JP5424230B2 - カーボンナノチューブ電界効果トランジスタおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カーボンナノチューブ電界効果トランジスタおよびその製造方法に関する。
カーボンナノチューブ(以下「CNT」という)は、カイラリティにより半導体的または金属的な特性を示す。また、CNTは、数ナノメートルの直径を有し、その電流密度が高いため、一次元伝導の非常に細い配線の形成を可能とし、高速動作の量子デバイスへの応用が期待されている。さらに、半導体的なCNTは、電界効果トランジスタ(以下「FET」という)のチャネルとしての応用がなされ、研究が活発に行われている。
CNTをチャネルとするカーボンナノチューブ電界効果トランジスタ(以下「CNT−FET」という)は、CNTを溶媒に溶かし基板上に分散させた後にCNTの両端にソース電極およびドレイン電極を形成する方法(分散法)、または基板上に予め配置された触媒からCNTを成長させた後にCNTの両端にソース電極およびドレイン電極を形成する方法(直接成長法)により製造されている。
しかしながら、上記従来の製造方法には、チャネルとなるCNTが、電極の形成プロセスの間に洗浄用薬品やパターニングのためのレジストなどに曝されるため、薬品により欠陥が形成されたり、レジストの残渣に汚染されたりしてしまうという問題がある(非特許文献1および非特許文献2参照)。このようにして形成された欠陥は、FETの電気伝導における散乱の原因となる。また、欠陥の多いCNTは大気中の酸素や水分子などを吸着しやすくなるため、形成された欠陥は製造プロセス中で除去しきれない汚染物質とともにFETのゲートバイアスに対する履歴特性の原因ともなる。後工程において洗浄による汚染物質の除去や絶縁物からなるパッシベーション膜の形成などによって履歴特性の改善の努力がなされているが、一度形成された欠陥が改善されることはない。また、CNT上に残った汚染物は、後述するCNTと電極との間の接合特性の低下の原因にもなりうる。
図10は、従来の方法(直接成長法)で製造されたCNT−FETの構成を示す図である。図10において、CNT−FET10は、基板11、ソース電極12、ドレイン電極13、チャネルとなるCNT14および触媒15を有する。図10(特に、ドレイン電極13側を参照)に示されるように、従来の方法で製造されたCNT−FETは、ソース電極およびドレイン電極がCNTの側面に接合する、いわゆる「サイドコンタクトCNT−FET(Side-Contact CNT-FET)構造」を有する。このとき、チャネルとなるCNTは基板上に横たわるように配置されているため、ソース電極およびドレイン電極はCNTの下部(基板側)側面には接合できない。また、従来の方法で製造されたCNT−FETでは、チャネルとなるCNTの長さが制御されていないため、ソース電極とCNTとの接合面積がドレイン電極とCNTとの接合面積と異なることがある(図10参照)。このように接合面積に違いが生じると、これらの接合面の間で接触抵抗に違いが生じ、電流特性が非対称になる可能性が高くなる。さらに、直接成長法を用いた従来の方法でCNT−FETを製造した場合は、ソース電極およびドレイン電極内に触媒が残ってしまう(図10参照)。このような電極内の触媒は、CNT−FETの電気特性に影響を及ぼす可能性がある。これらの問題点は、CNT−FETの性能や電気伝導特性のバラツキの原因となる。
金属をCNTに接合させた場合、金属の仕事関数およびCNTの仕事関数が接合特性に反映され、仕事関数の差によるエネルギー障壁が形成される(非特許文献3および非特許文献4参照)。したがって、金属材料を変えると異なる接合特性を示すと考えられるが、必ずしも同様な結果が得られるわけではない。これは、製造プロセスにおける技術レベルおよび環境レベルの差によってCNTの欠陥や汚染物質が異なり、同質の接合特性が得られにくいためと考えられる。
T. Mizutani et al., "Effects of Fabrication Process on Current-Voltage Characteristics of Carbon Nanotube Field Effect Transistors", Jpn. J. Appl. Phys., (2005), Vol. 44, pp. 1599-1602. H. Shimauchi et al., "Suppression of Hysteresis in Carbon Nanotube Field-Effect Transistors: Effect of Contamination Induced by Device Fabrication Process", Jpn. J. Appl. Phys., (2006), Vol. 45, pp. 5501-5503. Z. Chen et al., "The Role of Metal-Nanotube Contact in the Performance of Carbon Nanotube Field-Effect Transistors", Nano Lett., Vol. 5, (2005), pp. 1497-1502. R. Martel et al., "Ambipolar Electrical Transport in Semiconducting Single-Wall Carbon Nanotubes", Phys. Rev. Lett. Vol. 87, (2001), pp 256805.
