説明のために、さまざまな実施形態を図面に示すが、これは決して本発明の範囲を限定するものであると解釈すべきではない。さらに、開示された異なる実施形態のさまざまな特徴は、さらなる実施形態を得るために組み合わせることができる。
さまざまな医薬品およびその他の治療用流体が、さまざまな形状およびサイズの医療ビン(ガラスビン)内に貯蔵され配給されている。たいてい、こうしたビンは、汚染すなわち貯蔵流体の漏れを防止するために気密密閉される。密封ビンの内部と、流体が後にその中に移される特定の雰囲気圧力との間の圧力差は、しばしば、さまざまな問題を引き起こす。
たとえば、ビンの隔壁を経てビンアダプターの穿孔部材を導入することによって、ビン内の圧力が急激に増大することがある。この圧力増大によって、隔壁と穿孔部材とのインターフェースにおいて、あるいはアダプターと医療用器具(たとえば注射器)との取り付けインターフェースにおいて、流体がビンから漏れ出すことがある。空の注射器あるいは他の医療用器具を用いて、密封されたビンから流体を正確な量だけ取り出すことは難しいことがあるが、これは、注射器のプランジャが解放されると流体は自然とビン内に引き戻されることがあるからである。さらに注射器をビンから分離させたとき、圧力差によって、しばしば、少量の液体が、注射器あるいはビンから噴き出すことがある。さらに、多くの場合には、流体がビンから取り出されたとき、気泡が注射器内に取り込まれる。ビンから取り外した後、注射器の気泡を取り除くために、医師は、多くの場合、注射器を振り、全ての気泡を注射器の開口付近に集め、そして気泡を押し出している。これを行なう際、たいていは少量の液体が注射器から放出される。医師は、一般に、気泡および流体を放出する前に、注射器をビンに再結合する余分なステップは実施しない。ある場合には、これは法令および規則で禁止されていることさえある。そうした法令および規則はまた、ある場合には、ビンの外部のある場所で、超過流体を放出することを強いることもある。さらに、余分な空気または流体をビン内に再充填しようとしても、圧力差によって、時々、取り出された流体の量が不正確なものとなることがある。
圧力差に起因するこうした問題を解消するために、医師は、よく、自身がビンから取り出そうとする流体量に対応する正確な量の周囲の空気で空の注射器を事前に満たす。医師は続いて、ビンに孔をあけ、そしてこの周囲の空気をビン内に放出し、一時的にビン内の圧力を増大させる。その後、所望の量の流体が取り出されたとき、注射器の内部とビンの内部との間の圧力差は、たいてい、ほぼ平衡状態となる。その後、ビンと注射器との間に明らかな圧力差を生じることなく気泡を除去するために注射器内の流体体積のわずかな調整が行なわれることがある。だが、このアプローチの重大な欠点は、周囲の、特に病院環境内の空気は、さまざまな浮遊ウイルス、バクテリア、ダスト、胞子、カビ、およびその他の非衛生で有害な飛散物を含有していることがあるというものである。注射器内に事前に充填された周囲空気は、こうした有害な物体を一つ以上含んでいることがあり、これはその後、ビン内の医薬品あるいはその他の治療用流体と混ざり合うかもしれない。もし、この汚染された流体が患者の血流に直に注入された場合には、特に危険である。なぜなら、それは、浮遊病原菌に対する、数多くの人体の自然な防御力を無効にするからである。さらに、医薬品およびその他の治療用流体を必要とする患者は、抗感染能力(infection-fighting capacity)の低下に苦しんでいることが多い。
腫瘍学およびあるその他の薬剤の場合には、上記問題の全ては特に深刻なものとなることがある。そうした薬剤は、患者の血流内に注入された場合には役立つが、吸入あるいは接触した場合には極度に有害である。したがって、そうした薬剤は、圧力差によってビンから予測不可能な形で噴出し得る場合には危険なものとなる。さらに、こうした薬剤はたいてい揮発性を有しており、周囲の空気に触れた際に瞬時にエアロゾル化することがある。したがって、注射器の気泡あるいは過剰な流体を取り除くために、そうした薬剤をわずかな量だけ(まして制御された方式で)放出することは、特に、毎日そうした行為を何度も繰り返すであろう医療関係者にとっては、概して、実行可能な選択肢ではない。この結果、上記問題を軽減するビンアダプターが求められている。
あるデバイスは、流体がそこから取り出されるとき、ビン内に空気が引き込まれることを可能とするようになっている。そうしたデバイスは一般にフィルターを使用する。フィルターは、空気がビン内に入るとき、空気から多くの汚染物質を取り除くが、フィルターは完全ではない。ある場合には、フィルターは、Gortex(登録商標)あるいはTeflon(登録商標)からなる疎水性膜である。多くの問題は、そうしたアセンブリに起因している。たとえば、フィルターの疎水特性は、ユーザーが超過流体をビンに戻すことを妨げる。たとえば、ある場合には、ユーザーがビンから流体を取り出すとき、空気はチャネルを経てビン内に流入できる。だが、ユーザーがビン内に流体を押し戻す場合、流体はまた、それがフィルターと接触するまでチャネルを経て押しやられる。フィルターは流体に対するバリアであるので、ビン内の圧力は、医師がビン内に流体を押しやり続けるとき増大するであろう。上述したように、そうした圧力増大は、ある場合には法令によって禁止されており、そしていずれにしても、それは、ユーザーが正確な投薬量を得ることを難しくすることがある。さらに、圧力差によって、薄くデリケートな膜は容易に損傷し得るが、これによってフィルターにはときどき漏れが生じ、有害な液体が流出することがある。
さらに、フィルターにGortex(登録商標)あるいはTeflon(登録商標)膜を用いることは、一般に、酸化エチレン(EtO)殺菌を必要とするが、これは医療用デバイス製造業者にとっては費用が掛かり、しかも不便なことである。好ましい代替殺菌方法(たとえばガンマ線殺菌および電子ビーム殺菌)は、一般に、そうしたフィルターを劣化させる。ある場合には、後者の殺菌方式はTeflon(登録商標)膜を劣化させ、フィルターの漏れが起きやすくなる。
さらに、いくつかの既存のデバイスはビンと接続するのが困難であるか、あるいは複雑であり、しかもそうした接続を実現するために多数の特殊な器具を必要とすることがある。複雑な処置は、毎日何度もこの処置を繰り返す医師にとって過度に過酷なものとなり得る。さらに、そうした複雑なデバイスのうちのいくつかは、かさばり、しかも不安定である。ビンにそうしたデバイスを接続することによって、一般に、トップヘビーな不安定なシステムが形成されるが、これは、ひっくり返りやすく、場合によっては中味がこぼれてしまうことがある。
本明細書には、上記問題の多くを軽減するかあるいは解消する、さまざまなビンアダプターの実施形態を開示する。
図1は容器10(たとえば医薬ビン)の概略図であるが、これはエキストラクター20およびレギュレーター30と接続可能である。ある構造では、レギュレーター30は、容器10内の著しい圧力変化を伴わずに、エキストラクター20を介して、容器10の内容物の一部または全ての取り出しを可能とする。
概して、容器10は、無菌環境内で、容器10の内容物を保存するために、気密密閉されている。容器10は、密閉時に、真空排気されるかあるいは加圧されてもよい。ある場合には、容器10は、部分的にあるいは完全に液体(たとえば薬品あるいはその他の医療用流体)で満たされる。この場合、一つ以上のガスを容器10内に閉じ込めることもできる。ここでは医療分野に関する実施形態および実例を提示するが、本発明は医療分野にのみ限定されるものではなく、ある実施形態はそれ以外のさまざまな分野で利用できる。
エキストラクター20は、一般に、容器10の内容物にアクセスすることを可能とし、これによって内容物を取り出したり、あるいは追加したりすることが可能となる。ある構造にあっては、エキストラクター20は容器10の内部と外部との間に開口を備える。エキストラクター20はさらに容器10の内部と外部との間に通路を備えることができる。ある形態では、エキストラクター20の通路は、選択的に開いたり閉じたりできる。ある形態では、エキストラクター20は容器10の表面を通って延在する管路を備える。エキストラクター20は、その密閉に先立って容器10と一体に形成されても、あるいは容器10を密閉した後に容器10へ導入されてもよい。
ある形態では、矢印21で示すように、エキストラクター20は容器10と流体連通状態である。こうした形態のうちのいくつかにおいては、容器10内の圧力が周囲環境の圧力から変動したときに、容器10へのエキストラクター20の導入はエキストラクター20を経た移動を引き起こす。たとえば、ある構造では、容器10を取り囲む環境の圧力が容器10内の圧力を上回るが、これによって、容器10内へのエキストラクター20の挿入時に、環境からの周囲の空気がエキストラクター20を経て流入することがある。その他の構造では、容器10内の圧力が周囲環境の圧力を上回り、これによって容器10内の内容物はエキストラクター20を経て流出させられる。
ある形態では、エキストラクター20は交換デバイス40と接続される。ある場合には、エキストラクター20および交換デバイス40は別体である。ある場合には、エキストラクター20および交換デバイス40は一体に形成される。交換デバイス40はエキストラクター20を経て容器10からの流体および/またはガスを受けるよう、エキストラクター20を経て容器10に流体および/またはガスを導入するよう、あるいはこの二つのある組み合わせを行なうよう構成される。ある構造では、交換デバイス40は、矢印24で示すように、エキストラクター20と流体連通状態である。ある形態では、交換デバイス40は、注射器のような医療用器具を具備してなる。
ある場合には、交換デバイス40は、エキストラクター20を経て容器10の内容物の一部または全部を取り出すよう構成される。ある構造では、交換デバイス40は、容器10の内部と周囲環境との間の圧力差(あるいはその欠如)に関係なく内容物を取り出すことができる。たとえば、容器10の外部の圧力が容器10内の圧力を上回る場合、注射器を具備してなる交換デバイス40は、注射器からプランジャを引き出すために十分な力が加えられたならば、容器10の内容物を取り出すことができる。交換デバイス40は、同様に、容器10の内部と周囲環境との間の圧力差に関係なく、容器10に対して流体および/またはガスを導入できる。
ある形態では、レギュレーター30は容器10に接続される。レギュレーター30は、一般に、容器10内の圧力を調整する。本明細書で用いているように、「調整」との用語、あるいはその派生語は、その通常の意味で使用される適用範囲の広い用語であり、そしてそれは、特に断らない限り、変化をもたらそうとする、活動的、積極的または肯定的な動作、あるいは受動的、反動的、応答的、調整的または補償的動作を含む。ある場合には、レギュレーター30は、実質的に、容器10の内部と周囲環境との間の圧力差(あるいは平衡)を維持する。本明細書で用いているように、「維持」との用語、あるいはその派生語は、その通常の意味で使用される適用範囲の広い用語であり、そしてそれは、状態が最終的に変化するにしてもしないにしても、ある期間にわたって、当初の状態を保持しようとする性向を含む。ある場合には、レギュレーター30は容器10内で実質的に一定の圧力を維持する。ある場合には、容器10内の圧力は、約1psi以下だけ、約2psi以下だけ、約3psi以下だけ、約4psi以下だけ、あるいは約5psi以下だけ変化する。さらなる場合には、レギュレーター30は容器10の内容物に加えられる圧力を均一にする。本明細書で用いているように、「均一」との用語、あるいはその派生語は、その通常の意味で使用される適用範囲の広い用語であり、そしてそれは、均等化が実現されるにしてもされないにしても、均等化に向かう動きを含む。その他の形態では、レギュレーター30は、容器10の内部と、その他の環境(たとえば容器10を取り囲む環境または交換デバイス40内の環境)との間の圧力差の均等化を可能とするか、あるいはそれを促進するために、容器10と接続される。ある構造では、単一のデバイスがレギュレーター30およびエキストラクター40を具備してなり、一方、他の構成は、レギュレーター30およびエキストラクター20は別体ユニットである。
レギュレーター30は、一般に、矢印31で示すように容器10と、そして別の矢印35で示すようにリザーバ50と連通状態である。ある形態では、リザーバ50は容器10を取り囲む環境の少なくとも一部を具備してなる。他の形態では、リザーバ50は、容器、キャニスター、バッグ、あるいはレギュレーター30専用のその他のホルダーからなる。本明細書で用いているように、「バッグ」との用語、あるいはその派生語は、その通常の意味で使用される適用範囲の広い用語であり、そしてそれは、限定ではなく、フレキシブルで、しなやかで、曲げやすく、弾力性を有し、かつ/または膨張可能な素材を具備してなる構造体を含む、サック、バルーン、ブラダー、レセプタクル、レシーバー、エンクロージャ、ダイアフラム、あるいは膨張および/または収縮可能な膜を含む。ある実施形態では、リザーバ50はガスおよび/または液体を含む。
ある実施形態では、レギュレーター30は容器10とリザーバ50との間の流体連通状態をもたらす。そうした実施形態のうちのいくつかにおいては、容器10の液状内容物を希釈しないように、リザーバ50は主にガスを含むことが好ましい。ある構造では、レギュレーター30は、容器10内に流入するガスまたは液体を浄化するためのフィルターを含み、これによって容器10の内容物を汚染するリスクが低減される。ある構造では、フィルターは疎水性を有し、これによって空気は容器10内に流入できるが、流体はそこから流出できないようになっている。
他の実施形態では、レギュレーター30は、容器10とリザーバ50との間の流体連通状態を実現する。そうした実施形態のうちのいくつかにおいては、レギュレーター30は容器10とリザーバ50との間のインターフェースとして機能する。ある構造では、レギュレーター30は、容器10へのガスおよび/または液体の流入、あるいは容器10からのガスおよび/または液体の流出に対応するための実質的に不透過性のバッグを具備してなる。
図2に大まかに示すように、ある実施形態では、エキストラクター20あるいはその一部は容器10内に配置される。上述したように、エキストラクター20は容器10と一体に形成されても、あるいはそれとは別体であってもよい。ある実施形態では、レギュレーター30あるいはその一部は容器10内に配置される。そうした実施形態では、レギュレーター30は、その密閉前に容器10内に配置でき、あるいはその後に容器10に対して導入できる。ある構造では、レギュレーター30は容器10と一体に形成される。完全に容器10内の、部分的に容器10内の、あるいは容器10外のエキストラクター20(あるいはその一部)および/または完全に容器10内の、部分的に容器10内の、あるいは容器10外のレギュレーター30(あるいはその一部)の組み合わせを有することも可能である。
ある実施形態では、エキストラクター20は容器10と流体連通状態である。さらなる実施形態では、エキストラクター20は、矢印24で示すように、交換デバイス40と流体連通状態である。
レギュレーター30は容器10と流体連通状態であっても非流体連通状態であってもよい。ある実施形態では、レギュレーター30は完全に容器10内に置かれる。そうした実施形態のうちのいくつかにおいては、レギュレーター30は、容器10内で実質的に一定の圧力を維持するために、容器10内で膨張あるいは収縮するよう構成された閉じたバッグを備える。別な実施形態では、レギュレーター30は、矢印35で示すように、リザーバ50と(流体あるいは非流体)連通状態である。
図3には、ビン110と、エキストラクター120と、レギュレーター130とを具備してなるシステム100の実施形態を示す。ビン110は本体部112とキャップ114とを具備してなる。図示する実施形態では、ビン110は、医薬流体116と比較的少量の滅菌空気118とを含んでいる。ある構造では、キャップ114が下方を向く(すなわちキャップ114が流体と床との間にある)ようにビン110が配置されたとき、ビン110から流体116が取り出される。エキストラクター120は、一端において交換デバイス140に対して流体的に連結された管路122を具備してなるが、この交換デバイス140は、プランジャ144を備えた標準的な注射器142を具備してなる。管路122はキャップ114を貫通して、流体116内へと延在している。レギュレーター130はバッグ132および管路134を具備してなる。バッグ132および管路134はリザーバ150と流体連通状態であるが、これは、システム100および交換デバイス140の両方を取り囲む周囲の空気からなる。バッグ132は実質的に不透過性素材からなり、ビン110内の流体116および空気118は、バッグ132の内部に存在する周囲の空気と接触することはない。
図示する実施形態では、ビン110の外部領域は大気圧である。したがって、注射器プランジャ144に作用する圧力はバッグ132の内部に作用する圧力と等しく、システム100は平衡状態となっている。プランジャ144は、注射器142を流体116で満たすために引き出すことができる。プランジャ144を引き出すことで、ビン110の有効容積が増大し、これによってビン110内の圧力が低下する。ビン110内の圧力の減少は、バッグ132の内部と外部との間の圧力差を増大させ、これによってバッグ132は膨張させられ、そして注射器142内に流体が押しやられる。実際には、バッグ132はビン110内で、ビン110から取り出された流体116の体積を埋め合わせる新たな体積まで膨張する。ゆえに、プランジャ144をビン110から引き出すのをやめると、本システムは再び平衡状態となる。有利なことに、本システム100はほぼ平衡状態で作動し、流体116の取り出しを容易なものとしている。さらに、システム100の平衡によって、プランジャ114は引き出されたポジションに留まり、これによってビン110から流体116を正確な量だけ取り出すことが可能となっている。
ある構造では、バッグ132の増大した体積は、ビン110から取り出された液体の量と概ね等しい。ある構造では、バッグ132の体積は、大量の流体がビン110から取り出されるとき、より遅い速度で増大し、これによって、ビン110から取り出された流体の体積はバッグ132の増大した体積よりも大きくなる。
ある構造では、バッグ132は静止体積を超えて膨張するために伸びることができる。ある場合には、この伸びは、バッグ132の内部とビン110の内部との間の圧力差を効果的に生じる回復力を生じる。たとえば、バッグ132が引き伸ばされるとき、ビン110内に僅かな真空が形成されることがある。
ある場合には、望むよりも多くの流体116が、最初、不注意で取り出されるかもしれない。別の場合には、ビン110内の空気118の一部が、最初に取り出されるかもしれず、これは注射器142内に望ましくない気泡を生じる。それゆえ、取り出された流体116の一部および/または空気118をビン110内に再注入することが望ましいであろう。プランジャ144を押し下げることによってビン110内の圧力が増大し、そしてバッグ132が収縮する。プランジャ144に対して手で力を加えるのをやめたとき、プランジャは、バッグ132の内部がそうであるように、再び大気圧のみにさらされる。したがって、システム100は再び平衡状態となる。流体116および/または空気118がビン110内に注入される際にシステム100はほぼ平衡状態で作動するので、ビン110内の圧力は、流体116および/または空気118がビン110へ戻されるとき、著しく増大することはない。
