JP5412006B1 - ガス濃度測定方法 - Google Patents

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Abstract

【要 約】
【課題】発熱抵抗体素子が配置された雰囲気の温度が変わっても、測定値に影響のない濃度測定方法を提供する。
【解決手段】発熱抵抗体素子1、1cの両端の電圧値から、設定された基定値を差し引いた値を濃度関連電圧値とし、濃度関連電圧値が予め設定された固有電圧値と等しくなった時刻を固有電圧検出時刻とすると、測定対象ガスの濃度が同じで温度が異なる雰囲気で測定しても、同じ固有電圧検出時刻になるような固有電圧値を求める。温度の影響なく、高精度の濃度測定を行うことができる。

Description

本発明は、気体濃度測定のうち、特に、燃料電池自動車の水素構成部品周辺から漏れる水素を検知するための水素センサを含む水素検知装置に適している。
従来、水素などの可燃性気体の濃度測定には、接触燃焼式または熱伝導度式が用いられてきた。前者は発熱抵抗体素子に白金などを含む燃焼触媒を塗布した検出素子を高温に保ち、可燃性気体が触媒作用により燃焼することによる検出素子の抵抗変化を検出し、可燃性気体の濃度を測定する。後者は、燃焼触媒を使用しない発熱抵抗体素子を検出素子とし、通電加熱された検出素子が測定対象気体の熱伝導により冷却されるときに生じる抵抗変化を検出し、気体の濃度を測定する方式で、測定対象は可燃性気体に限定されず、前者と比べ、より高濃度の濃度測定に利用されている。特許文献「特開2006−10670」参照。
特開2006−10670号公報
上記の接触燃焼式においては、検出素子を高温に保つため、大きな消費電力を必要とする。また、燃焼触媒の作用は触媒毒となる気体の共存による劣化に加え、経過時間とともに劣化する傾向があるため、一定の期間ごとに劣化の診断または部品の交換が必要である。
接触燃焼式と熱伝導度式の両者に共通する弱点は、環境温度の影響が著しいことであり、検出素子のほかに、比較素子などの温度補償手段を必要とする。比較素子を使う場合は、消費電力が増加する問題もある。また、温度補償手段の熱的諸特性が、過渡状態と安定状態において、検出素子の特性と完全に一致しない限り、温度補償の不完全さが、測定精度の低下として現れるので、個別素子の特性バラツキへの対応は難しい。
本発明の目的は、以上のような課題を解決するため、発熱抵抗体素子が配置された雰囲気の温度が変わっても、測定値に影響のない濃度測定方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、発熱抵抗体素子を昇温させる定電流である加熱電流の値と、前記発熱抵抗体素子に前記加熱電流を流す期間である加熱期間の長さと、前記加熱期間の終了したときに開始し、前記発熱抵抗体素子を冷却する期間である冷却期間の長さと、前記加熱電流よりも小さい定電流である測定電流の値とを予め設定しておき、前記加熱期間と前記冷却期間とを連続して複数回数繰り返す測定期間を設け、前記測定期間中、前記発熱抵抗体素子を測定対象ガスの測定雰囲気に置き、前記測定期間の前記冷却期間中に前記測定電流が流れる前記発熱抵抗体素子に生じる電圧値を用いて、前記測定雰囲気に含有される前記測定対象ガスのガス濃度を求めるガス濃度測定方法であって、予め固有電圧値を設定しておき、前記冷却期間中の時刻は、各前記冷却期間の開始時を基準として表すものとして、予め前記冷却期間内に所定の時刻である定期測定時刻を設定しておき、当該ガス濃度測定方法は、前記発熱抵抗体素子に測定用発熱抵抗体素子を用い、前記発熱抵抗体素子を前記測定対象ガスの前記測定雰囲気に置き、前記測定期間の前記冷却期間内に、前記測定電流が流れる状態の前記発熱抵抗体素子の電圧降下を検出し、その大きさを示す測定電圧値から、設定された基底値を差し引いた電圧値を濃度関連電圧値とし、前記濃度関連電圧値と設定された前記固有電圧値とを比較して前記固有電圧値と一致する前記濃度関連電圧値を検出すると、一致が検出された前記濃度関連電圧値の電圧降下が発生した時刻を固有電圧検出時刻とする主測定工程と、前記定期測定時刻に、前記測定電流が流れた状態の前記発熱抵抗体素子に生じた電圧降下を検出し、その大きさを示す先駆電圧値を、他の前記先駆電圧値と区別して記憶し、記憶された一乃至複数個の前記先駆電圧値から予め定められた算出関係に従って前記基底値を算出して設定する副測定工程と、予め測定されている前記固有電圧検出時刻と測定対象のガスの濃度との関係である換算関係から、測定した前記固有電圧検出時刻を前記ガス濃度に変換し、前記測定雰囲気中の前記測定対象ガスの前記ガス濃度を求める算出工程と、を有し、前記固有電圧値には、同一の前記ガス濃度で前記固有電圧検出時刻を求めると、異なる温度でも同じ固有電圧検出時刻となる電圧値が設定され、前記主測定工程と、前記副測定工程と、前記算出工程とを行って、前記測定対象ガスのガス濃度を求めるガス濃度測定方法である。
また、本発明は、前記定期測定時刻に、前記測定電流が流れた状態の前記発熱抵抗体素子に生じた電圧降下を異なる前記冷却期間に於いて繰り返し検出し、その大きさを示す先駆電圧値をそれぞれ記憶し、記憶された一乃至複数個の前記先駆電圧値から、前記算出関係に従って前記基底値を算出して記憶し、前記冷却期間中の前記定期測定時刻よりも前の複数の準備測定時刻で、前記測定電流が流れる状態の前記発熱抵抗体素子の電圧降下を検出してその大きさを示す前記測定電圧値から、記憶された前記基底値を差し引いた電圧値を算出して前記濃度関連電圧値とすると共に、前記準備測定時刻と、その前記準備測定時刻で検出された前記電圧降下の大きさを示す前記先駆電圧値から求められた前記濃度関連電圧値との対応関係を記憶する準備工程を有し、前記測定用発熱抵抗体素子と同じか、又は、前記測定用発熱抵抗体素子と同じ材質、同じ太さ、同じ長さ、同じ形状で、同じ温度特性の他の発熱抵抗体素子のうちのいずれか一方の基準用発熱抵抗体素子を前記発熱抵抗体素子に用い、前記測定期間よりも前に、前記発熱抵抗体素子を、所定値のガス濃度で前記測定対象ガスを含有し、第一の温度になっている第一の温度雰囲気に置いて、前記加熱期間と前記冷却期間とを連続して複数回繰り返す第一の準備期間を設け、前記第一の準備期間中に前記準備工程を行い、前記第一の温度雰囲気と同じガス濃度で前記測定対象ガスを含有し、前記第一の温度とは異なる第二の温度になっている第二の温度雰囲気に前記発熱抵抗体素子を置いて、前記加熱期間と前記冷却期間とを連続して複数回繰り返す第二の準備期間を設け、前記第二の準備期間中に、前記準備工程を行い、前記第一の準備期間の前記準備工程で求めた前記対応関係と、前記第二の準備期間の前記準備工程で求めた前記対応関係とから、前記第一、第二の温度雰囲気中で、同じ前記準備測定時刻で同じ値となる前記濃度関連電圧値を求め、求めた前記濃度関連電圧値を前記固有電圧値として設定した後、前記主測定工程を行うガス濃度測定方法である。
また、本発明は、前記測定用発熱抵抗体素子と、前記基準用発熱抵抗体素子とは、タングステンワイヤから成る線材を有するガス濃度測定方法である。
また、本発明は、前記線材は、金で被覆されたガス濃度測定方法である。
また、本発明は、前記測定用発熱抵抗体素子と、前記基準用発熱抵抗体素子とは、コイル状に巻き回された線材を有するガス濃度測定方法である。
また、本発明は、前記測定用発熱抵抗体素子と、前記基準用発熱抵抗体素子とは、蛇行状に配置された線材を有するガス濃度測定方法である。
また、本発明は、前記第一と前記第二の準備期間で前記固有電圧値を測定した後、前記主測定工程を行う前に、前記加熱期間と前記冷却期間とを連続して複数回数繰り返す関連作成期間を設け、前記基準用発熱抵抗体素子を前記発熱抵抗体素子に用いて、前記測定対象ガスの複数の濃度で前記主測定工程と前記副測定工程とを行い、複数の前記測定対象ガスの濃度での前記固有電圧検出時刻と前記測定対象ガス濃度とを対応させて、前記換算関係を求めるガス濃度測定方法である。
また、本発明は、前記第一、第二の温度雰囲気は、測定対象ガス濃度を同じ値にするガス濃度測定方法である。
また、本発明は、前記算出関係は、新しく測定した前記先駆電圧値を前記基底値として記憶することであるガス濃度測定方法である。
また、本発明は、前記算出関係は、新しく前記先駆電圧値を求めると、最新の前記先駆電圧値を含み、連続して記憶された所定個数の前記先駆電圧値の平均値を前記基底値として記憶することであるガス濃度測定方法である。
また、本発明は、前記測定電流は、前記冷却期間の開始から終了まで流し続けるガス濃度測定方法である。
また、本発明は、前記冷却期間には、前記測定電流が停止される期間が含まれるガス濃度測定方法である。
