JP5429708B2 - 生体組織再生用移植材およびその製造方法 - Google Patents

生体組織再生用移植材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、生体組織再生用移植材およびその製造方法に関する。
コラーゲンを主成分とする細胞外マトリックスは、再生医療において細胞増殖の足場(スキャフォード)として利用されている。細胞外マトリックスは、ヒトまたは豚などの異種哺乳動物の組織から細胞成分を除去し、製作される。従来の製作方法では、化学薬品も用いた洗浄、酵素などによる消化処理が行われていた。それらの処理では、生体毒性を有する化学薬品の残留、細胞外マトリックスの劣化などの問題がある。
生体に対して毒性の低い二酸化炭素を機能性溶媒として利用する超臨界流体技術は、材料開発の分野でも応用が進んでいる。超臨界流体を用いた材料製造技術は、以下のように知られている。
本発明者は、超臨界流体技術について、継続して研究開発を行っている。種々の技術分野への超臨界流体技術の応用を見出している。例えば、材料製造技術に関して、本発明者は、以下の特許文献1から3に示されるような技術を報告している。
特許文献1には、超臨界二酸化炭素を利用してフッ素系合成高分子により直径数十マイクロメートルの複合粒子を製造する技術が開示されている。この技術は、超臨界二酸化炭素でフッ素系樹脂を溶解することで得られるフッ素系樹脂被覆のシリカ複合無機粒子を対象としたものであり、生体内で分解される再生医療用の材料を得ることを目的としたものではない。
特許文献2には、有機物質をポリマーでコーティングする技術が開示されている。この技術では、貧溶媒の特異的な共存効果によりアクリルポリマーを溶解して複合化を行っており、極性基を有するアクリルなどのポリマーには有効である。しかし、このようなポリマーは、再生医療用の材料に適しておらず、再生医療用の材料を得ることには適さない。
特許文献3には、超臨界二酸化炭素中に遺伝子増幅酵素を溶解することで、遺伝子を高速に増幅する技術が開示されている。この技術では、超臨界二酸化炭素中でのDNAの増幅反応を対象としたものである。
特許文献1から3に記載の技術は、いずれも、生体内で細胞増殖の足場として利用できる再生医療用の材料を得ることを目的としたものではない。
超臨界二酸化炭素を利用した生物組織の処理に関して、以下の技術が報告されている。
特許文献4には、移植のため骨組織から超臨界二酸化炭素を用いて有機物質を抽出する方法が提案されている。この文献には、ヒトに移植可能であり、且つ、機械的応力に耐久性である、機械的強度が強化されるのに適切であるバイオ材料を獲得するために動物又はヒトの骨組織を処理するための方法が記載されている。
特許文献5には、超臨界二酸化炭素を利用して、感染汚染源および組織処理に使用した化学薬品を組織から除去し、組織の固定化、架橋または活性化のための化学薬品を浸透する方法が、提案されている。
特許文献6には、生理的に許容し得る有機溶媒としてエタノール、n−プロパノールと超臨界二酸化炭素の混合溶媒を使用して、移植用生物軟組織を処理する方法が提案されている。特許文献6に記載の方法では、超臨界二酸化炭素と有機溶媒との混合溶媒は、5ないし20wt%、典型的には18wt%で有機溶媒を含む。この方法は有機溶媒として、タンパク質変性を引き起こしやすいエタノール、n−プロパノールを多く使用しているため、生体組織再生用移植材を得る方法としては好ましくないと考えられる。
特許第3469223号公報 特開平8−113652号公報 特許第4097523号公報 特開平6−218036号公報 米国特許出願公開第20030072677号 特開2007−105081号公報
本発明は、生体組織再生に適した移植材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、生体組織再生用移植材の製造方法を提供する。この方法は、
高圧流体の存在下で、単離された生物軟組織を含む原料に超音波を照射し、組織再生または移植に悪影響を及ぼし得る成分を該原料から除去する工程
