JP5385720B2 - 水中仮締切り設備の水密構造 - Google Patents

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本発明は、水中仮締切り設備の水密構造に関し、特に、ダム湖、河川、港湾などにおいて既設堤体の前方水域を締切る水中仮締切り設備の水密構造に関する。
一般に、ダム施設の改良工事を行う場合や既設のダムに取水口を新たに設けて発電設備を増設する場合、工事に先立ち、ダム堤体の貯水池側のコンクリート面に、一時的に水中仮締切り設備が取り付けられて、工事用のドライ空間が形成される。
この種の水中仮締切り設備が例えば特許文献1に記載されている。この文献1の水中仮締切り設備は、図4に示すように、ダム堤体4の貯水池側コンクリート面4aに設置されるケーソン5と、ケーソン5の上面に取り付けられる可動蓋6と、ケーソン5の脚部5a(図5参照)に設けられる水密金物7(図5参照)とを備えて構成される。ケーソン5は、コンクリート面4aに予め据付けられた底蓋8上に設置され、底蓋8、ケーソン5の最上位のブロックの上面に取り付けられる可動蓋6及びコンクリート面4aの戸当たりと一体化されて水密を保ち、内部に作業空間が確保される。このケーソン5に作用する水圧荷重は、ラーメン構造の脚部5aを介してコンクリート面4aに伝達される。なお、91は設備の自重や前記ケーソン5に作用する浮力を支える支持架構であり、これら自重や浮力を、PCアンカーを介してコンクリート面4aに伝達する。92はケーソン5の据え付け後、ケーソン5内部を排水する前に、ケーソン5の最上位のブロックと支持架構91との間に挿入される浮き上り防止材であり、ケーソン5内部の排水に伴う浮力を圧縮力として支持架構91に伝達する。93は支持架構91と底蓋8の間を連結する吊金物であり、底蓋8の自重と、底蓋8上に作用する重量(ケーソン5、可動蓋6、浮き上り防止材92の自重)を引張り力として支持架構91に伝達する。前記した底蓋8は、吊金物93を介して支持架構91と連結された後は、底蓋8より上方に位置する構造物の全重量を支え、一方、ケーソン5内部の排水時には底面に作用する水圧(浮力)をケーソン5に伝達する。また、可動蓋6は水位が上昇する虞のある場合に事前に閉鎖し、水位がケーソン5の天端以上まで上昇した場合に、ケーソン5内部への水の侵入を防止する。
かかる構造の水中仮締切り設備において、水密金物7は事前施工され、コンクリート面4aに対向配置されて、その支承面が水中仮締切り設備からの水圧荷重を受け、荷重伝達用モルタル10(図5、図6参照)を介してコンクリート面4aに伝達する。この場合、従来の標準水密構造では、図5に示すように、荷重伝達用モルタル10の注入時におけるモルタル10の流出を防止するために、出代調整用枕71を介して水密金物7の内部両側に設けられた非膨潤ゴム72・水膨潤ゴム73によって、コンクリート面4aにおける不陸に追従し、荷重伝達用モルタル10の注入用空間を水密にする。これに対して、この文献1により提案された水密構造では、図6に示すように、水密金物7はコンクリート面4aとの相対位置に合成ゴム74が設けられて、コンクリート面4aとの相対部分に注入する荷重伝達用モルタル10がコンクリート面4aに直接接触しないようにし、また、水密金物7に取り付けられた固定材75に位置調整用ボルトが突設されてこの位置調整用ボルトによって水密金物の固定材75とコンクリート面4aの間が調整されるとともに、この間にライナーが介設され、コンクリート面4aに不陸整正作業を行うことなく、コンクリート面4aの不陸への追従代が大きくとれる構造になっている。
なお、この文献1には、水中仮締切り設備の側面抵抗力の向上については特に記載がないが、一般に、仮締切り設置地点の水流の変化、地震時動水圧やダム湖内地滑りの発生等による想定外の側圧発生に対して仮締切りの保有抵抗力を高める必要性があり、現状の水密構造では、図7に示すように、作用する荷重に対して水圧の10〜20%の摩擦抵抗、タイブル94の張力、及び仮締切りアンカー95のせん断抵抗などで対抗するのが通常である。