また、本発明は、前記主測定工程では、前記電圧降下は同じ前記冷却期間内で繰り返し検出し、前記濃度関連電圧値と前記固有電圧値とは繰り返し比較するガス濃度測定方法である。
また、本発明は、前記測定電流は、前記電圧降下を検出するときに流し、検出後は停止させるガス濃度測定方法である
た、本発明は、前記固有電圧値は、記憶装置に記憶させることで設定するガス濃度測定方法である。
本発明では、固有電圧検出時刻と、測定対象ガスの濃度との関係は予め求められており、固有電圧検出時刻が測定されると、予め求めておいた固有電圧検出時刻と測定対象ガスの濃度との関係から、測定対象ガスの濃度が求められる。
固有電圧検出時刻と測定対象ガスの濃度との関係は、予め測定した値をデータベースとして記憶しておき、測定した固有電圧検出時刻を記憶内容と照合し、測定した固有電圧検出時刻と一致した固有電圧検出時刻に対応する測定対象ガスの濃度や、測定した固有電圧検出時刻に近い記憶した固有電圧検出時刻から補完して、測定対象ガスの濃度を求めることができる。
また、予め測定した値から近似関数を求め、近似関数を用いて測定した固有電圧検出時刻から測定対象ガスの濃度を求めることができる。
また、検量線を用いて測定対象ガスの濃度を求めてもよい。
本発明の副測定工程と準備工程では、一乃至複数の先駆電圧値から基底値を算出する際に、記憶された前記先駆電圧値の平均値を基底値にすることができるし、また、加熱期間終了後、測定電圧から基底電圧を差し引く際に、現在の冷却期間の直前の冷却期間の定期測定時刻に測定した電圧降下を示す先駆電圧値を、基底値にすることができる。
また、第一の温度雰囲気と、第二の温度雰囲気は、測定対象ガス濃度がゼロの場合も含まれる。
また、準備工程で記憶する対応関係には、準備測定時刻と、その準備測定時刻で検出された電圧降下の大きさを示す先駆電圧値から求められた濃度関連電圧値との関連づけと、関連づけられた準備測定時刻と濃度関連電圧値も含まれる。
本発明のガス濃度測定方法を実施する測定装置は、特許請求の範囲に記載された発熱抵抗体素子と、発熱抵抗体素子に加熱電流と測定電流を流すことができる定電流電源と、発熱抵抗体素子の両端の電圧降下を検出する電圧計を有している。
また、その測定装置は、加熱電流の値と、加熱期間の長さと、冷却期間の長さと、測定電流の値と、固有電圧値と、定期測定時刻と、発熱抵抗体素子の電圧降下を検出する時刻と、固有電圧検出時刻と、先駆電圧値と、基底値と、準備測定時刻と、対応関係とを記憶する記憶装置も有している。
また、その測定装置は、定電流源と、電圧計と、記憶装置とに接続され、接続された装置を制御して、接続された装置の動作の制御と、信号やデータの入出力を行う制御装置を有しており、記憶装置への記憶は、制御装置によって行われる。
また、制御装置は、測定電流が流れ、電圧計が検出した発熱抵抗体素子の電圧降下の値を測定電圧値や先駆電圧値にする処理と、測定電圧値から記憶された基定値を差し引く処理と、濃度関連電圧値と記憶された固有電圧値とを比較する処理と、固有電圧値と一致する濃度関連電圧値を検出すると、一致が検出された濃度関連電圧値の電圧降下が発生した時刻を固有電圧検出時刻とする処理と、記憶された一乃至複数個の先駆電圧値から予め定められた算出関係に従って基底値を算出する処理と、予め測定されている固有電圧検出時刻と測定対象のガスの濃度との関係である換算関係から、測定した固有電圧検出時刻をガス濃度に変換する処理とを行う。
測定雰囲気中の測定対象ガスのガス濃度を求める処理と、記憶装置に記憶された第一、第二の準備期間の対応関係から第一、第二の温度雰囲気中で、同じ準備測定時刻で同じ値となる濃度関連電圧値を求める処理と、求めた濃度関連電圧値を固有電圧値とする処理については、制御装置で行ってもよいし、第一、第二の温度雰囲気中で、同じ準備測定時刻で同じ値となる濃度関連電圧値を別の装置によって予め求めておき、その濃度関連電圧値を固有電圧値として、記憶装置に記憶しても良い。
この場合、別の装置によって濃度関連電圧値を求めるときに使用された発熱抵抗体素子には、基準用発熱抵抗体素子が用いられ、制御装置に接続された発熱抵抗体素子には、測定用発熱抵抗体素子が用いられる。
(1)比較素子などによる温度補償を必要とせず、環境温度(検出素子の周囲の温度を主とし、本発明の測定装置の周囲の温度を指す)の影響を受けずに、気体濃度を精度良く測定することができる。
(2)検出素子を発熱抵抗体素子1個のみの最小構成とすることができるので、本発明を実施できる測定装置は、電力消費が小さく、小型で安価になる。
(3)酸化触媒などを使用しないので、触媒毒による測定性能の劣化がない。
(4)検出素子である発熱抵抗体素子の材質を耐食性に優れた金属とするか、あるいは耐食性に優れた材料でコーティングすることにより、長期間に渡り安定した検知性能を維持することができる。また、装置のメンテナンスの手間を省くことができる。
水素検知装置を水素燃料電池自動車に搭載したときの配置の一例を示す図 (a):水素検知装置の断面構造を示す図 (b)〜(e):水素検知装置に使用する水素センサの構造を示す図 水素検知装置の構成を示すブロック図 (a)〜(f):信号のタイムチャート (a)、(b):異なる環境温度における信号波形 動作のフローチャート (a):異なる温度(−40℃,20℃,80℃)において、水素濃度0%volとしたときに、差電圧(信号B)が示す固有カーブの軌跡を重ねて表示したグラフ (b):異なる温度(−40℃,20℃,80℃)において、水素濃度4%volとしたときに、差電圧(信号B)が示す固有カーブの軌跡を重ねて表示したグラフ (c):異なる温度(−40℃,20℃,80℃)において、図7(a)と図7(b)に示したグラフに、さらに、水素濃度1%vol,2%vol,3%volとしたときのグラフを追加し、全15本の固有カーブの軌跡を重ねて表示したグラフ 図7(c)の中に示す「クロス点」付近の拡大図 (a):水素センサの検量線の一例 (b):水素センサの各種ガスに対する検量線の一例 (c):高濃度用水素センサの検量線の一例
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
[第1実施例]
図1から図9(a)は、本発明に係る気体濃度測定方法の第1実施例を示しており、ここでの気体濃度測定方法は、例えば、図1に示すごとく、燃料電池自動車の水素構成部品周辺から漏れる水素を検知するための水素検知装置30に用いられる。水素検知装置30には、車両電源(例えばDC12V)が供給され、水素検知信号を通信機能等により車両のECU(電子制御ユニット)などへ出力する。水素が所定の濃度で検出されたときは、燃料(水素)遮断など、車両側で必要な処置が行われる。
[水素検知装置の構造]
図2(a)に水素検知装置30の断面構造を示す。図2(a)において、プラスチック製のケース31には、上端の開口部に防爆フィルタ5が組み込まれている。この防爆フィルタ5は、例えば、ステンレス粉末を焼結して板状に成形した多孔質フィルタであって、測定対象気体(空気中の水素)は、防爆フィルタ5を拡散通過するので、ガス拡散空隙6は、常に外部の測定対象気体で置換されている。防爆フィルタ5のもう一つの機能は、水素センサ38a内部で万が一発火した場合にも、この火炎が外部に伝わらないように防御する機能である。
防爆フィルタ5に接近して組み付けられているのが、水素センサ38a、38b、38cで、その構成は、図2(b)〜(e)に示すとおりである。水素センサ38a、38b、38cは、ケース31の内側に絶縁性充填剤7によって固着されている。
ケース31の下部には、電子回路部品33を装着した信号処理基板35が取り付けられ、プラスチック製のケース蓋32で、隙間無く蓋がされている。
水素センサ38aから出ている2本のリード線4は、絶縁性充填剤7で固着され、先端にはセンサコネクタ34が付いていて、信号処理基板35に差し込まれている。
ケース31に固定されたコネクタハウジング36には、外部から受ける直流電源と水素濃度の信号出力などが接続された入出力コネクタ37が組み付けてある。
図2(b)に示した水素センサ38aは、一枚の角形センサ基板3aと、2本の電極ピン2とを有しており、2本の電極ピン2の下端は、互いに離間して、角形センサ基板3aに固定されている。発熱抵抗体素子1の両端のうち、一端は一方の電極ピン2の上部に固定され、他端は他方の電極ピン2の上部に固定されており、電極ピン2間に電圧が印加されると、発熱抵抗体素子1に電流が流れるようになっている。
発熱抵抗体素子1は、電極ピン2以外の部材には接触していない。電極ピン2には、リード線4が2本ずつ、それぞれハンダ付されている。水素センサ38aは、ケース31に組み込まれるとき、角形センサ基板3aの裏面側から、絶縁性充填剤7が充填され固着される。
