JP5410703B2 - 酵母変異株の作製方法および酵母変異株 - Google Patents
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(2) また、本発明は、前記含硫化合物が、グルタチオンであることを特徴する前記(1)に記載の酵母変異株の作製方法を提供するものである。
(3) また、本発明は、突然変異処理により、DOA1遺伝子を欠損またはその開始コドン1371位から1417位までの47塩基を欠失させることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の酵母変異株の作製方法を提供するものである。
(4) また、本発明は、MET30遺伝子の開始コドンより1391番目の塩基gがaに変異した変異株中のDOA1遺伝子を欠損またはその開始コドン1371位から1417位までの47塩基を欠失させる、または、DOA1遺伝子を欠損またはその開始コドン1371位から1417位までの47塩基を欠失させた変異株について、さらにMET30遺伝子の開始コドンより1391番目の塩基gをaに変異させることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の酵母変異株の作製方法を提供するものである。
(5) また、本発明は、DOA1遺伝子が欠損又はその開始コドン1371位から1417位までの47塩基が欠失しており、かつMET30遺伝子の開始コドンより1391番目の塩基gがaに変異した、サッカロマイセス属菌の酵母変異株を提供するものである。
(6) また、本発明は、前記(5)に記載の酵母変異株の乾燥酵母菌体を提供するものである。
(7) また、本発明は、前記(1)〜(4)の何れかに記載の酵母変異株の作製方法によって作製された酵母変異株、または前記(5)に記載の酵母変異株を培養して、前記酵母株菌体内に含硫化合物を乾燥重量で0.8wt%以上に蓄積させることを特徴とする、含硫化合物高含有酵母の製造方法を提供するものである。
(8) また、本発明は、前記(5)に記載の酵母変異株の培養物を提供するものである。
(9) また、本発明は、前記(8)に記載の培養物、または前記(7)に記載の製造方法により製造された含硫化合物高含有酵母から酵母エキスを調製することを特徴とする、酵母エキスの製造方法を提供するものである。
(10) また、本発明は、前記(8)に記載の培養物、又は前記(9)に記載の製造方法により製造された酵母エキスを含有させることを特徴とする、含硫化合物含有飲食品の製造方法を提供するものである。
(11) また、本発明は、前記含硫化合物が、グルタチオンであることを特徴とする(10)に記載の含硫化合物含有飲食品の製造方法を提供するものである。
これらの中でも、可食性であることから、キャンディダ・トロピカリス(Candidatropicalis)、キャンディダ・リポリティカ(Candida lypolitica)、キャンディダ・ユーティリス(Candida utilis)、キャンディダ・サケ(Candida sake)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などが好ましく、より好ましくは汎用されているサッカロマイセス・セレビシエである。
また、他の遺伝子の変異株であってもよい。例えば、MET30等のS代謝に関連する遺伝子の変異株を用いることにより、より含硫化合物を高含有する酵母変異株が得られる。
なお、本発明においては、含硫有機化合物とは、S(硫黄)含有アミノ酸を有する化合物を意味する。具体的には、図1に示すサッカロマイセス・セレビシエのS代謝マップ中に記載されている、グルタチオン、システイン、ホモシステイン、メチオニン、アデノシルメチオニン、アデノシルホモシステイン、シスタチオニン、γグルタミルシステイン等が挙げられる。本発明においては、有用な生理活性が高い点から、グルタチオンであることが好ましい。
具体的には、上記酵母変異株を培養して、当該菌体内に含硫化合物を乾燥重量当たり0.8wt%以上、好ましくは1.0wt%以上、さらに好ましくは1.6wt%以上含有させることができる。
これら菌株の培地組成としては、炭素源として通常の微生物の培養に利用されるグルコース、蔗糖、酢酸、エタノール、糖蜜および亜硫酸パルプ廃液等からなる群より選ばれる1種または2種以上が用いられ、窒素源としては、尿素、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウムもしくはリン酸アンモニウム等の無機塩、およびコーンスティプリカー(CSL)、カゼイン、酵母エキスもしくはペプトン等の含窒素有機物等からなる群より選ばれる1種または2種以上が使用される。更に、リン酸成分、カリウム成分、マグネシウム成分を培地に添加してもよく、これらとしては、過リン酸石灰、リン安、塩化カリウム、水酸化カリウム、硫酸マグネシウム、塩酸マグネシウム等の通常の工業用原料でよい。その他、亜鉛、銅、マンガン、鉄イオン等の無機塩を使用してもよい。その他、ビタミン、核酸関連物質等を添加しても良い。
培養物から含硫化合物を含有する分画物を分画する方法としては、通常行われている方法であればいずれの方法でもよい。例えば、熱水抽出、菌体破砕による抽出等により得られた抽出物を、含硫化合物と親和性の高い物質を担持したアフィニティカラムを用いて分画することにより、含硫化合物を高濃度に含む画分に濃縮精製することが可能となる。
野生型サッカロマイセス・セレビジエYNN27株をYPD培地(グルコース2%、ポリペプトン2%、イーストエキス1%)を含む試験管で対数増殖期まで培養した。この菌体を回収し、常法に従いEMSを用いて変異処理を行った。変異処理は死滅率約70%になるような条件で行った。
YNN27株およびmet30点変異株であるABYC1592株を用いて、doa1Δ株の取得を行った。
また、反応溶液の組成は下記のとおりである。
