JP5422973B2 - 球状酸化物半導体粒子、並びに、これを用いた集積体及び光電極 - Google Patents

球状酸化物半導体粒子、並びに、これを用いた集積体及び光電極 Download PDF

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Description

本発明は、球状酸化物半導体粒子、並びに、これを用いた集積体及び光電極に関し、さらに詳しくは、色素などの光増感物質の吸着特性、及び光増感物質が光励起されることにより生成するキャリアの移動性に優れた球状酸化物半導体粒子、並びに、これを用いた集積体及び光電極に関する。
ある種の半導体に光を照射すると、キャリアが励起され、半導体のバンドギャップにほぼ等しい開放電圧が得られる。また、ある種の半導体に色素や量子ドットなどの光増感物質を吸着させて光を照射すると、光増感物質が光励起されることにより生成したキャリアが半導体に移動し、光電流が増加する。SnO2やTiO2などの酸化物半導体は、バンドギャップが広く、キャリアの移動性にも優れているものが多いので、光電極やこれを用いた色素増感太陽電池への応用が期待されている。
酸化物半導体に光増感物質を吸着させた光電極において、高い光電変換効率を得るためには、酸化物半導体を多孔質化し、光増感物質の吸着特性を向上させる必要がある。このような多孔質の酸化物半導体及びその製造方法については、従来から種々の提案がなされている。
例えば、非特許文献1、2には、MCM−41やFSM−16と同様に、界面活性剤をソフトテンプレートに用いたSnO2多孔体の製造方法が開示されている。同文献には、このような方法により、ヘキサゴナルで規則的なメソ細孔(2〜4nm)を持ち、外形が不定形であるSnO2多孔体が得られる点が記載されている。
また、非特許文献3には、単分散粒子ではないが、球状多孔質炭素を鋳型に用いたTiO2の球状多孔体(単分散度:23.9%)が開示されている。
また、非特許文献4には、外形が不定形のメソポーラスカーボンにSnO2微粒子を析出させることにより得られる複合体の製造方法が開示されている。
さらに、特許文献1には、多孔質の酸化物半導体ではないが、直径0.05〜2μm、単分散度が10%以下、細孔分布が0.5〜2nmにピークを持つ単分散球状カーボン多孔体が開示されている。また、特許文献2には、連続したメソ孔を有し、かつ、単分散である球状のカーボン粒子が規則配列している多孔質カーボン配列体が開示されている。
T.Wagner et al., Sensors, 2006, 6, 318-1472 K.G.Severin et al., Chem Commun., 1998, 1471-1472 J.Am.Chem.Soc., 2003, 125, 4976-77 Chem Letters, 2007, 36(2), 254 特開2006−219322号公報 特開2007−197305号公報
多孔質粒子に光増感物質を吸着させたものを光電極に応用するためには、多孔質粒子には透光性が必要である。カーボン多孔体やカーボン多孔体と酸化物半導体との複合体は、透光性がないので、光特性を制御することができない。
これに対し、非特許文献1、2に開示されている方法により得られるSnO2多孔体は、透光性を有する半導体であるので、光電極を構成する材料として使用することができる。しかしながら、非特許文献1、2に開示されているSnO2多孔体は、メソ細孔を有しているが、その外形は不定形である。そのため、これに光増感物質を吸着させる場合、細孔の異方性のために、細孔への光増感物質の吸着速度のばらつきが大きくなる。また、光増感物質の均一な吸着は望めず、吸着量にも限界がある。
一方、非特許文献3に開示されているように、多孔体の外形を球状にすると、光増感物質の吸着を均一化することができる。さらに、球状の多孔体の直径を揃え、単分散化すると、球状の酸化物半導体からなるコロイド結晶を作製することができる。単分散球状粒子に光増感物質を吸着させ、これをコロイド結晶化すると、フォトバンドギャップによる放射光の制御を行うことができる。しかしながら、光増感物質を吸着可能であり、しかもコロイド結晶化が可能な多孔質の酸化物半導体が提案された例は、従来にはない。
本発明が解決しようとする課題は、光特性の制御が可能であり、光増感物質を均一に吸着させることができ、しかも相対的に多量の光増感物質を吸着させることが可能な球状酸化物半導体粒子、並びに、これを用いた集積体及び光電極を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、コロイド結晶化が可能であり、フォトバンドギャップによる放射光の制御が可能な球状酸化物半導体粒子、並びに、これを用いた集積体及び光電極を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る球状酸化物半導体粒子の1番目は、
酸化物半導体(TiO2を除く)からなる結晶子の集合体からなる多孔質の球状粒子であり、
前記球状粒子の直径が0.05〜2μmであり、
前記球状粒子の単分散度が10%以下であり、
前記球状粒子の比表面積が35m 2 /g以上である
とを要旨とする。
本発明に係る球状酸化物半導体粒子の2番目は、
TiO2からなる結晶子の集合体からなる多孔質の球状粒子であり、
前記球状粒子の直径が0.05〜2μmであり、
前記球状粒子の単分散度が10%以下であり、
前記球状粒子の比表面積が35m 2 /g以上である
とを要旨とする。
本発明に係る集積体は、本発明に係る球状酸化物半導体を集積させることにより得られる。集積体は、前記球状酸化物半導体粒子が規則配列しているのが好ましい。
本発明に係る光電極は、本発明に係る集積体と、前記集積体に吸着させた光増感物質とを備えている。集積体は、前記球状酸化物半導体が規則配列しているものからなり、前記光増感物質は、その発光スペクトルが前記集積体のブラッグ反射に基づく反射波長帯域(ストップバンド)と重なりを持つものが好ましい。
酸化物半導体を、微細な結晶子の集合体からなる多孔質の球状粒子とし、球状粒子の直径を所定の範囲とすると、球状粒子内に相対的に多量の光増感物質を均一に吸着させることができる。さらに、所定の直径を持つ球状粒子の単分散度をある一定値以下にすると、球状粒子をコロイド結晶化することができる。そのため、光増感物質が光励起されることにより生ずる光電流を効率よく取り出すことができる。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 球状酸化物半導体粒子]
本発明に係る球状酸化物半導体粒子は、
酸化物半導体からなる結晶子の集合体からなる多孔質の球状粒子であり、
前記球状粒子の直径が0.05〜2μmである
ことを特徴とする。
[1.1. 酸化物半導体]
球状粒子を構成する酸化物半導体は、特に限定されるものではなく、種々の材料を用いることができる。また、酸化物半導体は、n型半導体でも良く、あるいはp型半導体でも良い。酸化物半導体としては、例えば、SnO2、TiO2、SrTiO3、ZrO2、WO3、Bi23、Fe23、NiO、CuO、CeO2などがある。酸化物半導体は、これらのいずれか1種の材料からなるものでも良く、あるいは2種以上の材料からなる混合物又は化合物でも良い。
特に、主成分がSnO2又はTiO2である酸化物半導体は、開放電圧が高く、キャリアの移動性にも優れているので、球状粒子を構成する材料として好適である。ここで、「主成分がSnO2(又は、TiO2)である」とは、球状粒子を構成する材料に含まれる最大の成分がSnO2(又は、TiO2)であることをいう。
[1.2. 球状粒子]
球状粒子は、酸化物半導体からなる結晶子の集合体からなる多孔体である。
「球状」とは、同一条件下で製造された複数個(好ましくは、20個以上)の粒子を顕微鏡観察した場合において、各粒子の真球度の平均値が、13%以下であることをいう。また、「真球度」とは、各粒子の外形の真円からのずれの程度を表す指標であって、粒子の表面に接する最小の外接円の半径(r)に対する、外接円と粒子表面の各点との半径方向の距離の最大値(Δrmax)の割合(=Δrmax×100/r(%))で表される値をいう。後述する方法を用いると、真球度が7%以下、あるいは、3%以下である球状粒子が得られる。
球状粒子の直径が小さくなりすぎると、後述する単分散度が10%である粒子ができにくくなる。従って、球状粒子の直径は、0.05μm以上であることが好ましい。
一方、球状粒子の直径が大きくなりすぎると、後述する光電極で増感される光エネルギーが低くなる。従って、球状粒子の直径は、2μm以上であることが好ましい。
球状粒子は、上述した酸化物半導体からなる結晶子が互いに結合している集合体からなる。そのため、比表面積が大きく、相対的に多量の光増感物質を吸着することができる。
球状粒子を構成する結晶子の径は、球状粒子の光特性に影響を与える。ここで、「結晶子の径」とは、結晶子の平均寸法をいう。
結晶子の径が小さくなりすぎると、球状粒子の結晶性が不十分となり、半導体としての性能が低下する。従って、結晶子の径は、2nm以上が好ましい。
一方、結晶子の径が大きくなりすぎると、球状粒子の比表面積が低下し、光増感物質の吸着量が低下する。従って、結晶子の径は、40nm以下が好ましい。
相対的に多量の光増感物質を吸着させるためには、球状粒子の比表面積は、10m2/g以上が好ましい。結晶子の径を40nm以下とすると、このような高い比表面積を有する球状粒子が得られる。
球状粒子は、直径のばらつきが大きくても良い。しかしながら、直径のばらつきを小さくすると、球状粒子が規則配列している集積体を得ることができる。そのためには、球状粒子の単分散度は、10%以下が好ましい。単分散度は、さらに好ましくは、5%以下である。
ここで、「単分散度」とは、(1)式で表される値をいう。
