JP5402446B2 - 電気湯沸かし器 - Google Patents

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Description

本発明は容器内に入れた液体を加熱・保温する電気湯沸かし器に関するものである。
従来、この種の電気湯沸かし器は発生蒸気による温度上昇を感温素子で検知して沸騰を判断している(例えば、特許文献1参照)。
図14は、特許文献1に記載された従来の電気湯沸かし器の構造断面図を示すものである。図14に示すように、外郭本体101内に液体を収容する有底筒状の加熱容器102があり、ヒータ103を備えている。加熱容器102の開口部を覆う蓋体104の外郭部には蒸気排出口105が形成され、蒸気排出口105と加熱容器102の開口部とを連通する蒸気通路106の途中に形成された中間開口部107には、外郭本体101に保持された金属ケース108が臨ませてあり、金属ケース108内には感温素子109が封入されている。感温素子109はNTCサーミスタが使用されており、両端に接続したリード線110で制御回路部111に接続されている。加熱容器102内に収容された液体(水)は、ヒータ103で加熱され、沸騰して蒸気を発生させる。発生蒸気は、加熱容器102の開口部から、蒸気通路106、中間開口部107を通じて蒸気排出口105から、外郭本体101外へ放出される。金属ケース108内に封入された感温素子109が中間開口部107を通る発生蒸気の温度を感知し、その温度に応じてヒータ103を制御し、加熱容器102内に収容された液体(水)を加熱・保温している。
特開平10−33374号公報
しかしながら、前記従来の構成では、蓋体104を開いた状態にすると金属ケース108は、使用者が容易に触れることができる場所に設置してある。これは、蒸気通路106に臨ませるため必要な構成である。このため、使用者が触れたときに体に帯電した静電気が金属ケース108に印加され、その電荷が高い場合には金属ケース108から感温素子109に放電し、リード線110を介して制御回路111に印加されてしまう。制御回路111の電子回路にはMOS半導体など静電気サージに弱い部品も使用されており、印加電圧が数百V程度であれば一時的な誤動作で済む場合もあるが、印加電圧が十数kVと高くなれば破壊してしまうという課題を有していた。
この課題を解決する方法として、種々のものが考えられる。例えば、使用者が容易に触れることができない構成として、蒸気の通路である蓋体の内部に金属ケース(センサー)を内包させることが考えられるが、センサーの検出値(発生蒸気の温度値)の信号を外郭本体側にある制御回路基板に伝えるために信号線を繋ぐ必要があり、外郭本体から蓋体が取り外せなくなるので実用的でない。一方、信号の送受を非接触で行うこととすると、信頼性低下やコストが高くなり、場合によっては防水も必要なのでやはり実用性に乏しい。
また、金属ケースの周囲にリブや網状構造物等の遮蔽物を設けることとすると、金属ケースには蒸気が当たるので結露し、遮蔽物で覆い外気に触れなくすると結露がどんどんたまるため、センサー感度が低下するという課題がある。また、網状構造物の場合は静電気の放電は妨げることができず、静電気が飛ばない絶縁距離を確保しようとすると外形が大きくなり、設置スペースの関係で実用的でない。
或いは、金属ケースの材質を耐熱樹脂等の非導電物に変えると、樹脂では伝熱性が悪く熱応答性が下がり、感度が低下するので沸騰検知ができなくなるという課題が発生する。