JP5412502B2 - ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボン酸塩の改善型造核添加剤調製物 - Google Patents

ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボン酸塩の改善型造核添加剤調製物 Download PDF

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Description

本発明は、粉砕された小粒度固形ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボン酸塩を含み、さらに少なくとも1つの固化防止剤を含む、ヘーズの低減を改善するための、造核能力を改善するための、その中に存在する塩成分の起こり得る膠結(凝集による)の防止を改善するための、熱可塑性プラスチック造核添加剤調製物に関する。上記の小粒度ジカルボン酸塩は、熱可塑性プラスチック物品の中で特に造核剤として好適な特性を示すが、明らかに特定の透明度の問題と凝集の問題に悩まされ(上記化合物の平坦で薄いプレート構造と、それらが示す保存中にお互いが結合する傾向による)、その活用は特定の用途にとっては望ましくない。従って、上記ジカルボン酸塩の優れた結晶化温度、剛性、及びステアリン酸カルシウム適合性の全部の利益を、対象となる低ヘーズ熱可塑性プラスチックに調和させるのを可能にする改善がなされている。さらに、前述の造核塩との併用での上記固化防止添加物の利用において、粉立ちを低減する予想外の改善が見出された。熱可塑性プラスチック添加剤組成物及び上記核剤/固化防止添加物の組合せを有する熱可塑性プラスチックの製造方法もまた本発明の範囲内であることが意図される。
以下に示す全ての米国特許は参照により本明細書中に完全に組み込まれる。
本明細書では「熱可塑性プラスチック」という用語は、十分な熱に曝されている状態で融解するが、十分な冷却により、型または同様の物品を使用しない事前の形状ではない、固化した状態を保持する高分子材料を意味する。特に、同様に、このような用語は、このような広い定義を満足するポリマーのみを包含することを意図しているのではなく、上記の型または同様の物品を使用する溶融成形後の冷却に際して、結晶または半結晶の形態を示すポリマーも包含することを意図している。このような定義の範囲内であることが意図された特定の種類のポリマーは、制限されないが、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、及びこれらの任意の組合せ)、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)等(並びにこれらの任意の組合せ)を含む。
熱可塑性プラスチックは、貯蔵容器、医療機器、食品パッケージ、プラスチックチューブ及びパイプ、収納棚等を含む様々な最終用途で利用されている。しかしながら、このようなベース組成物は普及的使用を可能にするために特定の物理的特性を示さなければならない。例えば、具体的にポリオレフィン内では、結晶化における結晶配置の均一性は、有効で、耐久力があり、用途が広いポリオレフィン物品を与えるために不可欠である。このような望ましい物理的特性を得るために、特定の化合物及び組成物が、成型または製造の間にポリオレフィン結晶の成長のための造核部位を与えることが知られている。一般的に、このような造核化合物を含む組成物は、核のないポリオレフィンよりもはるかに速い速度で結晶化する。このようなより高温での結晶化は、結果的に製造サイクル時間を短縮し、種々の物理的特性(例えば、一例として剛性)を改善する。
より速い、そしてまたより高いポリマー結晶化温度を与えるこのような化合物と組成物は、上述のように核剤として一般に知られている。このような化合物は、その名の通り熱可塑性プラスチックの溶融調製物の冷却の間、結晶の成長のための造核部位を与えるために使用される。一般的に、このような造核部位の存在は、多くのより小さな結晶をもたらす。そこに形成されたより小さい結晶の結果として、優れた透明度が必ずしも得られるとは限らないが、対象となる熱可塑性プラスチックの清澄化も達成され得る。結晶のサイズが小さいほど、より少ない光が散乱する。このようにして、熱可塑性プラスチック物品自体の透明度が改善され得る。従って、熱可塑性プラスチック核剤化合物は、高められた透明度、物理的特性、及び/またはより速い加工を与えるために、熱可塑性プラスチック産業にとって非常に重要である。
高結晶化温度に関して最も有効な熱可塑性プラスチック核剤が、HPN-68の商品名でMilliken&Companyから入手可能である。他の同様の熱可塑性プラスチック造核化合物は、米国特許第6465551号と同第6534574号の中で開示されており、両者ともこの参照により完全に本明細書中に含まれる。HPN-68化合物は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボン酸ジナトリウムである。かなり低い結晶化温度を示す他の熱可塑性プラスチック造核剤は、Millad(登録商標)3988の商品名でMilliken&Companyから入手可能な1,3−O−2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール(以下DMDBSとする)のようなジベンジリデンソルビトール化合物、安息香酸ナトリウム、2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム(NA−11として知られ、旭電化工業株式会社から入手可能)、タルク、環状ビス−フェノールホスフェート(同様に旭電化工業株式会社から入手可能なNA−21等)、Minnesota Mining and Manufacturingに帰属する特許協力条約国際出願WO98/29494内に教示されたビシクロ[2.2.1]ヘプテンジカルボン酸ジナトリウムの不飽和化合物等を含む。このような化合物は全て比較的高いポリオレフィン結晶化温度を与える。しかしながら、それぞれが大規模産業用途について独自の欠点も示し、いずれも上記の飽和した種類の有効性に匹敵することができない。
