JP5414321B2 - 透明部材 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽光の照射を受ける透明部材に関する。
太陽光の照射を受ける透明部材として、ガラス製のものやアクリル製のもの等が知られている。ここでは、窓ガラスを例にあげて説明を行う。
従来では、視線制御を主目的にして、窓ガラスに、不透明なストライプを水平に、垂直方向に間隔をあけて複数設けることが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
登録実用新案第3121356号公報
ところで、省エネルギの観点から、夏場には太陽光を遮って室内の温度上昇を抑え、夏場の冷房負荷を軽減し、冬場には太陽光を室内に取り込み、その取り込んだ太陽光によって室内を暖め、冬場の暖房負荷を軽減させる。といったことが望まれる。特許文献1に記載された窓ガラスでは、上述のごとく、視線制御を主目的にしており、省エネルギの観点からの検討が乏しいが、本発明者による検討では、真南向きの窓に設置された場合に限って、特許文献1に記載された窓ガラスであっても省エネルギの効果を発揮するものと思われる。しかしながら、特許文献1に記載された窓ガラスでは、真南向き以外の方位については、省エネルギの効果を発揮することができない。さらに、特許文献1では、窓ガラスの立地(緯度)については何ら検討されていない。
本発明は上記事情に鑑み、透明部材の立地および方位に応じて、太陽光を、夏場は冷房負荷を軽減するまで十分に遮り、冬場は暖房負荷を軽減するまで十分に取り込める透明部材を提供することを目的とするものである。
上記目的を解決する本発明の第1の透明部材は、太陽光の照射を受ける透明部材において、
屋外側の面および屋内側の面の両面に間隔をあけて複数設けられたものであって、近赤外線を遮蔽する能力が相対的に高い高遮蔽枡目部と、
上記間隔を覆うように設けられ、上記能力が相対的に低い低遮蔽枡目部とを有し、
上記高遮蔽枡目部および上記低遮蔽枡目部は、互いの1辺の少なくとも一部が重なり合った四角形状であり、それら1辺が水平線に対し傾いているものであることを特徴とする。
上記目的を解決する本発明の第2の透明部材は、太陽光の照射を受ける透明部材において、
屋外側の面および屋内側の面の両面に、間隔をあけて斜めに複数配列されたものであって、近赤外線を遮蔽する能力が相対的に高い高遮蔽枡目部と、
上記間隔を覆うように設けられ、上記能力が相対的に低い低遮蔽部とを有することを特徴とする。
本発明の透明部材は、ガラス製のものであってもアクリル製のもの等であってもよい。また、ここにいう高遮蔽枡目部は、プリントしたものであってもよいし、フィルムを貼り付けたものであってもよいし、塗膜を形成したもの等であってもよい。一方、本発明の第1の透明部材にいう上記低遮蔽枡目部、あるいは本発明の第2の透明部材にいう上記低遮蔽部は、透明部材がガラス製のものであれば、ガラスの地のままであってもよいし、上記高遮蔽枡目部と同じく、プリントしたものであってもよいし、フィルムを貼り付けたものであってもよいし、塗膜を形成したもの等であってもよい。さらに、屋外側の面に設けられた高遮蔽枡目部と、屋内側の面に設けられた高遮蔽枡目部とでは、対向する位置に設けられたズレていない関係にあってもよいし、垂直方向にズレた関係にあってもよいし、水平方向にズレた関係にあってもよいし、斜め方向にズレた関係にあってもよい。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、太陽光の照射を受ける透明部材に入射した太陽光がその透明部材の屋内側の面を通過する通過点を、日の出から日没までにかけてプロットしていくと、透明部材の向く方位に応じてそのプロットしていった軌跡の傾きが変化するという結論を得た。また、夏場と冬場とでは、そのプロットしていった軌跡が離れているという結論も得た。さらに、透明部材の立地(緯度)によってもそのプロットしていった軌跡の傾きが変化するという結論も得た。
そこで、本発明の第1の透明部材では、上記1辺を水平線に対し傾かせることで、夏場における上記軌跡を覆うように上記高遮蔽枡目部を設けることができるとともに、冬場における上記軌跡を覆うように上記低遮蔽枡目部を設けることができ、透明部材の立地および方位に応じて、太陽光を、夏場は冷房負荷を軽減するまで十分に遮り、冬場は暖房負荷を軽減するまで十分に取り込める。
ここで、本発明の第1の透明部材において、上記高遮蔽枡目部と上記低遮蔽枡目部とで市松模様を構成しても良い。あるいは、上記高遮蔽枡目部を線状につなげたものを間隔をあけて複数設けるとともに、その間隔を覆うように上記低遮蔽枡目を線状につなげたものを設けてもよい。
また、本発明の第2の透明部材では、上記高遮蔽枡目部を間隔をあけて斜めに複数配列させることで、夏場における上記軌跡を覆うようにその高遮蔽枡目部を設けることができるとともに、冬場における上記軌跡を覆うように上記低遮蔽部を設けることができ、透明部材の立地および方位に応じて、太陽光を、夏場は冷房負荷を軽減するまで十分に遮り、冬場は暖房負荷を軽減するまで十分に取り込める。
