JP5391427B2 - 白色有機電界発光素子及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は湿式法により製造可能な白色有機電界発光素子及びその製造方法に関する。
陽極と陰極との間に発光性有機層(有機エレクトロルミネッセンス層)が設けられた有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子(以下、「有機EL素子」という。)は、注入した電子とホール(正孔)との再結合により有機化合物を電気的に励起し発光させる電気発光素子である。有機EL素子は、無機EL素子に比べ、直流低電圧での駆動が可能であり、輝度及び発光効率が高いという利点を有しており、次世代の表示装置として注目を集めている。有機EL素子の研究は、有機積層薄膜素子が高輝度で発光することを示したコダック社のTangらの報告(非特許文献1参照)以来、多くの企業及び研究機関によりなされている。コダック社による有機EL素子の代表的な構成は、透明陽極であるITO(酸化インジウムスズ)ガラス基板上にホール輸送材料であるジアミン化合物、発光材料であるトリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)、陰極であるMg:Alを順次積層したもので、10V程度の駆動電圧で約1000cd/cmの緑色発光が観測された。現在研究及び実用化がなされている積層型有機EL素子は、基本的にはこのコダック社の構成を踏襲している。
有機EL素子は、その構成材料により、高分子系有機EL素子と低分子系有機EL素子に大別され、前者は湿式法により、後者は蒸着法及び湿式法のいずれかにより作製される。蒸着法で作製される場合、電子輸送、正孔輸送及び発光の機能を分離した積層構造を容易に形成することができ、高い発光特性を得やすい。しかし、真空蒸着法は大がかりな設備を必要とすると共に、2種以上の材料を同時に蒸着する際には蒸着速度の精密な調整が困難であり、生産性に劣るという問題もある。一方、湿式法で作製される場合、スピンコート法やインクジェット法などの印刷技術を用いて作製することができ低コスト化、大面積化に有利である。また、構成材料の溶液を用いて成膜するので2種以上の材料の比率を容易に調整することができる。
有機EL素子は、光の三原色である赤、緑、青等の数種類の発光材料を組み合わせて作製することにより白色発光が得られることから、液晶ディスプレイのバックライト、又は照明用途への有機EL素子の応用の期待が高まっている。白色有機EL素子を作製する方法としては、単層の発光層中にすべての発光材料を添加する方法(例えば、非特許文献2参照)、又は発光色ごとに発光層を分けた積層構造をとる方法がある(例えば、非特許文献3、特許文献1、2参照)。
特開2007−180020号公報 特開2006−279007号公報
C. W. Tang, S. A. Van Slyke著、「Organic electroluminescent diodes」、AppliedPhysics Letters(米国)、米国物理学会(The American Institute ofPhysics)、1987年9月21日、第51巻、第12号、p.913−915 I. Tanaka, M. Suzuki, S. Tokito著、「White Light Emission from Polymer ElectrophosphorescentLight-Emitting Devices Doped with Iridium Complexes」、JapanJournal of Applied Physics、応用物理学会、2003年5月15日、第42巻、No.5A、p.2737−2740 Y. Sun, S. R. Forrest著、「High-efficiency white organic light emitting devices with threeseparate phosphorescent emission layers」、AppliedPhysics Letters(米国)、米国物理学会(The American Institute ofPhysics)、2007年12月24日、第91巻、第26号、p.263503
しかしながら、非特許文献2に記載の方法では、単層で電子輸送性と正孔輸送性のバランスをとるのが難しく、高性能化が困難である。正孔輸送性のみを持った発光層と電子輸送層との積層構造とすることもできるが、励起子の再結合領域が狭くなり、特に高効率発光の得られるリン光材料を用いる場合、高電流密度領域で発光効率を改善することができない。
また、湿式法による積層型有機EL素子の製造は、各層の構成材料の溶解性の違いを利用しなければならない。しかし、各層の構成材料の溶解性の違いを利用した積層を難しくしている要因の1つに、導電性高分子やスピンコート可能な有機半導体の殆どが、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の比較的溶媒能の高い溶媒にしか溶けず、P型の導電性高分子で正孔輸送層を成膜した後、同様の溶媒でN型の導電性高分子でスピンコートすると下地の正孔輸送性高分子を浸食することになり、平坦で欠陥の少ないPN界面を有する積層構造を形成できないという問題がある。
特許文献1、2には、成膜後、熱や光により架橋や重合を行い不溶化し上層を製膜する方法が開示されているが、この方法では、架橋又は重合反応の終了後に反応開始剤や未反応物を取り除くことが困難であり、耐久性に問題がある。
非特許文献3に記載の白色有機EL素子の製造においては乾式法が用いられており、各材料の溶解性については考慮されていない。そのため、同文献に記載の白色有機EL素子の製造に湿式法を適用した場合には上述の溶解性の問題が生じるおそれがある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、多層構造を有する有機電子素子の製造において湿式法により形成が可能で、かつ電子注入特性、電子輸送特性、耐久性及び発光効率に優れた発光層を有する白色有機電界発光素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明の第1の態様は、陽極と陰極との間に挟まれるように積層された複数の有機化合物層を有する白色有機電界発光素子において、陽極側に形成され、アルコール系溶媒に不溶な有機化合物からなる第1の発光層と、前記第1の発光層の陰極側に接する様に湿式法により形成され、アルコール系溶媒に可溶な有機化合物からなる第2の発光層とを有し、前記第1の発光層が、正孔輸送性能を持つ1又は複数のアルコール系溶媒に不溶な有機化合物である第1のホスト材料と、注入された電子と正孔の再結合により発光する1又は複数の有機化合物及び/又は有機金属化合物である第1のゲスト材料とを含み、前記第2の発光層が、アルコール系溶媒に可溶な1又は複数のホスフィンオキシド誘導体である第2のホスト材料と、遷移金属元素又はイオンに配位結合していないホスフィンオキシド基を有し、注入された電子と正孔との再結合により発光するアルコール系溶媒に可溶な1又は複数の有機化合物及び/又は有機金属化合物である第2のゲスト材料とを含み、前記第1の発光層からの発光と前記第2の発光層からの発光とを重ね合わせると白色となるよう、前記第1及び第2のゲスト材料が選択されていることを特徴とする白色有機電界発光素子を提供することにより上記課題を解決するものである。
第2のホスト材料及び第2のゲスト材料の双方がアルコール系溶媒に可溶であるため、アルコール系溶媒を用いた湿式法により、第2の発光層を形成できる。また、第1の発光層がアルコール系溶媒に不溶であるため、アルコール系溶媒による第1の発光層の浸食及び膨潤が起こらず、欠陥や性能低下を起こすことなく白色有機電界発光素子を製造できる。更に、第2のホスト材料及び第2のゲスト材料として用いられるホスフィンオキシド誘導体は、電子求引性のホスフィンオキシド基(P=O)を有しているため、発光層自体が高い電子輸送特性及び電子注入特性を併せ持つことができる。したがって、電子輸送層を別途形成しなくても十分な素子特性を実現可能であるため、製造工程を低減できると共に、製造に要するタクトタイムの短縮が可能となる。
