<第1の実施形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10を前方から見た斜視図、図2はパチンコ機10における遊技機本体12の分解斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能(開閉可能)に取り付けられた遊技機本体12とを有している。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
外枠11は、矩形枠状をなしており、上下の枠が木製であり、左右の枠がアルミニウム等の金属によって形成されている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技場に設置される。なお、外枠11を形成する材料は上記のものに限定されることはなく任意である。
外枠11の一側部に遊技機本体12が回動可能に支持されている。具体的には、図1に示すように、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具21が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具22が設けられている。これら上側支持用金具21及び下側支持用金具22により支持機構が構成され、当該支持機構によって外枠11に対して遊技機本体12が回動可能に支持されている。
また、遊技機本体12には、図2に示すように、その回動先端部に施錠装置23が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して閉鎖状態とした場合には施錠装置23の鉤部材24が外枠11の右枠部の内側面に設けられた鉤受け部にて受けられ、遊技機本体12の開放が阻止される。一方、パチンコ機10前面にて露出させて設けられたシリンダ錠25に対して解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、外枠11の鉤受け部にて鉤部材24が受けられた状態が解除され、遊技機本体12の外枠11からの開放が可能となる。なお、施錠装置23は、後述する内枠13と前扉枠14との施錠を行う機能も有している。
遊技機本体12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機本体12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能(開閉可能)に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、前扉枠14が回動可能(開閉可能)に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能(開閉可能)に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として後方へ回動可能とされている。
次に、遊技機本体12の前面側の構成について説明する。図3は内枠13の正面図である。
内枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース31を主体に構成されている。樹脂ベース31の中央部には略楕円形状の窓孔32が形成されている。樹脂ベース31には遊技盤33が着脱可能に取り付けられている。遊技盤33は合板よりなり、遊技盤33の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース31の窓孔32を通じて内枠13の前面側に露出した状態となっている。
ここで、遊技盤33の構成を図4に基づいて説明する。遊技盤33には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口34,可変入賞装置35,作動口36,スルーゲート37及び可変表示ユニット38等がそれぞれ設けられている。一般入賞口34は、左右にそれぞれ2個ずつ合計4個設けられている。一般入賞口34、可変入賞装置35及び作動口36に遊技球が入ると、それが後述する検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤33の最下部にはアウト口39が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口39を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤33には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘40が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示ユニット38には、作動口36への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置41が設けられている。また、可変表示ユニット38には、図柄表示装置41を囲むようにしてセンターフレーム42が配設されている。センターフレーム42の上部には、第1特定ランプ部43及び第2特定ランプ部44が設けられている。また、センターフレーム42の下部及び上部にはそれぞれ保留ランプ部45,46が設けられている。下側の保留ランプ部45は図柄表示装置41及び第1特定ランプ部43に対応しており、遊技球が作動口36を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部45の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部46は第2特定ランプ部44に対応しており、遊技球がスルーゲート37を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部46の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
図柄表示装置41は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置41には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。
第1特定ランプ部43では、作動口36への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。また、第2特定ランプ部44では、遊技球のスルーゲート37の通過をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には作動口36に付随する電動役物が所定時間だけ開放状態となる。なお、これら第1特定ランプ部43及び第2特定ランプ部44の制御は、後述する主制御装置により行われる。
可変入賞装置35は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置35の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置35が繰り返し開放されるものが一般的である。なお、可変入賞装置35の駆動制御は、後述する主制御装置により行われる。
遊技盤33には、内レール部47と外レール部48とが取り付けられており、これら内レール部47と外レール部48とにより誘導レールが構成され、遊技球発射機構50から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。
遊技球発射機構50は、図3に示すように、樹脂ベース31における窓孔32の下方に取り付けられている。遊技球発射機構50は、電磁式のソレノイド51と、発射レール52と、球送り機構53とからなり、ソレノイド51への電気的な信号の入力により当該ソレノイド51の出力軸が伸縮方向に移動し、球送り機構53によって発射レール52上に置かれた遊技球を遊技領域に向けて打ち出す。
内枠13の前面側全体を覆うようにして前扉枠14が設けられている。前扉枠14には、図1等に示すように、遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部55が形成されている。窓部55は、略楕円形状をなし、透明性を有するガラス56が嵌め込まれている。窓部55の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。また、左上及び右上の位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部が設けられている。
前扉枠14における窓部55の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部57と下側膨出部58とが上下に並設されている。上側膨出部57内側には上方に開口した上皿57aが設けられており、下側膨出部58内側には同じく上方に開口した下皿58aが設けられている。上皿57aは、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿58aは、上皿57a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
下側膨出部58の右方には、手前側へ突出するようにしてハンドル装置59が設けられている。ハンドル装置59が操作されることにより、遊技球発射機構から遊技球が発射される。
次に、遊技機本体12の背面側の構成について説明する。図5は内枠13の背面図、図6は裏パックユニット15の正面図である。
図5に示すように、内枠13(遊技盤33)の背面には、主制御装置ユニット61及び音声ランプ制御装置ユニット65が搭載されている。
主制御装置ユニット61は、合成樹脂製の取付台を有し、取付台に主制御装置63が搭載されている。主制御装置63は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備している。なお、主制御装置63の具体的な構成については、後に詳細に説明する。
音声ランプ制御装置ユニット65は、音声ランプ制御装置66と、取付台とを具備する構成となっており、取付台上に音声ランプ制御装置66が装着されている。音声ランプ制御装置66は、主制御装置63からの指示に従い音声やランプ表示、及び図示しない表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス68に収容されて構成されている。
裏パックユニット15は、図6に示すように、裏パック71を備えており、当該裏パック71に対して、払出機構部72及び制御装置集合ユニット73が取り付けられている。裏パック71は透明性を有する合成樹脂により形成されており、払出機構部72などが取り付けられるベース部74と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部75とを有する。
ベース部74には、その右上部に外部端子板76が設けられている。外部端子板76には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技場側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。ベース部74には、保護カバー部75を迂回するようにして払出機構部72が配設されている。すなわち、裏パック71の最上部には上方に開口したタンク77が設けられており、タンク77には遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク77の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレールが連結され、タンクレールの下流側には上下方向に延びるケースレールが連結されている。ケースレールの最下流部には払出装置78が設けられている。払出装置78より払い出された遊技球は、当該払出装置78の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、上皿57a又は下皿58aに排出される。
払出機構部72には、裏パック基板79が設置されている。裏パック基板79には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
ベース部74の下端部には、制御装置集合ユニット73が取り付けられている。制御装置集合ユニット73は、横長形状をなす取付台81を有し、取付台81に払出制御装置82と電源及び発射制御装置83とが搭載されている。これら払出制御装置82と電源及び発射制御装置83とは、払出制御装置82がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置82は、基板ボックス84内に払出装置78を制御する払出制御基板が収容されて構成されている。電源及び発射制御装置83は、基板ボックス85内に電源及び発射制御基板が収容されて構成されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されて出力され、さらに遊技者によるハンドル装置59の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。
次に、主制御装置63の構成を図7〜図9に基づいて詳細に説明する。図7は主制御装置63の斜視図、図8は主制御装置63の正面図、図9は主制御装置63の分解斜視図である。
主制御装置63は、図9に示すように、主制御基板91と基板ボックス92とを備えており、当該基板ボックス92の内部空間に主制御基板91が収容されてなる。
主制御基板91は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM等を備えている。本実施の形態では、CPU、ROM及びRAMがCPUチップ93に1チップ化されている。また、詳細な説明は省略するが、入出力ドライバ用ICチップ94及びラッチ用ICチップ95が搭載されている。また、図示は省略するが、主制御基板91には、コンデンサや抵抗などの各種素子や、複数のコネクタが搭載されている。
主制御基板91においてCPUチップ93などの各種素子は全て同一の板面上に搭載されており、その逆側の板面にて半田付けされている。つまり、主制御基板91は、一方の板面が素子搭載面96となっており、他方の板面が半田面となっている。なお、半田面とは、素子搭載面96に搭載される各種素子の半田付け部分が設けられる面であるが、当該半田面に対して回路パターンが形成されていてもよい。
基板ボックス92は、複数のボックス構成体として、表側構成体(ボックスカバー)101と裏側構成体(ボックスベース)102とを備えている。これら表側構成体101及び裏側構成体102は、基板ボックス92内に収容された主制御基板91の素子搭載面96及び半田面を基板ボックス92外から視認可能なように透明性を有する材料により形成されている。具体的には、無色透明のポリカーボネート樹脂により形成されているが、形成材料はこれに限定されることなく、アクリル樹脂等であってもよい。
表側構成体101及び裏側構成体102が組み合わされることにより、図7及び図8に示すように、基板ボックス92は四角箱状(略直方体形状)に形成されており、所定の内部空間を有している。詳細には、表側構成体101は、図9に示すように、当該表側構成体101の周縁を規定する表側周縁部103と、当該表側周縁部103から一方に膨出するようにして形成された膨出部104とが一体形成されてなる。これら表側周縁部103と膨出部104とにより、表側構成体101は膨出部104の膨出側とは反対側に開放された略直方体形状をなしている。
表側構成体101にはその背面側から主制御基板91がネジ固定されている(着脱可能な状態で固定されている)。なお、表側構成体101への主制御基板91のネジ固定は、主制御基板91の半田面側から行われており、主制御基板91の素子搭載面96に搭載された各種素子は、主制御基板91と表側構成体101との間の領域内に収容されている。
主制御基板91が一体化された表側構成体101に対して、裏側構成体102が固定されている。裏側構成体102は、図9に示すように、正面視で四角形状、具体的には長方形状をなす略板状に形成されており、平面状に形成された平面部105と、当該平面部105の周縁を囲むようにして形成された裏側周縁部106とが一体形成されてなる。
表側構成体101に対してその裏面側から裏側構成体102を固定することにより、表側構成体101の表側周縁部103と裏側構成体102の裏側周縁部106とが重なり、膨出部104の裏面側への開放部分が裏側構成体102の平面部105により閉塞される。この場合、主制御基板91の半田面は、裏側構成体102により覆われている。つまり、主制御基板91の素子搭載面96はその全体が表側構成体101と対向しており、主制御基板91の半田面はその全体が裏側構成体102と対向している。上記構成の主制御装置63は、図5に示すように、表側構成体101の表面がパチンコ機10後方を向くようにして搭載されている。
次に、表側構成体101と裏側構成体102との固定に関する構成について詳細に説明する。両構成体101,102の固定に関する構成としては、両構成体101,102の相互の位置ずれを特定の規制方向のみに規制する規制手段と、当該規制方向への位置ずれを防止するように両構成体101,102を相互に固定する固定手段と、を備えている。
先ず、規制手段について詳細に説明する。なお、以下の規制手段の説明では、図9だけでなく図10も適宜参照する。図10(a)は主制御装置63の一部を拡大して示す側面図、図10(b)は図10(a)のA―A線断面図である。
図9に示すように、規制手段として、表側構成体101には、フック部(係止部又は表側規制部)111が一体形成されている。フック部111は複数設けられており、これらフック部111は表側周縁部103の対向する各長辺部(具体的には、上縁部及び下縁部)において当該長辺部の延びる方向に沿って等間隔で形成されている。この場合、フック部111は、上下にそれぞれ6個ずつ形成されているが、複数であればその数は任意である。各フック部111は、全て同一形状となるように形成されているとともに、全て同一のサイズに形成されている。
フック部111の形状について詳細に説明する。表側構成体101の表側周縁部103は、当該表側周縁部103に沿って矩形枠状に形成された枠部112を備えている。枠部112は表側周縁部103において膨出部104に連続するベース部110から裏側構成体102側に起立させて形成されている。この場合、枠部112におけるベース部110からの突出寸法(高さ寸法)は、主制御基板91の厚み寸法と同一となっている。なお、枠部112におけるベース部110からの突出寸法を、主制御基板91の厚み寸法よりも大きくしてもよい。
枠部112において一の長辺部を構成する上枠部(一の枠部)113に複数のフック部111が形成されているとともに、当該上枠部113と対向した位置にて一の長辺部を構成する下枠部(他の枠部)114にも複数のフック部111が形成されている。この場合、各フック部111の内側の面は形成元の枠部112における内側の面と同一平面上に位置しているとともに、各フック部111の外側の面は形成元の枠部112における外側の面と同一平面上に位置している。
フック部111は枠部112を基端として形成されており、自由端側が表側構成体101の一方の短辺部側、具体的には、右縁に向けて延びるように途中位置で折り曲げて形成されている。つまり、フック部111は枠部112から裏側構成体102に向けて起立した起立部115と、起立部115から表側構成体101の側縁に向けて延びる延出部116とが一体形成されてなる。
延出部116は起立部115の高さ寸法分、枠部112から離間されており、延出部116と枠部112との間には係止用溝117が形成されている。当該係止用溝117は延出部116に沿って形成されており、延出部116の自由端側において開放されている。
フック部111に対応させて裏側構成体102には、係止受け(裏側規制部)121が一体形成されている。係止受け121の形状について詳細に説明する。裏側構成体102の裏側周縁部106には、表側構成体101の上枠部113と対応する辺部に当該辺部の全体に沿って一連の上側周壁部122が一体形成されているとともに、表側構成体101の下枠部114と対応する辺部に当該辺部の全体に沿って一連の下側周壁部123が一体形成されている。これら上側周壁部122及び下側周壁部123は表側構成体101に向けて起立している。上側周壁部122及び下側周壁部123はそれぞれ、裏側構成体102の周面(上面及び下面)を構成しているとともに、基板ボックス92の周面(上面及び下面)を構成している。
裏側周縁部106には、上側周壁部122及び下側周壁部123にそれぞれ一体形成された上側台座部124及び下側台座部125を備えている。ここで、上側台座部124及び下側台座部125は共に同一の構成を有しており、さらに規制手段について基板ボックス92の上側と下側とで基本的に構成は同一となっているため、下側の構成を例にとって以下説明する。
下側台座部125は、図9に示すように、下側周壁部123の内側の壁面から裏側構成体102の平面部105側に突出させて形成されており、下側周壁部123及び平面部105の両方に対して一体化されている。下側台座部125は下側周壁部123の長さ方向(長手方向)の全体又は略全体に亘って形成されている。
下側台座部125は、表側構成体101に向けて起立している。但し、その高さ寸法(基板ボックス92の厚み方向の寸法)は、下側周壁部123の高さ寸法よりも小さく設定されている。この点、裏側構成体102は、その長辺側の縁部において下側周壁部123と下側台座部125とにより段差状となっていると言える。
下側台座部125には、フック部111と1対1で対応させて係止受け121が形成されている。つまり、係止受け121は、上下にそれぞれ6個ずつ形成されている。但し、フック部111と1対1で対応しているのであれば、その具体的な数は任意である。各係止受け121は全て同一の形状及び大きさを有している。
係止受け121は、下側台座部125をその高さ方向、すなわち裏側構成体102の厚み方向に貫通するスリットとして構成されている。詳細には、係止受け121は、裏側構成体102において上記のとおり周面を構成する下側周壁部123と、下側台座部125において平面部105との境界部分を構成する内側壁部126と、これら下側周壁部123及び内側壁部126を連結するようにして形成された連結壁部127とにより周囲が規定されており、裏側構成体102の厚み方向(基板ボックス92の厚み方向)に貫通している。
ちなみに、連結壁部127は、隣り合う係止受け121を区画する機能も有しているとともに、下側台座部125において表側構成体101(表側構成体101の枠部112)と対向する対向面を構成している。また、内側壁部126は係止受け121側からの基板ボックス92内への侵入経路を遮断するように形成されているとともに、内側壁部126は基板ボックス92の内部空間の周面を構成している。
係止受け121の幅寸法、すなわち下側周壁部123と内側壁部126との間の距離は、フック部111の厚み寸法と同一又はそれよりも若干大きく設定されている。また、係止受け121の長さ寸法、すなわち対向する連結壁部127間の距離は、延出部116の長さ寸法よりも大きく設定されている。
係止受け121は、図10(a)に示すように、一方の連結壁部127側において、スリット状の当該係止受け121を閉塞する受け部128を備えている。この受け部128が形成された側の連結壁部127は、一の係止受け121における両連結壁部127のうち、フック部111の自由端側に対応した側となっている。
受け部128は、係止受け121において表側構成体101側の端部に形成されている。また、受け部128は、スリット状の係止受け121の全体を閉塞しているのではなく、一部のみを閉塞している。そして、係止受け121において受け部128が形成されていない側の連結壁部127から受け部128までの距離は、フック部111の延出部116が延びる方向の長さ寸法よりも大きくなっている。これにより、上記のように受け部128が形成された構成において、裏側構成体102の表側からフック部111を係止受け121内に挿入可能となっている。受け部128は、上記フック部111の係止用溝117内に入り込み可能な厚み寸法に設定されている。
なお、係止受け121は、受け部128とは逆側の連結壁部127側において、スリット状の当該係止受け121を閉塞する閉塞部129を備えている。但し、閉塞部129は係止受け121において受け部128が形成された側とは反対側の端部に形成されている。また、閉塞部129は、スリット状の係止受け121の全体を閉塞しているのではなく、一部のみを閉塞している。
表側構成体101と裏側構成体102とが一体化された状態では、図10(a)及び図10(b)に示すように、係止受け121内にフック部111が挿入されおてり、図10(a)に示すように、フック部111の係止用溝117内に係止受け121の受け部128が入り込んでいる。そして、受け部128は、枠部112に当接しているとともに、フック部111の延出部116に当接している。
この場合、表側構成体101と裏側構成体102とを、係止用溝117に対する受け部128の入り込み方向に移動させて分離させようとしても、表側構成体101の起立部115に受け部128が当接することで規制される。また、表側構成体101と裏側構成体102とを基板ボックス92の厚み方向に分離させようとしても、フック部111と受け部128との当接により規制される。また、図10(b)に示すように、フック部111は係止受け121を構成する下側周壁部123及び内側壁部126の両方に挟まれた状態となっている。したがって、表側構成体101と裏側構成体102とを上下方向に移動させて分離させようとしても、フック部111が下側周壁部123又は内側壁部126のいずれかに当接することで規制される。つまり、フック部111及び係止受け121により、表側構成体101と裏側構成体とを分離させる際の方向が、係止用溝117から受け部128を抜き取る方向、すなわち基板ボックス92の一方の短辺側に規制されている。
特に、フック部111と係止受け121との組み合わせは、基板ボックス92の両長辺部においてそれぞれ複数組設けられており、さらにはこれらの組み合わせは、各長辺部においてその長さ方向の略全体に亘って分散させた位置にて行われている。したがって、上記規制は強固に行われている。
図10(b)に示すように、係止受け121内にフック部111が挿入され、且つ係止用溝117内に受け部128が入り込んだ規制状態では、表側構成体101の下枠部114が裏側構成体102の下側台座部125と基板ボックス92の厚み方向に重なり合っている。この場合、下側台座部125の全体に亘って下枠部114が重なり合っており、これら下側台座部125と下枠部114とにより基板ボックス92の長辺部において当該基板ボックス92の内部空間の周面の一部が構成されている。
下枠部114は、上記のとおり表側周縁部103のベース部110から裏側構成体102側に起立させて設けられている。また、下側台座部125は上記のとおりスリット状の係止受け121を構成する部位であり、それに伴って下枠部114よりも肉厚に形成されている。さらには、下枠部114は、下側台座部125上において下側周壁部123と接するように当該下側周壁部123側に偏倚した位置に配置されている。したがって、図10(b)に示すように、下枠部114へと続くベース部110と下側台座部125との間には所定の隙間が形成されており、当該隙間には主制御基板91の周縁部の一部が入り込んでいる。
裏側構成体102の下側周壁部123は、上記のとおり下側台座部125よりも表側構成体101側に突出しており、当該突出した部位が下枠部114の外側の側面に対して外方から重なり合っている。また、下側周壁部123はその起立した先端側の端面が表側周縁部103におけるベース部110の表面と面一となっている。つまり、下側周壁部123は表側周縁部103における一長辺部の外側周面の全体と重なり合っている。当該構成であることにより、表側構成体101と裏側構成体102との長辺部における境界は、図8に示すように、線状となっている。
また、当該境界は、図10(b)に示すように、表側周縁部103のベース部110よりも外側にある。当該境界を通じて基板ボックス92の内部空間にリード線などの不正用治具を挿入しようとしても、上記のとおり下枠部114と下側台座部125とがその全体に亘って重なり合っているため、それが阻止される。さらには、上記のとおりフック部111と係止受け121とによる規制は強固に行われているため、下枠部114と下側台座部125とを離間させようとしてもそれが強固に阻止される。
ここで、上記のようにフック部111と係止受け121とが設けられていることにより、基板ボックス92の小型化を図りながら、表側構成体101と裏側構成体102との分離方向の規制が強固に行われている。当該構成について、図11を用いて、基板ボックス92の体格が大きくなってしまう構成と比較しながら説明する。図11(a)は本パチンコ機10における基板ボックス92の規制箇所を示す断面図であり、図11(b)は比較対象の基板ボックス131の規制箇所を示す断面図である。
本パチンコ機10の基板ボックス92では上記のとおりフック部111と係止受け121とが設けられていることにより、図11(a)に示すように、基板ボックス92の内部空間の縁部から基板ボックス92の周面までの距離はX1となっている。
