JP5396893B2 - 加熱装置、定着装置、及び画像形成装置。 - Google Patents

加熱装置、定着装置、及び画像形成装置。 Download PDF

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Description

本発明は、加熱装置、定着装置、及び画像形成装置に関する。
従来より、加熱装置として、通電により磁界を発生するコイルと、磁界の電磁誘導作用により渦電流が生じて発熱する発熱体と、を用いた電磁誘導加熱方式が知られている。
この電磁誘導加熱方式を用いた加熱装置は、画像形成装置において記録媒体上に転写されたトナー像を該記録媒体上に定着させるための定着装置等に適用されている。
このような電磁誘導加熱方式を定着装置に適用した技術としては、例えば、特許文献1〜3等が知られている。
特許文献1では、加熱部材を誘導加熱し、加圧部材との間で被加熱材を搬送する方向に対して交差する幅方向に厚さの異なる領域を有する導電性の発熱層と、交番磁場を発生させる磁場発生部と、交番磁場の周波数を切り替えて厚さの異なる領域毎に発熱層における誘導加熱を制御している。詳細には、特許文献1では、表皮深さをまたがって層厚の異なる(表皮深さを超える層厚、及び表皮深さ以下の層厚)複数の領域を有する導電性の発熱層に、交番磁場を与えて加熱部材を誘導加熱し、この交番磁場の周波数を切り替えて厚さの異なる領域毎に発熱層における誘導加熱を制御している。
特許文献2では、発熱部材の発熱層として、体積抵抗率を層厚で除して求まる渦電流負荷が幅方向によって変化するように形成された発熱層を用い、端部側の発熱量が大きくなるように調整することで、端部の発熱量低下を抑制し、磁界発生装置によって加熱される発熱層の軸方向の温度分布の均一化を図っている。
特許文献3では、導電性を有する筒状の導電層を備える加熱ローラについて、導電層の軸線方向両端部付近の層厚を、該両端部以外の領域の層厚より薄くなるように形成し、該加熱ローラの導電層に交番磁界を印加して発熱させることで、発熱層の厚さの差による熱量量差を利用して加熱ローラの温度の均一化を図っている。
特開2006−114283号公報 特開2007−165288号公報 特開2002−260836号公報
上記従来技術によれば、何れも層厚が表皮深さより厚い発熱層の発熱量を調整することで軸方向の温度分布の調整が図れているが、発熱層を有する部材は可撓性や耐久性が要求され、加熱装置としては簡易な構成であることが要求される事が多く、更なる改善が望まれていた。
本発明は、可撓性及び耐久性に優れた無端ベルトが提供され、且つ簡易な構成で無端ベルトの発熱層の発熱量分布が調整される加熱装置を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、複数の周波数の磁界を発生する磁界発生手段と、前記磁界発生手段により発生された磁界の電磁誘導作用により発熱し、層厚が表皮深さより薄い第1の厚さの領域と、前記第1の厚さより薄く、第1の周波数の磁界の磁束に対しては前記第1の厚さの領域と発熱量が等しく、第2の周波数の磁界の磁束に対しては前記第1の厚さの領域より発熱量が大きく、第3の周波数の磁界の磁束に対しては前記第1の厚さの領域より発熱量が小さい第2の厚さの領域と、を有する発熱層を備えた無端ベルトと、前記磁界発生手段から発生される磁界の周波数を制御する制御手段と、を備えた加熱装置である。
請求項2に係る発明は、前記第1の厚さの領域及び前記第2の厚さの領域のうち、発熱量が大きくなるように調整される対象となる領域を示す領域情報を取得する取得手段を備え、前記制御手段は、前記発熱層の各領域の磁界の周波数に対する発熱量特性に基づいて、前記取得手段によって取得した領域情報の領域が前記発熱層の2つの領域の内で最大の発熱量を示すときの周波数を導出し、導出した周波数の磁界を発生するように前記磁界発生手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の加熱装置である。
請求項に係る発明は、前記発熱層は、非磁性材料から構成される請求項1または請求項に記載の加熱装置である。
請求項に係る発明は、前記発熱層は、前記無端ベルトの幅方向に前記磁界の周波数に対する発熱量特性の異なる2つの領域を有することを特徴とする請求項1〜請求項の何れか1項に記載の加熱装置である。
請求項に係る発明は、請求項1〜請求項の何れか1項に記載の加熱装置と、前記無端ベルトの外周面に接触して配置され、該無端ベルトとの間を通過する記録媒体上のトナーを該記録媒体へ定着させる加圧手段と、備えた定着装置である。
請求項に係る発明は、前記第1の厚さの領域及び前記第2の厚さの領域のうち、前記発熱量が大きくなるように調整される領域の発熱量が、前記録媒体上のトナーを該記録媒体へ定着させうる発熱量であることを特徴とする請求項に記載の定着装置である。
請求項に係る発明は、像保持体と、前記像保持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体上の前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記像保持体上のトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を該記録媒体に定着する請求項または請求項に記載の定着装置と、を備えた画像形成装置である。
請求項1に記載の加熱装置によれば、発熱層として層厚が表皮深さより厚い層を用いて発熱層の発熱制御を行う場合に比して、可撓性及び耐久性に優れた無端ベルトが提供され、且つ簡易な構成で無端ベルトの発熱層の発熱量分布が調整される、という効果を奏する。