図4はビン210との接続のためのビンアダプター200の実施形態を示す。ビン210は、医薬流体を貯蔵するための、いかなる適当な容器であってもよい。ある場合には、ビン210は、従来公知のさまざまな規格医療用ビンのいずれか(たとえばイリノイ州Abbott ParkのAbbott Laboratories製のもの)である。好ましくは、ビン210は気密密閉可能である。ある形態では、ビン210は本体部212およびキャップ214を具備してなる。本体部212は好ましくは、剛性のある、実質的に不透過性の素材、たとえばプラスチックまたはガラスからなる。ある実施形態では、キャップ214は隔壁216およびケーシング218を具備してなる。隔壁216は、物体によって孔があけられたとき、それが、この物体の周りに実質的に気密なシールを形成するように変形できる弾性素材から構成できる。たとえば、ある場合には、隔壁216はシリコーンゴムまたはブチルゴムからからなる。ケーシング218は、ビン210を密閉する好適な、いかなる素材から構成されてもよい。ある場合には、ケーシング218は金属からなるが、これは、隔壁216とビン210との間に実質的に気密なシールを形成するために、隔壁216および本体部212の近位部分の周りで、かしめられている。ある実施形態では、キャップ214は、本体部212の上端部から外側に延在するリッジ219を備えている。
ある実施形態では、アダプター200は穿孔部材220を具備してなる。ある形態では、穿孔部材220はシース222を具備してなる。シース222は、図示するように、実質的に円柱形であってもよく、あるいはその他の幾何学的形状を呈していてもよい。ある例では、シース222は遠位端部223に向かってテーパー状である。ある構造では、遠位端部223は、穿孔部材220の軸線に対して中心に置かれるか、あるいはそこからオフセットされてもよい尖端を備える。ある実施形態では、遠位端部223は、シース222の一方側から逆側に向かって屈曲する。シース222は、隔壁216を通って挿入するのに適した、たとえば金属またはプラスチックなどの硬質な素材から構成できる。ある実施形態では、シース222はポリカーボネート樹脂から構成される。
ある形態では、穿孔部材220はチップ224を具備してなる。チップ224は、さまざまな形状および形態を有することができる。ある場合には、チップ224は、隔壁216を経てシース222を挿入するのを容易にするよう構成される。図示するように、チップ222、あるいはその一部は実質的に円錐形であってもよく、これは穿孔部材220の軸心においてあるいはその付近で尖端に至る。ある形態では、チップ224は穿孔部材220の一方側から他方に向かって屈曲している。ある場合には、チップ224はシース222から分離可能である。別の場合には、チップ224およびシース222は永久結合され、そして一体に形成されてもよい。さまざまな実施形態では、チップ224はアクリル樹脂、ABS樹脂、あるいはポリカーボネート樹脂から構成される。
ある実施形態では、アダプター200はキャップコネクター230を具備してなる。図示するように、キャップコネクター230は実質的にキャップ214の形状に対応していてもよい。ある形態では、キャップコネクター230は、たとえば金属またはプラスチックなどの硬質素材から形成されるが、これは軽微な変形の後、実質的に、その形状を維持する。ある実施形態では、キャップコネクター230はポリカーボネート樹脂から構成される。ある構造において、キャップコネクター230はスリーブ235を具備してなるが、これはリッジ219に対して嵌合し、そしてキャップ214と気密係合するよう構成される。以下でさらに詳しく説明するように、ある場合には、キャップコネクター230は、キャップ214と実質的に気密なシールを形成するための素材を、スリーブ235の内面周りに備える。ある実施形態では、キャップコネクター230は弾性素材を具備してなるが、これはキャップ214の周りにシールを形成するためにリッジ219の上で引き伸ばされる。ある実施形態では、キャップコネクター230は、米国特許第5,685,866号(その全内容はこの引用によって本明細書に組み込まれ、かつ本明細書の一部をなす)の図6および図7に示され、かつその明細書に開示された構造体に類似する。
ある実施形態では、アダプター200は、このアダプター200を、医療用コネクター241と、他の医療用デバイス(図示せず)と、あるいはビン210から流体を取り出すかビン210内に流体を注入するのに使用されるその他の器具と接続するための医療用コネクターインターフェース240を具備してなる。ある実施形態では、医療用コネクターインターフェース240は側壁248を具備してなるが、これは、それを経て流体が流動可能なエキストラクターチャネル245の近位部分を画定している。ある場合には、エキストラクターチャネル245は、キャップコネクター230を通り、かつ穿孔部材220の一部を通って延在し、これによって医療用コネクターインターフェース240は穿孔部材220と流体連通状態となる。側壁248は、医療用コネクター241、医療用デバイス、あるいはその他の器具との接続に適した、いかなる形状を有していてもよい。図示する実施形態では、側壁248は実質的に円筒形であり、かつキャップコネクター230から概ね近位方向に延在している。
ある形態では、医療用コネクターインターフェース240は、アダプター200を、医療用コネクター241、医療用デバイス、あるいはその他の器具に接続するのを助けるためのフランジ247を具備してなる。フランジ247は、そこから医療用デバイスを取り外す際にシーリングが可能なコネクターを含む、好適な医療用コネクターを受けるように構成できる。ある場合には、フランジ247は、カリフォルニア州、San ClementeのICU Medical, Inc.から入手可能な、Clave(登録商標)コネクターを受けるような寸法および形状とされる。Clave(登録商標)コネクターのある特徴は米国特許第5,685,866号明細書に開示されている。その他のニードルレスコネクターを含む、コネクターのさまざまなその他の変形品もまた使用できる。コネクター241は、医療用コネクターインターフェース240に対して、永久的にあるいは分離可能に取り付けることができる。別の構造においては、フランジ247はネジを備えるか、Luerコネクターを受けるよう構成されるか、あるいはさもなければ医療用デバイス(たとえば注射器)またはその他の器具に対して直に結合するような形状とされる。
ある実施形態では、医療用コネクターインターフェース240は、アダプター200の軸心上に中心が置かれる。こうした形態は、ビン210に接続されたアダプター200を具備してなるシステムに対して安定性を付与し、これによって連結されたシステムはひっくり返り難くなる。したがってアダプター200は、このアダプター200あるいはビン210の不慮の衝突あるいは転倒によって引き起こされる危険な漏れあるいは流出を起こし難い。
ある実施形態では、穿孔部材220、キャップコネクター230および医療用コネクターインターフェース240は、ポリカーボネート樹脂などの材料からなる単一の部材から一体的に形成される。別な実施形態では、穿孔部材220、キャップコネクター230および医療用コネクターインターフェース240のうちの一つ以上が別体の部材からなる。この別体部材は、適当な方法、たとえば接着剤、エポキシ樹脂、超音波溶着などによって接合できる。好ましくは、接合された部材間の接続部によって、部材間には実質的に気密な結合が生じる。さらなる構造では、穿孔部材220、キャップコネクター230および医療用コネクターインターフェース240のうちのいずれかは、一つ以上の部材からなっていてもよい。
ある実施形態では、アダプター200はレギュレーター開口(孔)250を具備してなる。多くの実施形態では、このレギュレーター開口250は、穿孔部材220がビン210内に挿入された際に、ビン210の外部に露出したままとなる、アダプター200上のポジションに配置される。図示する実施形態では、レギュレーター開口250は、キャップコネクター230と医療用コネクターインターフェース240との連結部に配置されている。ある実施形態では、レギュレーター開口250は、ビン210を取り囲む環境と、キャップコネクター230を通りかつ穿孔部材220を通って延在するレギュレーターチャネル225(図5参照)との間の流体連通を可能とする。
図5には、ビン210に接続されたビンアダプター200の断面を示す。図示された実施形態では、キャップコネクター230はアダプター200をキャップ214に対して堅固に固定しており、そして穿孔部材220は隔壁216を貫通してビン210の内部へと延びている。ある実施形態では、穿孔部材220は、アダプター200とビン210とが接続されたとき、キャップ214に対して実質的に直交するよう配置される。その他の形態も可能である。図示するように、ある実施形態では、穿孔部材220はバッグ260を収容する。
ある実施形態では、キャップコネクター230は、アダプター200をビン210に対して固定するのを助ける一つ以上の突出部237を備える。一つ以上の突出部237はキャップコネクター230の軸心に向かって延在している。ある形態では、一つ以上の突出部237はキャップコネクター330の内面周りに延在する単一の円形フランジからなる。キャップコネクター230は、一つ以上の突出部237がリッジ219の下面に当接し、アダプター200を適所に固定するのを助けるようなサイズおよび形状とすることができる。
一つ以上の突出部237には、丸みを付与したり、面取りしたり、あるいはアダプター200とビン210との接続を容易にするようなその他の形を付与したりすることができる。たとえば、丸みを帯びた突出部237を有するアダプター200がビン210に対して導入されるとき、丸みを帯びた突出部237の下面はキャップ214の上面に当接する。アダプター200がビン210に対して押し動かされるとき、丸みを帯びた面によって、キャップコネクター230は半径方向外側に広げられる。アダプター200がビン210に対してさらに押し動かされるとき、変形したキャップコネクター220の弾性力は、一つ以上の突出部237をリッジ219の下方に着座させ、アダプター200を適所に固定する。
ある実施形態では、キャップコネクター230は、このキャップコネクター230の内面238がキャップ214と接するようなサイズおよび形状とされる。ある実施形態では、キャップコネクター230の一部は、実質的に気密係合状態でキャップ214と接する。ある実施形態では、隔壁216またはケーシング218のいずれかを取り囲む内面238の一部は、ゴムまたはプラスチックなどの素材で裏打ちされ、アダプター200とビン210との間に実質的に気密なシールが確実に形成されるようになっている。
穿孔部材220は、上述したように、チップ224とシース222とを具備してなることができる。ある実施形態では、チップ224は、シース222が隔壁216を通過するのを容易にするために、隔壁216に孔をあけるよう構成されている。ある場合には、チップ224は、このチップ224をシース222に対して固定するための近位延在部224aを具備してなる。以下で説明するように、ある構造では、バッグ260がシース22内に折り込み格納されている。したがって、折り込まれたバッグ260の一部は、近位延在部224aと接触して、それを適所に保持できる。多くの構造では、近位延在部224aはバッグ260を摩擦係合できる素材からなる。さまざまな実施形態では、近位延在部224aは、ポリカーボネート樹脂、シリコーンゴム、ブチルゴム、あるいは独立気泡フォームからなる。ある構造では、近位延在部224aは、バッグ260と係合するために、接着剤によってコートされる。近位延在部224aは、適当な手段を用いてチップ224に対して取り付けることができ、あるいはそれと一体に形成できる。
ある構造では、チップ224は、近位延在部224aとバッグ260との間の係合に代えて、あるいはそれに加えて、シース222の遠位端部223に対して接着するか、その中に摩擦嵌合させるか、その中にスナップ嵌合させるか、あるいはそれに対して一時的な様式でそれ以外の方法を用いて取り付けることができる。以下で説明するように、ある構造では、チップ224は、流体がビン210から取り出されたとき、シース222および/またはバッグ260から分離する。他の構造では、チップ224は、隔壁216を貫通したとき(たとえばシース222内の大気圧がビン210内の圧力よりも十分に高くなったとき)に、シース222および/またはバッグ260から分離する。別の場合には、チップ224とバッグ260との間のある体積の空気は、同じ結果を得るために加圧される。
ある実施形態では、チップ224はショルダー224bを具備してなる。ある場合には、ショルダー224bの外周はシース222の内周と合致するような形状とされる。したがってショルダー224bはチップ224をシース222に対して中心に合わせることができ、しかも隔壁216を経て挿入するために適切に方向付けられた状態でチップ224を維持できる。ある場合には、ショルダー224bの外周はシース222の内周よりも僅かに小さく、これによって、バッグ260が展開された際に、チップ224がシース222から容易に分離すなわちスライドすることが可能となっている。ある実施形態では、チップ224はショルダー224bを具備してなるが、近位延在部224aは備えていない。
ある構造では、近位延在部224aは、隔壁216を経てチップ224を挿入するために、シース222に対するチップ224の適切な向きを維持する役割を果たす。ある場合には、チップ224は、このチップ224が隔壁216に接するとき、シース222に対して回転し、これによって近位延在部224aはシース222の軸心に対して、ある角度をなす。ある構造では、近位延在部224aは十分に長く、その端部はシース222の内面に当接する。多くの場合には、接触は間接的であり、バッグ260の一つ以上の層が近位延在部224aとシース222との間に置かれる。この接触によって、チップ224が過度に回転するのを阻止でき、これによってその遠位端部224cは、隔壁216と相対的に直交する角度には向けられなくなる。
シース222は、一般に、破損を伴わず、そして(ある場合には)比較的容易に、隔壁216を経て挿入されるようなサイズおよび寸法とされる。したがって、さまざまな実施形態では、シース222は、約0.025ないし約0.075平方インチの、約0.040ないし約0.060平方インチの、あるいは約0.045ないし約0.055平方インチの断面積を有する。他の実施形態では、断面積は約0.075平方インチ未満、約0.060平方インチ未満、あるいは約0.055平方インチ未満である。さらに他の実施形態では、断面積は約0.025平方インチ超、約0.035平方インチ超、あるいは0.045平方インチ超である。ある実施形態では、断面積は約0.050平方インチである。
シース222は、さまざまな断面形状、たとえば長円形状、楕円形状、正方形状、長方形状、六角形状、あるいはダイアモンド形状を有することができる。シース222の断面形状は、サイズおよび/または形状に関して、その長さに沿って変化していてもよい。ある実施形態では、シース222は、その長さのかなりの部分に沿って、実質的に円形断面を有する。円形断面によってシース222には全半径方向に実質的に等しい強度が付与され、これによって、さもなければシース222の挿入時に生じるかもしれない屈曲あるいは破損が防止される。円形シース222によって隔壁216に形成される開口の対称性によって、屈曲した形状によって生じるかもしれない締め付けが阻止され、これによって隔壁216を経てシース222を一層容易に挿入することが可能となる。有利なことに、穿孔部材220と隔壁216の開口との対応する円対称性によって、たとえアダプター200が不注意でひねられても、穿孔部材220と隔壁216との間の気密密着状態は保証される。したがって、危険な液体またはガスがビン210から漏れるリスク、あるいは汚れた空気がビン210内に侵入し、その内容物を汚染するリスクは、円対称形状を備えた例では低減可能である。
ある実施形態では、シース222は中空である。図示する実施形態では、シース222の内面および外面は実質的に互いに一致しており、これによってシース222は実質的に均一な厚みを有している。さまざまな実施形態では、この厚みは約0.015インチないし約0.040インチ、約0.020インチないし約0.030インチ、あるいは約0.024インチないし約0.026インチである。他の実施形態では、厚みは約0.015インチ超、約0.020インチ超、あるいは約0.025インチ超である。さらに他の実施形態では、厚みは約0.040インチ未満、約0.035インチ未満、あるいは約0.030インチ未満である。ある実施形態では、厚みは約0.025インチである。
他の実施形態では、シース222の内面は、このシース222の外面のそれから形状が変化する。したがって、ある構造では、この厚みはシース222の長さに沿って変化する。さまざまな実施形態において、たとえば近位端部などシースの一端における厚みは、約0.015インチないし約0.050インチ、約0.020インチないし約0.040インチ、あるいは約0.025インチないし約0.035インチであり、そして遠位端部223などの他端における厚みは、約0.015インチないし0.040インチ、約0.020インチないし0.030インチ、あるいは約0.023インチないし約0.027インチである。他の実施形態においては、シース222の一端における厚みは、約0.015インチ超、約0.020インチ超、あるいは約0.025インチ超であり、そしてその他端における厚みは、約0.015超、約0.020インチ超、あるいは約0.025インチ超である。さらに他の実施形態においては、シース222の一端における厚みは、約0.050インチ未満、約0.040インチ未満、あるいは約0.035インチ未満であり、そしてその他端における厚みは、約0.045インチ未満、約0.035インチ未満、あるいは約0.030インチ未満である。ある実施形態では、シース222の近位端部における厚みは約0.030インチであり、そして遠位端部2233における厚みは約0.025インチである。ある構造では、シース222の内面の断面は、外面のそれとは異なるように形成される。シース222の形状および厚みは、シース222の強度を最適化するために変更可能である。
ある場合には、(キャップコネクター230の遠位面から遠位端部223まで測定した際の)シース222の長さは、約0.8インチないし約1.4インチ、約0.9インチないし約1.3インチ、あるいは約1.0インチないし約1.2インチである。別の場合には、長さは約0.8インチ超、約0.9インチ超、あるいは約1.0インチ超である。さらに別の場合には、長さは約1.4インチ未満、約1.3インチ未満、あるいは約1.2インチ未満である。ある実施形態では、長さは約1.1インチである。
