JP5391949B2 - 鋼管測定用のテンプレート及び鋼管のピーキング測定方法 - Google Patents
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Description
このテンプレート50は、鋼管表面(内径面若しくは外径面)に当接させる面の形状が、対象とする鋼管表面の曲率半径と同径の円の一部となるように作成したものである。なお、テンプレート50中央部に形成された凹部51は、鋼管表面に当接したテンプレート50が、膨らんでいる溶接部と接触することを回避するためのものである。
第1に、鋼管表面は曲率を有する。このため、ダイヤルゲージの「0」点調整として、測定対象物と同じ曲率外径のブロックを必要とする。
第2に、ダイヤルゲージを水平に移動する構造であるが、曲率を有する鋼管では「0」点調整を行ったポイントで測定する必要がある。すなわち、測定点ごとに「0」点調整を行う必要がある。すなわち、この点でも手間が掛かる。
第3に、ダイヤルゲージの「0」点調整に使用するブロックが、必ずしも真の曲率(対象鋼管の想定される曲率)を有しているとは限らない。
すなわち、鋼管は、同一の外径であっても管厚(肉厚)が異なると、測定対象とする鋼管内径面の径が異なる。例えば、ある鋼管の規格は、外径:406.4mm〜1422.4mmの範囲で、且つ管厚:6mm〜45mmの範囲にある。この全ての鋼管の測定に対応しようとすると、その鋼管内径に合わせた多数種の寸法のテンプレート50を揃えなければならないことになる。
また、このテンプレート50を使用した場合には、鋼管の外側に向けた突出部は問題無いが、鋼管の内側に向けた突出部(鋼管の凹み)があると、測定が困難になるか、測定精度が悪くなる恐れがある。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、測定する鋼管表面に凹凸があっても簡易に鋼管の表面形状を測定することを目的としている。
鋼管の周方向に離隔して当該鋼管表面に当接させる一対の足部と、その一対の足部間を連絡するように形成され且つ対向する鋼管表面との間に鋼管周方向に連続した隙間を有する測定本体部と、を備え、
上記測定本体部における鋼管と隙間をもって対向する部分の輪郭形状は、測定対象とする鋼管表面が基準とする理想曲面の場合に、上記隙間が鋼管周方向に沿って一定値となる輪郭形状となっていることを特徴とするものである。
上記測定本体部における鋼管と隙間をもって対向する部分の輪郭形状は、上記第1の円の中心を中心とし且つ上記基準曲率半径よりも所定長さだけ大きな曲率半径の円の一部からなる曲線形状となっており、上記所定長さは、鋼管外径面を対象とする場合には正の値であり、鋼管内径面を対象とする場合には負の値であることを特徴とするものである。
そして、上記測定本体部と鋼管との間の隙間は、鋼管周方向に沿って連続して形成されているので、測定する鋼管表面に凹凸があっても、確実に基準とする理想曲面からの変化分を測定することが出来る。
図1は、本実施形態のテンプレートを示す図である。
ここで、本実施形態では、まず鋼管外径面を測定対象とした場合を例に挙げて説明する。
(テンプレートの構成)
本実施形態のテンプレート1は、図1に示すように平板形状となっている。すなわち、長方形形状の板を基準として、一方の長辺側(図1中下辺側)を、鋼管表面に対向する部分とし、その部分の長辺方向に沿った形状を所定の円弧形状からなる曲面形状としている。上記テンプレート1は、具体的には、長手方向両側に位置する一対の足部2と、その一対の足部2間に位置する測定本体部3とを備える。
本実施形態では、測定対象とする鋼管の外径をRとし、その外径面の曲率半径を基準曲率半径(R/2)と定義した場合に、上記一対の足部2における鋼管と当接する面2aの輪郭形状は共に、基準曲率半径(R/2)を半径とした同一の円である第1の円Aの一部を形成する曲線形状となっている。
ここで、上記測定本体部3の周方向長さは、規格で決定されている測定範囲に応じて設定し、例えば規格が200mmの場合には200mm以上に設定する。
なお、図2に示すように、溶接部と対向する部分3cだけを大きく窪ませると、上記凹み量αの設定範囲はより自由度が向上する。但し、規格上許容されるピーキングの変化幅より大きな値に設定する。
次に、テンプレート1を使用したピーキングの測定方法について説明する。
予め、上記構成のテンプレート1を、測定対象とする溶接鋼管の寸法(外径)分だけ用意しておく。
そして、まず今回測定する鋼管10の外径に合ったテンプレート1を選択する。鋼管10の外径Rに合ったテンプレート1とは、測定本体部3の形状が、(測定対象の鋼管外径/2+凹み量α)の曲率半径の曲面形状となっているテンプレート1である。なお、足部2の形状は、測定対象の鋼管外径の曲率半径の曲面形状となっている
