JP5421566B2 - 低含水率茶葉の含水率測定方法及びその装置並びにこれらを用いた製茶加工工程の制御方法 - Google Patents
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Description
ところで製茶加工工程の後半に位置する精揉工程においては、加工中の茶葉の含水率は10〜20%程度にまで低下しており、更に次段に位置する乾燥機で最終的な乾燥が行われることもあり、従来、測定器を用いての含水率測定は行われていなかった。
そこで本出願人は、上述のマイクロ波を用いた含水率の測定技術を応用し、精揉機に具えられる揉手装置にマイクロストリップ線路を取り付けることにより、精揉機による加工中の茶葉の含水率測定を試みている(特許文献3参照)。そしてこのような揉手装置を具える精揉機を、実用上問題のない製品とするためには、部材の新規設計等が必須となるため、本出願人は並行して既存の精揉機に適用することのできる、合理的な含水率の測定手法の研究を継続してきた。
しかしながら近赤外線による測定は、茶葉の色や形状に影響を受けてしまうため充分な精度が得られているとはいえず、更には近赤外線水分計自体の値段が高価であるといった問題があった。
この発明によれば、反射の影響を受けない時間信号である移相量を計測するとともに、変数として移相量及び温度を用いることにより、低含水率茶葉の含水率を正確に導出することができる。またこの際に温度補正が行われるため、茶葉を一定の温度まで冷却することなく含水率を導出することができる。
更にまた、精揉機に改変を加えることなく含水率を測定することが可能となるため、低コストでの含水率測定を実現することができる。
この発明によれば、反射の影響を受けない時間信号である移相量を計測するとともに、変数として移相量及び温度を用いることにより、低含水率茶葉の含水率を正確に導出することができる。またこの際に温度補正が行われるため、茶葉を一定の温度まで冷却することなく含水率を導出することができる。
更にまた、精揉機に改変を加えることなく含水率を測定することが可能となるため、低コストでの含水率測定を実現することができる。
この発明によれば、乾燥機の運転条件を、乾燥機に投入される茶葉が所望の含水率にまで低下するために好適な条件とすることができる。また乾燥機は従来のフィードバック制御ではなく、フィードフォワード制御が行われるため、乾燥機から排出される茶葉の含水率をよりいっそう所望の値に近づけることができる。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
なお以下の実施例に対して、本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
なお前記押圧板13及び排出板14はそれぞれシリンダ13a、14aによって前後に移動するように構成されている。また押圧板13には、熱電対などを適用した温度センサ13bが具えられる。
またマイクロストリップ線路15におけるストリップ導体15c側の面を、絶縁材から成る適宜の保護板16で被覆するものであり、この実施例では保護板16として、厚さ0.5mmのアクリル板を用いた。
また、使用する電磁波の周波数は、前記2〜4GHz帯のマイクロ波に限定されるものではなく、要は水分に吸収される周波数であれは適宜の高周波を選択することができる。
このようなストリップ導体12の引き廻しパターンについては、図4(b)に示すように底板11の二辺に沿ってほぼ全域にわたって引き廻すようにしたり、図4(c)に示すように数カ所で折り返すことにより底板11の全面を通るようにする等、種々の形態が採り得るものである。
そして前記ストリップ導体115cの両端には、適宜のコネクタを介在させてそれぞれ送信機17、受信機18が接続される。
前記送信機17からマイクロストリップ線路15にマイクロ波が送出されると図3に示すように、ストリップ導体15cの下面から導体板11に向かって電界(図中の実線)が生じ、ストリップ導体15cを中心とした磁界(図中の破線)が生じる。また縁端効果によってストリップ導体15cの上面縁端から導体板11に向かって電界が生じる。そしてこのような状態でマイクロ波はマイクロストリップ線路15中を進行するものであり、やがて受信機18に到達することなる。
このとき、ストリップ導体15c上に茶葉Aが位置している場合には、水分によってマイクロ波の一部が吸収されるため、受信機18によって受信されるマイクロ波のレベルは、送信機17から出力されたレベルよりも低下することとなり、この減衰量をもとに茶葉Aの含水率を算出することができるものである(例えば背景技術で例示した特許文献1、3)。
ところがこのような手法では、60〜80%の高含水率の茶葉Aの含水率は高精度で測定することができるものの、30%以下の低水分の茶葉Aでは測定誤差が大きくなり、正しい値を算出することができなかった。
そこで本出願人は、前記マイクロストリップ線路15を用いて30%以下の低水分の茶葉Aの含水率を高精度で測定することのできる手法について案出することに成功したものであり、以下その手法について説明する。
そしてこのような移相量をXとし、測定時の茶葉Aの温度をTとし、計測水分をYとすると、Y=aX+bT+cという検量線が求められる(a、b、cは補正値)。なお温度補正無しの場合はY=aX+bという検量線が求められる。
そして求められた検量線による、計測水分と実際の含水率との関係は、図5のグラフに示すとおりであり、温度補正有の方が、温度補正無よりも実際の含水率に近い値が求められることが確認された。
このように、反射の影響を受けない時間信号である移相量及び茶葉Aの温度を計測することにより、前記検量線に基づいて低含水率の茶葉Aの含水率を正確に導出することができる。特にこの際に温度補正が行われるため、茶葉Aを一定の温度まで冷却することなく含水率を導出することができる。