単分散度=(粒子径の標準偏差)×100/(粒子径の平均値) ・・・(1)
特に、SnO2を主成分とする酸化物半導体からなる球状粒子は、後述する集積体及び光電極を構成する材料として好適である。また、SnO2を主成分とする酸化物半導体からなり、かつ単分散度が10%以下である球状粒子は、規則配列させるのが容易であるので、集積体及び光電極を構成する材料として好適である。
また、TiO2を主成分とする酸化物半導体からなり、かつ単分散度が10%以下である球状粒子は、規則配列させるのが容易であるので、集積体及び光電極を構成する材料として好適である。
[2. 集積体]
本発明に係る集積体は、本発明に係る球状酸化物半導体粒子を集積させることにより得られるものからなる。
「球状粒子が集積している」とは、球状粒子が互いに接触するように積み重なっていること、又は球状粒子の間に他の層が介在している状態で球状粒子が積み重なっていることをいう。他の層は、球状粒子が均一に分散、あるいは混合できるものであれば、粒子、連続体、あるいは膜のいずれであっても良い。例えば、高分子ゲル、金属のスパッター膜、球状シリカ粒子、球状高分子粒子、ITO粒子及びその膜、FTO(FドープSnO2)粒子及びその膜、ATO(SnドープSnO2)粒子及びその膜、ナフィオン(登録商標)粒子及びその膜などがある。
本発明に係る集積体を後述する光電極として用いる場合において、粒子間に他の層が介在するときには、他の層は、
(1)電子伝導性、正孔伝導性又はプロトン伝導性を持ち、かつ透明であるもの(例えば、ITO、FTO、ATOなどの透明導電体の粒子及びその膜、ナフィオン(登録商標)などのプロトン伝導性体の粒子及びその膜など)、
(2)厚みが十分に薄く、キャリアがトンネル効果などによって粒子間を移動できるもの(例えば、1nm以下の厚みを持つ薄膜など)、
などが好ましい。
一方、本発明に係る集積体を光電極以外の用途に用いるときには、他の層は、必ずしも電気伝導性、透光性などの条件を満たしている必要はない。
集積体は、球状粒子が不規則配列しているものでも良く、あるいは、球状粒子が規則配列しているものでも良い。球状粒子を規則配列させるためには、球状粒子の単分散度は10%以下が好ましい。
[3. 光電極]
本発明に係る光電極は、本発明に係る集積体と、集積体に吸着させた光増感物質とを備えている。
[3.1. 集積体]
光増感物質を吸着させるための集積体は、球状粒子が不規則配列しているものでも良く、あるいは、球状粒子が規則配列しているものでも良い。球状粒子を規則配列させるためには、球状粒子の単分散度は10%以下が好ましく、さらに好ましくは、5%以下である。また、集積体は、球状粒子が互いに接触しているものでも良く、あるいは、粒子間に上述した条件を満たす他の層が介在しているものでも良い。
光増感物質を吸着させた球状粒子を集積させた場合において、球状粒子が不規則配列しているときでも、光増感物質の励起効率を向上させることができる。発明者は、この効果をミー散乱などの散乱により入射光の行路長が長くなることなどにもよるものと考えている。しかしながら、球状粒子を規則配列させ、光増感物質の発光スペクトルと、規則配列した集積体のブラッグ反射に基づく反射波長帯域(ストップバンド)と重なりを持たせることで、光増感物質から球状粒子へのキャリア移動が促進され、光電流をさらに増大させることができる。
一般に、粒径の良く揃ったコロイド粒子が周期的に配列した集積体は、通常の結晶との類似性からコロイド結晶と定義される。コロイド結晶は、ブラッグ反射に起因するフォトバンドギャップを持ち、特定の波長の光を選択的に反射する。最密充填型コロイド結晶のブラッグ反射波長λは、(2)式で表される。
λ=2d/m(neff 2−sin2θ)1/2 ・・・(2)
ここで、λは特定の反射波長、dは反射面間隔、mはブラッグ反射の次数、neffは有効屈折率、θは入射角度をそれぞれ表す。
(2)式で示されるように、理論的にはブラッグ反射波長は、ある特定の1波長の光として定義される。しかしながら、実際のコロイド結晶中には、ひずみや欠陥も存在するために、そのブラッグ反射に基づく反射波長帯域(ストップバンド)は、1本の線ではなく、所定の幅を持つ。
また、光増感物質の中でも励起準位の構造が複雑で細かいもの(例えば、有機色素)は、その発光スペクトルが数十nm程度の幅を持つ場合が多い。
この発光スペクトルの内、コロイド結晶のストップバンドと重なる部分の光は、コロイド結晶内に閉じこめられる。そのため、光増感物質の発光スペクトルとコロイド結晶のストップバンドとが重なりを持つ場合において、その重なりが大きくなるほど、光増感物質が光励起されることにより生成したキャリアが再結合により消滅する確率(光による遷移確率)に比べて、キャリアが球状粒子に移動する確率が高くなる。その結果、発光スペクトルの重なりが大きくなるほど、光電流を増大させることができる。
[3.2. 光増感物質]
光増感物質は、紫外光、可視光、及び/又は、赤外光領域に吸収を持ち、光励起の状態、あるいは基底の状態から半導体へのキャリア移動が起きるものであれば、色素などの有機分子でも、量子ドットでも良い。また、集積体が球状粒子の規則配列体からなる場合、光増感物質は、その発光スペクトルが集積体のストップバンドと重なりを持つものが好ましい。光電流を増大させるためには、光増感物質の発光スペクトルと集積体のストップバンドとの重なりは、大きいほど良い。
ここでいう量子ドットとは、ナノオーダーの粒子中の空間に励起子を閉じ込め、いわゆる量子閉じ込め効果によりバルク以上の発光強度が得られる蛍光物質をいう。量子ドットを構成する物質は、特に限定されない。
量子ドットとしては、具体的には、
(1)CuCl等のI−VII族化合物半導体、
(2)ZnS、CdS、CdSe、CdTe、ZnSe等のII−VI族化合物半導体、
(3)GaAs、InAs等のIII−V族化合物半導体、
(4)Si、Ge等のIV族化合物半導体、
などがある。
量子ドットは、コアシェル構造を有していても良く、目的とする波長に応じて適宜選択可能である。
例えば、酸化物半導体がSnO2である場合、光増感物質としては、具体的には、
(1)ペリレン−3,4−ジカルボン酸−9,10−(5−フェナントロリン)カルボキシイミド、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸、N,N'−ビス(2−安息香酸)−3,4,9,10−ペリレンビス(ジカルボキシイミド)などのペリレン誘導体、
(2)Znフタロシアニン、オクタブトキシ−フタロシアニンなどのフタロシアニン誘導体、
(3)ポルフィリン誘導体、
(4)CuCl、ZnS、CdS、CdSe、CdTe、ZnSe、GaAs、InAs、Si、Geなどの量子ドット、
などがある。
酸化物半導体がTiO2である場合、光増感物質としては、具体的には、
(1)銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン誘導体、
(2)シス−ジシアネート−ビス(2,2'−ビピリジル−4,4'−ジカルボキシ)ルテニウム等のルテニウム錯体、
(3)CuCl、ZnS、CdS、CdSe、CdTe、ZnSe、GaAs、InAs、Si、Geなどの量子ドット、
などがある。
酸化物半導体がNiOである場合、光増感物質としては、具体的には、3−カルボキシメチル−5−[2−(3−オクタデシル−2−ベンゾチアゾリニルデン]−2−チオキソ−4−チアゾリジン、2',4',5',7'−Tetraiodofluorescein、disodiumu塩などがある。
酸化物半導体がCeOである場合、光増感物質としては、具体的には、シス−ジシアネート−ビス(2,2'−ビピリジル−4,4'−ジカルボキシレート)ルテニウム等のルテニウム錯体などがある。
光増感物質の含有量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択する。一般に、光増感物質の含有量が多くなるほど、光の吸収効率が高くなるので、光電流を大きくすることができる。
[4. 球状酸化物半導体の製造方法]
本発明に係る球状酸化物半導体粒子は、球状カーボン多孔体の細孔内に酸化物半導体を析出させ(酸化物半導体析出工程)、酸化物半導体が析出した球状カーボン多孔体からカーボンを除去する(カーボン除去工程)ことにより製造することができる。
また、球状カーボン多孔体は、シリカを含む球状メソ多孔体を作製し(球状メソ多孔体製造工程)、球状メソ多孔体のメソ細孔内にカーボンを析出させ(カーボン析出工程)、球状メソ多孔体を除去する(球状メソ多孔体除去工程)ことにより得られる。
[4.1. 球状メソ多孔体製造工程]
球状メソ多孔体製造工程は、シリカを含む球状メソ多孔体を製造する工程である。
球状メソ多孔体は、シリカのみからなるものでも良く、あるいは、シリカを主成分とし、シリカ以外の金属元素Mの酸化物を含んでいても良い。金属元素Mは、特に限定されるものではないが、2価以上の金属アルコキシドを製造可能なものが好ましい。金属元素Mが2価以上の金属アルコキシドを製造可能なものである場合、金属元素Mの酸化物を含む球状粒子を容易に製造することができる。このような金属元素Mとしては、具体的には、Al、Ti、Mg、Zrなどがある。
シリカを含む球状メソ多孔体は、
(1)シリカ原料と、界面活性剤とを含む原料を溶媒中で混合し、界面活性剤を含む前駆体粒子を作製し、
(2)前駆体粒子から界面活性剤を除去する、
ことにより得られる。
この場合、球状メソ多孔体の細孔径を拡大する処理をさらに施しても良い。
[4.1.1. シリカ原料]
シリカ原料には、
(1)テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン(シラン化合物)、
