以下、添付図面に従って本発明に係る内視鏡装置用のバルーン制御装置の好ましい実施の形態について詳述する。図1は本発明の一実施形態であるバルーン制御装置が適用された内視鏡システムを示すシステム構成図である。図1に示すように内視鏡システムは主として、内視鏡10、挿入補助具70、及びバルーン制御装置100で構成される。
図1に示すように内視鏡10は、手元操作部14と、この手元操作部14に連設され、体腔内に挿入される挿入部12とを備える。手元操作部14には、ユニバーサルケーブル16が接続され、このユニバーサルケーブル16の先端にLGコネクタ18が設けられる。LGコネクタ18は光源装置20に着脱自在に連結され、これによって後述の照明光学系54(図2参照)に照明光が送られる。また、LGコネクタ18には、ケーブル22を介して電気コネクタ24が接続され、この電気コネクタ24がプロセッサ26に着脱自在に連結される。
手元操作部14には、送気・送水ボタン28、吸引ボタン30、シャッターボタン32、及び機能切替ボタン34が併設されるとともに、一対のアングルノブ36、36が設けられる。手元操作部14の基端部には、L状に屈曲した管によってバルーン送気口38が形成されている。このバルーン送気口38にエア等の流体を供給、或いは吸引することによって、後述の第1バルーン60を膨張、或いは収縮させることができる。
挿入部12は、手元操作部14側から順に軟性部40、湾曲部42、及び先端部44で構成され、湾曲部42は、手元操作部14のアングルノブ36、36を回動することによって遠隔的に湾曲操作される。これにより、先端部44を所望の方向に向けることができる。
図2に示すように、先端部44の先端面45には、観察光学系52、照明光学系54、54、送気・送水ノズル56、鉗子口58が設けられる。観察光学系52の後方にはCCD(不図示)が配設され、このCCDを支持する基板には信号ケーブル(不図示)が接続される。信号ケーブルは図1の挿入部12、手元操作部14、ユニバーサルケーブル16等に挿通されて電気コネクタ24まで延設され、プロセッサ26に接続される。よって、観察光学系48で取り込まれた観察像は、CCDの受光面に結像されて電気信号に変換され、そして、この電気信号が信号ケーブルを介してプロセッサ26に出力され、映像信号に変換される。これにより、プロセッサ26に接続されたモニタ50に観察画像が表示される。
図2の照明光学系54、54の後方にはライトガイド(不図示)の出射端が配設されている。このライトガイドは、図1の挿入部12、手元操作部14、ユニバーサルケーブル16に挿通され、LGコネクタ18内に入射端が配設される。したがって、LGコネクタ18を光源装置20に連結することによって、光源装置20から照射された照明光がライトガイドを介して照明光学系54、54に伝送され、照明光学系54、54から前方に照射される。
図2の送気・送水ノズル56は、図1の送気・送水ボタン28によって操作されるバルブ(不図示)に連通されており、さらにこのバルブはLGコネクタ18に設けた送気・送水コネクタ48に連通される。送気・送水コネクタ48には不図示の送気・送水手段が接続され、エア又は水が供給される。したがって、送気・送水ボタン28を操作することによって、送気・送水ノズル56からエア又は水を観察光学系52に向けて噴射することができる。
図2の鉗子口58は、図1の鉗子挿入部46に連通されている。よって、鉗子挿入部46から鉗子等の処置具を挿入することによって、この処置具を鉗子口58から導出することができる。また、鉗子口58は、吸引ボタン30によって操作されるバルブ(不図示)に連通されており、このバルブはさらにLGコネクタ18の吸引コネクタ49に接続される。したがって、吸引コネクタ49に不図示の吸引手段を接続し、吸引ボタン30でバルブを操作することによって、鉗子口58から病変部等を吸引することができる。
挿入部12の外周面には、ゴム等の弾性体から成る第1バルーン60が装着される。第1バルーン60は、両端部が絞られた略筒状に形成されており、挿入部12を挿通させて第1バルーン60を所望の位置に配置した後、図2に示すように第1バルーン60の両端部にゴム製の固定リング62、62を嵌め込むことによって、第1バルーン60が挿入部12に固定される。
