JP5415132B2 - 直流高電圧発生装置 - Google Patents

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本発明は塗装ロボットや農薬散布機等に備えられ、直流高電圧を発生させる直流高電圧発生装置に関するものである。
直流高電圧を発生させる直流高電圧発生装置は、塗装ロボットや農薬散布機等に備えられており、特許文献1に記載のように、高電圧発生回路を有する回路封入樹脂部と、高電圧発生回路を制御するコントローラと、コントローラと高電圧発生回路とを接続する複数の伝送線を有するケーブル部とによって構成されている。
特開2003−134824号公報
この種の直流高電圧発生装置において直流高電圧を発生させる昇圧変圧器、ダイオード、コンデンサ、抵抗器は通電されると、それらの電気抵抗により発熱するが、発熱温度が定格以上の高温になると、各部品の性能が劣化したり故障したりする場合がある。しかしながら、従来はそのような発熱温度については特段考慮されていなかった。而して、回路封入樹脂部は何十万円もする高価なものであるため、極力交換回数を減らしたい。
また、直流高電圧発生装置が塗装ロボットのアームに内蔵されるような場合には、アームが被塗装面の形状に対応して自在に動作するため、ケーブル部が捻られたり、曲げられたりして断線してしまう場合がある。而して、塗装中に断線する事故が発生すると、塗装作業が中断することになり、作業効率が格段に落ちてしまうので、極力塗装作業の中断は避けたい。
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、直流高電圧発生装置に、回路封入樹脂部に封入された部品の発熱状況やケーブル部の伝送線の断線前状況を監視できる保安機構を備えさせたものを提供することを、その目的とする。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、高電圧発生回路が樹脂に封入されて成る回路封入樹脂部と、前記回路封入樹脂部の前記高電圧発生回路を制御するコントローラと、前記コントローラのCPUと前記回路封入樹脂部の前記高電圧発生回路とを接続する複数の伝送線を有するケーブル部とよって構成され、塗装ロボットに配設された直流高電圧発生装置において、更に前記回路封入樹脂部には温度を検知する温度検知部としてのサーミスタが前記高電圧発生回路に対し絶縁状態で封入され、前記サーミスタの一端側は前記伝送線とは別の伝送線に接続され、他端側は伝送線より弱く破断し易い易破断線に接続され、前記ケーブル部は前記別の伝送線と前記易破断線も有しており、前記別の伝送線は前記CPUに接続され、前記易破断線は前記コントローラ内で接地されており、前記塗装ロボットのアームの先端に装着された静電塗装機内に前記回路封入樹脂部が配設され、前記アーム内を前記ケーブル部が挿通していることを特徴とする直流高電圧発生装置である。
請求項の発明は、請求項に記載した直流高電圧発生装置において、ケーブル部は複数の伝送線とそれらを包囲するシールド部材によって構成されており、サーミスタの一端側は易破断線として前記シールド部材に接続され、前記サーミスタの他端側は前記伝送線を介してCPUに接続されており、前記CPUに前記シールド部材の断線が検知されることを特徴とする直流高電圧発生装置である。
請求項の発明は、請求項またはに記載した直流高電圧発生装置において、CPUはサーミスタによって検知された温度が所定の温度を超えると、または易破断線が断線すると警報を発し、または自動的に電源供給を停止したりすることを特徴とする直流高電圧発生装置である。
本発明の直流高電圧発生装置によれば、回路封入樹脂部に封入された部品の発熱状況やケーブル部の伝送線の断線前状況を監視できる。
本発明の実施の形態1に係る直流高電圧発生装置の回路樹脂封入部とケーブル部の側面図である。 図1の直流高電圧発生装置の電気的配線図である。 図1の直流高電圧発生装置が内蔵されたアームの動作を説明するための図である。 本発明の実施の形態2に係る直流高電圧発生装置の電気的配線図である。
本発明の実施の形態1に係る直流高電圧発生装置1を図1から図3にしたがって説明する。
この直流高電圧発生装置1は静電塗装用の塗装ロボットに備えられるものである。