また、請求項1に記載の加熱装置によれば、層厚以外の構成で発熱量分布を調整する場合に比して、より簡易な構成で無端ベルトの発熱層の発熱量分布が調整される、という効果を奏する。
請求項2に記載の加熱装置によれば、取得手段を備えない場合に比べて、第1の厚さの領域及び第2の厚さの領域のうちの任意の領域が発熱量の大きい領域として設定される、という効果を奏する。
請求項に記載の加熱装置によれば、非磁性材料を用いない場合に比べて、必要な発熱が効率よく得られる、という効果を奏する。
請求項に記載の加熱装置によれば、軸方向とは異なる方向に発熱量特性の異なる複数の領域を設けた場合に比して、加熱装置によって加熱される被加熱部材が接する領域が率良く加熱される、という効果を奏する。
請求項に記載の定着装置によれば、本発明の加熱装置を用いない場合に比して、可撓性及び耐久性に優れた無端ベルトが提供され、且つ簡易な構成で無端ベルトの発熱層の発熱量分布が調整される、という効果を奏する。
請求項に記載の定着装置によれば、第1の厚さの領域及び第2の厚さの領域のうち、発熱量が大きくなるように調整される領域が、トナーを定着させうる発熱量とは異なる場合に比べて、効率よくトナーが定着される、という効果を奏する。
請求項に記載の画像形成装置によれば、本発明の定着装置を用いない場合に比して、定着装置において可撓性及び耐久性に優れた無端ベルトが提供され、且つ簡易な構成で無端ベルトの発熱層の発熱量分布が調整される、という効果を奏する。
以下、本実施の形態の加熱装置、定着装置、画像形成装置の一の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1に示されるように、本実施の形態の画像形成装置40は、像保持体としての感光体ドラム60を備えている。この感光体ドラム60の周囲には、該感光体ドラム60の外周に沿って矢印A方向に順に、帯電装置62、レーザースキャナ64及びミラー65、現像装置66、中間転写体68、クリーニング装置74、及び除電装置76が設けられている。
帯電装置62は、感光体ドラム60の表面を帯電させる。帯電装置62によって帯電された感光体ドラム60には、レーザースキャナ64によってミラー65を介して画像信号に応じたレーザ光が照射されることで形成対象の画像に応じた潜像が形成される。この潜像は、現像装置66によってトナーを含む現像剤により現像される。
現像装置66は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナーをそれぞれ収容した各色の現像器(不図示)を備えており、現像装置66が回転することにより、感光体ドラム60の表面に形成された潜像に各色のトナーが付与され、トナー像が形成される
これにより、感光体ドラム60上には、潜像に応じたトナー像が形成される。感光体ドラム60上に形成されたトナー像は、中間転写体68へ転写された後に、転写ロール70によって記録媒体84へ転写される。中間転写体68の外周面と転写ロール70表面とは圧接して設けられており、この圧接部を記録媒体84が矢印D方向に挿通されて該圧接部を記録媒体が通過することで、中間転写体68表面に保持されたトナー像が、記録媒体84の表面に転写される。記録媒体84に転写されたトナー像は、定着装置28によって記録媒体84上に定着される。これによって記録媒体84上に画像が形成される。
クリーニング装置74は、感光体ドラム60の表面に付着した各種付着物を除去する。除電装置76は、感光体ドラム60の表面を除電する。
また、画像形成装置40は、給紙装置77、及び装置各部を制御する制御部33を備えている。給紙装置77は、記録媒体を収納する給紙ユニット78、記録媒体を順次送り出す給紙ローラ80、送り出された記録媒体を一枚ずつ搬送するレジストローラ82、及び記録媒体を案内する記録媒体ガイド(図示省略)を含んで構成されている。
画像の形成された記録媒体84は、矢印D方向に搬送され、画像形成装置40の外部に排出される。
中間転写体68と転写ロール70との圧接部への給紙は、給紙ユニット78に収納された記録媒体が、給紙ユニット78に内蔵された不図示の記録媒体押し上げ手段により給紙ローラ80に接触する位置まで押し上げられ、記録媒体が給紙ローラ80に接触した時点で、給紙ローラ80およびレジストローラ82が回転することにより記録媒体ガイドに沿って矢印D方向に搬送されることにより行われる。
上記画像形成装置40に設けられた装置各部は、制御部33に信号授受可能に接続されており、制御部33の制御によって該装置各部が制御される。
定着装置28は、詳細は後述するが、加熱装置31、及び加圧ロール22を含んで構成されている。
加熱装置31は、定着ベルト20、定着ベルト20を加圧する加圧パッド24、入力された信号に応じた周波数の磁界を発生する磁界発生装置26、及び加熱装置31に設けられた装置各部を制御するメインコントローラ27を含んで構成されている。
なお、画像形成装置40が、本発明の画像形成装置に相当し、定着装置28が、本発明の定着装置に相当し、加熱装置31が、本発明の加熱装置に相当する。また、メインコントローラ27の後述する制御部27Aが、本発明の加熱装置の制御手段に相当し、定着ベルト20が、本発明の加熱装置の無端ベルトに相当し、磁界発生装置26が、磁界発生手段に相当する。
