以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施形態]
図1に本発明の第1の実施形態における固体撮像装置、いわゆるCMOSイメージセンサの概略構成を示す。本実施形態例に係る固体撮像装置1は、複数の画素2が、規則性をもって2次元配列された撮像部(いわゆる画素部)3と、撮像部3の周辺に配置された周辺回路とを有する。周辺回路は、垂直駆動部4、水平転送部5、終端回路7、及び出力部6を有して構成され、また、垂直駆動部4及び終端回路7に入力される所望の信号を発生させるための信号発生回路を有する。
画素2は、1つの光電変換素子であるフォトダイオードPDと、複数の画素トランジスタ(MOSトランジスタ)とにより構成される。
画素2において、フォトダイオードPDは、光入射で光電変換され、その光電変換で生成された信号電荷を蓄積する領域を有して成る。複数の画素トランジスタは、転送トランジスタTr1、リセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3及び、選択トランジスタTr4の4つのMOSトランジスタを有している。転送トランジスタTr1は、フォトダイオードPDに蓄積された信号電荷をフローティングディフュージョン領域FDに読み出すトランジスタである。リセットトランジスタTr2は、フローティングディフュージョン領域FDの電位を規定の値に設定するためのトランジスタである。増幅トランジスタTr3は、フローティングディフュージョン領域FDに読み出された信号電荷を電気的に増幅するためのトランジスタである。選択トランジスタTr4は、画素1行を選択して画素信号を垂直信号線8に読み出すためのトランジスタである。
なお、図示しないが、選択トランジスタTr4を省略した3つのトランジスタとフォトダイオードPDで画素を構成することも可能である。
画素2の回路構成では、転送トランジスタTr1のソースがフォトダイオードPDに接続され、そのドレインがリセットトランジスタTr2のソースに接続される。転送トランジスタTr1とリセットトランジスタTr2間の電荷−電圧変換手段となるフローティングディフュージョン領域FD(転送トランジスタのドレイン領域、リセットトランジスタのソース領域に相当する)が増幅トランジスタTr3のゲートに接続される。増幅トランジスタTr3のソースは選択トランジスタTr4のドレインに接続される。リセットトランジスタTr2のドレイン及び増幅トランジスタTr3のドレインは、電源電圧供給部に接続される。また、選択トランジスタTr4のソースが垂直信号線8に接続される。
垂直駆動部4は、転送トランジスタTr1、リセットトランジスタTr2、選択トランジスタTr4のそれぞれのゲートに接続される転送信号線、リセット信号線、選択信号線に、所望のパルス信号を入力するための駆動回路を有する。すなわち、垂直駆動部4から、リセット信号線を介し、1行に配列された画素2のリセットトランジスタTr2のゲートに、共通に印加される行リセット信号φRSTが供給される。同じく、垂直駆動部4から、転送信号線を介して、1行の画素の転送トランジスタTr1のゲートに、共通に印加される行転送信号φTRFが供給される。さらに、同じく、垂直駆動部4から、選択信号線を介して、1行の選択トランジスタTr4のゲートに、共通に印加される行選択信号φSELが供給される。
水平転送部5は、各列の垂直信号線8に接続された、アナログ/デジタル変換器9と、行選択回路(スイッチ手段)SWと、水平転送線10とを有して構成される。出力部6は、増幅器又は、アナログ/デジタル変換器及び/又は信号処理回路から構成されるものであるが、本例では、水平転送線10からの出力を処理する信号処理回路11と、出力バッファ12とを有して構成される。また、水平転送線10は、例えばデータビット線と同数の信号線で構成されたバス信号線で構成される。
終端回路7は、所望の転送信号線を一定電圧に固定するための回路であり、図2に、その構成例の一例を示す。終端回路7は、図2に示すように、MOSトランジスタからなる制御トランジスタTr5により構成される。制御トランジスタTr5としては、nチャネル、またはpチャネルのMOSトランジスタを用いることができ、この例においては、nチャネルのMOSトランジスタを用いる例としている。この制御トランジスタTr5において、ソースは低電圧VLに接続され、ゲートには、信号発生回路16から出力される制御信号φTERMが供給され、ドレインは、転送信号線14に接続される。また、この終端回路7は、転送信号線14の行転送信号φTRFが供給される側とは反対側の端部に接続されるものである。この低電圧VLは、転送信号線14に入力されるローレベルの電圧と等しい電圧であればよく、例えば、典型的なローレベル電圧として0Vが挙げられる。
この終端回路7は、制御トランジスタTr5のゲートに、制御信号φTERMを入力することにより、転送信号線14に低電圧VLを供給することができる回路である。
この例において、終端回路7は、ローレベルの低電圧VLに終端させる例としたが、これに限れられるものではない。例えば、ダイナミックレンジの拡大を目的として、中間電位に固定する場合もあり得る。この場合は、フォトダイオードの電荷量を蓄積時間の途中まで小さめにしておき、転送ゲートを中間電位にして電荷をあふれさせ、途中から完全に転送ゲートを閉じて残り時間でさらに電荷を蓄積する構成とされる。
すなわち、終端回路7の電位は、センサの仕様に応じて任意の電位とすることができるものである。
また、終端回路7の構成例は、図2に示す例に限られるものではない。
信号発生回路16は、各部の動作に必要なクロックや、所定タイミングのパルス信号、各信号線に供給されるアドレス信号を生成するものである。信号発生回路16において発生されたアドレス信号は、図示しないデコーダ等を介して、所望の垂直駆動部4の転送信号用駆動回路、リセット信号用駆動回路、選択信号用駆動回路に入力される。転送信号用駆動回路に入力されるパルス信号を、行転送信号φTRF、リセット信号用駆動回路に入力されるパルス信号を、行リセット信号φRST、選択信号用駆動回路に入力されるパルス信号を、行選択信号φSELとする。
また、同じく、信号発生回路16において発生されるパルス信号の一部は、終端回路7を構成する制御トランジスタTr5のゲートに入力される。そのパルス信号を、制御信号φTERMとする。
この固体撮像装置1では、各行の画素2の信号が各アナログ/デジタル変換器9にてアナログ/デジタル変換され、順次選択される行選択回路SWを通じて水平転送線10に読み出され、順次に水平転送される。水平転送線10に読み出された画像データは、信号処理回路11を通じて出力バッファ12より出力される。
[固体撮像装置の動作]
画素2における一般的な動作を説明する。
