JP5403588B2 - 無線通信時のトラッキング方法,無線通信方法,無線通信プログラム,及び情報記憶媒体 - Google Patents

無線通信時のトラッキング方法,無線通信方法,無線通信プログラム,及び情報記憶媒体 Download PDF

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本発明は,MACレイヤープロトコルに準拠した無線通信を行う際に用いる電波をトラッキングするトラッキング方法,並びに無線通信方法などに関する。
近年,広帯域な信号を近距離間で高品質に伝送するための一手法として,無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)が提案されている。WPANとしては,ミリ波帯(例えば60GHz)の電波を利用した無線通信システムがある(たとえば,下記非特許文献1,2参照。)。このようなミリ波帯の電波を利用した無線通信システムは,大容量の伝送と,低コストとを実現する無線通信システムとして期待されている。
ここで,無線通信システムとしては,データ送信用のビームの幅を非常に狭くすることで,高いデータレートを実現するシステムが考えられる。しかし,そのような無線通信システムでは,ビームの幅が狭いため,デバイスの移動やチャネル変動などによってビームを見失いやすい。そのため,ビーム探索処理には,多少の時間がかかることになる。また,ビームを見失った結果,リンクが遮断されると,再びリンクを確立するには,時間がかかる。
特に,チャネル特性は,時間の経過にともなって著しく変化するため,リンク(接続)のパフォーマンスを維持することが求められる。そこで,リンクのパフォーマンスを維持するためには,ビームに対してトラッキングを行うことが考えられる。しかし,単に,トラッキングを行うだけでは,リンクのパフォーマンスを十分に維持することは困難である。
Federal Communications Commission,"Amendment of parts 2,15 and 97 of the Commision’s rules to permit use of radio frequencies above 40GHz for new radio applications",FCC 95−499,ET Docket No.94−124,RM−8308,1995年12月 H.Ikeda,Y.Shoji,"60GHz Japanese regulations",IEEE802.15−05−0525−03,2006年10月
そこで,本発明は,無線通信の安定性を高めることができるトラッキング方法,及び無線通信方法などを提供することを第1の目的とする。
また,本発明は,無線通信のリンクが遮断されても,リンクの再確立を迅速に行うことができる無線通信方法などを提供することを第2の目的とする。
本発明は,基本的には,無線通信時のトラッキング方法などに関する。無線通信としては,MACレイヤープロトコルに準拠した無線通信について考えることとする。
そして,本発明のトラッキング方法では,第1トラッキングステップと,第2トラッキングステップとが行われる。第1トラッキングステップでは,第1トラッキング周波数で,無線通信に用いる電波に対してトラッキングが行われる。また,第2トラッキングステップでは,第1トラッキング周波数とは異なる第2のトラッキング周波数で,電波に対してトラッキングが行われる。
これにより,第1トラッキングステップでトラッキングできなかった時刻においてもトラッキングが行われることとなる。そのため,無線通信のリンクの品質の最適化を図る機会を増やすことができる。そして,実際に最適化を図ることにより,無線通信の安定性を高めることができる。
また,本発明の好ましい側面では,上記第1トラッキングステップにおけるトラッキングの対象となる電波よりも,上記第2トラッキングステップにおけるトラッキングの対象となる電波の幅が広い。これにより,第1トラッキングステップでトラッキングできなかった領域もトラッキングすることができる。すなわち,広範囲に亘ってトラッキングすることができる。
また,本発明の好ましい側面では,上記第1トラッキングステップにおいて,電波に対応する1つのスーパーフレームデータに対してトラッキングが行われ,上記第2トラッキングステップにおいて,その1つのスーパーフレームデータに対してトラッキングが行われる。このように第1トラッキングステップと第2トラッキングステップとが行われるのは,電波に対応するフレームデータのCTAに対応する期間が,無線通信で形成されるチャネルの特性を示すコヒーレント時間よりも長い場合である。これにより,1つのスーパーフレームに対してトラッキングを行うだけで済む。
又は,本発明の好ましい側面では,上記第1トラッキングステップにおいて,電波に対応する複数のスーパーフレームデータに対してトラッキングが行われ,上記第2トラッキングステップにおいて,その複数のスーパーフレームデータに対してトラッキングが行われる。このように第1トラッキングステップと第2トラッキングステップとが行われるのは,電波に対応するフレームデータのCTAに対応する期間が,無線通信で形成されるチャネルの特性を示すコヒーレント時間よりも短い場合である。これにより,CTAに対応する期間よりも短い間に,無線通信が遮断された場合であっても対応することができる。
また,本発明の別の側面は,無線通信を行うための無線通信方法である。無線通信としては,MACレイヤープロトコルに準拠した無線通信について考えることとする。
本発明の無線通信方法では,無線通信に用いる電波の方向を第1方向に定めるステップと,第1トラッキングステップと,第2トラッキングステップと,スイッチングステップとが実行される。
ここで,第1トラッキングステップでは,第1トラッキング周波数で,第1方向の電波に対してトラッキングが行われる。第2トラッキングステップでは,第1トラッキング周波数とは異なる第2のトラッキング周波数で,上記第1方向とは異なる第2方向の電波に対してトラッキングが行われる。そして,スイッチングステップは,第1方向の電波を用いた無線通信が遮断された場合に実行され,その結果,無線通信に用いる電波が第2方向の電波に切り替えられる。
本発明の無線通信方法によれば,無線通信が遮断された場合にそなえて,無線通信に用いられ得る電波(第2方向の電波)に対してもトラッキングが行われている。そのため,無線通信のリンクが遮断されても,迅速に電波を切り替えることが可能となる。その結果,リンクの再確立を迅速に行うことができる。
また,本発明のさらに別の側面は,上記無線通信方法に対応する無線通信プログラムや,当該無線通信プログラムを格納した情報記憶媒体である。これらによっても上述した効果と同等の効果を奏することができる。
本発明のトラッキング方法によれば,トラッキング周波数の異なる,複数種類のトラッキングを行うので,無線通信のリンクの品質の最適化を図る機会を増やすことができる。そして,実際に最適化を図ることにより,無線通信の安定性を高めることができる。
また,本発明の無線通信方法によれば,無線通信が遮断された場合にそなえて,無線通信に用いられ得る電波に対してもトラッキングを行い,無線通信のリンクが遮断された場合には,電波を切り替える。そのため,リンクの再確立を迅速に行うことができる。
図1は,本発明の無線通信システム1の構成例を示す図である。 図2は,図1に示す無線通信システム1において実施される無線通信方法の手順を示すフローチャートである。 図3は,図2の各ステップにおける処理を説明するのに有用な模式図である。 図4は,コードブックを用いたときのビームのパターンの一例を模式的に示す図である。 図5は,ビームフォーミングに関するフィールドを模式的に示す図である。 図6は,アソシエーション処理時のデータを模式的に示す図である。 図7は,デバイス能力に関する情報要素(IE)をデバイスに報知するときのデータを模式的に示す図である。 図8は,CTA(チャネル時間割当て)時のデータを模式的に示す図である。 図9は,ビームフォーミング用のトレーニングシーケンスに対応するデータを模式的に示す図である。 図10は,ビームフォーミング時のフィードバック用の情報要素(IE)を含むデータを模式的に示す図である。 図11は,CTA内における,デバイス−デバイス間のリンク確立処理に関するデータを詳細に示す図である。 図12は,セクター探索用の情報要素(IE)を含むデータを模式的に示す図である。 図13は,CTA内における,セクター探索処理に関するデータを詳細に示す図である。 図14は,ビーム探索用の情報要素(IE)を含むデータを模式的に示す図である。 図15は,CTA内における,ビーム探索処理に関するデータを詳細に示す図である。 図16は,データの構造を示す図であって,CTA期間がコヒーレント時間よりも長い場合におけるビームトラッキングの説明に有用な図である。 図17は,図16に示すデータの一部を詳細に示す図であり,図17(a)は,図16に示すベストビームのトラッキングに関するデータの詳細を示す図であり,図17(b)は,図16に示すベストクラスターのトラッキングに関するデータの詳細を示す図であり,図17(b)は,図16に示す第1ベストクラスター及び第2ベストクラスターのトラッキングに関するデータの詳細を示す図である。 図18は,データの構造を示す図であって,CTA期間がコヒーレント時間よりも短い場合におけるビームトラッキングの説明に有用な図である。
