JP5434345B2 - 回転対称形状の超精密形状測定方法及びその装置 - Google Patents

回転対称形状の超精密形状測定方法及びその装置 Download PDF

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Description

本発明は、回転対称形状の超精密形状測定方法及びその装置に係わり、更に詳しくは球面若しくは非球面の回転対称形の被測定物の表面形状を超精密に測定する方法及びその装置に関するものである。
X線自由電子レーザーや波長13.5nmの極紫外光を用いたリソグラフィー技術から要請される次世代高精度光学素子の製作には、非球面で形状誤差を1〜0.1nmRMSの精度で自由曲面の形状を計測することが不可欠である。また、大量に製造される民生用の種々の曲率を持つ非球面ミラー、レンズにも超精密形状計測が求められている。
従来、空間波長0.1mm以上の形状測定技術は、位相シフトフィゾー干渉計や三次元形状測定機、LTP(Long Trace Profiler)がある。位相シフトフィゾー干渉計の場合は、参照面が不可欠である。原則測定対象が平面若しくは球面に限られ、非球面測定には測定対象物に合わせた特殊な工夫が必要である。また、曲率の大きな光学素子に対応ができず、原理的に絶対形状測定が不可能である。三次元形状測定機は、直線3軸の運動精度が測定精度を支配し、プローブが接触式であるため、光学素子表面に傷を残す。測定精度も接触式であるが故に、測定対象の形状に依存し、10〜300nmが限界である。LTPは、5×10-7radRMSの測定精度(3nmRMS)が得られているが、その測定範囲は±5mrad(100mm)の長さで曲率半径が±500mに限られており、直線上断面の二次元形状のみの測定である。
このような従来の課題を解消する方法として、特許文献1に記載されるような自由曲面形状を計測する超精密形状測定方法が提案されている。この超精密形状測定方法の原理は、レーザーの直進性を活用し、水平垂直方向に回転する2軸のゴニオメータの回転中心から射出したレーザーは別の2軸ゴニオメータ上にセットされた光学素子(レンズ、ミラー)で反射されて、光源の位置にある検出器(4分割フォトダイオード;QPD)の中心に戻るように2軸2組のゴニオメータを制御して、ミラーの任意測定点の法線ベクトルを0.1μradの精度で測定するものである。法線ベクトルは、これらのゴニオメータの回転角度のみで、測定座標点はゴニオメータの回転角度と測定試料の曲率半径から求めることが可能である。本計測法は基準面を用いないため、非球面、非回転対称面の形状を測定できる能力を持っている。形状の導出は、スロープ関数を補間・積分をおこなう傾斜角積分法や本発明者らが新しく開発したフーリエ級数で測定面形状を近似し、最小二乗法によって、その点での法線ベクトルの残差を最小にするフーリエ係数を求めて測定面形状を一意的に決定する「フーリエ級数展開最小二乗法」というアルゴリズムなどで絶対形状を求めるのである。
更に、本発明者らは、光源から出射されたレーザービームが光学素子に反射されて、光源の位置にある検出器(QPD)の中心に戻るように2軸1組のゴニオメータを、また検出器と光学素子表面間の光路長Lを一定になるように光軸方向の1軸直進ステージを、それぞれの検出器の出力を直接駆動系に入力する3軸フルクローズドフィードバック制御することを提案している。このように、光学素子の法線ベクトルを追跡しながら、残りの2軸のゴニオメータで測定点座標を定値制御することで、計測時間の短縮化を図ることが可能な5軸制御形状測定法を提案している。
特許第3598983号公報
新しい5軸制御形状測定法の開発によって、各計測点座標での法線ベクトルの計測を素早く行うことができ、被測定物の表面形状の測定が短時間で行えるようになり、また大型の被測定物でも精密に形状を測定することができるようになったが、それでも計測には長時間を要する。また、5軸制御であれば、形状測定装置のコストが高くなる。大量に製造される民生用の光学素子を短時間・低コストで高精度に形状計測できる方法の出現が望まれている。
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、回転対称形状であり、主に球面若しくは球面に近似できる非球面の形状で、曲率半径が小さな被測定物の表面の形状を、短時間で1nm程度の形状精度で測定することが可能であり、しかも低コスト化を図ることが可能な回転対称形状の超精密形状測定方法及びその装置を提供する点にある。