定着ベルト20及び加圧ロール22は、それぞれ、互いに逆方向(図1中、矢印V方向及び矢印V方向)に連動して回転される。また、定着ベルト20の内周面には、加圧パッド24が設けられている。加圧パッド24は、定着ベルト20の内周面側から加圧ロール22に向かう方向に定着ベルト20を押圧することで、定着ベルト20と加圧ロール22との外周面を接触させてニップを形成するように設けられている。ニップ部は、矢印D(図1参照)方向に対して、中間転写体68側に加圧ロール22が配置され、転写ロール70側に定着ベルト20が配置されることにより形成される。なお、加圧パッド24に対して、加圧ロール22と反対側に、定着ベルト20の表面に対向し且つ近接するように磁界発生装置26が設けられている。
なお、本実施の形態では、加熱装置31には、加熱装置31の装置各部を制御するためのメインコントローラ27が、画像形成装置40の制御部33とは別体として設けられている場合を説明するが、メインコントローラ27を制御部33と一体的に設けた構成としてもよい。
メインコントローラ27は、加熱装置31に設けられた装置各部を制御するための制御部27Aと、画像形成装置40の制御部33から入力される各種信号を入出力するための入出力部27Bと、各種情報を記憶するメモリ27Cを含んで構成されている。入出力部27B及びメモリ27Cは制御部27Aに信号授受可能に接続されている。
入出力部27Bは、制御部33から、画像形成装置40で画像を形成する対象の記録媒体の大きさ等を示す用紙種別情報や、各種指示信号等が入力されると共に、制御部33へ各種データを出力する。
制御部27Aは、入出力部27B及び加熱装置31に設けられた装置各部に信号授受可能に接続されており、加熱装置31の装置各部を制御する。
磁界発生装置26は、電磁誘導コイル(励磁コイル)26Aと、制御部27Aから入力された周波数信号の周波数の磁界が形成されるように電磁誘導コイル26Aへ交流電流を供給する発熱駆動部26Bと、を含んで構成されている。発熱駆動部26Bは、制御部27Aに信号授受可能に接続されている。この発熱駆動部26Bによって、制御部27Aから入力された信号に応じた周波数の磁界が形成されるように電磁誘導コイル26Aへ交流電流が供給されることで、電磁誘導コイル26Aにより該周波数の磁界が形成される。
定着ベルト20は、図3に示すように、内周面側から外周面側に向かって、基層20A、発熱層20B、弾性層20C、及び離型層20Dが積層された構成とされている。
なお、本実施の形態では、定着ベルト20は、基層20A、発熱層20B、弾性層20C、及び離型層20Dが積層された4層である場合を説明するが、少なくとも発熱層20Bが設けられた構成であればよく、このような構成に限られない。
基層20Aとしては、薄い発熱層20Bを支持する強度を有し、耐熱性があり、磁界の作用により発熱しないか、又は発熱しにくい材料が適宜選択される。
例えば、厚みが10μm以上100μm以下(好ましくは30μm以上80μm以下)の金属ベルト(非磁性金属として例えば非磁性ステンレススチール)や、Fe、Ni、Co、又はこれらの合金Fe−Ni−Co、Fe−Cr−Co等からなる金属材料で構成されたベルトや、厚みが10μm以上100μm以下の樹脂ベルト(例えばポリイミドベルト)等が挙げられる。
弾性層20Cは、優れた弾性と耐熱性が得られる等の観点から、シリコン系ゴム、又はフッ素系ゴムが用いられ、本実施形態ではシリコーンゴムを用いている。また、本実施形態では、弾性層20Cの厚さを200μmとしている。なお、弾性層20Cの厚さは、100μm以上600μm以下の中で決定することが好ましい。
離型層20Dは、記録媒体84上で溶融されたトナーTとの接着力を弱めて、記録媒体84を定着ベルト102から剥離し易くするために設けられている。優れた表面離型性を得るためには、離型層20Dとして、フッ素樹脂、又は、シリコーン樹脂が用いられ、本実施形態ではPFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)を用いている。離型層20Dの厚さは30μmとしている。
発熱層20Bは、上記磁界発生装置26の電磁誘導コイル26Aによって発生した磁界を打ち消す磁界を生成するように渦電流が流れる電磁誘導作用によって発熱する金属材料で構成される。発熱層20Bに用いられる金属材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛、ビスマス、ベリリウム、アンチモン、又はこれらの合金の金属材料が用いられる。
本実施の形態では、発熱層20Bとして非磁性金属(比透磁率が概ね1の金属)材料で、固有抵抗の低い金属材料を用いることが十分な可撓性と屈曲耐久性を有し、誘導加熱による十分な発熱量を効率よく得られるという理由から好ましい。非磁性金属材料としては、上記金属材料の内の銅、アルミ、銀、金が挙げられる。これらのなかでも、固有抵抗を2.7×10−8Ωcm以下に小さくして必要な発熱量を効率よく得ること、及び低コストの観点から、発熱層20Bとしては銅が好適に用いられる。
この発熱層20Bは、電磁誘導コイル26Aによって発生した磁界の磁束を貫通させる厚さに調整されている。具体的には、発熱層20Bは、電磁誘導コイル26Aによって発生した磁界が侵入可能な厚さである表皮深さよりも薄く構成されている。発熱層20Bの厚みが表皮深さよりも薄く構成されていることで、定着ベルト20の良好な可撓性、繰り返し稼働されることによる割れ等の抑制による耐久性の向上、及びウォームアップ時間の短縮が図れるという効果が得られる。
ここで、表皮深さをδとし、発熱層20Bの固有抵抗をρ、比透磁率をμ、励磁コイル110における信号(電流)の周波数をfとすると、表皮深さδは(1)式で表される。
本実施の形態において用いられる発熱層20Bは、上述のように磁界発生装置26により発生した磁界の電磁誘導作用により発熱する。詳細には、制御部27Aの制御によって発熱駆動部26Bが駆動されて電磁誘導コイル26Aに所定の周波数の交流電流が印加されると、電磁誘導コイル26Aの周囲では磁界が生成消滅を繰り返す。そして、この発生された所定の周波数の磁界中を、回転される定着ベルト20の発熱層20Bが横切ることで、該磁界の変化を妨げる磁界が生じるように発熱層20Bに渦電流が発生する。そして、この渦電流の発生によって発熱層20Bが発熱する。
