JP5382806B2 - エンジン試験装置用シャフトおよびその製造方法 - Google Patents

エンジン試験装置用シャフトおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明はエンジン試験装置用シャフトおよびその製造方法に係り、特にエンジンベンチにおいてエンジンとダイナモメータとを連結し、動力を伝達するシャフト及びその製造方法に関する。
エンジン試験装置として、エンジンベンチが知られている。エンジンベンチは、供試エンジンが所定の性能を備えているかを評価する装置であり、供試エンジンは台上に取り付けられ、その出力軸がシャフトを介してダイナモメータに連結される。このダイナモメータでエンジンの出力軸の回転力を吸収しながら、トルクや回転数を計測することによって、エンジンの性能が測定・評価される。
このようなエンジンベンチでは、いずれかの回転数領域において共振現象が発生することが知られており、共振現象が発生すると、測定精度が低下したり、装置が損傷したりするおそれがある。このため、共振点(共振周波数)を使用範囲から外すように設計するのが一般的であり、たとえばエンジンベンチの場合、共振点を低くすることによってエンジンのアイドル回転以下に共振点を外すように設計を行っている。
ところで、2マス1バネ系の簡易モデルでは、共振周波数f[Hz]を以下のように考えることができる。すなわち、慣性J1[kgm]の物体と、慣性J2[kgm]の物体とが、ねじり剛性K[Nm/rad]のシャフトで連結される場合、共振周波数fは下式により求めることができる。
f={K(J1+J2)/J1×J2}1/2/2π・・・(式1)
この(式1)から分かるように、共振周波数fは、慣性値J1、J2とねじり剛性Kの関係で成り立っており、ねじり剛性Kを変えることで、共振周波数fをコントロールすることができる。上述したエンジンベンチの場合、共振周波数fを低くするためには、シャフトのねじり剛性Kを低くすることが必要であり、特にエンジンほどの大きな力を伝達する機構の場合、ねじり剛性Kをかなり小さくする必要がある。また、エンジンほどの大きな力を伝達する機構の場合、シャフト自体に耐久性も求められる。よってエンジンベンチのシャフトには小さなねじり剛性Kと耐久性が求められる。
そこで、従来は、シャフトに取り付けた動力計の慣性値を大きくしたり、動力伝達部にラバーを用いたシャフトを使用したりしている。(たとえば特許文献1参照。)
特開2006-162486号公報
しかし、動力計の慣性値を大きくした場合、ダイナモの加速性能が低下するなど、計測器としての性能が低下するという問題がある。
一方、ラバーを用いた場合は、ラバーの特性が温度によって変化するため、制御性能が不安定になるという問題がある。また、ラバーエレメントのねじり剛性にはダイナミック特性とスタティック特性があるので数値を把握しにくいという問題や、ラバーには劣化現象があるので耐久性が低いという問題がある。
さらに、昨今の自動車業界からの要求として、高精度の制御性能が必要とされている。このような背景からシャフトに求められている性能は、ねじり剛性が小さく、且つ、シャフトのもつ特性が運転中の状況(温度や速度)によって変わらない性質が望まれている。
運転中の状況による変化が少ない材料としては、金属が挙げられる。すなわち、ラバーは機械的な動的性質と静的性質の差が大きいのに対して、金属は機械的な動的性質と静的性質の差が極めて小さいという特性がある。よって、シャフトを同一金属で作成することが考えられる。
ここで、金属シャフトのねじり剛性を数式により考察する。金属シャフトが円柱状の場合、直径をd、軸方向長さをlとすると、ねじり剛性Kは下式で表される。
K=Gπd/32×l・・・(式2)
一方、シャフトが円筒状の場合、内径をd1、外径をd2、軸方向の長さをlとすると、ねじり剛性Kは下式で表される。
K=Gπ(d2−dl)/32×l・・・(式3)
これらの(式2)、(式3)を考察すると、径d、d2が4乗のオーダーでねじり剛性Kに作用するため、径d、d2を小さくすることが望まれる。しかし、径d、d2を小さくすると、シャフトの強度が低下するという問題が発生する。たとえば、最大せん断応力をτ、モーメントをMtとすると、円柱状シャフトの最大せん断応力τは以下の(式4)により、また、円筒状シャフトの最大せん断応力τは以下の(式5)により求まる。
