JP5392681B2 - 高濃度のグルコース耐性を有するβ−グルコシダーゼ - Google Patents
高濃度のグルコース耐性を有するβ−グルコシダーゼ Download PDFInfo
- Publication number
- JP5392681B2 JP5392681B2 JP2009271812A JP2009271812A JP5392681B2 JP 5392681 B2 JP5392681 B2 JP 5392681B2 JP 2009271812 A JP2009271812 A JP 2009271812A JP 2009271812 A JP2009271812 A JP 2009271812A JP 5392681 B2 JP5392681 B2 JP 5392681B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- glucosidase
- present
- activity
- transformant
- glucose
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Description
(2)以下の(a)又は(b)のポリペプチドからなる、(1)に記載のβ‐グルコシダーゼ。
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたポリペプチド
(3)前記(1)に記載のβ‐グルコシダーゼのアミノ酸配列の一部を含み、かつその酵素活性を有するポリペプチド断片。
(4)アミノ酸配列の一部が(2)に記載のアミノ酸配列の一部である、(3)に記載のポリペプチド断片。
(5)前記(1)若しくは(2)に記載のβ‐グルコシダーゼ又は(3)若しくは(4)に記載のポリペプチド断片をコードする核酸。
(6)前記(5)に記載の核酸を発現可能な状態で含む発現ベクター。
(7)前記(6)に記載の発現ベクターを宿主に導入した形質転換体又はその後代。
(8)前記(7)に記載の形質転換体又はその後代に発現誘導処理を行い、(1)若しくは(2)に記載のβ‐グルコシダーゼ又は(3)若しくは(4)に記載のポリペプチド断片を製造する方法。
(9)前記(1)若しくは(2)に記載のβ‐グルコシダーゼ又は(4)若しくは(5)に記載のポリペプチド断片、あるいは(7)に記載の形質転換体若しくはその後代を用いてセロビオース及び/又はセロオリゴ糖を加水分解する工程を含む、セルロース及び/又はヘミセルロースの糖化方法。
(10)前記(9)に記載の方法を用いた、セルロースからβ-D-グルコースを製造する方法。
本発明の第1の実施形態は、β‐グルコシダーゼ又はその活性ポリペプチド断片である。
1−1.β‐グルコシダーゼの特徴
本発明のβ‐グルコシダーゼは、以下の(a)〜(c)に示す物理的及び化学的性質を有する。
本発明のβ‐グルコシダーゼは、SDS-PAGE(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動)において、分子量マーカーとの相対的位置で45〜55キロダルトン(kDa)の分子量を示す。
本発明のβ‐グルコシダーゼは、pNPG、セロビオース及びセロオリゴ等(例えば、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース等)を基質として、それらを加水分解することができる。特にセロビース又はセロオリゴ糖に対して、pNPG以上に高い加水分解活性を示す。
本発明のβ‐グルコシダーゼは、基質を含む反応溶液中のグルコース濃度が500mMの高濃度な状態であっても、グルコース非存在下の活性に対して100%の相対活性でその反応溶液中の基質を加水分解することができるグルコース耐性を有する。
本発明のβ‐グルコシダーゼは、基質を含む溶液中に該溶液に対して体積比(volume/volume)5〜20%のエタノールが存在する場合、エタノール非存在下と比較して酵素活性を20%〜50%向上させることができる。
本発明のβ‐グルコシダーゼは、30℃において、pH4.8〜pH6.8、好ましくはpH5.0〜pH6.5の酸性領域で高い活性を示す。また、本発明のβ‐グルコシダーゼは、30℃において、pH5.5〜pH8.5の範囲で安定的な活性を示す。
本発明のβ‐グルコシダーゼは、pH5.5下において、40℃〜53℃、好ましくは45℃〜50℃の範囲で高い活性を示す。また、本発明のβ‐グルコシダーゼは、pH5.5下において、45℃以下で安定的な活性を示す。
