JP5419121B2 - ハーフメタリック反強磁性体 - Google Patents

ハーフメタリック反強磁性体 Download PDF

Info

Publication number
JP5419121B2
JP5419121B2 JP2008073917A JP2008073917A JP5419121B2 JP 5419121 B2 JP5419121 B2 JP 5419121B2 JP 2008073917 A JP2008073917 A JP 2008073917A JP 2008073917 A JP2008073917 A JP 2008073917A JP 5419121 B2 JP5419121 B2 JP 5419121B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
state
metallic
density
antiferromagnetic
state density
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008073917A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009231471A (ja
Inventor
久純 赤井
昌子 小倉
ホアング ロン グエン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka University NUC
Original Assignee
Osaka University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka University NUC filed Critical Osaka University NUC
Priority to JP2008073917A priority Critical patent/JP5419121B2/ja
Priority to PCT/JP2009/055242 priority patent/WO2009116555A1/ja
Priority to KR1020107021164A priority patent/KR101294888B1/ko
Priority to CN2009801104132A priority patent/CN101978442A/zh
Priority to EP09721940A priority patent/EP2267734A4/en
Priority to US12/933,744 priority patent/US20110017938A1/en
Publication of JP2009231471A publication Critical patent/JP2009231471A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5419121B2 publication Critical patent/JP5419121B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/40Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials of magnetic semiconductor materials, e.g. CdCr2S4
    • H01F1/408Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials of magnetic semiconductor materials, e.g. CdCr2S4 half-metallic, i.e. having only one electronic spin direction at the Fermi level, e.g. CrO2, Heusler alloys
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/0009Antiferromagnetic materials, i.e. materials exhibiting a Néel transition temperature

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)
  • Thin Magnetic Films (AREA)