(2)トリメトキシシラノール、トリエトキシシラノール、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリエトキシ−3−グリシドキシプロピルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン(シラン化合物)、
(3)ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン等のジアルコキシシラン(シラン化合物)、
(4)メタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)、オルトケイ酸ナトリウム(Na4SiO4)、二ケイ酸ナトリウム(Na2Si25)、四ケイ酸ナトリウム(Na2Si49)、水ガラス(Na2O・nSiO2、n=2〜4)等のケイ酸ナトリウム、
(5)カネマイト(NaHSi25・3H2O)、二ケイ酸ナトリウム結晶(α、β、γ、δ−Na2Si25)、マカタイト(Na2Si49)、アイアライト(Na2Si817・xH2O)、マガディアイト(Na2Si1417・xH2O)、ケニヤイト(Na2Si2041・xH2O)等の層状シリケート、
(6)Ultrasil(Ultrasil社)、Cab−O−Sil(Cabot社)、HiSil(Pittsburgh Plate Glass社)等の沈降性シリカ、コロイダルシリカ、Aerosil(Degussa−Huls社)等のフュームドシリカ、
などを用いることができる。
また、シリカ原料には、ヒドロキシアルコキシシランも用いることができる。ヒドロキシアルコキシシランとは、アルコキシシランのアルコキシ基の炭素原子にヒドロキシ基(−OH)がついたものをいう。ヒドロキシアルコキシシランとしては、ヒドロキシアルコキシ基を4個有するテトラキス(ヒドロキシアルコキシ)シラン、ヒドロキシアルコキシ基を3個有するトリス(ヒドロキシアルコキシ)シランを用いることができる。
ヒドロキシアルコキシ基の種類及びヒドロキシ基の数は特に制限されないが、2−ヒドロキシエトキシ基、3−ヒドロキシプロポキシ基、2−ヒドロキシプロポキシ基、2,3−ジヒドロキシプロキシ基等のように、ヒドロキシアルコキシ基中の炭素原子の数が比較的少ないもの(炭素数が1〜3程度のもの)が反応性の点から有利である。
テトラキス(ヒドロキシアルコキシ)シランとしては、テトラキス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、テトラキス(3−ヒドロキシプロポキシ)シラン、テトラキス(2−ヒドロキシプロキシ)シラン、テトラキス(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)シラン、などがある。
トリス(ヒドロキシアルコキシ)シランとしては、メチルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、エチルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、フェニルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、3−メルカプトプロピルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、3−アミノプロピルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、3−クロロプロピルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、などがある。
これらのヒドロキシアルコキシシランは、アルコキシシランとエチレングリコールやグリセリンなどの多価アルコールとを反応させることにより合成することができる(例えば、Doris Brandhuber et al., Chem.Mater. 2005, 17, 4262参照)。
これらの中でも、テトラアルコキシシラン及びテトラキス(ヒドロキシアルコキシ)シランは、加水分解により生ずるシラノール結合の数が多くなり、強固な骨格を形成することができるので、シリカ原料として好適である。
なお、これらのシリカ原料は、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。但し、2種以上のシリカ原料を用いると、前駆体粒子の製造時の反応条件が複雑化する場合がある。このような場合には、シリカ原料は、単独で使用するのが好ましい。
また、前駆体粒子がシリカ以外の金属元素Mの酸化物を含む場合には、シリカ原料に加えて金属元素M1を含む原料を用いる。
金属元素Mを含む原料には、
(1)アルミニウムブトキシド(Al(OC49)3)、アルミニウムエトキシド(Al(OC25)3)、アルミニウムイソプロポキシド(Al(OC37)3)等のAlを含むアルコキシド類、及び、アルミン酸ナトリウム、塩化アルミニウム等の塩類、
(2)チタンイソプロポキシド(Ti(Oi−C37)4)、チタンブトキシド(Ti(OC49)4)、チタンエトキシド(Ti(OC25)4)等のTiを含むアルコキシド、
(3)マグネシウムメトキシド(Mg(OCH3)2)、マグネシウムエトキシド(Mg(OC25)2)等のMgを含むアルコキシド、
(4)ジルコニウムイソプロポキシド(Zr(Oi−C37)4)、ジルコニウムブトキシド(Zr(OC49)4)、ジルコニウムエトキシド(Zr(OC25)4)等のZrを含むアルコキシド、
などを用いることができる。
[4.1.2. 界面活性剤]
界面活性剤は、粒子内にメソ細孔を形成するための鋳型となる。界面活性剤の種類は、特に限定されるものではなく、種々の界面活性剤を用いることができる。使用する界面活性剤の種類、添加量などに応じて、粒子内の細孔構造を制御することができる。
界面活性剤は、特に、アルキル4級アンモニウム塩が好ましい。アルキル4級アンモニウム塩とは、次の(a)式で表されるものをいう。
CH3−(CH2)n−N+(R1)(R2)(R3)X- ・・・(a)
(a)式中、R1、R2、R3は、それぞれ、炭素数が1〜3のアルキル基を表す。R1、R2、及び、R3は、互いに同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。アルキル4級アンモニウム塩同士の凝集(ミセルの形成)を容易化するためには、R1、R2、及び、R3は、すべて同一であることが好ましい。さらに、R1、R2、及び、R3の少なくとも1つは、メチル基が好ましく、すべてがメチル基であることが好ましい。
(a)式中、Xはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子の種類は特に限定されないが、入手の容易さからXは、Cl又はBrが好ましい。
(a)式中、nは7〜21の整数を表す。一般に、nが小さくなるほど、メソ孔の中心細孔径が小さい球状シリカマトリックスが得られる。一方、nが大きくなるほど、中心細孔径は大きくなるが、nが大きくなりすぎると、アルキル4級アンモニウム塩の疎水性相互作用が過剰となる。その結果、層状の化合物が生成し、球状の多孔体が得られない。nは、好ましくは、9〜17、さらに好ましくは、13〜17である。
(a)式で表されるものの中でも、アルキルトリメチルアンモニウムハライドが好ましい。アルキルトリメチルアンモニウムハライドとしては、例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムハライド、ノニルトリメチルアンモニウムハライド、デシルトリメチルアンモニウムハライド、ウンデシルトリメチルアンモニウムハライド、ドデシルトリメチルアンモニウムハライド等がある。
これらの中でも、特に、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド又はアルキルトリメチルアンモニウムクロリドが好ましい。
シリカ粒子を合成する場合において、1種類のアルキル4級アンモニウム塩を用いても良く、あるいは、2種以上を用いても良い。しかしながら、アルキル4級アンモニウム塩は、シリカ粒子内にメソ孔を形成するためのテンプレートとなるので、その種類は、メソ孔の形状に大きな影響を与える。より均一なメソ孔を有するシリカ粒子を合成するためには、1種類のアルキル4級アンモニウム塩を用いるのが好ましい。
[4.1.3. 溶媒]
溶媒には、水、アルコールなどの有機溶媒、水と有機溶媒の混合溶媒などを用いる。アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール等の1価のアルコール、エチレングリコール等の2価のアルコール、グリセリン等の3価のアルコールのいずれでも良い。
水と有機溶媒の混合溶媒を用いる場合、混合溶媒中の有機溶媒の含有量は、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、溶媒中に適量の有機溶媒を添加すると、粒径や粒度分布の制御が容易化する。
[4.1.4. 配合比]
一般に、シリカ原料及び必要に応じて添加される金属元素M1を含む原料(以下、単に「シリカ源」という)の濃度が低すぎると、シリカ粒子を高収率で得ることができない。また、粒径及び粒度分布の制御が困難となり、粒径の均一性が低下する。従って、シリカ源の濃度は、0.005mol/L以上が好ましい。シリカ源の濃度は、さらに好ましくは、0.008mol/L以上である。
一方、シリカ源の濃度が高すぎると、メソ孔を形成するためのテンプレートとして機能する界面活性剤が相対的に不足し、規則配列したメソ孔が得られない。従って、シリカ源の濃度は、0.03mol/L以下が好ましい。シリカ源の濃度は、さらに好ましくは、0.015mol/L以下である。