最初に、転送トランジスタTr1のゲートとリセットトランジスタTr2のゲートをオン状態にして、フォトダイオードPDの電荷を全て空にする。次いで、転送トランジスタTr1のゲートと、リセットトランジスタTr2のゲートをオフ状態にして、電荷蓄積を行う。次に、フォトダイオードPDの電荷を読み出す直前に、リセットトランジスタTr2のゲートをオン状態にして、フローティングディフュージョン(FD)領域の電位をリセットする。その後、リセットトランジスタTr2のゲートをオフ状態にし、転送トランジスタTr1のゲートをオン状態にして、フォトダイオードPDからの電荷をフローティングディフュージョン(FD)領域へ転送する。増幅トランジスタTr3では、ゲートに電荷が印加されたことを受けて信号電荷を電気的に増幅する。一方、選択トランジスタTr4は、読み出し対象画素のみオン状態とし、該当する画素内の増幅トランジスタTr3からの電荷−電圧変換された画像信号が垂直信号線8に読み出されることとなる。
これらの、転送トランジスタTr1、リセットトランジスタTr2、選択トランジスタTr4のON/OFFは、垂直駆動部4から供給される行転送信号φTRF、行リセット信号φRST、行選択信号φSELによってなされる。図3に、上述した信号電荷の読み出し時における、動作タイミング例を示す。図3に示すように、期間T1において、フォトダイオードPDの電荷を空にし、期間T2で電荷蓄積を行う。そして、期間T2の後半部分の期間T4でフローティングディフュージョン領域FDの電位をリセットし、このフローティングディフュージョン領域FDのリセット電位をリセットレベルとして読み出す。その後、期間T3で、フォトダイオードPDに蓄積された信号電荷をフローティングディフュージョン領域FDに転送し、このときのフローティングディフュージョン領域FDの電位を期間T5で信号レベルとして垂直信号線8に読み出す。
そして、信号発生回路16から出力されるアドレス信号により、各行毎に、選択的に行転送信号φTRF、行リセット信号φRST、行選択信号φSELが順次供給され、行選択信号φSELの供給により選択された行毎に、信号電荷が、垂直信号線8に読み出される。
本実施形態例では、終端回路7を構成する制御トランジスタTr5のゲートには、所定の期間、制御信号φTERMが供給される。この制御信号φTERMは、選択されていない転送信号線14のうちの、所望の転送信号線14に入力されるものである。選択されていない行の転送信号線14では、転送信号線14に接続される転送信号用駆動回路からは、低電圧VLが供給されている。そして、制御信号φTERMが供給された場合、制御トランジスタTr5のソースは、低電圧VLに接続されているので、終端回路7からも、転送信号線14に低電圧VLが供給されることとなる。このため、制御信号φTERMが供給された転送信号線14は、両側から低電圧VLが同期して入力される。これにより、制御信号φTERMが供給された転送信号線14は、両側から同電位が供給されるため、信号線内の抵抗Rが、片側から電圧を供給する場合の1/2程度に低減され、隣接する信号線との信号線間容量Cも低減させることができる。これにより、制御信号φTERMが供給された転送信号線14では、その転送信号線14に隣接するリセット信号線13、選択信号線15、若しくは他の転送信号線14との間で起こるクロストークを抑制することができ、信号遷移速度の低下を防ぐことができる。
ところで、固体撮像装置1においては画素部において、フォトダイオードを読み出すための転送信号線14へのクロストークが最も懸念される。なぜならば、蓄積期間中のフォトダイオードPDの転送ゲートが混信により開いてしまうと、特に高輝度時など、フォトダイオードPDに十分信号電荷が蓄積されているときには、信号電荷の漏れを生じてしまうからである。
本実施形態例では、特に、転送信号線14に終端回路7を接続し、所望の転送信号線14を一定電圧に固定できる構成としている。これにより、転送信号線14において、隣接する他の信号線からのクロストークを抑制することで、信号電荷の漏れを低減できる。
以下に、終端回路7の駆動方法例を、その駆動方法例を実施するための回路構成例を図示して詳述する。
[駆動方法例1]
まず、駆動方法例1として、撮像部3内において転送信号線14同士が隣接する場合の固体撮像装置1の駆動方法を、図4A,Bを用いて説明する。図4Aにおいて、図1に対応する部分には、同一符号を付し、重複説明を省略する。
図4Aは、固体撮像装置1の要部の概略構成であり、駆動方法例1を実施するための回路構成を有するものである。図4Aは、撮像部3の行方向に延びる転送信号線14と、その転送信号線14に隣接して形成される他の転送信号線14(以下、隣接転送信号線14a)及び、その転送信号線14、隣接転送信号線14aに接続される周辺回路を模式的に示すものである。また、図4Bには、駆動方法例1における動作タイミングを示す。ここで、転送信号線をi番目の行に相当する転送信号線14iとすると、隣接転送信号線14aは、例えば、i+1番目の行に相当する転送信号線14i+1と見ることができる。
転送信号線14、及び隣接転送信号線14aの一方の端部は、垂直駆動部4に接続されており、それぞれ、垂直駆動部4内において、転送信号用駆動回路4aに接続されている。そして、隣接転送信号線14aの他方の端部は、終端回路7に接続されている。この終端回路7は、図2で説明した構成例と同様であるから、重複説明を省略する。そして、終端回路7及び垂直駆動部4には、それぞれ、信号発生回路16において発生された所望のパルス信号が入力される。
垂直駆動部4内の転送信号用駆動回路4a、及び終端回路7のゲートには、信号発生回路16により発生された行転送信号φTRF、及び制御信号φTERMがそれぞれ入力される。ここで、行転送信号φTRF及び、制御信号φTERMは、実際には、信号発生回路16から出力されるアドレス信号等のパルス信号を、図示しないデコーダや論理回路に入力することにより生成されるものである。
この固体撮像装置1では、転送信号線14に接続される転送信号用駆動回路4aに入力される行転送信号φTRFと、終端回路7に入力される制御信号φTERMとは、それぞれ同期するように、信号発生回路16から出力する。また、転送信号用駆動回路4aに入力される行転送信号φTRFのパルス幅W1よりも、終端回路7に入力される制御信号φTERMのパルス幅W2の方は十分長く構成する。これにより、信号発生回路16から発生される行転送信号φTRFを転送信号要駆動回路4aに入力するまでの信号遅延時間と、制御信号φTERMを終端回路7に入力するまでの信号遅延時間との差を、吸収することができる。
そして、図4Bに示すように、行転送信号φTRFのパルスの立ち上がりよりも早いタイミングで、制御信号φTERMが終端回路7に入力されるように構成する。また、行転送信号φTRFのパルスの立ち下がりよりも遅いタイミングで、制御信号φTERMのパルスが立ち下がるように構成する。
