ところで、バッテリを動力源とする電気自動車に搭載される前述した特許文献1記載のデータ項目の更新手段を利用した車載装置が提案されている。このような電気自動車のバッテリを充電する際には、少なくとも1時間程度の時間が必要となっている。このため、電気自動車のバッテリが充電されている時間(充電時間)は、例えば、データ(データ項目)を更新する際に利用される電気の供給が停止されることが少ない為、前述した特許文献1記載の携帯電話端末と同じく電気自動車に搭載される車載装置においても、データ(データ項目)の更新処理に非常に有用な時間であると考えられている。
しかしながら、電気自動車のバッテリの充電時間よりもデータ項目の更新時間(データ項目の更新処理に必要な時間)が長い場合、データ項目の更新処理中にバッテリへの電気の供給が停止されることから、更新処理中のデータ項目の更新処理を継続した場合、バッテリの電気が無駄に消費されてしまうこととなる。また、更新処理中のデータ項目の更新処理を中断した場合、当該データ項目の更新処理がある範囲まで進んでいたとしても、次回のバッテリの充電時に初期状態から当該データ項目の更新処理を行なう必要がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、バッテリの充電時間よりもデータ項目の更新時間が長い場合に、更新が必要なデータ項目から更新すべきデータ項目を選択可能とする車載装置を提供するものである。
本発明に係る車載装置は、充電可能なバッテリを動力源とする電気自動車に搭載され、各種のデータ項目を利用して処理を実行する車載装置であって、データ項目を更新するデータ更新手段と、前記バッテリの充電が開始される際に、その充電が完了するまでの充電時間を取得する充電時間取得手段と、更新の必要なデータ項目の前記データ更新手段での更新時間を取得する更新時間取得手段と、前記更新時間が前記充電時間より長いか否かを判定する時間判定手段と、前記更新の必要なデータ項目から更新すべきデータ項目をユーザーに選択させる為のユーザーインターフェイス手段と、前記時間判定手段によって前記更新時間が前記充電時間より長いと判定されたときに、前記ユーザーインターフェイス手段を有効にする制御手段と、前記ユーザーインターフェイス手段によってユーザーが選択したデータ項目を前記更新手段に更新させる更新制御手段とを有する構成とすることができる。
このような構成によれば、電気自動車に搭載されるバッテリの充電が開始される際に、当該バッテリの充電時間と更新が必要なデータ項目の更新時間とを把握することが可能となる。さらに、時間判定手段によって充電時間より更新時間が長いと判定されたときに、ユーザーインターフェイス手段によって、前記更新が必要なデータ項目から更新すべきデータ項目をユーザーに選択させることが可能となり、当該選択されたデータ項目を更新することができるようになる。
本発明に係る車載装置において、前記時間判定手段での判定結果にかかわらず、前記制御手段は、前記データ更新手段が前記データ項目を更新している際に、所定の操作入力に基づいて、前記ユーザーインターフェイス手段を有効にする構成とすることができる。
このような構成によれば、前記更新制御手段によって更新手段によって更新が必要なデータ項目の更新が開始された後に、所定の操作入力に基づいてユーザーインターフェイス手段が有効になることから、データ項目の更新中に、さらに更新すべきデータ項目を選択することができるようになる。
本発明に係る車載装置において、前記ユーザーインターフェイス手段は、前記更新の必要なデータ項目に関する情報を表示部に表示させる表示制御手段とを有する構成とすることができる。
このような構成によれば、更新の必要なデータ項目に関する情報を表示部に表示させることが可能となる。これによって、ユーザーは更新の必要なデータ項目に関する情報を目視にて把握することが可能となり、より更新の必要なデータ項目から更新すべきデータ項目を選択することが容易になる。
本発明に係る車載装置において、前記更新に必要なデータ項目に関する情報は、前記更新時間取得手段によって取得された更新時間を含む構成とすることができる。
このような構成によれば、表示部に表示される更新が必要なデータ項目に関する情報に更新時間が含まれた状態で表示されることから、ユーザーは更新の必要なデータ項目の更新時間を把握することが可能となる。これによって、バッテリの充電時間内に更新ができるように更新の必要なデータ項目から更新すべきデータ項目を選択することができるようになる。
