JP5430328B2 - 土木工事用袋体 - Google Patents

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Description

本発明は土木工事用袋体に関し、特に、河川や海岸のための洗掘防止用構造体、侵食防止用構造体、護岸、防波堤などに適用するために、中詰め材を充填して使用される土木工事用袋体に関する。
護岸緑化工事や根固め工事等の土木工事に用いられる袋体は、合成繊維により構成されることが通例であり、その内部に中詰め材を充填して使用される。そのため、これら土木工事用袋体は、屋外環境下で長期間使用できることが重要であり、高い強度、耐候性、耐摩耗性が要求される。袋材を構成する合成繊維には、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリエチレン以外のポリオレフィン系等の汎用合成繊維が用いられる。これらの汎用合成繊維は、その用途に応じて適宜選定されて使用される。また、土木工事用袋体には織編物が使用されるが、この織編物は、地面、川底、海底の凹凸に追随できる程度の柔軟性および通水性を兼ね備えていればよく、用途に応じて適宜のものが選定される。
特に、河川用および海洋用の袋体は、その内部に中詰め材が充填されたうえで、激しい波浪の影響を受け易い河川岸や海岸に設置される。このため、この袋体を構成する合成繊維は、その内部の中詰め材との摩擦や、周囲の岩石および砂利との摩擦が繰り返し課せられることになる。そのため、短期間使用しただけであっても破網に至ることもあり、そうならないように極めて高い耐摩耗性が要求される。
土木工事用袋体の耐摩耗性を向上させるために、これまで多くの提案がなされている。例えば、袋体を構成可能な合成繊維に改良を施す技術が知られている。合成繊維に耐摩耗性を付与させるための技術例として、特許文献1には、無水マレイン酸改質ポリエチレン/ポリプロピレンゴムを、特許文献2には、特定のポリオレフィンを、それぞれポリアミド繊維の製造工程時に溶融混練することにより、耐摩耗性を有するポリアミド繊維が得られることが記載されている。しかしながら、これらの方法により得られる繊維は、耐摩耗性はある程度改善されるものの、異ポリマーを混練することにより、強度が上がらなかったり、耐摩耗性と強度のバランスが悪かったりする問題点がある。さらに、激しい環境下での長期間の使用を考慮すると、耐摩耗性は未だ十分であるとはいえない。
また、網地に後加工を施して耐摩耗性を向上させる技術が知られている。例えば、特許文献3〜5には、ポリエステル繊維やポリアミド繊維等の合成繊維にて構成される袋材に、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム等の樹脂エラストマーを後加工により被覆し、耐摩耗性および耐衝撃性を向上させる方法が提案されている。しかしながら、網地を作製した後にさらに樹脂を加工する工程が必要となり、生産性やコスト面で問題が残る。
特開平09−209212号公報 特開平07−003526号公報 特開2008−163493号公報 特開2008−163494号公報 特開2008−163495号公報
本発明は、上記のような問題点を解決し、樹脂組成物にて形成された繊維を用いた織編物にて構成された土木工事用袋体であって、特に河川や海洋のような激しい波浪による摩擦が繰り返される厳しい環境下においても、長期間の使用が可能な極めて高い耐摩耗性を有する土木工事用袋体を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の平均粒子径を有する二硫化モリブデン粒子を熱可塑性樹脂に所定量範囲で含有させることで、繰り返し摩擦が課せられる使用環境にあっても、耐摩耗性に優れる土木工事用袋体が得られることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、以下を要旨とする。
(a)繊維を用いた織編物にて構成された土木工事用袋体であって、前記繊維は、耐摩耗性を発現可能な樹脂組成物を含み、前記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、体積平均粒子径が0.1〜2.0μmの二硫化モリブデン粒子とを含み、記樹脂組成物は、前記二硫化モリブデン粒子を、当該樹脂組成物質量に対して0.3〜15質量%含有していることを特徴とする土木工事用袋体。
(b)熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂と、ポリエステル系樹脂と、ポリ乳酸系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂とから選択されたものであることを特徴とする(a)の土木工事用袋体。
