JP5431184B2 - 建具用指詰め防止装置 - Google Patents

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Description

本発明は折れ戸やドアでの最終閉鎖時における指詰めを防止する装置に関するものである。
従来から折れ戸やドアを開閉する際の安全性に関しては指詰めが問題となっている。通常の折れ戸やドアの構成としては、2枚の戸体同士もしくは戸体と枠体を丁番もしくはピボットヒンジ等の開閉保持部材にて回転自在に連結するのが一般的である。このとき丁番においては回転の中心となる軸心は1軸で、かつ完全に180度まで開放必要であるとされている。したがって軸心位置は戸体の厚み部分より外側位置に配置された持ち出し吊り状態になる。すると閉鎖最終段階で、折れ戸の場合は隣接する両戸体の吊元側厚み方向面で、またドアの場合は縦枠と戸体の吊元側厚み方向面で指等を挟みこんでしまう現象が発生する。
そして両者の中でもより指詰めの危険性が高い建具が折れ戸で、その原因としては指詰めになる縦厚み方向面に近い戸体正面位置を押し引きして開閉操作するためであり、油断すると開閉操作の際に手や指を指詰め危険箇所に挿入してしまいやすいことが考えられる。また現在頻繁に使用されている折れ戸の種類としては、クローゼット等に用いられる収納を目的としたものと、室内空間を区切るための間仕切り折れ戸がある。これらの折れ戸は丁番やピボットヒンジにて連結されている隣接した2枚の戸体から構成され、2枚の戸体が一直線上に並んでいる閉鎖状態から手前に引く動作により開放操作し、戸体面同士が平行にほぼ密着するまで完全に折りたたんだときが最大開放状態である。逆に開放状態からは両戸体を押し広げるような操作を実施して閉鎖させることになり、2枚の戸体が一直線になる手前での最終閉鎖段階では戸体面を押し込むような動作になる。
そして折れ戸の場合においては、この丁番等の軸心が戸体面から持ち出される距離が大きいほど完全に折り畳んだ状態での2枚の戸体の内面間の隙間距離が大きくなる。すると折り畳んだ状態でこの隙間に指等の細いものが挿入できてしまうことになる。そしてこの軸心の持ち出しにより発生した隙間に指等を入れてしまい、そのまま閉鎖していくと完全に閉じる手前の最終段階で隣接する2枚の戸体の厚み方向面はほぼ密着された状態になるため逃げ場所が全く無く、切断してしまう等の大怪我につながることが最大の問題とされている。そこで、この場所での指詰めを排除するには丁番の持ち出しにより発生する隙間を無くすか、もしくはごく狭くすることが必要である。
図10は従来の折れ戸の開閉軌跡を示す断面図で、2枚の戸体14は丁番13で回動自在に連結されており、丁番13の軸心は僅かに戸体14の奥面よりさらに奥に持ち出した位置になっている。そして戸体14が上下のレールに沿って移動しながらV字状に折りたたむ構成を示している。ここで完全に閉鎖される直前の状態では丁番13で連結された戸体14の厚み方向面が互いに接近してくる動作になり、両戸体14の丁番13が持ち出されているために発生する隙間(図10のA)に指を入れてしまうと、さらに完全に閉鎖する動作により指を詰めてしまう。またこのときの動作としては完全に閉鎖させるために戸体14正面を押し込む動作であるため、かなりの強い力がかかり、指を挟んだ場合には大怪我になる危険性が高い。
また、2枚の戸体14の厚み方向面により形成されるV字空間(図10のB)においても指はさみの現象は発生する。この部分における指はさみの対策は図10にも示すように戸体14の正面側コーナー部分を上下に連続させて大きくC面12を形成しておくことである程度回避できる。しかし丁番13の取り付けや加工上の問題から完全に厚み全体をC面12だけで構成することができず、完全に回避することは困難である。またこの大きなC面12は閉じた状態で正面に露出することになり、デザイン的に好ましくないことも問題として残っている。
