以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本実施の形態に係るワイヤハーネスを示す斜視図であり、図2はそのA−A線断面図、図3はそのB−B線断面図、図4はそのC−C線断面図である。なお、詳細は後述するが、図1〜4では、溶融部材37を溶融させる前の状態を示している。
図1〜4に示すように、ワイヤハーネス1は、並列に配置された複数のケーブル2a〜2cと、ケーブル2a〜2cの端部が接続されるコネクタ3とを備えている。
ワイヤハーネス1は、例えば、ハイブリッド車(Hybrid Electric Vehicle;以下、HEVという)のモータと、該モータを駆動するインバータとの接続に用いられるものである。
ケーブル2a〜2cは、銅やアルミニウムからなる中心導体4の外周に、架橋ポリエチレンなどからなるシース5を形成したものである。なお、ケーブル2a〜2cとしては、中心導体4の外周に、絶縁体、シールド導体、シース5を順次形成したものを用いてもよい。各ケーブル2a〜2cには、異なる電圧及び/又は電流の電気が送電される。例えば、本実施の形態においては、モータ、インバータ間用の三相交流の電源ラインを想定して3本のケーブル2a〜2cを用いており、3本のケーブル2a〜2cのそれぞれには、120°位相の異なる交流が送電される。
コネクタ3は、複数(3つ)の第1接合端子6a〜6cが整列されて収納される第1ハウジング7を有する第1コネクタ部8と、複数(3つ)の第2接合端子9a〜9cが整列されて収納される第2ハウジング10を有する第2コネクタ部11とを備える。
なお、本実施の形態では、両コネクタ部8,11を嵌合した際に、第1ハウジング7がオス、第2ハウジング10がメスとなるように両ハウジング7,10を形成しているが、オス・メスの関係は逆であってもよく、第1ハウジング7をメス、第2ハウジング10をオスとしてもよい。
本実施の形態では、第1コネクタ部8をモータやインバータなどの機器側に、第2コネクタ部11をケーブル2a〜2c側に接続し、コネクタ3にて、モータやインバータなどの機器とケーブル2a〜2cとを接続する場合を説明する。つまり、本実施の形態では、第2コネクタ部11に、ケーブル2a〜2cとハウジング(第2ハウジング10)との間の気密保持構造が設けられることになる。
ここで、本実施の形態における気密保持構造を説明するに先立ち、コネクタ3について説明しておく。なお、ここで説明するコネクタ3の構造はあくまで一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施の形態では、コネクタ3として、第1コネクタ部8と第2コネクタ部11とを嵌合させると、複数の第1接合端子6a〜6cの一面のそれぞれと複数の第2接合端子9a〜9cの一面のそれぞれとが対となるように対面すると共に第1接合端子6a〜6cと第2接合端子9a〜9cとが交互に配置される積層状態となるものを用いる。所謂、「積層構造型コネクタ」である。
まず、第1コネクタ部8について説明する。
第1コネクタ部8は、3つの第1接合端子6a〜6cが整列されて収容される第1ハウジング7と、第1ハウジング7内に設けられ第1接合端子6a〜6cのそれぞれを絶縁する略直方体形状の複数の絶縁部材12a〜12dと、頭部13aと頭部13aに接続される軸部13bとからなり、軸部13bを複数の第1接合端子6a〜6c及び複数の第2接合端子9a〜9cに係る各接点及び複数の絶縁部材12a〜12dを貫通すると共に、頭部13aによって隣接する第1絶縁部材12aを押圧することで、複数の第1接合端子6a〜6c及び複数の第2接合端子9a〜9cを各接点にて一括して固定し電気的に接続させる、少なくとも各接点を貫通する部分は絶縁性の材料で形成された接続部材13とを備える。
第1ハウジング7は、第1アウターハウジング7aと、第1アウターハウジング7a内に第1接合端子6a〜6cを保持する第1インナーハウジング7bとからなる。
第1アウターハウジング7aは、シールド性能、放熱性の向上、及びコネクタ3の軽量化のために、導電率、熱伝導率が高く軽量なアルミニウムなどの金属で形成されることが好ましいが、樹脂などにより形成するようにしても良い。本実施の形態においては、第1アウターハウジング7aをアルミニウムで形成した。
第1インナーハウジング7bは、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PPA(ポリフタルアミド)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)などの絶縁性樹脂からなる。
第1接合端子6a〜6cは、板状の端子であり、導電率の高い銀、銅、アルミニウムなどの金属からなる。第1接合端子6a〜6cは、第1インナーハウジング7bにより、第1アウターハウジング7a内に所定間隔で離間されて整列保持される。第1接合端子6a〜6cのそれぞれは、多少の可撓性を有する。