以下,図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。しかしながら,以下説明する形態はある例であって,当業者にとって自明な範囲で適宜修正することができる。
図1は,本発明の無線通信システム1の構成例を示す図である。図1に示すように,本システム1は,無線通信可能な第1デバイス10と,無線通信可能な第2デバイス20とを含んでいる。なお,本システム1は,2つのデバイス10,20を含むとしたが,さらに,別の通信可能なデバイスを含んでもよい。
無線通信システム1では,一般的なビームフォーミング技術を利用してデバイス10,20間で無線通信を行う。無線通信としては,家庭用のビデオシステムにおけるデータ転送などが考えられる。ビームフォーミング(BF)は,MACレイヤープロトコルに基づいたコードブックに従って行われる。コードブックは,0°,90°,180°,270°の4種類の位相シフトを,振幅変化させることなく用いて生成されたものである。
無線通信は,たとえば,無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)において,60GHz帯の電波を用いて行われる。そして,本システム1では,第1デバイス10から第2デバイス20へのデータの送信や,第2デバイス20から第1デバイス10へのデータの送信や,それら双方向のデータ送信が可能に構成されている。なお,電波の周波数帯域は,60GHz帯のものに限られることはないが,WPANでは,電波の周波数帯域が59〜76GHzから選択されることが好ましい。そして,詳細については後述するが,本態様によれば,データのストリーミングのパフォーマンスが高まるとともに,データレートが高まる。そのため,本態様を,家庭用のビデオシステムにおけるデータ転送に適用した場合,大容量のデータ転送が可能となり,たとえば圧縮状態から復元した動画データや非圧縮の動画データをも容易に送信することが可能となる。
続いて,デバイス10,20について説明する。
第1デバイス10は,図1に示すように,電波を送信する送信機として機能する送信部と,受信機として機能する受信部とを有している。第2デバイス20も,第1デバイス10と同様に,送信機として機能する送信部と,受信機として機能する受信部とを有している。各送信部は,複数個(t個)のアンテナ素子単体を有しており,アンテナアレイを構成している。各受信部は,複数個(r個)のアンテナ素子単体を有しており,アンテナアレイを構成している。そして,第1デバイス10と第2デバイス20とは,ビームフォーミング技術を利用することによって,互いにリンクを確立して,データの送受信(通信)を行う。
なお,デバイス10,20に設けるアンテナとしては,さまざまなものを使用することが可能である。アンテナとしては,アンテナ素子単体,セクター化されたアンテナ,切替アンテナ,1次元(1D)ビームフォーミングアンテナアレイ,及び2次元(2D)ビームフォーミングアンテナアレイを例示することができる。
図2は,図1に示す無線通信システム1において実施される無線通信方法の手順を示すフローチャートである。図2におけるSは,各ステップを示す。本方法が実施されることにより,第1デバイス10と第2デバイス20とが互いにリンクを確立して,データの送受信(通信)が可能となる。そのため,図2に示す方法に対応するプログラムは,ビーム選択アルゴリズムとして,第1デバイス10及び第2デバイス20に格納されている。図3は,図2の各ステップにおける処理を説明するのに有用な模式図である。
図2に示すように,無線通信方法は,ビーコン(beacon)を送信することで,ビームフォーミングを行って,デバイス−デバイス間のリンクを確立させるための第1段階(S10)と,ビームフォーミングの第1調整(粗いビームフォーミング)を行うことで,セクター探索を行う第2段階(S20)と,ビームフォーミングの第1調整に続く第2調整(精細なビームフォーミング)を行うことで,ビーム探索(ビームトラッキング)を行う第3段階(S30)と,データ通信を行うステップ(S40)とを含んでいる。なお,後述するように,第1段階(S10)では,デバイス−デバイス間のリンクを確立させるために,クワジオムニ探索(quasi−omni探索)も行われる。
まず,第1段階(S10)では,送信機として機能するデバイス(ここでは,第1デバイス10とする)が,MACレイヤープロトコルで定められたビーコン(beacon)を送信する。ビーコンとは,無線通信端末であるデバイスの基本情報を他のデバイスに報知するための信号である。そして,受信機として機能するデバイス(ここでは,第2デバイス20とする)が,ビーコンの受信に成功すると,つまり,デバイス−デバイス間のリンクが確立すると,ビーコンとして送信されているビームの中から,両者の間でデータ通信を行うためのビームが選択される。ここでは,データ通信を行うためのビームとして,互いに異なる複数(たとえば2種類)のクワジオムニ(quasi−omni)ビームが選択される(クワジオムニ探索)。クワジオムニビームとは,準無指向性のビームを意味する。なお,図3に示す例では,2種類のクワジオムニビームは,第1ベストクワジオムニビームと,第2ベストクワジオムニビームである。
ところで,第1デバイス10が送信している2種類のクワジオムニビームは,それぞれ,第1デバイス10の周囲にある空間にビームのパターンを形成している(ビームフォーミング)。ここで,ビームのパターンは,第1デバイス10及び第2デバイス20の周囲にある障害物などによって決まる。そして,第1デバイス10が送信したビームのパターンにおける,電波のエネルギー損失が少ない部分に,第2デバイス20が配置されていれば,第2デバイス20は,第1デバイス10から電波を安定して受信することが可能となる。つまり,第1デバイス10から送信された電波を第2デバイス20が受信できるような状態となることで,デバイス−デバイス間のリンクが確立することとなる。
続いて,第2段階(S20)では,ビームフォーミングによって形成されたビームのパターンの調整を行う。具体的には,調整としてビームの絞り込みを行ってビームに指向性を持たせる。この絞り込みに応じて,ビームのパターン(電波のエネルギー損失が低い領域や高い領域)も変わることとなる。そして,ビームの絞り込みを複数のパターンで行うことで,第1デバイス10と第2デバイス20との間のリンクが維持できる領域を決定する。ここで,ビームの絞り込みを行う領域は,クワジオムニビームによって形成されるビームのパターン領域が,たとえば4等分される程度に行う。このように4等分した領域を,以下「セクター」とも称する。そして,第1デバイス10と第2デバイス20との間のリンクが維持できるセクターのうち,最もリンクが維持しやすい,電波のエネルギー損失が最も少ないセクターを,ベストセクターとする。これにより,セクター探索を完了する。
そして,第3段階(S30)では,ビームトラッキングを行う。ビームトラッキングは,上述したセクター探索と同様に,第1デバイス10と第2デバイス20との間のリンクが維持できる領域(セクターよりも小さい領域)のうち,最もリンクが維持しやすい,電波のエネルギー損失が最も少ない領域を求めるものである。このビームトラッキングは,第2段階において定められたベストセクター内で行うだけでよい。ここで,ビームトラッキングのために,コードブックを用いてもよい。そのようにして求めた領域では,分解能が最も高いビーム(以下,「中心ビーム」とも称することがある)が局在していると考えることができる。ここで,図3に示すように,中心ビームとそれに隣接するビーム(隣接ビーム)の組を「ベストクラスター」と称することとする。