一般に、界面活性剤の濃度が低すぎると、メソ孔を形成するためのテンプレートが不足し、規則配列したメソ孔が得られない。従って、界面活性剤の濃度は、0.003mol/L以上が好ましい。界面活性剤の濃度は、さらに好ましくは、0.01mol/L以上である。
一方、界面活性剤の濃度が高すぎると、シリカ粒子を高収率で得ることができない。従って、界面活性剤の濃度は、0.03mol/L以下が好ましい。界面活性剤の濃度は、さらに好ましくは、0.02mol/L以下である。
[4.1.5. 反応条件]
シリカ原料として、アルコキシシラン、ヒドロキシアルコキシシラン等のシラン化合物を用いる場合には、これをそのまま出発原料として用いる。
一方、シリカ原料としてシラン化合物以外の化合物を用いる場合には、予め、水(又は、必要に応じてアルコールが添加されたアルコール水溶液)にシリカ原料を加えて、水酸化ナトリウム等の塩基性物質を加える。塩基性物質の添加量は、シリカ原料中のケイ素原子と等モル程度の量とするのが好ましい。シラン化合物以外のシリカ原料を含む溶液に塩基性物質を加えると、シリカ原料中に既に形成されているSi−(O−Si)4結合の一部が切断され、均一な溶液が得られる。溶液中に含まれる塩基性物質の量は、シリカ粒子の収量や気孔率に影響を及ぼすので、均一な溶液が得られた後、溶液に希薄酸溶液を加え、溶液中に存在する過剰の塩基性物質を中和させる。希薄酸溶液の添加量は、シリカ原料中のケイ素原子に対して1/2〜3/4倍モルに相当する量が好ましい。
所定量の界面活性剤を含む溶媒中に、シリカ源を加え、加水分解及び重縮合を行う。これにより、界面活性剤がテンプレートとして機能し、シリカ及び界面活性剤を含む前駆体粒子が得られる。
反応条件は、シリカ原料の種類、前駆体粒子の粒径等に応じて、最適な条件を選択する。一般に、反応温度は、−20〜100℃が好ましい。反応温度は、さらに好ましくは、0〜80℃、さらに好ましくは、10〜40℃である。
[4.1.6. 拡径処理]
合成された球状メソ多孔体は、後述する界面活性剤の除去により、球状カーボン多孔体製造用のテンプレートとして用いることもできる。しかしながら、一般に、合成直後の球状メソ多孔体は、細孔径が相対的に小さい。球状メソ多孔体を用いて球状カーボン多孔体を合成する場合において、球状メソ多孔体の細孔径が小さくなるほど、球状カーボン多孔体のカーボン壁の厚さが薄くなり、球状カーボン多孔体の細孔が変形しやすくなる。球状カーボン多孔体の細孔が変形すると、細孔内への酸化物半導体の導入が困難となる場合がある。
そこで、このような場合には、球状メソ多孔体の細孔径を拡大する処理(拡径処理)を行うのが好ましい。
拡径処理は、具体的には、前述の合成された球状メソ多孔体(界面活性剤の未除去のもの)を、拡径剤を含む溶液中で水熱処理することにより行う。この処理によって球状メソ多孔体の細孔径を拡大することができる。
このような拡径剤としては、下記一般式(b)で表されるアルキルアンモニウムハライド、鎖状炭化水素、環状炭化水素、鎖状脂肪族アミン、鎖状脂肪族アルコール、及びヘテロ環化合物からなる群から選択される少なくとも1種が用いられる。
CH3−(CH3)z−N+(R1)(R2)(R3)X- ・・・(b)
(b)式中、R1、R2、及びR3は、同一でも異なっていても良い炭素数1〜3のアルキル基を示す。Xは、ハロゲン原子を示す。zは17〜25の整数であって、かつ球状メソ多孔体の合成時に利用した界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの式(a)中のnの値より大きい整数を示す。R1、R2及びR3、並びにXについては、前述の一般式(a)におけるR1、R2及びR3、並びにXと同義のものである。
拡径剤として一般式(b)に示すアルキルアンモニウムハライドを用いる場合、このアルキルアンモニウムハライドが球状メソ多孔体の細孔内の界面活性剤と置換反応してシリカ中に導入されることで、細孔径が拡大する。
一般式(b)におけるzは、17〜25の整数を示し、20〜25の整数であることがより好ましく、22〜24の整数であることがさらに好ましい。zが16以下であるアルキルアンモニウムハライドでは、球状メソ多孔体の細孔径を十分に拡大するのが困難となる。他方、zが26以上のアルキルアンモニウムハライドでは、アルキル鎖が大きくなりすぎて、合成時に用いた界面活性剤と置換反応させてシリカ中に導入することが困難となる。
拡径剤として、鎖状炭化水素、環状炭化水素、鎖状脂肪族アミン、鎖状脂肪族アルコール及びヘテロ環化合物を用いる場合には、拡径剤が溶媒から、より疎水性の高い球状メソ多孔体の細孔内に導入されることにより、球状メソ多孔体の細孔径が拡大する。
また、鎖状炭化水素としては、鎖状の炭化水素であれば良く,特に限定されないが、炭素数が6〜26(より好ましくは、6〜12)の鎖状炭化水素が好ましい。鎖状炭化水素の炭素数が下限未満では、疎水性が小さくなり、球状メソ多孔体の細孔内に導入され難くなる傾向がある。他方、上限を超えると、溶解性が低下する傾向がある。
このような鎖状炭化水素としては、例えば、ヘキサン、メチルペンタン、ジメチルブタン、ヘプタン、メチルヘキサン、ジメチルペンタン、トリメチルブタン、オクタン、メチルヘプタン、ジメチルヘキサン、トリメチルペンタン、イソプロピルペンタン、ノナン、メチルオクタン、エチルヘプタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等が挙げられる。疎水性や溶解性等の観点から、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカンが好ましい。
また、環状炭化水素としては、その骨格に環状の炭化水素を含有するものであれば良く、特に限定されないが、環数が1〜3で炭素数が6〜20(より好ましくは、6〜16)の環状炭化水素が好ましい。環状炭化水素の炭素数が下限未満では、疎水性が小さくなり、球状メソ多孔体の細孔内に導入され難くなる傾向にある。他方、上限を超えると、溶解性が低下するため、細孔径の拡大が図れなくなる傾向にある。また、環状炭化水素の環数が3を超えると溶解性が低下するため、細孔径の拡大が図れなくなる傾向にある。
さらに、このような環状炭化水素としては、例えば、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、トリイソプロピルベンゼン、インデン、ナフタレン、テトラリン、アズレン、ビフェニレン、アセナフチレン、フルオレン、フェナントレン、アントラセン等が挙げられる。疎水性や溶解性の観点から、シクロヘキサン、ベンゼン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、トリイソプロピルベンゼン、ナフタレンが好ましい。
また、鎖状脂肪族アミンとしては、鎖状の脂肪族アミンであれば良く,特に限定されないが、炭素数が6〜26(より好ましくは、6〜20)の鎖状脂肪族アミンが好ましい。鎖状脂肪族アミンの炭素数が下限未満では、疎水性が小さくなり、球状メソ多孔体の細孔内に導入され難くなる傾向にある。他方、上限を超えると、溶解性が低下する傾向にある。
このような鎖状脂肪族アミンとしては、例えば、ヘキシルアミン、メチルペンチルアミン、ジメチルブタチルアミン、ヘプチルアミン、メチルヘキシルアミン、ジメチルペンチルアミン、トリメチルブチルアミン、オクチルアミン、メチルヘプチルアミン、ジメチルヘキシルアミン、トリメチルペンチルアミン、イソプロピルペンチルアミン、ノニルアミン、メチルオクチルアミン、エチルヘプチルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、N,N'−ジメチル−n−へキシルアミン、N,N'−ジメチル−n−オクチルアミン、N,N'−ジメチル−n−デシルアミン、N,N'−ジメチル−n−ドデシルアミン、N,N'−ジメチル−n−テトラデシルアミン、N,N'−ジメチル−n−パルミチルアミンが挙げられる。疎水性や溶解性の観点から、N,N'−ジメチル−n−デシルアミン、N,N'−ジメチル−n−ドデシルアミン、N,N'−ジメチル−n−テトラデシルアミン、N,N'−ジメチル−n−パルミチルアミンが好ましい。
また、鎖状脂肪族アルコールとしては、鎖状の脂肪族アルコールであれば良く,特に限定されないが、炭素数が6〜26(より好ましくは、6〜20)の鎖状脂肪族アルコールが好ましい。鎖状脂肪族アルコールの炭素数が下限未満では、疎水性が小さくなり,球状メソ多孔体の細孔内に導入され難くなる傾向にある。他方、上限を超えると,溶解性が低下する傾向にある。
このような鎖状脂肪族アルコールとしては、例えば、ヘキサノール、メチルペンタノール、ジメチルブタノール、ヘプタノール、メチルヘキサノール、ジメチルペンタノール、トリメチルブタノール、オクタノール、メチルヘプタノール、ジメチルヘキサノール、トリメチルペンタノール、イソプロピルペンタノール、ノナノール、メチルオクタノール、エチルヘプタノール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコールが挙げられる。疎水性や溶解性の観点から、ヘキサノール、オクタノール、デカノールが好ましい。
また、ヘテロ環化合物としては、その骨格にヘテロ環を含有するものであれば良く、特に限定されないが、環数が1〜3で炭素数が4〜18(より好ましくは、5〜12)で、ヘテロ原子が窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1種の原子であるヘテロ環化合物が好ましい。ヘテロ環化合物の炭素数が下限未満では、疎水性が小さくなり、球状メソ多孔体の細孔内に導入され難くなる傾向にある。他方、上限を超えると溶解性が低下するため、細孔径の拡大が図れなくなる傾向にある。また、ヘテロ環化合物の環数が3を超えると溶解性が低下するため、細孔径の拡大が図れなくなる傾向にある。
