JP5420874B2 - デジタルストーリー提供システム、デジタルストーリー提供方法、及びこの方法をコンピュータシステムに実行させるためのコンピュータプログラム - Google Patents

デジタルストーリー提供システム、デジタルストーリー提供方法、及びこの方法をコンピュータシステムに実行させるためのコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、特定の人物や事象に関する論説・論文・伝記・レポート・記事・解説・説明若しくは評価、又は小説や随筆などのフィクションなどの特定のテーマに沿って作成される複数のセンテンスからなるストーリーについて、当該複数のセンテンスを所定順序でユーザ端末に提供するストーリー提供システム、デジタルストーリー提供方法及びコンピュータプログラムに関する。
従来より、WEB上で小説やエッセイなどの所定のストーリー(以下、「デジタルストーリー:DS」と称する)を視聴させるサービスが提供されている。このサービスは、具体的には、ユーザが選択したストーリーを構成する複数のセンテンスデータをユーザの携帯電話等の端末(ユーザ端末)に一括ダウンロードさせたり、ストリーミング配信することで提供されている。
このようなDS提供サービスの仕組みについては、以下の特許文献1〜3が参考になる。
特開2004−21469号公報 特開2002−91915号公報 特開2004−151904号公報
ところで、上記したDS提供サービスでは、ユーザは、ストーリーを選択した後は、ページをめくったりスクロール操作等を行うだけでストーリーを構成する多数のセンテンスが自動的に配信されるため、ユーザは受動的な立場で視聴することになる。例えば、短編小説やエッセイなどであれば、仮にユーザにとって期待外れの内容であったとしても、内容の娯楽性やストーリーの短さによって最後まで視聴される可能性がある。これに対して、長編小説や学術書、論説などは、ストーリーの長さや内容の高度性(専門性)、抽象性、複雑性などにより、ユーザ自身が選択したストーリーであっても、ユーザの興味を持続させて最後まで視聴させることは容易ではない。
特に、多数のユーザが自由に出入りできるWEB上のBBSやチャットルームなどを利用して特定のストーリーを提供する場合には、ネットユーザは飽きっぽい傾向が強いため、内容が期待外れだったり、長過ぎたりすると途中で視聴を止めてしまう可能性が高い。そのため、タイトルや前書き、要約、書評、推薦文などで閲覧者(ユーザ)に興味を持たせて視聴を開始させたとしても、その後も興味を持続させるための仕組みが重要になってくる。
この点については、以下の特許文献4に示すように、閲覧者(ユーザ)との対話方式でストーリーを提供することも提案されている。
特開2003−50965号公報 しかしながら、この特許文献4では、ユーザの回答(会話)の有無や内容の如何に拘らず、予め用意した対話形式のセンテンスを所定順序で表示してストーリーテリングを行っているに過ぎない。そのため、ユーザに疑似対話を体感させるまでには至らず、ユーザの興味を持続させるための対策としては未だ不十分である。
これに関連して、予め用意されたセンテンスの中からコンピュータプログラムによってユーザの発言内容を解析して最適な応答文を特定若しくは動的に生成して出力することで、コンピュータが人間であるかの様に振る舞い、ユーザとの擬似会話を成立させる技術(チャットロボット:チャットボット)が従来から知られている。表音文字であるアルファベットを使用する言語では、各センテンスがスペースで区切られた複数の単語で構成され、単語間の切れ目も明確であるため、ユーザの発言の解析も比較的容易である。そのため、前記チャットボットは、英語圏を中心にして発展して来た。
これに対して、表音文字と表意文字とが混在する日本語の場合は、センテンス内で文字列が連続していて単語間の区切りが不明確であるため、コンピュータによる画一的で高速な処理には馴染まない。また、自然人の発言内容を解析する自然言語解析という技術も種々提案されているが、複雑なアルゴリズムに従って演算を繰り返す必要があるため、リアルタイムのチャットに応用するには、高速処理が可能な高性能コンピュータが必要になる。そのため、従来のチャットボットや自然言語解析の技術をそのままデジタルストーリー配信サービスに適用することはできない。
本発明者らは、このような課題を解決するために、鋭意検討の結果、デジタルストーリーの配信に際して、ユーザに回答を促す質問文とこれに続く相槌文とを織り込むことで、複雑なアルゴリズムや大規模なシステムを使用することなく疑似的な対話を容易に実現することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、このような疑似対話を通じてユーザの興味を持続しながらデジタルストーリーを提供できるシステム、方法、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
本発明の第一の主要な観点によれば、特定の人物や事象に関する論説・論文・伝記・レポート・記事・解説・説明若しくは評価、又は小説や随筆などのフィクションなどの特定のテーマに沿って作成される複数のセンテンスからなるストーリーについて、当該複数のセンテンスを所定順序でユーザ端末に提供するストーリー提供システムであって、複数のセンテンスを含み、前記ストーリーを構成する1以上の段落を当該ストーリーに関連付けて格納する段落情報格納手段と、前記段落内での出力順が設定された複数のセンテンスのテキストデータ(センテンスデータ)であって、ユーザにストーリーに関連する回答を促す質問センテンスと、この質問センテンスの次に順序付けられ、かつ所定の相槌語を含む未完成の相槌センテンスと、を含むセンテンスデータを格納するセンテンスデータ格納手段と、所定のルールで決定されたストーリーに関連付けられた段落を前記段落情報格納手段から検索する段落検索手段と、前記ユーザ端末からユーザの発言の入力を受け付ける発言受付手段と、ユーザの発言を受け付けた場合に、前記段落検索手段が検索した段落を構成するセンテンスデータを前記出力順に従ってセンテンスデータ格納手段から抽出してユーザ端末に出力するセンテンス出力手段と、ユーザ端末に出力されたセンテンスデータが質問センテンスである場合に、その質問センテンスの次に順序付けられた未完成の相槌センテンスを前記センテンスデータ格納手段から抽出する相槌センテンス抽出手段と、前記質問センテンスに対するユーザの回答発言(ユーザ回答)を前記発言受付手段が受け付けた場合に、前記抽出された未完成の相槌センテンスにユーザ回答を合成して相槌センテンスを完成させ前記センテンス出力手段に出力させる相槌センテンス生成手段とを備えたことを特徴とするシステムが提供される。