上述のように、従来の方法により製造されたCNT−FETは、以下の欠点および問題を有する。(1)チャネルとなるCNTが大気中に曝される構造であるため、大気中の酸素や水分子がCNTに吸着しやすく、CNT−FETの特性は湿度などの環境変化に大きく左右される。(2)吸着した水分子によりCNT−FETはゲートバイアスに対する履歴特性を示すので不安定である。(3)CNT−FETの製造プロセスにおいて、CNTが洗浄用薬品やパターニングのためのレジストなどに曝されるため、CNTが汚染され、欠陥が形成される。(4)上記(3)の汚染物はCNTと電極の接合特性を低下させる。(5)上記(3)の欠陥の形成は散乱などによるCNT−FETの特性劣化を引き起こし、本来のCNTが持つ一次元伝導が成り立たなくなる。(6)CNTの長さの制御がなされておらず、ソース電極−CNTの接合面積とドレイン電極−CNTの接合面積とが異なるため、ソース電極とドレイン電極における接触抵抗の違いが生じ、電流特性が非対称になりやすく、再現性に優れるCNT−FETの作製が困難である。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、優れた電気伝導特性を安定して示すCNT−FETを再現性よく製造することができる方法を提供することを目的とする。
本発明のFETの製造方法は、基板上に形成されたソース電極およびドレイン電極、ならびに前記ソース電極とドレイン電極とを接続するCNTからなるチャネルを有するFETの製造方法であって、基板上にCNTを配置するステップと、ソース電極およびドレイン電極を形成する前に、前記CNT上にパッシベーション膜を形成するステップと、前記CNTを切断して、前記CNTの第一の端面および第二の端面を露出させるステップと、前記第一の端面に接合されたソース電極および前記第二の端面に接合されたドレイン電極を形成するステップと、を含む。
本発明のFETは、基板上に形成されたソース電極およびドレイン電極、ならびに前記ソース電極とドレイン電極とを接続するCNTからなるチャネルを有するFETであって、前記CNTは、パッシベーション膜により被覆されており、前記ソース電極は、前記CNTの第一の端面に接合し、前記ドレイン電極は、前記CNTの第二の端面に接合し、前記ソース電極と前記CNTの接合面積は、前記ドレイン電極と前記CNTの接合面積と略同一である。
本発明により、優れた電気伝導特性を安定して示すCNT−FETを再現性よく製造することができる。
1.本発明のCNT−FET
本発明の製造方法により製造されるCNT−FET(以下「本発明のCNT−FET」ともいう)は、基板、基板上に形成されたソース電極およびドレイン電極、前記ソース電極とドレイン電極とを接続するCNTからなるチャネル、ならびにゲート電極を有する。
図1は、本発明のCNT−FETにおける、ソース電極、ドレイン電極およびチャネルとなるCNTの接続関係の一例を示す図である。図1において、CNT−FET100は、基板110、ソース電極120、ドレイン電極130、チャネルとなるCNT140およびパッシベーション膜150を有する。この例では、基板110は、シリコン基板112および酸化シリコン膜114から構成されている。このCNT−FET100では、図示しないゲート電極に印加された電圧によって、ソース電極120とドレイン電極130との間に流れる電流が制御される。
後述するように、本発明のCNT−FETの製造方法は、チャネルとなるCNTを切断し、そのCNTの両端に位置する切断面(端面)にソース電極およびドレイン電極を接合させることを一つの特徴とする。したがって、本発明のCNT−FETは、ソース電極およびドレイン電極が一のCNTの両端に位置する切断面(端面)にそれぞれ接合する、いわゆる「エンドコンタクトCNT−FET(End-Contact CNT-FET)構造」を有することを特徴とする(図1と図10とを比較参照)。
[基板について]
本発明のCNT−FETに含まれる基板は、絶縁基板であることが好ましい。絶縁基板は、例えば、絶縁体からなる基板、あるいは半導体や金属などからなる支持基板の少なくともソース電極およびドレイン電極が配置された面が絶縁膜で被覆された基板である。
絶縁体からなる基板において、絶縁体は、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの無機化合物や、アクリル樹脂、ポリイミドなどの有機化合物などである。絶縁体からなる基板の厚さは、目的に応じて適宜設定すればよい。
一方、支持基板上に絶縁膜が形成された基板において、支持基板の材質は半導体や金属などであることが好ましい。半導体は、例えばシリコン、ゲルマニウムなどの14族元素や、ガリウムヒ素(GaAs)、インジウムリン(InP)などのIII−V化合物、テルル化亜鉛(ZnTe)などのII−VI化合物などである。金属は、例えばアルミニウムやニッケルなどである。絶縁膜の材質は、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの無機化合物や、アクリル樹脂やポリイミドなどの有機化合物などである。支持基板および絶縁膜の厚さは、目的に応じて適宜設定すればよい。絶縁膜は、支持基板の片面(ソース電極およびドレイン電極が配置された面)のみを被覆していてもよいし、両面を被覆していてもよい。
[ソース電極とドレイン電極について]