上記の造核剤の幾つかもまた、ポリプロピレン(例えばMillad(登録商標)3988や、より少ない程度ではNA-21)等の特定の熱可塑性プラスチック内で清澄化特性を与える。高いピーク結晶化温度と合わせたこのような清澄化能力は、大いに望ましい。特定の最終用途について、少なくとも最大レベルのヘーズ(例えば35%)が許容可能である。先に列挙したジカルボン酸塩の造核剤は、優れたステアリン酸カルシウム適合性、対象となる熱可塑性プラスチック物品内の増加した剛性、及び特定の度合いの吸湿性を与えるが、残念なことにポリプロピレン内で比較的高いヘーズレベルを示す。従って、このような化合物は対象となる熱可塑性プラスチック内で極めて望ましい品質及び利益を与える。残念なことに、上記のように、たとえそれにより与えられた結晶化温度が非常に高くても、ヘーズ問題は特定の対象となる最終用途内におけるこのような造核剤の実用性を制限する。
この最初の問題を解決するために、このような飽和ジカルボン酸塩が比較的大きい粒子を形成するよう噴霧乾燥されるか、実質的に均一の小粒度(長さ2.5〜4.5マイクロメートル)にジェットミル粉砕される場合に、ヘーズの低減は達成される。しかしながら、残念ながらこのような小粒度化合物を作り出す際、化合物は、積み重なり、その結果生じる凝集(保存された固体化合物の膠結を必然的に導く)に悩まされる傾向があることが分かっている。従って、全体で使用しない場合、熱可塑性プラスチック媒体中にこのような化合物を実際に分散させる能力に悪影響を与える。さらに、保存時にこのような化合物は、その上、包装容器内でこのような凝集によって「成長」し、その結果、保存容器自身が破裂及び/または破損し、核剤粉末がそこから漏れるか、或いは膠結産物をそこから取り除くことが非常に困難になることが時折報告されている。これらの問題は、大抵、水分及び/または湿気への露出と合わせて、このような化合物が示すプレート状の構造に起因する。立方体、球形、または他の幾何学的形状のようなものとは異なり、このようなプレート状の構造は、前述の積み重ね問題に非常に影響を受けやすい。このような問題が発生した際、特に空気中のジェットミル粉砕または噴霧乾燥された、実質的に均一の小粒度のサンプルにおいて、少量の湿気でさえその2つのプレート状の構造の間で分子間力を導き得ることが理解されている。結合した際、このような構造を分離することは極めて難しい。より多くのこのような構造の積み重ねでは、膠結及び「成長」(閉鎖空間内での体積の増加)が発生し得る。その結果、その特定のサンプルの使用を妨げ、及び/または堅く閉じられた容器内での保存を困難にする。さらに、いくつかの状況において、このような膠結されたサンプルは、分離が(大部分において)不可能である程度に結合されることが見出された。このような小粒子を対象となるプレポリマー媒体内に実際に添加して分散させることができない限り、造核及び可能性のある清澄化の利点は、全く利用不可能である。従って、この膠結問題は、このような優れた熱可塑性プラスチック造核剤の有効利用、特により低いヘーズレベルを与える目的のための利用を妨げる。
このように、特に生産、保存、及び対象となる熱可塑性プラスチック媒体内への組み込みの間、個々の飽和ジカルボン酸塩熱可塑性プラスチック造核剤のプレート間の相互作用を防ぐ明確な必要がある。このように、実質的に均一の小粒度の化合物が、より大きく及び/または不均一な粒度の化合物調製物よりも低い所望のヘーズレベルを与え得ることが理論付けられる。このような必要とされる解決がなされなければ、このような極めて効果的で有効な熱可塑性プラスチック造核剤を利用できることは、不透明な最終用途に限定される。
米国特許第6465551号明細書 米国特許第6534574号明細書 国際特許出願第98/29494号パンフレット
従って、本発明の目的は、飽和ジカルボン酸塩を含み、ポリオレフィン物品内での非常に高いポリマーのピーク結晶化温度により示されるように、並外れた造核効率、並びにポリプロピレン内での改善された清澄化能力を与える、ジェットミル粉砕または噴霧乾燥された、小粒度ポリオレフィン造核調製物を提供することである。本発明の別の目的は、極めて良好な貯蔵安定性の添加剤組成物を与えるために、極めて低い吸湿性を示す調製物を提供することである。本発明のさらに別の目的は、長期保存中に有害な膠結(圧密化)及び/または成長(体積増加)を示さない、飽和二環式核剤化合物含有粉末調製物を提供することである。本発明のさらなる目的は、非理想的な混合及び配合条件下、対象となる熱可塑性プラスチック内での造核塩化合物の最適な性能を提供することである。さらに、無数の最終用途で、特に中程度のヘーズ測定値を必要とする用途において、使用するための種々のポリオレフィン媒体で使用され得る熱可塑性プラスチック造核組成物を提供することが本発明の目的である。
従って、本発明は、少なくとも1つの固化防止化合物または組成物と、少なくとも1つの飽和二環式ジカルボン酸の金属または有機塩、好ましくは飽和二環式ジカルボン酸の金属または有機塩、より好ましくはビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボン酸塩、または一般的に式I
Figure 0005412502
〔式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR10は水素、C〜Cアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキレンオキシ、アミン、及びC〜Cアルキルアミン、ハロゲン、フェニル、アルキルフェニル、及び最大9個の炭素原子を有するジェミナルまたはビシナルの炭素環から成る群から個々に選択され、R’及びR”は同一かまたは異なり、水素、C〜C30アルキル、ヒドロキシ、アミン、ポリアミン、ポリオキシアミン、C〜C30アルキルアミン、フェニル、ハロゲン、C〜C30アルコキシ、C〜C30ポリオキシアルキル、C(O)−NR11C(O)O−R’’’、及びC(O)O−R’’’から成る群から個々に選択され、R11はC〜C30アルキル、水素、C〜C30アルコキシ、及びC〜C30ポリオキシアルキルから成る群から選択され、R’’’は水素、金属イオン(制限無くNa、K、Li、Ag及びその他の一価イオン等)、有機カチオン(1つの限定されない例としてアンモニウム等)、ポリオキシ−C〜C18−アルキレン、C〜C30アルキル、C〜C30アルキレン、C〜C30アルキレンオキシ、ステロイド部分(例えばコレステロール)、フェニル、ポリフェニル、C〜C30ハロゲン化アルキル、及びC〜C30アルキルアミンから成る群から選択され、R’及びR”の少なくとも1つはC(O)−NR11C(O)O−R’’’またはC(O)O−R’’’であり、R’及びR”の両方がC(O)O−R’’’である場合、R’及びR”の両方のR’’’が単一の二価金属イオン(1つの限定されない例としてCa2+等)または単一の三価金属オーバーベース(1つの限定されない例としてAl−OH等)に一体化されてもよい。好適には、R’及びR”が同一で、R’’’がNaであるか、またはR’及びR”の両方のR’’’が一緒になってCa2+となる。〕
