JP5405760B2 - Plk−1阻害剤 - Google Patents
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Description
細胞周期におけるM期(細胞分裂期)は、細胞の染色体を分配し、娘細胞への正確な遺伝情報を伝えるための重要な時期である。そのため、G2期(細胞が分裂に入る準備のための時期)からM期への進行は種々の細胞周期調節因子によって厳密に制御されている。ポロ様キナーゼ-1(Polo-like kinase-1;Plk−1)はG2/M期の制御に関与するセリン・スレオニンキナーゼである。G2期からM期への移行にはCdc2-サイクリンB複合体が鍵のような役割をしており、Cdc2がリン酸化されている状態では、細胞はG2期からM期に進むことが出来ない。このCdc2のリン酸化にはWee1が関わるが、Plk−1はWee1をリン酸化することによって阻害する。また、リン酸化されたCdc2の脱リン酸化にはホスファターゼのCdc25が関わるが、Plk−1はCdc25をリン酸化することによって活性化する。このPlk−1によるWee1阻害とCdc25活性化によってCdc2からリン酸がはずれると、Cdc2-サイクリンB複合体は核内に移行し、G2期からM期への進行が開始する。Plk−1は、サイクリンBをリン酸化することでCdc2-サイクリンB複合体の核内移行にも直接関与している。
また、現在知られているPlk−1阻害剤としては、シアノバクテリアより単離されたscytonemin、広範囲なプロテインキナーゼ阻害剤であるstaurosporine、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤であるpuravalanol A、フォスファチジルイノシトール-3-キナーゼ阻害剤のLY294002、フラボノイド類のmorinやquercetin等が報告されているが(非特許文献6)、いずれも阻害剤としての十分な効果や特異性が得られていないことから、さらに新しいPlk−1阻害剤の開発が望まれる。
Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 2003, 100: 5789-5794 Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 1994, 91: 1736-1740 J. Cutan. Pathol., 2002, 29: 354-358 Biochem. Biophys. Res. Commun. 2007, 357: 353-359 Neurobiol. Aging, 2000, 21: 837-841 Curr. Top. Med. Chem., 2005, 5: 181-197
Bで示される環は、ベンゼン又はフランを示し;
R1はニトロ基、オキソ基、低級アルコキシ基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルカノイル基、アミノ基、チオキソ基又はシアノ基を示し;
R2はハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルカノイル基又はシアノ基を示し;
Xは−S−、−O−又は−NH−を示し;
lは0〜3の整数を示し(ただし、lが2以上を示す場合、それぞれのR2は同じでも異なっていてもよい);
mは0又は1の整数を示し;
nは0〜3の整数を示し(ただし、nが2以上を示す場合、それぞれのR1は同じでも異なっていてもよい)。;
pは0〜3の整数を示す。]
で表される複素環化合物又はその塩を有効成分とするポロ様キナーゼ−1阻害剤を提供するものである。
で表される複素環化合物又はその塩を有効成分とするポロ様キナーゼ−1阻害剤を提供するものである。
R6は水素原子を示し、R7は水素原子若しくはシアノ基を示し、又は
R6とR7は一緒になって、アルキル基が置換してもよい6員環の環状エーテルを形成し;
R8は、水素原子、アミノ基又は4−モルホリニル基を示す。]
で表される複素環化合物又はその塩を有効成分とするポロ様キナーゼ−1阻害剤を提供するものである。
また、本発明は、上記式(1)〜(3)の複素環化合物又はその塩を有効成分とする抗がん剤を提供するものである。
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
2-(ピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(2,3,4-トリメトキシフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-[(6-メトキシ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロベンゾチアゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸メチルエステル、
2-(5-アミノ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド塩酸塩、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルオキシ)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリジン-2-イルオキシ)アセトアミド、
2-(4,5-ジヒドロチアゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルアミノ)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)アセトアミド、
N-(4-アセチルフェニル)-2-(6-アミノ-3,5-ジシアノ-2-ピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-フラン-2-イルメチルアセトアミド、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-(4-シアノフェニル)アセトアミド、
2-アミノ-6-(2-オキソ-2-フェニルエチルスルファニル)ピリジン-3,5-ジカルボニトリル、
1-[[(6-アミノ-3,5-ジシアノ-2-ピリジニル)チオ]アセチル]-3,5-ジメチル-1H-ピラゾール
2-アミノ-6-(2-モルホリン-4-イルエチルスルファニル)ピリジン-3,5-ジカルボニトリル、
3,6-ジアミノ-5-シアノチエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボン酸[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アミド、
N-(4-アセチルフェニル)-1-アミノ-8,9-ジヒドロ-8,8-ジメチル-5-(4-モルホリニル)-6H-ピラノ[4,3-d]チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド
2-(ピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(2,3,4-トリメトキシフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-[(6-メトキシ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロベンゾチアゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸メチルエステル、
2-(5-アミノ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド塩酸塩、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルオキシ)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリジン-2-イルオキシ)アセトアミド、
2-(4,5-ジヒドロチアゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルアミノ)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)アセトアミド
式(1)において、Aで示される複素環(複素環Aともいう。)としては、ピリジン、ピリミジン、ジヒドロピリミジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ジヒドロチアゾール及びチアゾリジンが挙げられる。
当該複素環Aは、一若しくは複数の置換基R1を有してもよい環であり、当該置換基が複数の場合それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよい。
前記置換基R1を有してもよい複素環Aのうち、置換基R1を有してもよい2−ピリジル基、置換基R1を有してもよい2−ピリミジル基、置換基R1を有してもよい1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル基、置換基R1を有してもよい1H−ベンゾイミダゾール−2−イル基、置換基R1を有してもよいベンゾチアゾール−2−イル基、置換基R1を有してもよい4,5−ジヒドロチアゾール−2−イル基、又は置換基R1を有してもよい4−チアゾリジン−3−イル基が好ましい。
当該低級アルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられるが、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、特にメトキシ基が好ましい。
また、当該低級アルコキシカルボニル基としては、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基が挙げられ、具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
また、低級アルカノイル基としては、炭素数1〜6のアルカノイル基が挙げられ、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基等が挙げられ、特にアセチル基が好ましい。
当該環Bは、一若しくは複数の置換基R2を有してもよい環であり、当該置換基が複数の場合それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよい。
前記置換基R2を有してもよい環Bのうち、置換基R2を有してもよいフェニル基又は置換基R2を有してもよい2−フリル基が好ましい。
当該ハロゲン原子としては、前記フッ素の他、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等が挙げられる。
また、当該低級アルコキシカルボニル基、低級アルコキシ基、低級アルカノイル基は、上記R1の定義と同じである。
式(2)において、R3としては、酸素原子(=O)及び水素原子(−H)が挙げられる。
式(2)において、R4としては、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよい1−ピラゾリル基及び置換基を有してもよい4−モルホリニル基が挙げられる。これら環は、一若しくは複数の置換基を有してもよい環であり、当該置換基が複数の場合それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよい。
R4における置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、低級アルカノイル基が挙げられる。
当該ハロゲン原子及び低級アルカノイル基は、前記置換基R1の定義と同じである。
当該低級アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
当該置換基のうち、アセチル基、フッ素原子、シアノ基、メチル基が好ましい。
前記R4のうち、特に、フェニル基、3,5−ジメチルピラゾリル基又は4−モルホリニル基が好ましい。
式(3)において、R5としては、置換基を有してもよいフェネチル基及び置換基を有してもよいフェニル基が挙げられる。これら環は、一若しくは複数の置換基を有してもよい環であり、当該置換基が複数の場合それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよい。
R5における置換基としては、ハロゲン原子、低級アルコキシカルボニル基が挙げられる。当該ハロゲン原子は、前記置換基R2の定義と同じである。当該低級アルコキシカルボニル基は、前記置換基R1の定義と同じである。
当該置換基のうち、フッ素原子、アセチル基が好ましい。
前記R5のうち、特に、4−フルオロフェネチル基又は4−アセチルフェニル基が好ましい。
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(以下、化合物1ということもある)、
2-(ピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(2,3,4-トリメトキシフェニル)エチル]アセトアミド(以下、化合物2ということもある)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(以下、化合物4ということもある)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(以下、化合物5ということもある)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-[(6-メトキシ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド(以下、化合物6ということもある)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロベンゾチアゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド(以下、化合物7ということもある)、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸(以下、化合物8ということもある)、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸メチルエステル(以下、化合物9ということもある)、