本発明のCNT−FETの基板上には、ソース電極およびドレイン電極が配置されている。ソース電極およびドレイン電極の材質は、例えば、金、白金、クロム、チタン、アルミニウム、パラジウム、モリブデンなどの金属、またはポリシリコンなどの半導体である。ソース電極およびドレイン電極は、二種以上の金属で多層構造にされていてもよく、例えばチタンの層に金の層を重ねたものでもよい。ソース電極およびドレイン電極は、例えばこれらの金属を基板上に蒸着させて形成される。
ソース電極とドレイン電極との間隔は、特に限定されないが、通常は0.5〜10μm程度である。この間隔は、CNTによる電極間の接続を容易にするためにさらに縮めてもよい。ソース電極およびドレイン電極の形状は特に限定されず、目的に応じて適宜設定すればよい。
前述したように、ソース電極およびドレイン電極は、一のCNTの両端に位置する端面にそれぞれ接合している。すなわち、ソース電極は、チャネルとなるCNTの第一の端面に接合し、ドレイン電極は、前記CNTの第二の端面に接合している。このとき、ソース電極およびドレイン電極は、CNTの端面だけではなく端面近傍の側面にも接合していてもよい(図1参照)。後述するウェットエッチングを用いた方法により製造することで、このようなエンドコンタクト構造とサイドコンタクト構造を組み合わせたCNT−FETを製造することができる。
また、後述するように、本発明の製造方法は、チャネルとなるCNTを切断してCNTの長さを制御することができる。したがって、ソース電極−CNTの接合面積を、ドレイン電極−CNTの接合面積と略同一とすることができる(図1参照)。
[チャネルについて]
本発明のCNT−FETにおいて、ソース電極とドレイン電極とを接続するチャネルは、CNTから構成されている。チャネルを構成するCNTは、単層CNTまたは多層CNTのいずれでもよいが、単層CNTが好ましい。
本発明のCNT−FETにおいて、ソース電極とドレイン電極との間は一本のCNTによって接続されていてもよく、複数本のCNTによって接続されていてもよい。例えば、CNTのバンドルによってソース電極−ドレイン電極間が接続されていたり、ソース電極−ドレイン電極間に複数本のCNTが折り重ねられて接続されていたりしてもよい。
[パッシベーション膜について]
本発明のCNT−FETにおいて、チャネルとなるCNTは、パッシベーション膜により保護されている。パッシベーション膜は、絶縁性を有する膜であれば特に限定されず、例えば、酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)または窒化シリコン(Si)からなる絶縁膜である。パッシベーション膜の厚さは、特に限定されず目的に応じて適宜設定すればよいが、10nm以上が好ましい。
[ゲート電極について]
前述の通り、本発明のCNT−FETはゲート電極を有する。ゲート電極の材質は、例えば、金、白金、クロム、チタン、真鍮、アルミニウムなどの金属である。ゲート電極は、例えば、任意の位置にこれらの金属を蒸着して形成される。また、別個に準備した電極(例えば、金の薄膜)を任意の位置に配置して、ゲート電極としてもよい。ゲート電極が配置される位置は、その電圧によって基板上に配置されたソース電極−ドレイン電極間の電流(ソース−ドレイン電流)を制御できれば特に限定されず、目的に応じて適宜配置すればよい。例えば、本発明のCNT−FETは、ゲート電極の位置によりトップゲート型、サイドゲート型、バックゲート型の各態様を採ることができる。
以上のように、本発明のCNT−FETは、エンドコンタクト構造を有し、かつ、ソース電極−CNTの接合面積とドレイン電極−CNTの接合面積とが略同一であるため、従来のCNT−FETに比べて対称性に優れた電気特性を示す。すなわち、本発明のCNT−FETは、ソース電極およびドレイン電極に印加する電圧の符号に依存しない電気特性を示す。また、本発明のCNT−FETでは、ON時にはオーミック接合が実現される(実施例2参照)。オーミック接合が実現されることによって、効率的なキャリア注入が可能となる。その結果として、同じ測定条件におけるソース−ドレイン電流が大きくなる、すなわちコンダクタンスが大きくなることから、例えば、本発明のCNT−FETをセンサに適用した場合に、センサの感度を向上させることができると考えられる。
また、ソース電極およびドレイン電極がCNTの端面近傍の側面にも接合する態様の本発明のCNT−FETでは、ソース電極およびドレイン電極はCNTの基板側(下部)側面も含む側面全体を包むように接合することができる。したがって、上記態様の本発明のCNT−FETは、ソース電極およびドレイン電極からCNTへのキャリア注入効率を向上させることができるため、CNTが本来有する電気伝導特性を最大限に引き出すことができる。
また、本発明のCNT−FETは、パッシベーション膜によりCNTを水分子などの吸着から保護しているため、履歴特性を低減させることができる。
2.本発明のCNT−FETの製造方法
本発明のCNT−FETの製造方法は、(1)CNTを基板上に配置した後、かつソース電極およびドレイン電極を基板上に形成する前に、チャネルとなるCNTを保護するパッシベーション膜を形成すること、(2)チャネルとなるCNTを切断し、そのCNTの両端に位置する切断面(端面)にソース電極およびドレイン電極をそれぞれ接合させることを特徴とする。「CNTの配置」や「ソース電極およびドレイン電極の形成」、「ゲート電極の形成」などのステップは、従来の技術を適宜応用して行うことができる。
