上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機に適用した実施例について説明する。
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には円形状の窓部4aが形成されている。この窓部4aにはガラス板等の透明板が嵌め込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。前面枠4の下方には上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図6参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。上皿部5の左部にはスピーカー5yが設けられている。また、上皿5の前面側中央には、演出ボタンBTが設けられている。遊技者は、演出ボタンBTを操作することによって、遊技演出の進行に介入することが可能となっている。
下皿部6には、パチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。上述した発射装置ユニット12から発射された遊技球は、外レール14と内レール15との間を通って遊技領域11に放出され、遊技領域11の上方から下方に向かって流下する。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられ、遊技領域11の下方部分には変動入賞装置18が設けられ、中央装置26と変動入賞装置18との間には始動口ユニット17が設けられている。後述するように始動口ユニット17は、始動口と、該始動口の両側に設けられた一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の入球口となっている。始動口ユニット17の詳細な構成については、別図を用いて後述する。
中央装置26のほぼ中央には、演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は液晶表示器によって構成されており、その表示画面上では、識別図柄や背景図柄などの種々の演出図柄を変動表示した後に停止表示することが可能となっている。演出表示装置27の表示画面上で表示される各種の演出図柄については後述する。
演出表示装置27の左斜め下方には図柄表示装置28が設けられている。図柄表示装置28では、普通図柄や特別図柄(本発明における「図柄」)を変動停止表示することが可能となっている。図柄表示装置28の詳細な構成については後述する。尚、以下では、特別図柄を単に「特図」と略記することがあるものとする。
遊技領域11の左側および右側には、普通図柄作動左ゲート36と普通図柄作動右ゲート37とが設けられており、これらのゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36s,37sがそれぞれ設けられている。更に、左右の普通図柄作動ゲート36,37と中央装置26との間には、ランプ風車24,25が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
中央装置26の下方に設けられた変動入賞装置18には、ほぼ中央に大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開放する大入賞口31dや、大入賞口31dを開閉させる開閉部材31e、開閉部材31eを動作させる大入賞口ソレノイド31m(図6参照)などから構成されている。後述する所定の条件が成立すると、大入賞装置31が作動を開始して大入賞口ソレノイド31mにより開閉部材31eが開動作され、大入賞口31dが開放状態となる。この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球することとなって、遊技者にとって有利な大当り遊技(特別遊技)が開始される。また、大入賞口31dの内部には大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能である。遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。
図3は、本実施例のパチンコ機1に搭載された図柄表示装置28の構成を示す説明図である。図3に示されているように、本実施例の図柄表示装置28は、略矩形の領域内に12個の小さな発光ダイオード(LED)が組み込まれて構成されている。これら12個のLEDのうちの、3個のLEDは普通図柄表示部29を構成しており、残りの9個のLEDは特別図柄表示部30を構成している。更に、普通図柄表示部29は、普通図柄を表示するための1個のLED(以下、普通図柄LED29aと呼ぶ)と、普通図柄の保留数を表示するための2個のLED(以下、普図保留表示LED29bと呼ぶ)とから構成されている。また、特別図柄表示部30は、特別図柄を表示するための7個のLED(以下、特別図柄LED30aと呼ぶ)と、特別図柄の保留数を表示するための2個のLED(以下、特図保留表示LED30bと呼ぶ)とから構成されている。尚、以下では、特別図柄の保留を「特図保留」と呼び、特別図柄の保留数を「特図保留数」と呼ぶことがあるものとする。また、特図保留は、本発明における「保留情報」に対応している。
図4は、本実施例のパチンコ機1に搭載された演出表示装置27の画面構成を示す説明図である。前述したように、演出表示装置27は液晶表示器を用いて構成されており、その表示画面上には、3つの識別図柄27a,27b,27cと、その背景の背景図柄27dが表示されている。3つの識別図柄27a,27b,27cは、特別図柄表示部30における特別図柄の変動表示の開始タイミングと同期して変動表示を開始し、その後、特別図柄の変動時間が経過するまで種々の態様で変動表示を行う。そして、特別図柄の変動表示の終了タイミング(特別図柄の停止表示)と同期して3つの識別図柄27a,27b,27cの変動表示が終了する。この3つの識別図柄27a,27b,27cの変動表示および停止表示によって図柄変動演出が実現される。尚、3つの識別図柄27a,27b,27cは、本発明における「演出図柄」に対応している。また、演出表示装置27の表示画面上において3つの識別図柄27a,27b,27cが変動表示される領域や背景図柄27dが表示される領域は、本発明における「演出図柄表示部」に対応している。
演出表示装置27の表示画面下部には、特図保留に関する情報を表示する特図保留表示領域27eが設けられている。特図保留表示領域27eでは、それぞれの領域に表示される保留図柄の数によって特図保留数が示されている。図4では、特図保留表示領域27eに4個の保留図柄が表示されていることから、特図保留数が4個であることが示されている。尚、演出表示装置27の表示画面上における特図保留表示領域27eと、特図保留表示領域27eの表示制御(保留表示処理)を行う後述のサブ制御基板220のCPU221は、本発明の「保留表示手段」に対応している。
図5は、本実施例のパチンコ機1に搭載された始動口ユニット17の構成を示す説明図である。前述したように始動口ユニット17は、始動口17aと、始動口17aの両側に設けられた一対の翼片部17wを有しており、これにより、始動口17aは開閉式(チューリップ式)の入球口として構成されている。一対の翼片17wは、ほぼ直立した閉鎖状態(図5(a)参照)と、外側に向かって回転した開放状態(図5(b)参照)との2つの状態を取ることが可能である。図5(a)に示すように、一対の翼片17wがほぼ直立した状態では、遊技球はほぼ垂直上方からしか始動口17aに入球することができず、始動口17aへの遊技球の入球が比較的困難な状態である。これに対して、図5(b)に示したように、一対の翼片部17wが外側に開いた開放状態では、遊技球は斜め上方からも始動口17aに入球することが可能であり、閉鎖状態に比して始動口17aへの遊技球の入球が容易な状態である。始動口17aに入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤10の裏面側に導かれる。始動口17aの内部の通路の途中には始動口スイッチ17sが設けられており、始動口17aに入球した遊技球は始動口スイッチ17sによって検出されるようになっている。尚、始動口スイッチ17sは、本発明の「始動検知部材」に対応している。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図6は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、演出図柄やランプや効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御の下で演出表示装置27の具体的な制御を行う演出制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAMなど、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。尚、図6中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。また、図6では、各制御基板に搭載された構成としては、主制御基板200に搭載されたCPU201やROM202、RAM203、サブ制御基板220に搭載されたCPU221、ROM222、RAM223、演出制御基板230に搭載されたCPU231、ROM232、RAM233、画像ROM234のみが図示されている。
主制御基板200は、始動口スイッチ17sや、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36s,37sなどから遊技球の検出信号の入力があると、その検知信号の入力のあったスイッチに応じて定められる各種動作を指令するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって送信する。また、主制御基板200には、始動口ユニット17の始動口17aに設けられた一対の翼片部17wを開閉させるための始動口ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、図柄表示装置28が中継端子板を介して接続されており、これら各種ソレノイド17m,31m、図柄表示装置28に向かって駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御も行う。
サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、前述した演出表示装置27の表示制御を行う演出制御基板230に対して表示内容を指定するコマンドを送信したり、スピーカー5yを駆動するアンプ基板224、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板226に駆動信号を送信したりすることにより、遊技の演出を行う。また、サブ制御基板220は、演出ボタン基板228を介して演出ボタンBTが操作されたことを検出すると、該操作に対応する内容で上述のような遊技の演出を行う。
演出制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、画像ROM234やVDP(図示せず)を備えている。演出制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からの制御コマンド(表示制御コマンド)を受信すると、その受信したコマンドに対応する制御プログラムをROM232から読み出して、RAM233をワークエリアとして用いながら、演出画像を演出表示装置27の表示画面に表示するための制御を行う。画像ROM234には、図柄変動演出や大当り遊技演出など種々の遊技演出に対応する演出画像のデータ(例えば、所定のキャラクタに対応する画像を表示するためのスプライトデータや動画データなど)が格納されている。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータを通信しながら、貸球の払い出しを行う。また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを送信すると、このコマンドを払出制御基板240が受信して、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
B.遊技の概要 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左右に設けられた普通図柄作動左ゲート36、普通図柄作動右ゲート37の何れかを通過すると、演出表示装置27の左下方に設けられた図柄表示装置28において普通図柄の変動表示が開始される。図4を用いて前述したように、図柄表示装置28には普通図柄表示部29が設けられており、普通図柄表示部29には、普通図柄LED29aおよび普図保留表示LED29bが搭載されている。このうち、普通図柄LED29aを用いて普通図柄の変動表示を行う。
図7(a)は、普通図柄が変動表示する様子を概念的に示した説明図である。本実施例のパチンコ機1では、普通図柄LED29aの点滅を繰り返すことによって、普通図柄の変動表示を行う。図7では、普通図柄LED29aが点灯している状態を放射状の実線で表し、消灯している状態を破線で表している。そして、予め定められた時間だけ点滅を繰り返した後、普通図柄LED29aが点灯状態で停止した場合には、普通図柄の当りとなって、始動口17aが所定の開放時間だけ開放状態となる。逆に、消灯状態で停止した場合には普通図柄の外れとなって、始動口17aが開放することはない。また、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動左ゲート36または普通図柄作動右ゲート37を通過した場合は、この遊技球の通過が普通図柄の保留(普図保留)としてRAM203の記憶領域(普図保留記憶領域)に記憶され、現在の普通図柄の変動表示が終了した後に、その普図保留に基づき変動表示が行われる。普図保留は最大4個まで記憶可能となっており、記憶されている普通図柄の保留数(普図保留数)は、普図保留表示LED29bによって表示される。
図7(b)は、図柄表示装置28に設けられた普図保留表示LED29bによって普図保留数が表示される様子を示した説明図である。普図保留が無い場合(すなわち、普図保留が0個の場合)は、2個の普図保留表示LED29bは何れも消灯している。普図保留が1個の場合は、向かって左側の普図保留表示LED29bは消灯したままで、右側の普図保留表示LED29bが点灯する。普図保留が2個になると、右側の普図保留表示LED29bに加えて左側の普図保留表示LED29bが点灯する。次いで、普図保留が3個になると、右側の普図保留表示LED29bが点滅し、左側の普図保留表示LED29bが点灯する。更に普図保留が増加して上限値である4個になると、左右の普図保留表示LED29bが点滅した状態となる。このように普通図柄表示部29では、2個の普図保留表示LED29bを点灯、消灯、あるいは点滅させることによって、0個から4個までの普図保留数を表示することができる。
また、図3を用いて前述したように、図柄表示装置28には、特別図柄表示部30が設けられており、特別図柄を変動表示可能となっている。特別図柄は、始動口17aに遊技球が入球すると変動表示を開始する。
図8は、特別図柄の停止表示態様を概念的に示した説明図である。図3を用いて前述したように、特別図柄表示部30は7個のLEDによって構成されており、これらを点灯させることによって特別図柄を表示する。図8に示されているように、本実施例のパチンコ機1では、特別図柄の停止図柄として、6通りの大当り図柄(A、B、C、D、E、F)と、2通りの小当り図柄、2通りの外れ図柄の合計で10通りの図柄が設けられている。図柄表示装置28の特別図柄表示部30では、7個のLED(特別図柄LED30a)を所定の変動時間にわたって点滅させることによって特別図柄の変動表示を行い、その変動時間が経過すると、いずれかの停止図柄を停止表示する。そして、大当り図柄A〜Fの何れかが停止表示されると、大入賞口31dが開放状態となる大当り遊技が開始される。また、何れかの小当り図柄が停止表示されると、大入賞口31dが大当り遊技よりも短い時間だけ開放する小当り遊技が開始される。
また、始動口17aへの遊技球の入球は、該入球を契機とする特別図柄の変動表示が開始されるまで、特別図柄の保留(特図保留)としてRAM203の記憶領域(特図保留記憶領域)に記憶される。特図保留は最大4個まで記憶可能となっており、その個数(特図保留数)は、特図保留表示LED30bに表示されるとともに演出表示装置27の表示画面上に設けられた特図保留表示領域27eに表示される。特図保留表示LED30bを用いて特別図柄の保留数を表示する態様は、図7(a)に示した普図保留表示LED29bによる普通図柄の保留数表示と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、特図保留表示領域27eを用いて特別図柄の保留数を表示する態様については後述する。