そこで別の発想として両戸体の厚み方向面を閉鎖時においても密接しないようにあらかじめ大きく逃がしておき、その部分にガスケット等の軟質材を上下方向に連続させて配置する構成が特開平11−159254や特開2002−322880や特開2004−169315等に報告されている。この方法は指を挿入してもガスケット等の軟質材で押さえつけるだけで怪我にはならない点で有効である。
しかし折れ戸の隣接する戸体の厚み方向面を大きく逃がしておき、その部分に被服部材として上下に長い軟質材を配置する構成においては、正面にガスケット等の軟質材が露出し、さらには軟質であるために若干の凹凸や蛇行が常に存在し、デザイン面においてあまりよくなく実用には至っておらない。またこの逃がした幅が限定されることになり、比較的幅が小さければ例えば指等を1本挟んだときには怪我にはならないが、複数本の指を同時に挟む場合やこぶしを軽く握った状態で挟む場合などには対処できず、そこまでの幅に対応しようとするとかなり大きく厚み方向面を逃がす必要が生じる。そしてガスケット等の軟質材は幅が広くなるほどますます蛇行や凹凸が大きくなってしまう。
そこで本発明者は特願2008−022199にて複数の同一軸心を回転軸とした円弧形状の長尺部材を重ね合わせて連結し、両端を隣接する折れ戸の戸体に内蔵させておき、閉鎖時には金具全体が露出しないような配置にて装着する構成を報告した。この構成では戸体の開放にしたがって複数の円弧部材が同一軸心の円軌道上を伸び、常に両戸体の厚み方向面により発生する指詰め危険部分を円弧部材の伸縮動作で確実に塞ぐことを可能にした。
特開平11−159254 特開2002−322880 特開2004−169315 特願2008−022199
しかし上記特願2008−022199での構成は、比較的幅の広い長尺形状の円弧部材が2枚以上必要であり、その円弧部材を装着するために戸体の掘り込みを指定の形状にて実施しなければならない。また従来の折れ戸用の丁番をそのまま使用することは出来ず、丁番の機能をも上記の指詰め防止装置に組み込んだ構成が必要とされる。したがって施工済みの折れ戸に後付けすることは無理であり、全体として大掛かりな構成になりがちであり、その分コストも割高になり、簡易性に欠けることがまだ課題として残っている。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、丁番等の保持金具で軸心位置が持ち出されていることにより発生する隙間に指等が挿入不可であり、かつ2枚の戸体の厚み方向面により形成されるV字空間にも指等が挿入不可であり、つまり隣接する2枚の戸体での指等を挟む危険性を完全に排除できる指詰め防止装置を提供することを目的とする。さらには折れ戸の正面に極端に大きなC面を必要とせず、後付けも可能であり、かつデザイン性を向上させることを次の目的とする。
本発明では上記問題点を解決するために次の技術手段を設けた。まず上下方向に長くかつ上下各2箇所の連動ピン挿入孔を有した長尺パネルを設ける。この長尺パネルの断面形状はパネル表面とその奥側に位置する2箇所の連動ピン挿入孔を備えた左右対称形状にて形成しておく。そして連動ピンを垂直方向に起立状態で装着した板状のアームを設け、平坦なケース形状で取り付け面を有したアーム保持ベースにアーム回転軸にて一定角度範囲のみ回転移動可能に組み付けて長尺パネル連動装置を構成する。この長尺パネル連動装置は左右対称の向きで配置される2個で一対の構成を基本とする。