ここで、本発明の第2の透明部材において、上記高遮蔽枡目部は、正方形に限らず長方形であってもよいし、三角形であってもよいし、さらには丸形であってもよく、形状は何ら限定されるものではない。
ここで、上記特許文献1に記載された窓ガラスでは、不透明なストライプを設けることから、室内から外の眺望が望めない。また、外から室内が見えず、例えば、ショールームの窓ガラスには採用することができない。そこで、内外の眺望を望むために、上記高遮蔽枡目部と上記低遮蔽枡目部をともに透明なものにしてもよい。
また、上記第1の透明部材において、上記高遮蔽枡目部および上記低遮蔽枡目部は、主成分が同じものであることが好ましく、
上記第2の透明部材において、上記高遮蔽枡目部および上記低遮蔽部は、主成分が同じものであることが好ましい。
ここにいう主成分とは、上記高遮蔽枡目部においてはその高遮蔽枡目部を構成する材料の全体量に対して配合割合が50%以上のものをいう。例えば、上記高遮蔽枡目部が塗液を塗布して形成されたものであれば、塗布する塗液に対して50重量%以上含まれているものが主成分になる。このような主成分を、上記高遮蔽枡目部と上記低遮蔽枡目部、あるいは上記高遮蔽枡目部と上記低遮蔽部とで共通にすることで、透明部材における、上記高遮蔽枡目部が設けられた部分の色合いと、上記低遮蔽枡目部が設けられた部分の色合い、あるいは上記低遮蔽部が設けられた部分の色合いとの違いが目立たなくなる。
ここで、上記高遮蔽枡目部は、近赤外線を35%以上遮蔽するものであることが好ましく、さらには、紫外線を85%以上遮蔽するものであることがより好ましい。また、上記高遮蔽枡目部、上記低遮蔽枡目部、および上記低遮蔽部は、可視光透過率が70%以上の特性をもったものであることが好ましい。
また、上記高遮蔽枡目部は、上記主成分に近赤外線を遮蔽する近赤外線遮蔽成分が添加されたものであり、上記低遮蔽枡目部あるいは上記低遮蔽部は、上記主成分に上記近赤外線遮蔽成分が無添加のものであってもよいが、上記近赤外線遮蔽成分を添加されたものである場合には、添加された近赤外線遮蔽成分と、上記高遮蔽枡目部に添加された近赤外線遮蔽成分とは同じ成分であってもよいし、異なる成分であってもよい。添加された近赤外線遮蔽成分が同じである場合には、その近赤外線遮蔽成分が高遮蔽枡目部よりも多く添加されている。
さらに、上記第1の透明部材あるいは上記第2の透明部材において、上記高遮蔽枡目部が設けられた領域を取り囲む外周部が、その高遮蔽枡目部よりも上記能力が相対的に低いものであることがより好まい。
ここで、上記外周部は、上記能力が、上記低遮蔽枡目部あるいは上記低遮蔽部よりも高いものであってもよいしそれらと同等なものであってもよいが、それらよりも低いものであることが好ましい。
ここでは、この透明部材の周縁部の外側部分が、金属製の枠(サッシュ)に差し込まれて線支持される場合を考える。特に冬場の早朝には、透明部材は冷えきっている。太陽が昇るにつれて、透明部材の、枠に差し込まれた周縁部の外側部分よりも内側は、太陽光によって暖められ温度上昇するが、枠に差し込まれた周縁部の外側部分はさほど温度上昇しない。上記能力が高くなればなるほど熱吸収率も高くなる場合に、上記高遮蔽枡目部を、透明部材の、周縁部の内側部分に相当する領域まで設けておくと、枠に差し込まれた周縁部の外側部分と高遮蔽枡目部との間で大きな温度差が生じ、透明部材にヒビ割れが生じてしまう恐れがある。しかし、周縁部の内側部分に、熱吸収率がさほど高くない上記外周部を設けておくことで、周縁部の外側部分と内側部分との間で大きな温度差は生じず、透明部材のヒビ割れを防ぐことができる。
本発明の透明部材によれば、透明部材の立地および方位に応じて、太陽光を、夏場は冷房負荷を軽減するまで十分に遮り、冬場は暖房負荷を軽減するまで十分に取り込める。
本発明の透明部材の一実施形態である透明な四角形の窓ガラスを示す図である。 図2(a)は、図1に示す窓ガラスを垂直線に沿って断面したときの断面図であり、図2(b)は、本発明を合わせガラスに適用した例を示す図であり、図2(c)は、本発明をダブルスキン方式のガラス構造体に適用した例を示す図であり、図2(d)は、本発明を薄いアクリル製の透明フィルムに適用した例を示す図である。 第2実施形態の透明な四角形の窓ガラスを示す図である。 図4(a)は、第3実施形態の窓ガラスの屋外側の面の一部分を示す図であり、図4(b)は、第4実施形態の窓ガラスの屋外側の面の一部分を示す図である。 図5(a)は、太陽光が、窓ガラスに入射しその窓ガラスを通り抜ける様子について説明するための図であり、図5(b)は、太陽光の、窓ガラスへの入射角と窓ガラスからの出射角を示す図である。 真西向きの窓ガラスに入射した太陽光がその窓ガラスの屋内側の面を通過する通過点を、日の出から日没までにかけてプロットしていった軌跡(チャート)を表す図である。 南西向きの窓ガラスに入射した太陽光がその窓ガラスの屋内側の面を通過する通過点を、日の出から日没までにかけてプロットしていった軌跡(チャート)を表す図である。 図8(a)は、図6(b)に示すチャートを、月ごとに詳細に示したチャートであり、図8(b)は、第5実施形態の窓ガラスの一部分を示す図である。 図8(a)に示すチャートに、図8(b)に示す窓ガラスを重ねた図である。