ところで,本態様では,第1段階において,2種類のクワジオムニビームを送信している。そのため,第3段階では,各クワジオムニビームについて,中心ビームが定まることとなる。つまり2種類の中心ビームと,2種類のベストクラスター(第1ベストクラスター及び第2ベストクラスター)とが定まることとなる。
そして,ステップS40では,データ通信を行う。具体的には,第1デバイス10は,2種類のビーム(中心ビーム)のうち,一方のビームを用いて,第2デバイス20へのデータを送信する。これにより,第1デバイス10から第2デバイス20へのデータ送信を効率的に行うことができる。また,第2デバイス20は,他方のビームに対応する位置に,当該第2デバイス20から送信された電波が局在するように指向性を持たせ,その状態で第1デバイス10へのデータを送信する。これにより,電波のゲインを十分に高めることができ,その結果,第2デバイス20から第1デバイス10へのデータ送信を効率的に行うことができる。すなわち,本態様によれば,双方向のデータ通信が効率的に行うことができる。なお,本態様のように,ビームの位置を特定して,その位置を中心にしてデータ通信を行うことは,第1デバイス10と第2デバイス20の間に,データ通信用のチャネルを擬似的に設けることに相当すると云える。
上述した態様によれば,3種類の異なる幅をもつビーム(クワジオムニビーム,ベストセクターに対応するビーム,中心ビーム)が生成される。具体的には,クワジオムニビームから,ビームの幅を狭くしていくことで,中心ビームが求まる。このようにすることで,アンテナのゲインの高効率化を図ることができる。なお,クワジオムニビームの段階で,デバイス−デバイス間のリンクが確立されているので,その後にビームの幅を狭くしても,確立しているリンクが切断されることはない。そして,アンテナのゲインの高効率化を図ることができるので,データレートを高くすることができるとともに,データ送信というシナリオにおいて高いパフォーマンスを発揮することができる。また,ビームの幅を狭くすることで,電力消費も抑えることができる。
以下,上述したような各処理を実現するのに必要なシステム構成やデータ構造について詳細に説明する。
本態様では,第1デバイス10は,当該デバイスを無線端末として機能させるための無線端末管理機能(SME:station management entity)を実現するためのコントローラーと,MAC(Medium Access Control)レイヤーを扱うためのMACレイヤー管理機能(MLME:MAC layer management entity)を実現するピコネットコントローラー(PNC)とが実装されている。第2デバイス20も,第1デバイス10と同様に,SMEを実現するためのコントローラーと,ピコネットコントローラー(PNC)とが実装されている。なお,第1デバイス10が有するコントローラーは,ピコネットコントローラー(PNC)に限られることはなく,ビームフォーミングを制御可能なコントローラーであればいかなるものであってもよく,そのようなコントローラーは,ソフトウェアによって実現されてもよいし,ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
さらに,第1デバイス10は,ビームの幅を調整するためのビーム用コードブックを扱うことができるように構成されている。ここで,コードブックは,MACレイヤープロトコルに準拠するようにデザインされていることが好ましく,この場合,コードブックをピコネットコントローラー(PNC)で扱うことが可能となる。なお,コードブックは,ピコネットコントローラー(PNC)以外のコントローラーが扱ってもよい。いずれにしても,コードブックは,対応するデバイスの記憶手段としてのメモリに格納されており,必要に応じて読み出されて利用される。第2デバイス20も,第1デバイス10と同様に,コードブックを扱うことができるように構成されている。
ここで,コードブックについて具体例を挙げて詳細に説明する。
コードブックは,マトリックス(行列)である。そして,マトリックスの各列は,1種類のビーム(つまり1つのアンテナ素子単体)に対応しており,各列をデザイン(指定)することによって,ビームフォーミングのウェイトベクトル(つまり,ビームのパターン)が定まることとなる。そして,コードブックを用いることで,たとえば無指向性のビームに所望の指向性を持たせることができる。
コードブックの生成には,0°,90°,180°,270°の4種類の位相シフトを利用することが好ましい。そして,位相0°を「+I」,位相180°を「−I」,位相90°を「+Q」,位相270°を「−Q」とすると,コードブックは,これらの組み合わせで表される。たとえば,8種類のアンテナ素子単体から8種類のビームのパターンを作成する場合,下記数1に示すような行列に対応するコードブックWが用いられる。なお,本態様では,電力損失を最小限に抑えるために,振幅調整を行わない。また,図4には,下記数1に示す行列をコードブックとして用いたときのビームのパターンが模式的に示されている。
Figure 0005403588
このようなコードブックは,無線通信の規格に適合したものとなり得るので,汎用性が高い。すなわち,本発明に係る無線通信方法を既存の無線通信方法に容易に適用することができる。
続いて,上述したように構成された第1デバイス10及び第2デバイス20間で行われる無線通信についてより詳細に説明する。
まず,上述した第1段階(S10)について詳細に説明する。この第1段階では,第1デバイス10の送信部と,第2デバイス20の受信部との間で,ベストクワジオムニビームの対が検出される。
その検出を実現するために,まず,第1デバイス10は,送信部からNt個のクワジオムニビームを送信する。これらのビームは,MACレイヤープロトコル(たとえばIEEE802.15.3b)に準拠しており,フィールドとして,ビーコンやビームフォーミング(BF)が予め設定されている。ビームフォーミングに関するフィールドには,第1デバイス10のビームフォーミング能力のいくつかについて情報要素(IE:information element)が設定されており,具体的には,図5に示すように,クワジオムニビームの数,ビーム切替え(ビームスイッチング),及びアンテナのタイプを示す情報が設定されている。
そして,第1デバイス10の送信部からNt個のクワジオムニビームを送信した場合,第2デバイス20は,受信部で,Mr個までのクワジオムニビームを受信可能であり,受信に成功すると,第1デバイス10にその旨を通知する。
第2デバイス20がクワジオムニビームの受信に成功するまでの間におけるデータのやりとりについて詳細に説明する。
<第1ステージ>
まず,MACレイヤーで定められている処理(アソシエーション要求及びアソシエーション応答)が行われている。このとき,各デバイスは,ピコネットコントローラー(PNC)との間で,図6に示すような構造のデータをやりとりする。具体的には,各デバイスは,当該デバイスの能力に関する情報要素(IE)をピコネットコントローラー(PNC)に報知して,当該ピコネットコントローラー(PNC)のレジスターに登録する。このようにして,アソシエーションが確立した状態となる。
<第2ステージ>
続いて,ピコネットコントローラー(PNC)は,図7に示す構造のデータを用いて,CAP内でデバイス能力に関する情報要素(IE)を,アソシエーション確立済みのデバイス(第1デバイス10及び第2デバイス20)に報知する。ここで,CAPとは,競合アクセス期間(contention access period)をさす。この報知の際,ピコネットコントローラー(PNC)は,アナウンスコマンドを用いる。これにより,双方のデバイス(第1デバイス10及び第2デバイス20)は,他方のデバイスの能力に関する情報を取得することになる。
<第3ステージ>
