JP5388691B2 - 触媒層および膜電極接合体の製造方法 - Google Patents

触媒層および膜電極接合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、触媒層および膜電極接合体の製造方法に関するものである。
特許文献1には、多孔質白金酸化物からなる構造体に、白金酸化物の触媒作用で加水分解反応を起こし、重合可能基を生成する疎水性置換基を有するSi化合物を接触させ、その後に白金酸化物を還元する方法が記載されている。これにより、触媒層にメチルシロキサンなどからなる疎水剤を簡便に添加することができる。
特開2006−332041号公報
しかしながら、特許文献1に記載の多孔質触媒層における長時間の耐水性は十分とまでは言えず、更なる改善が望まれていた。
そこで、本発明は、長時間にわたって耐水性が良い触媒層および膜電極接合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、
1)少なくとも白金酸化物を含む触媒前駆体層の表面に、Siと、該Siと結合している−OHまたは該Siと結合しており加水分解により−OHとなる基と、疎水性基と、を有するSi化合物を付与する工程と、
2)前記Si化合物が付与された触媒前駆体層の表面に、金属原子と該金属原子と結合している−OHまたは前記金属原子と結合しており加水分解により−OHとなる基とを有する金属化合物と、プロトン伝導性高分子電解質と、を含む混合物を付与する工程と、
3)前記混合物が付与された触媒前駆体層を還元する工程と、
を有することを特徴とする触媒層の製造方法である。
また、別の本発明は、
膜電極接合体の製造方法であって、
前記1)〜3)の工程に加えて、
前記2)の工程の後かつ3)の工程の前に、もしくは3)の工程の後に、前記混合物が付与された触媒前駆体層を高分子電解質膜の表面に転写もしくは接合させる工程を有することを特徴とする膜電極接合体の製造方法である。
また、別の本発明は、
i)少なくとも白金酸化物を含む触媒前駆体層の表面に、Siと、該Siと結合している−OHまたは該Siと結合しており加水分解により−OHとなる基と、疎水性基と、を有するSi化合物を付与する工程と、
ii)前記触媒前駆体層を還元して触媒構造体(a)を得る工程と、
iii)前記触媒構造体(a)の表面に、金属原子と該金属原子と結合している−OHまたは前記原子と結合しており加水分解により−OHとなる基とを有する金属化合物と、プロトン伝導性高分子電解質と、を含む混合物を付与する工程と、
を有することを特徴とする触媒層の製造方法である。
また、別の本発明は、
膜電極接合体の製造方法であって、
前記i)〜iii)の工程に加えて、
iii)の工程の後に、前記混合物が付与された触媒前駆体層を高分子電解質膜の表面に転写もしくは接合させる工程を有することを特徴とする膜電極接合体の製造方法である。
本発明によれば、触媒層表面に存在する疎水剤の流出を防止し、長時間にわたって耐水性が良い触媒層および膜電極接合体の製造方法を提供することができる。
固体高分子型燃料電池セルを示す模式図である。 本発明の第1を示すフロー図である。 本発明の第2を示すフロー図である。 実施例1〜8および比較例1の燃料電池セルの評価装置を示す模式図である。 実施例7及び比較例1の燃料電池セルの電圧―電流密度特性を示す図である。
以下、図面を参照して、好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。なお、以下の説明では、燃料電池が固体高分子型燃料電池である場合を例にとって説明する。
はじめに、単セル構造の固体高分子型燃料電池の構成について説明する。
図1は、単セル構造の固体高分子型燃料電池の断面構成を表す模式図の一例である。図1において、1は固体高分子電解質膜であり、固体高分子電解質膜1を挟んで一対の触媒層(すなわち、アノード側触媒層2およびカソード側触媒層3)が配置される。そして、アノード側触媒層2に接してアノード側ガス拡散層4が配置され、カソード側触媒層3に接してカソード側ガス拡散層5が配置される。また、アノード側ガス拡散層4に接してアノード側集電体6およびカソード側ガス拡散層5に接してカソード側集電体7が各々配置される。また、8は、固体高分子電解質膜1が有する2つの主面に、各々アノード側触媒層2およびカソード側触媒層3が配置された膜電極接合体である。ここで、固体高分子電解質膜1が有する2つの主面とは、固体高分子電解質膜1が有する対向する2つの面のうち最も面積が大きい面のことである。
固体高分子電解質膜1は、アノード側で生成したプロトン(H)をカソード側に伝達する機能(プロトン伝導機能)を有する高分子電解質膜であり、プロトン伝導性基を有する高分子化合物からなる。このような高分子電解質膜の例としては、Nafion(登録商標、デュポン社製)などのスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体、スルホン化もしくはリン酸化された芳香族ポリエーテルケトン、ポリスルホンなどが挙げられる。
