JP5378979B2 - スチレン−フマル酸共重合体の回収方法 - Google Patents

スチレン−フマル酸共重合体の回収方法 Download PDF

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Description

本発明は、スチレン−フマル酸共重合体の回収方法に関する。
特許文献1−2で開示されているように、従来、アルカリ共存下で亜臨界水分解したスチレンを含む不飽和ポリエステル樹脂の分解生成物であるスチレン−フマル酸共重合体のアルカリ塩を含む水溶液からのスチレン−フマル酸共重合体の回収は、次の方法で行われている。すなわち、前記水溶液に酸を供給してスチレン−フマル酸共重合体を析出させ、ろ過等の方法で固液分離してスチレン−フマル酸共重合体を回収している。しかしながら、この方法は固形物としてスチレン−フマル酸共重合体を得ようとするものであり固−液分離操作を含んでいるため、実プラント処理を行った場合、ハンドリング操作が煩わしいという課題があった。
上記課題を解決するために、スチレン−フマル酸共重合体のアルカリ塩を含む水溶液に酸を供給してスチレン−フマル酸共重合体を析出させた後、スチレン−フマル酸共重合体を溶解し且つ難水性の溶媒であるアルコールを供給し、加熱条件下で撹拌しながら析出したスチレン−フマル酸共重合体をアルコールに溶解させ、スチレン−フマル酸共重合体をアルコール中に抽出して回収する方法が報告されている(例えば、特許文献3参照)。この方法によれば、水相とアルコール相とを液−液分離することにより、アルコール相に溶解しているスチレン−フマル酸共重合体を容易に回収することができる。また供給したアルコールとの直接エステル化反応を円滑に行うことができ、熱硬化性樹脂の低収縮剤として利用されるスチレン−フマル酸エステル共重合体の製造プロセスの効率化が図られている。
国際公開WO2005/092962号パンフレット 特開2006−8984号公報 国際公開WO2009/081974号パンフレット
しかしながら、上記方法において、析出したスチレン−フマル酸共重合体をアルコールに溶解させる際の撹拌速度が速い場合には、エマルジョンが形成されるため、アルコールに溶解しているスチレン−フマル酸共重合体を回収することは容易でない。逆に撹拌速度が遅い場合には、スチレン−フマル酸共重合体がアルコールに溶解する前にスチレン−フマル酸共重合体の脱水固化が早く進行してアルコールに溶解しにくくなるという問題があった。このように特許文献3に開示されているスチレン−フマル酸共重合体の回収方法には工業化のための課題が依然として残されており、スチレン−フマル酸共重合体の回収時間の短縮やアルコール相への抽出率の向上が求められているのが実情である。
本発明は以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、スチレンを含む不飽和ポリエステル樹脂の分解生成物からスチレン−フマル酸共重合体を容易に且つ効率よく分離できるスチレン−フマル酸共重合体の回収方法を提供することを課題としている。
本発明は以下のことを特徴としている。
第1に、 アルカリ共存下で亜臨界水分解したスチレンを含む不飽和ポリエステル樹脂の分解生成物であるスチレン−フマル酸共重合体のアルカリ塩を含む水溶液からスチレン−フマル酸共重合体を回収する方法において、少なくとも以下の工程を含むことを特徴とするスチレン−フマル酸共重合体の回収方法。
(A)スチレン−フマル酸共重合体のアルカリ塩を含む水溶液に酸を供給してスチレン−フマル酸共重合体を析出させる工程、
(B)前記水溶液にさらに沸点100℃以上のアルコールを供給する工程、
(C)75℃以上且つ水の沸点未満の温度で加熱しながら、下記式(I)で定義される撹拌フルード数Frが0.01以上、0.04以下の範囲であり、かつ、前記水溶液とそれに供給したアルコールとで水相とアルコール相の2相が形成される条件で撹拌して水相のスチレン−フマル酸共重合体をアルコールに溶解させ、水相からアルコール相を分離する工程。