特開平11−100830号公報
ところで、従来の水中仮締切り設備の水密構造では、上記のとおり、事前施工の水密金物が使用され、この水密金物とコンクリート面との間に不陸対策が施されている。従来の標準水密構造の施工の場合、コンクリート面の不陸の計測、コンクリート面のはつり作業、ケミカルアンカー施工を経て、水密金物を据え付け、そして荷重伝達用モルタルの注入空間にモルタルを注入するので、コンクリート面において多くの作業を実施する必要があり、水中の作業工期が長引く虞がある。また、特許文献1の水密構造の施工の場合、コンクリート面の不陸の計測後、水密金物を据え付けるが、この水密金物の据え付けに際して、フィラの装着及びボルト締めによるフィラ間隔の調整を行う必要があり、この場合も、コンクリート面において多くの作業を実施しなければならず、水中の作業工期が長くなる虞がある。
また、従来の水中仮締切り設備の水密構造では、既述のとおり、側圧発生に対して水圧の10〜20%の摩擦抵抗、タイブルの張力、及び仮締切りアンカーのせん断抵抗などで対抗しているが、ダム湖の異常時に水流が速く側面作用力の強い場所になると、これに対応するため、多数のタイブルとアンカーが必要で、その取付作業が増大し、また、ダム湖等の工事地点の標高が100m以上になると労働に関する法令(労働安全規則)により作業者のダイバーに減圧停止時間(水中で強制休止)を20〜30%増とする措置を取る必要があり、このような場合、水中工事の工程は長期化することが多く、また、ダイバーへの送気、減圧、吊込設備等の水面仮設備が大型化せざるを得ない。
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種の水中仮締切り設備の水密構造において、不陸整正作業を省略し、水密金具を側面作用力対応のタイブル及びアンカーとともに不要として、水密止水範囲の大幅な改善を図ること、併せて一般に水中仮締切り設備の据え付け後に行われるダイバーによる水中での漏水関連部のボルト等の調整作業、パテ貼付け作業、水側での追加漏水作業などを可及的に少なくするとともに、ダイバーへの送気、減圧設備等水上仮設備を簡略化して、全体として工期の短縮を図ることなど、を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の水中仮締切り設備の水密構造は、既設堤体の水域側のコンクリート面と前記コンクリート面に据え付けられる水中仮締切り設備の固定端との間を水密に保つ水中仮締切り設備の水密構造において、前記コンクリート面の前記水中仮締切り設備の据付位置で前記固定端の対向する所定の位置に、前記所定の位置に不陸がある場合は当該不陸の厚さ分を加えて、コンクリートを所定の深さ、幅及び長さに切断して形成された凹溝と、前記固定端に前記凹溝に挿入可能に形成された剛性を有する凸起、及び前記凸起の周囲に被着されて前記凹溝の内面に沿って密着可能な水膨潤作用を有する水密ゴムとを備え、前記凹溝に前記固定端の凸起が前記水密ゴムを介して密嵌され、前記コンクリート面と前記水中仮締切り設備との間を水密に保つとともに、前記凹溝の内面で前記水中締切り設備に作用する水圧荷重を受ける、ことを要旨とする。
また、この水密構造は次のように具体化されることが好ましい。
(1)凹溝は断面略長方形に形成され、凸起は略長方形の柱状に形成され、水密ゴムは前記凸起の片側一方の側面から先端を回り込み片側他方の側面まで被着される。
(2)凹溝の深さは略30cmとする。
(3)凸起は鋼材により形成される。
(4)水密ゴムは内側層の非膨潤ゴムと外側層の膨潤ゴムの2層構造をなす。
