JP5384434B2 - かつら取付部の編込み構造と編込み方法並びに補強編込み構造と補強編込み方法 - Google Patents

かつら取付部の編込み構造と編込み方法並びに補強編込み構造と補強編込み方法 Download PDF

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Description

本発明は、かつら装着者の頭髪を利用して形成したかつら取付部の編込み構造及び編込み方法、並びにかつら取付部にかつらを固定後頭髪が伸びてかつらに浮きが生じたときにかつら取付部を再生する補強編込み構造とその方法に関するものである。
かつらは、かつらベースとこのかつらベースに植設した擬毛とを有して構成される。かつらベースは、一般に、合成樹脂や布等からなり、擬毛は人毛や合成繊維で作った人工毛からなっている。
ところで、かつらを頭部に固定する場合、かつら内面に設けたストッパを用いてかつら装着者自身の薄毛部周辺の頭髪に当該ストッパを所定間隔で係着する方式、或いは、接着剤や両面テープにより頭部に直接貼着する方式などが知られている。これらの方式は、通常、手軽にかつらの装着脱が行えるという利便性を備えている。
一方、頭部の薄毛個所の周辺に残った頭髪の複数本を取り纏めて毛束を作り、この毛束をかつらの輪郭に沿って、順次、複数個所で作っていき、これらの毛束を利用して、かつら取付糸を毛束と共に編み込むことで、かつら装着者の頭部上でかつらを取り付けるための取付部を形成し、このかつら取付部を利用してかつらを固定する方式も知られている。この方式では、かつらを頭部に正しく載せかつらベースの端とかつら取付部とをかがり糸で緊縛していくことで、かつら装着者の頭部に固定するものである。この方式では、通常、数十日から1か月余程度かつらの装着を継続することができるので、かつらを頻繁に装着脱する手間を省くことができる。
後者、すなわち、かつら取付部を利用したかつらの固定方式にあっては、従来、例えば特許文献1〜4に記載した技術が提案されている。
特許文献1のかつら取付部の形成方法は、1本の括り糸と、2本の撚り糸(かつら取付糸)との端に束にした頭髪で毛束の結び目を形成し、編込み開始端から10〜15本程度の毛束を取り出し、この毛束を3本の糸の結び目に密着させて括り糸と2本の撚り糸の間に下方から挟み込んで編込みを開始する。この編込み方式では、3本の糸と毛束とで三つ網よりも難しい特殊な四つ網を行うものである。この編込みは、次の毛束を取り出す距離までの間に、4〜5回、毛束を3本の糸の間に通して順次編み込んでいき、次の毛束を取り出す手前で2個の結び目を形成して1サイクルを完了する。この1サイクルの編込みを反復して頭部を捲回していき、最後に結び目を作るものである。
特許文献2によれば、「頭部の無毛箇所等の周辺に残った毛体を2本の糸で撚り合わせて編込む1サイクル毎の結び目間に於いて、毛束を2本の糸で捲回して編込む工程と、その糸で玉結びの中間の結び目を形成する工程と、毛束を引締め且つ2本の糸で固定する工程と、結び目を2本の糸で形成する工程とから成るかつら取付部の形成方法」を提案している。この方法によれば、1サイクル毎に結び目を2つずつ作ることになり、各結び目は、毛束を堅く締め結んでおらず片側へ寄せている。
特許文献3によれば、「頭部の無毛箇所および薄毛箇所の周辺に残った毛髪を複数本束ねた毛髪束に2本の糸を編み込んでかつら取付部を形成する方法であって、2本の糸によって形成される1サイクル毎の結び目間において、毛髪束を2本の糸の間に挿通した状態で2本の糸を撚りループを形成しループに毛髪束が通った状態にする工程と、毛髪束を2本の糸の間に挿通しない状態で糸を撚りループを形成する工程と、ループを引き絞る工程と、一方の糸に他方の糸を巻き付けて結び目を形成する工程とから成る、かつら取付部の形成方法」を提案している。この方法によれば、2本のかつら取付糸が額部に巻回されている状態になる。
特許文献4で提案しているかつら取付部の形成方法は、最初に例えば3本のかつら取付糸の先端部を編込み開始端を通り越して適宜に結び付けておく。この場合、かつら取付糸の先端部を、額部を通り越して頭部の編込終了予定位置より取り纏めた毛束に結び付けるか、または、頭部と離れた壁や柱など固定部に結び付けておく。そして、頭部の編込開始位置より取り纏めた毛束をかつら取付糸に対して編み込んで編込み部を作り、かつらベースの輪郭に沿った適宜間隔で取り纏めた毛束を用いてかつら取付糸を順次頭部に固定させる。必要に応じ、かつら取付糸の1本を括り糸とし、毛束のセット毎に結び目をつくる。最後に、最初の1〜10本のかつら取付糸と連結し、かつら取付糸の先端部の余分を切除する。この方法によれば、かつら取付糸が額部に巻回されている状態になる。
特許第2579666号公報 特開2002−220721号公報 特開2003−113518号公報 特許第3686998号公報
特許文献1のかつら取付部の形成方法によれば、一の毛束と2本の撚り糸(かつら取付糸)との撚り合わせが終わったら、次の毛束を取り出して2本の撚り糸との撚り合わせを行うものであり、しかも1サイクルの編込み回数が多いので、一の毛束の取出し位置と次の毛束の取出し位置との1サイクルの距離を長く取る必要があることから、編込みをどんなにきつくしても1サイクルの距離の中間位置ではどうしてもゆるい感じなってしまう。この課題は、特許文献2,3でも解決できない。
特許文献1〜3によれば、技術者が最初の編込み時、2本の取付糸の先端から編み込み部までがピーンと張った状態でなければ、毛束をつかんでうまく編み込むことができないので、取付糸の先端を別の技術者か又はかつらを取り付けてもらっている人に持ってもらって、取付糸にテンションをかけて展張状態を保ちながら編み込みの作業を行い、少なくとも編み込み部を5個程度作ってある程度固定しなければ作業ができない、という課題がある。
特許文献4によれば、取付糸の先端を壁や柱に固定する方法は、被編込者の頭部と壁などの位置によっては、被編込者に無理な姿勢を強いたり、編込み時の取付糸の緩みを気にするあまり、取付糸のテンションが強くなり、頭髪が引っ張られて過度の痛みを生じる。また、編込み進行方向とは逆の被編込者の頭部に固定する方法は、編込み作業中ずっと、取付糸にテンションが掛かった状態で頭部に接しており、編込み自体以外に不快感を与えると共に、編込み作業が取付糸を固定した位置に差し掛かった時に、取付糸のテンションを緩ませずにその固定を解除することは困難である、という課題がある。
上記特許文献1〜4に記載の何れの技術にあっても、各毛束のそれぞれが個々に取付糸で編み込まれているにすぎず、言い換えれば、毛束を連続して編み込んでいくものではなく毛束毎の編込み方式(1サイクル独立完結編込み方式)であるので、個々の編込み部がきつく編込まれているために頭部の痛みの不快の度合いが高い。
ところで、編込み部によるかつら取付部にかつらを固定した後、二週間〜1ヶ月を経過し毛束の根元部分が相当に伸びると、かつら取付部と装着者の頭部(頭皮)との間に浮きが生じ、頭部との一体感が無くなってしまう。このような場合、特許文献1〜4に記載の何れの技術にあっても、毛束自体は、毛束を編んだ前後を取付糸で不連続で結着するので毛束が各々独立して間欠的に結着されている状態であるが、編込みしている取付糸は連続しているので、緩んだ場合の補修が不可能であること、さらに、取付部の緩みが生じ易くなると共に、かつら取付部の形成作業も煩雑にならざるを得ない。このため、頭髪が伸びてかつら取付部が緩んだ場合のかつらの再取付けには、かつら取付部を形成している編込み用の糸を切断して、かつら取付部を一旦解除した後、かつら取付部を最初から再形成することが必要であった。
本発明は、かつらを固定するためのかつら取付部をかつら装着者の頭髪を利用して形成する作業に熟練を必要とせず簡単に遂行でき、且つ、緩んだり解けたりせずに確実に且つ強固に形成し得る、かつら取付部の編込み構造及び編込み方法を提供することを一目的とする。
本発明は、さらに、かつら取付部にかつらを固定して日数を経過した後、各毛束の根元部分が伸びることでかつらの浮きが生じてかつらとかつら取付部との一体感が無くなり、かつらの再取付けを必要とする場合に、きわめて短時間で、頭皮に密着したかつら取付部を再生できるかつら取付部の補強編込み方法を提供することを他の目的とする。
上記一目的を達成するため、本発明のかつら取付部の編込み構造は、かつらの輪郭の少なくとも一部に沿ってかつら装着者の頭部にかつら取付部を形成するに際し、適宜の間隔でかつら取付部に沿って複数本の毛髪を取り纏めて毛束とし各毛束を順次一方向に重ね合わせることで連接して形成する集束毛と、集束毛に重ね合わせてかつら取付部の全長に亙って配設する芯糸と、集束毛及び芯糸を結束する2本以上の編込み用糸と、を有し、集束毛及び芯糸を編込み用糸で外周から囲繞し結束することで編込み部が構成され、編込み部は、毛束を取り込んで集束毛と合流させる毛束合流部と、毛束合流部に対応した位置に配置される絡合部とを有し、毛束合流部では集束毛と芯糸と取り込んだ毛束とを集束した集束帯を2本以上の編込み用糸で巻回して結束すると共に、絡合部では2本以上の編込み用糸を互いに絡合させることで、編込み部が、かつら取付部の全長に形成されたことを特徴とする。
上記一目的を達成するため、本発明は、かつらの輪郭の少なくとも一部に沿ってかつら装着者の頭部に形成されたかつら取付部の編込み構造であって、適宜の間隔で各位置の複数本の毛髪を取り纏めて毛束とし各毛束を順次一方向に重ね合わせることで連接して形成する集束毛と、集束毛に重ね合わせて配設する芯糸と、集束毛と芯糸の外周を結束する編込み用糸と、で成り、編込み用糸は、各毛束を集束毛として重ね合わせる毎に作られた締まり輪に集束毛と芯糸とを通して縮径させることで集束毛と芯糸の外周を結束していることを特徴とする。