各第1接合端子6a〜6cの第2接合端子9a〜9cと接合される面と反対側の面には、図5に示すように、第1絶縁部材12a〜12cが固定される。また、第1接合端子6a〜6cと第2接合端子9a〜9cとが積層状態となったときに、最外に位置する第2接合端子9cの第1接合端子6cと接合される面と反対側の面と対向するように、第1アウターハウジング7aの内面に第2絶縁部材12dが固定される。各絶縁部材12a〜12dは、第1接合端子6a〜6cの先端側に突出するような位置に固定されており、第2接合端子9a〜9cの挿入性を向上するため、第2接合端子9a〜9cが挿抜される側の角部が面取り加工されている。なお、図5では、第1絶縁部材12a〜12cの構造を簡略化し、第1絶縁部材12a〜12cを同じように描いている。
接続部材13は、金属(例えば、SUS、鉄、銅合金など)製のボルト14とその軸部13b外周(各接点を貫通する部分を含む)に絶縁性の材料としての絶縁性樹脂(例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PPA(ポリフタルアミド)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート))をコーティングして形成された絶縁層15とからなる。なお、接続部材13としてのボルト14の頭部13aの上面には、図示していないが、六角レンチ(六角棒スパナともいう)が嵌合する凹部が形成されている。
接続部材13の頭部13aの下面とその直下の第1絶縁部材12aの上面との間には、第1絶縁部材12aに所定の押圧力を付与する弾性部材16が設けられる。ここでは、弾性部材16は、金属(例えば、SUSなど)製のばねからなる。弾性部材16の下部が当接する第1絶縁部材12aの上面には、弾性部材16の下部を収納する凹部17が形成され、凹部17の底部(即ち、弾性部材16の下部が当接する座の部分)には、弾性部材16を受けて第1絶縁部材12aの損傷を防止する金属(例えば、SUSなど)製の受け部材18が設けられる。
この接続部材13は、第1絶縁部材12a〜12cが固定される第1接合端子6a〜6cの面側(図4で言えば、上面側)から第1アウターハウジング7a内に挿入され、軸部13bの先端のネジ部19を第1アウターハウジング7aの内周面に形成されたネジ穴20に螺合させることで、接続部材13の頭部13aから軸部13b先端に向けて(図4で言えば、上方から下方に向けて)押圧し、第1接合端子6a〜6c及び第2接合端子9a〜9cを各接点にて一括して固定し電気的に接続させている。
接続部材13の頭部13aの外周には、第1アウターハウジング7a内に水が浸入するのを防止するパッキン21が設けられる。また、第1アウターハウジング7aの外周部には、両コネクタ部8,11の嵌合時に第2ハウジング10(第2アウターハウジング10a)の内周面に当接するパッキン22が設けられる。
第1アウターハウジング7aの上部(図4では上側)には、接続部材13を挿入するための接続部材挿入孔23が形成される。接続部材挿入孔23は筒状に形成されており、その筒状の下端部(図示下側)が内側に折り曲げられている。この折り曲げられた部分に接続部材13の頭部13aの下面の縁周部が当接することで、接続部材13のストロークを規制するようになっている。
第1アウターハウジング7aの外周には、第1コネクタ部8を機器などの筐体(例えば、モータやインバータのシールドケース)に固定するためのフランジ24(取付孔は省略)が形成される。第1コネクタ部8をモータ(あるいはインバータ)に接続する際には、フランジ24をモータ(あるいはインバータ)のシールドケースに固定すると共に、第1ハウジング7から露出している第1接合端子6a〜6cの部分をモータ(あるいはインバータ)のシールドケース内に設置される端子台の各端子に接続させる。モータ、インバータの両者に第1コネクタ部8をそれぞれ取り付け、両第1コネクタ部8に、ケーブル2a〜2cの両端に設けた第2コネクタ部11をそれぞれ嵌合させることで、ワイヤハーネス1を介してモータとインバータとが電気的に接続される。
次に第2コネクタ部11について説明する。
第2コネクタ部11は、内部に複数(3つ)の第2接合端子(メス端子)9a〜9cが整列されて収納される第2ハウジング10を有する。第2接合端子9a〜9cは、ケーブル2a〜2cの端部に電気的に接続される。
第2ハウジング10は、第2アウターハウジング10aと、後述する気密ブロック35を有し第2アウターハウジング10a内にケーブル2a〜2cを所定間隔で離間させて整列保持する多連筒状(複数の筒が連なっている状態のこと)の第2インナーハウジング10bとからなる。
第2アウターハウジング10aは、シールド性能、放熱性の向上、及びコネクタ1の軽量化のために、導電率、熱伝導率が高く軽量なアルミニウムなどの金属で形成されることが好ましいが、樹脂などにより形成するようにしても良い。本実施の形態においては、第2アウターハウジング10aを絶縁性樹脂により形成した。
