JP5381779B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
内燃機関の空燃比を精度良く制御するためには、筒内に流入する空気量を正確に推定し、その筒内流入空気量に基づいて燃料噴射量を計算することが必要となる。
内燃機関に用いられる熱式等のエアフローメータは、定常状態においては、質量流量を高精度に検出することができるので、筒内流入空気量を精度良く求めることができる。しかしながら、エアフローメータは、それ自体が流量変化に対して応答遅れを持っていることに加えて、筒内から遠い位置(スロットルより上流側)にあるので、筒内への流入量を直接検出している訳ではない。このため、流量が変化する過渡運転時には、筒内流入空気量を精度良く検出することができない。
これに対し、内燃機関の吸気系を構成するスロットル、インテークマニホールド、吸気弁等の各要素の物理モデルを組み合わせて吸気系全体をモデル化した吸気系モデルを用いて筒内流入空気量を推定し、その推定された筒内流入空気量に基づいて燃料噴射量を算出する技術が知られている。この技術によれば、過渡運転時の筒内流入空気量を精度良く推定することができる。
吸気系モデルを用いて筒内流入空気量を推定する技術は、自然吸気式の内燃機関だけでなく、過給機付き内燃機関にも応用されている(例えば、特許文献1参照)。また、過給機付き内燃機関の吸気系モデルとしては、過給機のコンプレッサの物理モデルであるコンプレッサモデルと、インタークーラの物理モデルであるインタークーラーモデルとを更に備えたものも知られている。
特開2009−197711号公報
吸気系モデルを用いた内燃機関の制御装置では、エアフローメータによって検出される流量に基づいて、モデル誤差を補償する補正処理を行うようにしている。自然吸気式の内燃機関の場合には、この補正処理を行うことにより、定常状態、過渡状態の何れにおいても、筒内流入空気量を精度良く推定することができ、空燃比を精度良く制御することができる。
しかしながら、本発明者の知見によれば、過給機付き内燃機関に吸気系モデルを適用した制御装置においては、エアフローメータ流量に基づいてモデル誤差を補償する補正処理を行った場合であっても、例えば車両の発進加速時のような、低負荷領域からの加速過渡時においては、筒内流入空気量の推定精度が悪化する場合があり、その場合、空燃比の制御精度が悪化するという問題がある。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、過給機付き内燃機関の筒内流入空気量を吸気系の物理モデルを用いて推定して燃料噴射量を算出する装置であって、低負荷領域からの加速過渡時の空燃比制御精度を向上することのできる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の制御装置であって、
吸入空気を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサの下流側に配置されたインタークーラーと、前記インタークーラーの下流側に配置されたスロットルとを含む吸気系を備えた内燃機関を制御する装置であって、
前記吸気系の各要素の物理モデルを組み合わせて前記吸気系の全体をモデル化した吸気系モデルを記憶した記憶手段と、
前記吸気系モデルを用いて前記内燃機関の筒内流入空気量を算出する筒内流入空気量算出手段と、
前記コンプレッサの上流側に設置されたエアフローメータと、
前記エアフローメータにより検出されるエアフローメータ流量に基づいて、前記筒内流入空気量算出手段の算出過程における所定の計算値を補正するモデル誤差補正手段と、
前記モデル誤差補正手段による補正後の筒内流入空気量に基づいて燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、
前記モデル誤差補正手段による補正後の筒内流入空気量と実際の筒内流入空気量との間の誤差であって、所定の低負荷領域からの加速過渡時に生じ得る誤差である過渡空気量誤差が所定の許容範囲を超えるか否かを事前に予測する過渡誤差予測手段と、
前記過渡空気量誤差が前記許容範囲を超えると予測された場合に、前記加速過渡時に前記燃料噴射量算出手段により算出された燃料噴射量を補正する過渡誤差補正手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記過渡誤差予測手段は、前記吸気系モデルを用いて算出される第1のインタークーラー圧力と、前記エアフローメータ流量に基づいて算出される第2のインタークーラー圧力との差の絶対値と、所定の判定値とを比較することにより、前記過渡空気量誤差が前記許容範囲を超えるか否かを予測することを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記過渡空気量誤差は、前記吸気系モデルを用いて算出されるスロットル流量であるモデルスロットル流量の誤差、または、前記エアフローメータ流量の誤差に起因して生ずるものであることを特徴とする。
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、
前記過渡誤差補正手段は、
前記過渡空気量誤差が、実際の筒内流入空気量を上回る方向の誤差であるか下回る方向の誤差であるかを判定する手段と、
前記過渡空気量誤差が、実際の筒内流入空気量を上回る方向の誤差であると判定された場合に、前記燃料噴射量を減量補正する手段と、
前記過渡空気量誤差が、実際の筒内流入空気量を下回る方向の誤差であると判定された場合に、前記燃料噴射量を増量補正する手段と、