2-(5-アミノ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド塩酸塩(以下、化合物10ということもある)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルオキシ)アセトアミド(以下、化合物11ということもある)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリジン-2-イルオキシ)アセトアミド(以下、化合物12ということもある)、
2-(4,5-ジヒドロチアゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド(以下、化合物13ということもある)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルアミノ)アセトアミド(以下、化合物17ということもある)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)アセトアミド(以下、化合物14ということもある)、
N-(4-アセチルフェニル)-2-(6-アミノ-3,5-ジシアノ-2-ピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(以下、化合物18ということもある)、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド(以下、化合物19ということもある)、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-フラン-2-イルメチルアセトアミド(以下、化合物20ということもある)、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-(4-シアノフェニル)アセトアミド(以下、化合物21ということもある)、
2-アミノ-6-(2-オキソ-2-フェニルエチルスルファニル)ピリジン-3,5-ジカルボニトリル(以下、化合物22ということもある)、
1-[[(6-アミノ-3,5-ジシアノ-2-ピリジニル)チオ]アセチル]-3,5-ジメチル-1H-ピラゾール(以下、化合物23ということもある)、
2-アミノ-6-(2-モルホリン-4-イルエチルスルファニル)ピリジン-3,5-ジカルボニトリル(以下、化合物24ということもある)、
3,6-ジアミノ-5-シアノチエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボン酸[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アミド(以下、化合物25ということもある)、
N-(4-アセチルフェニル)-1-アミノ-8,9-ジヒドロ-8,8-ジメチル-5-(4-モルホリニル)-6H-ピラノ[4,3-d]チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド(以下、化合物26ということもある)
2-(ピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(2,3,4-トリメトキシフェニル)エチル]アセトアミド(化合物2)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物4)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物5)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-[(6-メトキシ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物6)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロベンゾチアゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物7)、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸(化合物8)、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸メチルエステル(化合物9)、
2-(5-アミノ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド塩酸塩(化合物10)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルオキシ)アセトアミド(化合物11)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリジン-2-イルオキシ)アセトアミド(化合物12)、
2-(4,5-ジヒドロチアゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド(化合物13)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルアミノ)アセトアミド(化合物17)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)アセトアミド(化合物14)
さらに、本発明の化合物を抗がん剤として用いる場合には、がん細胞の増殖に対して強力な抑制作用を示す化合物が好ましく、より具体的には、後述の方法(実施例20)により求められる非小細胞肺がんA549細胞の増殖に対する阻害作用(IC50)(細胞増殖を50%阻害する本発明の化合物の濃度)が20μM以下であるものがさらに好ましく、10μM以下であるものが特に好ましい。
また、一般式(7)の化合物と一般式(8)の化合物とを縮合させることにより一般式(1)の複素環化合物又はその塩が得られる。
また、一般式(9)の化合物と一般式(10)の化合物とを縮合させることにより一般式(1)の複素環化合物又はその塩が得られる。
ここで、縮合反応は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエチリアミン等の塩基の存在下で行うのが好ましい。
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物1)
ブロモ酢酸(290 mg, 2.08 mmol)のジメチルホルムアミド(10 mL)溶液に2-メルカプトピリミジン(234 mg, 2.08 mmol)及びトリエチルアミン(0.6 mL, 4.17 mmol)を加え、95℃で3時間攪拌した。その後、室温に戻し、4-フルオロフェネチルアミン(290 mg, 2.08 mmol)を加えた。次いで1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(400 mg, 2.08 mmol)、トリエチルアミン(0.3 mL, 2.08 mmol)及びジメチルアミノピリジン(25 mg, 0.2 mmol)を加え、室温で17時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフ法(3%メタノール含有クロロホルム)により精製し、標記化合物(140 mg, 23%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.73(2H, t, J=7Hz), 3.49(2H, q like), 3.73(2H, s), 6.78-6.83(2H, m), 6.98-7.03(4H, m), 8.41(2H, d, J=5Hz).
MS m/z: 291 (M+).