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の透明部材の一実施形態である透明な四角形の窓ガラスを示す図である。
図1には、透明な四角形の窓ガラス1の屋外側の面1aが示されている。この図1に示す窓ガラス1の屋外側の面1aには、透明な高遮蔽枡目部121が間隔をあけて複数設けられているとともに、その間隔を覆うように透明な低遮蔽枡目部131も設けられている。なお、高遮蔽枡目部121と低遮蔽枡目部131はともに透明なものであるが、図1では、両者の区別を明確にするため、高遮蔽枡目部121には細かなハッチングを施し、低遮蔽枡目部131には粗いハッチングを施している(図1以降の図においても同じ)。図1に示すように、窓ガラス1の屋外側の面1aには、高遮蔽枡目部121と低遮蔽枡目部131によって市松模様が構成されている。なお、この窓ガラス1の屋内側の面にも、同様に、高遮蔽枡目部121と低遮蔽枡目部131によって市松模様が構成されている。
高遮蔽枡目部121と低遮蔽枡目部131の両者は、同形同大の長方形であって、幅がこの窓ガラス1の厚みtに相当する長さの枡目であるが、0.7t以上1.3t以下であればよい。また、高遮蔽枡目部121と低遮蔽枡目部131は、互いの長手方向の1辺1211,1311が重なり合っており、それら1辺1211,1311は水平線に対しても垂直線に対しても好適な角度で傾いている。
また、図1に示す高遮蔽枡目部121も低遮蔽枡目部131も、窓ガラス1の屋外側の面1aに長方形の透明なフィルムを貼り付けることによって形成されたものである。高遮蔽枡目部121に用いるフィルムおよび低遮蔽枡目部131に用いるフィルムはいずれも、透明なフィルム状の基材に、多価アルコール系溶媒を主成分とし、赤外線遮蔽剤、紫外線遮蔽剤、およびバインダ成分を配合した塗液を塗布したものを用いることができる。高遮蔽枡目部121用の塗液と低遮蔽枡目部131用の塗液とでは、主成分は共通にするものの、赤外線遮蔽剤の配合量が異なる。
高遮蔽枡目部121用の塗液と低遮蔽枡目部131用の塗液共通の主成分になる多価アルコール系溶媒は、分子中に2個以上の水酸基をもつアルコールであり、2個の水酸基をもつ2価アルコールであるグリコール、3個の水酸基をもつ3価アルコールであるグリセリンなどを用いることができる。4価以上のアルコールでも使用できるが、低沸点である2価アルコールのグリコールがより好ましい。グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオールなどが挙げられ、その中のプロピレングリコールが最も好ましい。多価アルコールのほかに、水などの無機系溶媒、1価アルコール、エーテル、アミドなどの有機系溶媒から選ばれる少なくとも一種を配合することもできる。多価アルコール系溶媒の配合量は、50〜90重量%程度であればよく、60〜90重量%程度であることが好ましい。本実施形態の窓ガラス1では、上記2種類の塗液それぞれの主成分が同じであるため、窓ガラス1における、高遮蔽枡目部121が設けられた部分の色合いと、低遮蔽枡目部131が設けられた部分の色合いとの違いが目立たなくなる。また、高遮蔽枡目部121および低遮蔽枡目部131で熱吸収率が大きく異なることもないため、窓ガラス1が太陽光によって暖められても、高遮蔽枡目部121と低遮蔽枡目部131の間に大きな温度差が生じず、温度差によって窓ガラス1がヒビ割れすることがない。
赤外線遮蔽剤は、赤外線を反射する材料や赤外線を吸収する材料を含み、近赤外線のみを反射あるいは吸収する材料も含んだものである。赤外線遮蔽剤としても公知の材料を用いることができ、例えば、ペリレン系化合物、アニリン系化合物、シアニン系化合物等の有機化合物、アンチモンをドープした酸化スズ、インジウムをドープした酸化スズ、スズをドープした酸化インジウム、アルミニウムをドープした酸化亜鉛、雲母チタン(酸化チタン被覆マイカ)、酸化鉄被覆マイカ、塩基性炭酸鉛、オキシ塩化ビスマス、酸化セレン、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化ロジウム、酸化ルテニウムや銅、銀、鉄、マンガンの金属錯体などの無機化合物、アルミニウム、金、銀、銅、クロム、ニッケル、インジウム、パラジウム、スズなどの金属やそれらの合金を用いることができる。
紫外線遮蔽剤は、紫外線を反射する材料や紫外線を吸収する材料を含んだものである。この紫外線遮蔽剤としては公知の材料を用いることができ、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等の有機化合物、二酸化チタン、含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン酸、水酸化チタン、酸化亜鉛、ケイ酸亜鉛、酸化セリウム等の無機化合物を用いることができる。ここで、二酸化チタン等のチタン化合物にはそれ自身が強い光触媒性能を有するため、その性能がバインダ成分の分解要因になる場合がある。この場合には、光触媒性能を弱めバインダ成分を分解し難くさせるため、その粒子表面にケイ素、アルミニウム、ジルコニウム等の酸化物、水和酸化物、水酸化物の少なくとも一種を被覆すればよい。