を含む。
1つの実施態様では、上記工程は、上記原料が配置された容器内を上記高圧流体が存在し得る温度および圧力に保った状態で、上記超音波を上記原料に照射することで行われる。
さらなる実施態様では、上記原料から除去された上記組織再生または移植に悪影響を及ぼし得る成分は、上記高圧流体とともに上記容器から排出される。
別の実施態様では、上記高圧流体は、二酸化炭素、水、メタン、プロパン、窒素、アンモニア、またはそれらの混合物である。
本発明はまた、上記方法で得られた生体組織再生用移植材を提供する。この移植材は、組織再生または移植に悪影響を及ぼし得る成分が除去された生物軟組織を含む。
本発明によれば、生体組織再生に適した移植材の製造が可能となる。また、生体に有害な化学物質の残留の問題を回避できる。
生体組織再生用移植材を製造するための装置の一実施態様を示す概略模式図である。 生体組織再生用移植材原料である豚の筋肉組織を300倍に拡大した顕微鏡写真である。 超音波を照射することなく超臨界二酸化炭素にて処理した豚の筋肉組織を300倍に拡大した顕微鏡写真である。 超臨界二酸化炭素中で超音波を照射して処理した豚の筋肉組織を300倍に拡大した顕微鏡写真である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、生体組織再生用移植材は、高圧流体の存在下で原料に超音波が照射され、組織再生または移植に悪影響を及ぼし得る成分が該原料から除去されることにより製造される。
本発明における生体組織再生用移植材とは、再生医療に使用し得る生体材料をいう。このような生体材料は、目的の生物(特にヒト)の軟組織に移植され得そして組織再生され得る材料であり得る。本発明においては、移植材は、主として、ヒトまたは異種哺乳動物および鳥類などの生物由来の単離された(例えば、手術により摘出された)生物軟組織を原料とする。生物の軟組織とは、膀胱、心臓、脳、肝臓などの臓器および血管、心臓弁膜、角膜、羊膜、硬膜、皮膚、筋肉などの組織またはそれらの一部のような生体構成細胞の集まりをいう。移植材はまた、移植に適した生体適合性合成高分子(例えば、細胞外マトリックス成分;例えば、コラーゲン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸など)もまた原料とし得るので、移植材は、生物軟組織と生体適合性合成高分子との組み合わせであってもよい。高圧流体(例えば、超臨界二酸化炭素(以下で説明))下での超音波処理は、その高圧流体の細部への高い拡散力を有しているので、生体材料および生体適合性合成高分子の組み合わせを処理することで、移植材のマイクロブレンド構造も実現できる。
原料の生物組織から除去される「生体組織再生または移植に悪影響を及ぼし得る成分」は、移植後の組織の耐久性および自己化に悪影響を及ぼし得る成分であり得る。例えば、細胞核、DNAおよびリン脂質などの細胞成分は、移植および組織再生のために、移植される組織細胞から除去されることが望ましい成分であり得る。
高圧流体を用いた生体組織再生用移植材の製造は、予め投入することにより原料が配置された容器内を高圧流体が存在し得る温度および圧力に保った状態で、原料に超音波照射を行い、原料の生物組織から、生体組織再生または移植に悪影響を及ぼし得る成分を高圧流体中に除去することにより行われ得る。原料の生物組織から高圧流体中に除去された生体組織再生または移植に悪影響を及ぼし得る成分は、その高圧流体と共に容器から排出され得る。
本発明に用いる高圧流体は、超臨界状態、亜臨界状態、もしくは液体状態であり得る。超臨界状態とは、その物質の臨界点以上の温度・圧力下においた物質の状態をいい、気体の拡散性と、液体の溶解性を有する。亜臨界状態とは、臨界点よりもやや低い近傍の領域の物質の状態をいう。液体状態は、超臨界または亜臨界よりも低い温度での液体状態をいう。これらの状態は、圧力または温度の制御によって変化され得る。高圧とは、大気圧よりは高い圧力(すなわち、0.1MPaより高い)であり、物質が超臨界状態、亜臨界状態、もしくは液体状態となり得る高い圧力をいい、流体として用いる物質に依存し得る。