図1、図2に示すように、直流高電圧発生装置1は、回路封入樹脂部3と、ケーブル部41と、コントローラ51とによって構成されている。
回路封入樹脂部3では高電圧発生回路5が樹脂成形体7に封入されている。図1では樹脂成形体7の側面が切り取られており、高電圧発生回路5が見えている。
高電圧発生回路5の構成について、図1にしたがって説明する。
符号11はレセプタクルコネクタを示し、このレセプタクルコネクタ11は回路封入樹脂部3の基端部(図1において左端部)に配置されている。レセプタクルコネクタ11には複数の雄型端子15(15a〜15g)が備えられている。レセプタクルコネクタ11の右側には昇圧変圧器19が配置されており、昇圧変圧器19の右側にはコッククロフトウォルトン回路23が配置されている。コッククロフトウォルトン回路23は複数のコンデンサ25と複数のダイオード27とから成っている。コッククロフトウォルトン回路23の右側には出力用抵抗29が配置されており、出力用抵抗29の右側には出力端子31が配置されている。昇圧変圧器19、コッククロフトウォルトン回路23の下側には電圧測定用抵抗17、18、保護抵抗21が配置されている。
符号35は温度検知部としてのサーミスタを示し、このサーミスタ35は負特性を有している。サーミスタ35は昇圧変圧器19の近傍に配置されている。なお、昇圧変圧器19は高電圧発生回路5の作動時において、特性が温度に特に依存する部品である。
部品間の絶縁距離を十分に確保するために、上記した高電圧発生回路5は耐電圧性に優れた樹脂成形体7に封入されている。樹脂成形体7を構成し、各部品を囲んでいる樹脂は熱硬化性樹脂である。樹脂への封入・成形は、金型や樹脂ケースに、雄型端子15ごと高電圧発生回路5を挿入し、溶融樹脂を流し込み固化し、取出すことにより行っている。
符号41はケーブル部を示し、このケーブル部41は被覆付の複数の伝送線43(43a〜43g)と、複数の伝送線43を包囲するように配されたシールド部材45と、シールド部材45を外側から覆った外皮47とから成っている。複数の伝送線43は互いに隣り合って直線状に延びている。シールド部材45は多数のシールド線45aが編み込まれてなるものである。ケーブル部41の端部にはプラグコネクタ49が設けられており、このプラグコネクタ49と回路封入樹脂部3側のレセプタクルコネクタ11が連結されている。
次に直流高電圧発生装置1の電気的配線について、図2にしたがって説明する。
符号51はコントローラを示し、このコントローラ51のCPU53には、定格温度等が記憶されたメモリ55と、直流電源61の電源ラインに介挿されるトランジスタ57と、警報部としてのブザー59が接続されている。
昇圧変圧器19の一次側コイルは雄型端子15a、15b、15c、伝送線43a、43b、43cを介してコントローラ51に接続されている。昇圧変圧器19の二次側コイルはコッククロフトウォルトン回路23に接続されている。コッククロフトウォルトン回路23の高電圧側(図2において右側)には出力用抵抗29の一端が接続されており、この出力用抵抗29の他端は出力端子31に接続されている。出力端子31は静電塗装機Sの図示しない高電圧部に接続されている。
コッククロフトウォルトン回路23の高電圧側には電圧測定用抵抗17の一端が接続されており、電圧測定用抵抗17の他端には電圧測定用抵抗18の一端が接続されている。電圧測定用抵抗18の他端は雄型端子15f、伝送線43fを介してコントローラ51に接続されており、コントローラ51内で接地されている。
電圧測定用抵抗17と電圧測定用抵抗18との接続点は雄型端子15e、伝送線43eを介してコントローラ51に接続されている。
昇圧変圧器19の二次側コイルの一端は雄型端子15d、伝送線43dを介してコントローラ51に接続されている。
保護抵抗21の一端は雄型端子15dに接続され、他端は雄型端子15fに接続されている。
上記の構成により、入力電圧・電流値、出力電圧・電流値を監視しながら安定した高電圧の供給を可能としている。
また、サーミスタ35の一端側は雄型端子15g、伝送線43gを介してコントローラ51に接続されており、他端側はシールド部材45のうちの1本のシールド線45aに接続されている。その接続されたシールド線45aには導線46が引き出されており、その導線46はコントローラ51内で接地されている。