特別図柄の変動表示および停止表示に合わせて、演出表示装置27では演出図柄(識別図柄27a,27b,27cや背景図柄27dなど)を用いた各種の演出(図柄変動演出)が行われる。図9は、演出表示装置27で行われる演出の一態様を例示した説明図である。演出表示装置27を構成する液晶表示画面には、3つの識別図柄27a,27b,27cが表示されている。図柄表示装置28で特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置27においても3つの識別図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示を開始する。本実施例では、識別図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄が用意されている。
図9(a)には、3つの識別図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左識別図柄27aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次いで、右識別図柄27cが停止表示され、最後に中識別図柄27bが停止表示される。これら演出表示装置27で停止表示される3つの識別図柄27a,27b,27cの組合せは、前述した図柄表示装置28で停止表示される特別図柄の停止表示態様と連動するように構成されている。例えば、特別図柄が「大当り図柄」で停止する場合は、演出表示装置27の3つの識別図柄27a,27b,27cが同じ図柄となる図柄組合せ(ゾロ目)で停止表示される。また、特別図柄が「小当り図柄」あるいは「外れ図柄」で停止する場合は、3つの識別図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない図柄組合せ(バラケ目)で停止表示される。
このように、図柄表示装置28で表示される特別図柄と、演出表示装置27で表示される3つの識別図柄27a,27b,27cとは、表示内容が互いに対応(連動)しており、変動表示中の特別図柄が停止表示する際には、3つの識別図柄27a,27b,27cも停止表示するようになっている。しかも、図2に示すように、演出表示装置27は、図柄表示装置28よりも目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置27の画面を見ながら遊技を行うことが通常である。従って、演出表示装置27の表示画面上で初めに停止表示される左識別図柄27aと、続いて停止表示される右識別図柄27cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中識別図柄27bも同じ図柄で停止して、いわゆる大当り遊技が開始されるのではないかと、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように、2つの識別図柄を同じ図柄(大当り図柄となり得る態様)で停止させて最後の識別図柄を変動表示させた状態で行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれおり、このリーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることが可能となっている。
C.パチンコ機の制御内容 :
C−1.遊技制御処理 :
図10は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。尚、主制御基板200のCPU201は、本発明の「遊技制御手段」に対応している。
図10に示すように、遊技制御処理では、「賞球関連処理」「普通図柄遊技処理」「始動口復帰処理」「特図保留関連処理」「特別図柄遊技処理」「大当り遊技処理」「小当り遊技処理」などの各処理が繰り返し実行されている。CPU201は、所定周期毎に発生するタイマ割り込みに基づき遊技制御処理を行うように構成されており、本実施例では、4msec毎にタイマ割り込みが発生するものとなっている。つまり、図10に示す遊技制御処理は、CPU201における4msec毎のタイマ割り込み処理として実行される。そして、遊技制御処理内の各処理で、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて、主制御基板200から各種コマンドを送信する。こうすることにより、パチンコ機1全体の遊技が進行するとともに、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われることになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
CPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S50)。この処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチのうち、遊技球の入賞に関わるスイッチ(始動口スイッチ17sや、大入賞口スイッチ31sなど)について、遊技球が入球したか否かを検出する。そして、遊技球の入球が検出された場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって賞球数指定コマンドを送信する。払出制御基板240は、主制御基板200から送信された賞球数指定コマンドを受信するとコマンドの内容を解釈し、その結果に従って、払出装置(図示せず)に搭載された払出モータ109mに駆動信号を送信することにより、実際に賞球を払い出す処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、賞球関連処理(S50)に続いて、普通図柄遊技処理を行うか否かを判断する(S100)。この判断は、始動口17aが開放状態であるか否かを検出することによって行う。始動口17aが開放状態でなければ普通図柄遊技処理を行うものと判断し(S100:yes)、始動口17aが開放状態であれば普通図柄遊技処理は行わないものと判断する(S100:no)。そして、普通図柄遊技処理を行うと判断した場合は(S100:yes)、以下に説明する普通図柄遊技処理を行う(S150)。これに対して、普通図柄遊技処理を行わないと判断した場合は(S100:no)、普通図柄遊技処理(S150)は省略する。
普通図柄遊技処理(S150)では、主に次のような処理を行う。先ず、普通図柄の保留(普図保留)が存在するか否か(「0」であるか否か)を判定し、普図保留が存在する場合には普通図柄の当り判定を行う。ここで、普図保留は、遊技球が普通図柄作動ゲート36,37を通過することにより取得される普図当り判定乱数を記憶するものであり、本実施例では、その保留数の上限値を「4」としている。そして、普通図柄の当り判定の結果に基づき、普通図柄を当り図柄(図7(a)参照)で停止表示させるか、外れ図柄で停止表示させるかを決定する。続いて、普通図柄の変動表示時間を設定した後、普通図柄の変動表示を開始し、その後、変動表示時間が経過すると、決定しておいた図柄で普通図柄を停止表示させる。このとき、普通図柄の当り図柄が停止表示された場合には、始動口ソレノイド17mを作動させて、始動口17aに設けられた翼片17wを両側に回動させることにより、始動口17aを開放状態とする(図5(b)参照)。
以上のようにして普通図柄遊技処理を終了したら、始動口17aが開放状態であるか否かを判断する(S190)。そして、開放状態である場合は(S190:yes)、始動口17aを開放状態から閉鎖状態にするための処理(始動口復帰処理)を行う(S200)。一方、始動口17aが開放状態でない場合は(S190:no)、始動口復帰処理を行う必要はないので省略する。
始動口復帰処理(S200)では、次の何れかの条件が満足された場合、すなわち、始動口17aの開放時間が経過したか、若しくは、始動口17aに規定数の遊技球が入球したかの何れかの条件が成立したか否かを判断し、何れかの条件(始動口開放終了条件)が成立した場合に、開放状態の始動口17aを閉鎖状態に復帰させる処理を行う。一方、始動口17aの開放時間が経過しておらず、始動口17aへの入球数も規定数に達していない場合(始動口開放終了条件が成立していない場合)は、始動口17aを開放状態としたまま、始動口復帰処理(S200)を終了する。
ここで、本実施例のパチンコ機1の遊技状態は、大別すると、大当り判定の結果が大当りとなる確率(大当り確率)の設定状況と、始動口17aが開放状態になる際の開放時間の設定状況とに基づき決定される。このうち、始動口17aの開放時間の設定状況に基づく遊技状態として「開放延長状態」と「非開放延長状態」の何れかに設定される。「開放延長状態」は「非開放延長状態」に比べ、普通図柄の当り判定の結果が「当り」となる確率(普図当り確率)が高く、普通図柄の変動表示時間(普図変動時間)が短く、始動口17aの開放時間が長く設定される。従って、開放延長状態は、非開放延長状態と比較して、始動口17aが頻繁に開放状態になるとともに該開放状態にある期間が長くなるので、始動口17aへの遊技球の入球可能性が高くなる。詳しくは後述するが、このような構成を実現するために、本実施例のパチンコ1では、遊技状態が「開放延長状態」に設定されている場合は「開放延長フラグ」および「変動短縮フラグ」がONに設定され、遊技状態が「非開放延長状態」に設定されている場合はこれらのフラグがOFFに設定される。そして、主制御基板200のCPU201は、「変動短縮フラグ」がONに設定されていることに基づき、普図当り確率を高確率(例えば「99/100」)、普図変動時間を短時間(例えば「1秒」)にそれぞれ設定し、「開放延長フラグ」がONに設定されていることに基づき、始動口17aの開放時間を長時間(例えば「1.5秒×3回開放=4.5秒」)に設定する。一方、主制御基板200のCPU201は、変動短縮フラグがOFFに設定されていることに基づき、普図当り確率を低確率(例えば「2/100」)、普図変動時間を長時間(例えば「20秒」)にそれぞれ設定し、開放延長フラグがOFFに設定されていることに基づき、始動口17aの開放時間を短時間(例えば「0.1秒×3回開放=0.3秒」)に設定する。尚、変動短縮フラグおよび開放延長フラグは、同じタイミングでONあるいはOFFに設定されるので、何れか一方のフラグのみを設定して、該一方のフラグを他方のフラグに代えて利用する構成としてもよい。
C−2.特図保留関連処理 :
図11は、特図保留関連処理を示すフローチャートである。特図保留関連処理(S250)では、本発明の「保留発生時処理」に対応する処理が行われる。具体的には、先ず、始動口17aに遊技球が入球したか否かを判断する(S252)。その結果、始動口17aに遊技球が入球した場合は(S252:yes)、特別図柄の保留数(特図保留数)が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断する(S254)。そして、特図保留数が上限値に達していなければ(S254:no)、判定乱数を取得する(S256)。ここで、判定乱数としては、後述する大当り判定を行うために用いられる大当り判定乱数や、図柄表示装置28で停止表示する図柄を決定するために用いられる大当り図柄決定乱数(大当り図柄決定乱数、外れ図柄決定乱数)、特別図柄の変動表示に連動して演出表示装置27で行われる演出として前述したリーチ演出を行うか否かを決定するためのリーチ決定乱数などの乱数を取得する。続いて、取得した判定乱数を、主制御基板200に搭載されたRAM203(特図保留記憶領域)に特図保留として記憶する(S258)。こうして、特図保留を記憶したら(S258)、特図保留数に「1」を加算する(S260)。
次に、今回記憶した特図保留の判定を行う(S262)。このS262の判定は、特別図柄の変動開始時に行われる大当り判定(当否判定)や変動パターンの選択に先立って行われるもので、いわゆる「保留先読み」と呼ばれる判定に該当する。以下では、このS262の判定を「事前判定」という。本実施例の事前判定では、S258の処理で記憶した特図保留に基づく特別図柄の変動表示の結果として停止表示される図柄の種類(大当り判定の結果)や、その変動表示の開始から終了(停止表示)までの間に行われる演出の態様等についての判定を行う。例えば、S258の処理で記憶した特図保留が、大当り図柄の停止表示を発生させることとなる「大当り保留」であるか否かを判定したり、演出表示装置27でリーチ演出を発生させる「リーチ保留」であるか否かを判定したりする。これらの判定は、S258の処理において特図保留として記憶された判定乱数のうち、大当り判定乱数およびリーチ決定乱数に基づいて行われる。こうして、今回記憶した特図保留について事前判定を行ったら、次に説明する「保留発生時コマンドをサブ制御基板220に向けて送信するための処理」を行う。
この処理では、先ず、現在の状態、すなわち「特図保留の記憶時(発生時)の状態」が「特別図柄の変動表示」を開始可能な状態にあるか否かを判断する(S264)。すなわち、今回のタイマ割り込みで実行される1回の遊技制御処理において、特図保留の記憶(発生)だけでなく(S252:yes、S254:no)、特別図柄の変動表示も開始されるか否かを判断する。つまり、「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」が1回(同一)の遊技制御処理(タイマ割り込み処理)で発生するか否かを判断する。
特別図柄が変動表示を開始できるのは、特別図柄の変動表示が完了しており、且つ、特図保留が記憶されている場合である。つまり、特別図柄の変動表示時間(変動時間)が経過していない変動表示時間中や、特別図柄の停止表示時間(図12のS318参照)が経過していない停止表示時間中は、いずれも特別図柄の変動表示が完了していない状態となるので、次の変動表示を開始することができない状態となる。S264の処理では、そのような特別図柄の変動表示状況や特図保留状況に基づき「特別図柄変動開始条件」の成立有無を判断して、「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」が1回の遊技制御処理で発生するか否かを判断する。
その結果、「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」が同一の遊技制御処理で発生しない場合、すなわち、1回の遊技制御処理で「特図保留の記憶」のみが発生する場合は(S264:no)、第1保留発生時コマンドを主制御基板200からサブ制御基板220に向かって送信する(S266)。第1保留発生時コマンドには、1回の遊技制御処理において特図保留の記憶のみが発生したことを示す情報、今回記憶した特図保留を含む現在の特図保留数(加算後保留数)を示す情報、今回記憶した特図保留に係る上述の事前判定の結果(大当り保留か否か、リーチ保留か否か等)を示す情報が含まれている。第1保留発生時コマンドを送信したら(S266)、特図保留関連処理を終了して、図10に示す遊技制御処理に復帰する。尚、第1保留発生時コマンドに含まれる各情報を、それぞれ別のコマンドで送信するようにしてもよい。
一方、「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」が1回の遊技制御処理で発生する場合は(S264:yes)、同時発生フラグをONに設定する(S268)。同時発生フラグは、「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」が1回の遊技制御処理で発生することを示すフラグであって、主制御基板200に搭載されているRAM203の所定アドレスにその記憶領域が確保されている。続いて、第2保留発生時コマンドを主制御基板200からサブ制御基板220に向かって送信する(S270)。第2保留発生時コマンドには、「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」が1回の遊技制御処理で発生することを示す情報、今回記憶した特図保留を含む現在の特図保留数(加算後保留数)を示す情報、今回記憶した特図保留に係る上述の事前判定の結果(大当り保留か否か、リーチ保留か否か等)を示す情報が含まれている。第2保留発生時コマンドを送信したら(S270)、特図保留関連処理を終了して、図10に示す遊技制御処理に復帰する。尚、第2保留発生時コマンドに含まれる各情報を、それぞれ別のコマンドで送信するようにしてもよい。
一方、始動口17aに遊技球が入球していない場合や(S252:no)、特図保留数が上限値(ここでは「4」)に達していた場合は(S254:yes)、判定乱数を取得したり、判定乱数を特図保留として記憶したり、事前判定を行ったり、保留発生時コマンドを送信したりする一連の処理(S256〜S270)は省略する。
以上のように、特図保留関連処理では、始動口17aに遊技球が入球したときに特図保留数が上限値に達していなければ、判定乱数を取得して特図保留として記憶して、特図保留数を加算する。また、特図保留について事前判定(保留先読み)を行って、その結果を示す情報を含む保留発生時コマンドをサブ制御基板220に向かって送信する。保留発生時コマンドとしては、1回の遊技制御処理で「特図保留の記憶」のみが発生する場合には「第1保留発生時コマンド」を送信し、「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」の両方が1回の遊技制御処理で発生する場合には「第2保留発生時コマンド」を送信する。このように「第1保留発生時コマンド」または「第2保留発生時コマンド」を送信する理由については、後に詳しく説明する。特図保留関連処理を終了したら図10の遊技制御処理に復帰して、続く特別図柄遊技処理(S300)を開始する。