このようなヘテロ環化合物としては、例えば、ピロール、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン等が挙げられる。疎水性や溶解性の観点から、ピリジン、キノリン、アクリジン、フェナントロリンが好ましい。
溶媒には、水とアルコールとの混合溶媒を用いる。このようなアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の1価のアルコール、エチレングリコール等の2価のアルコール、グリセリン等の3価のアルコールのいずれでも良い。
溶媒中のアルコールの含有量が40〜90容量%である必要があり、アルコールの含有量が50〜85容量%であることが好ましく、55〜75容量%であることがより好ましい。この溶媒中におけるアルコールの含有量が90容量%を超える場合には、細孔内の界面活性剤とアルキルアンモニウムハライドとの置換反応や細孔内への鎖状炭化水素や環状炭化水素や鎖状脂肪族アミンや鎖状脂肪族アルコールやヘテロ環化合物の導入が十分に進まなくなる。他方、この溶媒中におけるアルコールの含有量が40容量%未満の場合は、水の割合が多くなるため長いアルキル鎖を有するアルキルアンモニウムハライド、鎖状炭化水素、環状炭化水素、鎖状脂肪族アミン、鎖状脂肪族アルコール、ヘテロ環化合物が溶媒中に十分に溶解しなくなる。さらに、高温の水によって,シリカネットワークの再構築が促進されて得られるシリカ多孔体の形状が変化してしまったり、多孔体前駆体粒子のシリカネットワークが崩壊したりする。
さらに、この溶媒中における拡径剤の濃度は、溶液の全容量を基準として0.05〜10mol/L(好ましくは、0.05〜5mol/L、より好ましくは、0.1〜1mol/L)とする必要がある。また、このような溶媒中における拡径剤の濃度の上限値としては、溶液の全容量を基準として0.2mol/L以下であることがさらに好ましく、0.18mol/L以下であることが特に好ましい。拡径剤の濃度が0.05mol/L未満の場合は、細孔内の界面活性剤とアルキルアンモニウムハライドとの置換反応や細孔内への鎖状炭化水素や環状炭化水素や鎖状脂肪族アミンや鎖状脂肪族アルコールやヘテロ環化合物の導入が十分に進行せず、得られる粒子の粒径や細孔構造の規則性が低下し、さらには細孔径を十分に拡大することができない。他方、拡径剤の濃度が10mol/Lを超える場合は、粒径及び粒径分布の制御が困難となって、得られる粒子の粒径の均一性が低くなる。
拡径処理は、60〜150℃の温度条件下で行われる必要があり、70〜120℃の温度条件下で行われることが好ましい。また、このような温度条件の上限の値としては、100℃(さらに好ましくは90℃、特に好ましくは80℃)以下であることがより好ましい。このような温度が60℃未満では、球状メソ多孔体に含有されている界面活性剤と拡径剤として使用したアルキルアンモニウムハライドとの置換反応や細孔内への鎖状炭化水素や環状炭化水素や鎖状脂肪族アミンや鎖状脂肪族アルコールやヘテロ環化合物の導入が十分に進行しない。他方、150℃を超えると、粒径及び粒径分布の制御が困難となる。
[4.1.7. 界面活性剤の除去]
乾燥後、前駆体粒子から界面活性剤(及び、必要に応じて添加された拡径剤)を除去すると、球状メソ多孔体が得られる。界面活性剤の除去方法としては、
(1) 前駆体粒子を大気中又は不活性雰囲気下において、300〜1000℃(好ましくは、300〜600℃)で、30分以上(好ましくは、1時間以上)焼成する焼成方法、
(2) 前駆体粒子を界面活性剤の良溶媒(例えば、少量の塩酸を含むメタノール)中に浸漬し、所定の温度(例えば、50〜70℃)で加熱しながら攪拌し、薄膜中の界面活性剤を抽出するイオン交換法、
などがある。
[4.2. カーボン析出工程]
カーボン析出工程は、球状メソ多孔体のメソ細孔内にカーボンを析出させる工程である。メソ細孔内にカーボンを析出させる方法としては、以下のような方法がある。
[4.2.1. 第1の方法]
カーボンを析出させる第1の方法は、メソ細孔内にカーボン前駆体を導入し、カーボン前駆体を重合及び炭化させる方法である。
「カーボン前駆体」とは、炭素源となるものであり、熱分解によって炭素を生成可能なものであればよい。このようなカーボン前駆体としては、具体的には、
(1) 常温で液体であり、かつ、熱重合性のポリマー前駆体(例えば、フルフリルアルコール、アニリン等)、
(2) 炭水化物の水溶液と酸の混合物(例えば、スクロース(ショ糖)、キシロース(木糖)、グルコース(ブドウ糖)などの単糖類、あるいは、二糖類、多糖類と、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などの酸との混合物)、
(3) 2液硬化型のポリマー前駆体の混合物(例えば、フェノールとホルマリン等)、
などがある。
これらの中でも、ポリマー前駆体は、溶媒で希釈することなくメソ孔内に含浸させることができるので、相対的に少数回の含浸回数で、相対的に多量の炭素をメソ孔内に生成させることができる。また、重合開始剤が不要であり、取り扱いも容易であるという利点がある。
液体又は溶液のカーボン前駆体を用いる場合、1回当たりの液体又は溶液の吸着量は、多いほど良く、メソ孔全体が液体又は溶液で満たされる量が好ましい。
また、カーボン前駆体として炭水化物の水溶液と酸の混合物を用いる場合、酸の量は、有機物を重合させることが可能な最小量とするのが好ましい。
さらに、カーボン前駆体として、2液硬化型のポリマー前駆体の混合物を用いる場合、その比率は、ポリマー前駆体の種類に応じて、最適な比率を選択する。
メソ細孔内にカーボン前駆体を導入した後、前駆体を重合させる。
例えば、カーボン前駆体が、ポリマー前駆体、炭水化物の水溶液と酸の混合物、又は、2液硬化型のポリマー前駆体の混合物である場合、カーボン前駆体の重合は、これを吸着させた球状メソ多孔体を所定温度で所定時間加熱することにより行う。最適な重合温度及び重合時間は、カーボン前駆体の種類により異なるが、通常、重合温度は50℃〜400℃、重合時間は5分〜24時間である。
さらに、重合させたカーボン前駆体をメソ孔内において炭化させる。
カーボン前駆体の炭化は、非酸化雰囲気中(例えば、不活性雰囲気中、真空中など)において、球状メソ多孔体を所定温度に加熱することにより行う。加熱温度は、具体的には、500℃以上1200℃以下が好ましい。加熱温度が500℃未満であると、カーボン前駆体の炭化が不十分となる。一方、加熱温度が1200℃を超えると、シリカと炭素が反応するので好ましくない。加熱時間は、加熱温度に応じて、最適な時間を選択する。
なお、メソ孔内に生成させる炭素量は、球状メソ多孔体を除去した時に、カーボン粒子が形状を維持できる量以上であればよい。従って、1回の充填、重合及び炭化で生成する炭素量が相対的に少ない場合には、これらの工程を複数回繰り返すのが好ましい。この場合、繰り返される各工程の条件は、それぞれ、同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
また、充填、重合及び炭化の各工程を複数回繰り返す場合、各炭化工程は、相対的に低温で炭化処理を行い、最後の炭化処理が終了した後、さらにこれより高い温度で、再度、炭化処理を行っても良い。最後の炭化処理を、それ以前の炭化処理より高い温度で行うと、複数回に分けて細孔内に導入されたカーボンが一体化しやすくなる。
[4.2.2. 第2の方法]
カーボンを析出させる第2の方法は、メソ孔内に、直接、カーボンを析出させる方法である。すなわち、第2の方法は、気相蒸着法を用いて球状メソ多孔体の少なくともメソ細孔内にカーボンを析出させる方法である。
具体的には、不飽和結合を有する重合性のガス(例えば、アセチレン、プロピレン等)を炭素源として用いて、これを不活性ガス(N、アルゴン、ヘリウム等)で希釈して、球状メソ多孔体を設置した流通型反応管に流し、所定温度で所定時間加熱する(いわゆる「熱CVD法」)。これにより、メソ細孔内への炭素源の吸着と同時に重合と炭化が起こる。同様の方法で、液体の炭素源を不活性ガスでバブリングし、一工程でメソ細孔内に炭素を析出させることもできる。加熱温度は、ガスの種類に応じて最適な温度を選択する。
第2の方法において、カーボンの析出は、球状メソ多孔体の表面側から生じる。従って、析出時間が相対的に短い場合、球状メソ多孔体の表面近傍のメソ細孔にのみカーボンが析出するので、中空のカーボン粒子が得られる。一方、析出時間が相対的に長い場合、メソ細孔の中心部までカーボンが析出するので、中実のカーボン粒子が得られる。
[4.3. 球状メソ多孔体除去工程]
球状メソ多孔体除去工程は、少なくともメソ細孔内にカーボンが生成した球状メソ多孔体・カーボン複合体から、球状メソ多孔体を除去する工程である。これにより、球状カーボン多孔体が得られる。
球状メソ多孔体の除去方法としては、具体的には、
(1) 複合体を水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液中で加熱する方法、
(2) 複合体をフッ化水素酸水溶液でエッチングする方法、
などがある。
[4.4. 酸化物半導体析出工程]
酸化物半導体析出工程は、上述の方法により得られた球状カーボン多孔体の細孔内に酸化物半導体を析出させる工程である。
細孔内への酸化物半導体の析出は、具体的には、細孔内に酸化物半導体の前駆体を導入し、前駆体を酸化物半導体に変換することにより行う。
細孔内において酸化物半導体を形成するための前駆体としては、具体的には、
(1)酸化物半導体を構成する金属元素を含み、溶媒に可溶であり、かつ溶媒中の溶存酸素により酸化され、析出させることが可能な化合物、
(2)酸化物半導体を構成する金属元素を含み、熱分解あるいは加水分解により金属酸化物を形成することが可能な化合物、