Description

本発明は、反強磁性を有し、且つ上向き電子スピン状態及び下向き電子スピン状態の内、一方の電子スピン状態で金属としての性質を示すのに対して他方の電子スピン状態で絶縁体或いは半導体としての性質を示すハーフメタリック反強磁性体に関するものである。
ハーフメタリック反強磁性は、ファン・ロイケンとド・グルートによって最初に提案された概念であり(非特許文献1参照)、ハーフメタリック反強磁性体は、上向き電子スピン状態及び下向き電子スピン状態の内、一方の電子スピン状態で金属としての性質を示すのに対して、他方の電子スピン状態で絶縁体或いは半導体としての性質を示す物質である。
この様なハーフメタリック反強磁性体として、従来、種々の物質が提案されている。例えば、ピケットは、2重ペロフスカイト構造を有するSrVCuO、LaMnVO、LaMnCoOについて電子状態計算を行ない、これらの金属間化合物の内、LaMnVOがハーフメタリック反強磁性を示す可能性があることを予言した(非特許文献2参照)。
又、本発明者らは、半導体を母体とした種々の反強磁性ハーフメタリック半導体を提案し(非特許文献3乃至7参照)、特許出願中である(特許文献1及び2参照)。本発明者らが提案している反強磁性ハーフメタリック半導体は、例えばII−VI族化合物半導体やIII−V族化合物半導体のII族原子やIII族原子を2種類以上の磁性イオンで置換したものである。具体的には、(ZnCrFe)S、(ZnVCo)S、(ZnCrFe)Se、(ZnVCo)Se、(GaCrNi)N、(GaMnCo)N等を提案している。
van Leuken and de Groot, Phys. Rev. Lett. 74,1171(1995) W.E.Pickett, Phys. Rev. B57, 10613(1998) H.Akai and M.Ogura, Phys. Rev. Lett. 97, 06401(2006) M.Ogura, Y.Hashimoto and H.Akai, Physica Status Solidi C 3,4160(2006) M.Ogura, C.Takahashi and H.Akai, Journal of Physics: Condens. Matter 19, 365226(2007) H.Akai and M.Ogura, Journal of Physics D:Applied Physics 40, 1238(2007) H.Akai and M.Ogura, HyperfineInteractions (2008) in press WO2006/028299号公報 特願2006−219951の明細書
しかしながら、本発明者らの研究の結果、ピケットがハーフメタリック反強磁性を示す可能性を予言した金属間化合物LaMnVOは、ハーフメタリック反強磁性が発現する可能性は低く、ハーフメタリック反強磁性が発現したとしても安定な磁気構造である可能性は低いことが判明した。又、半導体を母体とした反強磁性ハーフメタリック半導体においては、磁性イオン間に強い引力的相互作用があるため、母体中で磁性イオンがクラスター化して、或いは平衡状態では二相分離を起こして、母体中に磁性イオンが析出した状態となる。従って、結晶状態を組み難く、化学的に不安定である問題がある。又、化学結合が弱いため、磁気的結合も弱く、磁気構造が不安定である問題がある。
そこで、本発明の目的は、化学的に安定で、然も安定な磁気構造を有するハーフメタリック反強磁性体を提供することである。
本発明に係るハーフメタリック反強磁性体は、ニッケルヒ素型、閃亜鉛鉱型、ウルツ鉱型、カルコパイライト型或いは岩塩型の結晶構造を有する化合物であって、2種類以上の磁性元素とカルコゲン或いはプニクトゲンとから構成されており、前記2種類以上の磁性元素には、有効d電子数が5より少ない磁性元素と有効d電子数が5より多い磁性元素とが含まれ、前記2種類以上の磁性元素の有効d電子数の総和は10或いは10に近い値である。
磁性元素の有効d電子数は、磁性元素の全価電子数から、カルコゲン或いはプニクトゲンが共有結合或いはイオン結合のために失う電子数、即ちイオン価数を減算した数である。ここで、磁性元素の全価電子数は、原子中の電子の数(原子番号)からコア電子の数(3d遷移金属元素にあっては18)を減算した値である。例えば、カルコゲンは2価であるので、Cr(原子番号24)とFe(原子番号26)の有効d電子数はそれぞれ、4個(=24−18−2)と6個(=26−18−2)となる。又、プニクトゲンは3価であるので、Mn(原子番号25)とCo(原子番号27)の有効d電子数はそれぞれ、4個(=25−18−3)と6個(=27−18−3)となる。
又、2種類以上の磁性元素の有効d電子数の総和は、次のようにして求めることも出来る。例えば組成式ABX(A及びBは磁性元素、Xはカルコゲン)で表わされるハーフメタリック反強磁性体においては、カルコゲンXがsp電子による結合状態に供給する価電子数は12個(=6×2)であり、sp電子による結合状態には化学式量当たり16個(=8×2)の価電子が収容される。従って、磁性元素A及びBからは4個(=16−12)の電子が該結合状態に供給されることになり、磁性元素Aの全価電子数と磁性元素Bの全価電子数の総数から該電子の数である4を減算して得られる値が有効d電子数の総和となる。磁性元素AがCr(原子番号24)、磁性元素BがFe(原子番号26)である場合には、磁性元素Aの全価電子数は6個(=24−18)、磁性元素Bの全価電子数は8個(=26−18)であるので、全価電子数の総数は14個となり、磁性元素A及びBの有効d電子数の総和は10(=14−4)となる。一方、上記組成式ABXにおいてXがプニクトゲンであるハーフメタリック反強磁性体においては、プニクトゲンXがsp電子による結合状態に供給する価電子数は10個(=5×2)であるので、磁性元素Aの全価電子数と磁性元素Bの全価電子数の総数から該電子の数である6を減算して得られる値が有効d電子数の総和となる。
又、3種類以上の磁性元素とカルコゲン或いはプニクトゲンとから構成されているハーフメタリック反強磁性体、例えば組成式(ABC)X(A、B及びCは磁性元素)で表わされるハーフメタリック反強磁性体においても、2種類の磁性元素とカルコゲン或いはプニクトゲンとから構成されているハーフメタリック反強磁性体と同様にして、有効d電子数の総和を求めることが出来る。尚、(A0.50.5C)Xの如く(AC)Xと(BC)Xとがそれぞれ固溶体を形成しているハーフメタリック反強磁性体においても、同様にして有効d電子数の総和を求めることが出来、例えば磁性元素AがV、磁性元素BがMn、磁性元素CがFe、Xがカルコゲンである場合には、磁性元素A、B及びCの全価電子数の総数は14個(=5×0.5+7×0.5+8)となり、磁性元素A、B及びCの有効d電子数の総和は10となる。
上記本発明に係る化合物がハーフメタリック反強磁性を発現する理由は次のように考えられる。以下の説明では、磁性元素が2種類である場合について説明する。
組成式ABX(A及びBは磁性元素、Xはカルコゲン或いはプニクトゲン)で表わされる化合物は非磁性状態では、図38に示す如く磁性元素A及び磁性元素Bのs状態及びp状態が元素Xのs状態及びp状態と作る結合sp状態及び反結合sp状態がそれぞれバンドを形成しており、その間に磁性元素Aのd状態及び磁性元素Bのd状態からなるバンドが形成されている。
磁性元素Aのd軌道及び磁性元素Bのd軌道は、電子間相互作用によりスピン分裂する。このとき、磁気的状態としては、磁性元素Aの局所磁気モーメントと磁性元素Bの局所磁気モーメントとが互いに平行に向いている状態と反平行に向いている状態とが考えられる。尚、局所磁気モーメントがばらばらな方向を向いている常磁性状態や、その他の複雑な状態も考えられるが、局所磁気モーメントが平行に向いている状態と反平行に向いている状態の2つの状態について検討すれば十分である。
磁性元素Aの局所磁気モーメントと磁性元素Bの局所磁気モーメントとが互いに平行に向いている状態では、図39に示す如く、d状態から作られるバンド(dバンド)は交換分裂して典型的な強磁性体のバンド構造を示すことになる。ここで、局所磁気モーメントを互いに平行に揃えることによるエネルギー利得は、バンドが少し広がることによって生じ、このバンドの広がりは、エネルギーの異なる磁性元素Aのd状態と磁性元素Bのd状態とが混成することによって生じる。この様に、異なるエネルギー状態間の混成によってバンドエネルギー利得が生じることを超交換相互作用という。磁性元素Aと磁性元素Bの間のd状態の混成の強さを表わす飛び移り積分をtとすると、局所磁気モーメントを互いに平行に揃えることによるエネルギー利得E1は、下記数1で表わされる。
(数1)
E1=−|t|/D
ここで、Dは磁性元素Aと磁性元素Bのd軌道のエネルギー差であり、磁性元素Aと磁性元素Bの有効d電子数の差が大きい程大きな値をとる。
一方、磁性元素Aの局所磁気モーメントと磁性元素Bの局所磁気モーメントとが互いに反平行に向いている状態では、図40に示す如く、d状態から作られるバンドはスピン分裂して、平行に向いている状態とは異なるバンド構造を示すことになる。局所磁気モーメントを互いに反平行に揃えることによるエネルギー利得は、上向きスピンバンドにおいてエネルギー的に縮退した磁性元素Aと磁性元素Bのd状態が強く混成して結合d状態と反結合d状態を作り、結合d状態を主として電子が占めることによって生じる。この様に、エネルギー的に縮退した状態間の混成によってバンドエネルギー利得が生じることを二重交換相互作用という。二重交換相互作用によるエネルギー利得E2は、飛び移り積分をtとすると、−tに比例する。又、下向きスピンバンドにおいては、強磁性の場合と同様に、超交換相互作用によるエネルギー利得が生じる。
超交換相互作用によるエネルギー利得が飛び移り積分tの2次に比例(二次摂動)するのに対して、二重交換相互作用によるエネルギー利得は飛び移り積分tの1次に比例(縮退が起こる場合の一次摂動)する。従って、一般に、超交換相互作用よりも二重交換相互作用の方が大きなエネルギー利得を生じる。二重交換相互作用が生じるためには、d状態に縮退が起こらなければならず、局所磁気モーメントが互いに反平行に向いている状態では、磁性元素Aの有効d電子数と磁性元素Bの有効d電子数の和が3d電子軌道の最大収容電子数である10或いは10に近い値であるときに、この様な縮退が起こる。
上述の如く、有効d電子数の和が10或いは10に近い値であるときには、AとBの局所磁気モーメントは互いに反平行に向いた方がエネルギー的に有利である。又、強磁性交換分裂の2倍に相当する大きな交換分裂の効果を受ける下向きスピンバンドにおいては、図40に示す如く、大きなギャップが形成され、フェルミエネルギーがギャップの中央付近に位置することになる。
又、共有性の強い閃亜鉛鉱型結晶構造、ウルツ鉱型結晶構造及びカルコパイライト型結晶構造は4配位、イオン性を有するニッケルヒ素型結晶構造及び岩塩型結晶構造は6配位であり、何れの結晶構造も強い化学結合を作るが、s状態やp状態に関しては、4配位の結晶構造を有する物質の方が結合・反結合分裂が小さく半導体的な性質を有し、6配位の結晶構造を有する物質の方が絶縁体的な性質を有している。本来はバンドギャップが存在した領域に磁性元素のd状態からなるバンドが割り込んでくるのであるが、上向きスピンバンド及び下向きスピンバンドの内、一方のスピンバンドでは、本来のバンドギャップが残ってハーフメタリックが発現することになる。又、磁性元素のd状態は周りの陰イオンと混成するのであるが、原子軌道としてのd状態の性質を保っており、大きな磁気分裂と局所磁気モーメントを残して安定な反強磁性を発現することになる。尚、上記以外の結晶構造であっても、本来のバンドギャップが残るようなものであれば、ハーフメタリックが発現することとなるが、配位数の大きな結晶構造(例えば8配位の結晶構造)を有する物質の多くは本来金属的な性質を有しているため、ハーフメタリックが発現する可能性は低い。又、周りとの混成が強く、大きな磁気分裂が起こりにくいので、反強磁性が発現する可能性は低い。