本発明の土木工事用袋体は、その袋体の織編物を構成する樹脂組成物が、特定の体積平均粒子径を有する二硫化モリブデン粒子を所定量含有しているため、極めて耐摩耗性に優れている。このような二硫化モリブデン粒子は、樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂中での分散性に優れ、15質量%もの高濃度に添加した場合であっても、土木工事用袋体を構成する繊維の強度低下が非常に少なく、したがって耐摩耗性と強度とのバランスに優れた土木工事用袋体を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の土木工事用袋体の織編物の繊維を形成する樹脂としては、合成繊維を得ることができる熱可塑性樹脂であれば、適宜のものを用いることができる。例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等が挙げられる。
ポリアミドとしては、ポリイミノ−1−オキソテトラメチレン(ナイロン4)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリウンデカナミド(ナイロン11)、ポリラウロラクタミド(ナイロン12)、ポリメタキシレンアジパミド、ポリパラキシリレンデカナミド、ポリビスシクロヘキシルメタンデカナミド等が挙げられる。これらの共重合体やブレンド体であってもよい。中でも、安価で、しかも優れた強力と耐久性とを有するナイロン6が好ましい。
ポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタリン−2,6−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、またはこれらのエステル類を酸成分とし、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等をジオール成分とするホモポリエステル、あるいは共重合体が挙げられる。D−乳酸および/またはL−乳酸を主成分とする乳酸を重合したポリ乳酸であってもよい。これらのポリエステルには、パラオキシ安息香酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、ポリアルキレングリコール、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA等が添加あるいは共重合されていてもよい。
ポリオレフィンとしては、炭素原子数2〜18の脂肪族α−モノオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1,3−メチルブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、ドデセン−1、オクタデセン−1からなるホモポリオレフィンが挙げられる。脂肪族α−モノオレフィンは、他のエチレン系不飽和モノマー、例えばブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、スチレン、α−メチルスチレンのような類似のエチレン系不飽和モノマーが共重合されたポリオレフィンであってもよい。ポリエチレンの場合には、エチレンに対してプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1または類似の高級α−オレフィンが10質量%以下共重合されたものであってもよい。ポリプロピレンの場合には、プロピレンに対してエチレンまたは類似の高級α−オレフィンが10質量%以下共重合されたものであってもよい。
本発明の土木工事用袋体を構成する繊維は、上記のような樹脂組成物を主成分とするものであるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他の樹脂成分をブレンドまたは共重合していてもよい。共重合する場合は、上記の熱可塑性樹脂成分を80モル%以上含有していることが好ましい。上記の熱可塑性樹脂成分の含有量が80モル%未満である場合は、その熱可塑性樹脂成分が本来有している衝撃吸収性や耐候性等を失うこととなり、本発明の目的特性である耐摩耗性等が損なわれることになるので、好ましくない。