そして丁番等を挟んだ隣接する両戸体の最上部の上部厚み方向面に一対の長尺パネル連動装置を、連動ピンの突出している方向が下向きでかつ戸体の正面側になるように配置し、最下部の下部厚み方向面にもう一対の長尺パネル連動装置を、連動ピンの突出している方向が上向きでかつ戸体の正面側になるように配置し、各々の長尺パネル連動装置を取り付け面の取り付け孔を介してねじ等で戸体に固定する。そして上下各一対の長尺パネル連動装置の連動ピンに長尺パネルの上下各2箇所の連動ピン挿入孔を差し込むことで、長尺パネルを上下各一対の長尺パネル連動装置に組み付ける。すると両戸体の隣接する縦方向正面位置に長尺パネルが常に被さるように構成されることになる。
この状態を上面視すると、一対の長尺パネル連動装置の2個のアーム回転軸と2個の連動ピンにて台形の形状を成し、個々の交点で回転動作可能になっている。そして折れ戸の閉鎖状態では長尺パネルは隣接する2枚の戸体正面に近接して被さって配置されている。そして丁番等を中心とした戸体の折りたたみ動作において、徐々に長尺パネルが奥側位置に引き寄せられるように長尺パネル連動装置のアーム回転軸の位置を設定する。さらに長尺パネルが引き寄せられるときの長尺パネルの両端辺の軌跡にあわせて戸体のC面形状を設定しておく。すると戸体の縦方向の厚み方向面間に発生する指詰め危険箇所を常に長尺パネルで塞ぐことができる。また戸体正面の面取りは最も頻繁に用いられる形状が斜め直線状にカットする形状であるためC面として表記するが、C面に限らずR面やその他の面取り形状であっても良い。
また上記の戸体の折りたたみ動作において、徐々に長尺パネルが奥側位置に引き寄せられる度合いの設定は、上記台形の交点つまり長尺パネル連動装置のアーム回転軸の位置および両者の距離とアームの長さと両連動ピン挿入孔間の距離を適宜設定することで実施できる。その結果戸体の開閉操作中のどの折りたたみ角度位置においても戸体面と長尺パネルの両端辺との隙間が指等を挿入できる程度以下になるように設定することで確実に指詰め等の危険性を排除することが可能になる。
しかしあらかじめ戸体のC面が決定している場合等においては、戸体の折りたたみ動作で徐々に長尺パネルが奥側位置に引き寄せられる度合いと戸体の回転動作によるC面の移動位置とが必ずしも一致せず、戸体面と長尺パネルの両端辺とに隙間が生じることが考えられる。ここで戸体面と長尺パネルの両端辺との隙間に指等を挿入した場合を想定すると、戸体の厚み方向面同士による危険箇所とは違って怪我等につながることはないが、やはり指を挟んだ状態にはなるため好ましくはないと考えられる。
そこでアーム保持ベースのアーム回転軸の挿入孔を長孔にて形成し、ばね部材を装着して常に長孔の片方向にアーム回転軸を付勢させる構成にしておくとよい。すると戸体の折りたたみ動作で長尺パネルが引き寄せられるときに長尺パネルの両端辺が戸体面に当接してもばね部材により付勢されながらアーム回転軸が長孔内を適宜移動する動作が得られ、装着可能な戸体面の形状の範囲をさらに拡大させることが可能になる。
また、アーム保持ベースを戸体の正面側にまでL型に曲げ込んで取り付け面を形成し、アーム保持ベースとアームからなる長尺パネル連動装置を極力薄い形状にて構成しておくとよい。すると長尺パネル連動装置自体を戸体の上下厚み方向面と上下レールの隙間部分に正面側から差し込んで固定することもでき、その結果後付けも可能となる。
隣接する戸体の正面位置に上下二対の長尺パネル連動装置と長尺パネルを配置し、戸体の折りたたみ動作にしたがって徐々に長尺パネルが奥側位置に引き寄せられる動作を得ることで、指詰め発生箇所を長尺パネルにて常に被覆することが可能になり、指詰めの危険性を排除することが可能になる。
