JP5378160B2 - トルク検出機能をもった回転スピンドル - Google Patents

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本発明は、工具にかかる加工トルクを高精度に検出する機能をもった回転スピンドルに関する。
微小なドリルやエンドミルなどの回転工具を用いて加工するとき、加工中に回転工具が折損しやすく、微細加工工程の障害になっている。このため、回転工具にかかる負荷を高精度に測定することが、回転工具の折損予防のほか、被加工物の加工精度や加工品質を確保する上でも、非常に重要な課題となっている。
一方で、回転スピンドルの機能としては、大きな加工トルクの変動に対しても回転速度変動の少ない安定した回転速度の得られることが望ましい。このため、回転駆動源の慣性モーメントは、比較的大きく採られるのが一般的である。これに対し、加工トルクを測定する場合、小さな加工トルク変動に対しても高感度にしかも高周波帯域まで測定可能にするには、工具からトルクセンサーに至る間の慣性モーメントは、可能な限り小さい方が望ましい。
すなわち急峻な加工トルク変動に対応した捩れ角の変化を来たし、それに比例した出力信号を検出することこそ肝要である。このときの角加速度は、回転慣性モーメントに逆比例する。このように、回転数変動と加工トルク測定の両性能はお互いに相容れない関係にある。
この回転工具にかかる負荷を、高精度に測定する手法の一つに、従来から、駆動主軸と副軸との間に、各種センサ機能を介在させて両軸間にかかる加工トルクの測定を可能にしている方法がある。
例えば、駆動主軸と副軸との間に、捩れ変形し易い弾性体を介在させ、負荷に伴う捩れ変形から加工トルクを測定する方法である(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、非特許文献1を参照)。すなわち、駆動主軸と副軸との間の相対的な捩れ変形をし易くして、検出感度を高めている。しかし、この捩れ剛性の低下に起因して、加工トルクの測定ができる周波数帯域の低下を来す問題があった。また回転軸の曲げ剛性の低下に伴って共振時の振動振幅が過大になり、臨界回転数(すなわち危険速度)の低下を来たし、高速回転が必須な微小工具にあっては、致命的な障害となっている。
また、加工トルクの測定においては、加工時の急峻な負荷変動の測定が不可欠であるが、副軸の慣性モーメントが大きいと、その回転慣性に埋もれてしまい、急峻な負荷変動があっても、その検出が極めて困難になる。
上述したように、従来の加工トルク測定においては、慣性や動剛性といった動力学的(すなわちダイナミックスの)視点が欠如しており、高周波帯域での加工トルクの測定が不可能であるばかりでなく、この副軸に回転工具を把持して被加工物を加工する加工系を構成した場合には、捩り振動や曲げ振動を生じ易い。そのため、(1)加工箇所では振動状態で加工され、本来の加工挙動とは異なってしまうこと、また、(2)加工トルクの測定データに、振動ノイズが多く含まれる結果となり、S/N比の低下を来すことから、対策が望まれている。とくに微小工具を高速回転させる高速スピンドルなどでは、上述の理由から、加工負荷の測定への適用が著しく制限されている。
特開昭63−127857号公報 特許3692494号公報 特開2007−229826号公報 特開2008−126395号公報
精密工学会誌67巻6号(2001/6)927〜931頁
上述したように、捩り剛性あるいは測定周波数帯域と、加工トルクの測定感度とは、互いにトレードオフの関係にある。すなわち、加工トルクの検出感度を高めようとすれば、捩り剛性が低下し振動を生じやすくなり、測定できる周波数帯域の上限も低下する。逆に、捩り剛性を高め測定周波数帯域の上限を高めようとすれば、検出感度が劣化するというジレンマに陥っている。
このように従来技術によれば、急峻な加工トルク変動があっても正確な加工トルクを検出することができないという問題があった。
本発明では、これら測定周波数帯域と検出感度とを両立させることにあり、急峻な加工トルクの変動に対しても高精度に測定可能にすることを目的としている。
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明のトルク検出機能をもった回転スピンドルでは、回転工具を把持できるチャックを内蔵したツールホルダと、該ツールホルダに嵌合され、回転自在に支承された副軸と、回転駆動源により回転自在に支承された駆動主軸と、前記駆動主軸と前記副軸との間に連結されたトルク変換素子と、該トルク変換素子と、前記駆動主軸若しくは前記副軸のいずれか一方の間に配置されて、これらを連結する回転継ぎ手とを備えた回転スピンドルであって、前記回転工具から前記副軸までの副軸系の回転軸心回りの慣性モーメントが、駆動主軸系の回転軸心回りの慣性モーメントに比べて大きくても30%以下で構成され、前記回転継ぎ手は、1対のカプラを備え、該1対のカプラは所定のばね定数の捩りばねとしての弾性体を介して接続されるとともに、捩り粘性抵抗をもつ粘性抵抗体により該1対のカプラ間の回転方向の減衰比ζが0.425〜0.71の範囲に設定されたことを要旨とする。
捩り振動する回転体の固有振動数は、回転体の慣性モーメントの平方根に逆比例する。従って、加工トルクの測定帯域の上限を高めるには、回転体の慣性モーメントを可能な限り小さくする必要がある。しかし現実には、モータロータやエアタービンといった回転駆動源の慣性モーメントの低減には、所望の機能確保のうえから本質的に限界がある。
そこで本発明では、回転軸を、駆動源をもった駆動主軸と回転工具を把持する副軸とに分離し、回転軸心が共通な駆動主軸と副軸の間を、回転工具で生じる加工トルクによる副軸の捩り振動の抑制機能をもった回転継ぎ手、すなわち捩り方向の減衰比ζが0.425〜0.71の範囲にある回転継ぎ手、およびトルク検出素子により連結するとともに、回転工具から副軸までの副軸系の慣性モーメントを、モータロータや駆動主軸を含めた駆動主軸系の慣性モーメントに比べて大きくても30%以下に小さくしたことを特徴とする回転スピンドルの構成としている。
本発明では、たとえば、副軸系と駆動主軸系の密度が概略同じと仮定すると、副軸系の代表寸法Lと駆動主軸系の代表寸法Lとの寸法比L/Lをおおよそ80%以下に採ることにより、慣性モーメント比αが30%以下となり、固有円振動数ωを2倍以上にでき、しかも制振構造の回転継ぎ手を用いて捩り振動を抑制したことにより、トルク検出素子の挿入により発生しがちな回転工具の捩り共振を回避できるので、加工系の動特性を変えることなく、回転工具の刃部にかかる加工トルクを高い周波数帯域まで忠実に検出可能にできるという効果がある。
また、捩り方向の減衰比ζが0.425〜0.71の範囲にある回転継ぎ手により、計測の分野で実用的な範囲として多用されている±3dBすなわち±30%程度までの測定誤差に収めることが可能となっている。
請求項2に係る発明では、請求項1に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記回転継ぎ手は、前記トルク変換素子と前記副軸の間に配置されて、これらを連結することを要旨とする。
本発明では、慣性モーメントの観点から、トルク検出素子の慣性モーメントが副軸系の慣性モーメントに追加されることがないので、副軸系の慣性モーメントを小さくできるという効果がある。
請求項3に係る発明では、請求項1又は請求項2に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記回転継ぎ手において、前記弾性体を介して接続された1対のカプラは、該カプラの少なくとも一部と面する微小間隙が設けられ、該微小間隙の少なくとも一部には粘性抵抗体が充填されて前記減衰比ζを得るように構成されたことを要旨とする。