などがある。
溶存酸素により酸化し、析出させることが可能な化合物としては、
(1)SnCl2などの2価のSnを含む塩、
(2)TiCl3などの3価のTiを含む塩、
(3)FeSO4などの2価のFeを含む塩、
(4)Ce(CH3COO)3などの3価のCeを含む塩、
などがあるが、これらに限定されるものではない。
また、熱分解あるいは加水分解により金属酸化物を形成することが可能な化合物としては、
(1)CuSO4、FeSO4などの硫酸塩、
(2)Ni(CH3COO)2、Cu(CH3COO)2、ステアリン酸鉄などのカルボン酸塩、
(3)SnCl4、SnCl2、FeCl2、FeCl3、NiCl2、TiCl4などの塩化物、
(4)タングステンエトキシド(W(OC25)6)、チタンイソプロポキシド(Ti(Oi−C37)4)、チタンエトキシド(Ti(OC25)4)、チタンブトキシド(Ti(OC49)4)、チタンストロンチウムエトキシド(Ti(OC25)2−OSrO)、ジルコニウムイソプロポキシド(Zr(Oi−C37)4)、ジルコニウムエトキシド(Zr(OC25)4)などのアルコキシド、
(5)Cu(NO3)2、Fe(NO3)2などの硝酸塩、
(6)ニッケルアセチルアセトナート(Ni(CH3COCHCOCH3)2)、スズアセチルアセトナート(Sn(CH3COCHCOCH3)2)などのアセチルアセトナート塩、
などがあるが,これらに限定されるものではない。
液体の化合物は、球状カーボン多孔体の細孔内に導入し,熱分解あるいは加水分解する。固体の化合物については、適当な溶媒に溶解し、細孔内に導入し、熱分解あるいは加水分解する。
前駆体が液体である場合、これをそのまま球状カーボン多孔体の細孔内に吸着させても良い。あるいは、前駆体を適当な溶媒に溶解させ、この溶液を球状カーボン多孔体の細孔内に吸着させても良い。前駆体を溶媒に溶解させる場合、溶媒の種類及び前駆体の濃度は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択する。
前駆体を吸着させた後、前駆体を酸化物に変換する。変換方法は、特に限定されるものではなく、前駆体の種類に応じて最適な方法を選択する。
例えば、前駆体として塩化物を用いる場合、塩化物を溶解させた溶液に球状カーボン多孔体を分散させ、空気中で攪拌する。攪拌を続けると、やがて塩化物がカーボン多孔体の細孔内に吸着され、細孔内の塩化物が溶存酸素により次第に酸化物となる。
また、例えば、前駆体としてアルコキシドを用いる場合、アルコキシド又はこれを溶解させた溶液を球状カーボン多孔体に添加し、細孔内にアルコキシド又はその溶液を含浸させる。これを所定の温度に加熱すると、アルコキシドの重縮合が起こり、細孔内に酸化物が生成する。
なお、1回の前駆体の吸着及び酸化物への変換により、細孔内に十分な量の酸化物半導体を形成することができないときは、吸着及び変換を複数回繰り返しても良い。
[4.5. カーボン除去工程]
カーボン除去工程は、酸化物半導体が析出した球状カーボン多孔体(球状酸化物/カーボン複合体)からカーボンを除去する工程である。
カーボンの除去方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。カーボンの除去方法としては、例えば、
(1)球状酸化物/カーボン複合体を酸化雰囲気下で加熱する方法、
(2)複合体を酸素プラズマエッチングする方法、
などがある。
加熱温度、加熱時間などの除去条件は、特に限定されるものではなく、酸化物半導体の結晶子を粗大化させることなく、カーボンが完全に除去される条件であれば良い。
[5. 集積体及び光電極の製造方法]
球状酸化物半導体粒子が不規則配列している集積体の製造方法としては、例えば、
(1)球状酸化物半導体粒子をプレス成形する方法、
(2)球状酸化物半導体粒子を揮発性の溶媒に分散させた分散液を塗布し,急速に乾かす方法、
(3)球状酸化物半導体粒子、溶媒、増粘剤を加えて調整したスラリー溶液を塗布し,蒸発あるいは熱分解により、溶媒と増粘剤を除去する方法、
などがあるが,これらに限定されるものではない。
球状酸化物半導体粒子が規則配列している集積体の製造方法としては、例えば、
(1)球状酸化物半導体粒子を分散させた分散液に電極を浸漬し、電極間に直流電界を印加する方法(電気泳動を利用した配列方法)、
(2)一定の間隔を有する基板間に球状酸化物半導体粒子を分散させた分散液を注入し、球状酸化物半導体粒子を規則配列した状態で自己集積させる方法、
(3)球状酸化物半導体粒子を分散させた分散液を基板表面にディップコート、スピンコート等を用いて塗布する方法、
(4)上記(1)から(3)において、予め球状酸化物半導体粒子に、正又は負の電荷を有する高分子をコートして、配列しやすくさせる方法、
(5)球状酸化物半導体粒子の分散液中に、あらかじめ高分子モノマー(例えば、アクリルアミド)、架橋剤(例えば、メチレンビスアクリルアミド)、及び、光重合開始剤(例えば、カンファーキノン)を添加しておき、球状酸化物半導体粒子を液中において規則配列させた後、光照射することによりゲル化させる方法、
などがある。
光電極は、このような集積体に光増感物質を吸着させたものからなる。光増感物質の吸着は、集積体の作製前に行っても良く、あるいは、集積体の作製後に行っても良い。
球状酸化物半導体粒子又は集積体に光増感物質を吸着させる方法には、種々の方法があり、光増感物質の種類に応じて最適な方法を選択することができる。
通常、細孔内に光増感物質を導入する場合、光増感物質を溶媒に溶解させ、溶液に球状酸化物半導体粒子又は集積体を添加することにより吸着させることが多い。この際、
(1)最適な溶媒の選択、
(2)光増感物質の修飾、
(3)細孔の修飾、
などの方法により、効率よく細孔内に物質を導入することができる。
例えば、光増感物質を溶解させる溶媒には、通常、水を用いるが、水に溶解しにくい光増感物質の場合、溶媒には、エタノール、アセトン、エチレングリコール、グリセリン、クロロホルムなどを用いることができる。
また、溶液中における光増感物質の安定性は、溶媒の種類により異なり、球状酸化物半導体粒子の細孔内にある場合に比べて安定性が高い溶媒と、低い溶媒とがある。そのため、細孔内に比べて安定性の低い溶媒に光増感物質を溶解させ、これに球状酸化物半導体粒子又は集積体を添加すると、光増感物質は、より安定性の高い細孔内に導入される。
また、光増感物質の親水性・疎水性は、細孔内への光増感物質の導入量に影響する。そのため、細孔の性質に応じて、光増感物質を親水基又は疎水基で修飾すると、細孔内への光増感物質の導入量が増加する。
さらに、光増感物質を修飾することに代えて、細孔壁を適当な官能基で修飾すると、細孔内への光増感物質の導入量が増加する。細孔壁を修飾する方法には、球状酸化物半導体粒子を製造後に細孔内に官能基を導入する方法と、予め所定の官能基を持つ前駆体を用いて球状酸化物半導体粒子を製造する方法とがある。
さらに、ZnO量子ドットは、例えば、
(1)(C25O)3Si(CH2)3NH(CH2)2NH2の無水トルエン溶液に、球状酸化物半導体粒子を添加して還流し、細孔内壁をエチレンジアミン基で修飾し、
(2)Znイオンをキレート化する手法でZnO結晶を細孔内で合成する、
ことにより、球状酸化物半導体粒子の細孔内に導入することができる。
また、CdS量子ドットは、例えば、Cd(CH3COO)2・2H2O(酢酸カドミウム)のメタノール溶液に、球状酸化物半導体粒子を加えて60℃で3時間攪拌し、H2S処理を行うことにより,球状酸化物半導体粒子の細孔内に導入することができる。酢酸カドミウムに代えて、Zn(CH3COO)2・2H2Oを前駆体に用いると、同様の合成手順により、球状酸化物半導体粒子の細孔内にZnS量子ドットを導入することができる。
[6. 球状酸化物半導体粒子、集積体及び光電極の作用]
本発明に係る球状酸化物半導体粒子は、微少な結晶子(結晶子径:2〜40nm)が相互に連結しており、かつ直径が0.05〜2μmである多孔質の球状粒子である。そのため、色素などの光増感物質の吸着特性に優れている。
結晶子は、酸化物半導体からなるので、バンドギャップに対応する開放電圧が得られる。また、球状酸化物半導体に光増感物質を吸着させ、光増感物質を光励起させると、励起状態にある光増感物質からのキャリア移動により光電流が増加する。
特に、SnO2やTiO2などのバンドギャップが広い酸化物半導体は、高い開放電圧が得られることが期待される。また、励起状態にある光増感物質からのキャリアの移動性にも優れている。そのため、光増感物質を吸着させた球状酸化物半導体粒子を色素増感太陽電池に応用すると、高い増感作用を持つ色素増感太陽電池を得ることができる。
本発明に係る球状酸化物半導体粒子は、粒子サイズが可視光の波長領域に近い大きさであるので、球状粒子が不規則配列している集積体であっても、可視光領域の光を散乱する。そのため、このような集積体に光増感物質を吸着させ、光を照射すると、入射光の行路長が増大するので、光増感物質の励起効率が向上し、光電流が増加する。
さらに、球状粒子が規則配列している集積体は、ブラッグ反射に起因するフォトバンドギャップを持ち、特定の波長の光だけを反射する。フォトバンドギャップの波長は、粒子間距離、粒子径、吸着物質の屈折率などにより制御することができる。そのため、フォトバンドギャップの波長と光増感物質からの放射光の波長を一致させると、励起されたキャリアの光による遷移確率が低下し、光増感物質から球状酸化物半導体粒子へのキャリア移動が促進される。その結果、光電流がさらに増大する。
(実施例1)
[1. 試料の作製]
[1.1. 大細孔径単分散球状メソポーラスシリカの作製]