このような回路構成を有する固体撮像装置において、転送信号線14を駆動するために、行転送信号φTRFを信号発生回路16から出力する。そうすると、図4Bに示すように、信号発生回路16からは、制御信号φTERMも出力され、終端回路7の制御トランジスタTr5のゲートには、行転送信号φTRFが転送信号線14に入力されるよりも早いタイミングで、制御信号φTERMが入力される。そして、制御信号φTERMにより制御トランジスタTr5がON状態とされ、隣接転送信号線14aは、その他端に接続された終端回路7側から低電圧VLが印加される。そして、このとき、隣接転送信号線14aは信号電荷の読み出しがされない、すなわち、選択されていない行であるので、隣接転送信号線14aには、その一端の垂直駆動部4側からも低電圧VLが印加されている状態である。このため、制御信号φTERMにより制御トランジスタTr5がONされた状態において、隣接転送信号線14aは、両側から低電圧VLに電位が固定される。
そして、隣接転送信号線14aが一定電位に固定された後に、転送信号線14に行転送信号φTRFが入力される。そうすると、行転送信号φTRFが入力されるタイミングにおいては、すでに、隣接転送信号線14aは、低電圧VLに電位固定されており、かつ、隣接転送信号線14aの両側から同期した電位が供給されていることで、隣接転送信号線14a内の信号線抵抗Rが1/2程度に低減されている。このため、転送信号線14と隣接転送信号線14aとの間にできる信号線間容量Cが低減され、転送信号線14における行転送信号φTRFの立ち上がり時における隣接転送信号線14aとの間の信号のクロストークが低減される。
そして、これにより、隣接転送信号線14aにおいて、行転送信号φTRFのパルスの立ち上がりの影響、すなわち、誤信号となる微分パルスの発生を低減することができる。すなわち、隣接転送信号線14aの電位固定を強くすることにより、クロストークによる隣接転送信号線14a内の信号変動を、起きにくくすることができる。
従来、転送信号線14の行転送信号φTRFのパルスの立ち上がりの影響で、隣接転送信号線14aにおいて、微分パルスによる信号変動が起こった場合、ON状態の電位が、隣接転送信号線14aに接続される転送ゲートに入力されてしまう問題があった。
これに対して、この駆動方法例1においては、転送信号線14に行転送信号φTRFが入力された際に、隣接転送信号線14aにおいて、微分パルスの発生が抑制されて、クロストークが抑制される。これにより、隣接転送信号線14aで起こる不要な信号電荷の漏れを防ぐことができる。
[駆動方法例2]
次に、駆動方法例2として、撮像部3内において転送信号線14同士が隣接する場合の固体撮像装置の他の駆動方法を、図5A,Bを用いて説明する。図5Aにおいて、図1に対応する部分には、同一符号を付し、重複説明を省略する。
図5Aは、固体撮像装置1の要部の概略構成であり、駆動方法例2を実施するための構成を有するものである。図5Aは、撮像部3の行方向に延びる4行分の転送信号線14を図示したものであり、2n+1行目(奇数行)〜2n+4行目(偶数行)の転送信号線14(2n+1)〜14(2n+4)を代表して図示している。また、図5Bには、駆動方法例2における動作タイミングを示す。この例においては、例えば、上の2つの転送信号線14(2n+1),14(2n+2)が互いに隣接して設けられており、下の2つの転送信号線14(2n+3),14(2n+4)が互いに隣接して設けられているものとする。
これらの転送信号線14(2n+1)〜14(2n+4)の一方の端部は、垂直駆動部4に接続されており、それぞれ、垂直駆動部4内において、転送信号用駆動回路4aに接続されている。転送信号線14(2n+1)〜14(2n+4)の他方の端部は、終端回路7に接続されている。転送信号用駆動回路4a及び終端回路7には、それぞれ信号発生回路16から発生される所望のパルス信号が入力される。
信号発生回路16と転送信号用駆動回路4a間には、信号発生回路16で発生されるアドレス信号をデコードするデコーダ18や、信号発生回路16から発生されるパルス信号とデコードされたアドレス信号とのANDをとる論理回路19が構成されている。
また、終端回路7は、nチャネルのMOSトランジスタからなる第1の制御トランジスタTr5−1及び第2の制御トランジスタTr5−2と、第2の制御トランジスタTr5−2直前に設けられた反転回路17により構成される。この終端回路7において、第1及び第2の制御トランジスタTr5−1、Tr5−2のソースには、低電圧VLが接続されている。そして、第1の制御トランジスタTr5−1のゲートには、アドレス最下位ビットが入力され、ドレインは、偶数行の転送信号線14(2n+2),14(2n+4)に接続される。また、第2の制御トランジスタTr5−2のゲートには、アドレス最下位ビットが反転回路17を介して入力され、ドレインは、奇数行の転送信号線14(2n+1),14(2n+3)に接続される。そして、このように構成された終端回路7には、信号発生回路16から出力されるアドレス信号の最下位ビットのみが入力される構成とされている。
このような回路構成を有する固体撮像装置において、例えば、奇数行である転送信号線14(2n+1)を駆動するために、行転送信号φTRF2n+1を入力するとする。この奇数行の転送信号線142n+1に入力される行転送信号φTRF2n+1を生成するための、アドレス信号の最下位ビットが“1”であるとすると、終端回路7には、“1”の信号を有する制御信号φTERMeが入力される。終端回路7は、nチャネルのMOSトランジスタからなる第1及び第2の制御トランジスタTr5−1,Tr5−2で構成されるので、制御信号φTERMeが終端回路7に入力された場合、偶数行の転送信号線14(2n+2),14(2n+4)に接続される第1の制御トランジスタTr5−1のみがON状態となる。第2の制御トランジスタTr5−2には、その直前に反転回路17が構成されているため、“0”が入力されることとなり、OFF状態のままである。
そして、これにより、偶数行の転送信号線14(2n+2),14(2n+4)には、終端回路7側から、低電圧VLが印加される。このとき、偶数行の転送信号線14(2n+2),14(2n+4)の転送信号用駆動回路4a側からも低電圧VLが印加されているので、偶数行の転送信号線14(2n+2),14(2n+4)は、両側から低電圧VLに固定される。
すなわち、図5Bに示すように、奇数行の転送信号線14(2n+1)を駆動する行転送信号φTRF2n+1を発生させるためのアドレス信号が入力されている1ライン間において、その偶数行の転送信号線14(2n+2),14(2n+4)に接続される終端回路7には、制御信号φTERMeが入力される。そうすると、奇数行の転送信号線14(2n+1)に、行転送信号φTRF2n+1が入力されるタイミングよりも早いタイミングで偶数行の転送信号線14(2n+2),14(2n+4)は、両側から低電位VLに固定されることとなる。
すなわち、奇数行の転送信号線14(2n+1)に、行転送信号φTRF2n+1が入力されるタイミングにおいては、すでに、偶数行の転送信号線14(2n+2),14(2n+4)は、低電圧VLに電位固定されている。さらに、偶数行の転送信号線14(2n+2),14(2n+4)の両側から同期した電位が供給されることで、転送信号線14(2n+2),14(2n+4)内の信号線抵抗Rが1/2程度に低減されている。このため、奇数行の転送信号線14(2n+1)と隣接する偶数行の転送信号線14(2n+2)との間にできる信号線間容量Cが低減され、信号線間の信号のクロストークが低減される。