2-(ピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(2,3,4-トリメトキシフェニル)エチル]アセトアミド(化合物2)
ブロモ酢酸(290 mg, 2.08 mmol)のジメチルホルムアミド(10 mL)溶液に2-メルカプトピリジン(232 mg, 2.08 mmol)及びトリエチルアミン(0.6 mL, 4.17 mmol)を加え、95℃で3時間攪拌した。次いで室温に戻し、2,3,4-トリメトキシフェネチルアミン(440 mg, 2.08 mmol)を加えた。次いで1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(400 mg, 2.08 mmol)、トリエチルアミン(0.3 mL, 2.08 mmol)及びジメチルアミノピリジン(25 mg, 0.2 mmol)を加え、室温で17時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフ法(クロロホルム)により精製し、標記化合物(639 mg, 90%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.69(2H, t, J=7Hz), 3.45(2H, q like), 3.79(2H, s), 3.80(3H, s), 3.82(3H, s), 3.83(3H, s), 6.43(1H, d, J=9Hz), 6.70(1H, d, J=9Hz), 6.98-7.02(1H, m), 7.19(1H, d, J=8Hz), 7.42-7.53(2H, m), 8.23-8.25(2H, m).
MS m/z: 362 (M+).
2-ブロモ-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド(化合物3)
ブロモ酢酸(2.78 g, 20 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(70 mL)に4-フルオロフェネチルアミン(2.64 mL, 20 mmol)を加え、次いで1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(3.84 g, 20 mmol)及びジメチルアミノピリジン(250 mg, 2 mmol)を加え、0〜10℃で5日間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフ法(クロロホルム)により精製し、標記化合物(2.94 g, 57%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.82(2H, t, J=7Hz), 3.54(2H, q like), 4.03(2H, s), 6.58(1H, br-s), 7.01(2H, t, J=9Hz), 7.14-7.26(2H, m).
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物4)
化合物3(107 mg, 0.41 mmol)のジメチルホルムアミド(2 mL)溶液に5-ニトロピリジン-2-チオール(64 mg, 0.41 mmol)及びトリエチルアミン(114 μL, 0.82 mmol)を加えて、90℃で1時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物をクロロホルムに溶解して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮乾固して茶褐色油状の残留物を得た。残留物をn-へキサン−クロロホルムから結晶化し、結晶をろ取し、標記化合物(130 mg, 95%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.73(2H, t, J=7Hz), 3.50(2H, q like), 3.79(2H, s), 6.70-6.87(3H, m), 6.94-7.05(2H, m), 7.30(1H, d, J=9Hz), 8.25(1H, dd, J=3, 9Hz), 8.93(1H, d, J=3Hz).
MS m/z: 335 (M+).
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物5)
化合物3(100 mg, 0.38 mmol)のジメチルホルムアミド(2 mL)溶液に2メルカプト-3H-ピリミジン-4-オン(49 mg, 0.38 mmol)及びトリエチルアミン(110 μL, 0.79 mmol)を加えて、90℃で3時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物をクロロホルムに溶解して水で洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮乾固して白色固体を得た。このものをn-へキサン−クロロホルム混液中で超音波照射して粉末化し、結晶をろ取し、標記化合物(88 mg, 75%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.69(2H, t, J=7Hz), 3.28(2H, q like), 3.82(2H, s), 6.12(1H, br-s), 7.02-7.15(2H, m), 7.17-7.27(2H, m), 7.82(1H, br-s), 8.19(1H, br-t, J=5Hz), 12.75(1H, br).
MS m/z: 307 (M+).
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-[(6-メトキシ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物6)
化合物3(100 mg, 0.38 mmol)のジメチルホルムアミド(2 mL)溶液に6-メトキシ-1H-ベンゾイミダゾール-2-チオール(69 mg, 0.38 mmol)及びトリエチルアミン(110 μL, 0.79 mmol)を加えて、90℃で3時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物をクロロホルムに溶解して水で洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮乾固して淡橙色粘性油状物を得た。この粘性油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフ法(n-へキサン含有酢酸エチル ;n-ヘキサン含有量50%⇒33%)により精製し、標記化合物(121 mg, 88%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.76(2H, t, J=7Hz), 3.52(2H, q like), 3.72(2H, s), 3.83(3H, s), 6.73-6.87(3H, m), 6.93(1H, br-s), 6.98-.706(2H, m), 7.32(1H, br-d, J=8Hz), 7.85(1H, br-t like).
MS m/z: 359 (M+).
