JP5400379B2 - 半湿式静電収集による空気中粒子抽出装置と該装置の使用方法 - Google Patents

半湿式静電収集による空気中粒子抽出装置と該装置の使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、湿式、とりわけ半湿式での静電収集による空気中粒子抽出装置に関するものであって、該装置は、放電電極と対向電極との間のイオン化気体の溜まりからイオン流を発生させるための放電電極を含むチャンバと、液体または固体の粒子を含む、処理する空気とエアロゾルとの混合物のための入口と、蒸気流入管と処理済み空気の出口とから成り、また本発明はこの装置を使用する方法にも関するものである。以下ではこれらの装置を「電気フィルタ」と称するものとする。
処理済み空気を(例えば、工業施設の近傍で)浄化するために、あるいは空媒粒子を分析するために、大気中で粒子成分を気体から分離できることはきわめて重要である。
きわめて重要な分離方法は、電気フィルタ内での不純物の静電分離をもって成る。
しかしながら、空気の浄化の場合、浄化効率を上げるのを可能にするためには、できるだけ大きな表面積を有する収集電極を得るために大きなサイズの構造体が必要である。
したがって大型構造体が必要になり、このサイズの電気フィルタはこの目的のために、静電界を発生し維持するための大量の電力を要求する。
したがって、このような電気フィルタは、固定支持体の上でしか使用することができない。
空気中に含まれる粒子を分析するために電気フィルタを使用しようとする本件の場合、対象監視区域は必ずしも固定されず、電源の近くとは限らないので、可動式機器がより有利である。
この場合、たとえ極少量であっても粒子を検出できるようにきわめて優れた収集率を有することがもっとも重要である。
現在、乾式電気フィルタ(単に電気フィルタと呼ばれる)および湿式電気フィルタの二種類の器具が存在する。
電気フィルタ(ESP,電気集塵装置)は、粒子が通過する電界によって発生する静電力を用いて気体を浄化する器具である。
高く(cmあたり数十kV)非均一の電界は、二つの電極によって誘導される。
より正確には、二つの効果がある。
つまりそれは、高い電位に上げられた、典型的には突端または線の形状の電極の一方を囲繞するイオン化気体の溜まりからイオン流を発生させることであり、この現象はコロナ効果と呼ばれる。
このイオン流を介して通過させる粒子は、このときこれらのイオンに覆われて帯電する。
粒子は、装置に設置された円筒状または平板状の対向電極に粒子を運ぶクーロン力を感受するようになる。
電気フィルタの効率は、全てのサイズについて顕著であり、最小値は一般的に1ミクロン未満になる。
この原理で作動する器具は市販されている(例えば、United Air Specialists, Inc.のもの)。
利点は、小型であることと、1ミクロンより大きな粒子に対して約1の効率である。
これらのシステムの主たる欠点は、1ミクロン未満の粒子の収集にあり、その効率はよくない。
電気フィルタの第二の種類は、湿式電気フィルタで構成される。
この場合、粒子を含む処理する空気は、収集ユニットの上部のユニット内に微小水滴の形で導入される水蒸気と予め混合される。
ここでの目的は、凝結によって微小水滴のサイズを大きくして、最も小さい粒子の電界に対する感受性を増すことである。
これについても、このようなシステムは、市販されている(例えば、Wheelabrator Air Pollution Control Inc.)。
これらのシステムは、たしかに優れた効率で、きわめて小さい粒子の収集を可能にするが、工業用途のものであり、大量の水(毎時数十リットル)を必要とする。
したがって、携帯型の用途には不適である。
国際公開第2004/041440号パンフレットでは、
両端に入口と出口を備えた空気通路と、前記空気通路を介して前記入口から、次いで前記出口の外に空気を吸引し、それによって前記空気通路を介した空気流を発生させるための空気ポンプで形成された空気流入システムと、
空気流の中の検体をイオン化することができる、前記入口の近くの前記空気流入システム内に配置されたイオン化部と、
イオン化部と前記空気流入システムの出口との間で前記空気流入システム内に配置され、筒状垂直で、前記空気流に曝露された電極から成る収集電極とから成る、携帯型電気フィルタが記載されている。