なお、周波数は10kHz〜100kHzが好ましい。周波数が10kHz未満であると、可聴域でノイズなどの騒音の問題が起こると共に、振動の影響を与え易い点で好ましくない。一方、周波数が100kHzを超えると、装置自体での高周波損失のほか、放射ノイズやラインノイズが無視できなくなる点で好ましくない。
一例を挙げると、銅、ニッケルの固有抵抗をρ、比透磁率をμは、下記表1のようになる。

また、上記(1)式に従って求められる、各周波数fにおける表皮深さδは、下記表2のようになる。

ここで、本実施の形態で用いられる発熱層20Bは、印加される磁界の周波数に対する発熱量特性の異なる複数の領域を有している。
この発熱量特性とは、発熱層20Bに所定の周波数の磁界が作用したときの、該周波数と、該発熱層20Bの発熱量と、の関係を示している。本実施の形態で用いられる発熱層20Bは、厚みに応じた発熱量特性を示す。このため、発熱層20Bの厚みが異なる領域間の発熱量特性は、異なる特性を示すこととなる。
このような厚みに応じて異なる発熱量特性を示す材料としては、上述の非磁性材料が挙げられる。このため、発熱層20Bとしては、厚みに応じて異なる発熱量特性を示す材料から構成されればよく、例えば、上述の非磁性材料から構成されることが好ましい。
ここで、発熱層20Bの材料として、非磁性材料を用いた場合には、図4に示すような発熱量特性が得られる。図4に示したのは、非磁性材料として銅を用いた場合の発熱量特性であり、層厚が2μmの発熱層20Bと、層厚が15μmの発熱層20Bと、を用意して、各々に作用させる磁界の周波数を変化させたときの発熱量の変化(発熱特性)を評価したものである。
図4に示すように、発熱層20Bの層厚が2μmである場合と15μmである場合とでは、異なる発熱量特性が得られる。すなわち、図4に示す例では、磁束の周波数が10kHz以上22kHz未満の範囲では、層厚2μmの発熱層20Bの発熱量は、層厚15μmの発熱層20Bの発熱量に比べて大きい。そして、磁束の周波数が22kHzのときには、層厚2μmの発熱層20Bと層厚15μmの発熱層20Bとでは同じ発熱量を示す。一方、磁束の周波数が22kHzを超えると、発熱量が逆転し、層厚2μmの発熱層20Bの発熱量は、層厚15μmの発熱層20Bの発熱量に比べて小さくなる。
本実施の形態では、発熱層20Bは、このような発熱層20Bの発熱量特性を利用し、発熱層20Bを、発熱層20Bの層厚が表皮深さより薄く、且つ該表皮深さより薄い範囲内で層厚の異なる複数の領域を有するように構成する。本実施の形態では、このように表皮深さより薄い範囲内で、発熱層20Bに層厚の異なる複数の領域を設けることで、印加される磁界の周波数に対する発熱量特性の異なる複数の領域が形成されることとなる。なお、使用する周波数の幅に対して、常に発熱層20Bの全部の領域が表皮深さよりも薄いことが好ましい。
この発熱層20Bの厚みは、定着ベルト20の可撓性及び耐久性の向上、及び定着ベルトの熱容量低減による定着装置28のウォームアップ時間の短縮の観点から、出来る限り薄くした方が好ましい。このため、表皮深さより薄い範囲内、且つ可撓性向上、耐久性向上、及びウォームアップ時間の短縮が図れる範囲内において、複数の層厚の異なる領域を調整することが好ましい。
なお、発熱層20Bの層厚の取り得る範囲の上限値は、表皮深さ未満であればよいが、好ましくは、該上限値は、可撓性と耐久性の理由から1μm以上40μm以下の範囲が好ましく、2μm以上20μm以下の範囲が好ましい。そして、この層厚の範囲内で、発熱量特性の異なる複数の領域が形成されるよう層厚を調整すればよい。
本実施の形態では、上述のように、発熱層20Bの発熱特性の異なる複数の領域として2種類の層厚の領域が設けられているとして説明する。そして、発熱層20Bの層厚の薄い領域と層厚の厚い領域との各々の発熱量特性が、図4に示す関係を示すものとして説明する。すなわち、特定の周波数(図4では22kHz)の磁束が作用したときには厚みの異なる2種類の発熱量は同じであるが、該特定の周波数未満の磁束が作用した場合には一方の厚み(図4では15μm)の領域の発熱量が他方の厚み(図4では2μm)の領域の発熱量より大きく、該特定の周波数(図4では22kHz)を超える磁束が作用した場合には、発熱量の関係が逆転して該一方の厚み(図4では15μm)の領域の発熱量が他方の厚み(図4では2μm)の領域の発熱量より小さくなる、という関係を示しているとして説明する。
また、本実施の形態では、この発熱層20Bの発熱特性の異なる2種類の層厚の領域として、図5に示すように、発熱層20Bを、定着ベルト20の軸方向両端部20Bと、軸方向中央部20Bと、を予め定めているとして説明する。そして、この軸方向両端部20Bの厚みを2μmとし、軸方向中央部20Bの厚みを15μmとし、これらの発熱量特性が図4の関係を示すとして説明する。なお、図5中では、軸方向は矢印X方向で示した。
次に、この加熱装置31の制御部27Aで実行される処理を説明する。
なお、メモリ27Cには、発熱層20Bに加えられる磁束の周波数を示す周波数情報と、発熱層20B上の領域を識別するための領域識別情報と、該周波数情報の周波数の磁束が該領域に作用したときの発熱層20Bの発熱量を示す発熱量情報と、が対応づけて記憶されているとする。