を含むことを特徴とする。
また、第5の発明は、第1乃至第4の発明の何れかにおいて、
前記過渡空気量誤差の原因が、前記エアフローメータ流量の誤差と、前記モデルスロットル流量の誤差との何れにあるかを判定する誤差要因判定手段と、
前記過渡空気量誤差の原因が前記エアフローメータ流量の誤差にあると判定された場合に、前記エアフローメータの出力信号と前記エアフローメータ流量との関係を表すマップを修正するエアフローメータ修正手段と、
前記過渡空気量誤差の原因が前記モデルスロットル流量の誤差にあると判定された場合に、前記スロットルの物理モデルであるスロットルモデルを修正するスロットルモデル修正手段と、
を備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、過給機付き内燃機関の筒内流入空気量を吸気系の物理モデルを用いて推定して燃料噴射量を算出する装置において、低負荷領域からの加速過渡時に筒内流入空気量の推定精度が低下するかどうかを事前に予測し、精度低下が予測された場合には、低負荷領域からの加速過渡時に燃料噴射量を補正することができる。このため、低負荷領域からの加速過渡時においても、優れた空燃比制御精度が得られる。
第2の発明によれば、低負荷領域からの加速過渡時に筒内流入空気量の推定精度が低下するかどうかを正確且つ容易に予測することができる。
第3の発明によれば、モデルスロットル流量の誤差またはエアフローメータ流量の誤差に起因して、低負荷領域からの加速過渡時に筒内流入空気量の推定精度低下が生じた場合であっても、空燃比制御精度の低下を確実に回避することができる。
第4の発明によれば、低負荷領域からの加速過渡時に筒内流入空気量の推定精度低下が生じた場合に、燃料噴射量を適切に補正することができる。このため、空燃比制御精度の低下を確実に回避することができる。
第5の発明によれば、低負荷領域からの加速過渡時における筒内流入空気量の推定精度低下の原因が、エアフローメータ流量の誤差と、モデルスロットル流量の誤差との何れにあるかを判定し、その判定結果に基づいて、エアフローメータ流量マップまたはスロットルモデルを修正することができる。これにより、モデルスロットル流量とエアフローメータ流量との誤差が生じにくくなるので、低負荷領域からの加速過渡時を含め、幅広い運転条件において、筒内流入空気量の推定精度を更に向上することができる。よって、空燃比制御精度を更に向上することができる。また、スロットル特性やエアフローメータ特性の経年変化の影響をキャンセルすることができるので、経年変化が生じた場合でも優れた空燃比制御精度を確実に維持することができる。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。 ECUが筒内流入空気量mを算出する際の計算値の流れを示す機能ブロック図である。 関数Φ(P/Pic)のグラフを示す図である。 エアフローメータ流量AFMがモデルスロットル流量より大きくなるような誤差が生じている場合の低負荷定常状態におけるインタークーラー圧力Picおよび吸気管圧力Pの計算値を説明するための図である。 低負荷領域からの加速過渡時に生ずる吸気管圧力Pの誤差を実測したデータを示す図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。図1に示すように、本発明の実施の形態1のシステムは、内燃機関10を備えている。内燃機関10の各気筒には、ピストン12と、吸気弁14と、排気弁16と、点火プラグ18と、吸気ポートに燃料を噴射する燃料インジェクタ20とが設けられている。吸気通路22は、サージタンク36および吸気管38を有するインテークマニホールドを介して、各気筒の吸気ポートに接続されている。また、排気通路24は、排気管40を有するエギゾーストマニホールドを介して、各気筒の排気ポートに接続されている。
また、本実施形態の内燃機関10には、ターボ過給機26が備えられている。ターボ過給機26は、吸気通路22の途中に配置されたコンプレッサ26aと、排気通路24の途中に配置されたタービン26bとを有している。排気通路24を流れる排気ガスのエネルギーによってタービン26bが回転することにより、同軸上に設けられたコンプレッサ26aも回転する。コンプレッサ26aが回転することにより、吸入空気が圧縮される。
コンプレッサ26aより上流側の吸気通路22には、エアクリーナ28と、吸入空気量を検出するエアフローメータ30とが設置されている。コンプレッサ26aより下流側の吸気通路22には、インタークーラー32と、電子制御式のスロットル34とが上流側からこの順で設置されている。タービン26bより下流側の排気通路24には、排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサ46と、排気ガス中の有害成分を浄化する触媒42とが設置されている。
本実施形態のシステムは、更に、ECU(Electronic Control Unit)50を備えている。ECU50には、上述した各種のセンサおよびアクチュエータのほか、内燃機関10のクランクシャフトの回転角を検出するクランク角センサ48などが電気的に接続されている。