本実施形態においては、赤外線遮蔽剤の配合割合は、高遮蔽枡目部121用の塗液の方が低遮蔽枡目部131用の塗液よりも高い。したがって、近赤外線を遮蔽する能力は、高遮蔽枡目部121の方が低遮蔽枡目部131よりも高い。また、本実施形態では、紫外線遮蔽剤の配合割合も、高遮蔽枡目部121用の塗液の方が低遮蔽枡目部131用の塗液よりも高いが、同じにしてもよい。紫外線遮蔽剤と赤外線遮蔽剤の配合量は、例えば紫外線遮蔽剤および赤外線遮蔽剤を固形分に換算して塗液中に、高遮蔽枡目部121用の塗液の方が低遮蔽枡目部131用の塗液よりも高くなるようにして、5〜20重量%配合させることが好ましい。また、高遮蔽枡目部121用の塗液における赤外線遮蔽剤の添加割合は、低遮蔽枡目部131用の塗液における赤外線遮蔽剤の添加割合の、2倍以上5倍以下であることが好ましい。
図1に示す高遮蔽枡目部121は、近赤外線を35%以上遮蔽するものである。また、高遮蔽枡目部121および低遮蔽枡目部131はともに、紫外線を85%以上遮蔽する一方で、可視光透過率は80%以上である。
さらに、本実施形態では、高遮蔽枡目部121にしても低遮蔽枡目部131にしても、透明度が高い。紫外線遮蔽剤や赤外線遮蔽剤を固体としてそのまま用いる場合には、1〜100nm程度の粒子径のものを用いることで、フィルム全体の透明度が向上する。こうすることで、窓ガラス1の屋外側の面1aにおける、高遮蔽枡目部121が設けられた部分の色合いと、低遮蔽枡目部131が設けられた部分の色合いとの違いがより目立たなくなる。
バインダ成分としては、公知のバインダ成分を用いることができる。例えば、シリコーン樹脂、アルコキシシラン、アルコキシシランの部分加水分解縮合物、アルコキシシランの加水分解生成物、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、シリコンアクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、尿素樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、アクリルウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、水ガラス、セメント、石膏などを適宜選択して用いることができる。ここで、フィルムの硬度を高めるため、シリコーン樹脂、アルコキシシラン、アルコキシシランの部分加水分解縮合物、アルコキシシランの加水分解生成物を用いることが好ましい。
シリコーン樹脂は、シロキサン結合の繰り返し(−Si−O−)nを主鎖とし、側鎖としてアルキル基、アリール基などをもつ重合体であり、三次元網目構造を有するシリコーンが好ましく、エポキシ変性、ポリエステル変性、アルキド変性、アクリル変性などの変性シリコーンでも良い。アルコキシシランとしては、テトラアルコキシシラン、モノアルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、トリアルキルモノアルコキシシランのモノマーを挙げることができ、そのアルコキシル基としてはメトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基などの炭素が1〜8程度のアルコキシル基を用いることができ、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素が1〜8程度のアルキル基を用いることができる。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、モノメチルトリメトキシシラン、モノエチルトリエトキシシラン、モノプロピルトリプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、トリメチルモノメトキシシラン、トリエチルモノエトキシシラン、トリプロピルモノプロポキシシランなどを用いることができる。
アルコキシシランの部分加水分解縮合物は、前記のアルコキシシランモノマーを部分的に加水分解・縮合した二量体あるいは三量体以上のオリゴマーであり、1分子中にケイ素原子を2〜9個程度含むものが好ましい。また、アルコキシシランの加水分解生成物はアルコキシシランを完全に近い程度まで加水分解縮合して粒子形状を形成したものであり、一般にオルガノシリカゾルと呼ばれるものを用いることができる。
バインダ成分の配合量も適宜設定することができ、例えばバインダ成分を固形分に換算して塗液中に5〜20重量%程度配合させることが好ましい。
さらに、これまで説明した材料の他に、分散剤、増粘剤、粘度調整剤、硬化剤、架橋剤、レベリング剤、界面活性剤、顔料、充填剤、吸着剤、脱臭剤、抗菌剤、導電剤、帯電防止剤、電磁波遮蔽剤などの添加剤を適宜配合しても良い。
なお、高遮蔽枡目部121および低遮蔽枡目部131は、フィルムを貼り付けたものに限らず、プリントしたものであってもよいし、塗膜を形成したもの等であってもよい。