第2インナーハウジング10b(後述する気密ブロック35も含む)は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PPA(ポリフタルアミド)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)などの絶縁性樹脂からなる。
第2接合端子9a〜9cは、導電率の高い銀、銅、アルミニウムなどの金属からなる。第2接合端子9a〜9cのそれぞれは、第2インナーハウジング10bでケーブル2a〜2c(第2接合端子9a〜9cに近い位置のケーブル2a〜2c)を保持することにより、第2アウターハウジング10a内に整列保持される。第2接合端子9a〜9cのそれぞれは、多少の可撓性を有する。
整列時に両端に配置される第2接合端子9a,9cは、図6に示すように、ケーブル2a,2cの先端部から露出された導体4をかしめるためのかしめ部25と、かしめ部25と一体に形成されたU字状接点26とを有する。U字状接点26の先端部には、挿入性を向上させるべくテーパ部27が形成される。
図7に示すように、整列時に中央に配置される第2接合端子9bは、第2接合端子9a,9cと同様に、ケーブル2bの先端部から露出された導体4をかしめるためのかしめ部25と、かしめ部25と一体に形成されたU字状接点26とを有するが、その胴部28にて折り曲げられ、U字状接点26がケーブル2bの中心軸上に位置するようにされている。U字状接点26の先端部には、挿入性を向上させるべくテーパ部27が形成される。
第1コネクタ部8と第2コネクタ部11とを嵌合させると、U字状接点26が接続部材13の軸部13bを挟み込むように挿入される。本実施の形態では、第2接合端子9a,9cを、そのU字状接点26が第2接合端子9b側にくるように配置し、かつ、整列時に中央に配置される第2接合端子9bの胴部28を折り曲げることにより、第2接合端子9a〜9cを同じ間隔で離間させて配置するようにしている。
第2アウターハウジング10aから引き出されたケーブル2a〜2cの部分には、シールド性能の向上を目的とした編組シールド29が巻き付けられている。この編組シールド29は、後述する筒状シールド体30と接触され、筒状シールド体30を介して第1アウターハウジング7aに電気的に接続されている(同電位(GND)とされている)。
さらに、ケーブル2a〜2cが引き出される第2アウターハウジング10aの他端側の外周には、第2アウターハウジング10a内への水の浸入を防止するゴムブーツ31が被せられている。なお、図1〜3では、図の簡略化のため、編組シールド29とゴムブーツ31を省略している。
第2インナーハウジング10bの外周部には、第1アウターハウジング7aの内周面に当接するパッキン32が設けられる。つまり、コネクタ3は、第1アウターハウジング7aの外周部にもうけられたパッキン22と第2インナーハウジング10bの外周部に設けられたパッキン32による二重防水構造となっている。
また、第2アウターハウジング10aには、両コネクタ部8,11を嵌合させたときに、第1コネクタ部8に設けられる接続部材13を操作するための接続部材操作用孔33が形成される。
本実施の形態においては、第2アウターハウジング10aを絶縁性樹脂により形成したため、そのシールド性能、放熱性を向上させるために第2アウターハウジング10aの他端側の内周面にアルミニウム製の筒状シールド体30を設けている。筒状シールド体30は、両コネクタ部8,11を嵌合させたときにアルミニウム製の第1アウターハウジング7aの外周に接触する接触部30aを有し、この接触部30aを介して第1アウターハウジング7aと熱的及び電気的に接続され、シールド性能と放熱性を向上させている。
次に、本実施の形態に係るコネクタ3を用いた第1接合端子6a〜6cと第2接合端子9a〜9cとの接続を説明する。
両コネクタ部8,11を嵌合させると、第2接合端子9a〜9cのそれぞれが、対となる第1接合端子6a〜6cのそれぞれと絶縁部材12a〜12dとの間に挿入される。そして、該挿入により、第1接合端子6a〜6cの一面のそれぞれと第2接合端子9a〜9cの一面のそれぞれとが対となるように対面すると共に、第1接合端子6a〜6c、第2接合端子9a〜9c、及び絶縁部材12a〜12dとが交互に配置される積層状態となる この状態で、接続部材操作用孔33から接続部材13を操作して、接続部材13のネジ部19を第1アウターハウジング7aのネジ穴20に螺合させて締め付けると、接続部材13がネジ穴20の底部に回転しながら押し込まれると共に、弾性部材16によって第1絶縁部材12a、第1絶縁部材12b、第1絶縁部材12c、第2絶縁部材12dの順に押圧されていき、接点のそれぞれが絶縁部材12a〜12dのいずれか2つによって挟み込むように押圧され、接点のそれぞれが互いに絶縁された状態で接触される。このとき、第1接合端子6a〜6cのそれぞれと第2接合端子9a〜9cのそれぞれは、絶縁部材12a〜12dからの押圧によって多少撓み広範囲で接触されることとなる。
次に、本発明の特徴部分である第2ハウジング10とケーブル2a〜2cの気密保持構造について説明する。