国際公開第2004/041440号パンフレットの電気フィルタは、さらに、収集電極に水力学的に接続された液体を含むタンクと、前記液体が前記収集電極の外部を流れてタンクに戻るように、前記タンクから前記液体を収集電極の内部にくみ上げるための液体ポンプを備えている。
液体は、連続的、または周期的に、収集電極を浄化する役割をしており、それにより電極を浄化または交換するために電気フィルタを停止しないで済むようにしている。
液体は、典型的には廃棄物管理システムへ運ばれ、そこで濾過されるか少なくとも浄化される。
したがって、国際公開第2004/041440号パンフレットの電気フィルタは、湿式電気フィルタではなく、水は対向電極での残留物回収の時にしか介入せず、収集の時ではない。
この装置の欠陥は、したがって、全ての乾式集塵装置の欠陥であり、小さな粒子に対しては効率が低い。
米国再発行特許発明第35990号明細書は、残留物を処理するための方法と装置を呈示している。
この残留物は、灰と残留気体を生成するために酸素が豊富な雰囲気内で焼却され、この残留気体は燃焼残留気体を生成するために不十分な酸素雰囲気内で燃焼される。
モジュールに入る燃焼気体を浄化するために静電濾過モジュールが使用され、こうして気体を環境の面からより受容可能にする。
英国特許第2403672号明細書では、超音波微小水滴発生器によって発生した微小水滴を多孔性収集電極内に固体粒子が形成するのを防止するのに用いることができる電気フィルタを呈示している。
したがって、通常、水滴は電気フィルタ内に導入される前にエアロゾルに添加することができる。
これら最後の二つの解決法は、携帯使用には適さない水とエネルギーの消費量を必要とする。
仏国特許第201249号明細書は、気体流内の塵埃およびその他の汚染物質を取り除くための微小水滴静電集塵装置を開示している。
静電界の静電力が、流体をノズルの外に吸引して小さな微小水滴に破断するのを誘発する。
微小水滴は、質量に対する電荷比がきわめて高いので、ノズルと収集板との間に満たされた電界によってきわめて大きな加速を受ける。
移動する微小水滴は、気体流内に存在する粒子と出会い、気体流内で粒子と衝突して粒子を収集板の方に引き出すことができる。
気体流内の微小水滴の滞留時間は、きわめて短いが、高速なので粒子との衝突の確率は非常に高い。
したがって、還元された気体内に存在する少量の蒸気だけで、乾式静電集塵装置と比べて、改善された収集効率を得るには十分である。
全長に渡って放電電極間の蒸気の利得を回避するために、仏国特許第201249号明細書によると、水滴は放電電極を形成するノズルを出るときに加速され、次いで全ての気体流内に分散される。
蒸気は、放電電極と対向電極との間の空間内で、蒸気流入管によって還元される。
仏国特許第201249号明細書の一つの特徴は、放電電極が、それ自体同時に蒸気流入管の役割をするノズルによって形成されていることである。
米国特許第4544382号明細書では、特に高温で用いることのできる電気フィルタを開示している。
浄化する気体流内に存在する粒子は、フィルタの特定の領域内で荷電される。
米国特許第4544382号明細書による装置の原理は、圧縮され、かつ湿った空気が高速に装置内に入り、湿った気体内でニードルとノズルとの間にコロナ放電が生じることにある。
インジェクターの狭窄部分において、圧縮され、かつ湿った空気は、膨張され氷の微粒子を発生し、インジェクターから出て、放電コロナ内の荷電粒子を捕捉する。
国際公開第2004/041440号パンフレット 米国特許第4544382号明細書
したがって、本発明の目的は、高い効率で、とりわけサイズが10nm〜10μmの間に含まれる液体または固体の粒子の回収を、携帯使用に適したエネルギーと物質(例えば、水)の消費量で電気フィルタシステムによって気体内に懸濁した粒子の回収を可能にするシステムを提供することにある。
他方で、本発明は、極微粒子の分析を目指した空気中に懸濁している極微粒子の効率的収集を可能にすることを目的としている。
この装置は、さらに、携帯用途を可能にし、適切な連続動作能力を備えるのに十分低いエネルギーと物質(主に水)の消費量を有する。
