JP5434052B2 - 気液分離器 - Google Patents

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本発明は、燃料電池スタックから排出されるオフガスなどのガスの気液を分離する気液分離器に関する。
近年、燃料ガスと酸化ガス(以下、これらを反応ガスという。)との電気化学反応によって発電する燃料電池をエネルギ源とした燃料電池システムが注目されている。
このような燃料電池システムには、水分回収器で回収された水を吸収性多孔質材の毛細管現象により反応空気口ヘッダーへ移動させ、外部からの供給反応空気を加湿するものがある(例えば、特許文献1参照)。また、燃料電池スタックにおける反応ガスの入口及び出口にて水分のやり取りを行わせる構造も知られている(例えば、特許文献2参照)。さらに、水素循環路における水素循環ポンプの上流側に気液分離器を設けたシステムも知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開平8−321317号公報 特開2007−329009号公報 特開2005−243357号公報
ところで、燃料電池システムにおいては、固体高分子電解質膜を飽和加湿する必要があるが、負荷や温度の状況に応じて必要となる水分量が変動する。具体的には、高負荷高温状態では、電解質膜が乾燥気味となり、また、低負荷低温状態では、水分が過剰となってしまう。
このため、燃料電池からのオフガスを適度な加湿状態として燃料電池へ送り込む技術が要求されている。
そこで、本発明は、送り込まれるガスを適度な加湿状態として送り出すことができる気液分離器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、断面円形に形成された分離室と、前記分離室の側部に接続され、燃料電池から排出されたオフガスを前記分離室に導入する配管と、前記分離室の下方に併設されて所定量の水を貯留可能な貯留室と、前記分離室と前記貯留室とにわたって配設された多孔体とを備え、前記多孔体は、前記分離室ではその内面に当接しており、前記配管から前記分離室に導入された前記オフガスが前記分離室の内面に沿って流れることによる遠心力の作用によって水分量の多い前記オフガスから分離した水分を吸収し、吸収した水分によって乾燥気味の前記オフガスを加湿し、前記燃料電池に前記オフガスを供給する。
係る構成とすることによって、水分量が多いガスが分離室を通過する際には、多孔体によってガスの水分が吸収除去され、多孔体から貯留室に水が貯留される。また、水分量が少ないガスが分離室を通過する際には、貯留室の水で湿った状態の多孔体から水が蒸発することによってガスが加湿される。つまり、分離室に送り込まれるガスを適度な加湿状態にて送り出すことができる。
本発明の気液分離器によれば、送り込まれるガスを適度な加湿状態にて送り出すことができる。
まず、本発明に係る気液分離器の一実施形態が適用された燃料電池システム1の全体構成を説明する。この燃料電池システム1は燃料電池車両の車載発電システムであるが、車載用の燃料電池システム以外にも、船舶,航空機,電車、歩行ロボット等のあらゆる移動体用の燃料電池システムや、例えば燃料電池が建物(住宅、ビル等)用の発電設備として用いられる定置用の燃料電池システムへの適用も可能である。
図1に示すように、酸化ガス(反応ガス)としての空気は、空気供給路71を介して燃料電池20の空気供給口に供給される。空気供給路71には、空気から微粒子を除去するエアフィルタA1、空気を加圧するコンプレッサA3、供給空気圧を検出する圧力センサP4、及び空気に所要の水分を加える加湿装置A21が設けられている。コンプレッサA3は、モータMによって駆動される。このモータMは、制御部50によって駆動制御される。
燃料電池20から排出される空気オフガスは、排気路72を経て外部に放出される。排気路72には、排気圧を検出する圧力センサP1、及び圧力調整弁A4が設けられている。圧力センサP1は、燃料電池20の空気排気口近傍に設けられている。圧力調整弁A4は、燃料電池20への供給空気圧を設定する調圧器として機能する。
圧力センサP4,P1の検出信号は、制御部50に送られる。制御部50は、コンプレッサA3のモータ回転数及び圧力調整弁A4の開度面積を調整することによって、燃料電池20への供給空気圧や供給空気流量を設定する。
