図1はこの発明の実施例に係る船外機の制御装置を船体も含めて全体的に示す概略図、図2は図1に示す船外機の部分断面拡大側面図、図3は船外機の拡大側面図である。
図1から図3において、符号1は船外機10が船体(艇体)12に搭載されてなる船舶を示す。船外機10は、図2に良く示すように、スイベルケース14、チルティングシャフト16およびスターンブラケット18を介して船体12の後尾(船尾)12aに取り付けられる。
スイベルケース14の付近には、スイベルケース14の内部に鉛直軸回りに回転自在に収容されるシャフト部20を駆動する転舵用電動モータ22と、船外機10の船体12に対するチルト角およびトリム角をチルトアップ/ダウンおよびトリムアップ/ダウンによって調整可能なパワーチルトトリムユニット(トリム角調整機構。以下「トリムユニット」という)24が配置される。転舵用電動モータ22の回転出力は減速ギヤ機構26、マウントフレーム28を介してシャフト部20に伝達され、よって船外機10はシャフト部20を転舵軸として左右に(鉛直軸回りに)回転させられて転舵される。尚、船外機10の最大転舵角は例えば左右方向にそれぞれ50degとされる。
トリムユニット24はチルト角調整用の油圧シリンダ24aとトリム角調整用の油圧シリンダ24bを一体的に備え、油圧シリンダ24a,24bを伸縮させることで、スイベルケース14がチルティングシャフト16を回転軸として回転させられ、船外機10はチルトアップ/ダウンあるいはトリムアップ/ダウンさせられる。尚、油圧シリンダ24a,24bは、船外機10に配置された図示しない油圧回路に接続されて作動油の供給を受けて伸縮させられる。
船外機10の上部には、内燃機関(以下「エンジン」という)30が搭載される。エンジン30は火花点火式の水冷ガソリンエンジンで、排気量2200ccを備える。エンジン30は水面上に位置し、エンジンカバー32によって覆われる。
エンジン30の吸気管34には、スロットルボディ36が接続される。スロットルボディ36はその内部にスロットルバルブ38を備えると共に、スロットルバルブ38を開閉駆動するスロットル用電動モータ(アクチュエータ)40が一体的に取り付けられる。
スロットル用電動モータ40の出力軸は減速ギヤ機構(図示せず)を介してスロットルバルブ38に接続され、スロットル用電動モータ40を動作させることでスロットルバルブ38が開閉され、エンジン30の吸気量が調量されてエンジン回転数(機関回転数)が調節される。
船外機10は、水平軸回りに回転自在に支持されると共に、その一端にプロペラ42が取り付けられ、エンジン30の動力をプロペラ42に伝達するプロペラシャフト(動力伝達軸)44と、エンジン30とプロペラシャフト44の間に介挿されると共に、1速、2速、3速からなる複数の変速段を有する変速機(自動変速機)46を備える。
プロペラシャフト44は、トリムユニット24の初期状態(トリム角θが初期角度の状態)において、その軸線44aが船舶1の進行方向に対して略平行となるように配置される。また、変速機46は、複数の変速段を切換自在な変速機構50と、シフト位置を前進位置、後進位置およびニュートラル位置に切換自在なシフト機構52からなる。
図4は変速機構50の油圧回路を模式的に示す油圧回路図である。
図2および図4に示す如く、変速機構50は、エンジン30のクランクシャフト(図において見えず)に接続されるインプットシャフト54と、インプットシャフト54にギヤを介して接続されるカウンタシャフト56と、カウンタシャフト56に複数のギヤを介して接続されるアウトプットシャフト58とが平行に配置された平行軸式の有段式の変速機構からなる。
カウンタシャフト56には、後述する変速用の油圧クラッチや潤滑部に作動油(潤滑油。オイル)を圧送する油圧ポンプ(ギヤポンプ。図2にのみ示す)60が接続される。シャフト54,56,58や油圧ポンプ60などは、ケース(図2にのみ示す)62に収容される。ケース62の下部は作動油を受けるオイルパン62aを構成する。
上記の如く構成された変速機構50においては、シャフト上に相対回転自在に配置されたギヤを変速クラッチでシャフト上に固定することで複数の変速段、詳しくは1速、2速、3速のうちのいずれかの変速段が選択(確立)され、エンジン30の出力は選択された変速段で変速され、シフト機構52、プロペラシャフト44を介してプロペラ42に伝達される。尚、各変速段の変速比は1速が最も大きく、2速、3速となるにつれて小さくなるように設定される。
変速機構50について具体的に説明すると、図4に良く示すように、インプットシャフト54には、インプットプライマリギヤ64が支持される。カウンタシャフト56には、インプットプライマリギヤ64に噛合するカウンタプライマリギヤ66、カウンタ1速ギヤ68、カウンタ2速ギヤ70、カウンタ3速ギヤ72が支持される。
また、アウトプットシャフト58には、カウンタ1速ギヤ68に噛合するアウトプット1速ギヤ74、カウンタ2速ギヤ70と噛合するアウトプット2速ギヤ76、カウンタ3速ギヤ72に噛合するアウトプット3速ギヤ78が支持される。
上記において、アウトプットシャフト58に相対回転自在に支持されたアウトプット1速ギヤ74を1速用クラッチC1でアウトプットシャフト58に結合すると、1速(ギヤ。変速段)が確立する。尚、1速用クラッチC1は、ワンウェイクラッチからなり、後述する2速または3速用油圧クラッチC2,C3に油圧が供給されて2速または3速が確立し、アウトプットシャフト58の回転数がアウトプット1速ギヤ74のそれより大きくなるとき、アウトプット1速ギヤ74を空転させるように構成される。
カウンタシャフト56に相対回転自在に支持されたカウンタ2速ギヤ70を2速用油圧クラッチC2でカウンタシャフト56に結合すると、2速(ギヤ。変速段)が確立する。また、カウンタシャフト56に相対回転自在に支持されたカウンタ3速ギヤ72を3速用油圧クラッチC3でカウンタシャフト56に結合すると、3速(ギヤ。変速段)が確立する。尚、油圧クラッチC2,C3は、油圧が供給されるとき各ギヤ70,72をカウンタシャフト56に結合する一方、油圧が供給されないとき各ギヤ70,72を空転させる。
このように、クラッチC1,C2,C3によるギヤとシャフトの結合は、油圧ポンプ60から油圧クラッチC2,C3に供給される油圧を制御することで行われる。
図4を参照しつつ説明すると、油圧ポンプ60がエンジン30により駆動されるとき、オイルパン62aの作動油は油路80a、ストレーナ82を介して汲み上げられて吐出口60aから油路80bを介して第1切換バルブ84aに、油路80c,80dを介して第1、第2電磁ソレノイドバルブ(リニアソレノイドバルブ)86a,86bに送られる。
第1切換バルブ84aには、油路80eを介して第2切換バルブ84bが接続される。第1、第2切換バルブ84a,84bの内部には移動自在なスプールがそれぞれ収容され、スプールは一端側(図で左端)でスプリングによって他端側に付勢される。その他端側には、前記した第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bが油路80f,80gを介して接続される。
従って、第1電磁ソレノイドバルブ86aが通電(オン)されると、その内部に収容されたスプールが変位させられ、油圧ポンプ60から油路80cを介して供給される油圧は第1切換バルブ84aのスプールの他端側に出力される。これにより、第1切換バルブ84aのスプールは一端側に変位させられ、よって油路80bの作動油が油路80eに送出される。