高圧流体は、高圧下で超臨界状態、亜臨界状態、もしくは液体状態である限り、単独物質または2種以上の物質の混合物であってもよい。本発明において高圧流体に用いられ得る物質としては、二酸化炭素、水、メタン、プロパン、窒素、アンモニアなどが挙げられ、それらの混合物であってもよい。特に、二酸化炭素、水、アンモニアおよびこれらの2種または3種の混合物が好ましい。
上述したように、超臨界状態、亜臨界状態、もしくは液体状態は、温度および圧力の制御によって変更され得るので、「高圧流体」は、本発明における方法の過程において、超臨界状態、亜臨界状態、もしくは液体状態になり得る。したがって、例えば、通常、超臨界二酸化炭素とは、臨界温度(Tc:31.1℃)以上でかつ臨界圧力(Pc:7.38MPa)以上の圧力である二酸化炭素をいうが、本明細書においては、「超臨界二酸化炭素を用いる」という場合、必ずしも亜臨界状態もしくは(特に高圧下の)液体状態を排除するわけではない。
二酸化炭素を高圧流体の物質として用いる(特に、超臨界二酸化炭素を用いる)場合の温度は、除去操作を効率的に行う観点から、305.15(約32℃)〜333.15K(約60℃)であることが好ましく、より好ましくは308.15(約35℃)〜325.15K(約50℃)である。
二酸化炭素を高圧流体の物質として用いる(特に、超臨界二酸化炭素を用いる)場合の圧力は、除去操作を効率的に行う観点から、72〜400kg/cm以下であることが好ましく、より好ましくは100〜300kg/cm以下である。
上記のように、二酸化炭素を高圧流体の物質として用いる(特に、超臨界二酸化炭素を用いる)場合には、比較的低温で操作を行うことができる。したがって、操作が容易であるとともに、熱に不安定な原料に対して有効であるという利点がある。また、二酸化炭素は安価であるので、製造コストを削減することができるという利点もある。さらに、二酸化炭素の超臨界流体は、無害であること、圧力操作のみで反応を制御できること、残存溶媒の問題がないなどの利点も有している。したがって、二酸化炭素を高圧流体の物質として用いる(特に、超臨界二酸化炭素を用いる)ことが好ましい。
二酸化炭素などを高圧流体として用いる場合、高圧流体への溶質の溶解度を高めるために、少量の化学物質が高圧流体に添加され得る。この化学物質をエントレーナーという。本発明においては、高圧流体にエントレーナーを添加しなくても実施できる。エントレーナーを添加する場合、極性溶媒が好ましく、例えば、酢酸、ホルマリン、エタノール、メタノール、アセトン、アンモニアおよび水が挙げられる。極性溶媒の中では、少量では細胞に殆ど無害と考えられる酢酸、ホルマリン、エタノール、および水が好ましい。非極性溶媒であるイソオクタンもまた細胞にほとんど影響がない量であれば用いられ得る。エントレーナーを添加する場合であっても、高圧流体に対して0〜4質量%の程度の少量で添加され得る。
高圧流体の存在下での超音波照射は、一般に15から400kHz、好ましくは20kHzの周波数の超音波振動を引き起こす部品(例えば、超臨界装置の高圧セル内部に組み込んだホーン)を作動させることによって行われ得る。例えば、ソリッドステートパワーサプライ(電源)によって20kHzに増幅した電気的エネルギーが、コンバーターによって縦方向の機械的振動に変換され得、この変換された機械的振動がホーンに伝達され得る(これを、超音波振動という)。超音波振動は圧力波となり、キャビテーションを引き起こし得る。キャビテーションとは、溶液(流体)中の局所的な圧力低下による無数の極めて小さな気泡の形成および減衰の連続をいう。超音波照射は、ホーン型振動子を高圧セルの内部に装着することが好ましいが、ラジュバン型振動子を高圧セルの外側に装着することでも、可能である。超音波の波長は、生物組織から生体組織再生または移植に悪影響を及ぼし得る成分を高圧流体中に除去するのに有効であるが生体組織再生に悪影響を与えないことが望ましく、15〜25kHzが好ましい。
