でエンコードされた出力レベルを出力する。なお、セグメントドライバー134には、制御回路114において生成された表示オフ信号XDOFにより、MLSデコーダー132のエンコード結果にかかわらずセグメント電極に所与の出力レベルを出力して表示をオフにする制御を行うことができるようになっている。本実施形態では、表示オフ信号XDOFにより、コモン電極と同電位となるような出力レベルをセグメント電極に出力することで、表示をオフする。
このような構成の第1の表示ドライバー100において、1水平走査期間毎に出力されるラッチパルスLPに同期して、コモンドライバー120は同時選択される複数のコモン電極に選択パルスを出力し、セグメントドライバー134は表示データ及び表示タイミング信号に基づいてエンコードした出力レベルを各セグメント電極に出力する。
〔MLS駆動〕
ここで、第1の表示ドライバー100が行うMLS駆動の原理について説明する。MLS駆動においては、複数のコモン電極を同時に選択することで、コモン電圧の選択電圧(駆動電圧)を低くすることができる。そして、いわゆる線順次駆動法と比較して、コモン電極の選択期間の間隔を狭めることができ、液晶パネルの透過率の低下を抑えて平均の透過率を向上させることができる。
図3に、MLS駆動の原理を説明するための図を示す。
図3では、2ラインのコモン電極COM0、COM1を同時に選択し、コモン電極COM0、COM1とセグメント電極SEG0とが交差する位置の画素をオン又はオフさせる場合を示す。なお図3では、オンとなる画素(オン画素)を「−1」、オフとなる画素(オフ画素)を「+1」と表し、このオン又はオフを示す表示データにより指定される。また、コモン電極を選択するための選択パルスを「+1」、「−1」の2値で表す。更にセグメント電極SEG0の駆動電圧は、「MV2」、「V2」、「V1」の3値である。
セグメント電極SEG0の駆動電圧を「MV2」、「V2」、「V1」のいずれの電圧とするかは、表示データベクトルdと選択行列βとの積により決定される。表示データベクトルdは、セグメント電極SEG0が各コモン電極と交差する位置の画素のオン又はオフを示すデータをベクトルで表現したものである。選択行列βは、セグメント電極SEG0が交差する各コモン電極を選択するための選択パルスを行列で表現したものである。図3(a)の場合にはd・β=−2となり、図3(b)の場合にはd・β=+2となり、図3(c)の場合にはd・β=+2となり、図3(d)の場合にはd・β=0となる。
そして表示データベクトルdと選択行列βとの積が「−2」のときセグメント電極SEG0の駆動電圧として「MV2」が選択され、「+2」のときに「V2」が選択され、「0」のときに「V1」が選択される。
表示データベクトルdと選択行列βとの積の演算をハードウェアで行う場合には、表示データベクトルdの各要素データと選択行列βの各要素データとの不一致数を判定するようにすればよい。
例えば不一致数が「2」の場合には、セグメント電極SEG0の駆動電圧として「MV2」を選択する。また不一致数が「0」の場合には、該駆動電圧として「V2」を選択する。また不一致数が「1」の場合には、該駆動電圧として「V1」を選択する。
2ラインのコモン電極を同時に選択するMLS駆動では、上述のようにしてセグメント電極SEG0の駆動電圧を決定し、1フレーム期間内で2回の選択期間を設けることによって、画素のオン又はオフを制御する。選択期間を複数回設けているため、非選択期間における透過率の低下が少なくなり、液晶パネルの平均の透過率を向上させ、液晶パネルのコントラストを向上させることができる。本実施形態では、4ラインのコモン電極を同時に選択するMLS駆動を行うため、1フレーム期間内に4回の選択期間を設けることができ、液晶パネルのコントラストをより一層向上させることができる。この場合、7レベルの電圧が用いられる。
図4に、4ラインのコモン電極を同時に選択するMLS駆動により液晶表示パネル50を駆動する場合の7レベルの電圧の関係を示す。
ここで電圧V3、MV3は、コモン電極の選択電圧である。電圧VCは、コモン電極の非選択電圧であり、セグメント電極の駆動電圧である。電圧V2、V1、MV1、MV2は、セグメント電極の駆動電圧である。図2のコモン出力演算回路118は、コモン出力の出力レベルを、電圧V3、VC、MV3のいずれかから選択する制御を行う。また、図2のMLSデコーダー132は、セグメント出力の出力レベルを、電圧V2、V1、VC、MV1、MV2のいずれかから選択する制御を行う。
電圧V3とセンター電圧VCとの電圧差をv3、電圧V2とセンター電圧VCとの電圧差をv2、電圧V1とセンター電圧VCとの電圧差をv1とする。このとき、センター電圧VCと電圧MV3との電圧差はv3、センター電圧VCと電圧MV2との電圧差はv2、センター電圧VCと電圧MV1との電圧差はv1である。ここで、電圧V2と電圧V1との電圧差(=電圧MV1と電圧MV2との電圧差)が、電圧V1とセンター電圧VCとの電圧差(=センター電圧VCと電圧MV1との電圧差)と等しい。
図5に、4ラインのコモン電極を同時に選択するMLS駆動を行う場合のフィールド信号F1、F2の説明図を示す。