精製水:3166g及びメタノール(MeOH):4770gの混合溶媒にオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C18TMACl)を溶解し、25℃に保ち、攪拌した。さらに、1M NaOH:34.2g、MeOH:30gで希釈したテトラメトキシシラン(TMOS):26.4gを加えた。約8時間攪拌し、一晩静置した後、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した。その後、45℃で乾燥し、白色粉末(19.25g)を得た。
精製水:297mL、EtOH:243mLの混合溶媒に、得られた白色粉末:9gを超音波処理によって分散させ、さらにトリメチルベンゼン(TMB):19.3gを加えて攪拌した。複合体を分散させた溶液を、容量1Lの内筒容器を持つオートクレーブに入れ、100℃×3日間水熱処理した。水熱処理後にオートクレーブを冷却し、減圧して生成物を取り出した。生成物のろ過とEtOHへの再分散を2回繰り返し、洗浄した。その後、45℃で乾燥させた後、大気中550℃×6時間焼成し、大細孔径単分散球状メソポーラスシリカ(Ex−MMSS)4gを得た。得られたEx−MMSSは、粒子径が0.96μmの単分散球状粒子であった。
[1.2. 球状カーボン多孔体の作製]
PFA製容器(容量15mL)にEx−MMSS:0.5gを入れ、フルフリルアルコール(FA)を細孔容量分だけ加えて、シリカの細孔内に浸透させた。これを150℃×24h熱処理することにより、FAを重合させた。さらに、これを窒素雰囲気中で500℃×6h熱処理し、FAの炭素化を進めた。これを2回繰り返した後、さらに窒素雰囲気中で900℃×6h熱処理して、Ex−MMSS/カーボン複合体を得た。
この複合体を12%HF溶液に12h浸漬し、シリカ成分を溶解した。溶解後、ろ過、洗浄を繰り返し、さらに45℃で乾燥して、球状カーボン多孔体を得た。得られた球状カーボン多孔体は、BET比表面積:1564m2/g、細孔容量:0.849mL/g、細孔径:1.9nmであった。
[1.3. 球状SnO2多孔体(球状酸化物半導体粒子)の作製]
次に、球状カーボン多孔体:0.1gを500mLのビーカー内で、水:250g及び濃塩酸(35wt.%):4mL、SnCl2:5.0gの混合溶液に分散させた。この分散液を25℃に保ちながら、超音波洗浄機で超音波を30分間照射した。さらにその分散液を4時間空気中で攪拌した後、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した。その後、45℃で乾燥し、球状SnO2/カーボン複合体を得た。
さらに、球状SnO2/カーボン複合体を空気雰囲気中で550℃×6時間処理し、球状SnO2多孔体を得た。
[2. 試料の評価]
図1(a)〜(c)に、それぞれ、球状カーボン多孔体、球状SnO2/カーボン複合体、及び球状SnO2多孔体のSEM写真、及び粒子の模式図を示す。また、図2に、Ex−MMSS、球状カーボン多孔体及び球状SnO2多孔体(550℃で焼成)のN2の吸着等温線と、BJH法で求めた細孔分布を示す。
図1に示すように、球状カーボン多孔体の細孔内にSnO2を導入し、カーボンを酸化除去すると、SnO2からなる微少な結晶子が相互に連結している球状SnO2多孔体が得られる。本実施例で得られた球状SnO2多孔体は、粒子径:0.69μm、単分散度:4.6%、BET比表面積:35m2/g、細孔容量:0.170mL/g、細孔径:18nmであった(図2参照)。
(実施例2)
[1. 試料の作製]
実施例1と同様の方法で、球状SnO2/カーボン複合体を得た。得られた球状SnO2/カーボン複合体を、空気中で350℃×24時間処理し、球状SnO2多孔体を得た。
[2. 試料の評価]
図2に、得られた球状SnO2多孔体(350℃で焼成)のN2の吸着等温線と、BJH法で求めた細孔径分布を示す。得られた球状SnO2多孔体は、粒子径:0.70μm、単分散度:4.8%、BET比表面積:103m2/g、細孔容量0.192mL/g、細孔径:5.4nmであった。
(実施例3)
[1. 試料の作製]
実施例1と同様の方法で、球状SnO2/カーボン複合体を得た。得られた球状SnO2/カーボン複合体を、酸素プラズマエッチングで処理し、球状SnO2多孔体を得た。
[2. 試料の評価]
得られた球状SnO2多孔体は、粒子径:0.72μm、単分散度:5.8%、BET比表面積:203m2/g、細孔容量:0.222mL/g、細孔径:2.0nmであった。
(実施例4)
[1. 試料の作製]
[1.1. 大細孔径単分散球状メソポーラスシリカの作製]
精製水:960g及びMeOH:640gの混合溶媒に、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C16TMACl):7.04gを溶解し、25℃に保ち、攪拌した。さらに、1M NaOH:9.12g、MeOH:30gで希釈したTMOS:5.28gを加えた。約8時間攪拌し、一晩静置した後、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した。その後、45℃で乾燥し、白色粉末を得た。
精製水:270mL、EtOH:270mLの混合溶媒に、白色粉末:9gを超音波処理によって分散させ、さらに界面活性剤(C22TMACl)を加えて攪拌した。複合体を分散させた溶液を、容量1Lの内筒容器を持つオートクレーブ(耐圧硝子製:排Ba−グラスターTEM−V型)に入れ、80℃×7日間水熱処理した。水熱処理後にオートクレーブを冷却し、減圧して生成物を取り出した。生成物のろ過とEtOHへの再分散を2回繰り返し、洗浄した。その後、45℃で乾燥した後、大気中550℃×6時間焼成し、Ex−MMSSを得た。得られたEx−MMSSは、SEMでの観察から、粒子径が0.35μmの単分散球状粒子であった。
[1.2. 球状カーボン多孔体の作製]
PFA製容器(容量15mL)にEx−MMSS:0.5gを入れ、FAを細孔容量分だけ加えて、シリカの細孔内に浸透させた。これを150℃×24h熱処理することによりFAを重合させ、さらに窒素雰囲気中で500℃×6h熱処理してFAの炭素化を進めた。これを2回繰り返した後、窒素雰囲気中で900℃×6h熱処理して、Ex−MMSS/カーボン複合体を得た。
この複合体を12%HF溶液に12h浸漬して、シリカ成分を溶解させた。その後、ろ過、洗浄を繰り返し、さらに45℃で乾燥して、球状カーボン多孔体を得た。得られた球状カーボン多孔体は、BET比表面積:1608m2/g、細孔容量:0.958mL/g、細孔径:1.6nmであった。
[1.3. 球状SnO2多孔体の作製]
球状カーボン多孔体:0.1gを500mLのビーカー内で水:250g及び濃塩酸(35wt.%):4mL、SnCl2:5.0gの混合溶液に分散させた。その分散液を25℃に保ちながら、超音波照射することなく、4時間空気中で攪拌した。次いで、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した後、45℃で乾燥し、球状SnO2/カーボン複合体を得た。
さらに、球状SnO2/カーボン複合体を空気雰囲気中で550℃×6時間処理し、球状SnO2多孔体を得た。
[2. 試料の評価]
得られた球状SnO2多孔体は、粒子径:0.275μm、単分散度:4.5%、細孔径:15nmであった。
(実施例5)
[1. 試料の作製]
精製水:880g及びMeOH:720gの混合溶媒を用いた以外は、実施例4と同様の手順に従い、白色粉末を得た。次いで、水熱処理と焼成によって、Ex−MMSSを得た。得られたEx−MMSSは、SEMでの観察から粒子径:0.6μmの単分散球状粒子であった。
次に、このようにして得られたEx−MMSSを用いて、実施例4と同様の手順に従い、球状SnO2多孔体を得た。
[2. 試料の評価]
得られた球状SnO2多孔体は、粒子径:0.6μm、単分散度:4.8%、細孔径:16nmであった。
(実施例6)
[1. 試料の作製]
実施例1と同様の手順に従い、球状カーボン多孔体を得た。容器にこの球状カーボン多孔体:0.5gを入れ、50vol%のチタンテトライソプロポキシドのイソプロパノール溶液を細孔容量分だけ加えて、球状カーボン多孔体の細孔内に浸透させた。さらに窒素雰囲気中で500℃×6h熱処理し、チタンテトライソプロポキシドをTiO2に変化させた。これを2回繰り返した後、大気中550℃×6時間焼成し、球状TiO2多孔体を得た。
[2. 試料の評価]
得られた球状TiO2多孔体は、粒子径:0.70μm、単分散度:5.6%、BET比表面積:165m2/g、細孔容量:0.320mL/g、細孔径:5nmであった。
(実施例7)
実施例1と同様の処理により、球状カーボン多孔体を得た。次に、球状カーボン多孔体:0.1gを500mLのビーカー内で水:250g、Ce(CH3COO)3:8.3gの混合溶液に分散させた。その分散液を25℃に保ちながら、超音波洗浄機で超音波を30分間照射した。さらにその分散液を4時間空気中で攪拌した後、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した。その後、45℃で乾燥し、球状CeO2/カーボン複合体を得た。
さらに、球状CeO2/カーボン複合体を空気雰囲気中で350℃、6時間処理して、球状CeO2多孔体を得た。
得られた球状CeO2多孔体は、粒子径:0.6μm、単分散度:4.8%、BET比表面積:160m2/g、細孔容量:0.500mL/g、細孔径:10nmであった。
(実施例8)
[1. 集積体の作製(規則配列体:SnO2)]
実施例4で得られた単分散球状SnO2粒子(粒子径:0.275μm、単分散度:4.5%、細孔径:15nm)をイオン交換水に10wt%濃度で混合し、5時間超音波で分散させた。その分散液をオゾンプラズマ処理により親水化した2枚のFドープSnO2でコートしたガラス基板を10μmの間隔で保持したセルに注入し、室温で24時間放置後、片方のガラス基板から注意深く配列体を剥がした。乾燥後、空気中で400℃、1時間焼成した。