τ=16×Mt/π×d・・・(式4)
τ=16×Mt×d2/π×(d2−d1)・・・(式5)
これらの(式4)、(式5)から分かるように、径d、d2を小さくすると、最大せん断応力τが小さくなり、強度が低下する。したがって、強度を考慮すると、シャフトの径d、d2をむやみに小さくすることはできない。
シャフトの強度を維持したまま、シャフトのねじり剛性を低下させる方法として、シャフトの全長を長くする方法が考えられる。しかし、設備上、シャフトを著しく長くすることは現実的ではない。
その他、シャフトを特異な形状とすることによって、シャフトの強度を維持したままシャフトのねじり剛性を低下させる方法が考えられる。しかし、その場合には、シャフトを複雑な形状に加工する必要がある。シャフトは一般的に硬質の金属材を選択することが多く、このため、加工が非常に難しく、特異な形状とすることが非現実的であるという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みて成されたものであり、十分な強度を確保しつつ、ねじり剛性の小さいエンジン試験用シャフトを提供することを目的とする。さらに、そのエンジン試験用シャフトを容易に製造することのできる製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、エンジンの出力軸と、該エンジンに負荷を与えるダイナモメータの回転軸とを連結し、前記出力軸と前記回転軸との間で動力を伝達するエンジン試験装置用シャフトにおいて、前記シャフトの両端に配置される一対の軸端部と、前記シャフトの中心軸を中心とする円周状に等間隔で配置されるとともに、前記一対の軸端部を連結する複数の同一形状の柱状部と、から成り、前記一対の軸端部と前記柱状部が一体であるとともに、前記複数の柱状部同士の間にはそれぞれ前記中心軸に連通する開口が形成されることを特徴とするエンジン試験装置用シャフトを提供する。
本発明によれば、複数の柱状部が同一形状であり、等しい角度間隔で配置されるので、各柱状部にかかる応力が均一になり、応力の偏りによる強度低下を防止することができる。また、本発明によれば、シャフト全体よりも径の小さい柱状部で連結されるので、ねじり剛性を低下させることができる。なお、このような形状のシャフトにおける強度とねじり剛性は、たとえば有限要素法を用いた解析方法で確認することができる。
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記複数の柱状部は板状に形成され、前記シャフトの径方向に沿ってまたは前記径方向と平行に配置されることを特徴とする。このような形状の柱状部は、円柱状または円筒状の金属材を外周面から内部に向けて切削加工することによって形成することができる。したがって、シャフトを容易に製造することができる。
請求項3に記載の発明は請求項1または2の発明において、前記軸端部と前記複数の柱状部は、円柱状または円筒状の金属材を切削加工することによって製造されることを特徴とする。本発明のように、円柱状または円筒状の金属材を切削加工して軸端部と柱状部を形成した場合、軸端部と柱状部との連結部分において熱による特性の変化が発生しにくい。すなわち、別部材から成る軸端部と柱状部を溶接や接着などで固定した場合には、熱によってひずみが発生したり、強度が低下したりするおそれがあるが、本発明はこれを防止することができる。金属材としては、十分な強度を有すること、柔軟な材質であること、軽量であることを考慮し、チタン合金、特にチタン6Al―4V合金(60種)が好ましい。なお、本発明を換言すると、柱状部同士の間隙は、外周面からの切削加工により形成可能な形状であることを特徴とする、または、柱状部は、側面または側面の延長が全て外周面に交差することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は前記目的を達成するために、円柱状の金属材に対して、該金属材の外周面から該金属材の内部に向けて切削加工を繰り返し行うことによって、両端に配置される一対の軸端部と、前記金属材の中心軸を中心とする円周状に等間隔で配置され、前記一対の軸端部を連結する複数の同一形状の柱状部と、から成り、前記複数の柱状部同士の間にはそれぞれ前記中心軸に連通する開口が形成されるエンジン試験装置用シャフトを製造することを特徴とする。