この領域識別情報としては、発熱層20Bを層厚の異なる複数の領域から構成されている発熱層20Bの全領域の内の、各層厚を示す領域を識別するための識別情報が定められる。本実施の形態では、上述のように、発熱層20Bが軸方向両端部20B2と軸方向中央部20B1とで層厚の異なる2つの領域から構成されているものとしていることから、この領域識別情報としては、軸方向両端部を示す情報や、軸方向中央部を示す情報が定められる。
なお、上記周波数情報、領域識別情報、及び発熱量情報は、予め上記図4に示すような発熱量特性を、各領域(各層厚の領域)毎に予め測定し、領域識別情報に対応づけてメモリ27Cに記憶しておけばよい。
画像形成装置40の図示を省略する電源スイッチが操作されることによって装置各部に電力が供給されることで、加熱装置31の装置各部にも電力が供給されると、制御部27Aでは図6に示す処理ルーチンが実行されて、ステップ100へ進む。
ステップ100では、ウォームアップ処理として、発熱層20Bの軸方向両端部20Bの発熱量が軸方向中央部20Bの発熱量に比べて大きい周波数情報をメモリ27Cから読取り、読み取った周波数情報の駆動周波数を示す信号を、発熱駆動部26Bへ出力する。本実施の形態では、発熱層20Bを、定着ベルト20の軸方向両端部20Bと、軸方向中央部20Bと、を予め定めて、この軸方向両端部20Bの厚みを2μmとし、軸方向中央部20Bの厚みを15μmとし、これらの発熱量特性が図4の関係を示すとして説明している。このため、ステップ100では、例えば、発熱層20Bの層厚2μmの領域(軸方向両端部)の発熱量が、層厚15μmの領域(軸方向中央部)の発熱量に比べて大きくなる、磁束の周波数が22kHzを超える周波数として、例えば、40kHzを示す周波数情報の駆動周波数を示す信号が、発熱駆動部26Bへ出力される。
該周波数情報の駆動周波数を示す信号を受け付けた発熱駆動部26Bでは、該駆動周波数の周波数の交流電流を電磁誘導コイル26Aに印加する。この電磁誘導コイル26Aに交流電流が供給されると、電磁誘導コイル26Aの周囲に供給された交流電流の周波数の磁界が形成される。そしてこの周波数の磁界が発熱層20Bに作用することで、該磁界の変化を妨げる磁界が生じるように発熱層20Bに渦電流が流れる。この渦電流の電磁誘導作用によって発熱層20Bが発熱する。
ここで、上記ステップ100の処理によって、電磁誘導コイル26Aから形成される磁界の周波数は、発熱層20Bの軸方向両端部20Bの発熱量が軸方向中央部20Bの発熱量より大きくなるような周波数である。このため、ステップ100の処理によって、発熱層20Bの軸方向両端部20Bの発熱量が、軸方向中央部20Bの発熱量より大きくなる。
従って、ステップ100の処理によって、ウォームアップ時における発熱層20Bの軸方向両端部領域の放熱による温度低下が抑制され、均一な温度分布を得ることができる。
なお、上記ステップ100では、ウォームアップ処理として、発熱層20Bの軸方向両端部20Bの発熱量が軸方向中央部20Bの発熱量に比べて大きい周波数情報をメモリ27Cから読取り、読み取った周波数情報の駆動周波数を示す信号を、発熱駆動部26Bへ出力したが、発熱層20Bの軸方向両端部20Bの発熱量が軸方向中央部20Bの発熱量に比べて大きければ良く、どのような値を読み取っても良い。
例えば、ステップ100で読み取る周波数情報として、例えば、発熱層20Bの軸方向両端部20Bの発熱量が予め定めた所望の発熱量となり、且つ発熱層20Bの軸方向中央部20Bの発熱量が両端部より小さく且つ所定の発熱量となる周波数情報をメモリ27Cから読みとり、読み取った周波数情報の駆動周波数を示す信号を発熱駆動部26Bへ出力してもよい。この場合には、さらに発熱層20Bを、領域毎に所望の発熱量に発熱させることが可能となる。
次のステップ102では、上記ステップ100で信号を出力してからウォームアップ時間が経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されるとステップ104へ進む。
ステップ102の処理は、例えば、特定の周波数の磁束が発熱層20Bに作用してから各領域がメモリ27Cに記憶されている該周波数の周波数情報に対応する発熱量となるまでに要する時間をウォームアップ時間として予め測定してメモリ27Cに記憶する。そして、このメモリ27Cに記憶したウォームアップ時間を経過するまで否定判断を繰り返すようにすればよい。
なお、本実施の形態では、ステップ102では、ウォームアップ時間を経過するまで否定判断を行ったが、例えば、ベルト温度を検知するための検知部を、ベルトの一部にまたは複数部に検知可能に設けて、ベルト温度が、予め定められたウォームアップ終了温度まで上昇したことが検知されたときに、肯定判断するようにしてもよい。
次のステップ104では、ウォームアップ終了を示す終了信号を画像形成装置40の制御部33へ出力する。ウォームアップ終了を示す終了信号を受け付けた制御部33は、画像形成装置40で画像形成する対象の記録媒体の大きさ及び向きを示す記録媒体情報を加熱装置31の制御部27Aへ出力する。
次のステップ106では、制御部33から記録媒体情報を受信するまで否定判断を繰り返し、肯定されると、ステップ108へ進む。
ステップ108では、上記ステップ106で受信した記録媒体情報に含まれる記録媒体の大きさ及び向き(搬送向き)から、発熱層20Bの複数の領域の内の発熱する対象の発熱領域を設定する。
ステップ108の処理は、例えば、上記ステップ108で受信した記録媒体情報に含まれる記録媒体の大きさ及び向きを示す情報に基づいて、該記録媒体が画像形成装置40において搬送されて定着装置28の定着ベルト20と加圧ロール22とのニップ領域に達して挟持搬送されたときに、定着ベルト20の複数の領域の内の何れの領域を通過するかを導出し、該記録媒体の通過する領域を発熱する対象の発熱対象領域として設定する。