また、上記のように異なる発光波長を有する複数の発光層を組み合わせることにより、高い発光効率で白色光を発光可能な白色有機EL素子を提供することができる。
本発明の第2の態様は、少なくとも陽極が表面に形成された基板の該電極側の表面に、正孔輸送性能を持つ1又は複数のアルコール系溶媒に不溶な有機化合物である第1のホスト材料と、注入された電子と正孔の再結合により発光する1又は複数の有機化合物及び/又は有機金属化合物である第1のゲスト材料と有機溶媒とを含む第1の溶液を用いて湿式法により第1の発光層を形成する工程と、前記第1の発光層の表面に、アルコール系溶媒に可溶な1又は複数のホスフィンオキシド誘導体である第2のホスト材料と、遷移金属元素又はイオンに配位結合していないホスフィンオキシド基を有し、注入された電子と正孔との再結合により発光するアルコール系溶媒に可溶な1又は複数の有機化合物及び/又は有機金属化合物である第2のゲスト材料とアルコール系溶媒とを含む第2の溶液を用いて湿式法により第2の発光層を形成する工程とを有することを特徴とする白色有機電界発光素子の製造方法を提供することにより上記課題を解決するものである。
本発明の第1及び第2の態様において、前記第2のホスト材料を構成する前記ホスフィンオキシド誘導体が、下記の一般式(1)で表されるものであってもよい。
Figure 0005391427
式(1)において、
は1又は複数のアリール基及びヘテロアリール基の一方又は双方を有し、任意の1又は複数の炭素原子上に下記の式(2)で表されるホスフィンオキシド基を有していてもよい原子団を表し、
Ar及びArは、それぞれ独立して1又は複数の置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar及びArが結合することによりリン原子を含むヘテロ環を形成していてもよく、
Figure 0005391427
式(2)においてAr及びArは、それぞれ独立して1又は複数の置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar及びArが結合することによりリン原子を含むヘテロ環を形成していてもよい。
この場合において、上記の式(1)で表される前記ホスフィンオキシド誘導体が、下記の式AからQのいずれかで表されるホスフィンオキシド誘導体からなる群より選択される1又は複数のホスフィンオキシド誘導体であることが好ましい。
Figure 0005391427
Figure 0005391427
Figure 0005391427
本発明の第1及び第2の態様において、前記第2のゲスト材料を構成する前記有機化合物及び/又は有機金属化合物が、下記の一般式(3)で表されるものであってもよい。
Figure 0005391427
式(3)においてAr、Ar及びArは、それぞれ独立して1又は複数の置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基を表し、かつAr、Ar及びArのうち1又は複数は、注入した電子と正孔との再結合により電気的に励起され発光することができる発光性芳香族残基である。
この場合において、上記の式(3)で表される前記有機化合物及び/又は有機金属化合物が、下記の式(3)’で表されるイリジウム錯体であることが好ましく、下記の式(4)、(5)、(6)及び(7)のいずれかで表されるイリジウム錯体であることがより好ましい。
Figure 0005391427
Figure 0005391427
式(3)’においてL、L及びLはそれぞれ独立して1又は複数の置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基を表し、かつL、L及びLのうち1又は複数は上記の式(2)で表されるホスフィンオキシド基を有している。
式(4)、(5)、(6)及び(7)において、Rは水素原子及び上記の式(2)で表されるホスフィンオキシド基のいずれかを表し、qは1、2及び3のいずれかの自然数を表す。
また、式(4)’においてR、R及びRは、水素原子及び上記の式(2)で表されるホスフィンオキシド基のいずれかを表し、かつR、R及びRのうち少なくとも1つは上記の式(2)で表されるホスフィンオキシド基である。
本発明の第1及び第2の態様において、前記第1のゲスト材料が下記の式(8)で表されるイリジウム錯体であり、前記第2のゲスト材料が下記の式(7)’で表されるイリジウム錯体であることが好ましい。
Figure 0005391427
Figure 0005391427
本発明の第2の態様において、前記基板の前記電極上に1又は複数の有機化合物層が形成されており、前記第1の溶液に含まれる前記有機溶媒が、前記有機化合物層のいずれも溶解及び膨潤させない溶媒であってもよい。
有機EL素子において、発光層への正孔輸送特性を向上させるために、陽極と発光層との間に正孔輸送層や正孔注入層が設けられた構造を採用することが多いが、そのような場合においても、湿式法により第1及び第2の発光層を形成することができる。
本発明によると、多層構造を有する有機電子素子の製造において、湿式法により形成が可能で、かつ電子注入特性、電子輸送特性、耐久性及び発光効率に優れた発光層を有する白色有機電界発光素子及びその製造方法が提供される。
本発明の第1の実施の形態に係る白色有機電界発光素子の縦断面を模式的に示す図である。 実施例1〜4において製造した白色有機電界発光素子における発光スペクトルの第2のゲスト濃度依存性を示す図である。 実施例4において製造した白色有機電界発光素子における発光スペクトルの電流密度依存性を示す図である。 実施例1〜4において製造した白色有機電界発光素子における諸特性を示すグラフである。 実施例4及び比較例において製造した白色有機電界発光素子における諸特性の比較を示すグラフである。 実施例及び比較例において製造した白色有機電界発光素子の発光色の色度を示すグラフである。
続いて、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
(1)白色有機電界発光素子
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る白色有機電界発光素子1は、陽極3と陰極7との間に挟まれるように積層された複数の有機化合物層(陽極3側から順に、正孔注入層4、第1の発光層5、第2の発光層6)を有する白色有機電界発光素子である。
陽極3は透明な基板2上に設けられており、全体が封止部材8で封止されている。
陽極3の上に形成された正孔注入層4は、後述する第1の発光層5の形成に用いられる第1の溶液に溶解したり膨潤したりしない材料からなる。
2つの発光層のうち、陽極側に形成された第1の発光層5は、正孔輸送性能を持つ1又は複数のアルコール系溶媒に不溶な有機化合物である第1のホスト材料(媒体)と、注入された電子と正孔の再結合により発光する1又は複数の有機化合物及び/又は有機金属化合物である第1のゲスト材料(発光中心)とを含み、アルコール系溶媒に不溶な有機化合物からなる。第1の発光層5の陰極側に接する様に湿式法により形成された第2の発光層6は、アルコール系溶媒に可溶な1又は複数のホスフィンオキシド誘導体である第2のホスト材料と、遷移金属元素又はイオンに配位結合していないホスフィンオキシド基を有し、注入された電子と正孔との再結合により発光するアルコール系溶媒に可溶な1又は複数の有機化合物及び/又は有機金属化合物である第2のゲスト材料とを含み、アルコール系溶媒に可溶な有機化合物からなる。第1及び第2のゲスト材料の組み合わせ及び量比は、第1の発光層5からの発光と第2の発光層6からの発光とを重ね合わせると白色となるよう選択されている。
基板2は、白色有機電界発光素子1の支持体となるものである。本実施の形態に係る白色有機電界発光素子1は、基板2側から光を取り出す構成(ボトムエミッション型)であるため、基板2及び陽極3は、それぞれ、実質的に透明(無色透明、着色透明又は半透明)な材料より構成されている。基板2の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