本発明によれば、ストーリーに関連する回答を促す質問センテンスをユーザ端末に提示しながらストーリーテリングを行うようにしたので、ストーリーの進行に対してユーザに主体性や参加意識を持たせることができる。また、この質問センテンスに対するユーザの回答と相槌語とを合成した相槌センテンスを表示するようにしたので、自然な対話に近い疑似対話を実現することができ、ユーザの興味を持続させることが期待できる。さらに、このような疑似対話を、ストーリーやユーザ回答の複雑な言語解析を介さずに実現できるので、システムの導入やメンテナンスのコストや人的負荷を低減できる。
この発明の1の実施形態によれば、前記センテンスデータ格納手段は、前記質問センテンスに対する予想回答を当該質問センテンスの識別情報に関連付けて格納すると共に、前記未完成の相槌センテンスとして、質問センテンスに対するユーザ回答が予想回答である場合の同意相槌センテンスと、予想回答以外で場合の非同意相槌センテンスとを同一の出力順序で格納するものであり、前記センテンス出力手段は、受け付けたユーザ回答を解析して前記センテンスデータ格納手段に格納された予想回答であるかを判別するものであり、前記相槌センテンス抽出手段は、質問センテンスが出力された場合に前記センテンスデータ格納手段から同意相槌センテンスと非同意相槌センテンスとを抽出するものであり、前記相槌センテンス生成手段は、ユーザ回答が予想回答である場合に、抽出された相槌センテンスにユーザ回答を合成して相槌センテンスを完成させるものである。
また、この別の1の実施形態によれば、前記段落情報格納手段は、複数の段落を、ストーリー展開の複数の段階(ステップ)の順序に関連付けて格納するものであり、前記段落検索手段は、決定されたストーリーに関連付けられた複数の段落の中から当該ストーリーのステップ順序に従って一の段落を決定するものである。この場合、前記段落情報格納手段は、ストーリーの1つのステップに関連付けられた複数の段落と、ユーザの発言内容との関係で当該複数の段落の表示順を決定する判断基準とを格納するものであり、前記センテンスデータ格納手段は、段落内での出力順序が最後のセンテンスとして前記質問センテンスを格納するものであり、前記段落検索手段は、段落内で最後に表示された質問センテンスに対するユーザの回答発言を前記発言受付手段が受け付けた場合に、その発言内容を前記判断基準に適用して次に表示する段落を判別するものであることが好ましい。
この発明のさらなる別の1の実施形態によれば、前記段落情報格納手段は、複数の段落を編集思考素に基づいて順序付けて格納するものである。
また、さらなる別の1の実施形態によれば、前記センテンスデータ格納手段は、相槌語と、ユーザ回答を埋め込む位置を特定する情報とからなる未完成の相槌センテンスを格納するものであり、前記相槌センテンス生成手段は、受け付けたユーザ回答を前記埋め込み位置に埋め込んで相槌センテンスを完成させるものである。
このシステムは、さらに、ストーリーの著者、書評、ジャンルなどのストーリー関連情報を格納するストーリー関連情報格納手段と、ユーザ端末に前記複数のストーリー関連情報を提示して選択を受け付けるストーリー関連情報選択受付手段と、を備え、前記段落情報格納手段は、複数の段落を前記ストーリー関連情報に関連付けて格納するものであり、前記段落検索手段は、選択されたストーリー関連情報に関連付けられた1以上の段落を検索するものであってもよい。
この発明の第二の主要な観点によれば、特定の人物や事象に関する論説・論文・伝記・レポート・記事・解説・説明若しくは評価、又は小説や随筆などのフィクションなどの特定のテーマに沿って作成される複数のセンテンスからなるストーリーについて、当該複数のセンテンスを所定順序でユーザ端末に提供するストーリー提供方法であって、この方法を実行するコンピュータシステムには、複数のセンテンスを含み、前記ストーリーを構成する1以上の段落を当該ストーリーに関連付けて格納する段落情報格納手段と、前記段落内での出力順が設定された複数のセンテンスのテキストデータ(センテンスデータ)であって、ユーザにストーリーに関連する回答を促す質問センテンスと、この質問センテンスの次に順序付けられ、かつ所定の相槌語を含む未完成の相槌センテンスと、を含むセンテンスデータを格納するセンテンスデータ格納手段と、が設けられ、この方法は、前記コンピュータシステムが、所定のルールで決定されたストーリーに関連付けられた段落を前記段落情報格納手段から検索する段落検索工程と、前記コンピュータシステムが、前記ユーザ端末からユーザの発言の入力を受け付ける発言受付工程と、前記コンピュータシステムが、ユーザの発言を受け付けた場合に、前記段落検索手段が検索した段落を構成するセンテンスデータを前記出力順に従ってセンテンスデータ格納手段から抽出してユーザ端末に出力するセンテンス出力工程と、前記コンピュータシステムが、ユーザ端末に出力されたセンテンスデータが質問センテンスである場合にその質問センテンスの次に順序付けられた未完成の相槌センテンスを前記センテンスデータ格納手段から抽出する相槌センテンス抽出工程と、前記コンピュータシステムが、前記質問センテンスに対するユーザの回答発言(ユーザ回答)を前記発言受付手段が受け付けた場合に、記抽出された未完成の相槌センテンスにユーザ回答を合成して相槌センテンスを完成させ前記センテンス出力手段に出力させる相槌センテンス生成工程とを備えたことを特徴とするストーリー提供方法が提供される。
また、この発明の第三の主要な観点によれば、コンピュータシステムにインストールされ、特定の人物や事象に関する論説・論文・伝記・レポート・記事・解説・説明若しくは評価、又は小説や随筆などのフィクションなどの特定のテーマに沿って作成される複数のセンテンスからなるストーリーについて、当該複数のセンテンスを所定順序でユーザ端末に提供するストーリー提供プログラムであって、複数のセンテンスを含み、前記ストーリーを構成する1以上の段落を当該ストーリーに関連付けて前記コンピュータシステムの記憶媒体に格納する段落情報格納手段と、前記段落内での出力順が設定された複数のセンテンスのテキストデータ(センテンスデータ)であって、ユーザにストーリーに関連する回答を促す質問センテンスと、この質問センテンスの次に順序付けられ、かつ所定の相槌語を含む未完成の相槌センテンスと、を含むセンテンスデータを前記コンピュータシステムの記憶媒体に格納するセンテンスデータ格納手段と、所定のルールで決定されたストーリーに関連付けられた段落を前記段落情報格納手段から検索する段落検索手段と、前記ユーザ端末からユーザの発言の入力を受け付ける発言受付手段と、ユーザの発言を受け付けた場合に、前記段落検索手段が検索した段落を構成するセンテンスデータを前記出力順に従ってセンテンスデータ格納手段から抽出してユーザ端末に出力するセンテンス出力手段と、ユーザ端末に出力されたセンテンスデータが質問センテンスである場合に、その質問センテンスの次に順序付けられた未完成の相槌センテンスを前記センテンスデータ格納手段から抽出する相槌センテンス抽出手段と、前記質問センテンスに対するユーザの回答発言(ユーザ回答)を前記発言受付手段が受け付けた場合に、前記抽出された未完成の相槌センテンスにユーザ回答を合成して相槌センテンスを完成させ前記センテンス出力手段に出力させる相槌センテンス生成手段とを備えたことを特徴とするストーリー提供プログラムが提供される。