第2電磁ソレノイドバルブ86bも、第1電磁ソレノイドバルブ86aと同様、通電(オン)されるときにスプールが変位させられ、油圧ポンプ60から油路80dを介して供給される油圧は第2切換バルブ84bの他端側に出力される。これにより、第2切換バルブ84bはスプールが一端側に変位させられ、よって油路80eの作動油は油路80hを介して2速用油圧クラッチC2に供給される。一方、第2電磁ソレノイドバルブ86bが通電されず(オフされ)、第2切換バルブ84bの他端側に油圧が出力されないときは油路80eの作動油は油路80iを介して3速用油圧クラッチC3に供給される。
即ち、第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bが共にオフされるときは油圧クラッチC2,C3のいずれにも油圧が供給されないため、アウトプット1速ギヤ74とアウトプットシャフト58が1速用クラッチC1で結合されて1速が確立する。
また、第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bが共にオンされるときは2速用油圧クラッチC2に油圧が供給されるため、カウンタ2速ギヤ70とカウンタシャフト56が結合されて2速が確立する。さらに、第1電磁ソレノイドバルブ86aがオン、第2電磁ソレノイドバルブ86bがオフされるときは3速用油圧クラッチC3に油圧が供給されるため、カウンタ3速ギヤ72とカウンタシャフト56が結合されて3速が確立する。このように、第1、第2切換バルブ84a,84bのオン・オフを制御することで、変速機46の変速段が選択される(変速制御が行われる)。
尚、油圧ポンプ60からの作動油(潤滑油)は、油路80b,80j、レギュレータバルブ88やリリーフバルブ90を介して潤滑部(例えばシャフト54,56,58など)にも供給される。また、第1、第2切換バルブ84a,84bと第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bにはそれぞれ、圧抜き用の油路80kが適宜に接続される。
図2の説明に戻ると、シフト機構52は、変速機構50のシャフト58に接続されると共に、鉛直軸と平行に配置されて回転自在に支持されるドライブシャフト(バーチカルシャフト)52aと、シャフト52aに接続されて回転させられる前進ベベルギヤ52bと後進ベベルギヤ52cと、プロペラシャフト44を前進ベベルギヤ52bと後進ベベルギヤ52cのいずれかに係合自在とするクラッチ52dなどからなる。
エンジンカバー32の内部にはシフト機構52を駆動するシフト用電動モータ92が配置され、その出力軸は、減速ギヤ機構94を介してシフト機構52のシフトロッド52eの上端に接続自在とされる。シフト用電動モータ92を駆動することにより、シフトロッド52eとシフトスライダ52fが適宜に変位させられ、それによってクラッチ52dを動作させてシフト位置がフォワード位置、リバース位置およびニュートラル位置の間で切り換えられる。
シフト位置がフォワード位置あるいはリバース位置のとき、変速機構50のシャフト58の回転はシフト機構52を介してプロペラシャフト44に伝達され、よってプロペラ42は回転させられ、船体12を前進あるいは後進させる方向の推力を生じる。尚、船外機10はエンジン30に取り付けられたバッテリなどの電源(図示せず)を備え、それから各電動モータ22,40,92などに動作電源が供給される。
図3に示す如く、スロットルバルブ38の付近にはスロットル開度センサ(スロットル開度変化量検出手段)96が配置され、スロットルバルブ38の開度(スロットル開度)THを示す出力を生じる。また、シフトロッド52eの付近にはニュートラルスイッチ100が配置され、変速機46のシフト位置がニュートラル位置のときにオン信号を、フォワード位置あるいはリバース位置のときにオフ信号を出力する。エンジン30のクランクシャフトの付近にはクランク角センサ(機関回転数検出手段)102が取り付けられ、所定のクランク角度ごとにパルス信号を出力する。
チルティングシャフト16の付近にはトリム角センサ104が配置され、船外機10のトリム角θ(船体12に対する船外機10のピッチ軸回りの回転角)に応じた出力を生じる。また、シャフト部20の近傍には転舵角センサ(転舵角検出手段)106が配置され、シャフト部22の回転角を示す出力、即ち、船外機10の船体12に対する転舵角αを示す出力を生じる。
転舵角センサ106は、船外機10が船体12に対して船舶1の進路を直進方向とする角度(位置)にあるときは0degを示す信号を出力すると共に、船外機10が左右方向に回転させられると、例えば右回り方向の場合はその回転角に応じた正値を、左回り方向の場合は負値を出力する。尚、各センサ104,106は具体的にはロータリエンコーダなどの回転角センサからなる。
上記した各センサやスイッチの出力は、船外機10に搭載された電子制御ユニット(Electronic Control Unit。以下「ECU」という)110に入力される。ECU110はCPUやROM,RAMなどを備えたマイクロ・コンピュータからなり、船外機10のエンジンカバー32の内部に配置される。
図1に示す如く、船体12の操縦席112の付近には、操船者(図示せず)によって操作自在なステアリングホイール114が配置される。ステアリングホイール114は、初期位置(船舶1の進路を直進方向とする位置)から左右方向に回転操作自在とされる。ステアリングホイール114のシャフト(図示せず)には操舵角センサ116が取り付けられ、操船者によって入力されたステアリングホイール114の操舵角に応じた信号を出力する。
操縦席112付近にはリモートコントロールボックス120が配置され、そこには操船者の操作自在に配置されるシフト・スロットルレバー(スロットルレバー)122が設けられる。レバー122は、初期位置から前後方向に揺動操作自在とされ、操船者からの前後進切換指示と、エンジン30に対する加速/減速指示を含むエンジン回転数の調節指示(別言すれば、エンジン30の目標エンジン回転数NEa)を入力する。リモートコントロールボックス120の内部にはレバー位置センサ124が取り付けられ、レバー122の位置に応じた信号を出力する。
操縦席112付近であって船体12の重心位置には、船体12に作用する加速度を検出する加速度センサ126が配置される。加速度センサ126は、船体12の上下方向(重力軸方向)などに作用する加速度を示す出力を生じる。
さらに、操縦席112の付近には、エンジン30の燃費(燃料消費量)を低減させる燃費低減指示を入力するスイッチ130が操船者に手動操作自在に設けられる。スイッチ130は、操船者が燃費を重視して走行することを所望する際に操作され(押され)、操作されるとき燃費低減指示を示す信号(オン信号)を出力する。これら各センサ116,124,126およびスイッチ130の出力もECU110に入力される。
ECU110は、入力されたセンサ出力などに基づいて各電動モータ22,92の動作を制御すると共に、変速機46の変速制御とトリムユニット24でトリム角θを調整するトリム角制御を行う。ECU110は、エンジン回転数NEやスロットル開度THに基づいてエンジン回転数NEが目標エンジン回転数NEaに一致するようにスロットル用電動モータ40の駆動を制御する。
このように、この実施例に係る船外機の制御装置は、操作系(ステアリングホイール114やレバー122)と船外機10の機械的な接続が断たれたDBW(Drive By Wire)方式の装置である。
図5は、ECU110の変速制御動作とトリム角制御動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムは、ECU110によって所定の周期(例えば100msec)ごとに実行される。
以下説明すると、先ずS10において、変速機46の1速から3速のうちいずれの変速段を選択すべきか判定する変速段判定処理を行う。