基板2の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜30mm程度であるのが好ましく、0.1〜10mm程度であるのがより好ましい。なお、白色有機電界発光素子1が基板2と反対側から光を取り出す構成(トップエミッション型)の場合、基板2には、透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板の例としては、アルミナ等のセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼等の金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
陽極3は、後述する正孔注入層4に正孔を注入する電極である。この陽極3の構成材料
としては、仕事関数が大きく、導電性に優れる材料を用いるのが好ましい。陽極3の構成材料としては、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウムジルコニウム)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物、Au、Pt、Ag、Cu又はこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。陽極3の平均厚さは、特に限定されないが、10〜200nm程度であるのが好ましく、50〜150nm程度であるのがより好ましい。
一方、陰極7は、後述する電子輸送層6に電子を注入する電極であり、電子輸送層6の有機発光層5と反対側に設けられている。この陰極7の構成材料としては、仕事関数の小さい材料を用いるのが好ましい。陰極7の構成材料としては、例えば、Li、Mg、Ca、Sr、Ba、Na、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rb又はこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種又は任意の2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体等)用いることができる。
特に、陰極7の構成材料として合金を用いる場合には、Ag、Al、Cu等の安定な金属元素を含む合金、具体的には、MgAg、AlLi、CuLi等の合金を用いるのが好ましい。かかる合金を陰極7の構成材料として用いることにより、陰極7の電子注入効率及び安定性の向上を図ることができる。陰極7の平均厚さは、特に限定されないが、50〜10000nm程度であるのが好ましく、80〜500nm程度であるのがより好ましい。
トップエミッション型の場合、仕事関数の小さい材料、又はこれらを含む合金を5〜20nm程度とし、透過性を持たせ、さらにその上面にITO等の透過性の高い導電材料を100〜500nm程度の厚さで形成する。なお、本実施の形態に係る白色有機電界発光素子1はボトムエミッション型であるため、陰極7の光透過性は特に要求されない。
陽極3上には、正孔注入層4が設けられている。正孔注入層4は、陽極3から注入された正孔を受け入れ、第1の発光層5まで輸送する機能を有するものである。正孔注入層4の構成材料としては、例えば、フタロシアニン、銅フタロシアニン(CuPc)、鉄フタロシアニンのような金属又は無金属のフタロシアニン系化合物、酸化ニッケル(NiOx)、酸化バナジウム(VOx)、酸化モリブデン(MoOx)のような金属酸化物半導体、ポリアリールアミン、フルオレン−アリールアミン共重合体、フルオレン−ビチオフェン共重合体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂又はその誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ただし、正孔注入層4の構成材料は、前述のように、第1の発光層5の形成に用いられる第1の溶液に不溶である必要がある。
なお、必要に応じて、正孔注入層4と第1の発光層5との間に、正孔輸送層等の1又は複数の有機化合物層を設けてもよい。その場合において、第1の発光層5と接する層は、第1の発光層5の形成に用いられる第1の溶液に不溶な材料からなるものである必要がある。
また、前記化合物は、他の化合物との混合物として用いることもできる。一例として、ポリチオフェンを含有する混合物としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)等が挙げられる。正孔注入層4には、陽極3及び第1の発光層5に用いられる材料の種類に応じて、正孔の注入効率及び輸送効率の最適化、第1の発光層5及び第2の発光層6からの放射光の再吸収の防止、耐熱性等の観点から適当な1又は複数の材料を適宜選択し、又は組み合わせて用いられる。
例えば、正孔注入層4には、正孔伝導準位(Ev)と陽極3に用いられる材料の仕事関数との差が小さく、放射光の再吸収を防ぐために可視光領域に吸収帯のない材料が好ましく用いられる。また、正孔注入層4には、第1の発光層5の構成材料との間で励起錯体(エキサイプレックス)や電荷移動錯体を形成せず、第1の発光層5において生成した励起子のエネルギーの移動や第1の発光層5からの電子注入を防ぐために、第2の発光層6の励起子エネルギーよりも一重項励起エネルギーが大きく、バンドギャップエネルギーが大きく、電子伝導電位(Ec)が浅い材料が好ましく用いられる。陽極3にITOが用いられる場合、正孔注入層4に好適に用いられる材料の例としては、それぞれ、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)及びポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)が挙げられる。
正孔注入層4の平均厚さは、特に限定されないが、1〜150nm程度であるのが好ましく、3〜50nm程度であるのがより好ましい。
なお、本実施の形態においては、陽極3と第1の発光層5との間に単一の正孔注入層4及び第1の発光層5が形成されているが、必要に応じて、上述のとおり更に正孔輸送層を設けてもよく、或いは同一組成又は組成が互いに異なる3つ以上の層を積層した構造としてもよい。
正孔注入層4上、すなわち、陽極3と反対側の面と隣接して、第1の発光層5が設けられている。この第1の発光層5には、第2の発光層6を介して電子が、また、正孔注入層4から正孔がそれぞれ供給(注入)される。そして、第1の発光層5の内部では、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーにより励起子(エキシトン)が生成し、励起子が基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やリン光)が放出(発光)される。
同様に、第1の発光層5と隣接して、第2の発光層6が設けられている。この第2の発光層6には、陰極7から直接、又は電子輸送層(図示しない)を介して電子が、また、第1の発光層5から正孔がそれぞれ供給(注入)される。そして、第2の発光層6の内部では、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーにより励起子(エキシトン)が生成し、励起子が基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やリン光)が放出(発光)される。
第1の発光層5は、構成材料として、
(I)アルコール系溶媒に不溶な1又は複数の第1のホスト材料と、
(II)1又は複数の有機化合物及び/又は有機金属化合物からなり、注入した電子と正孔との再結合により発光することができる第1のゲスト材料とを含んでいる。
(I)第1のホスト材料
第1のホスト材料は、有機EL素子の製造において発光層のホスト材料として用いられる材料のうちアルコール系溶媒に不溶なものの中から、使用する第1のゲスト材料の種類及び性質(吸収及び発光波長、三重項エネルギー準位等)に応じて適宜選択される。第1のホスト材料の例としては、前述の正孔注入層4に用いることができる正孔輸送特性を有する材料、リン光発光性のゲスト材料等が挙げられる。
(II)第1のゲスト材料
第1のゲスト材料は、有機EL素子の製造において発光材料として用いられる材料から、発光波長、後述する第2のゲスト材料との組み合わせおよび溶媒への溶解性等を考慮して適宜決定される。