本発明の土木工事用袋体は、二硫化モリブデン粒子を、樹脂組成物質量に対して0.3〜15質量%含有していることが必要である。好ましくは0.5〜12質量%、より好ましく0.7〜10.0質量%である。二硫化モリブデン粒子の含有量が0.3質量%未満である場合は、得られる繊維において耐摩耗性の向上効果が不十分となる。一方、その含有量が15質量%を超える場合は、凝集体の発生頻度が高くなり、繊維の製造工程における延伸工程時に、凝集体近傍を起点としてフィラメント内部にミクロボイドが多数形成されるため、強度をはじめとする繊維の特性値が劣るだけでなく、繊維の製造工程における巻き取り時に糸切れが多発し、操業が不安定となる。
本発明における二硫化モリブデンの体積平均粒子径(後述のフィッシャー法にて測定されたもの)は、0.1〜2.0μmであることが必要である。0.15〜1.0μmであることが好ましく、0.2〜0.7μmであることがより好ましい。体積平均粒子径が0.1μm未満であると、耐摩耗性について十分な効果が発現しない場合があり、一方、体積平均粒子径が2.0μmを超えて大きいと、繊維の紡糸にあたってノズル昇圧が大きくなって、糸切れ等が発生することとなる。
二硫化モリブデンは、最大粒子径が10μm以下であることが好ましく、6μm以下であることがさらに好ましく、2μm以下であることがいっそう好ましい。最大粒子径が10μmを超えると、紡糸時にフィルター詰まりが生じたり糸切れが多発したりする等の問題が発生するため好ましくない。なお、最大粒子径の測定は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置により、通常の手法で行うことができる。
上記のような粒子径の二硫化モリブデンは、通常の手法で得ることができる。例えば、天然の輝モリブデン鉱石を粉砕等によって物理的に微粉末化し、浮遊選鉱法で選別することにより、上記粒子径のものを得ることができる。
このような二硫化モリブデン粒子は熱可塑性樹脂中での分散性に優れるため、本発明の土木工事用袋体を構成する繊維は、耐摩耗性が向上しているとともに、二硫化モリブデン粒子が樹脂組成物中に15質量%もの高濃度で添加されていても、繊維の強度低下の割合が少なく、耐摩耗性と強度とのバランスの優れた繊維となる。
すなわち、本発明の土木工事用袋体を構成する繊維は、同様の紡糸・延伸条件にて作製した二硫化モリブデン粒子を含まない基準の繊維と比較して、二硫化モリブデン粒子を15質量%もの高濃度に含有していても強度の低下が少ないものとなる。詳しく説明すると、本発明の土木工事用袋体を構成する繊維は、その強度を上記の基準の繊維の強度と比較した強度比を60%以上保持したものであることが好ましく、70%以上保持したものであることがより好ましく、80%以上保持したものであることがさらに好ましい。また、後述の耐摩耗回数比としては、同様に基準の繊維と比較して1.30倍以上であることが好ましく、1.40倍以上であることがより好ましく、1.50倍以上であることがさらに好ましい。
なお、本発明の土木工事用袋体を構成する繊維において、樹脂組成物に二硫化モリブデン粒子を特定量含有させることにより耐摩耗性が向上する機構の詳細は不明である。しかし、二硫化モリブデン粒子は層状格子構造を有するため、繊維に加えられる摩擦応力により繊維表面近傍に存在する二硫化モリブデンがへき開することにより耐摩耗性を向上させているものと考えられる。特に、上述のように体積平均粒子径を特定範囲に制御していることで繊維表面での二硫化モリブデン粒子の分散状態が均一となることに基づいて、耐摩耗性がより一層向上しているものと考えられる。
本発明の土木工事用袋体を構成する繊維の構造は、特に限定されるものではない。例えば、二硫化モリブデン粒子を含有した樹脂組成物のみから構成される単繊維や中空繊維、あるいは二硫化モリブデン粒子を含有しない他の樹脂との複合繊維等の、いずれの形態を選択することもできる。複合繊維とした場合は、例えば、二硫化モリブデン粒子を含有した樹脂組成物を鞘成分とした芯鞘型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維、同樹脂組成物を海成分とした海島型複合繊維、あるいは他の異形複合繊維など、適宜選択することができる。複合繊維を紡糸するにあたっては、通常の手法を選択することができる。
複合繊維とした場合は、繊維表面での二硫化モリブデン粒子の耐摩耗性への寄与を効果的に発現させるために、二硫化モリブデン粒子を含有した樹脂組成物が繊維表面の少なくとも一部で露出しているように配されていることが好ましい。具体的には、二硫化モリブデン粒子を含有した樹脂組成物が繊維表面の25%以上で露出して配されていることが好ましく、より好ましくは50%以上であり、繊維の全表面をその樹脂組成物が占めていることが最も好ましい。これにより、本発明の土木工事用袋体を構成する繊維は、外部との接触する面が二硫化モリブデン粒子を含有した樹脂組成物となる頻度が高くなるため、全体としての耐摩耗性が効果的に向上することとなる。