本発明によれば、円柱状の金属材を切削加工することによって、一対の軸端部と複数の柱状部が一体のシャフトを製造することができる。このように製造したシャフトは、軸端部と柱状部との連結部において熱による特性の変化が発生しにくく、高い形状精度を得ることができる。また、本発明の製造方法によれば、切削加工によってシャフトを製造することができるので、たとえばチタン合金のような難加工材料を用いることができる。
請求項5に記載の発明は請求項4の発明において、前記切削加工は、前記金属材の外周面から前記金属材の中心軸を通って貫通するように行うことを特徴とする。本発明によれば、金属材を貫通するように切削加工を行うので、シャフトの中心軸を挟んで反対側の柱状部を同時に加工することができ、シャフト製造にかかる時間とコストを削減することができる。
請求項6に記載の発明は請求項4または5の発明において、前記切削加工は、前記金属材の径方向に対して傾斜した方向に行うことを特徴とする。本発明によれば、金属材の径方向に対して傾斜した方向に切削加工を行うので、柱状部の形状の自由度が高まり、たとえば柱状部の側面のうち外周面側の側面の面積を小さくすることによって、高い強度を維持することができる。
本発明によれば、一対の軸端部を複数の柱状部で連結した構成のシャフトとしたので、十分な強度を維持したまま、ねじり剛性を低下させることができる。また、本発明によれば、十分な強度でねじり剛性の低いシャフトを切削加工によって容易に製造することができる。
本実施の形態のシャフトが適用されたエンジンベンチの概略構成図 本実施の形態のシャフトを示す斜視図 図2のシャフトの断面図 図2のシャフトの製造方法を示す説明図 別形状のシャフトの説明図 別形状のシャフトの説明図 別形状のシャフトの説明図
以下、添付図面に従って、本発明に係るエンジン試験装置用シャフト及びその製造方法の好ましい実施形態について説明する。図1は、本実施の形態のエンジン試験装置用シャフト(以下、単にシャフトという)1が適用されたエンジンベンチ10の概略構成図である。
同図に示すエンジンベンチ10は、試験対象であるエンジン11の性能を測定・評価する装置であり、主としてダイナモメータ20、ダイナモメータ制御部30、エンジン制御部31、信号処理部40、システム制御部50で構成される。
エンジン11は、保持機構を介して架台12に固定される。エンジン11の内部には燃焼室(不図示)が設けられ、この燃焼室に吸気管13から空気が吸引され、燃焼室で燃焼された後、排気管14から排気される。吸気管13にはスロットル15が設けられ、このスロットル15によって空気の流入量が調節される。一方、排気管14には触媒装着部16が設けられ、この触媒装着部16に装着された触媒によって排ガスが浄化される。
エンジン11は、その出力軸がシャフト21を介してダイナモメータ20に接続される。シャフト21は、後述するシャフト1などの複数の軸部材を連結して構成されており、その連結部分にはユニバーサルジョイント22が介在される。エンジン11とダイナモメータ20との間には中間軸受24が設けられており、この中間軸受24にシャフト21が回動自在に支持される。シャフト21にはトルクメータ23が取り付けられ、このトルクメータ23によってトルクが計測される。なお、本実施の形態は、トルクメータ23でトルクを計測するようにしたが、これに限定するものではなく、たとえばダイナモメータ20の出力からトルクを検出してもよい。また、トルクメータ23の他に、クラッチ、変速機、各種の連結手段等を目的に応じて挿入してもよい。さらに、トルク以外のエンジン11の状態(たとえば排ガスの温度など)を計測する手段を挿入してもよい。
ダイナモメータ20は、エンジン11に所定の負荷トルクを与える装置であり、電流・電圧を可変させることで負荷トルクを設定できるようになっている。ダイナモメータ20としては、低慣性ダイナモメータを用いることが好ましく、低慣性ダイナモを用いることによって、低速回転から高速回転までの急激な回転数の変化に応じた安定した出力が得られる。ダイナモメータ20はダイナモメータ制御部30に接続されている。