第1のゲスト材料としては、低分子系有機化合物もしくは金属錯体、σ共役系もしくはπ共役系高分子材料、または低分子色素含有高分子材料からなる群より選択される任意の1または複数の化合物を用いることができ、蛍光発光性材料およびリン光発光性のいずれについても用いることができるが、リン光発光性の材料であることが好ましい。特に好ましい第1のゲスト材料の例としては、青色の発光を示すFIrpic(下記の式(8)参照)、及び赤色の発光を示す(btp)2Ir(acac)(下記の式(9)参照)等のイリジウム錯体が挙げられる。
Figure 0005391427
Figure 0005391427
第2の発光層6は、構成材料として、
(I)アルコール系溶媒に可溶な1又は複数のホスフィンオキシド誘導体からなる第2のホスト材料と、
(II)遷移金属元素又はイオンに配位結合していないホスフィンオキシド基を有し、アルコール系溶媒に可溶な1又は複数の有機化合物及び/又は有機金属化合物からなり、注入した電子と正孔との再結合により電気的に励起され発光することができる第2のゲスト材料とを含んでいる。
(I)第2のホスト材料
第2のホスト材料を構成する前記ホスフィンオキシド誘導体としては、下記の一般式(1)で表されるものが好ましく用いられる。
Figure 0005391427
式(1)において、
は1又は複数のアリール基及びヘテロアリール基の一方又は双方を有し、任意の1又は複数の炭素原子上に下記の式(2)で表されるホスフィンオキシド基を有していてもよい原子団を表し、
Ar及びArは、それぞれ独立して1又は複数の置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar及びArが結合することによりリン原子を含むヘテロ環を形成していてもよく、
Figure 0005391427
式(2)においてAr及びArは、それぞれ独立して1又は複数の置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar及びArが結合することによりリン原子を含むヘテロ環を形成していてもよい。
に含まれるアリール基及びヘテロアリール基の炭素数は特に限定されないが、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましい。より具体的には、フェニル基等の単環式の芳香族炭化水素基、チオフェン環、トリアジン環、フラン環、ピラジン環、ピリジン環、チアゾール環、イミダゾール環、ピリミジン環等の単環式の複素環基、ナフタレン環、アントラセン環等の縮合多環式芳香族炭化水素基、チエノ[3,2−b]フラン環等の縮合多環式の複素環基、ビフェニル環、ターフェニル環等の環集合式の芳香族炭化水素基、ビチオフェン環、ビフラン環等の環集合式の複素環基、アクリジン環、イソキノリン環、インドール環、カルバゾール環、カルボリン環、キノリン環、ジベンゾフラン環、シンノリン環、チオナフテン環、1,10−フェナントロリン環、フェノチアジン環、プリン環、ベンゾフラン環、シロール環等の芳香族環と複素環との組み合わせからなるものが挙げられる。Ar〜Arに含まれるアリール基についても上記の原子団Rの場合と同様であるが、好ましくはフェニル基である。
式(1)で表されるホスフィンオキシド誘導体のうち、第2のホスト材料として好ましく用いられるのは下記の一般式(10)、(11)及び(12)で表されるホスフィンオキシド誘導体である。
Figure 0005391427
式(10)、(11)及び(12)において、
X及びRは、1又は複数のアリール基及びヘテロアリール基の一方又は双方を有し、1又は複数の置換基を有していてもよい原子団を表し、
Ar〜Ar28はそれぞれ独立して1又は複数の置換基を有していてもよいアリール基を表し、
ArとAr、Ar10とAr11、Ar15とAr16、Ar17とAr18、Ar19とAr20、Ar21とAr22、Ar23とAr24、Ar25とAr26及びAr27とAr28がそれぞれ結合することによりリン原子を含むヘテロ環を形成していてもよい。
X、R、Ar〜Ar28に含まれるアリール基についても上記の原子団Rの場合と同様であるが、Ar〜Ar28は好ましくはフェニル基である。
ホスフィンオキシド誘導体の具体例としては、下記の構造式A〜Qで表されるホスフィンオキシド誘導体が挙げられる。
Figure 0005391427
Figure 0005391427
Figure 0005391427
ホスフィンオキシド誘導体は、市販のものを用いてもよく、第三級ホスフィンの酸化、塩化ホスフィニル又は二塩化ホスホリルとGrignard試薬との反応、ハロゲン化アリールとジアリールホスフィンオキシドとのカップリング、ジハロホスホランの加水分解等の任意の公知の方法を用いて合成して用いてもよい。
ホスフィンオキシド誘導体は任意の1種類を単独で用いてもよく、任意の2種類以上を任意の割合で混合して用いてもよい。白色有機電界発光素子1の製造に用いられる陰極材料や第2の発光層6に含まれるゲスト材料の種類等に応じてホスフィンオキシド誘導体又はその組み合わせを適宜選択することにより、電子注入特性、電子輸送特性及び発光特性を最適化できる。
(II)第2のゲスト材料
第2のゲスト材料を構成する前記有機化合物及び/又は有機金属化合物として好ましいのは、下記の一般式(3)で表されるホスフィンオキシド誘導体である。
Figure 0005391427
式(3)においてAr、Ar及びArは、それぞれ独立して1又は複数の置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基を表し、かつAr、Ar及びArのうち1又は複数は、注入した電子と正孔との再結合により電気的に励起され発光することができる発光性芳香族残基である。
発光性芳香族残基の例としては、1,3,5−トリス[(3−フェニル−6−トリフルオロメチル)キノキサリン−2−イル]ベンゼン(TPQ1)、1,3,5−トリス[{3−(4−t−ブチルフェニル)−6−トリフルオロメチル}キノキサリン−2−イル]ベンゼン(TPQ2)等のアリール基又はヘテロアリール基、トリス(8−ヒドロキシキノリノレート)アルミニウム(Alq3)、ファクトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)等の芳香族化合物を配位子とする有機金属錯体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
好ましい第2のゲスト材料の例としては、下記の式(3)’で表されるイリジウム錯体(本発明の第2の実施の形態に係る有機電界発光材料)が挙げられる。
Figure 0005391427
式(3)’においてL、L及びLはそれぞれ独立して1又は複数の置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基を表し、かつL、L及びLのうち1又は複数は上記の式(2)で表されるホスフィンオキシド基(1又は複数のいずれであってもよい。)を有している。
より好ましいゲスト材料は、下記の式(4)、(5)、(6)及び(7)で表されるイリジウム錯体であり、特に好ましいゲスト材料は、下記の式(7)’で表されるイリジウム錯体(Ir(pdpiq)3:式(7)において、q=3かつRが1−イソキノリル基のp−位に結合したジフェニルホスフィンオキシド基であるものに相当する。)である。式(7)’で表されるIr(pdpiq)3錯体は、赤色の発光を示すリン光色素であり、第1のゲスト材料としてFIrpic(上記の式(8)で表されるイリジウム錯体系青色発光材料)と組み合わせて用いることにより、良好な白色発光を高効率で得ることができる点で白色有機電界発光素子1の製造に特に好ましく用いることができる。
Figure 0005391427
Figure 0005391427
なお、式(4)、(5)、(6)及び(7)において、Rは水素原子及び上記の式(2)で表されるホスフィンオキシド基のいずれかを表し、qは1、2及び3のいずれかの自然数を表す。
式(4)、(5)、(6)及び(7)で表されるイリジウム錯体中の、2−フェニルピリジン骨格又は1−フェニルイソキノリン骨格を有する配位子は、例えば、下記のスキーム1及びスキーム2のいずれかにしたがって合成できる。なお、スキーム1及び2では、2−フェニルピリジン骨格を有するものについて説明しているが、2−ブロモピリジンの代わりに1−クロロイソキノリンを用いることにより、1−フェニルイソキノリン骨格を有する配位子も合成できる。また、スキーム1において、ジフェニルホスフィン酸クロリドの代わりにジフェニルクロロホスフィンを用い、得られるホスフィン誘導体を過酸化水素等で酸化してホスフィンオキシド誘導体に変換してもよい。