本発明は、前述の課題解決のために、光源と光検出器を設けた光学系と被測定物を保持した試料系とを備え、光源から出射された計測ビームが被測定物表面で反射され、その反射ビームを光検出器で検出して被測定物表面の任意計測点の法線ベクトルを計測することから形状を求める法線ベクトル追跡型超精密形状測定方法において、前記被測定物の表面が回転対称形状で、主に球面若しくは球面に近似できる非球面であり、前記光検出器が受光面における反射ビームの変位を計測可能であり、前記光学系の光軸と被測定物の中心線を一致させて計測ビームと反射ビームとが重なるように初期設定した後、試料系又は光学系の一方のみを2軸1組のゴニオメータで駆動し且つ他方は固定して計測ビームで被測定物表面の測定範囲を走査し、反射ビームの角度変化からその点での法線ベクトルを算出し、計測点座標と法線ベクトルからフーリエ級数展開最小二乗法により表面形状を導出する回転対称形状の超精密形状測定方法であって、前記被測定物が凸面である場合には、試料系の2軸1組のゴニオメータで駆動する可動部に被測定物を保持し、2軸1組のゴニオメータのB軸に被測定物の中心線を一致させるとともに、ゴニオメータのC軸が被測定物の中心線上の曲率中心を通るように初期設定し、前記被測定物が凹面である場合には、光学系の2軸1組のゴニオメータで駆動する可動部に光源と光検出器を設け且つ2軸1組のゴニオメータのA軸とC軸が光検出器の受光面中心を通るように設定するとともに、光検出器の受光面中心が被測定物の中心線上の曲率中心を通るように初期設定してなることを特徴とする回転対称形状の超精密形状測定方法を構成した(請求項1)。
ここで、光検出器として、4分割フォトダイオード(QPD)を用いることが好ましい(請求項2)。あるいは、光検出器として、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサを用いることも好ましい(請求項3)。
そして、本発明は、光源と受光面における入射ビームの変位を計測可能な光検出器を設けた光学系と、表面が球面若しくは球面に近似した非球面の回転対称形凸面の被測定物を、2軸1組のゴニオメータで駆動する可動部に、該ゴニオメータのB軸に被測定物の中心線を一致させるとともに、ゴニオメータのC軸が被測定物の中心線上の曲率中心を通るように保持した試料系と、前記光学系の光軸と被測定物の中心線及びゴニオメータのB軸を一致させて、光源から出射された計測ビームと被測定物表面で反射された反射ビームとが重なるように初期設定するアライメント手段と、前記試料系を2軸1組のゴニオメータで駆動し且つ前記光学系は固定して計測ビームで被測定物表面の測定範囲を走査し、前記光検出器の受光面に当たる反射ビームの位置を検出し、該反射ビームの角度変化からその点での法線ベクトルを算出し、被測定物表面の任意計測点の座標と法線ベクトルからフーリエ級数展開最小二乗法により表面形状を導出する制御・演算手段と、を備えたことを特徴とする回転対称形状の超精密形状測定装置を構成した(請求項)。
また、本発明は、2軸1組のゴニオメータで駆動する可動部に、光源と受光面における入射ビームの変位を計測可能な光検出器を設け且つゴニオメータのA軸とC軸が光検出器の受光面中心を通るように設定した光学系と、表面が回転対称形状で、主に球面若しくは球面に近似できる非球面の凹面の被測定物を保持した試料系と、光検出器の受光面中心が被測定物の中心線上の曲率中心を通るように設定し、前記光学系の光軸と被測定物の中心線を一致させて、光源から出射された計測ビームと被測定物表面で反射された反射ビームとが重なるように初期設定するアライメント手段と、前記光学系を2軸1組のゴニオメータで駆動し且つ前記試料系は固定して計測ビームで被測定物表面の測定範囲を走査し、前記光検出器の受光面に当たる反射ビームの位置を検出し、該反射ビームの角度変化からその点での法線ベクトルを算出し、被測定物表面の任意計測点の座標と法線ベクトルからフーリエ級数展開最小二乗法により表面形状を導出する制御・演算手段と、を備えたことを特徴とする回転対称形状の超精密形状測定装置を構成した(請求項)。
ここで、超精密形状測定装置においても、光検出器として、4分割フォトダイオード(QPD)を用いることが好ましい(請求項)。あるいは、光検出器として、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサを用いることも好ましい(請求項)。