ダイナモメータ制御部30は、ダイナモメータ20に印加する電流・電圧を可変制御する手段であり、このダイナモメータ制御部20で電流・電圧を可変制御することによって、ダイナモメータ20に接続されたエンジン11の負荷トルクが制御される。
一方、エンジン11は、エンジン制御部31に接続される。エンジン制御部31は、スロットル開度や点火進角等の制御パラメータをエンジン11に与えてエンジン11を駆動制御する手段であり、通常はECU、もしくはECUにバイパス回路を付加したエンジン制御回路で実現される。ECUの代わりに仮想ECUと称されるDSP(Digital Signal Processor)で実現してもよい。このエンジン制御部31によってエンジン11に制御パラメータ(たとえば所定のスロットル開度)が与えられる。これにより、エンジン11が回転し、その回転がシャフト21を介してダイナモメータ20に伝達される。なお、エンジン制御部31から与えられる制御パラメータとしては、回転数、スロットル開度の他、燃料注入量、空気注入量、燃料と空気の混合比、点火時間(ガソリンエンジンの場合)、燃料噴射制御方法(ディーゼルエンジンの場合)など様々なパラメータがある。
エンジン制御部31とトルクメータ23は、信号処理部40に接続される。信号処理部40は、測定部41、メモリ42、データ演算部43、モデル演算部44を備えている。測定部41は、エンジン11の動作状態を示す信号を入力し、各種の信号処理を行う手段であり、前述したトルクメータ23からトルク・回転数などのデータが入力されるとともに、エンジン制御部31からスロットル開度等の制御データが入力される。なお、スロットル開度等の時系列データは、エンジン制御部31からではなく、後述のシステム制御部50から直接入力してもよいし、エンジン11に設けられたスロットル開度検出器等からエンジン制御部31を介して入力してもよい。また、測定部41は、入力データがアナログ信号の場合、A/D変換を行い、複数の入力データの時間的同期をとることが好ましい。
測定部41に入力されたデータは、メモリ42に一時的に格納される。メモリ42に格納されたデータは必要に応じて後述のモデル演算部44やトルク演算部43に出力される。その際、不図示の信号処理回路によってデータの信号処理を行ってもよい。この信号処理回路としては、たとえばデータのノイズを除去するノイズ除去器(フィルター)、加減乗除器、微分積分器、平均値演算器、標準偏差演算器、データ度数等の計数器(カウンタ)、周波数解析器(FFT)等、公知の演算器が用いられる。なお、信号処理途中のデータや信号処理結果のデータをメモリ42に一時的に格納してもよい。
モデル演算部44は、得られたデータに基づいてエンジン11のモデルを作成するとともに、作成したモデルに基づいてエンジン制御部31やダイナモメータ制御部30を制御してシミュレーションを行う手段である。ここで、モデル演算部43で作成されるモデルとは、制御パラメータやトルクメータ24で計測されたデータに基づいて、任意の入力と出力に介在する関係(伝達特性)を式やグラフ等で表現したものであり、作成されたモデルはメモリ42に格納される。モデル演算部44は、そのモデルに基づいて仮想シミュレーションまたは実機シミュレーションを行い、さらに、そのシミュレーション結果と実測値とを比較し、モデルの有効性・妥当性を検証してモデルの修正やパラメータ値の調整等を行う。
データ演算部43は、得られたデータに基づいて各種の演算処理を行う手段である。このデータ演算部43によって、たとえばエンジン11の回転数とエンジン11の慣性値などを用いたエンジントルクの算出が行われる。
上述したダイナモメータ制御部30、エンジン制御部31、信号処理部40は、システム制御部50に接続される。システム制御部50は各種の制御を行う手段であり、計測内容の各種条件を設定(定義)する機能を備え、たとえばスロットル開度、燃料噴射時期、点火進角、噴射時間、VVT、EGRなどの制御パラメータや、吸気温度、排気温度、燃料注入量、空気注入量、NО密度、HC密度、CО濃度、CО濃度、燃料消費量、水温などの計測パラメータについて、その入出力の有無や入出力の範囲などを設定することができる。また、使用頻度の高い設定条件が予め標準アクションとして登録されており、たとえば矩形波状に入力条件を変化させたり、ステップ状に徐々に入力条件を変化させたりする設定が予め登録されている。作業者はこれらの標準アクションのなかから選択することによって、計測条件を簡単に設定することができる。また、システム制御部50は、予め設定された標準アクションの他、自由にシーケンスを作成できる機能を備えている。シーケンスの作成手段は特に限定するものではないが、たとえば、MATLAB(登録商標)のm-fileやSimulink(登録商標)を使用することにより作成される。このようにシーケンスを作成することによって、作業者がシミュレーションの条件を自在に設定することができる。
