内視鏡システム10は、図1に示すように、経鼻内視鏡(以下、「内視鏡」)11、補助具12、アダプタ13、光源装置14、プロセッサ装置15、及びモニタ16等を備えている。内視鏡11には、一方の外鼻孔に挿入される挿入部17を持っている。挿入部17の基端部に接続される把持部17aには、手元操作部18が取り付けられ、手元操作部18には、光源装置14、及びプロセッサ装置15にそれぞれ接続されるユニバーサルコネクタ19がユニバーサルケーブル20の先端に設けられている。この内視鏡11の挿入部17には、先端部から把持部17a又は手元操作部18へと貫通する内部空間に鉗子管路が設けられている。鉗子管路は、一端が先端部に設けた鉗子出口に、また他端は把持部17a又は手元操作部18に設けた鉗子入口21にそれぞれ接続されている。なお、把持部17aと手元操作部18とが操作部本体を構成する。
内視鏡11の挿入部17は、周知のように、先端硬質部22、湾曲部23、及び軟性部24とで構成されている。湾曲部23の前後には、補助具12の先端部を固定するための円筒状の磁石体25,26が一対設けられている。なお、先端硬質部22と湾曲部23とが本発明の内視鏡11の挿入部17の先端部を構成する。
内視鏡の先端硬質部22には、硬質な金属材料等で形成された先端部本体の内部に観察光学系、撮像素子や照明光学系等が内蔵されている。ユニバーサルコネクタ19は、ライトガイド用コネクタ(LGコネクタ)27と、これから延設されたコード28の先端に設けたビデオ用コネクタ(電気コネクタ)29とから構成されている。電気コネクタ29がプロセッサ装置15に、また、LGコネクタ27が光源装置14にそれぞれ接続される。
プロセッサ装置15には、電源回路、撮像素子から得られる撮像信号を画像処理してコンポジット信号やRGBコンポーネント信号にエンコードするための画像処理回路等が設けられている。光源装置14には、光源ランプが内蔵されており、その光は、手元操作部18を通って挿入部17の内部空間に収容したライトガイド(ファイバーバンドル)によって把持部17aから先端部へと導かれて照明光学系に入射する。
軟性部24は、手元操作部18と湾曲部23との間を細径で長尺状に繋ぐ部分であり、可撓性を有している。湾曲部23は、手元操作部18に設けた湾曲操作ノブ30の操作に連動して挿入部17の内部空間に収容したアングルワイヤが押し引きされて湾曲動作する。これにより、先端硬質部22の先端面を体腔内の所望の方向に向けて観察部位を観察する。観察部位は、照明光学系から放たれる光により照明され、その反射光を観察光学系を介して撮像素子で撮像し、画像処理回路を介してモニタ16に表示する。
手元操作部18には、2つの湾曲操作ノブ30や鉗子入口21の他に、送気・送水ボタン31、吸引ボタン32、及びウォータージェット口(WJ口)33等が設けられている。WJ口33には、被観察部位に向けて噴射するための洗浄水や薬液等の流体を収容したシリンジや送水装置等が着脱自在に接続される。なお、WJ口33、及び鉗子入口21は、通常は着脱自在な栓により塞がれている。
補助具12は、内視鏡11と組み合わせて使用されるものであり、内視鏡11の機能を補助する挿入部35を有している。補助具12の挿入部35は、内視鏡11の挿入部17が挿入されていない他方の外鼻孔に挿入されるものであり、先端から順に先端部37、湾曲部38、及び可撓管部39とで構成されている。可撓管部39の後端部36は、アダプタ13に着脱自在に係合する。
補助具12の湾曲部38には、挿入方向に対する前後に、円筒状の磁石体40,41が一対設けられている。これら一対の磁石体40,41は、挿入経路のうちの後鼻道から食道までの範囲に挿入されたときに、内視鏡11の一対の磁石体25,26に磁着する。これにより、補助具12の湾曲部38は、内視鏡11の湾曲部23の湾曲に従動して湾曲し、補助具12の先端部37の先端面は、内視鏡11の先端硬質部22の先端面と同じ向きになる。
補助具12の先端部37は、硬質な材料で形成されている。湾曲部38は、内視鏡11の湾曲部23と一緒に湾曲する柔軟な部分である。可撓管部39は、後端部36と湾曲部38との間を細径で長尺状に繋ぐ部分であり、可撓性を有している。なお、先端部37と湾曲部38とは、本発明の補助具12の挿入部35の先端部を構成する。
補助具12の挿入部35には、先端部から後端部36へと貫通する鉗子管路が設けられている。この鉗子管路は、一端が先端面に設けた鉗子出口に、また他端は後端部36に設けた鉗子入口に接続されている。