そして、これにより、駆動される奇数行の転送信号線14(2n+1)に隣接する偶数行の転送信号線14(2n+2)において、奇数行の転送信号線14(2n+1)に入力される行転送信号φTRF2n+1のパルスの立ち上がりの影響を抑制することができる。すなわち、偶数行の転送信号線14(2n+2)の電位固定を強くすることにより、クロストークによる信号変動を起きにくくすることができる。
なお、奇数行の転送信号線14(2n+3)に行転送信号φTRF2n+3を入力する場合も同様の動作により、隣接する偶数行の転送信号線14(2n+4)との間のクロストークを低減することができる。
逆に、偶数行である転送信号線14(2n+2)を駆動するために、行転送信号φTRF2n+2を入力するとする。そうすると、今度は、アドレス最下位ビットは、“0”となるので、終端回路7には、“0”が入力される。“0”が制御信号φTERMoとして入力された場合、反転回路17を介して“1”とされた信号だけが、nチャネルのMOSトランジスタをONすることが出来るので、奇数行の転送信号線14(2n+1),14(2n+3)に接続される第2の制御トランジスタTr5−1のみがON状態となる。そして、これにより、奇数行の転送信号線14(2n+1),14(2n+3)には、低電圧VLが印加されることとなる。このとき、奇数行の転送信号線14(2n+1),14(2n+3)の転送信号用駆動回路4a側からも低電圧VLが印加されているので、奇数行の転送信号線14(2n+1),14(2n+3)は、両側から低電圧VLに固定される。
すなわち、図5Bに示すように、偶数行の転送信号線14(2n+2)を駆動する行転送信号φTRF2n+2を、転送信号線14(2n+2)に入力するためのアドレス信号が入力されている1ライン間において、その奇数行の転送信号線14(2n+1),14(2n+3)に接続される終端回路7には、制御信号φTERMoが入力される。そうすると、偶数行の転送信号線14(2n+2)に、行転送信号φTRF2n+2が入力されるタイミングよりも早いタイミングで、奇数行の転送信号線14(2n+1),14(2n+3)に制御信号φTERMoが入力されることとなる。
すなわち、偶数行の転送信号線14(2n+2)に行転送信号φTRF2n+2が入力されるタイミングにおいては、すでに、奇数行の転送信号線14(2n+1),14(2n+3)は、両側から低電圧VLが印加されることにより、電位固定されている。これにより、転送信号線14(2n+1),14(2n+3)内の信号線抵抗Rが1/2程度に低減される。このため、偶数行の転送信号線14(2n+2)と、それに隣接する奇数行の転送信号線14(2n+1)との間にできる信号線間容量Cが低減され、信号線間の信号のクロストークが低減される。
なお、偶数行の転送信号線14(2n+4)に行転送信号φTRF2n+4を入力する場合も同様の動作により、隣接する奇数行の転送信号線14(2n+3)との間のクロストークを低減することができる。
一般的に、固体撮像装置1において、転送信号線14は、選択する順番に並んでいる。このため、選択する転送信号線14が奇数行であるときは、偶数行の転送信号線14を全て一定電位に固定し、選択する転送信号線14が偶数であるときは、奇数行の転送信号線14を全て一定電位に固定する。これにより、転送信号線14同士が隣接している場合においても、転送信号線14間のクロストークを抑制できる。
また、この駆動方法例2の構成は、転送信号線14同士が隣接する場合のみならず、異なる行ブロックに構成された転送信号線14と、選択信号線15またはリセット信号線13との間に起こるクロストークを抑制することもできる。例えば、奇数行の選択信号線15またはリセット信号線13におけるパルス信号の立ち上がりに起因して、偶数行の転送信号線14に信号変動が起こるのを防ぐためには、偶数行の転送信号線14を信号線の両側から一定電圧に固定すればよい。この場合も、アドレス信号の最下位ビットを制御信号φTERMとして、図5に示す終端回路7に入力する構成とすればよい。
駆動方法例2では、1組みの奇数行及び偶数行について説明したが、奇数行、または偶数行に行転送信号φTRFを入力したときに、この転送信号線14を挟む両側に偶数行、または奇数行の転送信号線14が一定電位で固定される。すなわち、この例では、隣接する、両側に転送信号線14におこるクロストークを抑制できる。
[駆動方法例3]
次に、駆動方法例3として、撮像部3内においてリセット信号線13と転送信号線14が隣接して設けられる固体撮像装置1の駆動方法を、図6A,Bを用いて説明する。図6A,Bにおいて、図1に対応する部分には、同一符号を付し、重複説明を省略する。
図6Aは、固体撮像装置1の要部の概略構成であり、駆動方法例3を実施するための構成を有するものである。図6Aは、撮像部3の行方向に延びるリセット信号線13と、そのリセット信号線13と同じ行ブロック内において、リセット信号線13に隣接して形成される転送信号線14、及び、そのリセット信号線13、転送信号線14に接続される周辺回路を模式的に示すものである。また、図6Bには、駆動方法例3における動作タイミングを示す。
リセット信号線13及び、転送信号線14の一方の端部には、垂直駆動部4が接続されており、垂直駆動部4内において、リセット信号線13は、リセット信号用駆動回路4bに、転送信号線14は、転送信号線用駆動回路4aに接続されている。そして、転送信号線14の他方の端部は、終端回路7に接続されている。この終端回路7は、図2で説明した構成例と同様であるから、重複説明を省略する。また、垂直駆動部4内の転送信号用駆動回路4a及び、終端回路7のゲートには、信号発生回路16により発生された行転送信号φTRF及び制御信号φTERMがそれぞれ入力される。
ここで、行転送信号φTRF及び、制御信号φTERMは、実際には、信号発生回路16から出力されるアドレス信号等のパルス信号を、図示しないデコーダや論理回路に入力することにより生成されるものである。
ところで、行リセット信号φRSTと、行転送信号φTRFは、同じタイミングで入力する必要がない。また、リセット信号線13に隣接する転送信号線14において、行リセット信号φRSTに起因するクロストークを抑制するためには、行リセット信号φRSTのパルスの立ち上がり時において、転送信号線14の電位が固定されていればよい。すなわち、転送信号線14において、不要な信号電荷の漏れを低減するためには、正方向のカップリングのみを抑制すればよい。
そこで、この駆動方法例3では、リセット信号用駆動回路4bには、信号発生回路16から出力される行リセット信号φRSTを、遅延回路19を介して入力させ、終端回路7には、その行リセット信号φRSTを遅延させずに、制御信号φTERMとして入力する構成とする。