さらに、システム制御部50は、計測を実行させる機能を備えており、定義された条件(またはシーケンス)に基づいて計測を実行させるように構成される。システム制御部50には表示部52が接続されており、この表示部52に、メモリ42に格納されている各種データやエンジンモデル、データ演算部43やモデル演算部44での演算結果などが表示される。また、表示部52には、複数のデータの関係グラフ、軌跡、度数分布表、標準偏差グラフなど、様々な画像が表示され、データ、マップ、グラフなど複数のものが同一画面に同時に表示できるようになっている。
次に本発明の特徴部分であるシャフト1について説明する。図2はシャフト1の斜視図であり、図3は、図2の3-3線に沿う断面図(すなわち中心軸Cと直交する断面図)である。
これらの図に示すように、シャフト1は、両端に配置された二つの軸端部2と、その二つの軸端部2を連結する複数の柱状部4とで構成されている。後述するように、シャフト1は、円柱状の金属材を切削加工することによって製造されたものであり、軸端部2と柱状部4は同一の金属材で一体となっている。
シャフト1の材質としては、十分な強度を得るため、降伏強さと引張強さが鋼材(たとえば機械構造用中炭素工:S45Cやクロモリブデン鋼:SCM440)と同等またはそれ以上(たとえば降伏強さが約700MPa以上、引張強さが約800MPa以上)が好ましい。また、シャフト1は、ねじり剛性を低下させるため、柔軟な材質であることが好ましく、応力/歪みであるヤング率やずれ弾性が小さいこと(たとえばヤング率が約120GPa以下、ずれ弾性率が約50GPa以下であること)が好ましい。さらに、シャフト1は、エンジン11にかけられる荷重が決まっているために軽量であること(たとえば密度が約5×10kg/m以下)が好ましい。以上を考慮し、シャフト1の材質はチタン合金、特にチタン6Al―4V合金(60種)が好ましいと考えられる。チタン6Al―4V合金(60種)は、降伏強さが920MPa、引張強さが980MPa、ヤング率が106GPa、ずれ弾性率が41GPa、密度が4.4×10kg/mであり、上記の条件を全て満たしている。
図3に示すように、柱状部4は外周に沿って10個設けられている。具体的には、柱状部10は、シャフト1の中心軸Cを中心として円周状に等しい角度間隔で配置されている。このため、シャフト1は全体としては中空状に形成されている。
また、柱状部4は全て同一形状に形成されており、断面が略矩形の板状に形成されている。具体的に説明すると、柱状部4は、シャフト1の外周面1aと同一面を成す側面4aと、シャフト1の径方向と平行に形成された側面4b、4c、4dによって囲まれた板状に形成され、その断面は全体として略台形に形成されている。ここで、側面4bは、時計回りに4つ隣りの柱状部4の側面4dと同一面を成しており、側面4dは、時計回りに6つ隣りの柱状部4の側面bと同一面を成している。したがって、側面4b、4dは他の柱状部4の側面4d、4bと同時に切削加工することができる。
なお、柱状部4の個数は10個に限定されるものではなく、複数(2個以上、好ましくは3個以上)で等配置されていればよい。ただし、柱状部4の個数が偶数であれば、中心軸Cを挟んで両側の柱状部4を同時に切削加工することができ、加工時間および加工費用を短縮することができる。
次に上記の如く構成されたシャフト1の製造方法について図4(a)〜図4(f)に従って説明する。図4(a)〜図4(f)はそれぞれ図3と同じ位置での断面であり、製造過程を順に示している。なお、以下は、鉛直下向きに取り付けられたエンドミル(不図示)によって切削加工を行うフライス盤(不図示)で加工する例で説明するが、切削装置の種類はこれに限定するものではなく、NCフライス盤、マシニングセンタ、ワイヤーカット、ウォータカット、レーザー加工などの他の切削装置を用いてもよい。