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロベンゾチアゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物7)
化合物3(100 mg, 0.38 mmol)のジメチルホルムアミド(2 mL)溶液に6-ニトロ-2-メルカプトベンゾチアゾール(82 mg, 0.38 mmol)及びトリエチルアミン(110 μL, 0.769 mmol)を加え、90℃で2時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物をクロロホルムに溶解し、0.1mol/L水酸化ナトリウム及び水で洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下に濃縮乾固し、油状の残留物を得た。このものをn-へキサン−クロロホルムから結晶化し、結晶をろ取し、標記化合物(129 mg, 86%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.75(2H, t, J=7Hz), 3.55(2H, q like), 3.69(2H, s), 6.64-6.70(2H, m), 6.94-6.99(2H, m), 7.02(1H,br-s), 7.67(1H, d, J=9Hz), 8.30(1H, dd, J=9, 2Hz,), 8.70(1H, d, J=2Hz).
MS m/z: 391 (M+).
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸(化合物8)
化合物3(130 mg, 0.50 mmol)のジメチルホルムアミド(2 mL)溶液に2-メルカプトニコチン酸(60 mg, 0.38 mmol)及びトリエチルアミン(176 μL, 1.27 mmol)を加えて、90℃で2時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物を得た。このものをシリカゲルカラムクロマトグラフ法(メタノール含有クロロホルム ;メタノール含有量2%⇒5%)により精製し、標記化合物(73 mg, 57%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.67(2H, t, J=7Hz), 3.27(2H, q like), 3.77(2H, s), 7.00-7.10(2H, m), 7.14-7.30(3H, m), 8.04(1H, br-t, J=5Hz), 8.23(1H, m), 8.55(1H, m), 13.50(1H, br-s).
MS m/z: 334 (M+).
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸メチルエステル(化合物9)
化合物8(35 mg, 0.11 mmol)をクロロホルム(0.8 mL)-メタノール(0.2 mL)混液に溶解し、室温で攪拌しながらトリメチルシリルジアゾメタン(0.5 mL [ca.10% ヘキサン溶液、ca.0.60 mol/L])を加え、30分間攪拌した。溶媒を減圧下に留去し、粘性油状物を得た。このものをn-へキサン−クロロホルム混液から結晶化し、結晶をろ取し、標記化合物(25 mg, 70%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.66(2H, t, J=7Hz), 3.44(2H, q like), 3.77(2H, s), 3.94(3H, s), 6.69-6.80(2H, m), 6.83-6.99(3H, m), 7.09(1H, dd, J=5, 8Hz), 8.24(1H, dd, J=2, 8Hz), 8.33(1H, dd, J=2, 5Hz).
MS m/z: 348 (M+).
2-(5-アミノ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド塩酸塩(化合物10)
化合物3(200 mg, 0.77 mmol)のジメチルホルムアミド(4 mL)溶液に5-アミノ-2-メルカプトベンゾイミダゾール(128 mg, 0.77 mmol)及びトリエチルアミン(220 μL, 1.53 mmol)を加え、80℃で4時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物をクロロホルムに溶解し、0.1mol/L水酸化ナトリウム及び水で洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下に濃縮乾固し、油状の残留物を得た。このものをシリカゲルカラムクロマトグラフ法(3%メタノール含有クロロホルム)により精製した。次いで、このもののジオキサン(1 mL)溶液に4mol/L塩酸-ジオキサン溶液(0.057 mL)を室温で加えた。この混合物にヘキサン(40 mL)を加え、上澄み液のみを取り除いた。この操作を5回繰り返した後、結晶をろ取し、標記化合物(63 mg, 23%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.65(2H, t, J=7Hz), 3.27-3.33(2H, m), 3.98(2H, s), 6.97-7.04(4H, m), 7.15-7.21(3H, m), 7.42(1H, d, J=9Hz), 8.33-8.40(1H, m).
MS m/z: 344 (M+).
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルオキシ)アセトアミド(化合物11)
化合物3(100 mg, 0.38 mmol)のジメチルホルムアミド(5 mL)溶液に2-ヒドロキシピリジン塩酸塩(51 mg, 0.38 mmol)及び炭酸カリウム(210 mg, 1.52 mmol)を加えて、室温で17時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物にクロロホルム及び水を加え、よく振り混ぜた。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下に濃縮乾固し、油状の残留物を得た。このものをシリカゲルカラムクロマトグラフ法(メタノール含有クロロホルム ;メタノール含有量1.5%⇒3%)により精製し、標記化合物(67 mg, 64%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.71(2H, t, J=7Hz), 3.27-3.35(2H, m), 4.46(2H, s), 6.42(1H, dd, J=4, 6Hz), 7.07-7.12(2H, m), 7.23-7.27(2H, m), 8.06(1H, dd, J=3, 7Hz), 8.29-8.32(1H, m), 8.54(1H, dd, J=3, 4Hz).