したがって、本発明は、湿式静電収集による空気中粒子抽出装置に関するものであって、該装置は、放電電極と対向電極との間のイオン化気体溜まりからイオン流を発生させるための放電電極を含むチャンバと、液体または固体の粒子を含む抽出する空気とエアロゾルとの混合物のための入口と、蒸気流入管と浄化済み空気の出口とから成り、全長に渡って放電電極を囲繞する蒸気カバーを形成するように、放電電極と対向電極との間の空間内に前記蒸気流入管から蒸気を導入することで、処理済み空気が蒸気に飽和しないようにするのを可能にすることを特徴とする装置に関するものである。
本発明は上述の装置を用いて気体内に懸濁しているサイズが10nm〜10μmの間に含まれる液体または固体の粒子を湿式静電法によって収集する方法にも関するものであって、該装置は、
(a)放電電極の周囲に蒸気カバーを成立させるために、対向電極と放電電極との間の空間内に蒸気が導入され、
(b)放電電極と対向電極との間の空間内に、流れの形で空気とエアロゾルとの混合物が導入され、
(c)蒸気の分子が放電電極によってイオン化され、
(d)イオン化された蒸気の分子が粒子を荷電し、
(e)荷電粒子が成長して微小水滴を形成し、そして、
(f)前記微小水滴が対向電極まで運ばれて対向電極に沈殿し、
(g)微小水滴が回収され、分析のために運搬される、
ことを特徴とする。
本発明のその他の特徴と利点は、付属の図面を参照して、下記の説明を読むことによって明らかになるだろう。
付属の図面を参照して記載される実施例は全く制限的なものではない。
図1は従来技術による乾式電気フィルタの原理を図示している。
図2は従来技術による湿式電気フィルタの原理を図示している。
図3は本発明による装置の半湿式静電収集器の作動原理を図示している。
図4は本発明による装置の一つの実施態様の分解図である。
図5は、放電電極と対向電極とを備えるチャンバ内の回転流が、蒸気噴流の安定化を可能にすることを示している。
図5は螺旋状の空気流を発生させるための、主導管(「主誘導管」)の壁に対して接線方向の空気流入の利用を示している。
図6は、微小流体導管を用いる、対向電極に衝突した粒子の収集システムを備えた本発明による装置を示している。
図7は、対向電極の電気湿潤による系統的走査を用いる、対向電極に衝突した粒子の収集システムを備えた本発明による装置を示している。
図8は、粒子を回収し、それ自体も螺旋状の線で構成された対向電極と交錯を形成するために、電極を備える本発明による装置のチャンバ(主誘導管)の内面に螺旋状の溝を加工することができる本発明の一つの実施例を示している。
図9は、粒子の収集を容易にすることができる平板状の対向電極を使用する本発明の一つの実施例を示している。
図10は、蒸気/エアロゾル混合物を誘導するための本発明によるもう一つの実施例(平板状構成の第二の実施例)を示している。
図中、同一の符号は同一の部分を指すものとする。
図1は、従来技術による乾式電気フィルタの原理を図示している。
図1において、符号1は放電電極、2は対向電極、3は空気とエアロゾルとの混合物の入口、4は浄化済み空気の出口、5は放電電極1から対向電極2上への荷電粒子のそれぞれのイオン風の方向を示している。
作用している物理的効果によって、電極1(コロナ放電)で発生したイオン風を受けた粒子は荷電される。
次いで、荷電粒子は、対向電極2(静電収集器)に向けて運ばれる。
入口部位で上流の粒子を荷電することが可能であり、この場合は、はるかに低い電圧を必要とする収集だけは反対側の装置によって行われる。
この方法は、二つの物理現象を独立して最適化することを可能にするが、小型性は失われる。
このような方法の使用は、粒子に自己放電する時間を与えないために荷電ユニットと収集ユニットとの間の処理済み空気の経路が、きわめて短いことをさらに必要とする。
図2は、従来技術による湿式静電フィルタの原理を示している。
図2において、符号6は、微小水滴の形成のために用いられる一般的には水である液体容器を示している。
作用する物理メカニズムによって、収集しようとする粒子の周囲に、水滴の核形成が得られる。
それは、霧を形成する。
微小水滴の中に閉じ込められた粒子は、静電力によって収集される。
この電気フィルタは、人為的に大きくした小さな粒子をきわめて効果的に収集することができる。
ただしその問題点は、極微粒子の周囲の核形成に必要な溶剤(一般的に水)の量がきわめて多いことである。
