以下に本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採り得ることができ、各実施例に記載された内容の相違部分を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
図1に遊技機の一種であるパチンコ機1の正面図を示し、詳細に説明する。図1に示す通り、本実施例のパチンコ機1は、大きく長方形の外枠2、前面枠3、意匠枠4a、意匠枠4bとならなる筐体にて各部を保持する構造である。
外枠2左側の上部には金具5aが、下部に金具5bがそれぞれ設けられており、金具5aおよび5bとでヒンジ機構を形成し、前面枠3は外枠2に対して開閉可能に構成され、図示しない前面枠閉鎖スイッチ38(図4参照)が前面枠3の閉鎖状態を検出可能に装着されている。また、前面枠3左側の中部には金具5cが設けられ、金具5aと金具5cとでヒンジ機構を形成し、意匠枠4aは前面枠3に対して開閉可能に構成されている。さらに、金具5cと金具5bとでヒンジ機構を形成し、意匠枠4bは前面枠3に対して開閉可能に構成されている。
ヒンジ機構が形成される逆側(ここでは右側)には、外枠2と前面枠3との施錠、前面枠3と意匠枠4aとの施錠、前面枠3と意匠枠4bとの施錠/解錠を行うための鍵穴6aを有するスライド錠6(図2参照)が設けられている。尚、本実施例のパチンコ機1は、外枠2の左隣にCRプリペイドカードユニット7を設けている所謂CR機として説明するが、CRプリペイドカードユニット7を設けない所謂現金機としても何ら差し支えない。
意匠枠4aは、後述する遊技盤8を視認可能とするために透明樹脂板またはガラス板を備える窓部9、前面枠3に設けられたスピーカ10の前面にスピーカ10を保護し、且つ、効果音を通すための保護音通部11を備えている。
また、意匠枠4bは、遊技球を貯留しておくための上皿12および下皿13を略中央に備え、遊技者が操作可能な遊技ボタン14、CRプリペイドカードユニット7と後述するCRユニット端子板60を介して接続される精算表示装置15、球貸ボタン16および精算ボタン17を左側に備えている。
前面枠3の右下側(意匠枠4bの右側)には、遊技球の発射強度を調節するための発射ハンドル18が設けられており、発射ハンドル18の近傍には、発射停止ボタン19(図4参照)および図示しないタッチ板20が設けられている。
前面枠3の下側(意匠枠4bの下側)には、スピーカ10を備えたスピーカユニット21が設けられている。
続いて、図2にパチンコ機1の裏面図を示し、詳細に説明する。図2に示す通り、遊技盤8を着脱可能に取り付けられる前面枠3が外枠2に収納されるような構成となっている。
前面枠3には、上方から球タンク22、タンクレール23および払出装置24が設けられ、遊技盤8に設けられる後述する入賞口に遊技球が入球することに基づいて、払出装置24の払出モータ24aが駆動することによって、球タンク22およびタンクレール23に貯留されている遊技球が、前述した上皿12に払い出されることになる。
また、遊技盤8の裏面側には、主制御装置50、サブ統合装置53、演出図柄ユニット54が設けられ、前面枠3の裏面側には、払出制御装置51、発射制御装置52、電源装置55が各々設けられ、電源装置55には電源スイッチ55aおよびRAMクリアスイッチ55b、図示しないバックアップ用電源が設けられている。
尚、発射制御装置52が図示されていないが、払出制御装置51で隠れる位置に配置されている。
さらに、前面枠3には、外部接続端子板61が設けられており、この外部接続端子板61から遊技状態、遊技結果、不正行為等を示す信号がホールコンピュータ70(図4参照)に送られるように構成されている。尚、本実施例では外部接続端子板61を盤用、枠用を兼用する構成としているが、盤用、枠用の外部接続端子板を個々に備えるように構成しても何ら差し支えない。
続いて、図3に遊技盤8の正面図を示し、詳細に説明する。図3に示す通り、遊技盤8には公知のガイドレール25a、25bによって囲まれた略円形の遊技領域26が設けられ、多数の遊技釘27が植設されている。遊技領域26の略中央には、窓部28aを有する液晶枠飾り28が設けられており、演出図柄表示装置54b(図4参照)のLCD画面が遊技者から視認可能に構成され、図示しない公知のワープ入口、ワープ通路、ステージ等も設けられている。また、窓部28aの上方には、7セグメントLED等の発光部材により構成される特別図柄表示装置29および普通図柄表示装置30が設けられている。
液晶枠飾り28の左右両側または左側には後述する普通図柄作動スイッチ32a(図4参照)を備える普通図柄作動ゲート32が設けられており、下側には後述する特別図柄始動スイッチ31a(図4参照)を備える普通電動役物31が設けられている。普通電動役物31の下方には、アタッカー式の大入賞口33aを備える大入賞口ユニット33が配置され、該大入賞口ユニット33の下方にはアウト口34が設けられている。大入賞口33aの左側には4個のLEDで構成される特別図柄保留数表示装置29aが、右側には4個のLEDで構成される普通図柄保留数表示装置30aが、各々設けられている。また、大入賞口ユニット33の左右両側には、後述する一般入賞口スイッチ35b(図4参照)を備える一般入賞口35aが複数備えられる入賞口ユニット35が設けられている。
上記のように遊技盤8を構成することによって、普通図柄作動ゲート32に入球(普通図柄作動スイッチ32a(図4参照)にて遊技球を検出)すると、普通図柄表示装置30で普通図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普通図柄の態様に応じて、後述する普通電役ソレノイド31b(図4参照)を駆動させる。普通電役ソレノイド31bを駆動させると、ほぼ同期して普通電動役物31の羽根部材が駆動して、普通電動役物31への入球率(特別図柄始動スイッチ31a(図4参照)での検出率)が高まるように構成されている。
また、普通電動役物31に入球(特別図柄始動スイッチ31a(図4参照)にて遊技球を検出)すると、特別図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止した特別図柄の態様に応じて後述する大入賞口ソレノイド33c(図4参照)を駆動させる。大入賞口ソレノイド33cを駆動させると、ほぼ同期して大入賞口ユニット33の扉部材が駆動して、大入賞口33aへの入球率(カウントスイッチ33b(図4参照)での検出率)が高まるように構成されている。
尚、本実施形態におけるパチンコ機は確率変動機として構成されている。具体的に説明すると、本実施形態のパチンコ機による遊技は、大入賞口33aを閉鎖した遊技と大入賞口33aを開放する大当たり遊技とに大別され、大入賞口33aを閉鎖した遊技には、大きく分類して、通常確率状態(以下、通常状態)と、該通常状態に比べて遊技者にとって有利な状態(大当りとなる確率が甘く、大当りし易い)となる高確率状態(以下、確率変動状態)とが存在する。