図2(a)は、図1に示す窓ガラスを垂直線に沿って断面したときの断面図である。
この図2(a)では、図の左側が屋外側になり、右側が屋内側になる(以下、図2において同じ)。図2(a)に示す窓ガラス1の屋外側の面1aには、高遮蔽枡目部121と低遮蔽枡目部131が設けられている。また、図2(a)に示す窓ガラス1の屋内側の面1bにも同じく、高遮蔽枡目部121と低遮蔽枡目部131が設けられている。
図2(a)に示す屋外側の面1aに設けられた高遮蔽枡目部121と、屋内側の面1bに設けられた高遮蔽枡目部121とでは、垂直方向(図1に示す垂直線に沿った方向であり図2では上下方向)にずれている。屋外側の面1aの高遮蔽枡目部121と、屋内側の面1bにの高遮蔽枡目部121との垂直方向のズレ量は、この窓ガラスが設置される地域や方位等に応じて設計段階で調整されている。
図2(b)は、本発明を合わせガラスに適用した例を示す図である。
以下の説明では、これまで説明した構成要素と同じ名称の構成要素については、これまで用いた符号と同じ符号を付して説明することがある。
図2(b)に示す合わせガラス3は、3枚のガラス31〜33によて構成されたものであり、屋外側のガラス31と屋内側のガラス33に挟み込まれた中央のガラス32の両面32a,32bそれぞれに、高遮蔽枡目部121と低遮蔽枡目部131が設けられている。図2(b)に示す中央のガラス32の、屋外側の面32aに設けられた高遮蔽枡目部121と、屋内側の面32bに設けられた高遮蔽枡目部121は、対向する位置に設けられたズレていない関係にある。
なお、屋外側のガラス31の屋内側の面31bに高遮蔽枡目部121と低遮蔽枡目部131を設けるとともに、屋内側のガラス33の屋外側の面33aにも高遮蔽枡目部121と低遮蔽枡目部131を設け、これらのガラス31,33によって、両面32a,32bに高遮蔽枡目部121も低遮蔽枡目部131も設けられていないガラスを挟み込んでもよい。また、屋外側のガラス31と中央のガラス32それぞれの屋内側の面31b,32bに、高遮蔽枡目部121と低遮蔽枡目部131を設けてもよく、あるいは、屋内側のガラス33と中央のガラス32それぞれの屋外側の面33a,32aに、高遮蔽枡目部121と低遮蔽枡目部131を設けてもよい。
図2(c)は、本発明をダブルスキン方式のガラス構造体に適用した例を示す図である。
図2(c)に示す合わせガラス構造体4は、屋外側のガラス41と屋内側のガラス42の間に空気層43を有する。屋外側のガラス41は、図2(a)に示す窓ガラス1と同じものであり、両面41a,41bそれぞれに、高遮蔽枡目部121と低遮蔽枡目部131が設けられている。一方、屋内側のガラス42の両面42a,42bには、高遮蔽枡目部121も低遮蔽枡目部131も設けられていない。
なお、図2(c)に示す構成とは反対に、屋内側のガラス42を図2(a)に示す窓ガラス1にし、屋外側のガラス41を、高遮蔽枡目部121も低遮蔽枡目部131も設けられていないガラスにしてもよい。
また、一般的なダブルスキン方式における屋外側のガラス41と屋内側のガラス42の間隔は450mm〜600mm程度であるが、この間隔以外にも本発明を適用することができる。例えば、屋外側のガラス41と屋内側のガラス42の間隔が10mm前後のいわゆる複層ガラス(ペアガラス)にも、本発明を適用することができる。
図2(d)は、本発明を薄いアクリル製の透明フィルムに適用した例を示す図である。
図2(d)に示すアクリル製の透明フィルム5は、窓ガラス50の屋外側の面50aに貼り付けられたものである。この透明フィルム5の厚さは、窓ガラス50の厚さよりも遙かに薄いものである。図2(d)に示す透明フィルム5の両面5a,5bそれぞれには、図1に示す高遮蔽枡目部121と低遮蔽枡目部131が設けられており、市松模様が構成されている。これらの高遮蔽枡目部121と低遮蔽枡目部131は、透明フィルム5の表面にプリントされたものである。
なお、図2(d)に示す透明フィルム5を、窓ガラス50の屋内側の面50bに貼り付けてもよい。
次に、本発明の透明部材の第2実施形態である窓ガラスについて説明する。
図3は、第2実施形態の透明な四角形の窓ガラスを示す図である。
図3(a)に示す透明な四角形の窓ガラス6は、周縁がサッシュ2(図3(b)参照)に支持されるものであり、この図3(a)には、窓ガラス6の屋外側の面6aが示されている。窓ガラス6の屋外側の面6aには、そのサッシュ2に沿った透明な周縁部61が設けられている。また、その周縁部61の内側には、高遮蔽枡目部621と低遮蔽枡目部631が設けられている。周縁部61は、窓ガラス6の屋外側の面6aに塗液を塗布することによって形成された透明な枠状の領域であるが、図3では、周縁部61に、低遮蔽枡目部13に施したハッチングよりもさらに粗いハッチングを施している。
また、図3(a)に示す高遮蔽枡目部621も低遮蔽枡目部631も、窓ガラス1の屋外側の面6aに塗液を塗布することによって形成された透明な領域である。高遮蔽枡目部621と低遮蔽枡目部631は、互いの1辺6211,6311の少なくとも一部が重なり合った四角形状であり、それら1辺6211,6311が水平線に対しても垂直線に対しても傾いている。