アノード側触媒層2およびカソード側触媒層3は、燃料電池反応の反応場としての機能を有する。本発明によって得られる触媒層は、アノード側触媒層2もしくはカソード側触媒層3のいずれかに用いても良いし、アノード側触媒層2およびカソード側触媒層3の両方に用いても良い。しかしながら、生成水が滞留しやすいことからすれば、少なくともカソード側触媒層3には本発明によって得られる触媒層が配置されることが好ましい。なお、本発明によって得られる触媒層が、前記アノード触媒層2もしくはカソード触媒層3のいずれか一方のみに用いられる場合、他方の触媒層としては、白金黒、白金担持カーボンなどを用いることができる。
アノード側ガス拡散層4およびカソード側ガス拡散層5は、膜電極接合体8に酸素もしくは燃料を供給する役割を有する。アノード側ガス拡散層4およびカソード側ガス拡散層5は、複数のサブレイヤーで構成されていることが好ましい。複数のサブレイヤーで構成されている場合は、アノード側ガス拡散層4およびカソード側ガス拡散層5が有するサブレイヤーのうち膜電極接合体8と接触するサブレイヤーがその他のサブレイヤーと比較して孔の平均径が小さいことが好ましい。具体的には、ガス拡散層を2つのサブレイヤーで構成する場合、図1に示したように、アノード側ガス拡散層4およびカソード側ガス拡散層5のうちの膜電極接合体8と接触するサブレイヤー9の孔の平均径を、アノード側ガス拡散層4およびカソード側ガス拡散層5を構成するその他のサブレイヤー10の平均径よりも小さくすることが好ましい。
なお、以降は、アノード側ガス拡散層4およびカソード側ガス拡散層5が有するサブレイヤーのうち膜電極接合体8と接触するサブレイヤーがその他のサブレイヤーと比較して孔の平均径が小さい場合、膜電極接合体8と接触するサブレイヤーをマイクロポーラスレイヤー(MPL)と呼ぶ場合がある。
MPLとしては、例えば、PTFEをバインダーとして用いた炭素微粒子などを用いることができる。炭素微粒子の例としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長によって形成される繊維状カーボン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。
アノード側ガス拡散層4及びカソード側ガス拡散層5を構成するサブレイヤーの内、MPL以外の部分には、カーボンクロスやカーボンペーパー、多孔質金属などを用いることができる。したがって、アノード側ガス拡散層4及びカソード側ガス拡散層5は、MPLとこれらを積み重ねて、2つ以上のサブレイヤーからなる構造のガス拡散層として用いることもできる。なお、サブレイヤーに金属材料を用いる場合には、耐酸化性に優れた材料を用いることが好ましい。具体的にはSUS316L,ニッケルクロム合金、チタンなどを用いることができる。ニッケルクロム合金の多孔質金属の例としては、例えば、富山住友電工社製のセルメット(登録商標)などを用いることができる。また、これらのいずれかの材料が金で被覆されたものであっても良い。
アノード側集電体6およびカソード側集電体7は、金属やカーボンなどの導電性材料により形成されており、燃料電池反応により生成した電子を外部へ取り出す機能を有する。したがって、集電体6および7は、アノード側ガス拡散層4およびカソード側ガス拡散層5に接触して配置され、外部へ出力を取り出すための端子を有する。集電体の材質としてはチタン、カーボン、ステンレス鋼(SUS)、金で被覆したSUS、カーボンで被覆したSUS、金で被覆したアルミニウム、カーボンで被覆したアルミニウムなどを用いることができる。
なお、このようにして作製した単セルを複数スタックした燃料電池を作製することも可能である。
次に、本発明の第一について説明する。なお、本発明の第一を示すフロー図を図2に示す。
本発明の第一は、
1)少なくとも白金酸化物を含む触媒前駆体層の表面に、Siと、該Siと結合している−OHまたは該Siと結合しており加水分解により−OHとなる基と、疎水性基と、を有するSi化合物を付与する工程と、
2)前記Si化合物が付与された触媒前駆体層の表面に、金属原子と該金属原子と結合している−OHまたは前記金属原子と結合しており加水分解により−OHとなる基とを有する金属化合物と、プロトン伝導性高分子電解質と、の混合物を付与する工程と、
3)前記混合物が付与された触媒前駆体層を還元する工程と、
を有することを特徴とする触媒層の製造方法である。
以下、各工程について説明する。
1)の工程について
1)の工程において、少なくとも白金酸化物を含む触媒前駆体層は、少なくとも白金酸化物を含む多孔質体であることが好ましく、樹枝状形状を有していることが更に好ましい。ここで、樹枝状形状とは、棒状あるいはフレーク(薄片)状の組織が、分岐点を有して集まった構造を示す。なお、後の3)の工程によって得られる樹枝状形状を有する触媒層の断面を電子顕微鏡などで観察すると、棒状の構造体やフレーク状の構造体が複数集合することによって枝分かれした樹木のように見える。1つの棒状あるいはフレーク状組織は、その短手方向の長さが5nm以上200nm以下であることが好ましい。なお、ここでの短手方向の長さとは、1つの棒状の構造体あるいはフレーク状の構造体の仮想投影面内における最小の寸法を意味する。