図6は、その変速段判定処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。同図に示す如く、S100において変速機46のシフト位置がニュートラル位置にあるか否か判断する。この判断は、ニュートラルスイッチ100からオン信号が出力されているか否か検出することで行う。S100で否定されるとき(インギヤ時)はS102に進み、スロットル開度THをスロットル開度センサ96の出力から検出(算出)し、S104に進んで検出されたスロットル開度THの所定時間(例えば500msec)当たりの変化量(変動量)DTHを検出(算出)する。
次いでS106に進み、操船者からエンジン30に対して減速が指示されたか否か、換言すれば、エンジン30が船舶1を減速させる運転状態にあるか否か判定する。この判定は、スロットルバルブ38が閉弁方向に駆動されているか否か判断することで行う。具体的にはスロットル開度の変化量DTHが負値に設定された減速判定用の所定値DTHa(例えば−0.5deg)未満の場合、スロットルバルブ38が閉弁方向に駆動されている、即ち、減速が指示されたと判定する。
S106で否定されるときはS107に進み、後述する処理において転舵角に応じて変速が行われることを示す転舵角変速フラグのビットが0か否か判断する。S107で否定されるときは、この変速段判定処理で変速する必要がないため、以降の処理をスキップする一方、肯定されるときはS108に進み、クランク角センサ102の出力パルスをカウントしてエンジン回転数NEを検出(算出)し、S110に進んで検出されたエンジン回転数NEの変化量(変動量)DNEを検出(算出)する。変化量DNEは、前回のプログラムループで検出されたエンジン回転数NEから今回検出されたそれを減算して求める。
次いでS112に進み、加速終了後に3速に変速されたことを示す加速後3速変速済みフラグ(後述。以下「3速変速フラグ」という)のビットが0か否か判断する。3速変速フラグは初期値が0とされるため、最初のプログラムループにおいてS112の判断は通例肯定されてS114に進む。
S114では、加速後2速変速済みフラグ(以下「2速変速フラグ」という)のビットが0か否か判断する。このフラグのビットは、後述する如く、加速終了後に1速から2速に変速されるとき1にセットされる一方、それ以外のとき0にリセットされる。
2速変速フラグも初期値が0とされるため、最初のプログラムループにおいてS114の判断は通例肯定されてS116に進み、エンジン回転数NEが第1の所定回転数NE1以上か否か判断する。この第1の所定回転数NE1については後に説明する。
エンジン始動直後のプログラムループにおいては通例、エンジン回転数NEは第1の所定回転数NE1未満であるため、S116の判断は否定されてS118に進む。S118では、加速中判定フラグ(後述。図で「加速中フラグ」と示す)のビットが0か否か判断する。加速中判定フラグも初期値が0とされるため、最初のプログラムループにおいてここでの判断は肯定されてS120に進む。
S120では、操船者からエンジン30に対して加速(正確には急加速)が指示されたか否か、換言すれば、エンジン30が船舶1を加速(正確には急加速)させる運転状態にあるか否か判定する。この判定は、具体的にはスロットルバルブ38が開弁方向に急速に駆動されているか否か判断することで行う。
詳しくは、S104で検出されたスロットル開度の変化量DTHと加速判定用の所定値(所定値)DTHbとを比較し、変化量DTHが所定値DTHb以上のとき、スロットルバルブ38が開弁方向に急速に駆動されている、即ち、加速が指示されたと判定する。従って、所定値DTHbは、減速判定用の所定値DTHaに比して大きい値(正値)で、加速の指示がなされたと判定できるような値、例えば0.5degに設定される。
S120で否定、即ち、エンジン30に対して加速/減速の指示がないときはS122に進み、第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86b(図で「第1SOL」「第2SOL」と示す)を共にオンして変速機46において2速の変速段を選択し、次いでS124に進み、加速中判定フラグのビットを0にリセットする。
他方、S120で肯定されるときはS126に進み、変速機46を動作させて、具体的には第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bを共にオフして変速段を2速から1速に変速(シフトダウン)する。これにより、エンジン30の出力トルクは1速にシフトダウンさせられた変速機46(正確には、変速機構50)によって増幅させられてプロペラシャフト44を介してプロペラ42に伝達され、よって加速性が上昇する。
次いでS128に進み、加速中判定フラグのビットを1にセットする。即ち、このフラグは、スロットル開度の変化量DTHが加速判定用の所定値DTHb以上で、変速段が2速から1速に変速されるとき1にセットされる一方、それ以外のときは0にリセットされる。尚、このフラグのビットが1にセットされると、次回以降のプログラム実行時はS118で否定されてS120の処理をスキップする。
このように、エンジン30が始動させられてから加速が指示されるまでの通常運転時は変速段を2速にするように構成したため、急加速以外での船外機10の使い勝手を、変速機を備えない船外機と同等とすることができる。
次いでS130に進み、2速トリムフラグ(初期値0)のビットを1にセットし、プログラムを終了する。即ち、2速トリムフラグのビットが1にセットされることはスロットル開度の変化量DTHが加速判定用の所定値DTHb以上で、変速機46の変速段が1速に変速され、後述する2速トリムアップ実行判定処理においてトリムアップが行われることを、0にリセットされることは例えばエンジン30に対して減速が指示されるなど、トリムアップの必要がないことを意味する。
変速機46の変速段を1速に変速した後、エンジン回転数NEが徐々に上昇し、そして1速でのトルク増幅を利用した加速が終了すると(加速領域が飽和すると)、エンジン回転数NEは第1の所定回転数(所定回転数)NE1に到達し、よってS116の判断で肯定されてS132以降の処理に進む。従って、第1の所定回転数NE1は、比較的高い値に設定され、詳しくは1速での加速が終了したと判断できる値(例えば6000rpm)とされる。
S132では、エンジン回転数NEが安定しているか否か判断、換言すれば、エンジン30が安定した運転状態であるか否か判断する。この判断は、エンジン回転数の変化量DNEの絶対値を第1の既定値DNE1と比較することで行われ、変化量DNEの絶対値が第1の既定値DNE1未満の場合にエンジン回転数NEが安定していると判断する。従って、既定値DNE1はエンジン回転数NEが安定して、変化量DNEが比較的少ないと判定できるような値、例えば500rpmに設定される。
S132で否定されるときは1速のままプログラムを終了する一方、肯定されるときはS134に進んで第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bを共にオンして変速機46の変速段を1速から2速に変速(シフトアップ)すると共に、S136に進んで2速変速フラグのビットを1にセットする。これにより、ドライブシャフト52aおよびプロペラシャフト44の回転数が上昇し、結果として船速も上昇して速度性が向上する。
S136において2速変速フラグのビットが1にセットされると、次回以降のプログラム実行時はS114で否定されてS138に進む。このように、S138以降の処理は、2速変速フラグのビットが1にセットされるとき、換言すれば、1速での加速が終了した後に2速に変速される場合に実行される。