本明細書において「活性ポリペプチド断片」とは、本発明のβ‐グルコシダーゼのアミノ酸配列の一部を含み、かつその酵素活性を有するポリペプチド断片をいう。本活性ポリペプチド断片のアミノ酸配列の長さは、本発明のβ‐グルコシダーゼの活性及びその化学的性質を有していれば特に限定はしない。本発明の活性ポリペプチド断片も前記β‐グルコシダーゼと同様に、構成するアミノ酸が修飾されていてもよく、また、必要に応じて、シグナルペプチドや標識ペプチドのような他の生物種由来のアミノ酸配列又はタグアミノ酸配列のような人工的アミノ酸配列と連結することができる。
本発明のβ−グルコシダーゼ又はその活性ポリペプチド断片によれば、従来知られていたβ‐グルコシダーゼよりも高濃度の100〜500mMのグルコース存在下でも、グルコース非存在下の活性に対して100%の相対活性で基質を加水分解することができる。
2−1.β‐グルコシダーゼ又はその活性ポリペプチド断片をコードする核酸の特徴
本発明の第2の実施形態は、第1実施形態のβ‐グルコシダーゼ又はその活性ポリペプチド断片(以下、本明細書において「本発明のβ‐グルコシダーゼ等」とする)をコードする核酸である。
本発明の核酸は、例えば、配列番号2で示す塩基配列に基づいて、PCR法を用いて合成したポリヌクレオチドを連結することによって得ることができる他、配列番号2で示す塩基配列に基づいて、その一部配列又はそれに相補する一部配列をプローブ又はプライマーとして用いて、適当な生物種のcDNAライブラリ、好ましくはメタゲノム解析法によって調製される複数の微生物(細菌、糸状菌、原生動物等を含む)由来のcDNAライブラリ又はゲノムライブラリからサザンブロッティング又はPCR等の当該分野で公知の方法、例えば、Sambrook, J. et. al., (1989) Molecular Cloning: a Laboratory Manual Second Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkに記載の方法によってそのオルソログを得ることができる。
3−1.発現ベクターの特徴
本発明の第3の実施形態は、第2実施形態の核酸を発現可能な状態で含む発現ベクターである。「発現ベクター」とは、一般に、内部にコードされた遺伝子を発現制御できるシステムを包含するベクターをいう。「第2実施形態の核酸」とは、本発明のβ‐グルコシダーゼ又はその活性ポリペプチド断片をコードする核酸をいう。「発現可能な状態」とは、発現ベクターに含まれる前記核酸が宿主内の所定条件下で転写され得る状態をいう。例えば、発現ベクターに含まれる宿主特異的なプロモーターの制御下に前記核酸を連結した状態が該当する。
第2実施形態の核酸を前記本発明の発現ベクターの所定の部位に挿入する方法は、当該分野で公知の方法、例えば、Sambrook, J. et. al., (1989) Molecular Cloning: a Laboratory Manual Second Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkに記載の方法に従って行えばよい。通常は、調製された第2実施形態の核酸の両端を適当な制限酵素で処理し、発現ベクター中のプロモーター制御下における対応する制限酵素部位に挿入して連結する方法、又はTaq DNAポリメラーゼ等による3'-A突出末端を有するPCR産物であれば発現ベクター中のプロモーター制御下における5'-T突出末端部位に挿入して連結する方法等が採用される。その他、市販のシステム又はキットを用いる場合であれば、それらに特異的な方法によって調製することもできる。
本実施形態の発現ベクターによれば、適応する宿主に導入することで、次で説明する形質転換体を得ることができる。
4−1.形質転換体又はその後代の特徴
本発明の第4の実施形態は、第3実施形態の発現ベクターを宿主に導入した形質転換体又はその後代である。
第3実施形態の発現ベクターを宿主に導入して本発明の形質転換体又はその後代を調製する方法は、当該分野で公知の形質転換方法を使用することができる。
本発明の形質転換体から後代を得る方法は、その形質転換体の宿主である生物種において後代を得るために用いられる通常の方法で行えばよい。例えば、形質転換体の宿主が大腸菌や酵母であれば、適当な公知培地で培養することによって容易に得ることができる。例えば、Sambrook, J. et. al., (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual Second Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkを参照すればよい。また、形質転換体の宿主が植物であれば、後代は、通常、種子、栄養繁殖器官又は植物体の一部(例えば、挿し木)の土耕栽培により得ることができる。