これに対して、比較対象の基板ボックス131では、図11(b)に示すように、フック部132と係止受け133とが、上記基板ボックス92とは逆の関係で、表側構成体134及び裏側構成体135に形成されている。つまり、裏側構成体135にフック部132が形成されており、表側構成体134に係止受け133が形成されている。また、上記基板ボックス92ではフック部111が設けられた表側構成体101の縁部において基板ボックス92における内部空間の周面の一部を構成していたが、本基板ボックス131ではフック部132が設けられた裏側構成体135の縁部は内部空間の周面の一部を構成していない。したがって、基板ボックス131の内部空間の縁部から基板ボックス131の周面までの距離はX2となっており、上記基板ボックス92における対応箇所の距離X1よりもX3だけ長くなっている。
以上より、本パチンコ機10における基板ボックス92によれば、基板ボックス92の小型化を図りながら、表側構成体101と裏側構成体102との分離方向の規制が強固に行われている。パチンコ機10では、図柄表示装置41の表示画面の大型化やパチンコ機10の多機能化を行うことが好ましい。しかしながら、表示画面の大型化やパチンコ機10の多機能化を図ろうとすると、パチンコ機10の背面側において電気機器を搭載するスペースに制限が生じてしまう。これに対して、上記のとおり基板ボックス92の小型化を図ることで、表示画面の大型化やパチンコ機10の多機能化を良好に実現することができる。
次に、上記規制手段による表側構成体101と裏側構成体102との組み付け作業について図12を用いて説明する。図12(a)〜(c)は表側構成体101と裏側構成体102との組み付け作業を説明するための説明図である。
表側構成体101と裏側構成体102とを相互に固定する場合、図12(a)の状態から図12(b)の状態となるように、先ず裏側構成体102の裏側からフック部111を係止受け121内に挿入する。この場合、フック部111の自由端が、挿入された係止受け121内の受け部128側を向いている。また、この状態では、表側構成体101と裏側構成体102とは完全に重なり合っておらず、左右方向にずれた状態となっている。
その後、表側構成体101又は裏側構成体102の少なくとも一方を、両構成体101,102が完全に重なり合う方向にスライド移動させることにより、図12(c)に示すように、フック部111の係止用溝117内に係止受け121の受け部128が入り込む。これにより、係止用溝117に対する受け部128の抜け方向にのみ移動可能なように表側構成体101及び裏側構成体102の移動方向が規制される。そして、当該状態において固定手段による固定を行うことで、規制手段により規制された移動方向への移動も行うことが不可となり、表側構成体101及び裏側構成体102が相互に固定される。
次に、固定手段について説明する。
図8及び図9に示すように、表側構成体101における一方の短辺部には、表側結合領域141が一体形成されている。表側結合領域141は、当該短辺部において膨出部104から側方に延出させて形成されている。表側結合領域141には複数(具体的には、4個)の表側結合部142,143が設けられており、各表側結合部142,143には基板ボックス92の厚み方向に貫通する貫通孔部144が形成されている。なお、本実施の形態においては、主制御装置63を製造する際に使用される表側結合部と、主制御装置63を開放した後、両構成体101,102を再ボックス化する場合に使用される表側結合部との2種類の異なる表側結合部を備えている。以下、説明の便宜上、前者を「第1表側結合部142」と称し、後者を「第2表側結合部143」と称することとする。
各表側結合部142,143は、前記短辺部に沿って並設されている。より具体的には、短辺部に沿い離間して配置された2つの第1表側結合部142の間に、2つの第2表側結合部143が配置されている。また、各第1表側結合部142は第1連結部145を介して膨出部104と連結されているとともに、第2連結部146を介して隣り合う第2表側結合部143と連結されている。この場合、各連結部145,146の周囲には、ニッパやカッタ等の工具を差込可能な空間が確保されており、第1表側結合部142を破壊するよりも上記工具により切断し易くなっている。なお、上述した第2連結部146を省略することも可能である。因みに、第1表側結合部142及び第2表側結合部143の相違点についての詳細は後述する。
表側結合領域141に対応させて、裏側構成体102の裏側周縁部106には裏側結合領域151が設けられている(図13等参照)。ここで、本基板ボックス92では、裏側結合領域151が特徴的な構成となっている。そこで以下に、裏側結合領域151の特徴的な構成を重点的に説明しつつ、上記結合に関する構成を説明する。
先ず、裏側結合領域151の構成を、図9に加え図13〜図15を用いて説明する。図13は裏側結合領域151の断面図、図14は裏側結合領域151を構成する受け部材153の一部破断領域を含む斜視図、図15(a)は裏側結合領域151を構成するカバー部材154の正面図、図15(b)はカバー部材154を裏側から見た斜視図である。
裏側結合領域151は、図9及び図13に示すように、裏側構成体102の裏側周縁部106に一体形成された結合領域形成部152と、当該結合領域形成部152に組み付けられる受け部材(受け金具)153及びカバー部材154と、を備えている。
結合領域形成部152は、裏側構成体102の裏側周縁部106における一方の短辺部において、全体又は略全体に亘って形成されている。結合領域形成部152には、図13に示すように、表側構成体101側に向けて開放された溝部155が形成されている。溝部155は、結合領域形成部152の全体に亘って形成されている。
結合領域形成部152には、溝部155内に挿入された状態で受け部材153が固定されている。受け部材153は、少なくとも裏側構成体102の壁部よりも高強度な(硬質な)金属板を図14に示すように、複数箇所で折り曲げることにより形成されており、結合領域形成部152の溝部155と同一又は略同一の長さ寸法を有している。なお、受け部材153を、金属板を折り曲げることにより形成するのではなく、複数の金属板を溶接することにより形成してもよい。
受け部材153は、溝部155の周面に沿うようにして凹み空間161を有するように形成された受けベース部162と、当該受けベース部162に対して一体形成された引っ掛け板部163と、を備えている。この場合、受けベース部162は相互に対向する対向板部164,165と、これら対向板部164,165を一端において連結する連結板部166と、を備えており、これら各板部164,165,166により、凹み空間161が形成されている。また、引っ掛け板部163も板状であり、一部の板部は内側の対向板部164と対向している。
受け部材153は、受けベース部162の外周面が溝部155の内周面と重なるように、結合領域形成部152に設置されている。この場合、引っ掛け板部163は、結合領域形成部152において溝部155を形成する壁部のうち内側溝壁部156に引っ掛けられた状態となっている。また、図9及び図14に示すように、受けベース部162の対向板部164,165のうち、外側の対向板部165には係止用凹部167が複数箇所に形成されており、これに対応させて、図9に示すように、結合領域形成部152において溝部155を区画する壁部のうち外側溝壁部157には、係止部158が一体形成されている。係止部158は係止用凹部167に1対1で対応させて複数箇所に形成されている。
受け部材153を結合領域形成部152に設置した状態では、係止用凹部167が係止部158により係止され、結合領域形成部152に対して受け部材153が固定されている。受け部材153が結合領域形成部152に固定された状態においては、受けベース部162における凹み空間161は表側構成体101に向けて開放されており、受けベース部162は溝部155内の略全体に亘って位置している。
つまり、図8に示すように、受け部材153は基板ボックス92における一の短辺部の略全体に亘って位置している。換言すれば、受け部材153は基板ボックス92の複数の周面部のうち少なくとも所定の周面部におけるコーナー部分間の全体又は略全体に亘って位置するように設けられている。さらに換言すれば、基板ボックス92は正面視で多角形状(四角形状)に形成されており、受け部材153は所定の一辺部の当該辺部が延びる方向の全体又は略全体に亘って位置するように設けられている。
受け部材153の対向板部164,165のうち、内側の対向板部164には、図13に示すように、凹み空間161側に突出するように係止片168が設けられている。係止片168は、図14の破断部分に示すように、内側の対向板部164を切除しない範囲で切断を行い、切断によって板バネ状となった箇所を凹み空間161側に曲げることにより形成されている。この場合、係止片168の自由端は、受けベース部162の連結板部166側、すなわち凹み空間161の奥側を向いている。係止片168は、等間隔で複数形成されており、この数は表側結合領域141に形成された表側結合部142,143の数と同数となっているとともに、表側結合部142,143の位置に対応させて形成されている。
上記のように受け部材153が固定された結合領域形成部152に対してカバー部材154が設置されている。カバー部材154は、無色透明のポリカーボネート樹脂により形成されているが、形成材料はこれに限定されることはなく、アクリル樹脂等であってもよい。カバー部材154は、結合領域形成部152と同一又は略同一の長さ寸法を有しており、結合領域形成部152及び受け部材153の全体又は略全体を覆う機能を有しているとともに、受け部材153が固定された結合領域形成部152を表側結合部142,143と同数の裏側結合部176に区画するための機能を有している。
具体的には、カバー部材154は、図13に示すように、第1カバー板部172と、当該第1カバー板部172に対して直交する第2カバー板部173と、を有するカバーベース部171を備えている。カバー部材154を結合領域形成部152に設置した場合には、第1カバー板部172は結合領域形成部152の対向する溝壁部156,157及び結合領域形成部152に固定された受け部材153に対して、受け部材153の凹み空間161の開放側から重なり合っており、第2カバー板部173は結合領域形成部152における外側溝壁部157の外側周面の全体に対して外方から重なり合っている。
第1カバー板部172には、図15(a)に示すように、その長さ方向に等間隔で複数の貫通孔部174が形成されている。当該貫通孔部174が形成されていることにより、受け部材153の凹み空間161は第1カバー部材154により完全に閉塞されておらず、貫通孔部174の位置にて表側構成体101側に向けて開放されている。
貫通孔部174は、受け部材153の係止片168と1対1で対応しており、図13に示すように、一の貫通孔部174と基板ボックス92の厚み方向に並ぶ位置に一の係止片168が位置している。また、貫通孔部174は、表側結合部142,143と1対1で対応している。
第1カバー板部172の表面側には、図15(a),(b)に示すように、当該第1カバー板部172の表面側において各貫通孔部174が形成された領域を個別に区画するようにして区画壁部175が一体形成されている。そして、区画壁部175により区画された各領域によって裏側結合部176が構成されている。各裏側結合部176は、表側構成体101に向けて開放されているとともに、裏側構成体102において裏側結合領域151が形成された側の短辺部と対向する短辺部に向けて開放されている。各裏側結合部176は対応する表側結合部142,143を収容可能な大きさを有しており、各裏側結合部176に対応する各表側結合部142,143が収容された状態では、各表側結合部142,143の貫通孔部144と各裏側結合部176の貫通孔部174とが連通された状態となる。
なお、図15(b)に示すように、第1カバー板部172の裏面側には、複数箇所に位置決め用突起177が形成されており、カバー部材154を設置する場合にはこれら位置決め用突起177が受け部材153の凹み空間161内に入り込むようにすることで、設置箇所の位置決めを容易に行うことができる。また、当該突起177が受け部材153の凹み空間161内に入り込むことで、カバー部材154をその設置箇所から離脱させる際の離脱方向が規制される。換言すれば、凹み空間161が開放されている方向、すなわち裏側構成体102から表側構成体101に向けた方向に規制される。
次に、裏側結合領域151を形成する上での作業の流れ及び両構成体101,102の組み合わせ作業の流れを、図16を用いて説明する。図16(a)〜(c)は裏側結合領域151を形成する上での作業を説明するための説明図である。
図16(a)に示す裏側構成体102の結合領域形成部152に対して、図16(b)に示すように受け部材153を設置する。当該設置は、受け部材153の受けベース部162が結合領域形成部152の溝部155内に入り込むように、且つ受け部材153の引っ掛け板部163が結合領域形成部152の内側溝壁部156に引っ掛けられた状態となるように行われる。
図16(b)に示すように、受け部材153の受けベース部162が結合領域形成部152の溝部155の内周面と重なった状態となることで、受けベース部162の係止用凹部167が結合領域形成部152の係止部158により係止された状態となる。なお、係止部158はその先端が溝部155内に突出しているが、当該係止部158は受けベース部162の溝部155への入り込みに際して当該入り込みを阻害しない位置へと弾性変形可能に形成されている。
その後、図16(c)に示すように、受け部材153が設置された結合領域形成部152にカバー部材154を設置する。この際、カバー部材154に位置決め用突起177が形成されていることにより、カバー部材154の設置を良好に行うことができる。また、カバー部材154を設置した場合には、当該カバー部材154により係止部158が外側から覆われる。さらに、溝部155の開放箇所における、係止部158と係止用凹部167との係止箇所を露出させる部位もカバー部材154により覆われる。これにより、係止部158と係止用凹部167との係止状態を不正に解除しようとしても、当該行為が行いづらくなる。
次に、カバー部材154の円筒部178(詳しくは孔部178a)に対して破断ネジ170を挿入する。そして、この破断ネジ170を丸孔179及び連通孔169に挿通させ、ドライバ等の工具を用いて破断ネジ170を取付穴部159にねじ込む。それ以上破断ネジ170を締めることができない位置までねじ込むことにより、カバー部材154が裏側構成体102に対して固定された状態となる。すなわち、カバー部材154と受け部材153と裏側構成体102とが一体化され、裏側結合領域151の形成が完了する。
ここで、カバー部材154の固定部位(丸孔179)と前記表側結合部142,143の相互の位置関係について説明する。図8等に示すように、カバー部材154の固定部位を挟んだ両側に第1表側結合部142が配置されている。より具体的には、カバー部材154の両短側に偏倚して第1表側結合部142が配置されている。そしてこれらカバー部材154の固定部位と第1表側結合部142との間には第2表側結合部143がそれぞれ配置されている。換言すれば、カバー部材154の固定部位は第1表側結合部142と第2表側結合部143とによって二重に挟まれた状態となっている。すなわち、固定部位と第1表側結合部142までの距離寸法は、固定部位と第2表側結合部143までの距離寸法よりも大きく設定されている。
次に、表側結合部142,143と裏側結合部176との結合に関連する構成ついて説明する。上述の如く第1表側結合部142と第2表側結合部143との結合に関連する構成は一部相違している。故に、先ず図17(a)に基づき第1表側結合部142について詳細に説明し、その後、第1表側結合部142との相違点を踏まえて第2表側結合部143について説明する。図17(a)は基板ボックス92における第1表側結合部142と裏側結合部176との結合箇所を示す断面図である。
各裏側結合部176に対して対応する各第1表側結合部142が収容された状態では、上記のとおり、各第1表側結合部142の貫通孔部144と第1カバー板部172に形成された対応する貫通孔部174とが連通された状態となっている。これら連通された貫通孔部144,174に対して、図17(a)に示すように、第1表側結合部142側から、金属製の第1結合具(固定具)181が挿入されていることで、第1表側結合部142と裏側結合部176とが結合(固定)されている。
第1結合具181は、長尺状をなす金属製の板材が略L字状に折り曲げ形成されてなり、前記貫通孔部144,174に挿通されるベース部181aと、ベース部181aの片側の端部に形成され当該ベース部181aと直交する操作部181bと、によって構成されている。ベース部181aにはその厚み方向に貫通する係止孔部181cが形成されており、第1結合具181を挿入することで当該係止孔部181c内に係止片168が入り込む。この場合、係止片168は上記のとおり板バネとしての機能を有しているとともに、自由端が凹み空間161の奥側に向けられているため、第1結合具181の挿入方向の移動は規制しないが、係止孔部181c内に係止片168が入り込んだ後は第1結合具181の抜き取り方向の移動は規制する。これにより、第1表側結合部142と裏側結合部176とが結合され、表側構成体101と裏側構成体102とが固定される。第1結合具181を挿入する際には、操作部181bを指等で押すことにより、作業を容易に行うことができる。
操作部181bは、ベース部181aにおける表側結合部142側の端部に形成されており、装着された状態においては、その板面が第1表側結合部142の当接部142aに当接している。当接部142aは、操作部181bの板面と平行な略板状をなしている。これら操作部181bと当接部142aとが当接することで、操作部181bと裏側結合部176との間に表側結合部142を挟み込んだ状態となっている。すなわち、両結合部142,176が結合された状態となっている。
また、表側結合領域141(詳しくは第1表側結合部142)には、当接部142aを囲って起立するとともに、操作部181bを内部に収容する第1周壁部142bが形成されている。換言すれば、第1周壁部142bによって操作部181bを収容する収容凹部182が形成されている。収容凹部182の内周は操作部181bの外周とほぼ同様となるように設定されており(図8参照)、操作部181bが収容凹部182に収容された後は、操作部181bを掴みづらくなっている。これにより、第1結合具181の不正な取り外しが抑制されている。
次に、第2表側結合部143及び当該第2表側結合部143に関連する構成について図17(b)に基づき説明する。図17(b)は基板ボックス92における第2表側結合部143と裏側結合部176との結合箇所を示す断面図である。
第2表側結合部143は、第1表側結合部142と同様に、当接部143a及び周壁部143bを備えている。また、第1結合具181と同様に、第2表側結合部143と裏側結合部176とを結合(固定)する第2結合具(固定具)183が設けられている。そして、周壁部143b及び膨出部104の壁面によって、第2結合具183を収容可能な収容凹部184が形成されており、第2結合具183が収容凹部184に嵌まり貫通孔部144,174に対して挿入されていることで、第2表側結合部143と裏側結合部176とが結合されている。
第2結合具183は、長尺状をなす金属製の板材が略L字状に折り曲げ形成されてなり、前記貫通孔部144,174に挿通されるベース部183aと、ベース部183aの片側の端部に形成され当該ベース部183aと直交する操作部183bと、によって構成されている。ベース部183aにはその厚み方向に貫通する係止孔部183cが形成されており、第2結合具183を挿入することで当該係止孔部183c内に前記係止片168が入り込む。この場合、係止片168は上記のとおり板バネとしての機能を有しているとともに、自由端が凹み空間161の奥側に向けられているため、第2結合具183の挿入方向の移動は規制しないが、係止孔部183c内に係止片168が入り込んだ後は第2結合具183の抜き取り方向の移動は規制する。これにより、第2表側結合部143と裏側結合部176とが結合され、表側構成体101と裏側構成体102とが固定されることとなる。
周壁部143bは、表側構成体101の膨出部104に対して連なっている。すなわち、第1表側結合部142とは異なり、表側構成体101からの離脱を容易とする(切断を容易とする)連結部145に相当する部位は設けられていない。故に、第2表側結合部143が結合された場合には、両構成体101,102の分離が不可能又は困難なものとなる。
収容凹部184の内部には、第2結合具183の挿入方向を所定の方向、具体的には貫通孔部144の軸線方向に規制する規制部143cが形成されている。規制部143cは、貫通孔部144の軸線方向に延びる複数(本実施の形態においては2つ)の柱状部よりなる。より詳しくは、規制部143cは貫通孔部144を挟んで周壁部143bと対峙しており、それら規制部143cと周壁部143bとの間隔寸法は、第2結合具183におけるベース部183aの板厚寸法とほぼ同等となっている。貫通孔部144に向けて挿入された第2結合具183は、そのベース部183aが規制部143cと周壁部143bとによって挟まれた領域に嵌まることで、その挿入方向が規制される。
操作部183bは、当該操作部183bにおける折り曲げ基端側から先端側までの最大長さ寸法が、その長さ方向において相互に対峙する周壁部143b間の間隔寸法とほぼ同等となるように構成されており、その先端縁が周壁部143bに近接した状態となっている。また、操作部183bは、その最大幅寸法(長さ方向と直交する方向における幅寸法)その幅方向において相互に対峙する周壁部143b間の間隔寸法とほぼ同等となるように構成されており、その幅方向における両側の縁部が周壁部143bに近接した状態となっている。このように各縁部を周壁部143bに対して近接させることで、操作部183bを掴みにくくしている。これにより、操作部183bの押し操作の容易さを維持しつつ、操作部183bの引き操作を困難なものとすることが可能となっている。なお、操作部183bにおける各縁部を周壁部143bに対して当接させてもよい。
また図8等に示すように、第2結合具183の操作部183bには、規制部143cに対応する切欠き部183dが形成されている。具体的には切り欠き部183dは、貫通孔部144の軸線方向にて操作部183bにおける前記規制部143cと対峙している部位が削除されてなる。このため、規制部143cによって規制された所定の方向に第2結合具183を押し込んだとしても、これら規制部143cによって第2結合具183の移動が妨げられることはなく、第2結合具183の操作部183bと第2表側結合部143の当接部143aとの接触が担保されている。
なお、規制部143cは周壁部143bに沿って配置されている。これにより、操作部183bの押し込み操作に伴い指が規制部143cに当たるといった不都合を生じにくくしている。すなわち、操作部183bの操作性の担保が図られている。
第2結合具183は、収容凹部184の内部において仮止め(係止)される構成、すなわち結合前の待機状態にて保持される構成となっている。以下、その具体的な構成について図9及び図18に基づき説明する。図18は図8のB−B線部分断面図である。
図18に示すように、収容凹部184の内部(詳しくは周壁部143b)には、内方に突出し前記係止孔部183cに引っ掛かる仮止め部としての係止爪部143dが形成されている。周壁部143bには、第2結合具183の挿入に基づいて係止爪部143dを含んだ部位の撓み変形(弾性変形)を可能とする構成体側可動部143eが形成されている(図9参照)。構成体側可動部143eは板バネとしての機能を有しており、自身が撓み変形(弾性変形)することによって、収容凹部184の内方への係止爪部143dの突出量が減少する構成となっている。
一方、区画壁部175には、当該区画壁部175における構成体側可動部143eと対峙している部位を含んだ領域が他の部位と独立して変形(弾性変形)できるようにカバー側可動部175aが形成されている。具体的には、カバー側可動部175aは、区画壁部175における構成体側可動部143eと対峙している部位を含んだ領域を挟んだ両側に切り込みが形成されており、この切り込みによって区画壁部175の周辺部位に対して独立して変形可能となっている。
収容凹部184内に第2結合具183を挿入した際には、係止爪部143dと第2結合具183のベース部183aとが接触する。第2結合具183の押し込み操作に基づいて、構成体側可動部143eが撓み変形(弾性変形)し、これに伴ってカバー側可動部175aも撓み変形(弾性変形)する。すなわち、両可動部143e,175aが一体となって撓む。これにより、係止爪部143dの突出量が減少し、第2結合具183の挿入が許容される。詳しくは、係止爪部143dがベース部183aの板面上に乗り上げた状態となり、第2結合具183の移動に伴って係止爪部143dがベース部183aの板面上を摺動する。かかる状態においては、両可動部143e,175aの弾性力により、係止爪部143dがベース部183a側に付勢されたまま維持される。
第2結合具183が所定位置まで押し込まれることにより、係止爪部143dが係止孔部183cに嵌まり得る状態となる。かかる場合、両可動部143e,175aが自身の弾性力により元の状態に復帰しようとすることで、係止爪部143dが係止孔部183cに嵌まり、それら係止爪部143dと係止孔部183cとが引っ掛かった状態となる。これにより、第2結合具183が仮止めされる。
同図18に示すように、係止孔部183cに対して係止爪部143dが引っ掛かった状態、すなわち仮止めされた状態では、ベース部183aの先端部が貫通孔部144から突出(裏側結合部176側への突出)することが回避されている。このため、仮止めされている第2結合具183によって、両構成体101,102の相対移動が妨げられることはない。更に、第2結合具183が仮止めされた状態においては、操作部183bが収容凹部184内に収まっており、操作部183bを掴みにくくなっている。このため、第2結合具183を仮止めした後の当該第2結合具183の取り外し作業は困難なものとなっている。
また、図7に示すように、カバー側可動部175aは、構成体側可動部143eのみならず周壁部143b(詳しくは周壁部143bにおける構成体側可動部143eを挟んだ両側)にも接触している。このため、仮にカバー側可動部175aが主制御装置63の外方から押された場合、カバー側可動部175aに加わった負荷を周壁部143bによって分散することができ、構成体側可動部143eに対して局所的に負荷が集中することを回避可能となっている。更に、構成体側可動部143eの少なくとも可動先端側を含んだ部分に対してカバー側可動部175aが接触している。これにより、外部から構成体側可動部143eが不正に操作されることを好適に抑制することが可能となっている。
以上詳述した、構成体側可動部143e及びカバー側可動部175aによれば、構成体側可動部143eの撓み変形を許容可能としつつ、外部からの不正な操作等を抑制可能となり、実用上好ましい構成を実現することができる。
なお、両結合具181,183は、裏側構成体102の壁部よりも高強度となるように金属により形成されているが、裏側構成体102の壁部よりも高強度であれば、金属製に限定されることはなく合成樹脂製であってもよく、合成樹脂材料にガラス繊維などの補強剤を分散させた材料により形成してもよく、合成樹脂材料により形成したものに対してメッキなどの表面処理を施すことにより形成してもよい。
上記のとおり設置箇所からのカバー部材154の離脱方向は突起177により、裏側構成体102から表側構成体101に向けた方向に規制されているため、裏側結合部176に対して表側結合部142が重ね合わせられた状態となることで、カバー部材154を離脱させる方向への移動が一層好適に規制される。そして、表側結合部142と裏側結合部176とが結合されることで、カバー部材154は表側結合部142と結合領域形成部152とにより挟持され遊びのない状態となる。
また、図17に示すように、カバー部材154には、第1カバー板部172から基板ボックス92の内部空間に入り込むようにして受け板部185が一体形成されている。受け板部185は、図15(b)に示すように、カバー部材154の長さ方向の概ね全体に亘って位置するように、複数箇所に設けられており、図17に示すように、第1カバー板部172から裏側構成体102側に向けて延びる基端部186と、当該基端部186から基板ボックス92の内部空間の中央側に向けて延びる先端部187と、を備えている。受け板部185の先端部187は、結合領域形成部152にカバー部材154を設置した状態で、裏側構成体102において結合領域形成部152に隣接させて形成された支持台部188に接している。また、受け板部185の先端部187は、裏側構成体102に表側構成体101を組み合わせた状態で、表側構成体101の枠部112及び表側構成体101に一体化された主制御基板91の周縁部が乗り上げた状態となる。つまり、受け板部185の先端部187は、裏側構成体102の支持台部188と、表側構成体101の枠部112及び主制御基板91の周縁部と、により挟持されている。これにより、カバー部材154の固定がより安定した状態で行われている。
次に、表側結合部142,143と裏側結合部176とを結合状態とする場合の作業の流れを、図17を用いて説明する。図19(a)〜(c)は第1表側結合部142と裏側結合部176とを結合状態とする場合の作業の流れを説明するための説明図である。