S138では、スイッチ130がオン信号を出力しているか否か、即ち、操作者によってエンジン30の燃費低減が指示されているか否か判断する。S138で否定されるときはS140に進み、トリムアップ再開タイマ(後述)の値が所定時間を示す値を超えたか否か判断する。タイマは初期値が0とされるため、ここでの判断は否定されてS142に進み、船体12にピッチング(縦揺れ)が発生しているか否か判定する。
ピッチングの発生の判定は、加速度センサ126の出力に基づいて行われる。具体的には、加速度センサ126の出力に基づいて船体12の上下方向に作用する振動加速度Gzを検出(算出)し、振動加速度Gzの絶対値と許容範囲とを比較し、Gzが許容範囲にない状態が連続して複数回(例えば2回)検出されたとき、ピッチングが発生したと判定する。許容範囲は、船体12の上下方向の振動が比較的少なく、船体12にピッチングが生じていないと判定できるような範囲、例えば0〜0.5Gの範囲に設定される。
S142で否定されるときは以降の処理をスキップする一方、肯定されるときはS144に進んで2速トリムフラグのビットを0にリセットする。これにより、後述する2速トリムアップ実行判定処理によってトリムアップを停止させる。次いでS146に進み、前記したトリムアップ再開タイマ(アップカウンタ)をスタートさせ、トリムアップを停止させてからの経過時間を計測する。
次回以降のプログラムループにおいて、S140で肯定されるとき、即ち、トリムアップを停止後、所定時間が経過するときはS148に進み、S142と同様なピッチングの発生の判定を再度行う。S148で否定されるときはS150に進み、2速トリムフラグのビットを1にセットすると共に、S152に進んでタイマの値を0にリセットする。
これにより、後述の2速トリムアップ実行判定処理によってトリムアップを再開させる。従って、上記した所定時間は、ピッチングの発生によって一旦停止していたトリムアップを、ピッチングがなくなって再開しても良いと判断できるような値(例えば5sec)に設定される。S148で肯定されるときはS150,S152の処理をスキップする。
他方、S138で肯定されるときはS154に進み、エンジン回転数NEが第2の所定回転数NE2以上か否か判断する。第2の所定回転数NE2は、第1の所定回転数NE1に比して僅かに低い値であって、後述する如く3速に変速可能と判断できるような値、例えば5000rpmに設定される。
S154で肯定されるときはS156に進み、S132と同様、エンジン回転数NEが安定しているか否か判断する。即ち、エンジン回転数の変化量DNEの絶対値を第2の既定値DNE2と比較し、既定値DNE2未満の場合にエンジン回転数NEが安定していると判断する。従って、既定値DNE2は、変化量DNEが比較的少なくエンジン回転数NEが安定していると判定できるような値、例えば500rpmとされる。
S156で否定、またはS154で否定されるときは前述のS140に進む一方、S156で肯定されるときはS158に進み、第1電磁ソレノイドバルブ86aをオン、第2電磁ソレノイドバルブ86bをオフして変速機46の変速段を2速から3速に変速(シフトアップ)する。これにより、エンジン回転数NEが低下するため、エンジン30の燃料消費量を低減、換言すれば、燃費が向上する。
次いでS160に進み、2速変速フラグのビットを0にリセットし、S162に進んで3速変速フラグのビットを1にセットする。このように、3速変速フラグは、加速終了後に2速から3速に変速されるとき1にセットされる一方、それ以外のとき0にリセットされる。
次いでS164に進み、3速トリムフラグ(初期値0)のビットを1にセットする。このフラグのビットが1にセットされることは、変速段が3速に変速され、後述する3速トリムダウン実行判定処理においてトリムダウンが行われることを、0にリセットされることはそのトリムダウンが不要あるいは終了したことを意味する。尚、S162で3速変速フラグのビットが1にセットされた後のプログラム実行時は、S112で否定されて、S158からS164の処理を実行して3速のままプログラムを終了する。
また、S106で肯定されるとき、即ち、スロットル開度の変化量DTHが減速判定用の所定値DTHa未満のときはS166に進み、第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bを共にオンして変速機46の変速段を2速に変速する。その後、S168,S170,S172に進んで2速変速フラグ、3速変速フラグおよび加速中判定フラグのビットを全て0にリセットする。
次いでS174に進み、2速トリムフラグのビットを0にリセットすると共に、S176に進んでイニシャルトリムフラグ(初期値0)のビットを1にセットする。このイニシャルトリムフラグのビットが1にセットされることは、トリムユニット24を動作させてトリム角θを初期角度(具体的には0deg)にする必要があることを、0にリセットされることはその必要がないことを意味する。
また、レバー122が操船者によって操作されて変速機46のシフト位置がニュートラル位置に切り換えられると、S100で肯定されてS178に進み、第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bをオフして変速機46の変速段を2速から1速に変速する。
図5フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS12に進み、変速段が2速であって船速が最高速に到達したときのトリム角を記憶(学習)して2速用学習トリム角(所定角度)δを決定する処理を行い、その後S14に進んで3速で船速が最高速に到達したときのトリム角を記憶して3速用学習トリム角(所定角度)εを決定する処理を行う。
図7はその2速用学習トリム角決定処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャート、図8は3速用学習トリム角決定処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。
図7に示す如く、先ずS200において現在の変速段が2速か否か判断する。S200で否定されるときは以降の処理をスキップする一方、肯定されるときはS202に進み、スロットル開度THが最大スロットル開度であるか否か判断する。
S202で肯定されるときはS204に進み、スロットル開度THが安定しているか(変動していないか)否か判断する。この判断は、スロットル開度の変化量DTHの絶対値を変化量判定用の所定値DTHcと比較することで行われ、変化量DTHの絶対値が所定値DTHc以下の場合にスロットル開度THが安定していると判断する。従って、所定値DTHcはスロットル開度THが安定している、換言すれば、変化量DTHが比較的少ない状態であると判定できるような値、例えば2degとされる。
S204またはS202で否定されるときは以降の処理をスキップする一方、S204で肯定されるとき、別言すれば、スロットル開度THが最大スロットル開度で安定し、エンジン30が船舶1の速度を最高速に到達させることのできる運転状態にあるときはS206に進み、エンジン回転数の変化量DNEが正値(例えば500rpm)に設定される第3の既定値DNE3を超えるか否か判断する。
このS206の処理を最初に実行するときは、S204でエンジン30が上記した運転状態にあると判定された直後であるため、変化量DNEは正側に大きく、よって通例肯定されてS208に進み、トリムユニット24を動作させてトリムアップを実行する、正確にはトリムアップを開始する。このトリムアップの開始によって船速は上昇する。