ゲノムDNA 1μl
10×Colned Pfu Reaction
Buffer(STRATAGENE社) 5μl
2nM each dNTP 5μl
10pmol/μl DOA1−Fプライマー 1μl
10pmol/μl DOA1−Rプライマー 1μl
Pfu Turbo(STRATAGENE社) 0.25μl
超純水(MilliQ水) 36.75μl
Total 50μl
まず、YNN27株及びABYC1592株をYPD培地で培養し、その対数増殖期に集菌した。滅菌水で洗浄した後、10mMトリス、1mM EDTA、0.1M酢酸リチウム溶液に懸濁し、コンピテントセルとした。PCR産物0.1μg、キャリヤーDNA100μg、調製したコンピテントセル100μlを含むチューブに40%ポリエチレングリコール(PEG)、10mMトリス、1mM EDTA、0.1M酢酸リチウム溶液を400μl添加し、30℃で30分間保持した。さらに40μlジメチルスルホキシド(DMSO)を添加した後、42℃で15分間保持した。この菌液を15000rpm 5分間遠心し集菌し、YPD培地に懸濁し、30℃で18時間培養した。この培養液を、G418を500μg/mlの濃度で含有するYPD培地に塗布しG418耐性株を取得した。
親株、ABYC1569株及びABYC1592株をSD培地(Yeast nitrogen base without amino acid 0.67%、グルコース2%)で培養し、培養開始16時間後のグルタチオン蓄積量を測定した。変異株におけるグルタチン含有量の測定結果を表1に示す。
変異株における各種MET遺伝子のmRNA量の網羅的解析を、DNAマイクロアレイを用いて実施した。測定は親株であるYNN27株とmet30変異株(ABYC1592株)、実施例2で作製したYNN27株のdoa1Δ株、及びABYC1592株のdoa1Δ株間で行った。
doa1遺伝子欠失株では、MET16やMET5など、親株と比較して発現量が増加している遺伝子が存在した。一方、met30、doa1Δ二重変異株では、met30点変異株で認められたS代謝関連遺伝子群の発現量の増加が、さらに亢進していた。
親株、met30点変異株(ABYC1592)および実施例2で取得したDOA1遺伝子破壊株をSD培地で16時間培養した。実施例4と同様の方法により全RNAを抽出し、得られた全RNA100ngを用いて定量PCR法により定量を行った。定量PCRを実施した遺伝子は、SUL2、MET5、MET16、MET25、CYS3、GSH1およびインターナルマーカーとしてACT1である。定量PCR法で増幅させた領域と同一の領域をpCR2.1−TOPOベクターに挿入したプラスミドを作製し、モル濃度を計算し、スタンダードとして用いた。SUL2、MET5、MET16、MET25、CYS3、GSH1およびACT1の増幅用プライマーとして、表4に示す合成DNAを用いた。
2xSYBR Green PCR Master Mix 25μl
(Applied Biosystems社製)
MultiScribe Reverse 0.25μl
Transcriptase(Applied Biosystems社製)
RNase Inhibitor 1μl
(Applied Biosystems社製)
Forward primer(10pmol/μl) 1μl
Reverse primer(10pmol/μl) 1μl
Template 100ng
Total 50μl
Claims (11)
- サッカロマイセス属菌において、DOA1遺伝子を欠損またはその開始コドン1371位から1417位までの47塩基を欠失させることにより、酵母変異株菌体内の含硫化合物含有量を高めることを特徴とする酵母変異株の作製方法。
- 前記含硫化合物が、グルタチオンであることを特徴する請求項1記載の酵母変異株の作製方法。
- 突然変異処理により、DOA1遺伝子を欠損またはその開始コドン1371位から1417位までの47塩基を欠失させることを特徴とする請求項1または2に記載の酵母変異株の作製方法。
- MET30遺伝子の開始コドンより1391番目の塩基gがaに変異した変異株中のDOA1遺伝子を欠損またはその開始コドン1371位から1417位までの47塩基を欠失させる、または、
DOA1遺伝子を欠損またはその開始コドン1371位から1417位までの47塩基を欠失させた変異株について、さらにMET30遺伝子の開始コドンより1391番目の塩基gをaに変異させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の酵母変異株の作製方法。 - DOA1遺伝子が欠損又はその開始コドン1371位から1417位までの47塩基が欠失しており、かつMET30遺伝子の開始コドンより1391番目の塩基gがaに変異した、サッカロマイセス属菌の酵母変異株。
- 請求項5に記載の酵母変異株の乾燥酵母菌体。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の酵母変異株の作製方法によって作製された酵母変異株、または請求項5に記載の酵母変異株を培養して、前記酵母株菌体内に含硫化合物を乾燥重量で0.8wt%以上に蓄積させることを特徴とする、含硫化合物高含有酵母の製造方法。
- 請求項5に記載の酵母変異株の培養物。
- 請求項8に記載の培養物、または請求項7に記載の製造方法により製造された含硫化合物高含有酵母から酵母エキスを調製することを特徴とする、酵母エキスの製造方法。
- 請求項8に記載の培養物、又は請求項9に記載の製造方法により製造された酵母エキスを含有させることを特徴とする、含硫化合物含有飲食品の製造方法。
- 前記含硫化合物が、グルタチオンであることを特徴とする請求項10記載の含硫化合物含有飲食品の製造方法。
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