第1デバイス10及び第2デバイス20の一方は,得られた対象物のデバイス能力に基づいてCTAを算出する。ここで,CTAとは,チャネル時間割当て(channel time allocation)をさす。図8に示すように,信号の発生元(Src.DEV)である第1デバイス10は,ピコネットコントローラー(PNC)に対して,CTA要求コマンドを送信する。これに応じて,ピコネットコントローラー(PNC)は,第1デバイス10にCTA応答コマンドを送信することで,第1デバイス10のためにCTAを割当てる。これにより,デバイス−デバイス間のリンクが,割当てたCTA内で確立することとなる。
<第4ステージ>
第1デバイス10は,図9に示すトレーニングシーケンスに対応するデータ(以下,「TSデータ」ともいう)を,Ntグループ分,送信する。トレーニングシーケンスとしては,本態様では,Tensor com社が定めたものを用いる。TSデータは,図9に示すように,シンク(SYNC)フィールドと,チャネル推定(CE)フィールドとを含んで構成されている。ここで,Ntグループ分のTSデータの送信は,第1デバイス10が各クワジオムニビームを送信することから始まる。つまり,TSデータは,各グループにつきMt回送信されることとなる。そうすることにより,第2デバイス20が,第2デバイス20自身の受信側クワジオムニビームのいずれかから,少なくとも1つのTSデータを受信することを期待することができる。
<第5ステージ>
複数グループ分のTSデータを第1デバイス10から第2デバイス20へ送信している間において,第2デバイス20は,自身のクワジオムニビームを1つずつ切り替えて,各クワジオムニビームにつき時間Tsの間待機する。これにより,第2デバイス20が,自身の任意のクワジオムニビームからTSデータを受信することを期待することができる。ここで,時間Tsは,トレーニングシーケンスに要する期間である。第2デバイス20は,Mr×Tsに亘る期間の後に,このようなスキャニングを,第1回目のクワジオムニビームから繰り返す。
<第6ステージ>
第1デバイス10が,Ntグループ分のTSデータの全てを送信し終えた後には,第2デバイス20は,TSデータの少なくとも1つを受信していることとなる。ところで,第2デバイス20は,TSデータを受信するときはいつも,推定した通信リンクのSNRに応じて,第1デバイス10が送信した複数のクワジオムニビームの中から,ベストクワジオムニビームを決定するとともに,第2デバイス20自身の受信側ベストクワジオムニビームを決定している。ここで,通信リンクのSNRは,トレーニングシーケンスごとに求められる。そのため,トレーニングシーケンスが行われるたびに,第2デバイス20から第1デバイス10へと,図10に示すようなビームフォーミング時のフィードバック用の情報要素(IE)が送信される。
<第7ステージ>
TSデータが第1デバイス10から第2デバイス20へ送信されるに従って,第2デバイス20は,各グループにつきNr回分の繰り返しを,第4ステージでの解読と同じ方法で行いながら,Mtグループ分のTSデータを送信する。そうすることにより,第1デバイス10が,第1デバイス10自身の受信側クワジオムニビームのいずれかから,少なくとも1つのTSデータを受信することを期待することができる。
<第8ステージ>
TSデータが第2デバイス20から第1デバイス10へ送信されている間,第1デバイス10は,第5ステージでの解読と同じ方法でクワジオムニビームのいずれかからトレーニングシーケンスを受信しようとする。
<第9ステージ>
第2デバイス20が,Mtグループ分のTSデータの全てを送信し終えた後には,第1デバイス10は,TSデータの少なくとも1つを受信していることとなる。第1デバイス10は,TSデータを受信するたびに,推定した通信リンクのSNRに応じて,第2デバイス20が送信した複数のクワジオムニビームの中から,ベストクワジオムニビームを決定するとともに,第1デバイス10自身の受信側ベストクワジオムニビームを決定している。
<第10ステージ>
トレーニング期間の後,第2デバイス20は,第1デバイス10のベストクワジオムニビームのオフセットインデックスをフィードバックする。このフィードバックは,第2デバイス20が,図10に示す構造のデータ(ビームフォーミングに関するフィードバック用の情報要素(IE))を,第1デバイス10へと送信することで行われる。図10に示すデータの送信方向は,Mt回分の送信のそれぞれに応じたものであり,その送信の際には,アナウンスコマンドが用いられる。
<第11ステージ>
第2デバイス20が,第1デバイス10へとフィードバックを送信している間,第1デバイス10は,受信側ベストクワジオムニビームから,フィードバック情報を得ようとする。ここで,受信側ベストクワジオムニビームは,上述した第9ステージのトレーニングステップの間に決定されるものである。
<第12ステージ>
ビームフォーミング(BF)に関するフィードバックとして受信した情報要素(IE)にしたがって,第1デバイス10は,自身にとってベストな,送信側クワジオムニビームを把握する。また,第1デバイス10は,把握したクワジオムニビームをベストクワジオムニビームとして用いて後続の送信を行う。
<第13ステージ>
第2デバイス20が第1デバイス10へとフィードバックしたことに応じて,第1デバイス10は,第2デバイス20のベストクワジオムニビームのオフセットインデックスをフィードバックする。このフィードバックは,第1デバイス10が,ビームフォーミングに関するフィードバック用の情報要素(IE)(図10参照)を,第2デバイス20へと送信することで行われる。この送信の際には,アナウンスコマンドが用いられる。ただし,第1デバイス10は,フィードバックの送信を,ベストクワジオムニビームから1度で行う必要がある。なお,ベストクワジオムニビームは,上述した第12ステージのトレーニングステップの間に決定されるものである。
<第14ステージ>
第1デバイス10が第2デバイス20へとフィードバックを送信している間,第2デバイス20は,受信側クワジオムニビームのうち,自身にとってベストなクワジオムニビームを用いることで,フィードバックを受信しようとする。
<第15ステージ>
上述した全ての動作(オペレーション)が行われることによって,図11に示すようなデータのやりとりがなされ,最終的には,双方の送信方向(第1デバイス10から第2デバイス20への送信方向,及び第2デバイス20から第1デバイス10への送信方向)に関して,ベストクワジオムニビームの対が決定される。
なお,第2デバイス20が,上記第5ステージの間に,第1デバイス10からTSデータを何も受信しない場合,又は,第2デバイス20が上記第14ステージで第1デバイス10からフィードバックを何も受信しない場合,第2デバイス20は,「ビームフォーミング失敗」の旨を宣言する。具体的には,この宣言は,第2デバイス20が,ピコネットコントローラー(PNC)にアナウンスコマンドとともにビームフォーミング失敗の旨の情報要素を送信することで行われる。これに応じて,ピコネットコントローラー(PNC)は,その旨を,アナウンスコマンドを用いることで第1デバイス10に報知する。その後,第1デバイス10は,本処理を再開するか断念するかの一方を選択することとなる。
第1デバイス10が,上記第8ステージの間に,第2デバイス20からTSデータを何も受信しない場合,又は,第1デバイス10が上記第11ステージで第2デバイス20からフィードバックを何も受信しない場合,第1デバイス10は,「ビームフォーミング失敗」を宣言する。具体的には,この宣言は,第1デバイス10が,ピコネットコントローラー(PNC)にアナウンスコマンドとともにビームフォーミング失敗の旨の情報要素を送信することで行われる。そして,ピコネットコントローラー(PNC)は,その旨を,アナウンスコマンドを用いることで第2デバイス20に報知する。その後,第2デバイス20は,本処理を再開するか断念するかの一方を選択することとなる。
続いて,第2段階(S20)について詳細に説明する。この第2段階では,セクター探索が行われて,第1デバイス10及び第2デバイス20間の第1ベストセクターと第2ベストセクターの対が検出される。この検出を実現するために,第1デバイス10や第2デバイス20は,以下のように構成又は設定されている。
第1に,第1デバイス10及び第2デバイス20の双方は,幅を狭めたファインビーム用のコードブックを有している。このコードブックは,それらデバイスの周囲において関心のあるターゲットエリアの全領域をカバーすることが可能となるように作成されたものである。
