JP5420878B2 - 炉構造 - Google Patents

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Description

本発明は、金属溶解炉の炉壁用として好適な炉構造の技術に関する。
従来、例えば金属溶解炉の炉壁として用いられる炉構造として、溶湯(溶融金属)が存在する炉内に対して内側から、耐火材、断熱材、金属製の外壁のそれぞれからなる層構造を備える構成がある。つまり、炉内に対する炉壁として、耐火材により構成される耐火層と、断熱材により構成される断熱層と、金属製の外壁とからなる断熱構造が構成される。
かかる構造においては、断熱材や耐火材等の固定用として、Y型スタッドやスタッドボルトやアンカー等の金属治具が用いられる。具体的には次のとおりである。
すなわち、図8に示すように、従来の炉構造においては、鉄皮として、あるいはSUS(ステンレス鋼)等により構成される金属製の外壁104に対して、炉内101側となる内壁面104aに、例えばY型スタッド等の金属治具105が固定される。ここで、金属治具105は、外壁104に対して溶接等により直接接合される。そして、スタッド面(金属治具105が突出する面となる内壁面104a)に対して、煉瓦等の断熱材が積層される等して断熱層103が形成された後、その内側(炉内101側)に、所定の形状の型枠等が用いられてキャスタブル耐火物等が流し込まれること等により耐火層102が形成される。これにより、炉内101に対する断熱構造が構成される。
このような炉構造は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1では、溶湯容器の保熱蓋において、上記のような炉構造が採用されている。具体的には、外枠(鉄皮)内に設けられる耐火材が、溶湯側に位置する耐火物キャスタブル(耐火層)と、外枠側に位置する断熱材としてのセラミックファイバー(断熱層)との二層構造とされている。そして、耐火材を外枠に固定するため、Y型形状を有するアンカー金物が用いられている。
しかし、図8に示すような従来の炉構造においては、次のような問題がある。すなわち、耐火材等の固定用としての金属治具105が、金属製の外壁104に直接接合されていることから、金属治具105と外壁104との間で金属間熱伝導が発生する。このため、炉内101から、耐火層102、断熱層103、外壁104の各層間における熱伝導以上の熱放散が発生する(矢印X参照)。つまり、炉内101から外壁104への熱伝導について、金属治具105による金属間熱伝導が発生する分、前記各層による熱伝導量が多くなる。したがって、従来の炉構造は、外壁104からの熱放散が多く、熱効率が低い。
そこで、従来の炉構造において、断熱強化を図るため、断熱層厚(前記各層の厚さ)を厚くすることが考えられる。しかし、断熱層厚が厚くなると、炉の設置面積に対する炉内容積が縮小する。つまり、断熱層厚が厚くなると、その分、平面占有スペースが大きくなるため、炉内容積の確保が困難となる。また、断熱層厚を厚くすることは、コストの増大を招く。
一方で、炉構造としては、例えば特許文献2に開示されているものがある。特許文献2では、炉構造の改善を図るため、炉壁が、内殻と外殻とからなる二重構造とされ、内殻と外殻との間に減圧密室が形成されている。そして、内殻と外殻が対向する面に、鏡面めっき層等の輻射反射層が形成されている。
確かに、特許文献2の構成によれば、炉外への熱放散が減少し、熱効率の向上が図れると考えられる。しかし、特許文献2の構成は、構造が複雑であり、高価である。すなわち、特許文献2の構成は、外壁が内殻と外殻とからなる二重構造であるため、炉構造が基本的に複雑となる。加えて、特許文献2の構成が例えば真空溶解炉等に備えられる減圧設備を備えない溶解炉に適用される場合、内殻と外殻との間の減圧密室を減圧するために、溶解炉設備とは別に減圧設備を設置する必要が生じる。このため、設備費が増大し、構造が複雑となる。
実開平7−26056号公報 特開平11−335114号公報