本発明の形質転換体又はその後代によれば、適当な発現条件下で、本発明のβ‐グルコシダーゼ等を発現させることができる。
本発明の第5の実施形態は、第4実施形態の形質転換体又はその後代(以下、本明細書においては「形質転換体等」とする)に発現誘導処理を行い、本発明のβ‐グルコシダーゼ等を製造する方法である。
「培養工程」は、本発明の形質転換体等を適当な培地で培養する工程である。形質転換体等を培地で培養する方法は、形質転換体の宿主の培養に用いられる通常の方法に従えばよい。例えば、細菌を宿主とする場合、培地は、その微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、かつ生育、増殖可能なものであれば、天然培地、合成培地のいずれを用いることもでき、特に限定はしない。具体例としてLB培地が挙げられるが、これに限定はされない。また、形質転換体等を選択的に培養する場合にように、必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加することもできる。培養は、通常、撹拌等の好気的条件下において37℃で対数増殖期まで行えばよい。また、酵母を宿主とする場合、培地は前記と同様にその酵母が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、かつ発現ベクターを保持しながら生育、増殖可能なものであれば、特に制限はしない。例えば、YPD培地や栄養素選択合成培地等を使用することができる。これらの培養方法は、当該分野で公知である。例えば、Sambrook, J. et.al、1989、Molecular Cloning: A Laboratory Manual Second Ed.、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、Guthrie, C. & Fink. G.R., 1991, Guide to Yeast Genetics and Molecular Biolog, Method in Enzymology, 194, Academic Pressを参照することができる。さらに、植物を宿主とする場合、培地は公知の液体培地で公知の方法に従い、水耕栽培するか、又は圃場で栽培すればよい。
「発現誘導工程」は、培養した前記形質転換体等に所定の発現誘導処理を行い、形質転換体等に包含される発現ベクター中の本発明のβ‐グルコシダーゼ等をコードする核酸の発現を誘導させる工程である。発現誘導の方法は、ベクターに含まれるタンパク質発現制御システムによって異なるため、そのシステムに適した誘導処理を行えばよい。例えば、細菌を宿主とするタンパク質発現誘導型ベクターにおいて最も一般的に利用されているタンパク質発現誘導システムは、lacリプレッサー遺伝子及びlacオペレーターからなるシステムである。本システムは、IPTG(isopropyl-1-thio-β-D-Galactoside)処理によって発現を誘導することが可能である。したがって、本発明の形質転換体等が包含する発現ベクターがこのlacシステムを有する場合には、目的とする本発明のβ‐グルコシダーゼ等を発現させるためには、適当量(例えば、終濃度で1mM)のIPTGを培地中に添加すればよい。これらの誘導処理は、当該分野では公知の技術である。例えば、大野茂男及び西村善文監修,1997,タンパク質実験プロトコール(1)機能解析編,細胞工学別冊,実験プロトコールシリーズ,秀潤社を参照されたい。また、形質転換体等に包含される発現ベクター中の本発明のβ‐グルコシダーゼ等をコードする核酸が、発現ベクターを宿主細胞内に導入することで恒常的に発現可能な場合には、特段の誘導処理を必要とすることなく、本発明のβ‐グルコシダーゼ等を発現させ、次の回収工程に供することができる。
「回収工程」は、発現誘導工程で誘導された本発明のβ‐グルコシダーゼ等を形質転換体等又はその培養液から回収する工程である。発現した本発明のβ‐グルコシダーゼ等が形質転換体の細胞内に生産される場合には、細胞を遠心等によって回収し、ソニケーター等の細胞破砕機を用いて破砕して本発明のβ‐グルコシダーゼ等を含む抽出液を調製する。また、発現した本発明のβ‐グルコシダーゼ等が形質転換体の細胞外に分泌される場合には、培養液をそのまま使用するか、又は遠心分離等により形質転換体等を除去し、上清を使用する。必要に応じて、得られた細胞抽出液又は上清を一般的なタンパク質の精製方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で、又は適宜組合せて用いることにより、前記培養物中から本発明のβ‐グルコシダーゼ等を単離精製することができる。ポリペプチドの回収は、当該分野では公知の技術である。例えば、大野茂男及び西村善文監修,1997,タンパク質実験プロトコール(1)機能解析編,細胞工学別冊,実験プロトコールシリーズ,秀潤社を参照されたい。