長尺パネル連動装置の両アーム回転軸の位置とアームの長さと両連動ピン間の距離を適宜設定することで、長尺パネルが戸体の折りたたみ動作により徐々に奥側位置に引き寄せられる度合いを調整することができ、戸体の全ての折りたたみ角度位置における戸体面と長尺パネルの両端辺との隙間を指等が挿入できる寸法以下にすることで、より確実に指詰め等の危険性を排除することが可能になる。
戸体のC面が決定している場合においては、アーム保持ベースの回転軸挿入孔を長孔にて形成し、ばね部材を装着して常に長孔の片方向にアーム回転軸を付勢させる構成にしておくとよく、戸体の折りたたみ動作で長尺パネルが引き寄せられるときに長尺パネルの両端辺が戸体面に当接してもばね部材により引き続き付勢されながらアーム回転軸が長孔内を適宜移動する動作が得られ、装着可能な戸体面形状の範囲を拡大させることが可能になる。
アーム保持ベースを戸体正面側にまでL型に曲げ込んで取り付け面を形成し、アームを含む長尺パネル連動装置を薄い形状にて構成しておくと、折れ戸の戸体上下の厚み方向面と上下レールの隙間に正面側から差し込んで固定する後付けも可能になる。その結果施工済みの折れ戸に後日必要に応じて指詰め防止装置を取り付けることができる。
閉鎖状態では戸体の正面に細長い一本の長尺パネルが露出するだけであり、デザイン性を向上させることが可能である。またアームとアーム保持ベースからなる長尺パネル連動装置を4個と長尺パネルのみの少ない部品点数で構成されているため安価に製作することが可能である。
本発明の指詰め防止装置の、僅かに折りたたんだ状態の上部の斜視図である。 本発明の指詰め防止装置の、長尺パネル連動装置の斜視図である。 本発明の指詰め防止装置の長尺パネルの斜視図である。 本発明の指詰め防止装置の、折れ戸が閉鎖している状態の上面図である。 本発明の指詰め防止装置の、戸体の折りたたみ動作による長尺パネル連動装置と長尺パネルの軌跡を示す上面図である。 本発明の指詰め防止装置の、アーム保持ベースのアーム回転軸の位置を設定する手段を示す一例の上面図である。 本発明の指詰め防止装置の、アーム保持ベースを曲げ込んで後付け可能とした構成の長尺パネル連動装置の斜視図である。 本発明の指詰め防止装置の、ばね部材と長孔を用いた構成の長尺パネル連動装置の斜視図である。 本発明の指詰め防止装置の、ばね部材と長孔を用いた構成での長尺パネル連動装置と長尺パネルの軌跡を示す上面図である。 従来の折れ戸の軌跡図である。
以下図面に基づいて本発明に関する建具用の指詰め防止装置の実施の形態を説明する。図1は本発明の指詰め防止装置を折れ戸に装着し、僅かのみ折りたたんだ状態の斜視図であり、上部から見下ろした状態での上部半分程度を表記している。図2は長尺パネル連動装置aの斜視図であり、平坦なケース状で取り付け面6に取り付け孔5を有したアーム保持ベース1と板状で片端に連動ピン4を垂直方向に起立状態で装着したアーム2とを設け、両者をアーム回転軸3にて回動自在に組みつけておく。このとき長尺パネル連動装置a自体の厚みを極力小さくし、さらに図2に示すようにアーム保持ベース1に段差を設けて一定角度範囲のみアーム2が回転可能なように構成しておく。
図3は長尺パネル7の斜視図であり、上下方向に長くかつ上下各2箇所に連動ピン挿入孔8を設け、その両端部の上下方向部分を両端辺9として形成しておく。ここで図3では長尺パネル7をアルミや樹脂の押し出し加工品のような形状で形成し、断面形状はパネル表面とその奥側に位置する2箇所の連動ピン挿入孔8を備えた左右対称形状になっている。したがって連動ピン挿入孔8も上下方向に連続しているように表記しているが、連動ピン挿入孔8は上下端部にのみ形成されているような形状であっても良い。