本発明の水中仮締切り設備の水密構造によれば、上記の構成により、既設堤体のコンクリート面に凹溝を形成し、水中仮締切り設備の固定端に凸起を設け、この凸起の周囲に水膨潤作用を有する水密ゴムを被着して、コンクリート面の凹溝に水中仮締切り設備の固定端の凸起を水密ゴムを介して密嵌し、コンクリート面と水中仮締切り設備との間を水密に保つとともに、凹溝の内面で水中締切り設備に作用する水圧荷重を受けるようにしたので、不陸整正作業を省略し、水密金具を側面作用力対応のタイブル及びアンカーとともに不要として、水密止水範囲の大幅な改善を図ることができ、併せて、この水密構造による水密性及び側面対抗力の向上により、一般に水中仮締切り設備の据え付け後に行われるダイバーによる水中での漏水関連部のボルト等の調整作業、パテ貼付け作業、水中での追加漏水作業などを可及的に少なくするとともに、ダイバーへの送気、減圧設備等水上仮設備を簡略化することができ、全体として工期の短縮を図ることができる。
(a)本発明の一実施の形態における水中仮締切り設備の水密構造の構成を示す平面断面図(b)同水密構造の側面断面図 同水密構造を適用するダム取水口の改造事例を示す図 同水密構造を適用する堰堤洪水吐きの改造事例を示す図 ダム湖の既設堤体の前方水域を締切る水中仮締切り設備の構成を示す正面図 同設備に用いられる水密金具の構成を示す平面断面図 同設備に用いられる別異の水密金具の構成を示す平面断面図 同設備に用いられるタイブル及びアンカーの構成を示す平面断面図
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。図1(a)、(b)に水中仮締切り設備の水密構造を示している。図1(a)、(b)において、Aは既設堤体の水域側のコンクリート面で、Bはコンクリート面に据え付けられる水中仮締切り設備、bはこの設備Bの固定端である。この水中仮締切り設備の水密構造1では、コンクリート面Aの水中仮締切り設備Bの据付位置で固定端bの対向する所定の位置に、この所定の位置に不陸がある場合は当該不陸の厚さ分を加えて、コンクリートを所定の深さ、幅及び長さに切断して凹溝10が形成される。なお、この凹溝10の深さの決定に当たり、事前に想定側面圧力に対するコンクリートの許容応力の安全性を確認する必要がある。これに対して、水中仮締切り設備Bの固定端bに剛性を有する凸起20が凹溝10に挿入可能に形成され、この凸起20の周囲に凹溝10の内面に沿って密着可能な水膨潤作用を有する水密ゴム30が被着されて、固定端bに止水構造部Sが設けられる。
コンクリート面Aに凹溝10を作るに当たり、コンクリート面Aの水中仮締切り設備Bの据付位置について事前に不陸の調査、測定が行われ、不陸の厚さが計測されて、凹溝10は深さ300mm、但し、不陸の部分はその不陸の厚さ分を加えた深さ、幅500mm、長さは水中仮締切り設備Bの縦方向に略相当する寸法の断面略長方形に形成される。なお、この凹溝10はコンクリートの削除始端となる上部から水中コンクリート切断装置を使って所要の深さ(300mm又は300mm+不陸の厚さ)、幅(500mm)に切断することができ、また、この凹溝10の施工は不陸調査と同時にすることもできる。このような凹溝10の施工により、不陸については事前の不陸調査結果を参考にしてコンクリート面Aの不要な不陸の部分を凹溝10の施工とともにカットするので、コンクリート表面の凹凸追随性に優れた利点がある。しかも、このコンクリートの除去により形成した凹溝10の内面、すなわち、水中仮締切り設備Bの固定端bに設けた止水構造部Sの接触面は比較的凹凸のない連続性を有し、これにより、止水構造部Sの水密ゴム30による水密性は向上し、コンクリート面Aの水中仮締切り設備Bの据付位置に極端な段差がある場合でも対応可能である。
水中仮締切り設備Bの固定端bに設けた止水構造部Sは既述のとおり、凸起10と、水密ゴム30とにより構成される。凸起10は鋼材により柱状に形成される。この場合、凸起10はH型鋼(250×175)21とこのH型鋼21の両フランジの各端部間にウェブと平行に溶接により固定された鋼板22とにより組み立てられて、長さ250mm、幅175mmの断面略長方形の柱状に形成される。この凸起20は水中仮締切り設備Bの固定端bに不陸分の高さを調整する鋼材からなる不陸調整部材23を介して接合され、固定端bから先方に向けて突出される。