以上にしてなる本発明の回転対称形状の超精密形状測定方法及びその装置は、法線ベクトルの計測に2軸1組のゴニオメータのみを用いるため、簡便な構造になり、表面が回転対称形状で、主に球面若しくは球面に近似できる非球面の被測定物の形状測定を短時間で行うことができる。また、光学系の調整も簡単で、高速化も容易であり、装置コストも下げることができる。現在、民生用の光学素子として需要の多い曲率半径R=10mm程度の小径レンズ又はその成形金型の形状測定を1nm程度の形状精度で測定することが可能であり、民生用の光学素子の製造現場で使用することが可能になる。
本発明の超精密形状測定装置の概念図である。 凸面の被測定物を測定する第1実施形態の測定装置の簡略配置図である。 凹面の被測定物を測定する第2実施形態の測定装置の簡略配置図である。 QPDの簡略説明図である。 QPDと入射光の水平方向位置を相対移動させた場合の変移量とQPDの出力電圧の関係を示すグラフである。 曲率半径R=25mmの試料に座標誤差を与えた場合の形状誤差のシミュレーション結果を示し、(a)は座標誤差の標準偏差がσ=50nmのグラフ、(b)は座標誤差の標準偏差がσ=500nmのグラフである。 曲率半径R=400mmの試料に座標誤差を与えた場合の形状誤差のシミュレーション結果を示し、(a)は座標誤差の標準偏差がσ=50nmのグラフ、(b)は座標誤差の標準偏差がσ=500nmのグラフである。 試料に法線ベクトルの誤差として標準偏差σ=0.05μrad、0.5μrad、5μradを与えた場合の形状誤差のシミュレーション結果を示すグラフである。 R=25mmスチールボールの同じ位置の法線測定を複数回行った場合のQPDの出力信号を示すグラフである。
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1及び図2は、本発明の第1実施形態を示し、光の直進性を利用して被測定物1の表面上における各点の法線ベクトルを測定するのである。本発明における形状測定対象は、表面が回転対称形状で、主に球面若しくは球面に近似できる非球面の被測定物1であり、曲率半径が小さな比較的小さいものである。具体的な被測定物1は、レンズやミラー等の光学素子であり、更にはレンズやミラーの成形金型である。
本発明の形状測定原理は、光源4と光検出器5を設けた光学系2と被測定物1を保持した試料系3とを備え、光源4から出射された計測ビームB1が被測定物1の表面で反射され、その反射ビームB2を光検出器5で検出して被測定物表面の任意計測点の法線ベクトルを計測することから形状を求める超精密形状測定方法である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態の超精密形状測定装置は、光源4と受光面における入射ビームの変位を計測可能な光検出器5を設けた光学系2と、表面が回転対称形状で、主に球面若しくは球面に近似できる非球面の凸面の被測定物1を、2軸1組のゴニオメータ6,7で駆動する可動部8に、該ゴニオメータ7のB軸に被測定物1の中心線を一致させるとともに、ゴニオメータ6のC軸が被測定物1の中心線上の曲率中心を通るように保持した試料系3と、前記光学系2の光軸Rと被測定物1の中心線CL及びゴニオメータ7のB軸を一致させて、光源4から出射された計測ビームB1と被測定物表面で反射された反射ビームB2とが重なるように初期設定するアライメント手段(図示せず)と、前記試料系3を2軸1組のゴニオメータ6,7で駆動して計測ビームB1で被測定物1表面の測定範囲を走査し、前記光検出器5の受光面に当たる反射ビームB2の位置を検出し、該反射ビームB2の角度変化からその点での法線ベクトルを算出し、被測定物表面の任意計測点の法線ベクトルから表面形状を導出する制御・演算手段(図示せず)とを備えている。
更に詳しくは、前記光学系2は、光源4が直径1μm以下の光ファイバーであり、図示しないレーザーから導かれ先端から射出された光をF5とF50の二枚のコリメータレンズ9を通した後、偏光ビームスプリッター10を通して45°向きを変え、1/4波長板11とF100の対物レンズ12を通して被測定物1の表面を照射する計測ビームB1系と、被測定物1の表面の表面で反射した光を対物レンズ12と1/4波長板11を通して