周縁部61用の塗液、高遮蔽枡目部621用の塗液、および低遮蔽枡目部631用の塗液の3種類の塗液は、主成分は共通にするものの、赤外線遮蔽剤の配合量が異なる。すなわち、赤外線遮蔽剤の配合割合は、高遮蔽枡目部621用の塗液が最も高く、周縁部61用の塗液が最も低い。したがって、近赤外線を遮蔽する能力は、高遮蔽枡目部621が最も高く、周縁部61が最も低く、低遮蔽枡目部631は高遮蔽枡目部621よりも近赤外線を遮蔽する能力が低い。なお、赤外線遮蔽剤の配合割合の関係は、高遮蔽枡目部621用の塗液>低遮蔽枡目部631用の塗液=周縁部61用の塗液であってもよいし、高遮蔽枡目部621用の塗液>周縁部61用の塗液>低遮蔽枡目部631用の塗液であってもよい。また、この第2実施形態では、紫外線遮蔽剤の配合割合も、高遮蔽枡目部621用の塗液が最も高く、周縁部61用の塗液が最も低い。なお、紫外線遮蔽剤については、上記3種類の塗液で配合割合を同じにしてもよい。
図3(b)は、同図(a)に示す窓ガラス6の周縁がサッシュ2に支持された様子を示す断面図である。図3(b)に示すサッシュ2は、窓ガラス6を線支持する金属製の枠である。なお、サッシュ2は樹脂製のものであってもよい。また、図3(b)に示すように、第2実施形態の窓ガラス6では、屋外側の面6aと屋内側の面6bの両面それぞれに、高遮蔽枡目部621と低遮蔽枡目部631が設けられており、屋外側の面6aに設けられた高遮蔽枡目部621と、屋内側の面6bに設けられた高遮蔽枡目部621は、対向する位置に設けられたズレていない関係にある。
図3(b)に示すように、窓ガラス6の、周縁部61の外側部分611は、サッシュ2に差し込まれ、シリコーンコーキングもしくはガスケット21等を介して支持されている。特に冬場の早朝には、窓ガラス6は冷えきっている。太陽が昇るにつれて、窓ガラス6の、サッシュ2に差し込まれた周縁部61の外側部分611よりも内側(612,621,631)は、太陽光によって暖められ温度上昇するが、サッシュ2に差し込まれた外側部分611はさほど温度上昇しない。近赤外線を遮蔽する能力が高くなればなるほど熱吸収率も高くなる場合に、高遮蔽枡目部621を、窓ガラス6の、周縁部61の内側部分612に相当する領域まで設けておくと、サッシュ2に差し込まれた外側部分611と高遮蔽枡目部621との間で大きな温度差が生じ、窓ガラス6にヒビ割れが生じてしまう恐れがある。しかし、熱吸収率がさほど高くない周縁部61を設けておくことで、周縁部61の外側部分611と内側部分612との間で大きな温度差は生じず、窓ガラス6のヒビ割れを防ぐことができる。なお、サッシュ2に差し込まれる外側部分611に塗液を塗布することは、必ずしも必要ではない。周縁部61の内側部分612は、高遮蔽枡目部621が設けられた領域を取り囲むものであり、本発明にいう外周部の一例に相当する。
なお、ガラスを線支持するサッシュ2に代えて、ガラスを点支持する支持体を用い、いわゆるサシュレス構造にしてもよい。ガラスを点支持する支持体としては、DPG構法(Dot Pointed Glazing)を採用した支持体があげられる。ガラスを点支持する支持体を用いた場合には、周縁部61を省略することができる。
次に、本発明の透明部材の第3実施形態および第4実施形態である窓ガラスについて説明する。
図4(a)は、第3実施形態の窓ガラスの屋外側の面の一部分を示す図である。
図4(a)に示す窓ガラス7は、屋外側の面7aに、間隔をあけて斜めに複数配列された高遮蔽枡目部721と、その間隔を覆うように設けられた低遮蔽部731を有する。図4(a)に示す高遮蔽枡目部721は、窓ガラス7の屋外側の面7aに透明なフィルムを貼り付けることによって形成されたものである。この高遮蔽枡目部721は、近赤外線を遮蔽する能力が相対的に高く、この窓ガラス7の厚みtに相当する直径を有する円形の枡目である。また、高遮蔽枡目部721は、斜めに延びる列の中では互いに接している。一方、低遮蔽部722は、窓ガラス7における屋外側の面7aのガラスの地のままの領域である。すなわち、フィルムを貼り付けたものでもなければ、プリントしたものでもなく、塗膜を形成したものでもない。この低遮蔽部722は、近赤外線を遮蔽する能力が相対的に低い領域である。
なお、図4(a)に示す窓ガラス7の屋内側の面にも、屋外側の面7aと同様に、高遮蔽枡目部721と低遮蔽部731が設けられている。
図4(b)は、第4実施形態の窓ガラスの屋外側の面の一部分を示す図である。
図4(b)に示す窓ガラス8は、図1に示す窓ガラス1と同じように、屋外側の面8aに、高遮蔽枡目部821が間隔をあけて複数設けられているとともに、その間隔を覆うように低遮蔽枡目部831も設けられている。また、図4(b)に示す高遮蔽枡目部821も低遮蔽枡目部831も、互いの長手方向の1辺8211,8311が重なり合っており、それら1辺8211,8311は水平線に対して傾いている。しかしながら、それら1辺8211,8311は垂直線に対しては傾いておらず、図4(b)に示す高遮蔽枡目部821や低遮蔽枡目部831は、長手方向に複数つながった垂直線上に延びる線状のものである。また、図4(b)に示す低遮蔽枡目部831は、窓ガラス8における屋外側の面8aのガラスの地のままの枡目である。