Fr=(nd)/dg (I)
式中、nは撹拌速度(rps)、dは撹拌羽根の直径(m)、gは重力加速度(9.8m/s)を示す。。
第2に、上記第1の発明において、工程(B)でのアルコールの供給量が、析出したスチレン−フマル酸共重合体の重量の0.8〜5倍量である。
に、上記第1または2の発明において、工程(C)において水相のスチレン−フマル酸共重合体をアルコールに溶解させ、水相からアルコール相を分離した後、アルコール相に新たなスチレン−フマル酸共重合体のアルカリ塩を含む水溶液を加えて前記工程(A)から工程(C)までの操作を複数回繰り返し行う。
上記第1の発明によれば、スチレン−フマル酸共重合体が析出した水溶液に沸点100℃以上のアルコールを供給し、75℃以上且つ水の沸点未満の温度で加熱しながら、上記式(I)で定義される撹拌フルード数Frが0.01以上且つ前記水溶液とそれに供給したアルコールとで水相とアルコール相の2相が形成される条件で撹拌することによって、スチレン−フマル酸共重合体をアルコール相に効果的に溶解させることができる。このため、スチレン−フマル酸共重合体を回収するまでの時間も従来に比べて短縮することができ、またアルコール相へのスチレン−フマル酸共重合体の抽出率を向上させることができるので、スチレン−フマル酸共重合体を容易に且つ効率よく分離できる。さらに、工程(C)での撹拌が撹拌フルード数Fr0.04以下の条件で行うことにより、撹拌速度が最適化され、抽出槽の大きさに拘わらず水相とアルコール相の2相を確実に形成させることができ、スチレン−フマル酸共重合体の抽出分離を良好に行うことができる。
また、回収したアルコール相のスチレン−フマル酸共重合体は直接エステル化反応を円滑に行うことができるので、熱硬化性樹脂の低収縮剤として利用されるスチレン−フマル酸エステル共重合体の製造プロセスの効率化を図ることができる。
上記第2の発明によれば、アルコールの供給量が最適化され、効率よくスチレン−フマル酸共重合体を抽出することができる。
の発明によれば、スチレン−フマル酸共重合体のアルカリ塩を含む水溶液の処理量を増大させることができる。また、アルコール相にスチレン−フマル酸共重合体を濃縮して回収することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、スチレン−フマル酸共重合体のアルカリ塩を含む水溶液からスチレン−フマル酸共重合体を抽出する方法である。スチレン−フマル酸共重合体は次式で表される。
Figure 0005378979
式中のmはスチレン基/フマル酸のモル比、nはスチレン−フマル酸共重合体の重合度であり、m=1〜10、n=3〜300の値をとるものである。
スチレン−フマル酸共重合体のアルカリ塩を含む水溶液は、特許文献1−3に開示されているように、不飽和ポリエステル樹脂をアルカリ共存下で亜臨界水分解することにより分解生成物として得られる。具体的には、不飽和ポリエステル樹脂に水を加え、温度および圧力を上昇させて水を亜臨界状態にして加水分解反応させて得るものである。ここで、温度は、不飽和ポリエステル樹脂の熱分解温度を考慮し、かつ、分解処理を効率よく行うために、例えば180〜280℃、好ましくは200〜270℃とする。圧力は、上記温度等の条件によって異なるが、一般的には1〜15MPa、好ましくは2〜7MPaである。そして、上記の温度、圧力の条件で、1〜12時間、好ましくは1〜4時間程度処理することによって、不飽和ポリエステル樹脂を加水分解する。アルカリは、例えば、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。
上記不飽和ポリエステル樹脂は、多価アルコール成分と不飽和多塩基酸成分から得られる不飽和ポリエステルを架橋剤であるスチレンを介して架橋した網状の熱硬化性樹脂であり、その分解生成物としてスチレン−フマル酸共重合体を得ることができれば、不飽和ポリエステルの種類、量および架橋度等は限定されない。多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等を例示することができる。不飽和多塩基酸成分としては、例えば、無水フマル酸、フマル酸、マレイン酸等の脂肪族不飽和二塩基酸を例示することができる。