ECU50は、上述した吸気系の各要素の物理モデル(サブモデル)を組み合わせて構成される吸気系モデルを用いて、筒内流入空気量(以下、記号mで表す)の推定値を算出し、その算出された筒内流入空気量mと目標空燃比とに基づいて、燃料インジェクタ20から噴射すべき燃料噴射量を算出する。図2は、ECU50が筒内流入空気量mを算出する際の計算値の流れを示す機能ブロック図である。図2中および以下では、大気圧をP、コンプレッサ26aの上流側の圧力をPac、インタークーラー32内の圧力をPic、吸気管38の圧力をP、コンプレッサ26aを通る空気の流量をmcp、スロットル34を通る空気の流量をm、吸気温度をT、インタークーラー32の出口温度をTic、吸気管38内の温度をT、コンプレッサ付与エネルギーをEcp、スロットル34の開度をTA、エアフローメータ30で検出される空気流量をAFMとする。
まず、各サブモデルについて説明する。
(エアクリーナモデル)
エアクリーナモデル(図2中では「エアクリモデル」と略記)は、エアクリーナ28での圧力損失ΔPを計算し、大気圧Pから圧力損失ΔPを減算することで、コンプレッサ上流圧力Pacを算出する。圧力損失ΔPは、ベルヌーイの式に基づき、エアクリーナ流量(=コンプレッサ流量mcp)に応じて算出される。
(コンプレッサモデル)
コンプレッサモデルは、コンプレッサ上流圧力Pac、インタークーラー圧力Pic等を入力とし、経験則および物理法則に基づく式に従って、コンプレッサ流量mcp、コンプレッサ付与エネルギーEcp等を算出する。
(インタークーラーモデル)
インタークーラーモデルは、コンプレッサ流量mcp、スロットル流量m、コンプレッサ付与エネルギーEcp、吸気温度Tを入力とし、物理法則に基づく式に従って、インタークーラー圧力Picおよびインタークーラー出口温度Ticを算出する。
(スロットルモデル)
スロットルモデルは、スロットル開度TA、インタークーラー圧力Pic、インタークーラー出口温度Tic、吸気管圧力Pを入力とし、物理法則に基づく式に従って、スロットル流量mを算出する。
(インテークマニホールドモデル)
インテークマニホールドモデル(図2中では「インマニモデル」と略記)は、スロットル流量m、筒内流入空気量(=吸気弁流量)m、インタークーラー出口温度Ticを入力とし、物理法則に基づく式に従って、吸気管圧力Pおよび吸気管内温度Tを算出する。
(吸気弁モデル)
筒内流入空気量(=吸気弁流量)mと吸気管圧力Pとの関係は、直線で近似できることが経験的に知られている。吸気弁モデルは、吸気管圧力Pを入力とし、経験則に基づく式に従って、筒内流入空気量mを算出する。
以下、図2に示すように、ECU50による計算系統を第1系統101、第2系統102、第3系統103、第4系統104に分けて説明する。第1系統101は、上述した各サブモデルをすべて含む吸気系全体のモデルである。第2系統102は、第1系統101と同様に、上記各サブモデルをすべて含む吸気系全体のモデルであるが、筒内流入空気量mを先読みする点において異なる。実際の内燃機関10において筒内流入空気量mが確定する時点は吸気弁閉弁時である。一方、本実施形態の内燃機関10では、燃料インジェクタ20が吸気弁14より上流側に配置されているので、各サイクルの燃料噴射は少なくとも吸気弁閉弁時よりも前に完了する必要がある。従って、筒内に形成される混合気の空燃比をより正確に目標空燃比に一致させるためには、吸気弁閉弁時よりも前の燃料噴射時にそのサイクルの吸気弁閉弁時の筒内流入空気量mを先読みできることが望ましい。この先読みを可能とするためには、現時点より先の時点のスロットル開度TA、つまり未来のスロットル開度TAを先読みする必要がある。そこで、車両のアクセルペダル操作量等に基づいて算出される目標スロットル開度に対して所定時間だけ遅らせて実際のスロットル開度を動作させる制御を行うことにより、未来のスロットル開度TAを高精度に先読みするようにしている。第2系統102は、その先読みした未来のスロットル開度TA等に基づいて、先読みした吸気弁閉弁時の筒内流入空気量mを算出する。
第3系統103および第4系統104は、吸気系モデルのモデル誤差を、エアフローメータ流量AFMに基づいて補正するためのものである。第3系統103は、インタークーラーモデルから吸気弁モデルまでを含んでいる。第3系統103では、コンプレッサモデルにより算出されるコンプレッサ流量mcpに代えて、エアフローメータ流量AFMをインタークーラーモデルに入力して計算を行う。一方、第4系統104は、インタークーラーモデルから吸気弁モデルまでに加えて、エアフローメータモデル(図2中では「AFMモデル」と略記)を含んでいる。実際のエアフローメータ通過流量と実際のコンプレッサ流量とは等しいと考えられるが、エアフローメータ30は固有の応答特性に基づく応答遅れを有しているので、エアフローメータ流量AFMは、吸気系モデルにより算出されるコンプレッサ流量mcpに対して遅れを持っている。エアフロメータモデルは、エアフローメータ30の応答特性をシミュレートしたモデルであり、入力された流量に対し、エアフローメータ30の応答遅れを考慮した流量を出力する。第4系統104では、第1系統101のコンプレッサモデルにより算出されたコンプレッサ流量mcpをエアフロメータモデルに入力し、エアフロメータモデルの出力値をインタークーラーモデルに入力して計算を行う。これにより、第3系統103と第4系統104との間では、エアフローメータ30の応答遅れの影響をキャンセルすることができる。第3系統103における吸気管圧力Pの計算値epmafmと、第4系統104における吸気管圧力Pの計算値epmcrtsmとの偏差は、吸気系モデル上のコンプレッサ流量mcpがエアフローメータ流量AFMに対して持っている誤差を吸気管圧力Pの差に換算した値(モデル誤差)であるとみなすことができる。図2に示すように、第1系統101では、修正前の吸気管圧力Pの計算値epmcrtに上記偏差を加算することにより、モデル誤差を修正した吸気管圧力Pの計算値epmactを算出し、この計算値epmactを吸気弁モデルに入力することによって、モデル誤差を修正した筒内流入空気量mの計算値eklactを算出する。同様に、第2系統102では、修正前の先読み吸気管圧力Pの計算値epmvlvに上記偏差を加算することにより、モデル誤差を修正した先読み吸気管圧力Pの計算値epmfwdを算出し、この計算値epmfwdを吸気弁モデルに入力することによって、モデル誤差を修正した先読み筒内流入空気量mの計算値eklfwdを算出する。燃料噴射量は、このモデル誤差修正後の先読み筒内流入空気量mの計算値eklfwdに基づいて算出される。