上述したMLS駆動において1フレーム期間内に設けられる各選択期間は、フィールド期間として、フィールド信号F1、F2により特定される。コモンドライバー120及びMLSデコーダー132は、図5に示したように、2ビットのフィールド信号F1、F2で表される4状態に対応した選択期間毎に、各コモン電極に電圧V3又は電圧MV3を出力する。図5に示す各フィールド期間における各ラインの出力パターンは、走査パターンとして直交関数系により定義される。
図6に、4ラインのコモン電極を同時選択するMLS駆動法における駆動電圧の波形の一例を示す。
コモン電極には、予め選ばれた直交関数系により定義される走査パターンに従って、3つ(V3、VC、MV3)の電圧が適宜選択される。そして、同時選択されるコモン電極にそれぞれ印加されるようになっている。
図6では、1画面を表示するのに必要な期間を1フレーム期間(F)とし、すべてのコモン電極を1回選択するのに必要な期間を1フィールド期間(f)とし、コモン電極を1回選択するのに必要な期間を1コモン選択期間(H)とする。
ここで、図6の「H1st」は最初のコモン選択期間であり、「H2nd」は2番目のコモン選択期間である。また図6の「1f」は最初のフィールド期間であり、「2f」は2番目のフィールド期間である。更に、図6の「1F」は最初のフレーム期間であり、「2F」は2番目のフレーム期間である。
図6の場合、最初のフィールド期間1f中の最初のコモン選択期間H1stにおいて選択される4ライン(COM0〜COM3)の走査パターンは、予め図5に示すように設定され、表示画面の状態によらず、常に(V3,V3,MV3,V3)である。
ここで、全画面表示を行う場合を考えると、画素(COM0,SEG0)、画素(COM1,SEG0)、画素(COM2,SEG0)及び画素(COM3,SEG0)に対応する1列目の表示パターンが、(オン、オン、オン、オン)である。両パターンを順番に比較すると、1番目、2番目及び4番目は極性が一致し、3番目は極性が相違する。つまり、不一致数は、「1」である。不一致数が「1」の場合、5レベル(V2、V1、VC、MV1、MV2)ある電圧のうち「MV2」を選択する。こうすると、「V3」が印加されているコモン電極COM0、COM1及びCOM3の場合には、「MV2」が駆動電圧として選択されることにより液晶素子に印加される電圧は高くなる一方、「MV3」が駆動電圧として選択されるコモン電極COM2の場合には、「MV2」が駆動電圧として選択されることにより液晶素子に印加される電圧は低くなる。
このようにしてセグメント電極に印加される電圧は、直交変換時の「ベクトルの重み」に相当し、4回の走査パターンに対してすべての重みを加えると真の表示パターンを再生することができるように電圧が設定される。
同様にして、不一致数に応じて、各セグメント電極に出力する電圧を選択する。このように、4ラインのコモン電極COM0〜COM3について、各セグメント電極の列の不一致数を決定し、得られた選択電圧のデータをセグメントドライバー134に転送し、最初のコモン選択期間に上記手順によって決められた電圧を印加する。
同様に、すべてのコモン電極について、以上の手順を繰り返すと、最初のフィールド期間(1f)における動作が終了する。
同様に2番目以降のフィールド期間についても、すべてのコモン電極について上記の手順を繰り返すと1つのフレーム期間(1F)が終わり、これにより1つの画面の表示が行われる。
上記の手順に従い、全画面オンの場合のセグメント電極SEG0に印加する電圧波形は図6に示すようになり、画素(COM0,SEG0)に印加される電圧波形は図6に示すようになる。なお図6におけるコモン電極の電圧VCとセグメント電極の駆動電圧VCとは共通化される。また、液晶交流化信号FRによって、例えば1フレーム期間毎に、液晶素子に印加される電圧の極性が反転するように制御される。
以上のような構成を有する第1の表示ドライバー100及び第2の表示ドライバー200をカスケード接続して、液晶表示パネル50の互いに隣接した表示領域を駆動する場合、両表示ドライバーは同期させる必要がある。そのため、液晶交流化信号FR、フィールド信号F1、F2、表示オフ信号XDOFといった表示のオンやオフに関係する表示タイミング信号を、マスター動作する表示ドライバーからスレーブ動作する表示ドライバーに伝達することが行われる。
〔比較例〕
カスケード接続される他の表示ドライバーに対して表示タイミング信号を出力し、互いに同期して液晶表示パネルを駆動する表示ドライバーは、例えば次のような構成を有することが考えられる。
図7に、本実施形態の比較例における表示ドライバーの構成要部のブロック図を示す。図7では、例えば図2の構成に対応してホストプロセッサー用インターフェイス及び制御回路の構成のみを図示する。
比較例における表示ドライバーは、カスケード接続される他の表示ドライバーに対して表示タイミング信号を出力するため、SYNC端子、FR端子、F1端子、F2端子、XDOF端子、MS端子を有する。
この表示ドライバーがマスター動作を行うときは、SYNC端子からは、スレーブ側に出力する表示タイミング信号を同期させるための同期タイミング信号SYNCが出力される。同様に、FR端子からは、スレーブ側に出力される液晶交流化信号FRが出力される。F1端子からは、スレーブ側へのフィールド信号F1が出力される。F2端子からは、スレーブ側へのフィールド信号F2が出力される。XDOF端子からは、スレーブ側への表示オフ信号XDOFが出力される。