第1バルーン60の装着位置となる挿入部12の外周面には、通気孔64が形成されている。通気孔64は、図1の手元操作部14に設けられたバルーン送気口38に連通されており、バルーン送気口38には後述のチューブ110を介してバルーン制御装置100に接続される。したがって、バルーン制御装置100によってエアを供給(以下送気ともいう)、吸引(以下排気ともいう)することによって、第1バルーン60を膨張、収縮させることができる。なお、第1バルーン60はエアを供給することによって略球状に膨張し、エアを吸引することによって挿入部12の外表面に張り付くようになっている。
一方、図1に示す挿入補助具70は筒状に形成されており、挿入部12の外径よりも僅かに大きい内径を有するとともに、十分な可撓性を備えている。挿入補助具70の基端には硬質の把持部72が設けられ、この把持部72から挿入部12を挿入するようになっている。
挿入補助具70の先端近傍には、第2バルーン80が装着される。第2バルーン80は、両端が窄まった略筒状に形成されており、挿入補助具70を貫通させた状態で装着され、不図示の糸を巻回することによって固定される。第2バルーン80には、挿入補助具70の外周面に貼り付けたチューブ74が連通され、このチューブ74の基端部にコネクタ76が設けられる。コネクタ76には、チューブ120が接続され、このチューブ120を介してバルーン制御装置100に接続される。したがって、バルーン制御装置100でエアを供給、吸引することによって、第2バルーン80を膨張、収縮させることができる。第2バルーン80は、送気によって略球状に膨張し、排気によって挿入補助具70の外周面に貼りつくようになっている。
挿入補助具70の基端側には注入口78が設けられている。この注入口78は、挿入補助具70の内周面に形成された開口(不図示)に連通される。したがって、注入口78から注射器等で潤滑剤(例えば水等)を注入することによって、挿入補助具70の内部に潤滑剤を供給することができる。よって、挿入補助具70に挿入部12を挿入した際に、挿入補助具70の内周面と挿入部12の外周面との摩擦を減らすことができ、挿入部12と挿入補助具70の相対的な移動をスムーズに行うことができる。
バルーン制御装置100は、第1バルーン60にエア等の流体を供給・吸引するとともに、第2バルーン80にエア等の流体を供給・吸引する装置である。バルーン制御装置100は主として、装置本体102、及びリモートコントロール用のハンドスイッチ104で構成される。
図3に示すように、装置本体102の前面には、電源スイッチSW1、停止スイッチSW2、第1圧力表示部106、第2圧力表示部108、及び第1機能停止スイッチSW3、第2機能停止スイッチSW4が設けられる。第1圧力表示部106、第2圧力表示部108はそれぞれ、第1バルーン60、第2バルーン80の圧力値を表示するパネルであり、バルーン破れ等の異常発生時にはこの圧力表示部106、108にエラーコードが表示される。
第1機能停止スイッチSW3、第2機能停止スイッチSW4はそれぞれ、後述の内視鏡用制御系統A、挿入補助具用制御系統Bの機能をON/OFFするスイッチであり、第1バルーン60と第2バルーン80の一方のみを使用する場合には、使用しない方の機能停止スイッチSW3、SW4を操作して機能をOFFにする。機能がOFFになった制御系統A又はBでは、エアの供給、吸引が完全に停止し、その系統の圧力表示部106、又は108もOFFになる。機能停止スイッチSW3、SW4は両方をOFFにすることによって、初期状態の設定等を行うことができる。例えば、両方の機能停止スイッチSW3、SW4をOFFにして、ハンドスイッチ104の全スイッチSW5〜SW9を同時に押下操作することによって、大気圧に対するキャリブレーションが行われる。
装置本体102の前面には、第1バルーン60への送気・排気用チューブ110、及び第2バルーン80へ送気・排気用チューブ120が接続される。各チューブ110、120と装置本体102との接続部分にはそれぞれ、第1バルーン60、或いは第2バルーン80が破れた時の体液の逆流を防止するための逆流防止ユニット112、122が設けられる。逆流防止ユニット112、122は、装置本体102に着脱自在に装着された中空円盤状のケース(不図示)の内部に気液分離用のフィルタを組み込むことによって構成されており、装置本体102内に液体が流入することをフィルタによって防止する。
なお、圧力表示部106、108、機能停止スイッチSW3、SW4、及び逆流防止ユニット112、122は、内視鏡10用と挿入補助具70用とが常に一定の配置になっている。すなわち、内視鏡用10用の圧力表示部106、機能停止スイッチSW3、及び逆流防止ユニット112がそれぞれ、挿入補助具70用の圧力表示部108、機能停止スイッチSW4、及び逆流防止ユニット122に対して右側に配置されている。