C−3.特別図柄遊技処理 :
図12および図13は、特別図柄遊技処理を示したフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、特別図柄遊技処理を開始すると、大当り遊技中であるか否かを判断する(S302)。そして、大当り遊技中であった場合は(S302:yes)、そのまま特別遊技処理を終了して、図10に示す遊技制御処理に復帰する。これに対して、大当り遊技中でなかった場合は(S302:no)、特別図柄が変動表示中か否かを判断する(S304)。
特別図柄が変動表示中でない場合は(S304:no)、特別図柄を停止図柄で表示させる時間(特別図柄の停止表示時間)中であるか否かを判断する(S306)。すなわち、特別図柄の変動表示が終了してから暫くの期間は、変動表示の終了に伴い停止表示された図柄を遊技者が確認するための確認時間として停止表示時間が設けられているので、この停止表示時間中か否かを判断する。その結果、特別図柄が変動表示しておらず且つ特別図柄の停止表示時間も経過していることが確認された場合は(S306:no)、特別図柄の変動表示を開始するための処理(特図変動表示処理)を開始する(S310)。
図14は特図変動表示処理の前半部分を示したフローチャートであり、図15は特図変動表示処理の後半部分を示したフローチャートである。特図変動表示処理では、本発明の「変動開始時処理」に対応する処理が行われる。図示されるように、特図変動表示処理では、先ず、特図保留数が「0」であるか否かを判断する(S3100)。その結果、特図保留数が「0」でなければ(特図保留数≧1)、記憶されている特図保留の中から最も古くに記憶された特図保留を読み出す(S3102)。このS3102の処理では、特図保留として記憶されている各種の判定乱数を読み出す。
これに対して、特図保留数が「0」である場合は(S3100:yes)、特図保留が記憶されていないと判断されるので、後述の大当り判定や特別図柄の変動表示を開始する必要はない。そこで、図14および図15の特図変動表示処理を終了して、図12および図13に示した特別図柄遊技処理に復帰する。
以上のようにして特図保留を読み出したら(S3102)、高確フラグがONに設定されているか否かを判断する(S3104)。ここで、本実施例のパチンコ機1の遊技状態は、前述した「開放延長状態」あるいは「非開放延長状態」の何れかに設定されるとともに、特別図柄が大当り図柄で停止表示する確率(特図当り確率もしくは大当り確率)の高い「高確率状態」あるいは該確率が高確率状態より低い「低確率状態」の何れかに設定される。高確フラグとは、高確率状態(確変機能が作動した状態)を設定するときにONに設定されるフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスが、高確フラグとして割り当てられている。主制御基板200のCPU201は、高確フラグの設定状況に基づき現在の遊技状態が高確率状態か否かを判断する。S3104の結果、高確フラグがONに設定されていれば(S3104:yes)、高確率用の大当り判定テーブルを選択し(S3106)、高確フラグがONに設定されていなければ(S3104:no)、低確率用の大当り判定テーブルを選択する(S3108)。大当り判定テーブルとは、大当り判定乱数の値に対応付けて「大当り」または「外れ」の判定結果が設定されているテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
図16は、本実施例のパチンコ機1に記憶されている大当り判定テーブルを例示した説明図である。図16(a)には低確率用の大当り判定テーブルが示されており、図16(b)には高確率用の大当り判定テーブルが示されている。図16(a)に示すように、低確率用の大当り判定テーブルには、「0」〜「599」の大当り判定乱数の値のうち「13」〜「14」の値に対して「大当り」の判定結果が設定されている。また、図16(b)に示すように、高確率用の大当り判定テーブルには、「0」〜「599」の大当り判定乱数の値のうち「13」〜「32」の値に対して「大当り」の判定結果が設定されている。
図16(a)と図16(b)とを比較すれば明らかなように、図16(b)に示した高確率用の大当り判定テーブルは、図16(a)に示した低確率用の大当り判定テーブルよりも多くの乱数値に「大当り」の判定結果が設定されている。換言すれば、高確率用の大当り判定テーブルには、低確率用の大当り判定テーブルよりも多くの「大当りの判定結果が得られる乱数値(大当り値)」が設定されていることになる。従って、図16(b)の高確率用の大当り判定テーブルを用いて大当り判定を行った場合には、図16(a)の低確率用の大当り判定テーブルを用いて大当り判定を行った場合よりも、高確率で「大当り」の判定結果が得られることになる。
続いて、図14の特図変動表示処理では、S3106またはS3108の処理で選択した大当り判定テーブルを参照して、特図保留として読み出した大当り判定乱数の値が「大当り」に対応する値(大当り値)か否かを判断する(S3110)。つまり、今回の大当り判定の結果が大当りか否かを判断する。その結果、大当り判定の結果が大当りであると判断された場合には(S3110:yes)、大当り図柄を決定するための処理(大当り図柄決定処理)を行う。この処理では、S3102で特図保留として読み出した判定乱数のうち大当り図柄決定乱数を用いて、その大当り図柄決定乱数に対応する大当り図柄を、大当り図柄決定テーブルを参照して決定する(S3112)。
図17は、大当り図柄決定テーブルを概念的に示した説明図である。大当り図柄決定テーブルは、大当り図柄決定乱数に対応付けて複数の大当り図柄(停止図柄)が設定されているテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。図8を用いて前述したように、本実施例のパチンコ機1には、大当り判定の結果が大当りである場合に停止表示する可能性のある大当り図柄として、6種類の大当り図柄「A」〜「F」が設定されている。大当り図柄決定テーブルには、図に示すように、「0〜99」の100個の大当り図柄決定乱数が設定されており、なかでも大当り図柄決定乱数「0〜29」(100分の30=30%)に対応して大当り図柄「A」が設定されている。また、大当り図柄決定乱数「30〜39」(100分の10=10%)に対応して大当り図柄「B」が設定され、大当り図柄決定乱数「40〜59」(100分の20=20%)に対応して大当り図柄「C」が設定され、大当り図柄決定乱数「60〜64」(100分の5=5%)に対応して大当り図柄「D」が設定され、大当り図柄決定乱数「65〜89」(100分の25=25%)に対応して大当り図柄「E」が設定され、大当り図柄決定乱数「90〜99」(100分の10=10%)に対応して大当り図柄「F」が設定されている。S3106の処理では、このような大当り図柄決定テーブルを参照して大当り図柄決定乱数に対応する大当り図柄を決定する。このように、大当り当選が発生すると、大当り図柄は、30%の確率で大当り図柄「A」に決定され、10%の確率で大当り図柄「B」に決定され、20%の確率で大当り図柄「C」に決定され、5%の確率で大当り図柄「D」に決定され、25%の確率で大当り図柄「E」に決定され、10%の確率で大当り図柄「F」に決定される。
こうして大当り図柄を決定したら(S3112)、該決定した大当り図柄を停止表示させる図柄(停止図柄)として記憶した後(S3114)、大当り変動パターンテーブルを選択する処理(大当り変動パターンテーブル選択処理)を行う(S3130)。ここで、変動パターンテーブルとは、図柄表示装置28で特別図柄の変動表示を開始してから停止表示させるまでの変動パターンを決定するために参照されるテーブルである。そのなかでも、大当り変動パターンテーブルとは、特別図柄を大当り図柄で停止表示させるまでの変動パターン(大当り変動パターン)を決定するために参照されるテーブルである。尚、特別図柄を変動表示させる態様は、実際には図8に示した複数種類の表示態様を次々と切り換えながら表示するだけなので、特別図柄の変動パターンは、実質的には、特別図柄を変動表示させる時間に対応している。もっとも、前述したように本実施例のパチンコ機1では、図柄表示装置28で行われる特別図柄の変動表示と、演出表示装置27で行われる識別図柄27a,27b,27cの変動表示とは互いに連動していることから、特別図柄の変動パターンを決定すると、識別図柄27a,27b,27cが変動表示される時間が決定される。そして、サブ制御基板220のCPU221は、その変動表示の時間の範囲内で、演出表示装置27の画面上で識別図柄27a,27b,27cを変動表示させる図柄変動演出の内容を決定するようになっている。
図18は、大当り変動パターンテーブル選択処理を示すフローチャートである。大当り変動パターンテーブル選択処理を開始すると、先ず初めに、高確フラグがONに設定されているか否か(高確率状態に設定されているか否か)を判断する(S3200)。その結果、高確フラグがONに設定されている場合は(S3200:yes)、遊技状態が高確率状態に設定されている場合の大当り当選用の変動パターンテーブルである「大当り高確率用変動パターンテーブル」を選択する(S3206)。一方、高確フラグがONに設定されていない場合は、遊技状態が低確率状態に設定されている場合の大当り当選用の変動パターンテーブルである「大当り低確率用変動パターンテーブル」を選択する(S3204)。尚、これらの変動パターンテーブルについては後述する。
図19は、上述した大当り当選用の変動パターンテーブルを例示した説明図である。図19(a)は、大当り高確率用変動パターンテーブルを例示した説明図であり、図19(b)は、大当り低確率用変動パターンテーブルを例示した説明図である。図示されるように、変動パターンテーブルには、変動パターン決定乱数に対応付けて複数種類の変動パターン識別情報が設定されている。変動パターン識別情報は、主制御基板200に搭載されているCPU201や、サブ制御基板220に搭載されているCPU221が、変動パターンの種類を識別するための情報である。この変動パターン識別情報には、特別図柄の変動時間(つまり、演出表示装置27で行われる図柄変動演出の時間)が対応付けられている。前述のとおり、大当り変動パターンテーブル選択処理では、大当り低確率用変動パターンテーブルまたは大当り高確率用変動パターンテーブルが遊技状態に応じて選択される。尚、変動パターンテーブルは、主制御基板200に搭載されたROM202に予め記憶されている。
こうして変動パターンテーブルを選択したら、図15のS3148の処理に移行し、変動パターン決定乱数を取得する(S3148)。そして、取得した変動パターン決定乱数を用いて、先に選択した変動パターンテーブルを参照することにより、変動パターンを決定する(S3150)。続いて、決定した変動パターンの変動時間を所定のタイマ(変動時間計測タイマ)に設定して、図柄表示装置28で特別図柄の変動表示を開始した後(S3154)、特図保留数から「1」を減算する(S3156)。尚、変動時間計測タイマは、特別図柄の変動表示の開始に伴い作動を開始する。
こうして特図保留数から「1」を減算したら(S3156)、次に説明する「変動開始時コマンドをサブ制御基板220に向けて送信するための処理」を行う。この処理では、先ず、同時発生フラグがONに設定されているか否かを判断する(S3160)。前述したように、同時発生フラグは、「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」が1回の遊技制御処理で発生することを示すフラグである。このS3160の処理の段階で「同時発生フラグ」がONに設定されている場合は、今回の特別図柄の変動表示の開始に係る遊技制御処理と同一の遊技制御処理、すなわち1回のタイマ割り込み処理で、「特図保留の記憶」も発生していることとなる(図11のS268参照)。一方、「同時発生フラグ」がOFFに設定されている場合は、今回の特別図柄の変動表示の開始に係る遊技制御処理と同一の遊技制御処理(同一のタイマ割り込み処理)で「特図保留の記憶」は発生せず、「特別図柄の変動表示の開始」のみが発生することとなる。
その結果、同時発生フラグがONでない場合、すなわち、1回の遊技制御処理で「特別図柄の変動表示の開始」のみが発生した場合は(S3160:no)、第1変動開始時コマンドを主制御基板200からサブ制御基板220に向かって送信する(S3162)。第1変動開始時コマンドには、1回の遊技制御処理で「特別図柄の変動表示の開始」のみが発生したことを示す情報、特別図柄の変動表示の開始により減算された後の特図保留数(減算後保留数)を示す情報、変動表示を開始した特別図柄の変動パターンの種類を示す情報、変動表示を経て停止表示される特別図柄の停止図柄を示す情報が含まれている。第1変動開始時コマンドを送信したら(S3162)、特図変動表示処理を終了して、図12および図13に示す特別図柄遊技処理に復帰する。尚、第1変動開始時コマンドに含まれる各情報を、それぞれ別のコマンドで送信するようにしてもよい。
一方、同時発生フラグがONである場合、すなわち、「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」が1回の遊技制御処理で発生する場合は(S3160:yes)、第2変動開始時コマンドを主制御基板200からサブ制御基板220に向かって送信する(S3164)。第2変動開始時コマンドには、「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」の両方が1回の遊技制御処理で発生したことを示す情報、特別図柄の変動表示の開始により減算された後の特図保留数(減算後保留数)を示す情報、変動表示を開始した特別図柄の変動パターンの種類を示す情報、変動表示を経て停止表示される特別図柄の停止図柄を示す情報が含まれている。第2変動開始時コマンドを送信したら(S3164)、次のタイマ割り込みで実行される遊技制御処理に備えて同時発生フラグをOFFに設定した後(S3166)、特図変動表示処理を終了して図12および図13に示す特別図柄遊技処理に復帰する。尚、第2変動開始時コマンドに含まれる各情報を、それぞれ別のコマンドで送信するようにしてもよい。
以上のように、1回の遊技制御処理で「特別図柄の変動表示の開始」のみが発生したか、「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」の両方が発生したかによって、異なった変動開始時コマンド(第1変動開始時コマンドまたは第2変動開始時コマンド)を送信する理由については、後に詳しく説明する。
以上では、大当り判定の結果が大当りであった場合(図14のS3110:yes)に、大当り図柄を決定した後、大当り用の変動パターンテーブル(大当り変動パターンテーブル)を選択して特別図柄の変動表示を開始する処理(図14のS3112〜図15のS3166)について説明した。これに対して、大当り判定の結果が外れであった場合には(図14のS3110:no)、以下のようにして、小当り図柄あるいは外れ図柄を決定した後、小当り用または外れ用の変動パターンテーブルを選択する。
S3110の処理で大当り判定の結果が大当りでないと判断した場合には、小当り判定を行って小当りであるか否かを判断する(S3132)。ここで、小当り判定は、上述の大当り判定と同じ要領で行われるもので、大当り判定の結果として「外れ」を導出した大当り判定用乱数の値を基に、図示しない小当り判定テーブルを参照して行われる。小当り判定テーブルには、上述の大当り判定テーブルと同様に、小当り判定の結果が「小当り」となる乱数値(小当り値)が予め設定されており、この小当り値と、先の大当り判定の結果として「外れ」を導出した大当り判定用乱数の値とが一致するか否かを判定する。そして、両者が一致する場合には「小当り」となり(S3132:yes)、一致しない場合には「外れ」となる(S3132:no)。
S3132の処理で小当りであると判断した場合には(S3132:yes)、S3102の処理で特図保留として読み出した判定乱数のうち、小当り図柄を決定するための判定乱数(小当り図柄決定乱数)を用いて、その判定乱数に対応する小当り図柄を、図示しない小当り図柄テーブルを参照することによって決定して記憶する(S3134)。一方、S3132の処理で小当りでない、すなわち外れであると判断した場合には(S3132:no)、S3102で特図保留として読み出した判定乱数のうち、外れ図柄を決定するための判定乱数(外れ図柄決定乱数)を用いて、その判定乱数に対応する外れ図柄を、図示しない外れ図柄テーブルを参照することによって決定して記憶する(S3136)。
ここで、図8を用いて前述したように、本実施例では小当り図柄および外れ図柄としてそれぞれ2種類の図柄が設定されているから、小当り図柄決定テーブルおよび外れ図柄決定テーブルには、それら2種類の図柄がそれぞれ設定されている。また、小当り図柄決定テーブルおよび外れ図柄決定テーブルは、図17に示した大当り図柄決定テーブルと同様に、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。尚、ここでは、小当り図柄および外れ図柄を決定するために、新たな判定乱数(外れ図柄決定乱数、小当り図柄決定乱数)を用いるものとして説明したが、外れ図柄決定乱数および小当り図柄決定乱数を設けずに、特図保留として記憶された大当り図柄決定乱数を、外れ図柄決定乱数および小当り図柄決定乱数として流用しても良い。