容器としては、オートクレーブ、耐圧セルなどが挙げられる。
生体組織再生用移植材の製造のための装置は、概して、単離された生物軟組織を含む原料を配置するための容器;高圧流体を該容器に供給する手段;該原料に超音波を照射する手段;および該高圧流体を該容器から排出および回収する手段を備えるように、設計され得る。生体組織再生用移植材の製造のために、従来の超臨界技術において用いられる装置を、応用し得る。以下、このような装置の具体例を、二酸化炭素を用いる場合について説明する。
例えば、図1に示すような超臨界二酸化炭素を用いた装置を使用することができる。図1に示す装置Aは、二酸化炭素を高圧に供するための昇圧部A1、容器内で高圧流体下にて原料に超音波照射を行うための混合部A2、および容器から二酸化炭素を除去し回収する回収部A3で構成され、昇圧部A1と混合部A2とはストップバルブV−2を境にして、そして混合部A2と回収部A3とはストップバルブV−4を境にして区切られ得る。
昇圧部A1は、超臨界流体としての二酸化炭素用の高圧ポンプを有する。この高圧ポンプとして液体二酸化炭素の昇圧用ポンプ5が用いられ、この昇圧用ポンプ5へ二酸化炭素を供給するボンベ1を備える。液体二酸化炭素の供給源として、液体二酸化炭素が充填されたサイフォン付きのボンベが使用され得る。
ボンベ1と昇圧用ポンプ5との間には、乾燥剤が充填された乾燥管2が設けられている。ボンベ1からの液体二酸化炭素がこの乾燥管2を通過することにより、液体二酸化炭素中の水分が除去される。
昇圧部A1は、乾燥管2の下流に冷却ユニット3を備える。冷却ユニット3内には、例えば、エチレングリコールが充填されており、このエチレングリコールが約260Kに冷却されるようにされている。上記の乾燥管2の通過中に乾燥剤によって水分が除去された液体二酸化炭素は、冷却ユニット3のエチレングリコールによって冷却され、昇圧用ポンプ5に供給される。
また、冷却ユニット3と昇圧用ポンプ5との間には、フィルター4が設けられている。フィルター4によって、ゴミなどの不純物を除去し、昇圧用ポンプ5内に不純物が混入するのが防止され得る。
フィルター4を通過した二酸化炭素が昇圧用ポンプ5に供給される。昇圧用ポンプ5のヘッド部分には、液体二酸化炭素の気化を防ぐために冷却器が装着され得る(図示せず)。
昇圧部A1には、圧力調節弁V−1が設けられている。圧力調節弁V−1によって、昇圧部A1および混合部A2の系内の圧力を任意の圧力に設定し得る。
昇圧部A1には、圧力計6が設けられている。圧力計6によって昇圧部A1の系内の圧力を測定し得る。圧力計6には、上限接点出力端子が付いており、指定圧力で、昇圧用ポンプ5の電源を切るように設定され得る。
昇圧部A1と混合部A2との間に、ストップバルブV−2が配置されている。ストップバルブV−2によって混合部A2への二酸化炭素の供給を調節し得る。
また、昇圧部A1と混合部A2との間には、安全性を確保するために、安全弁7が設けられている。
混合部A2は、水恒温槽12内に設置される。水恒温槽12内は、温度制御器(図示せず)により、水温を±0.1℃で制御され得る。水恒温槽12内の温度を測定するために、温度測温部16を備える。
水恒温槽12内に高圧セル10が設置される。高圧セル10は、耐熱性および耐圧性であることが好ましい。高圧セル10内で、超臨界二酸化炭素存在下での原料(生物軟組織)への超音波照射が行われる。高圧セル10の内部に、超音波発生用セル(ホーン)11が備え付けられ得る。超音波電源15によって20kHzに増幅した電気的エネルギーが、コンバーター(図示せず)によって縦方向の機械的振動に変換され、この変換された機械的振動が超音波発生用セル(ホーン)11に伝達される(超音波振動)。超音波発生用セル11より発生した超音波振動は圧力波となり、高圧セル10内部に配置された原料(生物軟組織)に照射し得る。高圧セル10内では、このようにして超臨界二酸化炭素の存在下での超音波照射が行われ、原料組織からの生体組織再生もしくは移植に悪影響を及ぼし得る成分の除去(例えば、超臨界二酸化炭素に抽出される)が促進され得る。