双方の挿入部17,35は、どちらも外鼻孔から後鼻孔、食道と経て胃や十二指腸等に挿入されるために、細径のフレキシブルな管状に形成されており、略同じ径、及び長さになっている。なお、鼻孔への挿入テストで内視鏡11の挿入部17を片方の鼻孔に挿入するのが無理であると判断される場合もあるので、補助具12の挿入部35は、内視鏡11の挿入部17よりも細径にしておくのが好適である。
アダプタ13は、内視鏡11の把持部17aと補助具12の内視鏡用係合部42とを着脱自在に係合し、これらを係合することで内視鏡11の鉗子管路と補助具12の鉗子管路とを繋げる作用をする。このため、アダプタ13は、図2及び図3に示すように、内視鏡11の把持部17aに着脱自在に係合する内視鏡用係合部42と、内視鏡11の鉗子入口21に接続される内視鏡用ポート42aと、補助具12の後端部36に着脱自在に係合する補助具用係合部43と、補助具12の鉗子入口36aに接続される補助具用ポート43aと、処置具を内視鏡11又は補助具12とのいずれか一方の鉗子管路51,72に挿入するための処置具挿入用ポート13aと、を備えている。処置具挿入用ポート13aは、内視鏡用ポート42aと補助具用ポート43aとの両方に二股の管路により繋がっている。これにより、鉗子等の処置具をアダプタ13の処置具挿入用ポート13aから挿入し、挿入後に挿入方向の先端の向きを変えることで、使用する鉗子管路を内視鏡11と補助具12とのいずれか一方に選択することができる。
内視鏡用係合部42と、補助具用係合部43とには、弾性自在な係合溝42b、43bが設けられている。これら係合溝42b、43bは、相手側となる鉗子入口21,36aに設けた突条21a,36bに着脱自在に係合し、着脱が容易に行える。また、アダプタ13には、着脱自在な鉗子栓81が取り付けられている。鉗子栓81は、処置具によって押し開かれるスリット又は小孔を形成した弾性を有する栓部81bがヒンジ81aを介して取り付けられており、鉗子管路51,72を通じて体内汚液等が処置具挿入用ポート13aから外部に噴出しないように処置具挿入用ポート13aを部分的にシールする。
内視鏡11を用いる処置又は治療時においては、双方の挿入部17,35を体腔内に挿入する前又は挿入後に、アダプタ13を介して補助具12の後端部36を把持部17aに接続する。挿入後に接続する場合には、補助具12の挿入部35の長さを内視鏡11の挿入部17よりも長くしておくと、作業がし易いので望ましい。
内視鏡11の軟性部24は、図4に示すように、内側より順に可撓性を保ちながら内部を保護するフレックスと呼ばれる螺管44と、この螺管44の上に被覆され外層46の樹脂を保持するブレードと呼ばれるネット45と、このネット45上に樹脂を被着した外層46との3層からなる可撓性管47で構成されている。
内視鏡11の軟性部24の内部には、先端硬質部22の照明用レンズに照明光を導くためのライトガイド48,49、アングルワイヤ50、鉗子管路51、送気・送水管路52、多芯ケーブル53、及び、ウォータージェット管路(WJ管路)54等の複数本の内容物が遊挿されている。多芯ケーブル53は、主に、映像信号処理部から撮像センサを駆動するための信号を送るとともに、撮影センサから得られる撮像信号を映像信号処理部に送るためのケーブルであり、複数の信号線を保護被膜で覆った断面形状になっている。アングルワイヤ50は、上下用と左右用との2本のアングルワイヤを湾曲操作ノブ30の操作に連動する2つのプーリに各々掛け回してそれら先端を湾曲部23に向けて挿通しているので軟性部24の内部には4本あり、それぞれが密着コイルパイプ50aの中に挿通されている。
内視鏡11の先端硬質部22の先端面22aには、図5に示すように、観察窓55、一対の照明窓56,57、ウォータージェットノズル(WJノズル)58、鉗子出口59、送気・送水ノズル60などが露呈して設けられている。観察窓55には、体腔内の被観察部位の像光を取り込むための対物光学系の一部が配されている。照明窓56,57は、観察窓55を挟んだ両側に設けられ、光源装置14から伝送される光を、ライトガイド48,49を介して体腔内の被観察部位に照射する。
内視鏡11の鉗子出口59は、鉗子管路51を介して手元操作部18に設けた鉗子入口21と連通されている。送気・送水ノズル60は、手元操作部18に設けた送気・送水ボタン31を操作することによって患部に送気、送水をしたり、観察窓55に向けて洗浄水やエアーを噴射する。WJノズル58は、WJ口33に着脱自在に取り付けられるシリンジ又は送水装置から供給される洗浄水や薬液等の流体を被観察部位に向けて噴射する。