特別図柄は、確率変動図柄及び非確率変動図柄とからなり、確率変動状態は確率変動図柄での大当たり遊技終了後に移行可能に設定され、通常状態、確率変動状態のうち、いずれの遊技状態でも確率変動図柄で大当りすれば、大当り遊技終了後、確率変動状態に移行する。同様に通常状態は、非確率変動図柄での大当たり遊技終了後に移行可能に設定され、通常状態、確率変動状態のうち、いずれの遊技状態でも非確率変動図柄で大当たりすれば、大当たり遊技終了後、通常状態に移行する。
通常状態に移行後は、規定回数(例えば、100回)だけ特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、かつ普通電動役物31の開放延長機能が作動する時短状態となる。特別図柄及び普通図柄の変動時間(変動開始から結果が表示されるまでの時間)が短縮されると、一定時間内に変動表示が行なわれる回数が増大される。
具体的には、本実施形態の時短状態では、特別図柄の変動時間の短縮とともに、普通図柄表示装置30に表示される普通図柄の時間短縮も行われるが、この普通図柄の変動表示を短縮させることで、一定時間内で多数回普通図柄の確定表示を行う。従って、一定時間内での普通図柄が当りとなる回数が増大し、これにより普通電動役物31の作動回数も増大する。また、普通電動役物31の開放時間が長くなるように設定されている(開放延長機能)ので、多数の遊技球が入賞し易くなる。このように多数の遊技球が入賞し易くなることにより、特別図柄の変動表示回数が更に増大されるとともに、普通電動役物31入賞で得る賞球により、遊技者の持ち玉が減り難くなり、有利な遊技を行うことができる。
尚、確率変動状態では、時短状態と同様に特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、普通電動役物31の開放延長機能が作動する。各種図柄の短縮と普通電動役物31開放延長機能に関わる設定は時短状態と同一であるが、確率変動状態は時短状態に加えて特別図柄の大当り確率が高くなる(大当りし易い状態)。
また、大当り遊技には、大入賞口33aの開放回数と開放時間とインターバル時間(開始、開放間、終了)と、大当り遊技後の遊技状態が異なる複数の大当り遊技がある。本実施例に於いては、大入賞口33aの最大開放時間(入球数が9カウントに満たない場合開放し続ける時間)として28.0秒と0.3秒を組み合わせ、大当り遊技後に特別図柄が10000回変動するまで確率及び時短状態となる3個の大当たり遊技(後述する図柄モードa、b、c)と、最大開放時間が28.0秒のみで構成され、大当り遊技後に特別図柄が10000回変動するまで確率及び時短状態となる1個の大当たり遊技(後述する図柄モードd)と、0.3秒の開放を2回行い大当り遊技後に特別図柄が10000回変動するまで確率及び時短状態となる1個の大当たり遊技(後述する図柄モードe)と、0.3秒の開放を2回行い大当り遊技後に特別図柄が10000回変動するまで確率となり、且つ大当り遊技後に特別図柄が100回変動するまで時短状態となる1個の大当たり遊技(後述する図柄モードf)と、0.3秒の開放を2回行い大当り遊技後に通常遊技状態となり特別図柄が100回変動するまで時短状態となる1個の大当たり遊技(後述する図柄モードg)を備えている。
続いて、図4にパチンコ機1の電気配線を示すブロック図を示し、詳細に説明する。尚、このブロック図には、煩雑になる電源回路に関する記載は行わないが、電源が必要な制御装置若しくはアクチュエータ類には電源装置55から直接的または間接的に供給される構成となっている。
図4に示す通り、主制御装置50の入力端には、遊技盤中継端子板62を介して普通電動役物31に入球した遊技球を検出する特別図柄始動スイッチ31aと、普通図柄作動ゲート32に入球した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ32aと、大入賞口33aに入球した遊技球を検出するカウントスイッチ33bと、一般入賞口35aに入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ35bとが、裏配線中継端子板63を介して前面枠3が閉鎖していることを検出する前面枠閉鎖スイッチ38と、意匠枠4a・4bが閉鎖していることを検出する意匠枠閉鎖スイッチ39a、39bと、が接続されている。
前面枠閉鎖スイッチ38及び意匠枠閉鎖スイッチ39a、39bは、内部に電池(1次電池又は2次電池のいずれでも良い)を備えており、通常時(電源が供給され、且つ、電源スイッチ55aがON)は後述する裏配線中継端子板63から供給されるDC12Vで動作し、電源が供給されないとき(電源遮断又は電源スイッチOFF)には、電池の電源を利用して前面枠3又は意匠枠4a、4bの閉鎖状態を出力する構成となっている。また、電池として1次電池を採用する場合には電池の消耗によって交換(電池のみ交換又はリミットスイッチを交換)することとなるが、2次電池を採用する場合には通常時に充電する構成とし、繰り返し利用可能に構成することが望ましい。
主制御装置50の出力端には、遊技盤中継端子板62を介して大入賞口33aの扉部材を駆動する大入賞口ソレノイド33cと、普通電動役物31の羽根部材を駆動する普通電役ソレノイド31bと、図柄表示装置中継端子板64を介して特別図柄を表示する特別図柄表示装置29と、特別図柄の保留数を表示する特図保留数表示装置29aと、普通図柄を表示する普通図柄表示装置30と、普通図柄の保留数を表示する普図保留数表示装置30aと、裏配線中継端子板63および外部接続端子板61を介してホールコンピュータ70と、が接続されている。
主制御装置50はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種コマンド等を生成し、払出制御装置51およびサブ統合装置53に出力する。また、主制御装置50は、前面枠閉鎖スイッチ38又は意匠枠閉鎖スイッチ39a、39bから前面枠3又は意匠枠4a、4bの閉鎖状態時に出力される検出信号が入力されることで、外部接続端子板61を介してホールコンピュータ70に前面枠又は意匠枠が閉鎖状態にあることを示す信号(検出信号に準ずる信号)を出力するように構成されている。ここで、主制御装置50と払出制御装置51とは双方向通信回路として構成され、主制御装置50とサブ統合装置53とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置50からサブ統合装置53への一方向通信回路として構成されている。