なお、樹枝状形状を有する白金酸化物に関しては、例えば、特開2006−49278号公報に開示されている技術を本発明に適用することが可能である。
また、白金酸化物はPtOxで表すことができる。その際のXの範囲は、2以上であれば良いが、白金酸化物の形状を樹枝状形状とする場合、現実的には、Xの上限は2.5と考えられる。
少なくとも白金酸化物を含む触媒前駆体層を形成する場合には、反応性スパッタなどのスパッタ法や反応性イオンプレーティング法などの反応性気相法を用いることが好ましい。触媒前駆体層を形成する際は上記のようなO/Pt比を満たすように成膜条件(成膜圧力、ターゲットに印加するRFパワー、成膜時の酸素分圧など)を適宜調節する。
触媒前駆体層は、基板に形成した後に高分子電解質膜表面に転写しても良いし、ガス拡散層に形成した後で、ガス拡散層と触媒前駆体層を高分子電解質膜表面に接合させても良い。また、高分子電解質膜の表面に形成しても良い。
触媒前駆体層を基板に形成した後に高分子電解質膜表面に転写して膜電極接合体を形成する場合、転写工程は、後に説明する工程2)の後で、かつ工程3)の前もしくは3)の工程の後に行うことが好ましい。これは、工程2)の後に行うことにより、工程2)で添加するプロトン伝導性高分子電解質が高分子電解質膜と触媒前駆体層との密着性を高める働きをするからである。なお、触媒前駆体層を高分子電解質膜の表面に転写する場合は、転写に加えて接合を行うことが好ましい。
基板に形成した後に高分子電解質膜表面に転写する場合、触媒層を固体高分子電解質膜の表面に接触させた状態でホットプレスを行って接合させることが好ましい。この際、ホットプレスは、触媒層と高分子電解質膜が剥離しないような条件で行う。具体的には、温度は130〜150℃、加圧時間は1〜30分、圧力は1〜40MPaの範囲とすることが好ましい。なお、転写を行う際は、触媒層と固体高分子電解質膜を接合させた後に転写基板を剥離する。また、ホットプレスを行なう場合、基板には耐熱温度が130℃以上の材料を用いることが好ましい。耐熱温度が130℃以上の材料からなる基板を用いると、転写後にホットプレスを行う際に、プロトン伝導性高分子電解質のガラス転移温度(Nafion(登録商標)では130℃)以上の温度で行うことが可能となるからである。また、耐熱温度が高い材料を用いると、気相成膜時に基板の損傷が起こりにくい。
このような材料としては、例えば、PTFE、ポリカーボネート、ポリイミドなどの耐熱温度が高い樹脂シートを用いることができる。なお、ポリカーボネートまたはポリイミドのシートを用いる場合には、シートを多層構造とし、触媒層成膜面にフッ素樹脂やフルオロシランなどからなる離型層を形成することが望ましい。
触媒前駆体層を形成したガス拡散層を高分子電解質膜表面に接合させる場合も、接合工程は、2)の工程の後で、かつ3)の工程の前もしくは3)の工程の後に行うことが好ましい。触媒前駆体層を形成したガス拡散層を高分子電解質膜表面に接合させる場合、ガス拡散層としては、カーボン粒子やカーボン繊維などのカーボン担体や該カーボン担体を樹脂シートの表面に層状に存在させたものであっても良い。また、前記カーボン担体はカーボンクロスやカーボンペーパーの表面に存在させたものでも良い。
また、触媒前駆体層を、基板表面に形成せずに、高分子電解質膜の表面に形成する場合は、上述したような触媒前駆体層の高分子電解質膜への転写工程または接合工程は不要である。
前記触媒前駆体層に1)の工程では、Siと、該Siと結合している−OHまたは該Siと結合しており加水分解により−OHとなる基と、疎水性基と、を有するSi化合物を付与する。
本発明のSi化合物は、Siを有し、該Siに結合している−OHまたは該Siに結合しており加水分解により−OHとなる基と、疎水性基と、を有する。
Si化合物がSi−OHを有する(言い換えれば、Siに結合している−OHを有する)場合の−OHもしくは加水分解によって形成されたSi−OHの−OHは、−OH同士で起こる脱水縮合反応によって重合されて、触媒前駆体表面に、疎水性基と、SiとOとが交互に結合した骨格(シロキサン骨格)とを有するシロキサン重合体(以下、疎水剤と呼ぶ場合がある)が形成される。
なお、Si化合物が、Siと結合しており加水分解により−OHとなる基を有する場合、Siと結合しており加水分解により−OHとなる基は、プロトン伝導性高分子電解質に含まれる酸、触媒前駆体層の白金酸化物、白金酸化物に含まれる白金などを触媒として加水分解されて−OHとなる。
ここで、Siと結合しており加水分解により−OHとなる基とは、−H、−OR(R:炭素数が1以上6以下のアルキル基)、−Clなどが挙げられる。
疎水性基の例としては、アルキル基、フルオロアルキル基などが挙げられる。なお、ここでのアルキル基は、炭素鎖が分岐していても良いし、二重結合を有していても良い。