以上、本実施形態における筒内流入空気量mの計算方法の概要について説明したが、各サブモデルやそれらを組み合わせた吸気系モデルによる計算方法、筒内流入空気量の先読み等の詳細については、例えば特開2006−194107号公報、特開2007−239484号公報、特開2009−121356号公報等に記載されており、公知であるため、本明細書においてはこれ以上の説明を原則として省略し、本願発明の特徴部分の記載に必要な事項のみを以下に追加説明する。
上述したように、図2に示す構成によれば、モデル誤差をエアフローメータ流量AFMに基づいて補償することができるので、燃料噴射量算出の基礎となる筒内流入空気量mの推定精度を向上することができ、空燃比制御精度が向上する。しかしながら、例えば車両の発進加速時のような、低負荷領域からの加速過渡時に関しては、それでもなお、筒内流入空気量mの推定精度が悪化する場合がある。低負荷領域からの加速過渡時に筒内流入空気量mの推定精度が悪化する場合の原因は、次のように考えられる。
スロットル34の特性、あるいはエアフローメータ30の特性には、製造時の段階で所定の公差内のばらつきが生ずることは避けられないので、多少の機差ばらつき(個体差)が存在する。また、長期間の使用の間には、スロットル34の作動特性や流量特性に変化が生じたり、エアフローメータ30の出力特性に変化が生じたりする場合もある。このため、スロットル34の実際の特性とスロットルモデルとの間に誤差が存在してスロットル流量mの計算値に誤差が生じたり、エアフローメータ30の出力電圧とエアフローメータ流量AFMとの関係を規定するマップに誤差が存在してエアフローメータ流量AFMに誤差が生じたりする場合がある。本発明者の知見によれば、低負荷領域からの加速過渡時に筒内流入空気量mの推定精度が悪化する原因は、上記の誤差が生ずることにより、第1系統101において算出されるスロットル流量m(以下、「モデルスロットル流量」と称する)と、エアフローメータ流量AFMとが一致しなくなることに起因している。モデルスロットル流量とエアフローメータ流量AFMとが一致しないと、低負荷領域の定常状態において、第1系統101のインタークーラー圧力Picの計算値epiccrtと、第3系統103のインタークーラー圧力Picの計算値epicafmとの誤差が大きくなる。その理由について、以下に説明する。
インタークーラーモデルを構成する質量保存則は、次式で表される。
d(Pic/Tic)/dt=(R/V)・(mcp−m) ・・・(1)
ただし、Rは気体定数、Vはインタークーラー容積である。
インタークーラーモデルを構成するエネルギー保存則は、低負荷領域においては近似的に次式で表される。
dPic/dt=(κ・R/V)・(mcp・T−m・Tic) ・・・(2)
ただし、κは比熱比である。
定常収束時は、上記(1)式および(2)式の値は共にゼロに収束するので、
cp=m ・・・(3)
cp・T=m・Tic ・・・(4)
が成り立つ。また、上記(3)式を上記(4)式に代入することにより、
=Tic ・・・(5)
が成り立つ。
第3系統103では、コンプレッサ流量mcpの代わりにエアフローメータ流量AFMをインタークーラーモデルに入力するので、定常収束時は、上記(3)式により、スロットル流量mはエアフローメータ流量AFMに等しくなる。
スロットルモデルにおいて、スロットル流量mは、次式で算出される。
=μ・A・{Pic/√(R・Tic)}・Φ(P/Pic) ・・・(6)
ただし、μは流量係数、Aはスロットル開口面積である。これらはスロットル開度TAの関数である。また、Φ(P/Pic)は、スロットル下流圧力である吸気管圧力Pとスロットル上流圧力であるインタークーラー圧力Picとの比P/Picの関数である。図3は、関数Φ(P/Pic)のグラフを示す図である。
図3に示すように、関数Φ(P/Pic)は、P/Pic<1/(κ+1)では一定であり、P/Pic>1/(κ+1)では単調減少する。なお、1/(κ+1)の値は約0.4167である。P/Picが1/(κ+1)より大きい領域、すなわち機関負荷が比較的大きい領域では、インタークーラー圧力Picの計算値が変化して、P/Picの値が変化すると、関数Φ(P/Pic)の値が変化するので、スロットル流量mの計算値も大きく変化する。これに対し、P/Picが1/(κ+1)より小さい低負荷領域では、インタークーラー圧力Picの計算値が変化しても、関数Φ(P/Pic)の値が一定であるので、スロットル流量mの計算値の変化は小さい。
定常状態では、上記(5)式により、インタークーラー出口温度Ticは吸気温度Tに等しくなるが、吸気温度Tは大気温度であり、固定値である。よって、低負荷定常状態においては、上記(6)式中、Φ(P/Pic)およびTicの値が不変であり、スロットル開度TAの関数であるμおよびAも不変である。従って、低負荷定常状態においては、スロットル流量mの計算値は、上記(6)式の右辺の因数に現れるPicの影響によってしか変化しないので、インタークーラー圧力Picの計算値の変化に対する、スロットル流量mの計算値の変化が小さい。