まず、図4(a)に示すように、一定径の円柱状に形成された金属材1´を用意し、切削装置(不図示)に横向きにセットする。
次に図4(b)に示すように、金属材1´の側面に切削加工を行う。切削加工は、金属材1´の外周面から金属材1´の中心軸Cを通り貫通するように行う。これにより、中心軸Cを通る直線上の切削開口Sが形成される。この切削加工を金属材1´の中心軸Cの方向に沿って、柱状部4の軸方向長さに相当する範囲で行う。
次に図4(c)に示すように、金属材1´を所定角度回転させて固定し、再び切削加工を行う。金属材1´を回転する角度は、柱状部4の個数によって決定し、本実施形態のように柱状部4が10個の場合は36度回転させる。回転後の切削加工は、回転前の切削加工と同様に、金属材1´の外周面から金属材1´の中心軸Cを通って貫通するように行い、さらに金属材1´の軸方向に沿って柱状部4に相当する範囲で行う。
同様の作業(すなわち、金属材1´を所定角度ずつ回転させ、切削加工する作業)を繰り返し行う。その結果、図4(d)に示すように、金属材1´は、複数の切削開口Sが金属材1´の中心軸Cで連通した状態になり、10個の扇状の柱状部4´が形成された状態になる。
次に図4(e)に示すように、扇状の柱状部4´の一部を切削加工する。具体的には、一方の側面4bと平行に(すなわち、金属材1´の径方向と平行な方向に)切削加工を行う。このとき、図面は省略するが、金属材1´の角度と位置を変えて固定し、切削加工を行う。これにより、柱状部4が形成される。
この作業(すなわち、金属材1´の角度と位置を変えて固定し、切削加工を行う作業)を柱状部4の数だけ行う。これにより、図4(f)に示すように、全ての柱状部4が加工され、シャフト1が製造される。
このように本実施の形態によれば、切削加工のみでシャフト1を製造することができる。したがって、上述したチタン合金のような難加工材料であっても、シャフト1を形状精度良く製造することができる。
次に上記の如く構成されたシャフト1の作用について説明する。
シャフト1は複数の柱状部4が同一形状で形成され、且つ、中心軸Cの周りに円周状に等間隔で配置されている。したがって、各柱状部4にかかる応力が均一になり、応力の偏りによる強度低下を防止することができる。
また、シャフト1は、シャフト1全体よりも径の小さい柱状部4によって連結されているので、ねじり剛性が低下する。なお、このような形状のシャフト1の強度とねじり剛性は、たとえば有限要素法を用いた解析方法、たとえばANSYS(登録商標)を用いることで確認することができる。
また、本実施の形態のシャフト1は軸端部2と柱状部4とが同一の金属材から成るので、強度やねじり剛性の算出が容易であり、シミュレーションの計算に適している。したがって、シミュレーション結果によって強度や低剛性を保障することができる。
なお、柱状部4の形状は上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な形状とすることが可能である。たとえば図4(d)に示したように扇状の柱状部4´としてもよい。ただし、図4(f)の柱状部4のような板状の方が、外周面4aの面積が小さくなり、シャフト部材10の強度が得られやすい。
また、図5(b)に示す形状の柱状部5としてもよい。図5(b)に示す柱状部5は、図4(d)に示した扇状の柱状部4´に対して、図5(a)に示すように、両側面5b、5cを金属材1´の径方向と平行に切削加工することによって形成される。このような形状の柱状部5は、径方向に沿って配置されているので、シャフト1をどちらの方向に回転させても同等の特性を得ることができる。
なお、上述した実施形態は、金属材1´を貫通する切削加工を繰り返し行ってシャフト1を製造したが、シャフト1の製造方法はこれに限定するものではなく、たとえば図6(a)〜図6(f)に示す第2の製造方法で製造してもよい。図6(a)〜図6(f)はそれぞれ、図4(a)〜図4(f)に対応しており、同じ操作については詳細な説明を省略する。
図6(a)では、先ず、一定径の円柱状に形成された金属材1´を切削装置(不図示)に横向きにセットしている。次に図6(b)において、金属材1´の側面に切削加工を行う。その際、第2の製造方法では、金属材1´の外周面から中心軸Cの近傍に向けて、中心軸Cと若干ずれた位置を(具体的には、中心軸Cを含むように)切削加工を行っている。これにより、金属材1´の外周面から中心軸C近傍までの直線状の切削開口Sが形成される。この切削加工を金属材1´の中心軸Cの方向に、柱状部4の軸方向長さに相当する範囲で行う。