以上のことから、上記本発明に係る化合物は、ハーフメタリック反強磁性が基底状態で発現する可能性が高いと言える。本発明に係る化合物においてハーフメタリック反強磁性が発現することは、後述の如く第1原理電子状態計算により確認されている。
尚、2種類の磁性元素の有効d電子数の和が10に近い値である場合には、両磁性元素の磁気モーメントの大きさが僅かに異なるため、全体として僅かに磁性を有するフェリ磁性が発現することになると考えられるが、本願特許請求の範囲及び明細書においては、「反強磁性体」に「フェリ磁性体」が含まれるものとする。
上記本発明に係るハーフメタリック反強磁性体は、半導体を母体としたハーフメタリック反強磁性半導体の様に磁性イオンが母体中に析出した状態ではなく、カルコゲン或いはプニクトゲンが磁性元素と互いに化学結合してなる化合物であって、その結合は十分に強く、生成エネルギーの計算からも安定な化合物であると言える。尚、類似する多くの化合物(例えば、ニッケルヒ素型等の種々の結晶構造を有する遷移金属カルコゲナイド)が安定に存在することも知られている。
又、磁性イオンとカルコゲン或いはプニクトゲンとの化学結合が強いため、カルコゲン或いはプニクトゲンを介した磁性イオン間の化学結合も強い。ここで、磁気的結合は化学結合の内、磁気モーメントによるものであり、化学結合が強ければ磁気的結合も強いと言える。従って、本発明に係るハーフメタリック反強磁性体は、磁気的結合が強く、磁気的構造は安定であると言える。
第1の具体的構成を有するハーフメタリック反強磁性体は、2種類の磁性元素とカルコゲンとから構成されており、該2種類の磁性元素は、CrとFe、VとCo、TiとNi、CrとMn、CrとNi、TiとCo、CrとCo、VとFe及びVとNiの群より選ばれた何れか1つの組合せである。カルコゲンは2価であるので、これらの組合せによれば、有効d電子数の総和は9〜12の値をとることになる。
第2の具体的構成を有するハーフメタリック反強磁性体は、2種類の磁性元素とプニクトゲンとから構成されており、該2種類の磁性元素は、MnとCo、CrとNi、VとMn及びFeとNiの群より選ばれた何れか1つの組合せである。プニクトゲンは3価であるので、これらの組合せによれば、有効d電子数の総和は6〜12の値をとることになる。
第3の具体的構成を有するハーフメタリック反強磁性体は、3種類の磁性元素とカルコゲンとから構成されており、該3種類の磁性元素は、CoとTiとCr、VとFeとNi、FeとMnとV、CrとMnとCo及びMnとVとCoの群より選ばれた何れか1つの組合せである。
3種類の磁性元素が、CoとTiとCr、VとFeとNi、FeとMnとV、及びCrとMnとCoの何れかの組合せであるハーフメタリック反強磁性体は、例えば組成式(AB0.50.5)X(A、B及びCは磁性元素、Xはカルコゲン)で表わされる。組成式(CoTi0.5Cr0.5)Xで表わされるハーフメタリック反強磁性体においては、Ti及びCrの有効d電子数はそれぞれ2個及び4個であるので、Ti0.5Cr0.5の有効d電子数は3個となり、Coの有効d電子数は7個であるので、CoとTiとCrの有効d電子数の総和は10となる。同様に、VとFeとNi、FeとMnとV及びCrとMnとCoの何れの組合せによっても、有効d電子数の総和は10となる。
又、3種類の磁性元素の組合せがMnとVとCoであるハーフメタリック反強磁性体は、例えば組成式(Mn0.50.5)(Co0.5Mn0.5)X(Xはカルコゲン)で表わされ、Mn、V及びCoの有効d電子数はそれぞれ5個、3個及び7個であるので、Mn0.50.5の有効d電子数は4個、Co0.5とMn0.5の有効d電子数は6個となり、有効d電子数の総和は10となる。
第4の具体的構成を有するハーフメタリック反強磁性体は、3種類の磁性元素とプニクトゲンとから構成されており、該3種類の磁性元素はCoとFeとCrである。
上記具体的構成を有するハーフメタリック反強磁性体は、例えば組成式Co(Fe0.5Cr0.5)X(Xはプニクトゲン)で表わされ、FeとCrの有効d電子数はそれぞれ5個と3個であるので、Fe0.5Cr0.5の有効d電子数は4個となり、Coの有効d電子数は6個であるので、有効d電子数の総和は10となる。
第5の具体的構成を有するハーフメタリック反強磁性体は、4種類の磁性元素とカルコゲンとから構成されており、該4種類の磁性元素はTiとCrとFeとNiである。
上記具体的構成を有するハーフメタリック反強磁性体は、例えば組成式(Ti0.5Cr0.5Fe0.5Ni0.5)X(Xはカルコゲン)で表わされ、TiとCrの有効d電子数はそれぞれ2個と4個であるので、Ti0.5Cr0.5の有効d電子数は3個となる。一方、FeとNiの有効d電子数はそれぞれ6個と8個であるので、Fe0.5Ni0.5の有効d電子数は7個となる。従って、TiとCrとNiとFeの有効d電子数の総和は10となる。
本発明によれば、化学的に安定に存在し、然も安定な磁気構造を有するハーフメタリック反強磁性体を実現することが出来る。
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係るハーフメタリック反強磁性体は、ニッケルヒ素型、閃亜鉛鉱型、ウルツ鉱型、カルコパイライト型或いは岩塩型の結晶構造を有する金属間化合物であって、2種類以上の磁性元素とカルコゲン或いはプニクトゲンとから構成されている。前記2種類以上の磁性元素には、有効d電子数が5より少ない磁性元素と有効d電子数が5より多い磁性元素とが含まれ、前記2種類以上の磁性元素の有効d電子数の総和は10或いは10に近い値である。ここで、カルコゲンは、S、Se、Te及びPoの何れかの元素である。一方、プニクトゲンは、N、As、Sb及びBiの何れかの元素である。
具体的には、2種類の遷移金属元素とカルコゲンとから構成され、組成式ABX(A及びBは遷移金属元素、Xはカルコゲン)で表わされる。ここで、2種類の遷移金属元素は、CrとFe、VとCo、TiとNi、CrとMn、CrとNi、TiとCo、CrとCo、VとFe及びVとNiの群より選ばれた何れか1つの組合せである。又、2種類の遷移金属元素とプニクトゲンとから構成することも可能であって、組成式ABX(A及びBは遷移金属元素、Xはプニクトゲン)で表わされる。ここで、2種類の遷移金属元素は、MnとCo、CrとNi、VとMn及びFeとNiの群より選ばれた何れか1つの組合せである。
3種類の遷移金属元素とカルコゲンとから構成することも可能であって、3種類の磁性元素は、CoとTiとCr、VとFeとNi、FeとMnとV、CrとMnとCo及びMnとVとCoの群より選ばれた何れか1つの組合せである。又、3種類の遷移金属元素Co、Fe、Crとプニクトゲンとから構成することも可能である。更に、4種類の遷移金属元素TiとCrとNiとFeとカルコゲンとから構成することも可能である。
上記本発明に係るハーフメタリック反強磁性体は、固相反応法により調製することが可能であって、調整工程においては、粉末化した磁性元素とカルコゲン或いはプニクトゲンとを十分に混合した後、クオーツガラス管に封入して1000℃以上に加熱した後、アニール処理を行なう。又、非平衡結晶構造を有するハーフメタリック反強磁性体、例えば閃亜鉛鉱型(CrFe)Sは、分子線エピタキシー法によって基板上に結晶成長させる。
上記本発明に係るハーフメタリック反強磁性体は、半導体を母体としたハーフメタリック反強磁性半導体の様に磁性イオンが母体中に析出した状態ではなく、カルコゲン或いはプニクトゲンが磁性元素と互いに化学結合してなる化合物であって、その結合は十分に強く、生成エネルギーの計算からも安定な化合物であると言える。尚、類似する多くの化合物(例えば、ニッケルヒ素型等の種々の結晶構造を有する遷移金属カルコゲナイド)が安定に存在することも知られている。
又、磁性イオンとカルコゲン或いはプニクトゲンとの化学結合が強いため、カルコゲン或いはプニクトゲンを介した磁性イオン間の化学結合も強い。ここで、磁気的結合は化学結合の内、磁気モーメントによるものであり、化学結合が強ければ、磁気的結合も強いと言える。従って、本発明に係るハーフメタリック反強磁性体は、磁気的結合が強く、磁気的構造は安定であると言える。
更に、本発明に係るハーフメタリック反強磁性体は、上述の如く容易に調整することが出来る。
ハーフメタリック反強磁性体は、フェルミ面が100%スピン分極した物質であるので、スピントロニクス材料として有用である。又、ハーフメタリック反強磁性体は、磁性を有しないため外部の摂動に対して安定であると共に、形状磁気異方性を生じないため電流やスピン注入によるスピン反転が容易に実現できる可能性が高く、高性能磁気メモリや磁気ヘッド材料等のより広い分野への応用が期待される。
例えば、MRAM(Magnetic Random Access Memory)への応用が考えられる。
反強磁性体においては、磁壁に相当する概念は反強磁性ドメイン境界(ドメインバウンダリ)と称される。図37に示す如き磁気構造を有する反強磁性体においては、上向きスピン及び下向きスピンの順番が入れ替わる位置が反強磁性ドメイン境界である。図中の左側から電流を流すとドメインバウンダリで電子散乱が起こるため、電気抵抗が大きくなる。特にハーフメタリック反強磁性体においては、ハーフメタルであるという性質によってバウンダリの左側と右側で金属的である電子スピンの向きが変わるので、原理的にはバウンダリが存在すれば電流は流れなくなる。一方、バウンダリで電子散乱が起こるため、電子系に運動量変化が生じるが、この運動量変化による力積はバウンダリ自体が電流から受ける力となるため、バウンダリの移動が起こる。このバウンダリ移動現象を用いてMRAMを作製することが出来る。
第1実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、カルコパイライト型の結晶構造を有し、組成式(CrFe)Poで表わされる金属間化合物である。
本発明者らは、本実施例の金属間化合物がハーフメタリック反強磁性を有することを確認すべく第1原理電子状態計算を行なった。ここで、第1原理電子状態計算の方法としては、KKR(Korringa-kohn-Rostoker)法(グリーン関数法とも呼ばれる)とCPA(Coherent-Potential Approximation:コヒーレント・ポテンシャル近似)法とLDA(Local-Density Approximation:局所密度近似)法とを組み合わせた公知のKKR−CPA−LDA法を採用した(月刊「化学工業 Vol.53, No.4(2002)」pp.20-24、「システム/制御/情報 Vol.48, No.7」pp.256-260)。
図1は、カルコパイライト型(CrFe)Poについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破線はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。
図中に実線で示す如く、下向きスピン電子の状態密度がゼロとなってバンドギャップGpが形成され、該バンドギャップ中にフェルミエネルギーが存在している。一方、上向きスピン電子の状態密度はフェルミエネルギー付近でゼロよりも大きくなっている。この様に、下向きスピン電子の状態は半導体としての性質を示す一方、上向きスピン電子の状態は金属としての性質を示しており、ハーフメタリックが発現していると言える。
又、カルコゲンであるPoは2価であるので、Cr及びFeの有効d電子数はそれぞれ4個及び6個となり、有効d電子数の総和は10となる。上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、FeとCrが互いの磁気モーメントを打ち消し合って全体として磁化が0になっていると言える。