図2(c)、(d)に示した水素センサ38bは、図2(b)と異なる構造であり、二個のセンサ基板一体型電極2bと、一枚の開口付センサ基板3bとを備えている。
二個のセンサ基板一体型電極2bは、開口付センサ基板3b上に、離間した位置に固定されており、開口付センサ基板3bのセンサ基板一体型電極2bの間の部分には、開口8が設けられている。
発熱抵抗体素子1は、その一端を一方のセンサ基板一体型電極2bに固定され、他端を他方のセンサ基板一体型電極2bに固定され、発熱抵抗体素子1は開口8の上に配置されて、開口付センサ基板3bに接触しないようにされている。
従って、この水素センサ38bは、発熱抵抗体素子1が電極ピンを介さずに直接、センサ基板一体型電極2bに固定されている。
その他の構造と機能は図2(b)に示す水素センサ38aと同等である。図2(c)、(d)の水素センサ38bの特徴は、製造において、発熱抵抗体素子1を電極ピンに固定して電気的に導通させる代わりに、直接、基板上に固定して電気的に導通させるので、構造がより簡単になり、生産性よく製造できる利点をもつことである。
図2(e)に示す水素センサ38cは、丸形センサ基板3cを貫通する電極ピン2に固定されたアーチ状発熱抵抗体素子1cを備えているが、その他の構造と機能については、図2(e)に示す水素センサ38cは、図2(b)に示す水素センサ38aと、図2(c)、(d)に示す水素センサ38bと同等である。図2(e)に示す水素センサ38cの特徴は、水素センサを円筒状にすることによって、外形形状をより小型にできる利点をもつことである。
以上に説明したとおり、図2(b)〜(e)に示す水素センサは、形状または生産性に違いが生じることはあっても、水素検知に係る機能と性能においては同等であり、いずれの水素センサも、本発明による気体濃度の測定方法の実施例として適切に機能する。
[ブロック図による説明]
図3のブロック図に示す水素検知装置30の構成において、符号11は、水素センサを表している。
この図3では、水素センサ11中の発熱抵抗体素子1(図2(a)〜(e))に、直流電源10と、信号処理部40中の電流切換回路12とが接続されている。水素センサ11中の発熱抵抗体素子1には、タイミング制御装置14から電流切換回路12に入力される信号Tiと同期して、記憶装置18に設定された値の加熱電流Ih及び測定電流Imが、交互かつ一定の測定期間(T)を繰り返えす中で、繰り返し印加される。
差電圧増幅装置(1)13は、水素センサ11(発熱抵抗体素子1)の端子間(電極間)に生じた電圧を検出する。
検出した値は測定電圧値であるが、その値を差動増幅し、信号Aとして出力する。当該信号Aは、2つの信号サンプリング装置に入力される。
信号Aサンプリング装置15は、タイミング制御装置14の信号TmがONの期間においてのみ、信号Aをサンプリングし、取得した刻々のデータを、差電圧増幅装置(2)17の一方に入力する。もう一つのVbサンプリング装置16は、タイミング制御装置14の信号TbがONとなる一瞬においてのみ、信号Aをサンプリングし、基底値Vbとし1回の測定期間(T)の間だけこのデータを保持する。
当該基底値Vbの電圧値は、差電圧増幅装置(2)17の別の一方に入力され、測定電圧値と基底値との差電圧が増幅され、差電圧が、信号Bとして出力される。当該信号Bは、濃度関連電圧値を示しており、信号レベル比較装置19において、記憶装置18に設定された固有電圧(固有電圧値)Vcとの大小を比較される。
信号Tmの立ち上がり、即ち、経過時間の起点(t=0)においては、信号Bが示す濃度関連電圧値は固有電圧Vcよりも十分に大きな値V0であるが、発熱抵抗体素子1の冷却に伴い、固有カーブを描いて低下する。この過程で、信号レベル比較装置19は、レベル判定出力として信号Cを出力する。当該信号Cは、経過時間の起点t=0において、信号B>Vcを満たすとき、ハイレベル信号VHを出力し、経過時間t=tcにおいて、信号Bが固有電圧Vcと一致するまでVHを維持する。その直後に、信号B<Vcとなると、レベル判定出力はローレベル信号VLに切り換わる。
経過時間計測装置20は、タイミング制御装置14の信号Tmを用いて、信号Cがハイレベルを維持する時間(tc)を計測し、その計測データを出力する。水素濃度演算装置21は、入力された計測データ(時間tc)を使い、予め定められた計算式または記憶装置18から読み出したテーブルのデータに基づき、この1周期における水素濃度を決定し、信号出力装置22を介して、水素濃度の測定信号を出力する。水素濃度演算装置21は、水素濃度の演算に当たり、数周期分のデータにつき、例えば、移動平均などの処理を行い、水素濃度測定値の安定化を計ってもよい。
[タイムチャートと信号波形による説明]
本発明に係る気体濃度測定方法の第1実施例を、図3のブロック図を使って説明すると、以上の通りとなるが、図3のブロック図に記載された回路及び装置における各信号のタイムチャートは、図4(a)〜(e)に示す通りとなっている。図4(a)〜(e)に示す信号について、以下に説明する。
図4(a)の横軸は時刻であり、縦軸は、発熱抵抗体素子1に流れる電流であって、設定された値又は電流測定装置によって測定された値である。
水素センサ11(発熱抵抗体素子1)には、符号101で示した波形の駆動電流iが流れている。
測定期間Tは、記憶装置18に設定された一定の期間であり、複数の測定期間Tが連続して繰り返し設けられている。測定期間Tの中には、一定の時間幅である加熱期間Thと、一測定期間T中の残りの期間[T−Th]である冷却期間がそれぞれ記憶装置18中に設定されている。
駆動電流iは、加熱期間Th中は加熱電流Ihとして流れて発熱抵抗体素子1が加熱され、冷却期間[T−Th]中は、加熱電流Ihよりも小さな定電流である測定電流Imとして流れ、この間に、発熱抵抗体素子1は冷却される。
図4(b)は、水素センサ11(発熱抵抗体素子1)の端子間電圧(信号A)を示す波形102で、加熱電流Ihが流れる期間に、大きな電圧V1〜V2を示し、測定電流Imに切り替わると同時に、電圧は数分の一に低下し、発熱抵抗体素子1の冷却に伴い、固有カーブを描いて低下し、設定された電圧である基底値Vbに収斂する。電圧V1〜V2の変化及び固有カーブは、発熱抵抗体素子1の素材が、正の抵抗温度係数をもつ金属、例えばタングステンであるときの変化傾向を表している。端子間電圧は電圧測定装置によって測定された。
図4(c)は、タイミング制御装置14の信号Tmを示す波形103で、信号Aサンプリング装置15及び経過時間計測装置20における計測タイミングを決める信号として使われる。波形103の立ち上がりは、冷却に伴う固有カーブの計測において、経過時間の起点(t=0)であり、波形103の立ち下がりは、基底値Vbの取得タイミングである定期測定時刻(t=tm)に対応している。
図4(d)は、タイミング制御装置14の信号Tbを示す波形104で、Vbサンプリング装置16における計測タイミングを決める信号として使われる。信号Tbは、波形103の立ち下がり(t=tm)における必要最小限の時間において出力され、信号Aの波形102から、基底値Vbを取得するために利用される。
波形103の立ち下がり時刻tmは、冷却期間[T−Th]内の所定の時刻であり、定期測定時刻である。
図4(e)は、差電圧増幅装置(2)17の出力である差電圧(信号B)を示す波形105である。
前回周期において取得した基底値Vbは記憶されており、信号Tmの波形103がONの期間において、信号Aから、記憶されている基底値Vbを差し引き、増幅して得られる信号である。信号Bは、経過時間の起点(t=0)においてV0を示し、経過時間t=tcにおいて固有電圧Vcまで低下し、t=tmにおいては、ゼロに収斂する。
図4(f)は、信号レベル比較装置19の出力であるレベル判定信号(信号C)を示す波形106であって、信号Bが固有電圧Vcに対して、信号B≧Vcの条件を満たす期間のみにおいて、ハイレベルVHとなり、その時間(tc)が、経過時間計測装置20によって計測され、予め求めておいた時間(tc)と水素濃度との関係から、水素濃度の算出が行われる。水素濃度算出手順は後述する。
次に、図3の水素センサ11(発熱抵抗体素子1)が、同一の気体雰囲気(例えば空気)に晒されているとき、図4(b)、(e)の信号波形が、異なる環境温度(雰囲気の温度)θL,θH(θL<θH)において変化する状況を説明する。図4(b)、(e)の両信号波形の位相を合わせ、重ねて表示したときの端子間電圧を図5(a)に示し、差電圧を同図(b)に示す。ここで、発熱抵抗体素子1の端子間の電圧e1とe2(図3参照)を使って、図4(b)の信号Aを表すと、次のとおりとなる。