[基板の準備]
まず、基板を準備する。基板は、前述の絶縁基板であることが好ましい。基板の厚さは、目的に応じて適宜設定すればよい。後述するように基板をエッチングする場合は、絶縁体からなる基板の厚さ(絶縁体からなる基板の場合)または絶縁膜の厚さ(絶縁膜で被覆された基板の場合)は、エッチング後でもリーク電流を抑制しうるように設定することが好ましい。一般的に、酸化シリコン膜は、10nm以上の厚さであればリーク電流を抑制することができる。したがって、シリコン基板を被覆する酸化シリコン膜を10nmエッチングする場合は、酸化シリコン膜の厚さは20nm以上であることが好ましい(実施例参照)。
[CNTの配置]
準備した基板上にチャネルとなるCNTを配置する。CNTを基板上に配置する方法は、前述の分散法や直接成長法などの従来から知られている方法を適宜用いればよい。例えば、基板表面の任意の領域をCNTに親和性を有する物質で修飾し、この基板上に別個に準備したCNTを分散させることで、基板表面の修飾領域にCNTを配置することができる(分散法)。また、基板表面の任意の位置にCNTを成長させるための触媒を配置し、気相成長法により配置した触媒からCNTを成長させることで、基板表面の触媒の周辺領域にCNTを配置することができる(直接成長法)。図2(A)は、基板110上に触媒160を配置した後、触媒160からCNT140を成長させて(直接成長法)、CNT140を基板110上に配置した様子を示す模式図である。
[パッシベーション]
基板上にCNTを配置した後、基板上のCNTをパッシベーション膜で保護する。パッシベーション膜を形成する方法は、特に限定されないが、FETの履歴特性を低減させる観点から、CNTに吸着している水分子を除去しうる方法が好ましい。このような方法の例として、ALD(Atomic Layer Deposition)法が挙げられる。ALD法では、CNTに吸着している水分子がパッシベーション膜の成膜の過程で除去される。ALD法は、単原子層ずつパッシベーション膜を積層するため、膜の均一性やステップカバレージが高く、CNTの上部側面だけでなく下部側面まで回り込むようにパッシベーション膜を形成することができる。また、ALD法は、他の方法に比べて反応温度が低いため、CNT自体に大きな影響を与えることなくパッシベーション膜を形成することができる。なお、あらかじめ水分子を真空中で熱処理により除去した後に、EB蒸着法や抵抗加熱蒸着法、熱CVD法、スパッタ成膜法などでパッシベーション膜を形成しても、ALD法と同様にFETの履歴特性を低減させることができる。
形成するパッシベーション膜は、絶縁性を有する膜であれば特に限定されない。例えば、ALD法を用いて、酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)または窒化シリコン(Si)からなる膜を形成すればよい。形成するパッシベーション膜の厚さは、特に限定されず目的に応じて適宜設定すればよいが、10nm以上が好ましい。図2(B)は、CNT140を配置した基板110上にパッシベーション膜150を形成した様子を示す模式図である。
前述のように、本発明の製造方法は、ソース電極およびドレイン電極を形成するためのプロセスに移る前に、チャネルとなるCNTをパッシベーション膜で保護することを特徴とする。したがって、チャネルとなるCNTは、以後の製造プロセスにおいて物理的および化学的に保護される。このパッシベーション膜は、最終的なFETデバイスの保護膜としても機能することができる。
[CNTの切断]
本発明の製造方法は、ソース電極およびドレイン電極を形成する前に基板上に配置されたCNTを切断して、CNTの切断面を露出させることも特徴とする。CNTを切断する方法は、特に限定されず、例えばECR(Electron Cyclotron Resonance:電子サイクロトン共鳴)法などのドライエッチングを用いればよい。ドライエッチングを用いてCNTを切断する場合は、例えば、パッシベーション膜で保護された基板上のソース電極およびドレイン電極の形成予定部位以外の領域をレジスト膜でマスクした後、レジスト膜でマスクした基板に対してドライエッチングを行えばよい。これにより、ソース電極およびドレイン電極の形成予定部位に位置するパッシベーション膜およびCNTが除去され、この後に形成されるソース電極およびドレイン電極は、チャネルとなるCNTの両端に位置する切断面(端面)に接合できるようになる。図2(C)は、ソース電極およびドレイン電極の形成予定部位以外の領域をレジスト膜170でマスクした様子を示す模式図である。図2(D)は、図2(C)の基板110に対してドライエッチングを行うことによりCNT140を切断した様子を示す模式図である。図2(D)に示すように、このプロセスでは、ソース電極およびドレイン電極とCNTとの接合状態をより向上させる観点から、基板110も一部エッチングすることが好ましい。