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、余剰な設備投資を行ったり構造の複雑化を招いたりすることなく、外壁からの熱放散を低減することができ、熱効率を向上することができる炉構造を提供することにある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、炉内に対して構成される炉構造であって、前記炉内側に設けられ耐火材により構成される耐火層と、該耐火層の外側に設けられ断熱材により構成される断熱層と、該断熱層の外側に設けられる金属製の外壁と、前記断熱層の前記炉内側に突出した状態で前記断熱層に支持され前記耐火材を前記断熱層に対して保持するための金属治具とを備え、前記断熱材は、該断熱材の上面に前記金属治具を挿通するための開口部が形成され、該開口部に連続する、前記金属治具を係止可能な係止溝を有し、前記金属治具は、前記係止溝に係止することで、前記外壁に対して間隔を隔てた状態で、前記断熱層に支持され、前記耐火層、前記断熱層、前記外壁、および前記金属治具が、全体として略円筒状の炉壁を構成するものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、本発明によれば、余剰な設備投資を行ったり構造の複雑化を招いたりすることなく、外壁からの熱放散を低減することができ、熱効率を向上することができる。
本発明は、例えば金属溶解炉の炉壁等に採用される炉構造において、外壁の内側に設けられる耐火材等を保持するための金属治具を、金属製の外壁に対して非接触状態で(縁切りさせた状態で)支持することにより、金属治具と外壁との間の金属間熱伝導の発生を防止しようとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本実施の形態では、本発明に係る炉構造が金属溶解炉に適用される場合を例に説明する。
図1に示すように、本実施形態の炉構造は、金属溶解炉において溶湯(溶融金属)が存在する炉内1に対して構成されるものであり、耐火層2と、断熱層3と、金属製の外壁4と、金属治具としてのYスタッド5とを備える。つまり、本実施形態の炉構造は、金属溶解炉において、炉内1に対して炉壁として構成される断熱構造である。
耐火層2は、炉内1側に設けられ耐火材12により構成される。耐火材12としては、例えば、キャスタブル耐火物やプラスチック耐火物等が用いられる。キャスタブル耐火物は、耐火骨材に耐火性セメント等が配合された材料であり、水が加えられることで、流し込み等により施工される。プラスチック耐火物は、耐火骨材や耐火粘土粉末等との混合物に水等が加えられることで構成される材料であり、打ち込み等により施工される。
断熱層3は、耐火層2の外側に設けられ断熱材13により構成される。断熱材13としては、例えば、耐熱煉瓦や断熱ボード等の定形材が用いられる。つまり、断熱層3は、耐熱煉瓦や断熱ボード等の断熱材13が積層されることにより構成される。
金属製の外壁4は、金属溶解炉の外板である。つまり、金属溶解炉は、外壁4によって炉壁部分の外側が覆われる。外壁4は、例えば、鉄皮として、あるいはSUS(ステンレス鋼)等により構成される。
Yスタッド5は、断熱層3の炉内1側(図1において右側)に突出した状態で断熱層3に支持され耐火材12を断熱層3に対して保持するためのものである。Yスタッド5は、Y字形状の分岐側(Y字の上側、以下「分岐側」という。)が断熱層3の内側面から突出した状態で支持される。つまり、Yスタッド5は、分岐側と反対側(Y字の下側、以下「先端側」という。)の部分が、断熱層3に埋没した状態で支持される。
Yスタッド5が断熱層3に支持された状態、つまりYスタッド5の分岐側が断熱層3の内側面から突出した状態で、耐火材12が施工されることで、Yスタッド5が耐火材12に固定される。これにより、耐火材12が、Yスタッド5を介して断熱層3に固定され保持された状態となる。なお、本実施形態では、耐火材12を保持するための金属治具としてYスタッド5が用いられているが、金属治具としては、Yスタッドのほか、例えば、スタッドボルトやアンカー等が用いられる。