この発明によれば、1対のカプラの少なくとも一部と面する部分において、両者間の捩り方向に粘性抵抗を与える微小間隙を設け、この微小間隙に粘性抵抗体を充填することで、副軸系の慣性モーメントを含めた捩り振動系において制振構造とすることができ、0.425〜0.71の範囲の減衰比ζが得られるという効果がある。
ここで「微小間隙」としたのは、絶対的な寸法で特定されるものではなく、本発明の趣旨から本発明の回転継ぎ手が回転スピンドルとして許容できる捩り幅程度の間隙とすることをいう。また、弾性体と粘性抵抗体とを保持して所期の数値範囲とすることができる程度の間隙とすることをいう。
請求項4に係る発明では、請求項3に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記回転継ぎ手において、前記1対のカプラは、それぞれのセクタが前記回転軸心に関して対称位置に配置された上下1対のカプラよりなり、該1対のカプラ間に回転方向において微小間隙が形成されるように対向して組み立てられ、該微小間隙に前記弾性体および前記粘性抵抗体を介在させたことを要旨とする。
この発明によれば、1対のカプラのセクタを対称位置に配置したことにより、回転バランスが良いだけでなく、対向する1対のカプラのセクタ同士に間隙を持たせているので、1対のカプラの回転軸心相互の間にアライメント誤差がある場合でも、この誤差を許容し吸収できるという効果がある。
請求項5に係る発明では、請求項3又は請求項4に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記回転継ぎ手において、前記1対のカプラは、それぞれセクタが前記回転軸心に関して対称位置に配置された上下1対のカプラよりなり、該1対のカプラ間に回転方向において微小間隙が形成されるように対向して組み立てられるとともに、該1対のカプラとの間に微小間隙を形成するようにリングカバーを装着し、該リングカバーとの微小間隙に前記粘性抵抗体を介在させたことを要旨とする。
この発明によれば、1対のカプラが直接微小間隙を形成していないリングカバーといずれかのカプラとの間に形成される微小間隙にも粘性抵抗体を充填して効果的な減衰比を得ることができるという効果がある。従ってリングカバーを設けることで、粘性抵抗体を充填する面積を広く取ることができ、粘性抵抗体の材料選択の幅を広くすることができるという効果もある。また粘性抵抗体を過量に充填した場合に、オーバーフロー分を収納できる効果もある。
請求項6に係る発明では、請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記1対のカプラは、それぞれが頂角90度の扇形状の2個のセクタが前記回転軸心に関して対称位置に配置された上下1対のカプラより構成されたことを要旨とする。
本発明では、頂角を90度の扇形とすることで、製作が容易なことから高精度に加工でき、1対のカプラの回転バランスをさらに良好とすることができる。また、ここに形成される微小間隙の位置バランスも良好なものとすることができる。
請求項7に係る発明では、請求項3に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記回転継ぎ手において、前記1対のカプラは、一方のカプラの駆動力を他方のカプラに伝達するとともに、該1対のカプラの少なくともいずれかとの間に微小間隙が形成される伝達部材をさらに備え、組み立てられるとともに、前記1対のカプラは前記伝達部材との間に設けられた弾性体を介して連結され、該伝達部材との微小間隙に前記粘性抵抗体を介在させたことを特徴とする。
本発明では、一対のカプラが別部材である伝達部材を介して連結されているため、カプラの構成が簡易になるという効果がある。
請求項8に係る発明では、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記粘性抵抗体は、粘性流体からなり、該粘性流体が配置される前記微小間隙は、該粘性流体が毛細管現象を生じる間隙として構成されたことを要旨とする。
この発明によれば、このようなセクタ間の微小間隙に粘性流体として、例えば油脂のような粘性流体を粘性抵抗体として満たすことにより、トルク変換素子に対して副軸が捩り振動しようとするとき、回転継ぎ手の微小間隙に充填された粘性流体のスクィーズ効果による粘性抵抗により、効果的な制振効果を挙げて、所望の減衰比ζが得ることができるという効果がある。
なお、粘性流体には、例えば通常の鉱物油や合成油のような粘性流体が挙げられ、低コストで、簡易な構成とすることができるという効果がある。
請求項9に係る発明では、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記粘性抵抗体及び前記弾性体は、弾性体と粘性体の両性質を兼ね備えた粘弾性特性をもつ単一の粘弾性樹脂からなることを要旨とする。
この発明によれば、粘性抵抗体が、粘性抵抗のみならず、弾性体としての機能を併せ持つことができるという効果がある。そして、粘性抵抗体と弾性体とを同一の粘弾性樹脂が兼ねることで、部品数を削減して構造を簡易にすることができる。また、一般に粘弾性体は粘性流体と比較して流動性が低く、ある程度固体形状が維持されるため、微小間隙に保持しやすい。
請求項10に係る発明では、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記粘性抵抗体は、磁気流体による粘性抵抗体からなり、前記対向するカプラの少なくとも一方とこのカプラと対向する部分に、硬磁性材及び導電体を用いて組み合わせる構造としたことを要旨とする。
この発明によれば、粘性流体として磁性流体を用い、セクタ若しくは伝達部材が形成する微小間隙の対向した垂直面に磁界をかけることで、同様の振動抑制効果を得ることができるだけでなく、粘性流体の散逸防止が可能になるという効果がある。
請求項11に係る発明では、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記弾性体は、ゴム製の弾性膜から構成されたことを要旨とする。
この発明によれば、単純にしてコンパクトな構成とすることができるという効果がある。
請求項12に係る発明では、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記弾性体は、板ばねから構成されたことを要旨とする。
この発明によれば、例えば、「く」の字形状、弧状などの形状や、材質、大きさ、厚さからばね定数Kの設計の自由度が高まること、また1対のカプラを組み立てるとき、回転軸心の方向に押し込むだけの簡単動作でできるという効果がある。さらに、ゴム製の弾性体に比べ金属やエンジニアリングプラスチックによるばねは、高い耐久性、耐摩耗性、耐油性、耐熱性、形状安定性を得やすい。
請求項13に係る発明では、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記トルク変換素子は、複数の螺旋状の磁歪セグメントが前記回転軸心を中心とする円周方向に全体が円筒状になるように等分配置されており、該磁歪セグメントの外側に、空隙をもって挿入された1条又は複数条の円筒状に巻き線したセンサコイルにより前記回転工具にかかる加工トルクを、磁歪セグメントの透磁率変化として検出できるようにしたことを要旨とする。
この発明によれば、回転工具にかかる加工トルクを、磁歪セグメントの透磁率変化として電気的に検出できるという効果がある。