このようなSi化合物としては、Siを有し、該Siに結合している−OHまたは該Siに結合しており加水分解により−OHとなる基と、疎水性基とを有していれば、モノマーであっても良く、オリゴマーであっても良く、ポリマーであっても良い。したがって、上記基を有するシロキサン重合体またはアルキルシランであっても良い。Si化合物のより具体的な材料としては、2,4,6,8−テトラアルキルシクロテトラシロキサン、1,1,1,3,3,3−ヘキサアルキルジシラザン、モノアルキルシラン、ジアルキルシラン、トリアルキルシラン、ポリアルキルハイドロジェンシロキサン、2,4,6,8−テトラアルキルテトラアルコキシシクロテトラシロキサン、モノアルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、トリアルキルモノアルコキシシラン、ポリアルキルアルコキシシロキサン、2,4,6,8−テトラアルキルテトラクロロシクロテトラシロキサン、モノアルキルトリクロロシラン、ジアルキルジクロロシラン、トリアルキルモノクロロシラン、ポリアルキルクロロシロキサン、などが挙げられる。これらの化合物のアルキル基は、H原子の一部または全部をF原子で置換したフルオロアルキル基であっても良い。
Si化合物を触媒前駆体層の表面に付与する方法としては、Si化合物の溶液中に触媒前駆体層を浸漬する方法や前記溶液を触媒前駆体層に滴下・刷毛塗り・噴霧法などで塗布する方法、CVDによる方法(特開2006−332041、特表1999−510643、特開2006−164575に記載)など、公知の方法を用いることができる。
また、Siと、該Siと結合している−OHまたは該Siと結合しており加水分解により−OHとなる基と、疎水性基と、を有するSi化合物は、Si/Ptモル比が0.1〜0.25となる量で付与することが好ましい。
これは、少なすぎると触媒層空孔内の疎水性が低下して触媒層がフラッディングを起こしやすくなる場合があり、多すぎると触媒反応表面積が小さくなって、触媒利用率が低下してしまう場合があるからである。
特開2006−332041に記載のように、Si/Ptモル比を0.1〜0.25として、原料ガスに2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンを使用し、室温でCVDを行う場合、例えば、白金酸化物からなる触媒前駆体層と原料ガスとの接触時間は3〜5分とすることが好ましい。
2)の工程について
2)の工程では、1)の工程によって得られたSi化合物が付与された触媒前駆体層の表面に、金属原子と該金属原子と結合している−OHまたは前記金属原子と結合しており加水分解により−OHとなる基とを有する金属化合物と、プロトン伝導性高分子電解質と、を含む混合物を付与する。
Si化合物と同様、金属原子と結合している−OHもしくは加水分解によって形成された金属原子と結合しているOHは、触媒前駆体層の表面に付与されたSi化合物もしくは触媒前駆体層の表面に形成されたシロキサン重合体の−OHと−OH同士で起こる脱水縮合反応によって結合する。ここで、前記金属原子としては、Al、Si、Ti、Zr、W、Nb、Taのうちのいずれかであることが好ましい。なお、金属化合物は、各々異なる金属原子を有する複数種類の化合物から構成されていても良い。また、金属原子と結合しており加水分解により−OHとなる基としては、−H、−OR(R:炭素数が1以上6以下のアルキル基)、−Clなどが挙げられる。
金属化合物は、モノマーであっても良く、オリゴマーもしくはポリマーであっても良い。また、βスズ構造のケイ素は金属であるので、金属化合物としてSi化合物を用いることもできる。
金属化合物がモノマーであり、金属原子に結合している−OHを有する場合には、混合物中で、金属原子に結合している−OH同士が脱水縮合反応によって重合されて、金属原子とOとが交互に結合したメタロキサン結合を骨格とするメタロキサン重合体が形成される。また、前記金属化合物がモノマーであり、加水分解により−OHとなる基を有する場合、加水分解により−OHとなる基は、プロトン伝導性高分子電解質などの混合物に含まれる酸、触媒前駆体層に含まれる白金酸化物、白金酸化物に含まれる白金などを触媒として加水分解されて−OHとなる。そして、−OH同士が脱水縮合反応によって重合されて、メタロキサン結合を骨格とするメタロキサン重合体が形成される。
また、金属化合物が、ポリマーである場合には、ポリマーはメタロキサン結合を骨格とするメタロキサン重合体である。さらに、前記金属化合物がオリゴマーである場合には、混合物中で、オリゴマーが有する金属原子と結合している−OHもしくは加水分解によって形成された金属原子と結合している−OH同士が結合し、メタロキサン結合を骨格とするメタロキサン重合体となる。