スキーム1
Figure 0005391427
スキーム2
Figure 0005391427
このようにして得られた配位子をIrCl・3HOと反応させると、塩素架橋型二核錯体が得られる。これを更に配位子と反応させると、目的のイリジウム錯体が得られる(スキーム3参照)。
スキーム3
Figure 0005391427
或いは、塩素架橋型二核錯体を銀塩の存在下アセトニトリルと反応後、更に配位子と反応させてもよい(スキーム4参照)。
スキーム4
Figure 0005391427
このようにして得られるイリジウム錯体には、下式に示すように、配位子の配座による2種類の異性体(メリディオナル体(mer−体)及フェイシャル体(fac−体))が存在する。これらの異性体の存在比は反応条件等に依存する。いずれの異性体もリン光発光を示すが、一般にfac−体の方が、発光寿命が長く、量子収率も高い。そこで、両異性体の混合物が得られる場合に、紫外光照射等によりmer−体をfac−体に異性化させてもよい。
Figure 0005391427
(III)第1及び第2のゲスト材料の組み合わせ
第1の発光層5に含まれる第1のゲスト材料及び第2の発光層6に含まれる第2のゲスト材料の組み合わせ及び量比は、第1の発光層5からの発光と第2の発光層6からの発光とを重ね合わせると白色となるよう選択される。例えば、第1及び第2のゲスト材料は、それらの発光色が互いに補色の関係にあり、かつ一方がアルコール系溶媒に可溶であり他方がアルコール系溶媒に不溶であるものから選択される。発光色は、色度測定システム等の任意の方法及び装置を用いて決定でき、その結果は、例えば、CIE−XYZ表色系等を用いて表現できる。2つのゲスト材料の発光色が互いに補色の関係であるか否かについては、CIE−xy色度図を用いて判定できる。より具体的には、2つのゲスト材料の発光色より求めた座標値をCIE−xy色度図上にプロットし、両者の点を結ぶ線分が色度図上の白色点(0.33,0.33)を通るか否かによって判定できる。第1及び第2の発光層5、6にそれぞれ含まれる第1及び第2のゲスト材料の量及び各発光層5、6の厚さについては、発光色の色調や駆動電圧等に応じて適宜決定される。
湿式法による第2の発光層6の形成は、ホスト材料、ゲスト材料をアルコール系溶媒に溶解した第2の溶液を第1の発光層5上に供給した後、乾燥(脱溶媒又は脱分散媒)することにより形成することができる。
第2の溶液に用いられるアルコール系溶媒としては、正孔注入層4及び第1の発光層5を溶解又は膨潤させにくく、ホスト材料、ゲスト材料の溶解性が高い任意のアルコール系溶媒を用いることができ、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜4の単価アルコールが用いられる。このようなアルコール系溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、任意の2以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
第2の溶液中に含まれるホスト材料、ゲスト材料の好ましい濃度範囲は、これらの材料の溶解度及び溶媒の揮発性等に依存するために必ずしも一義的に決定できないが、例えば、合計濃度で0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜2重量%である。ホスト材料、ゲスト材料の濃度が低すぎると、膜厚の大きな第2の発光層6を形成するために必要な作業時間が増大するため生産性が低下する。逆にホスト材料、ゲスト材料の濃度が高すぎると、これらの材料が沈殿したり、溶液(発光層形成用材料)の粘度が高くなりすぎて作業性が低下したりするおそれがある。
有機電子輸送材料形成用組成物の製造にあたり、個別に調製したそれぞれの原料の溶液を混合してもよい。この場合において、それぞれの溶液に使用する溶媒は同一であってもよいが、均一な溶液が得られるならば互いに異なっていてもよい。これにより、ホスフィンオキシド誘導体と金属化合物の溶解性が大きく異なっており、所望の量比で混合することが困難な場合においても、溶液の調製が可能となる。さらに、前記いずれの液状材料の調製方法においても、ホスト材料及びゲスト材料の比が所望の値となるよう混合することができる。なお、ゲスト材料の含有量は、ホスト材料に対して1〜25wt%であることが好ましい。
なお、第2の発光層6が他の発光物質を更に含んでいてもよい。この場合において、添加される発光物質はアルコール系溶媒に可溶なものである必要がある。
第2の発光層6の平均厚さは特に限定されないが、10〜150nm程度であるのが好ましく、30〜100nm程度であるのがより好ましい。
封止部材8は、白色有機電界発光素子1(陽極3、正孔注入層4、第1の発光層5、第2の発光層6及び陰極7)を覆うように設けられ、これらを気密的に封止し、酸素や水分を遮断する機能を有する。封止部材8を設けることにより、白色有機電界発光素子1の信頼性の向上や、変質及び劣化の防止(耐久性向上)等の効果が得られる。
封止部材8の構成材料としては、例えば、Al、Au、Cr、Nb、Ta、Ti又はこれらを含む合金、酸化シリコン、ガラス、各種樹脂材料等を挙げることができる。なお、封止部材8の構成材料として導電性を有する材料を用いる場合には、短絡を防止するために、封止部材8と白色有機電界発光素子1との間には、必要に応じて、絶縁膜を設けるのが好ましい。また、封止部材8は、平板状として、基板2と対向させ、これらの間を、例えば熱硬化性樹脂等のシール材で封止するようにしてもよい。
第2の発光層6と陰極7との間には、図示しない電子輸送層が設けられていてもよい。この電子輸送層は、陰極7から注入された電子を第2の発光層6まで輸送する機能を有するものである。電子輸送層の構成材料としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体等を用いることができる。
また、電子輸送層には、電子供与性ドーパントを含有させることができる。電子輸送層に導入される電子供与性ドーパントとしては、電子供与性で有機化合物を還元する性質を有していればよく、Li等のアルカリ金属、Mg等のアルカリ土類金属、希土類金属を含む遷移金属や還元性有機化合物等が好適に用いられる。金属としては、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Cs、La、Sm、Gd、及びYb等が挙げられる。また、還元性有機化合物としては、例えば、含窒素化合物、含硫黄化合物、含リン化合物(第2の発光層6においてホスト材料として用いられるホスフィンオキシド誘導体も含まれる。)等が挙げられる。この他にも、特開平6−212153号公報、特開2000−196140号公報、特開2003−68468号公報、特開2003−229278号公報、特開2004−342614等に記載の材料を用いることができる。
電子輸送層の平均厚さは特に限定されないが、1〜100nm程度であるのが好ましく、10〜50nm程度であるのがより好ましい。更に、陰極7と第2の発光層6又は電子輸送層との間には、必要に応じて、LiF等からなる電荷注入層が設けられていてもよい。
白色有機電界発光素子1は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、基板2を用意し、この基板2上に陽極3を形成する。
陽極3は、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電界メッキ、浸漬メッキ、無電界メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等を用いて形成することができる。
次に、陽極3上に正孔注入層4及び第1の発光層5を順次形成する。