請求項14に係る発明では、請求項13に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記センサコイルの外周を軟磁性体で覆い、前記螺旋状の磁歪セグメントと該軟磁性体とで、前記センサコイルの周りを磁束が取り囲むようにしたことを要旨とする。
この発明によれば、前記トルク変換素子の両端に生じた微小なトルクの変化を透磁率の変化として高感度に検出することができるという効果がある。
請求項15に係る発明では、請求項13又は請求項14に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記磁歪セグメントを、合成樹脂でモールディングしたことを要旨とする。
この発明によれば、より高負荷に耐え、より高回転に耐えることができるという効果がある。
請求項16に係る発明では、請求項15に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記磁歪セグメントを、強化ファイバーで円筒状に巻回するとともに、該磁歪セグメントと前記巻回された強化ファイバーとともに合成樹脂でモールディングしたことを要旨とする。
この発明によれば、さらに高負荷に耐え、より高回転に耐えることができるという効果がある。
請求項17に係る発明では、請求項13又は請求項14に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記磁歪セグメントを、円筒形の非磁性スリーブを覆うとともに、該磁歪セグメントを、合成樹脂でモールディングしたことを要旨とする。
この発明によれば、非磁性スリーブを別体で製作できるため、簡易にトルク検出素子を構成することができるという効果がある。
請求項18に係る発明では、請求項17に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記非磁性スリーブを円筒形状に巻回された強化ファイバーを合成樹脂でモールディングして形成したことを要旨とする。
この発明によれば、さらに高負荷に耐え、より高回転に耐えるトルク検出素子を簡易に構成することができるという効果がある。
請求項19に係る発明では、請求項1乃至請求項18のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記副軸を、軽合金により形成したことを要旨とする。
この発明によれば、例えば、副軸の素材を質量当たりの強度が高いジュラルミンやチタン合金などの軽合金とすることで、駆動主軸のモータロータを構成する鉄やステンレス合金と比較して副軸の強度を落とさず軽量化し、駆動主軸の慣性モーメントに対する副軸との慣性モーメントの比をさらに小さくすることができるという効果がある。
請求項20に係る発明では、請求項1乃至請求項19のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記副軸を、糸巻き形状の静圧軸受とするとともに、該静圧軸受を形成する微小間隙を回転軸心を通る断面内でX字状に配置した構造としたことを要旨とする。
この発明によれば、糸巻き形状の静圧軸受は、軸受スパンが短くても、回転工具の倒れ方向の負荷容量が大きく、剛性も高くできるという効果がある。また、このX字状の微小間隙の交叉角を変えることで、軸方向および半径方向の負荷容量を自在に変えることができる。例えば、主にドリル加工に用いられる場合には、上下の微小間隙の交叉角を90°より小さくし、スラスト方向の負荷容量を増すこともできる。一方、主にエンドミル加工に用いられる場合には、上下の微小間隙の交叉角を90°より大きくし、工具の軸直角方向の負荷容量を増すこともできるという効果がある。
なお、軸受スパンを短くしたことで、副軸の温度変化による熱膨張に対しても、その軸受の微小間隙への影響を小さく安定にできる。
また、静圧の作動流体としては、高速回転するため、例えばエアを用いるが、発熱が許容できる低回転速度であれば、油や水などの液体を作動流体として用いることもできる。微小間隙の大きさは、例えば、エアの場合には5〜15μm、油や水の場合には15〜50μmを好適に採用することができる。
請求項21では、請求項1乃至請求項19のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記副軸は、該副軸を支承する1対の副軸受に、アンギュラーコンタクト玉軸受を背面合わせ構造として用いたことを要旨とする。
本発明では、軸受スパンが短くても実質的な支点間距離を確保し、この工具倒れ方向の剛性を高めることができるという効果がある。
請求項22に係る発明では、請求項1乃至請求項21のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドルにおいて、前記駆動主軸は、モータロータ又はエアタービンを備えて駆動されることを要旨とする。
この発明によれば、質量の大きなモータロータあるいはエアタービンを駆動主軸に備えることで、駆動主軸に対する副軸の慣性モーメント比αを小さくすることができるという効果がある。
本発明の回転スピンドルによれば、副軸系の慣性モーメントを小さくし、しかも回転継ぎ手を用いて捩り振動を抑制したことにより、トルク検出素子の挿入により発生しがちな回転工具の捩じり共振を回避できるので、加工系の動特性を変えることなく、回転工具の刃部にかかる加工トルクを高い周波数帯域まで忠実に検出可能なトルク検出機能付き回転スピンドルを提供できる。
また、この検出された加工トルクを分析することにより、回転工具と被加工物とが接している加工個所での加工現象を把握することが可能になる。すなわち、回転工具の弾性変形量とそれに伴う切り残し量や加工誤差の予測、回転工具の切れ刃の摩耗や欠損の把握、回転工具の折損の予知、びびり振動などの加工現象の把握などが可能になる。
さらに、副軸系の慣性モーメントを抑制することで、必然的に副軸の軸受間の寸法も小さくなり、副軸を転がり軸受にて支承する場合にあっては、軸受温度の変化に伴うボールの予荷重の変化を抑制でき、また副軸を静圧軸受によって支承する場合にあっては、軸受温度の変化に伴う軸受の微小間隙の変化を低減できるので、回転数を変えながら使用する作業条件下においても、軸受温度の変化に伴う軸受機能への影響を鈍感にできる。
本発明の第1実施形態を示すスピンドルの垂直断面図 図1の外観図 捩り振動とトルク検出を説明するためのモデル図 慣性モーメントの固有振動数への影響を示すグラフ 同じ密度の均質な相似形状とした回転体の寸法比と慣性モーメント比の関係を示すグラフ 減衰比と測定許容差・測定周波数帯域との関係を示すグラフ 減衰比ζの測定誤差への影響との関係を示すグラフ 副軸部の垂直断面図 回転継ぎ手の組立構成図 図9の組立図 図10におけるB−B矢視図 図10におけるA−A矢視図 トルク検出系の垂直断面図 トルク検出素子の製法の説明図 第4実施形態の回転継ぎ手の垂直断面図 図15のC−C矢視図 第5実施形態の回転継ぎ手の垂直断面図 第6実施形態の回転継ぎ手の垂直断面図 第7実施形態の回転継ぎ手の垂直断面図 第8実施形態の回転継ぎ手の下カプラ 第9実施形態の副軸部の垂直断面図 第9実施形態の副軸部のもう一つの垂直断面図 第9実施形態の副軸部の他の垂直断面図 第15実施形態のトルク検出系の垂直断面図 第17実施形態のトルク検出素子の垂直段面図 第18実施形態のトルク検出素子の垂直断面図 第19実施形態の回転継ぎ手の組立構成図
(第1実施形態)