図19(a)に示すように結合領域形成部152に受け部材153及びカバー部材154が設置されて裏側結合領域151が形成された状態の裏側構成体102に対して表側構成体101を組み合わせることにより、図19(b)に示すように、第1表側結合部142の貫通孔部144と、対応する裏側結合部176の貫通孔部174とが連通された状態となる。この場合、フック部111及び係止受け121からなる規制手段により規制された状態とすることで、自ずと第1表側結合部142が裏側結合領域151の各裏側結合部176に対して、対応する各第1表側結合部142が収容された状態となり、上記のとおり各貫通孔部144,174が連通された状態となる。
その後、図19(c)に示すように、連通された貫通孔部144,174に対して、第1表側結合部142側から第1結合具181を挿入することで、それら第1結合具181が挿入された第1表側結合部142及び裏側結合部176の組み合わせが結合状態となり、表側構成体101と裏側構成体102とが固定される。この場合に、第1表側結合部142と裏側結合部176との組み合わせは複数組(具体的には、2組)設けられているが、これら各組み合わせに対して第1結合具181を挿入することで、表側構成体101と裏側構成体102との固定は行われる。
主制御装置63の製造工程においては、上述の如く第1表側結合部142及び裏側結合部176の結合作業とともに、第2表側結合部143及び裏側結合部176を結合待機状態とするための(仮止めするための)予備的作業が行われる。再び図18を用いて、この予備的作業について説明する。
第1表側結合部142と裏側結合部176の結合作業が終了した後に、第2結合具183の仮止め作業が行われる。具体的には、第2表側結合部143の貫通孔部144に向けて第2収容凹部184の開口から第2結合具183を挿入する。かかる場合、第2結合具183のベース部183aを貫通孔部144に向かって押し込むことで、ベース部183aが規制部143cと周壁部143bとの間に挟まれた状態となり、その移動方向が規制される。これとほぼ同期して、ベース部183aの先端が係止爪部143dに当たる。第2結合具183を更に押し込むことで、係止爪部143dが係止孔部183cに嵌まり、第2結合具183が第2表側結合部143に対して引っ掛かった状態となる。かかる場合、操作部183b全体が第2収容凹部184内に収容される。これにより、操作部183bの押し込み操作の操作性を担保しつつ、引っ張り操作を困難なものとしている。
なお、以上詳述した第2結合具183の仮止め作業を行った後、上述した第1表側結合部142及び裏側結合部176の結合作業を行うことも可能である。かかる場合、第2結合具183の仮止めを行うことにより、第1表側結合部142及び裏側結合部176の結合作業が可能となる構成としてもよい。
次に、第1表側結合部142と裏側結合部176とを結合状態とした状態において、表側構成体101及び裏側構成体102の固定状態を解除する場合の作業の流れを、図20を用いて説明する。図20(a)〜(c)は表側構成体101と裏側構成体102との固定状態を解除する場合の作業の流れを説明するための説明図である。
表側構成体101と裏側構成体102との固定状態の解除に際しては、図20(a)に示すように、結合状態となっている第1表側結合部142と膨出部104との間の連結部145を切断するとともに、結合状態となっている第1表側結合部142と結合状態となっていない第2表側結合部143との間の連結部146をニッパやカッタ等の工具により切断する。これにより、表側構成体101と裏側構成体102との分離が、第1表側結合部142及び裏側結合部176の結合により阻害されなくなる。
この場合に、連結部145,146は第1表側結合部142に対して設けられており、裏側結合領域151は破壊されない。したがって、結合状態となっている第1表側結合部142は裏側結合領域151側に残る。また、このように結合状態となっている第1表側結合部142が残ることで、当該第1表側結合部142と裏側結合部176との結合を通じて、カバー部材154が結合領域形成部152に固定された状態は維持される。
その後、図20(b)に示すように、フック部111及び係止受け121からなる規制手段により規制された方向に表側構成体101又は裏側構成体102の少なくとも一方をスライド移動させることにより、フック部111と係止受け121との係止状態が解除される。その後、図20(c)に示すように、表側構成体101と裏側構成体102とを基板ボックス92の厚み方向に分離させることで、これら構成体101,102が完全に分離された状態となる。
この場合、上記連結部145が切断されていることにより、当該連結部145の切断箇所を確認することで表側構成体101と裏側構成体102とが分離されたか否かを確認することが可能となる。
このように、両構成体101,102の固定状態を解除することにより、主制御基板91やCPUチップ93を露出させることができ、主制御基板91やCPUチップ93の検査等を実施可能となる。本実施の形態に示す両構成体101,102は、分離された後に第2表側結合部143及び裏側結合部176を結合することにより再ボックス化可能となっている。
ここで、両構成体101,102の再固定する際の作業について図17(b),図18,図20(d)及び図20(e)を用いて説明する。図20(d)及び図20(e)は表側構成体101と裏側構成体102との再固定する場合の作業の流れを説明するための説明図である。図20(d)→図20(e)の作業に基づいて、第2結合具183が図18→図17(b)の状態に移行される。
図20(c)に示すように、両構成体101,102を分離し、主制御基板91やCPUチップ93の検査等を行った後、再び両構成体101,102を組み合わせる(図19及び図20(d)参照)。この状態では、第2表側結合部143の貫通孔部144と裏側結合部176の貫通孔部174とが連通した状態となる。ここで、図18及び図20(d)に示すように係止爪部143dによって仮止めされている第2結合具183を、裏側構成体102側へと押し込み図17(b)及び図20(e)の状態に移行させる(係止爪部143dについては図18参照)。図17(b)に示すように押し込まれた第2結合具183が係止片168と引っ掛かり、第2表側結合部143と裏側結合部176とが結合された状態となる。これにより、両構成体101,102の再固定が完了する。
第2表側結合部143には第1表側結合部142と異なり、連結部145,146に相当する切断を容易とする箇所が設けられていない。このため、第2表側結合部143を結合した後は、その結合状態の解除は困難なものとなっている。
なお、第2表側結合部143が、第1表側結合部142と同様に、連結部145,146等に相当する積極的に切断を容易とした部分を有する構成とすることも可能である。
カバー部材154の固定に関する構成について説明する。図9及び図15(b)に示すように、第1カバー板部172の中央には、その第1カバー板部172から表側構成体101側に起立する円筒部178が一体成形されている。第1カバー板部172には、円筒部178の孔部178aに連通し、当該円筒部178の軸線方向と同一方向に延びる丸孔179が形成されている。より詳しくは、孔部178aと丸孔179とは段差状に連続しており、その孔径は丸孔179において減縮されている。
また、図9及び図14に示すように受け部材153には丸孔179と連通する連通孔169が形成されており、これら孔部178aと丸孔179と連通孔169とには表側構成体101側から破断ネジ170が挿通されている。裏側構成体102には、この破断ネジ170がねじ込まれる取付穴部159が形成されており、その取付穴部159に対して破断ネジ170が螺着されることによって、裏側構成体102と受け部材153とカバー部材154とが一体化されている。
本実施形態では、破断ネジ170の構成に特徴を有している。破断ネジ170とは、装着作業と取り外し作業とを比較した場合、後者の方が困難となるものであり、一旦装着された後には、固定対象及び自身の少なくともいずれかの破壊を伴うことなくその取り外しが不可とされるものである。本実施形態では、破断ネジ170の一部が破断することにより、破断ネジ170の取り外し作業が困難なものとなる。図21(a)は破断ネジ170の正面図であり、図21(b)は破断ネジ170の平面図であり、図21(c)は破断ネジ170の分解斜視図である。また、図21(d)は図21(a)のC−C線断面図であり、図21(e)は破断ネジ170が破断した状態を示す断面図である。
破断ネジ170は、ドライバなどの工具の先端を差込可能な頭部250を有する領域と、ネジ溝が形成された軸部255を有する領域と、を備えており、これら両領域が破断部260によって連結されてなる。
頭部250は、円柱形状を有しており、その頂部にドライバ等の工具が差し込まれる操作溝250aが設けられている。操作溝250aは、頭部250において軸部255とは反対側の面に設けられている。操作溝250aにドライバ等が差し込まれた状態にてそのドライバ等を回転させることにより、軸部255をその軸線を中心として回転させることができる。
なお、頭部250は工具の先端が差し込まれその工具が操作されることにより破断ネジ170による螺着が行われるため、頭部250を「操作部250」と称することも可能である。
軸部255には、上記のとおりネジ溝が形成されており、頭部250に対するドライバによる操作に伴って回転することで、締結対象に形成されたネジ孔内に入り込む。この場合、軸部255には、当該ネジ溝の一部を形成するようにして図示しない突起が形成されているとともに、当該突起は一連のネジ溝に沿って断続的に多数形成されている。かかる突起が締結対象のネジ孔に食い込むことにより、高いゆるみ止め効果が得られる。
破断部260はその強度が他の部位よりも低く設定されたものであり、それ以上締めることができない位置において頭部250に対して上記工具によりさらに所定以上の力を加えることにより、上記破断部260が切断され、頭部250側の領域と軸部255側の領域とが分離されるものである。つまり、破断ネジ170は、螺着後(切断後)において、上記工具を用いて緩める方向へ回転させることを不可とするものである。
詳細には、頭部250側には、頭部250を一端として軸部255側に延びるとともに、頭部250側から軸部255側に延びるにつれその径方向の大きさが縮小される頭部側絞部265aが設けられており、さらに、破断部260の軸部255側には、軸部255側を一端として頭部250側に延びるとともに、軸部255側から頭部250側に延びるにつれその径方向の大きさが縮小される軸部側絞部265bが設けられている。各絞部265a,265bの縮小された側となる互いに向き合う端部は連続しており、当該連続箇所が破断部260となっている。すなわち、破断部260は、他の部位よりも径が小さく形成されていることにより、その強度が他の部位よりも低くなっている。このように破断部260を設けることにより、それ以上締めることができない位置において頭部250に対して上記工具によりさらに所定以上の力を加えた場合に、破断部260が切断され易くなっている。
また、破断ネジ170は、軸部255と破断部260とに挟まれるとともに、軸部255の径方向に拡張された第1拡径部275aを有している。第1拡径部275aの軸部255側には、第1拡径部275aよりも径方向に縮小されるとともに、軸部255の径方向に拡張された第2拡径部275bが設けられている。第1拡径部275a及び第2拡径部275bは連続して設けられている。
破断ネジ170には、ホルダ278が一体化されている。当該ホルダ278について以下に詳細に説明する。ホルダ278は、軸線方向に貫通した貫通孔280を有する円筒状をなしており、破断ネジ170における頭部250から第2拡径部275bの一部を覆うようにして設けられている。この場合、ホルダ278は、貫通孔280の軸線が破断ネジ170の軸線と同一直線上となるように配置されている。
ホルダ278の貫通孔280には軸線方向に複数の段差部が形成されており、これら段差部によって貫通孔280は軸線方向において複数段階で孔径が変更されている。かかる貫通孔280について、詳細には、貫通孔280において一方の開口を含む第1孔部280aは、頭部250の外径よりも大きな孔径となるように形成されており、第1孔部280aを規定する周面は頭部250において操作溝250aが形成された側の周面と対向している。この場合、第1孔部280aの周面と頭部250の周面との間には、隙間が生じている。ちなみに、第1孔部280aの孔長は、頭部250の軸線方向の長さ寸法よりも小さく設定されている。
貫通孔280は、第1孔部280a側の第1開口290aとは反対側の第2開口290bを含み、第1孔部280aよりも拡径された第2孔部280bを有している。第2孔部280bは、破断ネジ170の第1拡径部275aの外径よりも大きな孔径となるように形成されている。この場合、第2孔部280bの周面と第1拡径部275aの周面との間には、隙間が生じている。また、第2孔部280bの孔長は、第1拡径部275aの軸線方向の長さ寸法よりも大きく設定されており、第2孔部280bを規定する周面は第1拡径部275aの周面の全体と対向している。このように第2孔部280bの孔径及び孔長が設定された構成において、上記のとおり第1孔部280aの孔径は、頭部250の外径よりも大きく設定されているため、ホルダ278は、破断ネジ170に対して軸線方向に相対移動可能となっている。そして、この相対移動に際しては、第2孔部280b内において第1拡径部275aが上記軸線方向に移動することとなる。
第2孔部280bの周面において第2開口290bの周縁を規定する部位には、内側に突出し環状をなす環状縮径部278aが一体形成されており、当該環状縮径部278aが形成された部位では、孔径が第1拡径部275aの外径よりも小さくなっている。これにより、第2孔部280b内において第1拡径部275aを第2開口290b側に移動させたとしても、第1拡径部275aと第2拡径部275bとの間における環状の段差面295が環状縮径部278aにおける環状の段差面296に当接することで、それ以上の移動が規制される。かかる規制によって、第2開口290b側からの破断ネジ170の抜けが防止されている。
また、第2孔部280bと第1孔部280aとの間には、第1孔部280aよりも拡径されているとともに、第2孔部280bよりも縮径された第3孔部280cが形成されている。第2孔部280bと第3孔部280cとの間には環状の段差面297が形成されており、第3孔部280cの孔径が第1拡径部275aの外径よりも小さく設定されていることに伴って、第2孔部280b内において第1拡径部275aを第3孔部280c側に移動させたとしても、環状の段差面297に対して第1拡径部275aにおける反第2拡径部275b側の端面300の周縁が当接することで、それ以上の移動が規制される。かかる規制によって、第1開口290a側からの破断ネジ170の抜けが防止されている。
上記のとおり第2孔部280bに対して、第1拡径部275aと第2拡径部275bとの間の段差面295及び第1拡径部275aの上記端面300にそれぞれ対向する段差面296,297が形成されていることにより、第1拡径部275aのホルダ278に対する相対位置が第2孔部280bの範囲内に規定されている。換言すれば、破断ネジ170に対するホルダ278の相対位置として、第1拡径部275aの上記端面300が第2孔部280bと第3孔部280cとの間の段差面297に当接する第1位置と、第1拡径部275aと第2拡径部275bとの間の段差面295が第2孔部280bの環状縮径部278aの段差面296に当接する第2位置とが設定されており、これら第1位置及び第2位置の間の範囲における任意の位置に相対位置を変更可能となっている。
この場合に、破断ネジ170に対するホルダ278の相対位置が第1位置となっている状況において、環状縮径部278aが第2拡径部275bよりも軸部255側に突出しないように、ホルダ278が形成されている。環状縮径部278aが第2拡径部275bよりも軸部255側に移動可能とすると、破断ネジ170により各部材153,154を固定した場合、そのカバー部材154に環状縮径部278aひいてはホルダ278が接触する。この場合、ホルダ278を回転させた場合にその回転力が軸部255に伝わりやすく、ホルダ278を回転させることにより、軸部255が緩むことがある。本実施形態では、ホルダ278が固定対象に接触しないことによりホルダ278を回転させた場合にその回転が軸部255に伝わりにくくなっている。
ここで、破断ネジ170は、上記のとおり破断部260を備えており頭部250側と軸部255側に分離可能となっている。この場合に、ホルダ278には、破断部260の破断後において頭部250をホルダ278内から取り外そうとしても、それを不可とする構造が設けられている。そこで、以下にかかる構造について図21に加え、図22を用いて説明する。図22(a)は、破断部260が破断しており、かつ、ホルダ278が第1位置に位置している状態を示すものである。図22(b)は、図22(a)において、頭部250が傾いた状態を示すものである。図22(c)は、破断部260が破断しており、かつ、ホルダ278が第2位置に位置している状態を示すものである。なお、図22は、各部の長さや範囲を説明するために用いるものであり、部材番号が省略されている。
破断ネジ170に対するホルダ278の相対位置が上記第1位置となっている状況において、頭部250において操作溝250aが形成された側の面(以下、この面を操作面250bという)が第1孔部280a内に入り込んでいるとともに、破断ネジ170に対するホルダ278の相対位置が上記第2位置となっている状況であっても、操作面250bが第1孔部280a内に入り込んだ状態が維持されるように第1孔部280aの孔長が設定されている。詳細には、第1孔部280aの軸線方向の長さY1が、第1位置から第2位置へのホルダ278の移動範囲Y2よりも大きくなっている。そして、ホルダ278が第1位置に位置しており、かつ頭部250が傾いた状態では、操作面250bにおける軸部255側に位置した端部が、第1孔部280aに長さY3だけ入り込んで位置している(図22(b)参照)。また、ホルダ278が第2位置に位置しており、かつ、頭部250が傾いた状態において、操作面250bにおける軸部255側に位置した端部が第1孔部280aに長さY4だけ入り込んで位置している(図22(c)参照)。
上記構成であることにより、ホルダ278の相対位置がいずれの場合であっても、操作面250bが第1孔部280aの径Y5内に位置する。よって、頭部250は、軸線方向と直交する方向には第1孔部280aの径Y5内にて移動することが可能となる。この結果、第1孔部280aの径Y5と頭部250の径Y6にて形成される隙間領域内にて頭部250が移動可能となる。本実施形態では、第1孔部280aの径Y5と頭部250の径Y6とによって形成される隙間領域が小さくなるよう設定されている(ほとんどないように設定されている)。かかる寸法関係とすることにより、頭部250の周面と第1孔部280aの周面とが接した場合を含め、常に、頭部250が第1開口290aからみた軸部255の回転中心軸線を遮蔽することが可能となる。すなわち、頭部250は、破断部260が破断した場合に、常に軸部255の軸線上に位置しており、軸部側絞部265bの反軸部255側の領域において軸部255の軸線が通過する部位を、第1開口290aからみて遮蔽している。
なお、第1孔部280aの径Y5と頭部250の径Y6との関係を変更してもよい。但し、頭部250が軸部255の軸線を遮蔽することが望ましく、詳細には、(径Y5−径Y6)<(径Y6÷2)の関係となっていることが望ましい。
さらにまた、既に説明したように、ホルダ278の貫通孔280には、第1孔部280aよりも拡径させて第2孔部280bが形成されている。これにより、両孔部280a,280bの間には環状の段差面301が形成されている。当該段差面301に対応させて、破断ネジ170において頭部250と頭部側絞部265aとの境界部分には、頭部250の周面よりも径方向外側に突出するようにして係止部としての環状のフランジ部305が一体形成されている。当該フランジ部305は、その外径が第1孔部280aの孔径よりも大きく設定されている。この場合に、破断ネジ170に対するホルダ278の相対位置が上記第1位置となっている状況では、フランジ部305は、上記段差面301よりも第2開口290b側に配置されており、フランジ部305において第1開口290a側を向いたフランジ面310は、上記段差面301と対向している。詳細には、ホルダ278が第1位置に位置しており、軸部255の軸線が操作面250bに直交する場合、フランジ面310から第1,第2孔部280a,280bによって形成される段差面301までの長さY7が、操作面250bからホルダ278外部までの長さY8よりも小さくなっている。上記段差面までの長さY7は、頭部250が軸部255の軸線方向に移動可能な範囲である。頭部250の移動可能範囲を上記端面からホルダ278外部までの距離よりも小さくしたことにより、頭部250が反軸部255側に移動した場合に、頭部250の一部がホルダ278外部に位置することを防止できる。
なお、破断部260が破断する前の状態においてはホルダ278の位置に関係なく、長さY7が0とならないようにホルダ278が形成されている。すなわち、破断部260が破断する前の状態においては、ホルダ278が第1位置に位置している場合に、フランジ面310と上記段差面301とが当接しないようになっている。フランジ面310と上記段差面301とが当接する場合、ホルダ278に外力が加わった場合にその外力が破断部260に伝わりやすくなってしまう。上述したように破断部260はその他の部位よりも強度が低く、破断部260にホルダ278から外力が伝わりやすいとすると、破断ネジ170の輸送中や、破断ネジ170の設置作業中等に意図しない破断部260の破断が発生することが考えられる。ホルダ278の位置にかかわらず長さY7を担保することは、ホルダ278に加わった外力が破断部260に伝わりにくく、破断部260の意図しない破断を抑制するための工夫である。
上記構成であることにより、破断部260が分離された後に、頭部250をホルダ278から抜き取ろうとしても、フランジ面310を段差面301に当接した状態よりも、頭部250を反軸部255側に移動させることができず、頭部250の全てがホルダ278、ひいては第1孔部280aの外部に位置することを抑制できる。
本実施形態では、軸線方向に見て、ホルダ278における貫通孔280が円形にて設けられており、破断ネジ170の各部も円形によって形成されている。これにより、破断ネジ170が回転する場合、ホルダ278によってその回転が阻害されなくなっている。すなわち、破断ネジ170とホルダ278とは、軸部255の回転方向に対して係止される部分がなくなっている。例えば、破断部260が破断した後に、ホルダ278内に樹脂等を流し込むことにより、ホルダ278と破断ネジ170とを一体化させた後にホルダ278を回転させ、軸部255を緩める方向へと回転させる不正行為が考えられる。本実施形態では、ホルダ278と破断ネジ170とに回転方向において係止される部分がないため、樹脂を流し込まれたとしても、ホルダ278と破断ネジ170とが滑りやすく、ホルダ278と破断ネジ170とが一体化されることを防ぐことができる。
ここで、カバー部材154の固定に関する構成について、図9及び図23(a)、(b)を用いて説明する。図23(a)、(b)は図8のD−D線部分断面図である。
図23(a)に示すように、破断ネジ170は、円筒部178の上方からカバー部材154に向かって差し込まれる。そして、破断ネジ170が円筒部178に差し込まれた状態では、図23(b)に示すように破断ネジ170は、円筒部178の孔部178a内に収容されている。すなわち、円筒部178の内部に破断ネジ170におけるホルダ278の全てが収容された状態となり、破断ネジ170は円筒部178によって囲われた状態となっている。このように破断ネジ170を囲う機能に着目すれば円筒部178を「囲い部」又は「収容部」と称することも可能である。破断ネジ170の頭部250(操作溝250a)にドライバ等の工具を差し込み、その工具を操作することにより、軸部255を回転させることができる。軸部255が回転することにより、図23(b)に示すように破断ネジ170における軸部255が受け部材153(裏側構成体102)及びカバー部材154を締結した状態にて固定することができる。
受け部材153及びカバー部材154を連結した後に破断ネジ170における破断部260が切断される場合について説明する。図24(a)は破断ネジ170における破断部260が切断される前の状態を示す概略図であり、図24(b)は破断ネジ170における破断部260が切断された後の状態を示す概略図である。なお、図24(a),(b)は、図23における円筒部178周辺の拡大図である。
軸部255をそれ以上締めることができない状態において、破断ネジ170を締める方向に回転させようとした場合、破断部260が切断される。これにより、受け部材153及びカバー部材154の固定が不正に解除されることを抑制できる。破断ネジ170が破断された場合、頭部250が軸線方向及び軸と直交する方向に移動可能となる(図24(a)→図24(b))。上述したように破断部260が分離された後に、頭部250をホルダ278から抜き取ろうとしても、フランジ面310を段差面301に当接した状態よりも頭部250が反軸部255側に移動することがないため、頭部250が意図しない場所へと移動することがなくなる。これにより、パチンコ機10の組み立て作業において、カバー部材154に破断ネジ170を差し込み、破断部260を分離させた後に、頭部250を回収する作業が必要なくなる。
ホルダ278の相対位置が上記第2位置となっている状況であっても、頭部250が軸部255の軸線に対して任意の位置に傾いた場合に、頭部250の周面が第1孔部280aに当接するようになっている。これにより、頭部250の周面が第1孔部280aに当接するため、分離された後にも頭部250は軸部側絞部265bを第1開口290aから遮蔽する。これにより、第1開口290aから軸部側絞部265bひいては軸部255に直接アクセスされることを抑制できる。
破断ネジ170における第2拡径部275bにおける軸部255側の面には先端が鋭利になっている凹凸部275cが設けられている。凹凸部275cが、カバー部材154に噛み合うことにより、振動等によって軸部255が緩む方向へと回転してしまうことを抑制することが可能となる。
なお、凹凸部275cにおける傾斜は、軸部255が締まる方向へは滑らかなものになっており、軸部255が緩まる方向へは急なものとなっている。これにより、軸部255が緩まる方向への力に対する抵抗力をより大きくすることが可能となる。
ここで、破断ネジ170の製造方法について図25を用いて説明する。
図25(a)は、金属製(例えば、鉄鋼(炭素鋼))のコイルC(ロープ状)を示す図である。このコイルCが破断ネジ170の材料となる。図25(b)では、コイルCの一部分に軸線方向から圧力を加える。詳細には、コイルCの径方向側から治具にて囲った後にコイルCの軸線方向から圧力が加えられる。圧力が加えられることにより、治具が設けられてない部分が治具に沿って径方向に拡張される。径方向に拡張された部分が円柱状となるように径方向から圧力を加える。これにより、破断ネジ170における第2拡径部275bが形成される。
第2拡径部275bを形成した後に、図25(c)に示すようにコイルCの第2拡径部275bを径方向から囲むようにして治具を設置する。治具を設置した後に、図25(b)と同様、コイル状の材料の軸線方向から圧力を加える。コイル状の材料は治具に沿って径方向に拡張され、第2拡径部275bと接するようにして、第2拡径部275bよりも大径の部分が形成される。この大径部分が円柱状となるように径方向から圧力を加えることにより、第2拡径部275bより大径の第1拡径部275aが形成される。
拡径部275a,275bを形成した後に、第2拡径部275bと連続した箇所(第2拡径部275bを挟んで第1拡径部275aと反対側の箇所)に対してネジ溝を形成する。これにより、図25(d)に示すように軸部255が形成される。なお、ネジ溝を形成した後に、ネジ溝が設けられた部分の一部(先端)を切断して軸部255の長さが均一となる工程を設けてもよい。
軸部255を形成した後に、第1拡径部275aを挟んで軸部255とは反対側に設けられた箇所を囲むようにして治具を設置する(図示略)。この治具は、第1拡径部275aよりも小径となっている。治具を設置した後に、コイル状の材料に対して軸線方向かつ、第1拡径部275a方向に向かって圧力を加える。この後に、余ったコイル状の材料を切断する。これにより、図25(e)に示すように、第1拡径部275aを挟んで軸部255とは反対側に径方向に拡張された部分が形成される。図25(f)に示すように、この径方向に拡張された部分の軸部255とは反対側面に対して溝を形成する。これにより、操作溝250aが形成される。
図25の(e),(f)にて形成された径方向に拡張された部分の一部に、図25(g)に示すように、径方向から圧力を加える。これにより、径方向から圧力を加えることにより、径方向に対して縮小された部分が形成される。この縮小された部分が破断部260である。破断部260を形成する工程により、頭部250、頭部側絞部265a及び軸部側絞部265bが形成される。頭部側絞部265aが形成される場合、径方向から圧力が加えられることにより、頭部側絞部265aの頭部250側の一部が頭部250よりも大径となる。この大径部分がフランジ部305である。
その後に、第2拡径部275bにおける軸部255側の面に凹凸を形成するよう溝を形成する。これにより、凹凸部275cが形成される。この段階にてコイルCが破断ネジ170と同形状のネジ部材となる。凹凸部275cを形成した後にそのネジ部材に対してメッキ加工を行う。このメッキ加工はネジ部材が腐食されること等を防ぐための工夫である。