不飽和ポリエステル樹脂をアルカリ共存下で亜臨界水分解すると、スチレン−フマル酸共重合体の塩を含有する水溶液を得る。スチレン−フマル酸共重合体の塩は、架橋剤由来のスチレン骨格と不飽和ポリエステル由来のフマル酸骨格とを有し、アルカリとして用いたアルカリ金属塩由来のナトリウムやカリウム等のアルカリ金属がフマル酸骨格のカルボキシル基に結合した状態(COONaやCOO)のナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ塩であり、水溶性を示すものである。
本発明では、スチレン−フマル酸共重合体の塩を含有する水溶液に塩酸、硫酸、硝酸等の無機の強酸を供給してスチレン−フマル酸共重合体の固形分を析出させる(工程(A))。酸の供給は、スチレン−フマル酸共重合体の固形物を完全に析出させるためにも前記水溶液のpHが4以下となるように供給することが好ましい。pHが小さいほどスチレン−フマル酸共重合体が析出しやすいので、好ましくはpHが2以下となるように供給することが考慮される。pHの下限は特に設定されず、0である。
スチレン−フマル酸共重合体が析出した後、前記水溶液に沸点100℃以上のアルコールを供給する(工程(B))。これによって下層にスチレン−フマル酸共重合体が析出、分散した水相が形成され、上層にアルコール相が形成される。アルコールは水相中に析出したスチレン−フマル酸共重合体を溶解させるために供給されるものであり、沸点が100℃以上であれは特に制限されないが、難水性であることが望ましく、例えば、水(25℃)に対する溶解度が300g/L未満、好ましくは120g/L未満のアルコールが考慮されてもよい。また、スチレン−フマル酸共重合体の溶解度、水への溶解性、スチレン−フマル酸共重合体との反応性、スチレン−フマル酸共重合体を効率よく改質(エステル化)して熱硬化性樹脂の硬化収縮を抑制する低収縮剤として再利用できる利便性等を考慮すると、好ましくは炭素数4以上、特に好ましくは炭素数6〜10程度のアルコールを例示することができる。アルコールは、その分子中にアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基等の置換基を有していてもよい。これらのアルコールの中でも第1級または第2級アルコールが好ましい。特に好ましいアルコールはアルキルアルコールであり、具体例として、1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−オクタノール、2−エチルヘキサノール等が挙げられる。なかでも1−オクタノールや2−エチルヘキサノール等の炭素数8のアルコールが好ましい。
アルコールの供給量は、析出したスチレン−フマル酸共重合体の量に応じて適宜設定される。例えば、析出したスチレン−フマル酸共重合体の重量に対して0.8〜5倍量とされてよい。この範囲を超えたアルコールを供給してもスチレン−フマル酸共重合体の抽出率の向上はあまり望めない。また、より大きなサイズの抽出分離槽が必要になるので好ましくない。アルコールの供給量が過少である場合には、析出したスチレン−フマル酸共重合体を充分に溶解させることができないので好ましくない。
本発明では、工程(C)において、75℃以上且つ水の沸点未満の温度で加熱しながら上記式(I)で定義される撹拌フルード数Frが0.01以上であり且つ前記水溶液とそれに供給したアルコールとで水相とアルコール相の2相が形成される条件で撹拌して水相のスチレン−フマル酸共重合体をアルコール相に溶解させ、スチレン−フマル酸共重合体をアルコール相に抽出し、水相から分離する。