本発明の製造方法によれば、本発明のβ‐グルコシダーゼ等を大量に製造することが可能となる。
本発明の第6の実施形態は、セルロース及び/又はヘミセルロースを分解し、糖化する方法である。本糖化方法は、本発明のβ‐グルコシダーゼ等及び/又は本発明の形質転換体等を用いてセロビオース及び/又はセロオリゴ糖を加水分解する工程を含むことを特徴とする。
「セルロース分解工程」は、セルロース等を分解して主としてセロオリゴ糖、一部でセロビオースを生成する工程である。本工程は、通常、エンドグルカナーゼ及びセロビオヒドロラーゼによる加水分解作用によって進行する。使用するエンドグルカナーゼ及びセロビオヒドロラーゼは、セルロース等の加水分解活性を有するものであれば、細菌由来、真菌(酵母、糸状菌を含む)由来、粘菌由来、シロアリやゴキブリ等の昆虫又は原生動物由来のいずれであってもよく、その種類は問わない。例えば、糸状菌の一種であるトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)由来のエンドグルカナーゼを使用することができる。本工程で使用するエンドグルカナーゼは、その活性を有していれば必ずしも精製されている必要はなく、例えば、トリコデルマ・リーゼイの培養上清のように各種セルラーゼ(エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ及びβ‐グルコシダーゼ)を包含する未精製(クルードな)溶液を使用することもできる。
「セロオリゴ糖分解工程」は、セルロース分解工程等で生じたセロオリゴ糖を分解してセロビオースを生成する工程である。本工程は、通常、エキソグルカナーゼによる加水分解作用によって進行する。使用するエキソグルカナーゼは、セロオリゴ糖の加水分解活性を有するものであれば、由来する種類は問わない。したがって、前記セルロース分解工程で使用したエンドグルカナーゼの由来する種と異なる種に由来するものであってもよい。例えば、セルロース分解工程でトリコデルマ・リーゼイ由来のエンドグルカナーゼを使用し、本工程で黒コウジカビの一種であるアスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)由来のエキソグルカナーゼを使用することもできる。
「セロビオース分解工程」は、セロオリゴ糖分解工程等で生じたセロビオースを酵素によって加水分解し、最終産物であるβ-D-グルコースを生成する工程である。本工程は、通常、β-グルコシダーゼによる加水分解作用によって進行するが、一般的なβ-グルコシダーゼは、グルコースによりその活性が阻害されるため、本工程で生成したグルコース濃度が増加するにつれてはセロビオースの分解が停滞してしまう。それ故、従来のβ-グルコシダーゼでは、セロビオースが蓄積し、効率的な糖化反応を行えないという問題があった。本実施形態のセルロース等の糖化方法では、本発明のβ‐グルコシダーゼ等を本工程に使用し、この問題を解決することを特徴としている。すなわち、本発明のβ‐グルコシダーゼ等は、500mMの高濃度グルコース存在下であってもセロビオースを加水分解する活性を保持できることから、グルコース濃度の増大に伴うセロビオース分解工程の停滞を回避し、効率的に糖化反応を完了することが可能となる。
本工程後に、セルロースの糖化産物であるβ-D-グルコースを得ることができる。
一の実施形態において、木質バイオマスからセルロース等を糖化する場合、前記セルロース分解工程に先立ち、リグニンを分解除去する工程を含むことができる。この工程を含むことによって、効率的な木質バイオマスの糖化が可能となる。リグニン分解除去工程は、木質部においてセルロース及びヘミセルロースと結合するリグニンを除去する工程である。
以下で、本実施形態の具体的方法について、一例を挙げて説明する。ただし、本実施形態は、ここで説明する方法に限定するものではない。
本発明の糖化方法によれば、反応産物として生じるグルコースの濃度が500mM以下であれば、その阻害作用を受けることなく、セルロース等の糖化反応を進行させることができる。その結果、セルロース等の十分な糖化が可能となる。
本発明の第7の実施形態は、前記第6実施形態の糖化方法を用いてセルロース等からβ-D-グルコースを製造する方法である。
本製造方法は、前記第6実施形態の糖化方法に準じて行うことにより、その結果の生産物としてβ-D-グルコースを得ることができる。したがって、ここでは、その詳細な説明を省略する。
高濃度のグルコース存在下であっても、pNPGを加水分解できる活性を有するβーグルコシダーゼをメタゲノム解析法によって単離した。