正孔注入層4及び第1の発光層5は、例えば、正孔注入材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散してなる正孔注入層形成用溶液を陽極3上に供給した後、乾燥(脱溶媒又は脱分散媒)し、次いで第1のホスト材料及び第1のゲスト材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散した第1の溶液を正孔注入層4上に供給した後、乾燥することにより形成することができる。正孔注入層形成用溶液及び第1の溶液の供給方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の各種塗布法を用いることができる。このような塗布法を用いることにより、正孔注入層4及び第1の発光層5を比較的容易に形成することができる。
正孔注入層形成用溶液及び第1の溶液の調製に用いる溶媒又は分散媒としては、例えば、硝酸、硫酸、アンモニア、過酸化水素、水、二硫化炭素、四塩化炭素、エチレンカーボネイト等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等のアルコール系溶媒(ただし、正孔注入材料、第1のホスト材料及び第1のゲスト材料が不溶な場合には、分散媒としてのみ使用できる)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル系溶媒、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸系溶媒のような各種有機溶媒、又は、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
なお、乾燥は、例えば、大気圧又は減圧雰囲気中での放置、加熱処理、不活性ガスの吹付け等により行うことができる。
また、本工程に先立って、陽極3の上面に酸素プラズマ処理を施すようにしてもよい。これにより、陽極3の上面に親液性を付与すること、陽極3の上面に付着する有機物を除去(洗浄)すること、陽極3の上面付近の仕事関数を調整すること等を行うことができる。
ここで、酸素プラズマ処理の条件としては、例えば、プラズマパワー100〜800W程度、酸素ガス流量50〜100mL/min程度、被処理部材(陽極3)の搬送速度0.5〜10mm/sec程度、基板2の温度70〜90℃程度とするのが好ましい。
次に、第1の発光層5上に、第2の発光層6を形成する。
第2の発光層6は、例えば、上述のホスト材料及びゲスト材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散した第2の溶液を第1の発光層5上に供給した後、乾燥(脱溶媒又は脱分散媒)することにより形成することができる。発光層形成用材料の供給方法及び乾燥の方法は、正孔注入層4及び第1の発光層5の形成で説明したのと同様であるため、詳しい説明を省略する。
次に、必要に応じて、電子輸送材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散した有機電子輸送材料形成用溶液を第2の発光層6上に供給した後乾燥することにより、電子輸送層を形成してもよい。有機電子輸送材料形成用溶液の供給方法及び乾燥の方法は、正孔注入層4及び第1の発光層5の形成で説明したのと同様であるため、詳しい説明を省略する。
最後に、電子輸送層6上(有機発光層5と反対側)に、陰極7を形成する。
陰極7は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、金属箔の接合、金属微粒子インクの塗布及び焼成等を用いて形成することができる。
最後に、得られた白色有機電界発光素子1を覆うように封止部材8を被せ、基板2に接合する。
以上のような工程を経て、白色有機電界発光素子1が得られる。
以上のような製造方法によれば、有機層(正孔注入層4、第1の発光層5、第2の発光層6)の形成や、金属微粒子インクを使用する場合は陰極7の形成においても、真空装置等の大掛かりな設備を要しないため、白色有機電界発光素子1の製造時間及び製造コストの削減を図ることができる。また、インクジェット法(液滴吐出法)を適用することで、大面積の素子の作製が容易となる。
なお、本実施の形態では、正孔注入層4を液相プロセスにより製造することとして説明したが、用いる正孔注入材料の種類に応じて、正孔注入層及び/又は正孔輸送層を真空蒸着法等の気相プロセスにより形成するようにしてもよい。
このような白色有機電界発光素子1は、各種光源及び白色照明用途に使用することができる。白色有機電界発光素子1は、自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ機器、自動車パネル、表示板、標識等に使用されるバックライトであってもよい。特に液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパーソナルコンピュータ用途のバックライトとしては、蛍光灯や導光板からなる従来のものに比べ、薄型化、軽量化が可能になる。
白色有機電界発光素子1に供給される電気エネルギー源としては、主に直流電流であるが、パルス電流や交流電流を用いることも可能である。電流値及び電圧値は特に制限はないが、素子の消費電力、寿命を考慮するとできるだけ低いエネルギーで最大の輝度が得られるようにするべきである。
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明する。
実施例1〜4:白色有機電界発光素子の製造
(I)第2のホスト材料の合成
使用した第2のホスト材料(ホスフィンオキシド誘導体:上記の式A〜Qで表されるもの)のうち国際公開第2005/104628号パンフレットに記載のものは、同パンフレットに記載の方法にしたがい合成した。
(II)第2のゲスト材料の合成
トリス[(1−(4−ジフェニルホスホリル)イソキノリナト−N,C2’)]イリジウム(III)(Ir(pdpiq)3)の合成
(II−1)4−ブロモフェニルジフェニルホスフィンオキシド(pBrdppo)の合成
Figure 0005391427
マグネシウム2.16g(88.9mmol)にTHF 5mLを加え、0℃で1,4−ジブロモベンゼン22g(93.2mmol)のTHF溶液を滴下した。マグネシウムがなくなるまで撹拌し、THF40mLを加えさらに1時間撹拌した。0℃に冷却し、ジフェニルホスフィン酸クロリド15.7mL(84.5mmol)を滴下した。室温で一晩撹拌した。反応終了後、1N塩酸で加水分解した。ジクロロメタンで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。有機層を濃縮し、充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール〉により精製した。この溶液を濃縮し、シクロヘキサンで再結晶した。FAB−MSによりm/z=357({M])を確認した。
収量:13.4g、収率:44.2%
(II−2)1−(4−ジフェニルホスフィンオキシド)イソキノリン(pdpiq)の合成
Figure 0005391427
4−ブロモフェニルジフェニルホスフィンオキシド(上記II−1で合成)10.7g(30mmol)のTHF(30mL)溶液に、iPrMgCl(2M ジエチルエーテル溶液)17mL(34mmol)を室温で滴下した。2時間撹拌した。1−クロロイソキノリン5.89g(36mmol)、Ni(dppp)Cl2 0.54g(1mmol)を加え、48h環流させた。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液で反応をクエンチした。ジクロロメタンで抽出し、有機層に6N塩酸を加え2回抽出した。水層を中和し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)にて精製した。FAB−MSによりm/z=406([M]+を確認した。シクロヘキサンで再結晶した。
収量:2.30g、収率:18.8%
(II−3)テトラキス(1−(4−ジフェニルホスホリル)イソキノリナト−N,C2’)(μ−ジクロロ)ジイリジウム(III)([Ir(pdpiq)2Cl]2)の合成
Figure 0005391427
pdpiq(上記II−2で合成)1.3g(3.2mmol)、塩化イリジウム0.42g(1.2mmol)に2−エトキシエタノール20mL、水6mLを加え、撹拌しながら一晩環流させた。反応終了後、室温まで冷却し水を加え生成物を沈殿させた。沈殿物をろ取し、水で洗浄し、乾燥させた。