この定着ベルト20の複数の領域の内の何れの領域を通過するかを導出する方法としては、例えば、予めメモリ27Cに記録媒体の大きさ及び向きを含む記録媒体情報に対応づけて、定着ベルト20の複数の領域の内の該大きさ及び向きの記録媒体が通過する領域を示す領域情報を予め記憶する。そして、上記ステップ106で受け付けた記録媒体情報に対応する領域情報をメモリ27Cから読み取ることによって発熱対象領域を読取り、設定すればよい。
なお、この記録媒体情報に対応する領域情報は、予め様々な大きさの記録媒体が画像形成装置40において様々な向きで搬送されて定着装置28の設けられた位置に到ったときに、定着ベルト20の複数の領域の内の何れの領域を通過するかを実験して、実験結果に基づいて予めメモリ27Cに記憶すればよい。
例えば、上記ステップ108の処理によって、例えば、記録媒体情報が定着ベルト20の軸方向の概ね全領域を覆う大きさであることを示す場合には、発熱層20Bの全領域、すなわち、軸方向両端部20B及び軸方向中央部20Bの双方の領域が、発熱対象領域として設定される。
なお、本実施の形態では、上記ステップ106において、制御部33から記録媒体情報を受信する場合を説明するが、制御部33から直接発熱対象領域を示す情報を受信してもよい。この場合には、上記ステップ108の処理では、受信した領域を発熱対象領域として設定すればよい。
本実施の形態では、ステップ108では、記録媒体の大きさに応じて発熱層20Bの複数の領域(軸方向両端部20B、軸方向中央部20B)の内の、全領域が設定される場合と、軸方向中央部が設定される場合と、の2パターンが設定される場合を説明する。なお、本実施の形態では、ステップ108では、この2パターンが設定される場合を説明するが、軸方向両端部を発熱対象領域として更に設定可能に構成してもよく、2パターンに限られない。
次のステップ110では、上記ステップ108で設定した発熱対象領域が、全領域であるか中央部であるかを判断し、発熱対象領域が発熱層20Bの全領域である場合には、ステップ111へ進む。
ステップ111では、軸方向両端部20B及び軸方向中央部20Bの双方の領域の発熱量が同じとなる周波数を示す周波数情報をメモリ27Cから読取り、読み取った周波数情報の駆動周波数を示す信号を、発熱駆動部26Bへ出力する。
本実施の形態では、ステップ111では、発熱層20Bの層厚2μmの領域(軸方向両端部)と層厚15μmの領域(軸方向中央部)とでは同じ発熱量を示す、磁束の周波数である22kHzを示す周波数情報の駆動周波数を示す信号が、発熱駆動部26Bへ出力される。
該周波数情報の駆動周波数を示す信号を受け付けた発熱駆動部26Bでは、該駆動周波数の周波数の交流電流を電磁誘導コイル26Aに印加する。この電磁誘導コイル26Aに交流電流が供給されると、電磁誘導コイル26Aの周囲に供給された交流電流の周波数の磁界が形成される。そしてこの周波数の磁界が発熱層20Bに作用することで、該磁界の変化を妨げる磁界が生じるように発熱層20Bに渦電流が流れる。この渦電流の電磁誘導作用によって発熱層20Bが発熱する。
ここで、上記ステップ110の処理によって、電磁誘導コイル26Aから形成される磁界の周波数は、発熱層20Bの軸方向両端部20Bと軸方向中央部20Bとの発熱量が同じとなるような周波数である。このため、ステップ110の処理によって、発熱層20Bの軸方向両端部20Bと、軸方向中央部20Bと、が同じ発熱量発熱する。このため、発熱層20Bの全領域が均一に同じ発熱量で発熱される。
一方、上記ステップ110において、上記ステップ108で設定した発熱対象領域が、全領域であるか中央部であるかを判断し、発熱対象領域が発熱層20Bの軸方向中央部である場合には、ステップ112へ進む。
ステップ112では、発熱層20Bの軸方向中央部20Bの発熱量が軸方向両端部20Bの発熱量に比べて大きい周波数情報をメモリ27Cから読取り、読み取った周波数情報の駆動周波数を示す信号を、発熱駆動部26Bへ出力する。
本実施の形態では、ステップ112では、例えば、発熱層20Bの層厚15μmの領域(軸方向中央部)の発熱量が、層厚2μmの領域(軸方向両端部)の発熱量に比べて大きくなる、磁束の周波数が22kHz未満の周波数として、例えば、13kHzを示す周波数情報の駆動周波数を示す信号が、発熱駆動部26Bへ出力される。
該周波数情報の駆動周波数を示す信号を受け付けた発熱駆動部26Bでは、該駆動周波数の周波数の交流電流を電磁誘導コイル26Aに印加する。この電磁誘導コイル26Aに交流電流が供給されると、電磁誘導コイル26Aの周囲に供給された交流電流の周波数の磁界が形成される。そしてこの周波数の磁界が発熱層20Bに作用することで、該磁界の変化を妨げる磁界が生じるように発熱層20Bに渦電流が流れる。この渦電流の電磁誘導作用によって発熱層20Bが発熱する。
ここで、上記ステップ112の処理によって、電磁誘導コイル26Aから形成される磁界の周波数は、発熱層20Bの軸方向中央部20Bの発熱量が軸方向両端部20Bの発熱量より大きくなるような周波数である。このため、ステップ112の処理によって、発熱層20Bの軸方向中央部20Bの発熱量が、軸方向両端部20Bの発熱量より大きくなる。
このため、発熱層20Bの全領域の内の記録媒体の通過する領域以外の領域(所謂、非通紙領域)の発熱量の上昇が抑えられ、連続定着動作時の発熱層20Bの過度な昇温が抑制される。
次のステップ114では、設定済を示す信号を画像形成装置40の制御部33へ出力した後に本ルーチンを終了する。