払出制御装置51の入力端には、裏配線中継端子板63を介して球タンク22またはタンクレール23内の遊技球が不足していることを検出する球切れスイッチ22aまたは23aと、裏配線中継端子板63および払出中継端子板66を介して払い出した遊技球を検出する払出スイッチ24bと、各種端子板を介することなく下皿13への経路に遊技球が多数あることを検出する満杯スイッチ13aと、が接続されている。払出制御装置51の出力端には、裏配線中継端子板63および払出中継端子板66を介して遊技球を上皿へと払い出す払出モータ24aが接続されている。
払出制御装置51はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号ならびに主制御装置50から入力されるコマンドに基づいて遊技球の払い出しに関わる各種コマンド等を生成し、主制御装置50および発射制御装置52に出力する。ここで、払出制御装置51と主制御装置50とは双方向通信回路として構成され、払出制御装置51と発射制御装置52とは払出制御装置51から発射制御装置52への一方向通信回路として構成されている。
発射制御装置52の入力端には、発射を停止するための発射停止スイッチ19aと、発射ハンドル17に遊技者が触れていることを検出するタッチスイッチ20aと、が接続されている。発射制御装置52の出力端には、遊技球を遊技領域26へ発射するための発射モータ36が接続されている。発射制御装置52はCPU、ROM、RAMを備えず、IC等で構成されたデジタル回路であり、入力される各種検出信号ならびに払出制御装置51からの入力に基づいて発射モータ36の駆動を制御している。
サブ統合装置53の入力端には、遊技者により操作可能な遊技スイッチ14aが接続されている。サブ統合装置53の出力端には、意匠枠4a、4bおよび遊技盤8に備えられる各種LED・ランプ37と、前面枠3およびスピーカユニット21に備えられるスピーカ10と、が接続されている。尚、サブ統合装置53と主制御装置50とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置50からサブ統合装置53への一方向通信回路として構成され、サブ統合装置53と演出図柄制御装置54aとはサブ統合装置53から演出図柄制御装置54aへの一方向通信回路として構成されている。
サブ統合装置53はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される遊技スイッチ14aの入力ならびに主制御装置50から入力されるコマンドに基づいて演出に関わる各種コマンド等を生成し、演出図柄ユニット54の演出図柄制御装置54aに出力する。尚、本実施例では、サブ統合装置53のRAMに記憶された遊技情報を電源断時に保持しない構成としているが、電源装置55からVBBを供給して記憶保持可能とし、復電時に記憶した遊技情報を元に電源断前の遊技を再開する構成としても何ら差し支えない。
また、サブ統合装置53には、音量を調節する音量調節スイッチ10aが備えられ、音量調節スイッチ10aの状態(位置)を検出し、その検出結果とスピーカ10へ送信する内容とを判断し、スピーカ10から出力する音量をソフト的に制御するように構成されている。例えば、遊技に伴う演出音声やエラー報知の一部(前面枠3、意匠枠4a、4b等の枠開放/閉鎖報知など)の音声は、音量調節スイッチ10aの状態に応じて変更された音量でスピーカ10から出力され、その他のエラー報知(特殊報知など)は音量調節スイッチ10aの状態に関わらず予め設定された音量でスピーカ10から出力されるように構成することができる。
次に、状態フラグと切換フラグが設定されるまでの処理の流れを順に説明する。尚、主制御装置50が実施するメインルーチンについては、従来技術と何ら変わりが無いため詳細な説明は割愛する。
先ず最初に、状態フラグの設定に大きく関係する、本実施例における遊技機の遊技状態について説明する。本実施例の遊技機は確率変動機能と時短機能(変動時間短縮機能)を備えており、遊技状態はこの二つの機能の作動又は未作動によって決定する。
確率変動機能は、大当り図柄が特定図柄(確変図柄)の場合、当該大当り遊技の終了後から作動し(確変フラグが立つ)、次回の大当りまで若しくは特別図柄の変動が10000回行われるまで特別図柄の抽選確率が高確率となる。尚、大当り遊技中は確率変動機能は停止し(確変フラグが下がる)、高確率時に特定図柄で大当りとなった場合は、当該大当り遊技終了後から新たに高確率となる。
時短機能は、予め定められた図柄で大当りした場合、当該大当り遊技の終了後に作動を開始(時短フラグが立つ)し、特別図柄の変動時間が短縮される。作動期間は、予め定められた図柄が確率変動となる特定図柄ならば、作動開始から特別図柄の変動が10000回行われるまで、特定図柄以外ならば、作動開始から特別図柄の変動が100回行われるまでとなる。尚、時短機能の作動中は、開放延長機能(普通電動役物31の作動時間が長くなり遊技球の入球が容易となる)が合わせて作動する。
主制御装置50は、確変機能と時短機能の作動をそれぞれ図5の(1)(2)で示した確変フラグ、時短フラグによって設定する。それぞれの機能はフラグ値によって作動と未作動を主制御装置50が判定可能とするが、遊技状態としては、個々に設定される二つの機能の作動、未作動を組み合わせることによって四つ遊技状態が発生する。具体的には、確変フラグの値と時短フラグの値がともに「0」となる「通常確率時短無し」の状態。確変フラグの値が「0」で、時短フラグの値が「1」となる「通常確率時短有り」の状態。確変フラグの値が「1」で、時短フラグの値が「0」となる「確率変動時短無し」(所謂潜伏状態)の状態。確変フラグの値が「1」で、時短フラグの値が「1」となる確率変動時短有りの状態となる。この四つの遊技状態が主制御装置50によって四つの状態フラグの値として設定され、図5(3)に示す状態フラグの内容となる。図5(4)は、上記した確変フラグと時短フラグと状態フラグの関係を示す表であり。状態フラグは確変フラグの設定値と時短フラグの設定値を加算することによって得た値から設定可能とし、更に、状態フラグの値から確変フラグと時短フラグの値を導くことが可能な構成となっている。
次に、当否判定時における状態フラグと切換フラグに関係する処理を説明する。当否判定の結果、読み出した当否乱数値が遊技状態(低確率又は高確率)に応じた大当り判定テーブルの値と同一になれば、読み出した大当り図柄決定用乱数1の値に応じて7種類の図柄モードの中からいずれか1つの図柄モードを決定する。尚、本実施例では始動口(普通電動役物31)に遊技球が入球時に取得する乱数値の種類は、大当り決定用乱数(小当りの判定にも用いる当否判定用乱数)、大当り図柄決定用乱数1(後述する図柄モードを決定)、大当り図柄決定用乱数2(大当り図柄を決定)、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数となる。但し、取得する乱数値の種類については、これに限るものではない。