ワイヤハーネス1は、第2ハウジング10の一部であって、より詳しくは、第2インナーハウジング10bの一部であって、複数のケーブル2a〜2cが接続される側に、複数のケーブル2a〜2cを第2ハウジング10内に挿入するための複数(3つ)のケーブル挿入穴34がケーブル2a〜2cの挿入側の端部にて開口する開口部を有するように並列に形成された気密ブロック35を有している。
ところで、第2インナーハウジング10bと第2アウターハウジング10aとの間は、両コネクタ部8,11の嵌合時に2つのパッキン22,32で気密が保持され、さらにはゴムブーツ31でも気密が保持されていることから、気密ブロック35は、第2アウターハウジング10aに対しても気密に設けられている。
気密ブロック35に並列に形成されるケーブル挿入穴34は、ケーブル2a〜2cの径より大きい径に形成され、ケーブル2a〜2cと気密ブロック35との間に所定距離の隙間36を有するように形成される。この隙間36は、後述する溶融部材37を溶融させたとき、その溶融させた溶融部材37である溶融樹脂を流し込むための空間であり、溶融樹脂を積極的に流し込むことができる程度の大きさに形成される。また、ケーブル挿入穴34は、隣り合うケーブル挿入穴34が重なり合うように連通している(図2参照)。すなわち、本実施の形態では、隣り合うケーブル2a〜2cの周囲に形成された隙間36同士が連通するようにされる。
気密ブロック35は、ケーブル2a〜2cと気密ブロック35の間隔を一定に保ち、ケーブル2a〜2cの周囲に形成される隙間36を所定距離に保持すべく、ケーブル2a〜2cを挟持する挟持部38を有している。挟持部38は、ケーブル挿入穴34の一部を、ケーブル2a〜2cの径と略同じ径(ケーブル2a〜2cの径よりも若干大きい径)に縮径して形成される。本実施の形態では、気密ブロック35の後端から所定距離の位置に挟持部38を形成するようにし、挟持部38よりも後方の隙間36(挟持部38と後述する閉塞部材52間の隙間36)に溶融樹脂を流し込むようにした。
また、気密ブロック35は、少なくとも挟持部38においては、並列に配置されたケーブル2a〜2cを上下方向(図1及び図3参照)から挟むように2分割して形成される。これは、挟持部38を形成することにより、ケーブル2a〜2cを気密ブロック35内(ケーブル挿入穴34内)に挿入し難くなるためである。本実施の形態では、挟持部38を分割するように気密ブロック35の後端部の一部(図3では右上側)を分割し、別体に形成した。分割した気密ブロック35のうち、第2アウターハウジング10a側に固定される部分を第1分割気密ブロック35a、第1分割気密ブロック35aから分割して別体で形成された部分を第2分割気密ブロック35bと呼称する。一対の分割気密ブロック35a,35bは、溶融部材37を溶融させる工程に先立ち、一対の分割気密ブロック35a,35bでケーブル2a〜2cを挟んだ状態で超音波溶着により溶着し一体化される。
気密ブロック35には、樹脂からなる溶融部材37が挿入される部分であって、ケーブル2a〜2cを押圧しないように溶融部材37を隣り合うケーブル挿入穴34が連通する部分に挿入するための第1挿入部39が形成される。第1挿入部39は、ケーブル2a〜2cの長手方向に垂直な方向(図2では上下方向)に、第2分割気密ブロック35bを貫通する穴、または溝からなる。
図8(a),(b)に示すように、本実施の形態では、第1挿入部39を、気密ブロック35の後端面Rに沿って形成した溝で構成した。
また、本実施の形態では、気密ブロック35に閉塞部材52を取り付ける際に、後述する閉塞部材52の第1押圧受部40が、第1挿入部39のケーブル挿入穴34側の端部側を塞ぐようなかたちとなるため、第1挿入部39とケーブル2a〜2cの周囲の隙間36と連通するように溶融樹脂導入穴54が形成される。溶融樹脂導入穴54は、ケーブル挿入穴34の一部であり、第1挿入部39のケーブル挿入穴34側の端部から、ケーブル2a〜2cの長手方向に挟持部38側に延び、ケーブル2a〜2cの周囲の隙間36と連通するように形成される。
本実施の形態では、3本のケーブル2a〜2cを並行に配置しているため、ケーブル2aとケーブル2bとの間、ケーブル2bとケーブル2cとの間に1つずつ、合計2つの第1挿入部39を形成したが、第1挿入部39の数は1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、本実施の形態では、ケーブル2a〜2cの長手方向において、同じ位置に2つの第1挿入部39を形成しているが、ケーブル2a〜2cの長手方向の異なる位置に第1挿入部39を形成するようにしてもよいし、例えば、ケーブル2aとケーブル2bとの間であって、長手方向に複数の第1挿入部39を形成してもよい。ただし、本実施の形態では、挟持部38の後方の隙間36に溶融樹脂を流し込むため、第1挿入部39は、挟持部38の後方に位置するように形成される。
溶融部材37は、第1挿入部39に挿入される角柱状の軸部37bと、その軸部37bの後端部に形成されたフランジ状の頭部37aとからなるピン形状に形成される。