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、構造を大きく変えることなく、従来の性能を保ちながら、金属ケースに印加された静電気を商用電源ラインに逃がすことで、金属ケースから感温素子への放電を回避することによる制御回路の破壊を防止することのできる電気湯沸かし器を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気湯沸かし器は、絶縁物からなる巻芯の内外周に設けた複数の溝に発熱線を巻回したヒータと、前記ヒータの充電部と、前記ヒータ及び前記充電部を取り付けた加熱容器と、前記加熱容器を保持する外郭本体と、金属ケース内に封入された感温素子とを有し、前記加熱容器から発生した湯沸し蒸気が当たる場所に前記金属ケースを設置し、前記金属ケースと前記加熱容器の任意の場所を電気的に接続する通電手段を設け、前記ヒータ及び前記充電部と前記加熱容器とは空隙によって絶縁され、前記金属ケース表面に印加された高電圧電荷は前記通電手段と前記加熱容器を介して前記ヒータ若しくは前記充電部に放電するように構成したものである。
これによって、構造を大きく変えることなく、従来の性能を保ちながら、金属ケースに印加された十数kV程度の静電気などの高電圧電荷を通電手段と加熱容器を介してヒータ若しくは充電部に放電することで、金属ケースから感温素子への放電を回避することによる制御回路の破壊を防止できる。
また、構造を大きく変えることなく、従来の性能を保ちながら、金属ケースに印加された十数kV程度の静電気などの高電圧電荷を通電手段と加熱容器を介してヒータ若しくは充電部に放電することで、金属ケースから感温素子への放電を回避することによる制御回路の破壊を防止でき、より信頼性の高い製品を安価に使用者に提供することができる。
本発明の電気湯沸かし器は、構造を大きく変えることなく、従来の性能を保ちながら、金属ケースに印加された十数kV程度の静電気などの高電圧電荷を通電手段と加熱容器を介してヒータ若しくは充電部に放電することで、金属ケースから感温素子への放電を回避することによる制御回路の破壊を防止でき、より信頼性の高い製品を安価に使用者に提供することができる。
本発明の実施の形態1における電気湯沸かし器の構造断面図 本発明の実施の形態1における金属ケース近傍の構造断面図 本発明の実施の形態1における加熱容器底部のヒータ近傍の断面図 本発明の実施の形態1における加熱容器の底面図 本発明の実施の形態1におけるヒータの詳細断面図 本発明の実施の形態1におけるヒータ押え板から下マイカまでを取り外して 加熱ヒータが見える状態の加熱容器の底面図 本発明の実施の形態1における加熱ヒータの要部拡大図 本発明の実施の形態1における模式回路図 本発明の実施の形態2における加熱ヒータの要部拡大図 本発明の実施の形態3におけるヒータ端子近傍の加熱容器底部の要部拡大 図 本発明の実施の形態4における金属ケース近傍の構造断面図 本発明の実施の形態5における金属ケース近傍の構造断面図 本発明の実施の形態6における金属ケース近傍の構造断面図 従来の電気湯沸かし器の構造断面図
第1の発明は絶縁物からなる巻芯の内外周に設けた複数の溝に発熱線を巻回したヒータと、前記ヒータの充電部と、前記ヒータ及び前記充電部を取り付けた加熱容器と、前記加熱容器を保持する外郭本体と、金属ケース内に封入された感温素子とを有し、前記加熱容器から発生した湯沸し蒸気が当たる場所に前記金属ケースを設置し、前記金属ケースと前記加熱容器の任意の場所を電気的に接続する通電手段を設け、前記ヒータ及び前記充電部と前記加熱容器とは空隙によって絶縁され、前記金属ケース表面に印加された高電圧電荷は前記通電手段と前記加熱容器を介して前記ヒータ若しくは前記充電部に放電するように構成したことにより、構造を大きく変えることなく、従来の性能を保ちながら、金属ケースに印加された十数kV程度の静電気などの高電圧電荷を通電手段と加熱容器を介してヒータ若しくは充電部に放電することで、金属ケースから感温素子への放電を回避することによる制御回路の破壊を防止でき、より信頼性の高い製品を安価に使用者に提供することができる。
また、第1の発明は構造を大きく変えることなく、従来の性能を保ちながら、金属ケースに印加された十数kV程度の静電気などの高電圧電荷を通電手段と加熱容器を介してヒータ若しくは充電部に放電することで、金属ケースから感温素子への放電を回避することによる制御回路の破壊を防止でき、より信頼性の高い製品を安価に使用者に提供することができる。
