JP5385196B2 - 酸素透過量の測定方法及び測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、酸素バリア材における酸素透過量の測定方法及び測定装置に関する。
食品や薬品等は、酸化によりその品質が低下してしまう。このため、食品や薬品等の包装材として、酸素透過度の小さい(例えば、10−2cc/m・day・atm)程度の酸素バリア材が用いられる。そして、この酸素バリア材からなるフィルム(以下、酸素バリアフィルムと称する)や容器(以下、酸素バリア容器と称する)等が、食品や薬品等の包装として用いられる。
酸素バリア材の酸素透過度の測定方法として、差圧法や等圧法(JIS K 7126)が知られている。これらの方法は、被測定物である酸素バリア材を用いてチャンバー内を2つのエリアに仕切り、第1のエリアに試験ガスである酸素を流し、第2のエリアに透過した酸素を圧力センサーで捉えるものである。似たような方法として特許文献1に、被測定物を袋状にして内部を不活性ガスで充満させて大気中に置き、第1のエリアを大気、第2のエリアを袋の内側とし、一定時間経過後に第2のエリアの酸素量を分析器で測定して被測定物の酸素透過度を測定する方法が開示されている。
また、酸素バリア材に酸素が透過しやすい部位(欠陥)があるか否かを検出する方法として、酸化や還元により変色する物質が充填された容器を、酸素を含有する雰囲気(例えば、大気)中に曝す方法がある。そして、変色した物質の位置から、当該容器の欠陥を特定することができる(例えば、特許文献2、3)。
特開昭54−130091号公報 特開昭54−111390号公報 特開2007−10382号公報
従来、無機基板をベースにして製造されていた、光デバイス及び電子デバイスを、有機フィルムをベースにして製造しようとする試みがなされている。これにより基板コストの低下、超薄型化、フレキシブル化等が可能になり、製品の大型化、ウェアラブル化等の需要トレンドへの対応が可能になる。
ところが、各デバイスの基材を有機フィルムに変更することにより、さまざまな技術課題が浮上する。その1つとして、有機フィルムの酸素バリア性がある。有機フィルムの酸素バリア性が低いと、有機フィルムを透過した酸素により、デバイスが破壊されてしまう。このため、有機フィルムとデバイスとの間に酸素バリア膜を設ける必要がある。更に、このデバイスを酸素バリア膜で覆う必要がある。現在、各デバイスの保護膜として用いられているSiN膜の酸素透過度は10−2cc/m・day・atm程度であるが、今後の各デバイスの環境対応性を考慮すると、保護膜の酸素透過度として、太陽電池で10−4cc/m・day・atm、有機EL素子で10−6cc/m・day・atm程度までの酸素バリア性が必要と考えられている。したがって、これらの高性能な酸素バリア材の性能測定としては、従来の測定技術では対応できなくなってきており、高い検出能力を備えた測定方法の開発が必要とされている。
酸素バリア材の性能測定を考えるに、特許文献1の方法では、圧力センサーの検出能力が律速となって、測定可能な酸素濃度に達するまでの時間が非常に長いことが問題である。開示情報によれば、30日かけて0.8〜44.7cc/m・day・atmの測定が行われている。また、特許文献2〜3ではロイコメチレンブルー(酸化により変色する物質)を用いて、酸素透過度の大小を判定する方法が開示されている。正常な容器に対し直径0.2mmの針を0.05mmの深さで刺して容器の肉厚を減らした凹部をつくっておく。この凹部は正常な肉厚の部分より酸素バリア性が落ちるため、その凹部の反対側内面に配置されたロイコメチレンブルーが青く発色し酸素バリア性が低下したことが発見できている。しかし、この方法では、問題の凹部は発見できてもバリア性の定量評価ができない問題がある。また、JISに規定される方法では、ガスの送出し機構が必須となるため、装置が大掛かりで複雑となってしまう問題がある。
本発明はこのような課題を解決するものであり、微量な酸素透過量を測定する方法及び測定装置を提供することを目的とする。
本発明は、暗室に設けられ、酸化による化学発光を用いて、酸素バリアフィルムを透過した酸素の量を測定する酸素透過量の測定装置において、酸素バリアフィルムよりも酸素透過度が低く、開口を有し、酸素バリアフィルムにより開口を閉塞することにより密閉空間を形成する収納容器と、密閉空間に配され、酸化によって化学発光をする化学発光部材と、化学発光部材から発せられた光子が入射される入射窓を有し、入射窓が密閉空間の内部に位置するように設けられ、入射窓に入射した光子の数を検知する光子検知部とを備える
また、本発明は、酸化による化学発光を用いて、密閉空間を形成し光透過性を有する酸素バリア容器を透過した酸素の量を暗室にて測定する酸素透過量の測定装置において、密閉空間に配され、酸化によって化学発光をする化学発光部材と、化学発光部材から発せら酸素バリア容器を透過した光子の数を検知し、暗室の内部に設けられた光子検知部とを備える
素バリアフィルムや素バリア容器の酸素透過度が10−2cc/m・day・atm以下であることが好ましい。また、学発光部材は後述する一般式(1)で表される化合物を含有することが好ましく、テトラキス(ジチルアミノ)エチレンが含まれることが好ましい。また、密閉空間は、不活性ガスが充填されたグローブボックス内で形成されることが好ましい。
また、本発明は、酸化による化学発光を用いて、酸素バリアフィルムを透過した酸素の量を暗室にて測定する酸素透過量の測定方法において、開口を有し酸素バリアフィルムよりも酸素透過度が低い収納容器の内部に不活性ガスを充填し、酸化によって化学発光をする化学発光部材を収納容器の内部に配置する配置工程と、不活性ガスが充填された収納容器の開口を、酸素バリアフィルムにより閉塞して密閉空間を形成する収納容器密閉工程と、収納容器密閉工程の後に行われ、化学発光部材から発せられた光子が入射される入射窓を有し、入射窓が収納容器の内部に位置するように設けられた光子検知部により、入射窓に入射した光子の数を検知する光子検知工程と、光子検知工程にて検知した光子のに基づいて、酸素バリアフィルムを透過した酸素量を検知する酸素量検知工程とを有する。
また、本発明は、酸化による化学発光を用いて、光透過性を有する酸素バリア容器を透過した酸素の量を、暗室にて測定する酸素透過量の測定方法において、酸素バリア容器の内部に不活性ガスを充填し、酸化によって化学発光をする化学発光部材を酸素バリア容器の内部に配置する配置工程と、不活性ガスが充填された酸素バリア容器を密閉して密閉空間を形成する酸素バリア容器密閉工程と、酸素バリア容器密閉工程の後に行われ、化学発光部材から発せら、酸素バリア容器を透過した光子の数を検知する光子検知工程と、光子検知工程にて検知した光子のに基づいて、酸素バリア容器を透過した酸素量を検知する酸素量検知工程とを有する。
本発明では酸化反応により瞬時に発光する化学発光物質を用いて、酸化に伴って発生する光子をカウントするため、非常に高い感度で酸素の検出をすることができる。一般に、酸素検出器が酸素を検出するためには、雰囲気の酸素濃度が酸素検出器の酸素検出感度を超えるまで待つ必要がある。したがって、酸素透過度の測定に要する時間は、検出器の酸素検出感度が低くなるに従って長くなる。また、酸素透過度の測定に要する時間は、酸素透過度を測定する対象の酸素透過度が小さくなるに従って長くなる。本発明は、酸素検出の感度が非常に高いため、微量な酸素の測定が可能になるだけでなく、酸素検出に要する測定時間を短くできる。市販酸素濃度測定器の酸素検出能力は、最も良いもので0.01ppmである。本発明では、原理的に1pptの酸素の検出が可能である。
酸素透過量の測定方法の概要を示すフロー図である。 第1の酸素透過量測定装置の概要を示す断面図である。 第2の酸素透過量測定装置の概要を示す断面図である。 第3の酸素透過量測定装置の概要を示す断面図である。 第4の酸素透過量測定装置の概要を示す断面図である。 収納容器の概要を示す斜視図である。 収納容器の概要を示す斜視図である。
本発明の酸素透過量の測定方法10では、図1に示すように、開口を有し、不活性ガスが充填された容器内に、酸化により化学発光する物質(以下、化学発光物質と称する)を配する配置工程13と、酸素透過量の測定対象である酸素バリアフィルムを用いて、容器に設けられた開口を塞ぎ、容器を密閉する密閉工程14と、化学発光物質から発された光子を検知する光子検知工程15と、酸素バリアフィルムを透過して密閉容器内に入った酸素の量を検知する酸素量検知工程16とが順次行われる。
酸素透過量の測定方法10を行う酸素透過量測定装置20を図2に示す。酸素透過量測定装置20は、酸素バリアフィルム24を透過した酸素量を測定するものであり、開口26aを有する収納容器26と、収納容器26の内部に配される化学発光部材27と、化学発光部材27から発された光子を検知するフォトンカウンタ28とを有する。酸素透過量測定装置20は暗室30内に配される。
収納容器26は、酸素バリアフィルム24よりも低い酸素透過度を有するものを用いる。例えば、ガラスやそれと同程度の酸素透過度のもので作ることが好ましい。開口26aの形状や寸法等は、酸素バリアフィルム24により閉塞可能であって、開口26aの閉塞により、収納容器26が密閉状態となり得るものであれば良い。
収納容器26の内部は不活性ガスで充填される。不活性ガスとしては、希ガスのほか、窒素のように反応性の低いものを用いることができる。
化学発光部材27は、開口26aから露呈するように収納容器26の内部に配される。化学発光部材27は、ろ紙などの部材に化学発光物質を含ませたものである。
本発明の化学発光物質は、酸素との反応により光子を発する物質をあらわし、例えば、電子供与性基の置換した二重結合を有する化合物や不飽和結合を有する油脂類などが挙げられるが、強い発光を示す点で、電子供与性基の置換した二重結合を有する化合物が好ましく、特に一般式(1)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 0005385196
化1に示される一般式中、RないしRはそれぞれ独立したアルキル基をあらわし、互いに連結して環を形成しても良い。
ないしRで表されるアルキル基は、炭素数1ないし18、好ましくは炭素数1ないし8の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基であり、置換基として例えば、アルコキシ基(好ましくは炭素数1ないし4、例えばメトキシ、エトキシ、2−メチルプロポキシ)、アシル基(好ましくは炭素数2ないし4、例えばアセチル、ブチロイル、ピバロイル)、アシロキシ基(好ましくは炭素数2ないし4、例えばアセトキシ、ブチロイルオキシ、ピバロイルオキシ)、ハロゲン原子(例えばF,Cl,Br,I)を有していても良い。RないしRで表される環状のアルキル基は、好ましくは4ないし7員環であり特に好ましくは5もしくは6員環である。RないしRで表されるアルキル基が互いに連結して形成される環は、4ないし8員環が好ましく特に好ましくは5もしくは6員環である。
化1で表される化合物のうち、特に好ましいものは、RないしRで表されるアルキル基が互いに独立に炭素数1ないし2の無置換アルキル基である。さらにこれらの炭素数1ないし2かつ無置換のアルキル基のうちRとR、RとRが連結して5もしくは6員環を形成していてもよい。
化1で表される化合物のうち最も好ましいものは、RないしRで表されるアルキル基がメチル基である。一般式(1)で表される化合物の具体例(化合物1〜16)を以下に示すが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005385196
Figure 0005385196
Figure 0005385196
化合物16は、化3に示す化合物である。
Figure 0005385196
化1に示す化合物は、以下の非特許文献に記載の公知の方法によって合成できる。例えば化合物1ないし8は、R. L. Pruett, J. T. Barr, K. E. Rapp, C. T. Bahner, J. D. Gibson, R. H. Lafferty, Jr., J. Am. Chem. Soc., 72, 3646-3650 (1950)およびN. Wieberg and J. W. Buchler, Z. Naturforsch, 196, 5-8 (1964)の記載にしたがって合成できる。化合物9ないし16は、H. E. Winberg, J. E. Carnahan, D. D. Coffman, M. Brown, J. Am. Chem. Soc., 87, 2055-2056 (1965)の記載に基づいて合成できる。
本発明の発光反応の機構をテトラキス(ジチルアミノ)エチレン(化合物1)と酸素との反応を例として説明する。テトラキス(ジチルアミノ)エチレン(化合物1)と酸素との反応により、化4に示すジオキセタンを経て2分子のテトラメチル尿素(化5及び化6参照)が生成する。化6に示すテトラメチル尿素は、励起状態である。化6に示すテトラメチル尿素が基底状態に遷移する際に、励起状態と基底状態のエネルギー差に対応するエネルギーを有する光子が放出される。H. E. Winberg, J. R. Downing, D. D. Coffman, J. Am. Chem. Soc., 87, 2054-2055 (1965) によれば、この反応の量子収率は3×10−4であるから、反応に寄与した酸素分子10000個に対し2.5ないし3.4個の割合(以下、反応割合と称する)κで光子が発生することになる。
Figure 0005385196
Figure 0005385196
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フォトンカウンタ28は、光子が入射可能な入射窓28aを備える光電子増倍管と、光電子増倍管が出力した電流値から、入射窓28aから入射した光子の数をカウントするカウンタモジュールとを有する。収納容器26の外部に配されるフォトンカウンタ28は、入射窓28aが開口26aと対向するように配される。光電子増倍管の量子効率Qeは光子の換算波長によって変化するが1%〜20%であることが望ましい。
酸素バリアフィルム24は光透過性を有する。酸素バリアフィルム24の酸素透過度は、10−2 〜10−6 (cc/m・day・atm)であることが好ましい。
次に、化学発光部材27としてテトラキス(ジチルアミノ)エチレンを含むろ紙を用いたケースを例にして、酸素透過量測定装置20を用いて酸素バリアフィルム24の酸素透過度を測定する手順を説明する。
(配置工程、密閉工程)
まず、不活性ガスが充填されたグローブボックス内に、収納容器26、化学発光部材27が収納された密閉ビン、及び酸素バリアフィルム24を入れる。グローブボックス内では、密閉ビンから化学発光部材27を取り出し、収納容器26の内部に配する。その後、収納容器26の開口26aが閉塞するように、酸素バリアフィルム24を収納容器26に接着する。これにより、収納容器26は、化学発光部材27が配される収納容器26の内部が不活性ガスで置換された状態で、密閉される。そして、グローブボックス内で運搬用の密閉トランクケースに移し暗室30へ持っていく。運搬用密閉トランクケース内部も不活性ガスで充満されている。
暗室30内には酸素を含有する気体(例えば、空気)が充填されている。収納容器26の内部の圧力は、暗室30内の圧力と等しくても良いし、収納容器26の内部との圧力よりも低くても良い。収納容器26の内部の温度、湿度などの環境条件は、化学発光物質の反応が起こるものであればよい。
(光子検出工程)
暗室30にて、収納容器26を運搬用密閉トランクケースから取り出す。このとき、暗室30に配されるフォトンカウンタ28の入射窓28aと開口26aとが対向するように、収納容器26を配する。暗室30中の酸素が酸素バリアフィルム24を透過する。酸素バリアフィルム24を透過した酸素は、収納容器26の内部に配された化学発光部材27に触れる。化学発光部材27に含まれたテトラキス(ジチルアミノ)エチレンと酸素との接触により、光子が発される。化学発光部材27から発された光子は、フォトンカウンタ28の入射窓28aへ入射する。入射窓28aから光子が入射されると、光電子増倍管は、その光子に応じて所定のパルス電流を出力する。
(酸素量検出工程)
カウンタモジュールは、光電子増倍管が出力したパルス数と電流値を読み取る。そして、読み取ったパルス数と電流値から、入射窓28aへ入射した光子の数を検知する。更に、検知された光子の数と反応割合κとから、酸素バリアフィルム24を透過した酸素分子の数M(個/秒)を算出する。
酸素透過度T(cc/m・day・atm)は、式(1)で表される。
式(1) T=M・3600・24/(S・Qe・K・κ・A)
ここで、Sは開口26aの開口面積であり、Qeはフォトンカウンタの量子効率であり、Kは光子補足効率であり、Aは体積当たりの酸素分子数で、測定時の温度と圧力を考慮して算出した値である。光子補足効率Kは、化学発光部材27から発された光子のうち、入射窓28aに入射する光子の割合を示すものであり、具体的には、化学発光部材27における光電子増倍管の入射窓28aの立体角から求められる。更に、この立体角に加え、開口26aや化学発光部材27の形状や面積、開口21、化学発光部材27や入射窓28aの位置、収納容器26の内部反射を考慮して、光子補足効率Kを求めてもよい。
このように、本発明は、酸素バリアフィルム24の酸素透過度の測定において、酸化によって発された光子の数を検知するため、酸素透過度の測定を従来に比べて高い感度で行うことができる。したがって、本発明によれば、従来に比べて小さい酸素透過度の酸素バリアフィルム24について測定することができる。
上記実施形態では、光透過性を有する酸素バリアフィルム24を用いたが、光透過性が低い、または光透過性を有さない酸素バリアフィルム24を用いてもよい。この場合には、収納容器26を通して光子を検知してもよいし、収納容器26の内部にフォトンカウンタ28を配置してもよい。また、図3に示すように、入射窓28aが収納容器26の内部に位置するように、フォトンカウンタ28を設けてもよい。この場合は、光子補足効率Kが変わるので、Kの値を事前に求めておく。
上記実施形態では、暗室30にて収納容器26を運搬用トランクケースから取り出したが本発明はこれに限られず、暗室30において、グローブボックスの内部又は外部にフォトンカウンタ28を配した後、グローブボックス内を大気に置換してもよい。
上記実施形態では、酸素バリアフィルム24の酸素透過度を測定したが、本発明はこれに限られず、酸素バリア容器の酸素透過度を測定することもできる。図4に示すように、酸素バリア容器44の酸素透過度を測定する酸素透過量測定装置50は、不活性ガスが充填された酸素バリア容器内に配される化学発光部材27と、フォトンカウンタ28とを有する。そして、上記実施形態と同様にして、各工程13〜16を行えばよい。なお、酸素バリア容器44の酸素透過度について、好ましい範囲は、酸素バリアフィルム24と同様である。
次に、酸素透過量測定装置50を用いて酸素バリア容器44の酸素透過度を測定する手順を説明する。
まず、不活性ガスが充填されたグローブボックス内に、酸素バリア容器44、及び化学発光部材27が収納された密閉ビンを入れる。グローブボックス内では、密閉ビンから化学発光部材27を取り出し、酸素バリア容器44内に配する。その後、不活性ガスで置換された状態で、酸素バリア容器44を密閉する。そして、酸素バリア容器44をグローブボックス内で運搬用トランクケースに移し暗室30へ持っていく。
(配置工程、密閉工程)
暗室30にて、酸素バリア容器44を運搬用トランクケースから取り出す。酸素バリア容器44を、フォトンカウンタ28の入射窓28aの前に配する。暗室30中の酸素が酸素バリア容器44を透過する。酸素バリア容器44を透過した酸素は、酸素バリア容器44内に配された化学発光部材27に触れる。化学発光部材27に含まれたテトラキス(ジチルアミノ)エチレンと酸素との接触により、光子が発される。化学発光部材27から発された光子は、フォトンカウンタ28の入射窓28aへ入射する。入射窓28aから光子が入射されると、光電子増倍管は、その光子に応じて所定のパルス電流を出力する。カウンタモジュールは、光電子増倍管が出力したパルス数と電流値を読み取り、これらの値から入射窓28aへ入射した光子の数を検知する。更に、検知された光子の数と反応割合κとから、酸素バリア容器44を透過した酸素分子の数M(個/秒)を算出する。
(光子検知工程、酸素量検知工程)
なお、図5(A)に示すように、内部を不活性ガスで置換された状態で、酸素バリアフィルム24によって密閉された収納容器26を、酸素を含有する気体(例えば、大気)中にて曝してもよい。所定時間t1の経過により、所定の量の酸素が、酸素バリアフィルム24を透過して収納容器26内に入る。その後、注射器60を用いて収納容器26内の気体を吸出す(図5(B)参照)。そして、吸い出した気体を注射器60からガラス蓋65により密閉された容器66内へ送る(図5(C)参照)。容器66内には化学発光部材27が配されるため、酸素との接触により、化学発光部材27から光子が発される。このように、酸素バリアフィルム24を透過した酸素の量に応じた量の光子が化学発光部材27から発されるため、フォトンカウンタ28を用いて、酸素バリアフィルム24を透過した酸素分子の数m(個)酸素の量を検知することができる。この場合においては、酸素透過度Tは、式(2)で表される。
式(2) T=m/(S・Qe・K・κ・A・t1)
この測定においては、測定時間t1は気体の注入開始から全部の発光が終了するまでとする。mはこの期間の累積光子カウント数であり、Tは測定時間t1における平均酸素透過度を表す。
なお、図5(A)において、酸素バリアフィルム24及び収納容器26に代えて、酸素バリア容器44を用いても良い。
なお、収納容器26としては、特に制限はないが、例えば、図6に示すように、窪み60を底面26bの中央に有するものでもよい。窪み60に化学発光物質を配することにより、底面26bの中央に発光体62が形成される(図7参照)。そして、酸素の高い検出感度を得る場合には、被検査物である酸素バリアフィルム24により塞がれる開口26aの面積をS26aとし、発光体62の面積S62との比(=S26a/S62)は、1以上であることが好ましい。なお、窪み60の形状は、正方形の他、矩形、円形、楕円形などいずれでもよい。
図2に示す酸素透過量測定装置20を用いて、酸素バリアフィルム24の酸素透過量を測定した。収納容器26の内寸は、0.012m×0.017m×深さ0.0007mであり、化学発光部材としてテトラキス(ジチルアミノ)エチレンを使用した。ここで、開口面積S26aは、2.04×10−4(=0.012m×0.017m)であり、収納容器26の底面全面にテトラキス(ジチルアミノ)エチレンを配した。この場合の光子捕捉係数Kは、0.025であった。フォトンカウンタの量子効率Qeは0.04、反応割合κは0.0003、体積当たりの酸素分子数Aは測定時の温度・気圧で2.4×1019個/ccであった。酸素バリア膜を測定したところ、測定開始から4日経過後の光子の数は、バックグラウンドノイズを差し引いて毎秒10であった。これにより、酸素透過度5.9×10−4cc/m・day・atmと測定された。なお、特許文献1に記載の方法により同一の酸素バリア膜(酸素透過度5.9×10−4cc/m・day・atm)を測定する場合、本発明に比べ、約1300倍の時間を要する。
毎秒発生する光子の数10カウントは、Qe、κ、Kの効果を考慮すると、毎秒3.3×10個の酸素分子がテトラキス(ジチルアミノ)エチレンと反応していることになる。使用した上記収納容器26の容積は、1.43×10−7であり、この内部に含まれる気体分子数は、1気圧・常温で3.48×1018個である。上記収納容器26内部の小空間においては、酸素分子は瞬時にテトラキス(ジチルアミノ)エチレン酸素と反応するため、酸素バリア膜からこの量の酸素が毎秒供給されていることになる。仮に、酸素分子の侵入と消滅がバランスしている中で収納容器26内部の酸素濃度の最大値を求めると、
3.3×10 ÷3.48×1018 ≒ 0.9×10−11
となる。したがって、この装置における酸素検出感度は、10ppt程度といえる。
上記において、開口面積S26aを広げることで、光子補足効率Kや反応割合κ、フォトンカウンタの量子効率Qeを変えずに、光子のカウント数を増やすことができる。図6及び図7に示す収納容器26の開口面積S26aがテトラキス(ジチルアミノ)エチレンの発光体62の面積S62の100倍である場合、信号量は100倍となる。この結果、測定レンジは、10−6cc/m・day・atmとなる。したがって、この装置における酸素検出感度は、1ppt以下といえる。
10 酸素透過量の測定方法
13 配置工程
14 密閉工程
15 光子検知工程
16 酸素量検知工程
20、50 酸素透過量測定装置
24 酸素バリアフィルム
26 収納容器
27 化学発光部材
28 フォトンカウンタ
44 酸素バリア容器

Claims (10)

  1. 暗室に設けられ、酸化による化学発光を用いて、酸素バリアフィルムを透過した酸素の量を測定する酸素透過量の測定装置において、
    前記酸素バリアフィルムよりも酸素透過度が低く、開口を有し、前記酸素バリアフィルムにより前記開口を閉塞することにより密閉空間を形成する収納容器と、
    前記密閉空間に配され、酸化によって化学発光をする化学発光部材と、
    前記化学発光部材から発せられた光子が入射される入射窓を有し、前記入射窓が前記密閉空間の内部に位置するように設けられ、前記入射窓に入射した光子の数を検知する光子検知部とを備えることを特徴とする酸素透過量の測定装置。
  2. 前記酸素バリアフィルムの酸素透過度が10−2cc/m・day・atm以下であることを特徴とする請求項1記載の酸素透過量の測定装置。
  3. 酸化による化学発光を用いて、密閉空間を形成し光透過性を有する酸素バリア容器を透過した酸素の量を暗室にて測定する酸素透過量の測定装置において、
    前記密閉空間に配され、酸化によって化学発光をする化学発光部材と、
    前記化学発光部材から発せら前記酸素バリア容器を透過した光子の数を検知し、前記暗室の内部に設けられた光子検知部とを備えることを特徴とする酸素透過量の測定装置。
  4. 前記酸素バリア容器の酸素透過度が10−2cc/m・day・atm以下であることを特徴とする請求項3記載の酸素透過量の測定装置。
  5. 前記化学発光部材は一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の酸素透過量の測定装置。
    Figure 0005385196
  6. 前記化学発光部材が、テトラキス(ジチルアミノ)エチレンを含有することを特徴とする請求項5項記載の酸素透過量の測定装置。
  7. 前記密閉空間は、不活性ガスが充填されたグローブボックス内で形成されることを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項記載の酸素透過量の測定装置。
  8. 酸化による化学発光を用いて、酸素バリアフィルムを透過した酸素の量を暗室にて測定する酸素透過量の測定方法において、
    開口を有し前記酸素バリアフィルムよりも酸素透過度が低い収納容器の内部に不活性ガスを充填し、酸化によって化学発光をする化学発光部材を前記収納容器の内部に配置する配置工程と、
    前記不活性ガスが充填された前記収納容器の開口を、前記酸素バリアフィルムにより閉塞して密閉空間を形成する収納容器密閉工程と、
    前記収納容器密閉工程の後に行われ、前記化学発光部材から発せられた光子が入射する入射窓を有し、前記入射窓が前記収納容器の内部に位置するように設けられた光子検知部により、前記入射窓に入射された光子の数を検知する光子検知工程と、
    前記光子検知工程にて検知した光子のに基づいて、前記酸素バリアフィルムを透過した酸素量を検知する酸素量検知工程とを有することを特徴とする酸素透過量の測定方法。
  9. 酸化による化学発光を用いて、光透過性を有する酸素バリア容器を透過した酸素の量を、暗室にて測定する酸素透過量の測定方法において、
    前記酸素バリア容器の内部に不活性ガスを充填し、酸化によって化学発光をする化学発光部材を前記酸素バリア容器の内部に配置する配置工程と、
    前記不活性ガスが充填された前記酸素バリア容器を密閉して密閉空間を形成する酸素バリア容器密閉工程と、
    前記酸素バリア容器密閉工程の後に行われ、前記化学発光部材から発せら、前記酸素バリア容器を透過した光子の数を検知する光子検知工程と、
    前記光子検知工程にて検知した光子のに基づいて、前記酸素バリア容器を透過した酸素量を検知する酸素量検知工程とを有することを特徴とする酸素透過量の測定方法。
  10. 前記密閉空間は、不活性ガスが充填されたグローブボックス内で形成されることを特徴とする請求項8又は9記載の酸素透過量の測定方法。
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