これに対して、この表示ドライバーがスレーブ動作を行うときには、SYNC端子から、マスター側からの同期タイミング信号SYNCが入力される。同様に、FR端子からは、マスター側からの液晶交流化信号FRが入力される。F1端子からは、マスター側からのフィールド信号F1が入力される。F2端子からは、マスター側からのフィールド信号F2が入力される。XDOF端子からは、マスター側からの表示オフ信号XDOFが入力される。
比較例における表示ドライバーが有するホストプロセッサー用インターフェイス310は、SYNC端子、FR端子、F1端子、F2端子、XDOF端子及びMS端子のそれぞれに対応したI/Oセル(より詳細には、MS端子の場合には入力セル)を有する。
また、この表示ドライバーが有する制御回路314は、表示タイミング信号生成回路320、コモンアドレス生成回路322、ラインアドレス生成回路324、複数のセレクター、及び複数のラッチ回路を有する。表示タイミング信号生成回路320は、マスター動作時の表示タイミング信号である同期タイミング信号SYNC_m、液晶交流化信号FR_m、フィールド信号F1_m、F2_m、表示オフ信号XDOF_mを生成する。これらの表示タイミング信号は、ホストプロセッサー用インターフェイス310の対応するI/Oセル、制御回路314内の対応するセレクターに入力される。各セレクターには、対応する端子を介してスレーブ動作時にマスター側から入力される表示タイミング信号(SYNC_PAD_IN,FR_PAD_IN,F1_PAD_IN,F2_PAD_IN,XDOF_PAD_IN)が入力される。
各セレクターには、MS端子を介して、マスター動作又はスレーブ動作を選択する信号が入力される。そして、この信号によりマスター動作が指定されたとき、各セレクターは、表示タイミング信号生成回路320によって生成される表示タイミング信号を選択出力する。また、上記の信号によりスレーブ動作が指定されたとき、各セレクターは、対応するI/Oセルを介してマスター側から入力された表示タイミング信号を選択出力する。
各ラッチ回路は、対応するセレクターによって選択出力された表示タイミング信号をラッチして、コモン出力演算回路及びMLSデコーダーに出力する。なお、セレクターによって選択出力された同期タイミング信号SYNC_insideは、コモンアドレス生成回路322及びラインアドレス生成回路324に出力される。コモンアドレス生成回路322は、同期タイミング信号SYNC_insideに同期してコモンアドレスを生成し、コモンアドレスデコーダーに出力する。ラインアドレス生成回路324は、同期タイミング信号SYNC_insideに同期してラインアドレスを生成し、ラインアドレスデコーダーに出力する。
図8に、マスター動作時における図7の構成のタイミングの一例を示す。図8は、例えば制御回路において生成された画素クロックCLKを基準に、表示タイミング信号生成回路320によって生成された表示タイミング信号(SYNC_m,FR_m,F1_m,F2_m,XDOF_m)、I/Oセルを介して出力する表示タイミング信号(SYNC,FR,F1,F2,XDOF)、コモンアドレス生成回路322及びラインアドレス生成回路324に出力される同期タイミング信号SYNC_inside、コモン出力演算回路及びMLSデコーダーに出力される表示タイミング信号(FR_inside,F1_inside,F2_inside,XDOF_inside)、ラッチパルスLP、コモン出力及びセグメント出力のタイミング波形の一例を表す。
マスター動作時には、表示タイミング信号生成回路320によって、1水平選択期間(1水平走査期間、1H)内の開始タイミングに同期して、表示タイミング信号(SYNC_m,FR_m,F1_m,F2_m,XDOF_m)が生成される(TG1)。これらの表示タイミング信号は、ホストプロセッサー用インターフェイスの対応するI/Oセル及び端子を介して、スレーブ側に出力される。また、これらの表示タイミング信号は、対応するセレクターにより選択出力される。選択出力された同期タイミング信号SYNC_insideを除く他の表示タイミング信号は、当該1水平選択期間内の所与のラッチタイミングで、対応するラッチ回路においてラッチされる(TG2)。そして、ラッチされた表示タイミング信号は、コモン出力演算回路及びMLSデコーダーに出力され、次の水平選択期間の駆動制御に用いられる。
図9に、スレーブ動作時における図7の構成のタイミングの一例を示す。図9は、画素クロックCLKを基準に、端子に入力されるマスター側からの表示タイミング信号(SYNC,FR,F1,F2,XDOF)、対応するI/Oセルから出力される表示タイミング信号(FR_PAD_IN,F1_PAD_IN,F2_PAD_IN,XDOF_PAD_IN)、コモンアドレス生成回路322及びラインアドレス生成回路324に出力される同期タイミング信号SYNC_inside、コモン出力演算回路及びMLSデコーダーに出力される表示タイミング信号(FR_inside,F1_inside,F2_inside,XDOF_inside)、ラッチパルスLP、コモン出力及びセグメント出力のタイミング波形の一例を表す。