大当り図柄決定用乱数1は「0」〜「249」の250個の値で構成され、読み出した大当り図柄決定用乱数1の値が「0〜49」(50個)のいずれかであれば、図6の表でgが示す図柄モードを決定し、この図柄モードgに決定した場合の特別図柄は、読み出した大当り図柄決定用乱数2の値に応じて「図柄1〜図柄8」(8個)のいずれかとなる。大当り図柄決定用乱数1が「50〜62」(13個)のいずれかであれば、図6の表でeが示す図柄モードを決定し、この図柄モードeに決定した場合の特別図柄は、読み出した大当り図柄決定用乱数2の値に応じて「図柄9〜図柄14」(6個)のいずれかとなる。大当り図柄決定用乱数1が「63〜74」(12個)のいずれかであれば、図6の表でfが示す図柄モードを決定し、この図柄モードfに決定した場合の特別図柄は、読み出した大当り図柄決定用乱数2の値に応じて「図柄15〜図柄20」(6個)のいずれかとなる。大当り図柄決定用乱数1が「75〜179」(105個)のいずれかであれば、図6の表でdが示す図柄モードを決定し、この図柄モードdに決定した場合の特別図柄は、読み出した大当り図柄決定用乱数2の値に応じて「図柄21」(1個)のいずれかとなる。大当り図柄決定用乱数1が「180〜215」(36個)のいずれかであれば、図6の表でaが示す図柄モードを決定し、この図柄モードaに決定した場合の特別図柄は、読み出した大当り図柄決定用乱数2の値に応じて「図柄22、図柄23」(2個)のいずれかとなる。大当り図柄決定用乱数1が「216〜233」(18個)のいずれかであれば、図6の表でbが示す図柄モードを決定し、この図柄モードbに決定した場合の特別図柄は、読み出した大当り図柄決定用乱数2の値に応じて「図柄24、図柄25」(2個)のいずれかとなる。大当り図柄決定用乱数1が「234〜249」(16個)であれば、図6の表でcが示す図柄モードを決定し、この図柄モードcに決定した場合の特別図柄は、読み出した大当り図柄決定用乱数2の値に応じて「図柄26、図柄27」(2個)のいずれかとなる。
また、決定した図柄モードと当否判定時の状態フラグの値に応じてモードバッファの設定を行う。モードバッファは、大当り遊技の内容と大当り遊技終了後の遊技状態、即ち状態フラグ、確変フラグ、確変カウンタ、時短フラグ、時短カウンタを設定するために、当否判定時の決定内容を一時記憶しておく判定記憶領域である。従ってモードバッファは大当り遊技が終了するまで(大当り遊技終了処理時にクリア)主制御装置50に記憶され、後述する当り遊技開始処理時と大当り遊技終了処理時に参照される。これは、大当り遊技中(役物連続作動装置が作動している間)は、遊技状態を通常状態(状態フラグ、確変フラグ、時短フラグともに値が0)とする必要があるためであり、大当り遊技後の遊技状態は、当否判定時に決定されるが、該遊技状態を制御する装置である状態フラグ、確変フラグ、時短フラグの設定は大当り終了後に行われるためである。
図柄モードと当否判定時の状態フラグの値に応じたモードバッファの設定内容を図6、図7を示して説明する。図柄モードの種類の説明に用いた図6の表は、図柄モードと大当り判定時の遊技状態に応じた大当り遊技後の遊技状態を示す対応表である。この表より、大当り判定時がどのような遊技状態であってもa、b、c、dいずれかの図柄モードに決定すると、大当り遊技後には特別図柄が10000回の変動を行うまで確率変動機能と時短機能が作動する(確変フラグと時短フラグが立ち、確変カウンタと時短カウンタに10000が設定される)。即ち大当り終了後の状態フラグには「3」が設定されるが、図柄モードa、b、cと図柄モードdでは、大当り遊技の内容(大入賞口33aの開放パターン)が異なるためモードバッファの値が異なるものになる。
具体的なモードバッファの値とその内容を図7(1)を用いて説明する。モードバッファの値には「1〜6」の6種類有り、値が「1」の場合の遊技状態は、通常確率時短無し(確率変動機能も時短状態機能も作動しない)となる。この「1」がモードバッファに設定されるのは、確率変動機能の作動の有無に拘らず、時短機能未作動時に図柄モードがgに決定した場合である(図6参照)。モードバッファの値が「2」の場合の大当り終了後の遊技状態(当否判定時の確率変動機能と時短機能の作動判定結果)は、通常確率時短有り(確率変動機能が作動せず、時短状態機能のみが作動)となる。この「2」がモードバッファに設定されるのは、確率変動機能の作動の有無にかかわらず、時短機能作動時に図柄モードがgに決定した場合である(図6参照)。
モードバッファの値が「3」の場合は大当り終了後の遊技状態は、確率変動時短無しとなる。この「3」がモードバッファに設定されるのは、確率変動機能の作動の有無にか拘らず、時短機能未作動時に図柄モードがfに決定した場合と、確率変動機能及び時短機能の未作動時に図柄モードがeに決定した場合である(図6参照)。モードバッファの値が「4」の場合は大当り終了後の遊技状態は、確率変動時短有り1となる。この「4」がモードバッファに設定されるのは、高確率状態で時短機能が作動時に大当りとなり、図柄モードがfに決定した場合である(図6参照)。
モードバッファの値が「5」の場合は大当り終了後の遊技状態は、確率変動時短有り2となる。この「5」がモードバッファに設定されるのは、低確率又は高確率、時短機能の作動又は未作動に拘らず、図柄モードがa、b、cのいずれかに決定した場合となる(図6参照)。モードバッファの値が「6」の場合は大当り終了後の遊技状態は、確率変動時短有り3となる。この「6」がモードバッファに設定されるのは、低確率又は高確率、時短機能の作動又は未作動に拘らず、図柄モードがdに決定した場合となる(図6参照)。
次に、モードバッファの値に対応したフラグ設定テーブルの内容を図7(2)を用いて説明する。このフラグ設定テーブルは大当り終了処理時にモードバッファの値に応じて時短フラグ、時短回数カウンタ、確変フラグ、確変回数カウンタ、状態フラグ、を設定するために用いるテーブルである。尚、当否判定時には、大当り遊技の種類(大入賞口33aの開放時間、回数等の開放パターン)を規定するTDバッファも設定される。TDバッファは図柄モードに応じてその内容が設定され、大当り開始時にTDフラグを設定すると消去される。
モードバッファの値が「1」(通常確率時短無し)の時は、上記した全ての設定値(時短フラグ、時短回数カウンタ、確変フラグ、確変回数カウンタ、状態フラグ)が00Hに設定される。モードバッファの値が「2」、「4」、「5」、「6」の時は、時短フラグには01Hが設定され、時短回数カウンタには「2」、「4」なら100回(下位64H、上位00H)、「5」、「6」なら10000回(下位10H、上位27H)が設定される。モードバッファの値が「3」、「4」、「5」、「6」の時は、確変フラグには02Hが設定され、確変回数カウンタには「3」、「4」、「5」、「6」とも10000回(下位10H、上位27H)が設定される。