くさや汁(東京都新島村産)より微生物ゲノムを抽出した。まず、45mlのくさや汁を4℃にて10分間、300gで低速遠心して、粗雑物を除去した。次に4℃にて1時間、8,000gで遠心して集菌した。遠心分離機は、トミー精工社の製品を用いた。
上記で得られたメタゲノムDNAをハイドロシェアー(ジーンマシーンズ社)によって物理的に剪断し、アガロースゲル(ニッポンジーン社)で電気泳動して分画した。5〜10kbのDNA断片をMinElute Gel Extraction Kit(QIAGEN社)を用いてゲルから抽出し、T4 DNAポリメラーゼ(タカラバイオ社)を用いてDNA断片の平滑化を行った。BamHI(NEB社)で切断後、T4 DNAポリメラーゼ(タカラバイオ社)による平滑末端化し、アルカリホスファターゼ(タカラバイオ社)による脱リン酸化処理を行ったp18GFPベクターに、DNA Ligation Kit Mighty Mix (タカラバイオ社)を用いて、前記調製したDNA断片を4℃、16時間で連結させた。反応後、反応液をフェノール(ニッポンジーン社)抽出し、エタノール沈殿を行って、30μlの0.1×TEに溶解した。作製したメタゲノムライブラリを、エレクトロポレーション法(ジーンパルサー;バイオラッド社)を用いて以下の条件にて大腸菌に導入した。25μlの大腸菌DH10B株(ElectroMAX DH10B cells,インビトロジェン社)、1μlのライゲーション溶液(組成)を混合し、エレクトロポレーションキュベット Gap 0.1 cm (Bio rad)に入れた後、1.8kV、200Ω、25μFでパルス処理し、直ちに1mlのSOC培地を加えて37℃で1時間振とう培養した。その後、培養液全量を100μg/ml アンピシリン及び100μM IPTGを含有するLBプレート(9cm)1枚に播種し、37℃で一晩培養した。翌日、プレートに1mlのLB培地を加え、スプレッダーを用いてプレートから形質転換体コロニーを回収した。得られた形質転換体の集団をメタゲノムライブラリとした。
次に、得られたメタゲノムライブラリを、10μM IPTG(ナカライテスク社)、40μg/ml X-Glc(5-ブルモ-4-クロロ-3-インドイル-β-D-グルコピラノシド;シグマ社)を含むLBプレート上に播種し、β‐グルコシダーゼ活性を有するクローンのスクリーニングを行った。X-Glcは、β‐グルコシダーゼによって分解されると青色色素を発生する。そこで、青色を呈する形質転換体をβーグルコシダーゼ陽性クローンとして回収した。10000クローンを解析した結果、953クローンのβーグルコシダーゼ陽性クローンを得ることができた。
メタゲノムライブラリより得られた953クローンのβーグルコシダーゼ陽性クローンのうち、768クローンについてグルコース耐性のスクリーニングを行った。寒天培地上に生育させた各クローンを、1mlのLB-アンピシリン(ナカライテスク社)液体培地を含む96穴マイクロプレートに接種した。当該プレートをシェーカー(タイテック社M BR-024)で37℃、1000rpmにて一晩振とう培養した。培養液から200μlを分取し、100μlずつグルコース非存在下(0%)及び10%(v/v)グルコース存在下における活性測定に供した。具体的に説明すると、分取した培養液を、まず、遠心分離器(5810R;エッペンドルフ社)を用いて4℃にて4000rpmで10分間遠心分離し、上清を除去した。次に、ペレット(菌体)を、1mM pNPG(シグマ社)/及び0%又は10%グルコース(ナカライテスク社)を含む100mMリン酸バッファ(pH6.0)に懸濁した。シェーカー(M BR-024;タイテック社)で、37℃、1000rpmにて48時間振とうして反応させた後、遠心分離器(5810R;エッペンドルフ社)を用いて4℃にて4000rpmで10分間遠心分離し、上清50μlを分取して100μlの炭酸ナトリウム(ナカライテスク社)を添加し、反応を停止させた。反応のモニターは、405nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダー(VersaMax;モレキュラーデバイス社)の上で測定した。その結果、10%(v/v)グルコース存在下でも活性を示す7クローン(5A7、5B6、5F2、6C8、7F9、9B4、10H11)をグルコース耐性β-グルコシダーゼの遺伝子を有する形質転換体として単離した。各クローンの活性は、グルコース非存在下における活性の3分の1以上の活性を示した。