例えば、1μmの粒子を捕捉するのに毎分500リットルの速度で処理するためには、1日に200リットルの水を消費する。
図3は、本発明の半湿式静電収集による空気中粒子抽出装置の作動原理を図示している。
本発明の湿式静電収集による空気中粒子抽出装置は、放電電極1と対向電極2との間のイオン化気体の溜まりからイオン流を発生させるための放電電極1を備えるチャンバ7と、液体または固体の粒子を含む浄化する空気とエアロゾルとの混合物のための入口3と、蒸気流入管8と処理済み空気のための出口4とから成り、全長に渡って放電電極1を囲繞する蒸気カバー10を形成するために、放電電極1と対向電極2との間の空間9内に前記蒸気流入管8から蒸気を導入することを可能にし、したがって処理済み空気が蒸気に飽和しないようにしていることを特徴とする。
図3において、符号6と12は、(水の)蒸気発生器を示す。
符号6は溶剤タンクを示し、12は溶剤から蒸気を発生するための加熱器を示している。
符号11は、装置を通る空気とエアロゾルとの混合物を運ぶポンプを示している。
溶剤(好適には水)の蒸気は、上流に位置するタンク6から発生する。
蒸気は、チャンバ7の中央に誘導される。
放電電極1は、好適には蒸気流入管8の軸内に位置づけられ、(ここでは図示されていない)可動式電源によって高圧にされる。
電圧は、一般的に5〜10kVである。
放電電極1は、先端または線とすることができる。
放電電極は、蒸気流入管から、あるいは誘導管から保持し誘導することができる。
粒子を含む空気の主流(空気とエアロゾルとの混合物)は、放電電極2の周辺で入口3に浸入する。
したがって、蒸気カバー10は、全長に渡って放電電極1を囲繞する。
このようにして、蒸気の中で放電が行われ、発生したイオンは、水の場合はH3+である。
その他の溶剤が用いられた場合、その他のイオンを形成することができる。
これらのイオンは、従来の電気フィルタと同様に、流れの中に存在する粒子を荷電する。
流量は、誘導管内の空気とエアロゾルとの流れが、好適には層流のままになるような流量である。
気体の流束の速度は、ポンプ11の動作で決定される。
(水の)蒸気カバー10の端で、微小水滴が形成され、湿式電気フィルタ内と同様に、粒子を閉じ込める。
次いで、これらの微小水滴は、対向電極に向けて運ばれ、微小水滴にぶつかる全ての粒子を一緒に持っていく。
本発明において、蒸気の微小水滴が形成されるのは、きわめて遅い。
先ず、蒸気は、電極間の空間内に蒸気流入管8の端部のノズルによって導入され、不飽和雰囲気内で作用する。
蒸気カバーの端部で、初めて微小水滴が形成される。
これは好適には、ノズルの次の特性によって本発明による装置内で実現される。
・放電電極の端部は、ノズルの直径より小さい距離だけ、ノズルから離れたところに位置する。
・ノズルの出口の水蒸気流量は、空気流量の千分の幾つか〜百分の五の間に値する。
くわえて、ノズルの出口は、回収された微小水滴が空気とエアロゾルとの混合物を含む空間全体を通るように、放電電極1と対向電極2との間に位置しなければならない。
ノズルを出た蒸気は、次の特性を有することが特に有利である。
わずかに大気圧以上の圧力、沸騰温度(大気圧で100℃)に等しいまたは超える温度、空気流量の百分の五未満の流量。
この場合、蒸気が混じる空気は飽和しない。
本発明(装置と方法)の利点は、ここでは処理済み空気全体を水蒸気に飽和することが問題ではないので、はるかに少ない量の溶剤(好適には水)を用いて、湿式電気フィルタと同等の収集能率の利得を得ることにある。
装置内で蒸気になり、蒸気内に存在する粒子が少なくとも部分的にイオン化できるならば、様々な溶剤を本発明に用いることができる。
適切な溶剤の例として、エタノール、アセトン、水をあげることができる。
これらは、単体で、あるいは可能ならば、混合して用いることができる。
好適には水を用いるので、本発明による装置と方法における蒸気は水蒸気である。
対向電極2に衝突した溶剤(好適には水)は、回収して分析されるだけである。
生物学的または化学的な分析の場合、重要なのは、このようにして回収された溶剤の量が、過度な希釈を避け、検出を容易にするためにできる限り少量であることである。
図4は、本発明による装置の一つの実施態様の分解図である。
この図で特に分かるように、放電電極1は、主流が発生するフレームに特に区別なく固定するか、蒸気噴出ノズル13に組み込むことができる。