複合繊維である場合に、二硫化モリブデン粒子を含有した樹脂組成物とともに用いる他の樹脂成分としては、熱可塑性樹脂であれば特に限定するものではない。例えば、当該樹脂組成物に用いるものと同様の熱可塑性樹脂であって二硫化モリブデン粒子を含有しないもの、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル、ポリ乳酸、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルとしては、共重合成分としてイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、アジピン酸、セバシン酸のようなジカルボン酸成分や、さらに1,6−ヘキサジオール、シクロヘキサンジメタノールのようなジオール成分を含んでいてもよい。
本発明の土木工事用袋体を構成する繊維は、長繊維としても用いてもよいし、短繊維として用いてもよいが、耐摩耗性や強力の面で長繊維とすることが好ましい。長繊維の形態で用いる場合は、複数本の単糸からなるマルチフィラメントであってもよく、単糸1本からなるモノフィラメントであってもよい。マルチフィラメントである場合は、単糸繊度が1〜200dtexであることが好ましい。その総繊度は、20〜5000dtexであることが好ましく、40〜3000dtexであることがより好ましい。モノフィラメントである場合は、繊度を150〜5000dtexとすることが好ましい。
同繊維がモノフィラメントである場合に、単糸の断面形状は、丸断面の他、異形断面、中空断面でもよい。また、複合繊維の場合に、その横断面構造は、上述のように、芯鞘型や貼り合わせ型のほか、並列型(サイドバイサイド)、多重並列型(縞状)、分割型、多層型、放射状型、海島型等の複合断面構造でもよい。
同繊維には、その効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて、例えば、熱安定剤、結晶核剤、艶消し剤、顔料、耐光剤、耐候剤、酸化防止剤、抗菌剤、香料、可塑剤、染料、界面活性剤、表面改質剤、各種無機および有機電解質、微粉体、難燃剤等の各種添加剤を添加することができる。また、得られる繊維の結節強度を高めるために、脂肪酸アミド類、例えば、メタキシリレンビスステアリルアミド、メタキシリレンビスオレイルアミド、キシレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアリン酸アミド等を添加することができる。
土木工事用袋体を構成する織編物の組織は、地面、川底、海底の凹凸に追随できる程度の柔軟性と、通水性とを兼ね備えていれば、特に限定されるものではない。中でも、結節部に応力が集中する有結節編以外の、ラッセル編や無結節編による編地がより好ましい。袋体に直線強力が求められる場合は、無結節編が好ましい。これに対し、使用される状況が過酷で袋体の一部が破損されやすいような場合や、原糸の直線強力は比較的弱くても差支えないが結節強力が良好であることが必要な場合などにおいては、ループで構成されるラッセル編を適用する方が好ましい。網目については、角目、菱目、亀甲目などが挙げられる。
土木工事用袋体として使用するための織編物の強力については、各強力測定方法を用いて測定した場合に、400N以上であることが好ましい。織編物の強力が400N未満であると、土木工事用袋体としての仕様に耐えることが困難であり、袋体が破損しやすくなる。特に根固め工法用に使用される袋体の場合は、石や塊などが激しく衝突するため、より破損しやすくなる。また近年、海洋護岸用の袋体も開発されてきており、その場合は3,000N以上の強力値を有する織編物が求められることがある。
次に本発明の実施例について詳細に説明する。なお、以下の実施例、比較例における各物性値の測定法および評価法は次のとおりである。
(1)二硫化モリブデンの体積平均粒子径
電気抵抗法による測定機器(コールターカウンター・マルチタイザーIII型、ベックマン・コールター社製(アパチャーチューブ100μm))を用いて、粒子の個数と体積を実測した。そして、各二硫化モリブデン粒子の体積から同体積の球を想定し、この球の径を粒子径として換算し、その平均値を体積平均粒子径とした(フィッシャー法)。
(2)繊維繊度(dtex)
JIS L−10153 正量繊度に準じて測定した。
(3)強度(繊維)(cN/dtex)、切断伸度(%)
JIS L−1013 引張強さ及び伸び率の標準時試験に準じて測定した。
(4)強力(編地)(N)