以上の工程を実行することにより、図25(h)に示すようにコイルCから破断ネジ170を製造することが可能となる。なお、上述したコイル状の材料に対して圧力を加えることにより破断ネジ170を製造する必要はなく、金型を用いた型成形により破断ネジ170を製造したり、第1拡径部275aよりも大径のコイル状の材料から削りだすことにより破断ネジ170を製造したりしてもよい。
破断ネジ170を収容するホルダ278を取り付ける場合の工程について図26をもとに説明する。本実施形態では、ホルダ278は、金型に金属材料を流し込んだ後に、その金属材料(例えば、鉄鋼(炭素鋼))を固める型成形により製造される。
ホルダ278は、初期段階では環状縮径部278aが形成されていない。環状縮径部278aが形成される部分には、破断ネジ170を内部に収容した状態にて軸部255の軸線方向へ突出されるとともに、ホルダ278の内周面と面一となっている環状突部278bが設けられている。すなわち、第1孔部280aとは反対側から破断ネジ170の抜き差しが阻害されない。環状突部278bはホルダ278外周面と段差を形成するように設けられている。したがって、環状突部278bは、他の部位より肉厚が小さくなっている。
ホルダ278を取り付ける場合、図26(a)に示すように、ホルダ278における第1孔部280aに破断ネジ170における頭部250が収容された状態となるように、破断ネジ170及びホルダ278を設置する。その後に、軸部255側から環状縮径部278aを形成するよう治具により環状突部278bに圧力を加え、ホルダ278の軸部255側の一部を折り曲げる折曲加工を行う。これにより、図26(b)に示すように環状縮径部278aが形成され、ホルダ278と破断ネジ170とが一体化された状態となる。
なお、本実施形態では、折曲加工を行う場合に、ホルダ278における環状縮径部278aが形成される部分が切断されてしまうことを抑制するために、環状突部278bの基端側の外周(段差部分)には、曲面278cが設けられている。また、環状突部278b外周面とホルダ278外周面との間に段差が設けられていることにより、環状突部278bを内周側へ折り曲げた場合にホルダ278の外周が変形しにくい。この場合、ホルダ278の外周を面一とすることが可能となるため、ホルダ278を設置する場合に、ホルダの設置箇所との隙間を小さくすることが可能となり、不正行為抑止効果を高めることができる。
本実施形態では、軸部255の外径(いわゆる呼び径)が3mmであるが、これに限定されるものではない。例えば、外径を0.3mm〜10mmにすることが可能である。但し、軸部255の外径を1mm〜5mmにするのが望ましい。軸部255の外径を1mm〜5mmとすることにより、軸部255が過度に太くなることがなく、かつ各部材を締結した後に軸部255に適度な強度を持たせることが可能となる。
また、軸部255の外径の大きさを3mmとした場合、以下の寸法とすることが望ましい。
破断ネジ170における頭部250の外径は5mmとなっている。頭部250の外径を変更してもよいが、外径を4mm〜6mmとするのが望ましい。頭部250が大き過ぎると、パチンコ機10に破断ネジ170を設置するスペースを大きく確保する必要があり、頭部250が小さ過ぎると、操作溝250aの大きさが小さくなり破断ネジ170を回転させにくくなるからである。
ホルダ278の外径は破断ネジ170における頭部250の2倍程度が望ましく、本実施形態ではホルダ278の外径が10mmとなっている。ホルダ278の外径を変更することも可能であり、例えば、ホルダ278の外径を7mm〜15mmとすることも可能である。但し、ホルダ278の外径を8mm〜12mmとするのが望ましい。ホルダ278が大き過ぎる場合、ホルダ278を設置するスペースが大きく確保する必要があるからである。また、8mm〜12mmとすることによってホルダ278における第1開口290aの大きさを、ドライバ等の工具を差し込むことを妨げない大きさとすることができるからである。
ホルダ278が破断ネジ170に取り付けられる場合の環状突部278b(図26(a)参照)の厚みは0.5mmとなっているが、これに限定されるものではない。例えば、環状突部278bの厚みを0.3mm〜0.9mmとすることが可能である。但し、環状突部278bの厚みを0.4mm〜0.6mmとするのが望ましい。環状突部278bが厚過ぎる場合は環状突部278bの折曲加工を行いにくく、環状突部278bが薄過ぎる場合には環状突部278bを折り曲げて環状縮径部278aとした場合に、環状縮径部278aの強度が十分に確保できないことが考えられるからである。環状縮径部278aの強度が十分でないと、破断ネジ170を環状縮径部278a側に引き抜こうとした場合、環状縮径部278aが変形して、破断ネジ170が抜けることがあるからである。
本実施形態では、曲面278cの曲率半径が0.3mmとなっているが、これに限定されるものではない。例えば、0.1mm〜1mmとすることが可能である。但し、望ましくは、0.2mm〜0.5mmとするのがよい。また、ホルダ278外周と環状突部278b外周とによって形成される段差量が0.3mmとなっているが、最低0.1mm以上設けられていればよい。曲率半径が大き過ぎる場合、環状突部278bを折り曲げた場合にホルダ278の外周が変形してしまう。また、曲率半径や段差量が小さすぎる場合、その折曲作業が行いにくい。
各寸法を上記のものにすることで、作業性を向上させつつ、その強度を担保することが可能となる。さらには、上記寸法とする場合、加工後の寸法のバラつきを低減することが可能となる。
次に、基板ボックス92に設けられた他の固定構造について簡略に説明する。
図8に示すように、基板ボックス92において表側結合領域141及び裏側結合領域151が設けられた側とは反対側の短辺部には、貼付板部191が設けられている。当該貼付板部191は、表側構成体101に形成された貼付板部と、裏側構成体102に形成された貼付板部とが重ね合わされることにより構成されている。貼付板部191には、両者の境界を跨ぐようにして封印シール192が貼り付けられている。封印シール192は、貼り付けた後に剥がすと粘着剤層が貼付板部191側に残り、再貼付不可となるものである。
なお、基板ボックス92において貼付板部191が設けられた短辺部には、当該貼付板部191を挟むようにして固定部193が設けられており、当該固定部193に対してネジ固定が行われていることで表側構成体101と裏側構成体102とが固定されている。なお、表側構成体101と裏側構成体102との固定に上述した破断ネジ170を用いてもよい。
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図27のブロック図に基づいて説明する。図27では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置63に設けられた主制御基板91には、主制御回路202と停電監視回路203とが内蔵されている。主制御回路202には、CPUチップ93が搭載されている。CPUチップ93には、当該CPUチップ93により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM205と、そのROM205内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM206と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。
CPUチップ93には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。CPUチップ93の入力側には、主制御基板91に設けられた停電監視回路203、払出制御装置82に設けられた払出制御基板211及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路203には電源及び発射制御装置83に設けられた電源及び発射制御基板215が接続されており、CPUチップ93には停電監視回路203を介して電力が供給される。
一方、CPUチップ93の出力側には、停電監視回路203、払出制御基板211及び中継端子板219が接続されている。払出制御基板211には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板219を介して主制御回路202から音声ランプ制御装置66に設けられた音声ランプ制御基板221に対して各種コマンドなどが出力される。
停電監視回路203は、主制御回路202と電源及び発射制御基板215とを中継し、また電源及び発射制御基板215から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。
払出制御基板211は、払出装置78により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU212は、そのCPU212により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM213と、ワークメモリ等として使用されるRAM214とを備えている。
払出制御基板211のCPU212には、入出力ポートが設けられている。CPU212の入力側には、主制御回路202、電源及び発射制御基板215、及び裏パック基板79が接続されている。また、CPU212の出力側には、主制御回路202及び裏パック基板79が接続されている。
電源及び発射制御基板215は、電源部216と発射制御部217とを備えている。電源部216は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御回路202や払出制御基板211等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を二重線矢印で示す経路を通じて主制御回路202や払出制御基板211等に対して供給する。発射制御部217は、遊技球発射機構50の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構50は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
音声ランプ制御基板221は、表示制御装置225を制御するものである。演算装置であるCPU222は、そのCPU222により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM223と、ワークメモリ等として使用されるRAM224とを備えている。
音声ランプ制御基板221のCPU222には入出力ポートが設けられている。CPU222の入力側には中継端子板219に中継されて主制御回路202が接続されており、主制御回路202から出力される各種コマンドに基づいて、表示制御装置225を制御する。表示制御装置225は、音声ランプ制御基板221から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置41を制御する。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
破断ネジ170における軸部255にて受け部材153及びカバー部材154を締結することができる。受け部材153及びカバー部材154を締結させた後には、工具係合部である操作溝250aに所定トルク以上の回転力を加えることにより、軸部255と頭部250とを分離させることができる。頭部250と軸部255とが分離することにより、軸部255を回転させることが不可となり、受け部材153及びカバー部材154の締結が不正に解除されることを抑制できる。また、分離した頭部250がホルダ278によって保持される。これにより、頭部250はホルダ278内に留まることとなり、分離した頭部250を回収する作業が必要なくなる。仮に、分離した頭部250を回収する必要がある構成においては、分離された頭部250を回収しきれなかった場合、その頭部250が遊技球の通路に残存して円滑な遊技球の流通を阻害したり、頭部250が電気部品に干渉してショートしたりする等、不具合や故障の要因ともなり得ると考えられる。よって、本実施形態では、分離した頭部250を回収する必要がないため、パチンコ機10の組み立て作業効率を向上し得るとともに、上記不都合が発生することを抑制できる。
破断ネジ170とホルダ278とが一体化する構成とし、分離した頭部250がホルダ278内に留まる構成とした。この場合、破断ネジ170にホルダ278が設けられているともいえ、各部材153,154の締結を行う場合に破断ネジ170を設置すれば、同時にホルダ278の設置をも行うことができる。よって、頭部250が分離された場合にその頭部250を保持するホルダ278を有した構成において、その組み立て作業が複雑化することを抑制できる。
頭部250をホルダ278にて覆う構成とした。頭部250が分離した場合、頭部250が転がったりして、移動する方向を特定することは困難であるが、頭部250を覆うことにより、頭部250がホルダ278より外部に移動することを抑制できる。よって、ホルダ278以外の部材を設けることなく、分離した頭部250をホルダ278の内部に保持できる。
環状縮径部278aよりも軸部255側に第2拡径部275bが位置しており、その軸部255側の面がカバー部材154に接している。すなわち、環状縮径部278aとカバー部材154との間に隙間が生じている。これにより、環状縮径部278aがカバー部材154と第2拡径部275bとに挟まれて固定されることがなくなる。すなわち、ホルダ278と軸部255とが固定された状態となることを抑制することが可能となる。よって、ホルダ278に対して回転操作が行われた場合に、その回転力が軸部255に伝わることを抑制できる。ホルダ278に対して回転操作が行われた場合に軸部255にその回転力が伝わりやすいとすると、頭部250が分離されたとしてもホルダ278を操作することにより受け部材153及びカバー部材154の締結が不正に解除されてしまう。ホルダ278への回転力が軸部255へと伝わりにくくすることにより、ホルダ278に対して回転操作を行うことによる不正行為を抑制できる。
ホルダ278と、頭部250及び拡径部275a,275bとが接する面が軸線方向に見て円形になっている。この場合、ホルダ278と、頭部250及び拡径部275a,275bとが回転方向に引っかかることを抑制できる。すなわち、ホルダ278と、頭部250及び拡径部275a,275bとが係止されにくいため、頭部250が分離された後にホルダ278が回転操作された場合に、その回転操作により拡径部275a,275b、ひいては軸部255が回転することを抑制できる。
ホルダ278及び破断ネジ170が円筒部178に入り込んだ状態にて設置される。ホルダ278及び頭部250が円筒部178に入り込んでいるため、破断ネジ170における軸線方向と直交する方向から直接軸部255にアクセスされることを抑制できる。
頭部250は、分離された後もその全てが第1孔部280aに入り込んでいる。この場合、頭部250は分離された後に第1孔部280aを遮蔽している。これにより、第1開口290aを介して、第1拡径部275a、ひいては軸部255に直接アクセスされることを抑制している。また、軸部側絞部265bの反軸部255側の領域において軸部255の軸線が通過する部位を、頭部250が第1開口290aからみて遮蔽している。例えば、軸部255を緩める方向へと回転させるためには、軸部255が設けられた側の領域の軸部255の軸線上に位置する部位にアクセスする必要があり、軸線が通過する部位を頭部250が遮蔽していない場合、その部位に接着剤を塗布して工具等と軸部255が設けられた領域とを一体化した後に軸部255を緩める方向へと回転させる不正行為が行われることが考えられる。これに対して本実施形態によれば、上記頭部250による遮蔽により、軸部255の軸線が通過する部位にアクセスされることを防止できるため、上記一体化による不正行為が行われることを防止できる。
<第2の実施形態>
本実施形態では、上記第1の実施形態にて説明した破断ネジ170の構成が異なっている。以下には上記第1の実施形態における破断ネジ170との相違点を中心に説明する。本実施形態における破断ネジ350は、第1の実施形態とはその頭部の形状が異なっている。図28は、第1の実施形態の図24に相当する本実施形態における断面図である。
上記第1の実施形態と異なり、頭部353は、その全ての部位が第3孔部280cに入り込んでおり、その径が第1孔部280aよりも大きくなっている。頭部353の径が第1孔部280aの径よりも大きくなっていることに伴って、第3孔部280c内において頭部353を反軸部255側に移動させたとしても、第1孔部280aと第3孔部280cとによって形成される段差面301と、頭部353における反軸部255側の端面である操作面250bの周縁とが当接することで、それ以上の反軸部255側への移動が規制される。かかる規制によって、第1開口290a側からの破断ネジ350、ひいては破断部260が破断した場合の頭部353の抜けが防止されている。
なお、本実施形態では、頭部353における操作面250bの周縁が上記段差面301と当接するため、第1の実施形態におけるフランジ部305及びフランジ面310が設けられていない。すなわち、破断ネジ350における頭部353の形状を簡易化できるとともに、頭部353の形状を簡易化した場合に、頭部353がホルダ278の外部に移動することを抑制できる。また、本実施形態では、頭部353の全てが第3孔部280cに入り込んでいるため、第1孔部280aにおける軸部255の軸線方向と平行な方向の長さが小さくなっている。
また、第3孔部280cと頭部353とによって形成される軸部255の軸線方向と直交する方向の隙間領域がほとんどできないように設定されている。これにより、頭部353が軸部255の軸線方向と直交する方向のいずれの位置に移動しても、第1開口290aから軸部255側の領域が交わる部位が頭部353により隠される。この結果、破断部260が破断した場合、軸部255側の領域に第1開口290aから直接アクセスされることが抑制されている。
なお、上記隙間領域の大きさを変更してもよい。詳細には、第3孔部280cの径と第1孔部280aの径との差が、第3孔部280cの径と頭部353の径との差の倍よりも大きくなっていればよい。この場合、少なくとも頭部353が軸部255の軸線方向に対して傾いていなければ、第1開口290aから軸部側絞部265bが頭部353により隠される。
本実施形態では、破断部260が破断した場合に、頭部353が傾くことを規制する傾倒規制部355が第1拡径部275aに設けられている。傾倒規制部355は、第1拡径部275aの反軸部255側の端面から頭部353に向かって環状に延びる突出部である。傾倒規制部355は、第1拡径部275aから頭部353に向かって軸部255の軸線方向と平行に、かつ、頭部側絞部265aの外周縁に近接するように設けられている。
破断部260が破断した場合、頭部353は、傾倒規制部355の先端から上記段差面301の間においてのみ移動可能となっている。傾倒規制部355が頭部側絞部265aに近接していることにより、破断部260が破断した後に、頭部353がホルダ278内にて移動可能な領域を狭くすることが可能となる。
また、分離した頭部353が傾こうとした場合、ほんのわずかに傾倒しただけでその頭部353が傾倒規制部355や段差面301に当接する。すなわち、傾倒規制部355や段差面301により頭部353の傾倒範囲を規定している。よって、頭部353がホルダ278内にて大きく傾くことを抑制できる。仮に、頭部353がホルダ278内にて大きく傾倒する場合、第1開口290aから軸部255側の領域が頭部353により遮蔽されない部分が発生することが考えられる。この場合、露出した軸部255側の領域に第1開口290aから不正にアクセスされることが考えられる。これに対して本実施形態によれば、分離した頭部353の傾倒範囲がほとんどないことにより、軸部255側の領域が頭部353により遮蔽されない部分が発生することを抑制し、上記不正なアクセスを抑制できる。
本実施形態においても、破断部260が破断した場合に、頭部353がホルダ278より外部に移動することを抑制できる。この結果、破断部260が破断した場合に頭部353を回収する必要がなくなり、破断部260が破断した場合に頭部353を回収する必要がある構成と比して、パチンコ機10の組み立て作業を良好に行うことが可能となる。
なお、本実施形態において傾倒規制部355が設けられていなくともよい。傾倒規制部355が設けられていなくとも、第1実施形態にて説明した破断部260の破断の後に頭部353がホルダ278外部に移動することを抑制する効果を得ることができる。
<第3の実施形態>
本実施形態では、上記第1の実施形態にて説明した破断ネジ170の構成が異なっている。以下には上記第1の実施形態における破断ネジ170との相違点を中心に説明する。本実施形態における破断ネジ360は、第1の実施形態とはその頭部の形状が異なっている。図29は、第1の実施形態の図24に相当する本実施形態における断面図である。
破断ネジ360における頭部363は、頭部本体363aと、中央凸部363bと、周縁凸部363cとを有している。頭部本体363aは、円柱形状を有している。その頭部本体363aの軸線中心から反軸部255側に向かって円柱形状を有した中央凸部363bが延びており、その頭部本体363aの周縁部から反軸部255側に向かって環状の周縁凸部363cが延びている。中央凸部363bには、その頂部にドライバ等の工具が差し込まれる操作溝250aが設けられている。
本実施形態におけるホルダ365は、第1開口290aの周縁を規定する部位に設けられて内周側に突出するとともに環状をなす環状縮径部367と、環状縮径部367の内周縁から軸部255側に向かって環状に延びる環状突出部369と、を有している。環状突出部369は、頭部363における中央凸部363bと周縁凸部363cとに挟まれて位置している。すなわち、環状突出部369の内周面によって形成される内孔部373に中央凸部363bが入り込んでおり、環状突出部369の外周面とホルダ365の内周面とが対向する領域(以下、この領域を外孔部374と称する)に頭部363における周縁凸部363cが入り込んでいる。中央凸部363bが内孔部373に入り込んでいることにより、第1開口290aからみて中央凸部363bが露出されており、操作溝250aへの工具の差込みが阻害されないようになっている。
頭部363が反軸部255側に移動しようとした場合、頭部本体363aの反軸部255側の端面と環状突出部369の軸部255側の端面とが当接することによって、それ以上の反軸部255側への移動が規制されている。これにより、破断部260が破断した場合に、頭部363のホルダ365からの抜けが防止されている。各端面が当接している場合に、中央凸部363bの反軸部255側の端面が内孔部373内部に入り込むようになっている。すなわち、頭部363がホルダ365内のいずれに位置している場合であっても、中央凸部363b、ひいては頭部363がホルダ365の外部に位置しないようになっている。これは、破断部260が破断した後に、ホルダ365から突出した頭部363を摘んで引き抜く不正行為が行われることを防止するための工夫である。また、本実施形態では、周縁凸部363cと環状突出部369とが軸線方向に対して係止された状態となっており、周縁凸部363c及び環状突出部369によって、頭部363を引き抜く不正行為が行われることを防止する効果を高めている。
各凸部363b,363cが各孔部373,374に入り込んでいる入込長は、頭部363がホルダ365内にていずれの方向に移動したとしても、各凸部363b,363cの全てが各孔部373,374から抜けない長さとなっている。これにより、頭部363は、各孔部373,374内においてのみ軸部255の軸線方向に直交する方向に移動可能となる。すなわち、周縁凸部363cは、内孔部373よりも軸部255の軸線中心からみて外側に位置する。上述したように周縁凸部363cが頭部本体363aの周縁部に設けられているため、頭部363(環状突出部369)が軸線方向と直交する方向にどのように移動したとしても、頭部本体363aによって内孔部373が塞がれる。この結果、破断部260が破断した後に内孔部373から軸部255側の領域に直接アクセスされることが抑制されるようになっている。
さらに、頭部363に周縁凸部363cが設けられていることにより、第1開口290aから樹脂や接着剤等が流し込まれた場合に、その樹脂や接着剤等が破断部260よりも軸部255側へと流れ込むことを抑制する効果が得られる。樹脂や接着剤等が流し込まれる不正行為については第4の実施形態にて詳細に説明する。
<第4の実施形態>
本実施形態では、上記第1の実施形態にて説明した破断ネジ170の構成が異なっている。以下には上記第1の実施形態における破断ネジ170との相違点を中心に説明する。
本実施形態における破断ネジ380は、第1の実施形態とはフランジ部の形状が異なっている。図30は、第1の実施形態の図24に相当する本実施形態における断面図である。
上述したように、第1,第2孔部280a,280bの間には環状の段差面301が形成されている。当該段差面301に対応させて、破断ネジ380において頭部250と頭部側絞部265aとの境界部分には、頭部250の周面よりも径方向外側に突出するようにして係止部としての環状のフランジ部385が一体形成されている。当該フランジ部385はその外径が、第1孔部280aの孔径よりも大きく、かつ、第3孔部280cよりも小さく設定されている。これにより、フランジ部385が、第1孔部280aに入り込むことを防止できるとともに、第3孔部280c内に位置することが可能となっている。
フランジ部385には、第1開口290aから樹脂や接着剤等が流し込まれた場合に、その樹脂や接着剤等が軸部255側へ流れることを防止する防止壁388が設けられている。防止壁388は、フランジ部385の外縁部より上記段差面301に向かって環状に延びており、その先端が上記段差面301と対向している。
第1開口290aより樹脂や接着剤等が流し込まれた場合、その樹脂や接着剤等がフランジ部385における反軸部255側の面に流れ込む。そして、防止壁388の内周面によって、フランジ部385よりも軸部255側へその樹脂や接着剤等が流れ込むことが抑制されている。すなわち、防止壁388とフランジ部385とによって形成される溝部に第1開口290aから流し込まれた樹脂や接着剤等が貯留されるようになっている。
また、頭部250と第1孔部280a内にて軸部255の軸線方向と直交する方向に移動した位置にかかわらず、防止壁388は上記段差面301と対向するようになっている。すなわち、頭部250が移動したとしても第1開口290a、第1拡径部275a及び防止壁388が一直線上に重なることがないようになっている。これは、防止壁388の反軸部255側の端面上にその樹脂や接着剤等が流し込まれ、防止壁388の内周面と頭部250の外周面との間にその樹脂や接着剤等が溜まることなく、当該樹脂や接着剤等が軸部255側の領域に流れ込むことを防ぐための工夫である。
第1開口290aから樹脂や接着剤等を流し込み、ホルダ278と破断ネジ380とを一体化させた後にホルダ278を回転操作することにより、軸部255を緩める方向へと回転させる不正行為が考えられる。この点、防止壁388が設けられていることにより、軸部255側へと樹脂や接着剤等が流れ込むことを防ぎ、上記軸部255を緩める方向へと回転させる不正行為が行われることを抑制できる。特に、流し込まれた樹脂や接着剤等が速乾性のものであったり、粘性の高いものであったりした場合、防止壁388によって、フランジ部385よりも軸部255側へと流れ込む前にその樹脂や接着剤等が固まることが考えられる。この場合、ホルダ278と頭部250とが一体化されることが考えられるが、第1の実施形態にて説明したように、ホルダ278は、第1,第2拡径部275a,275bに対して空回りするようになっている。この結果、ホルダ278と頭部250とを一体化させた後に頭部250を回転させたとしても、ホルダ278と軸部255側の領域とは固定されておらず、その回転力が軸部255側の領域に伝わりにくくなっており、軸部255を緩める方向へと回転されることが抑制できる。
しかしながら、樹脂や接着剤等として粘性の低いものや遅効性のものが用いられた場合、その樹脂や接着剤等が固まる前にフランジ部385よりも軸部255側へと流れ込むことが考えられる。そこで、本実施形態では、環状縮径部278aの内周側が、第2孔部280b側から軸部255に近づくにつれ縮径されている。すなわち、ホルダ278内部において第2開口290bに向かって下る傾斜面390が形成されている。
第1開口290aから樹脂や接着剤等が流し込まれ、防止壁388を乗り越えて樹脂や接着剤等が軸部255側の領域に到達した場合、傾斜面390により、その樹脂や接着剤等がカバー部材154に誘導される(傾斜面390により第2開口290bを介して第1カバー部材154に誘導される)。この場合、その樹脂や接着剤等により、ホルダ278と破断ネジ380とだけでなく、カバー部材154がその樹脂や接着剤等により一体化される。カバー部材154と破断ネジ380、ひいては軸部255とが一体化されることにより、軸部255を緩める方向へと回転させる不正行為が行われることを抑制できる。