こうして小当り図柄あるいは外れ図柄を決定したら(S3134、S3136)、「小当り」あるいは「外れ」に応じた変動パターンテーブルを選択する。小当りに応じた変動パターンテーブルを選択するための小当り変動パターンテーブル選択処理(S3140)は、形式的には、図18に示した大当り変動パターンテーブル選択処理と同様であり、各遊技状態に応じた変動パターンテーブルを選択する。もちろん、各変動パターンに対応付けられた変動パターン識別情報は、図19に示した大当り当選用の変動パターンテーブルに設定されている変動パターンとは異なり、サブ制御基板220のCPU221が小当り当選用の変動パターンであると判別できる情報である。
一方、外れに応じた変動パターンテーブルを選択する場合には、まず、演出表示装置27の表示画面でリーチ演出を行うか否かを判断する(S3142)。この判断は、特図変動表示処理の開始後に、S3102で特図保留として読み出されたリーチ決定乱数に基づいて行う。すなわち、読み出されたリーチ決定乱数の値が予め定められた所定の乱数範囲にある場合には、リーチ演出を行うものと判断し、逆に、リーチ決定乱数の乱数値が所定の乱数範囲にない場合は、リーチ演出を行わないものと判断する。その結果、リーチ演出を行うものと判断した場合は(S3142:yes)、リーチあり外れ変動パターンテーブル選択処理を行い(S3144)、リーチ演出を行わないものと判断した場合は(S3142:no)、リーチなし外れ変動パターンテーブル選択処理を行う(S3146)。
リーチあり外れ変動パターンテーブル選択処理およびリーチなし外れ変動パターン選択処理についても、形式的には、図18に示した大当り変動パターンテーブル選択処理と同様であり、各遊技状態に応じた変動パターンテーブルを選択する。もちろん、各変動パターンに対応付けられた変動パターン識別情報は、図19に示した大当り当選用の変動パターンテーブルに設定されている変動パターンとは異なり、サブ制御基板220のCPU221がリーチあり外れ用あるいはリーチなし外れ用の変動パターンであると判別できる情報である。
こうして、大当り判定の結果が大当りでない場合の変動パターンテーブル(小当り変動パターンテーブル、リーチあり外れ変動パターンテーブル、リーチなし外れ変動パターンテーブル)を選択すると、前述した大当り変動パターンテーブルを選択した場合と同様に変動パターンを決定して、特別図柄の変動表示を開始するとともに特図保留数を1減算する(S3148〜S3156)。そして、今回の遊技制御処理で「特別図柄の変動表示の開始」のみが発生した場合は第1変動開始時コマンドを送信して、「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」の両方が発生した場合は第2変動開始時コマンドを送信する(S3160〜S3166)。
尚、サブ制御基板220に搭載されたCPU221は、上述の変動開始時コマンドを受信すると、特別図柄の停止図柄を示す情報に基づき演出表示装置27で停止表示する識別図柄を選択するとともに、変動パターンの種類を示す情報に基づき演出表示装置27での識別図柄の演出パターンを選択する。すなわち、変動パターンの種類を示す情報が、大当り変動パターンを示すものであれば、リーチ演出を経て識別図柄27a,27b,27cが大当り態様で停止表示される演出パターンが選択される。また、変動パターンの種類を示す情報が、小当り変動パターンを示すものであれば、識別図柄27a,27b,27cが小当り態様で停止表示される演出パターンが選択される。また、変動パターンの種類を示す情報が、リーチあり外れ変動パターンを示すものであれば、リーチ演出を経て識別図柄27a,27b,27cが外れ態様で停止表示される演出パターンが選択される。また、変動パターンの種類を示す情報が、リーチなし外れ変動パターンを示すものであれば、リーチ演出を経ることなく識別図柄27a,27b,27cが外れ態様で停止表示される演出パターンが選択される。サブ制御基板220のCPU221は、選択された演出パターンおよび識別図柄を用いて、演出表示装置27の表示画面上で図柄変動演出表示を実行する。
こうして変動開始時コマンドを、サブ制御基板220に向かって送信したら(S3162)、図14および図15に示した特図変動表示処理を終了して、図12および図13の特別図柄遊技処理に復帰する。
以上では、特別図柄遊技処理の実行に際して大当り遊技中ではなく(S302:no)、特別図柄が変動表示していない(S304:no)と判断された場合の処理について説明した。これに対して、大当り遊技中ではないが(S302:no)、特別図柄が変動表示中であると判断された場合は(S304:yes)、既に、特別図柄の変動パターンと停止図柄とが決定されて、特別図柄の変動表示が開始されている場合に該当する。そこで、特別図柄の変動表示の時間(変動時間)が経過したか否かを判断する(S312)。特別図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、特別図柄の変動表示を開始すると同時に所定のタイマ(変動時間計測タイマ)に変動時間を設定することにより、所定の変動時間が経過したかを判断することができる(変動時間計測手段)。その結果、未だ変動時間が経過していない場合は(S312:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図10に示す遊技制御処理に復帰する。
これに対して、変動時間が経過したと判断された場合は(S312:yes)、変動表示中の特別図柄を停止表示させることを示すコマンド(図柄停止コマンド)をサブ制御基板220に向かって送信し(S314)、変動表示中の特別図柄を、図14のS3110、S3134およびS3136のいずれかの処理で設定した図柄で停止表示させる(S316)。そして、停止表示させた特別図柄を停止状態のまま保持する時間(停止表示時間)を設定した後(S318)、設定した停止表示時間が経過したか否かを判断する(S320)。その結果、停止表示時間が経過していない場合は(S320:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図10に示す遊技制御処理に復帰する。
こうして特別図柄が停止表示された状態で、図10の遊技制御処理に復帰した後、再び図12および図13の特別図柄遊技処理が開始されると、特別図柄が変動表示中ではないと判断され(S304:no)、続いて、特別図柄の停止表示時間中か否かの判断では、停止表示時間中と判断されるので(S306:yes)、再び停止表示時間が経過したか否かを判断する(S320)。このような判断を繰り返しているうちに停止表示時間が経過したと判断されると(S320:yes)、停止表示された特別図柄が「大当り図柄」であるか否かを判断する(図13のS322)。その結果、「大当り図柄」である場合は(S322:yes)、その「大当り図柄」の種類(大当り図柄A〜Fの何れか)を主制御基板200に搭載されているRAM203の所定アドレスに記憶する(S324)。詳しくは後述するが、本実施例のパチンコ機1では、大当り図柄が停止表示されて大当り遊技が実行される場合は、該大当り遊技の内容および該大当り遊技の後の遊技状態を、今回停止表示された「大当り図柄の種類」に応じて設定するように構成されている。そこで、S324の処理では、大当り遊技の内容(後述する大入賞口31dの開放パターン)を設定する処理および大当り遊技終了後の遊技状態を設定する処理で利用する「大当り図柄の種類」を記憶する。続いて、大当り遊技中の大入賞口31dの開放パターンを設定する(S326)。本実施例のパチンコ機1では、停止表示された大当り図柄の種類に応じて、大当り遊技中の大入賞口31dの開放パターンが設定される。
図20は、大当り図柄の種類に対応する大入賞口の開放パターンを示す説明図である。これらの開放パターンは、主制御基板200に搭載されたROM202の所定アドレスに記憶されている。S326の処理では、これらの開放パターンの中から今回停止表示された大当り図柄に対応する開放パターンを読み出し、その読み出したパターンを今回の大当り遊技の開放パターンとして設定する。すなわち、大当り図柄Aが停止表示されることによって開始する大当り遊技(以下、「大当り遊技A」ともいう)では、大入賞口31dが30秒間開放するラウンド遊技が1秒間の閉鎖時間を介して16回行われる。
また、大当り図柄Bが停止表示されることによって開始する大当り遊技(以下、「大当り遊技B」ともいう)では、大入賞口31dが30秒間開放するラウンド遊技が1秒間の閉鎖時間を介して12回行われ、大当り図柄Cが停止表示されることによって開始する大当り遊技(以下、「大当り遊技C」ともいう)では、大入賞口31dが30秒間開放するラウンド遊技が1秒間の閉鎖時間を介して8回行われ、大当り図柄Eが停止表示されることによって開始する大当り遊技(以下、「大当り遊技E」ともいう)では、大入賞口31dが30秒間開放するラウンド遊技が1秒間の閉鎖時間を介して7回行われ、大当り図柄Fが停止表示されることによって開始する大当り遊技(以下、「大当り遊技F」ともいう)では、大入賞口31dが30秒間開放するラウンド遊技が1秒間の閉鎖時間を介して2回行われる。以上のように、大当り遊技A、B、C、E、Fは、互いにラウンド遊技中の大入賞口31dの開放時間が同じであるので、大当り遊技を通して大入賞口31dに入球する遊技球数は、ラウンド回数が多い大当り遊技ほど多くなる。尚、大当り遊技A、B、C、E、Fのラウンド遊技中に所定数(ここでは10個)の遊技球が大入賞口31dに入球したら、大入賞口31dの開放時間が30秒に達する前でも閉鎖されてラウンド遊技が終了する。
また、大当り図柄Dが停止表示されることによって開始する大当り遊技(以下、「大当り遊技D」ともいう)では、大入賞口31dが0.1秒間開放するラウンド遊技が0.1秒間の閉鎖時間を介して8回行われる。このように、大当り遊技Dのラウンド遊技は、他の大当り遊技のラウンド遊技に比して、大入賞口31dの開放時間が極端に短いので、大入賞口31dに遊技球が入球することがほとんどない。尚、本実施例では、大当り遊技Dの開放時間を0.1秒と極めて入球困難な時間に設定したが、6秒程度とする等、他の大当り遊技(例えば大当り遊技A)と比べて入球が困難な(開放時間が短い)程度の開放時間に設定することもできる。閉鎖時間についても同様に、他の大当り遊技と同じ閉鎖時間(1秒)としてもよい。
こうして、大入賞口31dの開放パターンを設定すると、大当り遊技を開始するべく、大当りフラグをONに設定する(S328)。大当りフラグとは、大当り遊技が実行されている(大当り遊技中である)ことを示すフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定のアドレスが大当りフラグの記憶領域として確保されている。主制御基板200のCPU201は、大当りフラグの設定状態に応じて、大当り遊技の実行中か否かを把握する。詳細には後述するが、大当りフラグがONに設定された状態で、図10の遊技制御処理に復帰すると、大当り遊技が開始される。
また、大当り遊技の開始時に、各種の遊技状態に関連するフラグ(開放延長フラグ、変動短縮フラグ、高確フラグ)がONに設定されていれば、そのフラグをOFFに設定する。これらのフラグは、大当り遊技終了時に遊技状態を設定する際に改めて設定される。こうして大当り遊技を開始するにあたってのフラグ設定処理を終了すると(S328およびS330)、大当り遊技を開始する旨を示すコマンド(大当り遊技開始コマンド)をサブ制御基板220に向かって送信する(S332)。サブ制御基板220のCPU221は、大当り遊技開始コマンドを受信すると、大当り遊技に対応した表示演出を演出表示装置27の液晶画面上で実行する。大当り遊技開始コマンドを送信したら(S332)、図12および図13に示した特別図柄遊技処理を終了して、図10に示す遊技制御処理に復帰する。
以上は、図柄表示装置28で停止表示された特別図柄が大当り図柄であった場合(S322:yes)の処理について説明したが、停止表示された特別図柄が大当り図柄でなかった場合は(S322:no)、停止表示された特別図柄が小当り図柄か否かの判断を行う(S334)。その結果、停止表示された特別図柄が小当り図柄であった場合は(S334:yes)、小当り遊技中の大入賞口31dの開放パターンを設定する(S336)。小当り遊技中の開放パターンは、0.1秒間の大入賞口31dの開放が0.1秒間の閉鎖時間を介して8回行われるように設定されている。この大入賞口31dの動作は図20を用いて前述した大当り遊技Dと同じであることから、大入賞口31dの動作からは大当り遊技Dが開始されたのか小当り遊技が開始されたのかを遊技者が判別できないようにしている。尚、大当り遊技Dと同様に小当り遊技についても開放時間又は閉鎖時間を変更しても良い。
こうして、大入賞口31dの開放パターンを設定すると、小当り遊技を開始するべく、小当りフラグをONに設定する(S338)。小当りフラグとは、小当り遊技が実行されている(小当り遊技中である)ことを示すフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定のアドレスが小当りフラグの記憶領域として確保されている。主制御基板200のCPU201は、小当りフラグの設定状態に応じて、小当り遊技の実行中か否かを把握する。小当りフラグがONに設定された状態で図10の遊技制御処理に復帰すると、小当り遊技が開始される。尚、小当り遊技を行う場合は、大当り遊技を行う場合(S330)と異なって、遊技状態に関連するフラグの設定処理を行わない。すなわち、小当り遊技の前後では遊技状態が変化することのないように構成されている。
小当り遊技に関する設定処理を行った場合(S336、S338)、あるいはS334の処理で停止図柄が小当り図柄でない(外れ図柄である)と判断された場合は(S334:no)、サブ制御基板220に向かって遊技状態指定コマンドを送信した後(S349)、特別図柄遊技処理を終了して、図10に示す遊技制御処理に復帰する。ここで遊技状態指定コマンドとは、高確フラグや、変動短縮フラグ、開放延長フラグなどの設定に応じて定まる遊技状態を、サブ制御基板220に指定するコマンドである。
図10に示すように、遊技制御処理では、特別図柄遊技処理から復帰すると、大当りフラグがONに設定されているか否かを判断する(S350)。前述したように大当りフラグは、遊技状態が大当り遊技中であることを示すフラグである。そこで、主制御基板200のCPU201は、大当りフラグがONに設定されている場合は(S350:yes)、以下に説明する大当り遊技処理を開始する(S400)。
C−4.大当り遊技処理 :
図21は、大当り遊技処理を示すフローチャートである。この大当り遊技処理が実行されることによって、大当り遊技が行われる。以下、図21を参照しながら大当り遊技処理について説明する。
主制御基板200のCPU201は、大当り遊技処理(S400)を開始すると、大入賞口31dが開放中か否かを判断する(S402)。大入賞口31dは、大当り遊技あるいは小当り遊技が開始されない限りは閉鎖されており、従って大当り遊技の開始直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっている。そこで、大入賞口31dは開放中ではないと判断して(S402:no)、ラウンド回数が所定回数に達したか否かを判断する(S404)。前述したように大当り遊技中には、大入賞口31dが開放して、所定回数のラウンド遊技が繰り返されることになっている。このことに対応して、大入賞口31dが閉鎖されている場合は(S402:no)、大入賞口31dの開放回数(ラウンド回数)が所定回数(図13のS326で設定された開放パターンのうちの開放回数)に達したか否かを判断する(S404)。
大当り遊技が開始された直後は、ラウンド回数は所定回数に達していないので(S404:no)、大入賞口31dの閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S406)。大入賞口31dの閉鎖時間とは、ラウンドとラウンドとの間で大入賞口31dが閉鎖状態となっている時間(閉鎖時間として設定された時間、大当り遊技A、B、C、E、Fは「1秒」、大当り遊技Dは「0.1秒」)である。大当り遊技が開始された直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっているから、当然、大入賞口31dの閉鎖時間が経過していると判断され(S406:yes)、大入賞口31dを開放させて新たなラウンド遊技を開始する(S408)。そして、ラウンド遊技の開始を示すコマンド(ラウンド開始コマンド)を送信した後(S410)、図21に示した大当り遊技処理を一旦終了して、図10の遊技制御処理に復帰する。
主制御基板200のCPU201は遊技制御処理に復帰すると、図10に示したように、賞球関連処理(S50)以降の一連の各種処理を行った後、再び大当り遊技処理(S400)を開始する。本実施例では、主制御基板200のCPU201が図10に示す遊技制御処理(S50〜S600)を実行するのに要する時間が「4msec」となっているので、図21に示した大当り遊技処理も4msec毎に実行されることになる。そして、特別遊技が開始されて、図21の大当り遊技処理が初めて実行された場合には、前述したようにS408において大入賞口31dを開放させて、そのまま処理を終了するが、その4msec後に2周目の処理を行う場合には、S402にて、大入賞口31dが開放中(S402:yes)と判断されることになる。