図3に、配列体のSEM写真を示す。得られた配列体は、構造色を呈していた。透過スペクトルを測定したところ、図4に示すように、ブラッグ反射に相当するストップバンドが600nm付近に観察された。
[2. 光電極の作製(規則配列体:SnO2)]
配列体を形成したFドープSnO2コートガラス基板を、色素であるペリレン−3,4−ジカルボン酸−9,10−(5−フェナントロリン)カルボキシイミド:15mgを25mLの1−メチル−2−ピロリジン(NMP)に溶解した溶液に24h浸漬した。浸漬後、NMPで洗浄し、吸着していない色素を取り除き、光電極を得た。色素の発光スペクトルのピークは600nm付近にあり、配列体のストップバンドと一致していた。発光スペクトルとストップバンドが一致することにより、色素の発光が押さえられ、光電効率が向上することが期待される。
(実施例9)
[1. 集積体の作製(不規則配列体:SnO2)]
実施例5で得られたSnO2粉末(粒子径:0.6μm、単分散度:4.8%、細孔径:16nm)をイオン交換水に10wt%濃度で混合した。その分散液をオゾンプラズマ処理により親水化したFドープSnO2コートガラス基板上にキャストし、乾燥した。これを数回繰り返した後、空気中で400℃、1時間焼成した。
[2. 光電極の作製(不規則配列体:SnO2)]
続いて、実施例8と同様な方法で色素を導入し、光電極を得た。この集積体は、規則的な配列はなく、ストップバンドは観察されなかった。しかしながら、粒子径が0.6μm程度であるので、それよりも短い波長の光を散乱する。そのため、そのような波長領域で光電効率が向上することが期待される。
(比較例1)
[1. 集積体の作製(不規則配列体:SnO2)]
直径15nmのSnO2が15wt%の濃度で分散したコロイド分散溶液を調製した。分散媒には、1g/Lの濃度で、カルボワックス(ポリ(エチレングリコール))に2−2’−[(1−メチルエチリデン)ビス(4,1−フェニレンオキシメチレン)]ビスオキシランを加えたものを用いた。このコロイド分散溶液を、オゾンプラズマ処理により親水化したFドープSnO2コートガラス基板上にキャストし、乾燥させた。これを数回繰り返した後、空気中で400℃、1時間焼成した。
[2. 光電極の作製(不規則配列体:SnO2)]
得られた集積体を用いて、実施例8と同様な方法で色素を導入し、光電極を得た。
(実施例10)
[1. 集積体の作製(不規則配列体:TiO2)]
実施例6で得られた単分散球状TiO2粒子(粒子径:0.70μm、単分散度:5.6%、細孔径:5nm)をイオン交換水に10wt%濃度で混合した。その分散液をオゾンプラズマ処理により親水化したFドープSnO2コートガラス基板上にキャストし、乾燥した。これを数回繰り返した後、空気中で450℃、1時間焼成した。
[2. 光電極の作製(不規則配列体:TiO2)]
集積体を形成したFドープSnO2コートガラス基板を、色素であるシス−ジシアネート−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシ)ルテニウムの0.3mMのエタノール溶液に24h浸漬した。浸漬後、エタノールで洗浄し、吸着していない色素を取り除き、光電極を得た。
(比較例2)
[1. 集積体の作製(不規則配列体:TiO2)]
直径25nmのTiO2が15wt%の濃度で分散したコロイド分散溶液を調製した。分散媒には、1g/Lの濃度で、カルボワックス(ポリ(エチレングリコール))に2−2’−[(1−メチルエチリデン)ビス(4,1−フェニレンオキシメチレン)]ビスオキシランを加えたものを用いた。このコロイド分散溶液を、オゾンプラズマ処理により親水化したFドープSnO2コートガラス基板上にキャストし、乾燥させた。これを数回繰り返した後、空気中で400℃、1時間焼成した。
[2. 光電極の作製]
得られた集積体を用いて、実施例10と同様な方法で色素を導入し、光電極を得た。
(実施例11〜12、比較例3)
[1. 色素増感型太陽電池の作製]
実施例8で得られた光電極(規則配列体:SnO2)、実施例9で得られた光電極(不規則配列体:SnO2)、及び比較例1で得られた光電極(不規則配列体:SnO2)を用いて、色素増感型太陽電池(実施例11〜12、比較例3)を作製した。
すなわち、図5に示すように、作用極に光電極を、対極に白金をスパッタ蒸着したガラス基板を用い、この両極を厚さ30μmのスペーサーを介して固定した。両極の間には、0.5M LiBr、0.05M Br2、0.2M 4−tert−ブチルピリジンのアセトニトリル溶液を電解液として浸透させた。
[2. 試験方法]
光電極のSnO2粒子側から分光した光を照射し、電極間に流れる電流を測定した。
[3. 結果]
図6に、得られた電池の、入射光の各波長の光子1個あたりの電極間に流れた電子数(すなわち入射単色光光電変換効率(IPCE:Incident photon-to current efficiency))を示す。
実施例11(直径275nmのSnO2の規則配列体に色素を吸着させた光電極を用いたセル)は、広い波長範囲で、IPCEが比較例3(直径15nmのSnO2の不規則配列体に色素を吸着させた光電極を用いたセル)の1.7倍程度に向上した。
また、実施例12(直径600nmのSnO2の不規則配列体に色素を吸着させた光電極を用いたセル)は、主に450〜600nmの波長範囲で、IPCEが比較例3の1.2倍程度に向上した。
(実施例13、比較例4)
[1. 色素増感型太陽電池の作製]
実施例10で得られた光電極(不規則配列体:TiO2)、及び比較例2で得られた光電極(不規則配列体:TiO2)を用いて、色素増感型太陽電池(実施例13、比較例4)を作製した。
すなわち、図5に示すように、作用極に光電極を、対極に白金をスパッタ蒸着したガラス基板を用い、この両極を厚さ30μmのスペーサーを介して固定した。両極の間には、0.3M LiI、0.03M I2のアセトニトリル溶液を電解液として浸透させた。
[2. 試験方法]
光電極のTiO2粒子側から分光した光を照射し、電極間に流れる電流を測定した。
[3. 結果]
図7に、得られた電池のIPCEを示す。実施例13(直径700nmのTiO2の不規則配列体に色素を吸着させた光電極を用いたセル)は、主に720nm以下の波長範囲で、IPCEが比較例4(直径25nmのTiO2の不規則配列体に色素を吸着させた光電極を用いたセル)の1.2倍程度に向上した。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る球状酸化物半導体粒子は、色素増感型太陽電池などの各種光電変換素子の光電極を構成する材料として用いることができる。
本発明に係る集積体は、色素増感型太陽電池などの各種光電変換素子の光電極に用いられる各種増感剤(例えば、色素など)を担持するための担体として用いることができる。
本発明に係る光電極は、色素増感型太陽電池などの各種光電変換素子の電極として用いることができる。
図1(a)、図1(b)及び図1(c)は、それぞれ、実施例1で得られた球状カーボン多孔体、球状SnO2/カーボン複合体、及び球状SnO2多孔体のSEM写真、並びに、球状カーボン多孔体から球状SnO2/カーボン複合体を経て球状SnO2多孔体が得られるまでの過程を示す模式図である。 実施例1、2で得られた大細孔径単分散球状メソポーラスシリカ、球状カーボン多孔体及び球状SnO2多孔体(550℃焼成、350℃焼成)のN2吸着等温線(上図)と、BJH法で求めた細孔径分布(下図)である。 実施例8で得られた集積体(球状SnO2多孔体の規則配列体)のSEM写真である。 実施例8で得られた集積体(球状SnO2多孔体の規則配列体)の透過スペクトルである。 色素増感型太陽電池の概略構成図である。 実施例11〜12及び比較例3で作製した色素増感型太陽電池の入射単色光光電変換効率(IPCE)を示す図である。 実施例13及び比較例4で作製した色素増感型太陽電池の入射単色光光電変換効率(IPCE)を示す図である。

Claims (10)

  1. 酸化物半導体(TiO2を除く)からなる結晶子の集合体からなる多孔質の球状粒子であり、
    前記球状粒子の直径が0.05〜2μmであり、
    前記球状粒子の単分散度が10%以下であり、
    前記球状粒子の比表面積が35m 2 /g以上である
    球状酸化物半導体粒子。
  2. 前記結晶子の径は、2〜40nmである請求項1に記載の球状酸化物半導体粒子。
  3. 前記酸化物半導体は、主成分がSnO2である請求項1又は2に記載の球状酸化物半導体粒子。
  4. TiO2からなる結晶子の集合体からなる多孔質の球状粒子であり、
    前記球状粒子の直径が0.05〜2μmであり、
    前記球状粒子の単分散度が10%以下であり、
    前記球状粒子の比表面積が35m 2 /g以上である
    球状酸化物半導体粒子。
  5. 前記結晶子の径は、2〜40nmである請求項4に記載の球状酸化物半導体粒子。
  6. 請求項1から5までのいずれかに記載の球状酸化物半導体粒子を集積させることにより得られる集積体。
  7. 前記球状酸化物半導体粒子が規則配列している請求項6に記載の集積体。
  8. 請求項6に記載の集積体と、
    前記集積体に吸着させた光増感物質と
    を備えた光電極。
  9. 請求項7に記載の集積体と、
    前記集積体に吸着させた光増感物質と
    を備えた光電極。
  10. 前記光増感物質は、その発光スペクトルが前記集積体のブラッグ反射に基づく反射波長帯域(ストップバンド)と重なりを持つ請求項9に記載の光電極。
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