(回転スピンドルの概要)回転スピンドルは、図2に示すように、円柱状に形成された駆動部1の下部に径の小さい円柱状の副軸部2が連続して設けられる。その下部に回転工具3を装着する下部がテーパになった略円柱状のツールホルダ27が設けられている。そして、リード線5を介して増幅器4に電気的に接続されている。
図1に示すように、本発明の回転スピンドルは、回転駆動する機能をもった駆動部1、回転工具3を把持しトルク検出素子(トルク変換素子)21を内蔵した副軸部2、およびこのトルク検出素子21からの出力信号を処理する増幅器4からなる。
駆動部1は、モータロータ8に圧入された駆動主軸11が両端を主軸受12、13にて支承された状態で、モータケーシング10とモータブラケット24に収納された構成となっている。
また、副軸部2では、副軸16が2個の副軸受18、19により副軸ケーシング17に対し回転自在に支承されている。副軸16の下端の軸心は雌テーパを有し、回転工具3を把持するコレットチャック28を内蔵したツールホルダ27の雄テーパと嵌合している。副軸16の上端は、回転継ぎ手20およびトルク検出素子21を介して、駆動主軸11と連結されている。ここで、駆動主軸11、トルク検出素子21、回転継ぎ手20、副軸16およびツールホルダ27、回転工具3の6者が一つの回転軸心7を共有しており、モータロータ8の駆動により回転工具3が回転できる構造になっている。
一方、副軸ケーシング17は、モータブラケット24を介してモータケーシング10にボルト結合され、副軸受18、19、およびトルク検出素子21の対向位置にセンサコイル22を内蔵している。センサコイル22からはリード線5により増幅器4に電気接続され、トルク検出素子21の磁気変化を検出し、回転工具3にかかる加工トルクTの測定を可能にしている。
(トルク検出)本発明の特徴について、図3に示すモデル図を用いて、捩り振動とトルク検出機能との関係を動力学的視点から説明する。
なお、特に断らない限り、本明細書で述べる慣性モーメントは、全て回転軸心回りのものを指す。
駆動主軸11、モータロータ8、トルク検出素子21を含めた駆動主軸系の慣性モーメントをJ、その捩れ角をθとし、副軸16、コレットチャック28を内蔵したツールホルダ27(図3参照)、回転工具3を含めた副軸系の慣性モーメントをJ、その捩れ角をθとする。この駆動主軸系と副軸系の両者が、捩りばね定数Kおよび捩り粘性抵抗Cで連結されており、回転工具3に加工トルクがかかったとき、トルク検出素子21にかかる歪に比例した加工トルクの測定値が得られるモデルを考える。
このモデルにおける回転軸心7まわりのトルクTの平衡式は、式(1)〜(3)
Figure 0005378160
Figure 0005378160
Figure 0005378160
で与えられる。
トルク検出感度をβとすると、これは駆動主軸系の捩れ角θと副軸系の捩れ角θの差θ−θに比例すると見なせるから、βは式(4)
Figure 0005378160
で与えられる。
式(3)および式(4)より、検出感度βを高めるには、式(5)
Figure 0005378160
であることが必須である。
ここで、ラプラス演算子をs、またθおよびθのラプラス変換を、それぞれΘ(s)、Θ(s)とし、式(1)および式(2)を解くと、トルク検出感度βは、式(6)
Figure 0005378160
から得られる。ここでラプラス演算子sは、式(7)
Figure 0005378160
である。
あるいは、慣性モーメントの比αを、式(8)
Figure 0005378160
とおくと、検出感度βは式(9)
Figure 0005378160
により得られる。
ここで、固有円振動数をω、減衰比をζとし、式(10)、(11)
Figure 0005378160
Figure 0005378160
とおけば、式(12)
Figure 0005378160
が得られる。
この式における右辺には、1自由度二次形の単弦振動を表すと全く同じ特性式が含まれている。すなわち、固有円振動数ω近傍で共振挙動を示すが、減衰比ζを最適値に採ることで、その影響を抑制でき、また測定できる周波数帯域を広くできる。
図4は、式10で与えられる慣性モーメント比αと固有円振動数ωの関係を示したもので、駆動主軸系に対し副軸系の慣性モーメントを小さくすることで、固有円振動数ωを高くできることが分かる。
駆動主軸系と副軸系が、いずれも同じ密度の均質な材質でできており、形状が相似形をしていると仮定した場合には、慣性モーメントは重量Gと直径Dの2乗の積G・Dに比例するから、慣性モーメント比αは寸法比(副軸系の代表寸法L/駆動主軸系の代表寸法L)の5乗に比例し、図5のように示される。例えば、副軸系の寸法を駆動主軸系の寸法の70%に採ると、αを0.17程度にまで小さくでき、図4によれば、固有円振動数ωを最大1.9倍に高められることが分かる。
また図6に示すように、式(12)によれば、許容される測定誤差およびそのときの測定周波数帯域、すなわち測定可能な周波数の上限への減衰比ζの影響を求めることができる。この図から、測定誤差が±15%まで許容される場合には、減衰比ζを0.50に採ることにより、測定周波数帯域を上記の固有円振動数ωのさらに1.14倍まで向上できることが分かる。
ここで、図7を参照しながら、減衰比ζの測定誤差への影響を検討する。一般に、当業者において本発明のような測定機器では、実用上誤差を±3dBまで許容することが慣例的に行われている。ここで、この観点から言えば、ζの下限値として0.425に採ったとき、測定可能な周波数帯域が、固有円振動数ωnの1.35倍にまで伸ばすことができる。
また同じように、少なくとも固有円振動数ωnまで同じ許容測定精度±3dBを保証するとき、ζの上限値は0.71まで採ることが可能になる。
以上のことから、駆動主軸系と副軸系が回転継ぎ手などにより、所定のばね定数の捩りばねとともに、捩り粘性抵抗により回転方向の減衰比ζが0.425〜0.71の範囲に設定された測定機器が実用上の誤差±3dB内とすることができる。
従来は、上記のような振動に配慮をしないでトルク測定を行っており、減衰比ζが0.1以下であったので、同じ誤差を許容するとすれば、測定可能な周波数帯域が、固有円振動数ωnの0.5倍以下であり、本発明では測定可能な周波数帯域が大きく向上していることが分かる。
また、後者の減衰比ζが0.1以下の場合には、トルク検出素子を挿入しない実際の加工状態に比べて、5倍以上の大きな振幅で振動する歪められた加工系を構成してしまい、振動切削状態を呈することから、本発明の顕著な制振効果が得られていることが分かる。
以上の計算から、可能な限り、検出しようとする加工トルクの作用点に近い個所にトルク検出素子21を配置し、副軸系の回転慣性を最小にすることが望ましい。また、式(10)および(11)において、減衰比ζが約0.50になるように回転継ぎ手の捩りばね定数Kおよび捩り粘性抵抗Cを設計することにより、高い周波数帯域までの加工トルクの測定が可能になる。
現実的には、副軸の寸法減少に伴い支持剛性も低下することを勘案する必要がある。ここでは、寸法比L/Lをおおよそ80%以下に採ることにより、慣性モーメント比αが30%以下となり、固有円振動数ωを2倍以上にでき、本発明の効果が得られている。
ところで、この副軸16の寸法を縮減するにあたって、副軸16の長さを短くするに伴い、2個の副軸受18,19間の距離を縮減することになるが、その場合に、副軸16の回転軸心に垂直な軸まわり(すなわち工具倒れ方向)の剛性が低下しがちである。
図8に示すように、この本発明では、この工具倒れ方向の剛性の低下に対して、副軸16を支承する1対の副軸受18、19には、アンギュラーコンタクト玉軸受を背面合わせ構造として用い、軸受スパンが短くても実質的な支点間距離を確保し、この工具倒れ方向の剛性を高めている。この図からわかるように、ラジアル軸受と比較して、支点間距離Eを大きく取ることができる。