実施例1で得られた7クローンについて、プラスミドのショットガン解析を行った。プラスミドの抽出は、大腸菌からプラスミドを抽出する常法に従った。抽出した約1μgのプラスミドをそれぞれ1ユニットのSau3AI(タカラバイオ社)を用いて室温で5分間の反応により切断し、アガロースゲル(ニッポンジーン社)電気泳動により分画した後、1〜3kbのDNA断片をMinElute Gel Extraction Kit(QIAGEN社)を用いてゲルから抽出した。一方、1μgのpTDCm-ccdBamを5ユニットのBamHI(NEB社)で37℃にて4時間の反応により完全消化した。pTDCm-ccdBamは、pUC系プラスミドにアンバーコドン(停止コドン)を含むccdB遺伝子をクローン化したプラスミドである。また、ccdB遺伝子は、通常の大腸菌では致死的に作用するため、この遺伝子内に目的のDNA断片が挿入されていない形質転換体はコロニーを形成できない。続いて、BamHI切断したpTDCm-ccdBamの末端をアルカリホスファターゼ(タカラバイオ社)で脱リン酸化処理し、得られた開裂pTDCm-ccdBamと前記ゲル抽出したDNA断片とをT4 DNAリガーゼ(NEB社)により連結した。反応液を大腸菌JM109コンピテントセル(タカラバイオ社)に導入し、34μg/mlクロラムフェニコールを含むLB寒天培地上に播種した。37℃で一晩培養した後、生育した形質転換体をランダムに96個選択し、34μg/mlクロラムフェニコール含有LB培地を入れた96穴マイクロプレートに接種した。37℃にて一晩培養し、菌体の一部を鋳型とし、GEヘルスケア社鋳型増幅キットTempliPhiを用いて添付マニュアルに従い塩基配列用の鋳型を調製した。シーケンシング反応は、BigDye(登録商標)Terminator V3.1キット(ABI社)を用いてDNAシーケンサー(PRISM 310;ABI社)により行った。
(1)組換え型β-グルコシダーゼ遺伝子の発現
実施例2で調製したpET29bKs Bgl1を大腸菌コンピテントセルRosetta(ノバジェン社)に導入し、50μg/mlのカナマイシン及び34μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB寒天プレート上に塗布した後、37℃で16時間培養した。生育した単一コロニーを、前記抗生物質を含む5mLのLB液体培地に植菌し、37℃で16時間振とう培養した(前培養)。続いて、50μg/mlのカナマイシン34μg/mlのクロラムフェニコール及びOvernightExpress溶液(ノバジェン社)を含む1LのLB液体培地に植菌し、30℃で16時間振とう培養した(大量培養)。培養後の菌体を5000g、10分間の遠心で回収し、湿菌体重量で10gを90mlの20mM Tris-HCl(pH8.0)に懸濁した。次に10mlの10×BugBuster溶液(ノバジェン社)を加え、室温で20分間穏やかに混和した。4℃にて20000gで20分間遠心(タイテック社)した後、上清を回収した。
実施例3で得られた本発明のβ‐グルコシダーゼの分子量をSDS-PAGEにより測定した。
異なるグルコース濃度下における実施例3で得られた本発明のβ‐グルコシダーゼの活性をpNPGを基質として検証した。
pNPGを基質としたときの本発明のβ‐グルコシダーゼの最大初速度(Vmax)及びミカエリス定数(Km)を算出した。
セロビオースを基質としたときの本発明のβ‐グルコシダーゼのVmax及びKmを算出した。
実施例3で得られた本発明のβ‐グルコシダーゼのエタノール存在下における活性について検証した。
実施例3で得られた本発明のβ‐グルコシダーゼ活性のpH依存性について検証した。
実施例3で得られた本発明のβ‐グルコシダーゼ活性のpH安定性について検証した。
実施例3で得られた本発明のβ‐グルコシダーゼ活性の温度依存性について検証した。
実施例3で得られた本発明のβ‐グルコシダーゼ活性の温度安定性について検証した。
実施例3で得られた本発明のβ‐グルコシダーゼ活性の還元剤(DTT)又は二価金属(Mg2+、Ca2+)の影響について検証した。
Claims (8)
- 以下の(a)又は(b)のポリペプチドからなるβ‐グルコシダーゼ。
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたポリペプチド - 請求項1に記載のβ‐グルコシダーゼの酵素活性を有するポリペプチド断片。
- 請求項1に記載のβ‐グルコシダーゼ又は請求項2に記載のポリペプチド断片をコードする核酸。
- 請求項3に記載の核酸を発現可能な状態で含む発現ベクター。
- 請求項4に記載の発現ベクターを宿主に導入した形質転換体又はその後代。
- 請求項5に記載の形質転換体又はその後代に発現誘導処理を行い、請求項1に記載のβ‐グルコシダーゼ又は請求項2に記載のポリペプチド断片を製造する方法。