燃料ガス(反応ガス)としての水素ガスは、水素供給源30から燃料供給路74を介して燃料電池20の水素供給口に供給される。燃料供給路74には、水素供給源30から水素を供給しあるいは供給を停止する遮断弁H100、水素供給源30からの水素ガスの供給圧力を検出する圧力センサP6、燃料電池20への水素ガスの供給圧力を減圧して調整する水素調圧弁H9、水素調圧弁H9の下流の水素ガス圧力を検出する圧力センサP9、燃料電池20の水素供給口と燃料供給路74間を開閉する遮断弁H21、及び水素ガスの燃料電池20の入口圧力を検出する圧力センサP5が設けられている。圧力センサP5,P6,P9の検出信号も制御部50に供給される。
燃料電池20で消費されなかった水素ガスは、水素オフガスとして水素循環路75に排出され、燃料供給路74の水素調圧弁H9の下流側に戻される。水素循環路75には、水素オフガスの温度を検出する温度センサT31、燃料電池20と水素循環路75を連通/遮断する遮断弁H22、水素オフガスから水分を回収する気液分離器H42、回収した生成水を水素循環路75外の図示しないタンク等に回収する排水弁H41、及び水素オフガスを加圧する水素ポンプH50が設けられている。
遮断弁H21,H22は、燃料電池20のアノード側を閉鎖する。温度センサT31の図示しない検出信号は、制御部50に供給される。水素ポンプH50は、制御部50によって動作が制御される。
水素オフガスは、燃料供給路74で水素ガスと合流し、燃料電池20に供給されて再利用される。遮断弁H100,H21,H22は、制御部50からの信号で駆動される。
水素循環路75は、排出制御弁H51を介して、パージ流路76によって排気路72に接続されている。排出制御弁H51は、電磁式の遮断弁であり、制御部50からの指令によって作動することにより、水素オフガスを外部に排出(パージ)する。このパージ動作を間欠的に行うことによって、水素オフガスの循環が繰り返されて燃料極側の水素ガスの不純物濃度が増すことによるセル電圧の低下を防止することができる。
燃料電池20の冷却水出入口には、冷却水を循環させる冷却路73が設けられている。冷却路73には、燃料電池20から排水される冷却水の温度を検出する温度センサT1、冷却水の熱を外部に放熱するラジエータ(熱交換器)C2、冷却水を加圧して循環させるポンプC1、及び燃料電池20に供給される冷却水の温度を検出する温度センサT2が設けられている。ラジエータC2には、モータによって回転駆動される冷却ファンC13が設けられている。
燃料電池20は、燃料ガスと酸化ガスの供給を受けて発電する単セルを所要数積層してなる燃料電池スタックとして構成されている。燃料電池20が発生した電力は、図示しないパワーコントロールユニットに供給される。パワーコントロールユニットは、車両の駆動モータを駆動するインバータと、コンプレッサモータや水素ポンプ用モータなどの各種の補機類を駆動するインバータと、二次電池等の蓄電手段への充電や該蓄電手段からのモータ類への電力供給を行うDC−DCコンバータなどが備えられている。
制御部50は、図示しない車両のアクセル信号などの要求負荷や燃料電池システム1の各部のセンサ(圧力センサ、温度センサ、流量センサ、出力電流計、出力電圧計等)から制御情報を受け取り、システム各部の弁類やモータ類の運転を制御する。
次に、本発明の一実施形態である上記気液分離器H42について、具体的に説明する。
図2及び図3に示すように、気液分離器H42は、ケース81を有している。このケース81は、上下方向の中間部にくびれ部81aが形成され、このくびれ部81aを境に、上方側が分離室81bとされ、下方側が貯留室81cとされている。
そして、ケース81の分離室81bは、断面円形に形成されており、その側部には水素循環路75の上流側の配管が接続され、また、上部には水素循環路75の下流側の配管が接続されている。また、貯留室81cの底部には、排水管83が接続され、この排水管83との接続箇所には、排水弁H41が設けられている。この排水弁H41には、フロート84が取り付けられており、このフロート84が上下することにより、排水弁H41が開閉される。