信号A=(e1−e2)×G1
ただし、G1は差電圧増幅装置(1)13のゲインとする。
次に、図5(b)の信号Bは、測定電流Imの期間に限り信号Aをサンプリングし、下記のとおり算出される。
環境温度θL のとき: 信号B=(信号A−VbL)×G
={(e1−e2)×G1−VbL}×G
環境温度θH のとき: 信号B=(信号A−VbH)×G
={(e1−e2)×G1−VbH}×G
ただし、Gは差電圧増幅装置(2)17のゲインとする。
次に、経過時間t=0においては、加熱電流Ihは測定電流Imに瞬時に切り替わる。この瞬間における発熱抵抗体素子1のピーク温度に対応する信号Aのピーク電圧を、加熱電流IhにおいてV2L及びV2H、測定電流ImにおいてV2mL及びV2mHとするならば、次の関係が成立している。
2H/V2mH=Ih/Im
2L/V2mL=Ih/Im
ここで、信号Aの測定電流Imにおける初期値V2mLは、環境温度θLが例えば20℃、発熱抵抗体素子1の素材がタングステンで、ピーク温度が150℃であったとするならば、基底値VbLに対して、およそ1.46倍になる。つまり、発熱抵抗体素子1における150℃から20℃への冷却過程は、信号Aの電圧に関しては、基底値のおよそ1.46倍から基底値に戻る過程である。
次に、経過時間t=0における信号Bの初期値(ピーク電圧)V0L及びV0Hは、次式で表される。
[初期値]
0L=(V2mL−VbL)×G={(Im/Ih)V2L−VbL}×G
0H=(V2mH−VbH)×G={(Im/Ih)V2H−VbH}×G
ここで、図5(b)に示すとおり、環境温度θHにおける信号Bの初期値V0Hは、より低い環境温度θLにおける信号Bの初期値V0Lよりも大きな値となる。このことは、発熱抵抗体素子1の素材が正の温度抵抗係数をもつことから、容易に理解できる。
次に、異なる環境温度θL,θH(θL<θH)における信号Bは、上記の初期値V0L及びV0Hを示した後、それぞれ固有カーブを描いて減衰し、t=tm付近では電圧ゼロに収斂する。この減衰過程のt=tcにおいて、2つのカーブは交差する。図5(b)に示す点Pcは、2つのカーブが交差する点であり、「クロス点」と呼ぶ。
測定した発熱抵抗体素子の電圧降下の値から、基底値を減じた値を濃度関連電圧値と呼ぶと、クロス点は、測定対象ガス濃度が同じ複数のカーブに属する濃度関連電圧値が、同じ時刻(固有電圧検出時刻)で同じ値になる点である。
より大きな初期値V0Hで始まり、上側にあった環境温度θHのカーブが、クロス点を過ぎると逆転して下側に入れ替わる。
つまり、より高温の環境温度θHにおけるカーブは、より大きな割合で減衰することを示唆している。さらに、発熱抵抗体素子1が、同一の気体雰囲気(例えば空気)に晒されている限りにおいて、任意の環境温度における固有カーブは、すべてこのクロス点を通る。言い換えれば、このクロス点Pcの時間(経過時間)及び電圧により決まる位置座標(tc,Vc)は、環境温度によらず一定値となっている。そして、図7(c)及び図8に関する後述の説明にあるとおり、クロス点Pcの時間座標tcは、発熱抵抗体素子1が晒されている測定対象気体の濃度のみに依存して変化する。また、このときにも、電圧座標v=Vcは一定値が保持されている。
以上に述べたとおり、クロス点の時間座標tcを計測することによって、予め求めておいた測定対象気体の濃度に対するクロス点の時間座標tcの値との関係を示す検量線を作成しておくと、その検量線から、測定対象気体の濃度を求めることができる。この測定手順を整理すると下記のとおりである。
1)発熱抵抗体素子1が、同一の気体雰囲気(例えば空気)に晒された状態で、異なる2つ(または2つ以上)の環境温度において、それぞれ固有カーブを計測し、刻々の位置座標(t,v)を、カーブの軌跡データとして記録する。
2)上記の固有カーブの軌跡データを、時間軸上で位相を合わせて重ね合わせたときに、クロス点が形成されることを確認し、そのクロス点の電圧座標Vcを記録する。
3)次に、任意の環境温度θにおいて、測定対象気体の濃度(x)を変えて、信号Bの電圧vを計測し、v=Vcに到るまでの経過時間(tc)を記録する。
4)上記3)で求めた濃度(x)と経過時間(tc)との関係から検量線を作成する。
5)発熱抵抗体素子1が、未知の濃度の測定対象気体に晒されているときに、信号Bの電圧vを計測し、v=Vcに到るまでの経過時間(tc)を決定する。
6)上記5)で決定した経過時間(tc)を、検量線に照らして測定対象気体の濃度(x)を求める。
7)上記の5)と6)を、測定期間(T)ごとに繰り返し行うことにより、連続した気体の濃度測定が行われる。
[フローチャートによる説明]
本発明に係る気体濃度測定方法の第1実施例を、図4(a)等のタイムチャート及び図4(b)の信号波形を使って説明すると、以上の通りとなるが、次に、測定動作を、図6のフローチャートを使って、S1〜S17の各ステップを追って説明する。
図6において、S1は通電直後に行われるシステムの初期化である。続くS2において、水素センサ11(発熱抵抗体素子1)に測定電流Imが流れるように設定され、S3において、所定の安定時間だけ測定電流Imの印加が保持される。所定の安定時間が過ぎると、S4において、信号Aの基底値Vbの初期値を取得し、そのデータを記憶装置18に書き込み、基底値Vbの初期化が完了する。その後は、S5〜S17の各ステップが、設定された測定期間Tで行われ、S5〜S17の各ステップが行われる測定期間Tが繰り返される。一測定期間で1回、S16において、基底値Vbが取得され、常に、最新のデータが前記記憶装置に更新記憶される。
次に、繰り返し設定された測定期間Tで繰り返し行われる測定動作の詳細につき、図6に示すS5〜S17の各ステップごとに説明する。
S5において、加熱電流Ih(Im<Ih)が設定され、S6に示す加熱時間Thの間保持される。この間に水素センサ11(発熱抵抗体素子1)は加熱される。次に、S7において、加熱電流Ihよりも小さな測定電流Imが設定され、S17まで保持される。測定電流Imが設定された時点を経過時間計測の起点(t=0)とし、S8の経過時間計測開始と同時に、S9の信号Aの取得が開始される。S7〜S17の間は、発熱抵抗体素子1の冷却期間であり、発熱抵抗体素子1が正の抵抗温度係数をもつ素材である限り、冷却に伴い、信号Aは固有カーブを描いて低下する。
信号Aの取得頻度は、水素濃度の測定に必要となる精度に照らし、適正な時間分解能として設定される。S10においては、最新の基底値Vbが記憶装置から読み出され、刻々取得した信号Aに対して、信号A−Vbが計算され、さらに、ゲインGを乗じて、信号B=(信号A−Vb)×Gの演算が刻々実行される。信号Bは、信号Aと同様に、発熱抵抗体素子1の冷却に伴い、固有カーブを描いて低下する。
このとき、信号Bが、予め設定された固有電圧Vcと一致するまで低下したかどうか、S11において判定し、信号B=Vcに到るまで、S9〜S11のステップを繰り返し実行する。信号B=Vcと判定されると、その時点における経過時間tcが、S12において確定され、S13では、経過時間の計測データ(tc)を使い、予め定められた計算式または記憶装置18から読み出したテーブルのデータに基づき、水素濃度を決定し、S14において水素濃度を更新する。
S14で水素濃度の更新を完了した後も、S15において、経過時間がt=tmになるまで、引き続き経過時間の計測を続け、S16において、t=tm時点の基底値Vbを取得し、記憶装置のVbデータを更新する。ここで更新されたVb値は、次の測定期間における信号Bの演算に使われる。最後に、S17における判断で、測定を終了しないときは、S5に戻り、水素濃度の測定が繰り返し実行される。
[第1実施例における構造の具体例]
本発明に係る水素センサを含む水素検知装置が、水素濃度のリアルタイム測定を目標とするときには、測定期間Tをできる限り短縮すべきである。測定期間Tの短縮には、水素センサの構造に係る多くの条件が係わってくるが、中でも、発熱抵抗体素子1の微細化による熱容量の最小化が最も効果的な手段と言える。以下には、本発明に係る第1実施例を、具体的な数値などを交えて、より詳細に説明する。
図2(b)〜(e)に示す水素センサの構造を、より詳しく説明すると、発熱抵抗体素子1は、線径9.7μmのタングステン線にニッケルの下地メッキを施し、厚さ0.15μmの金メッキで耐食性を付加した素材を用いている。この素材を外形100μm、巻数38のコイル状に成形した。