ここで、図1に示すように長尺パネル連動装置aは左右対称の向きで配置される2個で一対の構成を基本とし、まず丁番13等を挟んだ隣接する両戸体14の最上部の上部厚み方向面に一対の長尺パネル連動装置aを装着する。このとき連動ピン4の突出している方向が下向きでかつ戸体の正面側になるように配置しておく。次に両戸体14の最下部の下部厚み方向面にもう一対の長尺パネル連動装置aを、連動ピン4の突出している方向が上向きでかつ戸体14の正面側になるように装着する。そして上下各2個の連動ピン4に長尺パネル7の上下各2箇所の連動ピン挿入孔8を差し込んで、長尺パネル7を上下各一対の長尺パネル連動装置aに組み付ける。すると両戸体14の隣接する縦方向正面位置に長尺パネル7が常に被さるように構成されることになる。
図4はこの状態の閉鎖時の折れ戸の上面図であり、一対の長尺パネル連動装置aの2個のアーム2が逆ハの字になっており、2箇所のアーム回転軸3と2個の連動ピン4にて台形の形状を成し、個々の交点で回転動作可能になっている。そして長尺パネル7は隣接する2枚の戸体14正面に近接して被さって配置され、このとき長尺パネル7の両端辺9が戸体14正面に接した位置になっている。また図4では戸体14正面に所定の面取り形状(C面)を設けてあり、連動ピン4はそのC面12内に僅かに入り込んだ位置に設定されており、長尺パネル7の両端辺9がC面12にちょうど被さった状態になっている。また戸体の面取りはC面が最も多い形状で一般的であるが、C面に限らずR面やその他の面取り形状であっても良い。
次に丁番13等を中心とした戸体14の折りたたみ動作による長尺パネル連動装置aとそれに連動する長尺パネル7の動作を図5にて説明する。図5(a)は図4と同じ折れ戸の閉鎖状態であり、図5(k)に示す完全に折りたたんだ状態までの軌跡を細かく連続して表記している。全体の動きとしては、戸体14は丁番13を中心に回転するため、当然一対の長尺パネル連動装置aも取り付けられた各戸体14と一緒に回転動作し、アーム保持ベース1のアーム回転軸3位置も同様に回転移動する。ここで図5(a)の閉鎖状態では丁番13よりアーム回転軸3は戸体14の正面側に位置しており、したがって折りたたみ動作によりアーム回転軸3は奥方向に円移動することになる。
また一対の長尺パネル連動装置aの両アーム回転軸3と両連動ピン4は各々に回転動作が可能であるため、図5(a)の状態から戸体14を折りたたむと一対の長尺パネル連動装置aの両方のアーム回転軸3が奥方向に移動し、その結果両アーム2の連動ピン4も奥方向にひきつけられることになる。すると連動ピン挿入孔8に挿入されている長尺パネル7も同様に奥方向に移動する動作が得られる。つまり両アーム回転軸3と両連動ピン4により形成される台形の交点である両アーム回転軸3を結んだ距離が変化しながら長尺パネル7を奥方向に移動させつつ戸体14が折りたたまれる軌跡になる。
さらに具体的に説明すると、図5(a)〜図5(e)に示す両アーム回転軸3と丁番13の軸心が一直線になる位置までは両アーム2による逆ハの字が拡がりながら移動し、その後は再度狭まりながら最後まで折りたたまれる動作になる。そしてここで重要なのがこの動作における戸体14の回転移動と長尺パネル7の両端辺9の移動軌跡であり、この両軌跡が合致するように戸体14のC面12を設定しておくことである。つまり図5(a)〜図5(k)に至る各段階で常に戸体14のC面12と長尺パネル7の両端辺9が近接した状態を常に保持させることが重要である。その結果折れ戸の折りたたみ動作において、戸体14のC面12を含む指詰めの危険を有する箇所を長尺パネル7により確実に被覆させることが可能になる。また戸体14のC面12と長尺パネル7の両端辺9を常に近接して移動させると、両アーム回転軸3と両連動ピン4が回転自在であっても長尺パネル7が左右に振れる動作も同時に阻止することができ、長尺パネル7の誤作動をも無くすことができる。