状態フラグはモードバッファの値が「1」ならば00H、「2」ならば01H、「3」ならば02H、「4」「5」「6」ならば03Hが設定される。状態バッファは上述した構成で設定されるが、これは本願発明における、当否判定時の遊技状態及び大当り図柄に基づいて大当り終了時に設定される状態フラグ、に該当する構成となる。また、本実施例ではモードバッファに応じた確変フラグと時短フラグの値は、フラグ設定テーブルに記憶されているが、フラグ設定テーブルには状態フラグの値のみ記憶し、大当り終了時の各フラグ設定時には状態フラグの値に応じて確変フラグと時短フラグの値を設定する構成としてもよい。
次に大当り又は小当りの当否判定時に設定される切換バッファについて説明する。当否判定の結果、読み出した当否乱数値が遊技状態(低確率又は高確率)に応じた大当り判定テーブルの値と同一、若しくは大当り判定テーブルの値と異なる場合でも小当り判定テーブルと同一ならば、読み出した大当り図柄決定用乱数2の値と、当否判定時の遊技状態に応じて切換バッファの値を決定する。
切換バッファは、当否判定時に決定する大当り遊技又は小当り遊技終了時に設定する切換フラグの値を一時記憶しておく判定記憶領域であり、切換フラグは、特別図柄の変動パターン選択テーブルを変更する特別図柄の変動回数を示すフラグである。従って切換バッファは大当り遊技又は小当り遊技が終了するまで主制御装置50に記憶され(大当り遊技終了処理時及び小当り遊技終了処理時にクリア)、後述する大当り遊技終了処理時及び小当り遊技終了処理時に参照される。
大当り図柄決定用乱数2は、「0」〜「7」の8個の値で構成され、当否判定時の遊技状態が確率変動機能、時短機能ともに未作動なら(状態フラグ0)、読み出した大当り図柄決定用乱数2がいずれの値であっても(「0〜7」の8個)切換バッファの値は1を決定する。当否判定時の遊技状態が確率変動機能が未作動で、時短機能が作動中なら(状態フラグ1)、読み出した大当り図柄決定用乱数2が「0〜3」(4個)なら、切換バッファの値は1を決定し、大当り図柄決定用乱数2が「4〜7」(4個)なら、切換バッファの値は2を決定する。当否判定時の遊技状態が確率変動機能が作動中で、時短機能が未作動なら(状態フラグ2)、読み出した大当り図柄決定用乱数2が「0〜3」(4個)なら、切換バッファの値は2を決定し、大当り図柄決定用乱数2が「4〜7」(4個)なら、切換バッファの値は3を決定する。当否判定時の遊技状態が確率変動機能と時短機能がともに作動中なら(状態フラグ3)、読み出した大当り図柄決定用乱数2がいずれの値であっても(「0〜7」の8個)切換バッファの値は3を決定する。従って、切換バッファに各値を決定する割合は、12/32で値1を、8/32で値2を、12/32で値3を決定する。
本実施例では、当否判定時の遊技状態(状態フラグの値)と、大当り図柄決定用乱数2の値によって切換バッファを決定しているが、大当り図柄決定用乱数1を用いてもよいし、大当り判定の場合は、前述した図柄モードとその時の遊技状態によって決定してもよい。
次に、図8を用いて主制御装置50が大当り遊技と小当り遊技の開始時に実行する、当り遊技開始処理について説明する。この処理では、大当り遊技を実施する場合は、当否判定時に決定したモードバッファの値に従って大当り遊技の内容(大入賞口33aの開放回数と開放時間と各インターバル時間)を設定し、大当り遊技中の遊技状態を通常状態に移行する処理を行い、小当り遊技を実施する場合は、小当り遊技の内容(大入賞口33aの開放回数と開放時間と各インターバル時間)を設定する。
当り遊技開始処理を開始すると、モードバッファの値を参照し(S10)モードバッファ値が0以上か否か判定する(S11)。肯定判定なら(S11:YES)、上述したモードバッファの値に応じて大当りの遊技内容となる大入賞口33aの開放回数と開放時間と、開始インターバル時間と開放間インターバル時間と終了インターバル時間とを設定する大当り遊技設定処理を行う(S12)。次に状態フラグに0をセットし(S13)、確変フラグに0をセットし(S14)、時短フラグに0をセットする(S15)。S11が否定判定なら(S11:NO)、モードバッファが設定されない小当り遊技であると判断して小当り遊技の内容となる大入賞口33aの開放回数と開放時間と、開始インターバル時間と開放間インターバル時間と終了インターバル時間とを設定する小当り遊技設定処理を行う(S16)。S15又はS16の処理の後リターンに抜ける。
次に、図9を用いて主制御装置50が大当り遊技と小当り遊技の終了時に実行する、当り遊技終了処理について説明する。この処理では、大当り遊技を終了する場合は、役物連続作動装置、条件装置の停止処理を行った後、当否判定時に決定したモードバッファの値に従って状態フラグ、確変フラグ、確変回数カウンタ、時短フラグ、時短回数カウンタを設定し、同様に当否判定時に決定した切換バッファの値に従って切換フラグを設定する。更に、設定された状態フラグの値と切換フラグの値を変動パターン選択テーブル設定領域にセットして大当り遊技終了後から開始する特別図柄の変動パターン選択テーブルを決定し、切換フラグの値に応じて切換カウンタの設定処理を行う。
当り遊技開始処理を開始すると、大当り又は小当たりの終了演出(インターバル)時間が経過したか否か判定する(S40)。肯定判定であれば(S40:YES)、大当りフラグが1か否かを判定し(S41)、肯定判定であれば(S41:YES)即ち大当り遊技の終了であれば役物連続作動装置停止処理と(S43)、条件装置作動停止処理を行い(S44)、大当り遊技終了後の遊技状態を設定するために当否判定時に設定されたモードバッファを参照し(S45)、状態フラグ(S46)、確変回数カウンタ(S47)、確変フラグ(S48)、時短回数カウンタ(S49)、時短フラグ(S50)を設定してからモードバッファの値をクリアする(S51)。
S41が否定判定(S41:NO)又はS51の処理に続いては、当否判定時に設定した切換バッファを参照し(S52)、切換フラグを設定した後(S53)、切換バッファのクリア処理を行う(S54)。次に、設定した状態フラグと切換フラグの値を変動パターン選択テーブル設定領域にセットし(S55)、切換カウンタの値に応じて切換カウンタを設定し(S56)、終了処理を実施した当りに該当する大当り又は小当りフラグに0をセットし(S57)、サブ統合制御装置53に当り終了コマンドを送信する(S58)。S58の終了後又はS40が否定判定なら(S40:NO)リターンに抜ける。
以上が当り遊技終了処理となるが、S46からS50にかけての処理が、本願発明における、状態フラグの値に基づいて大当り遊技終了後の遊技状態を設定する状態設定手段に該当する処理となる。また、S55の処理は、本願発明における、切換フラグの値及び状態フラグの値に基づいて当り終了後における特別図柄の変動パターンを選択するテーブルを決定するテーブル決定手段に該当し詳細は後述する。更に、S56の処理は、本願発明における、切換フラグの値に基づいてカウンタ値又は判定値を設定する設定手段に該当する処理となる。