スレーブ動作時には、マスター側から端子に表示タイミング信号(SYNC,FR,F1,F2,XDOF)が入力される。この表示タイミング信号のうち、液晶交流化信号FR、フィールド信号F1、F2、表示オフ信号XDOFは、同期タイミング信号SYNCに同期して入力される。これらの表示タイミング信号は、対応するセレクターにより選択出力される。選択出力された同期タイミング信号SYNC_insideを除く他の表示タイミング信号は、当該1水平選択期間内の所与のラッチタイミングで、対応するラッチ回路においてラッチされる(TG3)。そして、ラッチされた表示タイミング信号は、コモン出力演算回路及びMLSデコーダーに出力され、次の水平選択期間の駆動制御に用いられる。
このような比較例における表示ドライバーをカスケード接続することで、互いに同期して液晶表示パネルをMLS駆動できる。ところが、比較例における表示ドライバーでは、次のような課題がある。
図10に、比較例における表示ドライバーをカスケード接続して液晶表示パネル50を駆動する表示モジュールの構成のイメージを示す。
図10では、液晶表示パネル50が形成されるガラス基板上に、マスター動作を行う表示ドライバー300及びスレーブ動作を行う表示ドライバー400がCOG実装される。そして、このガラス基板にフレキシブル基板500が接続され、該フレキシブル基板500に形成された信号線を介して、ホストプロセッサー等が実装されるシステム基板に接続される。そのため、フレキシブル基板500には、コネクター部510が設けられる。このコネクター部510の電極を介して、表示ドライバー300及び表示ドライバー400に、電源や制御信号等が供給される。
このとき、表示ドライバー300から表示ドライバー400に送られる5本の表示タイミング信号(SYNC,FR,F1,F2,XDOF)は、フレキシブル基板500に形成された信号線上を伝送させる。これは、ガラス基板上に配線層を形成すると、抵抗成分が大きくなる上に、ガラス基板の面積が大きくなってコストが高くなるからである。そこで、5本の表示タイミング信号をスレーブ側に送る信号線をフレキシブル基板に形成することが考えられるが、できるだけ配線領域を小さくして、表示モジュールの開発の簡素化及び低コスト化を図ることが望ましい。
そこで、本実施形態では、マスター側で生成したn(nは2以上の整数)種類の表示タイミング信号をエンコードしてm(m<n、mは正の整数)種類のエンコード信号に変換し、該エンコード信号をスレーブ側に送るようにすることで、カスケード接続された表示ドライバー間を接続する信号線の本数を削減する表示ドライバーを提供する。このとき、スレーブ側では、マスター側でエンコードされたエンコード信号をデコードして、元のn種類の表示タイミング信号に変換する。以下では、nは「4」、mは「1」であるものとして説明する。
〔本実施形態の表示ドライバー〕
図11に、本実施形態における第1の表示ドライバー100の構成要部のブロック図を示す。図11では、図2のホストプロセッサー用インターフェイス110及び制御回路114の構成のみを図示する。なお、図11において、図2と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第1の表示ドライバー100は、カスケード接続される第2の表示ドライバー200に対して表示タイミング信号を出力するため、SYNC端子、MSD端子、MS端子を有する。
第1の表示ドライバー100がマスター動作を行うときは、SYNC端子からは、スレーブ側に出力する表示タイミング信号を同期させるための同期タイミング信号SYNCが出力される。同様に、MSD端子からは、複数種類の表示タイミング信号がエンコードされた1本のエンコード信号が出力される。本実施形態では、エンコード処理としてパラレル/シリアル変換処理を採用し、エンコード信号はシリアル信号となる。
これに対して、第1の表示ドライバー100がスレーブ動作を行うときには、SYNC端子から、マスター側からの同期タイミング信号SYNCが入力される。同様に、MSD端子からは、マスター側からのシリアル信号(エンコード信号)が入力される。
ホストプロセッサー用インターフェイス110は、SYNC端子、MSD端子及びMS端子のそれぞれに対応したI/Oセル(より詳細には、MS端子の場合には入力セル)を有する。
また、制御回路114は、表示タイミング信号生成回路(表示タイミング信号生成部)420、エンコード回路としてのパラレル/シリアル変換回路(パラレル/シリアル変換部、広義にはエンコード部)422、コモンアドレス生成回路424、ラインアドレス生成回路426、デコード回路としてのシリアル/パラレル変換回路(シリアル/パラレル変換部、広義にはデコード部)428、第1のセレクターSEL1、第2のセレクターSEL2、及び複数のラッチ回路を有する。