- 請求項1に記載のβ‐グルコシダーゼ又は請求項2に記載のポリペプチド断片、あるいは請求項5に記載の形質転換体若しくはその後代を用いてセロビオース及び/又はセロオリゴ糖を加水分解する工程を含む、セルロース及び/又はヘミセルロースの糖化方法。
- 請求項7に記載の方法を用いた、セルロースからβ-D-グルコースを製造する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009271812A JP5392681B2 (ja) | 2009-11-30 | 2009-11-30 | 高濃度のグルコース耐性を有するβ−グルコシダーゼ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009271812A JP5392681B2 (ja) | 2009-11-30 | 2009-11-30 | 高濃度のグルコース耐性を有するβ−グルコシダーゼ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011110011A JP2011110011A (ja) | 2011-06-09 |
JP5392681B2 true JP5392681B2 (ja) | 2014-01-22 |
Family
ID=44232837
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009271812A Expired - Fee Related JP5392681B2 (ja) | 2009-11-30 | 2009-11-30 | 高濃度のグルコース耐性を有するβ−グルコシダーゼ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5392681B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017184722A (ja) * | 2016-04-05 | 2017-10-12 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 生成物阻害耐性および基質阻害耐性を有するβ−グルコシダーゼ、それをコードする遺伝子 |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6330240B2 (ja) | 2014-12-12 | 2018-05-30 | 本田技研工業株式会社 | 耐熱性β−グルコシダーゼ |
CN110892072A (zh) * | 2017-08-30 | 2020-03-17 | 国立研究开发法人理化学研究所 | 新的β-葡糖苷酶、包含该酶的酶组合物和使用它们的糖液的制造方法 |
CN109456954B (zh) * | 2018-11-21 | 2021-08-20 | 中山大学 | 热稳定性提高的β-葡萄糖苷酶突变体及其应用 |
CN109355275B (zh) * | 2018-11-21 | 2021-08-20 | 中山大学 | 高热稳定性β-葡萄糖苷酶突变体及其应用 |
-
2009
- 2009-11-30 JP JP2009271812A patent/JP5392681B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017184722A (ja) * | 2016-04-05 | 2017-10-12 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 生成物阻害耐性および基質阻害耐性を有するβ−グルコシダーゼ、それをコードする遺伝子 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011110011A (ja) | 2011-06-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN101558166B (zh) | 用于酶促水解纤维素的高效纤维素酶组合物的构建 | |
Chou et al. | High level expression of Acidothermus cellulolyticus β-1, 4-endoglucanase in transgenic rice enhances the hydrolysis of its straw by cultured cow gastric fluid | |
US20130280764A1 (en) | Method of improving the activity of cellulase enzyme mixtures in the saccharification (ligno)cellulosic material | |