上記一目的を達成するため、本発明のかつら取付部の編込み方法は、かつらの輪郭の少なくとも一部に沿ってかつら装着者の頭部にかつら取付部を形成するに当たり、適宜の間隔でかつらの輪郭に沿って複数本の毛髪を取り纏めて毛束とし前段の毛束に次段の毛束を一方向に重ね合せることで毛束を連接してなる集束毛を形成する工程と、集束毛に次段の毛束を合流させる集束毛合流部に芯糸を添わせ集束毛合流部を2本以上の編込み用糸で巻回し結束して編込み部を形成する工程と、以後同様に、順次、毛束を取り纏めて集束毛に合流させ、集束毛合流部の集束毛と芯糸と取り込んだ毛束とを集束した集束帯を2本以上の編込み用糸で巻回して結束すると共に、毛束合流部に対応した位置に配置される絡合部において2本以上の編込み用糸を互いに絡合させることを反復することで、編込み部をかつら取付部の全長に形成することを特徴とする。
上記一目的を達成するため、本発明のかつら取付部の編込み方法は、かつらの輪郭の少なくとも一部に沿ってかつら装着者の頭部の2以上の各位置の複数本の毛髪を取り纏めて毛束とし前段の毛束に次段の毛束を一方向に重ね合せることで毛束を連接してなる集束毛とする工程と;上記集束毛に芯糸を添わせ外側から編込み用糸で結束して編込み部とする工程と;以後同様に、順次、次段位置の複数本の毛髪を取り纏めて次段の毛束とし該次段の毛束を上記集束毛と芯糸に重ね合わせ該重ね合わせ部分を上記編込み用糸で結束することで、編込み部を連続して形成し、上記編込み用糸による結束は、各毛束を集束毛として重ね合せる毎に締まり輪を作り、該締まり輪に集束毛と芯糸とを通して縮径させることで該集束毛と芯糸の外周を結束することを特徴とする。
本発明の他の目的を達成するため、かつら取付部の補強編込み構造の一形態は、かつらの輪郭の少なくとも一部に沿ってかつら装着者の頭部に形成したかつら取付部において、該かつら取付部が、適宜の間隔で複数本の毛髪を取り纏めた毛束と、該各毛束を順次編込み用糸で編み込むことにより形成した編込み部と、で構成され、かつらを固定しているかつら取付部の毛束の根元部分が伸びてかつらの固定が緩くなった上記かつら取付部について、隣接する複数の毛束の根元部分を括り糸でループ状に囲繞して緊縛することにより、該複数の毛束を屈曲してかつら取付部を頭皮に密着して補強することを特徴とする。
本発明のかつら取付部の補強編込み構造の別の形態は、かつらの輪郭の少なくとも一部に沿ってかつら装着者の頭部に形成したかつら取付部において、該かつら取付部が、適宜の間隔で複数本の毛髪を取り纏めた毛束と、該各毛束を順次編込み用糸で編み込むことにより形成した編込み部と、で構成され、かつらを固定しているかつら取付部の毛束の根元部分が伸びてかつらの固定が緩くなった上記かつら取付部について、隣接する複数の毛束の根元部分を括り糸でループ状に囲繞すると共に、上記編込み部に対しても巻回し、毛束の根元部分と編込み部とを共締めして緊縛することで、該複数の毛束を屈曲してかつら取付部を頭皮に密着して補強することを特徴とする。
この構成において、上記括り糸を、上記編込み部に対し斜め方向に通した位置で毛束を緊縛すると共に、逆斜め方向に通した位置でも上記括り糸による毛束を緊縛することで、上記毛束の根元部分が屈曲されかつら取付部を頭皮に密着させると好ましい。
上記他の目的を達成するため、本発明のかつら取付部の補強編込み方法は、かつらの輪郭の少なくとも一部に沿ってかつら装着者の頭部に形成するかつら取付部を、適宜の間隔で複数本の毛髪を取り纏めた毛束と、該各毛束を順次編込み用糸で編み込むことにより形成した編込み部と、で構成し、かつらを固定しているかつら取付部の毛束の根元部分が伸びてかつらの固定が緩くなったときに、隣接する複数の毛束の根元部分を括り糸で返し縫い方式でループ状に囲繞すると共に、該括り糸を緊縛することで、複数の毛束をくの字に屈曲してかつら取付部を頭皮に密着させて補強することを特徴とする。
本発明のかつら取付部の補強編込み方法の他の形態は、かつらの輪郭の少なくとも一部に沿ってかつら装着者の頭部に形成するかつら取付部を、適宜の間隔で複数本の毛髪を取り纏めた毛束と、該各毛束を順次編込み用糸で編み込むことにより形成した編込み部と、で構成し、かつらを固定している上記かつら取付部の毛束の根元部分が伸びてかつらの固定が緩くなったときに、隣接する複数の毛束の根元部分を括り糸で返し縫い方式でループ状に囲繞すると共に、編込み部に対しても巻回し、毛束の根元部分と編込み部とを共締めして緊縛することで、複数の毛束をくの字に屈曲してかつら取付部を頭皮に密着させて補強することを特徴とする。
この構成において、括り糸を、編込み部に対し斜め方向に通した位置で毛束を緊縛すると共に、逆斜め方向に通した位置でも括り糸による毛束を緊縛することで、毛束の根元部分を屈曲させてかつら取付部を頭皮に密着させてもよい。
なお、この出願において、「結束」の用語は、特段の定義づけをしていない限り、毛髪同士を或いは糸同士を又は糸と毛髪とを緊縛することを含むほか、緊縛することなく、これらを撚り合わせ、捻じり、重ね合わせ、縫合、捲回、或いは接着又はこれらを組み合わせるなどにより、ばらけないよう束ねて、互いに拘束、束縛して固定する行為又は状態を広く含むものとする。
本発明のかつら取付部の編込み構造及び編込み方法によれば、各毛束を順次連接してなる集束毛を形成でき、この集束毛に芯糸が通された状態に、且つ各毛束を集束毛に重ね合わせる毎に2本以上の編込み用糸に撚りを掛けて網掛けして結束し、または締まり輪を作って集束毛と芯糸とを挿通してから該締まり輪を縮径させることで、連続した編込み部を形成することができる。従って、かつらを固定するためのかつら取付部をかつら装着者の頭髪を利用して形成する作業に熟練を必要とせず簡単に遂行でき、且つ、緩んだり解けたりせずに確実に且つ強固に形成し得る、かつら取付部の編込み構造及び編込み方法を提供することができる。
上記かつら取付部の編込み構造及び編込み方法によれば、編込み部は、多数本の毛髪を集めて連続した綱状体又は連鎖体になり、且つ芯糸を絡み通しているので非常に強度が大きいものとなる。
そして、各毛束間で、芯糸と共に連接した集束毛を編込み用糸で外周から結束して編込み部を構成したものであるから、位置を異にして取り纏めた毛束と毛束が密着して連接され、また毛束と芯糸が密着され、編込み部に外力が加わっても、毛束と毛束の相互間に、また毛束と芯糸の相互間にずれが生じない。
さらに、各毛束間で行う編込み用糸による結束は、従来のような毛束間で編込みを何回も繰り返して距離を長くとってしまうことはないので、毛束の間隔を小さくすることができるから、従来に比べて毛束を数多く設けることができ、該多数の毛束によってかつら取付部を頭部に強固に固定することができる。
このように、従来に比べて多数の毛束によって連接した集束毛を頭部に強固に固定できるから、かつら取付部にかつらを括り糸で取り付ける際に加わる外力やかつら取付後にかつらに外力が加わる場合、この外力は、連続した集束毛によって多くの毛束に伝わるように分散され、各毛束にかかる引張力が小さく抑制され、かつらとの一体感が向上する。
本発明のかつら取付部の補強編込み構造とその方法によれば、かつら取付部にかつらを固定し日数を経過した後、各毛束の根元部分が伸びてかつらの浮きが生じ、かつらの再取付けを必要とする場合に、括り糸で複数の毛束の根元部分に掛けたループを縮径し、括られた毛束の根元部分をくの字に屈曲するか、或いは、隣接する複数の毛束の根元部分を括り糸で返し縫い方式でループ状に囲繞すると共に、上記編込み部に対しても巻回し、上記毛束の根元部分と上記編込み部とを共締めして緊縛することで毛束の根元部分をくの字に屈曲させて、かつら取付部を頭皮に密着させるものである。
これにより、短時間で且つ簡単な作業で実質的に再取付けし全部の毛束の根元部分を短くしたものと同等の効果が得られ、かつらを取り付けたときにかつらとの一体感が得られるタイトなかつら取付部に再生できる。しかも毛束の根元部分が伸びてかつら取付部が再度弛んだときも、同じ再生方法を繰り返すことが可能である。
本発明のかつら取付部の第1の実施形態に係り、頭部上方から視た斜視図である。 図1のかつら取付部の両端部分を拡大し中間を省略した全体の模式的側面図である。 (a)は図1のかつら取付部の編込み構造を示す模式的平面図、(b)は図1の模式的側面図である。 (a)は第1の実施形態に係るかつら取付部の編込み方法を示す概略斜視図、(b)は概略平面図、(c),(d),(e)はかつら取付部の編込み方法における第1段階を示す図である。 かつら取付部の編込み方法を示す工程図である。 図5に続くかつら取付部の編込み方法を示す工程図である。 (a),(b)は図6に続くかつら取付部の編込み方法を示す工程図、(c)はかつら取付部へかつらを固定する方法を示す図である。 (a)はかつら取付部を形成した直後の毛束の根元部分が短い状態を示すかつら取付部の模式的な斜視図、(b)はかつら取付部の毛束の根元部分が伸びた状態を示すかつら取付部の模式的な斜視図、(c)は(b)のかつら取付部に対し補強編込みにより毛束の根元部分を屈曲して短い状態に再生したかつら取付部の模式的な斜視図である。 (a)はかつら取付部の毛束の根元部分が伸びたときの補強編込み方法の一例を模式的に示す図、(b)は補強編込みを完了したかつら取付部の側面図である。 かつら取付部の毛束の根元部分が伸びたときの補強編込み方法の別の例を示す模式的な工程図である。 第2の実施形態に係るかつら取付部を頭部上方から視た図である。 第3の実施形態に係るかつら取付部を頭部上方から視た図である。 第4の実施形態に係るかつら取付部を頭部上方から視た図である。 第5の実施形態に係るかつら取付部を頭部上方から視た図である。 かつら取付部の形成方法の第6の実施形態に係り、(a)はかつら取付部の編込み構造を示す模式的平面図、(b)は図1の模式的側面図である。 かつら取付部の形成方法の第7の実施形態に係り、(a)はかつら取付部の形成途中を示す斜視図、(b)は編込み部の斜視図である。