本発明に係る車載装置は、ユーザーに前記更新が必要なデータ項目から更新すべきデータ項目を選択させるための所定の情報を通信端末に送信する送信手段と、前記通信端末から送信されるユーザーが選択した更新すべきデータ項目を受信する受信手段とをさらに有し、前記更新制御手段は、受信した更新すべきデータ項目を前記更新手段に更新させるようにした構成とすることができる。
このような構成によれば、通信端末に更新が必要なデータ項目から更新すべきデータ項目を選択させるための情報を送信することが可能となる。これによって、ユーザーは通信端末に送信された前記情報を取得し、当該情報に基づいて更新が必要なデータ項目から更新すべきデータ項目を選択することが可能となる。さらに、受信手段によって通信端末から送信されたユーザーが選択した更新すべきデータ項目を受信することが可能となることから、受信された更新すべきデータ項目を更新手段によって更新することができるようになる。
本発明に係る車載装置は、前記データ項目の更新中に、前記バッテリが充電状態から非充電状態に変化したか否かを判定する充電状態判定手段と、前記充電状態判定手段によって前記バッテリが充電状態から非充電状態に変化したと判定されたときに、当該更新中のデータ項目の更新量が所定量に達しているか否かを判定する更新量判定手段とを有し、前記更新量判定手段によって、前記更新量が所定量に達していると判定されたときに、当該更新を継続し、前記更新量判定手段によって、前記更新量が所定量に達していないと判定されたときに、当該更新を中断するようにした構成とすることができる。
このような構成によれば、更新量判定手段によってバッテリが充電状態から非充電状態に変化したときに更新中のデータ項目の更新量が、所定量まで達していると判定されたときに、当該バッテリに充電された電気を利用して更新を継続し、完了させることが可能となる。さらに、充電中のデータ項目の更新量が所定量に達していないと判定されたときに、バッテリの電気を利用することなく当該更新を中断するようにしたことから、バッテリに充電された電気を無駄に消費しないようにすることができるようになる。
本発明に係る車載装置は、前記データ項目の更新情報を無線通信網との通信処理によって取得する無線通信手段と、前記データ項目の更新情報を前記バッテリに電力を供給する電力線を通して取得する電力線通信手段と、前記電力線通信を通して取得された前記更新情報に基づいた前記データ項目の更新中に、前記更新量判定手段によって前記更新中のデータ項目の更新量が所定量に達していると判定されたときに、前記更新情報を取得する通信手段を前記電力線通信から前記無線通信へと切り替える通信切換手段とを有する構成とすることができる。
このような構成によれば、データ項目の更新中に、更新量判定手段によって当該データ項目の更新量が所定量まで達していると判定されたときに、電力線を介して取得している更新情報を、無線通信網との通信処理によって取得するように当該更新情報を取得する通信手段を変更することが可能となることから、データ項目の更新情報を連続して取得することができるようになる。
本発明に係る車載装置は、前記更新手段による更新が終了した際に、当該更新手段によって更新されなかった更新の必要なデータ項目を取得する未更新データ項目取得手段と、前記未更新データ取得手段によって取得された前記未更新データ項目を記憶部に記憶させる記憶制御手段とを有する構成とすることができる。
このような構成によれば、更新が必要なデータ項目で未だ更新処理がなされていない未更新データ項目を記憶部に記憶させることが可能となることから、次回のバッテリの充電の際に記憶部に記憶されている未更新データ項目を更新が必要なデータ項目としてより容易にユーザーに提示することができるようになる。
本発明に係る車載装置は、充電可能なバッテリを動力源とする電気自動車に搭載される車載装置であって、データ項目を更新する更新手段と、前記バッテリが充電状態であるか否かを判定する充電状態判定手段と前記データ項目の更新中に前記充電状態判定手段によって前記バッテリが充電状態から非充電状態に変化したと判定されたときに、前記更新中のデータ項目の更新量が所定量に達しているか否かを判定する更新量判定手段とを有し、前記更新量判定手段によって、前記更新量が所定量に達していると判定されたときに、当該更新を継続し、前記更新量判定手段によって、前記更新量が所定量に達していないと判定されたときに、当該更新を中断するようにした構成とすることができる。
このような構成によれば、更新量判定手段によってバッテリが充電状態から非充電状態に変化したときに更新中のデータ項目の更新量が、所定量まで達していると判定されたときに、当該バッテリに充電された電気を利用して更新を継続し、完了させることが可能となる。さらに、充電中のデータ項目の更新量が所定量に達していないと判定されたときに、バッテリの電気を利用することなく当該更新を中断するようにしたことから、バッテリに充電された電気を無駄に消費しないようにすることができるようになる。
本発明に係る車載装置は、前記データ項目の更新情報を無線通信網との通信処理によって取得する無線通信手段と、前記データ項目の更新情報を前記バッテリに電力を供給する電力線を通して取得する電力線通信手段と、前記電力線通信を通して取得された前記更新情報に基づいた前記データ項目の更新中に、前記更新量判定手段によって前記更新中のデータ項目の更新量が所定量に達していると判定されたときに、前記更新情報を取得する通信手段を前記電力線通信から前記無線通信へと切り替える通信切換手段とを有する構成とすることができる。
このような構成によれば、データ項目の更新中に、更新量判定手段によって当該データ項目の更新量が所定量まで達していると判定されたときに、電力線を通して取得している更新情報を、無線通信網との通信処理によって取得するように当該更新情報を取得する通信手段を変更することが可能となることから、データ項目の更新情報を連続して取得することができるようになる。
本発明に係る車載装置は、前記更新手段による更新が終了した際に、当該更新手段によって更新されなかった更新の必要なデータ項目を取得する未更新データ項目取得手段と、前記未更新データ取得手段によって取得された前記未更新データ項目を記憶部に記憶させる記憶制御手段とを有する構成とすることができる。
このような構成によれば、更新が必要なデータ項目で未だ更新処理がなされていない未更新データ項目を記憶部に記憶させることが可能となることから、次回のバッテリの充電の際に記憶部に記憶されている未更新データ項目を更新が必要なデータ項目としてより容易にユーザーに提示することができるようになる。
本発明に係る車載装置によれば、バッテリの充電時間とデータ項目の更新時間とを取得し、充電時間と更新時間とのどちらの時間が長いかを判定することが可能なので、バッテリの充電時間よりもデータ項目の更新時間が長い場合に、更新が必要なデータ項目から更新すべきデータ項目を選択可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1に本発明の実施の形態に係る車載装置とバッテリを搭載した電気自動車の充電処理及び更新処理の環境を簡易的に示す図を示し、図2に本発明の実施の形態に係る車載装置のブロック図を示した。
図1において、車載装置10と動力源となるバッテリとは、電気自動車Dに搭載されている。電気自動車Dに搭載されている車載装置10は、無線通信手段(後述する通信回路19)を有している。また、サーバA及びサーバBは、例えば、車載装置10内のソフトウェア等のデータ項目に関する情報を管理し、クライアントとなるコンピュータユニット(本発明においては、後述する車載装置10の処理ユニット11)に対し、当該サーバA及びサーバB自身が有する機能及びデータを提供するようになっている。これらサーバA及びサーバBは、車載装置10で設定されているデータ項目の中で新たなデータ項目に更新させる必要があるデータ項目の更新情報が当該サーバーA及びサーバBに保存されていることを報知する報知信号を発するようになっている。このようにしてサーバA及びサーバBより発せられる報知信号は、無線通信網を介して車載装置10の無線通信手段(通信回路19)によって取得される。これによって車載装置10は、報知信号が取得されたデータ項目を更新が必要なデータ項目として記憶する(後述する記憶部14に記憶される)ようになっている。
また、電気自動車Dに搭載されるバッテリは、当該バッテリへの電気充電を行う充電装置Jが設けられている充電施設で充電可能となっている。例えば、ユーザーは充電装置Jが設けられている充電施設に立ち寄った際に、当該充電装置Jの電力線JRをバッテリに接続し、当該充電装置Jから電気を充電することが可能となっている。さらに、充電施設でのバッテリの充電中に、前述した通信回路19は、無線通信網を介してサーバA及びサーバBのいずれかに保存されているデータ項目の更新情報を取得することが可能となっている。
図2において、車載装置10は、ナビゲーション機能を有している。ナビゲーション機能を有する車載装置10は、コンピュータユニット(CPUを含む)にて構成される処理ユニット11を有している。処理ユニット11には、車両ナビゲーションに必要な位置情報を提供するためのGPSユニット17、センサ類18(ジャイロセンサ、加速度センサ等)及び地図情報及び各種情報を記憶する記憶部14(例えば、ハードディスクユニット)が接続されている。また、処理ユニット11には、車室内に設けられ、LCD等により構成される表示部13、操作ボタンや表示部13内に構成されるタッチパネル等の操作部12、車室内に設けられたスピーカ16に音声信号を供給する出力回路15が接続されている。
処理ユニット11は、GPSユニット17及びセンサ類18からの各種情報及び記憶部14から読み出した地図情報(地図データ項目)に基づいて車両ナビゲーションに係る処理を実行し、表示部13にナビゲーションに係る地図とともに車両位置マーク及び案内経路等を表示させるようになっている。さらに案内経路上の分岐点となる地点等で、出力回路15を介してスピーカ16から経路案内を行うための音声を出力するようになっている。このような機能によって処理ユニット11は、ユーザーが目的地に到達するように案内できるようになっている。
以上のように記憶部14から読み出される地図情報(地図データ項目)は、例えば、町の区画整理等によって新たな道路が建設される、もしくは新たなトンネルが建設される等によって町の道路の形状が変わる為、新たな地図情報(新たな地図データ項目)に更新する必要がある。よって、このような更新が必要なデータ項目を更新するための更新情報を前述した無線通信網を介して取得可能な通信回路19も処理ユニット11に接続されている。このようにして処理ユニット11は、通信回路19に取得させた更新情報に基づいて、更新が必要なデータ項目(例えば、地図データ項目等)を更新できるようになっている(データ更新手段)。
このように構成される車載装置10のデータ項目の更新処理について詳しく説明する。処理ユニット11は、図3A及び図3Bに示す手順に従って車載装置10のデータ項目の更新処理を実行する。
例えば、ユーザーは、電気自動車のバッテリの充電を行うために充電施設に立ち寄り、充電装置Jによるバッテリの充電を開始することによって、車載装置10のデータ更新処理が開始される。まず、処理ユニット11は、バッテリが充電中であるか否かを判定する(S11)。これによってバッテリが充電中である(S11でYES)と判定されたときに、処理ユニット11は、バッテリの充電に必要な時間(充電時間)を取得する(S12)。例えば、処理ユニット11は、バッテリの電気残量に関する情報と、当該充電装置Jの充電能力に関する情報とを取得し、これら取得した情報を演算することによって充電時間を取得するようになっている(充電時間取得手段)。
そして処理ユニット11は、車載装置10の記憶部14に記憶されている複数のデータ項目から更新が必要なデータ項目を取得する(S13)。この更新の必要なデータ項目は、前述したように、サーバA及びサーバBのいずれかから発せられた報知信号が取得されたデータ項目を更新が必要なデータ項目として記憶部14に記憶されたものである。そして処理ユニット11は、更新が必要なデータ項目を更新する更新情報をサーバA及びサーバBのいずれかに通信させる更新情報取得信号を送信する。このようにして取得された更新が必要なデータ項目を更新する更新情報に基づいて、処理ユニット11は当該更新が必要なデータ項目の更新時間を演算し、更新時間を取得(更新時間取得手段)する(S14)。
処理ユニット11は、前述した処理(S12、S14)によって取得された充電時間と更新時間とを比較(時間判定手段)し、充電時間が更新時間以上であるか否かを判定する(S15)。これによって、充電時間が更新時間以上である(S15でYES)と判定されたときに、処理ユニット11は、例えば図4に示すように表示部13に更新の必要なデータ項目の全ての更新処理が充電時間中に可能であることを示す情報を表示させる。図4に示す情報には、充電時間(120分)と、更新時間(必要更新処理時間60分)と、更新が必要なデータ項目全ての更新が可能であることを報知するメッセージが含まれている。この表示部13に表示された情報をユーザーが目視することによって、更新が必要なデータ項目全ての更新処理が充電時間中に可能であることを把握することが可能となる。そして処理ユニット11は、表示部13内に構成されたタッチパネル等の操作部12(中止ボタン)を所定時間(例えば1分間)操作することがなければ、自動的に処理ユニット11は、更新が必要なデータ項目の更新を開始させる(S19)。なお、表示部13内にタッチパネル等の操作部12を表示させることなく、処理ユニット11が自動的に更新が必要なデータ項目の更新を開始させるようにしてもよい。
一方、充電時間が更新時間未満である(S15でNO)ときに、処理ユニット11は、例えば図5に示すように表示部13に更新の必要なデータ項目の全ての更新処理が不可能であることを示す情報を表示させる(S17)。図5に示す情報には、充電時間(45分)と、更新時間(必要更新処理時間60分)と、更新が必要なデータ項目全ての更新が不可能であるメッセージ及びユーザーに対して充電時間内に更新すべきデータ項目を選択するように促すメッセージとが含まれている。この表示部13に表示された情報をユーザーが目視することによって、更新が必要なデータ項目全ての更新処理が充電時間中に不可能であること、及び更新が必要なデータ項目から更新時間中に更新すべきデータ項目を選択可能であることを把握することが可能となる。さらに、表示部13に表示された前述したメッセージの下側には、後述する2つのモードを選択するためのタッチパネル式の選択ボタン(操作部12)が構成されている。具体的には、表示部13には、更新時間内に更新すべきデータ項目をユーザーに選択させるモードであるカスタムモード(Custom)、もしくは、更新時間内に更新すべきデータ項目をユーザーに選択させないオールモード(ALL)の2つのモードのいずれかを選択可能にするタッチパネル式の選択ボタン(操作部12)が構成されている。
そして処理ユニット11は、ユーザーによってこの2つのモード(ALL、Custom)のどちらのモードが選択されたかを判定する(S18)。これによってオールモード(ALL)がユーザーによって選択された(S18でALL)と判定されたときに、処理ユニット11は、所定の順序にて更新が必要なデータ項目の更新を開始する(S19)。例えば、所定の順序とは、更新が必要なデータであることを報知する報知信号を通信回路19にて取得した順序でもよいし、もちろん、データ項目が記憶部14に記憶された順序であってもよい。
一方、カスタムモード(Custom)がユーザーによって選択された(S18でCustom)と判定されたときに、処理ユニット11は、表示部13に更新が必要なデータ項目を表示させる(S21)。これによって表示部13には、例えば図6に示すように、更新処理を行なうデータ項目の選択を促すメッセージと共に、更新が必要なデータ項目が表示される(制御手段及びユーザーインターフェイス手段)。また、更新が必要なデータ項目は、そのデータ項目の名称に更新時間が付随された状態で表示されている。これによって処理ユニット11は、ユーザーが、例えばバッテリの充電時間が45分であるときに、当該充電時間(45分)以内に収まるように更新が必要なデータ項目から、充電時間内に更新すべきデータ項目を選択可能な状態にするようになっている。具体的には、ユーザーは表示部13を目視することによって、マップのデータ項目及び当該データ項目の更新時間が40分であること、IFアップデートのデータ項目及び当該データ項目の更新時間が10分であること、Xxxアプリのデータ項目及び当該データ項目の更新時間が10分であること、ガイダンスのデータ項目及び当該データ項目の更新時間が25分であることを把握することができる。これによってユーザーは、更新が必要なデータ項目から更新すべきデータ項目を選択できるようになる。
そして処理ユニット11は、前述した処理S21によって表示された更新が必要なデータ項目から、ユーザーによって選択された更新すべきデータ項目を表示部13に表示させる(S22)。例えば、充電時間が45分であるときに当該充電時間内で更新可能なIFアップデート、Xxxアプリのデータ項目及びガイダンスのデータ項目が更新すべきデータ項目として選択され、当該選択されたデータ項目が表示部13に表示されている。もちろん、マップのデータ項目の更新を優先したい場合は、マップのデータ項目のみを更新すべきデータ項目として選択することも可能である。このようにして処理ユニット11は、表示部13に更新すべきデータ項目を表示させた後に、選択されたデータ項目の更新処理の開始をユーザーに促すメッセージを図8に示すように当該表示部13に表示させる(更新制御手段)。そして、処理ユニット11は、更新処理を開始するか否かを判定する(S23)。更新処理を開始させるために設けられた開始ボタンが操作されることによって、更新処理を開始する(S23でYES)と判定されると、処理ユニット11はユーザーによって選択されたデータ項目の更新処理を開始する(S24)。
更新処理が開始されてから所定の時間が経過した際の表示部13には、例えば図9及び図10に示すような情報が表示されるようになっている。詳しくは、処理(S24)にてユーザーによって選択された更新すべきデータ項目の更新処理が開始されると、処理ユニット11は、現在の更新処理の状況を伝達する為の情報(例えば図9に示す情報)を表示部13に表示させ、これによってユーザーは、現在更新中のデータ項目がIFアップデートのデータ項目であることを把握することが可能となっている。そしてIFアップデートのデータ項目の更新時間(10分)が経過すると、処理ユニット11は、表示部13に新たな更新処理の状況を伝達する為の情報(例えば図10に示す情報)を表示させる。これによってユーザーは、IFアップデートのデータ項目の更新処理が完了し、Xxxアプリが現在更新中であることを把握できるようになっている。
前述したように全データ項目の更新を開始させた場合(S16→S19、S17→S18→S19)、処理ユニット11は、カスタムモード(Custom)の選択ボタン(図4、図5参照)が操作されたか否かを監視しつつ(S20)、バッテリの充電が終了したか否かの判定を繰り返し実行する(S25)。また、カスタムモード(Custom)で選択されたデータ項目についての更新を開始させた場合(S18−S24)も、処理ユニット11は、カスタムモード(Custom)の選択ボタン(図9、図10、図11参照)が操作されたか否か、即ち、更新データ項目の再選択がなされたか否かを監視しつつ(S20)、バッテリの充電が終了したか否かの判定を繰り返し実行する(S25)。
前記処理(S20、S25)の過程で、ユーザーによってカスタムモード(Custom)が選択されたと判定する(S20でYES)と、処理ユニット11は、前述したカスタムモード(Custom)での処理S21へ移行し、当該処理21〜処理S24を行なう。その結果、全データ項目の更新中に更新すべきデータ項目を限定することが可能となり、あるいは、カスタムモードにおいて更新すべきデータ項目を再度選択し直すことができるようになる。
一方、前述した処理(S20、S25)の過程で、カスタムモード(Custom)の選択がなされずに(S20でNO)、バッテリの充電が終了したものと判定すると(S25でYES)、処理ユニット11は、図3Bに示す処理に移行し、現在更新処理中のデータ項目があるか否かを判定する(S26)。これによって、バッテリの充電が終了したときに更新中のデータ項目がある(S26でYES)と判定されたときに、処理ユニット11は、当該更新中のデータ項目の更新量(データ項目の更新処理が完了している量)を取得し、当該更新量が所定量以上であるか否かを判定する機能(更新量判定手段)(S27)。このとき、更新量と比較対象となる所定量は、例えばデータ項目の更新された比率が80パーセント以上、もしくは50パーセント以上等の好ましい値にてユーザーが自由に設定可能となっている。
これによって更新中のデータ項目の更新量がユーザーに事前に設定された所定量以下である(S27でNO)と判定されたときに、処理ユニット11は、現在更新中のデータ項目の更新処理を強制終了させる(S29)。このとき処理ユニット11は、表示部13に図12に示した情報を表示させる。これによって、ユーザーはXxxアプリのデータ項目の更新処理が強制終了されたことを把握することが可能となる。一方、更新中のデータ項目の更新量がユーザーに事前に設定された所定量以上である(S27でYES)と判定されたときに、処理ユニット11は当該データ処理が完了するまで待機状態となり、更新中であったデータ項目の更新処理が終了したか否かを判定する(S28)。このとき処理ユニット11は、表示部13に図11に示した情報を表示させる。これによって、ユーザーはIFアップデート及びXxxアプリのデータ項目の更新処理が完了したことを把握することができる。
なお、バッテリの充電が終了した後の更新中のデータ項目の更新処理は、例えば、バッテリに充電された電気を利用して行われるようになっている。そして更新中のデータ項目の更新処理が終了した(S28でYES)と判定されたとき、及び前述した処理(S29)において更新中のデータ項目の更新処理を強制終了したときに、処理ユニット11は更新処理の完了したデータ項目(更新完了データ項目)及び更新がなされなかった更新が必要なデータ項目(未更新データ項目)を表示部13に表示させる(S30)。
詳しくは、更新中のデータ項目の更新処理が終了した(S28でYES)と判定されたとき、及び前述した処理(S29)において更新中のデータ項目の更新処理を強制終了したときに、処理ユニット11によって表示部13に表示させられる情報は、図13もしくは図14に示すような更新処理が完了したデータ項目のリスト(更新完了データ項目リスト)である。これによってユーザーは、更新完了データ項目リストを目視することによって、更新処理が完了したデータ項目(IFアップデート及びXxxアプリのデータ項目、もしくはIFアップデートのデータ項目)を把握することが可能となる。次いで、処理ユニット11は、表示部13に図16に示すような更新処理完了画面を表示させる。この更新処理完了画面(表示部13)には、更新処理が完了したことを報知するメッセージと当該充電時間内で更新処理ができなかったデータ項目(未更新データ項目)を取得し(未更新データ項目取得手段)、リスト化した画面を表示させるためのタッチパネル式のボタン(操作部12)が構成されている。そして、処理ユニット11は、ユーザーに操作部12(未更新データ項目リストを表示させるボタン)を操作されると、図17に示すような未更新データ項目リストを表示させる。これによって、ユーザーは充電時間中に更新処理のできなかった更新が必要なデータ項目を把握することが可能となる。
また、前述した処理S26にて、更新中のデータ項目がないと判定された(S26でNO)のときに、処理ユニット11は更新処理の完了したデータ項目及び未更新データ項目を表示部13に表示させる。例えば、充電時間が120分で更新時間が85分であるときに、処理ユニット11は、図16に示すような更新処理完了画面を表示させた後に、図15に示すような更新完了データ項目リストを表示させる。これによって、ユーザーは充電時間中に更新が必要なデータ項目全ての更新処理が完了したことを把握することができる。なお、更新が必要なデータ項目全ての更新処理が完了したときには、未更新データ項目が存在しないので、未更新データ項目リストは生成されることはない。
そして、処理ユニット11は、前述したように更新処理の完了したデータ項目及び未更新データ項目を表示した後に、未更新データ項目のリストを記憶させる機能(記憶制御手段)によって記憶部14に記憶させる(S31)。これによって、ユーザーは、次回のバッテリの充電時に更新が必要なデータ項目を記憶部14から抽出することが可能となるので、より更新処理を的確に行うことが可能となる。
さらに、車載装置10の通信回路19は、データ項目を更新する更新情報を取得する機能の他に、例えば、通信端末との情報の送受信ができる機能を有している。この場合には、例えば、図18に示すような手順にて更新が必要なデータ項目から更新すべきデータ項目をユーザーに選択させるようにしてもよい。
図18において、前述した処理S17にて表示部13に更新が必要なデータ項目を充電時間内に更新するのは不可能であることを報知するメッセージを表示させた後に、処理ユニット11は、表示部13に表示されたタッチパネル式のオールモード、もしくはカスタムモードのいずれかのモード選択ボタン(操作部12)が操作されたか否かを判定する(S41)。これによって、モード選択ボタン(操作部12)が操作されていない(S41でNO)と判定されたとき、当該処理S31に続いて、処理ユニット11は、表示部13にモード選択ボタンが構成されてから所定時間が経過したか否かを判定する(S42)。この所定時間は、例えば1分、もしくは5分と、ユーザーの希望する時間を事前に設定できるようになっている。これによって、表示部13にモード選択ボタンが構成されてから、例えば、所定時間(1分)が経過した(S42でYES)と判定されたときに、処理ユニット11は、事前に車載装置10に登録されてた通信端末に更新が必要なデータ項目を転送する機能(送信手段)によって送信する(S43)。
このようにして、車載装置10に事前に登録された通信端末に更新が必要なデータ項目が転送され、ユーザーは通信端末の表示部を目視することで、当該転送された更新が必要なデータ項目を確認することが可能となる。なお、通信端末に転送された必要なデータ項目は、例えば前述した図6に示すような情報であることから、ユーザーは当該通信端末の画面に表示された更新が必要なデータ項目からバッテリの充電時間内に更新すべきデータ項目を選択することが可能となる。このようにして選択されたデータ項目(選択されたデータ項目の選択情報)をユーザーは、車載装置10に向けて送信する。
そして処理ユニット11は、更新すべきデータ項目の選択情報を通信回路19を介して受信する機能(受信手段)を有しており、これによって当該情報を受信したか否かを判定する(S44)。これによって、更新すべきデータ項目の選択情報を通信回路19を介して受信したと判定された(S44でYES)ときに、処理ユニット11は、受信した選択情報に基づいて更新すべきデータ項目の更新処理を開始させる(S45)。
以上のようにして、例えばユーザーが電気自動車Dのバッテリの充電を行う際に、当該電気自動車Dに乗車していない場合においても、更新が必要なデータ項目を事前に登録された通信端末(ユーザーの携帯電話等)に送信させることで、当該更新が必要なデータ項目からバッテリの充電時間内に更新すべきデータ項目をユーザーに選択させることが可能となる。
図19に車載装置10とバッテリを搭載した電気自動車の充電処理及び更新処理の環境を簡易的に示す図を示した。
図19において、車載装置10と動力源となるバッテリとは、電気自動車Dに搭載されている。電気自動車Dに搭載されている車載装置10は、通信回路19を有している。また、サーバA及びサーバBは、例えば、車載装置10内のソフトウェア等のデータ項目に関する情報を管理し、処理ユニット11に対し当該サーバA及びサーバB自身が有する機能及びデータを提供するようになっている。これらサーバA及びサーバBは、車載装置10で設定されているデータ項目の中で新たなデータ項目に更新させる必要があるデータ項目の更新情報が当該サーバーA及びサーバBのいずれかに保存されていることを報知する報知信号を発するようになっている。このようにしてサーバA及びサーバBより発せられる報知信号は、無線通信網を介して車載装置10の無線通信手段(通信回路19)によって取得される。これによって車載装置10は、報知信号が取得されたデータ項目を更新が必要なデータ項目として記憶部14に記憶されるようになっている。
また、電気自動車Dに搭載されるバッテリは、当該バッテリへの電気充電を行う充電装置Jが設けられている充電施設で充電可能となっている。例えば、ユーザーは充電装置Jが設けられている充電施設に立ち寄った際に、当該充電装置Jの電力線JRをバッテリに接続し、当該充電装置から電気を充電することが可能となっている。さらに、充電施設でのバッテリの充電中に、充電装置Jは電力線通信網を介してサーバA及びサーバBのいずれかに保存されているデータ項目の更新情報を取得する電力線通信手段によって、更新情報を取得ことが可能となっている。さらに、電力線JRは、バッテリの充電だけでなく、データ項目を更新する更新情報を車載装置10の処理ユニット11に送信するようになっている。
このように、電力線JRを介してデータ項目の更新情報を取得し、更新情報に基づいてデータ項目を更新する処理は、図20に示す手順によって行われる。なお、充電処理及び更新処理の本環境下において、前環境下と異なる点についてのみ詳しく説明する。
図20において、処理ユニット11は、電気自動車Dに搭載されているバッテリが充電状態であるか否かを判定する(前述した処理S25)。これによって、バッテリが充電状態でないと判定された(S25でNO)ときに、処理ユニット11は正常にバッテリの充電が終了したか否かを判定する(S51)。例えば、正常な充電の終了とは、バッテリへの充電が最大限なされた(バッテリの電気残量が最大量である)ときに、バッテリへの充電が終了される。これによって、正常にバッテリの充電が終了した(S51でYES)と判定されたときに、処理ユニット11は、前述した処理25に移行する。一方、正常にバッテリの充電が終了しなかった(S51でNO)ときに、処理ユニット11は更新中のデータ項目の更新量は所定量以上か否かを判定する(S52)。なお、正常にバッテリの充電が終了しない状態とは、車載装置10内に接続される電力線JRが何らかの理由で突然接続が途切れることによって充電が終了する状態である。例えば、バッテリへの充電が完全になされない状態において、突然充電を中止して電気自動車Dの走行を開始する等、予定されたバッテリの充電時間より短い時間内にバッテリへの電気供給が停止されること等である。これによって、更新中のデータ項目の更新量が所定量未満である(S52でNO)と判定されたときに、処理ユニット11は前述した処理S29へと移行する。
一方、更新中のデータ項目の更新量が所定量以上である(S52でYES)と判定されたときに、処理ユニット11は、当該更新中のデータ項目を更新する更新情報を発信するサーバAもしくはサーバBに無線通信網を介して、通信方法の切換を依頼する依頼信号を通信回路19から発信させる(S53)。これによって、依頼信号を受信したサーバAもしくはサーバBは、現在更新中のデータ項目の更新情報を電力線を介して送信する電力線通信から無線通信に切り替える(通信切換手段)。そして、処理ユニット11は、車載装置10内に接続される電力線JRが何らかの理由で突然接続が途切れることによって、更新中のデータ項目の更新情報の取得ができなくなることから、電力線通信から無線通信に通信方法を切り替える(S54)。そして、処理ユニット11によって切り替えられた無線通信によって更新中のデータ項目の更新情報を通信回路19にて受信(S55)し、当該更新中のデータ項目の更新処理を継続させる(S56)。
このように、更新の必要なデータ項目を更新する更新情報を電力線通信によって取得する環境下においても、以上のように電力線通信から無線通信に通信手段を変更することによって、更新すべきデータ項目を更新することが可能となる。さらに、データ項目の更新量が所定量以上でなければ、更新処理を継続させないようになっていることから、バッテリの電気を無駄に消費しないようにすることができる。