以上の結果から、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第2実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、カルコパイライト型の結晶構造を有し、組成式(CrFe)Sで表わされる金属間化合物である。
図2は、カルコパイライト型(CrFe)Sについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破線はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第3実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、カルコパイライト型の結晶構造を有し、組成式(CrFe)Seで表わされる金属間化合物である。
図3は、カルコパイライト型(CrFe)Seについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破線はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第4実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、カルコパイライト型の結晶構造を有し、組成式(CrFe)Teで表わされる金属間化合物である。
図4は、カルコパイライト型(CrFe)Teについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破線はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第5実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、カルコパイライト型の結晶構造を有し、組成式(VCo)Sで表わされる金属間化合物である。
図5は、カルコパイライト型(VCo)Sについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はVの3d軌道位置での局所状態密度、破線はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。
図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、カルコゲンであるSは2価であるので、V及びCoの有効d電子数はそれぞれ3個及び7個となり、有効d電子数の総和は10となる。上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、CoとVが互いの磁気モーメントを打ち消し合って全体として磁化が0になっていると言える。
以上の結果から、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第6実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、カルコパイライト型の結晶構造を有し、組成式(VCo)Seで表わされる金属間化合物である。
図6は、カルコパイライト型(VCo)Seについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はVの3d軌道位置での局所状態密度、破線はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第7実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、岩塩型の結晶構造を有し、組成式(CrFe)Sで表わされる金属間化合物である。
図7は、岩塩型(CrFe)Sについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破線はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第8実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、岩塩型の結晶構造を有し、組成式(VCo)Sで表わされる金属間化合物である。
図8は、岩塩型(VCo)Sについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はVの3d軌道位置での局所状態密度、破線はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第9実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、ニッケルヒ素型の結晶構造を有し、組成式(CrFe)Seで表わされる金属間化合物である。
図9は、ニッケルヒ素型(CrFe)Seについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破線はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
又、反強磁性状態から常磁性状態に移行する磁性転移温度(ネール温度)を計算すると、1094Kであった。ここで、ネール温度は、クラスター(Cluster)近似を用いた公知の方法によって算出した(J.Phys.:Condens. Matter 19(2007)365233)。
第10実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、ウルツ鉱型の結晶構造を有し、組成式(CrFe)Sで表わされる金属間化合物である。
図10は、ウルツ鉱型(CrFe)Sについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破線はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第11実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、ウルツ鉱型の結晶構造を有し、組成式(CrFe)Seで表わされる金属間化合物である。
図11は、ウルツ鉱型(CrFe)Seについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破線はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第12実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(FeCr)Sで表わされる金属間化合物である。
図12は、閃亜鉛鉱型(FeCr)Sについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はFeの3d軌道位置での局所状態密度、破線はCrの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。又、ネール温度を計算すると、1016Kであった。
第13実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(CrFe)Seで表わされる金属間化合物である。
図13は、閃亜鉛鉱型(CrFe)Seについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破線はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。又、ネール温度を計算すると、926Kであった。
第14実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(CrFe)Teで表わされる金属間化合物である。
図14は、閃亜鉛鉱型(CrFe)Teについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破線はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。又、ネール温度を計算すると、640Kであった。
第15実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(MnCr)Teで表わされる金属間化合物である。
図15は、閃亜鉛鉱型(MnCr)Teについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はMnの3d軌道位置での局所状態密度、破線はCrの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。
図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、カルコゲンであるTeは2価であるので、Mn及びCrの有効d電子数はそれぞれ5個及び4個となり、有効d電子数の総和は9となる。上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が僅かに異なっていたことから、磁化が僅かに残っていると言える。
以上の結果から、本実施例の金属間化合物は、ハーフメタリックフェリ磁性を有すると言える。尚、Mn及びCrの濃度を調整すれば反強磁性を有するものを得ることが出来る。
第16実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(TiCo)Teで表わされる金属間化合物である。
図16は、閃亜鉛鉱型(TiCo)Teについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はTiの3d軌道位置での局所状態密度、破線はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。
図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、カルコゲンであるTeは2価であるので、Ti及びCoの有効d電子数はそれぞれ2個及び7個となり、有効d電子数の総和は9となる。上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が僅かに異なっていたことから、磁化が僅かに残っていると言える。
以上の結果から、本実施例の金属間化合物は、ハーフメタリックフェリ磁性を有すると言える。尚、Ti及びCoの濃度を調整すれば反強磁性を有するものを得ることが出来る。
第17実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(TiNi)Poで表わされる金属間化合物である。
図17は、閃亜鉛鉱型(TiNi)Poについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はTiの3d軌道位置での局所状態密度、破線はNiの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。尚、第1原理電子状態計算の方法としては、KKR−CPA−LDA法に代えて、電子間相互作用に対して補正が施されたLDA+U法と称される公知の方法を採用した。
図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、カルコゲンであるPoは2価であるので、Ti及びNiの有効d電子数はそれぞれ2個及び8個となり、有効d電子数の総和は10となる。上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、NiとTiが互いの磁気モーメントを打ち消し合って全体として磁化が0となっていると言える。
以上の結果から、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第18実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(TiNi)Seで表わされる金属間化合物である。
図18及び図19は、閃亜鉛鉱型(TiNi)Seについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしており、図18は格子定数aを11.03、図19は10.90に設定したときのものである。図中の実線は全状態密度、点線はTiの3d軌道位置での局所状態密度、破線はNiの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。格子定数aを何れの値に設定した場合においても、図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第19実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(VCo)Poで表わされる金属間化合物である。
図20は、閃亜鉛鉱型(VCo)Poについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はVの3d軌道位置での局所状態密度、破線はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。尚、第1原理電子状態計算の方法としては、KKR−CPA−LDA法に代えてLDA+U法を採用した。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第20実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(VCo)Sで表わされる金属間化合物である。
図21は、閃亜鉛鉱型(VCo)Sについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はVの3d軌道位置での局所状態密度、破線はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。又、ネール温度を計算すると、1025Kであった。
第21実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(VCo)Seで表わされる金属間化合物である。
図22は、閃亜鉛鉱型(VCo)Seについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はVの3d軌道位置での局所状態密度、破線はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。又、ネール温度を計算すると、880Kであった。
第22実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(VCo)Teで表わされる金属間化合物である。
図23は、閃亜鉛鉱型(VCo)Teについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はVの3d軌道位置での局所状態密度、破線はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。又、ネール温度を計算すると、759Kであった。
第23実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、ニッケルヒ素型の結晶構造を有し、組成式(MnCo)Nで表わされる金属間化合物である。
図24は、ニッケルヒ素型(MnCo)Nについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はMnの3d軌道位置での局所状態密度、破線はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。
図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、プニクトゲンであるNは3価であるので、Mn及びCoの有効d電子数はそれぞれ4個及び6個となり、有効d電子数の総和は10となる。上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、CoとMnが互いの磁気モーメントを打ち消し合って全体として磁化が0になっていると言える。
以上の結果から、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第24実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(MnCo)Nで表わされる金属間化合物である。
図25は、閃亜鉛鉱型(MnCo)Nについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はMnの3d軌道位置での局所状態密度、破線はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第25実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(CrNi)Nで表わされる金属間化合物である。
図26は、閃亜鉛鉱型(CrNi)Nについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破線はNiの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。
図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、Nは3価であるので、Cr及びNiの有効d電子数はそれぞれ3個及び7個となり、有効d電子数の総和は10となる。上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、NiとCrが互いの磁気モーメントを打ち消し合って全体として磁化が0になっていると言える。
以上の結果から、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第26実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(FeNi)Asで表わされる金属間化合物である。
図27は、閃亜鉛鉱型(FeNi)Asについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はFeの3d軌道位置での局所状態密度、破線はNiの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。尚、第1原理電子状態計算の方法としては、KKR−CPA−LDA法に代えてLDA+U法を採用した。
図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、プニクトゲンであるAsは3価であるので、Fe及びNiの有効d電子数はそれぞれ5個及び7個となり、有効d電子数の総和は12となる。上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が僅かに異なっていたことから、磁化が僅かに残っていると言える。
以上の結果から、本実施例の金属間化合物はハーフメタリックフェリ磁性を有すると言える。
第27実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、ウルツ鉱型の結晶構造を有し、組成式(MnCo)Nで表わされる金属間化合物である。
図28は、ウルツ鉱型(MnCo)Nについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はMnの3d軌道位置での局所状態密度、破線はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第28実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、岩塩型の結晶構造を有し、組成式(MnCo)Nで表わされる金属間化合物である。
図29は、岩塩型(MnCo)Nについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はMnの3d軌道位置での局所状態密度、破線はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第29実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、カルコパイライト型の結晶構造を有し、組成式(MnCo)Nで表わされる金属間化合物である。
図30は、カルコパイライト型(MnCo)Nについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はMnの3d軌道位置での局所状態密度、破線はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第30実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、カルコパイライト型の結晶構造を有し、組成式(CrNi)Nで表わされる金属間化合物である。
図31は、カルコパイライト型(CrNi)Nについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破線はNiの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、全体として磁化が0になっていると言える。従って、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第31実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(CrMn0.5Co0.5)Seで表わされる金属間化合物である。
図32は、閃亜鉛鉱型(CrMn0.5Co0.5)Seについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線及び2種類の破線はそれぞれCr、Mn及びCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。
図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、カルコゲンであるSeは2価であるので、Mn及びCoの有効d電子数はそれぞれ5個及び7個となり、Mn0.5Co0.5の有効d電子数は6個となる。又、Crの有効d電子数は4個であるので、有効d電子数の総和は10となる。上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、CrとMn及びCoとが互いの磁気モーメントを打ち消し合って全体として磁化が0となっていると言える。
以上の結果から、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
第32実施例
本実施例のハーフメタリック反強磁性体は、閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(Ti0.5Cr0.5Fe0.5Ni0.5)Seで表わされる金属間化合物である。
図33は、閃亜鉛鉱型(Ti0.5Cr0.5Fe0.5Ni0.5)Seについて第1原理電子状態計算を行なうことにより得られた反強磁性状態での状態密度曲線を表わしている。図中の実線は全状態密度、点線、2種類の破線及び一点鎖線はそれぞれFe、Ni、Ti及びCrの3d軌道位置での局所状態密度を表わしている。
図中に実線で示す状態密度曲線からハーフメタリックが発現していると言える。又、カルコゲンであるSeは2価であるので、TiとCrの有効d電子数はそれぞれ2個と4個となり、Ti0.5Cr0.5の有効d電子数は3個となる。一方、FeとNiの有効d電子数はそれぞれ6個と8個となり、Fe0.5Ni0.5の有効d電子数は7個となる。従って、TiとCrとNiとFeの有効d電子数の総和は10となる。上向きスピン全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分した結果、両積分値が等しかったことから、Ni及びFeとTi及びCrとが互いの磁気モーメントを打ち消し合って全体として磁化が0となっていると言える。
以上の結果から、本実施例の金属間化合物はハーフメタリック反強磁性を有すると言える。
図34乃至図36は、上述の第1実施例乃至第30実施例の金属間化合物を含め、種々の金属間化合物ABXについての第1原理電子状態計算の結果を表わしている。図表中の“HM”及び“M”は夫々、ハーフメタリック及び通常金属であることを表わしている。“AF”、“F”、“Ferri”及び“NM”は夫々、反強磁性、強磁性、フェリ磁性及び非磁性であることを表わしている。金属間化合物が反強磁性及び強磁性の何れの磁気構造を有しているかは、第1原理電子状態計算から得られる強磁性状態及び反強磁性状態での状態密度曲線から各状態での電子の運動エネルギーの総和を算出することによって判別することが出来る。即ち、電子の運動エネルギーの総和が最も小さい状態が最も安定な状態であり、金属間化合物は、最も安定な状態の磁気構造を有していると言える。又、“a”は格子定数、“muB”はμ(ボーア磁子)、“E_form”は化合物の生成エネルギー、“E_order”は規則化エネルギー、“TN”はネール温度、“Cl.App”はネール温度の算出方法としてクラスター(Cluster)近似を用いた方法を採用したことを表わしている。更に、“latt. const. default”は、各イオンのイオン半径から決まる体積に対応した格子定数を用いたことを表わしている。更に又、例えば“latt. const. default=10.928a.u.”は格子定数を10.928に設定したこと、“latt. const. CrTe=7.83a.u.”は、CrTeの格子定数を7.83に設定したこと、“latt. const. of CrSe”は、CrSeの格子定数を用いたことを表わしている。
例えばCrFeSeについては、上述の如くカルコゲンであるSeは2価であるのでCrとFeの有効d電子数はそれぞれ4個及び6個であり、有効d電子数の和は10となる。CrFeSeは、図表に示す如く、ニッケルヒ素型、閃亜鉛鉱型、ウルツ鉱型、岩塩型及びカルコパイライト型の何れの結晶構造を有する場合であっても、ハーフメタリック反強磁性を示している。
又、ニッケルヒ素型CrFeSe、閃亜鉛鉱型CrFeTe、閃亜鉛鉱型VCoTe、閃亜鉛鉱型CrFeS、閃亜鉛鉱型VCoS、閃亜鉛鉱型CrFeSe及び閃亜鉛鉱型VCoSeのネール温度は夫々、1094K、640K、759K、1016K、1025K、926K及び880Kと室温よりも遥かに高い値となっている。反強磁性ハーフメタリック半導体のネール温度は、高いもので数百K、低いもので数十Kであり、ニッケルヒ素型CrFeSe、閃亜鉛鉱型CrFeS、閃亜鉛鉱型VCoS及び閃亜鉛鉱型CrFeSeによれば、反強磁性ハーフメタリック半導体を上回るネール温度を得ることが出来る。上記7つの金属間化合物以外の金属間化合物についても、室温を超えるネール温度が得られるものと考えられる。
図表に示す如く、第1原理電子状態計算を行なった金属間化合物の中には、フェリ磁性を示すものが含まれているが、磁性元素の濃度等の条件を調整することによって反強磁性が発現する可能性は高いと考えられる。
尚、図表に示す金属間化合物の内、ニッケルヒ素型CrFeSe、閃亜鉛鉱型CrFeTe、閃亜鉛鉱型VCoTe、閃亜鉛鉱型CrFeS、閃亜鉛鉱型VCoS、閃亜鉛鉱型CrFeSe、閃亜鉛鉱型VCoSe、ウルツ鉱型CrFeS、ウルツ鉱型CrFeSe、岩塩型CrFeS、カルコパイライト型CrFeTe、カルコパイライト型CrFeS、カルコパイライト型VCoS、カルコパイライト型CrFeSe、カルコパイライト型VCoSe及びカルコパイライト型CrFePoは、エネルギー的に極めて安定に存在すると共に、十分に高いネール温度が得られ、然も無害な物質であるので、ハーフメタリック反強磁性体として有望であると考えられる。
又、本発明者らは、カルコゲンX(XはSe、Po、Te或いはS)を含む閃亜鉛鉱型Co(Ti0.5Cr0.5)X、閃亜鉛鉱型V(Fe0.5Ni0.5)X、閃亜鉛鉱型(Ti0.5Cr0.5)(Ni0.5Fe0.5)X、閃亜鉛鉱型Fe(Mn0.50.5)X、閃亜鉛鉱型Cr(Mn0.5Co0.5)X、閃亜鉛鉱型(Mn0.50.5)(Co0.5Mn0.5)X、ニッケルヒ素型Co(Ti0.5Cr0.5)X、ニッケルヒ素型V(Ni0.5Fe0.5)X、ニッケルヒ素型(Ti0.5Cr0.5)(Ni0.5Fe0.5)X、カルコパイライト型Co(Ti0.5Cr0.5)X、カルコパイライト型V(Ni0.5Fe0.5)X、カルコパイライト型(Ti0.5Cr0.5)(Ni0.5Fe0.5)X、ウルツ鉱型V(Fe0.5Mn0.5)X、ウルツ鉱型(V0.5Mn0.5)(Mn0.5Co0.5)X、及び岩塩型Co(Ti0.5Cr0.5)Xについても第1原理電子状態計算を行ない、何れの金属間化合物もハーフメタリック反強磁性を有することを確認した。更に、プニクトゲンを含む閃亜鉛鉱型Co(Fe0.5Cr0.5)Nについても第1原理電子状態計算を行ない、ハーフメタリック反強磁性を有することを確認した。
尚、2種類以上の磁性元素の組合せとしては、第1原理電子状態計算を行なった上記組合せ以外であっても、有効d電子数の総和が10或いは10に近い値であればハーフメタリック反強磁性が発現する可能性があると考えられる。
上述の如く、本発明に係るハーフメタリック反強磁性体は、化学的に安定で、然もネール温度が室温よりも遥かに高く安定な磁気構造を有している。従って、該ハーフメタリック反強磁性体を用いたデバイスは、室温で安定した動作を行なうことが出来る。
カルコパイライト型(CrFe)Poの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 カルコパイライト型(CrFe)Sの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 カルコパイライト型(CrFe)Seの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 カルコパイライト型(CrFe)Teの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 カルコパイライト型(VCo)Sの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 カルコパイライト型(VCo)Seの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 岩塩型(CrFe)Sの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 岩塩型(VCo)Sの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 ニッケルヒ素型(CrFe)Seの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 ウルツ鉱型(CrFe)Sの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 ウルツ鉱型(CrFe)Seの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 閃亜鉛鉱型(FeCr)Sの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 閃亜鉛鉱型(CrFe)Seの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 閃亜鉛鉱型(CrFe)Teの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 閃亜鉛鉱型(MnCr)Teの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 閃亜鉛鉱型(TiCo)Teの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 閃亜鉛鉱型(TiNi)Poの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 格子定数を11.03に設定したときの閃亜鉛鉱型(TiNi)Seの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 格子定数を10.90に設定したときの閃亜鉛鉱型(TiNi)Seの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 閃亜鉛鉱型(VCo)Poの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 閃亜鉛鉱型(VCo)Sの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 閃亜鉛鉱型(VCo)Seの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 閃亜鉛鉱型(VCo)Teの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 ニッケルヒ素型(MnCo)Nの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 閃亜鉛鉱型(MnCo)Nの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 閃亜鉛鉱型(CrNi)Nの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 閃亜鉛鉱型(FeNi)Asの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 ウルツ鉱型(MnCo)Nの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 岩塩型(MnCo)Nの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 カルコパイライト型(MnCo)Nの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 カルコパイライト型(CrNi)Nの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 閃亜鉛鉱型(CrMn0.5Co0.5)Seの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 閃亜鉛鉱型(Ti0.5Cr0.5Fe0.5Ni0.5)Seの反強磁性状態での電子状態密度を表わすグラフである。 種々の金属間化合物についての第1原理電子状態計算の結果を表わす第1の表である。 上記結果を表わす第2の表である。 上記結果を表わす第3の表である。 反強磁性ドメイン境界を表わす図である。 組成式ABXで表わされる化合物の非磁性状態での状態密度曲線の概念図である。 上記化合物の強磁性状態での状態密度曲線の概念図である。 上記化合物の反強磁性状態での状態密度曲線の概念図である。

Claims (14)

  1. 2種類以上の磁性元素とカルコゲン或いはプニクトゲンとから構成されており、前記2種類以上の磁性元素には、有効d電子数が5より少ない磁性元素と有効d電子数が5より多い磁性元素とが含まれ、前記2種類以上の磁性元素の有効d電子数の総和は10或いは10に近い値であるハーフメタリック反強磁性体。
  2. ニッケルヒ素型、閃亜鉛鉱型、ウルツ鉱型、カルコパイライト型或いは岩塩型の結晶構造を有する化合物である請求項に記載のハーフメタリック反強磁性体。
  3. 2種類の磁性元素とカルコゲンとから構成されている請求項1又は請求項2に記載のハーフメタリック反強磁性体。
  4. 前記2種類の磁性元素は、CrとFe、VとCo、TiとNi、CrとMn、CrとNi、TiとCo、CrとCo、VとFe及びVとNiの群より選ばれた何れか1つの組合せである請求項に記載のハーフメタリック反強磁性体。
  5. 3種類の磁性元素とカルコゲンとから構成されている請求項1又は請求項2に記載のハーフメタリック反強磁性体。
  6. 前記3種類の磁性元素は、CoとTiとCr、VとFeとNi、FeとMnとV、CrとMnとCo及びMnとVとCoの群より選ばれた何れか1つの組合せである請求項に記載のハーフメタリック反強磁性体。
  7. 4種類の磁性元素とカルコゲンとから構成されている請求項1又は請求項2に記載のハーフメタリック反強磁性体。
  8. 前記4種類の磁性元素はTiとCrとFeとNiである請求項に記載のハーフメタリック反強磁性体。
  9. 前記カルコゲンは、S、Se、Te又はPoの何れかの元素である請求項1乃至請求項8の何れかに記載のハーフメタリック反強磁性体。
  10. 2種類の磁性元素とプニクトゲンとから構成されている請求項1又は請求項2に記載のハーフメタリック反強磁性体。
  11. 前記2種類の磁性元素は、MnとCo、CrとNi、VとMn及びFeとNiの群より選ばれた何れか1つの組合せである請求項10に記載のハーフメタリック反強磁性体。
  12. 3種類の磁性元素とプニクトゲンとから構成されている請求項1又は請求項2に記載のハーフメタリック反強磁性体。
  13. 前記3種類の磁性元素はCoとFeとCrである請求項12に記載のハーフメタリック反強磁性体。
  14. 前記プニクトゲンは、N、As、Sb又はBiの何れかの元素である請求項1、請求項2、請求項10乃至請求項13の何れかに記載のハーフメタリック反強磁性体。
JP2008073917A 2008-03-21 2008-03-21 ハーフメタリック反強磁性体 Expired - Fee Related JP5419121B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008073917A JP5419121B2 (ja) 2008-03-21 2008-03-21 ハーフメタリック反強磁性体
PCT/JP2009/055242 WO2009116555A1 (ja) 2008-03-21 2009-03-18 ハーフメタリック反強磁性体
KR1020107021164A KR101294888B1 (ko) 2008-03-21 2009-03-18 하프 메탈릭 반강자성체
CN2009801104132A CN101978442A (zh) 2008-03-21 2009-03-18 半金属反铁磁体
EP09721940A EP2267734A4 (en) 2008-03-21 2009-03-18 SEMI-METALLIC ANTIFERROMAGNETIC MATERIAL
US12/933,744 US20110017938A1 (en) 2008-03-21 2009-03-18 Half-metallic antiferromagnetic material

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008073917A JP5419121B2 (ja) 2008-03-21 2008-03-21 ハーフメタリック反強磁性体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009231471A JP2009231471A (ja) 2009-10-08
JP5419121B2 true JP5419121B2 (ja) 2014-02-19

Family

ID=41090955

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008073917A Expired - Fee Related JP5419121B2 (ja) 2008-03-21 2008-03-21 ハーフメタリック反強磁性体

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20110017938A1 (ja)
EP (1) EP2267734A4 (ja)
JP (1) JP5419121B2 (ja)
KR (1) KR101294888B1 (ja)
CN (1) CN101978442A (ja)
WO (1) WO2009116555A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8769589B2 (en) * 2009-03-31 2014-07-01 At&T Intellectual Property I, L.P. System and method to create a media content summary based on viewer annotations
US9181619B2 (en) 2010-02-26 2015-11-10 Fujifilm Corporation Physical vapor deposition with heat diffuser
US10672446B2 (en) * 2016-06-10 2020-06-02 Tdk Corporation Exchange bias utilization type magnetization rotational element, exchange bias utilization type magnetoresistance effect element, exchange bias utilization type magnetic memory, non-volatile logic circuit, and magnetic neuron element
JP7424559B2 (ja) 2020-07-31 2024-01-30 国立研究開発法人海洋研究開発機構 フェリ磁性体及びその製造方法
CN114335333A (zh) * 2020-09-30 2022-04-12 深圳英集芯科技股份有限公司 一种磁随机存储器的制备方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4487472B2 (ja) * 2002-07-05 2010-06-23 株式会社日立製作所 磁気抵抗効果素子、及びこれを備える磁気ヘッド、磁気記録装置、磁気メモリ
JP2004214251A (ja) * 2002-12-27 2004-07-29 Hitachi Ltd 磁気抵抗効果素子、及びそれを備える磁気ヘッド並びに磁気記録再生装置
JP2004335623A (ja) * 2003-05-02 2004-11-25 Japan Science & Technology Agency 遷移金属又は希土類金属を固溶する透明強磁性アルカリ・カルコゲナイド化合物及びその強磁性特性の調整方法
US7790585B2 (en) * 2004-09-10 2010-09-07 Osaka University Antiferromagnetic half-metallic semiconductor and manufacturing method therefor
AU2006214086B2 (en) * 2005-02-17 2012-01-19 Monsanto Technology Llc Transition metal-containing catalysts and catalyst combinations including transition metal-containing catalysts and processes for their preparation and use as oxidation catalysts
JP4647654B2 (ja) 2005-03-18 2011-03-09 独立行政法人科学技術振興機構 磁性半導体材料
JP2008047624A (ja) * 2006-08-11 2008-02-28 Osaka Univ 反強磁性ハーフメタリック半導体

Also Published As

Publication number Publication date
US20110017938A1 (en) 2011-01-27
KR20100125351A (ko) 2010-11-30
WO2009116555A1 (ja) 2009-09-24
EP2267734A1 (en) 2010-12-29
EP2267734A4 (en) 2011-05-18
JP2009231471A (ja) 2009-10-08
CN101978442A (zh) 2011-02-16
KR101294888B1 (ko) 2013-08-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Li et al. First-principles design of spintronics materials
Miura et al. Half-metallic interface and coherent tunneling in Co 2 YZ/MgO/Co 2 YZ (YZ= MnSi, CrAl) magnetic tunnel junctions: A first-principles study
Maignan et al. Thermoelectric Power of H o B a C o 2 O 5.5: Possible Evidence of the Spin Blockade in Cobaltites
Hu Half‐metallic antiferromagnet as a prospective material for spintronics
Galanakis Theory of Heusler and full-Heusler compounds
Luo et al. Effect of site preference of 3d atoms on the electronic structure and half-metallicity of Heusler alloy Mn2YAl
Katayama-Yoshida et al. Computational nano-materials design for high-TC ferromagnetism in wide-gap magnetic semiconductors
Wu et al. Half-metals and half-semiconductors in a transition metal doped SnSe 2 monolayer: a first-principles study
Tang et al. Electric-controlled half-metallicity in magnetic van der Waals heterobilayer
JP5419121B2 (ja) ハーフメタリック反強磁性体
Mekonnen et al. Electronic structure and nearly room-temperature ferromagnetism in V-doped monolayer and bilayer MoS2
Mavropoulos et al. Multilayers of zinc-blende half-metals with semiconductors
Ahmadian et al. Robust half-metallicity at the zincblende CrTe (0 0 1) surfaces and its interface with ZnTe (0 0 1)
Li et al. Obtaining half-metallic ferrimagnetism and antiferromagnetism by doping Mn and Fe for DO3-type Heusler compound Cr3Si
Suzuki et al. Conduction mechanism and two-dimensional magnetism in incommensurate layered compounds (RES) xMS2 (RE= rare earth metal, M= Ta, V)
Nakao Tetrahedrally coordinated half-metallic antiferromagnets
Long et al. New type of half-metallic antiferromagnet: transition metal pnictides
JPWO2006028299A1 (ja) 反強磁性ハーフメタリック半導体及びその製造方法
JP2008047624A (ja) 反強磁性ハーフメタリック半導体
WO2010032527A1 (ja) 磁気抵抗効果膜、及びこれを具えた磁気抵抗効果素子、並びに磁気デバイス
JP2018206856A (ja) 積層構造体及びスピン変調素子
US20120177564A1 (en) Half-metallic antiferromagnetic material
Nguyen et al. Influences of orientation on magnetoelectric coupling at La 1− x Sr x MnO 3/BaTiO 3 interface from ab initio calculations
Xu et al. Influence of the Chemical Environments of Magnetic Ions on the Fully Compensated Ferrimagnetic Behavior of Half Heusler Mn2si Alloys
US10461244B2 (en) Laminated structure and spin modulation element

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110318

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120925

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121102

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130416

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131015

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131114

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees