JP5430929B2 - 新規セスキテルペン合成酵素ならびにその使用方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規テルペン合成酵素に関する。更に本発明はテルペン合成酵素をコードする核酸、変異体テルペン合成酵素を調製する方法ならびに本発明のポリペプチドを発現する宿主生物に関する。更に本発明はテルペン合成酵素の製法ならびにテルペノイドの製法を含む。
技術背景と解決すべき問題
テルペノイド又はテルペンは、殆どの生物(バクテリア、真菌類、動物、植物)で見られる天然生成物のファミリーを代表している。テルペノイドは、イソプレン単位と称される5つの炭素単位から成っている。これらは、それらの構造に存在するイソプレン単位の数により分類できる:モノテルペン(C10)、セスキテルペン(C15)、ジテルペン(C20)、トリテルペン(C30)、テトラテルペン(C40)及びポリテルペン(Cn、n≧45)。植物界はモノテルペンとセスキテルペンの最も高い多様性を含んでいる。
モノテルペンとセスキテルペンは、最も構造的に多様なイソプレノイドである。これらは、一般に揮発性化合物であり、かつ植物で見られる殆どのものは、病原菌及び草食動物の攻撃に対する防御において、花粉媒体者の誘引において、ならびに植物と植物の伝達において役割を果たしている。
芳香植物又は精油植物として知られる幾つかの植物では、その葉、根又は茎の中に大量のモノテルペンとセスキテルペンを蓄えている。このような植物の典型的な例は、植物科、例えば、シソ科、ミカン科、ナス科及びイネ科からのメンバーである。
モノテルペンとセスキテルペンを蓄える植物は、それらのフレーバー及びフレグランス特性ならびに化粧作用、医薬作用及び抗菌作用ゆえに、数千年もの間関心の対象であった。植物中に蓄えられたテルペンは、水蒸気蒸留のような濃縮テルペンを含有するいわゆる精油を作る種々の手法により抽出できる。このような天然植物抽出物は、フレーバー及び香料製造業にとって重要な成分である。
多くのセスキテルペン化合物は、香料製造業で使用されている。例えば、ベチバー(Vetiver zizanoids)の根から抽出されるベチバー油は、多くの臭気物質であるセスキテルペンを含有することが知られている。その中でも、α−ベチボン、β−ベチボン及びジザノイックアシド(zizanoic acid)は、最も特徴的である。ベチバーは、現在ではレユニオン、フィリピン、コモロ島、日本、西アフリカ及び南アフリカで栽培されている。
一般に、ベチバー油のような植物天然抽出物の値段と入手性は、存在度、油の収率及び植物の地理的起源による。ここ数年間、市場で手に入る天然抽出物の入手性は減少し、それに伴いそれらの品質も悪くなっている。これらの状況下では、高品質の香料製品で前記成分を使用することは、もはや不可能である。
従って、セスキテルペンの原料を提供することが有利であり、これは入手性と品質において殆ど変動を与えない。化学合成はセスキテルペンの調製に明らかな選択肢であるように見えるが、しかしこれらの化合物は一般に非常に複雑な構造であり、かつこれまでにセスキテルペンを調製する経済的な合成法は開発されてこなかった。
よって、本発明の対象は、高品質のセスキテルペンを経済的かつ確実な方法で製造する方法を提供することである。
工場でのテルペンの生合成は、広範に研究されてきたので本明細書中では更に説明しないことにするが、Dewick P, Nat. Prod. Rep., 2002, 19, 181-222を参照されたい。これは最新式のテルペンの生合成経路を概説している。
セスキテルペン合成酵素はFPPを種々のセスキテルペン骨格に変換する。300種以上のセスキテルペン炭化水素と3000種以上のセスキテルペノイドが同定されており(Joulain, D., and Koenig, W. A. The Atlas of Spectral Data of Sesquiterpene Hydrocarbons, EB Verlag, Hamburg, 1998; ConNOlly, J. D., Hill R. A. Dictionary of Terpenoids, Vol 1, Chapman and Hall (出版社), 1991)、かつ多くの新規構造が毎年同定されている。事実上、植物界には無限大に存在するセスキテルペン合成酵素があり、全て同じ基質を使用しているが、種々の生成物特性を有している。
J. Bohlmann、J. Crock、R. Jetter及びR. Croteau (1998)により、トランス−α−ビサボレン合成酵素をコードするcDANは、針葉樹でのテルペノイドベースの防御(Terpenoid-based defenses in conifers)で報告されている:アメリカオオモミ(Abies grandis)からの傷害誘導性(E)−α−ビサボレン合成酵素のcDANクローニング、キャラクタリゼーション及び機能的発現(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95, 6756-6761)。しかし、この酵素は1つの環化工程だけを触媒し、かつ殆ど専らビサボレンセスキテルペンを生成する。
Koellner T等(2004)によるThe plant cell 16(5), 1115-1131には、トウモロコシ(Zea mays)から単離された多くの推定テルペン合成酵素遺伝子が開示されているが、その殆どは機能的酵素をコードしていなかった。機能的合成酵素のDAN配列、Tps4-B73とTps5-1delprimは、AY518310とAY518313のアクセッション番号で入手可能である。ベルガモテンは、コード化された酵素により生成されるマイナーな生成物であり、最大でも生成される全体のセスキテルペンの2.6質量%である。
テルペン環化の広範な化学研究にもかかわらず、それらの僅かな存在度、しばしば一時的な発現パターン、かつテルペンが絞り出される組織中の樹脂とフェノール化合物からの精製の複雑さゆえに、特に工場では酵素の単離は難しい。
上記のことを考慮して、本発明の対象は、新規テルペン合成酵素を提供することである。他の対象は、植物であるベチバーからテルペン合成酵素を単離することである。本発明の対象は、テルペンを合成できるテルペン合成酵素を提供することであるが、それを合成する酵素は今までに報告されていない。
特に、サンタレン又はベルガモテン炭素骨格を有する相当量のセスキテルペンを合成できる酵素を提供することが課題である。サンタレン合成酵素に基づく遺伝子学的基礎の報告はなく、かつベルガモテンは公知のテルペン合成酵素により微量だけ合成される。
同じように、上記のように経済的な方法でテルペノイドを製造する方法を提供することも対象である。従って、本発明は殆ど浪費が無く、よりエネルギー効率と資源効率の良い方法で、かつ化石燃料の依存性を減少させながらセスキテルペンを製造することが対象である。更なる対象は、テルペノイドを合成できる酵素を提供することであり、これは香料及び/又は芳香成分として有用である。
本発明のまとめ
本発明の発明者は、ベチバー根の新規セスキテルペンをコードするcDNAをクローン化した。意外にも、新規セスキテルペン合成酵素は、これまでにベチバーから単離されてこなかったシクロコパカンフェン(cyclocopacamphene)、(+)−エピ−β−サンタレン、トランス−α−ベルガモテン、シス−α−ベルガモテン、β−ビサボレン、及び/又はトランス−γ−ビサボレンのようなセスキテルペンを合成できた。従って、本発明はFPPからビサボリルカチオンへの環化を触媒し、かつ引き続きベルガモテンとサンタレン骨格への環化を触媒できるクローン化セスキテルペン合成酵素を初めて提供する。相当量のビサボリルカチオンの二環式誘導体を合成できるテルペンシクラーゼを初めて報告する。
このように、本発明は第一の態様で、次のもの:
(a)SEQ ID NO:2と少なくとも82.4%の相同性を有するヌクレオチド配列を有する核酸;
(b)SEQ ID NO:5と少なくとも76.8%の配列相同性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する核酸;
(c)中程度のストリンジェントな条件下に、ヌクレオチド配列SEQ ID NO:2にハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する核酸;
(d)C3〜C7結合を有する1つの二環及び/又は三環式セスキテルペンを合成できるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する核酸;及び/又は
(e)少なくとも1つのベルガモテン、及び場合により他のセスキテルペンを合成できるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する核酸
から選択される単離核酸を提供し、ここでベルガモテンは、ポリペプチドにより合成されたセスキテルペン生成物の全体の少なくとも10質量%を構成し、その際、(a)〜(e)の前記核酸のいずれかによりコードされたポリペプチドはテルペン合成酵素活性を有することを特徴とする。
更なる態様で、本発明は次のもの:
(a)SEQ ID NO:1と少なくとも59%の配列相同性を有するヌクレオチド配列を有する核酸;
(b)SEQ ID NO:4と少なくとも50%のアミノ酸配列相同性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する核酸;
(c)中程度のストリンジェントな条件下にSEQ ID NO:1にハイブリダイズする核酸;
(d)シクロコパカンフェンを合成できるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する核酸
から選択される単離核酸を提供し、その際、前記核酸によりコードされるポリペプチドはテルペン合成酵素活性を有することを特徴とする。
更なる態様では、本発明は次のもの:
(a)SEQ ID NO:5と少なくとも76.8%のアミノ酸配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(b)C3〜C7結合を有する二環及び/又は三環式セスキテルペンを合成できるポリペプチド;
(c)少なくとも1つのベルガモテン、及び場合により他のセスキテルペンを合成できるポリペプチド
から選択される単離ポリペプチドを提供し、その際、ベルガモテンは前記ポリペプチドにより合成されるセスキテルペン生成物の全体の少なくとも10質量%から成ることを特徴とする。
更にもう1つの態様では、本発明は次のもの:
(a)SEQ ID NO:5と少なくとも76.8%のアミノ酸配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(b)C3〜C7結合を有する二環及び/又は三環式セスキテルペンを合成できるポリペプチド;
(c)少なくとも1つのベルガモテン、及び場合により他のセスキテルペンを合成できるポリペプチド
から選択されるポリペプチドを提供し、その際、ベルガモテンはポリペプチドにより合成されるセスキテルペン生成物の全体の少なくとも5質量%から成ることを特徴とする。