一方、ハンドスイッチ104には、装置本体102側の停止スイッチSW2と同様の停止スイッチSW5と、第1バルーン60の加圧/減圧を指示するON/OFFスイッチSW6と、第1バルーン60の圧力を保持するためのポーズスイッチSW7と、第2バルーン80の加圧/減圧を支持するON/OFFスイッチSW8と、第2バルーン80の圧力を保持するためのポーズスイッチSW9と、小腸用の送気流量及び排気流量を設定するためのスイッチSW10と、大腸用の送気流量及び排気流量を設定するためのスイッチSW11とが設けられており、このハンドスイッチ104はコード130を介して装置本体102に電気的に接続されている。なお、図1には示してないが、ハンドスイッチ104には、第1バルーン60や第2バルーン80の送気状態、或いは排気状態を示す表示部が設けられている。
次に、バルーン制御装置100(装置本体102)の内部構成について図4を参照しながら詳細に説明する。図4は、バルーン制御装置100の内部構成を説明するための回路図である。
図4に示すように、バルーン制御装置100は主として、その全体の制御を司るCPU等の制御装置(図示せず)、制御系統A、及び、制御系統Bを備えている。
制御系統Aは、内視鏡10に装着されている第1バルーン60を制御するためのものである。制御系統Aは、図示しないCPU等の制御装置によって制御される送気・排気切り替え用の電磁弁VA3を備えている。この電磁弁VA3を送気側に切り替えると、第1バルーン60と送気用(加圧用)ポンプPA1との間に送気用管路が設定される。したがって、送気用ポンプPA1を作動させると、第1バルーン60にはその設定された送気用管路を介して送気されることになる。これにより、第1バルーン60は膨張し始める。
一方、電磁弁VA3を排気側に切り替えると、第1バルーン60と排気用(減圧用)ポンプPA2との間に排気用管路が設定される。したがって、排気用ポンプPA2を作動させると、第1バルーン60からその設定された排気用管路を介して排気されることになる。これにより、第1バルーン60は収縮し始める。
電磁弁VA3と送気用ポンプPA1との間(の配管の途中)には図示しないCPU等の制御装置によって制御される流量コントローラー140が設けられている。コントローラー140としては、例えばニードル型の流量制御弁が考えられる。この流量コントローラー140により送気用管路内の流量(送気流量)を調節することが可能となっている。
また、電磁弁VA3と送気用ポンプPA1との間(の配管の途中)には図示しないCPU等の制御装置によって制御される開閉用の電磁弁VA1が設けられている。この電磁弁VA1を閉じると、第1バルーン60との間の送気用管路が閉管路に設定される。すなわち、電磁弁VA1を閉じることで、送気用管路内(ひいては第1バルーン60の内部圧力)を一定圧力に保つことが可能となっている。
また、電磁弁VA3と排気用ポンプPA2との間(の配管の途中)にも図示しないCPU等の制御装置によって制御される流量コントローラー140が設けられている。この流量コントローラー140により排気用管路内の流量(排気流量)を調節することが可能となっている。
また、電磁弁VA3と排気用ポンプPA2との間(の配管の途中)には図示しないCPU等の制御装置によって制御される開閉用の電磁弁VA2が設けられている。この電磁弁VA2を閉じると、第1バルーン60との間の排気用管路が閉管路に設定される。すなわち、電磁弁VA2を閉じることで、排気用管路内(ひいては第1バルーン60の内部圧力)を一定圧力に保つことが可能となっている。
電磁弁VA3と逆流防止ユニット112との間(の管路の途中)にはマニホールド141を介して共通管路内(ひいては第1バルーン60の内部圧力)の圧力を検出するための圧力センサ142が設けられている。なお、圧力センサ142は、図示しないCPU等の制御装置に接続されている。
また、電磁弁VA3と逆流防止ユニット112との間(の管路の途中)には共通管路内の流量(送気流量、排気流量)を検出するための流量計143(流量センサともいう)が設けられている。なお、流量計143は、図示しないCPU等の制御装置に接続されている。
制御系統Bは、内視鏡挿入補助具70に装着されている第2バルーン80を制御するためのものであるが、制御系統Aと同一の構成であるため、同一の符号を付して、その説明を省略する。
次に、上記のように構成されたバルーン制御装置100の動作(加圧処理)について図面を参照しながら説明する。
図5は、加圧処理について説明するためのフローチャートである。
以下の動作(加圧処理)は、バルーン制御装置100において、電源スイッチSW1がオンされ、その内部メモリに所定プログラムが読み込まれ、図示しないCPU等の制御装置がその所定プログラムを実行することで実現されるものとする。以下、制御系統Aにおける処理について説明する。
バルーン制御装置100においては、ハンドスイッチ104に小腸用の送気流量及び排気流量を設定するためのスイッチSW10と、大腸用の送気流量及び排気流量を設定するためのスイッチSW11が設けられている(本発明の部位選択手段に相当)。内視鏡10(内視鏡挿入部12)及び挿入補助具70を小腸に挿入するのであれば、スイッチSW10を操作し、大腸に挿入するのであれば、スイッチSW11を操作することになる(ステップS10)。
スイッチSW10が操作されると、小腸用の送気流量SR1及び排気流量HR1が設定される(ステップS12)。一方、スイッチSW11が操作されると大腸用の送気流量SR2及び排気流量HR2が設定される(本発明の設定手段に相当)。
次に、スイッチSW6が操作され第1バルーン60の加圧指示が入力されると(ステップS14:Yes)、ステップS10で設定された流量(SR1又はSR2)で加圧動作を開始する(ステップS16)。すなわち、電磁弁VA3が送気側に切り替えられ、かつ、電磁弁VA1が開かれることにより、第1バルーン60と送気用(加圧用)ポンプPA1との間に送気用管路が設定される。これとともに、送気用(加圧用)のポンプPA1を作動させ、さらに送気流量がステップS10で設定された流量(SR1又はSR2)となるように流量コントローラー140が制御される。
したがって、第1バルーン60にはその設定された送気用管路を介して流量SR1又はSR2で送気されることになる。これにより、第1バルーン60は膨張し始める。
圧力センサ142により検出された第1バルーン60の内部圧力が予め設定された設定圧P1に達すると(ステップS18:Yes)、送気流量が予め定められた流量R2(流量SR1又はSR2よりも小さい)となるように流量コントローラー140が制御される。このように、当初は送気流量を大きくし(流量SR1又はSR2)、途中から送気流量を小さく(流量R2)することにより、第1バルーン60の膨張速度を高速化することが可能となる。
次に、圧力センサ142により検出された第1バルーン60の内部圧力が予め設定された設定圧P2(設定圧P1よりも大きい)に達すると(ステップS22:Yes)、加圧動作を停止する(ステップS24)。すなわち、電磁弁VA1を閉じる。あるいは、図6に示すように、流量が経時的に低下するように流量コントローラー140が制御される。
これにより、電磁弁VA1(又は流量コントローラー140)と第1バルーン60との間に閉管路が設定される。すなわち、電磁弁VA1を閉じることで、送気用管路内(ひいては第1バルーン60の内部圧力)を一定圧力(設定圧P2)に保つことが可能となっている。
以上説明したように、上記加圧処理によれば、当初は送気流量を大きくし(流量R1)、途中から(設定圧P1に達したときから)送気流量を小さく(流量R2)することにより、第1バルーン60の膨張速度を高速化することが可能となる。
また、スイッチSW10、SW11により内視鏡挿入部12等が挿入される消化管に応じた送気流量SR1又はSR2を設定することが可能となる。すなわち、小腸であれば流量SR1を設定し、大腸であれば流量SR2(=SR1×3)のように、消化管の種類に応じて送気流量を設定することが可能となる。したがって、従来、第1バルーン60が膨らんで腸壁にあたり設定圧P2に達するまでに要する時間が小腸で約10秒、大腸で約30秒であったとしても、上記のように流量を設定することで、大腸における第1バルーン60内部圧力が設定圧P2に達するまでの時間(すなわち、第1バルーン60が固定されるまでの時間)が約1/3となり、小腸における所要時間と略等しくなる。すなわち、消化管の種類にかかわらず、第1バルーン60内部圧力が設定圧P2に達するまでの時間(
すなわち、第1バルーン60が固定されるまでの時間)差をなくす(もしくは少なくする)ことが可能となる。
なお、制御系統Bにおいても、第2バルーン80の加圧処理が実行されるようになっているが、上記制御系統Aと同様の処理であるため、その説明を省略する。
次に、バルーン制御装置100の動作(減圧処理)について図面を参照しながら説明する。
図7は、減圧処理について説明するためのフローチャートである。