メタロキサン重合体もしくは形成されたメタロキサン重合体と前述したSi化合物から形成されたシロキサン重合体は、両者の有する−OH同士の脱水縮合によって結合する。なお、ここでは、メタロキサン重合体とシロキサン重合体が結合すると記載している。しかしながら、金属化合物とSi化合物が結合して重合体が形成されていても良いし、金属化合物とシロキサン重合体とが結合して重合体が形成されていても良いし、金属化合物から形成されるメタロキサン重合体とSi化合物が結合して重合体が形成されていても良い。
プロトン伝導性高分子電解質と金属化合物とを混合して、生成水によって流されにくいプロトン伝導性高分子電解質と金属化合物との密着性を高めた後に、Si化合物もしくはSi化合物から形成されるシロキサン重合体と金属化合物とを結合させることで、シロキサン重合体が触媒構造体(触媒前駆体が還元されることによって形成される構造体)の表面から流れにくくなる。
なお、混合物を作製する際は、金属化合物溶液を作製し、前記金属化合物溶液とプロトン伝導性高分子電解質溶液とを混合して混合物(好ましくは混合液)を作製することが好ましい。
金属化合物溶液は、一般的なゾルゲル法を用いて作製することができる。すなわち、IPA(isopropyl alcohol)等の溶媒中に、前記金属のアルコキシドやアセチルアセトナート、必要に応じて、水、触媒(酸など)などを加え攪拌して作製する。この際、前記金属化合物の濃度に特に限定は無いが、5〜15wt%とすることが、溶液の取扱い上好ましい。
次に、作製した金属化合物溶液と、プロトン伝導性高分子電解質溶液と混合して混合物を作製し攪拌する。この際、金属化合物は、金属化合物が混合物中で分散できる範囲の濃度で混合される。例えば、金属化合物としてシロキサンを用いる場合には4.0wt%以下とすることが好ましい。
また、前記混合物を作製する際は、金属化合物溶液とプロトン伝導性高分子電解質溶液とを混合して、金属化合物を含み、プロトン伝導性高分子電解質の濃度が5.0〜20wt%の溶液を作製する段階と、前記溶液を希釈する段階と、を経て混合物が作製されることが好ましい。
なお、希釈する際は、プロトン伝導性高分子電解質が触媒中に均一に分散する濃度に希釈することが好ましく、具体的には、0.5〜3.0wt%とすることが好ましい。
プロトン伝導性高分子電解質としては、Nafion(登録商標、デュポン社製)などのスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体、スルホン化もしくはリン酸化された芳香族ポリエーテルケトン、ポリスルホンなどが挙げられる。
また、混合物中のプロトン伝導性高分子電解質と触媒前駆体層中のPtとの重量比は、触媒前駆体層中のPtに対してプロトン伝導性高分子電解質が6.0〜8.0wt%となるよう、混合物の濃度及び触媒前駆体層への付与量を調整することが好ましい。
作製した混合物は、Si化合物が付与された触媒前駆体層の表面に付与される。
混合物が触媒構造体層の表面に付与された後は風乾することが好ましい。
3)の工程について
3)の工程では、2)の工程で混合物が付与された触媒前駆体層を還元して触媒層を得る。
混合物が付与された触媒前駆体層を還元する方法としては、水素ガスによる還元でも良く、還元剤溶液による還元でも良く、電気化学的な還元でも良い。なお、本発明の第一ではプロトン伝導性高分子電解質を含む混合物を付与した後で還元を行うことにより、還元後に得られる触媒層の触媒構造体が触媒前駆体層と同様の形を維持しやすい。
次に、本発明の第2について説明する。また、本発明の第2を示すフロー図を図3に示す。
本発明の第2は、
i)少なくとも白金酸化物を含む触媒前駆体層の表面に、Siと、該Siと結合している−OHまたは該Siと結合しており加水分解により−OHとなる基と、疎水性基と、を有するSi化合物を付与する工程と、
ii)前記触媒前駆体層を還元して触媒構造体(a)を得る工程と、
iii)前記触媒構造体(a)の表面に、Al、Si、Ti、Zr、W、Nb、Taのうちのいずれかの原子と該原子と結合している−OHまたは前記原子と結合しており加水分解により−OHとなる基とを有する金属化合物と、プロトン伝導性高分子電解質と、を含む混合物を付与する工程と、
を有することを特徴とする触媒層の製造方法である。
本発明の第2は、本発明の第1の2)の工程と3)の工程の順番を入れ替えた以外は本発明の第1と同様である。
なお、高分子電解質膜表面に触媒層を転写もしくは接合して膜電極接合体を形成する場合、iii)の工程の後に行うことが好ましい。
また、iii)の工程の混合物は、
一)前記金属化合物と前記プロトン伝導性高分子電解質とを含む溶液であり前記プロトン伝導性高分子電解質の濃度が5.0〜20wt%の溶液を作製する段階と、
二)前記溶液を希釈する段階と、
によって形成することが好ましい。なお、希釈する際は、プロトン伝導性高分子電解質が触媒中に均一に分散する濃度に希釈することが好ましく、具体的には、0.5〜3.0wt%とすることが好ましい。
また、本発明の第1および第2に記載の製造方法によって得られる触媒層にフッ素重合体からなる被覆層を形成しても良い。そのような場合、フッ素重合体は、得られた触媒層の表面の表面積の90%以上を覆う被覆層であることが好ましい。