本発明は、請求項及び詳細な説明に記載したように、テルペン合成酵素活性を有する変異体ポリペプチドを調製する方法にも関する。
更なる態様では、本発明は本発明の核酸のいずれかを有するベクター及び宿主生物又は細胞を提供する。
なお更なる態様では、請求項及び詳細な説明に記載したように、本発明はテルペン合成酵素を製造する様々な方法、かつ更にはテルペノイド、例えばセスキテルペンを製造する方法を提供する。
図中、図1は本発明のテルペン合成酵素により合成されたセスキテルペン化合物の構造、ベチバー油から単離されたセスキテルペン化合物ならびに明細書中で検討された他のセスキテルペン化合物の構造、特に(1)シス−α−ベルガモテン、(2)トランス−α−ベルガモテン、(3)エピ−β−サンタレン、(4)β−ビサボレン、(5)トランス−γ−ビサボレン、(6)シクロサチベン及び(7)シクロコパカンフェンが示されている。
ベチバー油から予め報告されたセスキテルペン化合物は、(8)ジザノイックアシド、(9)α−ベチボン、(10)β−ベチボン、(11)イソビサボレン、(12)β−ビサボロール、(13)デヒドロクルクメン、(14)(Z)−トランス−α−ベルガモトール、(15)(Z)−(+)−エピ−β−サンタロールである。
図2は、RT-PCR(SEQ ID NO:8-14)により得られるセスキテルペン合成酵素をコードするcDNAの断片から導き出されるアミノ酸配列のアライメントが示されている。
図3は、本発明の完全長アミノ酸配列SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5及びSEQ ID NO:6の比較を示している。同一のアミノ酸は、黒い背景で示され、類似したイオン電荷を有するアミノ酸は灰色の背景で示されている、かつ関係の無いアミノ酸は白い背景で示されている。
図4のA)部には、酵素アッセイから得られたセスキテルペンのガスクロマトグラム(GC)が示されている。その際、FFPを実質的にSEQ ID NO:4に記載されているようなアミノ酸配列を有するポリペプチドに暴露した。図4のB)部には、A)部の主要ピーク(10.81)のマススペクトル(MS)が示されている。これを標準のシクロサチベンの相応のスペクトルと比較している。このように、酵素アッセイで得られたセスキテルペンの性質を示している。
図5は、FFPを実質的にSEQ ID NO:5に記載されているようなアミノ酸配列を有するポリペプチドに暴露した酵素アッセイから得られたセスキテルペンのGCを示している。この組換えタンパク質は、少なくとも7種類のセスキテルペン炭化水素の混合物を生成した。このうち5種(番号1〜5と表示)は、GC-MSにより同定された(化合物の名称については図1参照)。
図6は、本発明のポリペプチドにより触媒されたセスキテルペンの合成の推定される生合成メカニズムを示している。この反応は、FPP(16)から開始し、かつ中間体ビサボリルカチオン(17)を通過する。特に、該反応は実質的にSEQ ID NO:5に記載されているようなアミノ酸配列を有するポリペプチド及びそれらの変異体から触媒される。図6は、更に前駆体(FPP)とセスキテルペン生成物の化学構造を示している。
使用した略語
bp 塩基対
DNA デオキシリボ核酸
cDNA 相補的DNA
DTT ジチオトレイトール
FPP ファルネシル−ピロリン酸
NPP ネロリドール−ピロリン酸
IPTG イソプロピル−D−チオガラクト−ピラノシド
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
RT-PCR 逆転写ポリメラーゼ連鎖反応
3’−/5’−RACE cDNA末端の3’及び5’迅速増幅法
RNA リボ核酸
mRNA メッセンジャーRNA
nt ヌクレオチド
RNase リボヌクレアーゼ
SDS-PAGE SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
有利な実施態様の詳細な説明
本発明は、単環、二環、及び/又は三環式セスキテルペンの合成が可能な新規セスキテルペン合成酵素をコードする単離核酸を提供する。C3〜C7結合を有する二環又は三環式セスキテルペンは、サンタレン炭素骨格を有するセスキテルペンとして定義されるのに対して、C2〜C7結合を有するものは、ベルガモテン骨格のセスキテルペンとして定義される。
"テルペン"は、イソプレン単位(C58)をベースとする炭化水素であり、これは非環式又は環式であってよい。"テルペン"には、シクロサチベン、シクロコパカンフェン、シクロコパカンフェノールエピマー、シクロコパカンフェナールエピマー、シクロコパカンフェン酸エピマー、シス−α−ベルガモテン、トランス−α−ベルガモテン、(+)−エピ−β−サンタレン、β−ビサボレン及びトランス−γ−ビサボレンが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
本明細書で使用されているような"テルペン"と"テルペノイド"には、水素化、異性化、酸化還元、ジメチル化又はアシル化のような1つ以上の官能化の工程を受けた化合物を含むテルペン及びテルペン誘導体が含まれる。本明細書で使用されているような"セスキテルペン"はC15構造をベースとするテルペンであり、1つ以上の官能化の工程を受けた化合物を含むセスキテルペンとセスキテルペン誘導体が含まれる。
本明細書で使用されているように"誘導体"には、公知の又は推測に基づく化合物から得られる化合物であり、かつ親物質の主要元素を含有している。
本明細書で使用されているように"テルペン合成酵素"は、テルペンの合成を触媒する酵素である。"セスキテルペン合成酵素"はセスキテルペンの合成を触媒する酵素である。
"同一性"又は"同一"という用語で使用されているような配列相同性は、標準的な配列演算により簡単に計算できる。有利には、本発明の配列と他の配列との配列相同性の評価に関しては、例えば、従来技術からはCLUSTAL W.が使用され、J. D. Thompson, D. J. Higgins, T. J. Gibson(1994) よりCLUSTAL Wに開示されている:配列重みづけ、部位特異的ギャップペナルティー及びウエイトマトリックス選択による連続的多重配列アライメントの感度の改善(Nucleic Acids Res 22(22), 4673-4680)。配列相同性を評価するために基準パラメーターが選択される。配列比較は、http://www.ebi.ac.uk/clustalw/にてオンラインで行うことができ、又は二者択一的に適切なソフトをダウンロードしてもよい。例えば、BioEditソフトは、http://www.mbio.ncsu.edu/BioEdit/bioedit.html.から入手可能である。
1態様では、本発明は低いストリンジェントな条件下に本発明のいずれかの核酸、例えば、SEQ ID NO: 1、2又は3に詳記されているものにハイブリダイズする単離核酸を提供する。有利には、定義した条件は中程度のストリンジェントな条件であり、より有利には、これらは高いストリンジェントな条件である。
意外にも、SEQ ID NO:6のN末端での配列は、どの公知のシグナル配列とも似ていない特異なモチーフPAAAASSQQQQ(SEQ ID NO7)を含んでいる点において、他の公知のテルペン合成酵素配列とは異なっている。本発明は、この特殊な配列、及びこのモチーフをコードするヌクレオチド配列、例えばSEQ ID 3のうち1つにも関する。
特殊な実施態様では、本発明は実質的に汚れた内因性材料不含のものを含む特定の単離ヌクレオチド配列にも関する。"核酸"又は"核酸分子"という用語には、一本鎖又は二本鎖の形のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドポリマーが含まれる(DNA及び/又はRNA)。"ヌクレオチド配列"とは、別々の断片の形、又はより大きな核酸の成分としてのポリヌクレオチド分子もしくはオリゴヌクレオチド分子を意味する。
1実施態様では、本発明は次のもの:
(a)SEQ ID NO:1、2及び3から成るグループから選択される核酸、
(b)SEQ ID NO:4、5及び6に実質的に記載されているようなポリペプチドのいずれかをコードする核酸から成るグループから選択される核酸、
(c)低いストリンジェントな条件下に、(a)又は(b)の核酸にハイブリダイズする核酸、
から選択される核酸を提供し、その際、前記核酸によりコードされるポリペプチドは、セスキテルペン合成酵素活性を有する。
1実施態様では、核酸はSEQ ID NO:1に少なくとも59%、有利には少なくとも60%、より有利には少なくとも65%、最も有利には少なくとも70%の相同性を有するヌクレオチド配列を有する。例えば、本発明の核酸配列はSEQ ID NO:1に少なくとも75%、80%、85%、90%、95%又は98%の相同性を有する。
1実施態様では、核酸はSEQ ID NO:2に少なくとも82.4%、有利には少なくとも85%、より有利には少なくとも90%、最も有利には少なくとも95%の相同性を有するヌクレオチド配列を有する。例えば、本発明の核酸配列はSEQ ID NO:2に少なくとも95%、97%又は98%の相同性を有する。
1実施態様では、核酸はSEQ ID NO:3に少なくとも49%、有利には少なくとも50%、より有利には少なくとも55%、最も有利には少なくとも60%の相同性を有するヌクレオチド配列を有する。例えば、本発明の核酸配列はSEQ ID NO:3に少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%の相同性を有する。
有利には、工程(c)の核酸は、中程度の、より有利には高いストリンジェントな条件下に上記(a)又は(b)の核酸、有利には配列SEQ ID NO:1、2又は3にハイブリダイズする。例えば、(c)の核酸はSEQ ID NO:1にハイブリダイズする。他の例によれば、これは上記の条件下にSEQ ID NO:3にハイブリダイズした。
有利には、本発明の核酸はSEQ ID NO:1の核酸とハイブリダイズするが、アクセッション番号AP003911のイネで見つかった推定のセスキテルペン合成酵素をコードする核酸とはハイブリダイズしない。
1実施態様によれば、本発明の核酸はSEQ ID NO:2の核酸とハイブリダイズするが、トウモロコシ中のセスキテルペン合成酵素をコードするアクセッション番号AY518310又はAY518313を有するものから選択される核酸配列とはハイブリダイズしない。有利には、本発明の核酸は、更にアクセッション番号AY518311、AY518312及びAY518314を有するものから選択されるどの核酸配列ともハイブリダイズしない。後者の配列は、活性セスキテルペン合成酵素をコードすることが報告されていない。
有利には、本発明の核酸はSEQ ID NO:3の核酸とハイブリダイズするが、トウモロコシ中で見つかった推定のセスキテルペン合成酵素をコードする核酸とはハイブリダイズしない(アクセッション番号AAG37841)。