ラッセル編の編地について、編構成トータル繊度5,000dtex未満の編地はJIS L−1043の6.11の6.11.1(a)法に準じて、編構成トータル繊度5,000dtex以上の編地はJIS L−1043の6.11の6.11.1(b)法に準じて、それぞれ200mm/minの引張速度で測定を行った。
(5)耐摩耗性(回)
JIS D−4604の耐摩耗性試験に準じて試験を行った。すなわち、試料の一端に編地の強力値の1.25%の荷重を吊るし、OCHI FILE WORK‘s 社製の丸やすり(300m/m、(12“)丸中目)に対し、この試料を90度の角度で接触させ、ストローク幅330±30mm、ストローク速度30±1回/分で往復摩擦させ、試料が破断に至るまでの回数を測定した。基準繊維の回数との対比において1.30以上であれば合格とした。
(6)ナイロン6(ポリアミド)の相対粘度
96質量%硫酸を溶媒として、濃度1g/デシリットル、温度25℃で測定した。
(7)ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)の相対粘度
フェノール/テトラクロロエタン=1/1(質量比)の混合溶液を用い、濃度0.5g/デシリットル、温度20℃で測定した。
(基準ポリアミド繊維およびそれを用いた編地(比較例1)の作製)
相対粘度が3.5のポリアミド6をエクストルーダー型溶融紡糸機に供給し、紡糸孔の直径0.4mm、孔数210の紡糸口金を用い、紡糸温度285℃で溶融紡糸を行った。紡出した糸条に紡糸油剤を付与し、一旦巻き取ることなく、180℃に加熱した熱ローラで延伸倍率が5.1倍になるように熱延伸を施し、総繊度1590dtexのポリアミド繊維(マルチフィラメント)を得た。
また、得られた繊維を用いて、8本格で網目25mmのラッセル編地を作製した。
(基準ポリエステル繊維およびそれを用いた編地(比較例3)の作製)
相対粘度が1.72のポリエチレンテレフタレートをエクストルーダー型溶融紡糸機に供給し、紡糸孔の直径0.5mm、孔数192の紡糸口金を用い、紡糸温度305℃で溶融紡糸を行った。紡出した糸条に紡糸油剤を付与し、一旦巻き取ることなく、220℃に加熱した熱ローラで延伸倍率が5.1倍になるように熱延伸を施し、総繊度1670dtexのポリエステル繊維(マルチフィラメント)を得た。
また、得られた繊維を用いて、8本格で網目25mmのラッセル編地を作製した。
(基準ポリ乳酸繊維およびそれを用いた編地(比較例5)の作製)
重合温度を230℃として、数平均分子量が138200で、L−乳酸を主体とするポリ乳酸樹脂〔L−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/Dが98.5/1.5〕を得た。これを常法により乾燥した。乾燥後のポリ乳酸を、紡糸孔の直径0.5mm、孔数192の紡糸口金を備えた2軸エクストルーダー型溶融紡糸機に供給し、紡糸温度220℃で溶融紡糸を行った。紡出した糸条に紡糸油剤を付与し、一旦巻き取ることなく、145℃に加熱した熱ローラで延伸倍率が6.7倍になるように熱延伸を施し、総繊度1670dtexのポリ乳酸繊維(マルチフィラメント)を得た。
また、得られた繊維を用いて、8本格で網目25mmのラッセル編地を作製した。
(実施例1)
相対粘度が3.5のナイロン6に、体積平均粒子径が0.3μmの二硫化モリブデン(ダイゾー社製「スーパーファイン」)を、繊維質量に対して0.4質量%となるように添加して、2軸エクストルーダー型溶融紡糸機に供給した。それ以外は、上記基準ポリアミド繊維の作製方法と同様にして、総繊度1590dtexのポリアミド繊維(マルチフィラメント)を得た。
得られた繊維を用いて、8本格で網目25mmのラッセル編地を作製した。
(実施例2〜3、比較例1〜2)
繊維中の二硫化モリブデンの含有量が表1に示す値となるように、二硫化モリブデンの添加量を変更した。それ以外は実施例1と同様にして、ラッセル編地を得た。なお、上記のように、比較例1が、基本ポリアミド繊維を用いた編地であった。
実施例1〜3、比較例1〜2の合成繊維の引張強度と、編地の総繊度、引張強力、耐摩耗性とを測定した結果を表1に示す。
Figure 0005430328
表1から明らかなように、実施例1〜3の編地は、その編地を構成するポリアミド繊維中に特定の二硫化モリブデン粒子を所定量含有していたため、引張強力、耐摩耗性ともに優れたものであった。そのため、繰り返しの摩擦が課せられる分野において使用される土木用袋体に適したものであった。
一方、比較例1の編地は、その編地を構成する繊維中に二硫化モリブデン粒子を含有していなかったため、耐摩耗性に劣るものであった。比較例2の編地は、その編地を構成する繊維中の二硫化モリブデン粒子の添加量が少なすぎたため、耐摩耗性を向上させるに至らなかった。