第2に,第1デバイス10及び第2デバイス20の双方は,ファインビームをセクターにグルーピングする。このようにしても,第1段階(S10)で決定されたクワジオムニビーム(以下,「選択クワジオムニビーム」ともいう)によってカバーされた全領域をカバーすることが可能である。
第3に,第1デバイス10及び第2デバイス20は,第1段階(S10)で決定されたクワジオムニビームを用いることによって,互いに通信を行うことが可能となっている。
第4に,第1デバイス10は,送信部用にJt個のセクターを有しており,それらセクターによって,送信部用の選択クワジオムニビームをカバーする。また,第1デバイス10は,受信部用にJr個のセクターを有しており,それらセクターによって,受信部用の選択クワジオムニビームをカバーする。それらに応じて,第2デバイス20は,送信部用にKt個のセクターを有しており,それらセクターによって,送信部用の選択クワジオムニビームをカバーするとともに,受信部用のKr個のセクターを有しており,それらセクターによって,受信部用の選択クワジオムニビームをカバーする。なお,これらの情報は,図12に示すセクター探索用の情報要素(IE)に含まれており,第1デバイス10及び第2デバイス20の双方が参照可能となっている。
そして,上述したように構成又は設定された第1デバイス10と第2デバイス20とを用いることで,第2段階(S20)のセクター探索が以下の手順で行われる。
<第1ステージ>
まず,第1デバイス10及び第2デバイス20は,セクター候補情報を互いにアナウンスコマンドを用いて送信し合う。具体的には,第1デバイス10は,セクター候補情報として,Jt及びJrを第2デバイス20に送信し,それに応じて,第2デバイス20は,セクター候補情報として,Kt及びKrを第1デバイス10に送信する。
<第2ステージ>
続いて,第1デバイス10及び第2デバイス20は,上述した第1段階(S10)の第4ステージ〜第15ステージで定められている動作と同じ動作を行う。ただし,Nt,Nr,Mt,及びMrは,それぞれ,Jt,Jr,Kt,及びKrに置き換える必要がある。そして,セクター探索中に,第1デバイス10及び第2デバイス20は,セクター候補のあらゆる組み合わせ(コンビネーション)について,SNRを記録する。
<第3ステージ>
上述した全ての動作(オペレーション)が行われることによって,図13に示すようなデータのやりとりがなされる。最終的には,SNRテーブルに基づいて,双方の送信方向(第1デバイス10から第2デバイス20への送信方向,及び第2デバイス20から第1デバイス10への送信方向)に関して,ベストセクターの対(つまり,第1ベストセクターと第2ベストセクターの対)を決定する。
なお,第2段階(S20)においても,第1デバイス10及び第2デバイス20は,「ビームフォーミング(BF)失敗」の旨を宣言することがある。この宣言がなされる場合は,上述した第1段階(S10)において定められている場合と同様である。
続いて,第3段階(S30)について詳細に説明する。この第3段階では,ビーム探索(ビームトラッキング)が行われて,第1デバイス10及び第2デバイス20間の第1ベストビームと第2ベストビームの対が検出される。この検出を実現するために,第1デバイス10や第2デバイス20は,以下のように構成又は設定されている。
第1に,第1デバイス10及び第2デバイス20の双方は,幅をさらに狭めたスーパーファインビーム用のコードブックを有している。このコードブックは,それらデバイスの周囲において関心のあるターゲットエリアの全領域をカバーすることが可能となるように作成されたものである。
第2に,第1デバイス10及び第2デバイス20の双方は,スーパーファインビームを第2段階(S20)で決定されたセクター(以下,「選択セクター」ともいう)内でグルーピングする。言い換えると,スーパーファインビームで選択セクターを分解する。したがって,選択セクターによってカバーされた全領域は確実にカバーされることとなる。
第3に,第1デバイス10及び第2デバイス20は,第2段階(S20)で決定されたベストセクターを用いることによって,互いに通信を行うことが可能となっている。
第4に,第1デバイス10は,送信部用にSt個のビーム用のビーム領域を有しており,それらビーム領域によって,送信部用の選択セクターをカバーする。また,第1デバイス10は,受信部用にSr個のビーム領域を有しており,それらビーム領域によって,受信部用の選択セクターをカバーする。それらに応じて,第2デバイス20は,送信部用にTt個のビーム領域を有しており,それらビーム領域によって,送信部用の選択セクターをカバーするとともに,受信部用のTr個のビーム領域を有しており,それらビーム領域によって,受信部用の選択セクターをカバーする。なお,これらの情報は,図14に示すビーム探索用の情報要素(IE)に含まれており,第1デバイス10及び第2デバイス20の双方が参照可能となっている。
そして,上述したように構成又は設定された第1デバイス10と第2デバイス20とを用いることで,第3段階(S30)のビーム探索が以下の手順で行われる。なお,下記の手順は,第1ベストセクターについて行われるだけでなく,第2ベストセクターについても行われる。つまり,ビーム探索は2回行われる。
<第1ステージ>
まず,第1デバイス10及び第2デバイス20は,ビーム領域候補情報を互いにアナウンスコマンドを用いて送信し合う。具体的には,第1デバイス10は,ビーム領域候補情報として,St及びSrを第2デバイス20に送信し,それに応じて,第2デバイス20は,ビーム領域候補情報として,Tt及びTrを第1デバイス10に送信する。
<第2ステージ>
続いて,第1デバイス10及び第2デバイス20は,上述した第1段階(S10)の第4ステージ〜第15ステージで定められている動作と同じ動作を行う。ただし,Nt,Nr,Mt,及びMrは,それぞれ,St,Sr,Tt,及びTrに置き換える必要がある。そして,ビーム探索中に,第1デバイス10及び第2デバイス20は,ビーム領域候補のあらゆる組み合わせ(コンビネーション)について,SNRを記録する。
<第3ステージ>
上述した全ての動作(オペレーション)が行われることによって,図15に示すようなデータのやりとりがなされる。最終的には,SNRテーブルに基づいて,双方の送信方向(第1デバイス10から第2デバイス20への送信方向,及び第2デバイス20から第1デバイス10への送信方向)に関して,ベストビーム領域の対(つまり,第1ベストビームと第2ベストビームの対)を決定する。
なお,第3段階(S30)においても,第1デバイス10及び第2デバイス20は,「ビームフォーミング(BF)失敗」の旨を宣言することがある。この宣言がなされる場合は,上述した第1段階(S10)において定められている場合と同様である。
ところで,上述した態様では,第4段階(S40)において,ビームトラッキング(ビーム探索)を行っている。このようなビームトラッキングを行うにあたり,無線通信システム1における無線通信のリンクの安定性をより高めることができるトラッキング方法について,以下,好ましい態様として,説明する。
この好ましい態様では,上記態様で説明したようなトラッキングを少なくとも2種類の方法で行う。1つ目の方法では,上記態様で説明したトラッキングと同様に,あるトラッキング周波数(第1トラッキング周波数)fbで,無線通信で用いるビームに対してトラッキングを行う。2つ目の方法では,1つ目の方法とは異なるトラッキング周波数(第2トラッキング周波数)fcで,ビームに対してトラッキングを行う。なお,さらに別のトラッキング周波数(たとえばfs)でトラッキングを行ってもよい。本態様では,3種類の方法でトラッキングを行う場合を例にして説明する。
まず,CTAに対応する期間(デュレーション)が,コヒーレント時間よりも長い場合について,図16を用いて説明する。コヒーレント時間とは,伝播する電波の位相がそろっているとみなせる時間を指すものであり,簡略的には,無線通信で形成されるチャネルが大きく変化しない期間を示すものである。このコヒーレント時間は,チャネル特性を示す指標の1つとして用いることができる。CTAは,上記態様で説明したように,ビーム(電波)に対応するフレームデータ内のスーパーフレーム(SF:superframe)である。