有利には、ストリンジェントな条件下にSEQ ID NO:3の核酸と特異的にハイブリダイズする単離核酸は、トウモロコシ中に存在し、推定ではアクセッション番号AF296122を有するテルペン合成酵素をコードする核酸とはストリンジェントな条件にハイブリダイズしない。
有利には、本発明による核酸配列はSEQ ID NO:1、2及び/又は3を有する。より有利には、これは事実上SEQ ID NO: 1、2及び/又は3から成る。
他の実施態様では、核酸はSEQ ID NO: 1、2及び/又は3の少なくとも20、100、200、300、400、500又は750ヌクレオチドの連続断片を有する。
有利には、本発明の核酸は、低い、中程度又は高いストリンジェントな条件下に上記の長さを有する断片にハイブリダイズする。
有利には、本発明の核酸は、それぞれSEQ ID NO:1、2及び/又は3の約nt900〜nt1647、1641及び1791までの断片を有する。これらの断片は、本発明のポリペプチドの活性部位を含む。
有利には、本発明の核酸及び/又はポリペプチドは、ベチバー(Vetiveria zizanoides)から単離される。1実施態様では、核酸はベチバーの根から単離される。
本明細書で使用されているように"特定の条件下でのハイブリダイゼーション又はハイブリダイズ"という用語は、下記に開示されているように定義づけられる。少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、かつ例えば約85〜90%同一である配列が互いに結合したままであるような条件である。
適切なハイブリダイゼーション条件は、Ausubel et al. (1995), Current Protocols in Molecular Biology, John Willey & Sons、第2、4及び6項に例示されているように最小限の実験で当業者により選択できる。更に、ストリンジェントな条件は、Sambrook et al.(1989)、第7、9及び11章に記載されている。
本明細書で使用されているように、"低いストリンジェンシー"の定義条件とは、次の通りである。DNA含有フィルターを、35%ホルムアミド、5×SSC、50mM トリス−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.1%PVP、0.1%フィコール、1%BSA及び500μg/ml変性サケ精子DNA含有の溶液中で40℃で6時間前処理する。ハイブリダイゼーションを以下の変更をした同じ溶液中:0.02%PVP、0.02%フィコール、0.2%BSA、100μg/mlサケ精子DNA、10%(wt/vol)デキストラン硫酸で行い、かつ32P−ラベルしたプローブ5〜20×106cpmを使用した。
ハイブリダーゼーション混合物中、フィルターを40℃で18〜20時間インキュベートし、次に2×SSC、25mMトリス−HCl(pH7.4)、5mM EDTA及び0.1%SDS含有溶液中、55℃で1.5時間洗浄した。洗浄液を新たな溶液と取り替え、かつ更に60℃で1.5時間インキュベートした。フィルターを吸い取って乾かし、かつオートラジオグラフィーに課した。
本明細書で使用されているように、"中程度"のストリンジェンシーの定義条件は"低い"ストリンジェンシーの条件のものとは、DNA含有のフィルターを上記の相応の溶液中、50℃で7時間(中程度)と、65℃で8時間(高い)前処理する点で異なる。
ハイブリダイゼーションは、同じ溶液中で"低いストリンジェンシー"の場合のように実施されるが、しかし50℃で30時間であり、次に上記の洗浄液中55℃で1.5時間(中程度)洗浄した。洗浄液を新しい溶液と取り替え、かつさらに60℃で1.5時間インキュベートする。
"高い"ストリンジェンシーの条件:上記のような溶液中で、但し6×SSC、1nM EDTA、0.02% PVP、0.02%フィコール、0.02%BSA及び500μg/ml変性サケ精子DNA含有の溶液中、65℃で8時間プレハイブリダイズさせる。フィルターを100μg/ml変性サケ精子DNAと32Pラベルしたプローブ5〜20×106cpm含有のプレハイブリダイゼーション混合物中、65℃で48時間ハイブリダイズさせる。フィルターの洗浄を、2×SSC、0.01%PVP、0.01%フィコール及び0.01%BSA含有溶液中37℃で1時間行う。この後に、0.1×SSC中50℃で45分間の洗浄を行う。上記の条件が不適切である場合には、従来技術で公知の低い、中程度及び高いストリンジェンシーの他の条件(例えば、種間ハイブリダイゼーションで使用されているもの)を使用してもよい。
本発明は、例えばSEQ ID NO: 1、2及び3のいずれかの突然変異により得られる"変異体ヌクレオチド配列"も含む。突然変異は、点変異、欠失変異、挿入変異及び/又はフレームシフト変異のような、本発明の配列のどの種類の突然変異でもよい。変異体ヌクレオチド配列は、特異発現系に配列を適合させるために調製してもよい。例えば、細菌発現系はアミノ酸が有利なコドンでコードされている場合にはより効率的にポリペプチドを発現することが知られている。1つ以上のコドンが同じアミノ酸をコードできる遺伝コードの縮重により、多重DNA配列は同じポリペプチドをコードできる。これらは、本発明の核酸又はヌクレオチド配列に含まれる。
更に本発明は、ここで報告されたアミノ酸配列とは実質的に異なるポリペプチドをコードする変異体ヌクレオチド配列も含むが、これらは、例えば突然変異誘発のような変性により、又は本発明のヌクレオチド配列を使用することにより得られる。
有利には、本発明のポリペプチドは単環及び二環式セスキテルペンを合成できる。更に有利には二環又は三環セスキテルペンを合成できる。最も有利には、単環、二環及び三環式セスキテルペンを合成できる。
有利には本発明の単離ポリペプチドはFPPからビサボリルカチオンを形成でき、かつ更にFPPのC3とC7炭素原子の間に結合を形成して、C3−C7結合を有する二環又は三環式セスキテルペンを作ることができる。
同様に、本発明のポリペプチドはFPPからビサボリルカチオンを形成して、かつ更にFPPのC2とC7炭素原子の間に結合を形成し、C2−C7結合を有する二環又は三環式セスキテルペンを作ることができる。
特異的セスキテルペンのような化合物を"合成できる"という用語ならびに"テルペン合成酵素活性"という用語、有利には"セスキテルペン合成酵素活性"という用語は、本発明のポリペプチドを意味し、ならびにこれらのポリペプチドをコードする核酸を意味する。これらは、少なくとも1つの出発化合物(有利には非環式ピロリン酸テルペン前駆体)から、本明細書で述べたテルペン、有利にはセスキテルペン、最も有利にはセスキテルペン化合物を合成できる。有利には、合成の能力は例5に説明されている酵素アッセイで測定される。特殊な生成物がこのアッセイで検出される場合には、"合成の能力"又は"合成酵素活性"が生成物に付与される。有利には、非環式テルペン前駆体はFPPであり、これはセスキテルペンの炭素骨格の標準的なナンバリングで以下の式(I)で表される。OPPは、ピロリン酸を意味する。
Figure 0005430929
有利には、単離ポリペプチドは少なくとも1つのセスキテルペン、より有利にはサナタレン又はベルガモテン炭素骨格を有する少なくとも1つのセスキテルペンを合成できる。有利な実施態様では、ポリペプチドはFPPからビサボリルカチオンを形成でき、かつ更にFPPのC3もしくはC2とC7炭素原子の間に結合を形成し、1個又は幾つかの二環及び/又は三環式セスキテルペンを作ることができる。
"結合"という用語は、1つの共有結合を意味する。
本発明は、ポリペプチドをコードする核酸、ならびにそのポリペプチド自体に関し、C3〜C7結合を有する少なくとも1つの二環式及び/又は三環式セスキテルペンを合成できる。有利には、C3〜C7結合を有するセスキテルペンは、該ポリペプチドにより合成されるセスキテルペン生成物の少なくとも5質量%を構成する。更に有利には、該ポリペプチドにより生成されるセスキテルペンの少なくとも10質量%、より有利には少なくとも15質量%、最も有利には少なくとも20質量%は、C3〜C7結合を有するセスキテルペンにより構成される。本発明の目的のために、セスキテルペン合成酵素の定量的セスキテルペン生成物の分布は、有利には例5に述べた方法を用いることにより測定される(酵素アッセイ、生成物の抽出とGC)。
従って、本発明は以下の式(II)及び/又は(III)
Figure 0005430929
[式中、
1、R2、R3、R4は、相互に独立に、C1〜C20から成る線状又は分枝のアルキル又はアルキレン基であり、その際、R1とR2及び/又はR3とR4は、別々の2個の単結合の代わりに二重結合を形成してもよい]
のC3〜C7結合を有する化合物を形成できる単離ポリペプチドに関する。
有利には、R1、R2、R3、R4は相互に独立にC1〜C15から、より有利にはC1〜C10から成る、最も有利にはC1〜C8から成る線状又は分枝のアルキル又はアルキレン基である。
特に、本発明のポリペプチドは以下の式(IV)、(V)及び/又は(VI)
Figure 0005430929
[式中、R1、R2、R3、R4は、先に定義した通りである]
の化合物を形成できる。
有利には、式(IV)及び/又は(VI)中、R1又はR2のどちらかはC1〜C5アルキルであり、かつ他のものは、C2〜C8アルキレンである。さらに、式(VI)中R3は有利にはC1〜C5、より有利にはC1〜C3アルキルである。有利には、式(V)中、R3とR4は上記の式(IV)のR1とR2で定義した通りである。
本発明は、ポリペプチドをコードする核酸、かつポリペプチド自体に関し、C2〜C7結合を有する少なくとも1つのセスキテルペンを形成できる。
有利な実施態様によれば、C2〜C7結合を有するセスキテルペンは、ポリペプチドにより合成されるセスキテルペン生成物の少なくとも5質量%を構成する。
より有利には、該ポリペプチドにより生成されるセスキテルペンの少なくとも10質量%、より少なくとも15質量%、最も有利には少なくとも20質量%は、C2〜C7結合を有するセスキテルペンにより構成される。有利には、セスキテルペンはベルガモテン及び/又はその異性体のうちの1つであり、有利には立体異性体である。
1実施態様によれば、本発明は、以下の式(VII)及び/又は(VIII)
Figure 0005430929
[式中、R5とR6は、先にR1とR2で定義した通りである。有利にはR5はメチルであり、かつR6はC2〜C10アルケニル、又はその逆である]
によるC2〜C7結合を有する化合物を形成できる単離ポリペプチドに関する。
有利には、先に述べた残基R1、R2、R3、R4、R5又はR6の少なくとも1つの中に可能性として存在する少なくとも1つのアルケニルは、4−メチル−3−ペンテニルであるのに対して、同じ炭素原子に結合している他の残基はメチルである。
先の式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び/又は(VIII)の化合物を合成できるポリペプチドは、有利にはアミノ酸配列SEQ ID NO: 5を有するポリペプチドであるか、又はそれらのポリペプチド変異体である。
3〜C7結合を有するセスキテルペンは、サンタレン及びその立体異性体であり、特に、例えば(+)−エピ−β−サンタレン、(−)−β−サンタレン、(+)−β−サンタレン(3つとも全て二環式である)及び(+)−α−サンタレン、及び(−)−α−サンタレン(両方とも三環式である)である。
2〜C7結合を有するセスキテルペンは、その立体異性体を含むベルガモテンであり、特に、例えばシス−α−ベルガモテン、トランス−α−ベルガモテン、トランス−β−ベルガモテン及びシス−β−ベルガモテンである。
最も有利には、本発明のポリペプチドは図中に再現された化合物を合成できる。
更なる態様では、本発明はサンタレン、ベルガモテン及び/又はビサボレンを合成できる単離ポリペプチドを提供する。
有利な実施態様では、本発明は(+)−エピ−β−サンタレン、トランス−α−ベルガモテン、シス−α−ベルガモテン、β−ビサボレン及び/又はトランス−γ−ビサボレンを合成できる単離ポリペプチドを提供する。
有利には、該ポリペプチドは(+)−エピ−β−サンタレン、トランス−α−ベルガモテン、シス−α−ベルガモテン、β−ビサボレン及び/又はトランス−γ−ビサボレンのいずれか又は全てを合成できる。より有利には、ポリペプチドはこれらのうちの少なくとも1つを合成できる。最も有利には、ポリペプチドは(+)−エピ−β−サンタレン、トランス−α−ベルガモテン及び/又はシス−α−ベルガモテンを合成できる。
本明細書で使用されているように、"ポリペプチド"という用語は、ここで同定されたアミノ酸配列ならびにより小さな断片を含むポリペプチド又はペプチド断片の種類を意味する。
本明細書で述べているような"ポリペプチド変異体"とは、天然のポリペプチドと実質的に相同のポリペプチドを意味するが、しかし、これは1つ以上の欠失、挿入又は置換の理由で本発明のいずれかの核酸配列によってコードされているものとは異なるアミノ酸配列を有する。
本発明のポリペプチド及びポリペプチド変異体は、有利にはテルペン合成酵素活性を有する。より有利には、これらはセスキテルペン合成酵素活性を有する。
変異体は、保存的に置換された配列を有することができる。これは、所定のアミノ酸残基を同様の物理化学的特性を有する残基と置換できることを意味する。保存的置換の例には、1つのα残基をIle、Val、Leu、又はAlaのような別のものと相互に置換する、又は1つの極性残基をLysとArg;GluとAsp;又はGlnとAsn間のような別のものと置換することが含まれる。Zubay, Biochemistry, Addison-Wesley Pub. Co.,(1983)参照。このような置換の作用は、Altschulに論じられているようなPAM-120、PAM-200及びPAM-250のような置換スコアマトリックスを用いて計算できる(J. Mol. Biol. 219;555-65, 1991)。このような保存的置換の他の例として、例えば類似した疎水性特性を有する全範囲の置換も周知である。
天然に生じるペプチド変異体も本発明に含まれる。このような変異体の例は、交互のmRNAスプライシング事象により、又は本明細書中に記載されたポリペプチドのタンパク質分解性開裂により得られるタンパク質である。タンパク質分解に起因するバリエーションには、例えば、種々のタイプの宿主細胞中で発現する際のN末端又はC末端の違いが含まれ、これらは本発明の配列によりコードされるポリペプチドからの1個以上の末端アミノ酸のタンパク質分解性除去による。
本発明のセスキテルペン合成酵素の変異体を使用して、所望に応じて増大もしくは減少させた酵素活性、変性した部位化学又は立体化学、又は変性した基質利用性又は生成物分布を得てもよい。更に、変異体を調製して少なくとも1つの変性特性、例えば、基質に増大した親和性、1つ以上の所望化合物の製造量に改善された特異性、種々の生成物の分布、種々の酵素活性、酵素反応の速度増大、特殊環境(pH、温度、溶剤など)でのより高い活性又は安定性、又は所望の発現系での改善された発現レベルを持たせてもよい。変異体又は部位特異的突然変異体は、どの従来公知技術の方法によって製造してもよい。上記のように、本発明はこのようなベチバー植物から組換体及び非組換体、単離及び精製ポリペプチドを提供する。天然ポリペプチドの変異体及び誘導体は、別の又は同じ植物系列もしくは植物種の天然に生じる変異体、又は変異体のヌクレオチド配列を単離することにより得られるか、又は天然のテルペン合成酵素をコードするヌクレオチド配列の人工的にプログラミングされた突然変異により得られる。天然アミノ酸配列の変換は、多くの通常の方法によって達成できる。
本発明のポリペプチドのアミノ末端及びカルボキシル末端にて、付加的ペプチド配列の融合から生じるポリペプチド変異体を使用して、所望環境又は発現系においてポリペプチドの発現を増大し、タンパク質の精製を補助し、又はポリペプチドの酵素活性を改善することができる。このような付加的なペプチド配列は例えばシグナルペプチドであってよい。従って、本発明は本発明のポリペプチドの変異体、他のオリゴペプチドもしくはポリペプチド及び/又はシグナルペプチドに結合したポリペプチドとの融合により得られるようなものを含む。
従って、1実施態様では、本発明は所望のテルペン合成酵素活性を有する変異体ポリペプチドを調製する方法を提供し、前記方法は次の工程:
(a)SEQ ID NO:1、2又は3から成るグループから、いずれかの核酸、又は上記ヌクレオチド配列を有し、これと関連する核酸を選択し;
(b)選択した核酸を変性して少なくとも1つの突然変異体核酸を得て;
(c)宿主細胞を突然変異体核酸配列で形質転換し、突然変異体核酸配列によりコードされるポリペプチドを発現させ;
(d)該ポリペプチドを少なくとも1つの変性特性を有する機能的ポリペプチドにスクリーニングし;かつ
(e)場合により、該ポリペプチドが所望の変異体テルペン合成酵素活性を有さない場合には、所望の変異体テルペン合成酵素活性を有するポリペプチドが得られるまで工程(a)〜(d)を繰り返す(=DNAシャフリング)
から成る。
変異体ポリペプチドを提供する方法は、突然変異体核酸のプールによりコードされたポリペプチドから活性パラメーターのような所望の特性を有する機能的ポリペプチドのスクリーニングに適切である。工程(a)では、本発明のどの核酸を選択してもよい。
この後に、工程(b)では、例えば、ランダム突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発、又はDNAシャフリングにより多数の突然変異体核酸配列が作られる。遺伝子シャフリングの詳細な手法についてはStemmer, W. P. (1994) DNA shuffling by random fragmentation and reassembly: in vitro recombination for molecular evolution. Proc Natl Acad Sci USA. 91(22): 10747-1075で見つけられる。手短に言うと、DNAシャフリングとはin vitroでの公知の配列のランダムな組換えのプロセスを意味し、組換えに選択される少なくとも2個の核酸が含まれる。例えば、天然配列の断片へのライゲーションを可能にする制限部位が両側に並んだ1つの突然変異体配列を含有するオリゴヌクレオチドを合成することにより、突然変異を特定の遺伝子座に挿入できる。ライゲーションに続いて得られる再構築配列は、所望のアミノ酸挿入、置換又は欠失を有する類似体をコード化する。二者択一的に、オリゴヌクレオチド−部位特異的突然変異導入法を用いて、所定のコドンを置換、欠失又は挿入により組換えることができる組換え遺伝子を提供することができる。
従って、SEQ ID NO1、2又は3は、SEQ ID NO1、2又は3から選択される種々の配列と、及び/又は例えばベチバー以外の生物から単離された核酸をコードする他のテルペン合成酵素と再結合してもよい。このように突然変異体核酸を得て、かつ分離してもよい。これを、例えば本発明の実施例に開示されているような標準的な手法に従って宿主細胞を形質転換するために使用してもよい。
工程(d)では、工程(e)で得られたポリペプチドを改質した特性、例えば所望するように改質した酵素活性にスクリーニングする。例えば、発現したポリペプチドをスクリーニングしてもよい所望の酵素活性に関しては、KM又はVmax値より測定されるような、増加もしくは減少した酵素活性、例えば、変性した位置化学又は立体化学、改質した基質利用性又は生成物分布が含まれる。酵素活性のスクリーニングは、当業者に周知の手法ならびに本発明の実施例に開示されたものにより行うことができる。
工程(e)は、方法工程(a)〜(d)の繰り返しを提供するもので、これは有利には平行して行われる。従って、相当な数の突然変異体核酸を作ることにより、多くの宿主細胞を様々な突然変異体核酸で同時に形質転換でき、それに続く多数のポリペプチドのスクリーニングを可能にする。このように所望の変異体ポリペプチドを得るチャンスを当業者の判断で増やしてもよい。
1実施態様では、本発明はテルペン合成酵素活性を有する変異体ポリペプチドをコードする核酸を調製する方法を提供する。前記方法は、先に開示した工程(a)〜(e)から成り、かつ更に次の:
(f) 所望の変異体テルペン活性を有するポリペプチドが同定された場合には、工程(c)で得られた突然変異体核酸を獲得し、これを使用して宿主細胞を形質転換し、工程(c)と(d)に続いて変異体テルペン合成酵素を発現させる
工程から成る。
ポリペプチド変異体には、SEQ ID NO: 4、5及び/又は6によるアミノ酸配列を有するポリペプチドのいずれかと最小の特異的配列相同性を有するポリペプチドが含まれる。
1実施態様では、単離ポリペプチドは、SEQ ID NO: 4と少なくとも50%のアミノ酸配列相同性を有し、かつテルペン合成酵素活性を有するアミノ酸配列を有する。有利には、単離ポリペプチドは、SEQ ID NO: 4と少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、最も有利には95%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有する。
1実施態様では、単離ポリペプチドは、SEQ ID NO: 5と少なくとも76.8%のアミノ酸配列相同性を有し、かつテルペン合成酵素活性を有するアミノ酸配列を有する。有利には、単離ポリペプチドは、SEQ ID NO: 5と少なくとも78%、79%、80%、85%、90%、95%、最も有利には97%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有する。
1実施態様では、単離ポリペプチドは、SEQ ID NO: 6と少なくとも49%のアミノ酸配列相同性を有し、かつテルペン合成酵素活性を有するアミノ酸配列を有する。有利には、単離ポリペプチドは、SEQ ID NO: 6と少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、より有利には97%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有する。
有利には、ポリペプチドは実質的にSEQ ID NO: 4、5又は6によるアミノ酸配列から成る。
更なる態様では、本発明は本発明の核酸を有するベクターを提供する。
本明細書で使用されているような"ベクター"には、次のものに限定されるわけではないが、ウイルスベクター、バクテリオファージ及びプラスミドを含む組換えベクターが含まれる。当業者は、発現系により適切なベクターを選択することができる。1実施態様では、発現ベクターには、調節配列、例えば、転写プロモーター、オペレーター又はエンハンサー、mRNAリボソーム結合部位、ならびに例えば転写及び翻訳の開始と停止をコントロールする適切な配列と作動的に結合したポリペプチドをコードするcDNA配列が含まれる。ヌクレオチド配列は、調節配列が本発明のcDNA配列に機能的に関わっている場合には、"作動的に結合している"。
以下に説明するように、本発明のベクターを遺伝的に変性した宿主生物及び/又は細胞を調製する方法において、本発明の核酸が宿る宿主生物及び/又は細胞において、ならびにテルペン合成酵素を製造する方法において使用してもよい。
1態様では、本発明は前記テルペン合成酵素の生成を補助する条件下に、宿主生物及び/又は細胞を培養して、少なくとも1つの核酸配列を含有するように変性することから成る、テルペン合成酵素を製造する方法を提供する。その際、前記の少なくとも1つの核酸は本発明による核酸である。
例えば、テルペン合成酵素を製造する方法は、次の
(a)本発明による核酸を発現しない宿主生物及び/又は細胞を選択し;
(b)該生物を形質転換し、本発明による核酸を発現させ;
(c)前記核酸によりコードされたテルペン合成酵素の生成を補助する条件下に該生物を培養する
工程から成る。
本発明は、テルペン合成酵素を製造する方法も提供し、該方法は次の
(a)本発明による核酸を発現しない宿主生物及び/又は細胞を選択し;
(b)該生物を形質転換し、請求項1から3までのいずれか1項、又は12項に記載の核酸を発現させ;
(c)前記核酸によりコードされたテルペン合成酵素の生成を補助する条件下に該生物を培養する
工程から成る。
従って、更なる態様では、形質転換して本発明の核酸が宿るようにした組換え宿主生物及び/又は細胞を本発明は提供する。宿主生物は、単細胞又は多細胞生物であってよいが、しかし、ヒト以外のものである。宿主は、例えば多細胞生物の細胞であってよい。有利には、宿主生物は細菌、例えばE.coliである。有利には、宿主生物は本発明の核酸を異種的に有する。
更に有利な宿主生物には、菌類、有利には酵母、最も有利にはパン酵母(Sacharomyces cerevisiae)が含まれる。本発明のポリペプチドを発現する適切な宿主生物には、より高次の真核細胞、有利には植物が含まれる。有利には、植物はナス科又はシソ科の科、より有利にはタバコの属の属である。例えば適切な宿主細胞は植物細胞である。
1態様では、本発明は本発明のポリペプチドを発現する組換え宿主生物又は細胞を提供する。有利には、宿主生物を形質転換して、形質転換していない同じ生物中のものよりも大量のポリペプチドを発現するようにする。
"形質転換した"という用語は、宿主を遺伝子工学に課し、本発明の核酸の1つ、2又はそれ以上のコピーを有するようにしたことを意味する。
有利には"形質転換した"という用語は、本発明のポリペプチド及び/又は本発明の核酸によりコードされたポリペプチドを異種発現する宿主に関する。
従って、1実施態様では、本発明は本発明のポリペプチドが形質転換していない同じ生物よりも大量に発現する形質転換生物を提供する。
トランスジェニック、組換え宿主生物又は植物、酵母、細菌のような細胞、又はより高次の真核生物の細胞培養物の作製には、当業者に公知の幾つかの方法がある。例えば、細菌、菌類、酵母及び哺乳類細胞宿主を用いて使用する適切なクローニングと発現ベクターは、Pouwels et al., Cloning Vectors: A Laboratory Manual, Elsevier, NewYork, (1985)ならびに上記のSambrook et alに記載されている。
より高次な植物及び/又は植物細胞のクローニング及び発現ベクターは、特に当業者に入手可能である。例えば、Schardl et al(1987) Gene 61:1-11参照。
宿主生物を形質転換する方法、例えば、トランスジェニック植物を作製し、宿主生物もしくは細胞を変性して本発明の核酸のようなトランスジェニック核酸を宿らせる方法は、当業者には周知である。トランスジェニック植物を作製するために、例えば現在の方法は次のものを含む:植物プロトプラストのエレクトロポレーション、リポソーム媒介形質転換、アグロバクテリウム媒介形質転換、ポリエチレングリコール媒介形質転換、粒子衝撃法、植物細胞のマイクロインジェクション及びウイルス使用の形質転換。
1実施態様では、形質転換したDNAは、安定な組換え系が生じるようにヒト以外の宿主生物及び/又は細胞の染色体に組込まれる。当業者に公知にどの染色体挿入法も本発明の実施で使用でき、recombinase-mediated cassette exchange(RMCE)、ウイルス性部位特異的染色体組込み、アデノウイルス及び前核注入が含まれるがこれらに限定されることはない。
更なる態様では、本発明はテルペノイドを製造するプロセス及び/又は方法を提供する。
従って、本発明は次の:
(a)少なくとも1つの非環式ピロリン酸テルペン前駆体を、本発明の少なくとも1つのポリペプチド又は本発明の核酸のいずれかによりコードされた少なくとも1つのポリペプチドと接触させ、かつ
(b)場合により、工程(a)で製造された少なくとも1つのテルペノイドを単離する
工程から成る少なくとも1つのテルペノイドを製造する方法を提供する。
更に、本発明は次の:
−テルペノイドの生成を補助する条件下に、ヒト以外の生物を培養して形質転換させ、請求項1から3までのいずれか1項に記載の核酸によりコードされたポリペプチド又は請求項4に記載のポリペプチドを発現もしくは次第に発現させ、かつ
−場合により、ヒト以外の生物から少なくとも1つのテルペノイドを単離する
ことから成る少なくとも1つのテルペノイドを製造する方法を提供する。
有利な実施態様によれば、該方法は更に次の:
テルペノイドの生成を補助する条件下に前記生物を培養する前に、ヒト以外の生物を組換え核酸で形質転換させ、請求項1から3までのいずれか1項に記載の核酸によりコードされたポリペプチド又は請求項4に記載のポリペプチドを発現もしくは次第に発現させる
工程から成る。
有利には、少なくとも1つのテルペノイドは、本明細書の説明の中で開示されたテルペノイドである。より有利には、該方法は式(I)〜(VII)の少なくとも1つの非環式テルペンを製造するために適切である。
少なくとも1つのテルペノイドを製造する方法は、少なくとも1つの非環式ピロリン酸テルペン前駆体を本発明の少なくとも1つのポリペプチドと接触させる工程から成る。例えば、上記のテルペン合成酵素を製造する方法で得られるようなポリペプチドを使用してもよい。このようなポリペプチドは、標準のタンパク質又は酵素抽出技法に従って、本発明の核酸を発現する宿主生物から抽出してもよい。宿主生物が、本発明のポリペプチドを培地へ放出する単細胞生物もしくは細胞である場合には、例えば遠心分離によりポリペプチドを培地から簡単に回収してもよく、場合により、洗浄工程及び適切な緩衝液中での再懸濁を続けてもよい。
宿主生物が、細胞内に本発明のポリペプチドを蓄積する植物又は単細胞生物又は細胞である場合には、細胞を分解もしくは溶解し、かつ細胞溶解産物からポリペプチドを抽出することによってポリペプチドを得てもよい。
次に単離ポリペプチドを最適pHと温度で緩衝液中で懸濁させてもよい。適切な場合には、酵素活性を最適化するために塩、BSA及び他の種類の酵素補因子を添加してもよい。
テルペン前駆体をポリペプチド懸濁液又は溶液に添加し、続いて最適温度、例えば30℃でインキュベートしてもよい。インキュベーション後に、有利にはポリペプチドを溶液から取り除いた後に、溶剤抽出や蒸留のような標準の単離法によりインキュベートした溶液からテルペノイド化合物を単離してもよい。
少なくとも1つのテルペノイド化合物を製造するプロセスの工程では、宿主生物もしくは細胞は、テルペノイドの生成を補助する条件下に培養される。
従って、宿主がトランスジェニック植物である場合には、例えば最適な光、水及び栄養条件のような最適な成長条件が提供される。宿主が単細胞生物である場合には、テルペノイドの生成を補助する条件は、適切な補助因子を宿主の培地に加えることから成る。更に、テルペノイド合成を最大化させるように培地を選択してもよい。最適pHや温度のような外的要因は、通常は所定の発現系でテルペノイド生成も補助する。
本明細書で述べた全ての文献を参照して取り入れ、これらの文献が記載したものに関連する方法及び/又は材料を開示し、かつ説明したことにする。
以下の実施例は本発明を説明するものであるが、結果としてその範囲を限定することは無い。
実施例
例1 ベチバー根材料、mRNAの単離とcDNA合成
Vetiveria zizanoides(ベチバー)植物をプラント・ナーセリー("La Comoagnie des Plantes Australes", Les Avirons, The Reunion Island, France)から得た。ルーリエ農学研究所(Lullier Agronomy research Station、スイス)で植物を温室内の鉢で培養し、かつ6カ月から1年のクランプに分けることにより栄養繁殖させた。温室内の状況では、移植したベチバーの切取りを発芽1〜3週間後に開始し、かつ培養1年後に根の体積は一般に3倍又は4倍になった。
根を刈入れるために、植物を鉢から引き抜き、水道水で濯いだ。根のセスキテルペン含有量は次のように評価した:根を小さな断片に切るか、又は乳鉢と乳棒を用いて液体窒素中で砕き、かつジエチルエーテルもしくはペンタンで抽出した;濃縮後に、抽出物をGCとGC−MSにより分析した。母本から薄皮を移植した後に得られた植物を種々の成長段階で育てた:活発に消費した根系を有する植物(移植後4〜6カ月)からよく発達した稠密な根系を有する植物(移植後1〜2年)まで。ベチバー油のセスキテルペンの特性は分析した全ての根で見つかり、かつジザノイックアシドが主成分であった。
クローニング実験に関して、移植後約6カ月に得られた若い植物を使用した。根を葉から切り取り、かつ液体窒素中で凍らせた。最初にこれらをワーリングブレンダーを用いて液体窒素中で粗く砕き、次に乳鉢と乳棒を用いて細かい粉末に粉砕した。Invitrogen社のConcertTM Plant RNA Ragentを用い、製造者の指示書に従って全RNAを抽出した。RNAの濃度は、260nmでODから推測し、かつリボソームRNAバンドの完全性を検査することによりRNAの完全性をアガロースゲル上で評価した。Fast Track(R) 2.0 mRNA単離キット(Invitrogen)を用い、製造者の指示書に従ってオリゴT−セルロース親和性クロマトグラフィーにより全RNAからmRNAを精製した。mRNAの濃度を260nmでODから推定し、かつアリコートをアガロースゲル上に堆積させてmRNAプールのサイズ分布を検査した。
アダプターライゲーションした二本鎖cDNAを製造者のプロトコールに従って、Marathon TM cDNA増幅キット(Clontech)を用いてmRNA1μgから調製した。cDNAライブラリーのアリコートをアガロースゲル上に堆積させ、量とサイズ分布を評価した。
例2 セスキテルペン合成酵素をコードするcDNA断片のベチバー根からの単離
植物セスキテルペン合成酵素ヌクレオチド配列に特異的な変性プライマーを用いてセスキテルペン合成酵素をコードするcDNA断片を増幅させた。
セスキテルペン合成酵素に特異的オリゴヌクレオチドは、予め植物セスキテルペン合成酵素アミノ酸配列アライメントから設計しておいた(WO 04/031376)。6個のプライマー(4個のフォワードプライマーと、2個のリバースプライマー)を植物セスキテルペン合成酵素アミノ酸配列の中の保存された3つの領域から設計した。これらをTpsVF1、TpsVF2、TpsCF1、TpsCF2、TpsVR3及びTpsCR3と名付けた(WO 04/031376)。
更に、ベチバーのセスキテルペン合成酵素ヌクレオチド配列に改善した特異性を有するように1セットのオリゴヌクレオチドを設計した。種々の植物から単離されたテルペン合成酵素の配列比較は、系統に関して高い配列相同性を示した。分類学的に関係のある種からのテルペン合成酵素の間では配列相同性は高く、かつ機能的分化(酵素活性)とは関係がなかった。従って、ベチバーに関係のある植物種から得られるセスキテルペン合成酵素の配列アライメントに基づき、新規セスキテルペン合成酵素に特異的なプライマーを設計することにした。ベチバーは、イネ科植物(イネ科)であり、かつ単子葉植物網(ユリ網)に属する。単子葉植物からのセスキテルペン合成酵素のアミノ酸配列(Elaeis oleifera(アブラヤシ)由来、アクセッション番号AAC31570、Oryza sativa(コメ)由来、アクセッション番号BAC99549、BAC99543、AAR01759、BAD03024、NP_908798、BAC20102、AAR87368及びZea mays(トウモロコシ)由来、アクセッション番号AAG37841、AAS88575、AAS88574、AAS88573、AAS88572、AAS88571をClustal Wを用いて並べた[Thompson J. D., Higgins D.G.及びGibson T. J. (1994) CLUSTAL W:配列重みづけ、部位特異的ギャップペナルティー及びウエイトマトリックス選択による連続的多重配列アライメントの感度の改善Nucleic Acids Res 22(22), 4673-4680]かつ全ての配列にわたり保存された領域を選択した。これらの領域から、CODEHOP法を用いてプライマーを設計した[Rose T. M., Schultz E. R., Henikoff J. G, Pietrokovski S. McCallum C. M及びNenikoff S. (1998) Consensus-degenerated hybrid oligo-nucleotide primers for amplification of distantly related sequences. Nucleic Acids Research 26(7), 1628-1635]。World Wide Webにアクセス可能なコンピュータープログラム[http://blocks. fhcrc. org/blocks/make blocks. html及びhttp://blocks. fhcrc. org/ blocks/ codehop. html]に倣って実施した。プログラムのパラメーターは、プライマーが11〜13塩基の縮重コア、256個の最大縮重(各プライマーにより特定される種々の配列の数)かつ約60℃のアニーリング温度を有するように設定した。単子葉植物のトウモロコシのコドン使用法を使用した。このアプローチを使用し、4個のフォワードプライマーと2個のリバースプライマーを5つの保存領域から設計した(表1)。
Figure 0005430929
表1中の各プライマーに対して、ヌクレオチド配列が表示してあり、かつアライメント中、相応のアミノ酸配列が示してある。ヌクレオチド配列中の縮重は、IUPACの1文字コードを用いて示してある。
これらのプライマーをRT-PCR実験で使用し、全RNAをベチバー根から抽出した。
全ての実験では、ベチバー根の全RNA、オリゴ(dT)20プライマー及びThermoscriptTM逆転写酵素(Invetrogen)を用いて製造者が説明した通りに逆転写を60℃で行った。
PCR条件を2セットのプライマーに適合させた。植物セスキテルペン合成酵素に特異的なプライマーを用いて、Platinum(R) Taq DNA ポリメラーゼ(Invitrogen)を用いてPCRを行った。フォワードプライマーであるTps VF1、TpsVF2、TpsCF1及びTpsCF2と、リバースプライマーであるTps VR3、TpsCR3及びdTアダプタープライマーとの可能性として有り得る様々な組合せ(表2)を1回目のPCRに使用した。PCRミックスは、5μL 10×PCR反応緩衝液(invitrogen)、1.5mM MgCl2、0.2mM dNTPs、200nM フォワードプライマー、200nM リバースプライマー、0.4μL(2単位)Platinum(R) Taq DNA ポリメラーゼ、上記の逆転写からのcDNA2μL及び最終体積が50μLになるように蒸留水を含有していた。反応は、Eppendorf Mastercycler Gradiant 熱循環機で行い、かつ循環条件は次の通りであった:95℃で2分間;94℃で45秒、42℃で45秒、72℃で2分30秒;及び72℃で最終伸長10分を35サイクル。2回目のPCRは、テンプレートとして1回目のPCRミクスチャー5μL、及び同じプライマー又はネストプライマーを用いて1回目のPCRと同じ条件で行った。PCR生成物の大きさを1%アガロースゲル上で評価した。幾つかのRT-PCRのうち、2つが期待した断片を作った:1回目のPCRのTpsCF1+dTアダプターに続く2回目のPCRのTpsCF2+TpsCR3、及び1回目のPCRのTpsCF2+dTアダプターに続く2回目のPCRのTpsCF2+TpsCR3。
ゲルからバンドを切り取り、QIAquick(R)ゲル抽出キット(Qiagen)を用いて精製し、かつTOPO TAクローニングキット(Invitrogen)を用いてpCR(R)2.1-TOPOベクター中でクローン化した。次に挿入したcDNAをDNAシーケンシングに課し、かつBLASTXアルゴリズム(Altschul, S. F., Gish, W., Miller, W., Myers, E. W.,及びLipman, D. J. (1990) Basic local alignment search tool. J. Mol. Biol. 215, 403-410)を用いて前記配列を遺伝子バンクの非重複タンパク質データベース(NCBI)と対比した。比較は、http://www. ncbi. nlm. nih. gov/BLAST/にてオンラインで行った。配列分析は、セスキテルペン合成酵素との相同性を明らかにし、かつ配列の比較により、著しい配列の違いのある4つの特異なcDNA断片があることが示された:CA711、CA717、CA782及びCA783(図2)。
単子葉植物−セスキテルペン合成酵素に特異的なプライマーを用いて、Advantage 2 ポリメラーゼミックス(Clontech社製)を使用してPCR工程を行った。各PCRミクスチャーは、Advantage 2 PCR緩衝液5μL、200μM dNTPs、各オリゴヌクレオチドプライマー200nM、上記の逆転写からのcDNA2μL、Advantage 2 ポリメラーゼミックス1μL及び最終体積を50μLにする蒸留水を含有していた。以下の条件を増幅に使用した:94℃で3分間変性;94℃で1分間変性、最初のサイクルには65℃でアニーリング1分間(以後の各サイクルごとに1℃ずつ下げた)、かつ72℃で2分間伸長を15サイクル;94℃で1分間変性、58℃でアニーリング1分間及び72℃で2分間伸長;最後に72℃で10分間伸長を20サイクル。単子葉植物−セスキテルペン合成酵素に特異的なフォワード及びリバースプライマーの可能性として有り得る組合せを用いて種々のPCRを行った。2回目のPCRは、1回目のPCRで記載した同じ条件と同じプライマーを用いて、テンプレートとしてPCRミクスチャー5μLを使用して行った。フォワードとリバースプライマーの組合せTpsmonocotF3+TpsMonocotR1、TpsmonocotF3+TpsMonocotR2、TpsmonocotF4+TpsMonocotR1及びTpsmonocotF4+TpsMonocotR2は、期待した大きさのアンプリコンを生成した。配列分析と比較は、3つの特異的かつ新規セスキテルペン合成酵素をコードする部分cDNAが得られたことを示した:CA725、CA731及びCA733(図2)。
例3 cDNA末端の迅速増幅法(RACE)によるセスキテルペン合成酵素をコードする完全長cDNAの増幅
これらの新規cDNA断片からフォワード特異的プライマーを設計した(表2)。3’RACEを次のように行った。はじめに、先のRT-PCRで記載したような同じ条件で、オリゴ(dT)20プライマー、全RNA1.5ミクログラム及びThermoscriptTM逆転写酵素を用いて、逆転写を60℃で行った。dTアダプタープライマーとcDNA特異的フォワードプライマーを用いて初めのPCRを行った。PCRミクスチャーは、cDNA特異的プライマー0.4μM、dTアダプタープライマー0.4μM(表2)、各dNTPs300μM、10X HotStartTaq(R) DNAポリメラーゼ緩衝液(Qiagen)5μL、cDNA2μL、HotStartTaq(R) DNAポリメラーゼ0.5μLを含有していた(最終体積50μL中)。循環条件は次の通りであった:95℃で15分;94℃で45秒、48℃で45秒及び72℃で2分30秒;及び72℃で10分を35サイクル。次の変更を除いて上記と同じ組成物を有するPCRミクスチャーを用いてネストPCRを行った:ネストcDNA特異的プライマーとアダプターPプライマー(表2)を使用し、初めのPCR5mLをテンプレートに使用し、かつアニーリング温度を60℃まで上げた。増幅産物を評価し、サブクローン化し、かつそれらの配列を上記のように分析した。3’RACEはCA717とCA733(図3)に関しては成功したが、しかし他のcDNAに関して成功しなかった。ThermoscriptTM及びプライマーCA711_F1とCA711_F2(表2)ならびに60℃の代わりに48℃に下げたネストPCRのアニーリング温度を用いた3’RACE実験は、新規セスキテルペン合成酵素cDNAの3’末端の非特異的増幅を可能にし、CA775と名付けた。
Figure 0005430929
3’RACEの後に得られた半分の完全長配列3個に基づき、5’RACEで使用するための特異的リバースプライマーを設計した。Invitrogen社の5’RACE系を使用した。この手法のために、3つのプライマーを各cDNAに使用した(1つは逆転写をプライムし、2個のネストプライマーは1回目と2回目のPCR用)。製造者が説明した通りにプロトコールの逆転写部分を高GC含有量を有する転写物に合わせた。Platinum(R) Taq DNAポリメラーゼ(Invitrogen)を用いてPCRを行った。1回目のPCRでは、テンプレートはdC−末端化cDNA5μLであり、かつcDNA特異的プライマー(表2)とアブリッジドアンカープライマー(Invitrogen)を使用した。循環条件は次の通りであった:94℃で2分間;94℃で0.5分、55℃で0.5分及び72℃で2分;及び72℃で10分を35サイクル。2回目のPCRでは、テンプレートは100倍希釈した1回目のPCR産物5μLであった。ネストcDNA−特異的プライマー(表2)及びUniversal Amplification Primer(Invitrogen)を使用した。2回目のPCR循環条件は次の通りであった:94℃で2分間;94℃で0.5分を12サイクル、最初のサイクルは68℃で0.5分(以後の各サイクルごとに1℃ずつ下げた)、72℃で2分間を12サイクル;94℃で0.5分間、60℃で0.5分間及び72℃で2分間;かつ72℃で10分間を25サイクル。増幅産物を評価し、サブクローン化し、かつそれらの配列を上記のように分析した。
CA717とCA733については5’末端の増幅は成功し、かつこれらの2個のクローンに関して、完全長ヌクレオチド配列を再構成できた(Vet 717: SEQ ID NO1; Vet 733: SEQ ID NO:2)。
CA775については、同じアプローチを用いた初めの5’RACEは830bp断片の増幅を可能にした。配列の分析は、CA775の3’RACE産物と60bpの重複を示したが、5’RACEは完全ではなく、5’末端の部分がなお欠けていることが明らかになった。得られた5’RACE配列(更に5’末端に近い)に基づき、新たなセットのプライマーを設計し、かつ5’RACEを同じ条件で繰り返した。これらは更に100bpを得ることを可能にしたが、しかし翻訳開始コドンはなお欠けていた。
Marathon cDNA合成キット(Clontech)を用いて得られたcDNAで使用するために、3つめのセットのプライマーを設計した。製造者が説明した通りにAdvantage(R)2ポリメラーゼミックスを用いて、Eppendorf Mastercycler Gradiant 熱循環機で増幅を行った。この三番目の5’RACEは、最終的に開始コドンを含有する更に100bp配列を提供し、このように完全長のヌクレオチド配列を提供した(Vet775, SEQ ID NO:3)。
完全長セスキテルペン合成酵素をコードするcDNAから誘導されたアミノ酸配列(名称Vet717、Vet733及びVet775、それぞれSEQ ID NO:4、5及び6に相当)の比較は、比較的に低い相同性を示した(図3)(31〜40%の範囲の相同性)。公共の配列データバンクで研削して最も近く適合したものは、Oryza sativa(コメ)とZea mays(トウモロコシ)からの推定のセスキテルペン合成酵素配列である。Vet717とVet775については、最も近い配列はそれぞれ47%及び50%の相同性があった。Vet733はアクセッション番号AY518310〜AY518314を有するヌクレオチド配列によりコードされたトウモロコシからのセスキテルペン合成酵素配列と比較的に高い配列相同性(76.8%相同性)があった(Koellner et al (2004) The Plant cell 16(5), 1115-1131)。Vet755のN末端での配列は、他の2つのものとは異なり、かつ他の公知のセスキテルペン合成酵素とも異なった:N末端は、アミノ酸50個分伸びていて、かつ特異なモチーフPAAAASSQQQQ(SEQ ID NO:7)を有している。このようなN末端の付加的な配列は、特異であり、かつどの公知のペプチドシグナル配列にも似ていない。
例4 ベチバーからのセスキテルペン合成酵素の細菌内での異種発現
RACEにより得られた配列情報から設計したプライマーCA717_NdeとCA717_Kpn(表3)を用いて、Vet717完全長cDNAをMarathon cDNAライブラリーから増幅した。Pfuポリメラーゼ(Promega)を用い、Pfu DNAポリメラーゼ10×緩衝液5μl、各dNTP200μM、各フォワード及びリバースプライマー0.4μM、Pfu DNAポリメラーゼ2.9単位及び100倍希釈したcDNA5μl含有の最終的な体積50μL中(Marathon TM cDNA増幅キット(Clontech))を用いて上記のように調製した)で、PCRを行った。
熱循環条件は次の通りであった:95℃で2分間、95℃で30秒、55℃で30秒及び72℃で4分間;及び72℃で10分間を30サイクル。翻訳開始コドンを含むNdeI部位と終止コドン直後のKpnI部位を有する完全長Vet717 cDNAから成るPCR産物をアガロースゲル上で精製し、かつQIAquick(R) Gel Extraction Kit(Qiagen)を用いて溶出した。PCR産物をNdeIとKpnIで消化し、かつ幾つかの酵素で消化したpETDuet-1プラスミド(Novagen)にライゲーションした。インサートのシーケンシングは、RACE産物とは配列の違いを示さなかった。
Figure 0005430929
次にプラスミドをE. ColiBL21(DE3)細胞(Novagen)中に移した。形質転換した細胞の単一コロニーを使用して、LM培地5mlに摂取した。37℃で5〜6時間インキュベーションした後に、培地を20℃まで冷まし、かつタンパク質の発現を0.5mM IPTGで誘発した。一晩インキュベーションした後、遠心分離により細胞を回収し、0.5ml抽出緩衝液(50mM MOPSO pH7、5mM DTT、10%グリセロール)中に再懸濁し、かつ20秒間3回音波破壊した。細胞破片を18000gで30分間の遠心分離により沈殿させ、かつ可溶性タンパク質含有の上澄液を回収した。SDS-PAGE解析による分析は、期待した分子量を有する組換えタンパク質が作られていることを示した。
同様に、プライマー733_Ncoと733_Eco(表3)を用いてVet733 cDNAをMarathon cDNAライブラリーから増幅し、かつNdeI-EcoRI断片としてpETDuet-1発現プラスミドにライゲーションした。構築物をシーケンシングにより評価した。プラスミドを使用したBL21(DE3)中での異種発現は、SDS-PAGEにより明確に目視可能な組換えタンパク質を提供した。
cDNAが既に2個のNdeIと1個のNcoI制限部位を含有していたので(それぞれ603、1483及び1020の位置で)、Vet775のpETDuet-1発現プラスミドへのライゲーションに関しては、末端でNcoIとEcorI部位を挿入し、かつ内部NcoI制限部位を除去するためにオーバーラップ伸長PCR法を用いて、増幅を2工程で行った(Horton, R. M., Hunt, H. D., Do, S. N., Pullen, J. K.and Pease, L. R. (1989) 制限酵素を用いないハイブリッド遺伝子作製法:オーバーラップ伸長法による遺伝子スプライシング、Gene77, 61-68)。初めに2つの別々のPCR反応を行った:1つ目はプライマーVet775_Nco(開始コドンの直前のNcoI部位を挿入)と775_mut_F2を用いて;2つ目はプライマー775_mut_R2と775_fus_Eco(終止コドンの直後にEcoRI部位を挿入)を用いた。775_mut_F2と775_mut_R2プライマーは、32個のヌクレオチド重複領域を有する突然変異誘発性フォワード及びリバースプライマーであり、かつタンパク質配列を変えること無く、cDNA中1020の位置でNcoI認識部位の抑制を可能にする(Ala340のコドンをGCCからGCAに変える)(表3)。これらの2個のPCRからの産物を精製し、合わせ、かつ最後のPCRのテンプレートとして使用した。突然変異した完全長Vet775 cDNAをプライマーVet775_Ncoと775_mut_F2-Ecoで増幅させた。次にPCR産物をpETDuet-1プラスミドのNcoIとEcoRI制限部位の間でライゲーションした。
更に、E. Coli中での発現ならびに酵素活性におけるVet775の特異なN末端配列の効率を評価するために、Vet775のN末端の部分を除き、かつこれらをVet717由来の等量の部分と置き換えることから成る2つの構造物を作製した。このように2つの変性cDNA であるVet775_fus1とVet775_fus2を作製した。1個目の構築物では、初めの68コドンを除き、かつVet717のN末端の24コドンと置き換えた。2個目の構築物では、初めの91コドンを除き、かつVet717のN末端の42コドンと置き換えた。これらの構築物は、オーバーラップ伸長PCR法により作製した。Vet775_fus1に関しては、1回目のPCRをプライマー775_fus_Ncoと775_fus1-rを用いて、かつテンプレートとしてpETDuet-1中のVet717cDNAを用いて行った。2回目のPCRは、プライマー775_fus1-fと775_fus_Ecoを用いて、かつテンプレートとしてMarathon cDNAライブラリーを用いて行った。プライマー775_fus1-fと775_fus1-rは、29個のヌクレオチドの重複領域を含んでいた(表3)。2つの増幅からのPCR産物を精製し、かつプライマーとして775_fus_Ncoと775_fus_Ecoを用いる他のPCRでテンプレートとして使用した。Vet717の5’末端72bpと置き換えた5’末端204bpを有するVet775のオープンリーディング枠と、両側に並んだNcoIとEcorI制限部位から成るPCR産物を、TOPO TAクローニングキット(Invitrogen)を用いてpCR(R) 2.1-TOPOベクター内でライゲーションした。3つの別々のクローンからのインサートを完全にシーケンシングして配列の変化が無かったことを確認した。次にオーバーラップ伸長PCR法により、部位特異的突然変異導入法のテンプレートとしてプラスミドを使用して、ヌクレオチド配列中72と888の位置で2個のNcoI部位を除去した。この最後の変性は、突然変異誘発プライマーのペア775_mut_F1と775_mut_R1(Pro24のコドンをCCAからCCTに変える)(表3)及び775_mut_F2と775_mut_R2(上記)を用いて、3つの重複断片を生じることにより上記のように行った。PCR産物を、最後にpETDuet-1プラスミドのNcoIとEcoRI制限部位の間でライゲーションさせた。Vet775_fus2をコードするcDNAの構築物は、1回目のPCRでプライマー775_fus2-fと775_fus2-r(表3)を用いて同じように作製し、Vet775のヌクレオチド274〜1521に融合したVet717のヌクレオチド1〜126から成るcDNAを生成した。
完全長又は変性Vet775cDNAを増幅するために、これらの全てのPCRは上記Pfu DNAポリメラーゼを用いて行った。