さらに、本実施形態では、ホルダ278が、円筒部178の孔部178a内に位置しており、孔部178aとホルダ278とに隙間がほとんどできないようにホルダ278及び孔部178aの径が設定されている。そして、軸部255が各構成体101,102に螺入されている状態において、第2孔部280bと第1拡径部275aとによって形成される軸部255の軸線方向と直交するに隙間が形成されるとともに、環状縮径部278aと第2拡径部275bとによって軸部255の軸線方向と直交する方向に隙間が形成されるようになっている。これにより、樹脂や接着剤等がフランジ部385よりも軸部255側の領域に流れ込んだ場合には、その隙間を介してカバー部材154にその樹脂や接着剤等が到達しやすくなっている。
本実施形態では、防止壁388は主に粘性が高い又は速乾性の樹脂や接着剤等による不正行為を抑制し、傾斜面390は主に粘性が低い又は遅効性の樹脂や接着剤等による不正行為を抑制する。防止壁388及び傾斜面390が設けられていることにより、樹脂や接着剤等を用いた不正行為を抑制する効果を得ることができるとともに、用いられる樹脂や接着剤等の種類によって上記不正行為を抑制する効果が低下することを抑制している。
なお、防止壁388における軸部255の軸線方向の長さ、及び、ホルダ278に向かって延びる角度は特に限定しないが、防止壁388をホルダ278に可能な限り近接させておけば、破断部260が破断した場合に、樹脂や接着剤等が流れ込む隙間(防止壁388とホルダとによって形成される隙間)を小さくすることが可能となる。
また、本実施形態における頭部250(フランジ部385)及びホルダ278(第1孔部280a)の形状を第3の実施形態における頭部363及びホルダ365の形状に変更してもよい。この場合、周縁凸部363cと環状突出部369とが軸線方向に対して係止されているため、第1開口290aから流し込まれた接着剤や樹脂等が軸部255側に流れ込むことを防ぐ効果を高めることが可能となる。
防止壁388は、頭部250から段差面301に向かって延びるものであったが、頭部250の外周面から第3孔部280cの内周面に向かって延びていてもよい。すなわち、頭部250と第3孔部280cとの軸部255の軸線方向と直交する方向に防止壁388が延びていてもよい。この場合でも、防止壁388が設けられていることにより、樹脂や接着剤等が軸部255側へと流れ込むことを抑制できる。なお、弾性を有した合成樹脂材料により防止壁388を構成するとよい。
<第5の実施形態>
本実施形態では、環状縮径部278aに複数の開口が設けられている。かかる構成について図31を用いて説明する。図31(a)は、破断ネジ170が破断する前の状態を示す概略図である。図31(b)は、図31(a)における領域Zを示す拡大図である。なお、図31(a)は、第1の実施形態の図24に相当する本実施形態における断面図である。
本実施形態における環状縮径部278aには、複数の円形の貫通孔400が設けられている。貫通孔400は、頭部250側から軸部255側に貫通している。貫通孔400が設けられていることにより、ホルダ278及び破断ネジ170を一体化させるために第1開口290aから樹脂や接着剤等が流し込まれた場合、その樹脂や接着剤等は貫通孔400を通過してカバー部材154に到達する。これにより、上記第4の実施形態と同様に、その樹脂や接着剤等によってホルダ278と破断ネジ170だけでなくカバー部材154もが一体化される。よって、軸部255とカバー部材154とが一体化され、軸部255を緩める方向へと回転されることが抑制できる。
また、本実施形態では、環状縮径部278aに貫通孔400が設けられているため、環状縮径部278aと第2拡径部275bとにおいて軸部255の軸線方向と直交する方向に隙間を設けなくとも、樹脂や接着剤等をカバー部材154へと到達させることが可能となる。
なお、第4の実施形態にて説明したものと同様に、本実施形態における頭部250(フランジ部385)及びホルダ278(第1孔部280a)の形状を第3の実施形態における頭部363及びホルダ365の形状に変更してもよい。
また、本実施形態では、複数の貫通孔400が設けられていたが、貫通孔400の数は特に限定されるものではなく、貫通孔400が1又は2箇所のみに設けられているものが考えられる。貫通孔400の数を少なくする場合、樹脂や接着剤等をカバー部材154側に流れやすくするため、貫通孔400の径を大きく設けるとよい。但し、貫通孔400の径を大きくした場合、環状縮径部278aの耐久度が低下するおそれがあるため、環状縮径部278aの耐久度を担保した大きさにする必要がある。
また、貫通孔400は円形を有していたが、貫通孔400の形状を変更してもよく、例えば、貫通孔400が矩形状をなしていてもよい。また、複数の貫通孔400を格子状となるように配置する等してもよい。
また、本実施形態及び第4の実施形態にて説明した傾斜面390,貫通孔400及び防止壁388のうちいずれかのみが適用されていてもよい。この場合においても、傾斜面390,貫通孔400又は防止壁388によって、樹脂や接着剤等を用いた所定の不正行為が行われることを抑制することが可能となる。
<第6の実施形態>
上記第1の実施形態では破断ネジ170におけるホルダ278が円筒状をなしていたが、本実施形態では破断ネジ410におけるホルダ420が角筒状をなしている。
ホルダ420が角筒状をなしているのに伴い、カバー部材154に上記第1の実施形態における円筒部178が設けられていない。破断ネジ410の説明に先立ち、本実施形態におけるカバー部材154について説明する。図32(a)は本実施形態におけるカバー部材154を示す正面図であり、図32(b)はカバー部材154の斜視図である。なお、図32(b)では、カバー部材154に破断ネジ410が取付けられていない状態を示している。
本実施形態では、ホルダ420が角形状をなしているのに伴い、第1の実施形態における円筒部178に代えて角筒部421が設けられている。角筒部421は、四角筒状をなしており、その内部に角孔部421aを有している。角筒部421は、その底部に上記第1の実施形態と同様に丸孔179が設けられている。従って、上記第1の実施形態にて説明したように、この破断ネジ410を丸孔179及び連通孔169に挿通させ、ドライバ等の工具を用いて破断ネジ410を取付穴部159にそれ以上締めることができない位置までねじ込むことにより、カバー部材154が裏側構成体102に対して固定された状態となる。
破断ネジ410について図33及び図34を用いて説明する。図33(a),(b)は破断ネジ410及びカバー部材154の分解斜視図であり、図33(c)は破断ネジ410がカバー部材154に差し込まれた状態を示す斜視図である。なお、図33は角筒部421周辺のみを拡大して示している。図34はホルダ420を示すものであり、図34(b)は図34(a)におけるF−F線断面図である。図35は、本実施形態における第1の実施形態の図24に相当する断面図である。
図33(a)等に示すように、破断ネジ410は、ホルダ420とネジ本体430とを有している。ホルダ420にはネジ本体430の一部が収容されている。ホルダ420及びネジ本体430はそれぞれ金属材料によって構成されている。ネジ本体430は、ドライバなどの工具の先端を差込可能な頭部433を有する領域と、ネジ溝が形成された軸部435を有する領域と、を備えており、これら両領域が破断部438によって連結されてなる。頭部433及び軸部435は、上記第1の実施形態における頭部250及び軸部255と同様のため説明を省略する。
破断部438は、頭部433を一端として軸部435側に延びるとともに、頭部433側から軸部435側に延びるにつれその径方向の大きさが縮小される頭部側絞部440aが設けられており、さらに、破断部438の軸部435側には、軸部435側を一端として頭部433側に延びるとともに、軸部435側から頭部433側に延びるにつれその径方向の大きさが縮小される軸部側絞部440bが設けられている。また、破断ネジ410は、軸部435と破断部438とに挟まれるとともに軸部435の径方向に拡張された拡径部443を有している(本実施形態では、上記第1の実施形態の破断ネジ170における第2拡径部275bが設けられておらず、第1拡径部275aの径が異なっている)。
ホルダ420は、金属製の板材を折り曲げることにより形成されている。ホルダ420は、第2規制部としての一対の底板部450と、第1規制部としての天板部453と、それらを連結する一対の連結板部455とを備えている。
ホルダ420を展開した状態では、天板部453を中心として、天板部453の両側に
連結板部455がそれぞれ設けられており、さらに、その両側に底板部450が配置されている。それらの各板部間を全て山折りに折り曲げることにより、全体として直方体状に形成されている。本構成により、ホルダ420の側方のうち連結板部455が設けられていない側方は開放されている。
底板部450は、天板部453の板面と平行な面内に配置されており、一対の底板部450が互いに向き合う端部間に隙間が形成されている。両底板部450には、ネジ本体430における軸部435が通される軸支持凹部460が互いに向き合うようにして設けられている。
底板部450間には、軸部435を軸支持凹部460に設置する場合に、軸部435を軸支持凹部460へと導入する導入口463が設けられている。導入口463は、軸支持凹部460から連結板部455の板面と平行に延びている。すなわち、導入口463は、軸支持凹部460からホルダ420における連結板部455が設けられていない方向へ一対となるように延びている。これにより、ホルダ420における開放された側方よりネジ本体430を導入可能となっている。
導入口463は、第1導入口464と第2導入口465とを有している。第1導入口464は、軸支持凹部460と繋がって設けられるとともに、軸部435の径よりも幅が小さくなっている。第2導入口465は、第1導入口464と繋がって設けられるとともに、軸支持凹部460から離れるにつれ、その開口が幅広となっている。各導入口464,465は、軸支持凹部460を挟んで両側にそれぞれ設けられている。
ホルダ420は、ネジ本体430における頭部433から拡径部443までの範囲を収容するようになっている。すなわち、ホルダ420における底板部450と天板部453
とに、ネジ本体430における頭部433から拡径部443までの領域が挟まれている。本実施形態におけるネジ本体430は、第1の実施形態にて説明したものと第2拡径部275bが設けられていない点を除き、同様の構成となっている。
ホルダ420にネジ本体430を設置する場合、拡径部443が底板部450の反軸部435側の端面に載った状態にて、第2導入口465を形成する底板部450に沿わせるようにして軸支持凹部460側へと移動させる。第2導入口465は、外側に向かって幅広となっているため、ネジ本体430を第2導入口465へと入り込ませやすくなっている。また、軸支持凹部460に向かって幅狭となっているため、第2導入口465を形成する底板部450に沿わせて内側へとネジ本体430を移動させるのみにて、当該ネジ本体430が軸支持凹部460に向かうようになっている。第1導入口464は、軸部435の外径よりも幅狭となっているが、第1導入口464をネジ本体430が通過する場合、ホルダ420を歪ませることによりその通過が阻害されない。さらに、軸部435が軸支持凹部460に入り込んだ後にホルダ420の歪みを自身の復帰弾性力によってなくすことにより、軸部435が軸支持凹部460から第1導入口464へと移動することを抑制できる。よって、軸部435の軸線方向と直交する方向へと、ホルダ420からネジ本体430が抜け落ちることが防止されている。特に、破断ネジ410が角孔部421aに設置されている場合、角筒部421によってホルダ420の周囲が覆われる。これにより、ホルダ420からネジ本体430が抜け落ちることを一層抑制できる。
天板部453は底板部450よりも反軸部435側に設けられており、その中央部に軸線方向に貫通した天板側開口458が設けられている。これにより、パチンコ機10の組み立て作業において天板側開口458から頭部433にアクセスし、軸部435を締める方向へと回転させることが可能となる。
頭部433と頭部側絞部440aとの境界部分には、頭部433の周面よりも径方向外側に突出するようにして係止部としての環状のフランジ部461が一体形成されている。当該フランジ部461は、その外径が天板側開口458の孔径よりも大きく設定されている。これにより、第1の実施形態と同様に、破断部438が破断した後に、頭部433が天板側開口458から抜け落ちることを抑制している。また、ホルダ420が角筒部421に入り込んでいるため、ホルダ420の側方のうち連結板部455が設けられていない側が開放されている場合に、その開放されている側から分離された頭部433が抜け落ちることを抑制している。
破断ネジ410によるカバー部材154及び受け部材153の締結が行われている場合、ホルダ420と角筒部421とによって隙間がほとんど形成されないようになっている。これは、角筒部421内にてホルダ420が回転しないようにするための工夫である。ホルダ420が回転した場合には、その回転力が拡径部443、ひいては軸部435に伝わりやすく、軸部435が緩まる方向へと回転することがある。本実施形態では、破断ネジ410が角筒部421に差し込まれた場合に、ホルダ420の角部(外形)と角筒部421とが当接することにより、ホルダ420が回転することを防止し、軸部435が緩まる方向へと回転することを抑制している。この場合、ホルダ420の角部と角筒部421とが、ホルダ420が回転することを規制する回転規制部として機能している。
なお、本実施形態では、角筒部421の反カバー部材154側の部分には、破断ネジ410が挿入される側に向かってその開口が幅広となるように設けられた幅広部421bが設けられている。幅広部421bは、破断ネジ410(ホルダ420)よりも幅方向に十分に広く形成されており、幅広部421bの周面に沿わせることによって破断ネジ410を角筒部421内へと好適に誘導することが可能となっている。
本実施形態においても、破断部438が分離した場合に、頭部433をホルダ420内部に留めることが可能となる。これにより、上記第1の実施形態にて説明したように、頭部433を回収する作業が必要なくなるとともに、分離した頭部433を回収しきれなかった場合の不具合が発生することを抑制できる。
ホルダ420は、天板部453と底板部450とが連結板部455によって連結されている。これにより、金属製の板材を折り曲げるのみにてホルダ420を製造することが可能となり、ホルダ420の製造工程を簡易化することが可能となる。また、板材にてホルダ420を形成したことに加え、一対の底板部450により軸支持凹部460を形成したため、ネジ本体430を軸支持凹部460に取り付ける場合に底板部450を歪ませることが容易となる。また、軸支持凹部460から一対となるように導入口464を延ばしたことにより、ネジ本体430を設置する場合にホルダ420を歪ませ易くすることが可能となる。さらに、いずれの方向に延びた導入口464からもネジ本体430を設置することができ、ネジ本体430の取り付け作業を簡易化することが可能となる。
また、上記第1の実施形態では、ホルダ278に頭部250を挿入した状態でホルダ278を加工することにより、破断ネジ170を製造するものであったが、本実施形態では、ホルダ420とネジ本体430とを個別に製造しその後にホルダ420にネジ本体430を設置すればよく破断ネジ410の製造工程を簡易なものとできる。
ホルダ420における底板部450には、導入口463が設けられている。これにより、ホルダ420にネジ本体430を設置する設置作業に不具合が生じない。また、破断ネジ410は、角筒部421の内部に設置される。破断ネジ410が角筒部421に覆われることにより、ネジ本体430がホルダ420における導入口463から抜け落ちることを防止できる。
なお、ホルダ420の形状を変更してもよく、ホルダ420が3角、5角、6角形状をなすようにしてもよい。すなわち、ホルダ420が多角筒状をなしていればよい。ホルダ420の角部と角筒部421とが係止されることにより、ホルダ420が回転することを防止できる。この場合、ホルダ420の形状に合わせて角筒部421における角孔部421aの形状を変更すればよい。また、ホルダ420が楕円形をなしていてもよく、この場合、ホルダ420の外周を隙間がない又はほとんどない状態にて覆うように角孔部421aの形状を変更すればよい。すなわち、ホルダ420と角孔部421aとが係止されることにより、ホルダ420が回転しない又は回転しにくい構成となっていればよい。
また、導入口463にネジ本体430が導入口463から抜け落ちることを防止する抜け防止部材を設けてもよい。抜け防止部材として、例えば、導入口463に板バネ等の付勢部材を設けたものが考えられる。この場合、導入口463を塞ぐようにしてその板バネ等を設け、板バネに所定以上の力が加えられることにより、導入口463が開放されるようにすればよい。導入口463が開放された状態では、ホルダ420にネジ本体430を設置することが可能となる。ネジ本体430が設置された後には、板バネに力を加え導入口463を開放させなければ、ネジ本体430がホルダ420から抜け落ちることがなくなる。ネジ本体430とホルダ420とは一体化された状態にて、破断ネジ410として管理されることが考えられる。板バネ等が設けられていない場合、破断ネジ410の管理中にネジ本体430が抜け落ちることが考えられる。本構成を適用すれば、破断ネジ410の管理期間においてはネジ本体430が抜け落ちることを防止できる。
ホルダ420が角筒部421に覆われるようにして設置されるものであったが、ホルダ420が角筒部421に覆われていなくともよい。この場合、ホルダ420の側方から分離した頭部433が抜け落ちないようホルダ420の形状を設定すればよい。
ネジ本体430における拡径部443に上記第1の実施形態にて説明した第1,第2拡径部275a,275bを設けてもよい。この場合、ホルダ420が第2拡径部275bよりも軸部435側へと移動しないようにすれば、上記第1の実施形態にて説明したホルダ420が回転された場合に、その回転力が軸部435へと伝わることを抑制できる。
<第7の実施形態>
本実施形態では、上記第1の実施形態における固定部193に破断ネジ470を用いている。本実施形態における破断ネジ470は、ネジ本体430とホルダ475とを有している。ホルダ475にネジ本体430が収容される。かかる構成について図36及び図37を用いて説明する。図36(a),(b)は各構成体101,102から破断ネジ470を取り外した分解斜視図であり、図36(c)は図36(a)におけるG−G線断面図である。図37は、図36(b)において破断ネジ470を表側構成体101に取り付けた状態におけるH−H線部分断面図である。なお、図36は、固定部193周辺の拡大図である。ネジ本体430については、上記第6の実施形態と同様のものを用いているため説明を省略する。
本実施形態におけるホルダ475について以下に説明する。ホルダ475は、合成樹脂材料により形成されている。ホルダ475は、軸線方向に貫通した貫通孔478を有する円筒状をなしており、ネジ本体430における頭部433から拡径部443を覆うようにして設けられている。貫通孔478は、その軸線がネジ本体430の軸線と同一直線上となるように配置されている。詳細には、ホルダ475には、第1規制部としてのネジ本体430を頭部433側から覆う天板部475aと、第2規制部としてのネジ本体430を拡径部443側から覆う底板部475bと、天板部475aと底板部475bを連結するようにして設けられネジ本体430における軸線方向と直交する方向側を覆う筒板部475cとが設けられている。各板部475a〜475cにより貫通孔478を有した円筒状のホルダ475が形成されるとともに、ネジ本体430における頭部433から拡径部443までの領域が覆われる。
底板部475bには、第2開口480bを含む第2孔部478bを有している。第2孔部478bは、ネジ本体430の軸部435の外径よりも大きな孔径となるように形成されている。第2孔部478bに軸部435が通されるようになっている。
筒板部475cには、軸部435の軸線方向と直交する方向に開放された第3孔部478c(導入口)が設けられている。第3孔部478cは、ホルダ475にネジ本体430を設置するために設けられており、その幅がネジ本体430の径より大きくなっている。ホルダ475は合成樹脂材料によって形成されており、円筒状をなしたホルダ475の側方に開口を形成することにより、第3孔部478cが形成されている。
天板部475aには、第1開口480aを含む第1孔部478aが設けられている。第1孔部478aは、頭部433の外径よりも大きな孔径となるように形成されており、第1孔部478aを規定する周面は頭部433の周面と対向している。すなわち、第1孔部478aの周面と頭部433の周面との間には、隙間が設けられている。第1孔部478aの孔径は、頭部433におけるフランジ部461よりも小さくなっている。これにより、天板部475a側からのネジ本体430の抜け、ひいては、破断部438が破断した場合の頭部433の抜けが防止されている。なお、第1孔部478aの孔径は、軸部435の軸線方向中心から反軸部435側になるにつれ孔径が拡径されている。
底板部475bには、第1開口480aの反対側の第2開口480を含む第2孔部478bから第3孔部478cに向かって延びる導入口483が設けられている。導入口483及び第3孔部478cが設けられていることにより、ホルダ475における軸部435の軸線方向と直交する方向からネジ本体430を好適に設置することが可能となる。なお、導入口483には、第2孔部478bに繋がるとともに軸部435の外径とほぼ同じ幅を有した第1導入口483aと、第1導入口483aと繋がるとともに第3孔部478cに向かって幅広となる第2導入口483bとを有している。これは、導入口483が第2孔部478bを挟んで一対に設けられていない点を除き、第6の実施形態における導入口463と同様となっているため説明を省略する。
本実施形態では、上記第6の実施形態と異なり、ホルダ475は、第2孔部478bから一方向のみ開放されている(すなわち、第2孔部478bからみて一方向のみに第3孔部478c及び導入口483が設けられている)。これにより、ネジ本体430を周囲(側方)から覆う領域を第6の実施形態のものよりも大きくすることが可能となり、第6の実施形態のものよりもホルダ475内にてネジ本体430を安定して支持することが可能となる。ネジ本体430とホルダ475とは、パチンコ機10に設置される前から破断ネジ470として一体化されているものと考えられる。ホルダ475からネジ本体430が抜け落ちやすいとすると、例えば、破断ネジ470をパチンコ機10に設置する作業中において、ホルダ475からネジ本体430が抜け落ちることが考えられる。この場合、パチンコ機10の組み立て作業効率が低下するおそれ等がある。本実施形態によれば、ホルダ475がネジ本体430を安定して支持することが可能となり、ホルダ475からネジ本体430から抜け落ちることを抑制し、上記作業効率が低下するおそれを低減することが可能となる。
ホルダ475における筒板部475cの外周面には、突出部485が設けられている。突出部485は、筒板部475cの外周面から軸部435の軸線方向と直交する方向に突出した第1突出部485aと、第1突出部485aにおける軸部435側の面から軸部435側の方向、かつ軸部435の軸線方向と平行に延びる第2突出部485bとを有している。詳細には、各突出部485a,485bは、筒板部475cにおける第3孔部478cの反対側に設けられている。
表側構成体101における固定部193には、破断ネジ470が差し込まれる差込筒部490が設けられている。差込筒部490は、ホルダ475を収容可能な径を有しており、設置されたホルダ475の軸部435の軸線方向と直交する方向の外周を覆うようになっている。また、ホルダ475と差込筒部490とによって形成される上記軸線方向と直交する方向の隙間がほとんどできないように設定されている。これにより、破断部438が破断した後に頭部433が第3孔部478cから抜けることを抑制することが可能となる。なお、差込筒部490は、表側構成体101から基板ボックス92における短手方向外側に突出するようにして設けられている。
差込筒部490の底部には、破断ネジ470における軸部435が差し込まれる表側締結部101aが設けられている。裏側構成体102には、表側締結部101aと連続するようにして、かつ軸部435がねじ込まれる裏側締結部102aが設けられている。裏側締結部102aに軸部435がねじ込まれることにより、各構成体101,102の締結が行われる。
表側構成体101は、ホルダ475における突出部485が差し込まれる表側差込孔部493を有している。表側差込孔部493には、ホルダ475における第1突出部485aが差込まれる。また、裏側構成体102には、各構成体101,102が組み合わされた状態にて差込孔部493と連続するようにして設けられ、ホルダ475における第2突出部485bが差し込まれる裏側差込孔部495が設けられている。すなわち、各差込孔部493,495によって、軸部435の軸線と平行、かつ、連続したキー溝が形成されている。そして、各突出部485a,485bによりキーが構成されており、そのキー溝に差し込まれるようになっている。
上記構成とすることにより、表側差込孔部493と第1突出部485aとが係止された状態となり、裏側差込孔部495と第2突出部485bとが係止された状態となる。この結果、差込筒部490内にてホルダ475が回転しないようになっている。仮に、差込筒部490内にてホルダ475が回転する場合、ホルダ475が回転した場合の回転力が軸部435に伝わることが考えられる。この場合、ホルダ475を回転させることにより軸部435を緩める方向に回転させる不正行為が行われることが考えられる。これに対して本実施形態では、各突出部485a,485bと、各差込孔部493,495とを設けたことによって差込筒部490内にてホルダ475が回転することを防止している。よって、ホルダ475を回転させることにより軸部435を緩める方向に回転させる不正行為が行われることを抑制できる。
本実施形態では、ホルダ475を合成樹脂材料にて形成したことにより、型成形によりキーを有したホルダ475を良好に製造することが可能としている。また、キー部分が一体形成された状態にてホルダ475を製造することが可能となり、キーを形成する部品を取り付けたものと比べてキー部分の強度を高めることが可能となる。
なお、ホルダ475における第1,第2突出部485a,485bのうち少なくとも一方が設けられていれば、差込筒部490内にてホルダ475が回転することを抑制することが可能となる。また、ホルダ475にキー溝が形成されており、差込筒部490にキーが形成されるようにしてもよい。
また、第6の実施形態にて説明したものと同様に、ホルダ475からネジ本体430が抜け落ちることを防止する抜け防止部材を設けてもよい。また、ホルダ475が差込筒部490に覆われるようにして設置されるものであったが、ホルダ475が差込筒部490に覆われていなくともよい。
<第8の実施形態>
上記各実施形態では、破断ネジ(例えば、破断ネジ170等)における頭部(例えば、頭部250等)を保持するホルダ(例えば、ホルダ278等)が、破断ネジとして一体化されていたが、かかる構成を変更する。すなわち、破断ネジとホルダとが分離されていてもよい。かかる構成について以下に説明する。図38(a)は主制御装置63の構成を示す正面図であり、図38(b),(c)は図38(a)におけるI−I線部分断面図である。
本実施形態における固定部500では、破断ネジ505によって各構成体101,102の締結を行うようになっている。破断ネジ505は、操作溝506を有した頭部507と、溝部が形成された軸部510と、頭部507が設けられた領域と軸部510とが設けられた領域とに挟まれた破断部513とを有している。軸部510がそれ以上回転できない状態にて破断部513に所定トルク以上の力を加えることにより、頭部507が設けられている領域と軸部510が設けられている領域とが分離する。なお、本実施形態において、上記各実施形態において用いた破断ネジ170,350,360,380,410,470のいずれかを用いることも可能である。
表側構成体101には、破断ネジ505を差し込む差込孔511が形成されている。差込孔511には、底面に破断ネジ505における軸部510が差し込まれる表側締結孔514が貫通形成されている。裏側構成体102には、表側締結孔514から連続するとともに、軸部510がねじ込まれる裏側締結孔515が形成されている。軸部510が各締結孔514,515のうち少なくとも裏側締結孔515に螺入されることによって各構成体101,102が固定される。
表側構成体101における差込孔511は、角形状を有している。差込孔511に破断ネジ505を設置した状態で、分離した頭部507を保持するホルダ518が設置される。ホルダ518は、角形状をなしており、破断ネジ505を収容可能な内部空間を有している。詳細には、ホルダ518は、天板部518aと、天板部518aの周縁部から裏側構成体102に向かって延びた壁面部518bとを備えている。ホルダ518は、差込孔511に設置された状態で破断ネジ505を覆うようになっている。また、ホルダ518における壁面部518bには、破断ネジ505の軸線方向と直交する方向に突出するホルダ側係止部520が設けられている。ホルダ側係止部520は、ホルダ518にて対向するように複数(本実施形態では2箇所に)設けられている。差込孔511には、ホルダ側係止部520が差込まれる孔側係止部521が設けられている。各係止部520,521が係止されることにより、ホルダ518を設置した後に、ホルダ518が差込孔511から抜け落ちることを防止している。
ホルダ側係止部520の軸部510側は、軸部510の軸線外側から軸線中心に向かって下る傾斜面520aが形成されている。傾斜面520aが設けられていることにより、ホルダ518を差込孔511に差し込む場合に、ホルダ側係止部520がホルダ518の設置を阻害しないようになっている。詳細には、ホルダ518を設置する場合、ホルダ側係止部520が差込孔511の周面に接触することにより、ホルダ518における壁面部518bが歪む。傾斜面520aが設けられていることにより、係止部520が差込孔511に接触した場合に、向かい合う壁面部518bの離間距離を小さくする方向へとスムーズにホルダ518が歪む。この結果、ホルダ518の差込孔511への設置を好適に行うことを可能としている。なお、ホルダ518を設置する場合の歪みを考慮してホルダ518を金属製の薄板等によって形成することが望ましい。
ホルダ518の天板部518aには、破断ネジ505における操作溝506に工具等を挿入する挿入口523が設けられている。挿入口523は、破断ネジ505の頭部507よりもその径が小さくなっており、破断部513が破断した場合に、頭部507がホルダ518の外部に移動することがないようにしている。
本構成では、ホルダ518が表側構成体101に設置されることによって破断ネジ505における破断部513が分離した後に頭部507がホルダ518外部に移動することを防止できる。また、ホルダ518に挿入口523を設けたことによりホルダ518によって破断ネジ505の操作に不具合が生じない。
なお、本実施形態では、ホルダ518が破断ネジ505の周囲を覆うようにして設けられていたが、ホルダ518と表側構成体101とによって破断ネジ505の周囲が覆われればよく、例えば、表側構成体101が破断ネジ505の軸部510の軸線方向と直交する方向を覆い、ホルダ518が破断ネジ505における反軸部510側の方向を覆うものが考えられる。
また、ホルダ518が破断ネジ505の軸部510の軸線方向と直交する方向を覆い、表側構成体101が破断ネジ505の軸方向を覆うものが考えられる。本構成においては、各構成体101,102の各締結孔514,515の軸線方向と直交する方向から破断ネジ505を取り付けるようにすればよい。予め表側構成体101に工具等を破断ネジ505における操作溝506にアクセスさせるために、頭部507の径より小さい孔部を設けておけばよい。この場合、ホルダ518が、分離した頭部507が軸部510の軸線方向と直交する方向に移動することを規制する蓋部として機能している。
本実施形態では、ホルダ518を表側構成体101に設置することにより、破断ネジの形状に限定されることなく、分離した頭部をホルダ518内に留めることが可能となる。この結果、パチンコ機10を組み立てる場合に、分離した頭部を回収する必要をなくすために、特別な破断ネジを製造する必要がなくなる(既存の破断ネジを使用できる)。
なお、ホルダ518の形状を変更してもよく、例えば、ホルダ518が四角形状以外の多角形状をなしているものや、円柱状をなしているものが考えられる。
<第9の実施形態>
上記第8の実施形態では、表側構成体101にホルダ518を設置するものであったが、ホルダ518が設けられていなくともよい。すなわち、表側構成体101及び裏側構成体102にて分離した頭部507を収容する収容空間を形成する。
図39(a)は、第8の実施形態における図38(b)に相当する本実施形態における断面図である。図39(b),(c)は、図39(a)におけるJ−J線部分断面図である。なお、図39(b)は破断ネジ505を設置する場合の説明図であり、裏側構成体102を図示していない。
本実施形態では、図39(a)に示すように、表側構成体101と裏側構成体102とに囲まれた状態にて破断ネジ505が設置される。かかる構成について破断ネジ505の設置方法と合わせて説明する。
表側構成体101には、破断ネジ505を収容する収容空間が設けられている。その収容空間に破断ネジ505における軸部510よりも頭部507側の領域が収容されている。具体的には、表側構成体101には、破断ネジ505における頭部507側を覆う頭部側板部522aと、表側締結孔514を有した底板部522bと、破断ネジ505を表側構成体101長手方向側から覆う長手側板部522cと、表側構成体101における短手方向側から覆う短手側板部522dとが設けられている。すなわち、各板部によって形成される空間に破断ネジ505が収容されており、表側構成体101における短手方向内側が開放されている。破断ネジ505は、その開放された側より設置されるようになっている。
表側構成体101における表側締結孔514には、破断ネジ505を表側締結孔514に導入するための導入口524が設けられている。導入口524が設けられていることにより、破断ネジ505を表側締結孔514に好適に導入できる。なお、導入口524については、上記各実施形態における導入口463,483と同様の構成となっているため説明を省略する。
破断ネジ505を表側締結孔514に導入した後に、裏側締結孔515に軸部510をねじ込むように裏側構成体102を設置する(図39(a)参照)。裏側構成体102には、裏側規制部525が設けられている。裏側規制部525は、表側構成体101側に突出する突出部である。表側構成体101には、裏側規制部525を表側構成体101内部に誘導する誘導孔528が設けられている。裏側規制部525は、軸部510が裏側締結孔515にねじ込まれるにつれ誘導孔528を介して表側構成体101内部に突出するとともに、破断ネジ505における短手方向内側を塞ぐようになっている。(図39(a),(c)参照)。
裏側規制部525は、誘導孔528を介して頭部側板部522aに向かって延びている。すなわち、裏側規制部525の先端と、頭部側板部522aにおける軸部510側の端面とが対向している。裏側規制部525の先端と、頭部側板部522aにおける軸部510側の端面とが対向している場合の離間距離は、破断部513が破断した場合(軸部510がそれ以上回転できない位置まで裏側締結孔515にねじ込まれている場合)に、分離した頭部507が通過できない大きさとなっている。これにより、頭部507が分離された場合に、各板部522a〜522d及び裏側規制部525によって囲まれた領域にその頭部を保持することが可能となる。
また、頭部側板部522aには、破断ネジ505における操作溝506の軸線上に、当該操作溝506にアクセスするための挿入口530が設けられている。挿入口530は、頭部507の径よりもその径が小さくなっている。
本実施形態によれば、分離した頭部507を保持する部材を新たに設置することなく、各構成体を組み合わせるのみにて分離した頭部507を保持する構成を得ることが可能となる。
<他の実施形態>
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)破断ネジ170,350,360,380,410,470,505(以下、破断ネジ170等と称する)が固定する固定対象(部材)を変更してもよい。例えば、裏パックユニット15を固定する場合に破断ネジ170等を用いてもよい。さらには、主制御基板91の固定や、施錠装置23の固定等に破断ネジ等を用いてもよい。すなわち、取り外し操作の防止が必要な他の部位に上記破断ネジ170等を適用してもよい。
また、固定対象に設けられている破断ネジ170等の数を変更してもよく、1本の破断ネジ170等によって固定されていてもよいし、2本、3本又はそれ以上の本数の破断ネジ170等によって固定対象が固定されていてもよい。
また、各受け部材にそれぞれ個別に対応する複数のカバー部材を設けることも可能である。複数のカバー部材を有する構成においては、それらカバー部材に個々に対応する破断ネジ170等を設けるとよい。
(2)上記第1〜第6の実施の形態では、受け部材153及びカバー部材154を破断ネジ170,350,360,380,410によって一緒に固定する構成としたが、これを変更し受け部材153及びカバー部材154を個別に固定する構成としてもよい。但し、かかる場合、構成の煩雑化や作業性の悪化を招来することが懸念される。故に、望ましくは、受け部材153及びカバー部材154を同一の固定手段によってまとめて固定するとよい。
(3)上記第1〜第6の実施の形態では、破断ネジ170,350,360,380,410の装着方向をカバー部材154及び受け部材153の装着方向と同一となるように構成したが、これに限定されるものではない。例えば、破断ネジ170を基板ボックス92の内側から装着する構成としてもよいし、基板ボックス92の外側から装着する構成としてもよい。
(4)上記第1〜第5の実施形態では、円筒部178とホルダ278,365とは、軸線方向にみてそれぞれ円形状をなしていたが、かかる構成を変更してもよい。例えば、円筒部178又はホルダ278,365の一方に凸部が設けられており、他方にその凸部が差し込まれる凹部が設けられていてもよい。この場合、凸部と凹部が噛み合されることにより、ホルダ278,365が円筒部178の内部にて回転することを抑制できる。ホルダ278,365を回転させることが可能な場合、ホルダ278,365が回転することにより、そのトルクが軸部255に伝わってしまうと、軸部255が緩まる方向に回転することが考えられる。本構成を適用することにより、ホルダ278,365が回転することを防ぐことが可能となり、軸部255が緩まることを一層抑制できる。
なお、凸部及び凹部を設ける構成以外に、ホルダ及びホルダを収容する収容部を角形状(例えば方形状)の非円形状とするものも考えられる。これにより、ホルダが回転することを抑制することが可能となる。但し、収容部は、ホルダの角が接触し、ホルダが回転することを抑制できる大きさにしておくことが望ましい。
(5)上記第1〜第5の実施形態では、破断部260が破断した場合、頭部250が破断部260及び第1拡径部275aの軸線方向に位置し、頭部250が軸部側絞部265bを遮蔽するものであったが、頭部250が軸部側絞部265bを遮蔽しなくともよい。
(6)上記第1〜第5の実施形態では、頭部250,353,363は、円柱状をなしているものであったが、円柱状でなくともよい。例えば、頭部250,353,363が円錐状をなしているものが考えられる。但し、頭部250におけるフランジ部305によって、頭部250,353,363がホルダ278,365より外部に移動することを規制可能な構成とする必要がある。
その他の部材についても同様に、ホルダ278,365の各孔部280a〜280c、各絞部265a,265b、第1及び第2拡径部275a,275bが円形を有していなくともよい。但し、各部材が円形を有していない場合、ホルダ278,365が回転した場合に破断ネジ170が連動して回転することが考えられる。このため、各孔部280a〜280cの径を、各絞部265a,265b及び各拡径部275a,275bの移動を規制しつつ、かつ回転した場合にホルダ278,365に軸線方向と直交する方向の面がホルダ278,365に引っかかることがない大きさにするのが望ましい。
(7)上記第1〜第5の実施形態では、破断ネジ170が設置された場合、ホルダ278,365の全ての部分が円筒部178に収容されるものであったが、円筒部178にホルダ278,365の一部のみが収容されていてもよい。この場合、少なくとも第2拡径部275bを円筒部178にて覆うことにより、ホルダ278,365に覆われていない第2拡径部275bに直接アクセスされることを抑制できる。また、円筒部178とホルダ278,365によって形成される軸線方向と直交する方向の隙間を小さくするとよい。上記隙間を小さくすることにより、円筒部178を、ホルダ278,365が上記軸線方向と直交する方向に移動することを規制する移動規制手段として機能させることが可能となる。
また、円筒部178に代えて、カバー部材154に設けられた凹部に破断ネジ170,350,360,380が設置されるようにしてもよい。
(8)上記第1〜第5の実施形態では、破断ネジ170,350,360,380が設置された場合、ホルダ278,365は固定対象(カバー部材154)に接触しないものであったが、ホルダ278が固定対象に接触するようにしてもよい。例えば、ホルダ278,365における環状縮径部278aが第1拡径部275aに締め込まれる構成としてもよい。
(9)破断ネジ170等における軸部255,435,510(以下、軸部255等と称する)には、断続的に設けられた突出部が設けられており、その突出部に形成されたネジ溝により固定対象を固定するものであったが、軸部255等に連続した螺旋状の溝部が設けられていてもよい。
さらには、ネジの種類を変更してもよく、タップネジ、小ネジ等を用いてもよい。すなわち、締結する場合に操作される操作部が切断されるネジならばいずれの構成であってもよい。
(10)上記第1〜第5の実施形態では、第2拡径部275bの軸部255側の面には、凹凸部275cが設けられていたが、凹凸部275cが設けられていなくともよい。
(11)第1拡径部275aがホルダ278,365より外部に移動することを規制するため環状縮径部278aが設けられていたが、第1拡径部275aがホルダ278,365より外部へ移動することを規制する規制手段が設けられていれば、かかる構成に限定しない。
例えば、ホルダ278,365の軸部255側のうち軸線方向にみて第1拡径部275aと重なり合う位置に突起が設けられていてもよい。
(12)上記第1〜第6の実施形態では、ホルダ278,365,420及び破断ネジ170等を金属材料によって形成している。これは破断ネジ170等及びホルダ278,365,420の強度を高めるための工夫である。なお、ホルダ278,365,420及び破断ネジ170等の材料を変更してもよく、ホルダ278,365,420及び破断ネジ170等の一方又は両方を樹脂材料によって形成してもよい。例えば、ホルダ278を樹脂材料によって形成すれば、ホルダ278,365,420が樹脂材料となり、破断ネジ170等が金属材料となる。この場合、破断部260が破断した後に、ホルダ278,365,420内部に接着剤を流し込んで破断ネジ170等とホルダ278,365,420とを固定しようとした場合に、破断ネジ170等とホルダ278,365,420との材料が異なることにより、破断ネジ170等とホルダ278,365,420とが固定されにくくなる効果が得られる。破断ネジ170等とホルダ278,365,420が固定された場合、ホルダ278,365,420を回転させることにより、軸部255等を緩める方向に回転させる不正行為が行われることが考えられるが、ホルダ278,365,420及び破断ネジ170等を別材料にて形成することにより、破断ネジ170等とホルダ278,365,420とが固定されることを抑制できる。
さらに、カバー部材154及び円筒部178が樹脂材料(具体的には、無色透明のポリカーボネート樹脂)によって形成されているため、ホルダ278,365がカバー部材154及び円筒部178と同一材料によって形成されることとなる。ホルダ278,365とカバー部材154及び円筒部178とを同一材料にすれば、接着剤がホルダ278,365内に流し込まれた場合、破断ネジ170,350,360,380とホルダ278,365とが固定されるよりも、ホルダ278,365と円筒部178及びカバー部材154とが固定されやすくなる。ホルダ278,365が円筒部178又はカバー部材154と固定された場合、ホルダ278,365を回転させることができなくなり、破断ネジ170,350,360,380とホルダ278,365とを固定することによる不正行為が行われることを防ぐことが可能となる。
(13)ホルダ278,365を型成形にて製造する必要はなく、ブロック状(例えば、円筒状や棒状)の金属材料から削りだすことにより製造してもよいし、さらには、円柱状や棒形状の金属材料に圧力を加える変形させることにより製造してもよい(いわゆる圧造成形)。
削り出しによってホルダ278,365を製造する場合、外周面に工具をあて、工具をあてた状態にてホルダ278,365を回転させる(削る)のみでホルダ278,365の外周面に段差ができるように環状突部278bを形成することが可能となる。したがって、環状突部278bを形成するに際して、その加工部分に工具を当てやすく、工具の配置も簡易となる。
また、ホルダ278,365における環状突部278bとなる部分を金属材料等から削りだし、その部分をホルダ278,365に溶接等にて取り付けることも可能である。
(14)ホルダ278,365における環状突部278bは、ホルダ278,365の内周面と面一となるように設けられていたが、ホルダ278,365の外周面と面一となるように設けられてもよい。この場合、環状突部278bによりホルダ278,365の内周面に段差が設けられることとなる。但し、上記実施形態のように、環状突部278bは、ホルダ278,365の内周面と面一となっているほうが、環状突部278bの折曲加工を行いやすいことが考えられる。
また、環状突部278b外周面をホルダ278,365外周面と面一となるようにし、環状突部278b内周面とホルダ278,365内周面との間に段差を形成する場合には、環状突部278bを他の部位(各孔部280a〜280c)とともに塑性変形による加工(圧造)方法により形成するとよい。
(15)上記第1の実施形態において、ホルダ278は、曲面278cと環状突部278bによって環状縮径部278aが形成されるものであったが、円弧状の曲面278cに代えて直線的としてもよい。
但し、環状突部278bからホルダ278の外周面へは少しずつ厚みを増していくのが望ましく、上記実施の形態のように、次第に厚みの増加量が増す円弧状としたり、曲線状としたりすることが望ましい。破断ネジ170とホルダ278とを一体化させる場合に各部位に発生する応力を一定に近づけることが可能となり、各部材のたわみを均一に近づけることができ、上記一体化させる場合に各部材が破損することを抑制できる。さらには、たわみを均一に近づけることができるため、完成したホルダ278に形状のバラつきが発生することを抑制できる。
(16)破断ネジ170における第2拡径部275bとカバー部材154とに挟まれるようにして、軸部255が通される開口を有した板状の部材(座金(ワッシャ))を設けてもよい。この場合、凹凸部275cがなくともよい。
軸部255に緩み防止の加工を施してもよい。例えば、緩み防止用の粘着材料(接着材料)を軸部255に塗布するものが考えられる。また、カプセル状の粘着材料(接着材料)を軸部255に貼り付ける(雌ネジの溝部にカプセルを設置する)ものや、その粘着材料を含んだ樹脂等を軸部255に巻きつけるものが考えられる。
また、上述したその他の破断ネジ350,360,380,410,470,505についても固定対象と当該破断ネジ350,360,380,410,470,505の間に上記開口を有した板状の部材を設けてもよい。
(17)上記第1〜第7の実施形態では、ホルダ278,365,420は、破断ネジ170,350,360,380,410,470と一体化された状態にて設置されるものであったが、かかる構成を変更してもよい。すなわち、第8,第9の実施形態のように、破断ネジ170,350,360,380,410,470と、破断ネジ170,350,360,380,410,470が破断した場合に頭部250,363を保持する保持手段と、が個別に設けられていてもよい。
(18)上記第1の実施形態では、頭部250が分離された場合、頭部250は、第1孔部280aに入り込んでおり、第1孔部280aの幅においてのみ傾くことにより、頭部250が、軸部255が設けられている側を遮蔽するものであったが、かかる構成に限定しない。
ホルダ278の内部空間が大きくなっており、その内部空間にて分離した頭部250を保持するようにしてもよい。この場合、第1開口290aから第1拡径部275aが視認されるようになっていてもよい。この場合においても、パチンコ機10を組み立てる場合に、分離した頭部250を回収する作業が必要なくなる。
(19)上記第1の実施形態では、頭部250は、分離後及び分離前において常に第1孔部280aに入り込んでいるものであったが、かかる構成に限定しない。
例えば、頭部250が分離前、分離後のいずれの場合であっても第3孔部280cにのみ入り込んでいるものが考えられる。すなわち、頭部250が第1孔部280aに入り込むことがなくともよい。この場合、頭部250の径を調整すれば(第1孔部280aより大きく、第3孔部280cより小さい径とすれば)、第1拡径部275aが第1開口290aから直接アクセスされることを分離した頭部250によって抑制することが可能となる。
(20)上記第1の実施形態においてホルダ278が第1位置及び第2位置に移動した場合、頭部250の分離後及び分離前のいずれの場合においても頭部250の一部が常にホルダ278の外部に突出するようにしてもよい。但し、ホルダ278から突出した頭部250が摘まれ、引き抜かれることが考えられるため、円筒部178との隙間を小さくしておくことが望ましい。
(21)上記第1の実施形態においてホルダ278が第1位置及び第2位置のいずれの位置にあっても、頭部250の分離後か分離前かにかかわらず頭部250の反軸部255側の面が第1孔部280aに入り込むようにしてもよい。この場合、頭部250が常にホルダ278から突出することがなく、頭部250が引き抜かれる不正行為が行われることを抑制できる。また、頭部250が第1孔部280aに常に入りこんでいるため、頭部250と第1孔部280aとの隙間を小さくした状態に維持することが可能となり、その隙間から不正行為が行われることを抑制できる。
(22)上記第1〜第5の実施形態では、環状縮径部278aが完全に閉じた環状に形成されていたが、かかる構成に限定しない。すなわち、環状縮径部278aが断続的に設けられていてもよい。この場合、環状突部278bを断続的に設けておけばよい。環状突部278bを断続的に設けることにより、環状突部278bを折り曲げる場合にひずみが生じたとしても、環状突部278bが破損しにくくなる。すなわち、環状突部278bを断続的に設けることにより、ホルダ278,365を破断ネジ170,350,360,380に取り付ける場合の折曲加工を行いやすくすることが可能となる。
(23)上記第1〜第5の実施形態における破断部260の形状を変更してもよい。例えば、各絞部265a,265bが縮径される度合いを変更してもよい。すなわち、各絞部265a,265bにおける軸線方向の長さを変更してもよい。この場合、各絞部265a,265bの軸線方向の長さを等しくしてもよいし、異ならせてもよい。この場合、軸線方向の長さによって各絞部265a,265bによって形成される傾斜角度を変更することが可能となる。
また、軸部側絞部265bの傾斜角度は軸線方向に直交する角度に近い方が望ましい。軸部側絞部265bの傾斜角度が軸線方向に直交する角度に近い場合、仮に、頭部250が軸部側絞部265bを隠さない状態となったとしても、第1開口290aから軸部側絞部265bを摘まむ等の不正行為が行われることを抑制できる。この場合、軸部側絞部265bの軸線方向の長さを短くするか、軸部側絞部265bを大径とすればよい。
また、各絞部265a,265bのみで破断部260を形成する以外に、例えば、円柱部を各絞部265a,265bの間に介在させたものとしてもよい。その他、各絞部265a,265bを省略したものであっても、一部に他の部位よりも切断(破断)され易い箇所さえ有していれば形状は問わない。
(24)破断ネジ505を保持するホルダを以下の構成に変更してもよい。以下の構成においても、破断ネジ505の頭部507が分離した場合に、その頭部507を保持することが可能となる。なお、以下に説明するホルダの設置場所は限定されることがなく、ホルダの構成のみを説明する。
(24−1)本構成におけるホルダ535は円筒形状をなしている。図40(a)はホルダ535を示す概略図であり、図40(b)は図40(a)におけるK−K線断面図である。
ホルダ535は設置孔540を有しており、ホルダ535の底面535aに破断ネジ505の軸部510が通される通し孔541が形成されている。ホルダ535の軸線方向の長さは、破断ネジ505の拡径部443から頭部507までの長さよりも長くなっている。そして、設置孔540が弾性を有した被膜543によって覆われている。被膜543は、合成樹脂材料によって構成されており、ホルダ535の軸線上に開口538を有している。開口545は、破断ネジ505における頭部507よりも径が小さくなっている。上記構成により、ホルダ535内にて破断ネジ505における頭部507が分離した場合に、当該頭部507がホルダ535外部に移動することを規制できる。
また、弾性を有した被膜543でホルダ535覆った。破断ネジ505を差し込む場合、被膜543における開口545に破断ネジ505を差し込むように力を加える。その力が被膜543に伝わることにより開口545が広がり、破断ネジ505をホルダ535内部へと差し込むことが可能となる。破断ネジ505の差込の後には、被膜543に加えられていた力がなくなり、被膜543における開口545が狭まり、頭部507の径よりも小さくなる。上記構成により、ホルダ535に破断ネジ505を設置する場合に、破断ネジ505及びホルダ535に特別な操作を行うことなく、分離した頭部507がホルダ535外部に移動することを規制することができる。
(24−2)本構成におけるホルダ550は円筒形状をなしている。本構成では、図41(a)は本実施形態におけるホルダ550を示す概略図であり、図41(b)〜(d)は図41(a)におけるL−L線部分断面図である。
ホルダ550は設置孔555を有しており、ホルダ550の底面550aに破断ネジ505の軸部510が通される通し孔558が形成されている。底面535aの反対側にて設置孔555の周縁を規定する部位には、内側に突出し環状をなす環状縮径部550bが設けられている。環状縮径部550bの底面550a側の面に付勢手段としての板バネ560が設けられている。板バネ560は、板部563と付勢部565とを有している。
板部563は、長板状をなしており、一端が環状縮径部550bの底面550a側の面に接しており、他端が板部563全体にて設置孔540を遮蔽するように環状縮径部550bの底面535a側に延びている。すなわち、板部563は、一端が環状縮径部550bと接しており、他端が環状縮径部550bよりも底面550a側に位置している。また、板部563の幅方向の長さは、当該板部563と設置孔540とによって形成される隙間が破断ネジ505における頭部507の径よりも小さくなっている。
付勢部565は、板部563の環状縮径部550bよりも底面550a側に位置している端部に設けられている。詳細な説明は省略するが、付勢部565は、当該付勢部565を基点として板部563を回転可能に保持するとともに、ホルダ550外側の方向へと板部563に付勢している。これにより、板部563に対して外力が加えられていない場合、板部563の一端が環状縮径部550bの底面550a側に接した状態となる。板部563の回転可能な範囲は、ホルダ550の周面と平行となるまでとしている(図41(b),(d)における一点鎖線にて示す板部563)。上記構成により板部563は、ホルダ550の周面に対して平行となる位置から環状縮径部550bと接するまでの範囲において回動可能となっている。
破断ネジ505をホルダ550に差し込む場合、図41(c)に示すように、破断ネジ505における軸部510にて板部563を底面550a側に押し込む。軸部510に押されることにより、板部563に底面550a側の方向に外力が加わることとなり、板部563がホルダ550と平行となる方向に回動する。これにより、破断ネジ505をホルダ550内部に差し込むことが可能となる。破断ネジ505における軸部510を通し孔558に通した場合、板部563に加えられていた外力がなくなり、板部563が環状縮径部550bに接する位置に回動する。破断ネジ505を操作するため工具等を差し込む場合も同様に、板部563に外力を加え当該板部563を回転させることにより破断ネジ505を操作することが可能となる。また、板部563は、環状縮径部550bの底面550a側の面に接しているため、板部563がそれ以上環状縮径部550b側に回動することを防止している。この結果、破断ネジ505における破断部513が分離した場合には、頭部507がホルダ550の外部に移動することを板部563によって防止できる。
(25)上記第1の実施形態では、第2拡径部275bが設けられており、第2拡径部よりホルダ278が軸部255側へ移動せず、ホルダ278とカバー部材154との間に隙間が設けられていたが、ホルダ278とカバー部材154とが接するようにしてもよい。この場合、破断部260が破断した場合に軸部255側の領域にホルダ278が締結されないようにすればよい。本構成によれば、ホルダ278とカバー部材154とが接しているとしても、ホルダ278が回転された場合にその回転力が軸部255側に伝わることを抑制できる。
(26)上記第1の実施形態では、破断部260が破断した場合、頭部250は、第1孔部280aの内周面に接することによってそれ以上の傾倒が規制されるものであったが、かかる構成を変更してもよい。すなわち、破断部260が破断した場合、頭部250が第1拡径部275aに当接するまで傾倒するように第1孔部280aを形成してもよい。この場合、第1拡径部275aが、頭部250がそれ以上傾倒することを規制する傾倒規制部として機能しているといえる。なお、第1拡径部275aは、軸部255の軸線方向と直交する方向に延びているものであったが、傾倒規制部として機能させる場合、拡径されるにつれ頭部250側に延びるように形成すれば、頭部250が傾倒する範囲を狭めることが可能となる。
(27)上記第6の実施形態では、ホルダ420における軸部255の軸線方向と直交する方向において連結板部455が設けられていない側方は開放されているものであったが、ホルダ420の側方が全て塞がれていてもよい。この場合、上記第6の実施形態にて開放されていた側方に、もう一対の連結板部455を設置すればよい。
また、ホルダ420にネジ本体430を設置した後にホルダ420の側方を塞ぐようにすれば、導入口463からネジ本体430が抜け落ちることを抑制できる。さらに、このホルダ420を製造する場合、天板部453を中心としてその周囲に連結板部455をそれぞれ設け、その状態から連結板部455を折り曲げるようにすれば、天板部453と各連結板部455との間に隙間が形成されることがなく、破断ネジ410を設置した状態にて天板部453側から不正にアクセスされることを抑制することが可能となる。
(28)上記第6の実施形態では、一対の底板部450が互いに向き合うことによって導入口463を形成するものであったが、底板部450の少なくとも一部が互いに重なるように設けられていてもよい。この場合、ホルダ420が歪み、底板部450の重なりがなくなった場合に導入口463が形成されネジ本体430を設置することが可能となる。本構成においては、ネジ本体430を設置した後には、底板部450の重なりを解除しなければネジ本体430がホルダ420から外れることがなく、ホルダ420からネジ本体430が抜け落ちることを抑制することが可能となる。
(29)上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
また、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも本発明を適用できる。
(27)上記各実施形態を相互に適用したものについて一例を挙げて説明する。例えば、上記第1の実施形態における破断ネジ170に上記第2の実施形態における傾倒規制部355を設けたものが考えられる。本構成においては、破断部260が分離した後に頭部250が移動可能となる範囲を傾倒規制部355により規制することができる。この場合、傾倒規制部355の長さを調整することにより、分離した頭部250が軸部255側へ移動する範囲を小さくしたり、頭部250が傾く傾倒角度を調整したりすることが可能となる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
特徴A1.遊技機構成部材である第1部材(受け部材153)と第2部材(カバー部材154)とがネジ部材(破断ネジ170)により締結されてなる遊技機であって、
前記ネジ部材は、
前記第1部材又は第2部材の少なくとも一方に対してネジ結合されるネジ溝を含む軸部(軸部255)と、
その軸部を回転操作する工具が係合される工具係合部を含む頭部(頭部250)と、
これら軸部及び頭部を連結するとともに、その工具係合部に所定トルク以上の回転力が加えられることにより前記軸部から前記頭部を分離させる分離部(破断部260)と、
を備えており、
前記分離部によって前記軸部から前記頭部が分離された場合に当該頭部を所定位置又は所定範囲内に保持する保持部(ホルダ278)が設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴A1によれば、ネジ部材における軸部にて第1部材及び第2部材を締結することができる。第1及び第2部材を締結させた後には、工具係合部に所定トルク以上の回転力を加えることにより、軸部と頭部とを分離させることができる。頭部と軸部とが分離することにより、頭部を介して軸部を回転させることが困難となり、第1及び第2部材の締結が不正に解除されることを抑制できる。また、分離した頭部が保持部によって保持される。
仮に、保持部が設けられていない遊技機においては、頭部と軸部とを分離させた場合、頭部を回収する必要性が考えられる。この場合、ネジ部材をねじ込んだ後に分離した頭部の回収作業が煩雑となって組み立て作業効率が低下するおそれがある。分離された頭部を回収しきれなかった場合、その頭部が遊技球等の遊技媒体の通路に残存して円滑な遊技媒体の流通を阻害したり、頭部が電気部品に干渉してショートしたりする等、不具合や故障の要因ともなり得ると考えられる。これに対して本特徴によれば、ネジ部材における頭部が分離した場合には、その頭部が保持部に保持される。これにより、頭部は所定位置又は所定範囲に留まることとなり、上記不都合が発生することを抑制できる。よって、頭部が分離されるネジ部材を用いた遊技機を組み立てる場合に、頭部の回収を要しないため、その組み立て作業効率を向上し得るとともに、分離された頭部による不具合を低減させることができる。
特徴A2.特徴A1において、前記ネジ部材は、前記軸部の軸線方向と略直交する方向へ拡張された拡張部(第1及び第2拡径部275a,275b)を更に備え、
前記拡張部は、前記分離部よりも前記軸部側でありかつ前記分離部と前記軸部との間に設けられており、
前記保持部は、前記軸線方向に離間した位置に第1規制部(環状縮径部278aによって形成される段差面296)及び第2規制部(第1孔部280aと第3孔部280cとによって形成される段差面301)を一体に有した状態で前記ネジ部材に設けられており、
前記頭部及び前記拡張部は、前記第1規制部と前記第2規制部とによって挟まれた領域に配置されており、
前記第1規制部によって前記頭部の反軸部側への移動が規制されるとともに、前記第2規制部によって前記拡張部の反頭部側への移動が規制されることを特徴とする遊技機。
特徴A2によれば、保持部における第1規制部及び第2規制部に頭部及び拡張部が挟まれている。すなわち、頭部及び拡張部は保持部の所定範囲内に位置することとなる。この場合、ネジ部材に保持部が設けられているともいえ、第1,第2部材の締結を行う場合にネジ部材を設置すれば、同時に保持部の設置をも行うことができる。よって、頭部が分離された場合にその頭部を保持する保持部を有した構成において、その組み立て作業が複雑化することを抑制できる。
特徴A3.特徴A2において、前記保持部は、前記頭部及び拡張部の前記軸線方向に沿った外周側を覆う筒部を更に備え、
前記筒部の軸線方向両端に前記第1規制部及び第2規制部が設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴A3によれば、拡張部及び頭部が筒部に覆われている。頭部が分離した場合、頭部が転がる等、分離した頭部の移動する方向を特定することは困難であるが、拡張部及び頭部を覆うことにより、頭部が保持部より外部に移動することを抑制できる。よって、保持部を有するネジ部材のみによって、分離した頭部を保持部の内部に保持することができる。
特徴A4.特徴A2において、前記第1規制部及び第2規制部は、前記軸線方向と略直交する方向に延びる薄板部であり、
前記各規制部を連結するようにして設けられ、薄板部にて形成された連結部(連結板部455)を有していることを特徴とする遊技機。
特徴A4によれば、第1規制部及び第2規制部が薄板部であり、各規制部が連結部によって連結されている。連結部が各規制部と同様に薄板部であるため、板材を折り曲げることによって第1規制部及び第2規制部が連続した保持部を製造することが可能となる。
特徴A5.特徴A3又はA4において、前記第2規制部は、前記ネジ部材の一部を前記保持部内側から外側へと通す貫通孔(第2孔部280b)を有しており、
前記保持部は、その外部から前記貫通孔に前記ネジ部材を導入する導入口(導入口464)を有していることを特徴とする遊技機。
特徴A5によれば、保持部にネジ部材を導入する導入口が設けられている。これにより、ネジ部材の外周側が筒部に覆われている場合又は各規制部を連結する連結部が設けられている場合に、その筒部や連結部によって保持部にネジ部材を設置する設置作業に不具合が生じない。
特徴A6.特徴A5において、前記保持部は、前記軸線方向と略直交する方向の少なくとも一部に前記頭部が通過可能に開放された開放部(ホルダ420の側方のうち連結板部455が設けられていない側方)が設けられており、
前記導入口は、前記軸線方向と略直交する方向に延びて前記開放部と同じ側に開放されていることを特徴とする遊技機。
保持部とネジ部材とは、第1規制部及び第2規制部により軸部の軸線方向への移動が規制されている。軸線方向と略直交する方向に延びて開放部と同じ側に開放されるように導入口を設けることにより、各規制部による規制方向とネジ部材の取り付け方向が異ならせることが可能となる。よって、導入口よって各規制部によるネジ部材の移動の規制が阻害されることを抑制できる。
特徴A7.特徴A6において、前記導入口は、前記貫通孔の中心側から前記保持部の外周側へと延びるにつれ幅広となるように設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴A7によれば、導入口は貫通孔の中心側から保持部の外周側へと延びるにつれ幅広となっている。保持部にネジ部材を設置する場合に、導入口に沿って移動させることにより、ネジ部材が貫通孔へと誘導される。よって、保持部にネジ部材を取付ける作業を簡易化することが可能となる。
特徴A8.特徴A2乃至A7のいずれか1において、前記第1規制部は、前記工具係合部に工具が通される通し孔(第1開口290a)を有していることを特徴とする遊技機。
特徴A8によれば、第1規制部に工具が通される開口が形成されている。これにより、分離した頭部を保持する保持部が設けられている場合に、工具を工具係合部に通すことに不都合が生じない。すなわち、第1規制部によって遊技機の組み立て作業が阻害されることを抑制できる。
特徴A9.特徴A2乃至A7のいずれか1において、前記第1規制部は環状に形成されており、
その内周側の開口が前記工具係合部に工具が通される通し孔(第1開口290a)とされていることを特徴とする遊技機。
特徴A9において、第1規制部に工具が通される開口が形成されている。これにより、分離した頭部を保持する保持部が設けられている場合に、工具を工具係合部に通すことに不都合が生じない。すなわち、第1規制部によって遊技機の組み立て作業が阻害されることを抑制できる。
特徴A10.特徴A2乃至A9のいずれか1において、前記ネジ部材は、各部材のうち、前記第1部材側から差し込まれるものであり、
前記第2規制部が前記ネジ部材と前記第1部材とによって挟持されないように構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴A10によれば、第1部材とネジ部材(拡張部)とに挟まれて固定されないよう第2規制部が形成されている。これにより、保持部と軸部とが固定された状態となることを抑制することが可能となる。よって、保持部に対して回転操作が行われた場合に、その回転力が軸部に対して伝わることを抑制できる。保持部に対して回転操作が行われた場合に軸部に回転力が伝わりやすいとすると、頭部が分離されたとしても保持部を操作することにより第1部材及び第2部材の締結が不正に解除されることが考えられる。この点、保持部への回転操作が軸部へと伝わりにくくすることにより、保持部に対して回転操作を行うことによる不正行為を抑制できる。
特徴A11.特徴A2乃至A10のいずれか1において、前記第2規制部は、貫通孔(第2孔部280b)を有しているものであり、
前記拡張部よりも前記軸部側には、前記第2規制部における前記貫通孔を介して前記保持部から軸部側へ突出する突出部(第2拡径部275b)が設けられており、
前記突出部は、前記第1部材又は前記第2部材のうち前記ネジ部材の差込側の部材面に当接するように前記軸部の軸線方向と略直交する方向へ拡張されていることを特徴とする遊技機。
特徴A11によれば、第2規制部の貫通孔を介して突出部が突出しており、その突出部がネジ部材の差込側の部材面に当接する。すなわち、第2規制部と差込側の部材面との間に隙間が生じている。突出部が第2規制部を介して軸部側へ突出することにより、第2規制部が第1部材と拡張部とに挟まれて固定されることを抑制でき、保持部と軸部とが固定された状態となることを抑制することが可能となる。よって、保持部に対して回転操作が行われた場合に、その回転力が軸部に対して伝わることを抑制できる。保持部に対して回転操作が行われた場合に軸部に回転力が伝わりやすいとすると、頭部が分離されたとしても保持部を操作することにより第1部材及び第2部材の締結が不正に解除されることが考えられる。この点、保持部への回転操作が軸部へと伝わりにくくすることにより、保持部に対して回転操作を行うことによる不正行為を抑制できる。
特徴A12.特徴A2乃至A10のいずれか1において、前記第2規制部は、貫通孔(第2孔部280b)を有しているものであり、
前記拡張部よりも前記軸部側には、前記第2規制部における前記貫通孔を介して前記保持部から軸部側へ突出する突出部(第2拡径部275b)が設けられており、
前記突出部の前記軸線方向の長さが前記第2規制部の前記軸線方向の長さよりも長くなっていることを特徴とする遊技機。
特徴A12によれば、突出部の軸線方向の長さが第2規制部の軸線方向の長さよりも長くなっている。すなわち、拡張部と部材面との間に隙間が形成されており、その隙間の軸線方向の長さが第2規制部の軸線方向の長さよりも長くなっている。これにより、第2規制部が第1部材と拡張部とに挟まれて固定されることを抑制でき、保持部と軸部とが固定された状態となることを抑制することが可能となる。よって、保持部に対して回転操作が行われた場合に、その回転力が軸部に対して伝わることを抑制できる。保持部に対して回転操作が行われた場合に軸部に回転力が伝わりやすいとすると、頭部が分離されたとしても保持部を操作することにより第1部材及び第2部材の締結が不正に解除されることが考えられる。この点、保持部への回転操作が軸部へと伝わりにくくすることにより、保持部に対して回転操作を行うことによる不正行為を抑制できる。
特徴A13.特徴A2乃至A10のいずれか1において、前記第2規制部は環状に形成されており、
前記拡張部よりも前記軸部側には、前記第2規制部の内周側開口を介して前記保持部から軸部側へ突出する突出部(第2拡径部275b)が設けられており、
前記突出部は、前記第1部材又は前記第2部材のうち前記ネジ部材の差込側の部材面に当接するように前記軸部の軸線方向と略直交する方向へ拡張されていることを特徴とする遊技機。
特徴A13によれば、第2規制部の内周側開口部より突出部が突出しており、その突出部がネジ部材の差込側の部材面に当接する。すなわち、第2規制部と差込側の部材面との間に隙間が生じている。突出部が第2規制部を介して軸部側へ突出することにより、第2規制部が第1部材と拡張部とに挟まれて固定されることを抑制でき、保持部と軸部とが固定された状態となることを抑制することが可能となる。よって、保持部に対して回転操作が行われた場合に、その回転力が軸部に対して伝わることを抑制できる。保持部に対して回転操作が行われた場合に軸部に回転力が伝わりやすいとすると、頭部が分離されたとしても保持部を操作することにより第1部材及び第2部材の締結が不正に解除されることが考えられる。この点、保持部への回転操作が軸部へと伝わりにくくすることにより、保持部に対して回転操作を行うことによる不正行為を抑制できる。
なお、「前記第2規制部は環状に形成されており」とは、第2規制部が環状に連続して設けられているものだけでなく、第2規制部が環状に断続して設けられているものが含まれる。第2規制部が環状に断続して設けられている場合、第2規制部を「軸部の軸線方向と略直交する方向における保持部の外周側から内周側開口の中心側に向かって延びる第2規制突出部」とすることも可能である。
特徴A14.特徴A2乃至A10のいずれか1において、前記第2規制部は環状に形成されており、
前記拡張部よりも前記軸部側には、前記第2規制部の内周側開口を介して前記保持部から軸部側へ突出する突出部(第2拡径部275b)が設けられており、
前記突出部は、前記第1部材又は前記第2部材のうち前記ネジ部材の差込側の部材面に当接するように前記軸部の軸線方向と略直交する方向へ拡張されており、
前記突出部の前記軸線方向の長さが前記第2規制部の軸線方向の長さよりも長くなっていることを特徴とする遊技機。
特徴A14によれば、突出部の軸線方向の長さが第2規制部の軸線方向の長さよりも長くなっている。すなわち、拡張部と部材面との間に隙間が形成されており、その隙間の軸線方向の大きさが第2規制部の軸線方向の長さよりも長くなっている。これにより、第2規制部が第1部材と拡張部とに挟まれて固定されることを抑制でき、保持部と軸部とが固定された状態となることを抑制することが可能となる。よって、保持部に対して回転操作が行われた場合に、その回転力が軸部に対して伝わることを抑制できる。保持部に対して回転操作が行われた場合に軸部に回転力が伝わりやすいとすると、頭部が分離されたとしても保持部を操作することにより第1部材及び第2部材の締結が不正に解除されることが考えられる。この点、保持部への回転操作が軸部へと伝わりにくくすることにより、保持部に対して回転操作を行うことによる不正行為を抑制できる。
また、本特徴又は特徴A13を特徴A5乃至A8のいずれかに適用する場合、特徴A5乃至A8における「貫通孔」と、本特徴又は特徴A13における「内周側開口」とは同一のものを用いてもよい。
特徴A15.特徴A2乃至A14のいずれか1において、前記保持部は、前記頭部及び拡張部の前記軸線方向に沿った外周側を覆う円筒部であり、
前記頭部及び拡張部は、前記軸線方向からみた外周形状が円形状となっていることを特徴とする遊技機。
特徴A15によれば、保持部と、頭部及び拡張部とが接する面をいずれも円形とすることで、保持部と、頭部及び拡張部とが回転方向に引っかかることを抑制できる。これにより、頭部が分離された後に保持部が回転操作された場合に、その回転操作により拡張部、ひいては軸部が回転することを抑制できる。
また、保持部を円筒部にて構成した場合、保持部内に樹脂等を流し込み、保持部とネジ部材とを一体化させた後に保持部が回転操作されることにより、第1及び第2部材の締結が解除されることが考えられる。この場合、保持部と、頭部及び拡張部とが係止されにくいため、樹脂を流し込まれたとしても、ネジ部材と保持部材とが滑りやすく、ネジ部材と保持部材とが一体化されることを抑制できる。
特徴A16.特徴A1乃至A15のいずれか1において、前記ネジ部材は前記第1部材側からネジ込まれるものであり、前記第1部材に、前記保持部及び頭部を収容する収容凹部(円筒部178)を備えたことを特徴とする遊技機。
特徴A16によれば、保持部及び頭部が第1部材の収容凹部に入り込んだ状態にて設置される。保持部及び頭部が収容凹部に入り込んでいるため、ネジ部材における軸線方向と略直交する方向から直接軸部にアクセスされることを抑制できる。特に、特徴A10及びA11では、第1部材と保持部との隙間が生じるため、その隙間から軸部にアクセスする不正が行われる可能性がある。これに対して本特徴を適用すれば、収容凹部により隙間を遮蔽することが可能となり、上記隙間から軸部にアクセスされることを抑制できる。なお、収容凹部は、一体形成(第1部材に)されているのが好ましい。
また、特徴A5乃至A7では、保持部にネジ部材を導入する導入口が設けられているため、保持部にネジ部材を取付けた後にその導入口からネジ部材が抜け落ちることが考えられる。これに対して本特徴によれば、収容凹部に保持部及び頭部が収容されることにより、収容凹部により導入口を塞ぐことが可能となる。よって、保持部からネジ部材が抜け落ちることを抑制できる。
特徴A17.特徴A1乃至A16のいずれか1において、前記ネジ部材は前記第1部材側からネジ込まれるものであり、
前記保持部及び前記第1部材のうち、いずれか一方に係止凸部(突出部485)が設けられており、他方に前記係止凸部が差し込まれる係止凹部(差込孔部493、裏側差込孔部495)が設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴A17によれば、保持部と第1部材とは、係止凸部と係止凹部とによって係止されて固定されている。これにより、ネジ部材及び保持部を遊技機に設置した後に保持部が回転することを抑制できる。仮に、保持部が回転可能な構成においては、保持部に対して回転操作が行われた場合に、その回転力が軸部に対して伝わることが考えられる。保持部に対して回転操作が行われた場合に軸部に回転力が伝わると、頭部が分離されたとしても保持部を操作することにより第1部材及び第2部材の締結が不正に解除されることが考えられる。この点、保持部を回転しにくくすることにより、保持部に対して回転操作を行うことによる不正行為を抑制できる。
なお、本特徴によれば、係止凸部と係止凹部とによって保持部が回転することが規制されているため、「係止凸部」と「係止凹部」とを総称して「回転規制部」とすることをも可能である。この場合、保持部及び第1部材に保持部が回転することを規制する回転規制部が設けられていることとなる。
特徴A18.特徴A1乃至A17のいずれか1において、前記保持部は、その外周面に角部を有しており、
前記第1部材に、前記角部が係止される係止部が設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴A18によれば、保持部における角部が係止されている。これにより、ネジ部材及び保持部を遊技機に設置した後に保持部が回転することを抑制できる。仮に、保持部が回転可能な構成においては、保持部に対して回転操作が行われた場合に、その回転力が軸部に対して伝わることが考えられる。保持部に対して回転操作が行われた場合に軸部に回転力が伝わると、頭部が分離されたとしても保持部を操作することにより第1部材及び第2部材の締結が不正に解除されることが考えられる。この点、保持部を回転しにくくすることにより、保持部に対して回転操作を行うことによる不正行為を抑制できる。
なお、本特徴によれば、角部が係止部とによって保持部が回転することが規制されているため、「角部」と「係止部」とを総称して「回転規制部」とすることをも可能である。この場合、保持部に、保持部が回転することを規制する回転規制部が設けられていることとなる。
特徴A19.特徴A1において、前記保持部は、前記ネジ部材の軸線方向からみて前記頭部側から前記ネジ部材を遮蔽する遮蔽部(ホルダ518)を有し、
前記遮蔽部は、
前記工具係合部に工具が通される通し孔(挿入口523)と、
分離した前記頭部が前記軸部を挟んで当該遮蔽部と反対側の領域に移動することを規制する移動規制部(天板部518a)と、
を有していることを特徴とする遊技機。
特徴A19によれば、分離した頭部が軸部を挟んで当該遮蔽部と反対側の領域に移動することを抑制できる。すなわち、頭部及び拡張部は保持部の所定範囲内に位置することとなる。遮蔽部に通し孔を設けたため、遮蔽部によってネジ部材による各部材の締結作業が阻害されない。
特徴A20.ネジ溝を含む軸部(軸部255)と、
その軸部を回転操作する工具が係合される工具係合部を含む頭部(頭部250)と、
これら軸部及び頭部を連結するとともに、その工具係合部に所定トルク以上の回転力が加えられることにより前記軸部から前記頭部を分離させる分離部(破断部260)と、
前記分離部によって前記軸部から前記頭部が分離された場合に当該頭部を所定位置又は所定範囲内に保持する保持部(ホルダ278)と、
を備えていることを特徴とするネジ部材。
特徴A20によれば、ネジ部材における軸部にて複数の部材を締結することができる。複数部材を締結させた後には、工具係合部に所定トルク以上の回転力を加えることにより、軸部と頭部とを分離させることができる。頭部と軸部とが分離することにより、頭部を介して軸部を回転させることが困難となり、その締結が不正に解除されることを抑制できる。また、分離した頭部が保持部によって保持される。
仮に、保持部が設けられていない場合、頭部と軸部とを分離させた場合、頭部を回収する必要性が考えられる。この場合、ネジ部材をネジ込んだ後に分離した頭部の回収作業が煩雑となって組み立て作業効率が低下するおそれがある。このようなネジを用いて遊技機を組み立てようとすると、分離された頭部を回収しきれなかった場合、その頭部が遊技球等の遊技媒体の通路に残存して円滑な遊技媒体の流通を阻害したり、頭部が電気部品に干渉してショートしたりする等、不具合や故障の要因ともなり得ると考えられる。これに対して本特徴によれば、ネジ部材における頭部が分離した場合には、その頭部が保持部に保持される。これにより、頭部は所定位置又は所定範囲に留まることとなり、上記不都合が発生することを抑制できる。その結果、頭部が分離されるネジ部材を用いた遊技機を組み立てることにより、分離された頭部の回収をする必要がなくなる。よって、頭部が分離されるネジ部材を遊技機の組み立てに好適に使用できる。しかも、分離部によって軸部から頭部が分離された場合に当該頭部を所定位置又は所定範囲に保持する構成をネジ部材単品にて完結することができる。
特徴B1.遊技機構成部材である第1部材(受け部材153)と第2部材(カバー部材154)とがネジ部材(破断ネジ170,350,360,380)により締結されてなる遊技機であって、
前記ネジ部材は、
前記第1部材又は第2部材の少なくとも一方に対してネジ結合されるネジ溝を含む軸部(軸部255)と、
その軸部を回転操作する工具が係合される工具係合部を含む頭部(頭部250,353,363)と、
これら軸部及び頭部を連結するとともに、その工具係合部に所定トルク以上の回転力が加えられることにより前記軸部から前記頭部を分離させる分離部(破断部260)と、
を備えており、
前記分離部によって前記軸部から前記頭部が分離された場合に、前記軸部側の軸線中心が通過する部分を前記分離部よりも反軸部側から隠すように当該頭部を保持する保持部(ホルダ278,365)が設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴B1によれば、ネジ部材における軸部にて第1部材及び第2部材を締結することができる。第1及び第2部材を締結させた後には、工具係合部に所定トルク以上の回転力を加えることにより、軸部と頭部とを分離させることができる。頭部と軸部とが分離することにより、頭部を介して軸部を回転させることが困難となり、第1及び第2部材の締結が不正に解除されることを抑制できる。また、保持部によって分離された頭部が保持される。
仮に、保持部が設けられていない遊技機においては、頭部と軸部とを分離させた場合、頭部を回収する必要性が考えられる。この場合、ネジ部材をネジ込んだ後に分離した頭部の回収作業が煩雑となって組み立て作業効率が低下するおそれがある。分離された頭部を回収しきれなかった場合、その頭部が遊技球等の遊技媒体の通路に残存して円滑な遊技媒体の流通を阻害したり、頭部が電気部品に干渉してショートしたりする等、不具合や故障の要因ともなり得ると考えられる。これに対して本特徴によれば、ネジ部材における頭部が分離した場合には、その頭部が保持部に保持される。これにより、頭部は所定位置又は所定範囲に留まることとなり、上記不都合が発生することを抑制できる。よって、頭部が分離されるネジ部材を用いた遊技機を組み立てる場合に、頭部の回収を要しないため、その組み立て作業効率を向上し得るとともに、分離された頭部による不具合を低減させることができる。
また、頭部が分離した後に、分離部より軸部側の領域に直接アクセスし、ネジ部材を緩める方向に回転させる不正行為が考えられる。例えば、軸部に接着剤を塗布し、軸部と工具とを一体化させた後にその工具を操作することにより、軸部を緩める方向に回転させるものが考えられる。これに対して本特徴によれば、保持部は、頭部が分離された場合に、軸部側の軸線中心が通過する部分を分離部の反軸部側から隠すように当該頭部を保持する。軸部を回転させるためには、軸部の軸線中心を操作する必要があるが、分離された頭部により軸線中心を隠していることにより、軸部の軸線中心にアクセスされることを抑制できる。よって、上記ネジ部材を緩める方向に回転させる不正行為が行われることを抑制できる。
特徴B2.特徴B1において、前記保持部は、前記頭部が分離された場合、前記頭部と前記軸部とが同一軸線上に位置するように当該頭部を保持することを特徴とする遊技機。
特徴B2によれば、分離された頭部は、軸部の軸線上に位置する。これにより、軸部の軸線中心が通過する部位を分離部よりも反軸部側から遮蔽することが可能となる。
特徴B3.特徴B1又はB2において、前記ネジ部材は、前記軸部の軸線方向と略直交する方向へ拡張された拡張部(第1及び第2拡径部275a,275b)を更に備え、
前記拡張部は、前記分離部よりも前記軸部側でありかつ前記分離部と前記軸部との間に設けられており、
前記保持部は、前記軸線方向に離間した位置に第1規制部(環状縮径部278aによって形成される段差面296)及び第2規制部(第1孔部280aと第3孔部280cとによって形成される段差面301)を一体に有した状態で前記ネジ部材に設けられており、
前記頭部及び前記拡張部は、前記第1規制部と前記第2規制部とによって挟まれた領域に配置されており、
さらに、前記保持部には、前記頭部を前記軸線方向と略直交する方向から覆うように配置された第3規制部(第1孔部278aの内周面)が設けられており、
前記第1規制部によって前記頭部が反軸部側へ移動することが規制されるとともに、前記第2規制部によって前記拡張部が反頭部側へ移動することが規制されており、さらに、前記第3規制部によって前記頭部が軸線方向と略直交する方向に移動することが規制されていることを特徴とする遊技機。
特徴B3によれば、保持部における第1規制部及び第2規制部に頭部及び拡張部が挟まれている。また、保持部における第3規制部によって軸部の軸線方向と略直交する方向から頭部が覆われている。すなわち、頭部及び拡張部は保持部の所定範囲内に位置することとなる。この場合、ネジ部材に保持部が設けられているともいえ、第1,第2部材の締結を行う場合にネジ部材を設置すれば、同時に保持部の設置をも行うことができる。よって、頭部が分離された場合にその頭部を保持する保持部を有した構成において、その組み立て作業が複雑化することを抑制できる。