加熱装置31から設定済を示す信号を受け付けた画像形成装置40の制御部33では、従来公知の画像形成処理を行うものとする。このとき、定着装置28では、上記ステップ100〜ステップ114の処理によって定着ベルト20の発熱層20Bが形成対象の記録媒体が通過する領域に応じて発熱した状態とされている。このため、定着装置28では、形成対象の記録媒体が通過する領域に応じて発熱層20Bが発熱しており、定着ベルト20から記録媒体にかかる熱が不均一となったり、定着ベルト20の温度がトナーを記録媒体に定着させるたには高温すぎる温度となったりすることが抑制される。また、非通紙部の過度な昇温による、ベルトの熱劣化の加速や、非通紙部と通紙部の温度差の増大に起因する熱機械的なストレスによるベルトの変形、破壊等の故障を抑制することが出来る。
以上説明したように、本実施の形態の加熱装置31によれば、定着ベルト20を、発熱層20Bを含む構成とし、この発熱層20Bを、電磁誘導コイル26Aによって発生した磁界が侵入可能な厚さである表皮深さよりも薄く、且つ該表皮深さより薄い範囲内で層厚の異なる複数の領域を有するように構成することで、印加される磁界の周波数に対する発熱量特性の異なる複数の領域を形成する。このように、発熱層20Bの厚みが表皮深さより薄いので、発熱層20Bを出来る限り薄く構成することが可能となり、該発熱層20Bを含む定着ベルト20の可撓性や、繰り返し屈曲等による耐久性の向上が図れる。
また、該定着ベルト20について、電磁誘導コイル26Aによって発生した磁界の周波数を制御することにより、発熱層20Bの複数の領域の内の最大の発熱量を示す領域が調整されるので、簡易な構成で定着ベルト20の発熱層20Bの発熱量分布が調整される。
なお、本実施の形態では、発熱層20Bの発熱特性の異なる2種類の層厚の領域として、図5に示すように、発熱層20Bを、定着ベルト20の軸方向両端部20Bと、軸方向中央部20Bと、を予め定めて軸方向両端部20Bの厚みを2μmとし、軸方向中央部20Bの厚みを15μmとし、これらの発熱量特性が図4の関係を示すとして説明したが、発熱層20Bの発熱特性の異なる領域は3種類以上であってもよい。また、発熱層20Bの発熱特性の異なる領域は、定着ベルト20の軸方向に異なる領域に限られない。また、軸方向両端部20Bの厚みを2μmとし、軸方向中央部20Bの厚みを15μmとして、軸方向両端部20Bの厚みが軸方向中央部20Bの厚みより薄い場合を説明したが、異なる領域間で発熱量特性が異なっていれば良く、このような形態に限られない。例えば、軸方向両端部20Bの厚みが軸方向中央部20Bの厚みより厚い形態であってもよい。
以下、本発明の実施例を説明する。但し、実施例で用いた本発明の定着ベルトの作製方法は以下の例のみに限定されるわけではない。
(実施例1)
―定着ベルトの作製―
定着ベルトとして、まず、ポリイミド樹脂(商品名:Uワニス−S、宇部興産製)を用いて膜厚60μm、外径30mmの無端状ベルト状の基材を用意した。
この基材の外周面に、アルカリエッチング処理を行い、洗浄し、外周面に無電解ニッケル処理を行ってニッケル層を0.5μm形成した。次にこの無電解ニッケル膜を電極として、この上に電解メッキ処理により膜厚2μmの銅層(発熱層20B)を形成した。
この後、この無端ベルト上の基材の軸方向(幅方向)の中央部210mmの領域外の両端部にマスキング処理を施し、さらに電解メッキ処理を行う事により、非マスキング部(軸方向中央部)の銅層の層厚が15μm、マスキング部(軸方向両端部)の銅層の層厚が2μmの銅層(発熱層20B)を形成した。
なお、上記電解メッキ処理の条件として、使用したメッキ液は、硫酸銅(70g/L)、硫酸(200g/L)、塩酸(50mg/L)からなり、液温30℃、電流密度は0.2A/dmとした。
続いて、上記銅層(発熱層20B)の表面に、JIS−K6253(1997)に準拠したタイプAデュロメータで規定されるデュロメータ硬さがA35となるように調整された液状シリコーンゴム(KE1940−35、液状シリコーンゴムA35品、信越化学工業社製)を膜厚が200μmとなるように塗布し、乾燥させることにより、乾燥状態の液状シリコーンゴム層である弾性層を設けた。
上記の乾燥状態の液状シリコーンゴム層の表面にPFAディスパージョン(500CL、三井・デュポンフロロケミカル社製)を膜厚30μmとなるように塗布し、380℃で焼成することにより、定着ベルトを得た。
―評価―
前記作製した定着ベルトを、図2に示す加熱装置31を備え付けた画像形成装置(富士ゼロックス製、Docu Print C620)に取りつけた。次に、この画像形成装置及び定着装置を用いて、上記図6に示す処理ルーチンを実行させて、小サイズ用紙(JD紙、A4サイズ、縦送り)にて連続500枚通紙した際の、ウォームアップ後の定着ベルトの中央部と端部の温度と、連続500枚通紙直後の定着ベルトの通紙部と非通紙部の温度を測定し、ウォームアップ時の温度分布の均一性評価と、非通紙部の過昇温評価を実施した。その結果、ウォームアップ後の中央部は175℃、端部は178℃であり温度均一性の向上が観察された。また、連続500枚通紙直後通紙部は172℃、非通紙部は205℃となり、非通紙部の過昇温の抑制が観察された。
さらに、定着ベルトを電磁誘導加熱した状態で、連続して空回転させる耐久評価を実施し、定着ベルトの発熱維持性について評価した。その結果、200時間空回転させた後でも、発熱層の亀裂や永久変形による発熱不良は発生せず、安定した電磁誘導加熱による定着が観察された。なお、発熱不良発生までの時間が100時間以上であれば、実使用上においても十分な耐久性を有するものといえる。
また、定着ベルトについて可撓性の評価を行った。