表示タイミング信号生成回路420は、マスター動作時の表示タイミング信号である同期タイミング信号SYNC_m、液晶交流化信号FR_m、フィールド信号F1_m、F2_m、表示オフ信号XDOF_mを生成する。同期タイミング信号SYNC_mを除く、液晶交流化信号FR_m、フィールド信号F1_m、F2_m、及び表示オフ信号XDOF_mは、パラレル/シリアル変換回路422に入力される。一方、同期タイミング信号SYNC_mは、ホストプロセッサー用インターフェイス110の対応するI/Oセル、第1のセレクターSEL1に入力される。また、第1のセレクターSEL1には、SYNC端子を介して、スレーブ動作時にマスター側から入力される同期タイミング信号SYNC_PAD_INが入力される。
パラレル/シリアル変換回路422は、表示タイミング信号生成回路420によって生成された4本の液晶交流化信号FR_m、フィールド信号F1_m、F2_m、表示オフ信号XDOF_mの表示タイミング信号を、1本のシリアル信号MSD_mに変換する。このシリアル信号MSD_mは、ホストプロセッサー用インターフェイス110の対応するI/Oセル、第2のセレクターSEL2に入力される。また、第2のセレクターSEL2には、MSD端子を介してスレーブ動作時にマスター側から入力されるシリアル信号MSD_PAD_INが入力される。
第1のセレクターSEL1及び第2のセレクターSEL2のそれぞれには、MS端子を介して、マスター動作又はスレーブ動作を選択する信号が入力される。そして、この信号によりマスター動作が指定されたとき、第1のセレクターSEL1は、表示タイミング信号生成回路320によって生成される同期タイミング信号を選択出力する。また、上記の信号によりスレーブ動作が指定されたとき、第1のセレクターSEL1は、MSD端子を介してマスター側から入力された同期タイミング信号を選択出力する。同様に、MS端子を介して入力される信号によりマスター動作が指定されたとき、第2のセレクターSEL2は、パラレル/シリアル変換回路422によって変換されたシリアル信号を選択出力する。また、上記の信号によりスレーブ動作が指定されたとき、第2のセレクターSEL2は、MSD端子を介してマスター側から入力されたシリアル信号を選択出力する。
第1のセレクターSEL1によって選択出力された同期タイミング信号SYNC_insideは、コモンアドレス生成回路424及びラインアドレス生成回路426に出力される。コモンアドレス生成回路424は、同期タイミング信号SYNC_insideに同期してコモンアドレスを生成し、コモンアドレスデコーダー116に出力する。ラインアドレス生成回路426は、同期タイミング信号SYNC_insideに同期してラインアドレスを生成し、ラインアドレス制御回路126に出力する。
第2のセレクターSEL2によって選択出力されたシリアル信号MSD_insideは、シリアル/パラレル変換回路428に出力される。シリアル/パラレル変換回路428は、1本のシリアル信号MSD_insideを4本の液晶交流化信号FR_c、フィールド信号F1_c、F2_c、表示オフ信号XDOF_cのパラレルの表示タイミング信号に変換する。
各ラッチ回路は、シリアル/パラレル変換回路428によってパラレルに変換された各表示タイミング信号をラッチして、コモン出力演算回路118及びMLSデコーダー132に出力する。
図12に、第1の表示ドライバー100の動作例のフロー図を示す。
第1の表示ドライバー100は、MS端子を介して入力される信号に基づいて、マスター動作でMLS駆動を行うマスターモードか、スレーブ動作でMLS駆動を行うスレーブモードかを判別する(ステップS10)。このMS端子を介して入力される信号はフレキシブル基板やガラス基板上でHレベル又はLレベルの信号として生成されてよいし、ホストプロセッサー30による制御レジスターの設定によりモードが指定されてもよい。第1の表示ドライバー100は、マスターモードに設定されたとき(ステップS10:Y)、マスター動作を行い、スレーブモードに設定されたとき(ステップS10:N)、スレーブ動作を行う。
マスター動作では、第1の表示ドライバー100は、表示タイミング信号生成回路420において上記の同期タイミング信号SYNC_mを含む複数の表示タイミング信号を生成する(ステップS12)。そして、第1の表示ドライバー100は、パラレル/シリアル変換回路422において、同期タイミング信号SYNC_mを除く残りの複数の表示タイミング信号を1本のシリアル信号に変換する(ステップS14)。続いて、第1の表示ドライバー100は、ステップS14において変換されたシリアル信号をスレーブ側に供給する。更に第1の表示ドライバー100は、シリアル/パラレル変換回路428において該シリアル信号を元のパラレルの複数の表示タイミング信号に変換し、該表示タイミング信号を用いて、スレーブ側と同期して液晶表示パネル50を駆動する(ステップS16)。ここで、終了のとき(ステップS18:Y)、一連の処理を終了し(リターン)、終了ではないとき(ステップS18:N)、ステップS12に戻る。