図4は、エアフローメータ流量AFMがモデルスロットル流量より大きくなるような誤差が生じている場合の低負荷定常状態における第3系統103のインタークーラー圧力Picおよび吸気管圧力Pの計算値を説明するための図である。図4中、(P/Piccrtは第1系統101におけるP/Picの計算値であり、(P/Picafmは第3系統103におけるP/Picの計算値である。前述したように、定常状態では、第3系統103のスロットル流量mの計算値は、エアフローメータ流量AFMに等しい値に収束する。従って、エアフローメータ流量AFMがモデルスロットル流量より大きい場合の低負荷定常状態において、第3系統103では、上記(6)式で算出されるスロットル流量mを増大させてエアフローメータ流量AFMに一致させるために、インタークーラー圧力Picの計算値epicafmを増大させるように計算が進行する。しかしながら、上述した理由により、低負荷定常状態においては、インタークーラー圧力Picの計算値の増大に対する、スロットル流量mの計算値の増大の感度が小さい。このため、スロットル流量mをエアフローメータ流量AFMに収束させる過程で、インタークーラー圧力Picの計算値epicafmが大きく増大される。その結果、第3系統103のインタークーラー圧力Picの計算値epicafmが、第1系統101のインタークーラー圧力Picの計算値epiccrtより大幅に大きくなり、誤差が大きくなる。
図5は、低負荷領域からの加速過渡時に生ずる吸気管圧力Pの誤差を実測したデータを示す図である。このデータは、吸気管圧力Pが約30kPaである低負荷定常状態から、スロットル34を大きく開いて加速を行ったときのものである。また、このデータは、図4に示す場合と同じく、エアフローメータ流量AFMがモデルスロットル流量より大きい場合のものである。このため、図5の上のグラフに示すように、低負荷定常状態において、第3系統103のインタークーラー圧力Pic(epicafm)が第1系統101のインタークーラー圧力Pic(epiccrt)に対し過大になっている。図5の下のグラフは、第2系統102のモデル誤差修正後の吸気管圧力Pの計算値epmfwdと、実際の吸気管圧力Pとの誤差(以下、「P誤差」と称する)を示している。図5中の楕円で囲った部分が示すように、低負荷領域からの加速過渡時に、P誤差がプラス側に大きく振れている。これは、加速前の低負荷定常状態において第3系統103のインタークーラー圧力Pic(epicafm)が過大に計算されているために、スロットル34が開かれた際、吸気管圧力Pの計算値epmfwdも過大に上昇するためである。この結果、その過大に計算された吸気管圧力P(epmfwd)に基づいて筒内流入空気量m(eklfwd)が算出されるので、この算出された筒内流入空気量m(eklfwd)は実際の値より大きくなる。よって、この筒内流入空気量m(eklfwd)と目標空燃比とに基づいて燃料噴射量を決定すると、燃料噴射量が過大になるので、実際の筒内空燃比が目標空燃比よりリッチ側にずれてしまう。
本実施形態では、上記のような場合に、空燃比のリッチずれを補正するため、加速過渡時の燃料噴射量を減量補正することとした。
以上、図4および図5に基づいて、エアフローメータ流量AFMがモデルスロットル流量より大きくなるような誤差が生じている場合について説明したが、エアフローメータ流量AFMがモデルスロットル流量より小さくなるような誤差が生じている場合には、低負荷領域からの加速過渡時に、上記と逆方向に空燃比ずれが生ずる。すなわち、エアフローメータ流量AFMがモデルスロットル流量より小さい場合には、加速前の低負荷定常状態において、第3系統103のインタークーラー圧力Pic(epicafm)が第1系統101のインタークーラー圧力Pic(epiccrt)に対し過小になる。このために、スロットル34が開かれた際、吸気管圧力Pの計算値epmfwdが過小となり、その過小に計算された吸気管圧力P(epmfwd)に基づいて筒内流入空気量m(eklfwd)が算出されるので、この算出された筒内流入空気量m(eklfwd)は実際の値より小さくなる。よって、この筒内流入空気量m(eklfwd)と目標空燃比とに基づいて燃料噴射量を決定すると、燃料噴射量が過小になるので、実際の筒内空燃比が目標空燃比よりリーン側にずれてしまう。そこで、本実施形態では、この場合には、空燃比のリーンずれを補正するため、加速過渡時の燃料噴射量を増量補正することとした。
なお、P/Picが1/(κ+1)より小さい低負荷領域からの加速過渡時(発進加速時など)以外については、本実施形態のような燃料噴射量の補正を行う必要はない。その理由は、次のとおりである。定常運転状態においては、燃料噴射量算出の基礎となる筒内流入空気量mの計算値eklfwdは、エアフローメータ流量AFMに収束する。このため、エアフローメータ流量AFMに誤差がなければ、空燃比ずれは生じない。また、エアフローメータ流量AFMに誤差がある場合であっても、空燃比センサ46を用いた空燃比フィードバック制御(学習制御を含む)によって空燃比が補正されるので、空燃比ずれは生じない。また、P/Picが1/(κ+1)より大きい領域、すなわち機関負荷が比較的大きい領域では、前述したように、スロットルモデルにおいて、P/Picの変化に対するスロットル流量mの計算値の変化の感度が高いので、第3系統103のインタークーラー圧力Picの計算値epicafmと、第1系統101のインタークーラー圧力Picの計算値epiccrtとが大きく乖離することはない。このため、P/Pic>1/(κ+1)の領域では、過渡時においても筒内流入空気量mの計算値eklfwdの誤差は小さく、補正すべき空燃比ずれは生じない。