また、ケース81には、分離室81bから貯留室81cにわたって多孔体85が設けられており、分離室81bでは、多孔体85が、分離室81bの内面に沿って配置されている。
そして、気液分離器H42では、燃料電池20から水素循環路75に排出された水素オフガスが分離室81b内へ送り込まれると、分離室81bの内面に沿って水素オフガスが流れることにより、その遠心力によって水分が外周側に寄せられ、分離室81bの内面に沿って配置された多孔体85にて補足されて吸収される。これにより、水分が除去されたガスが下流側の水素循環路75へ送り出され、燃料電池20へ再び戻される。
また、多孔体85によって水素オフガスから分離された水は、多孔体85を伝わり、下方側の貯留室81cに貯留される。そして、この水の貯留量が増えて所定量以上となると、フロート84が浮かぶことにより、排水弁H41が開かれ、貯留室81cの水が排水管83へ送り込まれて排水される。そして、貯留室81cにおける水位が下がると、フロート84が水位とともに下がり、排水弁H41が閉ざされる。これにより、貯留室81cは、所定量の水が貯留した状態とされる。
上記の燃料電池システム1において、低負荷常温低温での運転時には、水分量が多い水素オフガス中の水分が上記の気液分離器H42によって除去されて適度な加湿状態で燃料電池20へ送り込まれる。
ところが、燃料電池車において登坂路を走行する場合などの高負荷高温での運転時には、燃料電池20の電解質膜が乾燥気味となり、燃料電池20から乾燥気味の水素オフガスが排出される。したがって、このような状態にて、燃料電池20からの水素オフガスの水分を除去して燃料電池20へ戻すと、燃料電池20内の電解質膜の乾燥をさらに促進させてしまうという不具合が生じる。
しかし、このような場合においても、上記の気液分離器H42では、燃料電池20からの乾燥気味の水素オフガスが気液分離器H42に送られてくると、分離室81bの内面に沿って水素オフガスが流れて多孔体85にあたり、多孔体85に含まれている水が水素オフガスの熱によって蒸発し、水素オフガスが加湿される。よって、燃料電池20には、気液分離器H42にて加湿されて水素循環路75へ送り出された水素オフガスが送り込まれ、これにより、燃料電池20の電解質膜が適度の湿度に維持される。また、気液分離器H42の多孔体85は、分離室81bにて水が蒸発するが、下方側が貯留室81cの水に浸されているので、常に水が吸い上げられ、分離室81bにおいても適度に水分を含んだ状態に維持される。
以上、説明したように、本実施形態にかかる気液分離器によれば、水分量が多い水素オフガスが分離室81bを通過する際には、多孔体85によって水素オフガスの水分が吸収除去され、多孔体85から貯留室81cに水が貯留される。また、水分量が少ない水素オフガスが分離室81bを通過する際には、貯留室81cの水で湿った状態の多孔体85から水が蒸発することによって水素オフガスが加湿される。つまり、燃料電池20の運転時の状態にかかわらず、分離室81bに送り込まれる水素オフガスを適度な加湿状態にて送り出すことができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池システムを概略的に示すシステム構成図である。 燃料電池システムに設けられた気液分離器の構成を説明する概略側断面図である。 燃料電池システムに設けられた気液分離器の構成を説明する概略平面である。
符号の説明
20…燃料電池、81b…分離室、81c…貯留室、85…多孔体、H42…気液分離器。

Claims (1)

  1. 断面円形に形成された分離室と、
    前記分離室の側部に接続され、燃料電池から排出されたオフガスを前記分離室に導入する配管と、
    前記分離室の下方に併設されて所定量の水を貯留可能な貯留室と、
    前記分離室と前記貯留室とにわたって配設された多孔体とを備え、
    前記多孔体は、前記分離室ではその内面に当接しており、前記配管から前記分離室に導入された前記オフガスが前記分離室の内面に沿って流れることによる遠心力の作用によって水分量の多い前記オフガスから分離した水分を吸収し、吸収した水分によって乾燥気味の前記オフガスを加湿し、前記燃料電池に前記オフガスを供給することを特徴とする気液分離器。
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