この発明の上記述べた以外の特徴や顕著な効果については、以下で説明する最良の実施形態および添付図面を参照することによって当業者に容易に理解できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るデジタルストーリー(DS)配信システムの概略構成を示す図である。この図で、符号1で示すDS配信システムは、Web上のDS配信サービスを提供する事業者2のWebサーバで構成され、このサービスに会員登録したユーザ3の携帯電話やPCなどの通信端末(ユーザ端末)4がインターネットなどの公衆回線網を介して接続可能である。本実施形態のDS配信サービスは、会員制のチャットルーム内の部屋 (チャンネル)、好ましくは1対1のチャットが可能な部屋として、サービス提供事業者2がWEBサーバにアップロードした複数のDSの中から特定のDSを配信するものである。また、このDS配信システム1は、ユーザの個人情報の管理、チャットルームへの接続時のユーザ認証、利用料金の決裁、DSの作成・更新などの各機能を備えている。以下においては、DS配信機能及びこれに付随する機能を中心に説明する。なお、ISPや通信キャリア、基地局、ゲートウェイサーバ、ファイアウォールなどの周知の構成は図示及び説明を省略する。
最初に、本実施形態のDS配信システムによって提供されるDS配信サービスの概要を説明する。まず、ユーザ端末4を使用して会員制チャットルームにログインしたユーザ3がDSサービス用の部屋を選択すると、このユーザ端末4にジャンル、作生年月、著者名などの複数のストーリー関連情報がリスト表示される。次いで、ユーザ3が選択したストーリー関連情報に基づいて1のストーリーが特定され、そのストーリーを構成する段落の複数のセンテンスが、設定された順序でユーザ端末4に配信される。
配信される複数のセンテンスは、特定の人物や事象に関する論説・論文・伝記・レポート・記事・解説・説明若しくは評価、又は小説や随筆等のフィクションの特定のテーマに沿って作成されたストーリーを構成するものである。このセンテンスには、オリジナルの文章を会話形式に変換しストーリーを展開させる説明文と、ユーザの回答を促す質問文と、質問に対するユーザの回答を受ける相槌文との複数の種別からなる。このような質問文と相槌文とをDSの合間に折り込むことで、ユーザに実在の相手と会話(チャット)している感覚を与えることができ、DS配信に対するユーザの主体性を継続させてDSを最後まで配信することができる。
このような機能を奏するため、本実施形態のDS配信システム1は、図2に示す構成を備えている。
すなわち、このシステム1は、DS配信サービス用のWEBサーバとして機能するコンピュータシステムに内蔵されたCPU11に、システムバス12を介して、RAM13、HDDやROMなどの外部記憶装置14、及び入出力インタフェース(I/F)15が接続され、この入出力I/F15に、さらに、マウスやキーボードなどの入力装置16、ディスプレイなどの出力装置17、及びNICなどの通信デバイス18が接続されて構成される。
外部記憶装置14は、ストーリー情報格納部(ストーリー関連情報格納手段)20、段落情報格納部21、センテンスデータ格納部22、ユーザ情報格納部23及びプログラム格納部24を備えている。何れも、HDDなどの記憶媒体に確保された一定の記憶領域である。
ストーリー情報格納部20は、多数のストーリーについて、原作の著者や作成時期・発行時期、発行者(社)、ジャンル、書評、レーティング、ランキングなどのストーリー関連情報をストーリーの識別情報(識別コード)に関連付けて格納する。すなわち、各ストーリーは複数のストーリー関連情報に関連付けられることになるため、多くの場合、1のストーリー関連情報が選択された場合に複数のストーリーが検索されることになる。例えば、ユーザが「コナン・ドイル」という著者名を指定すると、コナン・ドイルの小説、シャーロック・ホームズの嗜好、その時代の英国の記事、コナン・ドイルと生年や没年、時代が同じ著名人の作品、などが検索される。これにより、ユーザは、選択したジャンル等の中からどのストーリーが配信されるか事前に知ることができないため、ユーザの興味を高めることができる。
ここで、本実施形態におけるストーリーは、「蜘蛛の糸」「老人と海」のような完結した作品の他、その作品中の特定の章や巻、イベント(エピソード、事件、時代等)、著者や主人公が共通する複数の作品(シャーロック・ホームズシリーズなど)に共通する事象などが含まれる。このようなストーリーは、後述するように、原作の文章を所定ルールで会話形式に変換した多数のセンテンスによって構成される。
ストーリーの識別コードは、例えば著者を示す数字や記号と、完成品か作品中の特定の一部かシリーズに共通する事象かを識別する数字や記号と、著者ごとのシリアルナンバーとからなる5〜10桁程度のコードである。この識別コードは、ストーリーが新規登録される場合に付与され、定期/不定期で更新される。
段落情報格納部21は、図3に示すように、複数のセンテンスで構成される多数の段落の識別情報(tf1〜tf20)25を、前記ストーリー識別コード26や表示順序(Next ID)27に関連付けて格納するものである。すなわち、全ての段落は何れかのストーリーに関連付けられている。この段落識別情報25は表示順序27とは別に付与される。上記したように、作品全体と一部(章や巻など)、シリーズ物の共通項(シャーロック・ホームズの嗜好やワトソン博士の助言など)とシリーズ中の一の作品、のような場合は、複数のストーリーで共通する段落も存在する。
また、ストーリーを構成する複数の段落は、ストーリー展開の複数の段階(ステップ)28の順序に関連付けて格納される。例えば、主人公の成長を描く小説であれば、少年期、青年期、壮年期などの成長過程や、出立、みそぎ、確認、帰還などの過程に従って段落の表示順序が設定される。また、原作が、現在(壮年期や復活)から始まって過去を回顧するストーリーであれば、それに従って段落の順序が設定される。図3の例では、S1〜S4の4つの段階(出立、みそぎ、確認、帰還)ごとに1又は2以上の段落が関連付けられている。
このような1のストーリーを構成する複数の段落の体系や表示順序は、原作のストーリーを基にして編集思考素の考えに従って設定される。
ここで、編集思考素とは、編集を駆動する方法の型であり、三間連結型、三位一体型、二点分岐型、一種合成型、二軸四方型の五種の型がある。これらの型を組み合わせて用いることで、種々の編集処理をコンピュータシステムに行わせることができる。
図3(A)の例では、三間連結型と二点分岐型とを組み合わせている。