E.Coli BL21(DE3)内での異種発現に続くSDS-PAGE分析により、Vet775_fus1とVet775_fus2構築物の組換えタンパク質の生成が示されたが、完全長の非変性Vet775では組換えタンパク質は何も見られなかった。
例5 組換体セスキテルペン合成酵素の酵素活性のキャラクタリゼーション
FPPを基質として用い、得られた組換えタンパク質をセスキテルペン合成酵素活性についてアッセイした。酵素アッセイは、15mM MgCl2と100〜250μM精製FPPを補足した最終体積1mLの抽出緩衝液中、例3で挙げた方法(表3)により得られたE. Coliタンパク質粗抽出物50〜100μlを用いてテフロン密閉ガラス管内で行った。媒体をペンタン1mlで被せ、ガラス管を30℃で12〜18時間インキュベートした。
生成したセスキテルペンをペンタンで2回抽出し、先に記載した通りにGCとGC/MSにより分析した(WO 04/031376、例6)。
Vet775完全長cDNA又は2個のVet775融合タンパク質を含有する発現プラスミドで形質転換したE. Coliの培地から得られたタンパク質抽出物を用いた酵素アッセイからは、セスキテルペン合成酵素活性は何も検出できなかった。この明らかな不活性の理由は未確認のままである。
Vet717組換えタンパク質(SEQ ID NO:4)は、主要なセスキテルペン炭化水素と幾つかのマイナー生成物を生成した(図4)。主要生成物のマススペクトルは、シクロサチベンのマススペクトル(図1中(6))と一致し、かつ非極性(SPB-1、Supelco)ならびに極性カラム(InnoWax, Hewlett-packard)において、この主要生成物の保持時間は、標準のシクロサチベンの保持時間とリンクした。シクロサチベン又はそれらの誘導体は、ベチバー油では同定されなかった。同定された多くのセスキテルペンのうち、酸化シクロコパカンフェンセスキテルペン(図1)はシクロサチベンに最も構造的に近い。シクロコパカンフェン(7)は、シクロサチベンの立体異性体であり(Kido F et al (1969) Tetrahedron letters 37. 3169-3172)、興味深いことにシクロコパカンフェンの酸化誘導体は比較的に大量にベチバー油中に4%まで存在する(Hama et al (1970) Tetrahedron letters 3, 231-234; Weyerstahl et al (2000) Flavour Frag. J. 15, 61-83;Weyerstahl et al (2000) Flavour Frag. J. 15, 153-173; Weyerstahl et al (2000) Flavour Frag. J. 15, 395-412)。
シクロサチベンからVet717の生成物を区別するために、初期オーブン温度を60℃で2分間保持し、続いて5℃/分から150℃/分の傾斜をつけ、2番目の傾斜は20℃/分から270℃/分であったMegadex-5(MEGA s.n.c., Legnano, イタリア)キャピラリーカラム(12m、0.25mm、0.25μm)を用いてキラルGCクロマトグラフィーを使用した。これらの状況では、シクロサチベンは5.60分の保持時間を有し、かつ5.75分の保持時間を有したVet717生成物とは明確に分離された。
Vet717酵素は、幾つかのマイナー生成物も生成し(MSスペクトルに基づく)、これはcubebane又はcopaane骨格のような構造と相関していたと考えられる。
Vet733組換えタンパク質(SEQ ID NO:5)は、主要生成物を生成しないが、少なくとも7つの種々のセスキテルペン炭化水素の混合物を生成した(図5)。以下の化合物は、MSスペクトル及び保持指標と掲載データとの比較に基づいて同定できた:(1)シス−α−ベルガモテン、(2)トランス−α−ベルガモテン、(3)エピ−β−サンタレン、(4)β−ビサボレン及び(5)トランス−γ−ビサボレン。これらは、更にβ−ビサボレン、トランス−γ−ビサボレン、トランス−α−ベルガモテン及びシス−α−ベルガモテン含有の工場内標準物と比較することにより確認された。エピ−β−サンタレンの構造は、オポポナックス抽出物のGC−MS分析と比較して確認した。
Vet733により生成されたセスキテルペン炭化水素又はこれらのセスキテルペンの誘導体は、ベチバー油からは決して単離されたことがなかった。Vet733がベチバーの根で低量に発現し、かつこの酵素により生成されたセスキテルペンが油中に極低量に存在し、検出されなかった可能性もある。Vet733の生成物の幾つかのアルコール誘導体である(Z)−(+)−エピ−β−サンタロールと(Z)−α−トランス−ベルガモトールは(図1)、サンダルウッド油の芳香に寄与する重要なものであることが記載されている(DE 3205320;Frater, G., Bajgrowicz, J. A, 及びKraft, P. (1998) Fragrance Chemistry. Tetrahedron 456, 7633-7703)。ベチバーの香りは、極めて複雑であり、かつ他の多くの物の中でも、サンダルウッド様のノートはこの油に関しては記載されてこなかった。従って、サンダルウッドのアスペクトは、Vet733生成物の微量の酸化誘導体の存在と関係がある可能性がある。
Vet733により生成されたセスキテルペン形成のメカニスティックなスキーム図は、形成された多重生成物の関係を説明している(図6)。各ターンオーバーサイクルは、FPPの異性化で開始し(図6中、(16))、ネロリドールピロリン酸(NPP)になり(C2〜C3結合の回転)、続いて環化してビサボリルカチオン(17)になる。次に、環化は幾つかのメカニズムを介して進むことができる。β−ビサボレンとトランス−γ−ビサボレンはそれぞれC6〜C14で脱プロトンすることにより形成できる。C2〜C7閉鎖に続く脱プロトン化は、シス及びトランス−α−ベルガモテンを生じる。C3〜C7閉鎖に続きワグナー・メールワイン転位とC15での脱プロトン化は、エピ−β−サンタレンを生じる。Vet733セスキテルペン合成酵素は、FPPからビサボリルカチオンへの環化と、それに引き続くベルガモテンとサンタレン骨格への環化を触媒できる初めてクローン化されたセスキテルペン合成酵素である。
図1は、本発明のテルペン合成酵素により合成されたセスキテルペン化合物の構造を示す図である。 図2は、RT-PCR(SEQ ID NO:8-14)により得られるセスキテルペン合成酵素をコードするcDNAから誘導されるアミノ酸配列のアライメントを示す図である。 図3は、本発明の完全長アミノ酸配列SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5及びSEQ ID NO:6の比較を示す図である。 図4(A)は、酵素アッセイから得られたセスキテルペンのガスクロマトグラム(GC)を示す図である。 図4(B)は図4(A)の主要ピーク(10.81)のマススペクトル(MS)を示す図である。 図5は、FFPを実質的にSEQ ID NO:5に記載されているようなアミノ酸配列を有するポリペプチドに暴露した酵素アッセイから得られたセスキテルペンのGCを示す図である。 図6は、本発明のポリペプチドにより触媒されたセスキテルペンの合成の推定される生合成メカニズムを示す図である。

Claims (11)

  1. SEQ ID NO:2と少なくとも90%の相同性を有するヌクレオチド配列を有し、かつファルネシルピロリン酸を基質としてシス−α−ベルガモテン、トランス−α−ベルガモテン、エピ−β−サンタレン、β−ビサボレン及び/又はトランス−γ−ビサボレンを合成できるポリペプチドをコードする単離核酸。
  2. SEQ ID NO:5で表されるポリペプチドをコードする、請求項1に記載の単離核酸。
  3. ス−α−ベルガモテン、トランス−α−ベルガモテン、エピ−β−サンタレン、β−ビサボレン及び/又はトランス−γ−ビサボレンを合成できるポリペプチドをコードし、その際、シス−α−ベルガモテン、トランス−α−ベルガモテン、エピ−β−サンタレン、β−ビサボレン又はトランス−γ−ビサボレンが、該ポリペプチドにより合成されるシス−α−ベルガモテン、トランス−α−ベルガモテン、エピ−β−サンタレン、β−ビサボレン及びトランス−γ−ビサボレンの生成物の少なくとも5質量%を構成する、請求項1又は2に記載の単離核酸。
  4. 請求項1から3までのいずれか1項に記載の核酸によりコードされる、単離ポリペプチド。
  5. 請求項1から3までのいずれか1項に記載の核酸を有するベクター。
  6. 形質転換し、請求項1から3までのいずれか1項に記載の核酸を宿らせたため、請求項4に記載のポリペプチドを発現する、ヒト以外の組換え宿主細菌又は細胞。
  7. (a)少なくとも1つの非環式ピロリン酸テルペン前駆体を、請求項4に記載の少なくとも1つのポリペプチドと接触させ、かつ
    (b)工程(a)で製造された少なくとも1つのテルペノイドを単離する
    ことを含む、シス−α−ベルガモテン、トランス−α−ベルガモテン、エピ−β−サンタレン、β−ビサボレン及び/又はトランス−γ−ビサボレンを製造する方法。
  8. 工程(a)が、少なくとも1つのテルペノイドの生成を補助する条件下にヒト以外の宿主細菌又は細胞を培養することを含み、その際、前記ヒト以外の宿主細菌又は細胞を形質転換させ、請求項1から3までのいずれか1項に記載の核酸によりコードされるポリペプチドを発現させるか、又は前記ポリペプチドを、形質転換されていないヒト以外の細菌又は細胞におけるよりも多量に発現させる、請求項7に記載の方法。
  9. 工程(a)が、テルペノイドの生成を補助する条件下に細菌又は細胞を培養する工程の前に、ヒト以外の宿主細菌又は細胞を請求項1から3までのいずれか1項に記載の組み換え核酸で形質転換させ、前記の核酸によりコードされたポリペプチドを発現させるか、又は前記ポリペプチドを、形質転換されていないヒト以外の細菌又は細胞におけるよりも多量に発現させることを含む、請求項8に記載の方法。
  10. テルペン合成酵素を製造する方法において、請求項6に記載のヒト以外の宿主細菌又は細胞を、前記のテルペン合成酵素の生成を補助する条件下に培養する工程を含む、テルペン合成酵素を製造する方法。
  11. シス−α−ベルガモテン、トランス−α−ベルガモテン、エピ−β−サンタレン、β−ビサボレン又はトランス−γ−ビサボレンの合成酵素活性を有する変異体ポリペプチドを調製する方法において、該方法は次の:
    )ヒト以外の宿主細胞を請求項1に記載の核酸で形質転換し、酸によりコードされるポリペプチドを発現させ;
    )該ポリペプチドを所望のテルペン合成酵素活性についてスクリーニングし;かつ
    )該ポリペプチドが所望のテルペン合成酵素活性を有さない場合には、所望のテルペン合成酵素活性を有するポリペプチドが得られるまで方法工程(a)〜()を繰り返す
    工程を含む、シス−α−ベルガモテン、トランス−α−ベルガモテン、エピ−β−サンタレン、β−ビサボレン又はトランス−γ−ビサボレンの合成酵素活性を有する変異体ポリペプチドを調製する方法。
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