そして完全に折りたたまれた図5(k)の状態では丁番13の軸心に長尺パネル7が最も接近するように設定しておくことが必要である。その理由としては、図5(g)付近からはどうしても長尺パネル7の両端辺9が戸体14のC面12から離れやすい現象になるため、長尺パネル7の両端部9と戸体14面とに隙間が生じやすいことになる。すると長尺パネル7自体が左右方向に振れる動作が生じると共に、長尺パネル7と戸体14面の隙間に指等が挿入できてしまうことにもなりかねない。そこで両アーム回転軸3の位置の初期設定条件としては、まず図6に示すように図5(a)の閉鎖状態と図5(k)の最大開放状態を重ねて表記する。そして当然アーム2の長さは一定であるため図5(a)の状態と図5(k)の状態での連動ピン4の位置から同じ距離になる位置(図6の線A上)にアーム回転軸3を設定すると良い。
またアーム2の長さは任意であり、長尺パネル7の両連動ピン挿入孔8間の距離にも特に制限はないため、上記の折りたたみ動作において、長尺パネル7の両端辺9と戸体14のC面12が最も隙間なく徐々に奥側位置に引き寄せられる条件は、上記台形の交点の位置、つまり戸体14の厚み方向に対する長尺パネル連動装置aの両アーム回転軸3の位置と両アーム回転軸3間の距離とアーム2の長さと両連動ピン4間の距離を適宜設定することである程度は実施可能になる。図5は面取り形状に10mmのC面を用いた場合での上記の条件におけるほぼ最善の軌跡を表記しており、唯一図5(h)付近で長尺パネル7が左右に振れる動作も僅かにはありえるが、この動作においてもすぐにどちらかの長尺パネル7の端部辺9が戸体14のC面12に当接するため大きな誤作動にはならないと想定される。
ここで、実際の指詰めは戸体14を折りたたむときの図5(k)から閉鎖させる動作で発生し、その中でも最も指詰めの危険性が高いのが閉鎖最終段階にあたる図5(d)〜図5(a)の範囲である。その範囲に関しては図5からもわかるように全ての折りたたみ状態で戸体14のC面12と隙間なく長尺パネル7の両端辺9が配置されており、したがって確実に戸体14の縦方向の厚み方向面間に発生する指詰め危険箇所を塞ぐことができる。
また戸体14に長尺パネル連動装置aを装着する際には、図1に示すように戸体14の上下厚み方向面を、アーム保持ベース1が嵌まり込む程度掘り込んで装着すると良い。すると折れ戸の正面側からは全く長尺パネル連動装置aは見えないようにでき、細い長尺パネル7のみが露出している状態で非常にデザイン性の良い構成が実施できる。しかし戸体14の上下厚み方向面の掘り込みは結構手間であり、またあらかじめ折れ戸を施工した後での後付けはできない。そこで図7に示すように長尺パネル連動装置aのアーム保持ベース1とアーム2をより薄い形状にて構成し、アーム保持ベース1の正面側をL型に曲げ込んで、その面を取り付け面6として取り付け孔5を設けておくとよい。すると折れ戸の施工後に上下のレールと戸体14の上下厚み方向面との隙間から長尺パネル連動装置aを差し込んで正面側からねじ止め等の固定手段を実施することができ、後付けにも対応させることが可能になる。
しかし後付けの場合には当然戸体14のC面12は既に形成されており、前述のような精度で両端辺9と戸体14のC面12との隙間を設定することはできない。同様にあらかじめ戸体14のC面12が決定しており変更できない場合等においても、戸体14の折りたたみ動作で徐々に長尺パネル7が奥側位置に引き寄せられる度合いと戸体14のC面12の移動位置とが合致せず、戸体14面と長尺パネル7の両端辺9とに隙間が生じることが考えられる。例えば図5(a)の構成で戸体14のC面12形状が前面の幅は同じで奥方向にのみ長い状況を想定すると、閉鎖最終段階ではそれほど影響はないが、図5(d)〜図5(f)付近においては両端辺9と戸体14のC面12間に隙間が発生してしまう。ここで、この戸体14面と長尺パネル7の両端辺9との隙間に指等を挿入したとしても怪我等にはつながらないが、やはり指を挟んだ状態にはなるため良くはなく、まだ改良の余地を残していると考えられる。