以下、本発明の実施形態に係るかつら取付部の編込み構造及び編込み方法並びに補強編込み方法について、それぞれ図面を参照して説明する。
〔第1の実施形態〕
この実施形態に係るかつら取付部100は、図1に示すように、かつら装着者の薄毛状態が前額部から頭頂部に亙っておりその周辺に存在する自毛を利用することで、略U状に形成されている。この場合、図示しないかつらは、このかつら取付部100と実質的に一致する外周を有するよう、通常、ほぼ縦長の楕円状に形成されるが、かつらの周縁部がこのかつら取付部100より僅かに狭いか、逆にこれを僅かに覆う幅広の外形を有するように作製されていてもよい。
図2において、1,2,3,・・・,n−3,n−2,n−1,nはいずれも毛束である。
このかつら取付部100は、図2に示すように、複数本の頭髪(以下、適宜、自毛又は毛髪と称する場合がある。)を取り纏めて毛束とし該毛束を順次一方向に重ね合わせることで、毛髪の束が順次連接された集束毛10と、集束毛10の全長に沿って配設する芯糸11と、集束毛10を結束する2本の編込み用糸121,122と、で予め設定した形状、図示の例ではU状に形成されている。そして、編込み開始端の第1の毛束1は編込み用糸121,122で結着されて結着部13Aが形成されると共に、集束毛10と芯糸11とを纏めてその外周を編込み用糸121,122で結束することで、所定形状のかつら取付部となるよう、且つ図3に示す編込み構造となるよう、連続した編込み部20を備えて形成されている。なお、編込み用糸121,122でどのように編み込んでいるかをわかりやすくするために、図3において、編込み用糸122にハッチング様の斜め線を付加して編込み用糸121と区別がつき易くしている。
この実施形態に係るかつら取付部の編込み構造は、適宜の間隔でかつら取付部100に沿って複数本の毛髪を取り纏めて毛束とし各毛束を順次一方向に重ね合わせることで連接して形成する集束毛10と、集束毛10に重ね合わせてかつら取付部100の全長に亙って配設する芯糸11と、集束毛10及び芯糸11を結束する2本の編込み用糸121,122と、を有し、集束毛10及び芯糸11を編込み用糸121,122で外周から囲繞し結束することで編込み部20が構成されてなる。図示の実施形態では、編込み用糸は2本で構成しているが、3本以上であってもよい。ただし、この場合は後述する綾取りによる撚りの掛け方や編み込み方が煩雑になるので、実用的ではない。
図3に示すように、編込み部20は、毛束合流部10aと絡合部10bとを有している。そして、毛束合流部10aの集束帯を2本の編込み用糸121,122で巻回して結束すると共に、絡合部10bでは2本の編込み用糸121,122を互いに絡合させることで、編込み部20が、かつら取付部100の全長に形成されてなる。
ここで、毛束合流部10aとは、各毛束1,2,3,・・・,n−3,n−2,n−1,nが集束毛10に重ね合わされる、集束毛10の合流エリアをいう。絡合部10bとは、各毛束合流部10aに対応し巻回して結束する2本の編込み用糸121,122の撚り部12a,12cを配置する、集束毛10のエリアをいう。集束帯とは、各毛束合流部10aにおける集束毛10と芯糸11と取り込んだ毛束とを集束した帯部分、すなわちここでは、2本の編込み用糸121,122が巻回される部分をいう。
毛束1,2,3,・・・,n−3,n−2,n−1,nは、予め設定した略U状の形状に合わせた線(図4において、点線bで示すかつらの輪郭線)に沿って、複数本、例えば5〜20本程度の頭髪を取り纏める、すなわち捕捉することで形成される。捕捉した毛束を緊縛することなどは不要であり、単に一纏めに束ねるだけでよい。
ここで、かつら取付部の形成を開始する編込み開始端A1(図4(b)参照)において、複数本の頭髪を捕捉し取り纏めて第1の毛束1とし、次いで、第1の毛束1に隣接した複数本の頭髪を取り纏めて第2の毛束2とし、同様にして、編込み終了端B1(図4(b)参照)迄、順次、適宜の間隔で複数本の自毛を取り纏めて次段の毛束とすることで、多数の毛束が構成される。
互いに隣り合う毛束は適宜の間隔を有するよう間欠的に設定してもよいが、本発明では、少なくとも後段に続く毛束を集束毛に取り込みながら連接していく方式であるので、集束毛10に隣接して生えている毛髪を次段の毛束とし、以下順次、隣接した自毛を捕捉していくことで密接して毛束を形成すると好ましい。
集束毛10は、編込み開始端A1から編込み終了端B1に至り、かつらの周縁に対応するU状のかつら取付部を形成するよう、多数の毛束1,2,3,・・・・,n−3,n−2,n−1,nを一方向に重ね合わせることで連接して形成される。この集束毛10に沿ってその全長に亙り芯糸11が配設されており、集束毛10と芯糸11と取り込んだ毛束とを集束した集束帯の外周を2本の編込み用糸121,122で結束していくことで、順次、編込み部20が形成される。この編込み部20を1本の綱状に連続して延出して所定の長さに形成していくことで、編込み開始端A1から編込み終了端B1に至るかつら取付部100となる。芯糸11と編込み用糸12とは、それぞれ別個の糸を用いてもよいが、本実施形態では、後述するように、同一の糸で構成されている。
編込み用糸121,122は、最初に、その先端を編込み開始端の第1の毛束1に結着されて結着部13Aが形成されている。本実施形態では、第1の毛束1の結着部13Aは、編込み用糸121,122だけを用いて形成されているが、芯糸11の基端を編込み用糸121,122共に第1の毛束1に結着することで結着部13Aを形成してもよい。この結着部13Aは、編込み用糸121,122又は該編込み用糸121,122と芯糸11による輪(結び目)13を第1の毛束1のなるべく根元付近に近づけることで形成する。編込み部20の両端の毛束は、編込み用糸121,122で結束されている。
以上のように構成されるかつら取付部の編込み構造は、適宜の間隔で各位置の複数本の毛髪を取り纏めて毛束とし各毛束を順次一方向に重ね合せることで連接して形成する集束毛10と、集束毛10に重ね合わせて配設する芯糸11と、集束毛10と芯糸11の外周を結束する2本の編込み用糸121,122と、で成る。
2本の編込み用糸121,122は、撚りを掛けられてなる撚り部12a,12cを有し、該撚り部12a,12cが集束毛10に対して毛束の根元kとは反対側に沿って略一列状に交互に配列されている。そして、2本の編込み用糸121,122は、互いに隣接する二つの毛束の根元k,k同士間に対応している二つの撚り部12a,12cのうち、一方の撚り部から延びる1本の編込み用糸121と他方の撚り部から延びる1本の編込み用糸122とが、毛束の根元同士間を通っている。
編込み用糸121,122による結束は詳細は後述するが、この実施形態では、2本の編込み用糸121,122に撚りを掛けて間隙部12bと該間隙部12bの前後に撚り部12a及び12cを作り、間隙部12bに集束毛10と2本の芯糸11とを通して広がり部を縮径して結束してから、さらに編込み用糸121,122のVの広がり部12dに上から下に通される。かつら取付部100は、編込み終了端B1で後述する編込み張出部20Aを網掛けし結束してから折り返され、編込み用糸121,122で束ねられている。
次に、上記かつら取付部100の形成方法の一例を説明する。
このかつら取付部100を形成するには、下記に詳述するが、かつら装着者の頭部の薄毛領域の周辺に生えている頭髪を複数本取り纏めて毛束とし、この毛束をかつらベースの輪郭に沿って適宜間隔で順次に取り出し、各毛束同士を一方向に向けて互いに重ね合わせることで線状に連接して集束毛を形成する。そして、例えば2本の芯糸を全長に亙って集束毛と重ね合わせると共に、重ね合わせた集束毛と芯糸との外周を、例えば2本の編み込み用糸で結束することで、連続した編込み部を形成するものである。
この実施形態によるかつら取付部の形成方法により取付部を形成すれば、芯糸11と毛束の重ね合わせの連続である集束毛10とが、例えば2本の編込み用糸121,122で結束され、所定の編込み開始端A1から編込み終了端B1に至り1本の綱状に連続する編込み部20をかつら装着者の頭部に形成することができる。従って、毛束1,2,3,・・・・,n−3,n−2,n−1,nを介して芯糸11が頭部にしっかりと固定され、且つかつらをかがり糸でかがる場合に、編込み部20の中から芯糸11のみが括られてしまうことが無いかつら取付部100が形成される。
この実施形態に係るかつら取付部の形成方法では、かつら装着者の頭部の薄毛領域が図1に示すU形状である場合に、符号100で示すU状にかつら取付部を形成する手順を示す。この実施形態では、かつら取付部の形成開始端(編込み開始端)A1は、左側のこめかみの上の生え際とし、かつら取付部の形成終了端(編込み終了端)B1は、右側のこめかみの上の生え際付近、又はこれより例えば10mm程度引っ込んだ位置とする。
この実施形態に係るかつらの固定方法は、上記かつら取付部の形成方法によって形成されたかつら取付部100を利用してかつらを固定するものである。
第1の実施形態に係るかつら取付部の形成方法は、次の工程を有している。
第1の工程:かつら装着者の頭部にかつら取付部を形成する領域を決定する。
第2の工程:頭部のかつら取付部の形成を開始する位置の複数本の毛髪を取り纏めて第1の毛束とする。
第3の工程:糸巻冶具(リール)から巻き糸を引き出して、先端側の糸部を芯糸とし、芯糸に続く糸巻冶具側の糸部を編込み用糸とし、これらの境目で輪を形成して第1の毛束の根元に縛ることで、結着部を形成する。
第4の工程:第1の毛束に沿って芯糸を重ね合わせる。
第5の工程:第1の毛束に隣接した位置の複数本の毛髪を取り纏めて第2の毛束とする。
第6の工程:第2の毛束を第1の毛束及び芯糸に重ね合わせこれらの集合を集束毛とする。
第7の工程:毛束合流部の集束毛と芯糸と取り込んだ毛束とを集束した集束帯を2本の編込み用糸で巻回して結束すると共に、絡合部で2本の編込み用糸を互いに絡合させることで、編込み部を形成する。