観察窓55には、図6に示すように、対物光学系61の一部が露呈して配されている。照明窓56,57から発する照明光は、被観察部位を反射して対物光学系61に入射する。入射した被写体光は、対物光学系61を通ってプリズム62に入射してプリズム62の内部で屈曲することで撮像素子63の結像面に結像する。撮像素子63には、回路基板64が接続されており、この回路基板64には多芯ケーブル53の各信号線53aが接続されている。
内視鏡11の先端硬質部22から湾曲部23の外層は、柔軟性を有するアングルゴム65で形成されている。アングルゴム65の内側には、アングルワイヤ50の先端が係合している先端側接続リング66が設けられている。先端側接続リング66には、基端部に向けて、複数の節輪(図示なし)が湾曲中心となる左右及び上下のピンで交互に連結されている。各節輪の内側には、アングルワイヤ50が摺動自在に係合しており、節輪列は、上下用と左右用とのアングルワイヤ50の押し引きにより上下及び左右に湾曲する。
内視鏡11の湾曲部23の内部には、軟性部24から挿通されている鉗子管路51が配されている。この鉗子管路51は、合成樹脂製のフレキシブル管となっている。この鉗子管路51の先端には、先端硬質部22の内部に配した硬質管67が接続されている。この硬質管67は、先端が鉗子出口59に接続されている。
補助具12の可撓管部39は、図7に示すように、内視鏡11の軟性部24と同じに、螺管68、ネット69、及び外層70との3層からなる可撓性管71で覆われている。螺管68は、鉗子管路72の周りに設けられており、可撓性を保ちながら鉗子管路72を保護する。ネット69は、螺管68の上に被覆され外層70の樹脂を保持する。外層70は、ネット69上に樹脂を被着したものである。
補助具12の鉗子管路72は、合成樹脂製のフレキシブル管で作られており、その内径は補助具12の挿入部35の外径に対して略70%以上の径、内視鏡11の鉗子管路51の内径に対して略2倍以上の径になっている。これにより、大型の処置具を補助具12の鉗子管路72に挿入することができる。
補助具12の先端部37は、図8に示すように、先端部本体73で覆われている。先端部37の先端面37aには、鉗子出口76が露呈して形成されている。鉗子出口76には、硬質管75が接続されており、この硬質管75にフレキシブルな鉗子管路72が接続されている。これら鉗子出口76、硬質管75、及び鉗子管路72の内径は、略同じになっている。
補助具12の湾曲部38は、内視鏡11の湾曲部23に追従して湾曲するように柔軟な表皮74で覆われている。この湾曲部38の表皮74は、可撓管部39と略同じ構成をしているが、内視鏡11の湾曲部23の湾曲に対して内側又は外側で追従して湾曲したときに、先端部37の先端面37aが内視鏡11の先端面22aに対してずれることがないように、挿入方向に対して僅かに伸縮する。
補助具12の湾曲部38に設けた一対の磁石体40,41は、図9に示すように、表面に凹凸が出ないように、表皮74に一段凹んだ凹部77、78を一対設け、一対の凹部77,78にそれぞれ嵌め込まれている。一方、内視鏡11の湾曲部23の前後に設けた一対の磁石体25,26も、表面に凹凸が出ないように、一段凹んだ凹部79,80に嵌め込まれている。これらの一対の磁石体25,26と磁石体40,41とは、間隔が同じになっており、所定距離をおいた二カ所で磁着させることで、内視鏡11と補助具12との湾曲部23,38を先端面22a,37aが同じ向きに揃った状態で並列的に固定することができる。
なお、これら磁石体25,26,40,41が本発明の固定手段を構成する。固定手段としては、磁石体同士を磁着させることに限らず、磁石体と磁着体との組でもよい。また、複数の磁石体をリング状のバンドに取り付け、そのバンドを凹部に嵌め込むようにしてもよい。
内視鏡11は、図10に示す撮像素子82を先端硬質部22に備え、また、CPU83、基準クロック発振器84、タイミングジェネレータ(TG)85、及びアナログ信号処理回路(AFE:Analog Front End processor)86等をユニバーサルコネクタ19の内部に備えている。