図2(b)及び図2(e)に示す例では、コイルの両端をジュメット線の電極に溶接または圧入によって固定する。図2(c)では、コイルの両端を直接、開口付センサ基板にハンダ付している。図2(b)〜(e)に示す水素センサは、形状または生産性に違いが生じることはあっても、同一のタングステンコイルを用いる限り、水素検知に係る機能と性能においては、ほぼ同等である。
尚、コイルの巻数に関しては、巻数を増すと、より小さな電流で発熱抵抗体素子1を加熱できるが、信号Bが固有電圧Vcに到るまでの経過時間は長くなる。コイルの自己保持も考慮すると、線径9.7μm、外形100μmに関しては、巻数30〜80の範囲が好適である。
次に、図3、図4(a)〜(f)、図5(a)、(b)に係る具体的な数値等について説明する。まず、発熱抵抗体素子1のコイル巻数38のとき、発熱抵抗体素子1の加熱時において、最終到達温度を環境温度からの温度上昇として、およそ130℃(環境温度20℃のとき150℃)とするとき、駆動条件は、加熱電流Ih=33mA、その持続時間Th=100ms、測定電流Im=5mA、その持続時間Tm=220ms、測定期間T=320msである。
加熱時(発熱抵抗体素子1の温度150℃)における発熱抵抗体素子1の抵抗値は、およそ11Ωであるので、消費電力は、0.033A×0.033A×11Ω=0.012W、1周期当たりの加熱時間の比Th/T=100ms/320ms=0.31を考慮して、1周期当たりの消費電力は、0.012W×0.31=0.0037W=3.7mWである。
一方、測定電流Im=5mAの印加時(発熱抵抗体素子1の温度を20℃とする)における発熱抵抗体素子1の抵抗値は、およそ7.5Ωであるので、消費電力は、0.005A×0.005A×7.5Ω=0.00019W、1周期当たりの加熱時間の比Tm/T=220ms/320ms=0.69を考慮して、1周期当たりの消費電力は、0.00019W×0.69=0.0001W=0.1mWである。
よって、1周期当たりに、発熱抵抗体素子1において消費される電力の総和は、3.7mW+0.1mW=3.8mWである。
以上のとおり、本発明に係る発熱抵抗体素子1は、酸化触媒を利用しないので、熱容量を最小化できる。このとき、空気に晒されているときのクロス点Pcの経過時間は約24msとなる。上記の例では、冷却時間に余裕を持たせて加熱と冷却の測定期間T=320msとしたが、この測定期間Tを200ms程度まで短縮しても、測定に支障はない。いずれの周期であっても、水素濃度の決定に要す、計測プロセスに係る遅れは、1秒以内とすることができる。
また、加熱時のピーク温度は、120℃程度の低温でも十分に機能する。さらに、温度補償用の比較素子などを必要としないため、発熱抵抗体素子1の消費電力は4mW以下となり、装置全体の消費電力低減に寄与できる。
上記の説明では、発熱抵抗体素子1の駆動電流を、加熱電流Ih=33mA、測定電流Im=5mAとしたときの加熱温度と消費電力を示した。測定電流Im=5mAのときは、この電流による発熱抵抗体素子1の温度上昇が1℃以内であるため、加熱電流Ih=33mAによる加熱時の温度差を最大限に利用できる。また、同時に、計測電流として、信号Bの電圧レベルを十分に大きく取ることができる点で、適切な電流値と言える。
しかし、別の理由で、測定電流Imを、より大きな値とすることもできる。例えば、加熱電流Ih=33mAは変えずに、測定電流ImをIm=17mAに設定すると、測定電流Imによる発熱抵抗体素子1の温度上昇が、約30℃となり、環境温度20℃において、発熱抵抗体素子1の基底温度は約50℃になる。この場合、加熱時の最大温度約150℃(ただし、環境温度20℃)との温度差は約100℃に縮小するので、信号Bの電圧は30%程度小さくなるが、異なる環境温度に対する冷却時の固有カーブは同様に形成され、測定機能に特段の支障は生じない。この場合の発熱抵抗体素子1の消費電力は、50℃における抵抗値を8.3Ωとして、1周期当たり電力の総和は、3.7mW+1.7mW=5.4mWであり、測定電流Im=5mAのときよりも1.6mW増加する。
また、温度差をより大きく取るためには、例えば、加熱電流IhをIh=36mAとし、加熱時の最大温度約180℃(ただし、環境温度20℃)とすればよい。以上に説明したように、測定電流Imによる発熱抵抗体素子1の温度上昇を、ある程度確保する目的は、発熱抵抗体素子1が、高湿度雰囲気に晒された場合の結露防止に効果的である。
以上のとおり、本発明に係る発熱抵抗体素子1の電流加熱と、その後の冷却過程におけるクロス点の経過時間計測(信号Bの電圧がクロス点の電圧座標Vcに到るまでの経過時間tcの計測)を利用する測定方法は、加熱電流Ihと測定電流Imにより生じる発熱抵抗体素子1の温度差に基づく測定方法であって、測定電流Im印加時の基底温度(加熱電流Ihに切り替わる直前の温度)が、必ずしも環境温度付近まで戻る必要はない。したがって、上述のように、低消費電力を追求するときは、測定電流Imを最小限度とすればよく、一方、結露防止が必要な場合は、基底温度を適切に保つための測定電流Imを設定すればよい。
以上に示した測定電流Imは一定値であるが、冷却過程の固有カーブとクロス点Pcの形成にとって、不利な影響を与えない限りにおいて、測定電流Imをパルスとすることもできる。即ち、測定電流Imを冷却期間継続して流すのではなく、冷却期間では、発熱抵抗体素子1に流す電流をゼロとし、測定電圧値を求めるときに、測定電流Imをパルス状に流して発熱抵抗体素子1の電圧降下を測定し、また、定期測定時刻でも、パルス状に流して電圧降下を測定する。
この場合は、測定の時間分解能が適切に保たれる程度の頻度(または間隔)で、計測に必要な測定電流Imを流せばよい。
この場合の測定電流Imはパルス状に印加されることとなるが、測定電流Imが、発熱抵抗体素子1の温度上昇を生じない程度に小さい場合(例えばIm=5mA以下)、あるいは、電流パルスの高さ(ピーク電流)、パルス幅及びパルスの周期(周波数)が一定で、さらに、測定電流Imのパルスの実効値(または平均電流)が、加熱電流Ihよりも十分に小さく、測定に必要な温度差が確保できる場合には、測定電流Imをパルスとすることもできる。
次に、以上に示した構造及び駆動条件の水素センサを含む水素検知装置において観測される信号波形及び、その波形から得られる水素濃度と経過時間tcとの関係について、図7(c)〜図9(a)を用いて説明する。
まず、図5(b)に示す信号Bの波形に相当する固有カーブのデータを図7(c)に示す。ただし、図7(c)は、下記表1に示す環境温度−40℃,20℃,80℃のそれぞれの温度において、水素濃度を0〜4%volの範囲において、1%volステップで変化させたときに得られる固有カーブ15本を、時間軸の位相を合わせ、重ねて描いたグラフであり、横軸は経過時間(ms)、縦軸は信号Bの相対値を示している。ここで、信号Bの相対値は、表1における条件「20℃、水素濃度0%vol」を基準とし、このときの信号Bの値を「1000」に規格化して得られる相対値である。
Figure 0005412006
図7(c)のグラフは、次の事象を指し示している。
ア)信号Bの相対値が示す固有カーブは、類似した低減傾向を示し、経過時間200msにおいては、いずれも、ゼロに収斂している。
イ)経過時間0msにおける信号Bの相対値は、表1に示す測定条件に応じて、およそ800〜1100の広い範囲に分布している。経過時間0msにおける信号Bの相対値vの分布は、本発明の測定方法によらない従来の測定方法において、発熱抵抗体素子が定常加熱された状態での出力分布に類似し、環境温度に強く依存するため、このような分布を示す出力信号から水素濃度を求めるためには、温度補償が必須となる。
ウ)経過時間50msの前後、広い時間領域においても、信号Bの相対値vは、表1に示す測定条件に応じた分布を呈しているので、このような時間領域における信号Bの相対値vから水素濃度を決定することはできない。
エ)信号Bの相対値v=477において、15本の固有カーブが5つの点に分かれて収斂している様子が読み取れる。これら5つのクロス点は、固有電圧v=Vc(477)の直線上に並んで現れている。
図7(c)のグラフから読み取れる上記の事象のうち、エ)に示したクロス点付近の様子を詳細に見るため、その付近の拡大図を図8に示す。
図8において、5つのクロス点にPc0〜Pc4の記号を付した。まず、Pc0は、表1の測定条件において、水素濃度0%volのとき、環境温度−40℃,20℃,80℃に対応する3本の固有カーブが交差する点であって、20℃の固有カーブを基準としたとき、Pc0の左側(経過時間が小さい領域)では、80℃のカーブが上、−40℃のカーブが下にあるが、Pc0の右側(経過時間が大きい領域)では、カーブの上下関係が入れ替わる。次に、Pc1は、水素濃度1%volのとき、環境温度−40℃,20℃,80℃に対応する3本のカーブが交差する点であって、Pc0の左側(経過時間が小さい領域)に位置している。