溶融部材37は、その軸部37bの先端を第1挿入部39に挿入し、頭部37aにホーン(図示せず)を接触させた状態で、ホーンにて加振しつつ閉塞部材52の第1押圧受部40に押圧することで、軸部37bの先端と第1押圧受部40との間で発生した熱により、軸部37bの先端部が溶融される。溶融部材37に用いる樹脂としては、気密ブロック35と同じ樹脂を用いることが望ましく、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PPA(ポリフタルアミド)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)などを用いるとよい。
溶融部材37の頭部37aは、溶融部材37を溶融させる際にホーンを接触させる部分となるため、溶融部材37を溶融させる際にホーンと頭部37a間で熱が発生して頭部37aが溶融してしまうことを防ぐため、ホーンとの接触面積を十分確保できる大きさ(面積)に形成される。
溶融部材37の軸部37bの長さは、溶融させる溶融樹脂の量が、挟持部38と閉塞部材52との間の隙間36を完全に充填できる程度の量、あるいはそれより若干多い量となるよう設定される。また、本実施の形態では、第1挿入部39を2つ形成しており、2つの溶融部材37を用いるが、この2つの溶融部材37は略同じ長さに形成される。これは、隙間36に均等に溶融樹脂を供給するためには、2つの溶融部材37を略同じスピードで溶融させることが望ましいが、2つの第1押圧受部40を溶融部材37の挿入方向で同じ位置に形成しておけば、2つの溶融部材37を略同じ長さに形成することで、2つの溶融部材37を同時に押圧するという簡単な構成で、2つの溶融部材37を略同じスピードで溶融させることを実現できるためである。なお、2つの溶融部材37を同時に押圧するには、例えば、共通の1つのホーンで押圧すればよい。
本実施の形態では、溶融部材37をピン形状に形成したが、溶融部材37の形状はこれに限らず、例えば、溶融部材37を板状に形成するようにしてもよい。また、溶融部材37の軸部37bは、その先端部が溶融しやすいように、その先端が徐々に先細りしている形状(先端先細形状)に形成してもよい。
図9に示すように、閉塞部材52は、ケーブル2a〜2cを挟むように2分割して形成されている。ここでは、2分割した閉塞部材52のうち、溶融部材37の挿入側(図示上側)を上側閉塞部材52a、図示下側を下側閉塞部材52bと呼称する。
この閉塞部材52は、気密ブロック35のケーブル2a〜2cの挿入側にて開口するケーブル挿入穴34の開口部を塞ぐためのものである。
また、閉塞部材52は、ケーブル2a〜2cと気密ブロック35の間隔を一定に保ち、ケーブル2a〜2cの周囲に形成される隙間36を所定距離に保持すべく、ケーブル2a〜2cを挟持するよう形成される。つまり、閉塞部材52は、挟持部の役割も兼ねている。
下側閉塞部材52bには、第1挿入部39から挿入された溶融部材37の先端を押し当てるための第1押圧受部40が形成される。第1押圧受部40は、第1挿入部39に挿入される溶融部材37の挿入方向(図9では上下方向)に対して垂直に形成された平坦な面からなる。本実施の形態では、第1挿入部39を2つ形成しているため、両第1挿入部39に対応して、ケーブル2aとケーブル2bとの間、ケーブル2bとケーブル2cとの間に、合計2つの第1押圧受部40が形成される。
この第1押圧受部40は、第1挿入部39から挿入した溶融部材37がケーブル2a〜2cに接触してしまうのを防ぐため、ケーブル2a〜2cの中心軸よりも第1挿入部39側(図9では上方)に突出するように形成される。上側閉塞部材52aには、上方に突出する第1押圧受部40を嵌合する溝53が形成される。2つの第1押圧受部40は、溶融部材37の挿入方向(図9では上下方向)の同じ位置に形成される。
また、第1押圧受部40は、閉塞部材52を気密ブロック35に取り付けた際に、第1挿入部39のケーブル挿入穴34側の開口部を塞ぐように、気密ブロック35側(図9では左奥側)に突出するように形成される。
図10(a)〜(c)に示すように、気密ブロック35に閉塞部材52を取り付けると、挟持部38と閉塞部材52とでケーブル挿入穴34の一部が区画されると共に、第1挿入部39と対向する位置に第1押圧受部40が配置される。本実施の形態では、この挟持部38と閉塞部材52間の隙間36に溶融樹脂を充填することになる。なお、気密ブロック35に対する閉塞部材52の位置決め方法は、特に限定されるものではないが、例えば、閉塞部材52にピンを設けると共に、気密ブロック35にピンを嵌合する嵌合孔を設け、ピンを嵌合孔に嵌合させることで、閉塞部材52の気密ブロック35に対する位置決めを行うようにすればよい。
第1挿入穴39から挿入された溶融部材37は、ホーンにより加振され、第1押圧受部40に押圧されることによって、第1押圧受部40と接触する軸部37bの先端部が溶融する。軸部37bの先端部が溶融した溶融樹脂は、図10(b)に矢印で示したように、まず、溶融樹脂導入穴54を通ってケーブル2a〜2c間の隙間36に供給され、その後、順次供給される溶融樹脂に押されるようなかたちで、図10(c)に矢印で示したように、ケーブル2a〜2cの並列方向に順次供給されていくことになる。