高圧セル10への二酸化炭素の供給は、以下のように行われ得る。ストップバルブV−2から供給される液体二酸化炭素は、高圧セル10に供給されるまでに水恒温槽12内で超臨界流体とされ得る。ストップバルブV−2から供給される液体二酸化炭素は、水恒温槽12内に設置した予熱カラム8、逆止弁9、およびストップバルブV−3を介して高圧セル10内に導入される。予熱カラム8は、溶媒二酸化炭素を平衡温度まで加熱し、超臨界状態とし得る。逆止弁9は、流体の逆流を防止するために備えられる。ストップバルブV−3は、高圧セル10への二酸化炭素流体の供給を調節し得る。
高圧セル10には圧力計13が備えられ、圧力計13は、高圧セル10内の圧力を測定し得る。
また、高圧セル10の下流側に安全弁14が設置され、安全弁14は、高圧セル10内の圧力上昇による爆発を防止し得る。
混合部A2において高圧流体中で原料組織に超音波を照射した後、二酸化炭素は高圧セル10外に排出される。排出された二酸化炭素を回収するために、水恒温槽12外に空気恒温槽19が備えられ、回収部A3を構成する。回収部A3は、空気恒温槽19中に、二酸化炭素および原料から除去された成分を分離し得る。高圧セル10から空気恒温槽19の間には、水恒温槽12内に配置されるストップバルブV−4が設けられ、混合部A2と回収部A3との境となる。回収部A3には、水恒温槽外の加熱管17、および加熱管17に接続されたノズル18がさらに備えられる。減圧に伴う試料の凝縮または超臨界二酸化炭素によるドライアイスの発生を防ぐために、加熱管17は、ヒーター(図示せず)によって加温され得る。
ストップバルブV−4の開放により、二酸化炭素が原料から除去した成分と共に高圧セル10から排出され、加熱管17を通り、ノズル18から噴射され、空気恒温槽19に導入される。したがって、原料から除去された成分が、二酸化炭素と共に空気恒温槽19に送られ、混合部A2から分離され得る。
処理後の生体組織再生用移植材の原料を取り出す前に、高圧セル10内の圧力を圧力調節弁V−1によって大気圧下に調整し得る。
高圧流体の存在下で、超音波を照射された原料(生物軟組織)は、生体組織再生もしくは移植に悪影響を及ぼし得る成分(例えば、細胞核およびその構成成分)が除去または減少されている。したがって、このような処理を受けた原料(生物軟組織)は、生体組織再生用移植材として用いられ得る。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明は、下記実施例に何ら制限されるものではない。
本実施例では、図1に示す装置を使用した。本装置について、以下に説明する。
昇圧部A1で用いるボンベ1として、液体二酸化炭素が充填されたサイフォン付きのボンベを使用した。
昇圧用ポンプ5としては、GLサイエンス(株)製の高圧用シングルプランジャーポンプAPS−5L(最大圧力58.8MPa、常用圧力49.0MPa、流量0.5〜5.2ml・min−1)を使用した。昇圧用ポンプ5のヘッド部分には、液体二酸化炭素の気化を防ぐために冷却器を装着した(図示せず)。
乾燥管2として、GLサイエンス(株)製のキャリヤーガス乾燥管、材質SUS316、最高使用圧力20MPa、内径35.5mm、長さ310mmのものを使用しており、乾燥剤としては、GLサイエンス(株)製のモレキュラーシーブ5A(1/16インチPellet)を使用した。
冷却ユニット3として、ヤマト科学製BL−22を使用した。冷却ユニット3内には、約260K(約−13℃)に冷却されたエチレングリコールを充填した。
フィルター4として、細孔平均径が約10μmのもの(GLサイエンス(株)製FT4−10型)を使用した。
圧力調節弁V−1として、TESCOM製の26−1721−24を使用した。この圧力調節弁V−1は、圧力±0.1MPa以内の精度で系内の圧力を制御でき、最大使用圧力は41.5MPaである。