水密ゴム30は凸起20の直上に被着される内側層の非膨潤ゴム(硬質ゴム)31とこの非膨潤ゴム(硬質ゴム)31の上に被着される外側層の膨潤ゴム32の2層構造をなし、不陸調整部材23の片側一方の側面及び凸起20の片側一方の側面から凸起20の先端を回り込み、凸起20の片側他方の側面及び不陸調整部材23の片側他方の側面まで被着される両面水密構造を採る。この場合、硬質ゴム31の凹溝10の深さ方向に対応する厚さは約30mm、凹溝10の幅方向に対応する厚さは約140mm、膨潤ゴム32の凹溝10の深さ方向に対応する厚さは約20mm、凹溝10の幅方向に対応する厚さは約40mmである。このようにして止水構造部Sは凹溝10の深さ方向に対して凸起20が250mm、水密ゴム30が約50mm(硬質ゴム31が約30mm、膨潤ゴム32が約20mm)、膨潤厚さが20mm以上、凹溝10の幅方向に対して凸起20が175mm、水密ゴム30が約360mm(硬質ゴム31が約140mm×2、膨潤ゴム32が約40mm×2)、膨潤厚さが20mm以上、全体として深さ300mm以上、幅500mm程度の凹溝10に対応する仕様となる。なお、上記膨潤厚さは凹溝10のはつり時の施工精度の誤差に対応する調整代とする。
このようにしてコンクリート面Aの凹溝10に水中仮締切り設備固定端bの凸起20が水密ゴム30を介して密嵌され、コンクリート面Aと水中仮締切り設備B(の固定端b)との間を水密に保つ。すなわち、膨潤ゴム32の水膨張(膨潤ゴム32の厚さ約40mm+膨潤厚さ)により水密ゴム30の止水帯ができ、しかもこの止水帯は凹溝10内に沿って延びるので、コンクリート面Aと水中仮締切り設備Bとの間の水密効果は大幅に増大する。この場合、凹溝10の500mmの幅に対して凹溝10の幅方向に対応する凸起20の幅175mm、水密ゴム30の幅約360mm(硬質ゴム31が約140mm×2、膨潤ゴム32が約40mm×2)、膨潤ゴム32の膨潤能力が20mm以上の仕様の止水構造部Sによって、水圧に対して十分な水密安全性を確保することができ、そして、水密ゴム30(膨潤ゴム32)が凹溝10内に沿って600mm(300mm×2)以上に亘って延びるので、十分な止水効果を発揮することができる。なお、万一、水中仮締切り設備B内を抜水してドライテストを行ったときに漏水が発生した場合は、仮締切り側から漏水箇所に直径30mmの穴を4〜5mピッチで削孔し、低粘性、低温下対応の注入剤で空間を埋めることにより、止水性を確保することができる。
また、コンクリート面Aの凹溝10に水中仮締切り設備Bの固定端bの凸起20が水密ゴム30を介して密嵌され、この凹溝10の内面で固定端bの止水構造部Sを受けるようにしたので、特に水中仮締切り設備Bに対する側圧に対して、止水構造部Sの両面の鋼板22及び硬質ゴム31がそれぞれ側面受圧板として働き、当該側圧を凸起20側面の鋼板22、厚さ約140mmの硬質ゴム31を介して凹溝10の内側面に伝達し、この凹溝10の内側面で水中締切り設備Bに作用する水圧荷重を受けることになる。一般に、ダム湖、河川、港湾の水流状況により、水中仮締切り設備には水圧の10〜20%以上の側面圧力を考慮しており、現状の技術においては、水域の静穏性が極めてよい条件の好適な地点を選定して施工しているが、この水中仮締切り設備の水密構造1では、先行して形成された凹溝10内に仮締切りの固定端bに設けられた鋼材からなる凸起20を水密ゴム30を介して入れることにより、従来のタイブル(引張力)や仮締切りに付属するアンカーボルト(せん断抵抗力)に代えて、仮締切りの固定端bに任意の側面圧力に対応し得る耐側面力機能を保有することができる。このような側面からの作用荷重に対する耐力特性の向上により、従来必要とされたタイブルやアンカーボルトを不要とすることができ、これにより、例えばダム等の仮締切りの取付工程の短縮と改造工事範囲の縮小を図ることができる。なお、タイブル及びアンカーは数メートル毎に1本ずつ、仮締切り設置時のガイドとしては必要である。