他方、S206で否定されるときはS210に進み、エンジン回転数の変化量DNEが負値(例えば−500rpm)に設定される第4の既定値DNE4未満か否か判断する。S210で肯定されるときは、例えばS208で行われたトリムアップによってトリム角θが過大となってしまったことを意味し、そのようなときはS212に進んでトリムダウンを実行してトリム角θを適宜に調整する。
S210で否定されるとき、換言すれば、エンジン回転数の変化量DNEが第3の既定値DNE3と第4の既定値DNE4で規定される所定範囲内(即ち、DNE4≦DNE≦DNE3)にあるときは、エンジン回転数NEが高速回転領域で飽和し、船速が最高速に到達したと判断(推定)し、S214に進んでトリムアップ(またはトリムダウン)を停止する。従って、第3、第4の既定値DNE3,DNE4によって規定される所定範囲は、船速が最高速に到達したと推定できるような値に設定される。
次いでS216に進み、トリム角センサ104の出力に基づいて現在のトリム角θを検出、別言すれば、トリムアップを停止したときのトリム角θ(例えば10deg)を検出して記憶し、記憶されたトリム角θを2速用学習トリム角δ(後述)として決定する。
そしてS218に進み、2速用学習トリム角決定済みフラグ(初期値0)のビットを1にセットしてプログラムを終了する。即ち、このフラグが1にセットされることは2速用学習トリム角δが決定されたことを意味する。
次いで図8の3速用学習トリム角決定処理について説明すると、先ずS300において現在の変速段が3速か否か判断する。S300で否定されるときは以降の処理をスキップする一方、肯定されるときはS302に進み、スロットル開度THが最大スロットル開度であるか否か判断する。
S302で肯定されるときはS304に進み、スロットル開度の変化量DTHの絶対値が変化量判定用の所定値DTHc以下か否か判断する。このS302,S304は、前記したS202,S204と同様、スロットル開度THが最大スロットル開度で安定し、エンジン30が船舶1の速度を最高速に到達させることのできる運転状態にあるか否か判断する処理である。
S302またはS304で否定されるときは以降の処理をスキップする。他方、S304で肯定されるときはS306に進み、エンジン回転数の変化量DNEが負値(例えば−500rpm)に設定される第5の既定値DNE5未満か否か判断する。
このS306の処理を最初に実行するときは、変速段が3速に変速(シフトアップ)されてS300で肯定された後であるため、変化量DNEは負側に大きくなり、よって通例肯定されてS308に進む。S308では、トリムユニット24を動作させてトリムダウンを実行する、正確にはトリムダウンを開始する。尚、変速段が2速から3速に変速された直後においては、2速のときのトリム角をトリムダウンによって僅かに減少させることで、船速は上昇することとなる。
S306で否定されるときはS310に進み、エンジン回転数の変化量DNEが正値(例えば500rpm)に設定される第6の既定値DNE6を超えているか否か判断する。S310で肯定されるときは、例えばS308で行われたトリムダウンによってトリム角θが過小となってしまったことを意味し、そのようなときはS312に進んでトリムアップを実行してトリム角θを適宜に調整する。
S310で否定されるとき、換言すれば、エンジン回転数の変化量DNEが第5の既定値DNE5と第6の既定値DNE6で規定される第2の所定範囲内(即ち、DNE5≦DNE≦DNE6)にあるときは、エンジン回転数NEが高速回転領域で飽和し、船速が最高速に到達したと判断(推定)し、S314に進んでトリムダウン(またはトリムアップ)を停止する。従って、第5、第6の既定値DNE5,DNE6によって規定される第2の所定範囲は、船速が最高速に到達したと推定できるような値に設定される。
次いでS316に進み、現在のトリム角θ、別言すれば、トリムダウンを停止したときのトリム角θ(例えば8deg)を検出して記憶し、記憶されたトリム角θを3速用学習トリム角ε(後述)として決定する。
そしてS318に進み、3速用学習トリム角決定済みフラグ(初期値0)のビットを1にセットしてプログラムを終了する。即ち、このフラグが1にセットされることは3速用学習トリム角εが決定されたことを意味する。
上記したS12,S14について詳説すると、変速段が2速のときと3速のときとでは、船速を最高速に到達させることのできる最適なトリム角は相違する。具体的には3速において最適なトリム角は、2速のそれに比して僅かに小さい値となる。従って、S12,S14においては、変速段が2速、3速のときの最適なトリム角をエンジン回転数の変化量DNEに基づいてトリムアップ/ダウンを行って設定すると共に、そこで得た最適なトリム角を学習値として記憶するようにした。そして、後述する如く、次回以降の2速、3速での運転においてその学習値を適用するようにした。
図5フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS16に進み、学習トリム角δ,εが決定されたか否かの判定処理を行う。
図9はその学習トリム角決定判定処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。図9に示す如く、S400において2つの学習トリム角δ,εが決定されたことを示す学習トリム角決定済みフラグのビットが0か否か判定する。このフラグは初期値が0に設定されるため、最初のプログラムループにおいてS400の判断は通例肯定されてS402に進む。
S402では、2速用学習トリム角決定済みフラグのビットが1か否か判断する。S402で肯定されるときはS404に進み、3速用学習トリム角決定済みフラグのビットが1か否か判断する。S404またはS402で否定されるときは以降の処理をスキップする一方、S404で肯定されるときはS406に進み、トリム制御開始フラグ(初期値0)のビットを1にセットする。このトリム制御開始フラグのビットが1にセットされることは、後述するような学習トリム角δ,εを用いたトリム角の制御が開始できる(許可されている)ことを、0にリセットされることはその制御が開始できない、あるいは許可されていないことを意味する。
次いでS408に進み、学習トリム角決定済みフラグのビットを1にセットしてプログラムを終了する。このフラグのビットが1にセットされると、次回以降のプログラム実行時はS400で否定され、S402からS408の処理をスキップする。尚、トリム制御開始フラグと学習トリム角決定済みフラグは、船外機10の電源が操船者によってオフされるとき、0にリセットされる。
図5にあっては、次いでS18に進み、転舵が開始されてトリム角θを調整すべきか否か、およびシフトアップ/ダウンすべきか否かの判定処理を行う。
図10はその転舵判定処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。図示の如く、S500において転舵角αを転舵角センサ106の出力から検出(算出)し、S502に進んで検出された転舵角αの絶対値の所定時間(例えば500msec)当たりの変化量(変動量)Dαを算出する。
次いでS504に進み、検出された転舵角αに基づき、転舵が開始されてキャビテーションが発生し易い状態か否か、また転舵が開始されている場合はその転舵の大小を判定する。具体的に説明すると、転舵角αの絶対値が比較的小さい値(例えば5deg)に設定された第1の所定転舵角η未満のときは転舵がないあるいは僅かであると判断し、S506に進んで2速用学習トリム角δと3速用学習トリム角εをそのまま後述するトリム角θを調整する処理(2,3速トリムアップ/ダウン実行判定処理)において用いる。次いでS508に進み、転舵角変速フラグのビットを0にリセットしてプログラムを終了する。