そして、本実施形態の炉構造においては、断熱材13が、金属治具としてのYスタッド5を係止可能な係止溝20を有し、Yスタッド5が、係止溝20に係止することで、外壁4に対して間隔を隔てた状態で、断熱層3に支持される。言い換えると、Yスタッド5が、断熱材13に形成される係止溝20により断熱材13に係止されるとともに、外壁4に対して間隔を隔てた状態で、断熱層3に支持される。すなわち、外壁4の内側に設けられる断熱材13において、外壁4の内壁面4aから隔てた位置に、Yスタッド5を係止可能な係止溝20が形成されており、前記のとおり断熱層3から突出した状態となるYスタッド5が係止溝20に係止することで断熱材13に支持される。
係止溝20は、所定の係止形状を有し、Yスタッド5を断熱材13に対して係止させる。本実施形態では、係止溝20は、図1に示すような断面視(平面断面視)で略T字状の係止形状を有する。具体的には、係止溝20は、Yスタッド5の断熱層3からの突出方向(以下単に「突出方向」という。)に沿って形成される支持部20aと、Yスタッド5の突出方向に対して略垂直方向(外壁4の壁面に対して略平行方向)に形成される係止部20bとを有する。
図2に示すように、係止溝20は、断熱材13の上面13aに対して略T字状に開口する。また、係止溝20の支持部20aは、断熱層3において耐火層2側(図2において右側)の面を形成する内側面13bに対して孔状に開口する。つまり、係止溝20は、断熱材13において上面13a側から内側面13b側にかけて連続して開口する溝状部分である。係止溝20は、例えば、断熱材13に対して切削等によるスリット加工が施されることにより形成される。
断熱材13に形成される係止溝20に対し、Yスタッド5は、係止溝20によって断熱材13に係合するための部分として、係止部5aを有する。係止部5aは、Yスタッド5において棒状の部分である先端側の部分に対して略垂直方向に形成される円板状の部分である。つまり、係止部5aは、Yスタッド5の先端側において、板面の方向をYスタッド5の突出方向に対して略垂直方向とする円板状の部分として形成される。係止部5aは、その一側の板面の略中央位置に、Yスタッド5の先端側の棒状の部分が位置するように形成される。このように、Yスタッド5は、円板状の係止部5aを有することにより、側面視等において先端側の部分が略T字状となる。
以上のような構成において、Yスタッド5は、係止溝20に対し、断熱材13の上面13aの開口部側から嵌め込まれることにより、断熱材13に係止される。すなわち、図2に示すように、Yスタッド5が有する係止部5aを含む略T字状の部分が、断熱材13の上面13a側における係止溝20の略T字状の開口形状に対応するように、係止溝20に対して嵌め込まれる(矢印A2参照)。詳細には、Yスタッド5は、係止溝20に対し、係止部5aの部分が係止部20bに、先端側の棒状の部分が支持部20aに、それぞれ対応した状態で嵌め込まれる。
このようにして、Yスタッド5は、係止溝20により、断熱材13に取り付けられ支持された状態、つまり断熱材13に係止された状態となる。断熱材13に係止された状態のYスタッド5については、分岐側の部分が、係止溝20の支持部20aの内側面13bに対する開口部から(断熱層3の内側面から)突出した状態となる。
断熱材13に形成される係止溝20は、断熱材13に係止された状態のYスタッド5との関係において、Yスタッド5との間に所定の大きさのスキマができるように形成される。言い換えると、Yスタッド5の係止溝20に嵌め込まれた部分の周囲に、係止溝20を形成する壁面に対する所定の大きさのスキマが生じる。このYスタッド5の係止溝20に対するスキマは、Yスタッド5が炉内1からの熱で熱膨張することによる断熱材13の破損を防止する観点に基づく。したがって、係止溝20とYスタッド5との間のスキマは、Yスタッド5の熱膨張を許容することができる程度の大きさ(例えば2mm程度)とされる。