図16に示すように,1つのCTA内において,第1トラッキング,第2トラッキング,及び第3トラッキングの3種類のトラッキングが行われる。これらのトラッキングは,ビームトラッキング用のコントローラーによって実行される。このようなコントローラーは,第1デバイス10及び第2デバイス20の双方に設けられている。なお,ビームトラッキング用のコントローラーに代えて,各デバイスに設けられているピコネットコントローラー(PNC)が上述したトラッキングを行ってもよい。
第1トラッキングは,第1トラッキング周波数fbで,つまり,時間1/fbが経過するたびに,ベストビームに対してトラッキングを行うものである。第2トラッキングは,第2トラッキング周波数fcで,つまり,時間1/fcが経過するたびに,ベストクラスターに対してトラッキングを行うものである。第3トラッキングは,第3トラッキング周波数fsで,つまり,時間1/fsが経過するたびに,第1ベストクラスター及び第2ベストクラスターに対してトラッキングを行うものである。このようにすることで,第1トラッキングの対象ではない時刻に第2トラッキングや第3トラッキングが行われる。そして,各トラッキングのたびに,必要に応じて,電波の方向(パターン)を動的に調整又は補正する。すなわち,本態様によれば,無線通信のリンクの品質の最適化を図る機会を増やすことができる。
ここで,トラッキング周波数の関係は,fb>fc>fsとなっている。このため,1つのCTA内において,第1トラッキングが最も多く実行され,第2トラッキングが次いで多く実行され,第3トラッキングが最も少なく実行されることとなる。これは,最も幅の狭いベストビームに対するトラッキングを比較的多く実行し,幅の広いビームに対するトラッキングを比較的少なく実行することに相当する。つまり,第1トラッキングの対象となる電波よりも,第2トラッキングや第3トラッキングの対象となる電波の方が,電波の幅が広くなっているか,又は電波の方向が異なっている。なお,電波の幅や方向は上述した態様で説明した通り,ビーム探索時に決定されている。そして,このようにすることで,第1トラッキングでトラッキングできなかったビーム領域もトラッキングすることができるようになる。すなわち,広範囲に亘ってトラッキングすることができる。
また,トラッキング周波数の関係が上述したようにfb>fc>fsとなっている理由としては,トラッキングをする対象の重要度が異なるためでもある。ここで,第1トラッキングのトラッキング対象は,第1ベストビーム(中心ビーム)である。この第1ベストビームは,現在使用中の通信用ビームに該当し,最も重要度が高い。これに対して,第2トラッキングのトラッキング対象は,第1ベストビームに隣接する隣接ビームであり,この隣接ビームは,第1ベストビームが使用できなくなったときに使用される可能性が高いビームである。したがって,隣接ビームの重要度は,通信用ビームに次ぐものとなる。また,第3トラッキングのトラッキング対象は,第1ベストビームとその隣接ビーム及び第2ベストビームとその隣接ビームである。これらのビームのうち,第2ベストビームやその隣接ビームは,第1ベストビーム及びその隣接ビームが使用できなくなったときに使用されるビームである。したがって,第2ベストビームやその隣接ビームの重要度は,第1ベストビーム及びその隣接ビームよりも低い。
そして,トラッキングの結果,ベストビームを用いた無線通信を行うよりも,他の方向からのビームを用いた無線通信を行った方がよいと判断した場合や,ベストビームを用いた無線通信がデバイスの移動やチャネル変動に起因して遮断された場合には,無線通信の切替え(ビームスイッチング)が行われる。この場合には,電波の方向(パターン)の調整又は補正を行わずに,ビームスイッチングを行う。このようにすることで,無線通信が遮断された場合にも,無線通信のリンクの再確立が迅速に行われることとなる。また,無線通信が遮断される前に切り替えれば,無線通信の安定性が高まることになる。
続いて,上記好ましい態様における処理をより詳細に説明する。
まず,無線通信システム1では,第1デバイス10及び第2デバイス20の間で,ビームフォーミング処理(ビーム探索)が既に実行された状態にある。ビームフォーミングは,無線リンクの両側(送信側の第1デバイス10及び受信側の第2デバイス20)の双方に設けられたアンテナを介して行われ,ビームはコードブックを用いることで多重化されている。
そして,ビーム探索によって,第1ベストクラスター及び第2ベストクラスター,並びに,第1ベストビーム(第1ベストクラスターの中心ビーム)及び第2ベストビームが既に検出され,そのようなビームが選択された状態となっている。また,ビーム探索の終盤において,検出したビームのインデックスと,対応するSNR値(下記表1参照)は,第2デバイス20から第1デバイス10へと送信されている。同様に,選択したベストビームに隣接する隣接ビームの情報(インデックス及びSNR値)も第2デバイス20から第1デバイス10へと送信されている。そして,ベストクラスター内のベストビーム(スーパーファインビーム)は,割当てたCTA内で送信用に用いられる。
Figure 0005403588
表1に示すように,SNR値は,テーブル化されて,SNRテーブルとなっている。このようなSNRテーブルは,送信用のSNRテーブルと受信用のSNRテーブルとがあり,それらは,第1デバイス10と第2デバイス20の双方に記憶されている。SNRテーブルの各SNR値には,経時的なチャネル変動に起因して変動する送信ウェイトベクトルや受信ウェイトベクトルの位相が反映されている。
そして,割当てたCTA内で,3種類のトラッキングが行われる。各トラッキングのトラッキング周波数fb,fc,fsは,上記ビーム探索の終盤に,受信側の第2デバイス20によって定められる。上述したように,トラッキング周波数の関係は,fb>fc>fsとなっている。トラッキングの周期でいうと,1/fb<1/fc<1/fsであり,第1トラッキングの周期が最も短い。また,トラッキング周波数fb,fc,fsに関する情報は,送信側の第1デバイス10へとフィードバックされる。これにより,第1デバイス10でもトラッキング周波数を把握することができる。
<第1ステップ>
そして,ベストビームの対を用いてベストクラスター内でデータストリーミングが行われる。その後,3種類のトラッキングのトラッキング周波数に対応して,トラッキングが行われる。通常は,最も周期の短い第1トラッキングが行われることとなる(下記第2ステップ〜第4ステップ)。
<第2ステップ>
第1トラッキングの周期(1/fb)が経過すると,第1トラッキングが開始される。この第1トラッキングでは,ベストクラスター内でのベストビームに対してトラッキングが行われる。
このために,第1デバイス10は,トレーニングシーケンスに対応するデータ(TSデータ)を,第2デバイス20へと送信する。ここでは,ベストビームの対は1つであるから,TSデータも,図17(a)に示すように,1つである。この1つのTSデータは,データフレームの後端部に配置されている。(なお,アンテナ対称システムの場合,第2デバイス20から第1デバイス10へもTSデータが送信される。このようなことは,後続のコンテキストにも適用される。)このような送信(又は送受信)は,ベストビームの対(送信用ベストビーム及び受信用ベストビーム)を介して行われる。
そして,第2デバイス20側で,トレーニングシーケンスが上述したように行われる。続いて,ビームフォーミング(BF)に関するフィードバック情報要素(IE)が,第2デバイス20から第1デバイス10へとアナウンスコマンドを用いて送信される。このビームフォーミング(BF)に関するフィードバック情報要素(IE)には,現在のベストビームのインデックスと,それに対応するSNR値,つまり,ベストビームの対のSNR値とが含まれている。
<第3ステップ>
次いで,第1デバイス10側で,トレーニングシーケンスが行われる。この際,プリアンブルにあるチャネル推定シーケンス(CES)を用いたビーム状態の推定が可能であるかどうかについての情報を送信することは必要とされない。ただし,第2デバイス20へのフィードバック部分は必要である。
<第4ステップ>
そして,第1デバイス10及び第2デバイス20は,新たに取得したSNR値で,SNRテーブルを更新する。これにより,1回分の第1トラッキングが終了する。
<第5ステップ>
1回分の第1トラッキングが終了すると,データストリーミングが,次のトラッキングの周期が経過するまで,継続される。次のトラッキング周期になると,再び,上述した第2ステップ〜第4ステップと同じ処理,つまり,第1トラッキングが行われる。そのような動作を繰り返した後,2番目に周期の短い第2トラッキングが行われることとなる(下記第6ステップ〜第7ステップ)。