S504において転舵角αの絶対値が第1の所定転舵角η以上で、かつ第1の所定転舵角ηより大きい値(例えば10deg)に設定された第2の所定転舵角(所定転舵角)ζ未満のときは転舵が開始されてキャビテーションが発生し易いが、その転舵は比較的小さいと判断し、S510に進み、2速用学習トリム角δと3速用学習トリム角εからそれぞれ既定角度(例えば3deg)を減算し、よって得た値を後述のトリム角θを調整する処理で使用する。
上記の如く構成することで、トリム角θが例えば2速用学習トリム角δであった場合、トリム角を調整する処理においてトリムダウンが開始されてトリム角θは減少させられることとなる。このように、転舵が開始されるとき、転舵角αに応じてトリム角θを減少させるようにする。次いでS512に進み、転舵角変速済みフラグのビットが1か否か判断する。このフラグは初期値が0に設定されるため、ここでは通例否定されてS514に進み、転舵角変速フラグのビットを0にリセットしてプログラムを終了する。
S504において転舵角αの絶対値が第2の所定転舵角ζ以上のときは転舵が開始されていると共に、その転舵は比較的大きいと判断し、S516に進む。S516では、S510と同様、2,3速用学習トリム角δ,εから既定角度を減算し、よって得た値をトリム角θを調整する処理で使用する。これにより、トリム角θは減少させられる。
また、転舵が大きいときは減速することで、旋回をスムーズに行うことができるため、以下の処理においてはさらにシフトダウンを行うようにした。具体的には、S518において転舵角変速フラグのビットを1にセットする。即ち、このフラグのビットが1にセットされることは転舵角αに応じて変速が行われることを、0にリセットされることはそのような変速が行われないことを意味する。
次いでS520に進み、今回の転舵が急速な転舵(急転舵)か否か判定する。この判定は、転舵角の変化量Dαに基づいて行われる。詳しくは、転舵角の変化量Dαと急転舵判定用のしきい値Dα1とを比較し、変化量Dαがしきい値Dα1以上のとき、今回の転舵が急速な転舵であると判定する。従って、しきい値Dα1は急転舵と判定できるような値、例えば10degに設定される。
S520で否定されるときはS522に進み、第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bの動作を制御してシフトダウンを行う。具体的には、変速段が2速のときは1速に、3速のときは2速にシフトダウンする。次いでS524に進み、転舵角変速済みフラグのビットを1にセットする。即ち、このフラグのビットは、転舵角αに応じてシフトダウンがなされたとき1にセットされる一方、それ以外のとき0にリセットされる。
次いでS526に進み、レバー122の位置に応じて設定されていたエンジン30の目標エンジン回転数NEaを、エンジン30の出力トルクが最大となるように変更する。具体的には、レバー122の位置に拘らず、目標エンジン回転数NEaにエンジン30の出力トルクが最大となるエンジン回転数(以下「最大トルク回転数」という)NEtmaxをセットする。
図11は、この実施例に係るエンジン30のエンジン回転数NEに対する出力トルクの特性を示す特性図(エンジン性能線図)である。
最大トルク回転数NEtmaxについて図11を参照しつつ説明すると、エンジン30の出力トルクは、エンジン回転数NEが低回転のときは比較的低く、回転数が上昇するに連れて徐々に増加し、所定の回転数に到達するときに最大となる(図で「Tmax」と示す)。このときの回転数が上記したエンジン30の最大トルク回転数NEtmaxである。尚、エンジン回転数NEが最大トルク回転数NEtmaxを超えてさらに上昇すると、出力トルクは徐々に減少する。
従って、転舵角αに応じてシフトダウンがなされた後、エンジン30の出力トルクが最大となるように目標エンジン回転数NEaを変更、具体的には、目標エンジン回転数NEaを最大トルク回転数NEtmaxに設定することで、エンジン30は、回転が急激に吹き上がることなく、出力トルクが最大となるよう、その動作が制御されることとなる。
他方、S520で肯定されるときはS528に進み、現在の変速段が3速か否か判断する。S528で否定されるときは前述したS522に進む一方、肯定されるときはS530に進んで変速段を3速から1速にシフトダウンする。S530の処理後はS524,S526の処理を実行してプログラムを終了する。
また、S516で学習トリム角δ,εを減算すると共に、S522またはS530でシフトダウンがなされた後のプログラムループにおいて、上記した転舵が終了し、操船者によってステアリングホイール114が初期位置に戻されて転舵角αが徐々に減少し、第2の所定転舵角ζ未満となる場合、先ずS504で転舵が比較的小さいと判断されてS510に進む。
2,3速用学習トリム角δ,εはS516で既に減算されているため、そのままS512に進み、そこで肯定されてS532に進む。S532では、転舵によってシフトダウンした変速機46を、シフトダウン前の変速段となるようにシフトアップする。このように、転舵が終了した後、検出された転舵角αの減少に応じてシフトアップする。そして、S534に進み、転舵角変速済みフラグのビットを0にリセットする。
転舵角αがさらに減少して第1の所定転舵角η未満になると、トリム角θを減少させる必要はないため、S504からS506に進み、減少させていた学習トリム角δ,εを元に戻すようにする。これにより、トリム角を調整する処理においてトリムアップが開始されてトリム角θは増加させられることとなる。このように、S532でシフトアップがなされた後は検出された転舵角αの減少に応じてトリム角θを増加させるようにする。
図5フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS20に進み、変速段が2速であって船外機10のトリムアップ/ダウンを実行すべきか否かの判定処理を行い、その後S22に進んで3速であって船外機10のトリムアップ/ダウンを実行すべきか否かの判定処理を行う。
図12はその2速トリムアップ/ダウン実行判定処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャート、図13は3速トリムアップ/ダウン実行判定処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。
図12に示すように、先ずS600においてトリム制御開始フラグのビットが1か否か判断する。S600で否定されるときはS602に進み、トリムアップを停止、正確にはトリムアップを行わない。
S600で肯定されるときはS604に進み、2速トリムフラグのビットが1か否か判断する。S604で否定されるときはトリムアップの必要がないことから、S602に進んでトリムアップを行わない。一方、S604で肯定されるとき(例えばスロットル開度の変化量DTHが加速判定用の所定値DTHb以上で、変速段を1速に変速している状態のとき)はS606に進み、エンジン回転数NEが第3の所定回転数(所定回転数)NE3以上か否か判断する。
第3の所定回転数NE3は、加速が終了して変速段を1速から2速に戻すしきい値である第1の所定回転数NE1より低い値とされ、例えば5000rpmに設定される。従って、S606は、エンジン回転数NEが1速での加速が終了して変速段を1速から2速に戻す直前の状態を示しているか否か判断する処理とも言える。
S606で否定されるときはトリムアップを開始するタイミングではないため、S602に進み、トリムアップを実行することなくプログラムを終了する。他方、S606で肯定されるときはS608に進み、トリム角θが2速用学習トリム角δか否か判断する。