(回転継ぎ手)ここで図9に、上述の計算において所望の捩りばね定数Kと捩り粘性抵抗Cを確保するための回転継ぎ手20の部品構成と組み立ての一例を示す。
また、図10に回転継ぎ手20の外観を示す。図11には図10のB−B矢視図を、図12には図10のA−A矢視図を示す。
図9に示すように、回転継ぎ手20は、中心角が90°の扇状の2個の上セクタ33を回転軸心7に対して対向位置に配置した上カプラ31と、同様に中心角が90°の扇状の2個の下セクタ37を回転軸心7に対して対向位置に配置されている。
図10に示すように、薄円筒状のリングカバー34が、外形に装着され一体に結合された上カプラ31と下カプラ35とが、図11、図12に示すように回転軸心7方向にかみ合っている。このかみ合い状態での合計4個の各セクタ(上セクタ33,33、下セクタ37,37)間の回転方向に、耐油性ゴム製の弾性膜38が貼り付けられ、対向する上セクタ33と下セクタ37間の4箇所には、0.05mm程度の微小間隙Sを形成している。なお、図面においては、微小間隙Sは誇張して示している。
図10に示す状態に上カプラ31と下カプラ35とを組み立てた後に、上カプラ31に開口した注油孔77より粘性抵抗体である粘性流体39を注入する。注入された粘性流体39は、毛細管現象により、上セクタ33と下セクタ37の4個のセクタによって形成された微小間隙Sを満たす。この状態で、上カプラ31の上ボス32はトルク検出素子21とねじ締結され、下カプラ35の下ボス36は副軸16とねじ締結される。
このようなセクタ間の微小間隙Sに粘性流体39を満たすことにより、トルク検出素子21に対して副軸16が捩り振動しようとするとき、この回転継ぎ手20の微小間隙Sに充填された粘性流体39のスクィーズ効果による抵抗により、効果的な減衰比ζが得られる。
なお、2個の上セクタ33および2個の下セクタ37を、中心角90°の扇形としたことにより、上カプラの軸心と下カプラの軸心との間にアライメント誤差がある場合でも、この誤差を許容し吸収できる効果がある。
(トルク検出系)次に図13を用いて、トルク検出系59について説明する。トルク検出系59は、図1に示すように駆動主軸11や回転継ぎ手20と一体となって回転するトルク変換素子であるトルク検出素子21と、該トルク検出素子の外筒を取り巻くセンサコイル22を内蔵し副軸ケーシング17に固定されたヨーク23から構成されている。図13に示すようにトルク検出素子21の外筒とセンサコイル22の内筒との間には、微小な空隙が形成されている。
この回転するトルク検出素子21は、40〜50°のスキュー角をもつ螺旋形状の複数個の磁歪セグメント71が円周方向に等間隔に配置されている。磁歪セグメント71の外周は強化ファイバー72により糸巻き様に巻かれ、空隙はエポキシ樹脂にて埋められ固化されている。磁歪セグメント71の両端には初透磁率の大きな軟磁性合金(例えば、Ni、Feを主成分とする「パーマロイ」(登録商標))製の上リング67、下リング68が同心上で接着された一体モールド構成となっており、両端に作用するトルクによる磁歪セグメントの透磁率の変化に伴う磁束の変化を集束する。また、磁性合金にはNi、Feにさらに、Mo、Cu、Cr等を添加してもよい。
一方、この磁磁束の変化信号を受信する固定側は、円筒状に巻き線されたセンサコイル22が、コの字形断面をもつ軟磁性合金(例えば、「パーマロイ」(登録商標))製のヨーク23の中に収納され、エポキシ樹脂にて固着されている。そして、センサコイル22を、磁歪セグメント71、上リング67、ヨーク23、下リング68、永久磁石70の5者で取り囲み、磁界がループをなす構成となっている。
ここで、トルク検出素子21の製法について、図14を用いて説明する。
まず、下端につばをもった円筒状の芯金治具73を立てて、その円筒部にエポキシ樹脂を塗布した後に、磁性合金製の下リング68、厚さ方向に極性をもつリング状の永久磁石70を順に挿入し、ついで螺旋状の磁歪セグメント71を等間隔に貼り付け、その上に、上リング67を積み重ねる。その状態で、磁歪セグメント71間の空間にエポキシ樹脂を充填し、磁歪セグメント71の外円筒上にもエポキシ樹脂を塗布する。その上を、カーボン繊維やグラスファイバーなどの強化ファイバー72で糸巻き状に巻き、さらにその上をエポキシ樹脂にて覆う。この状態でエポキシ樹脂を固化させる。
この凹凸状態に固化されたエポキシ樹脂の外形を、芯金治具73の軸心を基準として切削・除去し、円筒状に仕上げる。次いで、この円筒状外形を基準にして、芯金治具73を削除すると、内外形が同芯の円筒状をしたトルク検出素子21が完成する。
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)慣性モーメント比αが30%以下となり、固有円振動数ωを2倍以上にでき、しかも制振構造の回転継ぎ手を用いて捩り振動を抑制した。これにより、トルク検出素子の挿入により発生しがちな回転工具の捩り共振を回避できるので、加工系の動特性を変えることなく、回転工具の刃部にかかる加工トルクを高い周波数帯域まで忠実に検出可能にできるという効果がある。
(2)また、捩り方向の減衰比ζが0.425〜0.71の範囲にある回転継ぎ手により、計測の分野で実用的な範囲として多用されている±3dBすなわち±30%程度までの測定誤差に収めることが可能となっている。
(3)トルク検出素子21の慣性モーメントが副軸系の慣性モーメントに追加されることがないので、副軸系の慣性モーメントを小さくできるという効果がある。
(4)1対のカプラの面する部分において、両者間の捩り方向に粘性抵抗を与える微小間隙Sを設け、この微小間隙Sに粘性流体39を充填することで、副軸系の慣性モーメントを含めた捩り振動系において効果的に制振構造とすることができるという効果がある。
(5)1対のカプラのセクタを対称位置に配置したことにより、回転バランスが良いだけでなく、対向する1対のカプラのセクタ同士に間隙を持たせているので、1対のカプラの軸心相互の間にアライメント誤差がある場合でも、この誤差を許容し吸収できるという効果がある。
(6)さらに、頂角を90度の扇形とすることで、1対のカプラの回転バランスをさらに良好とすることができる。また、ここに形成される微小間隙Sの位置バランスも良好なものとすることができる。
(7)セクタ間の微小間隙Sに粘性流体として、例えば油脂のような粘性流体39を粘性抵抗体として満たした。これにより、トルク検出素子21に対して副軸16が捩り振動しようとするとき、回転継ぎ手20の微小間隙Sに充填された粘性流体39のスクィーズ効果による粘性抵抗により、効果的な制振効果を挙げて、所望の減衰比ζが得ることができるという効果がある。
(8)弾性体をゴム製の弾性膜38から構成したので、単純にしてコンパクトな構成とすることができるという効果がある。
(9)トルク検出素子21は、複数の螺旋状の磁歪セグメント71が回転軸心7を中心とする円周方向に全体が円筒状になるように等分配置されている。そして、磁歪セグメント71の外側に、空隙をもって挿入されたセンサコイル22により回転工具3にかかる加工トルクを、磁歪セグメント71の透磁率変化として検出できるようにした。このため、回転工具3にかかる加工トルクを、磁歪セグメント71の透磁率変化として効率よく電気的に検出できるという効果がある。
(10)センサコイル22の外周を軟磁性体で覆い、螺旋状の磁歪セグメント71と軟磁性体とで、センサコイル22の周りを磁束が取り囲むようにしたので、トルク検出素子21の両端に生じた微小なトルクの変化を透磁率の変化として高感度に検出することができるという効果がある。