次に図6(c)に示すように、金属材1´を所定角度回転させて固定し、再び切削加工を行う。この実施例では、柱状部4の個数が9個なので、40度回転させる。回転後の切削加工は、回転前の切削加工と同様に、金属材1´の外周面からの中心軸C近傍まで行い、これを金属材1´の軸方向に柱状部6に相当する範囲で行う。
同様の作業(すなわち、金属材1´を所定角度ずつ回転させ、切削加工する作業)を繰り返し行う。その結果、図6(d)に示すように、金属材1´は、複数の切削開口Sが金属材1´の中心軸Cで連通した状態になり、9個の扇状の柱状部6´が形成された状態になる。
次に図6(e)に示すように、扇状の柱状部6´の一部を切削加工する。具体的には、一方の側面6bと平行に(すなわち、金属材1´の径方向と平行な方向に)切削加工を行う。このとき、図面は省略するが、金属材1´の角度と位置を変えて固定し、切削加工を行う。これにより、柱状部6が形成される。
この作業(すなわち、金属材1´の角度と位置を変えて固定し、切削加工を行う作業)を柱状部6の数だけ行う。これにより、図6(f)に示すように、全ての柱状部6が形成され、シャフト1が製造される。
上述した工程から成る第2の製造方法によれば、切削加工を外周面から中心軸Cまで行うので、柱状部6の個数が奇数であっても製造することができる。
なお、上述した実施形態は、円柱状の金属材1´に切削加工を行うことによって、シャフト1を製造したが、これに限定するものではなく、たとえば円筒状の金属材が存在するのであれば、図7(a)や図7(b)に示すような形状のシャフト1を製造してもよい。図7(a)や図7(b)に示すシャフト1は、柱状部7が外周面7a、内周面7d、径方向の側面7b、7cによって形成されている。このような形状の柱状部7を有するシャフト1の場合も、十分な強度を維持しつつ、ねじり剛性を低下させることができる。
1 シャフト
2 軸端部
4 柱状部
10 エンジンベンチ
11 エンジン
20 ダイナモメータ
30 ダイナモメータ制御部
31 エンジン制御部
40 信号処理部
50 システム制御部

Claims (6)

  1. エンジンの出力軸と、該エンジンに負荷を与えるダイナモメータの回転軸とを連結し、前記出力軸と前記回転軸との間で動力を伝達するエンジン試験装置用シャフトにおいて、
    前記シャフトの両端に配置される一対の軸端部と、
    前記シャフトの中心軸を中心とする円周状に等間隔で配置されるとともに、前記一対の軸端部を連結する複数の同一形状の柱状部と、から成り、
    前記一対の軸端部と前記柱状部が一体であるとともに、前記複数の柱状部同士の間にはそれぞれ前記中心軸に連通する開口が形成されることを特徴とするエンジン試験装置用シャフト。
  2. 前記複数の柱状部は板状に形成され、前記シャフトの径方向に沿ってまたは前記径方向と平行に配置されることを特徴とする請求項1に記載のエンジン試験装置用シャフト。
  3. 前記軸端部と前記複数の柱状部は、円柱状または円筒状の金属材を切削加工することによって製造されることを特徴とする請求項1または2に記載のエンジン試験装置用シャフト。
  4. 円柱状の金属材に対して、該金属材の外周面から該金属材の内部に向けて切削加工を繰り返し行うことによって、
    両端に配置される一対の軸端部と、前記金属材の中心軸を中心とする円周状に等間隔で配置され、前記一対の軸端部を連結する複数の同一形状の柱状部と、から成り、前記複数の柱状部同士の間にはそれぞれ前記中心軸に連通する開口が形成されるエンジン試験装置用シャフトを製造することを特徴とするエンジン試験装置用シャフトの製造方法。
  5. 前記切削加工は、前記金属材の外周面から前記金属材の中心軸を通って貫通するように行うことを特徴とする請求項4に記載のエンジン試験装置用シャフトの製造方法。
  6. 前記切削加工は、前記金属材の径方向に対して傾斜した方向に行うことを特徴とする請求項4または5に記載のエンジン試験装置用シャフトの製造方法。
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