続いて、大入賞口31dの開放時間が所定の開放時間(図13のS326で設定された開放パターンのうちの開放時間、大当り遊技A、B、C、E、Fは「30秒」、大当り遊技Dは「0.1秒」)に達したか否かを判断する(S412)。前述したように、大当り遊技では、大入賞口31dの開放パターンに基づき設定された開放時間が経過するか、その開放時間の経過前に大入賞口31dに規定数(ここでは10個)の遊技球が入球すると、開放状態にある大入賞口31dは閉鎖される。このことに対応して、S412では大入賞口31dが開放してから所定の開放時間が経過したか否かを判断する。そして、開放時間が経過していれば(S412:yes)、大入賞口31dを閉鎖した後(S416)、図21に示した大当り遊技処理を抜けて、図10の遊技制御処理に復帰する。一方、所定の開放時間が経過していない場合は(S412:no)、大入賞口31dに入球した遊技球が規定数に達しているか否かを判断する(S414)。そして、遊技球が規定数に達した場合は(S414:yes)、大入賞口31dを閉鎖する(S416)。これに対して、規定数に達していない場合は(S414:no)、大入賞口31dが開放してから未だ所定の開放時間が経過しておらず、大入賞口31dに入球した遊技球も規定数に達していないことになるので、大入賞口31dを開放させたまま、図21に示した大当り遊技処理を抜けて、図10の遊技制御処理に復帰する。
図10の遊技制御処理を繰り返し実行しているうちに、大入賞口31dが開放してから所定の開放時間が経過するか(S412:yes)、大入賞口31dに規定数数の遊技球が入球すると(S414:yes)、大入賞口31dを閉鎖する(S416)。大入賞口31dを閉鎖したら、ラウンド終了コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する(S418)。サブ制御基板220のCPU221は、ラウンド終了コマンドを受信するとラウンド遊技が終了したことを把握する。
こうして、1回のラウンド遊技が終了する。そして、次のタイマ割り込みの発生による遊技制御処理で大当り遊技処理が実行されるときには、S402において大入賞口31dが閉鎖中と判断されるとともに(S402:no)、所定回数のラウンド遊技(大当り遊技Aは「16回」、大当り遊技Bは「12回」、大当り遊技CおよびDは「8回」、大当り遊技Eは「7回」、大当り遊技Fは「2回」)が終了したか否かが判断される(S404)。S404の判断処理の結果、全てのラウンド遊技が終了していなければ(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が所定時間に達したことを確認した後(S406:yes)、再び大入賞口31dを開放状態として新たなラウンド遊技を開始し(S408)、ラウンド開始コマンドをサブ制御基板220に向かって送信する(S410)。一方、S404において、所定回数のラウンド遊技が終了したと判断された場合は(S404:yes)、大当り遊技を終了させるべく大当りフラグをOFFに設定して(S418)、大当り遊技の終了を示すコマンド(大当り遊技終了コマンド)をサブ制御基板220に向けて送信した後(S420)、大当り終了時処理を開始する(S450)。
ここで、本実施例のパチンコ機1では、大当り図柄が停止表示されて大当り遊技が実行された場合は、その大当り遊技の開始契機となった大当り図柄の種類に応じて、大当り遊技終了後の遊技状態を設定するように構成されている。換言すると、大当り遊技終了後の遊技状態は大当り遊技A〜Fに応じて設定される。
図22は、大当り終了時処理を示すフローチャートである。大当り終了時処理を開始すると、先ず初めに、今回終了する大当り遊技の開始契機となった大当り図柄(大当り図柄の種類)が大当り図柄A、B、C、Dの何れかであったか否か、すなわち今回終了する大当り遊技が大当り遊技A、B、C、Dの何れかであったか否かを判断する(S4500)。この判断は、特別図柄遊技処理の中で大当り図柄を停止表示させた際に記憶した内容(図13のS324)に基づいて行われる。その結果、大当り遊技A、B、C、Dの何れかを終了する場合は(S4500:yes)、大当り遊技終了後の遊技状態を高確率状態に設定するべく高確フラグをONに設定するとともに(S4502)、遊技状態を開放延長状態に設定するべく開放延長フラグおよび変動短縮フラグをONに設定する(S4504)。その後、大当り終了時処理を終了して、図21に示す大当り遊技処理に復帰する。こうして、遊技状態が開放延長状態且つ高確率状態に設定されると、この状態は次に大当り遊技が開始されるまで継続される。
これに対して、今回終了する大当り遊技が大当り遊技A、B、C、Dの何れでもなかった場合、すなわち、大当り遊技E、Fであった場合は(S4500:no)、そのまま大当り終了時処理を終了して、図21に示す大当り遊技処理に復帰する。この場合、高確フラグ、開放延長フラグおよび変動短縮フラグはONに設定されることなくOFFに設定されたままであるので、大当り遊技終了後の遊技状態は低確率状態且つ非開放延長状態に設定される。
以上のように、本実施例のパチンコ機1では、大当り遊技A、B、C、Dが終了すると遊技状態が開放延長状態且つ高確率状態に設定され、大当り遊技E、Fが終了すると遊技状態が非開放延長状態且つ低確率状態に設定される。
D.演出制御処理 :
図23は、サブ制御基板220のCPU221によって実行される演出制御処理を示すフローチャートである。尚、サブ制御基板220のCPU221は、本発明の「演出制御手段」に対応している。図示されているように、演出制御処理では、図柄変動演出処理(S5000)や、保留表示処理(S6000)や、大当り遊技演出処理(S7000)など、遊技の進行に伴った演出を実現するための処理が行われる。ここで、図柄変動演出処理(S5000)とは、特別図柄の変動表示に連動させて、演出表示装置27の画面上で識別図柄27a,27b,27cや背景画像27d等を用いた図柄変動演出を実行するための処理である。また、保留表示処理(S6000)とは、特別図柄の保留の増減に連動させて、演出表示装置27の表示画面上の特図保留表示領域27eにおいて保留図柄の表示を実行するための処理である。更に、大当り遊技演出処理(S7000)とは、大入賞口31dを開放させて大当り遊技が行われる場合に、各大当り遊技の種類に応じた大当り遊技の演出を実行するための処理である。
サブ制御基板220のCPU221は、所定周期毎に発生するタイマ割り込みに基づき演出制御処理を行うように構成されており、本実施例では主制御基板のCPU201と同様に、4msec毎にタイマ割り込みが発生するものとなっている。つまり、図23に示す演出制御処理は、CPU221における4msec毎のタイマ割り込み処理として実行される。従って、図柄変動演出処理(S5000)、保留表示処理(S6000)および大当り遊技演出処理(S7000)は、4msec毎に実行されることになる。
D−1.図柄変動演出処理 :
図柄変動演出処理では、主制御基板200のCPU201によって制御される特別図柄の変動表示に連動させて、演出表示装置27の画面上で識別図柄27a,27b,27cや背景画像27d等を用いた図柄変動演出を行うための処理が行われる。
図24は、本実施例の図柄変動演出処理を示すフローチャートである。図示されるように、図柄変動演出処理を開始すると、主制御基板200からの変動開始時コマンド(第1変動開始時コマンドまたは第2変動開始時コマンド)を受信しているか否かを判断する(S5001)。図15を用いて前述したように、第1変動開始時コマンドおよび第2変動開始時コマンドは、何れも図柄表示装置28で特別図柄の変動表示が開始されることに伴って主制御基板200からサブ制御基板220に向けて送信されるもので、特別図柄の変動パターンや停止図柄を指定するコマンドである。
変動開始時コマンドを受信した場合は(S5001:yes)、変動開示時コマンドによって指定される特別図柄の停止図柄が「大当り図柄」であるか否かを判断する(S5008)。主制御基板200からの変動開始時コマンドには、変動表示を経て停止表示される特別図柄の停止図柄を示す情報が含まれているので、受信した変動開始時コマンドを解析することによって、特別図柄の停止図柄が「大当り図柄」であるか否かを判断することができる。その結果、大当り図柄であると判断した場合は(S5008:yes)、演出表示装置27の画面上で識別図柄27a,27b,27cを停止表示させる際の大当り図柄を決定する(S5010)。これに対して、変動開始時コマンドによって指定された特別図柄の停止図柄が大当り図柄でない場合は(S5008:no)、リーチ演出を伴う外れであるか否かを判断する(S5012)。この判断も、変動開始時コマンドに含まれる「特別図柄の変動パターンの種類を示す情報」に基づいて判断することができる。すなわち、図14を用いて前述したように、大当り判定の結果が外れの場合には、リーチ演出の有無によって異なる外れ変動パターンが決定されるので、今回の特別図柄の変動パターンの種類を示す情報に基づいて、リーチ演出を伴う外れであるか否かを判断することができる。そして、リーチ演出を伴う外れであると判断した場合は(S5012:yes)、演出表示装置27の画面上で停止表示させるリーチ外れ図柄を決定する(S5014)。すなわち、リーチ演出を発生させる図柄を決定し、3つの識別図柄27a,27b,27cの中の2つの識別図柄を、その図柄に決定する。更に、残った1つの識別図柄については、その図柄とは異なる図柄に決定する。一方、特別図柄の変動パターン指定コマンドに基づいて、リーチ演出を伴わない外れと判断した場合は(S5012:no)、演出表示装置27の画面上で停止表示させる外れ図柄を決定する(S5016)。すなわち、3つの識別図柄27a,27b,27cが全て異なる図柄となるように、識別図柄の停止図柄を決定する。
続いて、図柄変動演出の演出パターンを決定する処理を行う(S5024)。ここで、サブ制御基板220のROM222には演出パターンテーブルが記憶されている。演出パターンテーブルでは、演出表示装置27の画面上で3つの識別図柄27a,27b,27cの変動表示を開始した後、識別図柄27a,27b,27cを所定の停止図柄で停止表示させるまでの態様を示す演出パターン、すなわち、図柄変動演出の開始から終了までの演出パターンが、特別図柄の各変動パターンに対応付けて記憶されている。
図25は、演出パターンテーブルの一部を概念的に示した説明図である。図25の左側には、図19を用いて前述した大当り低確率用変動パターンテーブルが示されている。前述したように、大当り低確率用変動パターンテーブルは、低確率状態で大当りが発生するときの特別図柄の変動パターンが設定されているテーブルである。また、図25の右側には、大当り低確率用変動パターンテーブルに設定されている変動パターンに対応する演出パターン(すなわち、演出パターンテーブルの一部)が示されている。サブ制御基板220のCPU221は、変動開始時コマンドを受信すると、その受信した変動開始時コマンドから今回の特別図柄の変動パターンを特定して、この変動パターンに対応する演出パターンを演出パターンテーブルから選択する。
以上のようにして、演出表示装置27の画面上で停止表示させる識別図柄27a,27b,27cを決定し(図24のS5010、S5014、S5016)、識別図柄27a,27b,27cを停止表示させるまでの演出パターンを決定したら(S5024)、演出表示装置27の画面上で識別図柄27a,27b,27cの変動表示を開始することによって、図柄変動演出を開始する(S5026)。また、このときサブ制御基板220に搭載されたタイマをセットすることにより、変動時間の計時を開始する。更に、演出表示装置27の画面上で行われる図柄変動演出に合わせて、効果音の出力や、各種ランプ類の点灯を行わせることによって遊技の演出を行う。
尚、図6を用いて前述したように、演出表示装置27の動作を直接的に制御しているのは、サブ制御基板220のCPU221ではなく、演出制御基板230に搭載されたCPU231である。従って、サブ制御基板220のCPU221が、識別図柄27a,27b,27cを用いた図柄変動演出の演出パターンや識別図柄27a,27b,27cの停止図柄を示すコマンド、さらには保留図柄の表示パターンを示すコマンドを演出制御基板230に向かって送信し、それらコマンドを受信した演出制御基板230のCPU231が、受信したコマンドに基づき画像データをROM232から読み出して演出表示装置27の画面上に表示することにより、保留表示や図柄変動演出が実行される。また、サブ制御基板220のCPU221は、演出表示装置27の画面上で行われる図柄変動演出に合わせて、効果音を出力したり、各種ランプ類を点灯させたりすることによって遊技の演出を行う。尚、演出パターンには、効果音を出力したり各種ランプ類を点灯させたりするためのデータも含まれている。従って、演出パターンを決定すれば、これら効果音の出力や各種ランプ類の点灯に関するデータも自ずと決定されることになる。
以上のように、変動開始時コマンドを受信すると、それが第1変動開始時コマンドか第2変動開始時コマンドかに拘わらず、図柄変動演出を開始する(S5026)。そして、図柄変動演出を開始すると、主制御基板200からの図柄停止コマンドを受信したか否かを判断する(S5070)。図12を用いて前述したように、図柄停止コマンドは、図柄表示装置28で特別図柄が停止表示される際に、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって送信されるコマンドである。その結果、図柄停止コマンドを受信していないと判断した場合は(S5070:no)、そのまま図柄変動演出処理を終了して、図23に示す演出制御処理に復帰する。これに対して、図柄停止コマンドを受信したと判断した場合は(S5070:yes)、演出表示装置27の識別図柄27a,27b,27cを、予め決定しておいた図柄で停止表示させることにより、図柄変動演出を終了させて(S5072)、図23に示す演出制御処理に復帰する。
D−2.保留表示処理 :
図柄変動演出処理を終了すると、続いて、保留表示処理を実行する。この処理では、主制御基板200における特別図柄の保留(特図保留)の増減に連動して、演出表示装置27の表示画面上の特図保留表示領域27eに保留図柄を表示すための処理が実行される。
保留表示処理では、本発明の「保留減少処理」および「保留増加処理」に対応する処理が行われる。具体的には、特別図柄の変動表示が開始されるときに主制御基板200からサブ制御基板220に向かって送信される「変動開始時コマンド」に基づく処理と、特別図柄の保留が記憶されたとき(特図保留の発生時)に主制御基板200からサブ制御基板220に向かって送信される「保留発生時コマンド」に基づく処理が実行される。
図15を用いて前述したように、本実施例のパチンコ機1の「変動開始時コマンド」としては、1回の遊技制御処理で「特別図柄の変動表示の開始」のみが発生した場合に送信される「第1変動開始時コマンド」と、「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」の両方が1回の遊技制御処理(同一の遊技制御処理)で発生した場合に送信される「第2変動開始時コマンド」とが存在する。
また、図11を用いて前述したように、本実施例のパチンコ機1の「保留発生時コマンド」としては、1回の遊技制御処理で「特図保留の記憶」のみが発生した場合に送信される「第1保留発生時コマンド」と、「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」の両方が1回の遊技制御処理(同一の遊技制御処理)で発生する場合に送信される「第2保留発生時コマンド」とが存在する。
以下では、主制御基板200のCPU201における1回の遊技制御処理で「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」のうち何れか一方が発生した場合の保留表示処理、すなわちサブ制御基板220のCPU221における1回の演出制御処理で「第1変動開始時コマンドを受信した場合の保留表示処理」または「第1保留発生時コマンドを受信した場合の保留表示処理」を行う場合について先に説明する。その後、CPU201における1回の遊技制御処理で「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」の両方が発生した場合の保留表示処理、すなわちCPU221における1回の演出制御処理で「第2変動開始時コマンドを受信した場合の保留表示処理」および「第2保留発生時コマンドを受信した場合の保留表示処理」を行う場合について説明する。
D−2−1.1回の遊技制御処理で「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」のうち何れか一方が発生する場合の保留表示処理 :
図26および図27は、本実施例の保留表示処理を示すフローチャートである。図示されるように、保留表示処理(S6000)では、先ず、変動開始時コマンド(第1変動開始時コマンドまたは第2変動開始時コマンド)を受信したか否かを判断する(S6002)。その結果、何れかの変動開始時コマンドを受信したと判断すると(S6002:yes)、その受信した変動開始時コマンドが「第2変動開始時コマンド」であるか否かを判断する(S6004)。その結果、「第2変動開始時コマンド」でない場合、すなわち、受信した変動開始時コマンドが「第1変動開始時コマンド」である場合は(S6004:no)、保留情報のシフト処理を行う(S6006)。