(11)磁歪セグメント71を、モールド樹脂69でモールディングしたので、より高負荷に耐え、より高回転に耐えることができるという効果がある。
(12)さらに磁歪セグメント71を、強化ファイバー72で円筒状に巻回するとともに、磁歪セグメント71と巻回された強化ファイバー72とともにモールド樹脂69でモールディングしたので、さらに高負荷に耐え、より高回転に耐えることができるという効果がある。
(13)副軸16は、副軸16を支承する1対の副軸受18,19に、アンギュラーコンタクト玉軸受を背面合わせ構造として用いたので、軸受スパンが短くても実質的な支点間距離を確保し、この工具倒れ方向の剛性を高めることができるという効果がある。
(第2実施形態)
第1実施形態では、回転駆動源として、モータロータ8とモータステータ9からなる電動機を用いる場合について述べたが、回転駆動源としてエアタービン(図示を省略)を用いて回転駆動される場合であっても、全く同様の効果が得られる。この場合は、駆動主軸11の質量を大きくすることは、駆動主軸系の慣性モーメントに比べて副軸系の慣性モーメントの比を小さくするので好ましい。
(第3実施形態)
第1実施形態では、副軸16と回転継ぎ手20、トルク検出素子21、駆動主軸11が、回転軸心上にこの順に並んでいる例について述べたが、回転継ぎ手20とトルク検出素子21が入れ替わり、副軸16とトルク検出素子21、回転継ぎ手20、駆動主軸11の順に並んだ構成(図示を省略)であっても、ほぼ同様の効果が得られる。すなわち、図3に示すモデル図において、慣性モーメントの観点からは、トルク検出素子の慣性モーメントが副軸系の慣性モーメントに追加され、Jが多少大きくなり不利になるが、副軸16に比べてトルク検出素子21の慣性モーメントが相対的に小さいことを考慮すると、本発明の効果を損なうものではない。
(第4実施形態)
図15、図16に示すように、回転継ぎ手20において、上セクタ33の側壁とリングカバー34の間に微小間隙Sを設け、この微小間隙Sに粘性流体39'を充填して、この粘性流体39’の粘性抵抗を利用し、所望の減衰比ζを得るようにしてもよい。この場合、セクタ間のみならず、リングカバー34と接する大きな面積の微小間隙Sを利用できる。この場合には、上カプラ31とリングカバー34の上方の間隙から、粘性流体39'が注入される。
(第5実施形態)
図17に示すように、回転継ぎ手20において、上セクタ33の底面と下カプラ35の間に微小間隙を形成し、該微小間隙に粘性流体39”を充填して、該粘性流体の粘性抵抗を利用し、所望の減衰比ζを得るようにしてもよい。この場合には、上セクタ33の底面と下カプラ35の間の微小間隙Sも利用できるため、粘性流体の選択の幅が拡がるという効果がある。
(第6実施形態)
図18に示すように、回転継ぎ手20において、上セクタ33の側壁とリングカバー34の間および上セクタ33の底面と下カプラ35の間に微小間隙を形成し、双方の微小間隙に粘性流体39'および粘性流体39”を充填して、該粘性流体の粘性抵抗を利用し、所望の減衰比ζを得るようにしても、全く同様の振動抑制効果が得られる。
この場合には、微小間隙Sを形成している面積が上述の例よりも大きいため、より確実に所望の減衰比ζを得ることができる。
(第7実施形態)
図19に示すように、回転継ぎ手において、ウエフタ付き形状のリングカバー34'を用い、リングカバー34'と上セクタ33の側壁、上セクタ33の底面と下カプラ35の間、および上カプラの上端面とリングカバーのウエフタ下面の間の3カ所に微小間隙Sを形成した。そして、これらの微小間隙Sにそれぞれ粘性流体39'、39”、39'”を充填し、この粘性流体の粘性抵抗を利用して、所望の減衰比ζを得るようにしても、全く同様の振動抑制効果が得られる。とくにこの実施形態では、回転による粘性流体の飛散防止ができる効果もある。
(第8実施形態)
図20に示すように、上述の回転継ぎ手20においては、弾性膜38によるばねとしているが、下セクタ37の垂直面に「く」の字形状のステンレスや燐青銅製の「く」の字板ばね40を挿入しても、弾性膜と同様の捩りばね定数Kが得られ、同様の振動抑制効果が得られる。さらにこの実施形態では、ばね定数Kの設計の自由度が高まること、また下カプラ35に上カプラ31を組み立てるとき、押し込むだけの簡単動作でできるメリットもある。
なお、板ばねの形状は「く」の字形状に限定されず、さらに、板ばねにも限定されず、上カプラ31と下カプラ35間を介する弾性体として機能すればよい。また、ばねの材質は、例えばステンレスなどでは、耐熱性や耐久性が高まるが、その他エンジニアリングプラスチック製などとしてもよい。
(第9実施形態)
図21に示すように、上述の実施形態では、副軸16をアンギュラーコンタクト玉軸受の副軸受18、19により支承しているが、糸巻き形状の静圧軸受、図22に示す内端面スラスト静圧軸受、あるいは図23に示す外端面スラスト静圧軸受により支承すれば、さらに副軸16を工具倒れ方向の剛性を高める効果が得られる。また、静圧軸受であれば、回転抵抗も少なく、回転軸心7のずれも小さくすることができる。
とくに、図21示す糸巻き形状の静圧軸受では、静圧軸受を形成する微小間隙が、回転軸心を通る断面内でX字状に配置した構造となっており、背面合わせのアンギュラーコンタクト玉軸受と同様に、軸受スパンが短くても、回転工具3の倒れ方向の負荷容量が大きく、剛性も高くできるメリットがある。また、このX字状の微小間隙の交叉角を変えることで、軸方向および半径方向の負荷容量を自在に変えることができる。例えば、主にドリル加工に用いられる場合には、上下の微小間隙の交叉角を90°より小さくし、スラスト方向の負荷容量を増すとよい。一方、主にエンドミル加工に用いられる場合には、上下の微小間隙の交叉角を90°より大きくし、工具の軸直角方向の負荷容量を増すとよい。
なお、軸受スパンを短くしたことで、副軸の温度変化による熱膨張に対しても、その軸受間隙への影響を小さくできる。
また、静圧の作動流体としては、高速回転するためエアを用いるが、発熱が許容できる低回転速度であれば、油や水などの液体を作動流体として用いることにより、同様の効果が得られるほかより高い負荷容量、より高い軸受剛性が得られる。
(第10実施形態)
副軸系には、慣性モーメントを低減することが必須であり、G・DのGを低減することも必須である。このため副軸16には比重が小さく比強度の高いジュラルミンやチタン合金などの軽合金を用いることで、副軸の慣性モーメントをよりいっそう低減でき、測定帯域をさらに向上できる。なお、これらの材質は軟質で表面が傷つきやすいが、この表面に硬質膜を膜付けすることで、これらの欠点をカバーできる。
もちろん、図21に示した凸コーン41,副軸76,凸コーン43、図22に示した副軸45,上フランジ46,下フランジ49、あるいは図23に示した副軸75への比強度の高い軽合金の適用は、慣性モーメント低減に極めて効果的である。
(第11実施形態)
式(1)〜(12)の計算に用いた捩り方向のばね定数Kを、回転継ぎ手のばね定数で代表させて説明しているが、実際にはトルク検出素子の捩り方向のばね定数Kmも考慮する必要があり、捩り方向のばね定数Kの弾性膜38あるいは、くの字板ばね40とを直列に加えた実際のばね定数Kaは、式(13)
Figure 0005378160
で与えられる。このように回転継ぎ手の捩りばね定数も考慮して、式(12)までをKの代わりにKaで置き換えて設計・製作することにより、より高周波帯域までの加工トルクを信頼性高く測定できる。
(第12実施形態)
回転継ぎ手20の微小間隙Sに、粘性流体39として通常の鉱物油や合成油を満たして捩り粘性抵抗を得ている。