いずれの場合にも、放電電極1は短く、比較的太くすることができるが、その場合、放電は放電電極1の先端のみに発生する。
あるいは細くして、チャンバ7全体(誘導管)を貫通させることができ、この場合、放電は放電電極1の全長に渡って発生する(線放電と称する)。
符号14は低圧電気操作ボックスを示し、15は検出装置(分析ユニット9)を示している。
放電電極1は、一般的にチャンバ7の中央に置かれる。
好適には、放電電極は、蒸気流入管の軸内に位置される。
放電電極1は、異なる形を取ることが可能であり、例えば、櫛形あるいは正方形の一断片であることができる。
局所的放電を発生させるためには、放電電極は、放電を開始させるのには十分小さい曲率半径を有する一つまたは複数の区域を備える必要がある。
好適には、放電電極は、先端または線である。
放電電極1または対向電極2は、さまざまな導電性材料で、例えばステンレス鋼あるいは導電性プラスチックで構成することができる。
対向電極2は、小型または多孔質の導電性材料で、一般的には金属で構成される。
多孔質の導電性材料を使用した場合、さまざまな形態を取ることができ、それは、穿孔金属、多孔質の焼成金属、好適には円筒状にロール成形した金属格子の一つまたは複数の層、円筒状の金属繊維または金属線のクッションなどである。
気体が多孔質媒体内を流れる間に、粒子は導電性要素の表面近傍に運ばれ、それによって荷電粒子が多孔質媒体の導電性要素の表面に確かに付着することを可能にする。
放電中心電極を囲繞する固体管の様な固体回収電極を用いる場合、荷電粒子は放電電極を囲繞する管の内面に隣接する流体境界層を介して電力によって沈殿されるはずである。
本発明の好適な実施態様において、対向電極2は冷却システムを備えている。
粒子の回収法によれば、対向電極2を表面処理によって親水性または疎水性にすることが好ましい。
この処理は、溝加工(表面を毛管現象によってきわめて濡れやすくする)あるいは化学メッキとすることができる。
本装置はきわめて効果的であり、小さな寸法で実現することができる。
横断面が円形の筒型は多くの用途においてもっともふさわしい形状である。
しかしながら、本発明の数多くの利点を引き出すためには必ずしも横断面を円形にする必要はない。
長方形、長円形、その他の形の横断面も本発明による装置に用いることができる。
本発明の装置は、さまざまなサイズとすることができる。
例えば、図4の実施例において、円筒形(対向電極)の直径は50mm、ノズルの外径は5mm、内径は4mmある。
しかしこの直径は、微小水滴の形成に本質的影響はない。
本発明の枠内において、粒子を含む空気の主流は、螺旋状の流れを得るために導管(チャンバ7)の壁に対して接線方向に浸入させるのが有利である。
この流れによって、一方では遠心力によって、もっとも大きな粒子を対向電極2の方向に運び、他方では蒸気の円筒カバーが放電電極1を全長に渡って囲繞することを確保するために放電電極の周囲に発生した蒸気の流れを安定化させることができる。
図5は、回転流が、蒸気流入管8から出た蒸気噴流の安定化を可能にすることを示している。
図5は、チャンバ7内に螺旋状の空気の流れを発生させるために主導管に対して接線方向の入口の使用を図示している。
符号3は、空気とエアロゾルとの混合物の入口を示している。
これは、放電電極1を囲繞する円筒形内に、かくして閉じ込められた蒸気区域の安定化を可能にする。
くわえて、このようにして収集器(対向電極2)を、二つの区域に分離することができる。
すなわち、区域Iではサイクロン効果によってもっとも大きな粒子を回収する(遠心力によって外側に運ばれる)、区域IIでは静電力によってもっと小さな粒子を回収する。
螺旋状の主流を用いることによって、蒸気の流れを安定化させるだけでなく、もっとも大きな粒子を迅速に収集することが可能になる。
したがって、螺旋状の流れを発生させるために、空気とエアロゾルの流れがチャンバ7の壁に対して接線方向に入ることが望ましい。
他方で、収集電極(対向電極2)には、親水性を高め、一種の薄膜のように、全表面上の微小水滴の沈着を均一化するために表面処理(溝加工あるいは他の同等な処理)を施すのが有利である。
図6は、微小流体導管14を用いる対向電極2に衝突した粒子の収集システムを備えた本発明による装置を示している。