ここで、上記撹拌条件において「水溶液とそれに供給したアルコールとで水相とアルコール相の2相が形成される条件」で撹拌するとは、撹拌終了直後、または撹拌終了して3時間程度静置した後、エマルジョンが形成されておらず、水相とアルコール相の2相が形成されているような条件を指す。このような条件においては、撹拌終了直後ないし静置後にエマルジョンが解消されて水相とアルコール相の2相が形成されていれば、撹拌中に水相とアルコール相とが混合してエマルジョンが形成されるような撹拌速度で撹拌してもよい。望ましくは、撹拌中においても水相とアルコール相の2相が形成され、その状態を維持しつつ撹拌する。具体的には、撹拌フルード数Frが0.01以上、そして後述するように撹拌フルード数Frが0.04以下となるような条件で撹拌を行うことが望ましい。この条件での撹拌は、撹拌中、水相とアルコール相が適度にうねり上下運動して水相に析出したスチレン−フマル酸共重合体のアルコール中への溶解が促進するので、抽出のための好適な環境が実現できる。この条件で撹拌すると、撹拌中のうねり及び上下運動により、撹拌終了直後、若干エマルジョンが形成される場合もあるが、10分程度でエマルジョンが解消されるので、水相とアルコール相とを液−液分離することは可能である。
工程(C)における上記温度範囲の加熱により、アルコール中へのスチレン−フマル酸共重合体の溶解度が上昇するとともに析出したスチレン−フマル酸共重合体の脱水効果によってアルコール中への溶解が促進される。また上記撹拌により、水相に析出したスチレン−フマル酸共重合体のアルコール中への溶解がさらに促進される。しかも、撹拌終了直後ないし静置後に、水相と、スチレン−フマル酸共重合体が溶解したアルコール相との2相が形成されるので、分液ロート等で液−液分離することでアルコール相のスチレン−フマル酸共重合体を回収することができる。
75℃未満の温度で撹拌した場合、水相に析出したスチレン−フマル酸共重合体の脱水効果を期待できないのでアルコールにスチレン−フマル酸共重合体を完全に溶解させることができず、アルコール相や水相にスチレン−フマル酸共重合体が残存する。この場合、スチレン−フマル酸共重合体を回収するために固−液分離操作が必要になり、スチレン−フマル酸共重合体を効率よく回収することができない。また、水の沸点以上の温度で撹拌した場合、このような条件下ではスチレン−フマル酸共重合体をアルコール相に抽出して回収することはできない。撹拌フルード数Frが0.01未満の条件で撹拌した場合、水相中に析出したスチレン−フマル酸共重合体がアルコール相と接触する機会が少なくなりアルコール相に溶解される前にスチレン−フマル酸共重合体の脱水固化が早く進行してアルコール中に溶解されにくくなる。その結果、スチレン−フマル酸共重合体が水相中に残存することになり、スチレン−フマル酸共重合体を効率よく回収することができない。水相とアルコール相の2相が撹拌終了後に静置した後であっても形成されないような撹拌速度で撹拌した場合には、水相とアルコール相が見かけ上、均一に混合してエマルジョンが形成される。エマルジョンが形成されると、2相に分離することは困難であり、アルコール相のスチレン−フマル酸共重合体を回収することが難しい。
このように本発明では、工程(C)の抽出操作において加熱温度と撹拌速度を制御することが重要である。
本発明では、工程(C)の抽出操作において加熱するにあたり、その加熱の昇温速度を2℃/分未満とすることが好ましい。中でも1.5℃/分以下、特に0.5℃〜1℃の範囲が好適である。昇温速度が2℃/分以上の場合、加熱によるアルコール中へのスチレン−フマル酸共重合体の溶解度増加に関連されるスチレン−フマル酸共重合体のアルコール中への抽出速度増加よりも、加熱によるスチレン−フマル酸共重合体の脱水固化速度の方が速いことに起因して、スチレン−フマル酸共重合体の脱水固化が進行してアルコール中に溶解されにくくなる場合がある。
また、工程(C)の抽出操作において撹拌フルード数Frが0.01以上の条件で撹拌するにあたり、撹拌終了直後ないし静置後に水相とアルコール相の2相が形成される条件であればその撹拌速度の上限は問わないが、好適には撹拌フルード数Frが0.04以下となるように設定される。
工程(C)の抽出操作が終わった後、水相を除去してスチレン−フマル酸共重合体を溶解したアルコール相を回収する。その後、スチレン−フマル酸共重合体とアルコールとを反応(直接エステル化反応)させ、その反応生成物(スチレン−フマル酸エステル共重合体)を熱硬化性樹脂の低収縮剤として利用する場合には、エステル化反応の原料となるアルコールを工程(B)において用いることにより、熱硬化性樹脂の低収縮剤として利用されるスチレン−フマル酸エステル共重合体の製造プロセスの効率化を図ることができる。
また、本発明では、工程(C)の抽出操作が終わり、水相を除去した後、残存するアルコール相に新たなスチレン−フマル酸共重合体のアルカリ塩を含む水溶液を加えて前記工程(A)から工程(C)までの操作を複数回繰り返し行う。このような操作を例えば2〜4回程度繰り返し行うことにより、アルコール相のスチレン−フマル酸共重合体を濃縮することができる。これによって、濃縮したスチレン−フマル酸共重合体を回収することができ、その後の直接エステル化反応によるスチレン−フマル酸エステル共重合体の製造効率を向上させることができる。
スチレン−フマル酸共重合体のアルカリ塩を含む水溶液に含まれるスチレン−フマル酸共重合体の濃度は、概ね5質量%以下であり、抽出分離するためには比較的に大きな抽出分離槽が必要である。例えば、スチレン−フマル酸共重合体を5質量%含有する前記水溶液2000Lからスチレン−フマル酸共重合体をオクタノール中に回収する場合、まずpH4以下にしてスチレン−フマル酸共重合体を析出させるために62.5%の希硫酸が約100L必要となる。さらに、スチレン−フマル酸共重合体の重量の4倍量のオクタノールを用いて抽出分離する場合には約400Lのオクタノールが必要となる。そうすると、抽出分離槽は、スチレン−フマル酸共重合体を5質量%含有する前記水溶液2000Lに希硫酸約100Lとオクタノール約400Lを供給できる程度の大きさが必要であり、この場合、実質的に3000Lクラスのサイズの抽出分離槽が必要である。そしてオクタノール中に溶解した状態で得られるスチレン−フマル酸共重合体の重量は約100kg程度であり、抽出分離槽の大きさに比べて得られるスチレン−フマル酸共重合体の量は相対的に少ない。抽出分離槽は耐酸性の高価な設備でもあるため、生産上、効率的な使い方が望まれる。上記した工程(A)から工程(C)までの操作を1つの抽出分離槽で複数回繰り返し行うことにより、繰り返した分だけ効率化が図られ、表1に示すように、処理量が増大し、スチレン−フマル酸共重合体を濃縮することができる。
Figure 0005378979
表1に示すように、1回の抽出操作にかかる時間は、通常、約2時間(仕込10分、昇温撹拌60分、維持撹拌30分、静置/水相排出20分)である。抽出操作後、熱硬化性樹脂の低収縮剤として利用されるスチレン−フマル酸エステル共重合体を製造する場合、その処理にはさらに8時間以上の時間を要する。1回の抽出操作の都度、スチレン−フマル酸エステル共重合体を製造するよりも、抽出操作を複数回繰り返し行ってスチレン−フマル酸共重合体を濃縮させてからスチレン−フマル酸エステル共重合体を製造することのほうが効率がよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
直径60mmのグリッド&パドル型撹拌羽根を備えた内径φ110mm×高さ150mmのガラス容器(抽出分離槽)に、スチレン−フマル酸共重合体(以下、「SFC−H」という)を4.8質量%含有したpH12.3のSFC−Hのアルカリ塩を含む水溶液(以下、「アルカリ水溶液」という)700gを仕込み、希硫酸36g及び1−オクタノール136gを添加して、撹拌速度80rpmにて撹拌しながら、昇温速度1℃/分にて、80℃まで加熱して抽出分離を行った。設定温度に達した後、30分間撹拌を維持し、撹拌を停止した。静置後、溶液はアルコール相と水相に良好に2相分離された。アルコール相へのSFC−Hの抽出率は97%であった。その結果を表2に示す。
<実施例2>
撹拌速度を150rpmにした以外は、実施例1と同様に操作した。その結果、静置後、溶液はアルコール相と水相に良好に2相分離された。アルコール相へのSFC−Hの抽出率は97%であった。その結果を表2に示す。
<比較例1>
撹拌速度200rpmにした以外は、実施例1と同様に操作した。その結果、溶液上部にエマルジョン相が形成され、アルコール相と水相の2相に分離されなかった。その結果を表2に示す。
<比較例2>
撹拌速度を70rpmにした以外は、実施例1と同様に操作した。その結果、水相側にSFC−Hの塊が残り、溶け残りが発生し、充分にアルコール相への抽出が進まなかった。その結果を表2に示す。
Figure 0005378979
<実施例3>
直径60mmのグリッド&パドル型撹拌羽根を備えた内径φ110mm×高さ150mmのガラス容器に、SFC−Hを4.8質量%含有したpH12.3のアルカリ水溶液700gを仕込み、希硫酸36g及び1−オクタノール136gを添加して、撹拌速度100rpmにて撹拌しながら、昇温速度1℃/分にて、90℃まで加熱して抽出分離を行った。設定温度に達した後、30分間撹拌を維持し、撹拌を停止した。静置後、溶液はアルコール相と水相に良好に2相分離された。アルコール相へのSFC−Hの抽出率は97%であった。その結果を表3に示す。
<比較例3>
加熱温度を60℃にした以外は、実施例3と同様に操作した。その結果、アルコール相と水相に分離されるものの、アルコール相にSFC−Hの析出物が観察され、アルコール中にSFC−Hが完全に溶解していないことが確認された。その結果を表3に示す。
Figure 0005378979
<実施例4>
直径120mmのグリッド&パドル型撹拌羽根を備えた内径φ220mm×高さ240mmのガラス容器に、SFC−Hを4.8質量%含有したpH12.3のアルカリ水溶液8kgを仕込み、希硫酸0.4kg及び1−オクタノール1.36kgを添加して、撹拌速度60rpmにて撹拌しながら、昇温速度1℃/分にて、90℃まで加熱して抽出分離を行った。設定温度に達した後、30分間撹拌を維持し、撹拌を停止した。静置後、溶液はアルコール相と水相に良好に2相分離された。アルコール相へのSFC−Hの抽出率は98%であった。その結果を表4に示す。
<実施例5>
直径850mmのグリッド&パドル型撹拌羽根を備えた内径φ1600mm×高さ1700mmのガラスライニング容器に、SFC−Hを3.7質量%含有したpH12.3のアルカリ水溶液2002kgを仕込み、希硫酸102kg及び1−オクタノール338kgを添加して、撹拌速度30rpmにて撹拌しながら、昇温速度1℃/分にて、80℃まで加熱して抽出分離を行った。設定温度に達した後、30分間撹拌を維持し、撹拌を停止した。静置後、溶液はアルコール相と水相に良好に2相分離された。アルコール相へのSFC−Hの抽出率は97%であった。その結果を表4に示す。
Figure 0005378979
<実施例6>
直径60mmのグリッド&パドル型撹拌羽根を備えた内径φ110mm×高さ150mmのガラス容器に、SFC−Hを4.8質量%含有したpH12.3のアルカリ水溶液900gを仕込み、希硫酸46g及び1−オクタノール44gを添加して、撹拌速度100rpmにて撹拌しながら、昇温速度0.6℃/分にて、80℃まで加熱して抽出分離を行った。設定温度に達した後、30分間撹拌を維持し、撹拌を停止した。静置後、溶液はアルコール相と水相に良好に2相分離された。アルコール相へのSFC−Hの抽出率は98%であった。その結果を表5に示す。
Figure 0005378979
<実施例7>
直径60mmのグリッド&パドル型撹拌羽根を備えた内径φ110mm×高さ150mmのガラス容器に、SFC−Hを4.2質量%含有したpH12.3のアルカリ水溶液600gを仕込み、希硫酸30g及び1−オクタノール93gを添加して、撹拌速度100rpmにて撹拌しながら、昇温速度1℃/分にて、80℃まで加熱して抽出分離を行った。設定温度に達した後、30分間撹拌を維持し、撹拌を停止した。静置後、溶液はアルコール相と水相に2相分離され、水相をガラス容器から排出した。
(繰り返し2回目)アルコール相が残留したガラス容器内に、SFC−Hを4.2%含有したpH12.3の新たなアルカリ水溶液600gを仕込み、希硫酸30gを添加して、撹拌速度100rpmにて撹拌しながら、昇温速度1℃/分にて、80℃まで加熱して抽出分離を行った。設定温度に達した後、30分間撹拌を維持し、撹拌を停止した。静置後、溶液はアルコール相と水相に2相分離され、水相をガラス容器から排出した。
同様の操作をさらに2回繰り返し、合計4回の繰り返し抽出を行った。アルコール相へのSFC−Hの抽出率は99%であった。その結果を表6に示す。
<実施例8>
直径60mmのグリッド&パドル型撹拌羽根を備えた内径φ110mm×高さ150mmのガラス容器に、SFC−Hを4.2質量%含有したpH12.3のアルカリ水溶液800gを仕込み、希硫酸40g及び1−オクタノール136gを添加して、撹拌速度100rpmにて撹拌しながら、昇温速度1℃/分にて、80℃まで加熱して抽出分離を行った。設定温度に達した後、30分間撹拌を維持し、撹拌を停止した。静置後、溶液はアルコール相と水相に2相分離され、水相をガラス容器から排出した。
(繰り返し2回目)アルコール相が残留したガラス容器内に、SFC−Hを4.2%含有したpH12.3の新たなアルカリ水溶液800gを仕込み、希硫酸40gを添加して、撹拌速度100rpmにて撹拌しながら、昇温速度1℃/分にて、80℃まで加熱して抽出分離を行った。設定温度に達した後、30分間撹拌を維持し、撹拌を停止した。静置後、溶液はアルコール相と水相に2相分離され、水相をガラス容器から排出した。アルコール相へのSFC−Hの抽出率は99%であった。その結果を表6に示す。
<実施例9>
1−オクタノールを2−エチルヘキサノールに変更した以外は、実施例8と同様の操作を実施した。その結果、アルコール相へのSHC−Hの抽出率は99%であった。その結果を表6に示す。
Figure 0005378979
以上の結果より、沸点100℃以上のアルコールを使用し、75℃以上且つ水の沸点未満の温度で加熱しながら、撹拌フルード数Frが0.01以上であり且つ前記水溶液とそれに供給したアルコールとで水相とアルコール相の2相が形成される条件で撹拌することで水相のスチレン−フマル酸共重合体をアルコールに溶解させることができ、スチレン−フマル酸共重合体を容易に効率よく回収することができることを確認した。

Claims (3)

  1. アルカリ共存下で亜臨界水分解したスチレンを含む不飽和ポリエステル樹脂の分解生成物であるスチレン−フマル酸共重合体のアルカリ塩を含む水溶液からスチレン−フマル酸共重合体を回収する方法において、少なくとも以下の工程を含むことを特徴とするスチレン−フマル酸共重合体の回収方法。
    (A)スチレン−フマル酸共重合体のアルカリ塩を含む水溶液に酸を供給してスチレン−フマル酸共重合体を析出させる工程、
    (B)前記水溶液にさらに沸点100℃以上のアルコールを供給する工程、
    (C)75℃以上且つ水の沸点未満の温度で加熱しながら、下記式(I)で定義される撹拌フルード数Frが0.01以上、0.04以下の範囲であり、かつ、前記水溶液とそれに供給したアルコールとで水相とアルコール相の2相が形成される条件で撹拌して水相のスチレン−フマル酸共重合体をアルコールに溶解させ、水相からアルコール相を分離する工程。
    Fr=(nd)/dg (I)
    式中、nは撹拌速度(rps)、dは撹拌羽根の直径(m)、gは重力加速度(9.8m/s)を示す。
  2. 工程(B)でのアルコールの供給量が、析出したスチレン−フマル酸共重合体の重量の0.8〜5倍量であることを特徴とする請求項1に記載のスチレン−フマル酸共重合体の回収方法。
  3. 工程(C)において水相のスチレン−フマル酸共重合体をアルコールに溶解させ、水相からアルコール相を分離した後、アルコール相に新たなスチレン−フマル酸共重合体のアルカリ塩を含む水溶液を加えて前記工程(A)から工程(C)までの操作を複数回繰り返し行うことを特徴とする請求項1または2に記載のスチレン−フマル酸共重合体の回収方法。
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