粘性抵抗体は、磁気流体による粘性抵抗体からなり、対向するカプラの少なくとも一方とこのカプラと対向する部分に硬磁性材及び導電体を用いて組み合わせる構造とすることもできる。ここでは、粘性流体として磁性流体を用い、セクタの微小間隙を形成する対向した垂直面に磁界をかけることで、同様の振動抑制効果を得ることができるだけでなく、粘性流体の散逸防止が可能になる。
また、粘性抵抗体としては、粘性流体に限らず、弾性体と粘性体の両性質を兼ね備えた粘弾性特性をもつシリコンゴムやウレタン樹脂などの粘弾性樹脂を微小間隙に充填して用いることもできる。この場合は、粘性抵抗に限らず弾性体としての性質も利用することができる。
この場合、弾性体と粘性抵抗体を異なる材料によらず同一の材料とすることができるので、弾性体と粘性抵抗体をそれぞれ用いることなく、粘弾性体のみで弾性体と粘性抵抗体を構成でき構成が簡易になり製造が容易になるという効果がある。また、粘性流体と比べ、粘性抵抗体としての保持が容易になる。
(第13実施形態)
図21に示すように、本発明では、永久磁石70を用いて磁界を作っているが、センサコイル22を2重の巻き線とし、一方の巻き線に電圧を印加して磁界を発生させ、他方の巻き線にてトルク変動による磁界の変化を検出するようにしても、全く同様のトルク検出機能が得られる。
(第14実施形態)
トルク検出系59の上リング67、下リング68およびヨーク23には、例としてパーマロイ(登録商標)を用いているが、初透磁率の高い軟磁性材料であれば、その材質を問わず、効率的な磁気回路を形成でき、全く同じ機能を発揮できる。また副軸ケーシング17に軟磁性を示す材質を用いて、ヨークと一体化すれば、少ない部品数で全く同様のトルク検出機能が得られる。
(第15実施形態)
図13には、磁歪セグメント71の外周を強化ファイバーで周囲を多周回巻回し、トルク検出素子21を強化する実施形態を示したが、図24に示すように、強化ファイバーの代わりに非磁性スリーブ74を用いてトルク検出素子の外筒を覆い内部を樹脂にて充填し固化するモールド構造としても、全く同様の補強効果を得ることができる。この場合、加工トルクを磁歪セグメント71と非磁性スリーブ74で分担して受けることになり、非磁性スリーブ74が分担する加工トルクの分だけ検出感度が低下することになるが、一方で、より高負荷に耐える利点がある。
(第16実施形態)
トルク検出素子21の接着・固化に、エポキシ樹脂を用いてモールドした実施形態を示したが、エポキシ樹脂の替わりに、ポリイミドなどの他の樹脂を用いても、同様のトルク検出素子の機能を発揮できるばかりでなく、耐久性、耐熱性をさらに高めることができる。
(第17実施形態)
図25に示すように、第15実施形態における非磁性スリーブ74の代わりに、補強ファイバーにて補強された円筒状のFRP管78を用いて、トルク検出素子を構成すれば、同様の補強効果が得られるばかりでなく、さらに非磁性スリーブ74よりも強度を高めることができる。すなわち、FRP管78の円筒内面の円周方向に、磁歪セグメント71を等配置して貼り付け、上端に上リング67、下端には永久磁石70および下リング68を同心状に嵌め込み、隙間にモールド樹脂69を充填し固化する。この実施形態では、煩雑な強化ファイバー72の巻き付けおよびモールド樹脂69の固化が事前に別工程で製作できるので、同心度を確保しやすいという効果もある。
なお、言うまでもなく上リング67および下リング68は、パーマロイ(登録商標)に限定されるものではなく、初透磁率の高い軟磁性材料であれば、同等の効果を発揮できる。
(第18実施形態)
第17実施形態における円周方向に、磁歪セグメント71を等配置する代わりに、図26に示すように、磁歪円筒体に複数個のヘリカル溝を加工した磁歪リング79を用い、第17実施形態と同様に組み立ててトルク検出素子21を構成する。ヘリカル溝にはモールド樹脂69を充填してもよい。このように構成してもトルク検出素子21としては全く同様の効果が得られる。この場合には、ヘリカル溝加工に工数がかかるが、磁歪セグメント71を組み立てる工数が削減できるという効果がある。
またこれまで述べてきた実施形態におけるトルク検出素子21では、トルク検出素子21の強度不足を補うため、強化ファイバー72により補強し、あるいは第15実施形態では非磁性スリーブ74を用いて補強し、第17実施形態や第18実施形態では、FRP管78を用いて補強しているが、これらに限定されない。すなわち使用回転数が低く遠心力が無視できるなど、強度が確保できる使用条件下では、強化ファイバー72や非磁性スリーブ74、あるいはFRP管78を用いなくても、これらは本発明の必須構成ではなく本発明のトルク検出素子21を構成することができる。
(第19実施形態)
第1実施形態では、上カプラ31と下カプラ35が相互に組み合わされて駆動力を伝達しているが、図27に示すように、上カプラ31と下カプラ35が、別の伝達部材30を介して駆動力を伝達してもよい。例えば、図26では、同じ2枚の平らな長方形の板状の部材をその平面が直交するように平面視十字状に構成し、その直交部分を回転軸心7に沿って配置するとともに、上カプラ31と下カプラ35にそれぞれ十字状の溝29を設けて、伝達部材30を挿入し、上カプラ31から下カプラ35に駆動力を伝達するようにしてもよい。この場合、伝達部材と、上カプラ31若しくは下カプラ35との間に弾性膜38を配設し、粘性抵抗体(図示省略)を充填する。もちろん、伝達部材30は、例えば、1枚の板状部材、正三角柱、正四角柱、正六角柱など、その条件に合わせて種々の形状を採用することができることは言うまでもない。また、複数の伝達部材30で連結されてもよい。
本発明は、一般の工作機械の主軸として利用できるほか、ATC(自動工具交換)機能をもつ工作機械のスピンドルユニットとして利用できる。このほか、回転トルクを高精度に高周波帯域まで検出する手段として広く利用でき、例えば電動ドリルに適用すれば、一般家庭においても勘やスキルに依存しないで信頼性の高い加工ができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない限り、当業者により適宜変更されて実施できることは言うまでもない。
α…慣性モーメント比、C…粘性抵抗、K,Ka,Km…ばね定数、S…微小間隙、T…加工トルク、3…回転工具、7…回転軸心、8…モータロータ、11…駆動主軸、16,45,75,76…副軸、18,19…副軸受、20…回転継ぎ手、21…(トルク変換素子としての)トルク検出素子、22…センサコイル、27…ツールホルダ、30…伝達部材、31…(1対のカプラを構成する)上カプラ、33…上セクタ、34…リングカバー、35…(1対のカプラを構成する)下カプラ、37…下セクタ、38…(弾性体としての)弾性膜、39、39'、39”、39'”…(粘性抵抗体としての)粘性流体、40…(弾性体としての板ばねとしての)くの字板ばね、59…トルク検出系、71…磁歪セグメント、72…強化ファイバー、74…非磁性スリーブ。

Claims (22)

  1. 回転工具を把持できるチャックを内蔵したツールホルダと、
    該ツールホルダと嵌合され、回転自在に支承された副軸と、
    回転駆動源により回転自在に支承された駆動主軸と、
    前記駆動主軸と前記副軸との間に連結されたトルク変換素子と、
    該トルク変換素子と、前記駆動主軸若しくは前記副軸のいずれか一方との間に配置されて、これらを連結する回転継ぎ手とを備えた回転スピンドルであって、
    前記回転工具から前記副軸までの副軸系の回転軸心回りの慣性モーメントが、駆動主軸系の回転軸心回りの慣性モーメントに比べて大きくても30%以下で構成され、