収量:1.24g、収率:100%
(II−4)ビス(アセトニトリル)ビス[(1−(4−ジフェニルホスホリル)イソキノリナト−N,C2’)]イリジウム(III)テトラフルオロボレート(Ir(pdpiq)2(CH3CN)2BF4)の合成
Figure 0005391427
[Ir(pdpiq)2Cl]2(上記II−3で合成)1.24g(0.60mmol)、テトラフルオロホウ酸銀0.26g(1.35mmol)にアセトニトリル34mLを加えて6時間環流させた。反応終了後、ろ過により白色沈殿物を取り除き、溶液をエバボレーターで濃縮した。
収量:1.37g、収率=98.6%
(II−5)トリス[(1−(4−ジフェニルホスホリル)イソキノリナト−N,C2’)]イリジウム(III)(Ir(pdpiq)3)の合成
Figure 0005391427
[Ir(pdpiq)2(CH3CN)2]BF4(上記II−4で合成)1.33g(1.14mmol)、pdpiq(上記V−1で合成)1.38g(3,4mmol)にプロピレングリコール40mLを加え160℃で反応させた。反応終了後、ジクロロメタンで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶液をエバボレーターで濃縮し、充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で精製した。FAB−MSによりm/z=1408([M+3])を確認した。
粗収量:1.25g、粗収率:78.1%
(IV)積層型有機EL素子(白色有機電界発光素子)の製造
素子構造は、陰極と第2の発光層の間に電子注入層を設けたこと以外は全て図1に示した構造と同様である。各層の材料及び膜厚は下記のとおりである。
陽極:ITO(150nm)
正孔注入層:PEDOT−PSS(30nm)
第1の発光層:PVK−FIrpic(70nm)
第2の発光層:TPPO-burst(後述)−Ir(pdpiq)3(30nm)
電子注入層:LiF(0.5nm)
陰極:Al(100nm)
ITO基板は、膜厚150nmのものを使用し、フルウチ化学製セミコクリーン56、アセトン、イソプロプルアルコールで超音波洗浄した後、UV/O洗浄を行った。正孔注入材料としては、PEDOT−PSS(BAYTRON P CH8000)を用い、スピンコート法によりITO陽極上に膜厚30nmの正孔注入層を形成した。成膜後、大気中にて180℃で1時間乾燥した。次に、ポリビニルカルバゾール(PVK:市販品を使用)を第1のホスト材料、FIrpic(上記式(8)参照:市販品を使用)を第1のゲスト材料として1−2ジクロロエタンを溶媒に用いてスピンコート法(露点−60〜−70℃のN雰囲気下(美和製作所製グローブボックス内)、MIKASA製のスピンコーター使用)で第1の発光層を形成した。PVKとFIrpicの比率は88:12(w/w)とした。
成膜後、窒素雰囲気中にて100℃で1時間乾燥した。次に、第2のホスト材料としてTPPO-burst(下記の式B参照)、第2のゲスト材料としてIr(pdpiq)3(上記式(7)’参照)を用い、1−ブタノールを溶媒としてスピンコート法(グローブボックス内)で成膜した。成膜後、窒素雰囲気中にて100℃で1時間乾燥した。第2のホスト材料に対する第2のゲスト材料の濃度は0.4wt%(実施例1)、1.2wt%(実施例2)、3.0wt%(実施例3)、5.0wt%(実施例4)とした。第1及び第2の発光層の膜厚はそれぞれ70nm,30nmであった。
Figure 0005391427
次に電極としてLiF(0.5nm)/Al(100nm)を真空蒸着法で形成した。陰極(Al、純度99.999%)及び電子注入層(LiF)の蒸着には、チャンバー圧1×10−4Paの高真空蒸着装置を用いた。蒸着速度は、LiFについては0.1Å/s、Alについては1Å/sとした。陰極の成膜が完了後、素子を窒素置換したグローブボックス内に直ちに移動し、ガラスキャップ及びUV硬化樹脂を用いて素子を封止した。
比較例:
正孔注入層までの工程は上記の実施例1〜4と同じである。正孔注入層を成膜後、ホスト材料としてPVK、ゲスト材料としてFIrpicとIr(btp)2(acac)(下記の式(9)参照:市販品を使用)を用い、1−2ジクロロエタンを溶媒としてスピンコート法で90nmの発光層を形成した。成膜後、窒素雰囲気中にて100℃で1時間乾燥した。ホスト材料中のゲスト材料の濃度はFIrpicが12wt%、Ir(btp)2(acac)は0.2wt%とした。
次に、電極としてCa(10nm)/Al(100nm)を真空蒸着法で形成し、最後にグローブボックス内でUV硬化樹脂を用いてガラスキャップを接着して封止した。
Figure 0005391427
(5)素子及び材料特性の評価
作製したEL素子の電圧−電流−輝度特性はKEITHLEY製DC電圧電流電源・モニター(Source Mater 2400)を用いて0Vから20Vまで電圧を印加して0.4Vステップ毎電流値を測定した。発光輝度はコニカミノルタ製輝度計(LS−110)を用いて測定した。ELスペクトルと色度の測定にはコニカミノルタ製分光放射輝度計(CS−1000A)を用いた。
電流効率η[cd/A]と外部量子効率ηext[%]は、上記の測定結果から計算して算出した。
下記の表1に実施例及び比較例の実験結果を示す。なお、表1において、「色度」は輝度100cd/mにおけるCIE−xy色度の測定値である。
Figure 0005391427
実施例1(Ir(pdpiq)3濃度0.4wt%)において製造された有機電界発光素子の場合、発光色は、FIrpicのみを用いて製造した有機電界発光素子とほぼ同じ発光色であったが、16.1%の高い外部量子効率が得られた。これは、第1及び第2の発光層の界面で電子と正孔が効率良く再結合しているためと考えられる。一方、実施例4(Ir(pdpiq)3濃度5.0wt%)において製造された有機電界発光素子の場合には良好な白色発光が得られ、このときの外部量子効率は6.7%であった。比較例1の混合型白色発光素子の外部量子効率は5.0%であった。
以上の結果より、実施例1〜4及び比較例に係る有機電界発光素子は、同様の材料を用いて製造されたものであるにも関わらず、実施例1〜4に係る有機電界発光素子の場合、積層構造を取ることにより外部量子効率の向上が認められることがわかった。
1 白色有機電界発光素子
2 基板
3 陽極
4 正孔注入層
5 第1の発光層
6 第2の発光層
7 陰極
8 封止部材

Claims (15)

  1. 陽極と陰極との間に挟まれるように積層された複数の有機化合物層を有する白色有機電界発光素子において、
    陽極側に形成され、アルコール系溶媒に不溶な有機化合物からなる第1の発光層と、
    前記第1の発光層の陰極側に接する様に湿式法により形成され、アルコール系溶媒に可溶な有機化合物からなる第2の発光層とを有し、
    前記第1の発光層が、正孔輸送性能を持つ1又は複数のアルコール系溶媒に不溶な有機化合物である第1のホスト材料と、注入された電子と正孔の再結合により発光する1又は複数の有機化合物及び/又は有機金属化合物である第1のゲスト材料とを含み、
    前記第2の発光層が、アルコール系溶媒に可溶な1又は複数のホスフィンオキシド誘導体である第2のホスト材料と、遷移金属元素又はイオンに配位結合していないホスフィンオキシド基を有し、注入された電子と正孔との再結合により発光するアルコール系溶媒に可溶な1又は複数の有機化合物及び/又は有機金属化合物である第2のゲスト材料とを含み、
    前記第1の発光層からの発光と前記第2の発光層からの発光とを重ね合わせると白色となるよう、前記第1及び第2のゲスト材料が選択されていることを特徴とする白色有機電界発光素子。
  2. 前記第2のホスト材料を構成する前記ホスフィンオキシド誘導体が、下記の一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1記載の白色有機電界発光素子。
    Figure 0005391427
    式(1)において、