三間連結型は、時間や空間の推移に従って、3つ(以上)の情報を等間隔に配置する方法である。この三間連結によって、事態の推移の意味が現れてくるようになる。例えば、tf1〜tf3、Tf4、tf5、tf7などは3間連結であり、これらの段落の内容が連続して展開する場合に採用される。
また、二点分岐型は、ある概念や事象を2つの特性的な概念や事象に分岐させる方法である。例えば、tf3(tf4とtf6)、tf7(tf8とtf9)などは二点分岐である。複数に分岐させることで、その概念や事象の意味の構造が腑分けされるようになる。この分岐においては、ユーザの発言内容(質問の回答など)の自然語解析の結果や、前の段落の表示過程におけるユーザの発言までの平均所要時間、ストーリーの開始からの経過時間などの、配信中のDSに対するユーザの興味の深さを示す要素に関連付けられる判定基準に従って、何れの段落に進むかが決定される。この判定基準は、図示しない判定基準テーブルに格納されている。
例えば、ユーザ発言までの平均所要時間は、ユーザが次のセンテンスをどの程度の興味をもって表示させたいか(続きが見たいか)を表わす指標であると考えられるので、この値が所定の標準値より長い場合は、ユーザがDSに対して積極的でないと判断できる。この場合は、ストーリーが急展開する段落を選択してストーリーを早期に完結させたり、質問センテンスが多い段落を選択してユーザの参加意識を高めるようにする。また、ユーザ発言に、配信済みセンテンスに含まれている所定のキーワードが何個含まれているかも、ユーザがこのDSにどの程度興味があるかを示す有効な指標となり得る。例えば、所定のキーワードを含むユーザ発言が所定数以上であれば、ユーザがこのDSに非常に興味があると判断できるので、複数の選択肢の段落の中から詳細な内容が含まれる段落を選択する。これらの基準を組み合わせてもよい。
このようにして、ストーリーの展開を部分的にユーザに委ねることにより、ユーザの主体性や参加意識をより高めることができ、DSをユーザの興味に連動して配信することができる。
ここで、オリジナルの文章から作成した会話形式のセンテンスを所定のルールでグルーピングして複数の段落を作成し、段落情報格納部21を構築する際には、以下に示すような「編集」の考え方に沿って行う。すなわち、ここで言う「編集」とは、一般的な、単なる情報の取捨選択、表示順序やレイアウトの決定などではなく、「人々が関心を持つと思われる情報のかたまり(情報クラスター)を、表面から奥にむかって徐々に特徴づけていく一連の作業」である。その結果、所定の表示順序が決定された場合に、その情報クラスターが本願の「ストーリー」を形成することになる。
このような考え方によれば、具体的な編集作業は、「対象の情報の構造を解析(解釈)し、それを新たな体系に再構築し、再生する」という手順を経ることになる。例えば、同レベルの多種類の情報が並列的に存在する場合に、これらの情報を取捨選択したり表示順序や文章のボリューム(長さ)を決定することは、一般的には編集であるとしても、ここで言う編集ではない。それらの情報群を解析して共通項や特徴を抽出したり必要に応じて関連情報を収集し、その共通項等に従って情報群や関連情報を体系化して複数のグループに分割し、複数のグループを体系に沿って表面から深層に向けて徐々に誘導していくプロセス(ルート、チャンネル)を決定し、各グループの出力順序や深さ(位置付け)を特定する、という一連の処理が「編集」となる。このような編集の考え方や具体的なプロセスは、例えば、「知の編集工学」(松岡 正剛著 朝日新聞社発行)などの文献に詳細に説明されている。なお、このような編集処理、すなわち段落情報格納部21の構築は、所定の編集プログラムによって実行するのが好ましいが、一部又は全部の処理をマニュアルで行うようにしてもよい。
前記センテンスデータ格納部22は、オリジナルの文章(原文)に対して上記した「編集」処理が行われ、段落単位でグルーピングされた複数のセンテンスのテキストデータ(センテンスデータ)と、原文にはない相槌文や挿入文のセンテンスデータとを当該段落内での表示順序と共に格納するものである。具体的には、図4に示すように、段落ID25に関連付けられた多数のセンテンスについて、シリアルナンバー30、発言者名31、テキストデータ32、及び次のセンテンスのシリアルナンバー(#:表示順序)33が格納される。なお、発言者が1人だけのストーリーについては、発言者名31を省略できる。
前記センテンスデータは、ストーリーの内容を示すノーマルセンテンスと、ユーザにストーリーに関連する回答を促す質問センテンスと、この質問センテンスの次に順序付けられ、かつ所定の相槌語を含む相槌文センテンスとに分類される。このうち、質問センテンスと相槌文センテンスについては、センテンスの種別を示すコード34(質問:Q、相槌:N)が登録される。
ここで、原文とセンテンスデータ(ノーマルセンテンス及び質問センテンス)との対応関係の例を図5に示す。この図に示すように、センテンスデータには、原文を加工したセンテンスと原文に基づかないセンテンスとがある。原文に基づかないセンテンスは、上記した編集処理や対話形式への変換によって追加されたものである。
原文を編集したセンテンスには、原文とほぼ同様のセンテンス(#12、#15、#29、#32等)と、原文を質問形式に変換したセンテンス(#3、#4、#17、#27等)とが含まれる。また、原文に基づかないセンテンスには、ストーリーとは無関係の相槌語だけの相槌文センテンス(#23、#25、#31等)と、ストーリーに関連するノーマルセンテンス及び質問センテンス(#6、#8、#14、#22、)とが含まれる。
前記質問センテンスは、さらに、When、Where、Who(Whom)、What、Which、Why、Howの6W1Hの種別を識別する記号等(質問種別情報)35も登録されている。このうち、Howについては、How many、How about等の出現頻度が高い成句にも質問種別情報35を付して6W5Hや6W10Hの多数の種別を登録しておいてもよい。ただし、#15、#32などのようにYes/Noで回答できる質問センテンスや、#5、#17などのように回答を期待しない質問センテンスは、文末に「?」が付されて形式的には質問であっても、ここで言う質問センテンスには該当せず質問種別情報35は付与しない。逆に、#12のように文末に「?」が付されていなくても、ユーザの回答を促すセンテンスであれば、質問センテンスとして質問種別情報35を付与する。これにより、実際の会話に近づけることができる。このような質問種別情報35に基づいて、後述するようにユーザの回答が予想回答であるかが判別される。