第8の工程:以後同様に、終端のかつら取付部の形成を終了する所定位置まで、順次、次の毛束合流部の集束帯を2本の編込み用糸で巻回して結束すると共に、2本の編込み用糸を絡合部で互いに絡合させる作業を繰り返して、一本の綱状に連続する編込み部を形成する。
第9の工程:かつら取付部の形成を終了する位置に形成された棒状の編込み張出部を折り返して末端側の編込み部に縫い合わせることで、かつら取付部を完成する。
第10の工程:形成したかつら取付部を利用してかかがり糸によりかつらを固定する。
以下、各工程について詳述する。
〔第1の工程〕
まず、装着者の頭部に、図示しないかつらを正しい装着位置となるように載せ、額の中央にマーカーで例えば十字に印aを付け、かつらの内面にも対応する位置に印を付ける。
かつらを頭部に載せたまま位置ずれが生じないように注意深く押さえ、図1、図4(a)に示すように、頭皮にかつらの輪郭を示す線bを例えば破線にてマーカーで印し、線bをもってかつら取付部の形成位置と決定する。
そして、図4(a)に示すように、かつらの輪郭線bより上側の自毛を水を入れたトリガースプレー等で湿らせ櫛で梳かしてから、かつらの輪郭線bを境にその上側の自毛をシングルピンcでブロッキングする。
図4(a)及び(b)に明瞭に示されているように、かつら取付部の形成開始端(編込み開始端)A1側から離隔した側方に例えば支柱30を立て、支柱30に二つの糸巻冶具、例えばリール31,32を上下配置に設ける。この際、A1点の接触表面に対するリール31,32から繰り出す糸の平面角αが余り大きく開かないようにセットする。
次に、図4(b)に示すように、各リール31,32からそれぞれリール糸Sを引き出し、該2本のリール糸Sの先端を揃え、2本のリール糸Sを合わせて適宜の中程を装着者の編込み開始端にあてがい固定した状態で、2本のリール糸Sの先端側をマーカーで印されたかつらの輪郭線bに沿って編込み終了端B1まで導き、さらに、この編込み終了端B1から2本のリール糸Sの先端までの距離を例えば100〜200mm程度長く採寸する。
上記のようにして、2本のリール糸について編込み開始端A1にあてがう位置を決定する。本明細書においては、リール糸Sの編込み開始端A1より先端側にあるリール糸を芯糸11、編込み開始端A1よりリール側にあるリール糸を編込み用糸121,122とする。編込み用糸121,122の先端部、すなわち、芯糸11の基端を編込み開始端A1にあてがい、この位置がずれないように、図4(c)に示すように、編込み用糸121,122で輪13を作る。輪13の作り方は、第1の毛束1を緩みが生じないようしっかり縛れる二重或いは三重の輪とするのがよい。輪13は縮径できればよく、作り方はこれに限定されない。リール糸は、天然繊維、化学繊維、金属繊維、ゴム状繊維などの撚り糸、テグス、ワイヤーもしくはこれらの組合せからなるものを適宜選択し得る。
〔第2の工程〕
第2の工程では、頭部のかつら取付部の形成開始端A1において、複数本の毛髪を取り纏めて第1の毛束1とするが、毛束を結着することは要しない。
かつら取付部の形成を開始する位置は、装着者の左こめかみ部付近に設定し、これをかつら取付部形成開始端(編込み開始端)A1側とする。この領域に生えている複数本の自毛をコームで掬い取って纏めることで第1の毛束1とする。
〔第3の工程〕
第3の工程では、図4(d)に示すように、第1の毛束1の根元を、各リールから引き出した2本のリール糸Sで作った輪13で取り囲み、図4(e)に示すように、この輪13を縮径していき第1の毛束1のできるだけ根元付近を緊縛して結着部13Aとする。緊縛位置が第1の毛束1の根元から上方へ位置ずれしてしまう虞がある場合には瞬間接着剤を少量塗って位置ずれを止める。
図4(a)に示すように、2本のリール糸Sで第1の毛束1を縛った状態で、先端側部分を芯糸11として垂れさせる。リール31,32から結着部13Aまで繰り出された2本の糸は編込み用糸121,122として、後述する以後の編込み操作において毛束1,2,3,・・・・,n−3,n−2,n−1,nの重ね合わせからなる集束毛10と芯糸11とを結束するために用いる。この構成によれば、芯糸11と編込み用糸121,122は2本のリール糸Sで結着部13Aを境界として前後に形成されている。
〔第4の工程〕
第4の工程は、第1の毛束1に沿って芯糸11を重ね合わせる段階である。
図5(a)に示すように、第1の毛束1に芯糸11を添わせてこれらを重ね合わせ、図5(b)に示すように、頭皮から離れた位置で保持する。頭皮から垂直方向に離れるように保持するのは、次の第5の工程における第2の毛束2を取り込む際に邪魔にならないようにする配慮からであり、必要的な手順ではない。なお、第1の毛束1と芯糸11とを重ね合わせた段階で、矢印dに示すように指で右回り(時計回り)の捻りを入れて保持するようにしてもよい。
〔第5の工程〕
第5の工程は、第1の毛束1に隣接した位置の複数本の毛髪を取り纏めて第2の毛束2とする段階である。
図5(c)に示すように、かつらの輪郭線bに沿って第1の毛束1から隣接した位置の複数本の自毛を取り纏めて第2の毛束2とする。第2の毛束2及びそれ以降の毛束は、第1の毛束1よりも自毛数が少なくてよい。
〔第6の工程〕
第6の工程では、第2の毛束2を第1の毛束1及び芯糸11に重ね合せた毛束同士の集合を集束毛10として形成する。図5(d)に示すように、第2の毛束2を、上記第1の毛束1及び芯糸11に重ね合わせる。ここで、2つ以上の毛束の重ね合わせを集束毛10という。第1の毛束1と第2の毛束2の重ね合わせ、すなわち集束毛10は、かつらの輪郭線bに沿って寝かせながら行う。そして、矢印eに示すように集束毛10に右回り(時計回り)の捻りを加える。このとき、集束毛10に沿って配置した芯糸11も一緒に捻りが加えられる。従って、集束毛10は第2の毛束2の上に重なる。このように、次段の毛束2,3,・・・を順次、集束毛10に重ね合わせた領域を、毛束合流部と称している。以後、集束毛10に第3の毛束、第4の毛束、・・・と重ねていくことで、連接状態で集束毛10は延長されていく。毛束1,2,3,・・・・,n−3,n−2,n−1,nの重ね合わせからなる集束毛10は、各毛束が数センチメートル、例えば自毛を5cmとすれば、各毛束も約5cmの長さであることが前提である。従って、毛束1と毛束2とが重なって最初の集束毛10を構成し、次々に毛束が重ね合わされていき集束毛10が延長されていく。例えば、第1の毛束1は第4〜第5の毛束の付近で途絶え、第2の毛束2は第5〜第6の毛束の付近で途絶え、そのようにして、先に重ね合わされた毛束は次々に途絶えるが、新しい毛束が重ね合わされることで互いに連接されていき、全体として1本の線状に連続した集束毛10が延長されていく。この際、芯糸11は、互いに連接されて延長される集束毛10に沿って、各毛束の集束を支持し且つ連接を補強しながら集束毛10と共に、重ね合わされて共に捻じり合わされつつ巻き込まれて、連続して延長されていくことになる。なお、毛束合流部において、集束毛と芯糸と取り込んだ毛束とを集束することで形成される帯状体を集束帯と呼称している。
〔第7の工程〕
第7の工程は、集束毛10と芯糸11とを外側から編込み用糸121,122で結束し、編込み部20を形成する段階である。
図6(a)〜(g)に示すように、集束毛10に捻りを入れた部分に対して2本の編込み用糸121,122で外側から締め付けて束ねる。このとき、集束毛10と芯糸11を外側から締め付けて束ねた状態でかつらの輪郭線bに沿うように、技術者の一方の手で保持し、他方の手で編込み用糸121,122に撚りを入れる操作を行う。この場合、2本の編込み用糸121,122で束ねる前に、第1の毛束1及び芯糸11と、第2の毛束2とを重ね合わせた時点で右回り(時計回り)に捻りを加える(図5(b),(d)参照)。これによって、集束毛10を第1の毛束1及び第2の毛束2の根元に可能な限り近づけた状態に保つことができ、集束毛10は第1の毛束1及び第2の毛束2の上に限りなく重なる。
ここで、2本の編込み用糸121,122によって集束毛10と芯糸11を外側から結束する手順について説明する。
図4(a)に示すように、2本の編込み用糸121,122は、上下2つのリールによってそれぞれにテンションをかけられて頭部方向へ間隔を次第に狭めた鋭角となるように繰り出される。技術者は、一方の手、例えば左手でのあや取り操作によって、図6(a)に示すように2本の編込み用糸121,122に複数回撚りを掛ける。図6(a)では3回撚っている。このように、2本の編込み用糸121,122に撚りを加えて、中間に間隙部12bをもたせ且つ該間隙部12bの前側に一方向の撚り部12aを形成するとともに、後側に逆方向の撚り部12cを形成する。ここでは、撚り部12a,12cは3巻きとなる。左手でのあや取り操作において、間隙部12bに対し集束毛10と芯糸11とを矢印fのように引き入れる。この場合、間隙部12bに差し入れた左手の指を第1、第2の毛束1,2の根元に近づけることで前の撚り部12aを第1、第2の毛束1,2の根元に密着させ指で押さえて集束毛10と芯糸11とを矢印fのように引き入れる。次いで、前の撚り部12aを第1、第2の毛束1,2の根元への密着を確保したままで、図6(b)に示すように、後の撚り部12cを最も近い毛束、ここでは第2の毛束2の根元近傍に移行させて、間隙部12bを縮径させることで2本の編込み用糸121,122により集束毛10と芯糸11とを外周から締め付けて結束する。図3(b)中の符号6bで囲まれた部分は、図6(a)と(b)の工程が終了したときに形成される。