Pc1を通る3本のカーブにおける上下関係は、Pc0における関係と同じである。ここで、Pc0からPc1への経過時間のシフトは、水素1%volによる発熱抵抗体素子1の冷却効果に起因している。そして、Pc0及びPc1において、異なる環境温度に対応するカーブが、それぞれ1点に収斂することは、クロス点における経過時間(時間座標)が環境温度に依存しないことを明確に示している。水素濃度を2%vol,3%vol,4%volとしたときに現れるクロス点Pc2,Pc3,Pc4に関しても、各点に収斂するカーブの上下関係は、Pc0及びPc1における関係と同じであり、水素濃度に応じて、クロス点の時間座標が小さくなり、水素による冷却の効果への対応を示している。
もう一つ、特筆すべき事象は、クロス点の電圧座標が変化しないことである。電圧座標が環境温度及び水素濃度に依存しない一定値となることは、本発明に係る測定方法の最も重要な特徴である。本発明に係る測定方法は、このようなクロス点を示現させ、その時間座標の変化から水素濃度を求めるもので、環境温度に影響されない点で、類例の無い優れた水素の測定方法を提供できる。
次に、クロス点の時間座標から水素濃度を求める過程について、さらに説明を続ける。水素センサを使用するには、予め、検量線を作成しておく必要がある。例えば、図8に示す5つのクロス点Pc0〜Pc4における時間座標を読み取り、時間座標上での水素濃度とクロス点の経過時間tcとの関係を求めることにより、検量線を作成することができる。
図9(a)に示すグラフは、水素濃度0〜10%volに関して作成した水素センサの検量線の一例である。同じ仕様で作られた水素センサの集合に関しては、検量線を共通化することも可能であるが、製造過程で、特性にバラツキが生じたり、または、格別に高い精度が要求される場合は、水素センサ個々に検量線を作成することも必要となる。水素濃度の測定は、信号Bが、予め決めてあるクロス点の電圧座標(固有電圧Vc)と一致するまでの経過時間tcの計測により行われる。刻々取得した経過時間tcのデータから、検量線に照らして水素濃度を決定する。
以上の通り、本発明による測定方法には、温度補償のための複雑な計算処理が無いので、水素濃度の演算過程は簡素化され、温度補償の不完全性による測定精度の低下も生じない。
[第2実施例]
本発明に係る気体濃度測定方法の第1実施例に示した水素センサは、例えば、燃料電池自動車の水素構成部品周辺から漏れる水素の検知に用いられるが、水素以外の測定対象ガス、例えば、ヘリウム(He)、メタン(CH4)、二酸化炭素(CO2)などに対しても検出機能を有している。即ち、第1実施例に示した水素センサは、これら各種ガスに対するガスセンサとしても利用できる。図9(b)は、これら3種のガス及び水素のうち、いずれか1種を含む雰囲気に、第1実施例に示した水素センサを晒したときに得られる検量線を示している。これらのガスセンサに関する利用の具体例を下記に簡単に示す。
1)ヘリウム(He)検量線の利用例
ヘリウムを用いたリーク検知装置に当該ガスセンサを設置して利用する。リーク検知の対象となる容器等に、ヘリウムを充満させて、接合部など、容器等から外部へのリークが想定される箇所に、当該ガスセンサを接近させ、ヘリウム濃度を測定し、リーク箇所の検出に利用する。
2)メタン(CH4)検量線の利用例
バイオガス発生装置に当該ガスセンサを設置して利用する。食物残渣などを発酵させ、メタンガスを回収して発電などに利用するバイオガス発生装置において、回収したメタンガスの濃度を、該ガスセンサを用いて測定することによって、発酵が正常に推移しているか否か監視することができる。
3)二酸化炭素(CO2)検量線の利用例
焼鈍炉内から取り出したガスに、当該ガスセンサを晒すことにより、炉内の二酸化炭素濃度を監視して、製品(鉄)の品質保持に役立てることができる。尚、二酸化炭素(CO2)検量線の勾配は、水素などとは逆の勾配になっている。これは、二酸化炭素の熱伝導度が空気よりも小さいためで、濃度上昇に伴って、二酸化炭素による冷却効果が弱められることに起因している。
[クロス点形成に関する説明]
本発明に係る気体濃度の測定方法は、センサに使用している発熱抵抗体素子が冷却される過程で示す信号Bの固有カーブが、固有電圧Vcに到達するまでの経過時間を測定するもので、さらに、固有電圧Vcが、互いに異なる環境温度における2本以上の固有カーブを重ねて描いたときに、当該固有カーブが互いに交差する点、即ち、クロス点の電圧座標であることを特徴としている。
以下には、本発明の第1実施例である水素検知装置を例に取り、クロス点の形成に係る実測データに基づき、異なる環境温度、異なる水素濃度における固有カーブの初期値V0及びクロス点Pcの時間座標tcが、どのように変化するのか、近似式を交えて説明する。ただし、以下に示す近似式は、実測データを数式化し近似させた実験式であって、センサの熱現象をモデル化し、解析的に求めた理論式ではないことを明示しておく。
クロス点の形成の状況を説明するに当たり、まず、図7(c)及び図8に示した15本の固有カーブに係るデータを表2−1、表2−2、表2−3に示す。
Figure 0005412006
Figure 0005412006
Figure 0005412006
表2−1のV0(θ)は、水素濃度0%vol、環境温度θ(℃)における信号Bの初期値(t=0)であって、図7(c)に示す15本の固有カーブのうち、水素濃度0%volの3本の固有カーブと縦軸(t=0)との交点の電圧(相対値)に対応している。初期値の環境温度依存V0(θ)は、発熱抵抗体素子1(タングステン)の正の抵抗温度係数に起因するもので、表2−1のデータより、環境温度θの一次式である下記の(1)式で近似できる。
V0(θ)=αθ+β ・・・・(1)
θ:環境温度(℃)
α=1.373 ,β=972.5
次に、上記表2−2は、信号Bの初期値(t=0)の水素濃度依存を表すために、水素濃度0%volにおける初期値V0(0)に対する、水素濃度x%volにおける初期値V0(x)の比率、g(x)=V0(x)/V0(0)を示している。
ただし、このときの環境温度は、θ=20℃である。初期値V0(0)に対するV0(x)の比率g(x)が、水素濃度xに応じて小さくなる、「負の相関」を示すのは、発熱抵抗体素子1(タングステン)の加熱期間(図4(a)に示すThの期間)の最終段階における温度(ピーク温度)が、水素による冷却を受けて低下し、正の抵抗温度係数により、信号Bの初期値を小さくする方向に働くためである。上記表2−2における水素濃度xは、下記の(2)式に示すg(x)の二次式で近似できる。
x=ag(x)2+bg(x)+c ・・・・(2)
(2)式をg(x)について解くと、下記の(3)式となる。
g(x)=(1/2a)・[−b−{b2−4a(c−x)}1/2] ・・・・(3)
a=62.14, b=−150.4 , c=88.29
以上の(1)式及び(3)式は、固有カーブのt=0における初期値の環境温度依存及び水素濃度依存を近似的に表している。
次に、上記表2−3は、図7(c)及び図8に示す、15本の固有カーブが収斂する、5つのクロス点(Pc0〜Pc4)の座標を示している。クロス点の電圧は、Vc=477.2(一定)であって、この値を「固有電圧値」と呼ぶ。一方、時間座標tcは、水素濃度xに応じて小さくなる。この両者の関係は、図9(a)のグラフ(検量線)に示すとおりである。同じクロス点で交差する固有カーブは、環境温度が異なり、濃度が同じ雰囲気の測定結果である。
以上に、固有カーブの初期値とクロス点のデータ及びその近似式やグラフを示したが、冷却期間全体(t=0からt=tm)における固有カーブの曲率が、環境温度によって、どのように変化し、それが、クロス点の形成にどう係るのかについて以下に説明する。
まず、信号Bが、ある初期値に始まり、t=tcを経て、t=tmにおいて、信号B=0に到る過程は、図7(c)に示された各々の固有カーブが表しているとおりである。この冷却過程の固有カーブは、ニュートンの冷却の法則の解として得られる温度の減衰カーブに対応するものと見なすことができる。即ち、固有カーブは、発熱抵抗体素子1が、環境温度に対し、均一な正の温度差を与えられ、熱の供給が止められるt=0以後、電極ピン2への個体熱伝導と、環境温度にある測定対象気体(空気及び空気中の水素)の気体熱伝導との影響により冷却される過程の温度減衰に対応する信号Bの電圧カーブであって、冷却の駆動力は、発熱抵抗体素子1と環境温度との温度差である。