スレーブ動作では、第1の表示ドライバー100は、マスター側からの同期タイミング信号及びシリアル信号の入力を受け付ける(ステップS20)。そして、第1の表示ドライバー100は、ステップS20で受け付けられた同期タイミング信号を基準に、シリアル/パラレル変換回路428において該シリアル信号を元のパラレルの複数の表示タイミング信号に変換する(ステップS22)。その後、第1の表示ドライバー100は、該表示タイミング信号を用いて、マスター側と同期して液晶表示パネル50を駆動する(ステップS24)。ここで、終了のとき(ステップS26:Y)、一連の処理を終了してステップS10に戻り(リターン)、終了ではないとき(ステップS26:N)、ステップS20に戻る。
このように、本実施形態では、マスター側で生成した表示タイミング信号を1本のシリアル信号に変換してからスレーブ側に送るようにしている。このとき、スレーブ動作を行うときのみならずマスター動作を行うときにも、シリアル/パラレル変換回路428において該シリアル信号を元のパラレルの複数の表示タイミング信号に変換するようにしたので、表示ドライバーの構成及び制御を簡素化できるようになる。
図13に、マスター動作時における第1の表示ドライバー100のタイミングの一例を示す。図13は、例えば制御回路114において生成された画素クロックCLKを基準に、表示タイミング信号生成回路420によって生成された表示タイミング信号(SYNC_m,FR_m,F1_m,F2_m,XDOF_m)、パラレル/シリアル変換回路422によって変換されたシリアル信号MSD_m、I/Oセルを介して出力する表示タイミング信号(SYNC,MSD)、シリアル/パラレル変換回路428によってパラレル信号に変換された表示タイミング信号(FR_c,F1_c,F2_c,XDOF_c)、コモンアドレス生成回路424及びラインアドレス生成回路426に出力される同期タイミング信号SYNC_inside、コモン出力演算回路118及びMLSデコーダー132に出力される表示タイミング信号(FR_inside,F1_inside,F2_inside,XDOF_inside)、ラッチパルスLP、コモン出力及びセグメント出力のタイミング波形の一例を表す。
マスター動作時には、表示タイミング信号生成回路420によって、1水平選択期間(1水平走査期間、1H)内の開始タイミングに同期して、表示タイミング信号(SYNC_m,FR_m,F1_m,F2_m,XDOF_m)が生成される(TG10)。これらの表示タイミング信号は、例えば画素クロックCLKに同期してパラレル/シリアル変換回路422においてシリアル信号MSD_mに変換される。
このシリアル信号MSD_mと同期タイミング信号SYNCは、ホストプロセッサー用インターフェイス110の対応するI/Oセル及び端子を介して、スレーブ側に出力される。また、これらの表示タイミング信号は、対応するセレクターにより選択出力される。選択出力されたシリアル信号は、シリアル/パラレル変換回路428によって元の表示タイミング信号(FR_c,F1_c,F2_c,XDOF_c)に変換される。
シリアル/パラレル変換回路428によって変換された元の表示タイミング信号(FR_c,F1_c,F2_c,XDOF_c)は、当該1水平選択期間内の所与のラッチタイミングで、対応するラッチ回路においてラッチされる(TG11)。そして、ラッチされた表示タイミング信号は、コモン出力演算回路118及びMLSデコーダー132に出力され、次の水平選択期間の駆動制御に用いられる。
図14に、スレーブ動作時における第1の表示ドライバー100のタイミングの一例を示す。図14は、画素クロックCLKを基準に、端子に入力されるマスター側からの表示タイミング信号(SYNC,MSD)、対応するI/Oセルから出力される表示タイミング信号(SYNC_PAD_IN,MSD_PAD_IN)、コモンアドレス生成回路424及びラインアドレス生成回路426に出力される同期タイミング信号SYNC_inside、シリアル/パラレル変換回路428によって変換された表示タイミング信号(FR_c,F1_c,F2_c,XDOF_c)、コモン出力演算回路118及びMLSデコーダー132に出力される表示タイミング信号(FR_inside,F1_inside,F2_inside,XDOF_inside)、ラッチパルスLP、コモン出力及びセグメント出力のタイミング波形の一例を表す。
スレーブ動作時には、マスター側から端子に表示タイミング信号(SYNC,MSD)が入力される。シリアル信号MSDは、同期タイミング信号SYNCに同期して入力される。これらの表示タイミング信号は、対応するセレクターにより選択出力される。選択出力されたシリアル信号MSD_insideは、シリアル/パラレル変換回路428によって元の表示タイミング信号(FR_c,F1_c,F2_c,XDOF_c)に変換される。変換された表示タイミング信号は、当該1水平選択期間内の所与のラッチタイミングで、対応するラッチ回路においてラッチされる(TG12)。そして、ラッチされた表示タイミング信号は、コモン出力演算回路118及びMLSデコーダー132に出力され、次の水平選択期間の駆動制御に用いられる。
〔表示モジュール〕