Yスタッド5は、係止溝20によって断熱材13に係止されることで、外壁4に対して間隔を隔てた状態で、断熱層3に支持される。これは、前記のとおり係止溝20が外壁4の内壁面4aから隔てた位置に形成されることによる。すなわち、係止溝20は、断熱材13において、係止溝20に嵌め込まれたYスタッド5と外壁4との間に断熱材13の一部が存在するように(断熱材13の一部がYスタッド5の係止部5aと外壁4の内壁面4aとの間に挟まれた状態となるように)形成される。
このように、断熱材13に形成される係止溝20が用いられてYスタッド5が断熱材13に係止されて断熱層3に支持される構成においては、Yスタッド5が、金属製の外壁4に対して非接触状態(縁切りされた状態)で支持される。つまり、Yスタッド5は、前記のとおり外壁4との間に存在する断熱材13の厚さ分、外壁4から所定の間隔を隔てた位置で支持される。
本実施形態に係る炉構造の施工方法は、次のとおりである。すなわち、本実施形態の炉構造においては、まず、外壁4に対して、断熱層3が構成される。断熱層3は、外壁4の内壁面4aに対して耐熱煉瓦等の断熱材13が積層される等して形成される。ここで、断熱層3に関しては、断熱材13が自立すること、あるいは断熱材13が外壁4に対して支持されることにより、形状が保持される。断熱材13により形成される断熱層3の形状保持は、炉形状(断熱層3の層の形状)が工夫されることや、外壁4の内壁面4aに断熱材13を支持したり固定したりするための突起が設けること等により行われる。
断熱材13によって断熱層3が形成される過程で、Yスタッド5が断熱層3に支持される。具体的には、断熱層3が形成される工程において、断熱材13の表面(上面13a)にスリット加工等によって係止溝20が形成される作業と、形成された係止溝20にYスタッド5が嵌め込まれる作業とが、積層される断熱材13について適宜の間隔で行われる。つまり、任意の量の断熱材13の積層と、係止溝20の形成およびYスタッド5の嵌め込みとが、適宜の間隔で行われる。
したがって、断熱材13にYスタッド5が取り付けられるための係止溝20の開口部(本実施形態の場合、Yスタッド5の係止部5aの形状に合わせて形成される略T字状の開口部、以下「取付用開口部」という。)は、他の断熱材13が積層されることによって覆われる。また、断熱材13において係止溝20の取付用開口部が開口する面は、本実施形態のように上面13aに限定されない。つまり、係止溝20は、断熱材13における断熱層3の壁面を形成する面(外壁4に対向する面および耐火層2に対向する面)以外の面のいずれかの面に取付用開口部が開口するように、適宜形成され得る。
また、本実施形態では、係止溝20が有する係止形状(取付用開口部の形状)が、略T字状であるが、これに限定されない。係止溝20が有する係止形状としては、略T字状のほか、例えばL字状やH字状等、Yスタッド5を断熱材13に係止することができる形状が、Yスタッド5が設けられる場所等に応じて適宜採用される。さらに、Yスタッド5を断熱層3に支持するための係止溝20は、積層される複数の断熱材13によって形成されてもよい。この場合、例えば、積層される二つの断熱材13の合わせ面部において、両者が有する溝形状部分によって一つの係止溝20が形成される。
このように、Yスタッド5の支持をともなって形成される断熱層3においては、断熱材13における係止溝20が形成される位置や、係止溝20の形成およびYスタッド5の嵌め込みが行われるまでの断熱材13の積層量等により、断熱層3に支持されるYスタッド5の配置間隔が調整される。なお、係止溝20については、積層される断熱材13にあらかじめ形成されてもよい。この場合、断熱層3の形成に際し、あらかじめ係止溝20が形成された断熱材13が適宜の間隔で用いられることで、その係止溝20を有する断熱材13にYスタッド5が係止される。
Yスタッド5を支持する断熱層3が形成された後、断熱層3の内側(炉内1側)に、耐火層2が形成される。すなわち、Yスタッド5が分岐側から突出した状態となる断熱材13の内側面13bに対して、所定の形状の型枠等が用いられて耐火材12としてのキャスタブル耐火物等が流し込まれること等により、耐火層2が形成される。これにより、耐火層2を構成する耐火材12が、Yスタッド5によって断熱層3(断熱材13)に対して固定された状態となる。以上のようにして、炉内1に対する断熱構造が構成される。