昇圧部A1の系内の圧力を測定するために昇圧部A1に設置される圧力計6として、ブルドン式のものでGLサイエンス(株)製LCG−350(最大使用圧力34.3MPa)を使用し、指定圧力(25MPa)で、昇圧用ポンプ5の電源を切るように設定した。なお、圧力計6は、司測研(株)製エコノミー圧力計PE−33−A(歪ゲージ式、精度±0.3%)によって検定されたものである。
混合部A2への二酸化炭素の供給を調節するためのストップバルブV−2として、GLサイエンス(株)製の2Way Valve02−0120(最大使用圧力98.0MPa)を使用した。
また、安全性を確保するために昇圧部A1に設置される安全弁7として、ニプロ製のスプリング式のものを使用した。
なお、昇圧部A1のボンベ1からフィルター4までの間以外の配管には、GLサイエンス(株)製の1/16インチのステンレス管(材質SUS316、外径1.588mm、内径0.8mm)を用い、他の部分は全て、GLサイエンス(株)製の1/8インチのステンレス管(材質SUS316、外径3.175mm、内径2.17mm)を用いた。
混合部A2は、槽全体の高さの調節が可能な水恒温槽12内に構成される。水恒温槽12の内容積は1mであり、チノー(株)製の温度制御器DB1000により、水温を±0.1℃の公差の範囲内に収まるように制御した(図示せず)。水恒温槽12内の温度を測定するための温度測温部16として、チノー(株)製の白金抵抗測温体1TPF483を用いた。
水恒温槽12内に設置される高圧セル10として、東洋高圧製抽出セルを用い、材質SUS316、設計圧力39.2MPa(400kg/cm)、設計温度423.15K(150℃)、内径55mm、高さ220mm、内容積500mlとした。
高圧セル10への二酸化炭素の供給の際に用いる予熱カラム8として、GLサイエンス(株)製の1/8インチステンレス管(材質SUS316、外径3.175mm、内径2.17mm、長さは約4m)を直径55mm、長さ140mmのスパイラル状に変形したものを用いた。予熱カラム8により超臨界流体とされた二酸化炭素の逆流を防止する逆止弁9として、ニプロ製SS−CHS4−10(最大使用圧力41.2MPa)を用いた。高圧セル10への二酸化炭素の供給を調節するためのストップバルブV−3として、ストップバルブV−2と同じものを用いた。
高圧セル10内に、ソニックアンドマテリアル(株)製の超音波発生装置モデルVC505の超音波発生用セル(ホーン)11を設置し、出力を0〜500Wとした。
この超音波発生用セル(ホーン)11に超音波発生用電源15を接続した。超音波発生用セル11は、先端部(直径1cm、厚み5mm)は材質がチタンである。エネルギーを機械的振動に変換するコンバーター(図示せず)を用いた。超音波発生用電源15によって20kHzに増幅した電気的エネルギーから変換された縦方向の機械的振動を先端部に伝達する部位は、ステンレス製で直径1cm、長さ10cmである。超音波発生用セル11より発生した超音波振動は、圧力波となり、その高圧セル10内部の原料(生物軟組織)に照射した。
高圧セル10内の圧力を測定するために混合部A2に設置される圧力計13としては、山崎計器製作所製のブルドン式圧力計E93004 6B(最大圧力49.0MPa)を用い、この圧力計の検定に、司測研(株)製のエコノミー圧力計PE−33−A(歪ゲージ式、精度±0.3%FS、FS:kgf/cm)を使用した。
また、高圧セル10内の圧力上昇による爆発を防止するためのセル10の下流側の安全弁14として、ニプロ製のスプリング式のもの(177−R3AKI−G)を使用した。この安全弁14は、高圧セル10系内の圧力が25MPaとなると作動するように設定した。
高圧セル10からの二酸化炭素の排出を調節するためのストップバルブV−4として、ストップバルブV−2と同じものを用いた。回収部A3の加熱管17として、(株)東京技術研究所製のリボンヒーターを備えたGLサイエンス(株)製の1/8インチのステンレス管(材質SUS316、外径3.175mm、内径2.17mm)を用いた。ノズル18はスプレーイングシステムススジャパン製のフォームジェットノズルMEFを用いた。空気恒温槽19は、内容積は3mであり、チノー(株)の温度制御器DB1000により、気温を±0.1℃の公差の範囲内に収まるように制御した。
