JP5402785B2 - 成型物の造粒方法 - Google Patents
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Description
ダスト等の再利用方法として、特許文献1の記載の如く、含鉄原料と炭材を粉砕、混練した原料を成型物に造粒して、当該成型物を乾燥後還元炉に装入し、還元鉄を製造する方法がある。
上記の還元鉄製造方法においては、ダスト等の鉄分含有原料を、化学成分や粒径、排出工程等により分別し、在庫状況や生産状況に応じて、還元後の金属化率が極力最大となるように鉄分含有原料およびその他の原料の配合を調整している。
このため、原料造粒の前工程で、水分調整およびバインダー添加を行い、原料が粉化したり、割れたりしないように、原料が含有する水分を最適に調整したうえで、各々の原料が均一となるよう混練操作を実施し、混練後の原料を造粒機で造粒するようにしている。
しかし、実際の操業においては、原料水分や粒度などの原料の変動、天候等の外的要因の変動、混練を含む操業のばらつきなどが原因で原料条件が変動するため、常時同一の条件下での造粒によって、安定した品質の造粒物を得ることは困難である。
ところが、原料混練後にどれだけの水分が含有されているかオンラインで実測することは、測定装置上の問題で実現されておらず、このため、原料含有水分を適正に制御することは事実上不可能であった。
加えて、原料の混練自体を完全に行うことは困難であるために局所的な原料水分含有量や粒度の変動、ばらつきが発生するが、この局所的な原料条件の変動、ばらつきに対応することも不可能であった。
(1)含鉄原料と炭材の混合物に水分を添加して混練し、双ロール成型機で成型物を造粒する方法において、予め、割れが少なく圧壊強度の高いブリケットが得られる混合物の水分量の範囲、及び、混合物の水分量と双ロール成型機の成型圧の関係を求め、求められた前記水分量の範囲と前記水分量と成型圧の関係から、成型圧の適正範囲を決定しておき、成型中の成型圧を実測して、その実測値が前記適正範囲から外れている場合は、前記水分量と成型圧の関係に基づき添加する水分量を調整することを特徴とする成型物の造粒方法。
(2)原料の粒径とロール電流値を一定とした条件下において、双ロール成型機による混合物の造粒を行い、前記水分量と成型圧の関係、成型物の圧潰強度、および成型物の割れ率を求め、それらに基づき成型圧の適正範囲を予め決定することを特徴とする(1)に記載の成型物の造粒方法。
(3)成型圧が前記適正範囲を外れた場合において、さらに、混練した原料を前記成型機のロール間に押し込むためのスクリューの回転数、および/またはロールの成型圧を調整して、成型圧が前記適正範囲となるようにすることを特徴とする(1)または(2)に記載の成型物の造粒方法。
図1に、双ロール成型機の概略を示す。この成型機は、前工程にて粉砕され、混練された原料をホッパー3から投入し、その原料をスクリュー2で下方の一対の成型ロール1間に押し込み、成型ロール1にて加圧成型を行って、ブリケットに成型するようになっている。
含鉄原料としては、例えば、転炉ダスト、高炉ダスト、ミルスケール、電炉ダスト等を挙げることができる。また、上記炭材としては、例えば、石炭、コークス、微粒カーボン、プラスチック、木質バイオマスを挙げることができる。
原料の配合割合は、各種原料の在庫状況や生産状況を見て、還元鉄の金属化率が最大となるよう決定される。
粉砕工程では、例えばボールミルのような粉砕機にて原料を粉砕し、原料を目的粒度範囲に収まるようにする。原料粒度は篩下80%径にて70〜700μmとする。
次の混練工程では、水分添加とバインダー添加を行った後に混練する。造粒水分(造粒原料の全水分量)は6〜10質量%とする。バインダーの添加によりブリケットの強度が向上するが、製造コスト削減のため、添加量は原料に対して5質量%以下が好ましい。
原料水分が高く、装置やコンベアへの付着が懸念される場合は、混練前にロータリーキルン型乾燥機を使用して低水分としてもよい。
以下に、検討の過程で得られた基本的な知見について説明する。
なお、添加水分量を調整して、造粒水分は7.5〜9.5%とした。また、ブリケットを構成する原料粒度は篩下80%径で300〜350μmであった。
製造時の成型圧測定に関しては、図2に示すように機枠5に2点支持ロードセル4を設置して測定した。また、圧壊強度は、乾燥させたブリケットを最も安定する横に寝せた状態とし、上から荷重をかけ、割れが生じた時点の強度とした。