ある実施形態では、シース222は少なくとも部分的に一つ以上のチャネルを取り囲んでいる。図示する実施形態では、シース222は、レギュレーターチャネル225の遠位部分の外側境界およびエキストラクターチャネル245の遠位部分の外側境界を画定している。シース222の内面から医療用コネクターインターフェース240の遠位部分まで延在する内壁227は、レギュレーターチャネル225とエキストラクターチャネル245との間の内側境界を画定している。レギュレーターチャネル225は、バッグ260の近位端部262から、キャップコネクター230を通り、キャップコネクター230と医療用コネクターインターフェース240との間で延在しており、そしてレギュレーター開口250にて終端をなしている。エキストラクターチャネル245は、シース222に形成されたエキストラクター開口(孔)246から、キャップコネクター230を通り、そして医療用コネクターインターフェース240を通って延在している。
ある実施形態では、シース222はバッグ260を含む。バッグ260は概して、広がり、展開し、圧縮され、かつ/または収縮するよう構成されており、しかも、Mylar(登録商標)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、サラン、ラテックスゴム、ポリイソプレン、シリコーンゴムおよびポリウレタンを含む、さまざまな素材から構成できる。ある実施形態では、バッグ260はシース222と実質的に気密なシールを形成できる素材から構成される。他の実施形態では、バッグ260は、実質的に気密な係合状態でシース222に対して接着できる素材から構成される。多くの場合、バッグ260は、液体および空気に対して概ね不透過性を有する素材から構成される。ある実施形態では、バッグ260は、ビン210の予定された内容物に対して不活性な素材から構成されることが好ましい。ある実施形態では、バッグ260は約10ないし約40のデュロメーターを有する無ラテックスシリコーンから構成される。
ある形態では、バッグ260の近位端部262はシース222と実質的に気密な係合状態となっている。図示する実施形態のような、ある場合には、実質的に気密なシールは、近位端部262がバッグ260の他の部分よりも太く、かつシース222内にバッグ260の残部よりも、よりぴったりと嵌る場合に実現される。ある場合には、より太い近位端部262は、バッグ260の残部よりも、より高いデュロメーター素材から構成される。ある場合には、近位端部262は、約40ないし約70のデュロメーターを有する無ラテックスシリコーンから構成される。他の場合には、近位端部262は、シース222に対して近位端部262を押し付けるプラスチックスリーブ(図示せず)によってシース222内で保持される。さらなる場合には、近位端部262は、シース222に対して、熱シーリングあるいは接着などの適当な方法で接着される。ある実施形態では、バッグ260の、ただ近位端部262よりも大きな部分は、シース222と実質的に気密な接触状態となっている。
ある実施形態では、バッグ260の近位端部262はバッグ開口264を備える。ある場合には、バッグ開口264は、バッグ260内部と、レギュレーターチャネル225との間の流体連通を可能とする。ある構造では、バッグ開口264は近位端部262の軸心に沿って延在する。したがって、そうした構造のあるものにおいては、内壁227の下側部分は、バッグ開口264を覆い隠さないように、(図示するように)ある角度に曲げられるか、オフセットさせられるか、あるいはシース222の中心から離れるよう配置される。
ある構造では、バッグ全体260は、ビン210内へのアダプター200の挿入に先立ってシース200内に配置される。したがって、バッグ260は概して、アダプター200をビン210内に挿入する際に、シース222によって、裂けたり破れたりしないように保護される。ある場合には、シース222内へのその装填を容易にするために、バッグ260の外面には潤滑剤(減摩剤)が塗布される。本明細書で用いているように、「潤滑剤」との用語は、その通常の意味で使用される適用範囲の広い用語であり、そしてそれは、限定ではなく、ごく接近した表面間の実質的に障害のない相対動作を可能とするのに使用される物体あるいは物質を含み、これには、限定ではなく、一つ以上の表面に対して付着させられるゲル、液体、パウダーおよび/またはコーティング、一つ以上の表面に埋め込まれた物質、組成物あるいは物体、および表面間に配される物体あるいは物質が含まれる。ある実施形態では、潤滑剤は液体、ゲルあるいはパウダーである。ある実施形態では、バッグ260の外面に付着させられる潤滑剤はイソプロピルアルコールであり、これは望ましいことに無菌であり、容易に気化し、そしてバッグ260の比較的容易な装填を可能とするのに十分な滑らかな状態をもたらす。同一のあるいは異なる特性を有する、その他の潤滑剤もまた採用可能である。
図示する実施形態では、バッグ260の一部はシース222内で内部的に折り込まれるか、あるいはシース222内で折り畳まれている。ある実施形態では、バッグ260は、それ自身に容易に張り付かない素材から構成され、これによって、ごく近接した状態(たとえば互いに隣接状態)にあるバッグ260の一部は比較的容易に互いにすれ違いかつ互いに分離するようにスライドすることが可能となっており、これによってバッグ260を容易に展開することが可能となっている。ある実施形態では、バッグ260の比較的障害のない展開を助けるために、バッグ260の内面には潤滑剤が塗布される。適当ないかなる潤滑剤でも使用可能である。ある実施形態では、潤滑剤は液体またはゲルからなる。ある実施形態では、潤滑剤はフルオロシリコーン油からなる。他の実施形態では、潤滑剤は、タルカムパウダーのようなパウダーからなる。ある実施形態では、パウダー潤滑剤は、長期の保管期間にわたって、液体またはゲルよりも、より有効である。たとえば、ある液体およびゲルは、バッグ260の隣接面間から移動することがあるが、あるパウダーはそこから移動する傾向があまりないであろう。したがって、ある実施形態では、あるパウダー潤滑剤は、ある液体またはゲル潤滑剤よりも相対的に長い貯蔵寿命をアダプター200に付与することができる。他の実施形態では、液体(たとえば油)が好ましい。
さらなる実施形態では、潤滑剤は、バッグ260に対して接着されるか、バッグ260と一体に形成されるか、あるいはその他の方法でバッグ260に対して設けられたコーティングからなる。このコーティングは、バッグ260の表面間の比較的障害のない動きを可能とすることができる、いかなる適当な素材から構成されてもよい。たとえば、ある実施形態は、Teflon(登録商標)などの摩擦低減素材からなるコーティングを具備してなることができる。さらなる実施形態では、実施形態はバッグ260内に埋め込まれる。
ある実施形態では、バッグ260の一つ以上の部分は、シース222内で何度も折り込まれる。そうした実施形態のうちのあるものにおいては、潤滑剤は、バッグ260の内面および/または外面の一部に対して設けることができ、これによってバッグ260の比較的容易な展開が可能となる。
図6Aおよび図6Bには、ある場合にはシース222内でバッグ260を折り畳むのが、なぜ望ましいこととなり得るかを大まかに示している。図6Aは、アダプター200のシース222の遠位部分を示している。シース222は、近位部分266Aおよびチップ269Aを具備してなる実質的に不透過性のバッグ260Aを収容している。アダプター200はある程度真空とされたビン210(図示せず)と接続されており、この結果、ビン210の外側の圧力(たとえば大気圧)はビン210の内部の圧力よりも高くなっている。したがって、バッグ260Aの一方の面はビン21の外側の高い圧力にさらすことができ、そしてバッグ260Aの他方の面はビン210の内側の低い圧力にさらすことができる。この圧力差の結果として、さまざまな矢印で大まかに示すように、バッグ260Aの近位部分266Aはシース222の内面に向かって押しやられる。このようにして生じる摩擦は、近位部分266Aがシース222の遠位端部に向かって膨張するのを阻止しようとする。この結果、図示する形態では、流体がビン210から取り出されるとき、チップ269Aのみが膨張できる。大量の流体の取り出しは、チップ269Aに過度の力を加え、これによってチップ269Aが裂けたり破れたりすることがある。ある実施形態では、バッグ260Aの組成および/またはバッグ260Aとシース222の内壁との間のインターフェースによって、遠位方向へのバッグ260Aのさらなる膨張が可能となる。
図6Bは、実質的に不透過性のバッグ260Bを収容するシース222の遠位部分を同様に示している。バッグ260Bは、外側部分266Bと、内側部分268Bと、チップ269Bとを具備している。図6Aと同様、アダプター200はある程度真空とされたビン210と接続されており、この結果、ビン210の外側の圧力はビン210の内部の圧力よりも高くなっている。この結果として生じる圧力差は、さまざまな外側を向く矢印によって大まかに示すように、シース222に向かって外側部分266Bを押しやる。だが、この圧力差は、さまざまな内側を向く矢印によって大まかに示すように、シース222の中心に向かって内側部分268Bを押しやる。この結果、バッグ260Bの内側部分268Bと外側部分266Bとの間の摩擦は低減されるかあるいは排除され、これによって、シース222の遠位端部223に向かいかつそれを通る、内側部分268Bおよびチップ269Bの膨張が促進される。この結果、図示する実施形態では、バッグ260Aのそれよりも大きなバッグ260Bの部分が、ビン210内で広がることができる。
図7は、バッグ260が展開された状態で、アダプター200の実施形態を示す。図示するように、ある実施形態では、バッグ260の遠位部分268はシース222を越えて突出している。ある構造では、シース222の遠位端部223と接するバッグ260の一部は、その周囲の部分よりも厚くなっているが、これは、バッグ260を、破れたり、孔があいたり、あるいは裂けたりしないようシース222から保護するためである。
ある実施形態では、バッグ260は、実質的にビン210を満たすようなサイズおよび形状とされる。たとえば、ある構造では、バッグ260は、ビン210内の容積のかなりの部分を満たすように膨張するようなサイズおよび形状とされたフレキシブルで、膨張可能な材料からなる。ある場合には、バッグ260は、実質的に、ある範囲の容積を満たすように膨張可能であり、これによって単一のアダプター200は、さまざまなサイズのビン210と共に機能するよう構成できる。他の構造では、バッグ260はフレキシブルで、膨張が可能ではない素材からなり、そしてそれは、その一部を満たすためにビン210内で広がるよう構成される。ある実施形態では、バッグ260は、一つのビン210の少なくとも約25、30、35、40、45、50、60、70、80または90パーセントを満たすよう構成される。他の実施形態では、バッグ260は、アダプター200とビン210との接続前にビン210内に充填されている流体の体積の少なくとも約30、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85または90パーセントに等しい容積を満たすよう構成される。ある実施形態では、バッグ260は、アダプター200とビン210との接続前にビン210内に充填されている流体の体積の少なくとも約70パーセントに等しい容積を満たすよう構成される。他の実施形態では、第1の容積を持つ第1のビン210の少なくとも約25、30、35、40、45、50、60、70、80または90パーセントを、そして第1の容積よりも大きな第2の容積を持つ第2のビン210の少なくとも約25、30、35、40、45、50、60、70、80または90パーセントを満たすよう構成される。
ある形態では、バッグ260の遠位部268は、図示するように実質的に球根状である。ある実施形態では、この球根状バッグ260は膨張可能な素材からなる。さまざまな構造において、非膨張状態の遠位部268は、約0.10インチないし約0.40インチの、約0.15インチないし約0.35インチの、あるいは約0.20インチないし約0.30インチの外径を有する。ある構造では、外径は約0.10インチ超、約0.15インチ超、あるいは約0.20インチ超である。別の構造では、外径は約0.40インチ未満、約0.35インチ未満、あるいは約0.30インチ未満である。ある構造では、外径は約0.188インチである。さまざまな構造において、非膨張状態の遠位部268は、約0.50インチないし1.00インチの、約0.60インチないし0.90インチの、そして約0.70インチないし0.80インチの高さを有する。ある構造では、高さは約0.50インチ超、約0.60インチ超、あるいは約0.70インチ超である。別の構造では、高さは約1.00インチ未満、約0.90インチ未満、あるいは約0.80インチ未満である。ある構造では、高さは約0.75インチである。ある実施形態では、遠位部は概ね球状である。遠位部268のさまざまなその他の実施形態としては、たとえば、略円錐状、略円柱状、略長方形状、および略三角形状のものが挙げられる。
ある形態では、バッグ260の遠位部268は、約0.001ないし0.025インチの、約0.001ないし0.010インチの、あるいは約0.010ないし0.025インチの厚みを有する。他の形態では、厚みは0.001インチ超、約0.005インチ超、0.010インチ超、約0.015インチ超、あるいは約0.020インチ超である。さらに他の形態では、厚みは約0.025インチ未満、約0.020インチ未満、約0.015インチ未満、約0.010インチ未満、あるいは約0.005インチ未満である。ある形態では厚みは約0.015インチである。
上述したように、ある場合には、ビン210の本体部は実質的に硬質な素材、たとえばガラスまたはプラスチックからなる。したがって、バッグ260がビン210内で展開される形態は、有利なことにバッグ260を偶発的に裂けたり、破れたり、あるいは千切れたりしないように保護する。さらに、バッグ260がビン210内に配置される形態は、他の形態よりも重心を低くすることができ、これはビン210が偶発的にひっくり返ったり、中身がこぼれたりするのを阻止するのに役立つ。
さらに図7を参照すると、アダプター200を使用するためのあるプロセスは、キャップコネクター230が適所にしっかりと位置するまで、隔壁216を経て穿孔部材220を差し込むことを含む。したがって、アダプター200とビン210との接続は、一つの簡単なステップで実現できる。ある場合には、医療用コネクター241が医療用コネクターインターフェースと接続される。医療用デバイスあるいは他の器具(図示せず)、たとえば注射器は、インターフェース240と、あるいは(もし存在するならば)医療用コネクター241と接続できる(図4参照)。便宜上、医療用コネクターインターフェース240に対する取り付けに適した医療用デバイスの一例として、以下では、(たとえば図3に関して先に説明した注射器142のような)注射器についてのみ言及するが、アダプター200あるいは医療用コネクター241との接続には、さまざまな医療用デバイスあるいはその他の器具を使用できる。ある場合には、注射器がビン210と流体連通状態に置かれる。ある場合には、ビン210、アダプター200、注射器、そして(もし存在するならば)医療用コネクター241は、キャップ214が下(すなわち床)を向くよう逆にされる。上記手続きのいずれか、あるいはその組み合わせは、可能な限りの順序で実施できる。
ある場合には、ある体積の流体が注射器を経てビン210から取り出される。上述したように、ビン210内の圧力は、流体が取り出されるときに低下する。したがって、ある場合には、レギュレーターチャネル225内の圧力はチップ224をシース224から離れるように押しやる。別の場合には、バッグ260の内部の圧力によって、バッグ260はシース222から出現させられる。そうした例のあるものにおいては、バッグ260が展開されるとき、それは外側に転がって、近位延在部224aを解放し、これによってチップ224を放出する。バッグ260は、こうしてビン210内で自由に膨張できるようになる。ある構造では、それゆえ、シース222がビン210内に挿入されるまで、チップ224が適所に確実に留まるのには十分な強さで、ただし、ビン210内でシース222および/またはバッグ260からチップ224が分離するのを妨げるのには不十分な強さで、チップ224がシース222および/またはバッグ260と係合させられることが望ましい。
ある実施形態では、アダプター200がビン210と接続されるとき、隔壁に孔をあけるには十分なほど鋭いが、バッグ260が展開されるかあるいはそれがビン210内で膨張するとき、バッグ260に孔をあけるには不十分な程度にしか鋭くないように、チップ224の遠位端部224cは丸みを帯びている。ある構造では、近位延在部224aが同じ目的で丸くされる。
ある場合には、バッグ260がビン210内で膨張するとき、バッグ260がチップ224の遠位端部224cに当接しないようにすることが望ましい。したがって、ある実施形態では、近位延在部224aは、チップ224は(いったんシース222から分離すると)自然に、遠位端部224cがバッグ260から離れるように向けられた状態で降下するよう構成される。たとえば、ある場合には、キャップ214が下を向く状態で(すなわちキャップ214がビン210の体積中心と床との間に配置された状態で)ビン210が配置されたとき、遠位端部224cは隔壁216に対して降下する。ある構造では、近位延在部224aは相対的に軽量であり、それゆえチップ224の重心は遠位端部224cの比較的近傍に位置している。したがって、ある場合には、チップ224が隔壁216と接しているとき、チップ224はエッジ224dを中心として略回動でき、これによって遠位端部224cが下方を向いた安定状態に達する。ある構造では、縁部224dはチップ224の最大断面の周長を有する。
ある実施形態では、近位延在部224aはチップ224が回動可能となるよう構成されており、これによって、たとえ、近位延在部22aが、ビン210の表面、たとえば隔壁216と最初に接したときに近位延在部224aが下を向く場合でも、遠位端部224cは最終的に下を向く。ある場合には、近位延在部224aの長さおよび/または重量は、こうした結果を実現するよう調整される。ある場合には、近位延在部224aの長さは、チップ224の全長の約30パーセントないし約60パーセント、約35パーセントないし約55パーセント、あるいは約40パーセントないし約50パーセントである。ある実施形態では、近位延在部224aの長さはチップ224の全長の約60パーセント未満、約55パーセント未満、あるいは約50パーセント未満である。他の実施形態では、この長さはチップ224の全長の約60パーセント超である。さらに他の実施形態では、この長さはチップ224の全長の約30パーセント未満である。ある実施形態では、この長さはチップ224の全長の約45パーセントである。バッグがビン210内で膨張したとき、遠位端部224cがバッグ260に対して確実に当接しないようにするために、その他の構成もまた可能である。
ある構造では、バッグ260がビン210内で膨張したとき近位延在部224aがバッグ260に柔軟に当接することがまた望ましい。したがって、ある実施形態では、近位延在部224aは、フレキシブルな、あるいは弾力性のある素材、たとえばシリコーンゴム、ブチルゴム、あるいは独立気泡フォームからなる。他の実施形態では、近位延在部224aは、ヒンジあるいはボール・ソケットのようなジョイントからなるが、これは、バッグ260と当接した際に近位延在部224aが屈曲することを可能とする。