以上説明したように、この水中締切り設備の水密構造1(以下、当該水密構造1という。)によれば、既設堤体のコンクリート面Aに凹溝10を形成し、水中仮締切り設備固定端bに凸起20を設け、この凸起20の周囲に水膨潤作用を有する水密ゴム30を被着して、コンクリート面Aの凹溝10に水中仮締切り設備固定端bの凸起20を水密ゴム30を介して密嵌し、コンクリート面Aと水中仮締切り設備Bとの間を水密に保つとともに、凹溝10の内面で水中締切り設備Bに作用する水圧荷重を受けるようにしたので、不陸整正作業を省略し、水密金具を側面作用力対応のタイブル及びアンカーとともに不要にして、水密止水範囲の大幅な改善を図ることができ、併せて、当該水密構造1による水密性及び側面対抗力の向上により、一般に水中仮締切り設備の据え付け後に行われるダイバーによる水中での漏水関連部のボルト等の調整作業、パテ貼付け作業、水側での追加漏水作業などを可及的に少なくできるとともに、ダイバーへの送気、減圧設備等水上仮設備を簡略化することができ、全体として工期の短縮を図ることができる。
また、当該水密構造1によれば、さらに、次のような作用効果を奏することができる。
(1)一般に仮締切りは、水深が10m以下(1気圧程度の水圧)の範囲では、木材や簡易な端部止水ゴム(Pゴム)を用いる止水構造が採用されているが、水深10m以上になると、図5に示すコンクリート面における標準水密構造の水密ゴムによる止水事例のように、各断面で十分な所要水密長を確保しなければならない。これに対し、当該水密構造1では、コンクリート面Aに事前に削除した凹溝10内に水中仮締切り設備固定端bに設けた止水構造部Sを入れるため、止水ゴム(膨潤ゴム32)を凹溝10の片側一方の側面から凹溝10の底面を回り込んで片側他方の側面まで、現行仕様の約2倍に延長することができ、現在採用されている止水形式よりも深い水深(10m以上)に対応することができる。したがって、当該水密構造1は優れた水密性を有し、例えば、水深が10m以上のダム湖、河川、港湾の各工事においてドライワーク施工が必要な場合に最適で、仮締切りに確実な止水構造を採ることができる。
(2)既設のダム堤体や河川・港湾の構造物のコンクリート面には数cmの施工誤差があるが、古い構造物になると各年代の施工管理基準の違いにより5〜10cmの急な段差を有する事例もある。そこで、仮締切りを水中の目標地点に設置する場合に、従来は、不陸の状況を事前に調査して、仮締切りの固定端のプレートに取り付ける水密ゴムの形状を予め把握し、この調査結果に基づいて、各深度0.5〜1.0mおきに硬質ゴムや膨潤ゴムの所要寸法を決定し、これらの硬質ゴムや膨潤ゴムを仮締切りの現地への搬入までに仮締切りの脚部に取り付ける必要がある。これに対して、当該水密構造1では、コンクリート面Aの凹溝10の施工とともに不要な不陸の部分をカットするので、コンクリート面Aに急に変化する5cm以上の段差がある地点でも、不陸を簡易に調整することができる。したがって、当該水密構造1は不陸追従性に優れており、仮締切りの据え付け適応範囲を拡大することができる。
(3)木製型枠を用いた堤体コンクリートでは、打継目に5cm以上の段差が発生することがある。このような段差の位置に仮締切りを据え付ける場合でも、当該水密構造1では、図1(a)に示すように、固定端bと凸起20との間に不陸調整部材23を取り付けることにより、想定の不陸高さの調整を行うことができる。これにより、水中でのダイバーによる状況観察以外の作業を省略することができ、水中での工程を削減し、作業時間を短縮することができる。
(4)図2に既設発電所取水口の隣りのブロック(一般に1ブロックの幅は15m)に近接して、放流設備の新設や改造を行うダム湖の事例を示している。この場合、発電取水時の取水口への貯水流入による流水渦が近接する仮締切りに側方面の圧力を発生させる。この既設取水口と仮締切り間は3m程度の間隔しかなく、従来のタイブルは設置できない。これに対して、当該水密構造1では、コンクリート面に先行して凹溝(10)を形成し、この凹溝(10)に仮締切りの固定端に設けられた止水構造部(S)を挿入するだけで、コンクリート面と仮締切りとの間を水密に保ち、かつ側面圧力に対抗する構造となすので、施工範囲が限定された地点でも、仮締切りの適応範囲を拡大することができる。なお、当該水密構造1は、干潮河川や港湾の工事における同一目的の工事仕様にも同様に対応することもできる。