で示される化合物を含む、熱可塑性プラスチック添加剤組成物を包含する。他の考えられる化合物は以下の好適な実施態様で論じる。
好ましくは、上述の通り、このような化合物は構造式II
Figure 0005412502
〔式中、M及びMは同一かまたは異なり、金属カチオンまたは有機カチオンから成る群から独立して選択されるか、または該2つの金属イオンは単一の金属イオンにまとめられ(二価、例えばカルシウム等)、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR10は水素、C〜Cアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキレンオキシ、アミン、及びC〜Cアルキルアミン、ハロゲン、フェニル、アルキルフェニル、及び最大9個の炭素原子を有するジェミナルまたはビシナルの炭素環から成る群から個々に選択される。好適には、金属カチオンはカルシウム、ストロンチウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銀、ナトリウム、リチウム、ルビジウム、カリウム等から成る群から選択される〕
で示される。その範囲内で、グループI及びグループIIの金属イオンが一般的に好適である。グループI及びグループIIのカチオンのなかでは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びストロンチウムが好適であり、ナトリウム及びカルシウムが最も好適である。さらに、M基及びM基は、一緒になって単一の金属カチオン(例えばカルシウム、ストロンチウム、バリウム、マグネシウム、一塩基性アルミニウムを含むアルミニウム等)を形成してもよい。本発明はこのような化合物の立体化学配置を全て包含するが、シス型立体配置が好適であり、シス−エンドが最も好適な実施態様である。飽和二環式カルボン酸塩として広く述べられた少なくとも1つのこのような化合物を含む、好適な実施態様のポリオレフィン物品、及びポリオレフィン調製物のための添加剤組成物もまた、本発明の範囲に包含される。
上記のように、産業用途のための、適切なポリオレフィン核剤化合物または組成物を開発するため、多くの重要な基準が満たされる必要があった。本発明の造核剤は全てのこれらの重要な要件を非常によく満たす。例えば、以下により詳細に論じるように、これらの本発明の塩は、種々のポリオレフィン調製物において、特にランダムコポリマーポリプロピレン(以下RCP)、インパクトコポリマーポリプロピレン(以下ICP)、及びホモポリマーポリプロピレン(以下HP)内で、優れた高いピーク結晶化温度を与える。結果として、このような本発明の塩は、余分なフィラー及び硬直化添加物を必要とせずに、ポリオレフィン物品に優れた力学的性質を与え、改善された(より短い)サイクル時間のような所望の加工特性を与える。また、該塩は、ステアリン酸カルシウム添加物と有害な相互作用もしない。
このような二環式核剤化合物の調製物に単に固化防止化合物を含有させることは、保存中の有害な膠結及び成長結果を防ぐために、十分であり、発明であると考えられる。このような状況において、このような核剤の粒度は、いかなる範囲でもよい。しかしながら、このような核剤が加えられた熱可塑性プラスチック内のヘーズ及びピーク結晶化温度特性の改善に関して、主として核剤化合物が比較的小さな粒度を示す場合であるが、固化防止剤の存在は有益である。以下に示すように、核剤化合物の導入は、i)最大でも約10ミクロンのD95(下記に定義される)及び/または最大でも7.5のMVD(同様に下記に定義される)の平均粒度を示すか、或いは、ii)同時に固化防止剤と、或いは、対象となる樹脂内で存在する固化防止剤と、高強度混合及びブレンドされているか、のいずれかの核剤化合物の導入である。いずれにしても、本発明を制限する意図なく、或いはいかなる特定の科学原理または理論に拘束されることなく、核剤化合物は、対象となる樹脂内でその分散を改善する程の粒度に低減されると考えられる。固化防止剤は、保存の間、並びに、混合、ブレンド及び樹脂製造の間、凝集を防ぎ、その上、その結果として、非凝集核剤化合物のより信頼できる分散を与えるようにみえる。従って、核剤化合物を含有する熱可塑性プラスチックの生産の間、いかなる特定の粒度範囲も核剤化合物に要求されるものではなく、このような範囲、または、実質的に、溶融樹脂内への組み込みに先立って、必然的に存在する固化防止剤と同時に核剤化合物をすり潰してより小さな粒度にする任意の高強度混合工程の等価物の選択のみが要求される。従って、本発明の目的のため、用語「小粒度核剤化合物」は、上記の最大の粒度か、または高強度混合(または等価物)のいずれかを表すことが意図される。
上記のように、このような新規造核剤の導入のための対象となる調製物は、熱可塑性プラスチック、より具体的にはポリオレフィンである。このような調製物は、無数の異なる最終用途に利用可能であり、その最終用途は、制限なく、繊維、フィルムまたは薄肉物品(例:0.1ミルと15ミルの間の厚さを有する柔軟な包装物、薄肉コップ等)、厚めのプラークまたはその他同様の硬い物品(例:15〜150ミルの厚さ)、及びより肉厚の物品(例:150ミルより大きい厚さ)等の広範に考えられた群を含む。それぞれの群の個々の種類は、再度制限されないが、完全な物品或いは物品の構成部品として、a)繊維:紡がれた不織のポリオレフィン、ポリアミド、ポリアラミド等、任意のデニール寸法の繊維、同様に他の合成繊維または天然繊維(例:綿、ラミー、ウール等)とのブレンド;b)フィルム物品:キャストフィルム、キャンディーの包装紙、包装紙(例:煙草入れの包装紙等)、及びブロンフィルム、押出フィルム、またはその他同様の種類のフィルム用途、同様にコップや薄い容器、蓋等の薄肉物品等;c)厚めのプラークまたはその他同様の固体物品:食料品容器、水コップ、クーラー裏当て、注射器、実験機器、医療機器、パイプ、チューブ、尿検カップ、点滴袋、食物保存容器、くず入れ、クーラーの筐体、自動車計器盤、植木鉢、プランター、オフィス収納物品、机収納物品、使い捨て包装(例:熱成形、薄肉または高速射出成形のいずれかの種類の再加熱可能な食物容器)等;d)より肉厚の物品:i)自動車用途、例えばドアパネル、計器盤、ボディパネル、ファンカバー、ハンドル、