次に図10(1)を用いて図9のS55で行った変動パターン選択テーブル設定処理(状態フラグと切換フラグの二つの値をセットすることによって実施)について説明する。図10(1)の上部にある四角で囲んだ(1)から(4)は、変動パターン選択テーブル設定領域の4ビットを表し、状態フラグの値(2ビット)と切換フラグの値(2ビット)が、いずれかのフラグ値の変化に応じてセットされる。(1)(2)にはその時点(いずれかのフラグの値が変化した時点)の状態フラグの値が、(3)(4)にはその時点の切換フラグの値がセットされる。
例えば、大当り終了時に設定される遊技状態が、確率変動機能が未作動(確変フラグ00)で時短機能が作動(時短フラグ01)の場合(時短回数100回)、状態フラグはそれぞれの値を加算した01となり、(1)には1を(2)には0がセットされる。同様に大当り終了処理時にセットされた切換フラグの値が3(11)ならば、(3)(4)にはそれぞれ1がセットされる。従って変動パターン選択テーブル設定領域には、「1101」((4)(3)(2)(1))という4ビットがセットされることになる。
変動パターン選択テーブル設定領域の4ビットに「1101」がセットされた場合には、図10(2)に示したマトリックス表より、切換フラグが11、状態フラグが01の組み合わせに該当する選択テーブルHが変動パターン選択テーブルとして設定される。同様に変動パターン選択テーブル設定領域に「1010」がセットされた場合には、切換フラグが10、状態フラグが10の組み合わせに該当する選択テーブルKが設定され、「0111」ならば選択テーブルNが設定される構成となっている。これは、切換フラグの値及び状態フラグの値に応じて大当り終了後における特別図柄の変動パターンを選択する選択テーブルを決定する構成となる。尚。各々の変動パターン選択テーブルは、(平均)変動時間、特殊演出の出現率、等が異なるように構成することが可能である。従って、類似した遊技状態時に異なる選択テーブルであることを遊技者が認識可能にも不可能にも設定することができる。
次に、大当り終了時に設定された変動パターン選択テーブルを、特別図柄の変動回数が所定数に達したことを条件に切り換える処理となる変動パターン選択テーブル切換処理について図11を用いて説明する。尚、この処理は、本願発明において、カウンタ値を特別図柄の変動毎に演算して、カウンタ値と判定値とが同一値となった際に、切換フラグの値を初期化(クリア)し、状態フラグの値に基づいて特別図柄の変動パターンを選択する選択テーブルを切り換えるテーブル切換手段を含む処理となる。本実施例に於いてこの処理が行われるタイミングは、特別図柄の変動表示図柄が確定するタイミング(図柄確定信号送信時)で行われるが、変動表示の開始処理時に当否判定を行ってから該当否判定に応じて変動パターンを選択する処理の間に行う構成としてもよい。
変動パターン選択テーブル切換処理を開始すると、切換フラグの値が0より大きいか否か判定する(S70)。肯定判定なら(S70:YES)、特別図柄の変動が実施されたか否か判定し(S71)、肯定判定なら(S71:YES)切換カウンタのデクリメント処理を行う(S72)。次に切換カウンタの値が0か否か判定し(S73)、肯定判定なら(S73:YES)切換フラグのクリア処理として値に0を設定する(S74)。次に切換フラグの値が0に設定(切換フラグの値が変化)されたことにより、変動パターン選択テーブル設定領域に切換フラグの値0と、その時の状態フラグの値を再設定し(S75)、選択テーブル切換処理を行う(S76)。
以上が変動パターン選択テーブル切換処理となり、本実施例では切換フラグの値に応じてカウンタ値を設定しデクリメントする処理(0が判定値)を行っているが、判定値を設定して初期値が0のカウンタを特別図柄の変動毎にインクリメントし、判定値とカウンタ値を比較する処理としてもよい。
変動パターン選択テーブル切換処理の具体例を図10(2)を用いて説明する。大当り終了時に、前述の例でも用いた「1101」が変動パターン選択テーブル設定領域にセットされると、選択テーブルHが決定され、特別図柄が100回の変動を行うまで時短機能が作動する。但し、切換フラグ設定時には該切換フラグの値11に応じた30が切換カウンタに設定され特別図柄の変動数に応じて切換カウンタが0になると、切換フラグの値はクリアされその値は0になる。従って切換フラグの値が0に変化した時点で、変動パターン選択テーブル決定用テーブルにおける切換フラグの値と状態フラグの値との組み合わせが変化し、切換フラグの値00と状態フラグの値01との組み合わせに応じた選択テーブルEへの切換えが行われる。
更に、従来機の小当り遊技においては、小当りを契機として遊技状態が変化することはないため、小当りを契機に変動パターン選択テーブルが切替わることがなかったが、本実施例の遊技機においては、小当り遊技終了時に該小当りとなる当否抽選時に決定した切換バッファの値に従って切換フラグに新たな値が設定されるため、小当り遊技を契機として変動パターン選択テーブルの切換が行われる。詳しくは、当否判定時の切換フラグの値が1以上で、且つ該当否判定時に新たに決定した切換バッファの値と同一値でなければ、小当り遊技後の切換フラグの値と状態フラグの値の組み合わせと、小当り遊技前の切換フラグの値と状態フラグの値の組み合わせは異なるものとなり、変動パターン選択テーブル決定用テーブルで決定する変動パターンテーブルは異なるものになる。よって小当り遊技後の変動パターン選択テーブルは、小当り遊技前に設定されていた変動パターン選択テーブルから切替わることになる。
次に図12に示したタイミングチャートを用いて、大当り時と小当り時の変動パターン選択テーブルの決定と切換処理に係る各処理のタイミングを説明する。図12の上のタイムチャートとなる当否判定が大当り判定の場合、当否判定時にモードバッファの設定(大当り遊技の内容と、大当り遊技後の遊技状態を決定し一時記憶)と、切換バッファの設定(変動パターン選択テーブルの切り替えタイミングを決定し一時記憶)を行う。下のタイムチャートとなる当否判定が小当り判定の場合、当否判定時に切換バッファの設定のみ行われる。
当否判定後の特別図柄の変動表示は、大当りも小当りも同様に行われ、変動表示を終了し確定図柄の表示後に大当り又は小当り遊技が行われる。大当り遊技開始時は、当否判定時に決定したモードバッファの内容に従って、大当り遊技の内容を設定し状態フラグの値が0にセットされる。大当り遊技中は、条件装置と役物連続作動装置が作動する。従って大当り遊技中の遊技状態は、大当り遊技前の遊技状態がどの様な遊技状態であっても必ず確変フラグ値0、時短フラグ値0の通常遊技状態となる。