MS m/z: 275 (M+).
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリジン-2-イルオキシ)アセトアミド(化合物12)
化合物3(100 mg, 0.38 mmol)及び2-ヒドロキシピリミジン(37 mg, 0.38 mmol)を用い、実施例11と同様に反応、後処理して、標記化合物(103 mg, 97%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.75(2H, t, J=7Hz), 3.45(2H, q like), 4.49(2H, s), 6.26(1H, dd, J=2, 7Hz), 6.60(1H, d, J=9Hz), 6.89-6.94(2H, m), 6.96-7.09(3H, m), 7.36(1H, dd, J=2, 7Hz), 7.39-7.43(1H, m).
MS m/z: 274 (M+).
2-(4,5-ジヒドロチアゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド(化合物13)及びN-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)アセトアミド(化合物14)
化合物3(100 mg, 0.38 mmol)のジメチルホルムアミド(4 mL)溶液に2-メルカプトチアゾリン(46 mg, 0.38 mmol)及び炭酸カリウム(210 mg, 1.52 mmol)を加えて、室温で17時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物にクロロホルム及び水を加え、よく振り混ぜた。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下に濃縮乾固し、油状の残留物を得た。このものをシリカゲルカラムクロマトグラフ法(クロロホルム)により2つの成分をそれぞれ精製し、化合物13(70 mg, 62%)及び化合物14(4 mg, 5%)を得た。
化合物13
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.77(2H, t, J=7Hz), 3.37(2H, t, J=8Hz), 3.48(2H, q like), 3.61(2H, s), 3.92(2H, t, J=8Hz), 6.97-7.04(2H, m), 7.12-7.18(2H, m), 7.38(1H, br-s).
MS m/z: 298 (M+).
化合物14
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.79(2H, t, J=7Hz), 3.27(2H, t, J=8Hz), 3.52(2H, q like), 4.05(2H, t, J=8Hz), 4.36(2H, s), 6.97-7.03(2H, m), 7.14-7.18(2H, m).
MS m/z: 298 (M+).
[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]-メチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(化合物15)
N-Boc-グリシン(1.75 g, 10 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(40 mL)に4-フルオロフェネチルアミン(1.31 mL, 10 mmol)を加え、次いで1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.91 g, 10 mmol)及びジメチルアミノピリジン(122 mg, 1 mmol)を加え、室温で20時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフ法(メタノール含有クロロホルム ;メタノール含有量1%⇒2%)により精製し、標記化合物(2.35 g, 80%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 1.43(9H, s), 2.79(2H, t, J=7Hz), 3.50(2H, q like), 3.74(2H, d, J=6Hz), 5.09(1H, br-s), 6.17(1H, br-s), 6.99(2H, t, J=9Hz), 7.15(2H, dd, J=6, 9Hz).
2-アミノ-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド(化合物16)
化合物15(400 mg, 1.35 mmol)のジクロロメタン溶液(3 mL)にトリフルオロ酢酸(2 mL, 26 mmol)を加え、0℃で1時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液にゆっくり注ぎ、アルカリ性とする。この混合物にクロロホルムを加え、よく振り混ぜた。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下に濃縮乾固し、標記化合物(120 mg, 45%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 1.46(2H, br-s), 2.81(2H, t, J=7Hz), 3.32(2H, s), 3.52(2H, q like), 6.97-7.01(2H, m), 7.17(2H, dd, J=5, 9Hz), 7.31(1H, br-s).
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルアミノ)アセトアミド(化合物17)
化合物16(75 mg, 0.38 mmol)のジメチルホルムアミド(2 mL)溶液に2-ブロモピリミジン(61 mg, 0.38 mmol)及び炭酸カリウム(80 mg, 0.57 mmol)を加えて、150℃で2時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物にクロロホルム及び水を加え、よく振り混ぜた。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下に濃縮乾固し、残留物を得た。このものをシリカゲルカラムクロマトグラフ法(1%メタノール含有クロロホルム)により精製し、標記化合物(87 mg, 84%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.76(2H, t, J=7Hz), 3.51(2H, q like), 4.03(2H, d, J=6Hz), 5.56(1H, br-s), 6.36(1H, br-s), 6.65(1H, t, J=5Hz), 6.89(2H, t, J=9Hz), 7.05(1H, dd, J=6, 9Hz), 8.29(2H, d, J=5Hz).
MS m/z: 274 (M+).
Plk−1活性に対する阻害作用
表1に示す化合物を用いて、本発明の複素環化合物のin vitroにおけるPlk-1阻害作用を検討した。化合物1、4、13はそれぞれ前述の実施例に示した方法により調製し、化合物18、19はAkos Consulting & Solutions社より、化合物20はVitas-M Laboratory社より、化合物21〜24はART-CHEM社より、化合物25、26はPharmeks社よりそれぞれ入手した。Plk-1活性は、Polo-like kinase 1 Assay/Inhibitor Screening KitおよびヒトPlk-1組換え酵素(CycLex Co., Ltd.)を使用して、添付の操作手順に改良を加えて測定した。酵素反応時の酵素量は0.2 mU/100μl、ATP濃度は1μM、酵素反応時間は20分間とした。被験化合物はDMSO溶液に溶解して使用し、酵素反応液中のDMSOの最終濃度は1%とした。本発明化合物のPlk-1阻害作用は表1にIC50値(酵素活性50%阻害する複素環化合物の濃度)で示した。その結果、本発明の複素環化合物はPlk-1活性に対して強力な阻害作用を示した。
Aurora A活性に対する作用
表2に示す化合物を用いて、本発明の複素環化合物のPlk-1に対する特異性を調べることを目的に、Plk-1と同じセリン・スレオニンキナーゼに属するAurora Aに対する作用を検討した。Aurora A活性は、Aurora-A kinase Assay/Inhibitor Screening KitおよびヒトAurora A組換え酵素(CycLex Co., Ltd.)を使用して、添付の操作手順に改良を加えて測定した。酵素反応時の酵素量は20 mU/100μl、ATP濃度は10μM、酵素反応時間は20分間とした。被験化合物はDMSO溶液に溶解して使用し、酵素反応液中のDMSOの最終濃度は1%とした。本発明化合物のAurora A阻害作用は表2にIC50値(酵素活性50%阻害する複素環化合物の濃度)で示した。その結果、本発明の複素環化合物は100μMにおいてもAurora A阻害作用を示さず、Plk-1に対して選択性が高いことが示された。
AKT活性に対する作用
表3に示す化合物を用いて、本発明の複素環化合物のPlk-1に対する特異性を調べることを目的に、Plk-1と同じセリン・スレオニンキナーゼに属するAKTに対する作用を検討した。AKT活性は、AKT/PKB kinase Assay/Inhibitor Screening KitおよびヒトAKT 1組換え酵素(CycLex Co., Ltd.)を使用して、添付の操作手順に改良を加えて測定した。酵素反応時の酵素量は15 mU/100μl、ATP濃度は50μM、酵素反応時間は90分間とした。被験化合物はDMSO溶液に溶解して使用し、酵素反応液中のDMSOの最終濃度は1%とした。本発明化合物のAKT阻害作用は表3にIC50値(酵素活性50%阻害する複素環化合物の濃度)で示した。その結果、本発明の複素環化合物のAKT阻害作用はPlk-1に対する阻害作用に比べて弱く、Plk-1に対して高い選択性を有することが示された。
がん細胞の増殖に対する抑制作用
非小細胞肺がんA549細胞の増殖に及ぼす本発明の複素環化合物の作用を検討した。A549細胞を10% FBS、100 U/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンを含有したRPMI1640培地(10% FBS/RPMI1640)に浮遊させ、96ウェルマイクロプレートに播種して5% CO2、37℃にて培養した(200 cells/50μl/well)。一晩培養後、本発明化合物を溶解した培地を50μl加えてさらに4日間培養した。培養後、TetraColor ONE(生化学工業)を使用して、添付の操作手順に従って生細胞数を測定した。なお、被験化合物はDMSO溶液に溶解して使用し、培地中のDMSOの最終濃度は0.1%とした。結果は、細胞増殖を50%抑制する被験化合物の濃度(IC50)で表した。その結果、表4に示すように、本発明の複素環化合物はA549細胞の増殖に対して強力な抑制作用を示した。
リン酸化Cdc2の脱リン酸化に対する抑制作用
がん細胞の増殖に対して抑制作用を示した本発明の複素環化合物が、細胞内のPlk-1を標的としていることを確認する目的で、A549細胞におけるリン酸化Cdc2の脱リン酸化に及ぼす作用をウェスタンブロッティング法により検討した。細胞を10% FBS/RPMI1640に浮遊させ、10 cm デッシュに播種して5% CO2、37℃にて培養した。細胞が50% コンフルエントに増殖後、本発明化合物を加えて24時間培養した。その後、細胞をPBSで2回洗浄し、可溶化溶液(10 mM Tris-HCl, pH 7.4, 0.1% NP-40, 0.1%デオキシコール酸ナトリウム, 0.1% SDS, 0.15M NaCl, 1 mM EDTA, 10μg/ml アプロチニン)を加えて細胞を溶解した。この溶解液にトリクロロ酢酸(最終濃度3.3%)を添加後、12,500 x gで1分間遠心し、得られた沈殿物をエーテルで洗浄後、Laemmliの方法(Nature, 1970, 227: 680-685)に従って電気泳動を実施した。電気泳動終了後、アクリルアミドゲル内の蛋白質を、セミドライ型転写装置を用いてイモビロンPVDFメンブランに転写した。転写後、メンブランをブロッキングし、一次抗体(抗Cdc2 ウサギポリクローナル抗体:Cell Signaling、抗Phospho-cdk1ウサギポリクローナル抗体:Sigma-Aldrich)溶液に4℃で一晩浸した。さらにニ次抗体(アルカリホスファターゼ標識抗ウサギIgG抗体:Sigma-Aldrich)溶液に室温で2時間浸した後、基質としてニトロブルーテトラゾリウムおよび5-ブロモ-4-クロロ-インドリルリン酸を用いてメンブラン上のCdc2またはリン酸化Cdc2(P-Cdc2)を検出した。その結果、本発明化合物は、細胞増殖抑制作用を示す濃度において、P-Cdc2の脱リン酸化阻害(P-Cdc2の増加)を示した(図1)。この結果から、本発明の複素環化合物が細胞内のPlk-1を阻害して細胞増殖抑制作用を発揮することが示唆された。
錠剤の製造
以下に示す成分を混和して、その混和物を打錠した。
Claims (7)
- 下記から選ばれる複素環化合物又はその塩を有効成分とするポロ様キナーゼ−1阻害剤。
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
2-(ピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(2,3,4-トリメトキシフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-[(6-メトキシ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロベンゾチアゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸メチルエステル、
2-(5-アミノ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルオキシ)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリジン-2-イルオキシ)アセトアミド、
2-(4,5-ジヒドロチアゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルアミノ)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)アセトアミド、
N-(4-アセチルフェニル)-2-(6-アミノ-3,5-ジシアノ-2-ピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-フラン-2-イルメチルアセトアミド、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-(4-シアノフェニル)アセトアミド、
2-アミノ-6-(2-オキソ-2-フェニルエチルスルファニル)ピリジン-3,5-ジカルボニトリル、
1-[[(6-アミノ-3,5-ジシアノ-2-ピリジニル)チオ]アセチル]-3,5-ジメチル-1H-ピラゾール、
2-アミノ-6-(2-モルホリン-4-イルエチルスルファニル)ピリジン-3,5-ジカルボニトリル、
3,6-ジアミノ-5-シアノチエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボン酸[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アミド、
N-(4-アセチルフェニル)-1-アミノ-8,9-ジヒドロ-8,8-ジメチル-5-(4-モルホリニル)-6H-ピラノ[4,3-d]チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド - 請求項1記載の複素環化合物又はその塩を有効成分とするがん転移抑制剤。
- 請求項1記載の複素環化合物又はその塩を有効成分とする抗がん剤。
- 請求項1記載の複素環化合物又はその塩を有効成分とする関節リウマチ治療薬。
- 請求項1記載の複素環化合物又はその塩を有効成分とするアルツハイマー治療薬。
- 下記から選ばれる複素環化合物又はその塩。
2-(ピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(2,3,4-トリメトキシフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-[(6-メトキシ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロベンゾチアゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸メチル
エステル、
2-(5-アミノ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルオキシ)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリジン-2-イルオキシ)アセトアミド、
2-(4,5-ジヒドロチアゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルアミノ)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)アセトアミド - 請求項6記載の複素環化合物又はその塩を有効成分とする医薬組成物。
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