S608で否定されるときはS610に進み、トリムユニット24を動作させてトリムアップまたはトリムダウンを実行する。S610を最初に実行するときは、トリム角θは通例0degであるため、ここではトリムアップを開始する。即ち、エンジン回転数NEが第3の所定回転数NE3以上のとき、トリムアップを開始する。このように、2速用学習トリム角δが決定された後は、加速が終了して変速段を1速から2速に戻す前にトリムアップを開始することで、船速は上昇する。
そして、トリムアップによってトリム角θが調整され、その後のプログラムループにおいてS608で肯定されるときはS612に進み、2速トリムフラグのビットを0にリセットすると共に、S614に進んでトリムアップ/ダウンを停止する。このように、2速のときはトリム角θを学習トリム角δに調整することで、船速が最高速に到達する。
また、前述したS510またはS516の処理において2速用学習トリム角δが既定角度減算された後のプログラム実行時はS608で否定されてS610に進み、トリム角θが減算された2速用学習トリム角δとなるまでトリムダウンを実行する。そして、転舵が終了して2速用学習トリム角δが元に戻されるときも同様に、S608で否定されてS610に進み、トリム角θが元に戻された2速用学習トリム角δとなるまでトリムアップを実行する。
次いで図13の3速トリムダウン実行判定処理について説明すると、S700においてトリム制御開始フラグのビットが1か否か判断する。S700で否定されるときはS702に進み、トリムダウンを停止、正確にはトリムダウンを行わない。
S700で肯定されるときはS704に進み、3速トリムフラグのビットが1か否か判断する。S704で否定されるときはトリムダウンの必要がないことから、S702に進んでトリムダウンを行わず、肯定されるとき、即ち、変速段が3速に変速されているときはS706に進み、トリム角θが3速用学習トリム角εか否か判断する。
S706で否定されるときはS708に進み、トリムユニット24を動作させてトリムダウンまたはトリムアップを行う。S708を最初に実行するときは、トリム角θは通例3速用学習トリム角εより大きい値の2速用学習トリム角δであるため、ここではトリムダウンを開始する。そして、トリムダウンによってトリム角θが調整され、その後のプログラムループにおいてS706で肯定されるときはS710に進み、3速トリムフラグのビットを0にリセットすると共に、S712に進んでトリムダウンを停止する。このように、3速用学習トリム角εが決定された後は、変速段が3速に変速されるときにトリムダウンを開始し、トリム角θを学習トリム角εに調整することで、船速は最高速に到達する。
また、前述したS510やS516の処理において3速用学習トリム角εが既定角度減算された後のプログラム実行時はS706で否定されてS708に進み、トリム角θが減算された3速用学習トリム角εとなるまでトリムダウンを実行する。そして、転舵が終了して3速用学習トリム角εが元に戻されるときも同様に、S706で否定されてS708に進み、トリム角θが元に戻された3速用学習トリム角εとなるまでトリムアップを実行する。
図5にあっては、次いでS24に進み、トリム角θを初期角度に戻すためのトリムダウンを実行すべきか否かの判定処理を行う。
図14はそのイニシャルトリムダウン実行判定処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。図示の如く、S800においてイニシャルトリムフラグのビットが1か否か判断する。S800で否定されるときはS802に進み、トリムダウンを行わない。
他方、S800で肯定されるときはS804に進み、トリム角θが初期角度より大きいか否か判断する。S804で肯定されるときはS806に進み、トリムユニット24を動作させてトリムダウンを開始してトリム角θが初期角度となるように(トリム角θを初期角度に戻すように)する。S804で否定されるときはS808に進んでイニシャルトリムフラグのビットを0にリセットし、次いでS810に進み、トリムダウンを停止してプログラムを終了する。
図15は上記した処理のうち、転舵が行われたときの船外機10の動作を説明するタイム・チャートであり、図16はその説明図である。尚、以下においては、S12,S14で2,3速用学習トリム角δ,εが既に決定されているものとする。また、図16において符号yは船外機10の前後方向を、符号zは上下方向を示し、符号Wは海水あるいは淡水を、符号Sはその水面を示す。前後方向yと上下方向zは、船外機10における前後、上下を意味し、船外機10のチルト角やトリム角によっては必ずしも重力方向あるいは水平方向とは一致しない。
以下説明すると、先ず時刻t0からt1の通常運転時において変速機46の変速段を2速に設定し(S122)、その後操船者のシフト・スロットルレバー122の操作によってスロットルバルブ38が開弁させられ、時刻t1においてスロットル開度の変化量DTHが加速判定用の所定値DTHb以上のとき(S120)、2速から1速に変速する(S126)。
図16にあっては、時刻t0からt1のときは(a)に示す如く、船体12と船外機10は共に水平状態にあり、トリム角θは初期角度(0deg)である。時刻t1での加速によって変速段を1速にし、船速が上昇すると、船体12は、図16(b)に示す如く、船首12bが持ち上がる一方、船尾12aが沈み込む、いわゆるハンプ状態となる。同図から分かるように、このときのプロペラシャフト44の軸線44aの方向は船舶1の進行方向に対して平行とならない。
その後も加速が継続されてエンジン回転数NEが徐々に上昇し、時刻t2において第3の所定回転数NE3以上になると、船外機10のトリムアップを開始する(S606,S610)。エンジン回転数NEがさらに上昇して第1の所定回転数NE1以上のとき(S116。時刻t3)、変速段を1速から2速へ変速する(S134)。そして、時刻t4においてトリム角θが2速用学習トリム角δに到達するとき、トリムアップを停止する(S608,S614)。
トリムアップの停止がなされた状態を図16(c)に示す。同図から分かるように、船外機10をトリムアップしてトリム角θを調整することで、プロペラシャフト44の軸線44aの方向(換言すれば、船外機10の推力の向き)は船舶1の進行方向と略平行とされ、水面Sから受ける船体12の抵抗を減少させると共に、船体12の推力を増加でき、よって2速での船舶1の速度を最高速に到達させることができる。
次いで転舵が開始されて時刻t5で転舵角αが第1の所定転舵角η以上になると、2速用学習トリム角δから既定角度を減算し、それによってトリム角θを減少させる(S504,S510)。その後、時刻t6において転舵角αが第2の所定転舵角ζ以上になると、2速から1速にシフトダウンする(S504,S522)。尚、このとき、エンジン30の目標エンジン回転数NEaを最大トルク回転数NEtmaxに設定する(S526)。
その後転舵が終了し、時刻t7で転舵角αが第2の所定転舵角ζ未満になると、1速から2速へシフトアップすると共に(S504,S532)、時刻t8で転舵角αが第1の所定転舵角η未満になると、2速用学習トリム角δを元に戻してトリム角θを増加させる(S504,S506)。
その後、スイッチ130が操船者によって操作されて燃費低減指示が入力されると共に(S138)、時刻t9においてエンジン回転数NEが第2の所定回転数NE2以上のとき(S154)、2速から3速にシフトアップすると共に(S158)、トリムダウンを開始する(S706,S708)。そして、時刻t10においてトリム角θが3速用学習トリム角εとなるとき、トリムダウンを停止する(S706,S712)。
図示は省略するが、トリムダウンの停止がなされたときの船舶1の状態は、図16(c)と同様、プロペラシャフト44の軸線44aの方向と船舶1の進行方向が略平行とされ、よって3速での船舶1の速度を最高速に到達させることができる。
時刻t11において操船者によってレバー122が操作され、スロットル開度の変化量DTHが減速判定用の所定値DTHa未満のとき(S106)、3速から2速に変速すると共に(S166)、トリムダウンを開始してトリム角θを初期角度に戻す(S800,S806)。トリム角θが初期角度に戻った状態を図16(d)に示す。
また、変速段が3速のとき(時刻t10からt11の間)に急転舵が行われる場合、図15に想像線で示す如く、時刻taで転舵角αが第1の所定転舵角η以上になると、3速用学習トリム角εから既定角度を減算し、それによってトリム角θを減少させる(S504,S510)。その後、時刻tbにおいて転舵角αが第2の所定転舵角ζ以上になると共に、急転舵と判定されるとき(S504,S520)、3速から1速にシフトダウンする(S530)。
以上の如く、この発明の実施例にあっては、内燃機関(エンジン)30とプロペラ42の間の動力伝達軸(プロペラシャフト)44に介挿されると共に、少なくとも1速、2速、3速からなる変速段を有し、前記内燃機関の出力を選択された変速段で変速して前記プロペラに伝達する変速機46と、船体12に対するトリム角θをトリムアップ/ダウンによって調整可能なトリム角調整機構(パワーチルトトリムユニット)24とを備える船外機の制御装置において、前記内燃機関のスロットル開度THの変化量DTHを検出するスロットル開度変化量検出手段と(スロットル開度センサ96,ECU110。S10,S104)、前記内燃機関の機関回転数(エンジン回転数)NEを検出する機関回転数検出手段と(クランク角センサ102,ECU110。S10,S108)、前記船外機の前記船体に対する転舵角を検出する転舵角検出手段と(転舵角センサ106,ECU110。S18,S500)、前記2速が選択されていると共に、前記検出されたスロットル開度の変化量DTHが所定値(加速判定用の所定値)DTHb以上のとき、前記2速から前記1速にシフトダウンするように前記変速機46の動作を制御する第1のシフトダウン制御手段と(ECU110。S10,S120,S126)、前記検出された機関回転数NEが所定回転数(第3の所定回転数)NE3以上のとき、前記トリムアップを開始して前記トリム角θが所定角度(2速用学習トリム角δ、3速用学習トリム角ε)となるように前記トリム角調整機構24の動作を制御する第1のトリム角制御手段と(ECU110。S20,S22,S608〜S614,S706〜S712)、前記第1のトリム角制御手段によって前記トリム角θが前記所定角度とされた後、前記検出された機関回転数NEに応じて前記1速から前記2速または前記2速から前記3速にシフトアップするように前記変速機46の動作を制御する第1のシフトアップ制御手段と(ECU110。S10,S116,S134,S154,S158)、前記第1のシフトアップ制御手段によって前記シフトアップがなされた後、転舵が開始されるとき、前記検出された転舵角αに応じて前記トリム角θが減少するように前記トリム角調整機構24の動作を制御する第2のトリム角制御手段と(ECU110。S18,S504,S510,S516)、前記第1のシフトアップ制御手段によって前記シフトアップがなされた後、前記転舵が開始されると共に、前記検出された転舵角αが所定転舵角(第2の所定転舵角)ζ以上のとき、シフトダウンするように前記変速機46の動作を制御する第2のシフトダウン制御手段と(ECU110。S18,S504,S522,S530)を備える如く構成した。
これにより、転舵によって生じるキャビテーションを抑制でき、よってスムーズに旋回することができる。即ち、例えば所定回転数NE3を加速が終了して変速段を1速から2速に戻す直前の状態に相当する値に設定すると共に、所定角度δ,εを船舶1に作用する水の抵抗を減少させて推力が増加するような値にしてトリムアップさせることも可能となり、その後エンジン回転数NEに応じてシフトアップすることで、船舶1の速度を上昇させて最高速に到達させることができる。そして速度が最高速にあるときに転舵が行われると、船舶1の推力が一時的に低下するため、トリム角が前記所定角度のままである場合はキャビテーションが発生することがあるが、転舵角に応じてトリム角を減少させることで(トリムダウンさせることで)、その発生を抑制でき、よってスムーズな旋回を可能とすることができる。
さらに、転舵角αが所定転舵角ζ以上のとき、換言すれば、転舵が比較的大きいとき、シフトダウンするように構成したので、キャビテーションの発生をより効果的に抑制できると共に、スロットルバルブ38を開閉させることなく減速でき、よってよりスムーズに旋回することができる。
また、前記転舵が終了した後、前記検出された転舵角αの減少に応じてシフトアップするように前記変速機46の動作を制御する第2のシフトアップ制御手段(ECU110。S18,S504,S532)を備えると共に、前記第2のトリム角制御手段は、前記第2のシフトアップ制御手段によって前記シフトアップがなされた後、前記検出された転舵角αの減少に応じて前記トリム角θが増加するように前記トリム角調整機構の動作を制御する(S504,S506)如く構成、即ち、前記転舵が終了した後、操船者によってステアリングホイール114が初期位置(具体的には船舶1の進路を直進方向とする位置)に戻されて転舵角αが減少する場合、その減少に応じてシフトアップおよびトリム角θを増加させる(トリムアップさせる)ように構成したので、転舵によってシフトダウンした変速機46を元の変速段となるようにシフトアップすると共に、トリム角θを前記した所定角度に戻すことも可能となり、よって船舶1の速度を上昇させて最高速に再度到達させることができる。
また、前記内燃機関のスロットルバルブ38を開閉するアクチュエータ(スロットル用電動モータ)40と、前記内燃機関の機関回転数NEが目標機関回転数NEaとなるように前記アクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段と(ECU110)、前記第2のシフトダウン制御手段によって前記シフトダウンがなされたとき、前記内燃機関の出力トルクが最大となるように前記目標機関回転数を変更する目標機関回転数変更手段と(ECU110。S18,S526)を備える如く構成した。これにより、転舵時にシフトダウンするときのエンジン30の動作を適切に制御して機関回転の吹き上がりを防止できると共に、シフトダウン直後の旋回をスムーズに行うことができる。
また、前記検出された転舵角の変化量Dαを算出する転舵角変化量算出手段(ECU110。S18,S502)を備え、前記第2のシフトダウン制御手段は、前記3速が選択されていると共に、前記検出された転舵角αが前記所定転舵角ζ以上で、かつ前記算出された転舵角の変化量Dαがしきい値Dα1以上のとき、前記3速から前記1速にシフトダウンするように前記変速機46の動作を制御する(S18,S520,S528)如く構成したので、キャビテーションの発生を抑制できると共に、スロットルバルブ38を開閉させることなく効果的に減速でき、よってより一層スムーズな旋回を可能とすることができる。
尚、上記において、転舵が開始されるとき、2速用学習トリム角δと3速用学習トリム角εから固定された値(既定角度)を減算してトリム角θを減少させるようにしたが、それに限られるものではなく、転舵角αに応じて減算する値を変更、例えば転舵角αが増加するにつれて減算する値も増加するように構成しても良い。
また、船外機を例にとって説明したが、変速機とトリム角調整機構を備えた船内外機についても本発明を適用することができる。
また、減速/加速判定用の所定値DTHa,DTHb、第1から第3の所定回転数NE1〜NE3、既定角度、第1、第2の所定転舵角η,ζやエンジン30の排気量などを具体的な値で示したが、それらは例示であって限定されるものではない。