本実施形態の炉構造によれば、余剰な設備投資を行ったり構造の複雑化を招いたりすることなく、外壁4からの熱放散を低減することができ、熱効率を向上することができる。すなわち、本実施形態の炉構造においては、前述したように、金属治具としてのYスタッド5と金属製の外壁4とが非接触状態である(縁切りされている)ため、Yスタッド5と外壁4との間の金属間熱伝導が阻止される。これにより、外壁4から炉外への熱放散が減少する。
また、本実施形態の炉構造は、断熱材13にスリット加工等によって形成される係止溝20にYスタッド5を支持する構成を採用したものである。このため、例えば炉壁の二重構造化や減圧装置の追加等の設備投資を行う必要がなく、また、構造が複雑になることもなく、炉における熱放散の削減、および熱効率の向上が可能となる。
本実施形態の炉構造が用いられて構成される金属溶解炉の一例について、図3および図4を用いて説明する。図3および図4に示すように、本実施形態の金属溶解炉30は、耐火層2、断熱層3、外壁4、およびYスタッド5が、全体として略円筒状(図3に示す平面断面視で略円形状)の炉壁を構成する。
すなわち、図3に示すように、金属溶解炉30の炉内1に対する炉壁を構成する耐火層2、断熱層3、および外壁4の各層が、それぞれ略円筒状の外形を有するように形成される。そして、Yスタッド5が、例えばその突出方向が炉壁についての略円筒形状における径方向となる姿勢で、断熱層3に支持される(図4参照)。
具体的には、図4に示すように、断熱層3は、略円筒形状の外壁4の内壁面4a側において、円筒面の一部形状の外形を有する複数の断熱材13が、円周方向に組み付けられることにより、略円筒形状に形成される。断熱層3においては、複数の断熱材13のうち所定の断熱材13における所定の位置に形成される係止溝20により、Yスタッド5が支持される。そして、Yスタッド5が分岐側から突出する断熱材13の内側面13bに対して、例えば略円筒面状の型枠が形成された状態で、耐火材12としてのキャスタブル耐火物等が流し込まれることや、型枠なしでの耐火材12の張付け等により、略円筒形状の耐火層2が形成される。
図3に示すように、金属溶解炉30は、炉内1において溶融される金属材料が炉内1に投入されるための投入口31を有する。投入口31は、径方向外側に突出形成されるとともに上側(図4において紙面手前側)に開口する開口部である。つまり、投入口31は、炉内1の上側の開口部が例えば円板状の蓋体によって覆われることにより、上側に開口する開口部を形成する。
同じく図3に示すように、金属溶解炉30は、炉内1の様子の確認や炉内1の溶湯に対する所定の処理等を行うための作業扉32を有する。また、金属溶解炉30は、炉内1の溶湯の湯抜きをするためのタップホール33を有する。タップホール33は、例えば外壁4の下部に開口し、栓体33aにより塞がれる。
このように、炉内1に対して設けられる炉壁が、全体として略円筒状に構成される金属溶解炉30においては、炉壁の施工において、断熱層3の形状保持が容易となる。具体的には、前述したように円筒面の一部形状の外形を有する複数の断熱材13が円周方向に組み付けられることにより略円筒形状の断熱層3が形成される構成においては、隣り合う断熱材13が互いに受ける圧縮力等により、積層される断熱材13の形状保持を行うことができる。
すなわち、図4に示すように、金属溶解炉30において、円周方向に組み付けられる複数の断熱材13が、例えば、外壁4の内壁面4aとの関係において、隣り合う断熱材13間で圧入された状態で組み付けられることにより、隣り合う断熱材13間で互いに作用する圧縮力が得られる(図4中、白抜き矢印参照)。これにより、複数の断熱材13同士がいわば互いに突っ張った状態となり、断熱材13により形成される断熱層3の形状が保持される。このように、全体として略円筒状の炉壁を有する金属溶解炉30は、前記のとおり炉構造の施工において断熱材13により形成される断熱層3の形状保持のために炉形状が工夫される場合の一例である。