そこで図8に示すように、アーム保持ベース1のアーム回転軸3を挿入する孔を長孔10にて形成し、ばね部材11を装着してアーム回転軸3が常に長孔10の片方向に付勢される構成の長尺パネル連動装置aを用いるとよい。すると戸体14の折りたたみ動作で長尺パネル7が引き寄せられるときに長尺パネル7の両端辺9が戸体14面に当接してもばね部材11により付勢されながらアーム回転軸3が長孔10内を適宜移動する動作が得られる。図9は上記の長尺パネル連動装置aを用いた構成で戸体14を折りたたんだときの軌跡図である。また図8ではばね部材11は捻りばねにて表記しているが板ばね等他のどのようなものを使用しても良い。
この図9に示す構成では図5に比較して戸体14のC面12は狭く設定しており、したがって長尺パネル7の幅もより細いもので可能である。図9(a)に示す閉鎖状態ではアーム回転軸3は両長孔10の丁番13等に近い端部に配置されており、ばね部材11の付勢する方向は丁番13位置から離れようとする方向にかかっている。つまりこのばね部材11は両手がすぼむ方向に力がかかっている構成のものを用いると良い。したがって図9(a)ではアーム回転軸3は長孔10の逆側に移動しようと付勢されているが、アーム2を介して連動ピン4が長尺パネル7に差し込まれており、長尺パネル7の内面が戸体14面に接しているためアーム2はこれ以上移動できない状態になっている。
そして戸体14を折りたたむと、図9(b)〜図9(d)に示すように戸体14のC面12が開く動作になり、図5の構成と同じように長尺パネル7は奥方向に一定距離のみ引き寄せられることになる。しかし図9の構成ではその引き寄せ動作にプラスして折りたたみ動作途中で長尺パネル7の両端辺9と戸体14のC面12間にさらに隙間が生じた段階でアーム回転軸3がばね部材11の力により長孔10内を移動することになり、図9(g)ではアーム回転軸3は長孔10の逆端部に位置していることからもわかるように、この動作によりさらに長尺パネル7を奥方向に引き寄せることになる。その結果図9(c)〜図9(g)にかけて長尺パネル7の両端辺9は戸体14のC面12に接した状態で隙間なく移動することになり、より確実な指詰め防止効果を得ることができる。
そして図9(g)付近にて長尺パネル7は丁番13に当接するのであるが、その後は長尺パネル7は移動せずにアーム回転軸3がばね部材11の力に逆らって長孔10内を戻る動作が得られ、図9(k)に示す完全に折りたたんだ位置にまで戸体14を折りたたむことができる。またこの構成をそのまま図5の納まりに適用することも可能であり、その場合は前述した戸体14のC面12が奥方向に長いような場合においても両方そのままで対応可能であり、同じ長尺パネル連動装置aを用いる場合においても装着可能な戸体14のC面12形状の範囲を拡大させることが可能になる。そしてさらにアーム保持ベース1の長孔10の長さや長尺パネル7の両連動ピン挿入孔8の距離やアーム2の長さを適宜設定することにより、様々なC面12を有する折れ戸に本発明の指詰め防止装置を適用させることができる。
a 長尺パネル連動装置
1 アーム保持ベース
2 アーム
3 アーム回転軸
4 連動ピン
5 取り付け孔
6 取り付け面
7 長尺パネル
8 連動ピン挿入孔
9 両端辺
10 長孔
11 ばね部材
12 C面
13 丁番
14 戸体

Claims (6)