(実施例1)
生体組織再生用移植材の原料として豚の筋肉組織を上記装置に供した。超臨界二酸化炭素にはエントレーナーを添加しなかった。高圧セル10内の温度および圧力を、まず32℃〜35℃付近で約100〜130kg/cm付近まで昇圧し、次いで徐々に温度を上げていき、最終的に38℃、150kg/cm付近で安定させた。次いで、超音波発生装置の出力を200Wに設定し、超音波発生用電源15をオンにして、20kHzの超音波を超音波発生用セル11から20分間、筋肉組織に照射した。処理後の筋肉組織は、圧力調節弁V−1ならびにストップバルブV−2およびV−4にて高圧セル10内の圧力を大気圧に調整した後、高圧セル10から取り出した。装置から取り出した筋肉組織について、組織検査用薄片試料を常法により調製し、ヘマトキシリン・エオシン染色した後、光学顕微鏡にて観察した。比較のために、処理前の原料の筋肉組織および上記装置内で超音波を照射せずに超臨界二酸化炭素処理のみ行った筋肉組織もまた、同様に組織検査用薄片試料を調製し、ヘマトキシリン・エオシン染色した後、光学顕微鏡にて観察した。ヘマトキシリン・エオシン染色では、好塩基性である細胞核が青色に染色されるので、目視により細胞核の有無を確認した。
これらのヘマトキシリン・エオシン染色した薄片試料の顕微鏡写真(300倍に拡大)を図2から図4に示す。図2は処理前の原料、図3は、超音波を照射することなく超臨界二酸化炭素にて処理した豚の筋肉組織、そして図4は、超臨界二酸化炭素中で、超音波を照射し、処理した豚の筋肉組織の結果を示す。超臨界二酸化炭素中で、超音波を照射し、処理した豚の筋肉組織(図4)は、処理前の原料(図2)および超音波を照射することなく超臨界二酸化炭素にて処理した豚の筋肉組織(図3)よりも、細胞核が少なかった。
本発明によれば、生体組織再生に適した移植材の製造が可能となる。このような移植材は、再生医療技術の医療材料として好適に用いられ得る。したがって、本発明は、生体組織再生の利用ならびに移植材の製造に関する技術分野、特に医療、ならびに医薬品、化粧品などの製造において有用である。
1 ボンベ
2 乾燥管
3 冷却ユニット
4 フィルター
5 昇圧用ポンプ
6 圧力計
7 安全弁
8 予熱カラム
9 逆止弁
10 高圧セル
11 超音波発生用セル
12 水恒温槽
13 圧力計
14 安全弁
15 超音波発生用電源
16 温度測温部
17 加熱管
18 ノズル
19 空気恒温槽
V−1 圧力調節弁
V−2 ストップバルブ
V−3 ストップバルブ
V−4 ストップバルブ

Claims (5)

  1. 生体組織再生用移植材の製造方法であって、
    高圧流体の存在下で、単離された生物軟組織を含む原料に超音波を照射し、組織再生または移植に悪影響を及ぼし得る成分を該材料から除去する工程
    を含み、
    該高圧流体が、超臨界状態、亜臨界状態または液体状態の二酸化炭素である、方法。
  2. 前記工程が、前記原料が配置された容器内を前記高圧流体が存在し得る温度および圧力に保った状態で、前記超音波を前記原料に照射することで行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記原料から除去された前記組織再生または移植に悪影響を及ぼし得る成分が、前記高圧流体とともに前記容器から排出される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記高圧流体の圧力が72kg/cm から400kg/cm である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の方法で得られた生体組織再生用移植材であって、組織再生または移植に悪影響を及ぼし得る成分が除去された生物軟組織を含む、移植材。
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