(実施例4)
相対粘度が1.72のポリエチレンテレフタレートに、体積平均粒子径が0.3μmの二硫化モリブデン(ダイゾー社製「スーパーファイン」)を、繊維質量に対して0.4質量%となるように添加して、2軸エクストルーダー型溶融紡糸機に供給した。それ以外は、上記基準ポリエステル繊維の作製方法と同様にして、総繊度1670dtex、強度8.18cN/dtex、丸断面形状のポリエステル繊維(マルチフィラメント)を得た。
得られた繊維を用いて、8本格で網目25mmのラッセル編地を作製した。
(実施例5〜6、比較例3〜4)
繊維中の二硫化モリブデンの含有量が表2に示す値となるように、二硫化モリブデンの添加量を変更した。それ以外は実施例3と同様にして、ラッセル編地を得た。なお、上記のようえに、比較例3が基本ポリエステル繊維の編地であった。
実施例4〜6、比較例3〜4の合成繊維の引張強度と、編地の総繊度、引張強力、耐摩耗性とを測定した結果を表2に示す。
Figure 0005430328
表2から明らかなように、実施例4〜6の編地は、その編地を構成するポリエステル繊維中に特定の二硫化モリブデン粒子を所定量含有していたため、引張強力、耐摩耗性ともに優れたものであった。そのため、繰り返しの摩擦が課せられる分野において使用される土木用袋体に適したものであった。
一方、比較例3の編地は、その編地を構成する繊維中に二硫化モリブデン粒子を含有していなかったため、耐摩耗性に劣るものであった。比較例4の編地は、その編地を構成する繊維中の二硫化モリブデン粒子の添加量が少なすぎたため、耐摩耗性を向上させるに至らなかった。
(実施例7)
重合温度を230℃とし、数平均分子量が138200で、L−乳酸を主体とするポリ乳酸樹脂〔L−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/Dが98.5/1.5〕を得た。これを常法により乾燥した。乾燥後のポリ乳酸に、体積平均粒子径が0.3μmの二硫化モリブデン(ダイゾー社製「スーパーファイン」)を、繊維質量に対して0.4質量%となるように添加して、2軸エクストルーダー型溶融紡糸機に供給した。それ以外は、上記基準ポリ乳酸繊維の採取方法と同様にして、総繊度1670dtexのポリ乳酸繊維(マルチフィラメント)を得た。
得られた繊維を用いて、8本格で網目25mmのラッセル編地を作製した。
(実施例8〜9、比較例5〜6)
繊維中の二硫化モリブデンの含有量が表3に示す値となるように、二硫化モリブデンの添加量を変更した。それ以外は実施例7と同様にして、ラッセル編地を得た。なお、上記のように、比較例5が、基本ポリ乳酸繊維を用いた編地であった。
実施例7〜9、比較例5〜6の合成繊維の引張強度と、編地の総繊度、引張強力、耐摩耗性とを測定した結果を表3に示す。
Figure 0005430328
表3から明らかなように、実施例7〜9の編地は、その編地を構成するポリ乳酸繊維中に特定の二硫化モリブデン粒子を所定量含有していたため、引張強力、耐摩耗性ともに優れたものであった。そのため、繰り返しの摩擦が課せられる分野において使用される土木用袋体に適したものであった。
一方、比較例5の編地は、その編地を構成する繊維中に二硫化モリブデン粒子を含有していなかったため、耐摩耗性に劣るものであった。比較例6の編地は、その編地を構成する繊維中の二硫化モリブデン粒子の添加量が少なすぎたため、耐摩耗性を向上させるに至らなかった。

Claims (2)

  1. 維を用いた織編物にて構成された土木工事用袋体であって、
    前記繊維は、耐摩耗性を発現可能な樹脂組成物を含み、
    前記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、体積平均粒子径が0.1〜2.0μmの二硫化モリブデン粒子とを含み、
    記樹脂組成物は、前記二硫化モリブデン粒子を、当該樹脂組成物質量に対して0.3〜15質量%含有していることを特徴とする土木工事用袋体。
  2. 熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂と、ポリエステル系樹脂と、ポリ乳酸系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂とから選択されたものであることを特徴とする請求項1記載の土木工事用袋体。
JP2009225674A 2009-09-30 2009-09-30 土木工事用袋体 Expired - Fee Related JP5430328B2 (ja)

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