前記相槌文センテンスは、「なるほど」「確かに」「考え方によっては」「ふん」「まあ」「そうかな」のような相槌語と、前記質問センテンスに対するユーザ回答を埋め込むための空白データ(図4、図5の「reply」の部分)と、「も重要かもしれない。」「だって?」「というのももっともだ。」「か。」「?」のような文末語とから構成される。このように、相槌文センテンスは未完成な状態で格納されており、ユーザ回答を取得した場合に、後述する相槌文センテンス生成手段45によって完成される。この相槌文センテンスは、ストーリーとは無関係に挿入(出力)され、ユーザ回答の内容に拘わらず、次に所定のノーマルセンテンス等が配信される。また、本実施形態では、相槌語だけの相槌文センテンス(#25、#31)や、未完成の相槌文センテンスと次の質問センテンス等とを組み合わせた連続センテンス(#7、#12、#14等)も格納している。後者の場合は、前記センテンス種別コード34として、質問センテンス(:Q)と相槌文センテンス(:N)の両方が登録される。また、原文に含まれている相槌文を相槌文センテンスとして格納する場合には、ユーザの回答を促すかどうかに拘わらず、ノーマルセンテンスとして登録するのが好ましい。
また、本実施形態のセンテンスデータ格納部22は、前記質問センテンスに対する予想回答36を当該質問センテンスのシリアルナンバー(識別情報)に関連付けて格納すると共に、前記未完成の相槌文センテンスとして、ユーザ回答が予想回答である場合の同意相槌文センテンスと、予想回答以外である場合の非同意相槌文センテンスとを格納している。例えば、同意相槌文センテンスは、「そう」「その通り」「確かに」などの相槌語と、「だね。」「かもしれない。」「というのももっともだ。」「それはいい考えだ。」などの文末語とが組み合わされる。また、非同意相槌文センテンスは、「ふん」「何だって?」「いや」「本当に」などの相槌語と、「か!」「だって?」「は今は重要ではない。」「と思うのかい?」などの否定的な文末語とが組み合わされる。これらの2種類の相槌文センテンスは、同一の出力順序が付与されており、質問センテンスの次に何れかの相槌文センテンスが選択されて出力される。このように、ユーザ回答に対する同意と非同意とを区別することで、定型の応答しかしない従来のチャットロボット(ソフトウェア)と異なり、リアルな会話(チャット)を実現でき、ユーザの興味を維持できる。なお、同意/非同意をプログラムで自動判定し、同意/非同意の相槌文センテンスを自動生成するために、同意/非同意の相槌語や文末語を夫々テーブル管理するのが好ましい。
なお、上記した2点分岐における分岐点の段落(図3(A)参照)において、次に表示する段落をユーザの回答内容によって選択する場合には、その段落内での出力順序が最後のセンテンス(Next ID:0)は、質問センテンスを格納するのが好ましい。
前記ユーザ情報格納部23は、ユーザIDやパスワードなどのログイン情報、銀行口座などの課金情報、メールアドレスなどの連絡先の情報、ハンドルネーム(HN)、会員登録時にユーザが任意に登録した個人情報や趣味・嗜好の情報などを登録するものである。このユーザ情報格納部23に登録された情報(以下、「ユーザ情報」と総称する)に基いて、チャットルームへのログイン認証や有料サービスの課金、広告データの表示・配信などが行なわれる。また、ユーザに問いかけるセンテンスの二人称代名詞の部分(君、あなた、お前等)をHNに置き換えて親近感を持たせることもできる。
図2に示すプログラム格納部24は、ストーリー決定手段(ストーリー関連情報選択受付手段)40、発言受付手段41、段落検索手段42、センテンス出力手段43、相槌文センテンス抽出手段44、及び相槌文センテンス生成手段45を備えている。
ストーリー決定手段40は、ユーザが選択したストーリー関連情報に基づいてこのユーザに配信する1のストーリーを決定するものである。具体的には、チャットルームにログインしたユーザの端末4からDS配信のリクエストを受け付けると、まず、前記ストーリー情報格納部20に格納された複数のストーリー関連情報をリスト形式で表示した選択受付画面(図示せず)をHTMLや画面生成プログラムとして生成する。この受付画面を、通信ネットワークを介してユーザ端末4に送信し、この受付画面を通じてユーザの選択を受け付ける。そして、選択されたストーリー関連情報に関連付けられた1以上のストーリー識別情報を前記ストーリー情報格納部20から抽出し、この中から乱数発生アルゴリズムなどを利用してランダムに1のストーリーを決定する。なお、前記受付画面を提示した後、所定時間を経過した場合は、全てのストーリーの中からランダムに1のストーリーを決定する。
発言受付手段41は、前記ユーザ端末4からユーザの発言の入力を受け付けるものである。ユーザは、センテンスの配信タイミングとは無関係に発言を入力すると考えられるため、この発言受付手段41はDS配信サービスを開始した後は、常時発言の有無を監視し、発言を受け付けた場合には他の処理を一時退避して受け付け処理を優先的に実行するのが好ましい。また、上記したように、質問センテンスの次にはユーザ回答を合成した相槌文センテンスを表示するようにしているため、質問センテンスが表示された場合は、ユーザ発言(回答)を受け付けるまでの待機時間を比較的長めに設定したり(30秒程度)、所定時間経過後に、発言を促す定型メッセージを出力するのが好ましい。このようにして受け付けたユーザの発言は、受信日時やユーザIDに関連付けてRAM13等に一時的に格納される。
段落検索手段42は、前記ストーリー決定手段40が決定したストーリーに関連付けられた全ての段落を前記段落情報格納部21から検索し、複数の段落の中から当該ストーリー内の表示順序に従って一の段落を決定するものである。また、上記した分岐点の段落内で最後に配信された質問センテンスに対するユーザの回答発言を前記発言受付手段41が受け付けた場合には、その発言内容等を前記判断基準に適用して次に表示する段落を決定する機能も有する。なお、ストーリーを構成する段落が比較的少ない場合には、上記したストーリー決定処理をスキップして、ユーザが選択したストーリー関連情報に関連付けられた1以上の段落を検索するようにしてもよい。
センテンス出力手段43は、前記発言受付手段41がユーザの発言を受け付けた場合に、前記段落検索手段42が検索した段落を構成するセンテンスデータを前記出力順序に従ってセンテンスデータ格納部22から抽出してユーザ端末4に配信するものである。また本実施形態では、質問センテンスに対するユーザ発言(回答)を自然言語解析(抽出ワードとライブラリとのマッチング等)によって内容を特定し、これを登録された予想回答と比較することで、同意/非同意を判定する機能も有する。
相槌文センテンス抽出手段44は、ユーザ端末4に質問センテンスが配信された場合に、その質問センテンスのNext IDに登録されている未完成の相槌文センテンスを前記センテンスデータ格納部22から抽出するものである。なお、質問センテンスを配信した後、所定の待機時間(30秒など)が経過したかを監視し、時間経過後に、「どうした?」のような回答を促す定型のセンテンスを抽出するようにしてもよい。