このようにして、隙間の基準隙間(凹み量α)からの増減量を連続的に測定する。
そしてその測定した増減量(基準からの変化量)が、対象とする溶接鋼管10について規定で決定されている許容範囲にあるか否かで、形状の評価を行う。基準外の場合には、不良と判定する。
以上のように、本実施形態のテンプレート1を使用すると、隙間の基準隙間(凹み量α)からの増減量で測定するため、測定面となる鋼管10表面に凹凸があったとしても、確実に且つ所定の精度をもってピーキングの測定を行うことが出来る。
しかも一方の足部2から他方の足部2に向けて、隙間ゲージ13を滑らせるように移動させて連続的に隙間量を測定すればよいので、測定作業も容易となる。また、連続して隙間を測定することが出来る。
また、鋼管外径面10aを測定対象としているので、管厚の違いによって異なるテンプレート1を用意しておく必要がない。すなわち、鋼管内径面10bを測定面とする場合に比べて、用意しておくテンプレート1の種類が少なくて済む。つまり、テンプレート1の製作枚数が限定され、製作コストの低減化の効果がある。
(1)上記実施形態では、鋼管外径面10aを測定対象とした場合を例示している。鋼管内径面10bを測定対象とする場合には、上記凹み量αを負の値に設定すればよい。
鋼管内径面10bを測定対象とする場合のテンプレート1の例を図5に示す。
すなわち、鋼管内径面10bを対象とするので、図5において、鋼管内径面と対向する形状は、上側に凸の曲面形状となる。
なお、溶接部11が鋼管10の上部に位置する場合には、内径面側を測定する場合よりも外径面側を測定する場合の方が測定がし易い。
(3)また上記実施形態では、ピーキング測定専用としてのテンプレート1を提供する場合を例示している。これに対し、テンプレート1の上部も基準曲率形状(R/2)よりもテンプレート高さβ(>0)だけ大きな曲率半径(R/2+β)の円の一部からなる曲線形状に変更し、テンプレート1の上部に対し、ダイヤルゲージを設置出来るようにしても良い。
この場合には、常にダイヤルゲージの先端が鋼管10の中心点に向くため連続測定が可能となる。
すなわち、鋼管10表面に対する隙間の測定は、上述のような隙間ゲージ13による測定でなくても良い。
(5)また上記実施形態では、鋼管の周方向に沿った形状が真円の場合を例示しているが、真円で無ければ、それに応じて、周方向に沿った隙間が一定値となるように上記曲面形状を設定すればよい。
また、上記実施形態では、足部2の鋼管と当接する面2aを第1の円Aと同形状に設定しているが、同形状としなくてもよい。例えば、先端を尖らしたり、平面としたりしても良い。但し、同形状とした方がテンプレートの設定が容易である。
2 足部
2a 当接面
3 測定本体部
3a 対向する部分
10 溶接鋼管
10a 鋼管外径面
10b 鋼管内径面
11 溶接部
13 隙間ゲージ
A 第1の円(理想曲面)
(R/2) 曲率半径
α 凹み量(隙間の大きさ)
Claims (3)
- 溶接鋼管の周方向に沿った表面形状を測定するためのテンプレートであって、
鋼管の周方向に離隔して当該鋼管表面に当接させる一対の足部と、その一対の足部間を連絡するように形成され且つ対向する鋼管表面との間に鋼管周方向に連続した隙間を有する測定本体部と、を備え、
上記測定本体部における鋼管と隙間をもって対向する部分の輪郭形状は、測定対象とする鋼管表面が基準とする理想曲面の場合に、上記隙間が鋼管周方向に沿って一定値となる輪郭形状となっていることを特徴とする鋼管測定用のテンプレート。 - 測定対象とする鋼管表面の曲率半径を基準曲率半径と定義した場合に、
上記一対の足部における鋼管に当接する面の輪郭形状はともに、基準曲率半径を半径とした第1の円の一部を形成する曲線形状となっており、
上記測定本体部における鋼管と隙間をもって対向する部分の輪郭形状は、上記第1の円の中心を中心とし且つ上記基準曲率半径よりも所定長さだけ大きな曲率半径の円の一部からなる曲線形状となっており、
上記所定長さは、鋼管外径面を対象とする場合には正の値であり、鋼管内径面を対象とする場合には負の値であることを特徴とする請求項1に記載した鋼管測定用のテンプレート。 - 溶接鋼管の溶接部近傍のピーキングを測定するピーキング測定方法であって、上記請求項1または請求項2に記載のテンプレートを、一対の足部が溶接部を挟んで測定対象とする鋼管表面に当接させた状態として、上記測定本体部と鋼管表面との間に形成される隙間に隙間ゲージを差し込み且つ当該隙間ゲージを鋼管周方向に沿って連続若しくは断続的に移動させて隙間を測定することを特徴とする鋼管のピーキング測定方法。
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