特徴B4.特徴B3において、前記第3規制部は、前記頭部及び拡張部の前記軸線方向に沿った外周側を覆う筒部であり、
前記筒部の軸線方向両端に前記第1規制部及び第2規制部が設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴B4によれば、拡張部及び頭部が筒部に覆われている。頭部が分離した場合、頭部が転がる等、分離した頭部の移動する方向を特定することは困難であるが、拡張部及び頭部を覆うことにより、頭部が保持部より外部に移動することを抑制できる。よって、保持部を有するネジ部材のみによって、分離した頭部を保持部の内部に保持することができる。
特徴B5.特徴B3又はB4において、前記第3規制部は、前記頭部の前記軸線方向に沿った外周側を覆うものであり、
前記軸線方向と略直交する方向における前記第3規制部の内周側と前記頭部の外周側とによって形成される隙間が、当該隙間内にて分離された前記頭部がいずれの方向に移動したとしても、前記軸部側の軸線中心が通過する部分を前記分離部の反軸部側から隠すように設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴B5によれば、第3規制部の内周側と頭部の外周側との隙間の大きさを設定することにより、分離された頭部がどのように移動したとしても、軸部の軸線中心が通過する部位を分離部の反軸部側から隠す具体的構成を得ることができる。特に、分離された頭部の位置を隙間によって規定したため、分離部が分離した場合に分離された頭部の位置を規定する機構を別途設ける必要がなくなる。
特徴B6.特徴B3又はB4において、前記第1規制部は、前記工具係合部に工具が通される通し孔(第1孔部278a、第3孔部278c)を有しており、
前記軸線方向と略直交する方向における前記第3規制部の内周側と前記頭部の外周側とによって形成される隙間が、当該隙間内にて分離された前記頭部がいずれの方向に移動したとしても、前記軸部側の軸線中心が通過する部分を前記通し孔から隠すように設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴B6によれば、第3規制部の内周側と頭部の外周側との隙間の大きさを設定することにより、各部の隙間の大きさにより頭部に位置にかかわらず、通し孔、頭部及び軸部が一直線上に位置するようになっており、軸部の軸線中心が通過する部位を当該頭部により通し孔から隠すことができる。分離された頭部の位置を隙間によって規定したため、分離部が分離した場合に分離された頭部の位置を規定する機構を別途設ける必要がなくなる。
特徴B7.特徴B3又はB4において、前記第1規制部は、前記工具係合部に工具が通される通し孔(第1孔部278a、第3孔部278c)を有しており、
分離された前記頭部は、前記通し孔にその少なくとも常に一部が入り込んでいるものであり、
前記軸線方向と略直交する方向における前記通し孔の内周側と前記頭部の外周側とによって形成される隙間が、当該隙間内にて分離された前記頭部がいずれの方向に移動したとしても、前記軸部側の軸線中心が通過する部分を前記分離部の反軸部側から隠すように設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴B7において、第1規制部に工具が通される通し孔(開口)が形成されている。これにより、分離した頭部を保持する保持部が設けられている場合に、工具を工具係合部に通すことに不都合が生じない。すなわち、第1規制部によって遊技機の組み立て作業が阻害されることを抑制できる。
通し孔の内周側と頭部の外周側との隙間の大きさを設定することにより、分離された頭部がどのように移動したとしても、軸部の軸線中心が通過する部位を分離部の反軸部側から隠す具体的構成を得ることができる。分離された頭部は、上記所定範囲のいずれに位置している場合であっても、その一部が通し孔に入り込んでいる。これにより、通し孔の内周側と頭部の外周側との隙間の大きさのみにて分離された頭部の軸線方向と略直交する方向の移動範囲を規定することが可能となる。
本特徴によれば、通し孔を形成する周壁が第3規制部として機能している。
特徴B8.特徴B7において、前記第1規制部は、前記通し孔より反軸部側に前記頭部が突出することを規制することを特徴とする遊技機。
特徴B8によれば、分離された頭部が移動可能な範囲内におけるいずれに位置している場合であっても、当該頭部が通し孔より反軸部側に突出することが規制される。頭部が通し孔より反軸部側へと突出する場合、その突出した頭部を摘まみ、保持部から引き抜かれることが考えられる。これに対して本特徴によれば、頭部が保持部から突出しないため、上記突出した頭部が摘ままれ、引き抜かれる不正行為が行われることを抑制できる。
特徴B9.特徴B8において、前記第1規制部は、前記通し孔の周縁部を規定するものであり、
前記頭部は、前記通し孔よりもその外周側の方向に拡張された頭部側拡張部(フランジ部305)を備えるとともに、前記頭部側拡張部が前記第1規制部よりも前記軸部側に配置されており、前記周縁部と前記頭部側拡張部とが接した状態にて、前記通し孔よりも反軸部側に移動しないように設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴B9によれば、頭部が通し孔よりも反軸部側に移動しない具体的構成を得ることが可能となる。また、本特徴を適用することにより、通し孔の大きさにより、頭部の軸線方向への移動範囲及び頭部の軸線方向と略直交する方向への移動範囲を規定することが可能となる。すなわち、通し孔のみにて分離された頭部の移動範囲を規定することが可能となる。
上記特徴A1乃至A20のいずれかに対して特徴B1乃至B9のいずれかを適用してもよい。
特徴C1.遊技機構成部材である第1部材(受け部材153)と第2部材(カバー部材154)とがネジ部材(破断ネジ170)により締結されてなる遊技機であって、
前記ネジ部材は、
前記第1部材又は第2部材の少なくとも一方に対してネジ結合されるネジ溝を含む軸部(軸部255)と、
その軸部を回転操作する工具が係合される工具係合部を含む頭部(頭部250)と、
これら軸部及び頭部を連結するとともに、その工具係合部に所定トルク以上の回転力が加えられることにより前記軸部から前記頭部を分離させる分離部(破断部260)と、
を備えており、
前記ネジ部材は前記第1部材側からネジ込まれるものであり、
前記分離部によって前記軸部から前記頭部が分離された場合に当該頭部を所定位置又は所定範囲内に保持する保持部(ホルダ278)を備え、
前記頭部が分離された状態において、前記保持部の回転トルクが前記軸部側に伝わらない又は伝わりにくくなるように構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴C1によれば、ネジ部材における軸部にて第1部材及び第2部材を締結することができる。第1及び第2部材を締結させた後には、工具係合部に所定トルク以上の回転力を加えることにより、軸部と頭部とを分離させることができる。頭部と軸部とが分離することにより、頭部を介して軸部を回転させることが困難となり、第1及び第2部材の締結が不正に解除されることを抑制できる。また、分離した頭部が保持部によって保持される。
仮に、保持部が設けられていない遊技機においては、頭部と軸部とを分離させた場合、頭部を回収する必要性が考えられる。この場合、ネジ部材をネジ込んだ後に分離した頭部の回収作業が煩雑となって組み立て作業効率が低下するおそれがある。分離された頭部を回収しきれなかった場合、その頭部が遊技球等の遊技媒体の通路に残存して円滑な遊技媒体の流通を阻害したり、頭部が電気部品に干渉してショートしたりする等、不具合や故障の要因ともなり得ると考えられる。これに対して本特徴によれば、ネジ部材における頭部が分離した場合には、その頭部が保持部に保持される。これにより、頭部は所定位置又は所定範囲に留まることとなり、上記不都合が発生することを抑制できる。よって、頭部が分離されるネジ部材を用いた遊技機を組み立てる場合に、頭部の回収を要しないため、その組み立て作業効率を向上し得るとともに、分離された頭部による不具合を低減させることができる。
また、保持部に対して回転操作が行われた場合に、その回転力が軸部側に対して伝わらない又は伝わりにくくなっている。保持部に対して回転操作が行われた場合に軸部側にその回転力が伝わりやすいと、頭部が分離されたとしても保持部を操作することにより第1部材及び第2部材の締結が不正に解除されることが考えられる。この点、保持部への回転操作に伴う回転力が軸部側へと伝わりにくくすることにより、保持部に対して回転操作を行うことによる不正行為を抑制できる。
特徴C2.遊技機構成部材である第1部材(受け部材153)と第2部材(カバー部材154)とがネジ部材(破断ネジ170)により締結されてなる遊技機であって、
前記ネジ部材は、
前記第1部材又は第2部材の少なくとも一方に対してネジ結合されるネジ溝を含む軸部(軸部255)と、
その軸部を回転操作する工具が係合される工具係合部を含む頭部(頭部250)と、
これら軸部及び頭部を連結するとともに、その工具係合部に所定トルク以上の回転力が加えられることにより前記軸部から前記頭部を分離させる分離部(破断部260)と、
を備えており、
前記ネジ部材は前記第1部材側からネジ込まれるものであり、
前記分離部によって前記軸部から前記頭部が分離された場合に当該頭部を所定位置又は所定範囲内に保持する保持部(ホルダ278)を備え、
前記保持部が、前記軸部に対して、当該軸部の軸線を中心として空回りするように構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴C2によれば、ネジ部材における軸部にて第1部材及び第2部材を締結することができる。第1及び第2部材を締結させた後には、工具係合部に所定トルク以上の回転力を加えることにより、軸部と頭部とを分離させることができる。頭部と軸部とが分離することにより、頭部を介して軸部を回転させることが困難となり、第1及び第2部材の締結が不正に解除されることを抑制できる。また、分離した頭部が保持部によって保持される。
仮に、保持部が設けられていない遊技機においては、頭部と軸部とを分離させた場合、頭部を回収する必要性が考えられる。この場合、ネジ部材をネジ込んだ後に分離した頭部の回収作業が煩雑となって組み立て作業効率が低下するおそれがある。分離された頭部を回収しきれなかった場合、その頭部が遊技球等の遊技媒体の通路に残存して円滑な遊技媒体の流通を阻害したり、頭部が電気部品に干渉してショートしたりする等、不具合や故障の要因ともなり得ると考えられる。これに対して本特徴によれば、ネジ部材における頭部が分離した場合には、その頭部が保持部に保持される。これにより、頭部は所定位置又は所定範囲に留まることとなり、上記不都合が発生することを抑制できる。よって、頭部が分離されるネジ部材を用いた遊技機を組み立てる場合に、頭部の回収を要しないため、その組み立て作業効率を向上し得るとともに、分離された頭部による不具合を低減させることができる。
また、保持部が、軸部に対して、当該軸部の軸線を中心として空回りする。すなわち、保持部が回転させられたとしてもその回転力が軸部に伝わらないようになっている。仮に、保持部に対して回転操作が行われた場合に軸部にその回転力が伝わりやすいと、頭部が分離されたとしても保持部を操作することにより第1部材及び第2部材の締結が不正に解除されることが考えられる。この点、保持部への回転操作による回転力が軸部へと伝わらないことにより、保持部に対して回転操作を行うことによる不正行為を抑制できる。
特徴C3.特徴C1又はC2において、前記保持部と前記第1部材との間に隙間が形成されていることを特徴とする遊技機。
特徴C3によれば、保持部と第1部材との間に隙間が形成されている。これにより、第1部材とネジ部材とに保持部が挟まれることを抑制することができる。第1部材とネジ部材とに保持部が挟まれている構成においては、保持部に対して回転操作が行われた場合に、その回転力がネジ部材に伝わりやすくなることが考えられる。これに対して本特徴によれば、保持部と第1部材との間に隙間を設けることにより、保持部に回転操作がなされた場合に、その回転力がネジ部材に伝わることを抑制し、上記保持部に対して回転操作を行うことによる不正行為を抑制できる。
特徴C4.特徴C1乃至C3のいずれか1において、前記ネジ部材は、前記軸部の軸線方向と略直交する方向へ拡張された拡張部(第1及び第2拡径部275a,275b)を更に備え、
前記拡張部は、前記分離部よりも前記軸部側でありかつ前記分離部と前記軸部との間に設けられており、
前記保持部は、前記軸線方向に離間した位置に第1規制部(環状縮径部278aによって形成される段差面296)及び第2規制部(第1孔部280aと第3孔部280cとによって形成される段差面301)を一体に有した状態で前記ネジ部材に設けられており、
前記頭部及び前記拡張部は、前記第1規制部と前記第2規制部とによって挟まれた領域に配置されており、
前記第1規制部によって前記頭部の反軸部側への移動が規制されるとともに、前記第2規制部によって前記拡張部の反頭部側への移動が規制され、
前記第2規制部は、貫通孔(第2孔部280b)を有しているものであり、
前記拡張部よりも前記軸部側には、前記第2規制部における前記貫通孔を介して前記保持部から軸部側へ突出する突出部(第2拡径部275b)が設けられており、
前記突出部は、前記第1部材に当接するように前記軸部の軸線方向と略直交する方向へ拡張されていることを特徴とする遊技機。
特徴C4によれば、保持部における第1規制部及び第2規制部に頭部及び拡張部が挟まれている。すなわち、頭部及び拡張部は保持部の所定範囲内に位置することとなる。この場合、ネジ部材に保持部が設けられているともいえ、第1,第2部材の締結を行う場合にネジ部材を設置すれば、同時に保持部の設置をも行うことができる。よって、頭部が分離された場合にその頭部を保持する保持部を有した構成において、その組み立て作業が複雑化することを抑制できる。
また、第2規制部の貫通孔を介して突出部が突出しており、その突出部が第1部材表面に当接する。すなわち、第2規制部と第1部材表面との間に隙間が生じている。突出部が第2規制部を介して軸部側へ突出することにより、第2規制部が第1部材と拡張部とに挟まれて固定されることを抑制でき、保持部と軸部とが固定された状態となることを抑制することが可能となる。よって、保持部に対して回転操作が行われた場合に、その回転力が軸部に対して伝わることを抑制できる。
特徴C5.特徴C1乃至C3のいずれか1において、前記ネジ部材は、前記軸部の軸線方向と略直交する方向へ拡張された拡張部(第1及び第2拡径部275a,275b)を更に備え、
前記拡張部は、前記分離部よりも前記軸部側でありかつ前記分離部と前記軸部との間に設けられており、
前記保持部は、前記軸線方向に離間した位置に第1規制部(環状縮径部278aによって形成される段差面296)及び第2規制部(第1孔部280aと第3孔部280cとによって形成される段差面301)を一体に有した状態で前記ネジ部材に設けられており、
前記頭部及び前記拡張部は、前記第1規制部と前記第2規制部とによって挟まれた領域に配置されており、
前記第1規制部によって前記頭部の反軸部側への移動が規制されるとともに、前記第2規制部によって前記拡張部の反頭部側への移動が規制され、
前記第2規制部は、貫通孔(第2孔部280b)を有しているものであり、
前記拡張部よりも前記軸部側には、前記第2規制部における前記貫通孔を介して前記保持部から軸部側へ突出する突出部(第2拡径部275b)が設けられており、
前記突出部の前記軸線方向の長さが前記第2規制部の軸線方向の長さよりも長くなっていることを特徴とする遊技機。
特徴C5によれば、保持部における第1規制部及び第2規制部に頭部及び拡張部が挟まれている。すなわち、頭部及び拡張部は保持部の所定範囲内に位置することとなる。この場合、ネジ部材に保持部が設けられているともいえ、第1,第2部材の締結を行う場合にネジ部材を設置すれば、同時に保持部の設置をも行うことができる。よって、頭部が分離された場合にその頭部を保持する保持部を有した構成において、その組み立て作業が複雑化することを抑制できる。
また、突出部の軸線方向の長さが第2規制部の軸線方向の長さよりも大きくなっている。すなわち、拡張部と部材面との間に隙間が形成されており、その隙間の軸線方向の長さが第2規制部の軸線方向の長さよりも長くなっている。これにより、第2規制部が第1部材と拡張部とに挟まれて固定されることを抑制でき、保持部と軸部とが固定された状態となることを抑制することが可能となる。よって、保持部に対して回転操作が行われた場合に、その回転力が軸部に対して伝わることを抑制できる。
特徴C6.特徴C4又はC5において、前記保持部は、少なくとも前記拡張部を外周側から覆う筒部を備え、
前記筒部の内周形状及び前記拡張部の外周形状が、前記軸線方向からみて当該軸線を中心とした円形状となるように構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴C6によれば、筒部の内周形状及び拡張部の外周形状を円形状とすることで、筒部と拡張部とが回転方向に引っかかることを抑制できる。これにより、頭部が分離された後に保持部が回転操作された場合に、その回転操作により拡張部、ひいては軸部が回転することを抑制できる。
保持部を筒部にて構成した場合、保持部内に樹脂等を流し込み、保持部とネジ部材とを一体化させた後に保持部が回転操作されることにより、第1及び第2部材の締結が解除されることが考えられる。これに対して本特徴によれば、保持部と拡張部とが係止されにくいため、樹脂を流し込まれたとしても、ネジ部材と保持部とが滑りやすく、ネジ部材と保持部とが一体化されることを抑制できる。
なお、拡張部のみならず、頭部及びその他の部位も円形にするのが好ましい。ネジ部材外周側と保持部内周側とがいずれの箇所においても円形状であることにより、保持部に収容されたネジ部材全体と保持部材とが回転方向に引っかかることを抑制できる。よって、上記樹脂が流し込まれる不正行為が行われた場合に、ネジ部材と保持部とが一体化されることを一層抑制できる。
特徴C7.特徴C4乃至C6のいずれか1において、前記第1規制部は、前記工具係合部に工具が通される通し孔(第1開口290a)を有しており、
前記保持部は、前記頭部及び拡張部の前記軸線方向に沿った外周側を覆う筒部を備え、
前記筒部の軸線方向両端に前記第1規制部及び第2規制部が設けられており、
前記頭部における周縁部には、当該周縁部における全周から前記第1規制部に向かって環状に延びるとともに、前記通し孔の内周よりもその外周が大きい頭部突出部(周縁凸部363c)が設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴C7によれば、第1規制部に工具が通される開口が形成されている。これにより、分離した頭部を保持する保持部が設けられている場合に、工具を工具係合部に通すことに不都合が生じない。すなわち、第1規制部によって遊技機の組み立て作業が阻害されることを抑制できる。
拡張部及び頭部が筒部に覆われている。頭部が分離した場合、頭部が転がる等、分離した頭部の移動する方向を特定することは困難であるが、拡張部及び頭部を覆うことにより、頭部が保持部より外部に移動することを抑制できる。よって、保持部を有するネジ部材のみによって、分離した頭部を保持部の内部に保持することができる。また、頭部における周縁部おける全周には前記第1規制部に向かって延びる頭部突出部が設けられている。拡張部が筒部により覆われているため、通し孔から樹脂や接着剤等を流し込み、保持部、拡張部及び軸部が一体化されることが考えられる。保持部、拡張部及び軸部が一体化された場合、保持部を回転操作することにより、その回転力が軸部に伝わり、各部材の締結が不正に解除されることが考えられる。これに対して本特徴によれば、樹脂や接着剤等が通し孔から流し込まれた場合、頭部突出部によって樹脂や接着剤等がせき止められる。よって、頭部側から軸部側へと樹脂や接着剤等が流し込まれることを抑制でき、上記樹脂や接着剤により保持部、拡張部及び軸部が一体化されることを抑制できる。また、頭部突出部の外周が通し孔の内周よりも大きくなっている。これにより、通し孔から流し込まれ、頭部に到達した樹脂や接着剤等を、頭部突出部によってその外周側より確実にせき止めることが可能となる。
特徴C8.特徴C7において、前記頭部は、前記通し孔に入り込んでいるものであり、
前記頭部と前記通し孔とによって、前記軸部の軸線方向と略直交する方向に隙間が形成されており、当該隙間が設けられていることにより、前記頭部が前記軸部の軸線方向と略直交する方向に移動可能となるものであり、
前記頭部の周面と前記通し孔の周面とが接している場合に、前記頭部突出部が前記通し孔よりも前記軸部の軸線外側に位置することを特徴とする遊技機。
特徴C8によれば、頭部の周面と通し孔の周面とが接している場合に、頭部突出部が通し孔よりも軸部の軸線外側に位置する。これにより、頭部の位置にかかわらず、通し孔から樹脂や接着剤が流し込まれた場合に、通し孔の内周面よりも外側からせき止めることが可能となる。本特徴によれば、通し孔内部にて軸部の軸線方向と略直交する方向に頭部が移動可能な構成においても特徴C7にて説明した樹脂や接着剤をせき止める効果を得ることが可能となる。
特徴C9.特徴C4乃至C8のいずれか1において、前記第1規制部は、前記工具係合部に工具が通される通し孔(第1開口290a)を有しており、
前記保持部は、前記頭部及び拡張部の前記軸線方向に沿った外周側を覆う筒部であり、 前記第2規制部における内側面に、軸線外側から軸線内側に向かった下り傾斜が形成されていることを特徴とする遊技機。
特徴C9によれば、拡張部及び頭部が筒部に覆われている。頭部が分離した場合、頭部が転がる等、分離した頭部の移動する方向を特定することは困難であるが、拡張部及び頭部を覆うことにより、頭部が保持部より外部に移動することを抑制できる。保持部を有するネジ部材のみによって、分離した頭部を保持部の内部に保持することができる。しかしながら、拡張部が筒部により覆われているため、通し孔から接着剤等を流し込み、保持部、拡張部及び軸部が一体化されることが考えられる。保持部、拡張部及び軸部が一体化された場合、保持部を回転操作することにより、その回転力が軸部に伝わり、各部材の締結が不正に解除されることが考えられる。これに対して本特徴によれば、下り傾斜が形成されているため、通し孔より接着剤が流し込まれた場合、下り傾斜を介して第1部材に接着剤が到達する。この場合、保持部、拡張部及び軸部だけでなく、第1部材までもが接着剤によって一体化される。軸部と第1部材とが一体化されることにより、軸部が緩められることを抑制し、各部材の締結が不正に解除されることが考えられる。
特徴C10.特徴C4乃至C9のいずれか1において、前記第1規制部は、前記工具係合部に工具が通される通し孔(第1開口290a)を有しており、
前記保持部は、前記頭部及び拡張部の前記軸線方向に沿った外周側を覆う筒部であり、
前記第2規制部には、前記頭部側から前記軸部側に向けて貫通された規制部側通し孔(貫通孔400)を有していることを特徴とする遊技機。
特徴C10によれば、拡張部及び頭部が筒部に覆われている。頭部が分離した場合、頭部が転がる等、分離した頭部の移動する方向を特定することは困難であるが、拡張部及び頭部を覆うことにより、頭部が保持部より外部に移動することを抑制できる。よって、保持部を有するネジ部材のみによって、分離した頭部を保持部の内部に保持することができる。しかしながら、拡張部が筒部により覆われているため、通し孔から接着剤等が流し込まれ、保持部、拡張部及び軸部が一体化されることが考えられる。保持部、拡張部及び軸部が一体化された場合、保持部を回転操作することにより、その回転力が軸部に伝わり、各部材の締結が不正に解除されることが考えられる。これに対して本特徴によれば、第2規制部には規制部側通し孔が設けられており、第1規制部における通し孔より接着剤が流し込まれた場合、規制部側通し孔を介して第1部材に接着剤が到達する。この場合、保持部、拡張部及び軸部だけでなく、第1部材までもが接着剤によって一体化される。軸部と第1部材とが一体化されることにより、軸部が緩められることを抑制し、各部材の締結が不正に解除されることを抑制できる。
特徴C11.特徴C4乃至C10のいずれか1において、前記第1規制部は環状に形成されており、
その内周側の開口が前記工具係合部に工具が通される通し孔(第1開口290a)とされていることを特徴とする遊技機。
特徴C11において、第1規制部に工具が通される開口が形成されている。これにより、分離した頭部を保持する保持部が設けられている場合に、工具を工具係合部に通すことに不都合が生じない。すなわち、第1規制部によって遊技機の組み立て作業が阻害されることを抑制できる。
特徴C12.遊技機構成部材である第1部材(受け部材153)と第2部材(カバー部材154)とがネジ部材(破断ネジ170)により締結されてなる遊技機であって、
前記ネジ部材は、
前記第1部材又は第2部材の少なくとも一方に対してネジ結合されるネジ溝を含む軸部(軸部255)と、
その軸部を回転操作する工具が係合される工具係合部を含む頭部(頭部250)と、
これら軸部及び頭部を連結するとともに、その工具係合部に所定トルク以上の回転力が加えられることにより前記軸部から前記頭部を分離させる分離部(破断部260)と、
を備えており、
前記ネジ部材は前記第1部材側からネジ込まれるものであり、
前記分離部によって前記軸部から前記頭部が分離された場合に当該頭部を所定位置又は所定範囲内に保持するとともに、前記ネジ部材と前記第1部材とによって挟持されないよう形成されている保持部(ホルダ278)を備えたことを特徴とする遊技機。
特徴C12によれば、ネジ部材における軸部にて第1部材及び第2部材を締結することができる。第1及び第2部材を締結させた後には、工具係合部に所定トルク以上の回転力を加えることにより、軸部と頭部とを分離させることができる。頭部と軸部とが分離することにより、頭部を介して軸部を回転させることが困難となり、第1及び第2部材の締結が不正に解除されることを抑制できる。また、分離した頭部が保持部によって保持される。
仮に、保持部が設けられていない遊技機においては、頭部と軸部とを分離させた場合、頭部を回収する必要性が考えられる。この場合、ネジ部材をネジ込んだ後に分離した頭部の回収作業が煩雑となって組み立て作業効率が低下するおそれがある。分離された頭部を回収しきれなかった場合、その頭部が遊技球等の遊技媒体の通路に残存して円滑な遊技媒体の流通を阻害したり、頭部が電気部品に干渉してショートしたりする等、不具合や故障の要因ともなり得ると考えられる。これに対して本特徴によれば、ネジ部材における頭部が分離した場合には、その頭部が保持部に保持される。これにより、頭部は所定位置又は所定範囲に留まることとなり、上記不都合が発生することを抑制できる。よって、頭部が分離されるネジ部材を用いた遊技機を組み立てる場合に、頭部の回収を要しないため、その組み立て作業効率を向上し得るとともに、分離された頭部による不具合を低減させることができる。
また、ネジ部材と第1部材とによって挟持されないよう保持部が形成されている。すなわち、保持部が回転させられたとしてもその回転力が軸部に伝わらないようになっている。仮に、保持部に対して回転操作が行われた場合に軸部にその回転力が伝わりやすいと、頭部が分離されたとしても保持部を操作することにより第1部材及び第2部材の締結が不正に解除されることが考えられる。この点、保持部への回転操作による回転力が軸部へと伝わらないことにより、保持部に対して回転操作を行うことによる不正行為を抑制できる。
なお、本特徴に対して特徴C3乃至特徴C11のいずれかを適用してもよい。
また、上記特徴A1乃至A20のいずれかに対して特徴C1乃至C12のいずれかを適用してもよい。
以下に、以上の各特徴を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(ハンドル装置59)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構50)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(内,外レール部47,48)と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の入球部に遊技球が入球した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の絵柄を可変表示させる絵柄表示装置を備え、始動操作手段の操作に起因して前記複数の絵柄の可変表示が開始され、停止操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより前記複数の絵柄の可変表示が停止され、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。
10…パチンコ機、63…主制御装置、91…主制御基板、92…基板ボックス、101…表側構成体、102…裏側構成体、103…表側周縁部、153…受け部材、154…カバー部材、170…破断ネジ、178…円筒部、250…頭部、255…軸部、260…破断部、275a,275b…第1,第2拡径部、278…ホルダ、278a…環状縮径部、280a〜280c…第1〜第3孔部、290a…第1開口、296…段差面、301…段差面、353,363…頭部、365…ホルダ、350,360,380…破断ネジ、400…貫通孔、455…連結板部、464…導入口、突出部485、493…差込孔部493、495裏側差込孔部、518…ホルダ、518a…天板部、523…挿入口。