以下の動作(減圧処理)は、バルーン制御装置100において、電源スイッチSW1がオンされ、その内部メモリに所定プログラムが読み込まれ、図示しないCPU等の制御装置がこの所定プログラムを実行することで実現されるものとする。以下、制御系統Aにおける処理について説明する。
バルーン制御装置100においては、ハンドスイッチ104に小腸用の送気流量及び排気流量を設定するためのスイッチSW10と、大腸用の送気流量及び排気流量を設定するためのスイッチSW11が設けられている。内視鏡10(内視鏡挿入部12)及び挿入補助具70を小腸に挿入するのであれば、スイッチSW10を操作し、大腸に挿入するのであれば、スイッチSW11を操作することになる(ステップS30)。
スイッチSW10が操作されると、小腸用の送気流量SR1及び排気流量HR1が設定される(ステップS32)。一方、スイッチSW11が操作されると大腸用の送気流量SR2及び排気流量HR2が設定される。
次に、スイッチSW6が操作され第1バルーン60の減圧指示が入力されると(ステップS34:Yes)、ステップS32で設定された流量(HR1又はHR2)で減圧動作を開始する(ステップS36)。すなわち、電磁弁VA3が排気側に切り替えられ、電磁弁VA1が閉じられ、かつ、電磁弁VA2が開けられることにより、第1バルーン60と排気用(減圧用)ポンプPA2との間に排気用管路が設定される。これとともに、排気用(減圧用)のポンプPA2を作動させ、さらに排気流量がステップS32で設定された流量(HR1又はHR2)となるように流量コントローラー140が制御される。
したがって、第1バルーン60からその設定された排気用管路を介して流量HR1又はHR2で排気されることになる。これにより、第1バルーン60は収縮し始める。
圧力センサ142により検出された第1バルーン60の内部圧力が予め設定された設定圧P3に達すると(ステップS38:Yes)、排気流量が予め定められた流量R4(流量HR1又はHR2よりも小さい)となるように流量コントローラー140が制御される。このように、当初は排気流量を大きくし(流量HR1又はHR2)、途中から排気流量を小さく(流量R4)することにより、第1バルーン60の収縮速度を高速化することが可能となる。
次に、圧力センサ142により検出された第1バルーン60の内部圧力が予め設定された設定圧P4(設定圧P3よりも小さい)に達すると(ステップS42:Yes)、減圧動作を停止する(ステップS44)。すなわち、電磁弁VA2を閉じる。あるいは、図8に示すように、流量が経時的に低下するように流量コントローラー140が制御される。
これにより、電磁弁VA2(又は流量コントローラー140)と第1バルーン60との
間に閉管路が設定される。すなわち、電磁弁VA2を閉じることで、排気用管路内(ひいては第1バルーン60の内部圧力)を一定圧力(設定圧P4)に保つことが可能となっている。
以上説明したように、上記減圧処理によれば、当初は排気流量を大きくし(流量HR1、HR2)、途中から(設定圧P3に達したときから)排気流量を小さく(流量R4)することにより、第1バルーン60の収縮速度を高速化することが可能となる。
また、スイッチSW10、SW11により内視鏡挿入部12等が挿入される消化管に応じた排気流量HR1又はHR2を設定することが可能となる。すなわち、小腸であれば流量HR1を設定し、大腸であれば流量HR2(=HR1×3)のように、消化管の種類に応じて排気流量を設定することが可能となる。したがって、従来、第1バルーン60が収縮して設定圧P4に達するまでに要する時間が小腸で約10秒、大腸で約30秒であったとしても、上記のように流量を設定することで、大腸における第1バルーン60内部圧力が設定圧P4に達するまでの時間が約1/3となり、小腸における所要時間と略等しくなる。すなわち、消化管の種類にかかわらず、第1バルーン60内部圧力が設定圧P4に達するまでの時間差をなくす(もしくは少なくする)ことが可能となる。
なお、制御系統Bにおいても、第2バルーン80の減圧処理が実行されるようになっているが、上記制御系統Aと同様の処理であるため、その説明を省略する。
次に、変形例について説明する。
上記実施形態においては、CPU等の制御装置によって制御されるニードル型の流量制御弁により、送気流量及び排気流量を制御するように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図9に示すように、図示しないCPU等の制御装置によって制御される回転数コントローラー144により送気用ポンプPA1駆動用のモータ、及び排気用ポンプPA2駆動用のモータを制御することで、送気流量及び排気流量を制御するようにしてもよい。あるいは、マニホールド143として固定絞りが複数内蔵されたものを用い、各絞りをCPU等の制御装置により切り替えることで、送気流量及び排気流量を制御するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、スイッチSW10又はSW11を操作することにより消化管の種類(小腸か大腸か)を選択し、この選択された消化管に応じた流量が設定され、その設定された流量で送気又は排気されるように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、小腸、大腸以外のその他の消化管を選択可能に構成してもよい(例えば別の選択のスイッチを設ける)。あるいは、消化管の径は性別や年齢によって異なると考えられるから、消化管の種類とともに、被験者の性別や年齢等の属性も特定(又は選択)させ(本発明の属性特定手段に相当)、この特定された消化管、性別、年齢等の属性に応じた流量を設定し、その設定された流量で送気又は排気するように構成してもよい。
あるいは、図1に示すように、内視鏡10をプロセッサ26正面の接続部に接続し、プロセッサ26がこの接続部に接続された内視鏡の用途を特定し(本発明の用途特定手段に相当)、この特定した内視鏡の用途を、プロセッサ26とバルーン制御装置10とを接続するケーブル(図示せず)等を介してバルーン制御装置10に伝達し、バルーン制御装置100がこの特定された内視鏡10の用途に応じた流量を設定し、その設定された流量で送気又は排気するように構成してもよい。
内視鏡の用途を特定する手段については、各種の手段が考えられる。例えば、内視鏡10(の内部メモリ等)にその内視鏡の識別子(例えば大腸用の内視鏡であれば大腸用内視鏡ID、小腸用の内視鏡であれば小腸用内視鏡ID)を格納しておき、内視鏡10がプロセッサ26正面の接続部に接続されると、プロセッサ26がこの接続部に接続された内視鏡10から識別子を読み取り(本発明の読取手段に相当)、この読み取られた識別子に基づいてプロセッサ26正面の接続部に接続された内視鏡10の用途を特定する(例えば、識別子と用途とを対応づけたテーブルを参照することにより特定する)ことが考えられる。
このようにすれば、内視鏡10がプロセッサ26に接続されたときに内視鏡10から識別子(例えば内視鏡ID)を読み取り、その識別子に基づいて内視鏡10の用途(例えば大腸用の内視鏡か小腸用の内視鏡か)を自動で認識して、その内視鏡10の用途に応じて送気流量及び/又は排気流量を設定することが可能となる。
なお、内視鏡10のみのバルーンを使用して、腸管を手繰り寄せるシングルバルーン法を適用する場合、通常のダブルバルーン法適用時よりも、流量を多く設定することも考えられる。つまり、シングルバルーン法で腸管を手繰り寄せる場合、バルーンを膨らませて腸管を固定し、その状態で腸管を手繰り寄せた後、バルーンを縮ませて手繰り寄せた腸管が元の状態に復元する前に内視鏡(スコープ)を前進させ、またバルーンを膨らませて腸管を固定し、その状態で腸管を手繰り寄せるという操作を繰り返すため、腸管が元の状態に復元する前に次の場所でバルーンを膨らませなければならず、バルーンの膨縮を瞬時に行う必要がある。そこで、スイッチSW11(本発明の手技選択手段に相当)を操作する。あるいは、このスイッチSW11に相当する高速スイッチを別途設け、この高速スイッチを操作する。このようにすれば、スイッチSW11によりシングルバルーン法が選択されたのであれば流量R1を設定し、スイッチSW10あるいはスイッチSW10に相当する低速スイッチによりダブルバルーン法が選択されたのであれば流量R2(R1>R2)を設定するというように、手技に応じて流量を設定することが可能となる。したがって、上記のようにシングルバルーン法を選択して流量を多く設定することで、第1バルーン60の膨張・収縮時間が短くなり、手繰りよせた腸管戻りを少なくすることができるから、シングルバルーン法によっても、腸内検査を効率よく行うことが可能となる。
なお、シングルバルーン法とダブルバルーン法とで適切な送気流量及び/又は排気流量に切り換えるに際して、スイッチで切り換えるのではなく、内視鏡の識別子をプロセッサで読み取って、その読み取られた識別子でシングルバルーン法かダブルバルーン法かを判断し、自動で適切な送気流量及び/又は排気流量に切り換えてもよい。
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。