このような回路構成を有する固体撮像装置1において、リセット信号線13を駆動するために、行リセット信号φRSTを信号発生回路16から出力する。そうすると、図6Bに示すように、信号発生回路16からは、制御信号φTERMも出力され、終端回路7の制御トランジスタTr5のゲートには、行リセット信号φRSTが転送信号線14に入力されるよりも早いタイミングで、制御信号φTERMが入力される。そして、制御信号φTERMにより制御トランジスタTr5がON状態とされ、転送信号線14は、終端回路7側から低電圧VLが印加される。そして、このとき、転送信号線14には、まだ行転送信号φTRFが入力されていないため、転送信号線14には、垂直駆動部4側からも低電圧VLが印加されている。すなわち、制御信号φTERMにより制御トランジスタTr5がONされた状態において、転送信号線14は、両側から低電圧VLに電位が固定される。
そして、転送信号線14が低電圧VLに電位固定されるタイミングに遅延して、リセット信号線13に行リセット信号φRSTが入力される。そうすると、行リセット信号φRSTが入力されるタイミングにおいては、すでに、転送信号線14は、低電圧VLに電位固定されており、かつ、転送信号線14の両側から同期した電位を供給することで、転送信号線14内の信号線抵抗Rが1/2程度に低減されている。このため、リセット信号線13と転送信号線14との間にできる信号線間容量Cが低減され、リセット信号線13と転送信号線14間の信号のクロストークが低減される。
そして、これにより、転送信号線14において、行リセット信号φRSTのパルスの立ち上がりの影響、すなわち、微分パルスの発生を低減することができる。すなわち、転送信号線の電位固定を強くすることにより、クロストークによる転送信号線14内の信号変動を抑制することができる。
従来、リセット信号線13の行リセット信号φRSTのパルスの立ち上がりの影響で、転送信号線14において信号変動が起こった場合、転送信号線14においても、ON状態の電位が転送ゲートに入力されてしまい、フォトダイオードPDからの電荷の漏れが起こってしまう。これに対して、この駆動方法例3においては、リセット信号線13に行リセット信号φRSTが入力された際に、そのリセット信号線13に隣接する転送信号線14において、微分パルスの発生が抑制されて、クロストークが抑制される。これにより、転送信号線14で起こる不要な電荷の漏れを防ぐことができる。
この例においては、行リセット信号φRSTの立ち下がり時においては、転送信号線14は終端回路7側から低電位VLが供給されていないが、行リセット信号φRSTの立ち下がりの影響は、転送信号線14の電位を更にOFFの電位とするものである。そのため、信号電荷が漏れることはない。
[駆動方法例4]
次に、駆動方法例4として、撮像部3内においてリセット信号線13と転送信号線14が隣接して設けられる固体撮像装置1の駆動方法を、図7を用いて説明する。図7において、図1に対応する部分には、同一符号を付し、重複説明を省略する。
図7は、固体撮像装置1の要部の概略構成であり、駆動方法例4を実施するための構成を有するものである。図7に、撮像部3の、3行分のリセット信号線13i〜13i+2と、そのリセット信号線13i〜13i+2と同じ行ブロック内において、リセット信号線13i〜13i+2に隣接して形成される転送信号線14i〜14i+2を示す。また、そのリセット信号線13i〜13i+2、転送信号線14i〜14i+2に接続される周辺回路を模式的に示す。
転送信号線14i〜14i+2の一方の端部には、転送信号用駆動回路4aが接続されており、また、他方の端部には、終端回路7が接続されている。そして、リセット信号線13i〜13i+2の、転送信号線14i〜14i+2の転送信号用駆動回路4aが接続される端部とは反対の端部には、リセット信号用駆動回路4bが接続されている。また、この例において、終端回路7は、図2と同様であるから、重複説明を省略する。
このような回路構成を有する固体撮像装置1において、終端回路7を構成する制御トランジスタTr5i〜Tr5i+2のゲートには、それぞれ、同じ行ブロック内の行リセット信号φRSTi〜φRSTi+2が、制御信号φTERMi〜φTERMi+2として入力される構成とされる。そして、リセット信号線用駆動回路4bにおいて、入力される行リセット信号φRSTi〜φRSTi+2に遅延効果を付す。これにより、駆動方法例3に示した行リセット信号φRSTと制御信号φTERMの関係と同様の関係を有する、行リセット信号φRSTi〜φRSTi+2と制御信号φTERMi〜φTERMi+2を得ることができる。そして、駆動方法例3と同様の効果を得ることができる。
このように、所望の信号を入力する駆動回路(本例では、リセット信号用駆動回路4b)と、クロストーク対象の所望の転送信号線14の転送信号用駆動回路4aとが、画素2の配列に対して、互いに逆の端部に構成する場合は、信号のタイミングを制御しやすい。すなわち、信号を入力する所望の駆動回路と、制御対象の転送信号線14に接続された終端回路7とが互いに近くなるため、信号線の長さ等に起因する信号線遅延等のタイミングをあまり意識せずに配置することが可能となる。
このような構成は、駆動方法例1及び駆動方法例2にも適用することができる。
[駆動方法例5]
次に、駆動方法例5として、撮像部3内において選択信号線15と転送信号線14が隣接して設けられる固体撮像装置1の駆動方法を、図8A,Bを用いて説明する。図8A,Bにおいて、図1に対応する部分には、同一符号を付し、重複説明を省略する。
図8Aは、固体撮像装置1の要部の概略構成であり、駆動方法例5を実施するための構成を有するものである。図8Aに、撮像部3の、3行分の選択信号線15i〜15i+2と、その選択信号線15i〜15i+2と同じ行ブロック内において、選択信号線15i〜15i+2に隣接して形成される転送信号線14i〜14i+2を示す。また、その選択信号線15i〜15i+2、転送信号線14i〜14i+2に接続される周辺回路を模式的に示す。そして、図8Bには、駆動方法例5における動作タイミングを示す。
転送信号線14i〜14i+2及び選択信号線15i〜15i+2の一方の側は、垂直駆動部4に接続されており、それぞれ、垂直駆動部4内において、転送信号用駆動回路4a及び、選択信号用駆動回路4cに接続されている。そして、転送信号線14i〜14i+2の他方の側は、終端回路7に接続されている。
垂直駆動部4の選択信号用駆動回路4cには、選択信号線15i〜15i+2を駆動するための、行選択信号φSELi〜φSELi+2がそれぞれ入力される。この行選択信号φSELi〜φSELi+2は、信号発生回路16から発生されたアドレス信号を、デコーダ21を介して出力した信号である。また、転送信号線用駆動回路4aにおいても、それぞれ、行転送信号φTRFi〜φTRFi+2が入力され、その行転送信号φTRFi〜φTRFi+2は、信号発生回路16により発生されるものであるが、その詳細は、省略する。