相槌文センテンス生成手段45は、前記質問センテンスに対するユーザ回答を前記発言受付手段41が受け付けた場合に、前記抽出された未完成の相槌文センテンスの「reply」部分にユーザ回答を埋め込んで相槌文センテンスを完成させセンテンス出力手段46に出力させるものである。また、前記センテンス出力手段43から同意/非同意の判定結果を受け取った場合には、その判定結果に従った相槌文センテンスを抽出してユーザ発言を埋め込んで生成する。
次に、図6〜8のフローチャートを参照して、本発明の具体的な処理工程を詳細な機能と共に説明する。なお、チャットルームへの会員登録やログイン時の認証などの周知の工程は説明を省略する。
まず、ユーザがチャットルームにログインし、DS配信ボタンを選択することで以下の処理が開始される(S1)。
まず、前記ストーリー決定手段40がストーリー関連情報の選択画面を生成してユーザ端末4に送信し、ストーリー関連情報の選択を受け付ける(S2)。その後、所定時間内にストーリー関連情報が選択されると(S2、S3)、このストーリー決定手段40は、選択されたストーリー関連情報に関連付けられたストーリーを前記ストーリー情報格納部20から全て検索し(S4)、その中からランダムに1のストーリーを決定する(S5)。一方、前記選択画面を送信してから所定時間内にストーリー関連情報が選択されなかった場合は(S2のNo、S3のNo)、S4をスキップして、ストーリー情報格納部20に登録されている全てのストーリーの中からランダムに1のストーリーを決定する(S5)。
次いで、前記段落検索手段42が、選択されたストーリーを構成する全ての段落を前記段落情報格納部21から検索し(S6)、この段落のテーブル(図3(B)参照)を特定してRAM13にロードする(S7)。また、この段落検索手段42は特定された段落テーブルを参照して表示順序が最小の段落を特定する(S8)。図3(B)の例で言えば、Step1の中で段落IDが最小のtf1の段落が特定される。そして、前記センテンス出力手段43が、この段落IDに基づいてセンテンスデータ格納部22からこの段落を構成する全てのセンテンスを検索する(S9)。
また、センテンス出力手段43は、前記検索された複数のセンテンスの中からシリアルナンバー30が「1」のセンテンスを特定する(S10)。次いで、センテンス出力手段43は、センテンス種別コード34を参照して、特定されたセンテンスが「質問形式:Q」であると判別した場合は(S11のYes)、後述する質問/回答処理ループAに移行する。
センテンスが質問形式でない場合は(S11のNo)、そのセンテンスをユーザ端末4に配信する(S12)。センテンス配信後、所定時間内にユーザ発言の入力を受け付けるか(S13のYes)、所定の待機時間が経過すると(S13のNo、S14のYes)、センテンス出力手段43はセンテンスデータ格納部22の「Next ID」の欄を参照して次に表示するセンテンスを特定する(S15)。
また、次に表示するセンテンスについても「Next ID」の欄を参照して、さらに次のセンテンスの「Next ID」が「0」でないことを確認する(S16)。すなわち、次に表示するセンテンスが段落内の最後のセンテンスである場合には、ユーザ回答を解析して次に表示する段落を選択する必要がある場合があるため(2点分岐の段落)、最後のセンテンスと他のセンテンスとを区別してセンテンスを配信する必要がある。そのため、このS16において次のセンテンスの「Next ID」が「0」でないと判定した場合には(S16のNo)、前記S11に戻ってセンテンスの配信を継続するが、「Next ID」が「0」であると判定した場合には(S16のYes)、当該センテンスを配信してから図7に示すBの処理フローに進む(S17)。
図7に示すBフローにおいては、前記センテンスを配信した後、ユーザ発言を受け付ける(S18)。所定時間内にユーザ発言を受け付けた場合は(S18、S19)、前記段落テーブルを参照して、表示済の段落tf(n)の「Next ID」に登録されている段落ID(tf(n))を特定する(S20)。
ここで、二点分岐の分岐点であるtf3、tf6、tf7、tf12の段落のように、「Next ID」に複数の段落が登録されている場合は(S21のYes)、段落検索手段42は前記S18で受け付けたユーザ発言を自然語解析などの手法で解析し(S22)、解析結果に応じて次に表示する1の段落を決定する(S23)。次に表示する段落IDが1つだけであれば(S21のYes)、解析工程(S22)はスキップして、S20で特定された段落を次に表示する段落として決定する(S23)。
このようにして決定された次の段落について、さらに前記段落テーブルの「Next ID」を参照し、次の次に表示される段落IDが「end」でなければ(S24のNo)、前記S9にリターンする(C)。一方、次の次に表示される段落IDが「end」である場合は(S24のYes)、次に表示する段落がストーリーの最後の段落であるので、前記S9〜S17の処理を実行してDSの配信を終了する。図3の例では、S23で決定された段落がtf9、tf11、tf14、tf15、tf16の何れかである場合にS9〜S17の処理だけを実行する。そして、最後のセンテンスを配信した後に、「最後まで聞いてくれてありがとう」などのストーリーとは無関係の最後の挨拶文を出力するのが好ましい。
次に、図8を参照して、前記S11において、特定されたセンテンスが質問センテンスであると判断された場合の質問/回答処理ループAを説明する。
この処理工程においては、まず前記センテンス出力手段43が当該質問センテンスをユーザ端末4に配信し(S111)、発言受付手段41がユーザからの回答(発言)を受け付けて受信時刻とユーザIDと共にRAM13に記録する(S112)。また、前記相槌文センテンス抽出手段44が前記センテンスデータ格納部22(図4)を参照して、S111で表示した質問センテンスの「Next ID」として登録されている相槌文センテンス(N、QN)を特定する(S113)。次いで、相槌文センテンス生成手段45が、抽出された相槌文センテンスの回答埋め込み用のブランク(図4の「reply」)に、前記S112でRAM13に記録されたユーザ回答を埋め込んで相槌文センテンスを合成する(S114)。
例えば、「人生で一番大事なことは何だと思う?」という質問センテンスに対して、ユーザから「夢かな」という回答を受け付けた場合は以下のように処理される。すなわち、質問センテンスの「何(what)」という質問種別情報(図4参照)に対応して、ユーザ回答の中から定型の語尾である「かな」を捨象して「夢」という名詞を抽出する。そして、「『(reply)』か。確かにそれも重要だ。」という相槌文センテンスの「reply」の部分に「夢」という名詞を埋め込んで、「『夢』か。確かにそれも重要だ。」という相槌文センテンスを完成させる。このような相槌文が配信されると、ユーザは恰も実在の相手とチャットしているように感じ、本システム1とのチャット、すなわちDS配信を継続するようになる。