の発明は、特に、第1の発明の巻芯の任意の箇所の前記溝の深さを短くして、前記ヒータの前記発熱線と前記加熱容器の絶縁距離を他の溝部より短くすることにより、最小絶縁距離位置と最小絶縁距離が、発熱線を巻くときの発熱線の緩みやずれなどの作業ばらつきによって影響されることを抑えられるため、放電経路が機体によって変動することを防止し、放電電圧を安定させることができるため、制御回路の静電気破壊耐量の機体差ばらつきを抑えることができる。
の発明は、特に、第1の発明のヒータ及び充電部と加熱容器との間の任意の箇所に、突起部からなる放電ギャップを備えたことにより、放電経路を加熱容器に設けた突起部からなる放電ギャップにて構成することで、最小絶縁距離を任意の寸法に設定することができるため、放電電圧を任意の値に安定させることによる制御回路の静電気破壊耐量を精度良く安定化させることができる。
の発明は、特に、第1〜のいずれか1つの発明の金属ケースと加熱容器の任意の場所を電気的に接続する通電手段はリード線で、前記リード線の被覆を取り除いた終端を接続端子でかしめ処理し、前記金属ケースのフランジ部にスポット溶接にて接続するようにしたことにより、フランジ部の面積を大きくすること無く省スペースでリード線を接続することができるため、金属ケースが小型化でき、蒸気通路内の蒸気検知の応答性の良い場所への設置が容易になるため、蒸気検知の応答性を低下させることなく、静電気放電経路の構成を実現できる。
の発明は、特に、第1〜のいずれか1つの発明の金属ケースと加熱容器の任意の場所を電気的に接続する通電手段はリード線で、前記リード線の被覆を取り除いた終端を先端が平板状の圧着端子でかしめ処理し、前記金属ケースの前記フランジ部と前記外郭本体の間に端子の平板部を挟さみ込んで圧接接続するようにしたことにより、金属ケースの小型化による設置場所の自由度向上に加え、金属ケースへの接続加工を不要とする安価な構成で静電気放電経路の構成を実現できる。
の発明は、特に、第1〜のいずれか1つの発明の金属ケースと加熱容器の任意の場所を電気的に接続する通電手段は、前記金属ケースの前記フランジ部の一部を前記加熱容器に接触させてなることにより、リード線や接続端子などの部品が不要となるため、安価で組立て性の良い構成で、静電気放電経路の構成を実現できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における電気湯沸かし器の構造断面図を示すものである。
図1において、外郭本体1内に液体(水)を収容する有底筒状の加熱容器2があり、湯沸し用と保温用の2種類からなるヒータ3を備えている。加熱容器2の開口部を覆う蓋体4の外郭部には蒸気排出口5が形成され、蒸気排出口5と加熱容器2の開口部とを連通する蒸気通路6の途中に形成された中間開口部7には、外郭本体1に保持された金属ケース8が臨ませてあり、金属ケース8内には感温素子9が封入されている。感温素子9はNTCサーミスタが使用されており、両端に接続した信号リード線10により、外郭本体1内で加熱容器2下方に位置する制御回路11に接続されている。
加熱容器2内に収容された液体(水)は、ヒータ3で加熱され、沸騰して蒸気を発生させる。発生蒸気は、加熱容器2の開口部から、蒸気通路6、中間開口部7を通じて蒸気排出口5から、外郭本体1外へ放出される。金属ケース8内に封入された感温素子9が中間開口部7を通る発生蒸気の温度を感知し、信号リード線10により通信した温度値(信号)に応じて制御回路11はヒータ3を制御し、加熱容器2内に収容された液体(水)を加熱・保温する。
また、金属ケース8と加熱容器2の構成部品間はリード線12で電気的に接続している。金属ケース8及び加熱容器2は共に金属製であり、導電性を有する。
感温素子9を封入した金属ケース8は、蓋体4を支承する外郭本体1の軸受け部近くで、蓋体4を回蓋すると使用者が容易に触れることができる場所に設置してある。
図2は、本発明の第1の実施の形態における金属ケース近傍の構造断面図を示す。