それに対して小当り時の場合、条件装置と役物連続作動装置は作動せず、小当り遊技を契機とした遊技状態の切り替え(状態フラグの設定処理)は実施されないため、小当り遊技の前、中、後を通して遊技状態は同一となり遊技状態に変化はない。但し、小当りとなる当否判定が、確変又は時短終了時と重なった場合は、小当りの前後で遊技状態は変化するが、極めて稀なケースである。
大当り遊技終了時は、条件装置と役物連続作動装置の作動が終了し、主制御装置50が記憶しているモードバッファに従って大当り終了後の遊技状態、詳しくは時短フラグ、時短カウンタ、確変フラグ、確変カウンタ、状態フラグの各々の値が設定され、同じく主制御装置50が記憶している切替えバッファに従って切り替えフラグの値を設定する。モードバッファと切換バッファは、これらを基にして各フラグやカウンタに値が設定された時点でクリアされる。
更に、設定された状態フラグと切替フラグの値が変動パターン選択テーブル設定領域の4ビットにセットされ、前述した変動パターン選択テーブル決定用テーブルを用いて大当り終了後の変動パターン選択テーブルを決定する。
小当り終了時は、主制御装置50が記憶している切替バッファに従って切替フラグの値を設定し、切替フラグ設定後切換バッファをクリアする。また、設定された切換フラグの値と小当り遊技前後で変化のない(再設定されていない)状態フラグの値を、変動パターン選択テーブル設定領域の4ビットにセットし、前述した変動パターン選択テーブル決定用テーブルを用いて小当り終了後の変動パターン選択テーブルを決定する。
大当り終了後の特別図柄の変動は、大当り終了時に設定した切換フラグの値に応じた変動回数(切換カウンタ値)を実施するまで、上述した内容により決定した変動パターン選択テーブルから変動パターンを選択する。そして、変動回数に応じて切換カウンタの値が0になり切換フラグの値が変化すると、変化した切換フラグの値と大当り終了時に設定した状態フラグの値が、変動パターン選択テーブル設定領域の4ビットに再セットされることによって、変動パターン選択テーブル決定用テーブルから、切換フラグの変化前とは異なる変動パターン選択テーブルを決定し、再設定した変動パターン選択テーブルを用いた特別図柄の変動が実施される。尚、切換カウンタが0になるよりも先(切換フラグが初期化されるよりも前)に状態フラグの値が変化した場合は、変化した状態フラグの値と切換フラグの値を基にして新たな選択テーブルを決定する構成となっている。
小当り終了後の特別図柄の変動は、小当り終了時に設定した切換フラグの値に応じた変動回数(切換カウンタ値)を実施するまで、小当り終了時に決定した変動パターン選択テーブルを用い、特別図柄の変動回数に応じて切換カウンタの値が0になり切換フラグの値が変化すると、変化した切換フラグの値と小当り以前から設定されている状態フラグの値が、変動パターン選択テーブル設定領域の4ビットに再セットされることによって、変動パターン選択テーブル決定用テーブルから、切換フラグの変化前とは異なる変動パターン選択テーブルを決定し、再設定した変動パターン選択テーブルを用いた特別図柄の変動が実施される。
大当りの場合の具体例を、10図(1)の例と同じ遊技状態を用いて説明する。大当りとなる当否判定時には、読み出した大当り図柄決定用乱数1と当否判定時の状態フラグの値に応じて、大当り遊技後の確変フラグの値が0、確変カウンタの値が0、時短フラグの値が1、時短カウンタの値が100、状態フラグの値が1に設定されるようにモードバッファの値に2が設定される。また、大当り図柄決定用乱数2と当否判定時の状態フラグの値に応じて、大当り遊技終了後に特別図柄が30回変動したら変動パターン選択テーブルを切替えように切換バッファの値に3が設定される。
当否判定時にこの二つの値が設定されることによって大当り遊技終了時に、確変フラグの値に0、確変カウンタの値に0、時短フラグの値に1、時短カウンタの値に100、状態フラグの値に1、切換フラグの値に3が設定される。更に、大当り遊技終了時には、変動パターン選択テーブル設定領域に、状態フラグの値1(01)と切換フラグの値3(11)がセットされ、変動パターン選択テーブル設定領域の4ビットは「1101」となり、この値(状態フラグと切換フラグの組み合わせ)に応じて、大当たり終了後の特別図柄の変動パターンは、変動パターン選択テーブル決定用テーブルから選択テーブルHが決定される。
大当り遊技終了時に切換フラグの値に3が設定されたため、大当り終了後から始まる選択テーブルHを用いた特別図柄の変動が30回実施されると、変動パターン選択テーブル切換処理によって切換フラグの値がクリアされその値が0になる。切換フラグの値が変化したことによって、変動パターン選択テーブル設定領域の4ビットが「0001」に再設定され、この値(状態フラグと切換フラグの組み合わせ)に応じて、変動パターン選択テーブル決定用テーブルから選択テーブルEが決定され、大当り終了後の31回目の特別図柄の変動から、選択テーブルEを用いた変動を開始する。
更に、この遊技状態例(状態フラグの値1)では、大当り終了後に特別図柄の変動が100回実施されるまで時短状態が継続し、100回実施された時点を契機に状態フラグの値が1から0に変化する。従ってこの時点においても、変動パターン選択テーブルの切換が行われる。
具体的には、状態フラグの値が0に変化したため変動パターン選択テーブル設定領域の4ビットは「0000」となり、この値(状態フラグと切換フラグの組み合わせ)に応じて、変動パターン選択テーブル決定用テーブルから選択テーブルAが決定され、大当り終了後の101回目の特別図柄の変動から、選択テーブルAを用いた変動を開始する。
尚、選択テーブルAを用いた特別図柄の変動は、大当りによって状態フラグの値が変化するか、大当り又は小当りによって切換フラグの値が変化するまで継続する。
次に、小当りの場合の具体例を説明する。小当りとなる当否判定時には、大当り図柄決定用乱数2と当否判定時の状態フラグの値に応じて、大当り遊技終了後に特別図柄が60回変動したら変動パターン選択テーブルを切替えように切換バッファの値に2が設定される。尚、当否判定時の遊技状態は状態フラグの値を0とし、変動パターン選択テーブル設定領域の4ビットは「0000」で、用いられていた選択テーブルはAとする。
小当り遊技終了時には、切換フラグの値に2がセットされ、変動パターン選択テーブル設定領域に、状態フラグの値0(00)と切換フラグの値2(10)がセットされ、変動パターン選択テーブル設定領域の4ビットは「1000」となり、この値(状態フラグと切換フラグの組み合わせ)に応じて、小当たり終了後の特別図柄の変動パターンは、変動パターン選択テーブル決定用テーブルから選択テーブルCが決定される。