当該法則の方程式の解は、冷却過程の任意の時刻tにおける温度を与えるが、信号A及び信号Bの電圧は、発熱抵抗体素子1の温度と一次かつ正の相関をもつので、信号Bの固有カーブは、ニュートンの冷却の法則から導かれる解として、表すことができる。ここで、固有カーブの時間tに関する推移を表す関数をf(t)とし、その初期値を1に規格化すると、固有カーブの「形」は、下記の(4)式で近似できる。
f(t)=e-kt ・・・・(4)
k:冷却定数
t:経過時間(ms)
以上より、環境温度θ(例えば−40〜80℃)、水素濃度x(例えば0〜4%vol)、時刻t(ただし、t=0からt=tm)における、固有カーブ上の点P(t,v)の電圧v(相対値)及びその軌跡は、(1)式、(3)式及び(4)式より、下記の(5)式として近似的に記述できる。
v=V0(θ)・g(x)・f(t) ・・・・(5)
最後に、(5)式で記述される固有カーブの曲率変化と、クロス点形成の関連について説明する。まず、水素濃度x=0の空気に晒された状態、即ちg(0)=1.0000で、上記表2−1に示す通り、初期値V0には、環境温度依存がある。固有カーブを記述する(5)式において、固有カーブの「形」f(t)を決めているのは、冷却定数kである。環境温度の変化に対して、もし、kが普遍の値(一定値)を取るならば、(4)式も同様に普遍の「形」となり、(5)式の固有カーブには、V0(θ)が係数として乗じられるだけで、初期値が環境温度によりばらけるものの、各固有カーブは決して交わることなしに、v=0に向かって収斂する。
このことは、g(x)が1以外で、水素濃度依存があるときであっても、f(t)に、さらなる係数が乗じられるだけで、固有カーブが交わらないことに変わりはない。しかし、実際の固有カーブ15本は、水素濃度のくくりごとに、5つのクロス点を形成している。このことは、冷却定数kが、環境温度θと正の相関をもって変化することを示唆している。
例えば、上記表2−1において、θ=20℃のとき、初期値がV0(20)=1000.0であるのに対し、θ=80℃では、V0(80)=1082.4である。より高い初期値をもつ80℃の固有カーブが、途中で、20℃の固有カーブと交差するためには、80℃の固有カーブが、より大きく湾曲していなければならず、即ち、kの値がより大きな値でなければならない。実際のクロス点の座標が、上記表2−3のとおり与えられているので、これらのデータから、以下のとおり、水素濃度xに対応するk値を計算することができる。
まず、(4)式の両辺につき自然対数をとり、kにつき整理すると、
k=−(1/t)ln[f(t)] ・・・・(6)
となる。(5)式をf(t)につき整理して(6)式に代入すると、
k=(1/t)ln[(1/v)・V0(θ)・g(x)] ・・・・(7)
となる。ここで、上記表2−3に示す、各クロス点(Pc0〜Pc4)を通る固有カーブの冷却定数kを、k=kcとおき、クロス点(Pc0〜Pc4)の座標(tc,Vc)を(7)式に代入すると、
kc=(1/tc)ln[(1/Vc)・V0(θ)・g(x)] ・・・・(8)
となる。
上記表2−1〜表2−3に示すデータを用いて、環境温度−40〜80℃(3段階)、水素濃度0〜4%vol(5段階)に対する全15本の固有カーブに係る冷却定数kcを、(8)式により計算すると、下記表3−1に示す通りとなる。
Figure 0005412006
上記表3−1に示すkc値の環境温度依存を、よりわかりやすくするため、各水素濃度において、θ=20℃のkc値を1.000に規格化し、環境温度依存の指標として下記表3−2に示す。
Figure 0005412006
kcの規格化数値を水素濃度ごとに見ると、環境温度に対する正の相関を明確に読み取ることができる。このようなkcの環境温度依存が、固有カーブの曲率変化となって、クロス点を形成している。
[高濃度水素の測定について]
第1実施例〜第2実施例の各センサ(発熱抵抗体素子1)は、小型、低消費電力とするため、例えば、線径9.7μmのタングステン線にニッケルの下地メッキを施し、厚さ0.15μmの金メッキで耐食性を付加し、外形100μm、巻数38のコイル状に成形してある。駆動条件は、加熱電流Ih=33mA、その持続時間Th=100ms、測定電流Im=5mA、その持続時間Tm=220ms、測定期間T=320msである。
このセンサを、例えば第1実施例の水素濃度測定に適用する場合、水素の爆発下限濃度4%volを含む、0〜10%vol程度の濃度範囲に最適な設計例として示した。上記表2−2に示すとおり、g(x)=V0(x)/V0(0)は、水素の濃度x(%vol)に応じて小さくなり、水素濃度約30%volにおいて、g(x)=0.4772まで低下し、信号Bの初期値はクロス点の電圧Vc=477.2と同値になる(θ=20℃)。これ以上の水素濃度(例えば、0〜100%vol)を測定対象とする場合は、下記のとおり高濃度測定に適した構造とすればよい。
[高濃度水素測定の具体例]
水素濃度0〜100%volの測定に適した構造及び駆動条件の例を下記に示す。
発熱抵抗体素子は線径23μmのタングステン線で、外形156μm、巻数76のコイル状に成形した。駆動条件は、加熱電流Ih=70mA、その持続時間Th=200ms、測定電流Im=10mA、その持続時間Tm=800ms、測定期間T=1000msである。この条件で得られた水素濃度と経過時間tcとの関係を示す検量線を、図9(c)に示す。
図9(c)に示す特性の水素センサは、図9(a)に対応する水素センサよりも測定感度が低い代わりに、より高濃度の水素測定に適している。
タングステンの抵抗温度係数及び熱伝導率などの物理特性は、本発明に係る気体濃度測定方法におけるクロス点の示現をより確実とするので、結果として、環境温度依存を受けない利点を、より確実に提供できる。なお、タングステン以外の素材(金属、合金、半導体)であっても、クロス点の成立を確認できるものについては、同様の効果をもって、本発明の測定方法に利用することができる。従って、本発明に係る発熱抵抗体素子の材質はタングステンに限定されない。
以上に説明したとおり、発熱抵抗体素子1、周辺構造の設計及び駆動条件の設定により、クロス点のPc0の座標を、測定対象気体の濃度の範囲に合わせて、適切な位置に設定することができる。
以上の通り、本発明によれば、第1実施例〜第2実施例のいずれにおいても、各センサ(発熱抵抗体素子1)の冷却期間において、異なる環境温度に対する固有カーブが互いに交差し、クロス点が形成される限りにおいて、その時間計測によって、環境温度の影響を受けることなく、気体濃度を測定する方法を提供できる。
なお、発熱抵抗体素子の構造が、空芯コイル状または平面上の蛇行パタンであると、加熱電流Ihによる発熱を、より効率的に利用できる利点及び発熱抵抗体素子をより小型に構成できる利点を提供できる。なお、発熱抵抗体素子の構造は、空芯コイル状または平面上の蛇行パタンに限らず、クロス点の成立を確認できるものについては、同様の効果をもって、本発明の測定方法に利用することができる可能性が高く、本発明に係わる発熱抵抗体素子の構造は、空芯コイル状または平面上の蛇行パタンのみに限定されない。
また、本発明では、第一の温度と第二の温度との間の温度差は5℃以上にするとよく、10℃以上にすることが望ましい。温度差が小さいと、対応する二つの固有カーブが、冷却期間全域において互いに近接し、クロス点の座標特定が困難になる傾向にある。
さらに好適な温度差の設定例としては、本発明に係わる気体濃度測定方法の第1実施例及び第2実施例において、想定される使用環境温度の上限または上限付近を第一の温度(または第二の温度)とし、使用環境温度の下限または下限付近を第二の温度(または第一の温度)とし、さらに、使用環境温度範囲の中間付近の温度を、固有カーブを計測する追加温度条件としての第三の温度として追加するとよい。
以上のように、全使用環境温度域を網羅する3つの温度条件を設定して得られる、3つの固有カーブが交差する点としてクロス点座標を求めることによって、クロス点の座標を、より正確に決定することができるので、より精度よくガス濃度を測定できる。準備作業の手間は増えるものの、クロス点の座標を決めるために、温度設定条件を3点以上に増やし、より多くの固有カーブを用いて、交点としてのクロス点を決定することは、工程の確実性確保において、推奨されるべきである。
濃度関連電圧値は、固有電圧値の±0.1%以内の範囲の値のときに、一致したと判断することが望ましい。濃度関連電圧値の検出にアナログ−デジタル変換器を利用する場合は、電圧読取の分解能を12bitとすれば、十分な余裕をもって、上記の「±0.1%以内」を実現できるが、この分解能を有効に働かせるには、電圧検出の時間分解能を20μ秒程度に設定するとよい。