    前記回転継ぎ手は、1対のカプラを備え、該1対のカプラは所定のばね定数の捩りばねとしての弾性体を介して接続されるとともに、捩り粘性抵抗をもつ粘性抵抗体により該1対のカプラ間の回転方向の減衰比ζが0.425〜0.71の範囲に設定された
    ことを特徴とするトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  2. 前記回転継ぎ手は、前記トルク変換素子と前記副軸の間に配置されて、これらを連結することを特徴とする請求項1に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  3. 前記回転継ぎ手において、
    前記弾性体を介して接続された1対のカプラは、該カプラの少なくとも一部と面する微小間隙が設けられ、
    該微小間隙の少なくとも一部には粘性抵抗体が充填されて前記減衰比ζを得るように構成された
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  4. 前記回転継ぎ手において、
    前記1対のカプラは、それぞれセクタが前記回転軸心に関して対称位置に配置された上下1対のカプラよりなり、
    該1対のカプラ間に回転方向において微小間隙が形成されるように対向して組み立てられ、
    該微小間隙に前記弾性体および前記粘性抵抗体を介在させた
    ことを特徴とする請求項3に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  5. 前記回転継ぎ手において、
    前記1対のカプラは、それぞれセクタが前記回転軸心に関して対称位置に配置された上下1対のカプラよりなり、
    該1対のカプラ間に回転方向において微小間隙が形成されるように対向して組み立てられるとともに、
    該1対のカプラとの間に微小間隙を形成するようにリングカバーを装着し、
    該リングカバーとの微小間隙に前記粘性抵抗体を介在させた
    ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  6. 前記1対のカプラは、それぞれが頂角90度の扇形状の2個のセクタが前記回転軸心に関して対称位置に配置された上下1対のカプラより構成されたことを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  7. 前記回転継ぎ手において、前記1対のカプラは、一方のカプラの駆動力を他方のカプラに伝達するとともに、該1対のカプラの少なくともいずれかとの間に微小間隙が形成される伝達部材をさらに備え組み立てられるとともに、前記1対のカプラは前記伝達部材との間に設けられた弾性体を介して連結され、該伝達部材との微小間隙に前記粘性抵抗体を介在させたことを特徴とする請求項3に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  8. 前記粘性抵抗体は、粘性流体からなり、該粘性流体が配置される微小間隙は、該粘性流体が毛細管現象を生じる間隙として構成された
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  9. 前記粘性抵抗体及び前記弾性体は、弾性体と粘性体の両性質を兼ね備えた粘弾性特性をもつ単一の粘弾性樹脂からなる
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  10. 前記粘性抵抗体は、磁気流体による粘性抵抗体からなり、対向するカプラの少なくとも一方とこのカプラと対向する部分に硬磁性材及び導電体を用いて組み合わせる構造とした
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  11. 前記弾性体は、ゴム製の弾性膜から構成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  12. 前記弾性体は、板ばねから構成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  13. 前記トルク変換素子は、
    複数の螺旋状の磁歪セグメントが前記回転軸心を中心とする円周方向に全体が円筒状になるように等分配置されており、
    該磁歪セグメントの外側に、空隙をもって挿入された1条又は複数条の円筒状に巻き線したセンサコイルにより前記回転工具にかかる加工トルクを、磁歪セグメントの透磁率変化として検出できるようにした
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  14. 前記センサコイルの外周を軟磁性体で覆い、
    前記螺旋状の磁歪セグメントと該軟磁性体とで、前記センサコイルの周りを磁束が取り囲むようにした
    ことを特徴とする請求項13に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  15. 前記磁歪セグメントを、合成樹脂でモールディングした
    ことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  16. 前記磁歪セグメントを、
    強化ファイバーで円筒状に巻回するとともに、
    該磁歪セグメントと前記巻回された強化ファイバーとともに合成樹脂でモールディングしたこと
    を特徴とする請求項15に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  17. 前記磁歪セグメントを、円筒形の非磁性スリーブを覆うとともに、
    該磁歪セグメントを、合成樹脂でモールディングした
    ことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  18. 前記非磁性スリーブを円筒形状に巻回された強化ファイバーを合成樹脂でモールディングして形成した
    ことを特徴とする請求項17に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  19. 前記副軸を、軽合金により形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項18のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  20. 前記副軸を、糸巻き形状の静圧軸受とするとともに、該静圧軸受を形成する微小間隙を回転軸心を通る断面内でX字状に配置した構造とした
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項19のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  21. 前記副軸は、該副軸を支承する1対の副軸受に、アンギュラーコンタクト玉軸受を背面合わせ構造として用いたことを特徴とする請求項1乃至請求項19のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
  22. 前記駆動主軸は、モータロータ又はエアタービンを備えて駆動される
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項21のいずれか1項に記載のトルク検出機能をもった回転スピンドル。
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