図6は、上述した原理に基づいて、低負荷領域からの加速過渡時の空燃比制御精度を向上するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図6に示すルーチンによれば、まず、内燃機関10が所定の低負荷領域で定常状態にあるかどうかが判定される(ステップ200)。すなわち、エンジン回転数やスロットル開度TAなどが一定の定常状態であるかどうかが判定されるとともに、P/Pic<1/(κ+1)が満足されるかどうか、すなわちP/Pic<0.4167が満足されるかどうかが判定される。P/Picの値としては、第1系統101での計算値を用いればよい。
上記ステップ100で、低負荷定常状態でないと判定された場合には、加速過渡時の燃料噴射量の補正を行う必要はないので、本ルーチンの処理がここで終了される。これに対し、低負荷定常状態であると判定された場合には、次に、第3系統103のインタークーラー圧力Picの計算値epicafmと、第1系統101のインタークーラー圧力Picの計算値epiccrtとの差の絶対値abs(epicafm-epiccrt)が所定の判定値t_dPicより大きいか否かが判定される(ステップ202)。前述したように、低負荷領域からの加速過渡時の空燃比制御ずれは、epicafmとepiccrtとの誤差が大きいことに起因している。上記判定値t_dPicは、epicafmとepiccrtとの誤差が大きいかどうかを判定するために予め設定された値である。
上記ステップ202で、epicafmとepiccrtとの差の絶対値が判定値t_dPic以下である場合には、epicafmとepiccrtとの誤差は小さく、加速過渡時に空燃比制御ずれが生ずるおそれはないと予測できる。この場合には、加速過渡時の燃料噴射量の補正を行う必要はないので、本ルーチンの処理がここで終了される。
これに対し、上記ステップ202で、epicafmとepiccrtとの差の絶対値が判定値t_dPicより大きい場合には、epicafmとepiccrtとの誤差が大きく、加速過渡時に空燃比制御ずれが生ずると予測できる。そこで、この場合は、加速過渡状態が訪れた場合に燃料噴射量の補正を行うべく、加速過渡状態になったかどうかが判定される(ステップ204)。加速過渡状態になったかどうかは、スロットル開度TAの変化や吸気管圧力Pの上昇などによって判定することができる。上記ステップ204で加速過渡状態になったと判定された場合には、epicafmとepiccrtとの大小関係が判定される(ステップ206)。前述したように、epicafm>epiccrtの場合には、筒内流入空気量mの計算値eklfwdが実際の値を上回るようになるので、空燃比ずれを補正するためには、燃料噴射量の減量補正が必要となる。このため、上記ステップ206でepicafm>epiccrtと判定された場合には、筒内流入空気量m(eklfwd)と目標空燃比とに基づいて算出された燃料噴射量を減量側に補正する処理が行われる(ステップ208)。これに対し、epicafm<epiccrtの場合には、筒内流入空気量mの計算値eklfwdが実際の値を下回るようになるので、空燃比ずれを補正するためには、燃料噴射量の増量補正が必要となる。このため、上記ステップ206でepicafm<epiccrtと判定された場合には、筒内流入空気量m(eklfwd)と目標空燃比とに基づいて算出された燃料噴射量を増量側に補正する処理が行われる(ステップ210)。
ステップ208または210における燃料噴射量補正値は、例えば次のようにして決めればよい。epicafmとepiccrtとの誤差が大きいほど、筒内流入空気量mの計算値eklfwdの誤差が大きくなり、空燃比ずれも大きくなる。このため、空燃比ずれを修正して目標空燃比を達成するために必要な燃料噴射量補正値は、epicafmとepiccrtとの差の絶対値と相関する。そこで、epicafmとepiccrtとの差の絶対値と、適切な燃料噴射量補正値との関係を予め調べてECU50に記憶しておき、そのマップに基づいて燃料噴射量補正値を算出すればよい。
上述した実施の形態1においては、第1系統101のインタークーラー圧力Picの計算値epiccrtが前記第2の発明における「第1のインタークーラー圧力」に、第3系統103のインタークーラー圧力Picの計算値epicafmが前記第2の発明における「第2のインタークーラー圧力」に、それぞれ相当している。また、ECU50が、第1系統101および第2系統102による計算処理を実行することにより前記第1の発明における「筒内流入空気量算出手段」が、第3系統103および第4系統104による補正処理を実行することにより前記第1の発明における「モデル誤差補正手段」が、筒内流入空気量mの計算値eklfwdと目標空燃比とに基づいて燃料噴射量を算出することにより前記第1の発明における「燃料噴射量算出手段」が、上記ステップ200および202の処理を実行することにより前記第1の発明における「過渡誤差予測手段」が、上記ステップ204乃至210の処理を実行することにより前記第1の発明における「過渡誤差補正手段」が、上記ステップ206の処理を実行することにより前記第4の発明における「判定する手段」が、上記ステップ208の処理を実行することにより前記第4の発明における「減量補正する手段」が、上記ステップ210の処理を実行することにより前記第4の発明における「増量補正する手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