CNTを切断した後、CNT周囲のパッシベーション膜および基板の一部をウェットエッチングすることで、ソース電極およびドレイン電極とCNTとの接合領域を制御することができる。すなわち、ウェットエッチングを行わずにソース電極およびドレイン電極を形成すれば、ソース電極およびドレイン電極は、チャネルとなるCNTの両端に位置する切断面(端面)にのみ接合することになる(エンドコンタクト構造)。一方、ウェットエッチングを行った後にソース電極およびドレイン電極を形成すれば、ソース電極およびドレイン電極は、チャネルとなるCNTの両端だけでなく、ウェットエッチングにより露出したCNTの側面にも接合することになる(エンドコンタクト構造とサイドコンタクト構造の組み合わせ)。この場合、ウェットエッチングによりCNTの基板側の側面も露出するため、従来は不可能であったCNTの円周全面を包む形の完全なサイドコンタクト構造を実現することができる。ウェットエッチングを行う方法は、パッシベーション膜や基板の種類に応じて適宜選択すればよく、例えばフッ酸などを用いてエッチングすればよい。また、その処理時間も目的とする接合状態に応じて適宜設定すればよい。図2(E)は、CNT140を切断した後、CNT140周囲のパッシベーション膜150および基板110の一部をウェットエッチングした様子を示す模式図である。
[ソース電極およびドレイン電極の形成]
CNTを切断した後、ソース電極およびドレイン電極を形成する。ソース電極およびドレイン電極を電極形成予定部位に形成する方法は、特に限定されない。例えば、リソグラフィ法を用いて、CNTを固定された基板の電極形成予定部位以外の領域をレジスト膜でマスクし、金や白金、チタン、クロム、アルミニウム、パラジウム、モリブデンなどの金属またはポリシリコンなどの半導体を蒸着させ、レジスト膜を除去(リフトオフ)すればよい。CNTを切断する際に基板上のソース電極およびドレイン電極の形成予定部位以外の領域をレジスト膜でマスクしている場合は、このレジスト膜を利用することができる。また、チタンを蒸着させた後、さらに金を蒸着させて重層して、二層構造の電極としてもよい。図2(F)は、金属などを蒸着してソース電極120およびドレイン電極130を形成した後、レジスト膜170を除去(リフトオフ)した様子を示す模式図である。
直接成長法(気相成長法)を用いて触媒からチャネルとなるCNTを成長させた場合(図2(A)参照)は、触媒を除去した後にソース電極およびドレイン電極を形成することが好ましい(図2(D)および図2(F)参照)。CNT−FETの電気特性に対する触媒の影響をなくすことができるためである。触媒の除去は、図2(D)に示すようにCNTの切断と同時に行ってもよいし、別個のステップで行ってもよい。
[ゲート電極の配置]
ゲート電極を配置する方法は特に限定されない。例えば、ソース電極およびドレイン電極と同様に、リソグラフィ法を用いて金属などを蒸着すればよい。また、別個に準備した電極をゲート電極とする場合には、その電極を所望の位置に配置すればよい。
以上のように、本発明の製造方法は、ソース電極およびドレイン電極を基板上に形成する前に、CNTを保護するパッシベーション膜を形成する。これにより、製造プロセスにおけるCNTの欠陥の形成やCNTへのレジストによる汚染を抑制することができる。このようにして実現される清浄なCNTチャネルは、CNTの一次元性の電気伝導を最大限に活かし、従来のCNT−FETよりも優れたFET特性を示す。
また、本発明の製造方法は、チャネルとなるCNTを切断し、そのCNTの両端に位置する切断面(端面)にソース電極およびドレイン電極をそれぞれ接合させることで、エンドコンタクト構造のCNT−FETを製造することができる。前述のように、エンドコンタクト構造のCNT−FETは、従来のCNT−FETに比べて対称性に優れた電気特性を示す。また、本発明のCNT−FETでは、ON時にはオーミック接合が実現される(実施例2参照)。オーミック接合が実現されることによって、効率的なキャリア注入が可能となる。その結果として、同じ測定条件におけるソース−ドレイン電流が大きくなる、すなわちコンダクタンスが大きくなることから、例えば、本発明のCNT−FETをセンサに適用した場合に、センサの感度を向上させることができると考えられる。
また、本発明の製造方法は、ウェットエッチングを行うことにより、エンドコンタクト構造とサイドコンタクト構造とを組み合わせた態様のCNT−FETを製造することができる。前述のように、エンドコンタクト構造とサイドコンタクト構造とを組み合わせた態様のCNT−FETは、ソース電極およびドレイン電極からCNTへのキャリア注入効率を向上させることができるため、CNTが本来有する電気伝導特性を最大限に引き出すことができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
[実施例1]
1.本発明のCNT−FETの作製
従来から知られている直接成長法を用いて、基板上にチャネルとなるCNTを配置した。まず、厚さ300nmの酸化シリコン(SiO)で覆われたシリコン基板(大きさ20mm×20mm、厚さ0.55mm)の片面にフォトリソグラフィでパターンを現像して、触媒の形成予定部位以外の基板面をレジスト膜(OFPR800、東京応化工業)で保護した。レジスト膜を形成した基板上にシリコン(Si)を20nmの厚さで蒸着させ、その上にアルミニウム(Al)を5nmの厚さで蒸着させ、その上に鉄(Fe)を2nmの厚さで蒸着させ、その上にモリブデン(Mo)を0.3nmの厚さで蒸着させた。次いで、リフトオフして、3μm×10μmの大きさの触媒を基板上に配置した。触媒間の間隔は、10μmとした。この触媒を配置した基板を、メタンおよび水素の混合ガス雰囲気中で900℃に加熱して(熱CVD法)、基板上に配置した触媒からCNTを成長させた(図2(A)参照)。