撮像素子82は、CCDやCMOS等であり、対物光学系61により結像する被写体像を撮像する。この受光面には、複数の色セグメントからなるカラーフィルタ(例えば、ベイヤー配列の原色カラーフィルタ)が配置されている。
CPU83は、内視鏡11の各部の動作制御を行う。TG85は、基準クロック発振器84により生成される基準クロック信号に基づき、撮像素子82の駆動パルス(垂直/水平駆動パルス)を生成するとともに、AFE86用の同期パルスを生成し、前記駆動パルス及び同期パルスをそれぞれ撮像素子82、及びAFE86に入力する。撮像素子82は、TG85から入力された駆動パルスに応じて撮像動作を行い、撮像信号をAFE86に出力する。
AFE86は、相関二重サンプリング回路(CDS)88、自動ゲイン制御回路(AGC)89、及びアナログ/デジタル変換器(A/D)90により構成されている。CDS88は、撮像素子82から出力される撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、撮像素子82で生じるリセット雑音及びアンプ雑音の除去を行う。AGC89は、CDS88によりノイズ除去が行われた撮像信号をゲイン調整する。A/D90は、AGC89により増幅された撮像信号を、所定のビット数のデジタル信号に変換し、ユニバーサルコネクタ19を介してプロセッサ装置15に送る。
また、TG85は、AFE86から出力される撮像信号に対応した、水平同期信号、垂直同期信号、及びクロック信号を、それぞれユニバーサルコネクタ19を介してプロセッサ装置15に送る。
プロセッサ装置15は、CPU91、アイソレーション回路(絶縁回路)92、デジタル信号処理回路(DSP)93、同期信号発生回路(SSG)94、及びデジタル/アナログ変換器(D/A)95等を備えている。
CPU91は、プロセッサ装置15、及び光源装置14の動作制御を行う。アイソレーション回路92は、内視鏡11をプロセッサ装置15から絶縁分離するためのものである。デジタル信号処理回路(DSP)93は、撮像信号に信号処理を施して映像信号を生成する。
同期信号発生回路(SSG)94は、補正された水平同期信号、垂直同期信号、及びクロック信号を発生する。デジタル/アナログ変換器(D/A)95は、DSP93から出力された映像信号をNTSC方式等のアナログ映像信号に変換する。
SSG94には、内視鏡11のTG85から出力された水平駆動パルス、垂直駆動パルス、及びクロックパルスがアイソレーション回路92を介して入力される。SSG94は、入力された水平駆動パルス、垂直駆動パルス、及びクロックパルスの間の位相ずれを補正して、位相ずれが補正された水平駆動パルス、垂直駆動パルス、及びクロックパルスを発生し、これらの信号をDSP93に入力する。
DSP93には、内視鏡11のAFE89から出力された撮像信号がアイソレーション回路92を介して入力される。DSP93は、入力された撮像信号に対し、色分離、色補間、ゲイン補正、ホワイトバランス調整、ガンマ補正、画像強調処理等を行い、輝度(Y)信号と色差(C)信号とからなるY/C形式の映像信号を生成し、生成した映像信号をD/A95に入力する。D/A95は、入力された映像信号をNTSC方式のアナログ映像信号に変換し、コネクタ96に外部接続されたモニタ16に出力する。
光源装置14は、光源ランプ97、光源ドライバ98、絞り機構99、集光レンズ100、及びCPU101を備えている。光源ランプ97は、キセノンランプやハロゲンランプ等から放たれる白色の光源である。光源ドライバ98は、光源ランプ97を駆動する。
内視鏡11のライトガイド48,49は、基端部側で1本のライトガイド149に結束され、その入射端149c側がユニバーサルコネクタ19に接続され、また先端部側で分岐した2つの出射端149a,149bをもつ。2つの出射端149a,149bは、挿入部17の先端部に設けた一対の照明レンズ102,103の入射面(疑似光源面)側に配されている。
絞り機構99は、光源ランプ97とライトガイド48,49の入射端149cとの間に配され、ライトガイド149への入射光量を増減させる。集光レンズ100は、絞り機構99を通過した光を集光してライトガイド48,49の入射端149cに導く。CPU101は、プロセッサ装置15のCPU91と通信し、光源ドライバ98、及び絞り機構99の制御を行う。光源ランプ97から発せられた光は、絞り機構99、及び集光レンズ100を介してライトガイド48,49の入射端149cに入射し、ライトガイド48,49の出射端149a,149bから射出され、照明レンズ102,103を介して照明窓56,57から体腔内へ照射される。
内視鏡11の送気・送水ノズル60に繋がる送気・送水管路52の後端は、送気用管路104と送水用管路105との二股に分かれている。送気用管路104と送水用管路105は、送気・送水ボタン31に各々接続されている。詳しくは図11に示すように、送気・送水ボタン31は、管路切換機能を有し、送気用ポート106、送水用ポート107、給水用ポート108、及び、給気用ポート109を有している。送水用ポート107には送水用管路105が、送気用ポート106には送気用管路104が接続されている。また、給水用ポート108には、ユニバーサルコネクタ19に設けた送水コネクタ110を介して送水タンク111が接続される。給気用ポート109には、ユニバーサルコネクタ19を介して光源装置14に内蔵したバルブ112、及び送気ポンプ113が接続される。
光源装置14には、送気圧を選択する送気ボタン114が外部に露呈して設けられている。送気ボタン114で選択した送気圧の情報はCPU101に送られ、CPU101は送気圧の情報に基づいてバルブ112の弁を調節する。送気・送水ボタン31には、ボタンの一部に孔115が空いており、送気ポンプ113は、常に駆動して前記孔115から空気を吐出している。送気・送水ボタン31の孔115を塞ぐ操作を行うことで、送気・送水ノズル60までの管路が繋がり、送気・送水ノズル60より空気が吹き出す。さらに、詳しくは図12に示すように、送気・送水ボタン31を押し込む操作を行うと、給気用ポート109が塞がれ、空気は送水タンク111に流れ込む。空気は、送水タンク111内の水を押し出し、水は給水用ポート108を介して送水用ポート107から送気・送水管路52を経て送気・送水ノズル60から吹き出す。
内視鏡11の挿入部17に収容したWJ管路54は、図10に記載したように、一端がWJノズル58に接続され、他端が手元操作部18に設けたWJ口33に接続されている。WJ口33には、シリンジ121又はシリンジ121に取り付けたチューブ等が接続される。シリンジ121内に注入した液体は、プランジャーを軸方向に移動操作することでWJ管路54を通ってWJノズル58から患部に向けて噴出する。
内視鏡11の鉗子管路51の後端は、鉗子入口21と手元操作部18に設けた吸引ボタン32とに分岐して接続されている。吸引ボタン32には、鉗子管路51に繋がるポート116と、ユニバーサルコネクタ19に設けた吸引コネクタ118に繋がるポート117とを有する。吸引コネクタ118には、詳しくは図13に示すように、吸引装置119に繋がるチューブ120が接続される。吸引ボタン32の押下操作によりポート116,117が繋がり、吸引装置119は、吸引装置119が内視鏡11の鉗子管路51を介して鉗子出口59から体腔内の汚物や血液その他の体液を吸引し、吸引タンク123に貯留する。
アダプタ13を用いて内視鏡11と補助具12とを接続すると、図10に記載したように、内視鏡11の鉗子入口21と補助具12の補助具用ポート43aとが処置具挿入用ポート13aに繋がる。これにより、双方の鉗子管路51,72を使用して吸引が行える。この操作は、手元操作部18の吸引ボタン32を押下操作する。これにより、吸引装置119が内視鏡11及び補助具12の鉗子管路51,72を介して双方の鉗子出口59,76から体腔内の汚物や血液その他の体液を多量に吸引することができる。
次に上記構成の作用を、図14を参照しながら説明する。経鼻内視鏡検査では、まず前処置として、内視鏡11の挿入部17を挿入するために外鼻孔の奧の鼻腔から中(下)鼻道に麻酔を行うとともに挿通テストを行い、挿入部17が挿通可能な挿入経路のある鼻腔を決定する。前処置は座位又は仰臥位で行い、その後に、仰臥位又は左側臥位で挿入部17を一方の外鼻孔に挿入していく。挿入経路は、図15に示すように、一方の外鼻孔130から中鼻道131又は下鼻道132を通して後鼻孔(内鼻孔)133、食道134、そして胃へと到達させる経路である。
十二指腸や胃を観察して処置や治療を必要としない場合は、内視鏡11の挿入部17を抜く。また、病変が見つかった場合で、かつ内視鏡11の小径の鉗子管路51を使って処置又は治療を行える場合には、その鉗子管路51を使って小型のスネアや生体鉗子等の処置具を挿入して処置又は治療を行う。
内視鏡11の鉗子管路51では処置又は治療を行えない場合には、補助具12を併用する。補助具12を内視鏡11と併用する場合、まず補助具12の挿入部35を他方の外鼻孔に挿入するため、他方の外鼻孔の奧の鼻腔に麻酔を行う。次に、内視鏡11と補助具12との挿入部17,35の先端部を固定して一緒に挿入する必要があるため、内視鏡11の挿入部17をいったん後鼻孔133から食道134までの範囲に先端部が位置するように引き戻す。その後に、補助具12の挿入部35を他方の外鼻孔から挿入し、中鼻道131又は下鼻道132を通して、後鼻孔133から食道134までの範囲に挿入する。このとき、両方の挿入部17,35の先端面22a、37aが略同じ位置となるように互いの挿入部17,35を相対的にずらす。これにより、内視鏡の磁石体25,26と補助具12の磁石体40,41とが磁着して、互いの先端面22a、37aが並列して密着し、双方の先端面22a,37aが同じ向きになる。
その後、内視鏡用係合部42を鉗子入口21に係合させることでアダプタ13を内視鏡11に取り付け、その後に、鉗子入口36aを補助具用係合部43に係合させることで補助具12をアダプタ13に取り付ける。これにより、内視鏡11と補助具12との2つの鉗子管路51,72が、アダプタ13の単一の処置具挿入用ポート13aに接続される。接続完了後に、双方の挿入部17,35を体腔内に徐々に挿入していく。このとき、モニタ16の画面を見ながら湾曲操作ノブ30を操作して内視鏡11の湾曲部23を湾曲させながら挿入を行っていく。補助具12の湾曲部38は、磁石体25,26と磁石体40,41との磁着により内視鏡11の湾曲部23に密着しているため、内視鏡11の湾曲部23と一緒に湾曲し、また、内視鏡11の挿入部17の挿入に追従して挿入される。このため、内視鏡11の挿入部17のみをもって挿入していくだけで補助具12の挿入部35も一緒に挿入される。
その後は、モニタ16の画面に処置又は治療を施す必要のある患部が映し出されると、スネアや生検鉗子等の処置具を、アダプタ13に設けた処置具挿入用ポート13aから鉗子栓81を介して補助具12の鉗子管路72に挿入して、処置具の先端処置部材、例えば一対の鉗子カップや絞断用ループ等を補助具12の鉗子出口76から露呈させて処置又は治療を行う。
処置具の一例として説明した生検鉗子は一般に、先端に一対の鉗子カップが開閉自在に取り付けられた操作ワイヤを可撓性シース内に挿通し、操作ワイヤの後端を鉗子入口の外で軸線方向に進退操作することによって、可撓性シースの先端から一対の鉗子カップを挿脱することでその鉗子カップを嘴状に開閉駆動する。生検鉗子は、主に組織採取を目的として使用されており、適合する鉗子管路の外径としては、例えば2.8mm以上必要になるものが多い。
また、スネアは一般に、弾性ワイヤを曲げて形成された絞断用ループがシースの手元側からの操作によりシースの先端内に出入りするように構成されていて、その絞断用ループが、シース内に引き込まれた状態では窄まった状態に弾性変形し、シース内から前方に押し出されるとループ状に膨らんだ形状に広がるようになっている。スネアでポリープ切除を行う場合には、ポリープの根元部分を絞断用ループで適度に締め付けた状態にしてから絞断用ループに高周波電流を通電することにより、絞断用ループに接触している部分の生体組織を焼灼して切断と凝固を同時に行う。このスネアも、適合する鉗子管路の外径が、例えば2.8mm以上必要になるものが多い。
このようなスネアや生検鉗子等の処置具を補助具12の鉗子管路72を使用して、例えば組織を採る組織採取(バイオプシ)、異物の摘出、出血を止める、腫瘍の摘出、胆石の破砕等の治療や処置を行う。また、体内汚物や血液その他の体液等を吸引したい場合、手元操作部18の吸引ボタン32を押下操作すると、内視鏡11の鉗子出口59のみならず、補助具12の鉗子出口76からも吸引するため、迅速な吸引を行うことができ、また、双方の鉗子出口59,76から同時に吸引することができるので、生体組織を多く採取することができる。
治療又は処置を終了した後には、生検鉗子又はスネア等の処置具を、アダプタ13の処置具挿入用ポート13aから引き抜き、しかる後に、双方の挿入部17,35をゆっくりと引き抜いていく。この途中、例えば後鼻孔から食道までの範囲を通過するまでに、挿入部17,35の先端部の固定を解除する。この操作は、内視鏡11の挿入部17と補助具12の挿入部35とのいずれか一方を他方に対して挿入方向に相対的にずらすことで磁石体25,26と磁石体40,41との磁着を解除することができる。双方の先端部の固定を解除した後には、補助具12、内視鏡11の順に挿入部35,17を個別に引き抜く。最後に、補助具12をアダプタ13から外し、アダプタ13を内視鏡11から外す。
なお、内視鏡11の鉗子管路51を使って処置又は治療が行えないことが初めから分かっている場合には、最初からアダプタ13を介して補助具12を使えばよい。アダプタ13を介して補助具12を接続するタイミングとしては、補助具12の挿入部35を挿入する前に行ってもよいし、双方の挿入部17,35の先端部を固定した後に行ってもよい。
上記実施形態アダプタは、内視鏡11と補助具12との鉗子管路51,72の両方に繋がる単一の処置具挿入用ポート13aをもっているが、本発明ではこれに限らず、個別に繋がる一対の処置具挿入用ポートをもつアダプタとしてもよい。このアダプタ135は、図16に示すように、内視鏡11の鉗子管路51に処置具を挿入するための第1の処置具挿入用ポート136と、補助具12の鉗子管路72に処置具を挿入するための第2の処置具挿入用ポート137とを持っている。また、内視鏡11の把持部17aに係合する内視鏡用係合部42と、補助具12の後端部36に着脱自在に係合する補助具用係合部43とを持っている。内視鏡用係合部42には、内視鏡11の鉗子入口21に接続される内視鏡用ポート42aが設けられている。補助具用係合部43には、補助具12の鉗子入口36aに接続される補助具用ポート43aをもっている。第1の処置具挿入用ポート136は、管路138により内視鏡用係合部42に設けた内視鏡用ポート42aに繋がっている。第2の処置具挿入用ポート137は、管路139により補助具用係合部43に設けた補助具用ポート43aに繋がっている。なお、アダプタ135には、第1及び第2の処置具挿入用ポート136,137ごとに鉗子栓140,141がそれぞれ設けられている。この例では、アダプタ135を使用すると、2つの処置具を同時に使用することができる。
また、上記各実施形態では、内視鏡11を使用して処置具で処置する機能を補助する補助具12として説明しているが、本発明ではこれに限らず、例えば内視鏡11の照明機能を補助する補助具としてもよい。この場合、図17に示すように、照明機能を構成する照明レンズ143とライトガイド144とを補助具145に設ける。なお、図示していないが、図17で説明する内視鏡システムには、内視鏡11と補助具145とに、図10で説明したように、鉗子管路51,72、及び鉗子管路51,72同士を接続するアダプタ13を備えている。照明レンズ143は、補助具145の挿入部35の先端面37aに設けた照明窓146から露呈する。ライトガイド144は、出射端144aが照明レンズ143の入射面(疑似光源面)側に配され、挿入部35の内部空間を通して入射端144bが挿入部35の後端部36に設けた補助LG用のライトガイド(LG)コネクタ147に接続されている。
光源ランプ97から発せられた光は、絞り機構99、及び集光レンズ100を介して調光されて照明光として、内視鏡11のライトガイド149と補助具145のライトガイド144との入射端144b,149cにそれぞれ入射する。一方のライトガイド48の出射端149aから出射される光は、照明レンズ102を介して照明窓56から体腔内へ照射され、また、他方のライトガイド49の出射端149bから出射される光は、照明レンズ103を介して照明窓57から体内に照射される。補助具145のライトガイド144の出射端144aから出射される光は、照明レンズ143を介して照明窓146から体腔内へ照射される。
光源装置14の前面には、図18に示すように、右寄りに電源ボタン165が設けられている。電源ボタン165のオン/オフ操作をすることにより商用電源から光源装置14への電力の供給及び停止が行われる。電源ボタン165の左横には、ランプ点灯ボタン166、明るさ調整ボタン167、光量制限ボタン168、透過照明ボタン169、及び送気ボタン170等が順に並んで設けられている。光源装置14の前面左側には、内視鏡11のLG用の電気コネクタ29を接続するLG用ソケット171が、また、補助具12の補助LG用のLGコネクタ147を接続する補助LG用ソケット172がそれぞれ設けられている。
ランプ点灯ボタン166は、プッシュ式の押しボタンスイッチとなっており、オン/オフ操作をすることにより、前記光源の点灯、及び消灯を行う。明るさ調整ボタン167は、アップボタン、及びダウンボタンとで構成されており、絞りの開口口径を制御して照明光の明るさを、例えば10段階で調整する。光量制限ボタン168は、プッシュ式の押しボタンであり、オン/オフ操作をすることで、照明光の光路上に光量制限フィルタを挿脱して白色光の所定波長域の光量を制限するか否かを選択する。
透過照明ボタン169は、暗い環境下でも操作ボタンの位置を認識することができるように、各ボタン166,167,168,169,170を背後から照明するか否かを選択するボタンである。なお、図10で説明したように、光源装置14には、内視鏡11の内部に設けた送気・送水管路に空気や液を送るためのポンプ113、及びバルブ112が内蔵されている。送気ボタン170は、送気圧が、例えば弱、中、強の3段階のうちのいずれかになるように前記バルブを調節するためのボタンである。
内視鏡11を用いて検診あるいは観察する前には、被検者のデータや、診断や観察部位に応じて、ランプの明るさや照明光の波長の指定を行う。例えば、光源装置14では、電源ボタン165をオンし、その後ランプ点灯ボタン166をオンし、被写体の明るさが適切になるように明るさ調整ボタン167で調整し、光量制限ボタン168のオン/オフを決定する。最後に、送気ボタン170で送気圧を選択する。
この実施形態の場合、内視鏡11の照明光に補助具145の照明光が加わるため、内視鏡11の撮像素子63に必要な光量の照明範囲が広がり、配光特性が向上する。また、光量がアップするので遠景も明るくなる。これにより、良好な画質を提供することができる。なお、補助具145に設ける照明窓146の数は複数でもよい。
また、上記各実施形態では、固定手段として磁石体25,26,40,41を双方に設け、磁石体同士の磁着により双方の先端部を固定しているが、本発明ではこれに限らず、一方に電磁石を、他方に磁性体を設け、電磁石を設けた一方に電磁石をオン−オフするための操作部を設ける構造にしてもよい。電磁石は、操作部の操作に応答して電磁石に電流が流れて磁性体に磁着する。内視鏡11に電磁石を設ける場合には、ユニバーサルコネクタ19を介して光源装置14又はプロセッサ装置15から電流を伝送すればよい。逆に補助具12に電磁石を設ける場合には、電流を取り入れる端子を補助具12の後端部に設け、アダプタを介して内視鏡11から電流を取り入れる構成としてもよいし、別に電源装置を用意し、その電源装置とアダプタの端子とを接続してアダプタを介して補助具12に電流を流す構成としてもよい。
また、固定手段としては、磁力を利用する固定手段に限らず、図19に示すように、補助具155の挿入部35の内部空間に鉗子管路72とは別に、スネア型の捕捉具156を挿通するための捕捉用管路157を設け、捕捉具155の先端に設けた捕捉用ループ158で内視鏡11の先端部を捕捉して、互いの先端部を先端面が同じ向きになるように固定する構成としてもよい。捕捉用管路157は、鉗子管路72に比べ小径となっており、一端が補助具12の先端部に設けた管路出口159に、また、他案が後端部に設けた管路入口160にそれぞれ接続されている。捕捉具156は、シース内に弾性ワイヤを摺動自在に収容したものであり、先端に弾性ワイヤを折り曲げて形成した開閉自在な捕捉用ループ158を、また、後端には管路入口160から露呈するハンドル161をそれぞれ持っている。
捕捉具156は、ハンドル161をシースに対して押し引きすることで捕捉用ループ158が、シース内に引き込まれた状態では窄まった状態に弾性変形し、シース内から前方に押し出されるとループ状に膨む。鼻孔に挿入するときには、窄まった状態にしておき、先端部同士を固定するときにはループ状に膨らませ、内視鏡11の挿入部17の先端部を捕捉した後にはハンドル161を引くことで、捕捉用ループ158がすぼまって内視鏡11側の先端部を補助具155側の先端部に引き寄せて互いを固定することができる。
この場合、捕捉用ループ158を突出させる管路出口159は、補助具155の先端部37の後端側の周面に形成すれば、捕捉時に先端部同士を並行に密着させることができる。この実施形態では、先端部同士を固定するときに、内視鏡11側の先端部を補助具155よりも挿入方向の後方に位置させておけば、捕捉用ループ158がモニタ16の画面に映るため、そのループ158の画像を見ながら内視鏡11側の先端部が捕捉用ループ158に通るように内視鏡11の挿入部17を挿入していけばよいため、確実な固定が行える。なお、捕捉具156を内視鏡11側に設けてもよい。