この構成により、コントローラ51は回路封入樹脂部3内の温度を電圧変化として測定することが可能となっている。また、シールド線45aが断線すると、出力電圧が異常になるので、断線を検知することが可能になっている。シールド線45aは伝送線43より弱く破断線し易いので、シールド線45aの破断によって伝送線43も破断し易い状況にあることが分かる。
次に、塗装ロボットへの配設状態を、図3にしたがって説明する。
アームAの先端には静電塗装機Sが装着され、静電塗装機S内に回路封入樹脂部3が配設されている。ケーブル部41はアームA内を挿通しており、図示しない複数の関節部を通っている。塗装作業中は(1)(2)(3)に示すように、複数の関節部が動作してアームAの姿勢が基本姿勢から捩り姿勢や曲げ姿勢に変わり、それによってケーブル部41は捻られたり、曲げられたりする。
次に、直流高電圧発生装置1の動作について説明する。
コントローラ51の制御下、直流電源61から供給された電源を高電圧発生回路5の出力端子31から静電塗装機Sの図示しない高電圧部に出力される。高電圧の出力中、コントローラ51はサーミスタ35によって昇圧変圧器19の近傍温度を常時測定して監視する。
コントローラ51はサーミスタ35によって検知された温度が定格温度を超えたと判断すると、ブザー59に信号を送り異常温度報知用の警報音を発させる。この警報音によって、作業者は昇圧変圧器19が異常な高温になりつつあることを確認でき、実際に故障が起きる前に直流高電圧発生装置1を停止させることができる。
また、図3に示すように、ケーブル部41が捻られたり、曲げられたりしてシールド線45aが断線すると、コントローラ51は出力電圧の異常を検知する。これによりコントローラ51はシールド線45aが断線したと分かる。
コントローラ51がシールド線45aの断線を検知すると、コントローラ51はブザー59に信号を送り断線報知用の警報音を発させる。この警報音によって、作業者はシールド線45aが断線したことを確認でき、伝送線43が実際に断線する前に直流高電圧発生装置1を停止させることができる。
また、サーミスタ35を中心とする温度測定手段によって、温度依存性の高い部品の周囲の発熱状況とケーブル部の伝送線の断線前状況を監視できるので、既存の直流高電圧発生装置と同様の大きさを維持できる。
図4に示す実施の形態2に係る直流高電圧発生装置71について説明する。
この直流高電圧発生装置71は、実施の形態1に係る直流高電圧発生装置1と同様の構成部分を有するので、直流高電圧発生装置1と同じ構成部分については、実施の形態1と同じ符号を付すことで説明を省略し、直流高電圧発生装置1と相違する構成部分のみを説明する。
符号73は易破断線(導線)を示し、この易破断線73は実施の形態1に係る直流高電圧発生装置1の伝送線43gに代えて用いられる。易破断線73は伝送線43(43a〜43f)より弱く破断線し易い導線によって構成されている。この易破断線73は断線傾向にあると、その抵抗値が略100%上昇する。易破断線73は伝送線43(43a〜43f)と共にシールド部材45に包囲されている。
サーミスタ35の一端側は雄型端子15g、易破断線73を介してコントローラ51に接続されており、他端側は雄型端子15fに接続されている。
この構成により、コントローラ51は回路封入樹脂部3内の温度を電圧変化として測定することが可能となっている。また、易破断線73が断線を開始すると易破断線73が完全に断線しなくとも、出力電圧が異常になるので断線を検知することが可能になっている。
前述したように易破断線73は伝送線43より弱く破断線し易い導線によって構成されているため、易破断線73の破断によって伝送線43も破断し易い状況にあることが分かる。
この実施の形態の場合には、易破断線の断線とは、完全な断線だけでなく、部分的な断線も含まれる。
コントローラ51は、例えば、過去2時間以内に高電圧発生がない場合でサーミスタ35の抵抗値が上昇している場合に断線したと判断する。
または、高電圧発生量や発生時間による温度上昇率は定量的であるため、定量値(高電圧発生量、時間、温度)を予めコントローラ51のメモリ55に記憶させておき、この記憶させた定量値と現在値(高電圧発生量、時間、測定温度)とを比較し規定範囲外の場合に断線したと判断する。