CNTを成長させた後、酸化ハフニウム(HfO)または酸化ジルコニウム(ZrO)からなるパッシベーション膜(膜厚20nm)を、CNTを含む基板上にALD法を用いて形成した(図2(B)参照)。次いで、パッシベーション膜の上にフォトリソグラフィでパターンを現像して、ソース電極およびドレイン電極の形成予定部位以外の基板面を前述のレジスト膜で保護した(図2(C)参照)。レジスト膜を形成した基板に対してECR法を用いたドライエッチングを行い、パッシベーション膜、触媒および酸化シリコン膜(10nm以上)をエッチングするとともにCNTを切断した(図2(D)参照)。切断部の間隔は、4μmとした。ドライエッチングした基板を、希薄フッ酸液(2%HF)で10秒間処理して、洗浄およびウェットエッチングを行った(図2(E)参照)。
ウェットエッチングを終えた後、基板上にチタン(Ti)を蒸着させて厚さ30nmのチタン薄膜を形成し、さらにその上に金(Au)を蒸着させて厚さ30nmの金薄膜を形成し、リフトオフしてソース電極およびドレイン電極を形成した(図2(F)参照)。さらに、基板裏面の酸化シリコン膜をウェットエッチングにより除去した後、アルミニウム(Al)を蒸着させて厚さ100nmのアルミニウム膜を形成し、ゲート電極(バックゲート)を形成した。
2.比較例のCNT−FETの作製
上記「1.本発明のCNT−FETの作製」と同様に、酸化シリコンで覆われたシリコン基板上にCNTを配置した後、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を形成した。電極間の間隔は、4μmとした。パッシベーション膜の形成、ドライエッチングおよびウェットエッチングは行わなかった。
3.電気特性の比較結果
図3(A)は、本発明の方法により作製した実施例1のCNT−FET(パッシベーション膜は酸化ハフニウム膜;図1参照)の電気特性を示すグラフである。図3(B)は、従来の方法により作製した比較例1のCNT−FET(図10参照)の電気特性を示すグラフである。それぞれのグラフは、ソース電極−ドレイン電極間に1Vの電圧を印加したときの、バックゲート電圧の変化(−20V〜+20V)とソース電極−ドレイン電極間に流れる電流(ソース−ドレイン電流)との関係(Isd−V)を示している。
CNT−FETは、その特性に応じて、p型FET、n型FETおよび両極性(p型およびn型:Ambipolar)FETの3種類に大きく分けられる。チタン(Ti)を電極としたCNT−FETは、p型特性を示すことが多い。しかし、これはチタン電極とCNTとの接合状態が乏しいためと考えられており、800℃程度の高温アニーリング処理によって理想的な接合状態であるTiCが実現されたCNT−FETは、両極性FETの性質を示すことが知られている。このように両極性FET特性を示すのは、Tiの仕事関数(4.3eV)がCNTの仕事関数(4.0eV〜4.5eV)とほとんど差がなく、電極からのホールおよび電子注入に対するエネルギー障壁が小さく同程度であるためと考えられている(非特許文献4参照)。
図3(B)のグラフから、比較例1のCNT−FETは、p型FETの性質を示すことがわかる。両極性FETの性質も見られるが、V<0におけるOn電流に比較してV>0におけるOn電流は二桁以上小さくなっている。また、比較例1のCNT−FETは、ΔVthが大きく、履歴特性が大きいこともわかる。
一方、図3(A)のグラフから、実施例1のCNT−FETは、V<0におけるOn電流とV>0におけるOn電流がほぼ同じであり、両極性FETの性質を示すことがわかる。このことから、実施例1のCNT−FETでは、アニーリング処理を行っていないにも関わらず、電極−CNT間の接合状態がTiCに匹敵するほど優れていることがわかる。また、実施例1のCNT−FETは、ΔVthが非常に小さく、履歴特性が小さいこともわかる。
[実施例2]
1.本発明のCNT−FETの作製
厚さ300nmまたは900nmの酸化シリコン(SiO)で覆われたシリコン基板を用いて、実施例1と同様の手順により本発明のCNT−FET(パッシベーション膜は酸化ハフニウム膜;図1参照)を作製した。実施例2のCNT−FETは、酸化シリコン膜の厚さが異なるシリコン基板も使用したことを除いては、実施例1のCNT−FETと同じものである。
2.比較例のCNT−FETの作製
上記「1.本発明のCNT−FETの作製」と同様に、シリコン基板上にCNTを配置した後、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を形成し、パッシベーション膜を形成し、比較例2のCNT−FET(パッシベーション膜は酸化ハフニウム膜)を作製した。基板は、厚さ300nmの酸化シリコンで覆われたシリコン基板を使用した。パッシベーション膜の形成は電極を形成した後に行ったが、ドライエッチングおよびウェットエッチングは行わなかった。
3.履歴特性の比較結果
図4は、本発明の方法により作製した実施例2のCNT−FETの電気特性を示すグラフである。酸化シリコン膜の厚さは900nmであった。このグラフは、ソース電極−ドレイン電極間に1Vの電圧を印加したときの、バックゲート電圧の変化(−20V〜+20V)とソース電極−ドレイン電極間に流れる電流(ソース−ドレイン電流)との関係(Isd−V)を示している。