CA2736661A1 (en) | Novel fungal enzymes | |
JP2009535038A (ja) | 耐熱性セルラーゼおよび使用方法 | |
JP5392681B2 (ja) | 高濃度のグルコース耐性を有するβ−グルコシダーゼ | |
US9598700B2 (en) | Methods and compositions for processing biomass with elevated levels of starch | |
Ziegelhoffer et al. | Expression of Acidothermus cellulolyticus E1 endo‐β‐1, 4‐glucanase catalytic domain in transplastomic tobacco | |
Devaiah et al. | Heterologous expression of cellobiohydrolase II (Cel6A) in maize endosperm | |
Xiong et al. | The ACEII recombinant Trichoderma reesei QM9414 strains with enhanced xylanase production and its applications in production of xylitol from tree barks | |
JP2011205992A (ja) | グルコース存在下で活性を増加するβ−グルコシダーゼ | |
WO2011160050A2 (en) | Systems to reduce recalcitrance of cellulosic biomass and increase yields of fermentable sugars | |
AU2013344666B2 (en) | Methods and compositions for processing biomass with elevated levels of starch | |
CN113980939B (zh) | 一种耐葡萄糖的β-葡萄糖苷酶及其表达基因和应用 | |
JP6518107B2 (ja) | 転写因子変異株 | |
US20150135369A1 (en) | Transgenic plants having altered expression of pectin acetylesterase and methods of using same | |
WO2016076282A1 (ja) | セルラーゼ賦活剤及びそれを用いたリグノセルロース系バイオマス糖化方法 | |
US7927856B2 (en) | Thermophilic endo-glucanase and uses thereof | |
Longoni et al. | Research Article Production by Tobacco Transplastomic Plants of Recombinant Fungal and Bacterial Cell-Wall Degrading Enzymes to Be Used for Cellulosic Biomass Saccharification | |
JP2017184722A (ja) | 生成物阻害耐性および基質阻害耐性を有するβ−グルコシダーゼ、それをコードする遺伝子 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110331 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130205 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130404 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130723 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130909 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20131001 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20131007 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5392681 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |