JP5406876B2 - 油圧駆動走行装置 - Google Patents
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Description
なお、前側の可変容量油圧モータ21、前側の減速機構22、前側の駆動軸23、及び前側の駆動輪24と同様に、後側の可変容量油圧モータ31、後側の減速機構32、後側の駆動軸33、及び後側の駆動輪34が構成される。
コントローラ56は、アクセル55から入力されたアクセル量に応じて、エンジン11の回転数(走行速度)や油圧ポンプ12の容量(駆動トルク)を変更する。コントローラ56は、圧力センサ51で検出したモータ圧力に応じて可変容量油圧モータ21及び31の容量を制御する「モータ容量圧力フィードバック制御」を行う。また、コントローラ56は、駆動軸23及び33のスリップを抑制する「アンチスリップ制御」を行う(アンチスリップ制御手段)。
コントローラ56は、図4に示すように、圧力センサ51で検出されたモータ圧力Pが目標圧力(設定圧)P1になるように可変容量油圧モータ21及び31のモータ容量を制御する(モータ容量圧力制御手段)。言い換えれば、コントローラ56は、モータ圧力Pが目標圧力P1を維持するように、モータ圧力Pを一定にする方向に、モータ容量を増減する。なお、目標圧力P1は、通常走行時における可変容量油圧モータ21及び31の目標圧力である。スリップ時の目標圧力P2については後述する。
次に、図2〜図4を参照してアンチスリップ制御について説明する(以下、図1に示す油圧駆動走行装置1の物理的構成要素については図1参照)。アンチスリップ制御の概略は次のとおりである。図2に示すように、所定の条件を満たし(ステップS1及びS2)、かつ、グリップ状態の駆動軸(例えば駆動軸23)との回転速度差が設定速度差ΔVを超えるスリップ状態の駆動軸(例えば駆動軸33)がある場合は(ステップS4及びS5)、アンチスリップ制御をONとする(ステップS11)。また、上記所定の条件(ステップS1又はS2)を満たさない場合、または、グリップ状態の駆動軸(例えば駆動軸23)が設定速度Vset2を超える場合は(ステップS6)、アンチスリップ制御をOFFとする(ステップS12)。図3に示すように、アンチスリップ制御をONとしたときは、原則、スリップ側モータ(例えば可変容量油圧モータ31)のモータ容量qsを0とする。図4に示すように、モータ圧力Pが目標圧力P2以上のときはスリップ側モータ容量qsが0より大きくなるようにモータ容量圧力フィードバック制御を行う。以下、詳細に説明する。
ステップS1では、図2に示すように、複数の駆動軸23及び33の中で少なくとも1つの駆動軸(22又は33)の回転速度が所定の速度Vset1未満か否かが判断される。すなわち、ステップS1では、駆動輪24又は34でスリップが生じにくいほど十分大きい速度(速度Vset1)で油圧駆動走行装置1が走行しているか(進んでいるか)否かが判断される。速度Vset1の値は、例えば実験等に基づいて選択する。少なくとも1つの駆動軸(22又は33)の回転速度が速度Vset1未満(YES)の場合、ステップS2へ進む。全ての駆動軸23及び33の回転速度が速度Vset1以上(NO)の場合、アンチスリップ制御をOFFとし(ステップS12)、次ステップへ進む(ステップS13)。ステップS13まで進むと今回のステップは終了し、次回のステップをステップS0から開始する。
アンチスリップ制御では、原則、スリップ側モータ容量qsを0とする。すると、スリップ側モータ31の流量は0となる。すなわち、図1に示す油圧ポンプ12から供給される圧油は、スリップ側モータ31に流れず、スリップ側モータ31以外の可変容量油圧モータ(グリップ側モータ21)に流れる。その結果、スリップ側モータの駆動力は0になるとともに、グリップ側モータ21の駆動力は大きくなる。
図4に、スリップ側モータ容量qsおよびグリップ側モータ容量qgと、圧力センサ51で検出されたモータ圧力Pとの関係を表すグラフを示す。アンチスリップ制御をONとしたときは、グリップ軸23を駆動させるグリップ側モータ21の目標圧力P1(第1の目標圧力)よりも、スリップ軸33を駆動させるスリップ側モータ31の目標圧力P2(第2の目標圧力)を高く設定する。目標圧力P1及びP2は、上述したモータ容量フィードバック制御の目標圧力である。
グリップ側モータ容量qgは、上述したモータ容量圧力フィードバック制御により、モータ圧力Pが目標圧力P1になる方向に制御される。なお、可変容量油圧モータ(21等)の数が3以上の場合(後述)は、グリップ側モータ21でもスリップ側モータ31でもない可変容量油圧モータ41(図1参照)の目標圧力やモータ容量を、例えばグリップ側モータ21と同様の目標圧力P1及びモータ容量qgとする。次にスリップ側モータ容量qsの増減について説明する。
図1に示すように、上記実施形態では、油圧駆動走行装置1は2つの駆動軸23及び33を備えていた。しかし、油圧駆動走行装置1を3軸以上としても良い。すなわち、油圧駆動走行装置1は、上述した前側および後側の駆動軸23及び33の周辺の構成と同様に、可変容量油圧モータ41、減速機構42、駆動軸43、駆動輪44、及び、速度センサ54を備えても良い。また、油圧駆動走行装置1を4軸以上としても良い。油圧駆動走行装置1が3軸以上の場合も、上記と同様にアンチスリップ制御を行う。
本発明の油圧駆動走行装置1(図1参照。以下、物理的構成要素については図1参照)のコントローラ56によるアンチスリップ制御では、複数の駆動軸23及び33(駆動部)のうち回転速度が最も低い駆動軸23をグリップ軸23(グリップ駆動部)と判定する(図2のステップS4)。複数の駆動軸23及び33のうち、グリップ軸23の回転速度Vgとの速度差が設定速度差ΔVを超えた駆動軸33をスリップ軸33(スリップ駆動部)と判定する(図2のステップS5)。そして、図3に示すように、スリップ軸33を駆動させるスリップ側モータ31のスリップ側モータ容量qsを0とする。
ここで、スリップ側モータ容量qsを0にするのではなく、いわば中途半端に0を超える値(0より大きい値)に低減する場合、スリップ側モータ31の回転速度Vsがかえって増大する場合がある(図5において二点鎖線で示すスリップ軸33の回転速度Vsp参照)(目標とする回転速度を大きく超える速度オーバーシュートが生じる)。
一方、本発明ではスリップ側モータ31のスリップ側モータ容量qsを0にする。よって、油圧ポンプ12からスリップ側モータ31への作動油の流量は0となり、スリップ側モータ31はスリップ軸33を駆動させない。したがって、スリップ軸33の回転速度Vsが増大することを抑制できる。その結果、スリップ軸33はスリップ状態から脱しやすい。
また、コントローラ56によるアンチスリップ制御では、スリップ軸33を駆動させるスリップ側モータ31のスリップ側モータ容量qsを0とする(図3参照)。よって、油圧ポンプ12からスリップ側モータ31への作動油の流量は0となる。よって、スリップ側モータ31以外の可変容量油圧モータ(グリップ側モータ21を含む)へ、油圧ポンプ12から圧油が確実に供給される。したがって、スリップ側モータ31以外の可変容量油圧モータが駆動させる駆動軸(グリップ軸23を含む)を確実に駆動させることができる。その結果、油圧駆動走行装置1は加速しやすい。
上記の効果1−1及び1−2より、油圧駆動走行装置1はスリップ状態から確実に脱出しやすい。
また、図4に示すように、コントローラ56によるアンチスリップ制御では、グリップ軸23を駆動させるグリップ側モータ21の目標圧力P1(第1の目標圧力)よりも、スリップ軸33を駆動させるスリップ側モータ31の目標圧力P2(第2の目標圧力)を高く設定する。アンチスリップ制御では、圧力センサ51で検出されたモータ圧力Pが目標圧力P2以上の場合、スリップ側モータ容量qsを0とすることに代えて、スリップ側モータ容量qsが0より大きくなるように、モータ容量圧力フィードバック制御を行う。よって、圧力センサ51で検出されたモータ圧力Pが目標圧力P2以上の場合は、スリップ側モータ31が駆動し、スリップ軸33が駆動される(駆動トルクが分配される)。具体的には例えば、油圧駆動走行装置1が走行する地面の登坂角が所定の角度より大きい場合にスリップ軸33が駆動される。その結果、油圧駆動走行装置1の登坂時の加速力が向上する。
また、図3に示すように、アンチスリップ制御によりスリップ側モータ容量qsの制御が開始された時から、グリップ軸23の回転速度Vgが設定速度Vset2を超えた時まで、アンチスリップ制御をOFFにする(解除する)ことが禁止される。また、設定速度Vset2は、アンチスリップ制御によりスリップ側モータ容量qsの制御が開始された時におけるグリップ軸23の回転速度Vg0より大きく設定される(Vg0を超える)。すなわち、グリップ軸23の回転速度Vgが設定速度Vset2未満であれば、グリップ軸23の回転速度Vgとスリップ軸33の回転速度Vsとの速度差が設定速度差ΔV未満であっても、アンチスリップ制御を解除しない。
ここで、図5に示すように、グリップ軸23の回転速度Vgとスリップ軸33の回転速度Vsとの速度差が設定速度差ΔVを下回ったときにアンチスリップ制御をOFFにするとする。この条件では、スリップ軸33がスリップ状態から十分に脱出していない状態のまま、かつ、グリップ軸23が(油圧駆動走行装置1が)十分に加速していない状態のまま、アンチスリップ制御がOFFとなる場合がある。この場合、スリップ軸33であった駆動軸33が再びスリップ状態となりやすい。その結果、アンチスリップ制御が再びONとなりやすい。このようにアンチスリップ制御のONとOFFとを繰り返すハンチングが生じる場合がある。
一方で、図3に示すように、グリップ軸23の回転速度Vgが設定速度Vset2を超えた後にアンチスリップ制御が解除可能となる場合、グリップ軸23が設定速度Vset2まで確実に加速する。また、グリップ軸23が設定速度Vset2まで加速する前にアンチスリップ制御を解除する場合に比べ、アンチスリップ制御の開始から解除までの時間が長いので、スリップ軸33はスリップ状態から脱しやすい。このように、グリップ軸23が設定速度Vset2まで確実に加速でき、かつ、スリップ軸33がスリップ状態から脱しやすいので、アンチスリップ制御のONとOFFとを繰り返すハンチングを抑制できる。
アンチスリップ制御の動作は様々に変更できる。
例えば、図3に示すように、上記実施形態では、グリップ軸23の回転速度Vgが設定速度Vset2を超えたときにアンチスリップ制御をOFFとした。しかし、油圧駆動走行装置1の状況に応じて(例えば回転速度VsとVgとの速度差が設定速度差ΔVを超える場合など)に、アンチスリップ制御をONのままとしても良い。
また例えば、図4に示すように、上記実施形態では、モータ圧力Pが目標圧力P2以上のときにスリップ側モータ容量qsが0より大きくなるようにした。しかし、上記と同様に油圧駆動走行装置1の状況に応じて、スリップ側モータ容量qsを0のままにしても良い。
また例えば、図5に示すように、スリップ軸33とグリップ軸23との回転速度の速度差がΔV未満になった時にアンチスリップ制御をOFFにしても良い。
12 油圧ポンプ
21、31、41 可変容量油圧モータ
23、33、43 駆動軸(駆動部)
24、34、44 駆動輪(駆動部)
51 圧力センサ
Vg グリップ軸の回転速度
Vs スリップ軸の回転速度
ΔV 設定速度差
Vset2 設定速度
Pg グリップ側目標圧力(第1の目標圧力)
Ps スリップ側目標圧力(第2の目標圧力)
Claims (2)
- 複数の駆動部の回転駆動により走行する油圧駆動走行装置であって、
前記駆動部を駆動させる可変容量油圧モータと、
複数の前記可変容量油圧モータに圧油を供給する油圧ポンプと、
前記駆動部の駆動を制御するアンチスリップ制御手段と、
前記可変容量油圧モータのモータ圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサで検出されたモータ圧力が目標圧力になるように前記可変容量油圧モータのモータ容量を制御するモータ容量圧力制御手段と、
を備え、
前記アンチスリップ制御手段は、
複数の前記駆動部のうち回転速度が最も低い駆動部をグリップ駆動部と判定し、
複数の前記駆動部のうち、前記グリップ駆動部の回転速度との速度差が設定速度差を超えた当該駆動部をスリップ駆動部と判定し、
前記グリップ駆動部を駆動させる前記可変容量油圧モータの第1の前記目標圧力よりも、前記スリップ駆動部を駆動させる前記可変容量油圧モータの第2の前記目標圧力を高く設定し、
前記圧力センサで検出されたモータ圧力が前記第2の目標圧力未満の場合、前記スリップ駆動部を駆動させる前記可変容量油圧モータのモータ容量を0とし、
前記圧力センサで検出されたモータ圧力が前記第2の目標圧力以上の場合、前記スリップ駆動部を駆動させる前記可変容量油圧モータのモータ容量が0より大きくなるように前記モータ容量圧力制御手段に制御させる、
油圧駆動走行装置。 - 前記アンチスリップ制御手段が前記モータ容量の制御を開始した時から、前記グリップ駆動部の回転速度が設定速度を超えた時まで、前記アンチスリップ制御手段の前記モータ容量の制御の解除が禁止され、
前記設定速度は、前記アンチスリップ制御手段が前記モータ容量の制御を開始した時における前記グリップ駆動部の回転速度を超える、
請求項1に記載の油圧駆動走行装置。
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