この可撓性評価は、定着ベルトと加圧ロールの接触部(ニップ部)において、定着ベルトに凹部(図2中、C参照)が形成され、該凹部の両側に凸部(図2中、D参照)が形成される時に、定着ベルトに生じる歪みを測定して評価した。なお、この歪みが小さすぎると記録用紙の剥離性能が十分に確保できない。
歪み測定は、定着ベルトの加圧ロールとのニップ部内でのベルト変形による外周表面歪みを測定することにより行った。凹部Cでは圧縮歪み、凸部Dでは引っ張り歪みが定着ベルトに発生する。このため、歪み測定は、歪みゲージ(共和電業製)をフレキシブルシートに接着したセンサーにより、外力を与えない状態の定着ベルトの曲率を基準にして凹部Cと凸部Dの歪みを測定した。
歪み測定の判定は、定着ベルトのニップ部内の軸方向すべてに亘って引っ張り歪み≧0.2%、圧縮≧0.2%となれば記録用紙の剥離性能が十分に確保できる程度に良好であると判別し、ニップ部内の軸方向の一部でこの条件を満たさない箇所がある場合は一部不良とし、ニップ部内の軸方向すべてでこの条件を満たさない場合は不良として扱う。
実施例1で調整した定着ベルトについては、歪み測定の判定としては、良好な結果が得られた。
(比較例1)
―定着ベルトの作製―
実施例1において、メッキ時のマスキング処理を行わずに、ベルト全域に10μmの銅層を形成した以外は、実施例1と同様に作製した。
―評価―
前記作製した定着ベルトを、実施例1と同様な評価を行った結果、ウォームアップ後の中央部は175℃、端部は150℃であり温度分布がついていた。また、連続500枚通紙直後通紙部は172℃、非通紙部は235℃となり、非通紙部の大きな過昇温が観察された。
また、耐久性と可撓性については、実施例1と同等の結果であった。
(比較例2)
―定着ベルトの作製―
比較例1において、中央部の発熱層の厚さを30μm、非マスキング部の厚さを75μmとした以外は、比較例1と同様に作製した。
―評価―
前記作製した定着ベルトを、実施例1と同様な評価を行った結果、ウォームアップ時に終了後の温度分布と非通紙部昇温は、実施例1と同様の結果であった。
しかし、可撓性については、引っ張り歪みが最大0.1%、圧縮が最大0.15%であり、用紙が剥離出来ずに、ベルトに用紙が巻きついてしまった。
さらに、この状態で耐久性評価を行った結果、45時間で発熱層の両端部に割れによる発熱不良が発生し、耐久性も不十分であった。
本実施形態における画像形成装置の一形態を示す模式図である。 本実施形態における加熱装置及び定着装置を示す拡大模式図である。 本実施形態における定着ベルトの断面図である。 本実施形態における発熱量特性を示す線図である。 本実施形態における定着ベルトの発熱層を示す模式図である。 本実施形態における制御部で実行される処理を示すフローチャートである。
20 定着ベルト
20B 発熱層
26 磁界発生装置
26A 電磁誘導コイル
26B 発熱駆動部
27A 制御部
27B 入出力部
28 定着装置
31 加熱装置
33 制御部
40 画像形成装置

Claims (7)

  1. 複数の周波数の磁界を発生する磁界発生手段と、
    記磁界発生手段により発生された磁界の電磁誘導作用により発熱し、層厚が表皮深さより薄い第1の厚さの領域と、前記第1の厚さより薄く、第1の周波数の磁界の磁束に対しては前記第1の厚さの領域と発熱量が等しく、第2の周波数の磁界の磁束に対しては前記第1の厚さの領域より発熱量が大きく、第3の周波数の磁界の磁束に対しては前記第1の厚さの領域より発熱量が小さい第2の厚さの領域と、を有する発熱層を備えた無端ベルトと、
    前記磁界発生手段から発生される磁界の周波数を制御する制御手段と、
    を備えた加熱装置。
  2. 前記第1の厚さの領域及び前記第2の厚さの領域のうち、発熱量が大きくなるように調整される対象となる領域を示す領域情報を取得する取得手段を備え、
    前記制御手段は、前記発熱層の各領域の磁界の周波数に対する発熱量特性に基づいて、前記取得手段によって取得した領域情報の領域が前記発熱層の2つの領域の内で最大の発熱量を示すときの周波数を導出し、導出した周波数の磁界を発生するように前記磁界発生手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
  3. 前記発熱層は、非磁性材料から構成される請求項1または請求項に記載の加熱装置。
  4. 前記発熱層は、前記無端ベルトの幅方向に前記磁界の周波数に対する発熱量特性の異なる2つの領域を有することを特徴とする請求項1〜請求項の何れか1項に記載の加熱装置。
  5. 請求項1〜請求項の何れか1項に記載の加熱装置と、
    前記無端ベルトの外周面に接触して配置され、該無端ベルトとの間を通過する記録媒体上のトナーを該記録媒体へ定着させる加圧手段と、
    備えた定着装置。
  6. 前記第1の厚さの領域及び前記第2の厚さの領域のうち、前記発熱量が大きくなるように調整される領域の発熱量が、前記録媒体上のトナーを該記録媒体へ定着させうる発熱量であることを特徴とする請求項に記載の定着装置。
  7. 像保持体と、
    前記像保持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記像保持体上の前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記像保持体上のトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
    前記記録媒体に転写された前記トナー像を該記録媒体に定着する請求項または請求項に記載の定着装置と、
    を備えた画像形成装置。
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