ある形態では、ビン210から取り出された流体は、エキストラクター開口246を通り、そしてエキストラクターチャネル245を通って、注射器へと流れる。同時にそうした実施形態では、周囲の空気が、周囲の環境から、レギュレーター開口250を通り、レギュレーターチャネル225を通り、バッグ開口264を通り、バッグ260内へと流れる。ある構造では、バッグ260の増大した体積は、ビン210から取り出された液体の体積と概ね等しい。別な構造では、ビン210から取り出された流体の体積がバッグ260の増大した体積よりも大きなものとなるよう、ビン210から大量の流体が取り出されるときに、より低い速度でバッグ260の体積は増大する。上述したように、バッグ260は、ビン210のかなりの部分を満たすように構成できる。ある形態では、チップ224は、それがエキストラクター開口246に対して定着せず、しかもそれを通る流体の流れを妨害しないようなサイズならびに形状とされる。
ある場合には、不注意で、望むよりも多くの流体が注射器によってビン210から取り出されることがある。したがって、超過流体は注射器からビン210内に戻るように注入することができる。ある形態では、流体がビン210に注入されるとき、流体は注射器から、エキストラクターチャネル245を通り、そしてエキストラクター開口246を通り、ビン210内へと流動する。流体がビン210内に圧入されるとき、ビン210内の圧力は増大する。この結果、ある形態では、バッグ260は、戻された流体の体積を相殺するために、より小さな体積へと収縮する。バッグ260が収縮するとき、ある構造では、周囲の空気は、バッグ260から、バッグ開口264を通り、レギュレーターチャネル225を通り、そしてレギュレーター開口250を通り、周囲の環境へと流動する。
ゆえに、ある実施形態では、アダプター200は、ビン210内の圧力を維持するために、ビン210からの流体の取り出し、あるいはビン210への流体の追加を調整する。さまざまな場合、ビン210内の圧力は、約1psi以下、約2psi以下、約3psi以下、約4psi以下あるいは約5psi以下だけ変化する。
上記実施形態およびプロセスから明らかであるように、アダプター200は、有利なことに、ビン210内の圧力を著しく増大させることなく、ユーザーがビン210に不要な液体(および/または空気)を戻すことを可能にする。先に説明したように、気泡および超過流体をビン210内に注入する能力は、腫瘍学薬品に関しては特に望ましい。
さらに、上記説明は、アダプター200のある実施形態が、ビン210内に外部空気を導入することなく、ビン210内の圧力を調整するよう構成されることを示している。たとえば、ある実施形態では、ビン210の外部と内部との間の(流路ではなく)バリアとして機能する実質的に不透過性の素材から構成される。したがって、アダプター200のそうした実施形態は、不完全で障害が起きやすいGortex(登録商標)あるいはTeflon(登録商標)空気フィルターを用いたシステムと比べて、患者の血流内に浮遊汚染物質を導入するリスクを実質的に低減する。さらに、そうしたフィルターを排除することで、EtO殺菌の必要性がなくなる。この結果、より効果的かつ簡便な殺菌方式、たとえばガンマ線殺菌および電子ビーム殺菌が、アダプター200のある実施形態を殺菌するために使用できる。製造業者は、こうして、結果として生じるコスト削減および生産性増大によって利益を得ることができる。ある実施形態では、バッグ260とレギュレーター開口250との間の一つ以上のポイントにおいてフィルターを使用できる。
有利なことに、ある実施形態では、バッグ260は弾性素材からなる。したがって、バッグ260がビン210内で膨張するとき、バッグ260を収縮させようとする復元力がバッグ260に生じる。ある場合には、この復元力はかなり小さく、しかもアダプター200に対して接続された注射器内の力によってバランスさせることができる。たとえば、この復元力は、プランジャと注射器の内壁との間の摩擦によってバランスさせることができる。この結果、ある場合には、復元力は、ビン210から正確な量の流体を取り出すのに影響を与えない。だが、注射器がアダプター200から切り離されたとき、膨張させられたバッグ260の復元力は、もはやバランス状態にはない。この結果、バッグ260は収縮しようとするが、これはエキストラクターチャネル245内の流体がビン210へと戻るのを促進する。したがって、アダプター200は、注射器がそこから切り離されたときに流体がビン210から噴出する可能性を低減できるが、これは、腫瘍学薬品がビン210から取り出されているとき特に有益である。アダプター200が、医療用コネクターインターフェース240に対して取り付けられた、Clave(登録商標)コネクターなどの医療用コネクター241(図4参照)と共に使用されるとき、アダプター200は、医療用コネクター240の近位端部からの注射器の取り外し後、素早く、実質的に密閉することができる。
ある実施形態では、ビン210から流体の一部が取り出された後に注射器あるいはその他の医療用デバイスをアダプター200から切り離し、そしてその後、不要なあるいは超過液体あるいは空気をビンへと戻すためにアダプター200と再接続することができる。
ある実施形態では、アダプター200を経て、さまざまな薬剤をビン210から取り出すことができる。たとえば、ある実施形態では、第1の注射器がアダプター200と接続され、そして第1の薬剤がビン210から取り出される。第1の注射器はその後、アダプターから切り離される。同様に、第2の注射器が続いてアダプター200と接続され(あるいは第1の注射器が再度アダプター200と接続され)、第2の薬剤がビン210から取り出され、そして第2の注射器(あるいは第1の注射器)はアダプター200から切り離される。同様に、多数の薬剤を、アダプター200を経て同一のビン210から取り出すことができる。
ある実施形態では、ビン210は、パウダー、濃縮液体、あるいは患者に対するその投与前に希釈されるその他の物質を収容する。したがって、ある実施形態では、希釈液はアダプター200を経てビン210内に注入される。ある実施形態では、希釈液を収容する注射器がアダプター200に接続される。ビン210は固い面の上に直立状態で配置でき、そして注射器のプランジャは、アダプター200を経てビン210内に希釈液を押しやるために押し下げることができる。プランジャは解放可能であり、そしてそれを、ビン210内の圧力が均等になるまで注射器から後戻り可能とすることができる。ある実施形態では、注射器はアダプター200から切り離され、同一のあるいは異なる注射器あるいは他の医療用デバイスがアダプター200に接続され、そしてビン210内の希釈された内容物が取り出される。
ある実施形態では、注射器または他の医療用デバイスの分離および再接続、単一のアダプター200を介したビン210からの複数の薬剤の取り出し、および/またはビン210内への希釈液の注入は、アダプター200が医療用コネクター240、たとえばClave(登録商標)コネクターからなる場合には容易なものとなる。
上述したように、ある場合には、ビン210は、液体がビン210から取り出されるとき、キャップ214が下方を向くように配置される。ある有益な実施形態では、エキストラクター開口246はキャップ214の底面に隣接して配置され、これによってビン210内の液体のほとんどのあるいは実質的に全ての取り出しが可能となる。他の構造では、アダプター200は、ビン210内の液体の実質的に全ての取り出しを助けるために、一つ以上のエキストラクター開口246を具備してなる。ある実施形態では、穿孔部材220の遠位端部223はエキストラクター開口246から離間させられる。そうした構造は、有利なことには、バッグ260の遠位部分268が膨張するときに遮られないエキストラクター開口246を経て流体が流動することを可能とする。
図8はアダプター300の他の実施形態を示す。アダプター300は、多くの点で、先に説明したアダプター200と似ている。したがって、アダプター200の特徴部を特定するために使用した数字は、アダプター300の同様の特徴部を特定するために、100のファクターだけ増加させられている。この付番規則は残りの図面にも概ね当てはまる。
ある実施形態では、アダプター300は、医療用コネクターインターフェース340と、キャップコネクター330と、穿孔部材320と、バッグ360とを具備してなる。穿孔部材は、遠位端部323を有するシース322を具備してなる。穿孔部材320は、それが別体のチップを具備していない点で穿孔部材220とは異なる。むしろ、遠位端部323は隔壁216に孔をあけるよう構成されている。図示する実施形態では、遠位端部323はシース322の一方側から他方側へと、ある角度をなしている。その他の形状および構造もまた可能である。多くの実施形態では、遠位端部323は、それを通ってバッグ360が展開できる実質的に遮られていない通路を提供する。遠位端部323は、好ましくは、バッグ360がその上で裂けたり破れたりしないように、丸みを帯びた、すなわち面取りされた縁部を具備してなる。ある場合には、遠位端部323は、アダプター300がビン210に接続された際に隔壁216に孔をあけるのに十分なほど鋭く、しかしながらバッグ360がビン210内で展開するか膨張する際にはバッグ360に孔をあけるかあるいはそれを損傷させるほどには鋭くない。
図9はアダプター301の他の実施形態を示しており、これはいくつかの点でアダプター300に類似するが、以下で述べるような、それ以外の点で相違している。アダプター301は、穿孔部材320に実質的に類似する穿孔部材380を具備してなる。だが、ある実施形態では、穿孔部材380は穿孔部材320よりも短く、したがってビン210内に同じくらい遠くまで突出しない。したがって、穿孔部材380は、バッグ360がビン210を満たすように(あるいは部分的に満たすように)膨張するとき、ほとんどバッグ360に対する障害とはならない。さらなる実施形態では、穿孔部材380は複数の折り目を有するバッグ360を具備してなる。この複数の折り目によって、穿孔部材320において利用可能であるよりも小さな穿孔部材380の容積内に、バッグ360をよりコンパクトに組み込むことが可能となる。
ある実施形態では、穿孔部材380は、この穿孔部材380のチップ386の周面を取り囲むように延在するフレキシブルなシールド385を具備してなる。このシールドは、たとえばプラスチックあるいはゴムから構成できる。シールド385は穿孔部材380の内壁に対して接着でき、あるいは適所において緊張状態とすることができる。ある実施形態では、シールド385の少なくとも一部は、弛緩状態にあるとき(図示するように)上下逆にされる。バッグ360が展開させられるとき、それはシールド385の一部をチップ386から外側に押しやる。ある実施形態では、シールド385は、バッグ360が膨張するとき、チップ386の外面まで延在するようなサイズおよび寸法とされる。シールド385は、それゆえ、チップ386とバッグ360との間にバリアを形成し、このバリアは、バッグ360が膨張するとき、孔があいたり、裂けたり、破れたりしないようバッグ360を保護する。
ある構造では、アダプター300はフィルター390を具備してなる。多くの実施形態では、フィルター390はレギュレーターチャネル325と関係付けられる。フィルター390は、レギュレーター開口350に、レギュレーターチャネル325内に、あるいはバッグ360内に配置できる。たとえば、ある場合には、フィルター390はレギュレーター開口350を横切って延在し、そして他の場合には、フィルター390はバッグ開口364を横切って延在する。ある構造では、フィルター390は疎水性フィルターであり、これは、バッグ360が使用中に破れるという起こりそうになり状況でさえ、流体がビン210から流出するのを阻止できる。そうした構造では、空気はバッグ360内に流入あるいはそこから出る場合にフィルターをバイパスできるであろうが、破れたバッグ360を通りかつレギュレーターチャネル325を通る流体はフィルター390によって遮られるであろう。
図示する実施形態では、アダプター301のキャップコネクター330はビン210の一部を取り囲むよう構成されたスカート336を具備してなる。ある実施形態では、スカート336はビン210の周りで、その全周よりも短い長さだけ延在できる。たとえばスカート336は縦スリットを有していてもよい。有利なことに、スカート336は穿孔部材380のチップ386を越えて遠位方向に延在できる。この構造は、ビン210内への穿孔部材380の挿入前に、チップ386をユーザーからある程度遮蔽するが、これはチップ386との偶発的な接触を防止するのに役立つ。スカート336はさらに、低重心を有する接続されたアダプター301およびビン210を提供するが、これによって接続された物品がひっくり返り難くなる。
図10にはアダプター400の実施形態を示す。これは多くの点で上記アセンブリ200,300に似ているが、穿孔部材220,320とは以下で説明するように異なる穿孔部材420を具備している。穿孔部材420は、シース422と、チップ424と、穿孔部材開口402とを具備してなる。ある実施形態では、チップ424は実質的に円錐形であり、かつ穿孔部材420の軸心近傍のポイントに達している。ある実施形態では、チップ424はシース422に対して永久的に取り付けられており、しかもそれと一体で形成することができる。穿孔部材開口402はチップ424の近位に配置できる。穿孔部材開口402はさまざまな形状およびサイズを有することができる。ある形態では、アダプター400の組み立て中に開口402を通ってバッグ460(図11に示す)を装填するのを容易にするために、少なくとも一方向(たとえば縦方向)における穿孔部材開口402の長さは、穿孔部材420の断面幅よりも大きな測定値を有することが望ましい。ある場合には、穿孔部材420の構造的な完全性を低下させないようにしながら、バッグ460がビン210内で展開させられるときバッグ460の大部分がそれを通過することを可能とするために、穿孔部材開口402のサイズおよび形状は最適化される。
図11はビン210と接続されたアダプター400を示す。図示する実施形態では、バッグ460はビン210内で部分的に展開されている。ある実施形態では、バッグ460は、ビン210内で膨張し、そしてそのかなりの部分を満たすよう構成される。バッグ260のように、バッグ460は伸張可能な素材あるいは伸張不可能な素材から構成できる。ある実施形態では、バッグ460は、破れたり裂けたりするのを防止するために、穿孔部材開口402付近に、より厚みの大きな部分を備える。ある場合には、穿孔部材開口402は、同じ目的のために、丸みを帯びるかあるいは面取りされた縁部を具備してなる。
図示するように、ある実施形態では、穿孔部材開口402は、エキストラクター開口446の反対側で穿孔部材420の側面に配置される。そうした構造によれば、バッグ460がビン210内で膨張するときに、流体が、遮蔽されていないエキストラクター開口446を通過するのを可能とすることができる。
図12A〜図12Dはアダプター500の二つの実施形態を示す。アダプター500は多くの点で上記アセンブリ200,300に似ているが、以下で説明するように異なる穿孔部材520を具備している。ある実施形態では、穿孔部材520は、バッグ560(図12Bおよび図12Dに示す)を収容する二つ以上のスリーブ部材503を具備している。ある構造では、スリーブ部材503は穿孔部材520の近位ベース504において一つになっている。以下でさらに詳しく説明するように、ある形態では、スリーブ部材503は、単一の材料片から一体的に形成される。他の形態では、スリーブ部材503は、近位ベース504と結合された別体部品からなる。
図12Aおよび図12Bに示す実施形態のような、ある実施形態では、スリーブ部材503は、開放状態となるように付勢される。ある場合には、この付勢は、スリーブ部材503を形成するために用いられた方法によって実現される。たとえば、ある場合には、二つのスリーブ部材503および近位ベース504は、実質的にY形状(各スリーブ部材503は「Y」の一つのブランチからなる)を呈する、曲げやすい、成形プラスチックの単一部品から一体的に形成される。別な例では、二つのスリーブ部材503は、近位ベース504と結合された別体の部品からなる。そうした例のあるものにおいては、スリーブ部材503は、近位ベース504に対して回動可能に取り付けられるか、あるいはそれに対して屈曲可能となる。スリーブ部材503は、スプリングあるいはその他の適切な付勢デバイスあるいは方法で、開放状態となるように付勢できる。簡便のために、二つのスリーブ部材503を用いた形態について説明したが、穿孔部材520は二つ以上のスリーブ部材503を具備してなることができ、そしてさまざまな形態では、三つ、四つ、五つ、六つ、七つあるいは八つのスリーブ部材503を具備してなる。ある場合には、それから穿孔部材520が形成されるスリーブ部材503の数は、バッグ560のサイズの増大および/またはビン210のサイズの増大と共に増加する。
ある形態では、バッグ560は近位ベース504内に装填される。バッグ260に関して上述したように、バッグ560は、ある形態の接着剤によって、プラスチック製シースによって、バッグ560の比較的厚みのある近位端部によって付与される張力によって、あるいはその他の適切な方法によって、近位ベース504内に固定できる。
多くの実施形態において、近位ベース504内へのバッグ506の装填後、スリーブ部材503はチップ524を形成するために接合させられる。チップ524はビン210の隔壁(図示せず)を経て挿入するのに適した、いかなる形状を備えていてもよい。ある構造では、ジャケット505が、それを密閉状態で維持するために、スリーブ部材503の周りに設けられる。ジャケット505を形成し、続いてチップ534の上でスライドスライドさせてもよく、あるいは、それをスリーブ部材503の周囲に組み付け、その後、固定してもよい。ジャケット505は、好ましくは、スリーブ部材503を密閉状態で維持するのに十分なほど強度があり、にもかかわらず、穿孔部材520がビン210内に挿入されたとき、その外面に沿って容易にスライドできる素材から構成される。ある場合には、この素材は隔壁216に対して張り付き可能であることが好ましい。さまざまな場合に、ジャケット505は、熱収縮チュービング、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、サラン、ラテックスゴム、ポリイソプレン、シリコーンゴム、あるいはポリウレタンからなる。ジャケット505は、穿孔部材520の長さに沿って、どこにでも配置できる。ある実施形態では、隔壁216に孔をあけるための鋭利な尖端を提供するためにスリーブ部材503が互いに密着した状態を維持するために、ジャケット505をスリーブ部材503の遠位部に配置することが有利となり得る。
図12Bには、ビン210に接続された開ポジションとなるよう付勢されたスリーブ部材を有するアダプター500の実施形態を示す。ある実施形態では、穿孔部材520がビン210内に挿入されたとき、ジャケット505は隔壁216に引っかかり、そしてビン210の外面上に留まる。穿孔部材520が隔壁216を貫通した状態を持続するとき、スリーブ部材503はその自然な開状態へと復帰し、これによってビン210内でバッグ560が展開させられる。流体がビン210から取り出されるとき、バッグ560は、バッグ260に関して先に説明したようにビン210内で膨張する。
ある実施形態、たとえば図12Cおよび図12Dに示す実施形態では、スリーブ部材503は閉状態となるよう付勢される。ある場合には、この付勢は、スリーブ部材503を形成するのに使用された方法によってもたらされる。たとえば、ステップ部材503および近位ベース504は、成形プラスチックからなる単一部材から一体的に形成できる。成形プロセス中、あるいは時にはその後、一つ以上のスリット506が成形プラスチックに形成され、これによってスリーブ部材503が分離させられる。他の例では、スリーブ部材503は、近位ベース504に対して取り付けられた別体部材を具備してなる。そうした例のあるものにおいては、スリーブ部材503は近位ベースに対して回動可能に取り付けられる。スリーブ部材503は、スプリングまたはその他の適当な付勢デバイスによって、閉状態となるように付勢できる。
ある形態では、スリーブ部材503は、穿孔部材520内へバッグ560の装填を可能とするために開かれる。スリーブ部材503は、バッグ506の装填後、その自然な閉常態へと復帰する。上述したように、バッグ560は、さまざまな方法で、近位ベース504内に固定できる。
図12Dは、ビン210に接続された閉ポジションとなるよう付勢されたスリーブ部材を有するアダプター500の実施形態を示す。ある実施形態では、穿孔部材520がビン210内に挿入される。ビン210から流体が取り出されるとき、バッグ560の内部とビン210の内部との間の圧力がバランスしなくなるので、バッグ560はビン210内で膨張させられ、これによってスリーブ部材530を強制的に開かせる。バッグ560は膨張し続け、さらにスリーブ部材503を分離させることができる。
図13は、複数のスリーブ部材603を具備してなるアダプター600の実施形態を示す。アダプター600は、上記アダプター200,300,500と多くの点で似ているが、以下で説明するように異なっている。ある実施形態では、アダプター600は医療用コネクターインターフェース640と、キャップコネクター630と、穿孔部材630とを具備してなる。ある実施形態では、穿孔部材620は、突出部626と、バッグコネクター682と、スリーブ622と、バッグ660とを具備してなる。ある形態では、インターフェース640とキャップコネクター630と突出部626とは、ポリカーボネート樹脂などの素材からなる単一部材から一体的に形成される。そうした形態のあるものにおいては、バッグコネクター682はまた、それと一体に形成される。
ある実施形態では、バッグ682は、好ましくは実質的に気密係合状態で、突出部626に対して取り付けられる。ある実施形態では、バッグコネクター682は突出部526の遠位延在部629を受けるよう構成されたチャンバー683を具備してなる。図示する実施形態では、バッグコネクター682およびチャンバー683は相補的なシリンダーを形成している。チャンバー683の一部、好ましくはその側壁は、接着剤、エポキシ樹脂あるいはその他の好適な手段で、遠位延在部629に対して接着できる。バッグコネクター682と近位部分682とを接合するために、さまざまなその他の形態を採用できる。
ある構造では、バッグコネクター682はまた、スリーブ622に対して取り付けられる。図14に示すように、ある構造では、スリーブ622は、そこから複数のスリーブ部材603が延在する近位ベース604を具備してなる。ある場合には、近位ベース604は開口605を備えていてもよい。さまざまな形態では、スリーブ622は、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つあるいは八つのスリーブ部材603を具備してなる。それ以上のスリーブ部材603もまた可能である。スリーブ部材603は協働で、バッグ660を収容するためのキャビティを形成できる。
図13を再度参照すると、バッグコネクター682の一部は近位ベース604の開口605を経て挿入できる。コネクター682および近位ベース604は、ある場合には、互いに接着でき、しかも別の場合には、摩擦嵌合によって互いに固定できる。他の取り付け方法も実施可能である。多くの場合、近位ベース604は固定されたままであり、一方、スリーブ部材603は動かすことができる。スリーブ部材603は上記スリーブ部材503に似ており、そしてそれゆえ、開状態あるいは閉状態となるように付勢できる。したがって、ある構造では、穿孔部材620が隔壁216を経て挿入されるまで、開状態となるよう付勢されたスリーブ部材603を閉状態で保持するためにジャケット(図示せず)が使用される。ある場合には、ジャケットは隔壁216とキャップコネクター630の内面との間に捕らえられ、これによってアダプター600とビン210との間に実質的に気密なシールを形成するのが促進される。
図示する実施形態では、バッグコネクター682はレギュレーターチャネル625の一部を備えるが、これはやはり、穿孔部材620の突出部626、キャップコネクター630、およびレギュレーター開口650を通って延在している。エキストラクターチャネル656は、エキストラクター開口646から、近位部626、キャップコネクター630および医療用コネクターインターフェース640を経て延在している。ある実施形態では、エキストラクター開口646はバッグ660から離間させられる。
ある場合には、バッグコネクター682は、それに対してバッグ660を接続できるノズル684を備える。図15Aおよび図15Bは、このノズル684の二つの実施形態を示している。図15Aに示す実施形態では、ノズル684はバッグ660の近位端部662に挿入されている。バッグ660は、たとえば接着剤、プラスチックスリーブ、熱シール、あるいは引っ張り嵌めなどの好適な手段によって、ノズル684に対して接続できる。バッグ360に関して先に説明したように、ある実施形態では、バッグ660の近位端部662が十分に太くかつ硬い場合に、実質的に気密な引っ張り嵌めが実現される。
図15bに示す実施形態では、ノズル684は一つ以上のクリップ延在部685を備える。ある実施形態では、単一のクリップ延在部685がノズル684を取り囲む。一つ以上のクリップ延在部685のそれぞれは爪686を備えかつ凹部687を有する。ある実施形態では、バッグ660の近位端部662の回りにカラー688が配置される。カラー688は、好ましくは、凹部687内にぴったりと嵌り、そして各クリップ延在部685の爪686によって適所で確実に保持されるようなサイズおよび形状とされる。この結果、一つ以上のクリップ延在部685は、カラー688と協働で、バッグ660の近位端部662とノズル684との間に実質的に気密なシールを形成する。
図15Aを再び参照すると、ある実施形態では、バッグ660は実質的に円柱形である。ある実施形態では、バッグ660の壁は、そのベースよりも厚みが大きい。ある実施形態では、バッグ660の壁は、約0.001インチないし0.004インチ、約0.001インチないし約0.002インチ、約0.002インチないし約0.003インチ、あるいは約0.003インチないし約0.004インチ厚である。他の構造では、壁は0.001インチ超、0.002インチ超、あるいは0.003インチ超の厚みである。さらに他の実施形態では、壁は約0.004インチ未満、約0.003インチ未満、あるいは約0.002インチ未満の厚みである。円柱状の形態は、標準的な医療用ビンはたいていそうであるがビン210の大部分が概ね円柱形である場合に、このビン210と共に使用するのに有利となり得る。円柱状のバッグ660は、ビン210の内部容積と実質的に一致する形状へと膨張できる。
図16に示すように、ある場合には、バッグ660は、多数のアーム661を有する星形状に折り込むことができる。各アーム661は、穿孔部材620が閉じられたときに、この穿孔部材620内にぴったり収まるように、折り込んだり、丸めたり、つぶしたり、あるいはその他の方法で処理できる。いかなる数のアーム661がバッグ660から形成されてもよく、ある場合には、アーム661の数はバッグ660が大きくなるにつれて増加する。別な形態では、バッグ660は、それが自然に星形断面を有しかつ実質的に円柱形のビン210を満たすように膨張できるよう形作られるか形成される。バッグ260に関して先に説明したように、バッグ660のその他の形態もまた可能であり、しかも同様の折り込みパターンを採用できる。
図17はアダプター601の実施形態を示しており、これは多くの点でアダプター600と似ているが、以下で説明するように異なっている。アダプター601は、部分的にレギュレーターチャネル625を形成している穿孔部材620を備え、しかもさらに、部分的にエキストラクターチャネル645を形成している補助穿孔部材690を備える。したがって、アダプター601は、ビン210と接合されたとき、二つの別な位置で隔壁216に孔をあける。
補助穿孔部材690は隔壁216に孔をあけるための、いかなる好適な素材から構成されていてもよい。さまざまな実施形態では、補助穿孔部材690は金属またはプラスチックから構成される。多くの形態では、二次穿孔部材690は穿孔部材620よりも著しく小さく、これによって両穿孔部材620,690を、隔壁216を経て、容易に挿入できるようになっている。さらに、小さな補助穿孔部材690はエキストラクター開口646を配置でき、これは、アダプター601がビン210に接続されたとき隔壁216の内面に隣接して、ある形態では補助穿孔部材690の先端に配置される。したがって、ビン210を上下逆転させたとき、ビン210の液状内容物のほとんどを取り出すことができる。
図18はアダプター602の実施形態を示しており、これは多くの点でアダプター600と似ているが、以下で説明するように異なっている。図示する実施形態では、エキストラクターチャネル645は穿孔部材620の近位部626を通って延在し、これによってエキストラクターチャネル646はスリーブ622内に、あるいはスリーブ622の外面に対して内側のポジションに配置されている。さらに一般化して言うと、エキストラクター開口646は、穿孔部材620内に、あるいは穿孔部材620の外面に内側のポジションに配置される。ある実施形態では、図示するように、バッグコネクター682はバッグ660をエキストラクター開口646から離間させるよう構成されており、これによってバッグ660が膨張するとき、流体は塞がれていない開口646を経て流れることができる。
ある実施形態では、リッジ694がキャップコネクター630の内面を取り囲むよう延在しており、しかもスリーブ部材630を閉状態で維持するのに使用されるジャケット(図示せず)を受けるための空間695を形成している。空間695は、ジャケットがかなりの長さを有するか、さもなければ大量の素材からなる場合に、特に有用なものとなり得る。
図19はビンアダプター700の実施形態を示している。ある実施形態では、アダプター700は、ハウジング部材706と、シース707と、バッグ挿入部材708とを具備してなる。ある実施形態では、ハウジング部材706は、穿孔部材720と、キャップコネクター730と、医療用コネクターインターフェース740とを具備してなるが、これらは、ある点で、本明細書で説明する、さまざまなその他のアダプターの実施形態の同様に参照数字を付与した特徴部に類似している。
ある実施形態では、医療用コネクターインターフェース740はハウジング部材706の近位延在部709から分岐している。医療用コネクターインターフェース740は、実質的に「y」字形のエキストラクターチャネル745のブランチを形成している。穿孔部材720および近位延在部709はエキストラクターチャネル745の残部を形成している。
ある実施形態では、キャップコネクター730は、ビン210(図示せず)のキャップ214に対してアダプター700を固定するための一つ以上の突出部737を具備してなる。ある実施形態では、キャップコネクター730は一つ以上のスリット739を具備してなるが、これは、キャップコネクター730が広がることを可能とすることによって、アダプター700のビン210に対する接続を容易にする。ある形態では、キャップコネクター730はスカート736を具備してなる。
穿孔部材720は本明細書で説明する穿孔部材に類似していてもよい。ある実施形態では、穿孔部材720は、ある角度をなす遠位端部723を具備してなり、これはバッグ挿入部材708がそれを通過することを可能とする。有利なことに、ある実施形態では、穿孔部材720は、ビン210内に短い距離だけ突出するよう構成される。したがって、キャップ214が下を向くようにビン210を配置した際に、ビン210から大量の流体を取り出すことができる。より短いことで、穿孔部材720はまた、ビン210内への挿入時に、屈曲や破損のリスクを伴わず、より薄い壁を有することができる。より薄い壁は、そうでなければ可能であろうよりも、より大きなバッグ760の装填を可能とすることができ、これによって、ある場合には、ビン210からの大量の流体の安全かつ正確な取り出しを可能とする。ある実施形態では、穿孔部材720はスカート736を越えては突出せず、これは穿孔部材720との偶発的な接触からユーザーを保護するのに役立つ。
ある実施形態では、ハウジング部材706の近位延在部709はシース707に接続される。ある場合には、近位延在部709とハウジング部材706とは、ネジ係合、スナップ係合、あるいは摩擦嵌め込み係合で接合される。ある場合には、近位延在部709とハウジング部材706とは、接着剤、エポキシ樹脂、超音波溶着などによって接合される。さらなる構造では、近位延在部709とハウジング部材706とは、単一の材料片から一体的に形成される。ある構造では、近位延在部709とハウジング部材706とは、実質的に気密状態で接続される。
ある実施形態では、近位延在部709とシース707とはシーリング部材715を適所に固定するように構成されている。ある形態では、近位延在部709は、その内周を取り囲むように延在する棚部717を具備し、かつ、シース707はその内周を取り囲むように延在するリッジ719を具備する。棚部717およびリッジ719はシーリング部材715を適所で緊張させるよう構成できる。ある構造では、シーリング部材715は棚部717およびリッジ719によって僅かに押し潰される。さらなる構造では、シーリング部材715は、接着剤あるいはその他の接着物質によって適所で保持される。他の実施形態では、シーリング部材715は、バッグ挿入部材708の溝内で保持される。
シーリング部材715は、バッグ挿入部材708とスライド可能に係合しながら、バッグ挿入部材708と実質的に気密なシールを形成するのに好適な素材から構成できる。ある場合には、シーリング部材715は、従来公知の標準的なOリングからなる。他の場合には、シーリング部材715は、たとえばビン210内に挿入されるための一方向にだけバッグ挿入部材708の移動を可能とするフランジまたはその他の構造体を備える。ある場合には、シーリング部材715とバッグ挿入部材708との間の実質的に気密なシールが、エキストラクターチャネル745の近位境界を画定する。
ある実施形態では、シース707はユーザーによって(さまざまな場合に、ユーザーの片手の1本、2本、3本あるいは4本の指で)把持されるためのサイズおよび寸法とされる。シース707は実質的に中空であってもよく、これによって、それを通ってバッグ挿入部材708が移動できるチャンバー751が形成される。ある実施形態では、チャンバー751はその遠位端部に向かって狭くなっている。シース707はまたスロット752を備えることができる。ある場合には、スロット752は実質的に一定の幅を有するが、他の場合には、スロット752はその遠位端部に向かって狭くなっている。スロット752は、以下で説明するように、ロック機構を備えることができる。
さまざまな構造において、タブ753はバッグ挿入部材708に取り付けられるか、あるいはそれと一体に形成される。タブ753はユーザーが(ある場合にはユーザーの親指によって)容易に操作できるようなサイズおよび寸法とすることができる。タブ753には、ユーザーが着用するかもしれない手袋が引っ掛かるのを防止するために、丸みを付与することができる。タブ753は、一般に、スロット752と協働するよう構成される。ある構造では、タブ753は、バッグ挿入部材753の近位端部からスロット752を通って半径方向外側に突出する。タブ753およびスロット752は、タブ753が、スロット752のある長さに沿ってスライドできるような寸法および形状とすることができる。ある構造では、スロット752の遠位端部は、タブ753がその中にぴったりと嵌るような寸法とされる。
図20Aおよび図20Bは、スロット752内のある固定ポジションでタブ753を固定するのに使用できる二つの別個のロック機構を示している。図20Aはクリップ754を示している。クリップ754はある角度をなす面755およびリッジ756を具備してなり、かつ、図示するように閉ポジションとなるように付勢されている。タブ753がスロット752の遠位端部に向かって前進させられるとき、それは面755に当接し、そして開ポジションとなるようにクリップ754を押しやる。いったんタブ753がスロット752の遠位端部まで前進させられると、クリップ754は、その自然な閉ポジションへと自由に復帰できる。したがって、リッジ756はタブ753の近位面に当接し、そしてタブ753を適所にて保持する。図示するように、ある構造では、タブ753がスロット752の遠位端部に達するまでクリップ754が本来の場所へと撥ね戻らず、そしてクリップ754がいったん本来の場所へと撥ね戻るとリッジ756の一部がクリップ754と接触したままとなるように、リッジ756は湾曲している。他の構造では、一つ以上のクリップ754を使用できる。たとえば、適所でロックされた際にタブ753により高い安定性を付与するために、スロット752の両側に一つのクリップ754を配置できる。他の場合には、一つ以上のクリップ754は、スロット752の側面から突出するリッジを具備してなり、かつ、シース707と一体に形成される。そうした場合には、クリップ754は、図示するものよりも実質的に小さくてもよく、しかもシース707とは別個に動けなくてもよい。
図20Bは、タブ753用のロック機構を提供できるスロット752の代替構造を示す。図示する実施形態では、スロット752は、タブ753の高さに対応する高さを有する横方向延在部757を具備してなる。したがって、いったんタブ753がスロット752の遠位端部まで前進させられると、タブ753は横方向延在部757内へと回転させることができる。ある場合には、タブ753は摩擦嵌合によって横方向延在部757内に固定される。別の場合には、クリップ754が使用できる。タブ753を適所でロックするための、その他の好適な手段が採用可能である。
再び図19を参照すると、ある実施形態では、バッグ挿入部材708は、タブ753を適所で確実にロックするのを助けるよう構成されたフランジ754を具備してなる。フランジ754はバッグ挿入部材708に対して取り付けることが、あるいはそれと一体に形成することができ、しかもある場合には、タブ753を備えた単一部品から構成される。上述したように、ある構造では、チャンバー751は、シース707の遠位端部に向かって狭くなっている。したがって、バッグ挿入部材708がシース707の遠位端部に向かって前進させられるとき、フランジ754はチャンバー751の側壁に当接し、これによってバッグ挿入部材708の近位端部の動きが制限される。
ある実施形態では、バッグ挿入部材708は中空シャフト753を具備してなる。ある構造では、シャフト753は、シース707の近位端部から穿孔部材720の遠位端部723へと延在する。シャフト753は、それを通って周囲の空気が流動できるレギュレーターチャネル725を備えることができる。
ある構造では、エキストラクターチャネル745内にバッグ760のための空間を付与するために、バッグ挿入部材708はその遠位端部に厚みの小さな壁を備える。バッグ760は、バッグ260に関して先に説明したような、何らかの好適な手段によって、バッグ挿入部材708に対して取り付けることができる。ある構造では、バッグ760の遠位端部762のみがバッグ挿入部材708に対して取り付けられ、これによってバッグ760の残部はビン210内で自由に膨張できるようになる。ある場合には、バッグ760は、ビン210の容積に適合するために実質的に円筒形となる。バッグ760は、横方向および縦方向の両方に膨張するよう構成できる。
ある実施形態では、バッグ挿入部材708は、バッグ760が穿孔部材720の遠位端部723を通って流体が流れるのを妨害しないことを保証するのに十分なビン210内の距離まで、バッグ760を前進させるよう構成されている。上述したように、ある実施形態では、バッグ挿入部材708は、それがいったんビン210内へと前進させられると、適所にてロックされる。バッグ挿入部材708は、一般に、その後、ビン210から引き抜くことはできないので、バッグ760が横方向に広がった後、遠位端部723上でバッグ760に穴があいたり、裂けたりする可能性は低い。
アダプター700を使用するためのあるプロセスは、アダプター200に関して先に説明したプロセスに多くの点で似ており、しかもそれは、以下で説明するような付加的なあるいは代替的な処置を含んでいてもよい。ある場合には、アダプター700がいったんビン210に結合されると、タブ753がスロット752に沿って遠位方向に前進させられ、これによってバッグ760はビン210の内部に向かって前進させられる。ある場合には、タブ753は、スロット752の遠位端部において適所でロックされる。ある場合には、ユーザーは、片手の1本以上の指でシース707を把持し、そしてタブ753が適所にてロックするまで手の親指を用いてタブ753をスロット752内で遠位方向に前進させる。その他の把持形態もまた採用可能である。
ある場合には、流体は、遠位端部723を通り、そしてエキストラクターチャネル745を通ってビン210から取り出され、しかもバッグ760は、この結果として、空気によって膨張する。空気は、レギュレーター開口750を通り、レギュレーターチャネル725を通って、バッグ760内へと流動できる。他の場合には、流体はエキストラクターチャネル745および遠位端部723を経てビン210内に注入され、そして空気はバッグから押し出される。排出された空気は、レギュレーターチャネル725を通って逆の経路をたどることができる。
図21は、アダプター800の実施形態を分解状態で示す。アダプター800は、ハウジング部材806と、バッグ860と、ケーシング部材870とを具備してなる。ある実施形態では、アダプター800は、流体がそこから取り出されるとき、ビン210に殺菌空気を供給するよう構成される。
図21、図22および図23を参照すると、ある実施形態では、ハウジング部材806は、キャップコネクター830と、穿孔部材820と、近位延在部809とを具備してなり、これらは、ある構造では、単一の材料片から一体的に形成される。ある実施形態では、ハウジング部材830は、ポリカーボネート樹脂から構成される。
キャップコネクター830は、多くの点で、同様に数字が付された上記キャップコネクターに似ている。ある場合には、キャップコネクター830は、一つ以上の突出部837および/または一つ以上のスリット839を具備してなる。ある構造では、内側リング835および外側リング837が、キャップコネクター830の近位面から突出している。内側リング835は、以下で説明するように、バッグ860と結合するよう構成できる。外側リング836は、好ましくは、本明細書で説明するものを含む、何らかの好適な手段によって実質的に気密係合状態で、ケーシング部材870と結合するよう構成できる。
ある構造では、穿孔部材820はキャップコネクター830の中央部分から遠位方向に延在しており、かつ、近位延在部809はキャップコネクター830の中央部から近位方向に延在している。共同で、穿孔部材820と近位延在部809とは、レギュレーターチャネル825およびエキストラクターチャネル845の両方の外側境界を画定している。内壁827は、レギュレーターチャネル825とエキストラクターチャネル845との間の内側境界を画定している。
ある構造では、穿孔部材820は、アダプター800がそれと接続された際に、ビン210内に位置させられるよう構成された遠位レギュレーター開口850aを備える。この遠位レギュレーター開口850aはビン210とレギュレーターチャネル825との間の流体連通を可能にする。穿孔部材820はまた、遠位エキストラクター開口846aを備えることができる。有利なことに、遠位エキストラクター開口846aは、アダプター800がビン210と接続された際に、隔壁216の内面に隣接して位置させられるよう構成でき、これによってエキストラクターチャネル845を経て、ビン210から、液体のほとんどあるいは全てを取り出すことが可能となる。
ある形態では、近位延在部809は近位レギュレーター開口850bを備えるが、これはバッグ860とレギュレーターチャネル825との間の流体連通を可能とする。近位レギュレーター開口850bは、レギュレーターチャネル825の外側境界を画定する近位延在部809の一部の長さに沿って、どこに配置されてもよく、しかも、さまざまなサイズを有することができる。ある場合には、近位レギュレーター開口805bは近位延在部809の長手方向中央に、あるいはそれに隣接して配置される。ある形態では、近位延在部809の上記部分の目的は主として構造的なものである。したがって、ある構造では、この部分は省略され、そして近位レギュレーター開口850bは、その代わりに、キャップコネクター830によって形成される。近位延在部809はまた、近位エキストラクター開口846bを備えることができるが、これは、医療用コネクターインターフェース840とエキストラクターチャネル845との間の流体連通を可能とする。
図21および図23を参照すると、ある実施形態では、ケーシング部材870はバッグ860を収容するためのキャビティ871を備えている。ケーシング部材870は医療用コネクターインターフェース840を備えることができるが、これは、多くの点で、同様に数字が付された上記医療用コネクターインターフェースに似ている。ある構造では、医療用コネクターインターフェース840のベース部は、近位延在部809の近位端部872を受けるよう構成される。ある構造では、近位端部872は、本明細書で説明するものを含む、何らかの好適な手段によって実質的に気密係合状態で、ケーシング部材870に対して取り付けられる。ある構造では、ケーシング部材870は通気開口873を備える。通気開口873は周囲の空気がチャンバー870に流入することを可能とし、これによって、以下でさらに詳しく説明するように、バッグ860の外面は大気圧にさらされる。ケーシング部材870は、以下で説明するように、このケーシング部材870をバッグ860に結合するための近位リング874を具備してなることができる。ケーシング部材870は、好ましくは、バッグ860を保護することができる硬質な素材からなり、しかもある場合には、ポリカーボネート樹脂からなる。
ある構造では、バッグ860は近位フランジ861と遠位フランジ862とを具備してなる。近位フランジ861は、ケーシング部材870の近位リング874と結合するようなサイズおよび形状とすることができ、しかも遠位フランジ862は、好ましくは実質的に気密係合状態で、ハウジング部材806の内側リング835と結合するようなサイズおよび形状とすることができる。ある場合には、実質的に気密な係合は、バッグ860の残部よりも硬質でかつ/または厚みの大きな材料からなるフランジ861,862によって実現される。さらなる構造では、フランジ861,862の内径は、それぞれ、リング874,835の外径よりも僅かに小さい。ある構造では、フランジ861,862は、それぞれ、リング874,835に対して接着される。
さまざまな形態では、フランジ861,862の一方の内径は、約0.10ないし約0.40インチ、約0.15ないし約0.35、あるいは約0.20ないし約0.30インチである。他の形態では、この内径は、少なくとも約0.10インチ、少なくとも約0.15インチ、少なくとも約0.20インチ、あるいは少なくとも約0.25インチである。さらに他の形態では、内径は約0.30インチ以下、約0.35インチ以下、あるいは約0.40インチ以下である。ある実施形態では、内径は約0.25インチである。
さまざまな形態では、フランジ861,862の先端から先端までを測ったときの、バッグ860の高さは、約1.00ないし3.00インチ、約1.50ないし2.50インチ、あるいは約1.75ないし約2.25インチである。他の形態では、この高さは少なくとも約1.00インチ、少なくとも約1.50インチ、少なくとも約1.75インチ、あるいは少なくとも約2.00インチである。さらに他の形態では、この高さは、約2.25インチ以下、約2.50インチ以下、あるいは約3.00インチ以下である。ある実施形態では、この高さは約2.00インチである。
さまざまな形態では、バッグ860の幅は約0.80インチないし約1.00インチ、約0.85インチないし約0.95インチ、あるいは約0.87インチないし約0.89インチである。他の形態では、この幅は少なくとも約0.80インチ、少なくとも約0.85インチ、あるいは少なくとも約0.87インチである。さらに他の実施形態では、この幅は約0.89インチ以下、約0.95インチ以下、あるいは約1.00インチ以下である。ある形態では、この幅は約0.875インチである。ある形態では、バッグ860の厚みは約0.0005インチないし約0.010インチである。多くの構造では、バッグ860は、製造あるいは使用中に裂けたり孔があいたりしない程度の十分な厚みを有するが、比較的小さな圧力差(たとえば約1psi以下、約2psi以下、約3psi以下、約4psi以下、あるいは約5psi以下の圧力差)のもとで収縮する程度の十分な柔軟性を有する。
ある実施形態では、バッグ860は、回転対称であり、かつ、バッグ860の中心を通る長手方向平面に関して対称である。そうした実施形態では、アダプター800の組み立ては簡素化されるが、これは、バッグ860が、アダプター800内で、多数の等しく受け入れ可能な様態のいずれかを呈することができるからである。
ある構造では、バッグ860は、流体がそこから取り出されるとき、ビン210(図示せず)内に取り込むことができる殺菌空気を含む。ある構造では、バッグ860内の空気は、アダプター800が使用されることになる大体の大気圧と一致するように加圧される。ある場合には、取り外し可能なカバーまたはタブ875(図22に示す)が、バッグ860内の圧力を維持するために、そしてバッグ860内の空気がアダプター800をビン210に接続する間、完全な滅菌状態のままであることを保証するために、遠位レギュレーター開口850aの上に配置される。先に説明したジャケット505のように、タブ875は、穿孔部材820が隔壁216を貫通して挿入されるとき、隔壁216に引っ掛かり、そしてそこに留まるよう構成できる。バッグ860内の圧力を維持し、そしてバッグ860内の空気がアダプター800をビン210に接続する間、完全な滅菌状態のままであることを保証するために、その他の適切な方法もまた使用可能である。
ある場合には、アダプター800がビン210と接続されるとき、エキストラクターチャネル845内の大気圧はバッグ860内の圧力と一致する。流体がビン210から取り出されるとき、ビン210内の圧力は降下する。したがって、殺菌された空気はバッグ860からビン210内に流動する。他のアダプターに関連して先に説明した理由から、ある実施形態では、バッグ860は、ビン210内に収容された流体の体積と等しいか、あるいはそれを上回る体積の空気を含む。ある構造では、バッグ860はまた、好ましくは、容易に潰れるよう構成される。
ある形態では、流体がビン210から取り出されるとき、それは、遠位エキストラクター開口846a、エキストラクターチャネル845、近位エキストラクター開口846b、そして医療用コネクターインターフェース840を通って流れる。ビン210内で圧力が降下するとき、殺菌空気は、バッグ860から引き出され、近位レギュレーター開口850bを通り、レギュレーターチャネル825を通り、遠位レギュレーター開口850aを通り、そしてビン210内に入る。
ある場合には、超過流体および/または気泡はビン210へ戻される。流体および/または空気をビン210内に注入することによってビン210内の圧力が増大する。その結果、ある構造では、ビン210内の空気および/または流体は、遠位レギュレーター開口850aを経て、レギュレーターチャネル825内へと流れる。ある場合には、空気および/または流体はさらにバッグ860内に流れ込む。多くの場合、流体がバッグ860内に流れ込むのを阻止することが望ましい。したがって、ある構造では、近位レギュレーター開口850bは、空気がそれを通って流れることは可能とするが、バッグ860に流体が流入するのには抗するよう小さなものであってもよい。他の構造では、疎水性フィルター、膜、あるいはメッシュが近位レギュレーター開口850bの上に配置される。アダプター800は、それゆえ、注射器あるいはその他の医療用器具からの超過流体あるいは気泡の排出を可能とするのに特に適したものとすることができる。
図24は、ビン210と接続されたビンアダプター900の実施形態を示している。アダプター900は、医療用コネクターインターフェース940と、キャップコネクター930と、穿孔部材920とを具備してなる。アダプター900はさらに、導入ポート980とレギュレーターポート981とを具備してなる。ある実施形態では、ポート980,981は、アダプター900のバランスをとるために、アダプター900の両端に配置される。図示するように、ある実施形態では、単一のハウジングは上記特徴部のそれぞれを備えている。このハウジングは、いかなる硬質な素材(たとえばプラスチック)から構成されてもよい。
ある実施形態では、医療用コネクターインターフェース940およびキャップコネクターインターフェース930は、同様に数字が付された上記特徴部を備える。図示する実施形態では、キャップコネクター930はプラットフォーム939を備える。
ある実施形態では、穿孔部材920は、エキストラクター開口946と、エキストラクターチャネル945の遠位部と、レギュレーター開口950と、レギュレーターチャネル925の遠位部とを有する。開口946,950は、図示するように、穿孔部材920の側面に、すなわちその遠位端部923に配置できる。
ある実施形態では、エキストラクターチャネル945は、穿孔部材920を通り、キャップコネクター930を通り、そして医療用コネクターインターフェース940を通って延在している。レギュレーターチャネル925は、穿孔部材920を通り、キャップコネクター930を通って、ポート980,981へと延在している。
ある実施形態では、導入ポート980は疎水性フィルター990を具備してなる。そうしたフィルターは一般に従来公知である。フィルター900は、ダスト、バクテリア、病原菌、胞子、およびその他の汚染物質がビン210内に侵入するのを阻止する。ある実施形態では、導入ポート980はバルブ984を具備してなる。バルブ984は、フィルター990を通過した空気がレギュレーターチャネル925内に流入することを可能とするが、他の方向には空気または流体がバルブ984を通過するのを阻止するよう構成されている。
ある実施形態では、レギュレーターポート981は疎水性フィルター991を具備してなる。ある場合には、フィルター991はフィルター990と同じものである。だが、多くの実施形態では、疎水性フィルターは、それがダスト、バクテリアなどを濾過できるか否かに関係なく、液体または蒸気がそれを通過するのを阻止できるだけでよい。多くの実施形態では、レギュレーターポート981は、このポート981と実質的に気密係合状態となったバッグ960を具備してなる。ある場合には、バッグ960は、膨張および収縮可能なフレキシブルな素材からなる。多くの場合、バッグ960は実質的に不透過性の素材からなる。ある形態では、バッグ960は、Mylar(登録商標)ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、サラン、ラテックスゴム、ポリイソプレン、シリコーンゴム、およびポリウレタンからなる。
ある形態では、エキストラクターチャネル945を経てビン210から流体が取り出されるとき、周囲の空気は、フィルター990を通り、バルブ984を通り、レギュレーターチャネル925を通り、そしてビン210内へと流動する。(まだ膨張していない場合)バッグ960は、ビン210内の圧力が大気圧よりも低くなるので、レギュレーターポート981内で膨張しようとする。
ある形態では、流体および/または空気がビン210に戻されるとき、ビン210内の圧力は増大する。流体はそれゆえレギュレーターチャネル925内に押しやられる。バルブ984は流体がそれを通過するのを阻止するので、流体はレギュレーターチャネル925を満たし、そしてバッグ960をしぼませる。ビン210内に戻る流体の体積がバッグ960の容積よりも小さい限り、ビン210内の圧力は一般に著しく増大することはない。だが、いったんバッグ960が完全に潰れると、さらにビン210に流体が戻ることで、一般にビン210内の圧力は増大する。したがって、ある構造では、バッグ960のサイズは、上記の圧力に関連する問題を引き起こすことなく、ビン210に戻すことができる超過取り出し流体の量を決定する。さまざまな実施形態では、バッグ960は(膨張時に)約0.5ccないし5ccの、約1ccないし4ccの、あるいは約1.5ccないし約2ccの容積を有する。ある実施形態では、この容積は約2cc以下、あるいは約1cc以下である。ある場合には、アダプター900は、たとえば約1ccあるいは約2ccの容積を持つ比較的小さなバッグ960を収容するが、これは、アダプター900が過度に嵩張るのを抑えながら、気泡あるいは少量の超過取り出し流体が戻ることを可能とする。
ある実施形態では、疎水性を有するフィルター990,991の存在は予備的なものであってもよく、そして認可されないかもしれない。原則として、バルブ984および実質的に不透過性のバッグ960は、流体がビン210からアダプター900の外部に漏れるのを阻止しなければならない。だが、万一、バルブ984が故障するかあるいはバッグ960が破れた場合、疎水性フィルター990,991は流体がアダプター900から流出するのを阻止する役割を果たすことができる。同様に、ある場合には、しぼむことが可能なバッグ960はレギュレーターポート991から取り外され、かつ/またはバルブ984はアダプター900の機能に影響を与えることなく導入ポート980から取り外される。
図25は、ビン1210に接続されたアダプター1000の実施形態を示す。アダプター1000は、医療用デバイスインターフェース1040と、キャップコネクター1030と、穿孔部材1020とを具備してなるが、それらはいずれも、多くの点で、同様に数字が付された上記特徴部に類似している。ある実施形態では、アダプター1000は、ビン1210から流体を取り出すためのエキストラクターチャネル1045を具備してなるが、レギュレーターチャネルは備えていない。ビン1210は、以下で説明する点を除いて、ビン210に似ている。
ある実施形態では、ビン1210は、好ましくは実質的に気密係合状態で、バッグ1260と一端において接続されたレギュレーター管路1215を具備してなる。ある実施形態では、レギュレーター管路1215は、隔壁216を通り、そしてケーシング218を通って延在している。そうした実施形態では、通常はユーザーが認識可能な隔壁216の一部は、図26に示すように、管路1215の存在によって実質的に影響を受けない。したがって、ユーザーは、一般に、穿孔部材1020をレギュレーター管路1215内にあるいはその上に誤って挿入しようとする危険を冒さないであろう。他の実施形態では、レギュレーター管路1215は隔壁216のみを貫通して延在している。さらに他の実施形態では、レギュレーター管路1215は、ビン1210の本体212を通って延在している。ある実施形態(特に針を備えた注射器がビン1210に孔をあけることを意図されているもの)では、針によってバッグ1260に孔があくのを阻止するために、レギュレーター管路1215は、図示する実施形態に関して示すよりも実質的に長いものであってもよい。ある場合には、レギュレーター管路1215は、針がビン1210内に突出できる最大距離よりも、さらにビン1210内に突出可能である。レギュレーター管路1215は、ビン1210の内壁からの距離の少なくとも約1/4、1/3、1/2、3/4だけ、あるいは実質的にその全体にわたって突出できる。レギュレーター管路1215はまた、規格ビンのネック部分の湾曲形状に適合するように湾曲していてもよい。こうしてレギュレーター管路1215は、隔壁216に孔をあける針あるいは穿孔部材1020から可能な限り遠くにバッグ1260を位置させるのを助けることができる。ある場合、ビン1210は、医療用流体で満たされ、僅かに真空とされ、そして続いて気密シールされる。多くの実施形態では、バッグ1260は、概して潰された状態で、シールされたビン1210内に収容される。だが、バッグ1260の内部に作用する大気圧は、ある場合には、シールされたビン1210内で、それを僅かに膨張させることができる。
アダプター1000はビン210に接続できる。ある場合には、穿孔部材1020の挿入によってビン1210内に僅かな圧力変化が生じるが、これは、穿孔部材1020から離れるようにバッグ1260を押しやる。ある構造では、穿孔部材1020は隔壁216の遠位面を僅かに越えて突出しており、そしてバッグ260から離間している。本明細書で開示するアダプターは、規格医療用ビンと接続されるよう構成された、さまざまなその他のアダプターが可能であるように、ビン1210と接合できることは明らかである。流体がビン1210から取り出されるとき、あるいはビン1210内に注入されるとき、バッグ1260は、本明細書で説明するように、膨張するかあるいは収縮する。
ある実施形態では、ビン1210は一つ以上の延在部1230を具備してなる。延在部1230は、図示するように、キャップ214の周囲を取り囲むように配置でき、あるいはキャップ214上の他のポイントに配置できる。ある場合には、一つ以上の延在部1230は、キャップ214の遠位側に、キャップ214の近位側に、かつ/またはキャップ214の近位側および遠位側間で延在する面の周りに配置される。多くの構造では、延在部1230は、キャップ214の周囲を取り囲むように短い距離だけ突出している。多くの構造では、延在部1230は、ビンアダプター1000がビン1210に接続された際に、キャップ214とキャップコネクター1030との間のスペースを維持し、これによって周囲の空気が自由にレギュレーター管路1215内に流入し、かつ/またはそこから流出することが可能となる。他の実施形態では、ビンアダプター1000は、同じ目的のために延在部1230を備える。空気が自由にレギュレーター管路1215内に流入し、かつ/またはそこから流出することを可能とするための、その他の構造を採用することも可能である。たとえば、ビンアダプター1000は、キャップコネクター1230を通って延在する通気チャネル(図示せず)を備えることができる。
図27は、アダプター1000に接続されたバッグ1360を具備してなるビン1310の実施形態を示している。ある実施形態では、バッグ1360は医療用流体1320で満たされる。バッグ1360の遠位端部1362はキャップ214に対して気密シールすることができる。ある場合には、遠位端部1362は隔壁216と本体212の近位端部との間でシールされる。ある実施形態では、ビン1310は通気孔1325を具備してなる。通気孔1325は本体212のどこにでも配置できる。ある構造では、通気孔1325は本体部212の遠位端部に配置される。したがってバッグ1360は、上下逆転状態のビン1310から流体が取り出されるとき、通気孔1325を塞がない。ある場合には、通気孔1325は、ゴミやその他の物体がビン1310に入り込むのを、そしてことによるとバッグ1360を傷付けるのを防止するために、フィルターまたはスクリーンで覆われる。
ある場合には、ある体積の流体がビン1310から取り出されるとき、バッグ1360は、取り出された流体の量を占めるために、新しいより小さな体積へと収縮する。ある場合には、通気孔1325によって、バッグ1360の周囲の圧力および流体を取り出すのに使用される器具(たとえば注射器)に作用する圧力は、ビン1310から流体を取り出すのをやめたときに等しくなる。したがって、ビン1310からの流体の取り出しは、多くの点で、本明細書で説明するその他の方法およびシステムと類似していてもよい。
図28は、バッグ1460を具備してなるビン1410の実施形態を示す。ある構造では、ビン1410は、好ましくは実質的に気密係合状態で、バッグ1460と一端において接続されたレギュレーター管路1415を具備してなる。ある形態では、レギュレーター管路1415は、中央壁1417と外壁1419を具備してなる。ある構造では、中央壁1417は隔壁216を二分し、隔壁216の直径に沿って延在している。中央壁1417はフランジ1420を備えることができるが、これは、ケーシング218によって覆われていないその一部に沿って隔壁216から近位方向に延在している。ある構造では、外壁1419は、隔壁216と本体212の近位端部との間で、実質的に気密係合状態でシールされる。ある形態では、外壁1419は実質的に半円形である。
したがって、ある実施形態では、隔壁216は、レギュレーター管路1415によって、二つの部分に分割される。隔壁216の一部に孔をあけることによってビン1410の内容物に対してアクセス可能となり、しかも隔壁216の他の部分に孔をあけることによってレギュレーター管路1415およびバッグ1460に対してアクセス可能となる。ある形態では、隔壁216の異なる部分を指し示すために、隔壁216の少なくとも近位面は着色されるか、ペイントされるか、その他の方法で目印が付けられる。
図29は、ビン1410に接続されたアダプター1500の実施形態を示す。アダプター1500は、医療用コネクターインターフェース1540とキャップコネクター1530とを具備してなるが、これらは、同様に数字が付された上記特徴部と類似している。キャップコネクター1530は、フランジ1420を受けるのに、あるいはそれとの接触を避けるのに十分な深さを有する溝1531を備えることができる。
ある形態では、アダプター1500は、エキストラクター穿孔部材1521およびレギュレーター穿孔部材1522を具備してなる。ある実施形態では、エキストラクター穿孔部材1521は、隔壁216の遠位面を僅かに越えて突出するよう構成される。したがって、ある場合には、レギュレーター穿孔部材1522はエキストラクター穿孔部材1521よりも長く、これによって穿孔部材1521,1522を互いに区別するための手段が提供される。穿孔部材1521,1522を区別するためのその他の方法もまた採用可能である。アダプター1500には、隔壁216の異なるセクションとの対応を指し示すために、着色したり、ペイントしたり、その他の方法で目印を付けたりすることができる。
ある場合には、エキストラクター穿孔部材1521は、ビン1410の液状内容物との流体連通を実現し、そしてレギュレーター穿孔部材1522はバッグ1460の液状内容物との流体連通を実現する。したがって、アダプター1500を介したビン1410からの液体の取り出しは、多くの点で、本明細書で説明するその他の液体取り出し方法およびシステムと同様であってもよい。
図30は、分解状態でアダプター1600の実施形態を示す。アダプター1600は、ビン、たとえば上記ビン210と接続可能である。アダプター1600は、多くの点で、上記アダプターに類似するが、以下で説明する点で異なっている。アダプター1600および/または本明細書で説明する他のアダプターに関して説明する特徴部、構造体あるいは特性は、どのようにでも適当に組み合わせることができる。ある実施形態では、アダプター1600は、プラグ1601と、バッグ1660と、チャネルハウジング部材1670と、チップ1624と、スリーブ1680と、キャップコネクター1630と、シュラウド1690とを具備してなる。他の実施形態では、アダプター1600は上記特徴部あるいは構造体の全ては備えていない。たとえば、ある実施形態では、アダプター1600は、プラグ1601、スリーブ1680、および/またはシュラウド1690を備えていない。ある構造では、チャネルハウジング部材1670およびキャップコネクター1630は、図示するように、別個の部材からなる。他の構造では、チャネルハウジング部材1670およびキャップコネクター1630は、単一の材料片から一体的に形成される。
ある実施形態では、アダプター1600は穿孔部材1620を具備してなる。ある実施形態では、穿孔部材1620はチップ1624およびシース1622を具備してなるが、一方、他の実施形態では、穿孔部材1620はチップ1624を備えていない。ある構造では、チップ1624はシース1622と別体である。ある場合には、チップ1624はスリーブ1680によって、シース1622に対して固定される。スリーブ1680は、シース1622が隔壁216を貫通して挿入された際に、隔壁216にくっ付くよう構成でき、これによってビン210の外部に留まる。ある場合には、スリーブ1680は上記ジャケット505に似ていてもよい。さまざまな構造において、スリーブ1680は、熱収縮チュービング、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、サラン、ラテックスゴム、ポリイソプレン、シリコーンゴム、あるいはポリウレタンからなる。
図31および図32を参照すると、ある実施形態では、チャネルハウジング部材1670は、医療用コネクターインターフェース1640と、半径方向延在部1672と、シース1622とを具備してなる。ある場合には、医療用コネクターインターフェース1640、半径方向延在部1672およびシース1622は、単一の材料片から一体的に形成される。多くの場合、チャネルハウジング部材1670は、たとえばポリカーボネート樹脂のような硬質な素材からなる。
医療用コネクターインターフェース1640は、多くの点で、本明細書で説明する他の医療用コネクターインターフェースと似ていてもよい。ある構造では、医療用コネクターインターフェース1640はエキストラクターチャネル1645の近位端部を形成する。ある構造では、医療用コネクターインターフェース1640はチャネルハウジング部材1670の軸心からオフセットしている。
ある構造では、医療用コネクターインターフェース1640は非対称であり、そしてある場合には、そのベースにへこみ1641を備える。ある場合、へこみ1641は、図32に示すように、その別な側部よりもよりテーパーが付けられ、かつ/または厚みの小さな側壁を有する医療用コネクターインターフェース1640の一方側の側部からなる。他の場合には、へこみ1641は、医療用コネクターインターフェース1640の二つ以上の側部に異なるように形成された側壁からなり、一方、側壁の厚みは医療用コネクターインターフェース1640の所与の横方向断面において実質的に変化しない。以下で説明するように、ある場合には、へこみ1641は、アダプター1600の組み立てを容易なものとし、かつ/または、より大きなバッグ1660の使用を可能とする。
ある実施形態では、半径方向延在部1672は、チャネルハウジング部材1670の軸心から外側に突出している。ある構造では、半径方向延在部1672は、エキストラクターチャネル1645が半径方向延在部1672を通って延在するように、医療用コネクターインターフェース1640のベースに配置される。さらなる構造では、半径方向延在部1672はバッグ挿入開口1674を備える。ある場合、棚部1676(図30、図32および図33に示す)は、医療用コネクターインターフェース1640のベースからバッグ挿入開口1674を分離させる。バッグ挿入開口1674は、さまざまな形状を呈することができる。図示する実施形態では、バッグ挿入開口1674は実質的に半円形であり、棚部1676が半円の平端部を形成している(図30参照)。
図31から図34を参照すると、シース1622は、多くの点で、本明細書で開示する他のシースに似ていてもよい。ある実施形態では、シース1622の軸方向の長さは、半径方向延在部1672と実質的に直交している。ある構造では、シース1622は、エキストラクターチャネル1645の少なくとも遠位部分を形成している。ある場合、エキストラクターチャネル1645の一部を形成するシース1622の側壁の一部は、側壁の他の部分よりも厚みが小さい(図32および図33参照)。さらなる構造では、シース1622は、バッグ1660の少なくとも一部を収容するためのキャビティ1629を有する。ある場合には、エキストラクターチャネル1645およびキャビティ1629は内壁1627によって分離させられる。シース1622は、概して中空で、かつ遠位端部1623にて終端をなしていてもよい。
図31、図32および図34を参照すると、ある実施形態では、エキストラクター開口1646は、エキストラクターチャネル1645の遠位端部において、シース1622の側壁を貫通して延在している。ある構造では、エキストラクター開口1646は実質的に円形である。さまざまな場合、エキストラクター開口1646の直径は、約0.020インチないし約0.060インチ、約0.030インチないし約0.050インチ、あるいは約0.035インチないし約0.045インチである。別の場合、この直径は約0.020インチ超、約0.030インチ超、あるいは約0.035インチ超である。さらに他の場合、この直径は約0.060インチ未満、約0.050インチ未満、あるいは約0.045インチ未満である。ある場合、この直径は約0.040インチである。
以下で説明するように、ある構造では、エキストラクター開口1646は、アダプター1600がビン210に接続された際に、隔壁216に隣接するよう構成される。さまざまな場合、エキストラクター開口1646の中心は、半径方向延在部1672(図32参照)の遠位面1679から、約0.25インチないし約0.35インチ、約0.28インチないし約0.32インチ、あるいは約0.29インチないし約0.31インチの距離だけ離間している。別の場合、この距離は約0.25インチ超、約0.28インチ超、あるいは約0.29インチ超である。さらに他の場合、この距離は、約0.35インチ未満、約0.32インチ未満、あるいは約0.31インチ未満である。ある場合には、この距離は約0.305インチである。
図31および図34を参照すると、ある実施形態では、溝1678はエキストラクター開口1646から遠位方向に延在している。ある構造では、溝1678はシース1622の長さに沿って延在する。他の構造では、溝1678は、シース1622の長さに対して、ある角度をなして延在する。溝1678は実質的に直線状であっても、あるいは湾曲していてもよい。ある構造では、溝1678は実質的に一定の深さおよび幅を有する。他の構造では、この深さおよび/または幅は溝1678の長さに沿って変化する。ある場合、溝1678の断面形状は、図34に示すように非対称である。したがって、溝1678の深さは、溝1678の一方側から他方側に向かって変化していてもよい。
ある構造では、溝1678の長さは、約0.15インチないし約0.35インチ、約0.20インチないし約0.30インチ、あるいは約0.23インチないし約0.27インチである。他の構造では、この長さは約0.15インチ超、約0.20インチ超、あるいは約0.23インチ超である。さらに他の構造では、この長さは約0.35インチ未満、約0.30インチ未満、あるいは約0.27インチ未満である。ある実施形態では、この長さは約0.25インチである。
さまざまな構造において、溝1678の幅は約0.010インチないし約0.030インチ、約0.015インチないし約0.025インチ、あるいは約0.018インチないし約0.022インチである。他の構造では、この幅は、約0.010インチ超、約0.015インチ超、あるいは約0.018インチ超である。さらに他の構造では、この幅は約0.030インチ未満、約0.025インチ未満、あるいは約0.022インチ未満である。ある実施形態では、この幅は約0.020インチである。
さまざまな構造において、溝1678の深さ(溝1678の断面形状の最高ポイントと最低ポイントとの間で測った場合)は、約0.020インチないし約0.040インチ、約0.025インチないし約0.035インチ、あるいは約0.030インチないし約0.034インチである。他の構造では、この深さは約0.020インチ超、約0.025インチ超、あるいは約0.030インチ超である。さらに他の実施形態では、この深さは約0.040インチ未満、約0.035インチ未満、あるいは約0.034インチ未満である。ある実施形態では、この深さは約0.032インチである。
ある場合、たとえば流体が高価な薬品である場合には、ビン210内の流体の実質的に全てを取り出すことが望ましい。したがって、ある構造では、アダプター1600がビン210に接続されるとき、エキストラクター開口1646が隔壁216に可能な限り近接していることが好ましく、これによって最大量の流体をビン210から取り出すことができる。だが、隔壁216の、あるいはさらに一般的にはキャップ214の正確な寸法は、同じ種類およびサイズの異なるビン210の間で変化し得る。さらに、アダプター1600は、サイズによってあるいは製品の源によって変化する、ある取り合わせのビン210につながるよう構成できる。こうした変化はまた、キャップ寸法の変化を、そして結果的に、隔壁216に対するエキストラクター開口1646の位置の変化を引き起こすことがある。有利なことに、たとえエキストラクター開口1646が隔壁216によって部分的にあるいは完全に塞がれても、溝1678はエキストラクター開口1646に至る流路を提供できる。多くの場合、溝1678は、隔壁216に対するエキストラクター開口1646の正確な向きに関係なく、ビン210の流動性内容物の実質的に全ての取り出しを可能とする。
ある場合には、溝1678は、隔壁216が溝1678を通る流体の流れを遮らないようなサイズおよび寸法とされる。多くの構造では、隔壁216は、それを貫通して挿入される物体の形状に従い、たいていはこの物体と共に液密シールを形成する柔軟な素材から構成される。したがって、ある場合には、溝1678のエッジは十分に鋭利に屈曲しており、かつ、溝1678の深さは、隔壁216が溝1678の形状に完全に従うのを阻止するのに十分なほど大きなものである。したがって、隔壁216によって満たされていない流体通路が、隔壁216と溝1678の容積(空間)との間に残存する。
ある場合には、溝1678は、シース1622の中心に真っ直ぐに向かうのではなく、ある角度でシース1622内に延在する。ある場合には、この屈曲した形状によって、そうでない場合よりも、溝1678をより深くすることが可能となる。ある場合には、溝1678の深さは、シース1622の厚みよりも大きなものである。
図30、図35および図36を参照すると、プラグ1601は、バッグ1660をチャネルハウジング部材1670に対して固定するよう構成されている。ある構造では、プラグ1601は突出部1602およびリム1604を具備してなる。
ある構造では、突出部1602は、バッグ1660の開口1661内に挿入され、そしてバッグ挿入開口1674(図30参照)に対してバッグ1660を圧着させるよう構成される。ある場合には、突出部1602の断面形状は、バッグ挿入開口1674のそれに対して実質的に相補的なものとなる。図示する実施形態では、突出部1602の断面形状は実質的に半円形である。突出部1602は、その遠位端部に向かってテーパー形状をなしていてもよく、これによって比較的容易に、バッグ挿入開口1674内に突出部を挿入することが可能となる。多くの場合、突出部1602とバッグ1660との接触は、実質的に気密なシールを形成し、そしてバッグ1660とチャネルハウジング部材1670との接触は実質的に気密なシールを形成する。ある場合、実質的に気密なシールを確保するために、接着剤あるいはその他の接着物質が、プラグ1601、バッグ1660および/またはチャネルハウジング部材1670に対して塗布される。
ある場合には、突出部1602およびバッグ挿入開口1674の半円形構造は、アダプター1600の組み立てを容易なものとする。当該構造の非対称性は、チャネルハウジング部材1670内への挿入時にプラグ1600が適切に配置されることを保証するのに役立つであろう。この非対称性はまた、プラグ1601がチャネルハウジング部材1670内で回転するのを阻止し得る。プラグ1601とチャネルハウジング部材1670との間のインターフェースに関して、その他の構造もまた採用可能である。
ある構造では、リム1604はプラグ1601の周囲の一部に沿って延在し、凹部1605を形成している。ある場合には、凹部1605はバッグ1660のフランジ1661を受けるよう構成され(図30参照)、これによって、リム1604の遠位面が半径方向延在部1672の近位面と接触することが可能となっている。ある場合、プラグ1601をチャネルハウジング部材1670に対して固定するのを助けるために、リム1604の遠位面に対して接着剤が塗布される。
ある実施形態では、プラグ1601はレギュレーターチャネル1625を備える。レギュレーターチャネル1625は、レギュレーター開口1650から、組み立てられたアダプター1600のバッグ1660内へと延在できる。ある構造では、レギュレーター開口1650は、組み立てられたアダプター1600の外部において周囲環境にさらされる。レギュレーターチャネル1625は、空気が、バッグ1660へ流入し、かつ/またはバッグ1660から流出することを可能とすることができる。
図30および図37ないし図39を参照すると、キャップコネクター1630は、多くの点で、上記キャップコネクターと似ていてもよい。さまざまな場合に、キャップコネクターは、一つ以上の突出部1637および/または一つ以上のスリット1639を具備してなる。ある構造では、キャップコネクター1630は穿孔部材開口1632を具備してなる。ある場合には、穿孔部材1620は、アダプター1600の組み立て中、穿孔部材開口1632を経て挿入される。
ある場合、キャップコネクター1630の近位面は実質的に平坦である。さらなる場合には、チャネルハウジング部材1670の半径方向延在部1672の遠位面もまた実質的に平坦である。二つの平坦面は、組み立てられたアダプター1600において互いに当接できる。有利なことに、キャップコネクター1630と半径方向延在部1672との間の大きな接触面積によって、接着剤、超音波溶着あるいはその他の手段を用いて、これらの部材同士を確実に取り付けることを可能とすることができる。
図30を参照すると、ある実施形態では、シュラウド690は、キャップコネクター1630と結合するよう構成される。シュラウド1690は、キャップコネクター1630と摩擦係合したり、キャップコネクター1630にスナップ嵌合したり、あるいはその他の適当な手段でキャップコネクター1630と結合したりすることができる。ある構造では、シュラウド1690は一つ以上の凹部1694を備えるが、これは、アダプター1600を使用するのに先立って、シュラウド1690を取り除くための静止摩擦を提供できる。他の実施形態では、シュラウド1690は、実質的に平滑な内面および実質的に平滑な外面を備え、しかも真っ直ぐな円筒形チューブに似ていてもよい。ある実施形態では、シュラウドは近位端部1692において開放され、そして遠位端部1696において閉塞されている。他の実施形態では、シュラウド1690は近位端部1692において開放され、そして遠位端部1696において開放されている。ある構造では、シュラウド1690は、穿孔部材1620と接触することなく、穿孔部材1620を包囲するか、実質的に取り囲むか、あるいはそれ以外の方法で保護するよう構成される。シュラウド1690は、アダプター1600の使用前の穿孔部材1620との偶発的な接触に起因するであろう、穿孔部材1620の汚染または損傷を防止できる。
図40は、アダプター1700の実施形態を分解状態で示している。アダプター1700は、ビン、たとえばビン210と結合できる。アダプター1700は、多くの点で上記アダプターと似ているが、以下で説明する点で異なっている。アダプター1700および/または本明細書で説明する他のアダプターに関して説明した特徴部、構造あるいは特性のあらゆる適当な組み合わせが可能である。
ある実施形態では、アダプター1700は、医療用コネクター241、ハウジング部材1705、バッグ1760、バッグリテーナ1770、チップ1724、および/またはスリーブ1780を具備してなる。ある実施形態では、ハウジング部材1705は、医療用コネクターインターフェース1740と、キャップコネクター1730と、シース1722とを具備してなり、そのそれぞれは、多くの点でそれぞれ、本明細書で説明する医療用コネクターインターフェースと、キャップコネクターと、シースとに似ていてもよい。医療用コネクター241と、バッグ1760と、チップ1724と、スリーブ1780とは、多くの点でそれぞれ、本明細書で説明する、医療用コネクターと、バッグと、チップと、スリーブ1680とに似ていてもよい。ある実施形態では、穿孔部材1720は、シース1722と、バッグリテーナ1770と、チップ1724とを具備してなる。
図41Aを参照すると、ある実施形態では、キャップコネクター1730はレギュレーター開口1750を備える。ある実施形態では、レギュレーター開口1750は、ビンアダプター1700の軸心から僅かにオフセットしている。ある実施形態では、レギュレーター開口1750は、キャップコネクター1730および医療用コネクターインターフェース1740のインターフェースに、ごく近接(たとえば隣接)した状態である。有利なことを言えば、レギュレーター開口1750は、望ましくない物体がそれを通過するのを阻止するのに十分なほど小さく、かつ、アダプター1700を大気に通気させるのに十分なほど大きなものであってもよい。比較的小さなレギュレーター開口1750はまた、医療用コネクターインターフェース1740を相対的に中心に配置することを可能とすることができ、これは、アダプター700のバランスをとり、かつアダプター1700がビンに接続された際に偶発的にひっくり返るのを防止するのに役立つ。
図41Bを参照すると、ある実施形態では、シース1722は、その遠位端部に凹状面1723を備える。この凹状面1723は、実質的に円柱形であってもよく、しかも、シース1722のより近位部分の外径よりも小さな外径を有していてもよい。ある実施形態では、シース1722は遠位リッジ1725を備える。遠位リッジ1725は、シース1722の外面1726と凹状面1723との間で延在できる。ある実施形態では、シース1722はエキストラクター開口1746を備え、しかも溝1678のような溝1778を含んでいてもよい。
ある実施形態では、キャップコネクター1730は一つ以上のスリット1739を含む。スリット1739は、アダプター1700がビンに接続されているとき、キャップコネクター1730が半径方向外側に撓むことを可能とすることができる。ある実施形態では、スリット1739の一部は切欠き1738を形成する。切欠き1738は、ハウジング部材1705を製造するのに使用される成形プロセスによって得ることができる。ある実施形態では、取り外し可能なテーパーピン(図示せず)が、切欠き1738がピンの近位部分の周りに形成され、かつエキストラクター開口1746がピンの遠位部分の周りに形成されるように配置される。さらなる実施形態では、溝1778はまた、取り外し可能な部材によって形成されるが、これは、ある実施形態では、テーパーピンから横方向に延在する。
図42を参照すると、ある実施形態では、バッグ1760は弾性素材からなり、しかも非展開状態では実質的に球根状であってもよい。ある実施形態では、バッグ1760の遠位部分1761は凸状に丸みが付与され、そして実質的に半球形であってもよい。さらなる実施形態では、バッグ1760は、遠位部分1761から延在する実質的に円筒形の部分1762を具備してなる。バッグ1760は、円筒形部分1762の遠位端部に、凹状に丸みが付与された部分1763を備えていてもよい。ある実施形態では、バッグ1760の遠位部分1761の曲率半径は、凹状に丸みが付与された部分1763の曲率半径よりも大きなものである。さらなる実施形態では、円筒形部分1762の直径、および遠位端部1761のチップ1764と凹状に丸みが付与された部分1763の近位端部1765との間の軸方向距離は、アダプター1700が接続されるよう構成されたビンの最大直径および高さに、それぞれ実質的に対応する。
ある実施形態では、バッグ1760は、アダプター1700が接続されるビンのかなりの容積を満たすように膨張するよう構成される。さまざまな実施形態では、バッグ1760によって満たされたかなりの容積は、ビンの容積の少なくとも約40パーセント、少なくとも約50パーセント、少なくとも約60パーセント、少なくとも約70パーセント、あるいは少なくとも約80パーセントである。ある実施形態では、バッグ1760は、約10ミリリッター、約20ミリリッター、あるいは約50ミリリッターの容量を有するビンのかなりの容積を満たすようなサイズ、形状とされ、かつ/またはそのために十分にフレキシブルなものとなる。さらなる実施形態では、バッグ1760は、約100ミリリッターあるいは約200ミリリッターの容量を有するビンのかなりの容積を満たすよう構成される。バッグ1760はまた、それ以外の容積を満たすよう構成できる。
ある実施形態では、バッグ1760は、リップ1766あるいはバッグ1760の近位部分から外側に延在する厚みを増大させた他の領域を有する。リップ1766は、バッグ1760の近位端部1767の周囲を取り囲むように配置でき、しかも、以下で説明するように、バッグ1760を穿孔部材1720に接続するのを助けることができる。ある形態では、リップ1766の増大させられた厚みは、リップ1766を半径方向に広げるために必要な力の大きさを増大させることができ、これによってリップ1766は、実際に、その中に位置させられた物体の表面をよりしっかりと把持するようになる。
図43Aを参照すると、ある実施形態では、バッグリテーナ1770は、異なる厚みを有する近位部分1771および遠位部分1772を備える。各厚みのそれぞれは実質的に均一であってもよい。ある実施形態では、近位部分1771は1インチの約千分の20以下、1インチの約千分の15以下、あるいは1インチの約千分の10以下の厚みを有する。ある実施形態では、厚みは1インチの約千分の10である。他の厚みとすることも可能である。
ある実施形態では、近位および遠位部分1771,1772のそれぞれは実質的に円柱形である。さらなる実施形態では、バッグリテーナ1770の外面1773もまた実質的に円柱形である。ある実施形態では、近位部分1771は遠位部分1772よりも薄く、これによって遠位部分1772は内側棚部1774を備える。内側棚部1774は、バッグ1760を穿孔部材1720に対して固定するのを助けることができる。
図43Bを参照すると、ある実施形態では、バッグリテーナ1770は、その縦方向長さに沿って湾曲させられた外面1773を備え、この結果、近位および遠位部分1771,1772の厚みは縦方向長さに沿って変化する。ある実施形態では、バッグリテーナ1770は、その縦方向中心に向かって厚みが大きくなっており、これによってバッグリテーナ1770に付加的強度を付与できる。多くの実施形態では、外面1773は実質的に平滑であり、これによって、バッグリテーナ1770が比較的容易にビンの隔壁を通過することを可能とすることができる。バッグリテーナ1770はさまざまな素材から構成でき、そしてある実施形態ではポリカーボネート樹脂から構成される。
図44Aは、組み立て状態でビンアダプター1700の実施形態を示している。図示するように、ある実施形態では、スリーブ1780は、互いにごく近接(たとえば隣接)した状態で、チップ1724およびバッグリテーナ1770を保持できる。ある実施形態では、スリーブ1780は弾性素材から構成されるが、これは、チップ1724およびバッグリテーナ1780を中心として半径方向外側に引き伸ばすことができる。多くの実施形態では、穿孔部材1720がビンの隔壁を貫通して前進させられるとき、スリーブ1780は、シース1722の近位端部に向かって、かつ、チップ1724およびバッグリテーナ1770から離れるように押しやられ、これによって、アダプター1700がビンと接続されたとき、チップ1724をバッグリテーナ1770から分離させることを可能とすることができる。
図44Bを参照すると、ある実施形態では、バッグ1760の一部は、シース1722とバッグリテーナ1770との間で保持される。ある実施形態では、バッグ1760のチップ1766は、シース1722の遠位リッジ1725とバッグリテーナ1770の内側棚部1774との間で保持される。遠位リッジ1725と内側棚部1774とは、シース1722に対する、バッグ1760の長手方向の動きを実質的に抑えることができる。さらなる実施形態では、バッグ1760の一部は、バッグリテーナ1770の遠位部分1772とシース1722の凹状面1723との間で保持される。
ある実施形態では、シース1722およびバッグリテーナ1770は、実質的に気密係合状態でバッグ1760を保持し、これにより、ビンの外部からシース内に流入する空気は、ビンの容積内に流入するのは実質的に阻止されながら、バッグを展開させることができる。ある実施形態では、バッグリテーナ1770は、エチレンジクロリドあるいはその他の好適な方法を用いて、シース1722に対して溶剤結合される。
ある実施形態では、バッグ1760の内面1768は潤滑される。潤滑は、たとえばアダプター1700の組み立て中に、シース1722内へのバッグ1760の配置を容易なものとすることができ、かつ/またはアダプター1700が接続されるビンから流体が取り出されるときなどに、バッグ1760の展開を容易なものとすることができる。ある実施形態では、バッグの内面1768に塗布された潤滑剤は、バッグ1760とシース1722との間のインターフェースにおける摩擦を低減させることができる。ある実施形態では、潤滑剤は、たとえばバッグ1760がシース1722内に折り畳んで戻されるときに、バッグ1760の二つの別個の部分同士のインターフェースにおける摩擦を低減させることができる。バッグ1760は、バッグ260に関して先に説明したような、いかなる好適な方法で潤滑されてもよい。ある実施形態では、バッグ1760は、フルオロシリコーンオイルで潤滑される。
ある実施形態では、チップ1724は、ステム、スターク、あるいは上記近位延在部224aのような近位延在部1790を具備してなる。ある実施形態では、近位延在部1790は、その近位端部に向かって、漸進的に横断断面積が小さくなるようにテーパー形状をなしている。ある実施形態では、近位延在部1790は実質的に円柱形の部分1792を具備してなる。近位延在部1790は、実質的に円柱形の部分1792から、実質的に円錐台形の部分1794へと移り変わることができ、しかもさらなる実施形態では、実質的に湾曲するかあるいは丸みを帯びた端部1796へと移り変わることができる。他の構造もまた可能である。たとえば、ある実施形態では、近位延在部1790は実質的に円錐形であるか、あるいは実質的に筒状であり、そしてある実施形態では、近位延在部1790は、実質的に円柱形部分1792、実質的に円錐台形の部分1794および実質的に丸みを帯びた端部1796の一つ以上を備える。
ある実施形態では、近位延在部1790は、シース1722内のバッグ1760に比較的小さな(もし存在するのであれば)圧力を加えるよう構成され、しかも、バッグ1760に孔があいたり、バッグが破れたりすることが比較的起き難くなり得る。たとえば、ある実施形態では、アダプター1700がビン200内に前進させられるとき、チップ1724は、その長手方向軸線がシース1722の長手方向軸線に対してそれるように回転するかもしれず、これによって近位延在部1790がシース1722の内壁に対してバッグ1760を押し付けることがある。ある実施形態では、近位延在部1790は、チップ1724がシース1722と軸方向に整列していない場合、その比較的大きな領域がバッグ1760に接触するようなサイズおよび形状とされる。たとえば、ある実施形態では、円錐台形部分1794は、近位延在部1790がシース1722に対して回転させられる向きに関係なく、バッグ1760と接触するための比較的大きな領域を提供する。
本明細書に開示した、さまざまな実施形態の説明は、概して図示する実施形態に従ったものである。だが、本明細書で説明する実施形態の特定の特徴部、構造あるいは特性は、本開示から当業者には明らかであろうように、特に図示および説明していない一つ以上の別個の実施形態において、いかなる好適な様式ででも組み合わせることができる。
同様に、実施形態の上記説明において、さまざまな特徴部は、時には、開示を合理化しかつさまざまな本発明の態様の一つ以上の理解を助けるために、単一の実施形態、図、あるいはその説明において、一つに寄せ集められていることを理解されたい。だが、この開示方法は、ある請求項が当該請求項内で特に言及されたものよりも多くの特徴部を必要とするという意図を示すものであると解釈すべきではない。それゆえ、本明細書に開示した本発明の範囲は、上記特定の実施形態によって制限されるものではなく、特許請求の範囲の記載によってのみ特定されるべきである。