なお、図4(b)に示す窓ガラス8の屋内側の面にも、屋外側の面8aと同様に、高遮蔽枡目部821と低遮蔽枡目部831が設けられている。
続いて、窓ガラスに入射した太陽光の進路について説明する。
図5(a)は、太陽光が、窓ガラスに入射しその窓ガラスを通り抜ける様子について説明するための図である。
図5(a)には、厚さがtの窓ガラスGの一部が示されている。ここに示された窓ガラスGの一部は、その窓ガラスGの厚さtを1辺とする正方形の枡目mを、垂直方向および水平方向にそれぞれ2つずつ並べ、1辺が2tの長さになる正方形Mの領域に相当する部分である。この図5(a)では、窓ガラスGの、屋外側の面G1は紙面左奧に示されており、屋内側の面G2は紙面右手前に示されている。
図5(a)には、屋外側の面G1における、正方形Mの中心Aに入射した太陽光Lの進路を太い矢印で示している。窓ガラスGに入射した太陽光Lは屈折し、さらにその窓ガラスGを通り抜ける際にもまた屈折する。
図5(b)は、太陽光の、窓ガラスへの入射角と窓ガラスからの出射角を示す図である。
この図5(b)には、太陽光Lが、屋外側の面G1における、正方形の中心Aに入射し、屋内側の面G2における通過点Bから出射した様子が示されている。また、図5(b)には、太陽光Lの、その窓ガラスGへの入射角θ1、窓ガラスGへ入射した太陽光Lの、その窓ガラスGからの出射角θ2、および窓ガラスGの屈折角θ3も示されている。入射角θ1がある程度大きくなると(およそ60°を越えると)、太陽光Lの、窓ガラスGの屋外側の面G1によって反射される量は二次曲線的に急激に増大する。さらに、入射角θ1が大きくなると、窓ガラスGに入射した太陽光Lの屈折角も増大する傾向にある。
以下、図5(a)に示す正方形Mを単位領域として説明する。
図6は、真西向きの窓ガラスに入射した太陽光がその窓ガラスの屋内側の面を通過する通過点を、日の出から日没までにかけてプロットしていった軌跡(チャート)を表す図であり、図7は、南西向きの窓ガラスに入射した太陽光がその窓ガラスの屋内側の面を通過する通過点を、日の出から日没までにかけてプロットしていった軌跡(チャート)を表す図である。
図6および図7の両図(a)は、北緯30度における真西向きの窓ガラスの例を示す図であり、両図(b)は、北緯36度における真西向きの窓ガラスの例を示す図であり、両図(c)は、北緯42度における真西向きの窓ガラスの例を示す図である。
図6および図7における(a)〜(c)の各図には、3本のチャート(軌跡)が示されている。両図のそれぞれ(a)に示すように、左側のチャートは、夏至の日の一日における結果を示すものであり、右側のチャートは、冬至の日の一日における結果を示すものである。真ん中のチャートは、春分および秋分の日の一日における結果を示すものである。また、両図における(a)〜(c)の各図には、両図のそれぞれ(a)に示すように、図5(a)に示す正方形Mと同じ正方形Mが単位領域として示されている。両図における(a)〜(c)の各図に示す正方形Mは、屋内側の面G2における正方形である。すなわち、両図における(a)〜(c)の各図に示すチャートは、図5(a)に示す屋外側の面G1における、正方形Mの中心Aに入射した太陽光Lの、屋内側の面G2における通過点Bを時系列で表した結果である。両図のそれぞれ(a)に示すように、各チャートの上端は、日の出および日没時における太陽光Lの、屋内側の面G2における通過点である。また、各チャートの下端側は、昼間における太陽光Lの、屋内側の面G2における通過点を示すものである。さらに、両図における(a)〜(c)の各図に示すチャートの太さは、窓ガラスを通過した太陽光の日射の強さを示す(以降の図においても同じ。)。この日射の強さは、太陽に完全に正対する外壁面における強さを基準値(1.0)として、その基準値に対する比較値で表したものである(両図のそれぞれ(a)に示す「日射の強さ」を参照)。両図における(a)〜(c)の各図に示す正方形の中心点(図5(a)に示す屋外側の面G1における、正方形Mの中心Aに相当する点)から離れるほど、太陽光の日射の強さは弱くなる。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、図5(a)に示す窓ガラスGに入射した太陽光Lがその窓ガラスGの屋内側の面G2を通過する通過点Bを、日の出から日没までにかけてプロットしていくと、窓ガラスGの向く方位に応じてそのプロットしていった軌跡(チャート)の傾きが変化するという結論を得た(両図における(a)〜(c)の各図参照)。また、夏場と冬場とでは、そのプロットしていった軌跡(チャート)が離れているという結論も得た。さらに、窓ガラスの立地(緯度)によってもそのプロットしていった軌跡(チャート)の傾きが変化するという結論も得た。
そこで、本発明者らは、上記3つの結論から、これまで説明した高遮蔽枡目部121,621,821と低遮蔽枡目部131,631,831の配置、あるいは高遮蔽枡目部721と低遮蔽部731の配置、すなわち、高遮蔽枡目部121,621,821および低遮蔽枡目部131,631,831における、互いに少なくとも一部が重なり合った1辺が、水平線に対して傾いた配置、あるいは高遮蔽枡目部721が間隔をあけて斜めに複数配列された配置を採用している。