対向電極2の構造は、表面を湿らせる液膜を連続的に供給する必要なしに常時保持することを可能にする。
さらに、対向電極2は、溶剤を入れたタンクの中に部分的に浸すのが有利である。
溶剤は、好適には水である。
この場合、対向電極2は、この溶剤の薄膜で対向電極2を湿らせるために、溶剤を入れたタンク内に部分的に位置づけられる。
この溶剤は、好適には水で、添加剤を含むことができる。
したがって、対向電極2の一端を、水のタンク内に浸すのが有利である。
この変型例において、水は毛管力があるので表面全体を覆うことになり、そして対向電極を湿ったままにするために常時水を供給する必要がない。
こうして、粒子が到達する対向電極2の全表面に水の薄膜が形成される。
この薄膜を、ソレノイドによって動かして収集した粒子を連続的に回収し、実時間で処理に進めることができる。
このような装置には流量の制約はいっさいないが、もちろん、流出量が大きいほど、粒子は希釈される。
好適な変型例において、収集された粒子は、回収された後に本発明の装置と組み合わせることができる分析ユニット15に向けて運ばれる。
粒子は対向電極を覆う薄膜内に連続的に収集されるので、対向電極から定期的に少量の水を採取して分析することができる。
装置の出口は、分析を可能にするため液相が望ましい。
図6は、収集電極を湿らす装置を示している。
余分な水がタンクの上部に導かれると、水はサイフォン作用によって対向電極2にそって流れる。
このようにして、対向電極2を常時濡らしたままの状態に流量が制御される。
ペルティエ・セル16は、蒸発される水を予熱しながら、水の薄膜の蒸発を防止するために水膜を冷却することができる。
符号15は、検出装置を示している。
放電電極1の周囲の蒸発のために用いられる水は、水滴の核形成が対象粒子(例えば、細菌)の周囲に限定されることを確保するためには純粋でなければならないが、対向電極2を湿らすのに用いられる水は添加剤(界面活性剤、pH緩衝剤)を含有することができる。
対向電極上の溶剤(例えば、水の薄膜)の蒸発を制限するために、対向電極上に冷却システムを設けることが有利である。
高温源が蒸発される水であろうペルティエ・セル16を用いることが有利である。
したがって、この水を予熱し、蒸発に必要なエネルギーを制限する。
さらに、収集ユニットの壁を冷却することは固体粒子の周囲の水の蒸気の凝結を加速するのに有利であり、それにより、固体粒子は微小水滴の中に取り込まれて、固体粒子が軸方向および放射状に移動するにつれて微小水滴の半径が増加する。
本発明による装置は、さらに、毛管現象、重力、または空気の剪断を用いる収集手段を備えることができる。
図7は、対向電極2の電気湿潤による系統的走査を用いる対向電極2に衝突した粒子の収集システムを備えた本発明による装置を示している。
不適合な収集電極の表面を機能化しないのならば(例えば、溝加工による)、電極グリッド17を設けるのが有利である(図7を参照)。
図7は、収集電極の全表面を走査するために(場合によっては添加剤を含む)水滴の移動を引き起こすのに十分強い電圧によって、各部位にアクセス可能となる電極マトリクスを用いる可能性を図示している。
このとき、これらの電極グリッド17を次々におよそ数十ボルト(典型的には60ボルト)の電位にすることによって、水滴を電気湿潤によって対向電極2の表面上を移動させることができる。
このようにして、一つの水滴だけで電極2の全表面を走査できるので、粒子または微小水滴を収集するのに必要な水の量が激減する。
水滴が装置の中を通過する時間によって、冷却システム、例えばペルティエ・セル16(図6参照)を、そこに加えることが必要になり得る。
最後に、完全なシステムは、モジュールのそれぞれによって処理される流量は同一なので、好適にはそれぞれのモジュール内部の層状の流れを保持しながら処理する空気流量を増すために、上述のもののような複数個のモジュールを用いることができる。
それぞれのモジュールの寸法は、高さ十または数十cmについて、典型的には直径数cmである。
図8は、粒子を回収しそれ自体も螺旋状の線で構成される対向電極2と交錯を形成するために、主誘導管(チャンバ7)の内面に加工された螺旋状の溝18を図示している。
この解決法は、対向電極の表面を制限し、それによって対向電極の表面を機能化する必要を無くすことができる。