図4に示されるように、実施例2のCNT−FETでは、ゲート電圧を−20Vから+20Vまで増加させた際にたどる経路と、ゲート電圧を+20Vから−20Vまで減少させた際にたどる経路とがほぼ完全に重なっており、そのΔVthは0.2V程度と極めて小さかった。
図5(A)は、実施例2のCNT−FETの履歴特性と比較例2のCNT−FETの履歴特性を示すグラフである。酸化シリコン膜の厚さはそれぞれ300nmであった。この実験では、1バッチで作製された実施例2のCNT−FET49個と、1バッチで作製された比較例2のCNT−FET49個を使用した。
図5(A)に示されるように、比較例2のCNT−FETでは、ΔVthは平均5〜6V程度であり、10Vを超えるものも散見された。比較例1のCNT−FETのΔVth(12V以上)に比べて比較例2のCNT−FETのΔVth(平均5〜6V程度)が減少しているのは、保護膜を形成したためであると考えられる。一方、実施例2のCNT−FETでは、ΔVthはほとんどが2V以下であった。図5(B)は、実施例2のCNT−FETのΔVthをより詳細に示すグラフである。図5(B)に示されるように、実施例2のCNT−FETのΔVthの平均値は1V程度であった。
これらのことから、本発明のCNT−FETの履歴特性が優れているのは、保護膜の効果によるものだけではなく、そのデバイス構造および製造方法によるものであることがわかる。
4.ノイズ特性の比較結果
図6は、実施例2のCNT−FET(図中「a」で示す)および比較例2のCNT−FET(図中「b」で示す)の電気特性を示すグラフである。酸化シリコン膜の厚さはそれぞれ900nmであった。ここでは、ソース電極−ドレイン電極間に1Vの電圧を印加し、バックゲート電圧を−20V〜+20Vで往復掃引したときのソース−ドレイン電流を10回連続して測定した結果を示している。本測定では、実施例2のCNT−FETについてはΔVthが1V程度のデバイスを、比較例2のCNT−FETについてはΔVthが6V程度のデバイスを使用した。図6に示されるように、比較例2のCNT−FETでは、10回繰り返し測定におけるVthのシフト幅(図中2つの矢印間の幅)は2V程度であった。このVthのシフト幅はノイズ成分に対応する。一方、実施例2のCNT−FETでは、10回繰り返し測定におけるVthのシフト幅は0.2V程度であり(重なっていてほとんど見えない)、比較例2のCNT−FETに比べて1/10に低減していた。
図7(A)は、実施例2のCNT−FET(図中「a」で示す)および比較例2のCNT−FET(図中「b」で示す)のソース−ドレイン電流の時間変化を示すグラフである。ここでは、ソース電極−ドレイン電極間に1Vの電圧を印加し、バックゲート電圧を0Vにしたときのソース−ドレイン電流を3時間(10800秒)連続して測定した結果を示している。図7(A)に示されるように、実施例2のCNT−FET、比較例2のCNT−FETともにソース−ドレイン電流の時間変化が緩和するまでの時間は約1時間(3600秒)であったが、比較例2のCNT−FETの方がその変化幅およびバラつきが遥かに大きいことがわかる。
図7(B)は、ソース−ドレイン電流の時間変化が緩和した後、5000秒から9000秒までのソース−ドレイン電流の時間変化を拡大したグラフである。このグラフでは、時間変化を比較しやすくするために、ソース−ドレイン電流の値を規格化している。図7(B)に示されるように、比較例2のCNT−FET(図中「b」で示す)では、ソース−ドレイン電流のバラつきまたはノイズ成分は約30%であったが、実施例2のCNT−FET(図中「a」で示す)では、ソース−ドレイン電流のバラつきまたはノイズ成分は約5%であった。
これらのことから、本発明のCNT−FETは、従来のCNT−FETに比べて履歴幅およびノイズ成分が大幅に改善されていることがわかる。
5.電気特性の対称性の比較結果
図8(A)は、実施例2のCNT−FETの電気特性を示すグラフである。図8(B)は、比較例2のCNT−FETの電気特性を示すグラフである。それぞれ、ソース電極−ドレイン電極間に+1Vまたは−1Vの電圧を印加し、バックゲート電圧を−20V〜+20Vで掃引したときのソース−ドレイン電流を測定した結果を示している。
図8(B)に示されるように、比較例2のCNT−FETでは、ソース電極−ドレイン電極間に+1Vの電圧を印加したときの曲線と−1Vの電圧を印加したときの曲線との対称性は50%程度と低かった。一方、図8(A)に示されるように、実施例2のCNT−FETでは、ソース電極−ドレイン電極間に+1Vの電圧を印加したときの曲線と−1Vの電圧を印加したときの曲線との対称性は85%程度と高かった。この電気特性の対称性が優れていることは、CNT−ソース電極間の接合特性とCNT−ドレイン電極間の接合特性とがほぼ等しいことを意味し、CNT−電極間の接合特性および接合の再現性が優れていることを意味する。
また、サブスレッシュホールド特性を示すS値(S=(d log10Isd/dV−1)についても、比較例2のCNT−FETでは2〜5V/decであったのが、実施例2のCNT−FETでは1V/decまで改善していた。図4に示される実施例2のCNT−FETでは、基板のシリコン酸化膜が900nmと十分に厚いにも関わらず、S値が0.3V/decであった。