次に、具体的な実施例を示し、本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
本実施例は、図3に示す本発明の第2の触媒層の製造方法を用いて、図4に示した構成からなる固体高分子型燃料電池を作製した例である。
以下、製造工程を詳細に説明する。
(工程1)
まず、触媒前駆体層の形成を行った。
PTFEシート(日東電工製、ニトフロン:以下、「基板」という場合もある)の表面に、Pt(4N)ターゲットを用いたRF反応性スパッタリング法によって触媒前駆体層であるPtOx層を厚さ2μmに成膜した。反応性スパッタ装置は、アルバック社製のCS−200を使用した。ここで反応性スパッタは、全圧5Pa、酸素ガス100%、基板ヒーター温度40℃の条件で行った。具体的にはPtターゲットへのRF(13.56MHzの高周波)の投入パワーは5.4W/cmいう条件にて行った。
(工程2)
特開2006−332041に記載の公知技術に従い、PtOx層の表面にSi化合物を付与してシロキサン重合体からなる疎水剤を形成した。すなわち、(工程1)で得られた触媒前駆体層を、2,4,6,8−テトラメチルテトラシクロシロキサンの蒸気と、室温(蒸気圧約1.2kPa)、密閉容器中で、4分間接触させることによって、PtOxの表面に適量の疎水剤を形成した。触媒前駆体中のSi/Ptモル比は、0.10であった。
(工程3)
続いて、得られたPtOx層を2%H/He雰囲気に30分間曝して還元処理を行い、PTFEシートの表面に樹枝状形状を有する触媒構造体(a)を得た。Pt担持量は0.6mg/cmであった。
(工程4)
金属化合物であるケイ酸エチル(キシダ化学製)6.2質量部、水2.2質量部、希塩酸(0.1mol/g)0.02質量部、IPA13.8質量部を混合し、攪拌して、金属化合物溶液であるシロキサン溶液を作製した。このシロキサン溶液を室温にて2時間攪拌した後、プロトン伝導性高分子電解質溶液である1%ナフィオン溶液(シグマアルドリッチ製5%ナフィオン分散溶液をIPAで希釈したもの)と混合し、その後24時間攪拌して混合溶液を得た。この際、シロキサン重合体の量がナフィオンの4wt%となるように混合した。
(工程5)
その後、(工程3)で得られた触媒構造体(a)に、(工程4)で得られた混合溶液を触媒面積1cm当たり8μl滴下し、真空中にて溶媒を揮発させることで、触媒層を形成した。
(工程6)
アノード側触媒層を作成するため、PTFEシートの表面に、ドクターブレード法にて白金担持カーボン層をPt担持量が0.3mg/cmになるように形成した。ここで、使用する触媒スラリーは、白金担持カーボン(Johnson Matthey製、HiSPEC4000)1質量部、ナフィオン0.07質量部、IPA1質量部、水0.4質量部の混錬物である。
(工程7)
触媒層が内側になるようにして、(工程5)及び(工程6)で作成した触媒層付きPTFEシートで、固体高分子電解質膜(Dupont製Nafion112、厚さ50μm)を挟み、4MPa、150℃、10minなるプレス条件でホットプレスを行った。その後、アノード側及びカソード側の両触媒層からPTFEシートを剥離してPTFEシートを除去することにより、MEAを得た。このMEAは、カソード側触媒層が本発明によって製造された触媒層であり、アノード側触媒層が白金担持カーボン触媒層である。
(比較例1)
実施例1において、(工程4)を行わなかったこと以外は、すべて同様にしてMEAを作製した。触媒中のSi/Ptモル比は、0.11であった。Pt担持量は0.6mg/cmであった。
(実施例2)
実施例1の(工程4)において、シロキサン溶液とプロトン伝導性高分子電解質溶液とを混合する際、プロトン伝導性高分子電解質溶液の濃度を3%とした。混合・攪拌後にプロトン伝導性高分子電解質の濃度が1%となるよう更にIPAで希釈した。それ以外の工程は、すべて実施例1と同様にしてMEAを作製した。触媒層中のSi/Ptモル比は、0.10であった。Pt担持量は0.6mg/cmであった。
(実施例3)
実施例1の(工程4)において、シロキサン溶液とプロトン伝導性高分子電解質溶液とを混合する際、プロトン伝導性高分子電解質溶液の濃度を5%とした。混合・攪拌後にプロトン伝導性高分子電解質の濃度が1%となるようIPAで希釈した。それ以外の工程は、すべて実施例1と同様にしてMEAを作製した。触媒層中のSi/Ptモル比は、0.11であった。Pt担持量は0.6mg/cmであった。
(実施例4)
実施例1の(工程4)において、シロキサン溶液とプロトン伝導性高分子電解質溶液とを混合する際、プロトン伝導性高分子電解質溶液の濃度を7%とした。濃度7%のプロトン伝導性高分子電解質溶液は、和光純薬工業製20%ナフィオン分散溶液をIPAで7%に希釈したものを使用した。混合・攪拌後に、プロトン伝導性高分子電解質の濃度が1%となるよう更にIPAで希釈した。それ以外の工程は、すべて実施例1と同様にしてMEAを作製した。触媒層中のSi/Ptモル比は、0.10であった。Pt担持量は0.6mg/cmであった。