続いて、本発明の第5実施形態について説明する。
図8(a)は、図6(b)に示すチャートを、月ごとに詳細に示したチャートを表す図であり、図8(b)は、第5実施形態の窓ガラスの一部分を示す図である。
図8(a)には、太陽光Lの入射点を表す、図3(a)に示す屋外側の面G1における、正方形Mの中心Aが示されている。
図8(b)に一部を示す窓ガラス9には、屋内側の面9bと不図示の屋外側の面の両面それぞれに、高遮蔽枡目部921と低遮蔽枡目部931とで市松模様が構成されている。屋内側の面9bに設けられた高遮蔽枡目部921と、屋外側の面に設けられた高遮蔽枡目部921は、対向する位置に設けられたズレていない関係にある。図8(b)におけるクロスハッチングは、両面それぞれに設けられた高遮蔽枡目部921を一面に重ねて表示したことを表す(図9においても同じ)。また、近赤外線を遮蔽する能力が、高遮蔽枡目部921では相対的に高く、低遮蔽枡目部931では相対的に低い。この低遮蔽枡目部931は、窓ガラス9のガラスの地のままの枡目である。
まず、窓ガラス9に入射しようとする太陽光は、屋外側の面の市松模様を構成する高遮蔽枡目部921によって遮蔽され、低遮蔽枡目部932に照射された太陽光のうちの一部が窓ガラス9を通過してくる。この市松模様を構成する高遮蔽枡目部921と低遮蔽枡目部932は、それぞれの長手方向の1辺9211,9311が重なり合っており、それら1辺9211,9311が水平線に対しても垂直線に対しても傾いている。これらの長手方向の1辺9211,9311は、この窓ガラスの厚さtよりも長く、1.5t以上の長さであることが好ましい。一方、図8(b)に示す、高遮蔽枡目部921と低遮蔽枡目部931それぞれの、短手方向の1辺9212,9312は、この窓ガラス9の厚さtに相当する長さであるが、0.7t以上1.3t以下であればよい。
図9は、図8(a)に示すチャートに、図8(b)に示す窓ガラスを重ねた図である。
この図9に示すように、高遮蔽枡目部921の配置は、夏場の一日における太陽の軌跡のうち、日射の強さが強い部分を覆うように設けられている。一方、低遮蔽枡目部931は、冬場の一日における太陽の軌跡のうち、日射の強さが強い部分を覆うように設けられている。屋内側の面9bの、高遮蔽枡目部921と低遮蔽枡目部931とで構成された市松模様と、屋外側の面の、高遮蔽枡目部921と低遮蔽枡目部931とで構成された市松模様における垂直方向のずれ量を調整しておくことで、窓ガラス9のどの箇所においても、高遮蔽枡目部921によって夏場の日射しの強い太陽光を遮蔽することができ、夏場の冷房負荷が軽減され、省エネルギの観点から見て非常に好ましい。また、こうすることで、冬場に日射が相対的に強い太陽光は、低遮蔽枡目部931によって多少は遮られるものの、かなりの量を室内に取り込むことができ、屋内が太陽光によって暖められて暖房負荷が軽減され、省エネルギの観点から見てこの点でも非常に好ましい。
さらに、窓ガラス9の立地(緯度)とその窓ガラス9の向く方位に応じて、高遮蔽枡目部921と低遮蔽枡目部931とで構成された市松模様の傾きの角度を調整することによって、太陽光を、夏場は冷房負荷を軽減するまで十分に遮り、冬場は暖房負荷を軽減するまで十分に取り込める。
1,6,7,8,9 窓ガラス
1a 屋外側の面
1b,9b 屋内側の面裏面
121,621,721,821,921 高遮蔽枡目部
131,631,831,931 低遮蔽枡目部
731 低遮蔽部
1211,1311 長手方向の1辺
91 周縁部

Claims (5)

  1. 太陽光の照射を受ける透明部材において、
    屋外側の面および屋内側の面の両面に間隔をあけて複数設けられたものであって、近赤外線を遮蔽する能力が相対的に高い、透視可能な高遮蔽枡目部と、
    前記間隔を覆うように設けられ、前記能力が相対的に低い、透視可能な低遮蔽枡目部とを有し、
    前記高遮蔽枡目部および前記低遮蔽枡目部は、互いの1辺の少なくとも一部が重なり合った四角形状であり、該1辺が水平線に対し傾いているものであることを特徴とする透明部材。
  2. 前記高遮蔽枡目部および前記低遮蔽枡目部は、主成分が同じものであることを特徴とする請求項1記載の透明部材。
  3. 太陽光の照射を受ける透明部材において、
    屋外側の面および屋内側の面の両面に、間隔をあけて斜めに複数配列されたものであって、近赤外線を遮蔽する能力が相対的に高い、透視可能な高遮蔽枡目部と、
    前記間隔を覆うように設けられ、前記能力が相対的に低い、透視可能な低遮蔽部とを有することを特徴とする透明部材。
  4. 前記高遮蔽枡目部および前記低遮蔽部は、主成分が同じものであることを特徴とする請求項3記載の透明部材。
  5. 前記高遮蔽枡目部が設けられた領域を取り囲む外周部が、該高遮蔽枡目部よりも前記能力が相対的に低いものであることを特徴とする請求項1又は3記載の透明部材。
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