小当り遊技終了時に切換フラグの値に2が設定されたため、小当り終了後から始まる選択テーブルCを用いた特別図柄の変動が60回実施されると、変動パターン選択テーブル切換処理によって切換フラグの値がクリアされその値が0になる。切換フラグの値が変化したことによって、変動パターン選択テーブル設定領域の4ビットが「0000」に再設定され、この値(状態フラグと切換フラグの組み合わせ)に応じて、変動パターン選択テーブル決定用テーブルから選択テーブルAが決定され、大当りによって状態フラグの値が変化するか、大当り又は小当りによって切換フラグの値が変化するまで選択テーブルAから変動パターンを選択する。
尚、本実施例における選択テーブルAから選択テーブルPは、それぞれの選択テーブルが、変動時間の長い変動パターンが多いテーブル、変動時間の短い変動パターンが多いテーブル、特殊変動Aの出現率が高いテーブル、特殊変動Bの出現率が高いテーブル、特殊変動Cの出現率が高いテーブルといったように、各選択テーブル毎に実施される変動パターンに特徴のある構成となっている。
以上が本実施例の説明となり、従来の遊技機では、遊技状態が変化(状態フラグが変化)する場合にしか選択テーブルの切換は行えなかったが、上述した構成とすることで、大当り又は小当りとなる当否判定時に設定される切換バッファ(切換フラグ)によって、状態フラグの変化時以外にも選択テーブルを切替えることが可能となっている。
例えば、大当り終了後の状態フラグの値に1が、時短カウンタに100が設定された場合、従来の遊技機では、大当りが終了してから特別図柄が100回変動するまでは、同一の選択テーブルを用いて遊技が行われていた。大当り終了後からの図柄変動は、遊技者にとっては大当りの連続発生を願う期間であるが、変動パターン選択テーブルの固定により、単調な遊技にならざるを得ない遊技期間となっていた。このような単調な遊技では、時短状態の終了契機が、遊技を終了する意向を遊技者に与えてしまう虞が多々あり、実際の遊技場においても、時短状態の終了とともに遊技を終了する遊技者が多い。
しかしながら本願発明の遊技機では、当否判定時に決定した切換フラグの値が時短状態中に変化することにより、100回の時短状態が終了するまでに変動パターンの選択テーブルが変化し、時短状態の遊技が単調になることを防ぐとともに、時短状態終了後の遊技展開に期待を持たせることが可能となっている。これは、遊技場における稼働率を向上させる効果を発揮するものである。
更に、本願発明の遊技機は、大当り終了後の遊技状態が異なる複数の大当り遊技を備えており、切換カウンタの設定値と、変動パターン選択テーブル決定用テーブルの内容を調整することにより、遊技をさらに興趣あるものとすることが可能となる。
図7(2)に示した図表より、当否判定時にモードバッファの値に2が設定された場合と、4が設定された場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、確率変動状態かそうでないかの違いがあるが、大当り終了後に特別図柄が100回変動するまでは、どちらも時短状態となる。2が設定された場合の時短状態終了後は、状態フラグの値が0(通常確率時短無し)となるが、4が設定された場合の時短状態終了後は、状態フラグの値が2(10)(確率変動時短無し)となり、所謂確変潜伏状態となる。
この二つの時短状態終了後は、一見して区別がつかず遊技者が判断に迷うところであるが、前述した本願発明の内容、詳しくは切替フラグの値に対応した切換カウンタの値を改良することにより、従来機に無い興趣を得ることが可能となる。
具体的には、例えば切換フラグの値1に対応した切換カウンタの値を120に設定する。この値は、モードバッファの値2又は4に決定した場合に設定される時短カウンタの値100よりも大きな値とする。この改良を前提として、当否判定時にモードバッファの値が2、切換バッファ(カウンタ)の値が1に決定した場合(以降モードバッファ2の場合と記載)、大当り遊技終了時の変動パターン選択テーブル設定領域には0101が設定され、大当り終了後の変動パターン選択テーブルは最初にFが選択される。また、当否判定時にモードバッファの値が4、切換バッファ(カウンタ)の値が1に決定した場合(以降モードバッファ4の場合と記載)、大当り遊技終了時の変動パターン選択テーブル設定領域には0111が設定され、大当り終了後の変動パターン選択テーブルは最初にNが選択される。
大当り終了後に特別図柄が100回変動すると、モードバッファ2、4ともに時短状態が終了し遊技状態(状態フラグの値)が変化する。この時点では、切換フラグは初期化されていないが状態フラグに値が変化したことに応じてモードバッファ2では変動パターン選択テーブル設定領域に0100が設定され選択テーブルBに切替わる。
その後、特別図柄が20回転すると切換カウンタが0になり切換カウンタがクリアされる。この時点で変動パターン選択テーブル設定領域に0000が設定され選択テーブルAに切替わる。
遊技状態の変化に応じてモードバッファ4では変動パターン選択テーブル設定領域に0110が設定され選択テーブルJに切替わる。その後、特別図柄が20回転すると切換カウンタが0になり切換カウンタがクリアされる。この時点で変動パターン選択テーブル設定領域に0010が設定され選択テーブルIに切替わる。
この構成は、テーブル切換手段は、切換フラグの値が初期化されずに状態フラグが変化した際には、該変化後の状態フラグの値及び切換フラグの値に基づいて、特別遊技の変動パターンを選択する選択テーブルを切り換える構成となる。
状態フラグの変化を契機として状態フラグの値と切換フラグの値に基づいて選択テーブルの切換が行われるため、設定手段のカウンタ値又は判定値に、状態フラグが変化するまでの確変回数カウンタ又は時短回数カウンタよりも大きな値を設定することにより、遊技状態変化後から切換フラグが初期化されるまでの期間に用いる選択テーブルにより遊技の興趣を高める効果がある。
従来機同様、選択テーブルAと選択テーブルIの内容はほぼ同じ内容とすることは変わりないが、時短状態(短い変動)が終了してから選択テーブルA又はIに切替わるまでに、J又はBの選択テーブルをワンクッション用いることにより、時短状態終了後の変動パターン選択テーブル(J又はB)の内容によって遊技機の性格付けが可能となる。
大当り終了後に設定された遊技状態が変化することは、遊技状態が通常遊技状態に戻るか、又は通常遊技状態に戻ったと見せかけて内部的には確率変動状態等の遊技者に有利な状態である所謂潜伏状態となるかのどちらかの場合が多いが、遊技状態変化後、例えば時短状態終了後の一定期間選択される選択テーブルによって、遊技状態変化後の状態が利益を期待できる状態かそうでないかを示唆することが可能となる。
例えば、選択テーブルBとJの内容が、選択テーブルA及びIとは異なるがほぼ同じ内容とすれば、遊技者は遊技状態が通常確率状態か確率変動状態かの区別がつかず遊技者を迷わせる効果を発揮するが、選択テーブルBとJの内容が、区別可能に設定されたものであれば、遊技を継続するか否かの判断が容易となる効果を発揮する。