バンパー、ファンシールド、ラジエーターシールド、自動車液容器、バッテリー・ケース、収納用仕切り等;ii)大きな機器、例えば冷蔵庫の裏地、冷蔵庫の部品(例:棚、製氷機の筐体、ドアハンドル等)、食器洗い機の裏地、食器洗い機の部品(例:ラック、パイプ、チューブ、ドアハンドル、液体及び/または固形洗剤収納用仕切り)、洗濯機のドラム、洗濯機の攪拌器等;iii)小さな機器、例えばミキサーの筐体、ミキサーの容器、オーブントースターの筐体、オーブントースターのハンドル、コーヒーポット、コーヒーポットの筐体、コーヒーポットのハンドル、フードプロセッサ、ヘアドライヤー、缶切り等;iv)家庭用品、例えば大きな収納運搬具、大きな貯蔵容器、そのような運搬具または容器の蓋、くずかご、洗濯物かご、棚、クーラー等;v)消費者物品、例えば家具(例:小さな椅子、テーブル等)、おもちゃ、スポーツ用品、使い捨て包装(例:再加熱可能な食物容器)、CDケース、DVDケース、CD−ROMケース、フロッピーディスク容器、フロッピーディスク筐体、VHSテープケース、VHSテープ筐体、植木鉢、プランター、ハンガー、芝生の装備品(例:芝生用具等)、庭の装備品(例:庭用具)、芝刈り機の筐体、燃料容器、パイプ、チューブ、ホース、ツールボックス、釣り道具箱、旅行かばん、導管、芝手入れ機の筐体、大きなくず入れ、幼児向けカーシート、幼児向け椅子(例:ダイニングテーブル用)等を含む。
用語「ポリオレフィン」または「ポリオレフィン樹脂」は、少なくとも1つのポリオレフィン化合物を含んでなる任意の物質を包含することが意図される。好適な例は、アイソタクチック及びシンジオタクチックのポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(4−メチル)ペンテン、ポリブチレン、及びそれらの任意のブレンドまたはコポリマーであり、組成の高密度または低密度を問わない。本発明のポリオレフィンポリマーは、脂肪族ポリオレフィン及び少なくとも1つの脂肪族オレフィンと1つ以上のエチレン性不飽和コモノナーから製造されるコポリマーを含み得る。一般的に、コモノマーは、存在する場合、ポリオレフィン(例えばランダムコポリマーポリプロピレン)の重量に基づいて、例えば約10%以下、または約5%以下でさえの少量で与えられる。しかしながら、25%以上のコモノマーを含むコポリマー(例えばインパクトコポリマー)も想定される。他のポリマーまたはゴム(EPDMやEPR等)もまた、前述の特性を得るためにポリオレフィンと配合されてもよい。このようなコモノマーは、ポリオレフィンの透明度の改善を助ける役目をするか、ポリマーの他の特性を改善するために機能し得る。他の例は、アクリル酸、酢酸ビニル等を含む。透明度が本発明に従って都合よく改善され得るオレフィンポリマーの例は、約10,000〜約2,000,000、好ましくは約30,000〜約300,000の平均分子量を有する、2〜約6個の炭素原子を含む脂肪族モノオレフィンのポリマー及びコポリマーで、例えば、制限されないが、ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、結晶性エチレンプロピレンコポリマー、ポリ(1−ブテン)、ポリメチルペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及びビニルシクロヘキサン等である。本発明のポリオレフィンは、例えば従来の低密度ポリエチレン内で見出される側鎖を必要に応じて含んでいてもよい、基本的に直鎖状の規則性ポリマーとして記述され得る。
ポリオレフィンが好適であるが、本発明の造核剤は、ポリオレフィンに制限されず、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びポリエチレンナフタレート(PEN)、並びに、ポリアミド、例えばナイロン6、ナイロン6,6等にも有益な造核特性を与え得る。一般的に、いくらかの結晶性内容物を有する、あらゆる熱可塑性プラスチック組成物は、本発明の造核剤により改善され得る。
本発明の組成物は、前述の固化防止添加物と飽和二環式ジカルボン酸塩(または塩の組合せ或いはこのような塩を含む組成物)の調製物を、熱可塑性プラスチックポリマーまたはコポリマーに加え、そして、得られた組成物を任意の適切な手段で単に混合することによって得られ得る。一般的に、商業生産方法は、添加物の混合及びポリマー成分と添加物の混合の両方について、低強度混合手順を利用する。場合によっては高強度が使用され、これらの目的のためには望ましいかもしれない。本発明の目的のために、添加物のブレンド方法及び/またはポリマーと添加物のブレンド方法について、両方の種類の混合手順を利用する例を行い、試験した。
或いは、必要とされる酸性スカベンジャーを含むポリオレフィンマスターバッチ中に約20重量%もの潜在的に好適な飽和[2.2.1]塩を含有する濃縮物を調製し、その後、対象となる樹脂と混合してもよい。さらに、本発明の組成物(潜在的に他の添加物を有する)は、あらゆる種類の標準熱可塑性プラスチック(例えば最も望ましくはポリオレフィン)の添加物形態で存在し得る。その形態は、制限されないが、粉末、小球、凝集体、液体懸濁物等を含み、特にこれらはポリオレフィン(例えばポリエチレン)ワックス、グリセリンのステアリン酸エステル、モンタンワックス、鉱油等のような分散助剤を含んでなる。基本的にいかなる形態も、ブレンド、凝集、圧密化及び/または押出から製造されるこのような組合せまたはこのような組合せを含む組成物によって示され得る。
このような成分の組合せを利用する別のもう1つの方法は、0.1〜5重量%の固化防止剤を二環式核剤調製物に最初に添加することを含む。保存目的のために、この少量の固化防止添加物が、凝集及び最終的な膠結を防止するという所望の効果を与えることが見出された。続いて、例えば10〜20重量%の範囲内のより大量の固化防止剤が、対象となる溶融熱可塑性プラスチック内への導入の間、二環式核剤調製物に添加され得る。上述のように、多量の固化防止剤は、より高い結晶化温度と同時に起こるより低いヘーズ測定値を、そのような対象となる熱可塑性プラスチックに与える二環式核剤の能力に貢献するようにみえる。従って、最初の二環式核剤の保存の間に大量の固化防止剤を包含させることに頼る代わりに、そのような大量の添加を遅らせることが可能であり、これにより、保存中の膠結傾向のさらなる減少に貢献しない大量のこのような剤を含ませる必要なく、固化防止(凝集防止、膠結防止など)の最も高い利用可能レベルで保存されるように、より大量の核剤化合物の最適化を可能する。