または、前述したように易破断線73は断線傾向にあると、その抵抗値が略100%上昇する。サーミスタ35による実用的な温度測定は0℃〜100℃なので、この温度範囲におけるサーミスタ35の抵抗値変化を易破断線73の抵抗値上昇の10%以内にする。そして、例えば抵抗値上昇の50%をしきい値として、サーミスタ35の抵抗値が抵抗値上昇の50%以上の場合に断線したと判断する。
コントローラ51が易破断線73の断線を検知すると、コントローラ51はブザー59に信号を送り断線報知用の警報音を発させる。この警報音によって、作業者は易破断線73が断線したことを確認でき、伝送線43が実際に断線する前に直流高電圧発生装置71を停止させることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
上記実施の形態は、警報部としてブザー59が用いられているが、その代わりにまたはそれと共に、表示灯等が用いられていてもよい。
また、警報部の代わりに、またはそれと共にトランジスタ57をOFFにするなどして電源の供給を自動的に遮断する回路構成にしてもよい。
上記実施の形態は、断線検知もするため、温度検知部を負特性のサーミスタ35によって構成したが、正特性のサーミスタによって構成してもよい。また、ケーブル部41が曲げられたりすることがない場合には、温度測定だけで十分なので、熱電対によって構成してもよい。
従って、本明細書では、易破断線の断線とは、完全な断線だけでなく、部分的な断線も含まれる。
本発明の直流高電圧発生装置は、塗装ロボットや農薬散布機の製造業に利用可能である。
1…直流高電圧発生装置(実施の形態1) 3…回路封入樹脂部
5…高電圧発生回路 7…樹脂成形体
11…レセプタクルコネクタ 15…雄型端子
17、18…電圧測定用抵抗 19…昇圧変圧器
21…保護抵抗 23…コッククロフトウォルトン回路
25…コンデンサ 27…ダイオード
29…出力用抵抗 31…出力端子
35…サーミスタ 41…ケーブル部
43…伝送線 45…シールド部材
45a…シールド線 46…導線
47…外皮 49…プラグコネクタ
51…コントローラ 53…CPU
55…メモリ 57…トランジスタ
59…ブザー 61…直流電源
71…直流高電圧発生装置(実施の形態2) 73…易破断線
A…アーム S…静電塗装機

Claims (3)

  1. 高電圧発生回路が樹脂に封入されて成る回路封入樹脂部と、前記回路封入樹脂部の前記高電圧発生回路を制御するコントローラと、前記コントローラのCPUと前記回路封入樹脂部の前記高電圧発生回路とを接続する複数の伝送線を有するケーブル部とよって構成され、塗装ロボットに配設された直流高電圧発生装置において、
    更に前記回路封入樹脂部には温度を検知する温度検知部としてのサーミスタが前記高電圧発生回路に対し絶縁状態で封入され、前記サーミスタの一端側は前記伝送線とは別の伝送線に接続され、他端側は伝送線より弱く破断し易い易破断線に接続され、前記ケーブル部は前記別の伝送線と前記易破断線も有しており、前記別の伝送線は前記CPUに接続され、前記易破断線は前記コントローラ内で接地されており、
    前記塗装ロボットのアームの先端に装着された静電塗装機内に前記回路封入樹脂部が配設され、前記アーム内を前記ケーブル部が挿通していることを特徴とする直流高電圧発生装置。
  2. 請求項1に記載した直流高電圧発生装置において、
    ケーブル部は複数の伝送線とそれらを包囲するシールド部材によって構成されており、サーミスタの一端側は易破断線として前記シールド部材に接続され、前記サーミスタの他端側は前記伝送線を介してCPUに接続されており、前記CPUに前記シールド部材の断線が検知されることを特徴とする直流高電圧発生装置。
  3. 請求項1または2に記載した直流高電圧発生装置において、
    CPUはサーミスタによって検知された温度が所定の温度を超えると、または易破断線が断線すると警報を発し、または自動的に電源供給を停止したりすることを特徴とする直流高電圧発生装置。
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