<第6ステップ>
第2トラッキングのトラッキング周期(1/Tc)が経過すると,第2トラッキングが開始される。第2トラッキングでは,ベストクラスターに対応する,ベストビームとそれに隣接する隣接ビームに対してトラッキングが行われる。このように,隣接ビームに対してもトラッキングを行うことにより,第1トラッキングを行っていない方向や幅のビームに対してトラッキングを行うことができる。
第2トラッキングでは,まず,第1デバイス10が,トレーニングシーケンスに対応するデータ(TSデータ)を,第2デバイス20へと送信する。TSデータは,データフレームの後端部に配置されている。(なお,アンテナ対称システムの場合,第2デバイス20から第1デバイス10へもTSデータが送信される。)これらの送信(又は送受信)は,とりうる,ビームの対(送信用ビーム及び受信用ビーム)を介して行われる。
また,ビームフォーミング(BF)に関するフィードバック情報要素(IE)が,第2デバイス20から第1デバイス10へとアナウンスコマンドを用いて送信される。このビームフォーミング(BF)に関するフィードバック情報要素(IE)には,新たに検出した第1ベスト隣接ビームと第2ベスト隣接ビームのインデックスと,それに対応するSNR値,つまり,ベストビームの対のSNR値とが含まれている。
その後,第1デバイス10側でもトレーニングシーケンスとフィードバックの送信とが行われる。最終的には,ベストビームを除くベストクラスター内において,第1デバイス10のビームと第2デバイス20のビームの全ての組み合わせについて検査される。したがって,第2トラッキングに要する時間は,第1トラッキングに要する時間よりも長くなっている。そのため,第2トラッキングのトラッキング周波数fcを,第1トラッキングのトラッキング周波数fbよりも,小さく設定することが好ましい。これにより,第2トラッキングを行う回数を多くならないように制御することができる。その後,対応するSNR値は,第2デバイス20に記憶される。
<第7ステップ>
そして,第1デバイス10及び第2デバイス20は,新たに検出した第1ベスト隣接ビームと第2ベスト隣接ビームに関する情報と,対応するSNR値を記録する。これにより,1回分の第2トラッキングが終了する。
<第8ステップ>
1回分の第2トラッキングが終了すると,データストリーミングが,次のトラッキングの周期が経過するまで,継続される。通常は,次のトラッキングは,最も周期の短い第1トラッキングであるため,その場合には,上述した第2ステップ〜第5ステップと同様の処理を繰り返す。次のトラッキングが第2トラッキングである場合,上述した第6ステップ〜第8ステップと同様の処理を繰り返す。そのような動作を繰り返した後,最も周期の長い第3トラッキングが行われることとなる(下記第9ステップ〜第10ステップ)。
<第9ステップ>
第3トラッキングのトラッキング周期(1/Ts)が経過すると,第3トラッキングが開始される。第3トラッキングでは,第2ベストクラスターに対してトラッキングが行われる。このように,第2ベストクラスターに対してもトラッキングを行うことにより,第1トラッキングや第2トラッキングを行っていない方向や幅のビームに対してトラッキングを行うことができる。
第3トラッキングでは,まず,第1デバイス10が,トレーニングシーケンスに対応するデータ(TSデータ)を,第2デバイス20へと送信する。TSデータは,データフレームの後端部に配置されている。(なお,アンテナ対称システムの場合,第2デバイス20から第1デバイス10へもTSデータが送信される。)これらの送信(又は送受信)は,とりうるビームの対(送信用ビーム及び受信用ビーム)を介して行われる。
また,ビームフォーミング(BF)に関するフィードバック情報要素(IE)が,第2デバイス20から第1デバイス10へとアナウンスコマンドを用いて送信される。このビームフォーミング(BF)に関するフィードバック情報要素(IE)には,新たに検出した第1ベストビーム(中心ビーム)と第2ベストビームのインデックスと,それに対応するSNR値,つまり,ビームの対のSNR値とが含まれている。
その後,第1デバイス10側でもトレーニングシーケンスとフィードバックの送信とが行われる。最終的には,第2ベストクラスター内において,第1デバイス10のビームと第2デバイス20のビームの全ての組み合わせについて検査される。つまり,隣接ビームについても検査される。したがって,第3トラッキングに要する時間は,第1トラッキングに要する時間及び第2トラッキングに要する時間よりも長くなっている。そのため,第3トラッキングのトラッキング周波数fsを,トラッキング周波数fb,fcよりも,小さく設定することが好ましい。これにより,第3トラッキングを行う回数を多くならないように制御することができる。その後,対応するSNR値は,第2デバイス20に記憶される。
<第10ステップ>
そして,第1デバイス10及び第2デバイス20は,第2ベストクラスター内において新たに検出したベストビーム(中心ビーム)とそれに隣接する隣接ビームに関する情報と,対応するSNR値を記録する。これにより,1回分の第3トラッキングが終了する。
<第11ステップ>
そして,第1デバイス10及び第2デバイス20が「スイッチング必要」の旨を宣言することがある。この宣言をするかどうかは,SNRテーブルにあるSNR値の大きさにしたがって自動的に判断される。そのような宣言がなされた場合,第1デバイス10及び第2デバイス20間の送信に用いるビームを,現在用いているビームから,検出したベストビームに切り替える(ビームスイッチング)。切り替えは,後続のデータスーパーフレームから有効となるように行われる。
<第12ステップ>
その後,同様に,データストリーミングを継続する。データストリーミングの継続は,次のトラッキングの周期が経過するまで,行われる。次のトラッキングが第1トラッキングである場合,上述した第2ステップ〜第5ステップと同様の処理を繰り返す。次のトラッキングが第2トラッキングである場合,上述した第6ステップ〜第8ステップと同様の処理を繰り返す。次のトラッキングが第3トラッキングである場合,上述した第9ステップ〜第10ステップと同様の処理を繰り返す。また,割当てたCTAに対応する期間が経過した場合には,データストリーミングを終了する。
なお,上述した態様では,第11ステップにおいて,つまり第3トラッキング終了のタイミングで「スイッチング必要」の旨が宣言され得るとした。さらに,第1トラッキング終了のタイミングや第2トラッキング終了のタイミングにおいても,同様の宣言がなされ得るようにしてもよい。そのような宣言がなされた場合には,同様にビームスイッチングが行われる。
以上詳細に説明したように,上述した好ましい態様によれば,第1トラッキング,第2トラッキング,第3トラッキングがそれぞれに対応するトラッキング周波数で行われる。これにより,チャネル特性の経時的な変化をSNR値で把握することができる。そして,必要に応じて,ビームの方向や幅の調整又は補正が行われたり,ビームスイッチングが行われたりする。これにより,チャネル特性の経時的な変化に柔軟に対応することができる。そのため,無線通信が遮断されにくくすることができるとともに,無線通信が遮断されたとしても,迅速に無線通信を再確立することができる。したがって,この態様によれば,無線通信の安定性を高めることができる。また,複数種類のトラッキングを行うだけで済むので,無線通信の安定性を高めるために必要なコストは最小限で済む。
また,第2トラッキングや第3トラッキングは,トラッキング周波数が異なるため,第1トラッキングを行わない時刻に行われる(なお,第2トラッキングや第3トラッキングの際に第1トラッキングと同様のトラッキングを併せて行ってもよい)。そのため,無線通信のリンクの品質の最適化を図る機会を増やすことができる。そして,実際に最適化を図ることにより,無線通信の安定性を高めることができる。
また,この好ましい態様では,ベストビームに比べて幅や方向が若干異なる隣接ビームやベストクラスターに対してもトラッキング(第2トラッキング)を行っている。そして,ビームスイッチングが必要な場合,これらのビームに切り替えられることとなる。ここで,ベストビームは,幅が狭められているため,見失われやすい。これに対して,その幅よりも広い領域に対してトラッキングを行うことで,ベストビームを見失ったとしても,ベストビームに近いビームを容易に探し出すことができる。これにより,ビームスイッチングを行ったとしても,無線通信のパフォーマンスが低下するのを抑えることができる。