ここで、保留情報について説明する。保留情報は、演出表示装置27の特図保留表示領域27e(図4参照)で保留表示を行うために必要となる情報であり、具体的には、特図保留表示領域27eにおける保留表示の実行パターン(保留表示パターン)を設定するための情報である。本実施例では、演出表示装置27の特図保留表示領域27eに表示される保留図柄の表示パターンを決定するための情報が「保留情報」に該当する。保留情報には、主制御基板200のRAM203に記憶されている特図保留の数(特図保留数)を示す情報(保留数情報)や、始動口17aへの遊技球の入球時に行われる事前判定(保留先読み)の結果を示す情報(先読み情報)が含まれ、これらの情報に基づき、特図保留表示領域27eに表示される保留図柄の表示パターン(保留図柄の数、保留図柄の種類など)が決定される。
サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200から送信される「保留発生時コマンド」や「変動開始時コマンド」に含まれる特図保留数を示す情報(加算後保留数、減算後保留数)に基づき「保留数情報(特図保留数)」を取得し、同じく「保留発生時コマンド」に含まれる事前判定結果を示す情報に基づき「先読み情報(事前判定結果)」を取得する。そして、それらの取得した情報に基づいて「保留情報」をRAM223の所定アドレス(保留情報記憶領域)に記憶する。この「保留情報」の記憶は、特図保留の発生・消化順序にしたがって時系列で行われる。よって、そのような「保留情報」に基づく保留表示により、現在の特図保留数や保留先読み結果を保留発生順に報知することができる。
図28は、サブ制御基板220のRAM223に記憶される保留情報と、演出表示装置27の特図保留表示領域27eに表示される保留図柄との対応関係を示す説明図である。図28の上段に示すように、RAM223には、特図保留数の上限値に相当する分(本実施例では「保留1」〜「保留4」)の保留情報記憶領域が設けられている。主制御基板200のCPU201における「特図保留の記憶」の発生に伴って、その特図保留の保留数(加算後保留数)に対応する保留情報記憶領域に上述の「先読み情報」が記憶され、これにより「保留情報の記憶」が行われる。この「保留情報の記憶」は、主制御基板200からの「保留発生時コマンド」の受信に基づき行われる。また、最も古い特図保留に基づく特別図柄の変動表示の開始(特図保留の消化)に伴って、その特図保留に対応して保留情報記憶領域に記憶されている最も古い先読み情報が消去されるとともに、その消去された先読み情報を除く他の先読み情報が記憶されている場合には、その記憶されている先読み情報の記憶順序(特図保留の発生順序)を1つ繰り上げる処理(シフト処理)が行われる。これにより「保留情報の消去」および「保留情報のシフト処理」が行われる。このような「保留情報の消去」および「保留情報のシフト処理」は、主制御基板200からの「変動開始時コマンド」の受信に基づき行われる。
図28の上段に示す例では、最も古い特図保留に対応する「保留1(特図保留数=1)」から「保留2(特図保留数=2)」、「保留3(特図保留数=3)」、「保留4(特図保留数=4)」までの4つの保留情報が時系列で記憶される。また、保留情報記憶領域には、「保留1」〜「保留4」(保留数情報)の各々に対応する先読み情報が記憶される。本実施例では、先読み情報として「大当りか否かの事前判定結果」と「リーチ演出が発生するか否かの事前判定結果」に関する情報が記憶される。図28に示す例では、「特図保留数=1」に対応する保留情報として「保留1(保留数情報)・リーチなし外れ(先読み情報)」、「特図保留数=2」に対応する保留情報として「保留2(保留数情報)・リーチあり外れ(先読み情報)」、「特図保留数=3」に対応する保留情報として「保留3(保留数情報)・大当り(先読み情報)」がそれぞれ記憶されている。また、図28に示す例では、「保留4」に対応する「先読み情報」が記憶されていないことから、「特図保留数=4」に対応する特図保留は存在せず、その保留情報も存在しない。
また、本実施例のパチンコ機1では、保留図柄として「通常保留図柄」、「キャラクタA保留図柄」、「キャラクタB保留図柄」、「キャラクタC保留図柄」が設定されている。これらの保留図柄の中から、演出表示装置27の特図保留表示領域27eに表示される保留図柄が、RAM223(保留情報記憶領域)に記憶されている保留情報に含まれる「先読み情報」に基づき選択される。図28に示す例では、「リーチなし外れ」の先読み情報に対応する保留図柄(保留1に対応する保留図柄)として「通常保留図柄」、「リーチあり外れ」の先読み情報に対応する保留図柄(保留2に対応する保留図柄)として「キャラクタA保留図柄」、「大当り」の先読み情報に対応する保留図柄(保留3に対応する保留図柄)として「キャラクタB保留図柄」がそれぞれ選択され、演出表示装置27の特図保留表示領域27eの左側から順に、保留1に対応する通常保留図柄、保留2に対応するキャラクタA保留図柄、保留3に対応するキャラクタB保留図柄が表示される。尚、図28に示す例では保留4に対応する保留情報(先読み情報)は記憶されておらず、特図保留が3つしか記憶されてないので、保留4に対応する保留図柄は表示されない(図28中の破線で示された円)。また、詳しくは後述するが、演出表示装置27の特図保留表示領域27eに表示される保留図柄の種類(保留表示パターン)によって、該保留図柄に対応する特図保留に基づく特別図柄の変動表示の内容や結果を示唆している。従って、遊技者にとっては、演出表示装置27の特図保留表示領域27eに表示される保留図柄を確認することで、現在の特図保留数を認識することができるとともに、各特図保留に対応する特別図柄の変動表示の内容や結果(リーチ演出の有無、大当り図柄の停止表示の可能性など)を予測することができる。
図26に戻り、S6006の処理は、第1変動開始時コマンドを受信したとき、すなわち主制御基板200のCPU201における1回の遊技制御処理で「特別図柄の変動表示の開始」だけが発生したときに行われる処理であることから、特図保留が1つ減少した(消化された)ことになる。そこで、S6006の処理では、RAM223(保留情報記憶領域)に記憶されている保留情報のうち最も古い情報(「保留1」に対応する先読み情報)を消去する。そして、最も古い保留情報を消去した後も、他の保留情報がまだ残っていれば、その残りの保留情報の記憶順序を古い方へ1つ移動させる。つまり、S6002で受信した変動開始時コマンドに含まれる特図保留数(減算後保留数)と、RAM223(保留情報記憶領域)に記憶される保留情報の数とを一致させるために、残りの保留情報の記憶順序(保留発生順序)を1つ繰り上げる。このように残りの保留情報の記憶順序(保留発生順序)を1つ繰り上げる(古い方へ1つ移動させる)処理が「保留情報のシフト処理」である。
図29は「保留情報のシフト処理」を概念的に示す説明図である。図29に示す例は、「特図保留数=3」の状態で特別図柄の変動表示が開始されて「特図保留数=2」となった場合、すなわちS6002で受信した第1変動開始時コマンドに含まれる特図保留数(減算後保留数)が「2」である場合に対応している。この場合、S6002での第1変動開始時コマンドの受信を契機として、「保留1」に対応して記憶されている「リーチなし外れ」の先読み情報を消去した後、「保留2」に対応して記憶されている「リーチあり外れ」の先読み情報、および「保留3」に対応して記憶されている「大当り」の先読み情報を、それぞれ「保留1」側に1つシフトしている。その結果、シフト処理後の保留情報として「保留1・リーチあり外れ」および「保留2・大当り」の2つの保留情報がRAM223(保留情報記憶領域)に記憶され、シフト処理後の保留情報の数と、S6002で受信した第1変動開始時コマンドに含まれる特図保留数とが一致する。
こうして、保留情報のシフト処理を行ったら(図26のS6006)、図27のS6020の処理に移行し、主制御基板200からの保留発生時コマンド(第1保留発生時コマンドまたは第2保留発生時コマンド)の受信有無の判断を行う。ここでは、サブ制御基板220のCPU221における1回の演出制御処理で「第1変動開始時コマンドを受信した場合の保留表示処理」を説明するので、S6020の処理では保留発生時コマンドを受信していないと判断されるものとする(S6020:no)。前述のように、第1変動開始時コマンドの受信に基づく保留情報のシフト処理を行ったら(図26のS6006)、S6020の否定判断(S6020:no)を経て、シフト処理後の保留情報に応じた保留図柄を、演出表示装置27の特図保留表示領域27eに表示する(S6040)。シフト処理後の保留情報が図29に示す例の場合、演出表示装置27の特図保留表示領域27eの左側から順に、保留1に対応するキャラクタA保留図柄、保留2に対応するキャラクタB保留図柄がそれぞれ表示される。保留図柄の表示は、サブ制御基板220のCPU221が演出制御基板230に対して保留図柄の表示を指定するコマンドを送信し、演出制御基板230のCPU231が該コマンドに対応する保留図柄の画像を画像ROM234から読み出すことで行われる。
尚、シフト処理後の保留情報の数と、S6002で受信した第1変動開始時コマンドに含まれる特図保留数とが一致しない場合には、特図保留に関する正確な情報を遊技者に提供できなくなる。このような「シフト処理後の保留情報の数」と「第1変動開始時コマンドに含まれる特図保留数」との不一致は、主制御基板200とサブ制御基板220との通信障害や、サブ制御基板220のRAM223の記憶障害などが原因で起こり得る異常(エラー)である。本実施例では、そのような異常(エラー)が発生した場合、サブ制御基板220のCPU221はS6040の処理による保留表示を行わず、演出表示装置27の特図保留表示領域27の表示内容を異常発生時の表示内容とする。異常発生時の表示内容としては、演出表示装置27の特図保留表示領域27における保留図柄を非表示としたり、異常発生時点で表示している保留図柄を点滅表示したり、特図保留表示領域27に異常発生を示すメッセージを表示したりすることが例示できる。この異常発生時の表示(エラー表示)は、次回以降の演出制御処理(CPU221のタイマ割り込み処理)で受信する変動開始時コマンドや保留発生時コマンドに含まれる特図保留数(加算後保留数、減算後保留数)と、RAM223(保留情報記憶領域)に記憶される保留情報の数とが一致することで終了する。これにより、演出表示装置27の特図保留表示領域27における保留表示の内容は正常に復帰する。尚、「シフト処理後の保留情報の数」と「第1変動開始時コマンドに含まれる特図保留数」との一致・不一致の判断や、エラー表示の実行、保留表示の正常復帰に係る処理は、サブ制御基板220のCPU221によって行われる。
以上は、主制御基板200のCPU201における1回の遊技制御処理で「特別図柄の変動表示の開始」だけが発生した場合の保留表示処理、すなわち、サブ制御基板220のCPU221における1回の演出制御処理で第1変動開始時コマンドを受信した場合の保留表示処理である。これに対して、CPU201における1回の遊技制御処理で「特図保留の記憶」だけが発生した場合の保留表示処理、すなわち、CPU221における1回の演出制御処理で第1保留発生時コマンドを受信した場合の保留表示処理は、以下のようになる。
図11を用いて前述したように、保留発生時コマンドは特図保留の発生に伴って特図保留数に「1」が加算されたときに、主制御基板200からサブ制御基板220に送信されるコマンドである。保留発生時コマンドには、主制御基板200のCPU201で新たに記憶された特図保留(今回発生した特図保留)を含む特図保留数(加算後保留数)を示す情報や、その特図保留に係る事前判定の結果(大当り保留か否か、リーチ保留か否か等)を示す情報が含まれており、これらの情報に基づき、サブ制御基板220のCPU221は、RAM223(保留情報記憶領域)に記憶する「保留情報(保留数情報、先読み情報)」の内容を特定することができる。
保留発生時コマンドを受信すると(S6020:yes)、そのコマンドに含まれる特図保留数(加算後保留数)を示す情報や事前判定結果を示す情報に基づき、新たに記憶された特図保留に対応する保留情報をRAM223(保留情報記憶領域)に記憶する(S6021)。この保留情報の記憶は、S6020で受信した保留発生時コマンドに含まれる特図保留数(保留数情報)と、同じくS6020で受信した保留発生時コマンドに含まれる事前判定結果(先読み情報)とを対にして記憶することによって行われる。例えば、保留発生時コマンドに含まれる特図保留数が「3」の場合には、図28の上段や図29に示す「保留1」〜「保留4」の保留情報記憶領域のうち「保留3」の領域に、保留発生時コマンドに含まれる事前判定結果を示す情報(図28,30の例では「大当り」)を記憶することによって行われる。
保留情報の記憶を終えると、その記憶した最新の保留情報に含まれる先読み情報、すなわち、S6020で受信した保留発生時コマンドに含まれる事前判定結果を示す情報に基づき、主制御基板200のCPU201で新たに記憶された特図保留が「大当り保留」であるか否かを判断する(S6022)。前述したように、本実施例のパチンコ機1では、演出表示装置27の特図保留表示領域27eに、特図保留数と一致する数の保留図柄を特図保留の発生順に表示することとしている。この保留図柄として、通常は、図28に示した円形の通常保留図柄が表示される。これに対して、後述の条件を満たした場合は、図28に示した「キャラクタA保留図柄」や「キャラクタB保留図柄」等の通常保留図柄とは異なる「特別保留図柄」が表示される。これらの保留図柄の中から、新たな特図保留の記憶に応じて演出表示装置27の特図保留表示領域27eに表示する保留図柄(保留表示パターン)を決定するために、S6022の処理では、新たに記憶された特図保留が「大当り保留」であるか否かを判断する。
S6022の処理の結果、新たに記憶された特図保留が「大当り保留」である場合は、「大当り保留」に対応する保留図柄を決定するための「大当り保留図柄決定テーブル」を選択する(S6024)。図30は、大当り保留図柄決定テーブルを概念的に示す説明図である。図30に示すように、大当り保留図柄決定テーブルでは、保留図柄決定用の乱数に対応させて保留図柄が設定されている。すなわち、保留図柄決定用の乱数「0〜39」に対応させて「通常保留図柄」が設定されている。また、保留図柄決定用の乱数「40〜49」に対応させて「キャラクタA保留図柄」が設定されている。また、保留図柄決定用の乱数「50〜69」に対応させて「キャラクタB保留図柄」が設定されている。また、保留図柄決定用の乱数「70〜99」に対応させて「キャラクタC保留図柄」が設定されている。
大当り保留図柄決定テーブルを選択したら(S6024)、新たに記憶された特図保留(今回発生した特図保留)に対応する保留図柄を決定するための抽選(保留図柄決定抽選)を実行する(S6032)。この抽選は、サブ制御基板220のCPU221が実行する制御プログラム(演出制御処理の実行プログラム)に含まれる乱数カウンタによって生成される乱数(保留図柄決定乱数)を取得し、その取得した乱数の値に対応する保留図柄を「大当り保留図柄決定テーブル」から選択するものである。この抽選によって選択される保留図柄が、演出表示装置27の特図保留表示領域27eに表示される保留図柄として決定される。
以上は、主制御基板200のCPU201で新たに記憶された特図保留が「大当り保留」である場合の保留図柄の決定処理である。一方、新たに記憶された特図保留が「大当り保留」でない場合は(S6022:no)、その保留が「リーチ保留」であるか否かを判断する(S6026)。この判断も、S6021の処理で記憶した最新の保留情報に含まれる先読み情報、すなわち、S6020で受信した保留発生時コマンドに含まれている事前判定の結果を示す情報に基づいて行われる。その結果、新たに記憶された特図保留が「リーチ保留」である場合は(S6026:yes)、リーチ保留図柄決定テーブルを選択して(S6028)、新たに記憶された特図保留が「リーチ保留」でない場合、すなわち、特別図柄の変動表示がリーチ演出を経由せずに外れ図柄の停止表示で終了することとなる「外れ保留」の場合は(S6026:no)、外れ保留図柄決定テーブルを選択する(S6030)。こうして、それぞれの場合に応じて保留図柄決定テーブルを選択したら(S6028、S6030)、大当り保留が発生した場合と同様に保留図柄決定抽選を実行して、保留図柄を決定する(S6032)。
図31(a)は、リーチ保留図柄決定テーブルを概念的に示す説明図であり、図31(b)は、外れ保留図柄決定テーブルを概念的に示す説明図である。図31に示す2つの保留図柄決定テーブルと、図30に示す大当り保留図柄決定テーブルとを比較すれば明らかなように、保留図柄決定抽選で「キャラクタB保留図柄」あるいは「キャラクタC保留図柄」に決定される確率は、大当り保留図柄決定テーブルが選択された場合、すなわち、大当り保留が発生した場合が最も高くなっている。従って、演出表示装置27の特図保留表示領域27eに「キャラクタB保留図柄」あるいは「キャラクタC保留図柄」が表示された場合は、その保留図柄に対応する特図保留を契機とする大当りの発生可能性(大当り信頼度)が高いことを示唆することができ、大当りの発生に対する遊技者の期待を高めることが可能となる。特に、「キャラクタC保留図柄」は外れ保留図柄決定テーブルに設定されていないことから、「キャラクタC保留図柄」が表示された場合は、その保留図柄に対応する特図保留を契機として大当りが発生するか、大当りが発生しないとしてもリーチ演出が実行されることとなる。つまり、「キャラクタC保留図柄」が表示された場合は、その保留図柄に対応する特図保留は単なる「外れ保留」ではなく、「リーチ保留」または「大当り保留」であることが確定する。