また、造粒水分量とロール成型圧との関係、及び造粒水分量と乾燥後のブリケットの圧壊強度との関係を、図4にあわせて示す。
ブリケットの圧壊強度は、造粒水分の違いによらずに、90kgf±10kgfと安定していたが、その理由は、水分量が7.5〜9.5%の範囲では、各々の水分条件下にてブリケットが最密構造となったためと考えられる。
そして、操業中のロールの成型圧を測定し、予め求めた水分と成型圧の関係から、その成型圧における適正水分量に対する誤差を算出して、その誤差分を次バッチの添加水分量に反映させる。これにより、形状が良好で、圧壊強度も高いブリケットが安定して得ることが可能となる。
表1に示す配合の原料で、篩下80%径で70〜700μmの粒度の原料を使用し、表2に示す標準造粒水分8.5%(原料水分5.0%、添加水分3.5%)で混練した。混練後の原料を双ロール成型機に供給し、双ロール成型機を電流160Aの一定値で運転して、原料をブリケットに成型した。成型中のロールの成型圧は、10分間の平均値で、表2に示すように1.4MNであった。
なお、用いた原料については、図4に示すように、良好な特性のブリケットが得られる水分量と双ロール成型機の成型圧の関係から、水分量と成型圧の適正範囲が予め求められおり、それに基づいて、上記のような条件で成型した。
得られたブリケットの特性を表2に示すが、ブリケットの割れ率、粉率(粒径3mm以下の粉の割合)とも良好であった。
次に、混練前の原料に水分を添加して水分含有量を高めた原料、及び、混練前の原料を乾燥して水分含有量を低めた原料を作成し、それに水分を3.5%添加して高水分と低水分の2条件の水分状態の原料を作成し、それぞれの原料を用いて同様にブリケットに成型した。成型中のロールの成型圧は、表2に示すように高水分原料では、1.0MNであり、低水分原料では、1.8MNであった。
得られたブリケットの特性を表2に示すが、高水分原料では、造粒ロールへのダスト付着量が増加し、その影響でブリケットの割れ率が増加した。また、低水分原料では、高圧成型となって半割れ状のブリケットが増加するとともに、水分不足により粉率が増加した。
そこで、混練機にて添加する水分量の調整を、図4で求めた関係を用いて実施した。
高水分原料では成型圧が1.0MNであることから、図4より造粒水分が9.5%であることが求められ、低水分原料では成型圧が1.8MNであることから、図4より造粒水分が7.5%であることが求められた。その結果、それぞれ適正水分8.5%との間に1%の誤差があることが認められたため、高水分原料では混練時の添加水分量を3.5%から2.5%に変更し、低水分原料では3.5%から4.5%へ変更した。
変更後に得られたブリケットの特性を表2に示すが、いずれの場合も良好な特性のブリケットが得られた。
そこで、原料条件の変動に対応すべく、双ロール成型機の電流値が元の160Aになるように、スクリューの回転速度を制御することによって調整した結果、得られたブリケットの特性が良好な状態に回復した。
原料粒度を変更する前後での双ロール成型機の動作条件及び、得られたブリケットの特性を表3に示すが、この制御により、原料条件の局所的変化にも対応し、安定した原料の成型造粒が可能となった。
2 押込みスクリュー
3 ホッパー
4 ロードセル
5 双ロール成型機の機枠
Claims (3)
- 含鉄原料と炭材の混合物に水分を添加して混練し、双ロール成型機で成型物を造粒する方法において、
予め、割れが少なく圧壊強度の高いブリケットが得られる混合物の水分量の範囲、及び、混合物の水分量と双ロール成型機の成型圧の関係を求め、求められた前記水分量の範囲と前記水分量と成型圧の関係から、成型圧の適正範囲を決定しておき、
成型中の成型圧を実測して、その実測値が前記適正範囲から外れている場合は、前記水分量と成型圧の関係に基づき添加する水分量を調整することを特徴とする成型物の造粒方法。 - 原料の粒径とロール電流値を一定とした条件下において、双ロール成型機による混合物の造粒を行い、前記水分量と成型圧の関係、成型物の圧潰強度、および成型物の割れ率を求め、それらに基づき成型圧の適正範囲を予め決定することを特徴とする請求項1に記載の成型物の造粒方法。
- 成型圧が前記適正範囲を外れた場合において、さらに、混練した原料を前記成型機のロール間に押し込むためのスクリューの回転数、および/またはロールの成型圧を調整して、成型圧が前記適正範囲となるようにすることを特徴とする請求項1または2に記載の成型物の造粒方法。
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