そして、終端回路7は、制御トランジスタTr5i〜Tr5i+2より構成されており、それぞれのソースは、低電圧VLに接続されている。そして、それぞれのゲートには制御信号φTERMi〜φTERMi+2が入力される。制御信号φTERMi〜φTERMi+2は、信号発生回路16で発生されたアドレス信号が、遅延回路20及びデコーダ22を介して生成された信号である。また、制御トランジスタTri〜Tri+2のドレインは、それぞれ、転送信号線14i〜14i+2に接続される。そして、このデコーダ22は、駆動している行の、1つ前の行の行選択信号φSELを、駆動している行の転送信号線14i〜14i+2に接続された制御トランジスタTr5i〜Tr5i+2に、それぞれ入力するためのものである。
このような回路構成を有する固体撮像装置において、例えば、選択信号線15iを駆動するとする。そうすると、図8Bからわかるよう、図8Aでは図示しない、前行の選択信号線15iを駆動するために入力された行選択信号φSELi−1が、期間t1だけ遅延して制御トランジスタTr5iのゲートに入力される。すなわち、前行の行選択信号φSELi−1が、制御信号φTERMiとして制御トランジスタTr5iのゲートに入力される。
そうすると、選択信号線15iに、行選択信号φSELiが入力されるタイミングにおいて、その選択信号線15iに隣接する転送信号線14iは、両側から低電圧VLに固定されている状態となる。そして、転送信号線14iの両側から同期した電位が供給されることで、転送信号線14i内の信号線抵抗Rが1/2程度に低減されている。このため、選択信号線15iと転送信号線14iとの間にできる信号線間容量Cが低減され、選択信号線15iと転送信号線14i間の信号のクロストークが低減される。
そして、これにより、転送信号線14iにおいて、行選択信号φSELiのパルスの立ち上がりの影響、すなわち、微分パルスの発生を低減することができる。すなわち、転送信号線の電位固定を強くすることにより、クロストークによる転送信号線内の信号変動を受けにくくすることができる。
他の選択信号線15i+1,15i+2に、それぞれ行選択信号φSELi+1,φSELi+2を入力する場合も、同様の構成により、隣接する転送信号線14i+1,14i+2との間のクロストークを低減することができる。
また、遅延回路20の直後に、反転回路を構成する回路構成とすれば、同一ブロック行の行選択信号φSELを制御信号φTERMとして用いることができる。
[第1の実施形態の効果]
本実施形態の固体撮像装置によれば、上述の駆動方法例1〜5を用いることにより、転送信号線の終端に、所望の期間一定電位を供給できる終端回路7を構成することにより、転送信号線への誤信号入力を抑制することができる。これにより、画素出力の変動を抑制した固体撮像装置を得ることができる。また、このような構成においては、信号遷移に影響を与えることがないため、信号遷移速度が低減されるおそれがない。
特に、本実施形態例で示したCMOS型の固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)は、行毎に、信号電荷を読み出していく順次アクセスであり、また、読み出しスピードは、それほど速くない。このため、通常のLSI、メモリ等に比べて、終端回路7の制御は難しくない。
なお、上述の例では、信号が入力される信号線に隣接する転送信号線へのクロストークの低減を目的とした構成であるが、この信号線と転送信号線との配置関係は、同一平面上であっても、異なる平面上であっても適用できる。すなわち、多層配線層の異なる層内に、形成される信号線と転送信号線との間のクロストークの抑制にも効果的である。
次に、上述した駆動方法例1〜5を適用できる固体撮像装置の他の構成例について説明する。
[第2の実施形態]
図9に、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の概略構成を示す。
本実施形態例の固体撮像装置50は、複数の画素、本例では、4つの画素に、転送トランジスタを除く他の画素トランジスタを共有した例であり、以下、画素トランジスタを共有する画素群を共有画素という。すなわち、共有画素においては、光電変換素子であるフォトダイオードが4つ構成されている。図9において、図1と同一部分には、同一符号を付し重複説明を省略する。
本実施形態例の固体撮像装置50は、複数の共有画素52が、規則性を持って2次元配列された撮像部53(いわゆる画素部)と、撮像部53の周辺に配置された周辺回路とを有して構成される。周辺回路は、垂直駆動部4、水平転送部5、終端回路7、信号発生回路16、及び出力部6から構成される。共有画素52は、複数、本実施形態例では、4つの光電変換素子であるフォトダイオードPD1〜PD4と、4つの転送トランジスタTr11〜Tr14と、各1つのリセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3及び選択トランジスタTr4とから構成される。
共有画素52の回路構成では、図9に示すように、4つの各フォトダイオードPD[PD1,PD2,PD3,PD4]が、それぞれ対応する4つの転送トランジスタTr11,Tr12,Tr13,Tr14のソースに接続される。そして、各転送トランジスタTr11〜Tr14のドレインが1つのリセットトランジスタTr2のソースに接続される。各転送トランジスタTr11〜Tr14とリセットトランジスタTr2間の電荷−電圧変換手段となる共通のフローティングディフュージョン領域FDは1つの増幅トランジスタTr3のゲートに接続される。増幅トランジスタTr3のソースは、1つの選択トランジスタTr4のドレインに接続される。リセットトランジスタTr2のドレイン及び、増幅トランジスタTr3のドレインは、電源電圧供給部に接続される。また、選択トランジスタTr4のソースが垂直信号線8に接続される。
各転送トランジスタTr11〜Tr14のゲートには、それぞれ行転送信号φTRF1〜φTRF4が印加される。リセットトランジスタTr2のゲートには行リセット信号φRSTが印加される。そして、選択トランジスタTr4のゲートには、行選択信号φSELが印加される。
垂直駆動部4、水平転送部5、出力部6、終端回路7、信号発生回路16、その他の構成は、図1と同様であるから、重複説明を省略する。
このように、4つの画素が、転送トランジスタ以外の画素トランジスタを共有する共有画素を構成する場合の、共有画素52内における4つのフォトダイオードPD1〜PD4及び、転送トランジスタTr11〜Tr14の概略構成を以下に示す。
図10は、本実施形態例の固体撮像装置50の要部の配置レイアウトである。
図10に示すように、共有画素52を構成する4つのフォトダイオードPD1〜PD4は、2次元アレイ状に構成されている。そして、4つのフォトダイオードPD1〜PD4の中央部には、フォトダイオードPD1〜PD4に共通に接続されるフローティングディフュージョン領域FDが構成される。そして、各フォトトランジスタPD1〜PD4と、フローティングディフュージョン領域FDとの境界部には、それぞれの転送トランジスタTr11〜Tr14の転送ゲート55a,55b,55c,55dが構成される。