こうして、新たに記憶された特図保留に対応する保留図柄を決定したら(S6032)、今回受信した保留発生時コマンド(S6020の処理で受信したコマンド)が第2保留発生時コマンドであったか否かを判断する(S6036)。その結果、第2保留発生時コマンドでなかった場合、すなわち、S6020の処理で今回受信した保留発生時コマンドが第1保留発生時コマンドであった場合は(S6036:no)、S6021の処理で記憶した保留情報を含むRAM223(保留情報記憶領域)の保留情報記憶状況をそのまま維持して、S6032の処理で決定した保留図柄を表示する(S6040)。
ここで、本実施例では、上述したように、主制御基板200のCPU201が4msec毎のタイマ割り込み処理として「遊技制御処理」を行うように構成されている。この遊技制御処理では、特図保留の記憶に係る処理を先に行って(図10のS250)、特別図柄の変動表示の開始に係る処理を後に行う(図10のS300)。また、本実施例では、サブ制御基板220のCPU221が4msec毎のタイマ割り込み処理として「演出制御処理」を行うように構成されている。この演出制御処理のうち保留表示処理(図23のS6000)では、遊技制御処理とは逆に、特別図柄の変動表示の開始に係る処理を先に行って(図26のS6002〜S6006)、特図保留の発生に係る処理を後に行う(図27のS6020〜S6038)。これは、従来のパチンコ機で発生し得る「特図保留に関する正確な情報を遊技者に提供できなくなる」といった不具合の解消を図るためである。以下、この点について説明する。
図32は、従来のパチンコ機と本実施例のパチンコ機との制御処理内容を比較するための説明図である。図32(a)は従来のパチンコ機の制御処理内容を示し、図32(b)は本実施例のパチンコ機の制御処理内容を示している。図32(a)、(b)のそれぞれの上段側は、主制御基板200のCPU201によって遊技制御処理がタイマ割り込み処理として行われている様子を示しており、下段側は、サブ制御基板220のCPU221によって演出制御処理がタイマ割り込み処理として行われている様子を示している。
また、図中の「○」は遊技制御処理で行われる「特図保留の記憶に係る処理」を示しており、「☆」は遊技制御処理で行われる「特別図柄の変動表示の開始に係る処理」を示している。また、図中の「●」は演出制御処理(保留表示処理)で行われる「特図保留の記憶に係る処理」を示しており、「★」は演出制御処理(保留表示処理)で行われる「特別図柄の変動表示の開始に係る処理」を示している。また、図中の4マスからなる図形は、主制御基板200のRAM203における特図保留の記憶状態と、サブ制御基板220のRAM223における保留情報の記憶状態を示している。そして、4マスの図形に表記される「外」は、その特図保留に基づき特別図柄を変動表示させた場合にリーチ演出を行わずに外れ図柄で停止表示する保留(外れ保留)を示し、同じく「リ」は、その特図保留に基づき特別図柄を変動表示させた場合にリーチ演出を経て外れ図柄で停止表示する保留(リーチ保留)を示し、同じく「当」は、その特図保留に基づき特別図柄を変動表示させた場合に大当り図柄で停止表示する保留(大当り保留)を示している。また、4マスの図形に表記される「通」は、事前判定結果(先読み情報)に基づき表示される保留図柄が「通常保留図柄」であることを示し、同じく「A」は、事前判定結果(先読み情報)に基づき表示される保留図柄が「キャラクタA保留図柄」であることを示し、同じく「B」は、事前判定結果(先読み情報)に基づき表示される保留図柄が「キャラクタB保留図柄」であることを示している。
従来のパチンコ機では、遊技制御処理および演出制御処理の何れにおいても、1回の制御処理(タイマ割り込み処理)で「特図保留の記憶に係る処理」を先に行い、「特別図柄の変動表示の開始に係る処理」を後に行う。これは「始動口への遊技球の入球を契機に特図保留が記憶され、その特図保留に基づき特別図柄が変動表示を開始する」という実際の遊技の流れに即して制御プログラムを構成するのが慣例となっているからである。このような従来のパチンコ機において、図32(a)に示すように、主制御基板200のCPU201が、連続する遊技制御処理のうち一の遊技制御処理で「特別図柄の変動表示の開始に係る処理」として特別図柄の変動表示の開始に伴う変動開始時コマンドを送信し(☆)、その直後の次の遊技制御処理で「特図保留の記憶に係る処理」として特図保留の記憶に伴う保留発生時コマンドを送信した(○)とする。すなわち、一のタイマ割り込みに基づく遊技制御処理と、それに続く次のタイマ割り込みに基づく遊技制御処理との2回の遊技制御処理において、「変動開始時コマンド」「保留発生時コマンド」の順で各コマンドがサブ制御基板220に送信されたとする。このようなコマンド送信のケースは、特別図柄が変動表示を開始した直後(4msec後)に、遊技球が始動口17aに入球して特図保留が1つ増加した場合に発生し得る。
この場合において、連続する2回の遊技制御処理で送信された「変動開始時コマンド」および「保留発生時コマンド」を、サブ制御基板220のCPU221が1回の演出制御処理で受信したものとして扱うと、その1回の演出制御処理では、主制御基板200のCPU201による後の遊技制御処理で送信された「保留発生時コマンド」に対応する「特図保留の記憶に係る処理」(●)が先に行われ、先の遊技制御処理で送信された「変動開始時コマンド」に対応する「特別図柄の変動表示の開始に係る処理」(★)が後に行われることとなる。つまり、主制御基板200のCPU201における連続する2回の遊技制御処理のうち、先の遊技制御処理で特図保留数が減少し(例えば特図保留数=1になった)、後の遊技制御処理で特図保留が増加した(例えば特図保留数=2になった)にも拘らず、サブ制御基板220のCPU221による1回の演出制御処理では、特図保留数が増加した(例えば特図保留数=2になった)後に減少した(例えば特図保留数=1になった)ものとして処理される。
これでは、遊技進行過程における実際の特図保留数の変遷、すなわち主制御基板200側の特図保留の増減順序と、サブ制御基板220側の特図保留(保留情報)の増減順序とが一致せず、「主制御基板200のRAM203が記憶する特図保留」と「サブ制御基板220のRAM223が記憶する保留情報」とが整合しなくなる。その結果、「実際の特図保留の記憶状況」と「演出表示装置27の保留表示領域27eに表示される保留図柄の種類や数」との不整合が生じる。このような現象は、主制御基板200のCPU201におけるタイマ割り込みの発生タイミングと、サブ制御基板220のCPU221におけるタイマ割り込みの発生タイミングとが一致(同期)しない場合に発生し得るもので、そのタイミングのズレが大きくなるほど発生可能性が高くなる。
この点につき、図32(a)に基づき詳しく説明する。主制御基板200において、特図保留の保留1として「外れ保留」、保留2として「リーチ保留」が記憶されている状態で、特別図柄の変動表示の開始に係る処理を1回の遊技制御処理で行うと(☆)、保留1の「外れ保留」に基づく特別図柄の変動表示の開始に伴い「リーチ保留」が保留1にシフトされるとともに、現在の特図保留数が「1」であることを指定する変動開始時コマンドがサブ制御基板220に送信される。その後、次の遊技制御処理において、新たな特図保留の記憶に係る処理を行い(○)、その特図保留が「大当り保留」であると、その「大当り保留」が特図保留の保留2として記憶されるとともに、事前判定の結果が大当り(大当り保留)であることと現在の特図保留数が「2」であることを指定する保留発生時コマンドがサブ制御基板220に送信される。これらの処理の結果として、2つの特図保留、すなわち、古い方から「リーチ保留」(保留1)、「大当り保留」(保留2)が主制御基板200のRAM203に記憶される。
これに対して、演出表示装置27の保留表示領域27eには、主制御基板200から送信される上述のコマンドに対応する処理をサブ制御基板220のCPU220が行うまで、保留1として「外れ保留」に対応する「通常保留図柄」が表示され、保留2として「リーチ保留」に対応する「キャラクタA保留図柄」が表示されている。この状態で、連続する2回の遊技制御処理によって主制御基板200から「変動開始時コマンド」「保留発生時コマンド」の順で各コマンドが送信されると、それに対応するサブ制御基板220側の処理として、CPU221は、主制御基板200から後の遊技制御処理で送信された「保留発生時コマンド」に基づく処理(特図保留の記憶に係る処理)を、1回の演出制御処理(保留表示処理)で先に行う(●)。この場合の保留発生時コマンドには、事前判定の結果が「大当り」であることを示す情報および現在の特図保留数が「2」であることを示す情報が含まれているので、サブ制御基板220のCPU221は、保留情報として「保留2(保留数情報)・大当り(先読み情報)」を記憶する。これに伴い、保留2(大当り保留)に対応する保留図柄を「キャラクタB保留図柄」に決定する。
その後、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200から先の遊技制御処理で送信された「変動開始時コマンド」に基づく処理(特別図柄の変動表示の開始に係る処理)を、同一の演出制御処理(保留表示処理)で行う(★)。この処理では、現在記憶している保留情報をシフトして、「保留1(保留数情報)・大当り(先読み情報)」に保留情報の記憶内容を更新する。そして、この保留情報(保留1・大当り)に対応する「キャラクタB保留図柄」を演出表示装置27の保留表示領域27eに表示する。尚、この場合の「変動開始時コマンド」で指定される特図保留数は「1」であり、その数はサブ制御基板220のRAM223に記憶されるシフト処理後の保留情報の数(保留1)と一致しているので、サブ制御基板220のCPU221では、以上の処理が正常なものとして扱われる。
以上のように、従来のパチンコ機では、実際の特図保留数が「2」であり、そのうちの保留1が「リーチ保留」、保留2が「大当り保留」であるにも拘わらず、サブ制御基板220のRAM223(保留情報記憶領域)に記憶される保留情報は「保留1(保留数情報)・大当り(先読み情報)」となり、演出表示装置10の保留表示領域27eには保留1として「大当り保留」に対応する「キャラクタB保留図柄」が表示されることとなる。これでは、「特図保留に関する正確な情報」を遊技者に提供できなくなってしまう。そこで、本実施例のパチンコ機1では、図26および図27を用いて前述したように、サブ制御基板220のCPU221における演出制御処理では、主制御基板200のCPU201における遊技制御処理とは逆に、特別図柄の変動表示の開始に係る処理(図26)を先に行い、特図保留の記憶に係る処理(図27のS6020〜S6038)を後に行うこととしている。
すなわち、図32(b)に示すように、本実施例のパチンコ機1における主制御基板200のCPU201が、図32(a)に示す従来のパチンコ機と同様に、一のタイマ割り込みに基づく遊技制御処理と、それに続く次のタイマ割り込みに基づく遊技制御処理との2回の遊技制御処理にまたがって、「第1変動開始時コマンド」「第1保留発生時コマンド」の順で各コマンドをサブ制御基板220に送信したとする。この場合において、連続する2回の遊技制御処理で送信された「第1変動開始時コマンド」および「第1保留発生時コマンド」を、サブ制御基板220のCPU221が1回の演出制御処理(一のタイマ割り込み処理)で受信したものとして扱うと、その1回の演出制御処理では、主制御基板200のCPU201による先の遊技制御処理で送信された「第1変動開始時コマンド」に対応する「特別図柄の変動表示の開始に係る処理」(★)が先に行われ、後の遊技制御処理で送信された「第1保留発生時コマンド」に対応する「特図保留の記憶に係る処理」(●)が後に行われる。つまり、本実施例のパチンコ機1では、遊技進行過程における実際の特図保留数の変遷に相当する「主制御基板200側の特図保留の増減順序」と、「サブ制御基板220側の特図保留(保留情報)の増減順序」とが一致する。
具体的には、図32(b)に示すように、演出表示装置27の保留表示領域27eには、主制御基板200から順次送信される「第1変動開始時コマンド」および「第1保留発生時コマンド」に係る処理をサブ制御基板220のCPU220が行うまで、保留1として「外れ保留」に対応する「通常保留図柄」が表示され、保留2として「リーチ保留」に対応する「キャラクタA保留図柄」が表示されている。この状態で、連続する2回の遊技制御処理によって主制御基板200から「変動開始時コマンド」「保留発生時コマンド」の順で各コマンドが送信されると、それに対応するサブ制御基板220側の処理として、CPU221は、主制御基板200から先の遊技制御処理で送信された「第1変動開始時コマンド」に基づく処理(特別図柄の変動表示の開始に係る処理)を1回の演出制御処理(保留表示処理)で先に行う(★)。この処理では、保留情報をシフトして、特図保留数「1」に対応する保留1が「リーチ保留(リーチあり外れ)」となるように保留情報の記憶内容を更新する。
その後、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200から後の遊技制御処理で送信された「第1保留発生時コマンド」に基づく処理(特図保留の記憶に係る処理)を、同一の演出制御処理(保留表示処理)で行う(●)。この場合の第1保留発生時コマンドには、事前判定の結果が「大当り」であることを示す情報および現在の特図保留数が「2」であることを示す情報が含まれているので、サブ制御基板220のCPU221は、保留情報として「保留2(保留数情報)・大当り(先読み情報)」を記憶する。また、これに伴い、保留2(大当り保留)に対応する保留図柄を「キャラクタB保留図柄」に決定する。そして、この保留情報(「保留1・リーチあり外れ」、「保留2・大当り」)に対応する保留図柄として、保留1(リーチ保留)に対応する「キャラクタA保留図柄」および保留2(大当り保留)に対応する「キャラクタB保留図柄」を、演出表示装置27の保留表示領域27eに表示する。
以上のように、本実施例のパチンコ機1では、保留1が「リーチ保留」であり、保留2が「大当り保留」である2つの特図保留に対応して、演出表示装置27の保留表示領域27eには、保留1として「リーチ保留」に対応する「キャラクタA保留図柄」が表示され、保留2として「大当り保留」に対応する「キャラクタB保留図柄」が表示される。すなわち、「主制御基板200のRAM203が記憶する特図保留」と「サブ制御基板220のRAM223が記憶する保留情報」との対応関係が一致する(整合する)ことで、「実際の特図保留の記憶状況」と「演出表示装置27の保留表示領域27eに表示される保留図柄の種類や数」との整合は保たれることとなる。これにより、遊技進行過程において、特別図柄が変動表示を開始した直後(4msec後)に、遊技球が始動口17aに入球して特図保留が1つ増加したとしても、「特図保留に関する正確な情報」を遊技者に提供することができる。
一方、本実施例のパチンコ機1では、主制御基板200のCPU201における1回の遊技制御処理で「特図保留の記憶に係る処理」(図10のS250)および「特別図柄の変動表示の開始に係る処理」(図10のS300)の両方が行われた場合、すなわち、遊技進行過程において「始動口17aへの遊技球の入球(新たな特図保留の記憶)」と「特別図柄の変動表示の開始」とが同時(4msec以内)に発生した場合には、「特図保留に関する正確な情報」を遊技者に提供できなくなる虞がある。
図33は、そのような問題が発生する原因を説明するための説明図である。図33に示すように、主制御基板200のCPU201が、1回の遊技制御処理で「特図保留の記憶に係る処理」として特図保留の記憶に伴う第1保留発生時コマンドを送信する(○)とともに、「特別図柄の変動表示の開始に係る処理」として特別図柄の変動表示の開始に伴う第1変動開始時コマンドを送信した(☆)とする。すなわち、一のタイマ割り込みに基づく遊技制御処理において「第1保留発生時コマンド」「第1変動開始時コマンド」の順で各コマンドがサブ制御基板220に送信されたとする。このようなコマンド送信のケースは、「始動口17aへの遊技球の入球(新たな特図保留の記憶)」と「特別図柄の変動表示の開始」とが同じタイミング(4msec以内)で発生した場合に起こり得る。