さらに,この好ましい態様では,ベストビームとは方向が大きく異なる,第2ベストビームに対してもトラッキング(第3トラッキング)を行っている。ここで,ベストビームを見失った場合,ベストビームとは方向が大きく異なる方向であれば,無線通信を確立しやすい可能性が高い。このような可能性を確保するために第3トラッキングが行われる。したがって,第3トラッキングを行うことによっても,無線通信の安定性を高めることができる。
また,上述した態様では,CTAに対応する期間(デュレーション)が,コヒーレント時間よりも長い場合について説明した。CTAに対応する期間(デュレーション)が,コヒーレント時間よりも短い場合には,図18に示すようにトラッキングを行う。
この場合,複数のスーパーフレームデータ(SF)に対してトラッキングが行われる。具体的には,複数のスーパーフレームを横切るように,トラッキングが行われる。第1トラッキング,第2トラッキング,第3トラッキングの詳細は,それぞれ,図17(a),図17(b),図17(c)に示した通りである。
このようにすることで,CTAに対応する期間よりも短い間に,無線通信が遮断されたとしても,無線通信の再確立を確実にかつ迅速に行うことができる。したがって,このような場合であっても,無線通信の安定性を高めることができる。
なお,上述した態様は,主に,無線通信システム1及び無線通信方法に関するものであった。しかし,本発明の無線通信システム1を構成する各デバイス10,20,アンテナ,送信部,受信部,また,本発明の無線通信方法において利用されるコードブック,ビーム探索処理(セクター検索処理,ビームトラッキング処理など),フィードバック処理,アナウンスコマンド,ビームフォーミングに関するフィールドを含むデータのフォーマットやフレーム構造も本発明又は本発明の一部を構成することとなる。また,上述した処理の一部又は全部に対応するプログラム(アルゴリズム)や当該プログラムを記憶した情報記憶媒体も,本発明又は本発明の一部を構成するのはいうまでもない。
本発明は,ビームトラッキングに限られて適用されるものではなく,ビームフォーミングにも適用することができる。また,本発明は,家庭用のビデオシステムにおけるデータ転送に限られて利用されるものではなく,無線通信のあらゆる分野で利用されうる。また,本発明は,有線通信を無線通信に切り替える際にも利用されうる。
1 無線通信システム
10 第1デバイス(DEV1)
20 第2デバイス(DEV2)

Claims (6)

  1. MACレイヤープロトコルに準拠した無線通信を行う際に用いる電波をトラッキングするためのトラッキング方法であって,
    第1トラッキング周波数で,前記電波に対してトラッキングを行う第1トラッキングステップと,
    前記第1トラッキング周波数とは異なる第2のトラッキング周波数で,前記電波に対してトラッキングを行う第2トラッキングステップと
    を少なくとも含み,
    前記電波に対応するフレームデータのCTAに対応する期間が,前記無線通信で形成されるチャネルの特性を示すコヒーレント時間よりも長い場合,
    前記第1トラッキングステップでは,
    前記電波に対応する1つのスーパーフレームデータに対してトラッキングを行い,
    前記第2トラッキングステップでは,
    前記1つのスーパーフレームデータに対してトラッキングを行う,
    無線通信時のトラッキング方法。
  2. MACレイヤープロトコルに準拠した無線通信を行う際に用いる電波をトラッキングするためのトラッキング方法であって,
    第1トラッキング周波数で,前記電波に対してトラッキングを行う第1トラッキングステップと,
    前記第1トラッキング周波数とは異なる第2のトラッキング周波数で,前記電波に対してトラッキングを行う第2トラッキングステップと
    を少なくとも含み,
    前記電波に対応するフレームデータのCTAに対応する期間が,前記無線通信で形成されるチャネルの特性を示すコヒーレント時間よりも短い場合,
    前記第1トラッキングステップでは,
    前記電波に対応する複数のスーパーフレームデータに対してトラッキングを行い,
    前記第2トラッキングステップでは,
    前記複数のスーパーフレームデータに対してトラッキングを行う,
    無線通信時のトラッキング方法。
  3. 前記第1トラッキングステップにおけるトラッキングの対象となる電波よりも,
    前記第2トラッキングステップにおけるトラッキングの対象となる電波の幅が広い,
    請求項1又は請求項2に記載のトラッキング方法。
  4. 電波を用いて,MACレイヤープロトコルに準拠した無線通信を行うための無線通信方法であって,
    前記無線通信に用いる電波の方向を第1方向に定めるステップと,
    第1トラッキング周波数で,前記第1方向の電波に対してトラッキングを行う第1トラッキングステップと,
    前記第1トラッキング周波数とは異なる第2のトラッキング周波数で,前記第1方向とは異なる第2方向の電波に対してトラッキングを行う第2トラッキングステップと,
    前記第1方向の電波を用いた無線通信が遮断された場合には,前記無線通信に用いる電波を前記第2方向の電波に切り替えるスイッチングステップと
    を含み,
    前記電波に対応するフレームデータのCTAに対応する期間が,前記無線通信で形成されるチャネルの特性を示すコヒーレント時間よりも長い場合,
    前記第1トラッキングステップでは,
    前記電波に対応する1つのスーパーフレームデータに対してトラッキングを行い,
    前記第2トラッキングステップでは,
    前記1つのスーパーフレームデータに対してトラッキングを行い,
    前記電波に対応するフレームデータのCTAに対応する期間が,前記無線通信で形成されるチャネルの特性を示すコヒーレント時間よりも短い場合,
    前記第1トラッキングステップでは,
    前記電波に対応する複数のスーパーフレームデータに対してトラッキングを行い,
    前記第2トラッキングステップでは,
    前記複数のスーパーフレームデータに対してトラッキングを行う,
    無線通信方法。
  5. 電波を用いて,MACレイヤープロトコルに準拠した無線通信を行うために,コンピューターによって実行される無線通信プログラムであって,
    前記コンピューターに,
    前記無線通信に用いる電波の方向を第1方向に定めるステップと,
    第1トラッキング周波数で,前記第1方向の電波に対してトラッキングを行う第1トラッキングステップと,
    前記第1トラッキング周波数とは異なる第2のトラッキング周波数で,前記第1方向とは異なる第2方向の電波に対してトラッキングを行う第2トラッキングステップと,
    前記第1方向の電波を用いた無線通信が遮断された場合には,前記無線通信に用いる電波を前記第2方向の電波に切り替えるスイッチングステップと
    を実行させ
    前記電波に対応するフレームデータのCTAに対応する期間が,前記無線通信で形成されるチャネルの特性を示すコヒーレント時間よりも長い場合,
    前記第1トラッキングステップでは,
    前記電波に対応する1つのスーパーフレームデータに対してトラッキングを行わせ,
    前記第2トラッキングステップでは,
    前記1つのスーパーフレームデータに対してトラッキングを行わせ,
    前記電波に対応するフレームデータのCTAに対応する期間が,前記無線通信で形成されるチャネルの特性を示すコヒーレント時間よりも短い場合,
    前記第1トラッキングステップでは,
    前記電波に対応する複数のスーパーフレームデータに対してトラッキングを行わせ,
    前記第2トラッキングステップでは,
    前記複数のスーパーフレームデータに対してトラッキングを行わせる,
    無線通信プログラム。
  6. 請求項5に記載の無線通信プログラムを格納した,コンピューター読み取り可能な情報記憶媒体。
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