そして、各転送ゲート55a,55b,55c,55dに接続されるように、転送信号線14a,14b,14c,14dが構成される。この場合、隣接するフォトダイオードPD1〜PD4間の間隔が狭いので、隣接するフォトダイオードPD1〜PD4の間の領域に、例えば、行方向に延びる転送信号線14を2本ずつ配設する構成とする。図10においては、フォトダイオードPD1〜PD4の読み出し順、すなわち、転送トランジスタTr11〜Tr14の転送ゲート55a,55b,55c,55dへの行転送信号φTRFの供給順に、転送信号線14a,14b,14c,14dを配列する。共有画素52に対して、垂直方向の外側に、転送ゲート55a,55dに接続信号線56で接続される転送信号線14a,14dをそれぞれ配設する。そして、共有画素52の垂直方向の配列されたフォトダイオードPD1,PD2と、フォトダイオードPD3,PD4との間の領域に、転送ゲート55b,55cに接続信号線56で接続される転送信号線14b,14cをそれぞれ配設する。
図10において、その他の信号線等の図示は省略する。
このような構成を有する固体撮像装置50においては、まず、転送信号線14aに行転送信号φTRF1を入力することにより、フォトダイオードPD1からの信号電荷がフローティングディフュージョン領域FDに読み出されて、垂直信号線8により転送される。次に、転送信号線14bに、行転送信号φTRF2を入力することにより、フォトダイオードPD2からの信号電荷がフローティングディフュージョン領域FDに読み出されて、垂直信号線8により転送される。同様にして、順に、転送信号線14c,14dに行転送信号φTRF3,φTRF4を入力することにより、それぞれのフォトダイオードPD3、PD4に蓄積された信号電荷が読み出される。
ところで、図10からわかるように、このような構成を有する固体撮像装置では、4つのフォトダイオードPD1〜PD4に対して、1つのフローティングディフュージョン領域FDが共有されている。このため、転送トランジスタTr11〜Tr14の転送ゲートは近接して設けられている。それに加え、隣接するフォトダイオードPD間の距離は小さいため、それぞれの転送信号線14[14a,14b,14c,14d]間の距離も小さくなる。そうすると、前述したようなクロストークが発生してしまう。
本実施形態例の固体撮像装置50では、上述の駆動方法例1及び駆動方法例2で示した回路構成を用いて、終端回路7に制御信号φTERMを入力する。これにより、隣接する転送信号線14[14a,14b,14c,14d]間でおこるクロストークを抑制することができる。
[第3の実施形態]
次に、図11に、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の、要部の配置レイアウトを示す。本実施形態例の固体撮像装置の全体の回路構成は、図9と同様であるので、重複説明は省略する。
また、図11において、図10に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
本実施形態例では、2次元アレイ状に配列されたフォトダイオードPD1〜PD4のうちの、斜めに隣り合うフォトダイオードPD1、及びPD2が1つのフローティングディフュージョン領域FD1を共有する。そして、フォトダイオードPD1の列方向に、一つおきに隣り合うフォトダイオードPD3と、フォトダイオードPD2の列方向に、一つおきに隣り合うフォトダイオードPD4とが、1つのフローティングディフュージョン領域FD2を共有する。そして、このように、斜めに隣り合うフォトダイオードPD1〜PD4により、1つの共有画素60が構成される。
本実施形態例において、各フォトトランジスタPD1〜PD4と、フローティングディフュージョン領域FD1、FD2との境界部には、それぞれの転送トランジスタTr11〜Tr14の転送ゲート59a,59b,59c,59dが構成される。
そして、各転送ゲート59a,59b,59c,59dに接続されるように、転送信号線14a,14b,14c,14dが構成される。この場合、フォトダイオードPD1とフォトダイオードPD2との間に転送信号線14a,14bを配設し、フォトダイオードPD3とフォトダイオードPD4との間に、転送信号線14c,14dを配設する。
図11において、その他の信号線等の図示は省略する。
このような構成を有する固体撮像装置においては、まず、転送信号線14aに行転送信号φTRF1を入力することにより、フォトダイオードPD1からの信号電荷がフローティングディフュージョン領域FD1に読み出されて、垂直信号線8により転送される。次に、転送信号線14bに、行転送信号φTRF2を入力することにより、フォトダイオードPD2からの信号電荷がフローティングディフュージョン領域FD1に読み出されて、垂直信号線8により転送される。同様にして、順に、転送信号線14c,14dに行転送信号φTRF3,φTRF4を入力する。そうすると、それぞれのフォトダイオードPD3、PD4に蓄積された信号電荷がフローティングディフュージョン領域FD2に読み出されて、垂直信号線8により転送される。
そして、本実施形態例においても、2つのフォトダイオードPD1,PD2、またはフォトダイオードPD3,PD4で、1つのフローティングディフュージョン領域FD1またはFD2を共有するため、転送ゲート59a,59b,59c,59dは、互いに近接して設けられる。これにより、転送信号線14[14a,14b,14c,14d]間の距離は小さくなり、前述したようなクロストークが発生してしまう。
本実施形態例の固体撮像装置においても、上述の駆動方法例1及び駆動方法例2で示した回路構成を用いて、終端回路7に制御信号φTERMを入力する。これにより、隣接する転送信号線14[14a,14b,14c,14d]間でおこるクロストークを抑制することができる。
[第4の実施形態]
図12に、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の、要部の配置レイアウトを示す。
本実施形態例の固体撮像装置は、2次元アレイ状に配列されたフォトダイオードPD1〜PD4において、行方向に隣り合うフォトダイオードPD1及びPD2間でフローティングディフュージョン領域FD1を共有し、また、行方向に隣り合うフォトダイオードPD3及びPD4間でフローティングディフュージョン領域FD2を共有する。また、列方向に隣り合うフォトダイオードPD1及びPD3間で転送トランジスタの転送ゲート57を共有し、また、列方向に隣り合うフォトダイオードPD2及びPD4間で転送トランジスタの転送ゲート58を共有する。そして、転送ゲート57には、転送信号線14aが接続され、転送ゲート58には、転送信号線14bが接続される。
このような構成を有する固体撮像装置において、転送信号線14aにより、転送ゲート57に行転送信号φTRFを入力する。そうすると、フォトダイオードPD1、PD3の信号電荷がそれぞれ、フローティングディフュージョン領域FD1,FD2に読み出される。次に、転送信号線14bにより、転送ゲート58に行転送信号φTRFを入力すると、フォトダイオードPD2、PD4の信号電荷がそれぞれ、フローティングディフュージョン領域FD1,FD2に読み出される。