次いで、対象となる熱可塑性プラスチック組成物は、数多くの異なる技術で二次加工品に処理及び加工され得る。それらの異なる技術は、制限されないが、射出成形、射出ブロー成形、射出延伸ブロー成形、射出回転成形、押出成形、押出ブロー成形、シート押出成形、フィルム押出成形、キャストフィルム押出成形、発泡押出成形、熱成形(フィルム、ブロンフィルム、二軸延伸フィルム等の中へ)、薄肉射出成形等を含む。
用語「固化防止剤」は、前記図式(I)および図式(II)で定義される二環式核剤の粉末内での堆積及び凝集を、このような種類の保存された粉末の圧密化及び成長が最悪でも極微量で、好ましくは存在しないように、効果的に防止する化合物及び組成物を包含することが意図される。従って、金属棒がガラス瓶の底まで押し下げられ得る(以下でより詳細に説明される手順)ような圧密特性、及び「長期高温高湿保存試験」(同様に以下でより詳細に説明される)でのサンプル粉末の最初の測定値の最大でも5%の体積の増加(好ましくは体積増加は全くない)は、本発明の目的のための用語「固化防止剤」の範囲内であることが意図される化合物を的確に規定する。このような剤の存在下、好適な飽和ジカルボン酸塩核剤化合物は、このような塩化合物のプレートの間に容易に配置されるこのような剤の能力のために相互作用及び相互密着が防がれる。これにより、膠結が防がれ、体積の拡大(成長)が低減される(同様に帯電した化合物の相互作用の傾向も減少するためである)。このような成分の存在は、同時に起こるより高い結晶化温度を伴う、得られる熱可塑性プラスチック(好ましくはポリプロピレン)の清澄化を促進するようにみえる。このような結果は極めて有用だが非常に予想外である。有用な特定の固化防止剤は、シリカゲル及び処理されたシリカゲル(SYLOBLOC(登録商標)の商品名でW.R.Grace Companyから入手可能なシリカゲル等)、タルク、ジヒドロタルサイト(例えば三井化学からのDHT−4A)、ステアリン酸カルシウム、及び前述の核剤化合物(二環式ジカルボン酸塩)の間のプレート間相互作用を効果的に防ぐ他のあらゆる種類の化合物または組成物、特に造核塩自体の電荷と反対の電荷も示す(これにより粉立ち及び/または成長の傾向を低減できる)化合物及び/または組成物を含む。他の例は、米国特許第5728742号及び同第4734478号内に見出され得る。このような参考文献は、核剤とこのような剤の組合せを教示せず、水溶性ポリマー自体内のこのような化合物の存在がこのような物質が固化することを防ぐことのみを教示する。
驚くべきことに、固化防止剤と一緒に二環式核剤をエアージェットミル粉砕することで、対象とする熱可塑性プラスチック物品に前述のより低いヘーズ/高められたピーク結晶化温度を与えることが見出された。熱可塑性プラスチックは言うまでもなく、このような手順のその後のポリマー物品内での議論は、全くなかった。従って、エアージェットミル粉砕最終産物(同時にエアージェットミル粉砕される2つの成分の粉末混合物から製造される)の粒度は、このような熱可塑性プラスチック内で最高の全面的なヘーズ及びピーク結晶化温度を与えるために相対的に重要である。しかしながら、本明細書で開示される特定の二環式核剤と固化防止剤の単なる混合が、エアージェットミル粉砕を必要とすることなく、それ自体で問題となる膠結問題を防ぐのに十分であることに留意することが重要である。従って、エアージェットミル粉砕は、本発明の好適な実施態様であると考えられるが、このような工程がこの核剤技術での実施及び成功に必要不可欠であると要求する意図はない。
本明細書で開示される特定の核剤技術で与えられた、さらなる驚くべき結果は、固化防止剤がこのような核剤化合物とエアージェットミル粉砕される場合、劇的に低い粉立ちの結果が与えられることである。言うまでもなく、(あらゆる種類の)粉末化合物技術、特に粉末熱可塑性プラスチック核剤技術内で、低い粒度へのエアージェットミル粉砕はどちらかといえば粉立ち問題をもたらすであろうと一般的に認識されている。このような結果は注目に値し、一つの例として貯蔵容器が最初に開けられた場合、粉塵物質は容器自体から浮き出し、これにより、その領域を粉立たせるとともに、機械、人、洋服等を汚染する可能性がある。これに対して、エアージェットミル粉砕された二環式核剤/固化防止剤の組合せは、感知できるレベルの粉立ちを示さない。いかなる特定の科学的理論に束縛される意図はないが、固化防止剤上の電荷は、保存中に二環式核剤化合物上に存在する対立する電荷を基本的に中和すると考えられる。電荷の反発と同様に、このような中和なしでは、二環式核剤化合物は恐らく互いに反発し、結果として粉立ち問題をもたらすであろう。従って、固化防止剤は、電荷中和を通じて、非常に少ない量でさえも、核剤反発を防ぐことができ、これにより、保存後の粉塵の生成を低減することができる。いずれにしても、このような結果は、重ねて言うが、小粒度エアージェットミル粉砕粉末にとっては非常に驚くべきことである。
エアージェットミル粉砕化合物は、保存中の低い粉立ち、対象となる溶融熱可塑性プラスチック内での良好な見かけの分散、従って、対象となる熱可塑性プラスチック物品におけるピーク結晶化温度の増大及びヘーズ測定値の低減、並びに保存中の膠結及び成長の傾向の低減を与える、このような小さく実質的に均一の粒度の核剤調製物(少なくとも核剤及び固化防止剤)の能力全体のため、本発明にとって好適である。
本発明は、本発明の範囲内の特に好適な実施態様の例が示される、以下の実施例を通してさらに説明することができる。
(造核塩の製造)
水(70g)中のビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸ジナトリウム(30.0g)の溶液に、0.5gのパラジウム−活性炭(5wt%)を添加した。該混合物をParr反応器に移し、8時間水素化(50psi、室温)した。活性炭を濾去し、得られた溶液を噴霧乾燥して白色粉末(融点>300℃)を得た。噴霧乾燥は、入り口温度を400°F(約204〜205℃)に設定し、出口温度を220〜225°F(約104〜108℃)の間に保持するとともに、アトマイザー速度を9600rpmに設定した回転式アトマイザーを使用する噴霧乾燥機によって行った。NMR及びIR分析は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸ジナトリウム(以下、噴霧乾燥された形態または他の形態を問わず、HPN−68という)の予想される構造と一致した。
(最初の粒度分布、造核、清澄化、圧密化及び成長試験)