  1. 2枚の戸体を丁番等の開閉保持部材にて回転自在に連結保持し、閉鎖動作の最終段階での隣接する両戸体の縦厚み方向面での指詰めを阻止する構成の指詰め防止装置であって、上下方向に長くかつ上下各2箇所の連動ピン挿入孔を有した長尺パネルを設け、連動ピンを備えたアームをアーム保持ベースに一定角度範囲のみ回転可能に装着した構成の長尺パネル連動装置を設け、隣接する両戸体の上部厚み方向面に一対の長尺パネル連動装置を装着し、下部厚み方向面にもう一対の長尺パネル連動装置を装着し、長尺パネルを上下各一対の長尺パネル連動装置の間に組み付け、戸体の折りたたみ動作において両戸体の隣接する縦方向正面位置に長尺パネルが常に被さるように構成したことを特徴とする指詰め防止装置。
  2. 長尺パネルの断面形状はパネル表面とその奥側に位置する2箇所の連動ピン挿入孔を備えた左右対称形状であり、長尺パネル連動装置は連動ピンを垂直方向に起立状態で装着した板状のアームを平坦なケース形状のアーム保持ベースにアーム回転軸にて一定角度範囲のみ回転移動可能に組み付けて構成され、対称に配置された一対の長尺パネル連動装置を丁番等を挟んだ隣接する両戸体の上部厚み方向面に連動ピンが戸体の正面側になるように装着し、もう一対の長尺パネル連動装置を下部厚み方向面に連動ピンが戸体の正面側になるように装着し、長尺パネルの上下各2箇所の連動ピン挿入孔と戸体上下に配置された長尺パネル連動装置の連動ピンを嵌め合わせることで、戸体の折りたたみ動作にて上下各一対の長尺パネル連動装置と長尺パネルとを連動させたことを特徴とする請求項1に記載の指詰め防止装置。
  3. 折れ戸の閉鎖状態では長尺パネルは隣接する2枚の戸体正面に近接して被さって配置されており、上記一対の長尺パネル連動装置の2個のアーム回転軸と2個の連動ピンにて上面視台形の形状を形成し、各々の交点位置で互いに回転動作可能であり、丁番等を中心とした戸体の折りたたみ動作において徐々に長尺パネルが奥側位置に引き寄せられる軌跡が得られるように上記各交点位置は設定されており、戸体の折りたたみ動作の全角度範囲において戸体の縦方向の厚み方向面間に発生する指詰め危険箇所を常に長尺パネルで塞ぐように構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の指詰め防止装置。
  4. 戸体の折りたたみ動作において徐々に長尺パネルが奥側位置に引き寄せられる動作で、回転動作する戸体面の軌跡と長尺パネルの両端辺が奥方向に移動する軌跡の両方が合致するように戸体のC面形状を設定し、折りたたみ動作の全角度範囲においても戸体C面と長尺パネルの両端辺との隙間が指等を挿入できる程度以下になるように上記各交点の配置、つまり両アーム回転軸の位置およびその距離とアームの長さと両連動ピン挿入孔間の距離を設定したことを特徴とする請求項1及至3いずれか1項に記載の指詰め防止装置。
  5. アーム保持ベースのアーム回転軸の挿入孔を長孔にて形成し、ばね部材を装着して常に長孔の片方向にアーム回転軸を付勢させるように構成し、戸体の折りたたみ動作で長尺パネルが引き寄せられるときに長尺パネルの両端辺が戸体面に当接してもばね部材により付勢されながらアーム回転軸が長孔内を適宜移動する動作を得、装着可能な戸体面形状の範囲を拡大させることを可能としたことを特徴とする請求項1及至4いずれか1項に記載の指詰め防止装置。
  6. アーム保持ベースを戸体正面側にまで曲げ込んで取り付け面を形成し、アームとアーム保持ベースからなる長尺パネル連動装置を上下レールと戸体の上下厚み方向面との隙間に挿入できる程度の薄い形状にて構成し、戸体とレール間の隙間に正面側から差し込んでから曲げ込まれた取り付け面にて戸体に固定する、後付けを可能としたことを特徴とする請求項1及至5いずれか1項に記載の指詰め防止装置。
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