前記S114で相槌文センテンスが生成されると、この質問/回答処理ループは終了してメインループに復帰する。すなわち、生成された相槌文センテンスがユーザ端末に配信される(S12)。ここで、相槌文センテンスとして、未完成の相槌文センテンスだけが格納されている場合は合成された相槌文センテンスだけがユーザ端末4に配信され、未完成の相槌文センテンスを含む連続センテンスとして登録されている場合には、その連続センテンスの全てが配信される。
上記したように、相槌文センテンス自体はストーリーとは直接関連せず、ユーザの興味を持続させるために織り込まれるが、連続センテンスの場合はストーリーに直接関連する内容を含んでいる。例えば、上記の例で言えば、「『夢』か。確かにそれも重要だ。」という相槌文センテンスに続けて、「しかし、一番重要なことは、笑顔だ。」というようにノーマルセンテンスを表示し、「笑顔」に関するストーリーを展開していく。すなわち、ユーザの回答内容はストーリー配信には何ら影響しない。これにより、ユーザ発言を受け付けるたびに複雑な言語解析を繰り返して次のセンテンスを探索したり動的に生成する必要がなく、予め設定された順序で多数のセンテンスを円滑に配信していくことができる。
以上説明したように、本実施形態のDS配信システムによれば、DS配信に際して、ストーリーに関連した質問センテンスを適宜織り込んで、ユーザに回答の入力を促すことができ、疑似会話を通してDSを主導的、能動的に表示させている感覚を与えることができる。また、質問センテンスに対するユーザ回答を踏まえた相槌文センテンスを配信することで、リアルな会話に近いチャットを実現することができる。これにより、ユーザの興味や参加意識を高めてDSを最後まで視聴させることができるDSサービスを実現することができる。
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
例えば、配信するストーリーの決定処理を、予め用意されている複数のストーリーの中から、ユーザが最初に入力した発言にマッチングするストーリーを選択するようにしてもよい。具体的には、「出身はどこ?」という発言がユーザ端末から受け付けた場合は、「どこ」という文字列と「?」という記号とを抽出して、地名の由来や地場産業を題材にした新聞記事、論説、地名を含む小説などのストーリーをランダムに選択する。また、「今日は暑かったね」という発言を受け付けた場合は、「暑かった」という文字列を認識して、「天気」「気候」をテーマにした随筆(エッセイ)や、「暑い地域」を舞台にした小説などのストーリーを選択したり、「今日」という文字列を認識して、「過去の『その日』の出来事』を紹介した記事などを選択する。この変形例は、上記の実施形態で説明した「ストーリー関連情報に基づくストーリーの特定」に代えて、若しくはこれに加えてもよい。
また、センテンスの種別は上記した実施形態で例示したものに限られず、顔文字、擬音、比喩、相槌とは言えない感嘆符など、通常の会話やチャットで使用される種々の種別のセンテンスを登録しておくことができる。さらに、ユーザの発言に出身地や住所地が含まれていた場合に、周知の方言辞書を参照して、その後のセンテンスをその地方の方言に変換して配信するようにしてもよい。
本発明の一実施形態に係るデジタルストーリー(DS)配信システムの概略構成を示す図である。 図2は、同、DS配信システムの概略構成を示す機能ブロック図である。 図3は、複数の段落の体系や順序などを示す図である。 図4は、センテンスデータ格納部のデータ構成を模式的に示す図である。 図5は、原文とセンテンスデータとの対応関係の例を示す図である。 図6は、本発明の具体的な処理工程を示すフローチャートである。 図7は、本発明の具体的な処理工程を示すフローチャートである。 図8は、本発明の具体的な処理工程を示すフローチャートである。
符号の説明
1…DS配信システム
2…サービス提供事業者
3…ユーザ
4…ユーザ端末
11…CPU
12…システムバス
13…RAM
14…外部記憶装置
15…入出力インタフェース
16…入力装置
17…出力装置
18…通信デバイス
20…ストーリー情報格納部
21…段落情報格納部
22…センテンスデータ格納部
23…ユーザ情報格納部
24…プログラム格納部
25…段落識別情報(ID)
26…ストーリー識別コード
27…表示順序(Next ID)
28…ストーリーのステップ
30…シリアルナンバー
31…発言者名
32…テキストデータ
33…シリアルナンバー
34…センテンス種別コード
35…質問種別情報
36…予想回答
40…ストーリー決定手段
41…発言受付手段
42…段落検索手段
43…センテンス出力手段
44…相槌文センテンス抽出手段
45…相槌文センテンス生成手段

Claims (9)

  1. 特定の人物や事象に関する論説・論文・伝記・レポート・記事・解説・説明若しくは評価、又は小説や随筆などのフィクションなどの特定のテーマに沿って作成される複数のセンテンスからなるストーリーについて、当該複数のセンテンスを所定順序でユーザ端末に提供するストーリー提供システムであって、
    複数のセンテンスを含み、前記ストーリーを構成する1以上の段落を当該ストーリーに関連付けて格納する段落情報格納手段と、
    前記段落内での出力順が設定された複数のセンテンスのテキストデータ(センテンスデータ)であって、ユーザにストーリーに関連する回答を促す質問センテンスと、この質問センテンスの次に順序付けられ、かつ所定の相槌語を含む未完成の相槌センテンスと、を含むセンテンスデータを格納するセンテンスデータ格納手段と、
    前記ユーザ端末からユーザの発言の入力を受け付ける発言受付手段と、
    前記ユーザの発言の入力を受け付けるまでの平均所要時間に基づいて、次に出力する段落を前記段落情報格納手段から検索する段落検索手段と
    ユーザの発言を受け付けた場合に、前記段落検索手段が検索した段落を構成するセンテンスデータを前記出力順に従ってセンテンスデータ格納手段から抽出してユーザ端末に出力するセンテンス出力手段と、
    ユーザ端末に出力されたセンテンスデータが質問センテンスである場合に、その質問センテンスの次に順序付けられた未完成の相槌センテンスを前記センテンスデータ格納手段から抽出する相槌センテンス抽出手段と、
    前記質問センテンスに対するユーザの回答発言(ユーザ回答)を前記発言受付手段が受け付けた場合に、前記抽出された未完成の相槌センテンスにユーザ回答を合成して相槌センテンスを完成させ前記センテンス出力手段に出力させる相槌センテンス生成手段と
    を備えたことを特徴とするシステム。
  2. 請求項1のシステムにおいて、
    前記センテンスデータ格納手段は、前記質問センテンスに対する予想回答を当該質問センテンスの識別情報に関連付けて格納すると共に、前記未完成の相槌センテンスとして、質問センテンスに対するユーザ回答が予想回答である場合の同意相槌センテンスと、予想回答以外で場合の非同意相槌センテンスとを同一の出力順序で格納するものであり、