この場合において、1回の遊技制御処理で送信された「第1保留発生時コマンド」および「第1変動開始時コマンド」を、サブ制御基板220のCPU221が1回の演出制御処理で受信したものとして扱うと、その1回の演出制御処理では、CPU201による1回の遊技制御処理で後に送信された「第1変動開始時コマンド」に対応する「特別図柄の変動表示の開始に係る処理」(★)が先に行われ、それと同じ遊技制御処理で先に送信された「第1保留発生時コマンド」に対応する「特図保留の記憶に係る処理」(●)が後に行われることとなる。つまり、主制御基板200のCPU201における1回の遊技制御処理で、特図保留数が増加した(例えば特図保留数=3になった)後に減少した(例えば特図保留数=2になった)にも拘らず、サブ制御基板220のCPU221による1回の演出制御処理では、特図保留数が減少した(例えば特図保留数=2になった)後に増加した(例えば特図保留数=3になった)ものとして処理される。これでは、主制御基板200側の1回の割り込み処理(遊技制御処理)における特図保留の増減順序(処理順序)と、サブ制御基板220側の1回の割り込み処理(演出制御処理)における特図保留(保留情報)の増減順序(処理順序)とが一致せず、「主制御基板200のRAM203が記憶する特図保留」と「サブ制御基板220のRAM223が記憶する保留情報」とが整合しなくなる。その結果、「実際の特図保留の記憶状況」と「演出表示装置27の保留表示領域27eに表示される保留図柄の種類や数」との不整合が生じる。
この点につき、図33に基づき詳しく説明する。主制御基板200のRAM203に特図保留の保留1として「外れ保留」、保留2として「リーチ保留」が記憶されている状態で、新たな特図保留の記憶に係る処理を行い(○)、その特図保留が「大当り保留」であると、その「大当り保留」が特図保留の保留3として記憶されるとともに、事前判定結果が大当り(大当り保留)であることと現在の特図保留数が「3」であることを指定する第1保留発生時コマンドがサブ制御基板220に送信される。その後、特別図柄の変動表示の開始に係る処理を行うと(☆)、保留1の「外れ保留」に基づく特別図柄の変動表示が開始されて、「リーチ保留」が保留1、「大当り保留」が保留2にそれぞれシフトされるとともに、現在の特図保留数が「2」であることを指定する第1変動開始時コマンドが送信される。これらの処理の結果として、2つの特図保留すなわち、保留1として「リーチ保留」、保留2として「大当り保留」が主制御基板200のRAM203に記憶された状態となる。
これに対して、演出表示装置27の保留表示領域27eには、主制御基板200から送信される上述のコマンドに係る処理をサブ制御基板220のCPU220が行うまで、保留1として「外れ保留」に対応する「通常保留図柄」が表示され、保留2として「リーチ保留」に対応する「キャラクタA保留図柄」が表示されている。この状態で、1回の遊技制御処理によって主制御基板200から「第1保留発生時コマンド」「第1変動開始時コマンド」の順で各コマンドが送信されると、それに対応するサブ制御基板220側の処理として、CPU221は「第1変動開始時コマンド」に基づく処理(★:特別図柄の変動表示の開始に係る処理)と、「第1保留発生時コマンド」に基づく処理(●:特図保留の記憶に係る処理)とを、その順序で1回の演出制御処理で行う。そのうち、先に行う「第1変動開始時コマンド」に基づく処理(★)では、RAM223(保留情報記憶領域)に記憶されている保留情報をシフトして、「保留1(保留数情報)・リーチあり外れ(先読み情報)」に更新する。このとき、「第1変動開始時コマンド」に含まれる現在の特図保留数は「2」であることから、シフト後の保留情報に含まれる保留数情報「保留1」との不整合が生ずる。
また、上述の1回の演出制御処理のうち後で行う「第1保留発生時コマンド」に基づく処理(●)では、事前判定の結果が「大当り」であることを示す情報および現在の特図保留数が「3」であることを示す情報が「第1保留発生時コマンド」に含まれているので、それらの情報に基づき、保留情報として「保留3(保留数情報)・大当り(先読み情報)」を記憶する。これに伴い、保留3(大当り保留)に対応する保留図柄を「キャラクタB保留図柄」に決定する。これにより、RAM223(保留情報記憶領域)に記憶されている保留情報は、「保留1(保留数情報)・リーチあり外れ(先読み情報)」と「保留3(保留数情報)・大当り(先読み情報)」の2つとなり、「保留1」と「保留3」の間の「保留2」に係る保留情報が間引かれた状態となる。
以上のように、1回の遊技制御処理で「第1保留発生時コマンド」および「第1変動開始時コマンド」を主制御基板200からサブ制御基板220に送信すると、主制御基板200のRAM203で記憶される特図保留数は「2」であり、その内訳が「保留1・リーチ保留」、「保留2・大当り保留」であるにも拘わらず、サブ制御基板220のRAM223(保留情報記憶領域)に記憶される保留情報は「保留1(保留数情報)・リーチあり外れ(先読み情報)」および「保留3(保留数情報)・大当り(先読み情報)」となり、「保留2」に係る保留情報が存在しないこととなる。この状態では、演出表示装置27の保留表示領域27eに、保留1として「リーチ保留」に対応する「キャラクタA保留図柄」が表示されるとともに、保留3として「大当り保留」に対応する「キャラクタB保留図柄」が表示され、「保留2」に対応する保留図柄が表示されない状況となってしまう。このように、「特図保留の記憶」および「特別図柄の変動表示の開始」が1回の遊技制御処理で発生する場合、すなわち「始動口17aへの遊技球の入球(新たな特図保留の記憶)」と「特別図柄の変動表示の開始」とが同じタイミングで発生した場合には、「主制御基板200のRAM203が記憶する特図保留」と「サブ制御基板220のRAM223が記憶する保留情報」とに不整合が生じ、「特図保留に関する正確な情報」を遊技者に提供できなくなってしまうという問題がある。
そこで、本実施例のパチンコ機1では、図11および図15を用いて前述したように、主制御基板200のCPU201は、「特図保留の記憶」および「特別図柄の変動表示の開始」が1回の遊技制御処理で発生する場合は、第1保留発生時コマンドおよび第1変動開始時コマンドに代えて、第2保留発生時コマンド(図11のS270)および第2変動開始時コマンド(図15のS3164)を送信することとしている。そして、サブ制御基板220のCPU221は、第2保留発生時コマンドおよび第2変動開始時コマンドを受信すると、それらコマンドに基づき「特図保留の記憶」および「特別図柄の変動表示の開始」が1回の遊技制御処理で発生したことを認識して、上述の問題の発生を回避するための以下の処理を行う。
D−2−2.1回の遊技制御処理で「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」の両方が発生する場合の保留表示処理 :
図26を用いて前述したように、サブ制御基板220のCPU221は、第1変動開始時コマンドを受信した場合は(S6004:no)、保留情報のシフト処理(S6006)を行った。これに対して、第2変動開始時コマンドを受信した場合は(S6004:no)、保留情報のシフト処理を行わず、S6020以降の処理(図27)に移行する。つまり、第2変動開始時コマンドを受信した場合は、「特別図柄の変動表示の開始に対応する保留表示処理」を行わない。
また、図27を用いて前述したように、第1保留発生時コマンドを受信した場合は(S6036:no)、S6021の処理で記憶した保留情報を含むRAM223(保留情報記憶領域)の保留情報記憶状況をそのまま維持して、S6032の処理で決定した保留図柄を表示する処理(S6040)を行った。これに対して、第2保留発生時コマンドを受信した場合は(S6036:yes)、S6021の処理で記憶した保留情報を含めて、RAM223(保留情報記憶領域)に記憶されている保留情報のシフト処理を行う(S6038)。
図34は、主制御基板200のCPU201における1回の遊技制御処理で「第2変動開始時コマンド」および「第2保留発生時コマンド」が送信された場合を例示する説明図である。図34において、主制御基板200のCPU201による遊技制御処理は、第1保留発生時コマンドに代えて第2保留発生時コマンドを送信し、第1変動開始時コマンドに代えて第2変動開始時コマンドを送信する以外は、図33を用いて前述した処理と同じである。よって「第2変動開始時コマンド」および「第2保留発生時コマンド」が送信された時点で主制御基板200のRAM203に記憶されている特図保留数は「2」であり、その内訳は「保留1・リーチ保留」、「保留2・大当り保留」となっている。
一方、演出表示装置27の保留表示領域27eには、主制御基板200から1回の遊技制御処理で順に送信される「第2保留発生時コマンド」および「第2変動開始時コマンド」に係る処理をサブ制御基板220のCPU220が行うまで、保留1として「外れ保留」に対応する「通常保留図柄」が表示され、保留2として「リーチ保留」に対応する「キャラクタA保留図柄」が表示されている。この状態で、1回の遊技制御処理によって主制御基板200から「第2保留発生時コマンド」「第2変動開始時コマンド」の順で各コマンドが送信されると、それに対応するサブ制御基板220側の処理として、CPU221は「第2変動開始時コマンド」に基づく処理(★:特別図柄の変動表示の開始に係る処理)を行わず、「第2保留発生時コマンド」に基づく処理(●:特図保留の記憶に係る処理)だけを行う。すなわち、この場合の第2保留発生時コマンドには、事前判定の結果が「大当り」であることを示す情報および現在の特図保留数が「3」であることを示す情報が含まれているので、サブ制御基板220のCPU221は、保留情報として「保留3(保留数情報)・大当り(先読み情報)」を記憶する。また、これに伴い、保留3(大当り保留)に対応する保留図柄を「キャラクタB保留図柄」に決定する。続いて、「第2保留発生時コマンド」には、「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」が1回の遊技制御処理で発生することを示す情報が含まれているので、その情報に基づき、RAM223(保留情報記憶領域)に記憶されている保留情報をシフトさせる処理を行う。この結果、シフト処理後の保留情報は「保留1(保留数情報)・リーチあり外れ(先読み情報)」「保留2(保留数情報)・大当り(先読み情報)」となり、この保留情報に基づき、演出表示装置27の保留表示領域27eには、保留1として「リーチ保留」に対応する「キャラクタA保留図柄」が表示され、保留2として「大当り保留」に対応する「キャラクタB保留図柄」が表示される。このときの保留表示の内容、すなわちRAM223(保留情報記憶領域)に記憶されている保留情報(「保留1・リーチあり外れ」および「保留2・大当り」)は、主制御基板200のRAM203に記憶されている特図保留(「保留1・リーチ保留」および「保留2・大当り保留」)と一致する。
以上のように、「特図保留の記憶」および「特別図柄の変動表示の開始」が1回の遊技制御処理で発生した場合、すなわち「始動口17aへの遊技球の入球(新たな特図保留の記憶)」と「特別図柄の変動表示の開始」とが同時に発生した場合であっても、「主制御基板200のRAM203が記憶する特図保留」と「サブ制御基板220のRAM223が記憶する保留情報」とに不整合が生じることがなく、「特図保留に関する正確な情報」を遊技者に提供することが可能となる。
また、第2変動開始時コマンドを受信したときは保留情報のシフト処理を行わず、第2保留発生時コマンドを受信したときに、前述した第1保留発生時コマンドを受信したときと同様の保留情報の記憶処理、および第1変動開始時コマンドを受信したときと同様の保留情報のシフト処理を行うので、保留情報に対して特別な態様の処理を行う必要がなく、保留表示処理用のプログラムが膨大になることを防止するとともに、処理の安定化を図ることが可能となる。
尚、サブ制御基板220に搭載されたCPU221が上述した処理を実行することによって、本発明における「保留増加確認処理」、「保留減少確認処理」が実行される。
E.変形例 :
上述の実施例では、「特図保留の記憶」および「特別図柄の変動表示の開始」が1回の遊技制御処理で発生する場合に、第1保留発生時コマンドおよび第1変動開始時コマンドに代えて、第2保留発生時コマンドおよび第2変動開始時コマンドに係る処理を行う構成について説明した。この構成とは別に、「特図保留の記憶」および「特別図柄の変動表示の開始」が1回の遊技制御処理で発生する場合に、第1変動開始時コマンドをそのまま利用し、第1保留発生時コマンドに代えて第2保留発生時コマンドに係る処理を行う構成としてもよい(変形例)。
図35は、主制御基板200のCPU201における1回の遊技制御処理で「第2保留発生時コマンド」および「第1変動開始時発生コマンド」が送信された場合(変形例)を例示する説明図である。図35において、主制御基板200のCPU201による遊技制御処理は、第1保留発生時コマンドに代えて第2保留発生時コマンドを送信する以外は、図33を用いて前述した処理と同じである。
図35に示すように、演出表示装置27の保留表示領域27eには、主制御基板200から1回の遊技制御処理で順に送信される「第2保留発生時コマンド」および「第1変動開始時コマンド」に係る処理をサブ制御基板220のCPU220が行うまで、保留1として「外れ保留」に対応する「通常保留図柄」が表示され、保留2として「リーチ保留」に対応する「キャラクタA保留図柄」が表示されている。この状態で、1回の遊技制御処理によって主制御基板200から「第2保留発生時コマンド」および「第1変動開始時コマンド」の順で各コマンドが送信されると、それに対応するサブ制御基板220側の処理として、CPU221は1回の演出制御処理(保留表示処理)で「第1変動開始時コマンド」に基づく処理(★:特別図柄の変動表示の開始に係る処理)を先に行い、その後、同一の演出制御処理(保留表示処理)で「第2保留発生時コマンド」に基づく処理(●:特図保留の記憶に係る処理)を行う。そのうち、先に行う「第1変動開始時コマンド」に基づく処理(★)では、RAM223(保留情報記憶領域)に記憶されている保留情報をシフトして、「保留1(保留数情報)・リーチあり外れ(先読み情報)」に更新する。このとき、「第1変動開始時コマンド」に含まれる現在の特図保留数は「2」であることから、シフト後の保留情報に含まれる保留数情報「保留1」との不整合が生ずる。この処理までは、図33を用いて前述した処理と同じである。
また、上述の1回の演出制御処理のうち後で行う「第2保留発生時コマンド」に基づく処理(●)では、事前判定の結果が「大当り」であることを示す情報および現在の特図保留数が「3」であることを示す情報が「第2保留発生時コマンド」に含まれているので、それらの情報に基づき、保留情報として「保留3(保留数情報)・大当り(先読み情報)」を記憶する。これに伴い、保留3(大当り保留)に対応する保留図柄を「キャラクタB保留図柄」に決定する。これにより、RAM223(保留情報記憶領域)に記憶されている保留情報は、「保留1(保留数情報)・リーチあり外れ(先読み情報)」と「保留3(保留数情報)・大当り(先読み情報)」の2つとなり、「保留1」と「保留3」の間の「保留2」に係る保留情報が間引かれた状態となる。
さらに、「第2保留発生時コマンド」には、「特図保留の記憶」と「特別図柄の変動表示の開始」が1回の遊技制御処理で発生することを示す情報が含まれているので、その情報に基づき、サブ制御基板220のCPU221は、RAM223(保留情報記憶領域)に記憶されている保留情報のうち今回記憶した新たな保留情報のみ、その記憶順序(保留発生順序)を1つ繰り上げる(古い保留側へ1つ移動させる)処理を行う。すなわち、図34を用いて前述した「第2保留発生時コマンド」の受信に基づく「保留情報のシフト処理」では、その処理の時点でRAM223(保留情報記憶領域)に記憶されているすべての保留情報をシフトしたが、本変形例では、今回記憶した新たな保留情報のみをシフトする。これにより、「保留1」と「保留3」の間の「保留2」に係る保留情報が間引きされた状態が解消され、「保留1(保留数情報)・リーチあり外れ(先読み情報)」と「保留2(保留数情報)・大当り(先読み情報)」の2つの保留情報がRAM223(保留情報記憶領域)に記憶される。また、このとき記憶されている保留情報の数「2」は、先の「第1変動開始時コマンド」に含まれる現在の特図保留数「2」と一致することから、先の「第1変動開始時コマンド」に基づく処理(★)の結果として生じた「特図保留数」と「「保留情報」との不整合(特図保留数「2」、保留数情報「保留1」)も解消される。
こうしてRAM223(保留情報記憶領域)に記憶された保留情報、すなわち「保留1(保留数情報)・リーチあり外れ(先読み情報)」および「保留2(保留数情報)・大当り(先読み情報)」の2つの保留情報に基づき、演出表示装置27の保留表示領域27eには、保留1として「リーチ保留」に対応する「キャラクタA保留図柄」が表示されるとともに、保留2として「大当り保留」に対応する「キャラクタB保留図柄」が表示される。このときの保留表示の内容は、主制御基板200のRAM203に記憶されている特図保留(「保留1・リーチ保留」および「保留2・大当り保留」)と一致する。
以上のように、本変形例を採用しても「主制御基板200のRAM203が記憶する特図保留」と「サブ制御基板220のRAM223が記憶する保留情報」とに不整合が生じることがなく、「特図保留に関する正確な情報」を遊技者に提供することが可能となる。
また、「特図保留の記憶」および「特別図柄の変動表示の開始」が1回の遊技制御処理で発生する場合でも、変動開始時コマンドとしては「第1変動開始時コマンド」を送受信するので、特別な変動開始時コマンドを処理する必要がなく、保留表示処理用のプログラムが膨大になることを防止するとともに、処理の安定化を図ることが可能となる。
以上、本発明について実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。