(5)河川施設堰やダム、干潮河川部及び港湾部のゲートと放水施設では、図3に示すように、洪水吐き等の設備が近接している。かかる部分を改造する場合、一般には、ケーソン(扉体)に木材やゴムが取り付けられて、越流部のコンクリート面に水圧で圧着している。そして、この補助構造として、現状ではタイブル等を用いて側圧の補足を行っているが、施工範囲が制限され、タイブルが設置できない場合、この側圧の補足は難しい。これに対して、当該水密構造1では、コンクリート面に先行して凹溝(10)を形成し、この凹溝(10)に仮締切りの固定端に設けられた止水構造部(S)を挿入することにより、コンクリート面と仮締切りとの間を水密に保ち、かつ側面圧力に対抗する構造となすので、施工範囲を限定することができ、現状の形式に比べて顕著な優位性を有する。
(6)ダム湖、河川、港湾では、水位の急激な変動が気象条件や季節的な条件により発生する。また、取水、発電等の関連地域の水の利用条件により、水位を下げて一定の範囲に維持できないような場合がある。このような水位条件の中で特に水位を維持しながらの施工となる取水・放流設備の新設や改修工事において、ダム湖の発電や取水水深の維持の必要性により、あるいは河川・港湾部の日常的な水位の変動に対して、ダム堤体のコンクリート面に、特に、鋼矢板締切りよりコンパクトでそのまま再利用可能な仮締切り(例えば、図1に示すケーソン)を据え付ける場合、当該水密構造1は、既述のとおり、不陸追従性、水密性、側面からの作用荷重の耐力特性に優れているので、この種の仮締切り(例えば、図1に示すケーソン)の据え付けに最適な水密構造を実現することができ、かかる工事におけるこの種の仮締切りの施工は当該水密構造1の特筆すべき適用対象となる。なお、この水密構造の対応範囲は水深30m程度が限度であり、水深30m程度に限定するのは、水深30mでの水圧(3気圧)ではケーソン(扉体)の脚部の変位が大きくなり、ケーソンの部材、構造を維持することが困難であるからである。
A 既設堤体の水域側のコンクリート面
B 水中仮締切り設備
b 固定端
1 水中仮締切り設備の水密構造
10 凹溝
S 止水構造部
20 凸起
21 H型鋼
22 鋼板
23 不陸調整部材
30 水密ゴム
31 非膨潤ゴム(硬質ゴム)
32 膨潤ゴム

Claims (5)

  1. 既設堤体の水域側のコンクリート面と前記コンクリート面に据え付けられる水中仮締切り設備の固定端との間を水密に保つ水中仮締切り設備の水密構造において、
    前記コンクリート面の前記水中仮締切り設備の据付位置で前記固定端の対向する所定の位置に、前記所定の位置に不陸がある場合は当該不陸の厚さ分を加えて、コンクリートを所定の深さ、幅及び長さに切断して形成された凹溝と、
    前記固定端に前記凹溝に挿入可能に形成された剛性を有する凸起、及び前記凸起の周囲に被着されて前記凹溝の内面に沿って密着可能な水膨潤作用を有する水密ゴムと、
    を備え、
    前記凹溝に前記固定端の凸起が前記水密ゴムを介して密嵌され、前記コンクリート面と前記水中仮締切り設備との間を水密に保つとともに、
    前記凹溝の内面で前記水中締切り設備に作用する水圧荷重を受ける、
    ことを特徴とする水中仮締切り設備の水密構造。
  2. 凹溝は断面略長方形に形成され、凸起は略長方形の柱状に形成され、水密ゴムは前記凸起の片側一方の側面から先端を回り込み片側他方の側面まで被着される請求項1に記載の水中仮締切り設備の水密構造。
  3. 凹溝の深さは略30cmとする請求項1又は2に記載の水中仮締切り設備の水密構造。
  4. 凸起は鋼材により形成される請求項1乃至3のいずれかに記載の水中仮締切り設備の水密構造。
  5. 水密ゴムは内側層の非膨潤ゴムと外側層の膨潤ゴムの2層構造をなす請求項1乃至4のいずれかに記載の水中仮締切り設備の水密構造。
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