    前記センテンス出力手段は、受け付けたユーザ回答を解析して前記センテンスデータ格納手段に格納された予想回答であるかを判別するものであり、
    前記相槌センテンス抽出手段は、質問センテンスが出力された場合に前記センテンスデータ格納手段から同意相槌センテンスと非同意相槌センテンスとを抽出するものであり、
    前記相槌センテンス生成手段は、ユーザ回答が予想回答である場合に、抽出された相槌センテンスにユーザ回答を合成して相槌センテンスを完成させる
    ことを特徴とするシステム。
  3. 請求項1のシステムにおいて、
    前記段落情報格納手段は、複数の段落を、ストーリー展開の複数の段階(ステップ)の順序に関連付けて格納するものであり、
    前記段落検索手段は、決定されたストーリーに関連付けられた複数の段落の中から当該ストーリーのステップ順序に従って一の段落を決定する
    ことを特徴とするシステム。
  4. 請求項3のシステムにおいて、
    前記段落情報格納手段は、ストーリーの1つのステップに関連付けられた複数の段落と、ユーザの発言内容との関係で当該複数の段落の表示順を決定する判断基準とを格納するものであり、
    前記センテンスデータ格納手段は、段落内での出力順序が最後のセンテンスとして前記質問センテンスを格納するものであり、
    前記段落検索手段は、段落内で最後に表示された質問センテンスに対するユーザの回答発言を前記発言受付手段が受け付けた場合に、その発言内容を前記判断基準に適用して次に表示する段落を判別する
    ことを特徴とするシステム。
  5. 請求項1のシステムにおいて、
    前記段落情報格納手段は、複数の段落を編集思考素に基づいて順序付けて格納することを特徴とするシステム。
  6. 請求項1のシステムにおいて、
    前記センテンスデータ格納手段は、相槌語と、ユーザ回答を埋め込む位置を特定する情報とからなる未完成の相槌センテンスを格納するものであり、
    前記相槌センテンス生成手段は、受け付けたユーザ回答を前記埋め込み位置に埋め込んで相槌センテンスを完成させる
    ことを特徴とするシステム。
  7. 請求項1のシステムにおいて、
    さらに、
    ストーリーの著者、書評、ジャンルなどのストーリー関連情報を格納するストーリー関連情報格納手段と、
    ユーザ端末に前記複数のストーリー関連情報を提示して選択を受け付けるストーリー関連情報選択受付手段と、を備え、
    前記段落情報格納手段は、複数の段落を前記ストーリー関連情報に関連付けて格納するものであり、
    前記段落検索手段は、選択されたストーリー関連情報に関連付けられた1以上の段落を検索する
    ことを特徴とするシステム。
  8. 特定の人物や事象に関する論説・論文・伝記・レポート・記事・解説・説明若しくは評価、又は小説や随筆などのフィクションなどの特定のテーマに沿って作成される複数のセンテンスからなるストーリーについて、当該複数のセンテンスを所定順序でユーザ端末に提供するストーリー提供方法であって、
    この方法を実行するコンピュータシステムには、
    複数のセンテンスを含み、前記ストーリーを構成する1以上の段落を当該ストーリーに関連付けて格納する段落情報格納手段と、
    前記段落内での出力順が設定された複数のセンテンスのテキストデータ(センテンスデータ)であって、ユーザにストーリーに関連する回答を促す質問センテンスと、この質問センテンスの次に順序付けられ、かつ所定の相槌語を含む未完成の相槌センテンスと、を含むセンテンスデータを格納するセンテンスデータ格納手段と、
    が設けられ、
    この方法は、
    前記コンピュータシステムが、前記ユーザ端末からユーザの発言の入力を受け付ける発言受付工程と、
    前記コンピュータシステムが、前記ユーザの発言の入力を受け付けるまでの平均所要時間に基づいて、次に出力する段落を前記段落情報格納手段から検索する段落検索工程と
    前記コンピュータシステムが、ユーザの発言を受け付けた場合に、前記段落検索手段が検索した段落を構成するセンテンスデータを前記出力順に従ってセンテンスデータ格納手段から抽出してユーザ端末に出力するセンテンス出力工程と、
    前記コンピュータシステムが、ユーザ端末に出力されたセンテンスデータが質問センテンスである場合にその質問センテンスの次に順序付けられた未完成の相槌センテンスを前記センテンスデータ格納手段から抽出する相槌センテンス抽出工程と、
    前記コンピュータシステムが、前記質問センテンスに対するユーザの回答発言(ユーザ回答)を前記発言受付手段が受け付けた場合に、記抽出された未完成の相槌センテンスにユーザ回答を合成して相槌センテンスを完成させ前記センテンス出力手段に出力させる相槌センテンス生成工程と
    を備えたことを特徴とするストーリー提供方法。
  9. コンピュータシステムにインストールされ、特定の人物や事象に関する論説・論文・伝記・レポート・記事・解説・説明若しくは評価、又は小説や随筆などのフィクションなどの特定のテーマに沿って作成される複数のセンテンスからなるストーリーについて、当該複数のセンテンスを所定順序でユーザ端末に提供するストーリー提供プログラムであって、
    複数のセンテンスを含み、前記ストーリーを構成する1以上の段落を当該ストーリーに関連付けて前記コンピュータシステムの記憶媒体に格納する段落情報格納手段と、
    前記段落内での出力順が設定された複数のセンテンスのテキストデータ(センテンスデータ)であって、ユーザにストーリーに関連する回答を促す質問センテンスと、この質問センテンスの次に順序付けられ、かつ所定の相槌語を含む未完成の相槌センテンスと、を含むセンテンスデータを前記コンピュータシステムの記憶媒体に格納するセンテンスデータ格納手段と、
    前記ユーザ端末からユーザの発言の入力を受け付ける発言受付手段と、
    前記ユーザの発言の入力を受け付けるまでの平均所要時間に基づいて、次に出力する段落を前記段落情報格納手段から検索する段落検索手段と
    ユーザの発言を受け付けた場合に、前記段落検索手段が検索した段落を構成するセンテンスデータを前記出力順に従ってセンテンスデータ格納手段から抽出してユーザ端末に出力するセンテンス出力手段と、
    ユーザ端末に出力されたセンテンスデータが質問センテンスである場合に、その質問センテンスの次に順序付けられた未完成の相槌センテンスを前記センテンスデータ格納手段から抽出する相槌センテンス抽出手段と、
    前記質問センテンスに対するユーザの回答発言(ユーザ回答)を前記発言受付手段が受け付けた場合に、前記抽出された未完成の相槌センテンスにユーザ回答を合成して相槌センテンスを完成させ前記センテンス出力手段に出力させる相槌センテンス生成手段と
    を備えたことを特徴とするストーリー提供プログラム。
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