これらの改善は、CNTが薬品やレジストなどにより汚染されていないこと、およびCNT−電極間の接合の対称性が優れていることにより、低い接合抵抗が実現されているためと考えられる。実際、比較例2のCNT−FETの接合抵抗は1〜10MΩ程度であるのに対し、実施例2のCNT−FETの接合抵抗は100〜数100kΩ程度と低い値であった。
6.CNT−電極間の接合特性の測定結果
図9は、実施例2のCNT−FET(図中「a」で示す)および比較例2のCNT−FET(図中「b」で示す)におけるコンダクタンスの温度特性の測定結果を示すグラフである。ここでは、ソース電極−ドレイン電極間に200mVの電圧を印加し、バックゲート電圧を20Vにしたとき(ON時)のソース−ドレイン電流の規格化したコンダクタンス特性を示している。規格化は、CNTのバリスティック伝導を考慮したものである。
比較例のCNT−FETにおけるコンダクタンス特性(図中「b」で示す)は、室温付近の温度(280K)からさらに低い温度(20K)まで下げることによって減少する。このことは、CNT−電極間の接合における抵抗が高く、ショットキー障壁が存在することを意味する。これに対して、実施例のCNT−FET(図中「a」で示す)では、コンダクタンスが温度の低下とともに大きくなる、つまり金属的な特性を示すことからCNT−電極間の接合がオーミック接合であることが示唆される。
本発明は、優れた電気伝導特性を安定して示すCNT−FETを再現性よく製造することができるので、CNT−FETを利用する集積デバイスやセンサなどの製造に有用である。
本発明のCNT−FETの構成の一例を示す模式図である。 本発明のCNT−FETの製造方法の一例を示す模式図である。 実施例1のCNT−FETおよび比較例のCNT−FETのIsd−V特性を示すグラフである。 実施例2のCNT−FETのIsd−V特性を示すグラフである。 実施例2のCNT−FETおよび比較例のCNT−FETの履歴幅を示すグラフである。 実施例2のCNT−FETおよび比較例のCNT−FETのIsd−V特性を示すグラフである。 実施例2のCNT−FETおよび比較例のCNT−FETのソース−ドレイン電流の時間変化を示すグラフである。 実施例2のCNT−FETおよび比較例のCNT−FETのIsd−V特性を示すグラフである。 実施例2のCNT−FETおよび比較例のCNT−FETの温度依存性のコンダクタンス特性を示すグラフである。 従来の電界効果トランジスタの構成を示す模式図である。
符号の説明
10,100 電界効果トランジスタ
11,110 基板
12,120 ソース電極
13,130 ドレイン電極
14,140 カーボンナノチューブ
15,160 触媒
112 シリコン基板
114 酸化シリコン膜
150 パッシベーション膜
170 レジスト膜

Claims (5)

  1. 基板上に形成されたソース電極およびドレイン電極、ならびに前記ソース電極とドレイン電極とを接続するカーボンナノチューブからなるチャネルを有する電界効果トランジスタの製造方法であって、
    基板上にカーボンナノチューブを配置するステップと、
    ソース電極およびドレイン電極を形成する前に、前記カーボンナノチューブ上にパッシベーション膜を形成するステップと、
    前記カーボンナノチューブを切断して、前記カーボンナノチューブの第一の端面および第二の端面を露出させるステップと、
    前記第一の端面のみに接合されたソース電極および前記第二の端面のみに接合されたドレイン電極を形成するステップと、を含
    前記パッシベーション膜は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンまたは窒化シリコンを含み、ALD法により形成される、
    電界効果トランジスタの製造方法。
  2. 前記カーボンナノチューブの切断は、ドライエッチングにより行われる、請求項1に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
  3. 前記カーボンナノチューブの配置は、気相成長法により行われる、請求項1に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
  4. 前記ソース電極および前記ドレイン電極を形成する前に、前記気相成長法で使用された触媒を除去するステップを有する、請求項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
  5. 基板上に形成されたソース電極およびドレイン電極、ならびに前記ソース電極とドレイン電極とを接続するカーボンナノチューブからなるチャネルを有する電界効果トランジスタであって、
    前記カーボンナノチューブは、パッシベーション膜により被覆されており、
    前記ソース電極は、前記カーボンナノチューブの第一の端面のみに接合し、
    前記ドレイン電極は、前記カーボンナノチューブの第二の端面のみに接合し、
    前記ソース電極と前記カーボンナノチューブの接合面積は、前記ドレイン電極と前記カーボンナノチューブの接合面積と同一である、
    電界効果トランジスタ。
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