閉塞部材52は、溶融樹脂を固化した後に取り除かれるため、固化した溶融樹脂から剥離(離型)しやすい材質を用いることが望ましい。本実施の形態では、離型性を考慮して、閉塞部材52を異種材料である金属で形成したが、溶融樹脂に用いる樹脂に対して密着性の悪い(つまり剥離しやすい)樹脂を用いるようにしてもよい。なお、閉塞部材52として樹脂を用いる場合は、溶融部材37を溶融させるときに閉塞部材52が溶融してしまわないように、溶融部材37よりも溶融温度が高い樹脂を用いるか、あるいは、第1押圧受部40の表面に、閉塞部材52の溶融を防ぐ金属板などの保護部材を設けるとよい。
次に、ワイヤハーネス1の製造方法について説明する。
ワイヤハーネス1を製造する際には、まず、図11(a)に示すように、第2接合端子9a〜9cが設けられたケーブル2a〜2cの端部を、第1分割気密ブロック35aのケーブル挿入孔34に挿入し、第2インナーハウジング10bにより、第2アウターハウジング10a内に各ケーブル2a〜2cを所定間隔で離間して整列保持する。
その後、図11(b)に示すように、第2分割気密ブロック35bを第1分割気密ブロック35aに対して超音波溶着して、一対の分割気密ブロック35a,35bを一体化すると共に、挟持部38でケーブル2a〜2cを挟持する。
このとき、第2分割気密ブロック35bにホーンを接触させ、ホーンにて第2分割気密ブロック35bを加振しつつ第1分割気密ブロック35a側に押圧して、一対の分割気密ブロック35a,35bを溶着するが、超音波溶着時に第2分割気密ブロック35bを第1分割気密ブロック35a側に押圧し過ぎると、挟持部38がシース5に押圧されて、挟持部38とシース5との接触部分で熱が発生し、シース5が溶融してしまうおそれがある。そこで、本実施の形態では、挟持部38がシース5に溶融樹脂が漏れ出さない程度に密着した時点で、ホーンによる押圧を終了するようにした。
一対の分割気密ブロック35a,35bを超音波溶着により一体化した後、図11(c)に示すように、閉塞部材21を気密ブロック35に取り付けて、ケーブル挿入穴34を塞ぐと共に、ケーブル2a〜2cを挟持する。その後、溶融部材37を第1挿入部39を介してケーブル挿入穴34に挿入し、溶融部材37の頭部37aにホーンを接触させて、溶融部材37を加振しつつ第1押圧受部40に押圧する。このとき、ホーンで2つの溶融部材37を同時に押圧する。溶融部材37の軸部37bの先端が第1押圧受部40に接触すると、軸部37bの先端と第1押圧受部40との間で熱が発生し、溶融部材37の軸部37bの先端部が溶融する。溶融部材37の軸部37bの先端部が溶融した溶融樹脂は、ケーブル2a〜2cの周囲に形成された隙間36(両挟持部38間の隙間36)に流し込まれる。
溶融部材37をさらに加振しつつ押圧すると、図11(d)に示すように、その軸部37bの先端部が順次溶融されて隙間36に流し込まれ、両挟持部38間の隙間36が溶融樹脂で完全に充填される。なお、このとき溶融部材37の頭部37aが第1挿入部39の周縁に当接し、頭部37aも気密ブロック35に溶着されることになる。
この状態でホーンによる加振を停止すると、ケーブル2a〜2cの周囲を覆った溶融樹脂が固まり、溶融部材37とケーブル2a〜2cとが隙間なく密着する。また、溶融樹脂が固まることで、溶融部材37と気密ブロック35とが一体化される。
その後、図11(e)に示すように、閉塞部材52を取り除く(離型する)。気密ブロック35から突出する溶融部材37の頭部37aは、削り取るようにしてもよいし、そのままにしておいてもよい。
以上により、第2ハウジング10とケーブル2a〜2c間の気密保持構造が形成され、ワイヤハーネス1が得られる。なお、第1コネクタ部8の組み立て手順は従来技術に属するため、ここでは説明を省略する。
以上、説明したように、本実施の形態に係るワイヤハーネス1では、閉塞部材52でケーブル挿入穴34の開口部を塞いだ後、溶融部材37を第1挿入部39を介してケーブル挿入穴34に挿入し、溶融部材37を加振しつつ閉塞部材52の第1押圧受部40に押圧することで、閉塞部材52の第1押圧受部40と接触する溶融部材37の先端部を溶融させ、その溶融した溶融部材37である溶融樹脂をケーブル2a〜2cと気密ブロック35間の隙間36に流し込んでケーブル2a〜2cの周囲を溶融樹脂で覆うことにより、気密ブロック35とケーブル2a〜2cとの気密を保持するようにし、その後、閉塞部材52を取り除くようにしている。
本実施の形態では、閉塞部材52によりケーブル挿入穴34の開口部を塞ぐようにし、溶融樹脂を固化させた後に、閉塞部材52を取り除くようにしているため、気密ブロック35が大きくなってしまうことがなく、気密保持構造の小型化、ひいてはワイヤハーネス1の小型化に寄与する。
さらに、取り除いた閉塞部材52は使い回しが可能であるので、製造コストを低減できる。また、例えば、ワイヤハーネス1のモデルチェンジなどがあった場合でも、気密ブロック35の後端部の形状さえ同じであれば使い回せるので、汎用性が高い。
ワイヤハーネス1では、溶融部材37を溶融させた溶融樹脂を、ケーブル2a〜2cと気密ブロック35との間の隙間に流し込むことにより、ケーブル2a〜2cの周囲を隙間なく溶融樹脂で覆い、かつ、第2ハウジング10に対して気密に設けられた気密ブロック35と溶融部材37とを隙間なく一体化することが可能となり、第2ハウジング10とケーブル2a〜2cとの気密を十分に保持することが可能となる。
また、ワイヤハーネス1では、第1挿入部39を、隣り合うケーブル2a〜2c間のケーブル挿入穴34に、溶融部材37をケーブル2a〜2cを押圧しないように挿入するように形成しており、さらには、第1押圧受部40をケーブル2a〜2cの中心軸よりも上方(第1挿入部39側)に形成しているため、溶融部材37がケーブル2a〜2cに接触してしまうことがなく、ケーブル2a〜2cのシース5を溶融させることなく、気密ブロック35とケーブル2a〜2cとの気密を十分に保持することが可能となる。
さらに、ワイヤハーネス1では、隣り合うケーブル挿入穴34が重なり合うように連通しているため(図2又は図13参照)、ケーブル2a〜2cの間隔を小さくでき、ケーブル2a〜2cのピッチをより詰めることが可能となり、ワイヤハーネス1の小型化に寄与する。
また、ワイヤハーネス1では、閉塞部材52を取り除くと、固化した溶融樹脂が露出するため、溶融樹脂の充填状態を確認することが可能である。溶融樹脂の充填状態を確認可能とすることで、例えば、溶融樹脂の充填状態が不十分な場合は、その充填状態が不十分な箇所に別途溶融樹脂を流し込むなどの対処をすることが可能となり、不良品の発生を著しく抑制できる。
また、ワイヤハーネス1では、溶融部材37を、閉塞部材52に形成した第1押圧受部40に押し当てて溶融させるようにしている。
例えば、溶融部材37を気密ブロック35に押し当てて溶融させることも考えられるが、この場合、気密ブロック35が溶融してしまうのを防ぐため、溶融部材37を気密ブロック35より低い溶融温度を有する樹脂で形成するか、あるいは、気密ブロック35の溶融部材37が押し当てられる位置に、金属などの保護部材を別途設ける必要が生じる。
ワイヤハーネス1では、溶融部材37を閉塞部材52に押し当てて溶融させるため、気密ブロック35が溶融してしまうことがなくなり、溶融部材37や気密ブロック35に用いる樹脂の選択範囲が広がり、溶融部材37と気密ブロック35を、互いに同じ材質、または溶融温度が近い材質で形成することも可能となる。特に、溶融部材37と気密ブロック35を互いに同じ材質で形成することで、溶融樹脂を固化させた際に溶融部材37と気密ブロック35をより強固に一体化でき、より気密性を向上することが可能となる。また、気密ブロック35を保護するための保護部材を別途設ける必要もないので、コストも抑制できる。
また、ワイヤハーネス1では、閉塞部材52をケーブル2a〜2cを挟むように2分割して形成しているため、閉塞部材52の取り付け、取り外しが容易である。
さらに、ワイヤハーネス1では、気密ブロック35にケーブル2a〜2cを挟持する挟持部38を形成しており、挟持部38と閉塞部材52の2箇所でケーブル2a〜2cを挟持しているため、ケーブル2a〜2cの周囲に形成される隙間36を所定距離に保持することが可能となり、ケーブル2a〜2cの周囲に確実に溶融樹脂を供給することが可能となる。つまり、ケーブル2a〜2cの一部が溶融樹脂で覆われないなどの不具合が発生することがなくなる。
また、ワイヤハーネス1では、気密ブロック35を並列に配置されたケーブル2a〜2cを上下方向から挟むように2分割して形成しているため、容易にケーブル2a〜2cを第2ハウジング10内(ケーブル挿入穴34内)に挿入することができる。
さらに、ワイヤハーネス1では、2つの溶融部材37を同時に押圧するようにし、2つの溶融部材37を略同じスピードで溶融させるようにしているので、隙間36に均等に溶融樹脂を供給することができる。
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。
図12〜14に示すワイヤハーネス80は、図1〜4で説明したワイヤハーネス1と基本的に同じ構成であるが、溶融部材37を挿入する位置が異なる。
具体的には、ワイヤハーネス80では、気密ブロック35に、溶融部材37が挿入される部分であって、並列に配置された複数のケーブル2a〜2cのうち両側に位置するケーブル挿入穴34に連通する第2挿入部81を形成すると共に、閉塞部材52に、第2挿入部81に挿入された溶融部材37の先端を押し当てるための第2押圧受部82を形成している。つまり、ワイヤハーネス80は、ワイヤハーネス1の第1挿入部39、第1押圧受部40に代えて、第2挿入部81、第2押圧受部82を形成するようにしたものである。
本実施の形態では、溶融部材37がケーブル2a〜2cに接触しないように、第2挿入部81を、並列方向の両側に配置されたケーブル2a,2cから所定間隔離れた位置に形成している。なお、第2挿入部81を形成する気密ブロック35の後端部35cは、ケーブル2a〜2cの並列方向に拡大したフランジ状に形成される。
第2挿入部81は、第2挿入部81の一部である溶融樹脂導入穴83を介して、ケーブル2a〜2cの周囲の隙間36と連通される。溶融樹脂導入穴83は、第2挿入部81に対して直角に(ケーブル2a〜2cの並列方向に沿って)形成されると共に、断面視で略矩形状に形成されている。
図15に示すように、ワイヤハーネス80では、下側閉塞部材52bのケーブル2a〜2cの両側に配置される部分の上面が、溶融部材37を押し当てる第2押圧受部82となる。第2押圧受部82は、気密ブロック35側に突出するように形成され、閉塞部材52を気密ブロック35に取り付けた際に、第2挿入部81と対向して配置されるように形成される。
ワイヤハーネス80によれば、ワイヤハーネス1と同様に、溶融部材37を溶融させた溶融樹脂を、ケーブル2a〜2cと気密ブロック35との間の隙間36に流し込むことができ、ケーブル2a〜2cのシース5を溶融させることなく、気密ブロック35とケーブル2a〜2cとの気密を十分に保持することが可能となる。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、ワイヤハーネス1では第1挿入部39と第1押圧受部40のみを形成し、ワイヤハーネス80では第2挿入部81と第2押圧受部82のみを形成した場合を説明したが、当然ながら、第1挿入部39と第1押圧受部40、および第2挿入部81と第2押圧受部82の両方を形成するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、気密ブロック35を第2インナーハウジング10bの一部としたが、これに限らず、気密ブロック35を第2アウターハウジング10aの一部となるように形成しても良いし、気密ブロック35を第2ハウジング10と別体に形成し、別体に形成した気密ブロック35を第2ハウジング10に対して気密に設けるようにしてもよい。
さらに、上記実施の形態では、閉塞部材52を金属で形成した場合を説明したが、閉塞部材52を透明な材質(例えば、ガラスや透明な樹脂など)で形成し、溶融樹脂を充填する段階で、溶融樹脂の充填状態を視認できるようにしてもよい。この場合、溶融部材37に用いる樹脂を、気密ブロック35の色と異ならせ、視認性を向上させることが望ましい。これにより、リアルタイムで溶融樹脂の充填状態を確認しながらホーンによる押圧力などの調整を行うことが可能となり、溶融樹脂の充填状態が不十分となってしまうことを抑制できる。
さらにまた、上記実施の形態では、第2分割気密ブロック35bを第1分割気密ブロック35aに超音波溶着する際に、挟持部38にて、気密ブロック35が溶融樹脂が漏れ出さない程度にケーブル2a〜2cのシース5に密着した時点で、ホーンによる押圧を終了するようにしたが、シース5の溶融を完全に防止すべく、挟持部38で挟持される位置のシース5の外周に、金属、あるいは気密ブロック35よりも溶融温度が高い樹脂からなる保護部材を設けて、気密ブロック35とシース5が直接接触しないようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、挟持部38と閉塞部材52間の隙間36を溶融樹脂で完全に充填した時点で、ホーンによる溶融部材37の加振・加圧を停止したが、挟持部38と閉塞部材52との間の隙間36を溶融樹脂で完全に充填した後、さらにホーンにより溶融部材37を加振しつつ押圧して溶融されることで、隙間36内に充填された溶融樹脂の内圧を高くし、隙間36内に充填された溶融樹脂(隙間36に流れ込んだ溶融樹脂)でケーブル2a〜2cのシース5を圧迫するようにしてもよい。これにより、気密性をより向上することが可能となる。
さらに、上記実施の形態では、挟持部38と閉塞部材52との間の隙間36に溶融樹脂を流し込むようにしたが、挟持部38を省略してもよい。
挟持部38を省略する場合、溶融樹脂が第2接合端子9a〜9c側に流れ込むことになるため、溶融樹脂の内圧を高くしてシース5を圧迫することはできなくなるが、ケーブル2a〜2cと気密ブロック35間の気密に関しては十分に保持することが可能である。
上記実施の形態では、隙間36を溶融樹脂で完全に充填する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、隙間36が完全に充填されておらず、多少の隙間がある場合であっても、本発明の技術思想の範囲に含まれる。
また、上記実施の形態では、第2コネクタ部11における第2ハウジング10とケーブル2a〜2cとの間の気密保持構造について説明したが、第1コネクタ部8にケーブルが接続される場合は、第1コネクタ部8における第1ハウジング7とケーブルとの間の気密保持構造にも、本発明を適用することが可能である。
また、上記実施の形態では、ケーブル2a〜2cにおける中心導体4が断面視で略円形状であったが、その他の形状、例えば、平角形状であっても、本発明を適用することが可能である。