以上の計測条件で、本発明の第1実施例に示す水素センサを含む水素検知装置を実施した場合、上記の計測条件に係わる水素濃度の測定分解能は、およそ0.02%volが見込まれ、仮に、測定上限濃度を4.00%volとした場合は、測定上限濃度に対して1/200の測定分解能に相当する。
1…発熱抵抗体素子
1c…アーチ状発熱抵抗体素子
2…電極ピン
2b…センサ基板一体型電極
3a…角形センサ基板
3b…開口付センサ基板
3c…丸形センサ基板
4…リード線
5…防爆フィルタ
6…ガス拡散空隙
7…絶縁性充填剤
8…開口
11……水素センサ
18……記憶装置
30…水素検知装置
31…ケース
32…ケース蓋
33…電子回路部品
34…センサコネクタ
35…信号処理基板
36…コネクタハウジング
37…入出力コネクタ
38a…水素センサ(角形センサ基板付)
38b…水素センサ(開口付センサ基板付)
38c…水素センサ(丸形センサ基板付)

Claims (15)

  1. 発熱抵抗体素子を昇温させる定電流である加熱電流の値と、
    前記発熱抵抗体素子に前記加熱電流を流す期間である加熱期間の長さと、
    前記加熱期間の終了したときに開始し、前記発熱抵抗体素子を冷却する期間である冷却期間の長さと、
    前記加熱電流よりも小さい定電流である測定電流の値とを予め設定しておき、
    前記加熱期間と前記冷却期間とを連続して複数回数繰り返す測定期間を設け、
    前記測定期間中、前記発熱抵抗体素子を測定対象ガスの測定雰囲気に置き、
    前記測定期間の前記冷却期間中に前記測定電流が流れる前記発熱抵抗体素子に生じる電圧値を用いて、前記測定雰囲気に含有される前記測定対象ガスのガス濃度を求めるガス濃度測定方法であって、
    予め固有電圧値を設定しておき、
    前記冷却期間中の時刻は、各前記冷却期間の開始時を基準として表すものとして、予め前記冷却期間内に所定の時刻である定期測定時刻を設定しておき、
    当該ガス濃度測定方法は、前記発熱抵抗体素子に測定用発熱抵抗体素子を用い、
    前記発熱抵抗体素子を前記測定対象ガスの前記測定雰囲気に置き、
    前記測定期間の前記冷却期間内に、前記測定電流が流れる状態の前記発熱抵抗体素子の電圧降下を検出し、その大きさを示す測定電圧値から、設定された基底値を差し引いた電圧値を濃度関連電圧値とし、前記濃度関連電圧値と設定された前記固有電圧値とを比較して前記固有電圧値と一致する前記濃度関連電圧値を検出すると、一致が検出された前記濃度関連電圧値の電圧降下が発生した時刻を固有電圧検出時刻とする主測定工程と、
    前記定期測定時刻に、前記測定電流が流れた状態の前記発熱抵抗体素子に生じた電圧降下を検出し、その大きさを示す先駆電圧値を、他の前記先駆電圧値と区別して記憶し、記憶された一乃至複数個の前記先駆電圧値から予め定められた算出関係に従って前記基底値を算出して設定する副測定工程と、
    予め測定されている前記固有電圧検出時刻と測定対象のガスの濃度との関係である換算関係から、測定した前記固有電圧検出時刻を前記ガス濃度に変換し、
    前記測定雰囲気中の前記測定対象ガスの前記ガス濃度を求める算出工程と、
    を有し、
    前記固有電圧値には、同一の前記ガス濃度で前記固有電圧検出時刻を求めると、異なる温度でも同じ固有電圧検出時刻となる電圧値が設定され、
    前記主測定工程と、前記副測定工程と、前記算出工程とを行って、前記測定対象ガスのガス濃度を求めるガス濃度測定方法。
  2. 前記定期測定時刻に、前記測定電流が流れた状態の前記発熱抵抗体素子に生じた電圧降下を異なる前記冷却期間に於いて繰り返し検出し、その大きさを示す先駆電圧値をそれぞれ記憶し、記憶された一乃至複数個の前記先駆電圧値から、前記算出関係に従って前記基底値を算出して記憶し、
    前記冷却期間中の前記定期測定時刻よりも前の複数の準備測定時刻で、前記測定電流が流れる状態の前記発熱抵抗体素子の電圧降下を検出してその大きさを示す前記測定電圧値から、記憶された前記基底値を差し引いた電圧値を算出して前記濃度関連電圧値とすると共に、前記準備測定時刻と、その前記準備測定時刻で検出された前記電圧降下の大きさを示す前記先駆電圧値から求められた前記濃度関連電圧値との対応関係を記憶する準備工程を有し、
    前記測定用発熱抵抗体素子と同じか、又は、前記測定用発熱抵抗体素子と同じ材質、同じ太さ、同じ長さ、同じ形状で、同じ温度特性の他の発熱抵抗体素子のうちのいずれか一方の基準用発熱抵抗体素子を前記発熱抵抗体素子に用い、
    前記測定期間よりも前に、前記発熱抵抗体素子を、所定値のガス濃度で前記測定対象ガスを含有し、第一の温度になっている第一の温度雰囲気に置いて、前記加熱期間と前記冷却期間とを連続して複数回繰り返す第一の準備期間を設け、前記第一の準備期間中に前記準備工程を行い、
    前記第一の温度雰囲気と同じガス濃度で前記測定対象ガスを含有し、前記第一の温度とは異なる第二の温度になっている第二の温度雰囲気に前記発熱抵抗体素子を置いて、前記加熱期間と前記冷却期間とを連続して複数回繰り返す第二の準備期間を設け、前記第二の準備期間中に、前記準備工程を行い、
    前記第一の準備期間の前記準備工程で求めた前記対応関係と、前記第二の準備期間の前記準備工程で求めた前記対応関係とから、前記第一、第二の温度雰囲気中で、同じ前記準備測定時刻で同じ値となる前記濃度関連電圧値を求め、求めた前記濃度関連電圧値を前記固有電圧値として設定した後、前記主測定工程を行う請求項1記載のガス濃度測定方法。
  3. 前記測定用発熱抵抗体素子と、前記基準用発熱抵抗体素子とは、タングステンワイヤから成る線材を有する請求項2記載のガス濃度測定方法。
  4. 前記線材は、金で被覆された請求項記載のガス濃度測定方法。
  5. 前記測定用発熱抵抗体素子と、前記基準用発熱抵抗体素子とは、コイル状に巻き回された線材を有する請求項記載のガス濃度測定方法。
  6. 前記測定用発熱抵抗体素子と、前記基準用発熱抵抗体素子とは、蛇行状に配置された線材を有する請求項記載のガス濃度測定方法。
  7. 前記第一と前記第二の準備期間で前記固有電圧値を測定した後、前記主測定工程を行う前に、
    前記加熱期間と前記冷却期間とを連続して複数回数繰り返す関連作成期間を設け、
    前記基準用発熱抵抗体素子を前記発熱抵抗体素子に用いて、前記測定対象ガスの複数の濃度で前記主測定工程と前記副測定工程とを行い、
    複数の前記測定対象ガスの濃度での前記固有電圧検出時刻と前記測定対象ガス濃度とを対応させて、前記換算関係を求める請求項2乃至請求項6のいずれか1項記載のガス濃度測定方法。
  8. 前記第一、第二の温度雰囲気は、測定対象ガス濃度を同じ値にする請求項2乃至請求項7のいずれか1項記載のガス濃度測定方法。
  9. 前記算出関係は、新しく測定した前記先駆電圧値を前記基底値として記憶することである請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載のガス濃度測定方法。
  10. 前記算出関係は、新しく前記先駆電圧値を求めると、最新の前記先駆電圧値を含み、連続して記憶された所定個数の前記先駆電圧値の平均値を前記基底値として記憶することである請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載のガス濃度測定方法。
  11. 前記測定電流は、前記冷却期間の開始から終了まで流し続ける請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載のガス濃度測定方法。
  12. 前記冷却期間には、前記測定電流が停止される期間が含まれる請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載のガス濃度測定方法。
  13. 前記主測定工程では、前記電圧降下は同じ前記冷却期間内で繰り返し検出し、前記濃度関連電圧値と前記固有電圧値とは繰り返し比較する請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載のガス濃度測定方法。
  14. 前記測定電流は、前記電圧降下を検出するときに流し、検出後は停止させる請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載のガス濃度測定方法。
  15. 前記固有電圧値は、記憶装置に記憶させることで設定する請求項1乃至請求項14のいずれか1項記載のガス濃度測定方法。
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