    は1又は複数のアリール基及びヘテロアリール基の一方又は双方を有し、任意の1又は複数の炭素原子上に下記の式(2)で表されるホスフィンオキシド基を有していてもよい原子団を表し、
    Ar及びArは、それぞれ独立して1又は複数の置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar及びArが結合することによりリン原子を含むヘテロ環を形成していてもよく、
    Figure 0005391427
    式(2)においてAr及びArは、それぞれ独立して1又は複数の置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar及びArが結合することによりリン原子を含むヘテロ環を形成していてもよい。
  3. 上記の式(1)で表される前記ホスフィンオキシド誘導体が、下記の式AからQのいずれかで表されるホスフィンオキシド誘導体からなる群より選択される1又は複数のホスフィンオキシド誘導体であることを特徴とする請求項2記載の白色有機電界発光素子。
    Figure 0005391427
    Figure 0005391427
    Figure 0005391427
  4. 前記第2のゲスト材料を構成する前記有機化合物及び/又は有機金属化合物が、下記の一般式(3)で表されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の白色有機電界発光素子。
    Figure 0005391427
    式(3)においてAr、Ar及びArは、それぞれ独立して1又は複数の置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基を表し、かつAr、Ar及びArのうち1又は複数は、注入した電子と正孔との再結合により電気的に励起され発光することができる発光性芳香族残基である。
  5. 上記の式(3)で表される前記有機化合物及び/又は有機金属化合物が、下記の式(3)’で表されるイリジウム錯体であることを特徴とする請求項4記載の白色有機電界発光素子。
    Figure 0005391427
    式(3)’においてL、L及びLはそれぞれ独立して1又は複数の置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基を表し、かつL、L及びLのうち1又は複数は上記の式(2)で表されるホスフィンオキシド基を有している。
  6. 上記の式(3)’で表される前記イリジウム錯体が、下記の式(4)、(5)、(6)及び(7)のいずれかで表されるイリジウム錯体であることを特徴とする請求項5記載の白色有機電界発光素子。
    Figure 0005391427
    式(4)、(5)、(6)及び(7)において、Rは水素原子及び下記の式(2)で表されるホスフィンオキシド基のいずれかを表し、qは1、2及び3のいずれかの自然数を表す。
  7. 前記第1のゲスト材料が下記の式(8)で表されるイリジウム錯体であり、前記第2のゲスト材料が下記の式(7)’で表されるイリジウム錯体であることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項記載の白色有機電界発光素子。
    Figure 0005391427
    Figure 0005391427
  8. 少なくとも陽極が表面に形成された基板の該電極側の表面に、正孔輸送性能を持つ1又は複数のアルコール系溶媒に不溶な有機化合物である第1のホスト材料と、注入された電子と正孔の再結合により発光する1又は複数の有機化合物及び/又は有機金属化合物である第1のゲスト材料と有機溶媒とを含む第1の溶液を用いて湿式法により第1の発光層を形成する工程と、
    前記第1の発光層の表面に、アルコール系溶媒に可溶な1又は複数のホスフィンオキシド誘導体である第2のホスト材料と、遷移金属元素又はイオンに配位結合していないホスフィンオキシド基を有し、注入された電子と正孔との再結合により発光するアルコール系溶媒に可溶な1又は複数の有機化合物及び/又は有機金属化合物である第2のゲスト材料とアルコール系溶媒とを含む第2の溶液を用いて湿式法により第2の発光層を形成する工程とを有することを特徴とする白色有機電界発光素子の製造方法。
  9. 前記基板の前記電極上に1又は複数の有機化合物層が形成されており、前記第1の溶液に含まれる前記有機溶媒が、前記有機化合物層のいずれも溶解及び膨潤させない溶媒であることを特徴とする請求項8記載の白色有機電界発光素子の製造方法。
  10. 前記第2のホスト材料を構成する前記ホスフィンオキシド誘導体が、下記の一般式(1)で表されることを特徴とする請求項8及び9のいずれか1項記載の白色有機電界発光素子の製造方法。
    Figure 0005391427
    式(1)において、
    は1又は複数のアリール基及びヘテロアリール基の一方又は双方を有し、任意の1又は複数の炭素原子上に下記の式(2)で表されるホスフィンオキシド基を有していてもよい原子団を表し、
    Ar及びArは、それぞれ独立して1又は複数の置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar及びArが結合することによりリン原子を含むヘテロ環を形成していてもよく、
    Figure 0005391427
    式(2)においてAr及びArは、それぞれ独立して1又は複数の置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar及びArが結合することによりリン原子を含むヘテロ環を形成していてもよい。
  11. 上記の式(1)で表される前記ホスフィンオキシド誘導体が、下記の式AからQのいずれかで表されるホスフィンオキシド誘導体からなる群より選択される1又は複数のホスフィンオキシド誘導体であることを特徴とする請求項10記載の白色有機電界発光素子の製造方法。
    Figure 0005391427
    Figure 0005391427
    Figure 0005391427
  12. 前記第2のゲスト材料を構成する前記有機化合物及び/又は有機金属化合物が、下記の一般式(3)で表されることを特徴とする請求項8から10のいずれか1項記載の白色有機電界発光素子の製造方法。
    Figure 0005391427
    式(3)においてAr、Ar及びArは、それぞれ独立して1又は複数の置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基を表し、かつAr、Ar及びArのうち1又は複数は、注入した電子と正孔との再結合により電気的に励起され発光することができる発光性芳香族残基である。
  13. 上記の式(3)で表される前記有機化合物及び/又は有機金属化合物が、下記の式(3)’で表されるイリジウム錯体であることを特徴とする請求項12記載の白色有機電界発光素子の製造方法。
    Figure 0005391427
    式(3)’においてL、L及びLはそれぞれ独立して1又は複数の置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基を表し、かつL、L及びLのうち1又は複数は上記の式(2)で表されるホスフィンオキシド基を有している。
  14. 上記の式(3)’で表される前記イリジウム錯体が、下記の式(4)、(5)、(6)及び(7)のいずれかで表されるイリジウム錯体であることを特徴とする請求項13記載の白色有機電界発光素子の製造方法。
    Figure 0005391427
    式(4)、(5)、(6)及び(7)において、Rは水素原子及び下記の式(2)で表されるホスフィンオキシド基のいずれかを表し、qは1、2及び3のいずれかの自然数を表す。
  15. 前記第1のゲスト材料が下記の式(8)で表されるイリジウム錯体であり、前記第2のゲスト材料が下記の式(7)’で表されるイリジウム錯体であることを特徴とする請求項11から14のいずれか1項記載の白色有機電界発光素子の製造方法。
    Figure 0005391427
    Figure 0005391427
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