図15に、本実施形態における表示モジュール20の構成のイメージを示す。図15において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図15では、液晶表示パネル50が形成されるガラス基板上に、マスター動作を行う第1の表示ドライバー100及びスレーブ動作を行う第2の表示ドライバー200がCOG実装される。そして、このガラス基板にフレキシブル基板600が接続され、該フレキシブル基板600に形成された信号線を介して、ホストプロセッサー30等が実装されるシステム基板に接続される。そのため、フレキシブル基板600には、コネクター部610が設けられる。このコネクター部610の電極を介して、第1の表示ドライバー100及び第2の表示ドライバー200に、電源や制御信号等が供給される。
このとき、第1の表示ドライバー100から第2の表示ドライバー200に送られる表示タイミング信号(SYNC、MSD)は、フレキシブル基板600に形成された信号線上を伝送させる。従って、図10と比較して、フレキシブル基板600に形成される信号線の本数を削減することができるので、フレキシブル基板600に形成される信号線の配線領域を小さくすることができる。その結果、表示モジュールの開発の簡素化及び低コスト化を図ることができるようになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、マスター側で生成した表示タイミング信号をパラレル/シリアル変換してシリアル信号を生成し、該シリアル信号をスレーブ側に送るようにしたので、マスター側とスレーブ側とを接続する信号線の本数を削減することができるようになる。また、信号線の配線領域を小さくできるため、表示モジュールのより一層の低コスト化も可能となる。更に、同期タイミング信号SYNCを除く表示タイミング信号をパラレル/シリアル変換するようにしたので、スレーブ側で元の表示タイミング信号を生成する制御も簡素化できる。
〔変形例〕
上記の実施形態では、パラレル/シリアル変換対象の表示タイミング信号として液晶交流化信号FR、フィールド信号F1、F2、表示オフ信号XDOFを例に説明したが、本実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、パラレル/シリアル変換対象の表示タイミング信号として、上記の信号に代えて又は上記の信号に加えて、表示の正転/反転を制御する表示正転/反転信号、全点灯のオン/オフを制御する全点灯オンオフ制御信号、FRC(Frame Rate Control)による階調パターンのフレームカウンター等を採用してもよい。こうすることで、マスター側とスレーブ側とで表示切り替えを同期させることができ、カスケード接続される表示ドライバーによって駆動される液晶表示パネルの表示品位をより一層向上させることができるようになる。
図16に、本実施形態の変形例における第1の表示ドライバー100aの構成例のブロック図を示す。図16は、パラレル/シリアル変換対象の表示タイミング信号として液晶交流化信号FR、フィールド信号F1、F2、表示オフ信号XDOFに加えて、フレームカウンターFNを採用した場合の第1の表示ドライバー100aの構成を表す。図16において、図2と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
本変形例における第1の表示ドライバー100aの構成が図2に示す第1の表示ドライバー100の構成と異なる点は、制御回路114に代えて制御回路114aが設けられている点と、FRCデコーダー700が設けられている点である。制御回路114aは、FRCによるフレーム番号を示すフレームカウンターを生成し、該フレームカウンターを含めてパラレル/シリアル変換等を行い、スレーブ側に送る。また、表示データラッチ回路130にラッチされた表示データは、FRCデコーダー700に入力される。FRCデコーダー700には、更に、制御回路114aにおいて生成されたフレームカンターFNが入力される。FRCデコーダー700は、表示データ及びフレームカウンターFNに対応した階調パターンを決定し、MLSデコーダー132に出力する。
図17に、本変形例における第1の表示ドライバー100aの構成要部のブロック図を示す。図17では、図16のホストプロセッサー用インターフェイス110及び制御回路114aの構成のみを図示する。図17において、図11と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第1の表示ドライバー100aがマスター動作を行うときは、MSD端子からは、複数種類の表示タイミング信号がエンコードされた1本のエンコード信号が出力される。これに対して、第1の表示ドライバー100aがスレーブ動作を行うときには、MSD端子からは、マスター側からのシリアル信号(エンコード信号)が入力される。
制御回路114aは、表示タイミング信号生成回路420a、エンコード回路としてのパラレル/シリアル変換回路422a、コモンアドレス生成回路424、ラインアドレス生成回路426、シリアル/パラレル変換回路428a、第1のセレクターSEL1、第2のセレクターSEL2、及び複数のラッチ回路を有する。
表示タイミング信号生成回路420aは、マスター動作時の表示タイミング信号である同期タイミング信号SYNC_m、液晶交流化信号FR_m、フィールド信号F1_m、F2_m、表示オフ信号XDOF_m、フレームカウンターFN_mを生成する。同期タイミング信号SYNC_mを除く、液晶交流化信号FR_m、フィールド信号F1_m、F2_m、表示オフ信号XDOF_m、フレームカウンターFN_mは、パラレル/シリアル変換回路422aに入力される。
パラレル/シリアル変換回路422aは、表示タイミング信号生成回路420aによって生成された5本の液晶交流化信号FR_m、フィールド信号F1_m、F2_m、表示オフ信号XDOF_m、フレームカウンターFN_mの表示タイミング信号を、1本のシリアル信号MSD_mに変換する。このシリアル信号MSD_mは、ホストプロセッサー用インターフェイス110の対応するI/Oセル、第2のセレクターSEL2に入力される。また、第2のセレクターSEL2には、MSD端子を介してスレーブ動作時にマスター側から入力されるシリアル信号MSD_PAD_INが入力される。
MS端子を介して入力される信号によりマスター動作が指定されたとき、第2のセレクターSEL2は、パラレル/シリアル変換回路422aによって変換されたシリアル信号を選択出力する。また、上記の信号によりスレーブ動作が指定されたとき、第2のセレクターSEL2は、MSD端子を介してマスター側から入力されたシリアル信号を選択出力する。
第2のセレクターSEL2によって選択出力されたシリアル信号MSD_insideは、シリアル/パラレル変換回路428aに出力される。シリアル/パラレル変換回路428aは、1本のシリアル信号MSD_insideを5本の液晶交流化信号FR_c、フィールド信号F1_c、F2_c、表示オフ信号XDOF_c、フレームカウンターFN_cのパラレルの表示タイミング信号に変換する。
各ラッチ回路は、シリアル/パラレル変換回路428aによってパラレルに変換された液晶交流化信号FR_c、フィールド信号F1_c、F2_c、表示オフ信号XDOF_c、フレームカウンターFN_cをそれぞれラッチする。液晶交流化信号FR_c、フィールド信号F1_c、F2_c、表示オフ信号XDOF_cをラッチしたラッチ回路は、液晶交流化信号FR_inside、フィールド信号F1_inside、F2_inside、表示オフ信号XDOF_insideを、コモン出力演算回路118及びMLSデコーダー132に出力する。また、フレームカウンターFN_cをラッチしたラッチ回路は、フレームカウンターFN_insideをFRCデコーダー700に出力する。
以上説明したように、本変形例においても本実施形態と同様に、マスター側とスレーブ側とを接続する信号線の本数を削減することができるようになる。
以上、本発明に係る表示ドライバー、表示モジュール、及び電子機器等を上記の実施形態形又はその変形例に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態形又はその変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記の実施形態又はその変形例では、表示ドライバーが液晶表示パネルを駆動する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、有機ELディスプレイパネルやプラズマディスプレイ等の他の表示パネルを駆動する表示ドライバーに適用することができる。
(2)上記の実施形態又はその変形例では、カスケード接続された2つの表示ドライバーで液晶表示パネルを駆動する例について説明したが、本発明は、カスケード接続される表示ドライバーの数に限定されるものではない。
(3)上記の実施形態又はその変形例では、4本又は5本の表示タイミング信号をパラレル/シリアル変換する例について説明したが、本発明は、表示タイミング信号の種類に限定されるものではない。
(4)上記の実施形態又はその変形例では、複数種類の表示タイミング信号に対するエンコード処理をパラレル/シリアル変換処理、デコード処理をシリアル/パラレル変換処理を行う例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。エンコード処理は、信号線の本数を削減できればよく、デコード処理は、エンコード処理の結果を用いてエンコード処理前の信号に復元できればよい。
(5)上記の実施形態又はその変形例では、同期タイミング信号SYNCを除いて複数種類の表示タイミング信号をエンコードする例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、同期タイミング信号SYNCも他の表示タイミング信号と共にパラレル/シリアル変換を行い、公知の同期パターンを挿入する等の他の手段でスレーブ側において表示タイミング信号をシリアル/パラレル変換を行うようにしてもよい。
(6)上記の実施形態又はその変形例では、第1の表示ドライバーの構成と第2の表示ドライバーの構成が同様のものである例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1の表示ドライバーの構成と第2の表示ドライバーの構成が異なっていてもよい。
(7)上記の実施形態又はその変形例では、表示タイミング信号として表示を強制的にオフする表示オフ制御を例に説明したが、表示を強制的にオン又はオフに制御する表示オンオフ制御信号を採用してもよい。