次に、図7を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を簡略化または省略する。本実施形態は、前述した実施の形態1と同様のシステムを前提とし、ECU50に、図7に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
実施の形態1で述べたとおり、低負荷領域からの加速過渡時に筒内流入空気量mの推定精度が悪化する原因は、モデルスロットル流量の誤差、あるいはエアフローメータ流量AFMの誤差に起因する。本実施形態では、低負荷領域からの加速過渡時に筒内流入空気量mの推定精度が悪化する原因が、モデルスロットル流量の誤差と、エアフローメータ流量AFMの誤差との何れにあるかを判定し、モデルスロットル流量の誤差に原因がある場合にはスロットルモデルを修正し、エアフローメータ流量AFMの誤差に原因がある場合にはエアフローメータ30の出力電圧とエアフローメータ流量AFMとの関係を規定するマップ(以下、「エアフローメータ流量マップ」と称する)を修正することとした。
モデルスロットル流量の誤差に原因があるか、エアフローメータ流量AFMの誤差に原因があるかは、次のようにして判定することができる。前述したように、定常運転状態においては、燃料噴射量算出の基礎となる筒内流入空気量mの計算値eklfwdはエアフローメータ流量AFMに収束するので、燃料噴射量はエアフローメータ流量AFMに基づいて算出されることになる。よって、空燃比フィードバック制御が実行されていないとした場合、定常運転時に空燃比センサ46により検出された排気空燃比が目標空燃比に一致していれば、燃料噴射量算出の基礎とされたエアフローメータ流量AFMは正しいと判定できる。従って、この場合は、モデルスロットル流量に誤差があると判定できる。逆に、定常運転時に空燃比センサ46により検出された排気空燃比が目標空燃比に一致していなければ、燃料噴射量算出の基礎とされたエアフローメータ流量AFMに誤差があると判定できる。この場合は、モデルスロットル流量は正しいと判定できる。
また、空燃比センサ46により検出された排気空燃比と目標空燃比との偏差に応じて燃料噴射量を補正する空燃比フィードバック制御や、それに伴う学習制御が実行されている場合には、それらの制御において算出されているフィードバック補正値や学習値に基づいて、上記判定を行うことができる。すなわち、フィードバック補正値や学習値がゼロに近ければ、空燃比フィードバック制御や学習制御による補正前の燃料噴射量に誤差がないことになるので、その算出の基礎とされたエアフローメータ流量AFMは正しいと判定できる。従って、この場合は、モデルスロットル流量に誤差があると判定できる。これに対し、フィードバック補正値や学習値が大きい値になっていれば、補正前の燃料噴射量に誤差があるので、その算出の基礎とされたエアフローメータ流量AFMに誤差があると判定できる。この場合は、モデルスロットル流量は正しいと判定できる。
図7は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図7に示すルーチンによれば、まず、内燃機関10が所定の低負荷領域で定常状態にあるかどうかが判定される(ステップ300)。この処理は、実施の形態1のステップ200と同様である。低負荷定常状態であると判定された場合には、次に、第1系統101のインタークーラー圧力Picの計算値epiccrtとの差の絶対値abs(epicafm-epiccrt)が判定値t_dPicより大きいか否かが判定される(ステップ302)。この処理は、実施の形態1のステップ202と同様である。
上記ステップ302で、epicafmとepiccrtとの差の絶対値が判定値t_dPic以下である場合には、モデルスロットル流量とエアフローメータ流量AFMとの間に有意な誤差はなく、両者とも正しいと判断できる。この場合は、スロットルモデルやエアフローメータ流量マップを修正する必要はないので、本ルーチンの処理がここで終了される。
これに対し、上記ステップ302で、epicafmとepiccrtとの差の絶対値が判定値t_dPicより大きい場合には、モデルスロットル流量とエアフローメータ流量AFMとの間に誤差があり、何れかに狂いがあると判断できる。この場合には、次に、モデルスロットル流量に誤差があるか、エアフローメータ流量AFMに誤差があるかが、上述した手法によって判定される(ステップ304)。すなわち、空燃比センサ46の検出値と目標空燃比との一致/不一致、あるいは空燃比フィードバック制御のフィードバック補正値や学習値を判定することにより、ステップ304の処理が実行される。
上記ステップ304で、エアフローメータ流量AFMに誤差があると判定された場合には、ECU50に記憶されているエアフローメータ流量マップを修正する処理が実行される(ステップ306)。この処理では、モデルスロットル流量を真値とし、エアフローメータ流量マップによるエアフローメータ流量AFMの計算値がモデルスロットル流量に一致するように、エアフローメータ流量マップが修正される。