(実施例5)
実施例1の(工程4)において、シロキサン溶液とプロトン伝導性高分子電解質溶液とを混合する際、プロトン伝導性高分子電解質溶液の濃度を10%とした。濃度10%のプロトン伝導性高分子電解質溶液は、和光純薬工業製20%ナフィオン分散溶液をIPAで10%に希釈したものを使用した。混合・攪拌後に、プロトン伝導性高分子電解質の濃度が1%となるよう更にIPAで希釈した。それ以外の工程は、すべて実施例1と同様にしてMEAを作製した。触媒層中のSi/Ptモル比は、0.10であった。Pt担持量は0.6mg/cmであった。
(実施例6)
実施例1の(工程4)において、シロキサン溶液とプロトン伝導性高分子電解質溶液とを混合する際、プロトン伝導性高分子電解質溶液の濃度を15%とした。濃度15%のプロトン伝導性高分子電解質溶液は、和光純薬工業製20%ナフィオン分散溶液をIPAで15%に希釈したものを使用した。混合・攪拌後に、プロトン伝導性高分子電解質の濃度が1%となるよう更にIPAで希釈した。それ以外の工程は、すべて実施例1と同様にしてMEAを作製した。触媒層中のSi/Ptモル比は、0.12であった。Pt担持量は0.6mg/cmであった。
(実施例7)
実施例1の(工程4)において、シロキサン溶液とプロトン伝導性高分子電解質溶液とを混合する際、プロトン伝導性高分子電解質溶液濃度を20%とした。濃度20%のプロトン伝導性高分子電解質溶液には、和光純薬工業製20%ナフィオン分散溶液を使用した。混合・攪拌後に、プロトン伝導性高分子電解質の濃度が1%となるよう更にIPAで希釈した。それ以外の工程は、すべて実施例1と同様にしてMEAを作製した。触媒層中のSi/Ptモル比は、0.13であった。Pt担持量は0.6mg/cmであった。
(実施例8)
実施例7において、触媒前駆体層の還元工程の順序を変更し、図2に示す本発明の第1の触媒層の製造方法の手順に従って触媒層を作製した。
(実施例1〜8及び比較例1の評価)
実施例1〜8及び比較例1で作製したMEAを、蛍光X線分析(X−ray−Fluorescence Analysis以下、XRFと略す)にて分析し、疎水剤の構成元素であるSi量を測定した。分析装置にはZSX1009e(株式会社リガク製)を用いた。
その後、MEAを50℃の温水中に4日間浸漬保管する試験を行った。次にMEAを風乾し、再度XRFにてSi量を測定した。このMEA中の触媒層は長時間水に接触した経歴を有するので、温水浸漬試験の前後でのSi量を比較することで、疎水剤流出量を測定することができる。
なお、プロトン伝導性高分子電解質内にもシロキサン重合体が分散されているが、MEA中では疎水剤と重合して一体となっていると考えられるので、浸漬前後でのSi量比較においては、疎水剤とシロキサン重合体を区別する意味は無いと考えられる。
実施例1〜7及び比較例1のMEAの試験前後でのSi量の残存率を、シロキサン重合体添加時のイオノマ−濃度とともに、表1に示す。Si量の残存率は、各MEAの試験後のSi量を試験前のSi量で除して算出した。
Figure 0005388691
表1から判るように、比較例1では試験後に1/3のSiしか残っておらず、疎水剤の流出が起こっていた。これに対して、実施例1〜7では比較例1より多くのSiが残留しており、疎水剤の流出が大幅に抑制されていた。このようにイオノマ−中にシロキサンを添加したことで、疎水剤の流出を抑制できることが確認できた。さらに、シロキサン重合体添加時のイオノマ−濃度が高いほど、Si残存率が高くなることがわかった。
Si残存率が最も高かった実施例7のMEA(試験前の状態)と、最も低かった比較例1で得られたMEA(試験前の状態)を、各々、MEA8として、アノード側ガス拡散層4、カソード側ガス拡散層5、並びにアノード側集電体6、カソード側集電体7によって、図4のような順で挟んで燃料電池単セルを形成した。なお、カソード側ガス拡散層5には、MPLとサブレイヤーで構成されるカーボンクロス13(E−TEK製、LT1200−W)と発泡金属12とからなるガス拡散層を用いた。また、アノード側ガス拡散層4には、カソード側ガス拡散層5に用いたカーボンクロス13を用いた。そして、アノード側集電体6にはスリットを設け、水素ガスが自由に通過できるようにした。
更に、実施例7及び比較例1の温水浸漬後のMEAを用いて、同様に、燃料電池単セルを作製した。
なお、ガス拡散層4、5の周囲はOリング11でシールしてある。そして各燃料電池単セルそれぞれに、図4に示したように電子負荷装置及び水素ガス配管を接続し、燃料電池の電流掃引試験を行い発電特性の評価を行った。またアノード側集電体6は水素ガスをデッドエンドで0.15MPaで充填し、カソード側集電体7は空気に開放した。また、発電特性の評価は、電池温度25℃、外部環境の相対湿度を100%で行った。なお電流掃引速度(スイープレート)は1mA/cm/秒とした。