前記垂直バケットコンベヤ4は図2に示すように、下部に形成された受入口41に供給された茶葉Aを、バケットコンベヤ43によって上部に移送して排出口42から排出するように構成されたものである。そして前記排出口42の上方に取込口21が形成され、ここから受入口41の上方に至るシュート22が設けられるものであり、前記取込口21はシリンダ23a及び適宜のリンク機構によって回動するように構成された開閉板23によって開閉状態が選択されるものである。
また前記シュート22の途中(この実施例では垂直部分)に前記含水率測定装置1が配されるものであり、収容空間10の一部(開放部)がシュート22内の移送空間に突出するように設置される。
なおこのようなサンプリング装置2は、既存の垂直バケットコンベヤ4に僅かな改造を加えるだけで後付けすることができるため、低コストでの含水率測定を可能とするものである。
まず図1に示すように、製茶加工ラインにおける精揉機3による処理が済んだ茶葉Aは、バイブレーションコンベヤ30上に排出されるとともに、垂直バケットコンベヤ4によって上昇コンベヤ40に投入され、ここから乾燥機5に供給されて乾燥処理が施される。そしてこのような茶葉Aの移送の際に、前記垂直バケットコンベヤ4において落下してくる茶葉Aの一部をサンプルとして抽出する。
具体的には図6(a)に示すように、排出板14を後退させ、押圧板13を上昇させることにより、収容空間10の前面(図5中右側)が開放された状態とする。
そしてこの状態で図2(b)に示すように、サンプリング装置2の開放板23を倒して取込口21を開放状態とすることにより、バケットコンベヤ43によって排出口42に向けて放たれた茶葉Aの一部がシュート22内に取り込まれる。
シュート22内に取り込まれた茶葉Aは、シュート22内を下降する途中で図6(b)に示すように含水率測定装置1における収容空間10に入り込むものであり、所定量が取り込まれた時点で開放板23を起こして取込口21を封鎖状態とする。
次いで図6(c)に示すように押圧板13を下降させて茶葉Aをマイクロストリップ線路15に所定の圧力で押し付けるとともに、送信機17からマイクロ波を送出する。そして、この送出波の位相と、受信機18によって受信された受信波の位相とから、算出手段19によって移相量Xが算出され、更にこの移相量X及び温度センサ13bによって測定された茶葉Aの温度Tから求められた検量線に基づいて含水率が導出される。
因みに精揉機3から排出された茶葉Aの含水率は、10〜20%程度となっている。
そして求められた含水率の値に基づいて乾燥機5をフィードフォワード制御するものであり、通常、製茶工場で使用される乾燥機5にあっては温度と風量とを一定にし、処理時間を調節することにより乾燥度合いを調整するものが用いられるため、この処理時間を含水率の値に応じて調整することにより、茶葉Aを所望の乾燥状態とすることができる。
なお求められた含水率の値に基づいて精揉機3をフィードバック制御するようにしてもよい。
次いで図6(d)に示すように、押圧板13を上昇させるとともに、押出板14を進行させて、マイクロストリップ線路15上の茶葉Aをシュート22に向けて押し出し、次の測定に備える。
10 収容空間
11 底板
12 側板
13 押圧板
13a シリンダ
13b 温度センサ
14 排出板
14a シリンダ
15 マイクロストリップ線路
15a 導体板
15b 誘電体
15c ストリップ導体
16 保護板
17 送信機
18 受信機
19 算出手段
2 サンプリング装置
21 取込口
22 シュート
23 開閉板
23a シリンダ
3 精揉機
30 バイブレーションコンベヤ
4 垂直バケットコンベヤ
40 上昇コンベヤ
41 受入口
42 排出口
43 バケットコンベヤ
5 乾燥機
A 茶葉
Claims (3)
- マイクロ波の送信機と受信機との間にマイクロストリップ線路から成る伝送路を形成し、このマイクロストリップ線路上に被測定物を位置させて被測定物の含水率の測定を行う方法において、前記被測定物を精揉機から排出された含水率が30%以下の茶葉とし、前記マイクロストリップ線路にマイクロ波を伝送させて移相量を測定し、更にこのときの被測定物の温度を測定し、これら移相量と温度とを変数とした検量線Y=aX+bT+c(Yは計測水分、Xは移相量、Tは茶葉の温度、a、b、cは補正値)に基づいて、茶葉を一定の温度まで冷却することなく含水率を導出することを特徴とする低含水率茶葉の含水率測定方法。
- マイクロ波の送信機と受信機との間にマイクロストリップ線路から成る伝送路を形成し、このマイクロストリップ線路上に被測定物を位置させて被測定物の含水率の測定を行う装置において、前記被測定物を精揉機から排出された含水率が30%以下の茶葉とし、精揉機から排出された茶葉を乾燥機に向けて搬送するための垂直バケットコンベアにおいて落下してくる茶葉をサンプリングする機構を具え、前記マイクロストリップ線路にマイクロ波を伝送させて移相量を測定する機能と、このときの被測定物の温度を測定する機能と、これら移相量と温度とを変数とした検量線Y=aX+bT+c(Yは計測水分、Xは移相量、Tは茶葉の温度、a、b、cは補正値)に基づいて、茶葉を一定の温度まで冷却することなく含水率を導出する機能とを具えたことを特徴とする低含水率茶葉の含水率測定装置。
- 前記請求項1記載の低含水率茶葉の含水率測定方法又は請求項2記載の低含水率茶葉の含水率測定装置によって、精揉機から排出された茶葉の含水率を導出し、この値に基づいて乾燥機をフィードフォワード制御することを特徴とする製茶加工工程の制御方法。
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