一方、上記ステップ304で、モデルスロットル流量に誤差があると判定された場合には、スロットルモデルを修正する処理が実行される(ステップ308)。ECU50には、上記(6)式の右辺の係数にあたるμ・Aの値と、スロットル開度TAとの関係を定めたマップ(以下、「スロットルモデル係数マップ」と称する)が、スロットルモデルの一部として記憶されている。このステップ308では、エアフローメータ流量AFMを真値とし、モデルスロットル流量の計算値がエアフローメータ流量AFMに一致するように、スロットルモデル係数マップが修正される。
本実施形態によれば、スロットルモデル係数マップあるいはエアフローメータ流量マップ自体を修正することができるので、モデルスロットル流量とエアフローメータ流量AFMとの誤差が生じにくくなる。このため、低負荷領域からの加速過渡時を含め、幅広い運転条件において、筒内流入空気量mの推定精度を更に向上することができるので、空燃比制御精度を更に向上することができる。また、スロットル34の特性やエアフローメータ30の特性の経年変化の影響をキャンセルすることができるので、経年変化が生じた場合でも優れた空燃比制御精度を確実に維持することができる。
上述した実施の形態2においては、ECU50が、上記ステップ300乃至304の処理を実行することにより前記第5の発明における「誤差要因判定手段」が、上記ステップ306の処理を実行することにより前記第5の発明における「エアフローメータ修正手段」が、上記ステップ308の処理を実行することにより前記第5の発明における「スロットルモデル修正手段」が、それぞれ実現されている。
10 内燃機関
14 吸気弁
16 排気弁
18 点火プラグ
20 燃料インジェクタ
22 吸気通路
24 排気通路
26 ターボ過給機
26a コンプレッサ
26b タービン
28 エアクリーナ
30 エアフローメータ
32 インタークーラー
34 スロットル
38 吸気管
40 排気管
42 触媒
46 空燃比センサ
50 ECU

Claims (5)

  1. 吸入空気を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサの下流側に配置されたインタークーラーと、前記インタークーラーの下流側に配置されたスロットルとを含む吸気系を備えた内燃機関を制御する装置であって、
    前記吸気系の各要素の物理モデルを組み合わせて前記吸気系の全体をモデル化した吸気系モデルを記憶した記憶手段と、
    前記吸気系モデルを用いて前記内燃機関の筒内流入空気量を算出する筒内流入空気量算出手段と、
    前記コンプレッサの上流側に設置されたエアフローメータと、
    前記エアフローメータにより検出されるエアフローメータ流量に基づいて、前記筒内流入空気量算出手段の算出過程における所定の計算値を補正するモデル誤差補正手段と、
    前記モデル誤差補正手段による補正後の筒内流入空気量に基づいて燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、
    前記モデル誤差補正手段による補正後の筒内流入空気量と実際の筒内流入空気量との間の誤差であって、所定の低負荷領域からの加速過渡時に生じ得る誤差である過渡空気量誤差が所定の許容範囲を超えるか否かを事前に予測する過渡誤差予測手段と、
    前記過渡空気量誤差が前記許容範囲を超えると予測された場合に、前記加速過渡時に前記燃料噴射量算出手段により算出された燃料噴射量を補正する過渡誤差補正手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記過渡誤差予測手段は、前記吸気系モデルを用いて算出される第1のインタークーラー圧力と、前記エアフローメータ流量に基づいて算出される第2のインタークーラー圧力との差の絶対値と、所定の判定値とを比較することにより、前記過渡空気量誤差が前記許容範囲を超えるか否かを予測することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記過渡空気量誤差は、前記吸気系モデルを用いて算出されるスロットル流量であるモデルスロットル流量の誤差、または、前記エアフローメータ流量の誤差に起因して生ずるものであることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記過渡誤差補正手段は、
    前記過渡空気量誤差が、実際の筒内流入空気量を上回る方向の誤差であるか下回る方向の誤差であるかを判定する手段と、
    前記過渡空気量誤差が、実際の筒内流入空気量を上回る方向の誤差であると判定された場合に、前記燃料噴射量を減量補正する手段と、
    前記過渡空気量誤差が、実際の筒内流入空気量を下回る方向の誤差であると判定された場合に、前記燃料噴射量を増量補正する手段と、
    を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記過渡空気量誤差の原因が、前記エアフローメータ流量の誤差と、前記モデルスロットル流量の誤差との何れにあるかを判定する誤差要因判定手段と、
    前記過渡空気量誤差の原因が前記エアフローメータ流量の誤差にあると判定された場合に、前記エアフローメータの出力信号と前記エアフローメータ流量との関係を表すマップを修正するエアフローメータ修正手段と、
    前記過渡空気量誤差の原因が前記モデルスロットル流量の誤差にあると判定された場合に、前記スロットルの物理モデルであるスロットルモデルを修正するスロットルモデル修正手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。
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