以下では、本発明の実施例について、図5〜図7を用いて説明する。本実施例は、前述した実施形態の炉構造を用いて炉壁を構成し、炉内の温度に対する炉壁の表面温度を計測したものである。また、この実施例では、本実施例の比較対象として、従来の炉構造を用いて炉壁を構成した従来例についても同様の温度測定を行った。
図5(a)は、本実施例の炉壁の構成を示す図、同図(b)は従来例の炉壁の構成を示す図である。本実施例および従来例の炉壁については、いずれも次のような層構造を用いた。すなわち、図5(a)、(b)に示すように、本実施例および従来例では、耐火層2を構成する耐火材12として、プラスチック耐火物を用いた。また、断熱層3を構成する断熱材13として、断熱煉瓦および断熱ボードを用いた。つまり、断熱層3を、断熱煉瓦により形成される内側層3aと、断熱ボードにより形成される外側層3bとの二層構造とした。そして、炉壁を構成する各層の厚さとしては、耐火層2の層厚を120mm、断熱層3の内側層3aの層厚を114mm、外側層3bの層厚を75mmとした。また、断熱層3の外側は、外壁4により覆われる。
このような層構造において、前述した実施形態の炉構造を適用した本実施例では、図5(a)に示すように、断熱層3において内側層3aを形成する耐熱煉瓦に係止溝20を形成し、Yスタッド5を支持した。また、従来の炉構造を適用した従来例では、図5(b)に示すように、本実施例と同様の層構造において、耐火材12を固定するためのY型治具45を、外壁4の内壁面4aに対して溶接により接合した。
以上のようにして構成した本実施例および従来例それぞれの炉壁について、炉内1の温度に対する炉壁の表面温度を計測した。ここで、炉壁の表面温度(以下「炉体表面温度」という。)は、外壁4の表面4bの温度である。
炉内1の温度としては、本実施例および従来例のいずれについても、平均で800℃となるように設定した。これに対し、炉体表面温度の実測値として、次のような結果が得られた。すなわち、本実施例については、炉体表面温度が平均で75℃という測定結果が得られた。一方、従来例については、炉体表面温度が平均で115℃という測定結果が得られた。
このように、本実施例の構成においては、従来例との比較において、炉体表面温度が低くなる。これは、従来例の構成においては、Y型治具45が外壁4に直接接合されていることから、Y型治具45と外壁4との間で金属間熱伝導が発生し、炉内1から外壁4への熱伝導量が多いことに対し、本実施例の構成においては、Yスタッド5と外壁4とが非接触状態である(縁切りされている)ことから、Yスタッド5と外壁4との間の金属間熱伝導が阻止され、炉内1から外壁4への熱伝導量が少ないことによるものである。つまり、本発明に係る炉構造を採用することにより、炉体表面温度の低減を達成することができる。
炉体表面温度が低減される結果、炉壁の表面からの放散熱量が低減し、熱効率が向上する。具体的には、本実施例および従来例のそれぞれにおける炉壁の表面からの放散熱量について、図6に示すような結果が得られた。図6は、炉壁の表面からの放散熱量について、本実施例と従来例との比較結果の一例を表すものである。
図6に示すように、本比較結果例は、従来例の構成についての放散熱量を1とした場合の、本実施例の構成についての放散熱量を表す。本比較結果例においては、従来例の場合の放散熱量が1であるのに対し(グラフG1参照)、本実施例の場合の放散熱量は、0.3程度の値である(グラフG2参照)。つまり、放散熱量については、本実施例の構成によれば、従来例との比較において約3割程度の値となる。このように、本実施例の構成においては、従来例との比較において、放散熱量が大幅に低減し、熱効率が向上する。
また、本実施例における炉体表面温度は、熱計算結果による温度にほぼ一致する。ここで、炉体表面温度についての熱計算結果による温度は、炉壁の各層を構成する材料の熱伝導率や、炉壁の各層間(界面)における熱伝達係数等に基づき、炉内1の温度から算出される。
図7に、本発明の実施例に対応する炉体表面温度の熱計算結果の一例を示す。なお、図7に示すグラフについて、横軸は本発明の実施例に係る炉壁における各層の層厚(mm)に対応し、縦軸は測定温度(℃)に対応する。
図7に示すように、本計算結果例においては、炉内1の温度の800℃に対し、耐火層2と断熱層3の内側層3aとの界面部分の温度が750℃(点P1参照)、断熱層3における内側層3aと外側層3bとの界面部分の温度が623℃(点P2参照)、炉体表面温度が78℃(点P3参照)という計算結果が得られた。つまり、本計算結果例によれば、炉体表面温度についての熱計算結果による温度は、炉内1の温度が800℃であるのに対し、炉体表面温度が78℃である。
そして、前記のとおり炉内1の温度が800℃(平均)であるのに対して本実施例について得られた炉体表面温度の測定結果である75℃(平均)という値は、従来例についての測定結果である115℃(平均)との対比において、熱計算結果の温度である78℃に非常に近い値である。つまり、本実施例についての測定結果である75℃(平均)という値は、熱計算結果の78℃にほぼ一致すると言える。このような現象は、炉内1から外壁4にかけての熱伝導量について、本実施例の構成においては、Y型治具45が外壁4に接触することで金属間熱伝導が発生する従来例の構成と比べて、Yスタッド5が存在することによる影響が少ないことに基づく。
このように、炉体表面温度が熱計算結果による温度にほぼ一致することは、耐火材等の固定用として用いられるYスタッド5等の金属治具等による不明な熱伝導分が低減することに基づく。つまり、本実施例の構成によれば、炉壁が金属治具を含まない場合の熱伝導量に対する、金属治具が存在すること等による変化量(主に増加量)が低減する。これにより、金属溶解炉等の炉の設計時において、過剰に放散熱量を見込む必要がなく、炉の設計の簡素化が図れる。
以上の実施例からわかるように、本発明に係る炉構造が用いられることにより、炉構造において、炉体表面温度や放散熱量の低減効果が十分に得られる。また、炉体表面温度について、熱計算結果による予測の精度が高くなることから、過剰な放散熱量を見込んでの炉の設計の複雑化が避けられる。
なお、前述した実施の形態においては、本発明に係る炉構造が金属溶解炉に適用される場合を例に説明したが、これに限定されない。つまり、本発明に係る炉構造は、金属材料やセラミックス等種々の材料に熱処理を施すための熱処理炉や、溶湯を収容して保持するための保持炉等、金属溶解炉以外の種々の熱設備における断熱構造として適用できる。
本発明の一実施形態に係る炉構造を示す図。 同じく施工方法についての説明図。 本発明の一実施形態に係る金属溶解炉の構成を示す平面断面図。 同じく部分拡大図。 本発明の実施例についての説明図。 本実施例と従来例との放散熱量の比較結果の一例を示す図。 本発明の実施例に対応する炉体表面温度の熱計算結果の一例を示す図。 従来の炉構造を示す図。
1 炉内
2 耐火層
3 断熱層
4 外壁
5 Yスタッド(金属治具)
5a 係止部
12 耐火材
13 断熱材
20 係止溝
30 金属溶解炉

Claims (1)

  1. 炉内に対して構成される炉構造であって、
    前記炉内側に設けられ耐火材により構成される耐火層と、該耐火層の外側に設けられ断熱材により構成される断熱層と、該断熱層の外側に設けられる金属製の外壁と、前記断熱層の前記炉内側に突出した状態で前記断熱層に支持され前記耐火材を前記断熱層に対して保持するための金属治具とを備え、
    前記断熱材は、該断熱材の上面に前記金属治具を挿通するための開口部が形成され、該開口部に連続する、前記金属治具を係止可能な係止溝を有し、
    前記金属治具は、前記係止溝に係止することで、前記外壁に対して間隔を隔てた状態で、前記断熱層に支持され、前記耐火層、前記断熱層、前記外壁、および前記金属治具が、全体として略円筒状の炉壁を構成する、
    ことを特徴とする炉構造。
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