図9は、粒子収集を容易にする平板状の対向電極2の利用を図示している。
図10は、平板状の構成の第二例を示している。
符号8は蒸気流入管を示し、15は検出装置(分析ユニット)を示している。
符号19は収集区域(対向電極2)を、20はゴミ箱を示し、21は反応剤を、22は電気湿潤による水滴移動電極を示している。
本発明の装置は、重力型収集手段(微小水滴は重力によって対向電極の低い方に流れる)あるいは空気剪断型収集手段(微小水滴は装置の中心に存在する空気流によって対向電極にそって運ばれる)を備えることができる。
本発明の最も一般的な用途分野は、後の分析(汚染追跡、生物テロ防止)を目指した、空気中に懸濁している粒子の抽出である。
空気によって媒介または運ばれる気体、バイ菌(胞子、バクテリア、菌類などの微生物を含む)、塵埃、その他いっさいの粒子などの空気の全構成成分は静電界によってイオン化され、収集電極によって収集され、必要ならば、分析することができる。
本発明は、後の生物学的分析を目指して、できるだけ少ない量の水の中に粒子を収集する目的の実現化に主に関するものである。
この場合は、微生物学的抽出装置と称される。
本発明はいくつもの特有の利点を有する。
対象の装置は、いくつもの点で従来の装置とは異なっている。
霧(微小水滴、従来の湿式電気フィルタの場合のように)の代わりに水蒸気を用いることで、極微粒子の収集能率を上げることができる。
これは、蒸気の形成に水以外の溶剤を用いた場合にも有効である。
水蒸気の利用は、微小水滴の凝結が空気中に存在する粒子の周囲で起きることを確保する。
水蒸気は小さな体積内に閉じ込められるので、水消費量は、数リットルの水を入れた主タンクで少なくとも一日の連続動作能力を可能にするほど充分小さい。
装置が小さな寸法であることでシステムを携帯可能にして多数を並列使用することが可能である。
したがって、並列使用するモジュールの数を変えて、分析の必要に応じて目的のシステムを構築することが容易になる。
本発明は、大気中に微量な形で存在する極微粒子(バクテリアまたはウィルス)の検出を目指した、空気分析可動性指標を設置するのに、とりわけ有用である。
例えば、レジオネラ菌の存在を実時間で検出するために危険な工業施設の出口にこのような指標を設置することが考案できる。
本発明の装置は、電気フィルタシステムによって気体内に懸濁しているサイズが10nm〜100μmの間の液体または固体の粒子の分離を可能にする。
特に、50nm〜10μmの間の粒子の収集を優れた効率で、かつ携帯使用に適合したエネルギーと水の消費量で可能にする。
さらに、提案した本発明は、分析を目指した、空気中に懸濁している極微粒子の効率的な収集を可能にする。
また、本装置は持ち運ぶことができ、かつ正常な連続動作能力を得るのに十分低いエネルギーと物質(主に水)の消費量とすることができる。
従来技術による乾式電気フィルタの原理を図示している。 従来技術による湿式電気フィルタの原理を図示している。 本発明による装置の半湿式静電収集器の作動原理を図示している。 本発明による装置の一つの実施態様の分解図である。 放電電極と対向電極とを備えるチャンバ内の回転流れが蒸気噴流の安定化を可能にすることを示し、また、螺旋状の空気流を発生させるための、主導管(「主誘導管」)の壁に対して接線方向の空気流入の利用を示している。 微小流体導管を用いる、対向電極に衝突した粒子の収集システムを備えた本発明による装置を示している。 対向電極の電気湿潤による系統的走査を用いる、対向電極に衝突した粒子の収集システムを備えた本発明による装置を示している。 粒子を回収し、それ自体も螺旋状の線で構成された対向電極と交錯を形成するために電極を備える本発明による装置のチャンバ(主誘導管)の内面に螺旋状の溝を加工することができる本発明の一つの実施例を示している。 粒子の収集を容易にする平板状の対向電極を使用する本発明の一つの実施例を示している。 蒸気/エアロゾル混合物を誘導するための本発明によるもう一つの実施例(平板状構成の第二の実施例)を示している。
符号の説明
1 放電電極
2 対向電極
3 入口
4 出口
5 イオン流
7 チャンバ
8 蒸気流入管
9 空間
10 蒸気カバー
11 ポンプ
12 加熱器
13 蒸気噴出ノズル
17 電極グリッド
18 溝
19 収集区域
20 ゴミ箱
21 反応剤