最初に、噴霧乾燥HPN−68核剤粉末を粒度分布測定について分析した。このような測定は下記の方法を用いて行った。
(レーザー光散乱粒度測定)
本発明の目的のために、全ての造核粉末(噴霧乾燥されたか、ジェットミル粉砕か、またはその中に固化防止剤を含んでいるかを問わず)の粒度測定を、MICROTRAC(登録商標)X100レーザー光散乱装置を使用して行った。粒度は、レーザー光線が粒子と相互作用するために生じた回折パターンから算出した。散乱光の強度と一緒に光が散乱された角度を、光検出器システムによって測定した。検出器システムにより生じた電気値を使用して、粒度の関数としての粒子の体積を算出した。分布は、体積平均径またはMVD(サンプルの体積加重した粒径の加重算術平均)としても知られるD4,3値、及び95パーセンタイルまたはD95値(試験したサンプル内の全ての粒子の95%の最大サイズ)(完全な球形の構造及びその測定結果は、このような測定にほとんど利用できないことを前提として、直径は全てのサンプルの等価球径である)のような多くのパラメーターを算出する機会を与えた。また、分布は、特定のパーセンテージ量に分布を分けるためのパーセンタイル値の算出を可能にした。これらの値を、産物の粒度特性を特定するために使用した。
手順は、核剤粉末の代表サンプルの、粉末を溶解しない流動体を含有する計器用流動体再循環システムへの直接の移動を含んだ。この際、有機化合物、特にこの場合はISOPAR(登録商標)Gの商品名でExxon Corporationから入手可能な高度に分岐したパラフィンを、水溶性粉末を懸濁するために使用した。食品用レシチンを、湿潤を高め粉末粒子の最終分散を維持するためにISOPAR(登録商標)Gパラフィンに添加した。超音波エネルギーを適用して、互いにくっついた(凝集した)懸濁粒子を分離した。次いで、機器を作動させて散乱したレーザー光線を収集し、粒度分布及び様々な分布特性を算出した。
より具体的には、予め機器内を循環している、0.07%(W/V)液化大豆レシチンを含むISOPAR(登録商標)Gパラフィンの溶液に粉末を移した。流量を最適化して、循環溶液中に泡を発生させることなく全ての粒子を懸濁するために十分な攪拌を与えた。次いで、核剤粉末を、エラーを引き起こし得る多重散乱のような光学的効果を招くことなく、測定に十分な散乱光を達成する量で添加した。適切な粉末の量は、超音波処理を受けて約90%の透過率値または10%の掩蔽率値を与えるであろう[この場合の透過率の値は0.85〜0.95(掩蔽値は0.05〜0.15)の範囲であった]。約10mg〜35mgの範囲の粉末量を添加したが、循環システムは約250mlのISOPAR(登録商標)G/レシチン溶液を含んだ。使用した秤量皿を循環流動体溶液で洗浄して、粉末の皿から循環溶液への定量的移動を確保した。
計算はシリコン光検出システムによって測定された散乱光信号に関して行った。懸濁流動体に関連する物質の特性として発生する光散乱光学的効果について補正するため、ミー散乱計算または修正を利用した。これらの計算は、物質及び懸濁流動体の屈折率の利用を含む。ISOPAR(登録商標)Gの屈折率は1.42であることが文書に記録されている。粉末材料の屈折率は、十分に認められたベッケ線光学顕微鏡方法を用いて1.54であることが分かった。噴霧乾燥されたHPN−68粉末単独(固化防止剤を含まない)について、分布は、126.3マイクロメーターのD95及び51.1マイクロメーターのMVDとして記録された。
さらに、熱可塑性プラスチック組成物(プラーク)は、いかなる追加処理(例えば、噴霧乾燥、エアージェットミル粉砕)もせずに上記で製造された核剤塩と、サンプルのホモポリマーポリプロピレン(HP)樹脂を含んで製造された。対象となるポリプロピレンの1キログラムバッチを、以下の表に従って製造した。
Figure 0005412502
ベースのHP及び全ての添加物を重量測定し、次いで、6リットルのKemutecリボンブレンダーを使用して、低強度の混合手順で、110rpmで5分間混合した。次いで、全てのサンプルを、キリオン単軸押出機を利用して4つの加熱帯を通して約200℃〜235℃の傾斜温度で溶融配合した。押出機ダイの出口での溶融温度は約245℃であった。軸は約2.5cmの直径で、24:1の長さ/直径比であり、60メッシュ(250ミクロン)スクリーンを備えていた。次いで、対象となるポリプロピレン及び核剤のプラークを、アーブルグ25トン射出成形機(バレル温度を230℃に設定)で成形した。プラークは、約50mm×75mm×1.25mmの寸法で、金型は鏡面仕上げがされていた。金型冷却循環水を、温度25℃に制御した。
得られたプラークを、ピーク結晶化温度(示差走査熱量測定による)及びヘーズ(透過率計の使用による)について試験した。ピーク結晶化温度は、成形過程で固形物品を形成するために必要な冷却時間を予測する判断材料である。ピーク結晶化温度が高いほど、より少ない冷却時間が望ましい固体部分を形成するために要求される。ポリマーのピーク結晶化温度(T)は、ASTM D−794−85に従ってDSCを使用して測定した。この方法は、特定のポリプロピレン組成物を毎分20℃の割合で60℃〜220℃で加熱して溶融調製物を製造することを含み、そしてピーク温度で2分間保持(その溶融を完了するため)した。次いで、温度を開始温度の60℃に達するまで毎分20℃の割合で低下させた。従って、結晶化温度を、結晶化の発熱反応の間のピーク最大値として測定した。ヘーズは、対象物品の透明度を示し、ハンター透過率計によってその物品中に存在する十分に大きな光散乱結晶の度合いを測定する。
HPサンプルプラーク内の異なる濃度の核剤塩(以下HPN−68とする)についての結果は、以下の通りであった。
Figure 0005412502
また、得られた粉末サンプルを、ガラス瓶内で最上層が平面になるように、瓶中に置いた。この水平面を黒マーカーで表示した。次いで、瓶を、Tenney Twenty調整チャンバー中で、110°Fで95%の湿度に7日間曝した(以下「加熱高湿度試験」という)。その後、粉末を、体積の拡大(成長)及び圧密化(膠結)について観察した。スチールスパチュラを使用して粉末が圧密化されたかどうかを決定した。スパチュラが粉末を通って瓶の底まで押し通すことが容易であった場合、圧密化されていないと標識した。多くの力を使用することが必要であった場合、圧密化されたと標識した。ガラス瓶内の体積が7日間を超える調整期間の間に最初の体積の測定値よりも5%より大きく増加した場合、成長が示された。上記で得られた噴霧乾燥HPN−68サンプルは、圧密化並びに最初の体積の10%を超えるかなりの成長を示した(粉末は、あまりにも成長したので、記した黒線を超えてメニスカスウェルを形成することにより「ドーム化」された)。
従って、高ヘーズ及び潜在的に低いピーク結晶化温度と合わせた、これらの膠結及び成長の問題は、これらの噴霧乾燥HPN−68サンプルに関連して先に述べられているので、粒度を減らすことが、この極めて有効な熱可塑性プラスチック核剤のより良好な全体的な特性に貢献し得ると結論付けられた。
(最初の本発明の塩の加工)
従って、核剤化合物の粒度を減らすことは、熱可塑性プラスチック内のこのような化合物の性能を潜在的に改善し、同様に、潜在的に保存安定性を改善するとの信念のもとに、別のHPN−68核剤塩を前記のように製造し、収集し、高強度で混合したか、またはロタジェットミル粉砕機でミル粉砕した。このような高強度の混合手順は、予め噴霧乾燥したHPN−68粉末を、ポリプロピレン顆粒及び他の添加物と一緒に8リットルのパッペンマイヤー型ミキサー内で約1600rpmにて1分間処理(混合)することを含んだ。エアージェットミル粉砕は、タービン分類器を備えた流動床対抗噴流粉砕機(Fluid Energyより)を使用することを含んだ。このような機器において、タービン速度及び気流速度は、得られる粒度分布を制御するために使用することができる。得られたエアージェットミル粉砕サンプルを、粒度分布について以下の方法で試験した。
膠結及び成長に関して、エアージェットミル粉砕サンプルについて上記高温高湿試験を通じてガラス瓶内で試験した結果、同様の問題が示された。成長(及び噴霧乾燥HPN−68サンプルと同じ「ドーム化」問題)及び膠結がこれらのエアージェットミル粉砕サンプルで示され、これにより、このような問題を解決するために異なる取り組みの必要性が示めされた。
さらに、特定のエアージェットミル粉砕粉末も、(前記のように)HPプラーク内のピーク結晶化温度及びヘーズについて試験した。異なる商業事情でこのようなエアージェットミル粉砕サンプルの有効性を決定するために、このようなサンプルを、低強度及び高強度の両方のブレンド方法で、ポリマー(ここではHP顆粒)とブレンドした。このような高強度混合手順は、HP顆粒及び核剤化合物を、(前記のように)8リットルのパッペンマイヤー型ミキサー中で約1600rpmにて1分間ブレンドすることを含んだ。低強度混合は、前記で述べたように、6リットルのKemutecリボンブレンダーを用いる同じ手順に従った。
溶融処理に先立って、HP顆粒と両方の高強度ブレンドされた(以下、高強度は、任意のさらなる混合に先立って噴霧乾燥化合物に与えた処理を指し、エアージェットミル粉砕は、最初の噴霧乾燥よりはむしろこのような工程を指す)、前記のHPN−68核剤粉末(エアージェットミル粉砕及び噴霧乾燥の両方がなされた高強度混合核剤粉末)についての両方の試験についての結果、及びその粒度の測定値を、以下の表に列挙する。実施例1〜4は、エアージェットミル粉砕HPN−68核剤化合物を含む樹脂であった。実施例5及び6は噴霧乾燥核剤を含むが、HP樹脂と高強度ブレンドされた。
Figure 0005412502
従って、両方の物理的粒度低減方法に関して、ヘーズ及びピーク結晶化温度は、基本的に同じであった。高強度混合噴霧乾燥タイプについてより良好な結果となった。この結果はおそらく、エアージェットミル粉砕粒子はサイズがより小さいが、比較的高い割合で凝集する傾向があり、これにより、対象となる樹脂内で、分散を必要とする化合物の全体的なサイズが高められているという事実によるものである。従って、樹脂との低強度混合は、ポリマー物品形成に先立って核剤を適切に脱凝集させることができず、はるかに高いヘーズの結果と幾分低い結晶化温度をもたらす。さらに、前述の高温高湿試験において、同様の膠結及び成長の結果が、噴霧乾燥タイプサンプル及びより小さいエアージェットミル粉砕粒子サンプルの間で示された。従って、このような小粒度核剤塩を利用する異なる取り組みが、このような大いに望ましい熱可塑性プラスチック造核剤の、最良の全体の商業用実用化を与えるために必要であることが結論付けられた。
(固化防止剤の包含)
次いで、塩生成の後及び/または保存の前の、固化防止剤(または分散剤)の存在が、このような凝集(膠結)問題の防止に役立ち得ることが理論付けられた。このような目的のために、全て限定されない種類として、シリカゲル、50重量%のユールカミド(eurucamide;C22脂肪アミド)で処理されたシリカゲル(SYLOBLOC(登録商標)M250)、ステアリン酸カルシウム、タルク、DHT−4A、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、及び硫酸カルシウムを含む数多くの種類の試験を行った。核剤/固化防止剤調製物を、以下のように、調製物成分の全ての組合せの重量%として列挙された量で試験した。
Figure 0005412502
これらの調製物は、を除き、高強度混合(プレブレンド)を通じて一緒にブレンドした。は、ブレンドし、次いで、このようなミル粉砕について上記したものと同様の手順を用いてエアージェットミル粉砕した。
前表からのそれぞれのサンプルのブレンド(粉末)約20グラムを、別々のガラス瓶中に置き、前記の高温高湿試験を行い、体積の拡大(成長)及び膠結について評価(7日間後)した。結果は以下の通りであった。
Figure 0005412502
従って、上記のように、サンプルA〜Fは望ましい結果を与えたが、その一方、他のものは、長期保存安定性及び樹脂生産者にとっての最終的な実用性についての試験の少なくとも1つで驚くべきことに失敗した。従って、堆積及び凝集が実験的に観測されなかったため、サンプルA〜Fは、本目的において最も有効な添加物であることが分かった。
次いで、上記の調製物表からのサンプルA及びFのブレンド(HPN−68核剤及びSYLOBLOC(登録商標)M250)を、粒度分布、HPヘーズレベル、及びHPピーク結晶化温度を含むさらなる試験(上述の同じ試験手順に従う)について使用した。粒度操作は、高機能二環式核剤化合物とともに固化防止剤を包含することを含む、以下の3つの異なる手順を経て、所望の低ヘーズ及び高いピーク結晶化温度特性を達成するために必要なレベルに到達すること、並びに、長期間の保存で必要とされる低い膠結及び成長特性を与えることが推測された。
a)核剤及び固化防止剤の同時エアージェットミル粉砕:
b)固化防止剤を、予めエアージェットミル粉砕した核剤化合物に添加:
c)予め噴霧乾燥した核剤化合物を、固化防止剤及びHP樹脂と高強度混合。同様に、噴霧乾燥及びエアージェットミル粉砕の両方がされた核剤/固化防止調製物を有するサンプル(HP顆粒と低強度混合された)について比較した結果を入手して、粒度がこのような所望の改善に重要かどうかを決定した。HPN−68及びSYLOBLOC(登録商標)M250サンプルの異なる組合せ(部分の割合に関して)を、これらの異なる手順に従って融解に先立って対象となる樹脂調製物とブレンドした。全て上記のように、最終的な樹脂調製物を単軸押出機で配合し、次いで、(上記のように)プラークに成形し、上記のヘーズ及びピーク結晶化温度特性について試験した。粒度(樹脂顆粒とのブレンドに先立って測定した。高強度混合が、対象となる樹脂顆粒とのブレンドに続いて行われた場合、粒度の測定をしなかった)、ヘーズ、及びピーク結晶化温度の測定について、結果は以下の通りであった[文字a、b、及びcは、上記と同じ手順を示し、これらの文字の後の標識「比較」は、対象となる樹脂顆粒と低強度混合されたサンプルを示す]。比率は、このような調製物での固化防止剤の部数に対する核剤の部数を表す;従って、70/30は、70部のHPN−68と30部のSYLOBLOC(登録商標)M250を表す。
Figure 0005412502
驚くことに、核剤のみで製造されたプラークと比較した場合、粒度を低減する物理的処理がされたかどうかに関わらず、本発明の小粒度サンプルは、ピーク結晶化温度の大幅な増加を示し、ヘーズレベルの顕著な低減を示した。さらに、高強度混合は、これらの特性を低強度混合よりも改善し、同様に、製造中の溶融熱可塑性プラスチック内への固化防止剤の添加は、最終物品内で予想外に同様の結果を与えたことが明白である。従って、本発明の1つの実施態様は、最終的に製造された熱可塑性プラスチック物品内での物理的及び光学的特性の予想外の良好な改善を与えるために、単独、または共粉砕若しくは共噴霧乾燥された固化防止剤と組み合わせての、或いは熱可塑性プラスチックの製造工程内で別個に導入された固化防止剤と組み合わせての、小粒度二環式核剤化合物の存在を基本的に必要とする。ここで共粉砕粉末及び高強度樹脂混合手順は、最適な結果(特に80/20の核剤と固化防止剤の比率で)を与える。さらに、本発明の核剤/固化防止剤調製物の本発明の共粉砕及び共噴霧乾燥小粒度粉末は、膠結及び成長に関して保存された粉末内の予想外の改善された物理的特性を与える(このような場合、固化防止剤の存在のみが利益を与えるようであり、従って小粒度は常に必要とされる訳ではないけれども)。
本発明を詳細に記載してきたので、当業者が本発明の範囲から逸脱することなくそれに変化や改善を加えることが可能であることは明らかである。従って、本発明の範囲は添付した請求の範囲によってのみ決定されるべきである。

Claims (7)

  1. 構造式I
    Figure 0005412502
    〔式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR10は水素、C〜Cアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキレンオキシ、アミン、及びC〜Cアルキルアミン、ハロゲン、フェニル、アルキルフェニル、及び最大9個の炭素原子を有するジェミナルまたはビシナルの炭素環から成る群から個々に選択され、R’及びR”は同一かまたは異なり、水素、C〜C30アルキル、ヒドロキシ、アミン、ポリアミン、ポリオキシアミン、C〜C30アルキルアミン、フェニル、ハロゲン、C〜C30アルコキシ、C〜C30ポリオキシアルキル、C(O)−NR11C(O)O−R’’’、及びC(O)O−R’’’から成る群から個々に選択され、R11はC〜C30アルキル、水素、C〜C30アルコキシ、及びC〜C30ポリオキシアルキルから成る群から選択され、R’’’は水素、金属イオン、有機カチオン、ポリオキシ−C〜C18−アルキレン、C〜C30アルキル、C〜C30アルキレン、C〜C30アルキレンオキシ、ステロイド部分、フェニル、ポリフェニル、C〜C30ハロゲン化アルキル、及びC〜C30アルキルアミンから成る群から選択され、R’及びR”の少なくとも1つはC(O)−NR11C(O)O−R’’’またはC(O)O−R’’’であり、R’とR”の両方がC(O)O−R’’’である場合、R’及びR”の両方のR’’’が単一の二価金属イオンまたは単一の三価金属オーバーベースに一体化されてもよい〕
    で示され、かつ、最大でも10ミクロンのD95(試験したサンプル内の全粒子の95%の粒径)及び/又は最大でも7.5のMVD(サンプルの体積加重した粒径の加重算術平均)の平均粒度を示す少なくとも1つの小粒度核剤化合物と、シリカゲルから選択された少なくとも1つの固化防止剤を含む、熱可塑性プラスチック物品
  2. 前記小粒度核剤化合物が構造式II
    Figure 0005412502
    〔式中、M及びMは同一かまたは異なり、金属カチオンまたは有機カチオンから成る群から独立して選択されるか、または該2つの金属イオンは単一の金属イオンにまとめられ、、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR10は水素、C〜Cアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキレンオキシ、アミン、及びC〜Cアルキルアミン、ハロゲン、フェニル、アルキルフェニル、及び最大9個の炭素原子を有するジェミナルまたはビシナルの炭素環から成る群から個々に選択される
    で示される、請求項に記載の熱可塑性プラスチック物品
  3. 前記金属カチオンが周期律表I族及びII族の金属イオンから成る群から選択される金属カチオンである、請求項に記載の熱可塑性プラスチック物品
  4. 前記金属カチオンが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リチウム、ルビジウム、バリウム、マグネシウム、ストロンチウム、銀、亜鉛、及びアルミニウムから成る群から選択される、請求項に記載の熱可塑性プラスチック物品
  5. 前記金属カチオンがナトリウムである、請求項に記載の熱可塑性プラスチック物品
  6. 前記熱可塑性プラスチックがポリオレフィンを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性プラスチック物品。
  7. 前記ポリオレフィンがポリプロピレンである、請求項に記載の熱可塑性プラスチック物品。
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