この条件ではアノード側がデッドエンドであるので、アノード側からの水分蒸発が抑制されている。さらにカソード側の空気湿度は100%RHであるので、カソード側からの水分蒸発も小さい状態となっている。すなわち、この条件ではセル外への水分移動が抑制されているので、カソード触媒層でのフラッディングが起こり易い。さらに測定時の電流値のスィ―プレートが小さく、それだけ測定時の発電時間が長くなり多くの水が生成されるので、高電流密度において触媒層でのフラッディングが起こり易い。このようにフラッディングが起こり易い条件で、実施例7と比較例1のMEAによるセル発電特性を比較すると、各MEAのカソード触媒層における物質拡散性の差が大きな差となって発電特性に現れるので、疎水剤の流出による発電特性への効果を判断しやすい。
各セルの電圧―電流密度特性の結果を図5に示す。0.4Vにおける、実施例7の試験前の電流密度は420mA/cmで、比較例1(475mA/cm)より小さかったものの、試験後では、実施例7の電流密度は413mA/cmと、比較例1(157mA/cm)より大きくなった。
これは実施例7では、試験後も93%の疎水剤が残存しているため、触媒層の疎水性が充分に維持されているからであると推測される。比較例1では浸漬試験により疎水剤の2/3が流出してしまったため、触媒層の疎水性が低下し、フラッディングが起こり易くなったと推測される。
0.4Vにおける電流密度の、試験前後での差を比較すると、比較例1では318mA/cmであったのに対し、実施例7は7mA/cmであり、発電特性の劣化が大幅に抑制されていた。
実施例8で作製した触媒層では、実施例7と同様な結果が得られた。
1 固体高分子電解質膜
2 アノード側触媒層
3 カソード側触媒層
4 アノード側ガス拡散層
5 カソード側ガス拡散層
6 アノード側電極
7 カソード側電極
8 MEA(膜電極接合体)
9 MPL
10 ガス拡散基材
11 Oリングシール
12 発泡金属
13 カーボンクロス

Claims (8)

  1. 1)少なくとも白金酸化物を含む触媒前駆体層の表面に、Siと、該Siと結合している−OHまたは該Siと結合しており加水分解により−OHとなる基と、疎水性基と、を有するSi化合物を付与する工程と、
    2)前記Si化合物が付与された触媒前駆体層の表面に、金属原子と該金属原子と結合している−OHまたは前記金属原子と結合しており加水分解により−OHとなる基とを有する金属化合物と、プロトン伝導性高分子電解質と、を含む混合物を付与する工程と、
    3)前記混合物が付与された触媒前駆体層を還元する工程と、
    を有することを特徴とする触媒層の製造方法。
  2. 前記金属化合物がメタロキサン重合体であることを特徴とする請求項1に記載の触媒層の製造方法。
  3. 前記2)の工程の混合物を、
    I)前記金属化合物と前記プロトン伝導性高分子電解質とを含む溶液であり前記プロトン伝導性高分子電解質の濃度が5.0〜20wt%の溶液を作製する段階と、
    II)前記溶液を希釈する段階と、
    によって形成することを特徴とする請求項1または2に記載の触媒層の製造方法。
  4. 膜電極接合体の製造方法であって、
    請求項1の1)〜3)の工程に加えて、
    前記2)の工程の後かつ3)の工程の前に、もしくは3)の工程の後に、前記混合物が付与された触媒前駆体層を高分子電解質膜の表面に転写もしくは接合させる工程を有することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
  5. i)少なくとも白金酸化物を含む触媒前駆体層の表面に、Siと、該Siと結合している−OHまたは該Siと結合しており加水分解により−OHとなる基と、疎水性基と、を有するSi化合物を付与する工程と、
    ii)前記触媒前駆体層を還元して触媒構造体(a)を得る工程と、
    iii)前記触媒構造体(a)の表面に、金属原子と該金属原子と結合している−OHまたは前記原子と結合しており加水分解により−OHとなる基とを有する金属化合物と、プロトン伝導性高分子電解質と、を含む混合物を付与する工程と、
    を有することを特徴とする触媒層の製造方法。
  6. 前記金属化合物がメタロキサン重合体であることを特徴とする請求項5に記載の触媒層の製造方法。
  7. 前記iii)の工程の混合物を、
    一)前記金属化合物と前記プロトン伝導性高分子電解質とを含む溶液であり前記プロトン伝導性高分子電解質の濃度が5.0〜20wt%の溶液を作製する段階と、
    二)前記溶液を希釈する段階と、
    によって形成することを特徴とする請求項5または6に記載の触媒層の製造方法。
  8. 膜電極接合体の製造方法であって、
    請求項5に記載のi)〜iii)の工程に加えて、
    iii)の工程の後に、前記混合物が付与された触媒前駆体層を高分子電解質膜の表面に転写もしくは接合させる工程を有することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
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