前記偏光ビームスプリッター10を直進し、減光フィルター13を通して光検出器5に入射する反射ビームB2系を有している。本実施形態では、前記被測定物1の表面でのスポット径を0.5mmに設定している。ここで、光源4から出射された計測ビームB1と被測定物表面で反射された反射ビームB2とが重なるとは、その光軸が重なることを意味している。図2は、図1を簡略化して示した装置の概念図である。
図3に示した本発明の第2実施形態の超精密形状測定装置は、2軸1組のゴニオメータで駆動する可動部に、光源(図示せず)と受光面における入射ビームの変位を計測可能な光検出器5を設け且つゴニオメータ14,15のA軸とC軸が光検出器5の受光面中心を通るように設定した光学系2と、表面が回転対称形状で、主に球面若しくは球面に近似できる非球面の凹面の被測定物1を保持した試料系3と、光検出器5の受光面中心が被測定物1の中心線上の曲率中心を通るように設定し、前記光学系2の光軸と被測定物の中心線を一致させて、光源から出射された計測ビームB1と被測定物表面で反射された反射ビームとが重なるように初期設定するアライメント手段(図示せず)と、前記光学系2を2軸1組のゴニオメータ14,15で駆動して計測ビームB1で被測定物表面の測定範囲を走査し、前記光検出器5の受光面に当たる反射ビームの位置を検出し、該反射ビームの角度変化からその点での法線ベクトルを算出し、被測定物表面の任意計測点の法線ベクトルから表面形状を導出する制御・演算手段(図示せず)とを備えている。
第2実施形態では、光学系2を2軸1組のゴニオメータで回転駆動したが、これは凹面の被測定物1を保持した試料系3を2軸1組のゴニオメータで曲率中心を中心として回転駆動することが幾何学的に困難なためである。しかし、第1実施形態のように試料系3をB軸とC軸を有する2軸1組のゴニオメータで回転駆動する構造とし、凹面からなる被測定物1の中心線をゴニオメータのB軸に一致させるとともに、ゴニオメータのC軸が被測定物1の中心線上の曲率中心を通るように保持できるようなホルダーを介して取付けることができれば、装置構成は第1実施形態と同じにすることは可能である。
これまで、法線ベクトルを測定するために、光検出器として4分割フォトダイオード(QPD)を用い、2軸2組のゴニオメータと1軸のリニアステージからなる5軸駆動系を制御し、検出器と被測定物の両方を変化させて法線ベクトルを追跡する零位法を用いていた。それに対して本発明では、光検出器又は試料を固定して、光検出器の出力から法線ベクトルの方向を測定するようにした。つまり、本発明では、被測定物1の表面の任意点での法線ベクトルを計測する際に、計測ビームを走査するために駆動する軸を最小の2軸にし、計測時間を短縮することに最大のポイントを置いている。そのため、測定対象は回転対称形状に限られるものの、QPDの受光面における反射ビームの変位を検出することによりその点での法線ベクトルを素早く計測できるのである。このとき、光検出器出力の直線性が保障されていなければならない。つまり、完全球面の場合は、球面の各点から反射した反射ビームは、常にQPDの受光面の中心に当り、QPDの出力に変化は生じないが、部分的に完全球面からずれた面や非球面の場合には、完全球面からのずれ具合に応じて反射ビームがQPDの受光面の中心から偏心した位置に当たることになり、QPDの出力に変化が生じる。本発明では、光検出器5が受光面における反射ビームの変位を計測可能であることが重要であり、しかも反射ビームの偏心する距離に応じて出力が直線的に変化することが必要である。反射ビームの変位が小さければ、QPDは本発明において光検出器5として使用することができる。また、反射ビームの変位が大きければ、光検出器5として、QPDの代わりに一般的な固体撮像素子を用いることが可能であり、具体的はCCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサを用いることが可能である。従って、原理的には被測定物1の形状が球面から大きくずれていても、光学系2により反射ビームを光検出器5に導くことができれば形状計測は可能である。
凸面を測定する場合は、光検出器を固定して、被測定物を2軸ゴニオメータに設置する。測定開始時には、光検出器が光学的に同じ位置にあるレーザー光源からの入射光が被測定物表面に反射し、光検出器の中心に反射光が戻るように調整する。このとき、B軸ゴニオメータを回転しても光検出器の中心に反射光が戻るように調整することで、光学系の光軸と被測定物、ゴニオメータの軸合わせができる。その後、被測定物の2軸を回転したときの法線ベクトルの方向を光検出器の出力から求め、測定座標と合わせて形状を求める。尚、凹面の場合は、幾何学的な制約から試料を固定して光検出器を2軸ゴニオメータに搭載する。
光検出器5は、図4に示すように、4分割フォトダイオード(QPD)で構成されX,Z座標の各象限に分割セル5A〜5Dを配置している。被測定面の法線ベクトルが変化すると光てこの原理によって光検出器5上のピンホール像の位置が変位する。ピンホール像のX,Z方向の変位量に応じて各分割セル5A〜5D毎に出力変化VA,VB,VC,VDとして現れ、それぞれの加減算により水平、垂直方向の位置変化量としてV1=(VA+VB)−(VC+VD)、V2=(VA+VD)−(VB+VC)が得られる。法線ベクトルの変化量と光検出器5上の位置変位量の関係は一意的に決定される。
図5は、変位に対するQPDの出力の応答性を調べるために行った実験結果を示している。QPDの受光面を垂直に配置し、水平方向からレーザースポット光を受光面の中心に照射し、QPDを、容量型変位計を備えたピエゾ駆動装置で水平方向に往復変化させた。図5のグラフの横軸は時間/secであり、下側の波形はQPDの水平移動量/nm、上側の波形はQPDの出力電圧/Vである。この二つの波形は形状と位相が略一致しており、それによりQPDの水平移動量に応じて略直線的に出力電圧が変化していることが分かる。
本発明の第1実施形態の超精密形状測定装置は、2軸のゴニオメータの回転角度と反射光を受ける4分割フォトダイオード(QPD)の電気信号で被測定物表面の法線ベクトルを測定することが可能である。次に、この高速形状計測装置を用いて、曲率半径25mmの被測定物を所望の精度で測定するために必要な装置精度を、シミュレーションを行うことによって導出する。
本発明の計測装置で得ることができるパラメータは被測定物表面の座標及びその各点での法線ベクトルである。その2つのパラメータに誤差を与え、後述の「フーリエ級数展開最小二乗法」によって形状導出し、1nmの精度で形状導出できる許容誤差を確認した。座標に与える誤差は平均0、標準偏差σ=50nm、500nmの2種類の正規分布乱数であり、法線ベクトルに与える誤差は平均0、標準偏差σ=0.05μrad、0.5μrad、5μradの3種類である。この座標誤差と法線ベクトル誤差を、それぞれ平面、R=400mm、曲率半径R=25mmのサンプル試料の測定範囲±10mmの範囲の測定点1001点のデータに与えて形状導出し、理想形状との差を見た。先ず始めに各種試料に対し、座標誤差を与えて導出した形状誤差を見たのが図6及び図7である。平面の場合、座標誤差による形状導出誤差は0なので省略するが、図6はR=25mmの表面の場合であり、座標誤差の標準偏差がσ=50nmの場合PV1.2nm(図6(a)参照)、σ=500nmの場合PV4.11nm(図6(b)参照)である。図7はR=400mmの表面の場合であり、座標誤差の標準偏差がσ=50nmの場合PV0.07nm(図7(a)参照)、σ=500nmの場合PV0.24nm(図7(b)参照)であることが分かった。つまり、座標誤差による形状誤差は、測定面の曲率半径に反比例することが実証され、R=25mmの試料を測定範囲±10mmまでで1nm程度の形状精度で測定するには座標精度が100nm程度必要なことが示された。
次にシミュレーションを行ったのが、法線ベクトル誤差による形状誤差の見積りである。データに与える法線ベクトル誤差は、平面、曲率半径R=400mm,R=25mmのサンプル試料のそれぞれに平均0、標準偏差σ=0.05μrad、0.5μrad、5μradの3種類である。サンプル試料の測定範囲±10mmの範囲の測定点1001点のデータで形状導出し、理想形状に対する形状誤差を示したのが図8である。全てのサンプル試料に対し、形状誤差は図8の通りに導出され、具体的な値としてはσ=0.05μradの場合PV0.04nm、0.5μradの場合PV0.4nm、5μradの場合PV4nmとなり、法線ベクトル誤差による形状誤差は、測定面の曲率半径には依存せず、法線ベクトル誤差の絶対量に比例する。R=25mmの試料を1nm程度の形状精度で測定するには法線ベクトルの測定精度が1μrad程度必要なことが示された。
以上のシミュレーション結果を踏まえて、R=25mmのスチールボールを高速且つ高精度に測定するための実験を行った。2軸のゴニオメータでスチールボールを回転させ、反射光をQPDで受け、測定試料表面の法線ベクトルを測定することが可能である。10nm以上の精度でこのスチールボールを測定するには、計測装置のセットアップ環境の精度が上記のシミュレーションでの精度を満たす必要がある。そこで、アライメント手段による本セットアップ環境の精度を確認する実験を行った。確認事項は(1)B軸心ずれ精度、(2)C軸心ずれ精度、(3)法線ベクトル感度、(4)QPDの位置感度の4つである。
実験の結果、(1)B軸心ずれ精度=2.5μm、(2)C軸心ずれ精度=2μm、(3)法線ベクトル感度=1μrad、(4)QPDの位置感度=1μmであり、形状精度10nmでこのスチールボールを測定するのに十分な初期セットアップ環境であることが確認された。
次に、この測定装置を用いて、計測の安定性を確かめるために、R=25mmスチールボールの同じ位置の法線ベクトル測定を複数回行ってQPDの出力信号の変化を見た。C軸ゴニオメータを駆動して±20°の測定範囲を1回測定し、翌日に続いて3回測定した。図9に、これら4回の法線ベクトルの測定データであるQPDの信号の値をプロットして示している。C軸ゴニオメータは0.2°/secの回転速度で駆動し、図9のグラフの横軸は約200sec(=40degree)の計測時間に相当する。図9より、4回の計測でQPDの信号が略重なって各信号が分別不能であることが分かり、非常に再現性良く試料表面の法線ベクトルを測定することが可能であることが実証された。
以上により、本発明の測定装置を用いて小型で曲率半径が小さい試料を10nm以上という高精度で高速に測定することができることが分かった。また、本発明の測定方法で1nmという高精度で測定するために必要な条件をシミュレーションから明らかにした。また、法線ベクトル計測にあたって初期セットアップ精度が十分であることを確認し、法線ベクトルの計測を再現性良く行うことができることが分かった。
最後に、座標(x、y)と法線ベクトルから表面形状を導出するための「フーリエ級数展開最小二乗法」について簡単に説明する。一般的な三次元形状は、数1のように表される。
Figure 0005434345
次の数2に一般的な三次元形状を複素数表現による指数関数でx,yの交差項(クロスターム)を入れて表現したフーリエ級数形式形状関数を示している。
Figure 0005434345
ここで、anmはフーリエ係数、eは自然対数の底、n,mはフーリエ級数の次数であり、kは波数で測定範囲Range(周期境界条件)を用いて2π/Rangeで表される。数2において第3項が交差項である。また、実数条件により、フーリエ係数に次の数3が要求される。
Figure 0005434345
そして、z(x、y)のxとyの微分形(x方向の傾きとy方向の傾き)は、次の数4になる。
Figure 0005434345
ここで、実数条件により、フーリエ係数に次の数5が要求される。
Figure 0005434345
そして、実測した法線ベクトルから求めた傾きを一般的にg(xp,yp)と表すと、数4を用いて次のスロープ残差εが最小になるように最小二乗法を適用する。
Figure 0005434345
そして、被測定物表面の導出形状をフーリエ級数展開で表したフーリエ級数形式形状関数とその微分形のスロープ関数と、被測定物表面の理想形状関数を用いて算出した理想データを用い、最小二乗法により形状残差とスロープ残差が最小になる条件でフーリエ係数を決定し、形状残差とスロープ残差が共に要求精度よりも小さくなるまで次数n、mを増やして繰り返し計算することにより次数n、mを決定した後、この決定した次数n、mで表した前記スロープ関数と、実測で得た計測座標データと計測法線ベクトルから算出した計測スロープデータを用い、最小二乗法によりスロープ残差が最小になる条件でフーリエ係数を決定し、被測定物表面の導出形状をフーリエ級数展開形形式で表すのである。
1 被測定物、
2 光学系、
3 試料系、
4 光源、
5 光検出器、
6 ゴニオメータ(C軸)、
7 ゴニオメータ(B軸)、
8 可動部、
9 コリメータレンズ、
10 偏光ビームスプリッター、
11 1/4波長板、
12 対物レンズ、
13 減光フィルター、
14 ゴニオメータ(C軸)、
15 ゴニオメータ(A軸)。

Claims (7)

  1. 光源と光検出器を設けた光学系と被測定物を保持した試料系とを備え、光源から出射された計測ビームが被測定物表面で反射され、その反射ビームを光検出器で検出して被測定物表面の任意計測点の法線ベクトルを計測することから形状を求める超精密形状測定方法において、前記被測定物の表面が回転対称形状で、主に球面若しくは球面に近似できる非球面であり、前記光検出器が受光面における反射ビームの変位を計測可能であり、前記光学系の光軸と被測定物の中心線を一致させて計測ビームと反射ビームとが重なるように初期設定した後、試料系又は光学系の一方のみを2軸1組のゴニオメータで駆動し且つ他方は固定して計測ビームで被測定物表面の測定範囲を走査し、反射ビームの角度変化からその点での法線ベクトルを算出し、計測点座標と法線ベクトルからフーリエ級数展開最小二乗法により表面形状を導出する回転対称形状の超精密形状測定方法であって、前記被測定物が凸面である場合には、試料系の2軸1組のゴニオメータで駆動する可動部に被測定物を保持し、2軸1組のゴニオメータのB軸に被測定物の中心線を一致させるとともに、ゴニオメータのC軸が被測定物の中心線上の曲率中心を通るように初期設定し、前記被測定物が凹面である場合には、光学系の2軸1組のゴニオメータで駆動する可動部に光源と光検出器を設け且つ2軸1組のゴニオメータのA軸とC軸が光検出器の受光面中心を通るように設定するとともに、光検出器の受光面中心が被測定物の中心線上の曲率中心を通るように初期設定してなることを特徴とする回転対称形状の超精密形状測定方法。
  2. 光検出器として、4分割フォトダイオード(QPD)を用いる請求項1記載の回転対称形状の超精密形状測定方法。
  3. 光検出器として、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサを用いる請求項1記載の回転対称形状の超精密形状測定方法。
  4. 光源と受光面における入射ビームの変位を計測可能な光検出器を設けた光学系と、
    表面が回転対称形状で、主に球面若しくは球面に近似できる非球面の凸面の被測定物を、2軸1組のゴニオメータで駆動する可動部に、該ゴニオメータのB軸に被測定物の中心線を一致させるとともに、ゴニオメータのC軸が被測定物の中心線上の曲率中心を通るように保持した試料系と、
    前記光学系の光軸と被測定物の中心線及びゴニオメータのB軸を一致させて、光源から出射された計測ビームと被測定物表面で反射された反射ビームとが重なるように初期設定するアライメント手段と、
    前記試料系を2軸1組のゴニオメータで駆動し且つ前記光学系は固定して計測ビームで被測定物表面の測定範囲を走査し、前記光検出器の受光面に当たる反射ビームの位置を検出し、該反射ビームの角度変化からその点での法線ベクトルを算出し、被測定物表面の任意計測点の座標と法線ベクトルからフーリエ級数展開最小二乗法により表面形状を導出する制御・演算手段と、
    を備えたことを特徴とする回転対称形状の超精密形状測定装置。
  5. 2軸1組のゴニオメータで駆動する可動部に、光源と受光面における入射ビームの変位を計測可能な光検出器を設け且つゴニオメータのA軸とC軸が光検出器の受光面中心を通るように設定した光学系と、
    表面が回転対称形状で、主に球面若しくは球面に近似できる非球面の回転対称形凹面の被測定物を保持した試料系と、
    光検出器の受光面中心が被測定物の中心線上の曲率中心を通るように設定し、前記光学系の光軸と被測定物の中心線を一致させて、光源から出射された計測ビームと被測定物表面で反射された反射ビームとが重なるように初期設定するアライメント手段と、
    前記光学系を2軸1組のゴニオメータで駆動し且つ前記試料系は固定して計測ビームで被測定物表面の測定範囲を走査し、前記光検出器の受光面に当たる反射ビームの位置を検出し、該反射ビームの角度変化からその点での法線ベクトルを算出し、被測定物表面の任意計測点の座標と法線ベクトルからフーリエ級数展開最小二乗法により表面形状を導出する制御・演算手段と、
    を備えたことを特徴とする回転対称形状の超精密形状測定装置。
  6. 光検出器として、4分割フォトダイオード(QPD)を用いる請求項4又は5記載の回転対称形状の超精密形状測定装置。
  7. 光検出器として、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサを用いる請求項4又は5記載の回転対称形状の超精密形状測定装置。
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