このように、本実施形態例の固体撮像装置では、転送トランジスタの転送ゲート57,58が、それぞれ2つのフォトダイオードに共有される。これにより、2つのフォトダイオードから同時に信号を読み出すことができる。
ところで、このような固体撮像装置においても、2つのフォトダイオードで1つの転送ゲートを共有する構成することにより、転送信号線14a,14b間の距離は小さくなり、前述したようなクロストークが発生してしまう。
本実施形態例の固体撮像装置においても、上述の駆動方法例1及び駆動方法例2で示した回路構成を用いて、転送信号線14a,14bへ制御信号φTERMを入力する。これにより、隣接する転送信号線14a,14b間でおこるクロストークを抑制することができる。
[第5の実施形態]
図13に、本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置の概略回路構成を示す。
本実施形態例の固体撮像装置は、上下2つの画素でトランジスタを共有する例である。単位セル30は、実線で囲まれた部分であり、この単位セル30は、2つの画素31、32から構成されている。画素31,32は、それぞれ、フォトダイオード33,34と、複数の画素トランジスタとから構成される。複数の画素トランジスタは、フォトダイオード33及び34のそれぞれに接続される2つの転送トランジスタTr35,Tr36と、2つの画素31,32に共通のリセットトランジスタTr37、増幅トランジスタTr38とから構成される。転送トランジスタTr35,Tr36のソースは、それぞれ、フォトダイオード33,34に接続されており、そのドレインがリセットトランジスタTr37のソースに接続される。転送トランジスタTr35,Tr36とリセットトランジスタTr37間の電荷−電圧変換手段となるフローティングディフュージョン領域FD(転送トランジスタのドレイン領域、リセットトランジスタのソース領域に相当する)が増幅トランジスタTr38のゲートに接続される。増幅トランジスタTr38、及びリセットトランジスタTr37のドレインは、電源電圧を供給する全面選択信号線39に接続される。
そして、増幅トランジスタTr38のソースは、垂直信号線48に接続される。
そして、転送トランジスタTr35,Tr36のゲートには、行転送信号φTRFを供給する転送信号線42,43が接続されており、リセットトランジスタTr37のゲートには、行リセット信号φRSTを供給するリセット信号線41が接続されている。
このような構成を有する固体撮像装置においては、単位セル30内において、リセット信号線41と、転送信号線42,43のうちの一方の転送信号線42が、隣接して構成される。そうすると、転送信号線42とリセット信号線41間の距離は小さくなり、前述したようなクロストークが発生してしまう。
本実施形態例の固体撮像装置においては、上述の駆動方法例3及び駆動方法例4で示した回路構成を用いて、転送信号線42へ制御信号φTERMを入力する。これにより、隣接する転送信号線42と、リセット信号線41間でおこるクロストークを抑制することができる。
[第6の実施形態例]
次に、図14に、本発明の第6の実施形態に係る固体撮像装置の概略回路構成を示す。
本実施形態例の固体撮像装置は、上下2つの画素でトランジスタを共有する例である。単位セル77は、実線で囲まれた部分であり、この単位セル77は、2つの画素78,79から構成されている。画素78,79は、それぞれ、フォトダイオード69,70と、複数の画素トランジスタとから構成される。複数の画素トランジスタは、フォトダイオード69及び70のそれぞれに接続される転送トランジスタTr74,Tr73と、リセットトランジスタTr72,Tr71と、増幅トランジスタTr75,Tr76とから構成される。
転送トランジスタTr74,Tr73のソースは、それぞれ、フォトダイオード69,70に接続されており、そのソースがリセットトランジスタTr72,Tr71のドレインに接続される。転送トランジスタTr74,Tr73のドレインは、フローティングディフュージョン領域FD1,FD2に接続されており、フローティングディフュージョンFD1,FD2は増幅トランジスタTr75,Tr76のゲートに接続される。増幅トランジスタTr75,Tr76のソースは、それぞれ選択トランジスタTr80のドレインに接続されており、選択トランジスタTr80のソースは、電源電圧VDDに接続されている。また、リセットトランジスタTr71,Tr72のソースも電源電圧VDDに接続されている。
そして、転送トランジスタTr74,Tr73のゲートには、行転送信号φTRFを供給する転送信号線66が接続されており、リセットトランジスタTr72,Tr71のゲートには、行リセット信号φRSTを供給するリセット信号線68が接続されている。また、選択トランジスタTr80のゲートには、行選択信号φSELを供給する選択信号線67が接続されている。
本実施形態例において、画素78のフォトダイオード69に蓄積された信号電荷は、信号線63に転送され、画素79のフォトダイオード70に蓄積された信号電荷は、信号線65に転送される。
このような構成を有する固体撮像装置においては、単位セル77内において、選択信号線67と、転送信号線66が、隣接して構成される。そうすると、転送信号線66と選択信号線67間の距離は小さくなり、前述したようなクロストークが発生してしまう。
本実施形態例の固体撮像装置においては、上述の駆動方法例5で示した回路構成を用いて、転送信号線66へ制御信号φTERMを入力する。これにより、隣接する転送信号線66と、選択信号線67間でおこるクロストークを抑制することができる。
上述した固体撮像装置は、例えば、カメラ、カメラ付き携帯電話、その他の撮像機能を備えた機器等の電子機器に適用することができる。
[電子機器]
以下に、本発明の固体撮像装置を用いた電子機器について説明する。
図15は、上述の固体撮像装置を用いた電子機器90の概略構成である。本実施形態例の電子機器90は、光学系(光学レンズ)91と、固体撮像装置92と、信号処理回路93とを有して構成される。固体撮像装置92は、上述した構成を有する第1〜第5の実施形態に係る固体撮像装置が適用される。
本実施形態例の電子機器90において、光学系91は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像装置92の撮像面上に結像させる。これにより、固体撮像装置92のフォトダイオードにおいて、一定期間信号電荷が蓄積される。そして、信号処理回路93は、固体撮像装置92の出力信号に対して種々の信号処理を施して出力する。
図15の構成は、カメラモジュール、あるいは撮像機能を有する撮像モジュールとして構成することができる。本発明は、このようなモジュールを備えて、例えば、カメラ付き携帯電話、その他の撮像機能を有する機器等の、電子機器を構成することができる。
本発明の電子機器によれば、画素出力の変動が抑制された固体撮像装置が用いられているので、高画質の映像を得ることができる。