続いて、後の撚り部12cを第1、第2の毛束1,2の根元へ密着させたまま、図6(c)に示すように、リール方向にVに広がる2本の編込み用糸12のVの広がり部12dに、第1、第2の毛束1,2及び芯糸11を矢印gのように上から下に通し、図6(d)に示すように、第1、第2の毛束1,2及び芯糸11を2本の編込み用糸12のVの広がり部に押さえ付ける。図3(b)中の符号6dで囲まれた部分は、図6(c)と(d)の工程が終了したときに形成される。図3(b)中の符号6fで囲まれた部分は、図6(f)の工程が終了したときに形成される。
このようにして、図3(b)中の符号10aで囲まれた毛束合流部10aは、2本の編込み用糸121,122が巻回され締め付けられ、そして、図3(b)中の符号10bで囲まれた絡合部10bは、前記2本の編込み用糸121,122の両端を支持する、前後一対の撚り部12aと12c、並びに次段の前側の撚り部12aとが配列される。
〔第8の工程〕
第8の工程は、第3の毛束3の取り纏めから図4(b)に示す編込み終了端B1に至る迄、同様の作業を繰り返して、一本の綱状に連続する編込み部20を形成する段階である。この工程では、第7の工程と同様の作業を繰り返し、第3以降の毛束3,・・・,n-3,n-2,n-1,nについて、順次、毛束の連接により、毛束の重ね合わせを行いながら、芯糸11を絡めつつ集束毛10を延長し、毛束を重ね合わせる毎に編込み用糸121,122で第7の工程と同様の作業を繰り返し結束して編込み部20を形成していく。すなわち、第7段階の以降において、図6(e)〜(g)に示すように、集束毛10及び芯糸11と共に編込み用糸121,122で結束した編込み部20に、さらに第3の毛束3を取り込み、編込み用糸121,122で芯糸11と共に結着することで、編込み部20をさらに延長して形成し、以後、かつら取付部の形成を終了する位置まで、かつらの輪郭線bに沿って適宜間隔で第4の毛束、第5の毛束、・・・第nの毛束を順次に取り出し、各毛束を取り出す毎に、かつらの輪郭線bに沿わせた集束毛10及び芯糸11に重ね合わせて編込み部20を延長させる。
この編込み作業の際、上述したように、2本の編込み用糸121,122で中間に間隙部12bをもたせ、該間隙部12bの前後に3回の撚り部12a,12cを形成し、間隙部12bに集束毛10と芯糸11とを矢印fのように通して間隙部12bを縮径することを1回行って、編込み用糸121,122で外側から締め付けて結束したら、2本の編込み用糸121,122に撚りを加えないで、編込み用糸121,122のVの広がり部12dに集束毛10と芯糸11とを矢印gのように上から下へ通して押さえ付ける。こうして、次々に新しい毛束を取り纏めて集束毛10と芯糸11とに重ね合わせたら、これらを右回り(時計回り)に捻ってから編込み用糸121,122で外側から締め付けて束ねると、かつらの輪郭線bに沿って頭皮に近接し又は密着した編込み部20を連続して形成していくことができる。編込み部20は、多くの毛束によって頭部に固定され、編込み部20を編むときの力は多くの毛束に分散される。編込み部20の完成したものがかつら取付部100である。
上記の編込み方法によれば、2本の編込み用糸121,122による結束は、2本の編込み用糸121,122に3回撚りを掛けて、中間に間隙部12bをもたせ且つ間隙部12bの前側と後側に一対の撚り部12a,12cを形成し、前側の撚り部12aを次段の毛束の毛束合流部10aにきつく寄せてから、該毛束合流部10aを、間隙部12bに上から下へ通して上に復帰させることで、前側の撚り部を集束毛の上に巻き込むと共に、間隙部12bを構成していた片側の1本の編込み用糸121,122で毛束合流部を一度巻きする。さらに、毛束合流部10aを後側の撚り部12cと2本の編込み用糸121,122とのVの広がり部12dに上から下へ通して上に復帰させることで、片側の一本の編込み用糸121,122で毛束合流部10aを二度巻きする。以下同様に次段の毛束を取り纏めて集束毛10に重ね合せる毎に、同じ編込み操作を繰り返して、各毛束合流部10aを計2本の編込み用糸で締め付け束ねる。前側の撚り部12aと後側の撚り部12cは、集束毛10の略一列状に且つ交互の配列となる。また、互いに隣接する前側の撚り部12aと後側の撚り部12cは、間隙部12bに通した毛束合流部10aに対応する反対側に位置する。この実施形態では、撚る回数を3回としているので、図3に示す網目構造になるが、撚る回数を奇数回とするときは、撚り部12a,12cの巻数が変わるだけで網目の通り方はこの実施形態と同様になり、撚り部12a,12cは集束毛10の上に位置する。
〔第9の工程〕
かつら取付部の形成を終了する位置まで順次、連続して編込み部20を形成すると、最後に棒状の編込み張出部20Aが形成されることになる。第9の工程では、このようにして形成された編込み張出部20Aを折り返して終端側の編込み部20に縫い合わせることで、かつら取付部として完成する。
すなわち、最終段階では、図7(a)に示すように、かつら取付部の形成を終了する位置において余る集束毛10と芯糸11とを集束毛10の先端付近まで編込み用糸121,122で締め付けて束ねる(空編みする)ことで、棒状の終端張出部、すなわち編込み張出部20Aを形成し、図7(b)に示すように、編込み張出部20Aをかつら取付部の形成終了位置から折り返し、形成終了位置まで形成したかつら取付部100の終端側の編込み部20に対し頭頂側に重ねて縫い合わせる。なお、最後の毛束の毛束合流部の集束帯に対する2本の編込み用糸121,122で巻回しての結束は、編込み張出部20Aを折り返した際に網掛けが外れないように複数回の結束を行うのがよい。
編込み張出部20Aを折り返して縫い合わせるには、1本の編込み用糸122(又は121)をリールから断ち切り、該断ち切った編込み用糸122を残り1本の編込み用糸121に緊縛することを2回行ってから、断ち切った編込み用糸122の余分を切除し、次いで、残り1本の編込み用糸121(又は122)についても適当な長さを残してリールから断ち切る。
そして、後から断ち切った編込み用糸121の先端を、手芸用のC形針(図9参照)の目に挿通して係止し、C形針を用いてかつら取付部100の下側の裏側から上側へ向かって通し、かつら取付部100と編込み張出部20Aとを束ねるように編込み用糸121を掛け回すことを反復して、上記折り返した編込み張出部20Aをかつら取付部100に括りつける。かつら取付部100と編込み張出部20Aとを束ねるように編込み用糸121を掛け回すことは、上記折り返した編込み張出部20Aの先端(こめかみから離れた側)よりこめかみの方向に向かって行い、かつら取付部100の終端に到達したら逆方向に重複して行う。これにより、編込み張出部20Aをかつら取付部100にしっかり固定する。図7(b)に示すように、括りつけが終了したら、編込み用糸と2本の芯糸11との結着を複数回行い、編込み用糸121と2本の芯糸11の余分を切断する。
以上でかつら取付部100の形成を終了するが、必要に応じて、編込み用糸とC形針とを用いてかつら取付部の開始端から終了端まで締め付ける工程(以下、これを補助編込みと称する。)を追加してもよい。全体を点検して弛い個所が部分的にある場合にはその部分について、また全体的に弛い場合には全体について補助編込みを行う。この補助編込みは、後述する自毛が伸びることによってかつら取付部100と頭部との一体感がなくなる弛みを解消するための補強編込みとは異なる。特に、ここで行う補助編込みが必要な場合とは、毛束の取り出し間隔が例えば3mmよりも広くなった場合や、自毛が短いために集束毛としての重ね合わせ寸法が短いために編込み用糸122、121による編込みで十分な括りつけができず弛みやすい場合が該当する。
ここでの補助編込みは、新たな編込み用糸を用いてC形針にてかつら取付部の開始端から終了端まで締め付ける工程としてもよいが、上述した編込み用糸122、121の余分を切断せずに、該編込み用糸122、121の端部をC形針に括りつけて、編込み張出部20Aの端からかつら取付部100の開始端までを締め付けてもよい。この締め付け操作は、編込み張出部20Aのかつら取付部100への括りつけと同様にして、各毛束の立ち上がり部同士間で行うが、毛束を単純に巻き付けて締め付けるのではなく、1個所ずつ緊縛するものとする。
〔第10の工程〕
上記のようにしてかつら装着者の頭部に形成されたかつら取付部100を利用して、かがり糸によりかつら装着者の頭部にかつらが固定される。
図7(c)に示すように、かつら取付部を形成したら、かがり糸21を用いてかつら200をかつら取付部100に取り付ける。まず、2つのC形針にかつら取付部の長さの例えば約3倍の長さの各かがり糸の一端をそれぞれ係止し、一方のC形針をかつら取付部の一端に括りつけ、他方のC形針をかつら取付部の他端に括りつける。そして、かつら装着者の頭部にかつらを載せ、当初の工程でつけた額の印とかつら200の内面の印とを合わせ、かつら200の周辺をかつら取付部の内縁に重なるように位置させる。次いで、かつら取付部の一端に括りつけたC形針を、かつら取付部の裏側に潜らせ、さらにかつら200の周縁部に縫い通すことを複数回繰り返し、かがり糸によりかつら取付部とかつら200の周縁部とを縫い合わせる。同様に、かつら取付部の他端に括りつけたC形針を、同様の操作でかつら200の周縁部に縫い通すことを複数回繰り返し、かがり糸によりかつら取付部とかつら200の周縁部とを縫い合わせる。以後、後頭部に向かって左右交互にかがり糸によりかつら取付部とかつら200の周縁部とを縫い合わせていく。かがり糸は、リール糸と同じ材質のものが使用できる。
かつらベースの額側の部分は、かつら取付部が無いので、両面テープあるいは接着剤により固定される。
上記構成のかつら取付部の形成方法によれば、毛束を次々に重ね合わせて連接させる集束毛10と、該集束毛10に沿って配置する芯糸11とを、各毛束間で2本の編込み用糸121,122で結束することで、編込み部20を形成していくものであり、毛束1,2,3,・・・・,n−3,n−2,n−1,nを介して芯糸11が頭部にしっかりと固定されてかつら取付部100が形成される。編込み用糸121,122が芯糸11と集束毛10とを一体的に結束することで編込み部20を形成するので、かつら取付部とかつらとをかがり糸でかがる場合に、かがり糸が編込み部内の芯糸11のみを誤って括って引っ張り出してしまうようなことが無く、強固なかつら取付部100が形成される。
上記かつら取付部の編込み構造及び編込み方法によれば、編込み部20は、多数本の毛髪を集めて連続した綱状体になり、且つ芯糸11を絡み通しているので非常に強度が大きいものとなる。そして、各毛束間で、芯糸11と共に連接した集束毛10を編込み用糸で外周から結束して編込み部20を構成したものであるから、位置を異にして取り纏めた毛束と毛束が密着され、また毛束と芯糸11が密着され、編込み部20に外力が加わっても、毛束と毛束の相互間に、また毛束と芯糸11の相互間にずれが生じることがない。そして、各毛束間で行う編込み用糸による結束は、従来のような毛束間で編込みを何回も繰り返して距離を長くとってしまうことはないので、毛束の間隔を小さくすることができるから、従来に比べて毛束を数多く設けることができ、該多数の毛束によってかつら取付部を頭部に強固に固定することができる。
このように、従来に比し多数の毛束によって連接した集束毛10を頭部に強固に固定できるから、かつら取付部100にかつらをかがり糸で取り付ける際に加わる外力やかつら取付後にかつらに外力が加わる場合、この外力は、連続した集束毛10によって多くの毛束に伝わるように分散され、各毛束に係る引張力が小さく抑制され、頭皮に突っ張り感を与えることが無くかつらとの一体感が向上する。
次に、かつら取付部の補強編込み方法について図8、図9を参照して説明する。
図8(a)は、頭部に形成した直後のかつら取付部の形成開始端を含む一部分の模式的な斜視図である。なお、図8、図9では、かつら取付部を形成するための編込み方法を示す図面表現を省略し、編込み用糸や芯糸を図示していない。図8(a)に示すかつら取付部100は、形成した直後であるので頭皮表面Sからの毛束の距離が短く、取付部100が頭皮側により密着している。このため、図8(a)に示すかつら取付部100に固定したかつら200は、頭部との一体感がある。
なお、図8(a)に示すかつら取付部は、本発明のかつら取付部の形成方法によって形成されたかつら取付部を含むが、これに限ることなく、従来提案されているかつら取付部、とりわけ、特許文献1〜4に示すかつら取付部の形成方法によって形成されたかつら取付部を含む。すなわち、本発明のかつら取付部の補強編込み方法は、全てのかつら取付部に対して適用され得る。
図7(c)に示すように、かつら取付部100にかつら200を取り付けた後、2週間乃至1ヶ月程度経過すると、かつら取付部は、図8(a)に示すように各毛束の立ち上がり部が短い状態から、図8(b)に示すように、各毛束の根元部分kが伸びて頭皮Sからの高さ寸法Hが大きくなる。このため、かつら取付部100が装着者の頭部から浮いてしまい、一体感が無くなる。
本発明にあっては、かつら取付部100と頭部との一体感を取り戻すには、かつらを取り付けているかがり糸を切ってかつら200(図7(c))を一旦取り外し、かつら取付部100に対して以下に述べる補強編込みを行うことで、図8(c)に示すように、各毛束の立ち上がり部をくの字状に折れ曲げた状態にして緊縛する作業だけで、各毛束の立ち上がり部を短い状態に戻すことができる。特許文献1〜4に示す従来方式では、かつら取付部を解体・解除して再構築することが必要であった。これに対して本発明では、単にかつらをかつら取付部から外すだけで、密着したかつら取付部が再現可能である。
〔かつら取付部の補強編込みの一例〕
かつら取付部の補強編込みの一例について図9を参照して説明する。
この実施形態によれば、かがり糸を切ってかつら200を取り外した後、図9(a)に示すように、C形針33に括り糸34を通して、C形針33で複数の毛束、図示例では三つの毛束を一纏めにして、これらの根元部分を矢印Xで示すように返し縫い方式でループ状に巻回して縮径し、図9(b)に示すように、括り糸34のループによって括られた両端の毛束の根元部分kをくの字に屈曲させて高さを低くすることをかつら取付部100の全体又は浮きのある部分に行う。
このようにすると、かつら取付部100を再構築し、頭部に固定している毛束の根元部分を短くしたものと実質的に同等の効果が得られる。再生したかつら取付部100にかつら200を再取り付けすると、かつら200の浮きが抑制されて装着者の頭部との一体感が得られる。このように、短時間で且つ簡単な作業でかつら取付部100を再生でき、しかも、再びかつらの浮きが生じた場合にはこのような再生を再度行うことができるので、かつら200が浮いて外観が不自然になることで生じるかつら装着者の不安感を解消することができる。
〔かつら取付部の補強編込みの別の例〕
この方法によれば、かがり糸を切ってかつら200(図7(c))を取り外した後、図10(a)に示すように、C形針33に括り糸34を係止し、図10(b)〜(g)に示すように、C形針33をかつら取付部100に対して裏側から頭頂部側に通し、通す度に該通した位置で括り糸34によりかつら取付部100の緊縛を行いつつ返し縫いを行うことで、図8(c)に示すように各毛束の立ち上がり部を短い状態に戻し、かつら取付部100を頭皮に密着させ一体感を再生する。
以下この方法を詳述する。図10に示す補強編込み方法は、毛束のピッチよりも大きい寸法で斜め縫い、緊縛、斜め返し縫い、緊縛を反復していく方法である。図10では毛束の図示を省略しているが、複数個、例えば3個の毛束を一纏めにして括り糸で巻回していくことは、図9に示す方法と同様である。
まず、図10(a)に示すように、かつら取付部100の一端近傍に括り糸34の端を緊縛する。この場合、括り糸34を係止したC形針33をかつら取付部100に対し毛束の根元部分(以下、下位と称する。)から上位に向かってかつら取付部100の裏側を通し、括り糸34の端をループに開いてC形針33を通し、さらに括り糸34を強く引くことで該括り糸34を図10(b)に示す緊縛部M1となるようにかつら取付部100に括りつける。
次に、図10(b)に示すように、括りつけ位置の近傍でC形針33をかつら取付部100に対し下位から上位に向かってかつら取付部100の裏側を通し、括り糸34のかつら取付部100を通過していない部分をC形針33に二捲きして針先方向にC形針33を抜き、さらに括り糸34を強く引くことで、該括り糸34を図10(c)に示す緊縛部M2となるようにかつら取付部100に緊縛する。この補強編込み開始位置をポイントP1とする。
続いて、図10(c)に示すように、C形針33をかつら取付部100の裏側にポイントP2からポイントP3へ斜め上方向に通し、括り糸34のポイントP3を通過していない部分をC形針33に二捲きして針先方向にC形針33を抜き、さらに括り糸34をポイントP3を通過するように強く引くことで、該括り糸34を図10(d)に示す緊縛部M3となるようにかつら取付部100に括りつける。緊縛部M3を形成する際には、図10(d)に示すように指Fで括り糸34を押さえて緊縛部M3の形成位置をポイントP3に来るように誘導する。
次に、図10(d)に示すように、返し縫いをするように、C形針33をかつら取付部100の裏側にポイントP4よりポイントP5へ斜め上方向に通し、括り糸34のポイントP5を通過していない部分をC形針33に二捲きして針先方向にC形針33を抜き、さらに括り糸34をポイントP5を通過するように強く引くことで、該括り糸34を図10(e)に示す緊縛部M4となるようにかつら取付部100に緊縛する。
続いて、図10(e)に示すように、C形針33をかつら取付部100の裏側にポイントP6よりポイントP7へ斜め上方向に通し、括り糸34のポイントP7を通過していない部分をC形針33に二捲きして針先方向にC形針33を抜き、さらに括り糸34をポイントP7を通過するように強く引くことで、該括り糸34を図10(f)に示す緊縛部M5となるようにかつら取付部100に緊縛する。緊縛部M5を形成する際は、図10(f)に示すように指Fで括り糸34を押さえて緊縛部M5の形成位置をポイントP7に来るように誘導する。
そして、図10(f)に示すように、返し縫いをするように、C形針33をかつら取付部100の裏側にポイントP8よりポイントP9へ斜め上方向に通し、括り糸34のポイントP9を通過していない部分をC形針33に二捲きして針先方向にC形針33を抜き、さらに括り糸34をポイントP9を通過するように強く引くことで、該括り糸34を図10(g)に示す緊縛部M6となるようにかつら取付部100に緊縛する。
以降、縫い進みと返し縫いを反復して行い、かつC形針33をかつら取付部100の裏側に通す度に括り糸34をかつら取付部100に緊縛して補強編込みを進行していく。そして、かつら取付部100の他端に到達したら、括り糸34をC形針33から切り離して二本に分け堅結びを2回行ってから余分を切除する。以上で、補強編込みを終了する。
この補強編込み方法によれば、隣接する複数の毛束の根元部分を括り糸で返し縫い方式でループ状に囲繞すると共に、上記編込み部に対しても巻回し、上記毛束の根元部分と上記編込み部とを共締めして緊縛することで毛束の根元部分をくの字に屈曲させて、かつら取付部を頭皮に密着させることができる。
なお、図10中の、S1〜S4はいずれも適宜寸法であって良い。例えばポイントP1〜P2間の距離S1は5〜15mm位、ポイントP2〜P3間のS2は10〜25mm位、ポイントP3〜P4間のS3は0〜10mm位、ポイントP4〜P5間のS4は10〜15mm位とすることができる。また、ポイントP6をポイントP3よりも左側にとってもよい。要は、C形針33をかつら取付部100の裏側に通す度に緊縛部を設けながら、かつ返し縫いを入れながら、適宜寸法で縫い進んでいけばよい。また、この補強編込みは、かつら取付部100の全体でなく、浮きのある部分だけに行うことでもよい。
〔第2の実施形態〕
図11は、薄毛領域が額から頭頂に至るU字形に存在する場合において、後頭部側だけにかつら取付部100Aを形成する例である。符号A2が編込み開始端、符号B2が編込み終了端であり、頭部の上方から見て反時計回りに編み込んでいく。かつらは、頭部の薄毛領域を覆ってかつらの後部をかつら取付部100Aにかがり糸で縫い合わされる。かつらは、頭部の薄毛領域の側方に生えている自毛を例えばストッパ等の挟着具で固定し、額部に両面テープあるいは接着剤により貼り付けることで固定される。
この実施例では、ストッパを外し、両面テープあるいは接着剤を剥がすと、かつらを後頭部側へ開けられるので、頭皮を直接洗うことができる。
〔第3の実施形態〕
図12は、薄毛領域が頭頂に円形に存在する場合において、薄毛領域を一回りするかつら取付部100Bを示す。かつら取付部100Bは、エンドレスであり編込み開始端A3と編込み終了端B4は一致する。編込み開始端をどの位置にしてもよいが、なるべく額部から避けた位置とするのがよい。編込み用糸は、編込み終了端に到達すると、もはや編込みを続行できないので、芯糸と結着して余分を切除する。
かつらは、頭部の薄毛領域を大きく覆い、かつらの周縁はかつら取付部100Bの内輪郭に密着する。かつらの周縁とかつら取付部100Bとをかがり糸でかがることで、かつらを固定できる。
〔第4の実施形態〕
図13は、薄毛領域が頭頂に円形に存在する場合において、額側のみにかつら取付部100Cを形成する例である。符号A4が編込み開始端、符号B4が編込み終了端である。かつらは、額側から頭部の薄毛領域を大きく覆い、かつらの前側周縁部をかつら取付部100Cにかがり糸で縫い合わされる。かつらベースの後半周縁部は自毛に対してストッパで固定される。
この実施例では、ストッパを外すと、かつらを額側へ開けられるので、頭部を直接洗うことができる。
〔第5の実施形態〕
図14は、薄毛領域が額から後頭部まで存在する場合において、薄毛領域の境界線に沿って両側頭部に対向一対に形成するかつら取付部100D,100Dを示す。符号A5が編込み開始端、符号B5が編込み終了端である。かつらは、額側から後頭部の薄毛領域を大きく覆い、かつらの両側周縁部を左右一対のかつら取付部100D,100Dにかがり糸で縫い合わされる。かつらの前部及び後部は、両面テープあるいは接着剤により固定される。
この実施例では、両面テープあるいは接着剤を剥がすと、額側からかつらベースの内側に手を入れて薄毛領域を直接洗うことができる。
〔第6の実施形態〕
図15は、第1の実施形態と異なる編込み構造を示す。この実施形態のかつら取付部の編込み構造についても、第1の実施形態と同様に、適宜の間隔でかつら取付部に沿って複数本の毛髪を取り纏めて毛束とし各毛束を順次一方向に重ね合わせることで連接して形成する集束毛10と、集束毛10に重ね合わせてかつら取付部の全長に亙って配設する芯糸11と、集束毛10及び芯糸11を結束する2本の編込み用糸12と、を有し、集束毛10及び芯糸11を編込み用糸121,122で外周から囲繞し結束することで編込み部が構成される。なお、編込み用糸121,122でどのように編み込んでいるかがわかりやすくするために、図15において、編込み用糸122にハッチング様の斜め線を付加して編込み用糸121と区別がつき易くしている。
編込み部は、毛束を取り込んで集束毛と合流させる毛束合流部10aと、毛束合流部10aに対応した位置に配置される絡合部10bとを有する。毛束合流部10aでは集束毛10と芯糸11と取り込んだ毛束とを集束した集束帯を2本の編込み用糸121,122で巻回して結束すると共に、絡合部10bでは2本の編込み用糸121,122を互いに絡合させることで、編込み部が、かつら取付部の全長に形成されている。
この実施形態のかつら取付部の編込み構造及び編込み方法は、以下の点が第1の実施形態と相違している。第1の実施形態では、図6(a)に示す工程で、撚る回数を3回とし、集束毛10と芯糸11とを、間隙部12dに対して矢印fのように入れ、間隙部を縮径してから、さらに図6(c)に示すように後側の撚り部12cと2本の編込み用糸121,122とのVの広がり部12dに矢印gのように入れて編み込こんでいる。この実施形態においても、全く同じ編み込みを行うものであるが、図6(a)に示す工程で、撚る回数を4回とするものである。撚る回数を3回とするときは図3に示す網目構造になり、撚る回数を4回とするときは図13に示す網目構造になる。この実施形態は、撚る回数を4回としているが、撚る回数を偶数とするときは、撚り部12a,12cの巻数が変わるだけで網目の通り方はこの実施形態と同様になる。撚り部12a,12cは寄せられることで集束毛10の上に位置する。
〔第7の実施形態〕
図16に示すように、この実施形態のかつら取付部の編込み構造及び編込み方法は、一つのリール31からリール糸を引き出して、先端側の糸部を芯糸11とし、芯糸11に続くリール側の糸部を編込み用糸12とし、これらの境目で輪を形成して編込み開始端A1の第1の毛束1の根元に縛ることで、結着部を形成する。次いで、第1の毛束1に隣接した位置の複数本の毛髪を取り纏めて第2の毛束とし、第1の毛束1を第2の毛束に沿わせて重ね合せ集束毛10とし、芯糸11を沿わせて重ねる。集束毛と芯糸とを外側から編込み用糸12で締め付けて束ねることで、編込み部を形成する。以後同様に、順次、次の毛束を取り込んで集束毛及び芯糸と共に編込み用糸で結束していき、終端のかつら取付部の形成を終了する所定位置まで、同様の作業を繰り返し、一本の綱状に連続する編込み部を形成する。次いで、かつら取付部の形成を終了する位置に形成された棒状の編込み張出部を折り返して末端側の編込み部に縫い合わせることで、かつら取付部を完成する。形成したかつら取付部を利用してかがり糸によりかつらを固定する。
この実施形態のかつら取付部及びその形成方法が、第1の実施形態と相違している点は、芯糸11及び編込み用糸12がそれぞれ1本であること、及び編込み用糸12による結束の仕方が相違していることである。この実施形態では、編込み用糸12にテンションを掛けて左手でループしループが解けない締まり輪12eを3つ作る。このループが解けない締まり輪12eは、編込み用糸12を単純にループしてから糸のクロスする部分を一回又は数回捻るだけで形成できる。3つの締まり輪12eに集束毛10の毛束合流部10a及び芯糸11を通して3つの輪を縮径したときに、ループが解けない締まり輪とする。なお、3つの締まり輪12eを一度に作らず、締まり輪12eを一つずつ作ってその都度締まり輪12eに集束毛10を通すことを複数回行うようにしてもよい。また、複数のリールからそれぞれ引き出した複数本のリール糸で、上記と同様に芯糸11と編込み用糸12としてもよい。すなわち、この実施形態では、芯糸11と編込み用糸12とをそれぞれ複数本としてもよい。
〔その他の実施形態〕
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲には、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々、設計変更した形態が含まれる。
(1)上記第1の実施形態では、芯糸11と編込み用糸121,122とをリールから繰り出したリール糸Sに輪を作り第1の毛束1を締めて先端側を芯糸11、リール側を編込み用糸121,122としたが、芯糸11と編込み用糸121,122とは別々の糸を用意して第1の毛束1に結着してもよい。
(2)編込み用糸121,122に掛けるテンションはリール以外のものとしてもよい。すなわち、編込み用糸121,122の繰り出しが可能なように該編込み用糸121,122にテンションを掛けられれば足りる。
(3)編込み用糸121,122は、図示の実施態様では、2本を一組として説明したが、3本以上を一組として用いてもよい。ただし、この場合は撚りの掛け方や集束毛への巻回が煩雑になるので工夫を要する。また、1本の編込み用糸とは、単一の糸条だけを意味するものではなく、例えば2条又はそれ以上の糸条を並行して配置したものも、ここで言う「1本」の編込み用糸に含まれる。1条又は数条の糸を互いに並行配置するか又はこれらを撚り合わせて1本の編込み用糸とすることができることは明らかである。
(4)毛束1を利用した編込み方式でかつら取付部が形成されている限り、どのようなタイプのものであっても、上記した本発明の補強編みが利用又は応用され得る。例えば、背景技術で説明した特許文献1〜4記載の技術にもこの補強編み込み方式が採用できることはいうまでもない。要は、毛束を複数束の数で一纏めにして、括り糸で「く」の字状に屈曲することができる限り、かつらの浮きを抑えることが可能である。
100,100A,100B,100C,100D…かつら取付部、
A1,A2,A3,A4,A5…編込み開始端、
B1,B2,B3,B4,B5…編込み終了端、
1…第1の毛束、
2…第2の毛束、
k…毛束の根元部分、
10…集束毛、
10a…毛束合流部、
10b…絡合部、
11…芯糸、
121,122…編込み用糸、
12…編込み用糸、
12a…前側の撚り部、
12b…間隙部、
12c…後側の撚り部、
12d…広がり部、
12e…締まり輪、
13…輪、
20…編込み部、
20A…編込み張出部、
21…かがり糸、
31,32…糸巻冶具、
33…C形針、
34…括り糸、
200…かつら、

Claims (24)

  1. かつらの輪郭の少なくとも一部に沿ってかつら装着者の頭部に形成されたかつら取付部の編込み構造であって、
    適宜の間隔でかつら取付部に沿って複数本の毛髪を取り纏めて毛束とし各毛束を順次一方向に重ね合わせることで連接して形成する集束毛と、
    上記集束毛に重ね合わせてかつら取付部の全長に亙って配設する芯糸と、
    上記集束毛及び上記芯糸を結束する2本又はそれ以上の編込み用糸と、を有し、
    上記集束毛及び上記芯糸を上記編込み用糸で外周から囲繞し結束することで編込み部が構成され、
    上記編込み部は、毛束を取り込んで集束毛と合流させる毛束合流部と、上記毛束合流部に対応した位置に配置される絡合部とを有し、
    上記毛束合流部では集束毛と芯糸と取り込んだ毛束とを集束した集束帯を2本以上の編込み用糸で巻回して結束すると共に、上記絡合部では2本以上の編込み用糸を互いに絡合させることで、上記編込み部が、かつら取付部の全長に形成されたことを特徴とする、かつら取付部の編込み構造。
  2. 前記編込み端部の毛束が、前記編込み用糸で結着されたことを特徴とする、請求項1に記載のかつら取付部の編込み構造。
  3. 前記2本以上の編込み用糸は、並んで延びる2本以上の編込み用糸に撚りを掛けることで中間に生じる間隙部と、該間隙部の前後に生じる互いに反対向きの一対の撚り部と、後側撚り部の外側に生じる広がり部と、を有し、上記間隙部及び上記広がり部に対して、前記集束帯が挿入され且つ上記編込み用糸で締め付けることで、前記編込み部が形成されることを特徴とする、請求項1に記載のかつら取付部の編込み構造。
  4. 前記毛束合流部は、前記集束帯を前記2本以上の編込み用糸の間隙部と広がり部に順次通して締め付けることで形成され、前記絡合部は、前側の撚り部と後側の撚り部とで隣り合った二箇所に形成されることを特徴とする、請求項3に記載のかつら取付部の編込み構造。
  5. 前記2本以上の編込み用糸の撚り部は、2巻き以上の撚りを掛けることで形成されることを特徴とする、請求項3又は4に記載のかつら取付部の編込み構造。
  6. 前記集束帯を捻った状態で、前記2本の編込み用糸の間隙部及び広がり部に通して結束することで、前記編込み部が形成されたことを特徴とする、請求項3乃至5の何れかに記載のかつら取付部の編込み構造。
  7. かつらの輪郭の少なくとも一部に沿ってかつら装着者の頭部に形成されたかつら取付部の編込み構造であって、
    適宜の間隔で各位置の複数本の毛髪を取り纏めて毛束とし各毛束を順次一方向に重ね合わせることで連接して形成する集束毛と、
    上記集束毛に重ね合わせて配設する芯糸と、
    上記集束毛と上記芯糸の外周を結束する編込み用糸と、で成り、
    上記編込み用糸は、各毛束を集束毛として重ね合わせる毎に作られた締まり輪に上記集束毛と上記芯糸とを通して縮径させることで該集束毛と芯糸の外周を結束していることを特徴とする、かつら取付部の編込み構造。
  8. 前記芯糸は、前記編込み用糸の先端側の一部で構成されたことを特徴とする、請求項1又は7に記載のかつら取付部の編込み構造。
  9. 請求項1〜8の何れかに記載のかつら取付部の編込み構造において、緩みが生じた編込み部を補強する際に、順次整列して連なる毛束の複数を一群とし、各群毎に毛束の両端が括り糸で緊縛されて成り、これにより緊縛された毛束の群が屈曲し、編込み部を頭皮に密着させたことを特徴とする、編込み部の補強構造。
  10. かつらの輪郭の少なくとも一部に沿ってかつら装着者の頭部に形成したかつら取付部において、該かつら取付部が、適宜の間隔で複数本の毛髪を取り纏めた毛束と、該各毛束を順次編込み用糸で編み込むことにより形成した編込み部と、で構成され、
    かつらを固定しているかつら取付部の毛束の根元部分が伸びてかつらの固定が緩くなった上記かつら取付部について、隣接する複数の毛束の根元部分を括り糸でループ状に囲繞して緊縛することにより、該複数の毛束を屈曲してかつら取付部を頭皮に密着して補強する、かつら取付部の補強編込み構造。
  11. かつらの輪郭の少なくとも一部に沿ってかつら装着者の頭部に形成したかつら取付部において、該かつら取付部が、適宜の間隔で複数本の毛髪を取り纏めた毛束と、該各毛束を順次編込み用糸で編み込むことにより形成した編込み部と、で構成され、
    かつらを固定しているかつら取付部の毛束の根元部分が伸びてかつらの固定が緩くなった上記かつら取付部について、隣接する複数の毛束の根元部分を括り糸でループ状に囲繞すると共に、上記編込み部に対しても巻回し、上記毛束の根元部分と上記編込み部とを共締めして緊縛することで、該複数の毛束を屈曲してかつら取付部を頭皮に密着して補強する、かつら取付部の補強編込み構造。
  12. 前記括り糸を、前記編込み部に対し斜め方向に通した位置で毛束を緊縛すると共に、逆斜め方向に通した位置でも該括り糸により毛束を緊縛することで、上記毛束の根元部分を屈曲されかつら取付部を頭皮に密着して補強する、請求項11に記載のかつら取付部の補強編込み構造。
  13. かつらの輪郭の少なくとも一部に沿ってかつら装着者の頭部に形成されたかつら取付部の編込み方法であって、
    適宜の間隔でかつらの輪郭に沿って複数本の毛髪を取り纏めて毛束とし前段の毛束に次段の毛束を一方向に重ね合せることで毛束を連接してなる集束毛を形成する工程と、
    上記集束毛に次段の毛束を合流させる集束毛合流部に芯糸を添わせ該集束毛合流部を2本以上の編込み用糸で巻回し結束して編込み部を形成する工程と、
    以後同様に、順次、毛束を取り纏めて集束毛に合流させ、集束毛合流部の集束毛と芯糸と取り込んだ毛束とを集束した集束帯を2本以上の編込み用糸で巻回して結束すると共に、上記毛束合流部に対応した位置に配置される絡合部において2本以上の編込み用糸を互いに絡合させることを反復することで、編込み部をかつら取付部の全長に形成する、ことを特徴とするかつら取付部の編込み方法。
  14. 前記編込み部の編込み開始端の毛束を、前記2本以上の編込み用糸で結着して編み込み開始することを特徴とする、請求項13に記載のかつら取付部の編込み方法。
  15. 並んで延びる2本以上の編込み用糸に撚りを掛けることで中間に間隙部を生じさせると共に、該間隙部の前後に互いに反対向きの一対の撚り部を生じさせ且つ後側撚り部の外側に広がり部を生じさせ、上記間隙部及び上記広がり部に対して、前記集束帯を、挿入し且つ編込み用糸で締め付けることで、前記編込み部を形成することを特徴とする、請求項13に記載のかつら取付部の編込み方法。
  16. 前記毛束合流部は、前記集束帯を前記2本の編込み用糸の間隙部と広がり部に順次通して締め付けることで形成し、前記絡合部は、前側の撚り部と後側の撚り部とで隣り合った二箇所に形成することを特徴とする、請求項15に記載のかつら取付部の編込み構造。
  17. 前上記2本以上の編込み用糸の撚り部は、2巻き以上の撚りを掛けることで形成することを特徴とする、請求項15又は16に記載のかつら取付部の編込み方法。
  18. 前記集束帯を捻り、この集束帯を前記2本以上の編込み用糸の間隙部又は広がり部に通して結束することで、前記編込み部を形成することを特徴とする、請求項15乃至17の何れかに記載のかつら取付部の編込み方法。
  19. かつらの輪郭の少なくとも一部に沿ってかつら装着者の頭部の2以上の各位置の複数本の毛髪を取り纏めて毛束とし前段の毛束に次段の毛束を一方向に重ね合せることで毛束を連接してなる集束毛とする工程と、
    上記集束毛に芯糸を添わせ外側から編込み用糸で結束して編込み部とする工程と、
    以後同様に、順次、次段位置の複数本の毛髪を取り纏めて次段の毛束とし該次段の毛束を上記集束毛と芯糸に重ね合わせ該重ね合わせ部分を上記編込み用糸で結束することで、編込み部を連続して形成し、
    上記編込み用糸による結束は、各毛束を集束毛として重ね合せる毎に締まり輪を作り、該締まり輪に上記毛束合流部を上記芯糸と共に通して縮径させることで該集束毛と芯糸の外周を結束することを特徴とする、かつら取付部の編込み方法。
  20. 前記芯糸を、前記編込み用糸の先端側の一部で構成することを特徴とする、請求項13又は19に記載のかつら取付部の編込み方法。
  21. 請求項1〜9の何れかに記載のかつら取付部の編込み構造において、緩みが生じた編込み部を補強する際に、順次整列して連なる毛束の複数を一群とし、各群毎に両端の毛束の根元部分を括り糸で返し縫い方式でループ状に緊縛し、緊縛した毛束の群をくの字に屈曲させることで、編込み部を頭皮に密着させることを特徴とする、かつら取付部の補強編込み方法。
  22. かつらの輪郭の少なくとも一部に沿ってかつら装着者の頭部に形成するかつら取付部を、適宜の間隔で複数本の毛髪を取り纏めた毛束と、該各毛束を順次編込み用糸で編み込むことにより形成した編込み部と、で構成し、かつらを固定している上記かつら取付部の毛束の根元部分が伸びてかつらの固定が緩くなったときに、
    隣接する複数の毛束の根元部分を括り糸で返し縫い方式でループ状に囲繞すると共に、該括り糸を緊縛することで、上記複数の毛束をくの字に屈曲してかつら取付部を頭皮に密着させて補強することを特徴とする、かつら取付部の補強編込み方法。
  23. かつらの輪郭の少なくとも一部に沿ってかつら装着者の頭部に形成するかつら取付部を、適宜の間隔で複数本の毛髪を取り纏めた毛束と、該各毛束を順次編込み用糸で編み込むことにより形成した編込み部と、で構成し、かつらを固定している上記かつら取付部の毛束の根元部分が伸びてかつらの固定が緩くなったときに、
    隣接する複数の毛束の根元部分を括り糸で返し縫い方式でループ状に囲繞すると共に、上記編込み部に対しても巻回し、上記毛束の根元部分と上記編込み部とを共締めして緊縛することで、上記複数の毛束をくの字に屈曲してかつら取付部を頭皮に密着させて補強することを特徴とする、かつら取付部の補強編込み方法。
  24. 前記括り糸を、前記編込み部に対し斜め方向に通した位置で毛束を緊縛すると共に、逆斜め方向に通した位置でも該括り糸による毛束を緊縛することで、上記毛束の根元部分を屈曲させてかつら取付部を頭皮に密着させて補強することを特徴とする、請求項23に記載のかつら取付部の補強編込み方法。
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