22 水滴移動電極



Claims (15)

  1. 半湿式静電収集による空気中粒子抽出装置であって、
    該装置が、
    放電電極1と対向電極2との間のイオン化気体の溜まりからイオン流を発生させるための放電電極1を備えるチャンバ7と、
    液体または固体の粒子を含む、処理する空気とエアロゾルとの混合物を前記チャンバ7の中に導入するための入口3と、
    蒸気流入管8と
    浄化済み空気を前記チャンバ7から出すための出口4とから成り、
    前記放電電極が、該蒸気流入管のにおいて、該管軸に沿って配置されるとともに、
    全長に渡って放電電極1を囲繞する蒸気によるカバーすなわち蒸気カバー10を形成するように、前記チャンバ7内の放電電極1と対向電極2との間の空間内に、前記蒸気流入管8から蒸気を導入することで、処理済み空気の全体が蒸気に飽和することはないようにするのを可能にすることを特徴とする、空気中粒子抽出装置。
  2. 対向電極2が、溶剤を入れたタンク内に部分的に浸されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
  3. 溶剤が、水であることを特徴とする、請求項2に記載の装置
  4. 放電電極1が、尖端または線であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つに記載の装置。
  5. 対向電極2が、冷却システム16を備えていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つに記載の装置。
  6. 対向電極2を、表面処理によって親水性にすることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つに記載の装置。
  7. 表面処理が、溝加工であることを特徴とする、請求項に記載の装置。
  8. 毛管現象、重力または空気の剪断を用いる収集手段を、さらに備えていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つに記載の装置。
  9. 請求項1〜のいずれか一つに記載の装置を用いて、気体内に懸濁している、サイズが10nm〜10μmの間に含まれる液体または固体の粒子を、湿式静電法によって収集する方法であって、
    (a)放電電極1の周囲に蒸気カバー10を成立させるために、対向電極2と放電電極1との間の空間内に蒸気が導入され、
    (b)放電電極1と対向電極2との間の空間内に、流れの形で空気とエアロゾルとの混合物が導入され、
    (c)蒸気分子が、放電電極1によってイオン化され、
    (d)イオン化された蒸気分子が、粒子を荷電し、
    (e)荷電粒子が、成長して微小水滴を形成し、
    (f)前記微小水滴が、対向電極2まで運ばれて、そこに沈殿し、
    (g)微小水滴が、回収され、分析のために運ばれる、
    ことを特徴とする方法。
  10. 蒸気が、水蒸気であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
  11. 前記の空気とエアロゾルとの流れが、層状であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
  12. 前記の空気とエアロゾルとの流れが、螺旋状流れを発生させるために、チャンバ7の壁に対して接線方向に入ることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  13. 対向電極2が、溶剤の薄膜で対向電極2を湿らせるために溶剤を入れたタンク内に部分的に位置づけられることを特徴とする、請求項〜1のいずれか一つに記載の方法。
  14. 溶剤が、添加剤を含むことのできる水であることを特徴とする、請求項〜1のいずれか一つに記載の方法。
  15. 前記導入される蒸気が、大気圧よりわずかに大きいか等しい圧力であり、沸騰温度に等しいかまたは超える温度であり、空気流量の百分の五未満の流量であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
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