図2において、金属ケース8は、深絞りにより突部8aとフランジ部8bを形成しているドーム型のケースである。感温素子9は、NTCサーミスタチップをガラス封止し両端にリード部9aが付けられている素子である。感温素子9はテフロン(登録商標)材質の絶縁チューブ13の中に通されており金属ケース8と電気的に絶縁されている。リード部9aは接続端子で信号リード線10にかしめ接続している。感温素子9は絶縁チューブ13に入れられた状態で押え板15で金属ケース8の突部8aに内側から押し当てられている。金属ケース8は、外郭本体1の貫通穴に下方からリング状のパッキン14を介して挿入され、蒸気通路6の途中に形成された中間開口部7に臨ませており、押え板15で金属
ケース8全体を外郭本体1に押し当てている。金属ケース8は直径8mmと小さいものであるため、この突部8aに感温素子9を入れるためリード部9aを絶縁チューブ13と共に折り曲げることになる。ここで、絶縁チューブ13は肉厚約0.2mmのテフロン(登録商標)材であるが、硬度が高いため曲げ加工が難しく屈曲部が激しく白化した場合ピンホールができ絶縁性が低下するという欠点がある。
リード線12は先端の被覆を取り除き、丸端子16aをかしめ処理してから金属ケース8のフランジ部8bにネジ16bで締め付けてある。
図3は、本発明の第1の実施の形態における加熱容器底部のヒータ近傍の断面図を、図4は、本発明の第1の実施の形態における加熱容器の底面図を、図5は、本発明の第1の実施の形態におけるヒータの詳細断面図を示す。
図3および図4において、加熱容器2底部は底面側から見て凹陥部が設けられ、ヒータ押え板17はヒータ3を加熱容器2底部の凹陥部に押入するようにして加熱容器2にスポット溶接されている。商用電源はヒータ端子18に接続することでヒータに供給される。ヒータ押え板17にスポット溶接して取り付けられた板金具19には金属ケース8に接続されたリード線12が丸型接続端子16aを介してネジ16bで締め付けされている。
図5において、ヒータ3の構成は、加熱容器2とヒータ押え板17の間に、加熱容器2に接する側から、絶縁材である上マイカ20a、100V−900Wの湯沸し用の加熱ヒータ3a、下マイカ21a、アルミプレート22、上マイカ20b、100V−75Wの保温ヒータ3b、下マイカ21bの順番で配置されている。加熱ヒータ3aと保温ヒータ3bはそれぞれの上下のマイカ材により加熱容器2とアルミプレート22とヒータ押え板17と絶縁されている。また、マイカ材で覆われていないヒータ端面側は空間距離を取って絶縁を確保してある。
図6は、本発明の第1の実施の形態におけるヒータ押え板から下マイカまでを取り外して加熱ヒータが見える状態の加熱容器の底面図を示す。
図6において、加熱ヒータ3aは、絶縁物からなる巻芯24の内外周に設けた複数の溝25に発熱線26を巻回してなる。巻芯24は絶縁材料であるマイカ材である。巻芯24の内外周には複数の溝25が設置してある。発熱線26は帯状の電熱線であり、一端をヒータ端子加熱側18aにスポット溶接され、溝25に掛かるように巻いてあり、全ての溝に巻き終わると同様にヒータ端子共通側18bにスポット溶接されている。
ヒータ端子加熱側18a、ヒータ端子共通側18bは共に商用電源に接続されており、本実施の形態では外郭本体1内部におけるヒータの充電部に当たる。
図7は、本発明の第1の実施の形態における加熱ヒータの要部拡大図である。
図7において、マイカ材で覆われていないヒータ3端面側である発熱線26と加熱容器2とは、空間距離を取って絶縁を確保してあり、絶縁距離寸法Aのばらつきは全ての溝25において3.2mmから5.0mmになっている。
以上のような構成において、金属ケース8に使用者の人体に帯電された静電気が印加された場合、高電圧電荷は通電手段たるリード線12、板金具19、ヒータ押え板17を介して加熱容器2に伝わり、絶縁距離が短い箇所から発熱線26に放電され、ヒータ端子18から最終的に商用電源に導通して接地される。
図8は、本発明の第1の実施の形態における模式回路図で、上述した概略の放電経路を矢印で示している。
通常、加熱容器2と充電部であるヒータ端子18及びヒータ3の発熱線26間は先に述べたように絶縁材および絶縁距離を確保することにより1000V以上の絶縁耐圧を有しており、加熱容器2に人が触れても商用電源に感電することは無い。
しかし、数kV〜数十kV以上の高い静電気に対しては、加熱容器2と発熱線26間の距離に応じて放電ギャップの機能を果たし、その間に静電気を放電させるようにする。
図8に示すように金属ケース8と加熱容器2および加熱容器2を構成している金属部との間を電気的にリード線12で接続することで、金属ケース8に印加された静電気は通常では絶縁されている加熱容器2と発熱線26間、若しくは加熱容器2と充電部であるヒータ端子18間を放電し、最終的には、一次側の商用電源に逃がされ、接地される。金属ケース8に印加された静電気を発熱線26若しくはヒータ端子18に放電させることで、制御回路11の前段の一次側商用電源に逃がすことができるため制御回路11の破壊を回避させることができる。仮に、制御回路11への静電気の周り込みがあったとしても、制御回路11内の一次電源部には一般的にサージアブソーバーなどのサージ電圧吸収素子が設置されているため、静電気が信号リード線12から制御回路11の2次側回路へ直接放電された場合に比べ回路の損傷は極めて軽微なものにすることができるものである。
実験的に、絶縁距離3.2mmから5.0mmの範囲において、金属ケース8に約7kVから約10kV以上の静電気が印加されると上記放電経路を通じて発熱線26に放電される。従来、リード線12を接続しない場合について、絶縁チューブ13にピンホールが無い場合は、実験的に金属ケース8に12kVから15kVの静電気が印加されても感温素子9のリード部9aに放電されることは無いが、15kV以上の高い静電気が印加されると絶縁チューブ13の絶縁を破ってリード部9aに放電されるため制御回路11の電子部品が破壊される。また、絶縁チューブ13にピンホールが存在する場合は絶縁耐圧が下がるため約10kV以上の静電気印加で制御回路11の電子部品が破壊する現象が起こっていた。つまり、本発明の実施によって絶縁チューブ13にピンホールが存在するような場合においても、制御回路11の電子部品が破壊されるような約10KV以上の静電気が印加されてもリード部9aに静電気が放電される前に発熱線26に放電させることが可能となる。なお、前述のようにリード線12の接続場所は、加熱容器2に接する金属部ならどこでも良く、同様に放電経路が構成されることになる。また、本実施例では加熱容器2と加熱ヒータ3aの発熱線26の間を放電経路としたが、絶縁距離を調整して保温ヒータ3bの発熱線を放電先としても効果は同様に得られる。
以上のように、本実施の形態においては、金属ケース8と加熱容器2を通電手段たるリード線12で電気的に接続することで、金属ケース8に印加された静電気が感温素子9のリード部9aに放電する前に、空隙によって絶縁された加熱容器2から発熱線26に放電され、ヒータ端子18を介して商用電源に逃がすことができるため、制御回路11へ静電気が印加されることが回避され、電子回路の破壊を防止することができる。
(実施の形態2)
図9は、本発明の第2の実施の形態の加熱ヒータの要部拡大図である。
図9において、実施の形態1と違うところはB寸法部一箇所のみヒータ3の発熱線26と加熱容器2の絶縁距離が約3.0mmになるように溝25の深さを短くして絶縁距離を他の溝より短くしているところにある。実施の形態1によると溝25の寸法は約3.2から5.0mmになっているが、最小の約3.2mmの溝がどの位置になるかは出来上がり
の加工ばらつきによって変わる。また、発熱線26を巻芯24に巻いたときの緩みによっても最小絶縁距離は変わるため放電経路と放電開始電圧が変動し、静電気耐量のレベルは個々の機体によってばらつくという不具合があった。本実施の形態のように一箇所のみ意図的に絶縁距離を短くすることにより、加熱容器2から発熱線26への放電経路が固定され、放電開始電圧が安定することになる。実験的に、絶縁距離3.0mmにした場合は約5kV以上の静電気が印加されると発熱線26に放電されるようになる。
以上のように、本実施の形態においては、巻芯24の任意の一箇所の溝25の寸法を他の溝より短くすることで加熱容器2と発熱線26の間の放電経路が固定され最小絶縁距離位置と最小絶縁距離が、発熱線を巻くときの発熱線の緩みやずれなどの作業ばらつきによって影響されることを抑えられるため、放電経路が機体によって変動することを防止し、放電電圧を安定させることができるため、制御回路の静電気破壊耐量の機体差ばらつきを抑えることができる。
(実施の形態3)
図10は、本発明の第3の実施の形態におけるヒータ端子近傍の加熱容器底部の要部拡大図を示すものである。
図10において、突起部27は先端部が鋭角の突起を持った金具であり、板金具19から延伸され、突起部先端とヒータ端子共通側18bの距離が約3.0mmになるように板金具19にスポット溶接で取り付けてある。実施の形態1によると、静電気は加熱容器2からヒータ3の発熱線26へと溝25を通じて放電され、静電気放電経路である溝25の寸法は約3.2mmから5.0mmの範囲になっているが、最小約3.2mmの溝がどの位置になるかは出来上がりの加工ばらつきによって変わる。また、発熱線26を巻芯24に巻いたときの緩みによっても最小絶縁距離は変わるため放電経路と放電開始電圧が変動し、静電気耐量のレベルは個々の機体によってばらつくという不具合があった。本実施の形態のように、突起部27を設けヒータ端子共通側18bとの絶縁距離が所定の距離になるように構成することにより、加熱容器2からの充電部たるヒータ端子18への放電経路が固定され、放電開始電圧も安定することになる。実験的に、絶縁距離3.0mmにした場合において、約5kV以上の静電気が印加されると、加熱容器2から板金具19、突起部27を介してヒータ端子共通側18bに放電されるようになる。
以上のように、本実施の形態においては、発熱線26及び充電部たるヒータ端子18の任意の箇所に対して、加熱容器2を構成する場所に突起部27を設けて、加熱容器2と発熱線及び充電部間に所定の間隔を持った放電ギャップを構成することにより、放電経路が固定され放電開始電圧も安定するため、制御回路の静電気耐量を機体によらず精度良く安定化させることができる。
尚、本実施の形態では、突起部を板金具から延伸させ、ヒータ端子に放電する場合を示したが、突起部の延伸方向を変えて発熱線に放電させるようにしてもよく、また、突起部を加熱容器に設けてもよい。何れにしても、金属ケースに印加された静電気が突起部から発熱線若しくはヒータ端子(充電部)に放電され、商用電源に逃がすことができればよい。
(実施の形態4)
図11は、本発明の第4の実施の形態における金属ケース近傍の構造断面図を示すものである。
図11に示すように、本実施の形態の特徴は、金属ケース8と加熱容器2を電気的に接続・通電するリード線12の被覆を取り除いた終端を接続端子28でかしめ処理し、金属
ケース8のフランジ部8bにスポット溶接しているところにある。これにより、金属ケース8のフランジ部8bの面積を大きくすること無く省スペースでリード線12を接続することができるため金属ケース8が小型化できる。
以上のように、本実施の形態においては、接続端子28をスポット溶接することで金属ケース8を小型化し、外郭本体1の取り付け部や抑え板15の形状を簡素化できるため蒸気通路6内の蒸気検知の応答性の良い場所への設置が容易になるため、蒸気検知の応答性を低下させることなく、静電気放電経路の構成を実現できる。
(実施の形態5)
図12は、本発明の第5の実施の形態における金属ケース近傍の構造断面図を示すものである。
図12に示すように、本実施の形態の特徴は、金属ケース8と加熱容器2を電気的に接続・通電するリード線12の被覆を取り除いた終端を平板状の圧着端子29でかしめ処理し、金属ケース8のフランジ部8bと外郭本体1で挟み込んでいるところにある。これにより、金属ケース8のフランジ部8bにネジ締めやスポット溶接する必要が無く省スペースでリード線12を接続することができる。
以上のように、本実施の形態においては、リード線12の被覆を取り除いた終端を先端が平板状の圧着端子29でかしめ処理し、金属ケース8のフランジ部8bと外郭本体1の間に端子の平板部を挟さみ込み圧接接続するようにしたことにより、金属ケース8の小型化による設置場所の自由度向上に加え、金属ケース8への接続加工を不要とする安価な構成で、静電気放電経路の構成を実現できる。
(実施の形態6)
図13は、本発明の第6の実施の形態における金属ケース近傍の構造断面図を示すものである。
図13に示すように、本実施の形態の特徴は、金属ケース8のフランジ部8bの一端を延伸して板ばね8cに形成し、加熱容器2の外壁に押圧させるようにしたことにある。これにより、リード線12や接続端子16bなどの部品が不要となることに加え、フランジ部8bへの接続端子16bの接続が不要となる。
以上のように、本実施の形態においては、金属ケース8のフランジ部8bの一部を加熱容器2の外壁に押圧させるようにしたことにより、金属ケース8から加熱容器2への電気的接続が可能となるため、リード線12や接続端子16bなどの部品や接続加工が不要となり、安価で組立て性の良い構成で、静電気放電経路の構成を実現できる。
以上のように、本発明にかかる電気湯沸かし器は、感温素子に静電気などの高電圧電荷が印加された場合の発熱体を介する商用電源への放電経路構成による電子部品破壊耐量の向上を可能とするものであるため、各種の感温素子を有する加熱機器等の用途にも適用できる。
1 外郭本体
2 加熱容器
3 ヒータ
3a 加熱ヒータ
3b 保温ヒータ
4 蓋体
5 蒸気排出口
6 蒸気通路
7 中間開口部
8 金属ケース
8b フランジ部
8c 板ばね
9 感温素子
10 信号リード線
11 制御回路
12 リード線
13 絶縁チューブ
17 ヒータ押え板
18 ヒータ端子
18a ヒータ端子加熱側
18b ヒータ端子共通側
24 巻芯
25 溝
26 発熱線
27 突起部
28 接続端子
29 圧着端子

Claims (6)

  1. 絶縁物からなる巻芯の内外周に設けた複数の溝に発熱線を巻回したヒータと、前記ヒータの充電部と、前記ヒータ及び前記充電部を取り付けた加熱容器と、前記加熱容器を保持する外郭本体と、金属ケース内に封入された感温素子とを有し、前記加熱容器から発生した湯沸し蒸気が当たる場所に前記金属ケースを設置し、前記金属ケースと前記加熱容器の任意の場所を電気的に接続する通電手段を設け
    前記ヒータ及び前記充電部と前記加熱容器とは空隙によって絶縁され、前記金属ケース表面に印加された高電圧電荷は前記通電手段と前記加熱容器を介して前記ヒータ若しくは前記充電部に放電するように構成した電気湯沸かし器。
  2. 前記巻芯の任意の箇所の前記溝の深さを短くして、前記ヒータの前記発熱線と前記加熱容器の絶縁距離を他の溝部より短くした請求項1に記載の電気湯沸かし器。
  3. 前記ヒータ及び前記充電部と前記加熱容器との間の任意の箇所に、突起部からなる放電ギャップを備えた請求項1に記載の電気湯沸かし器。
  4. 前記金属ケースと前記加熱容器の任意の場所を電気的に接続する前記通電手段はリード線で、前記リード線の被覆を取り除いた終端を接続端子でかしめ処理し、前記金属ケースのフランジ部にスポット溶接にて接続するようにした請求項1〜のいずれか1項に記載の電気湯沸かし器。
  5. 前記金属ケースと前記加熱容器の任意の場所を電気的に接続する前記通電手段はリード線で、前記リード線の被覆を取り除いた終端を先端が平板状の圧着端子でかしめ処理し、前記金属ケースの前記フランジ部と前記外郭本体の間に端子の平板部を挟さみ込んで圧接接続するようにした請求項1〜のいずれか1項に記載の電気湯沸かし器。
  6. 前記金属ケースと前記加熱容器の任意の場所を電気的に接続する前記通電手段は、前記金属ケースの前記フランジ部の一部を前記加熱容器に接触させてなる請求項1〜のいずれか1項に記載の電気湯沸かし器。
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