JP5377925B2 - 内燃機関用潤滑油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等に使用される内燃機関用潤滑油組成物に関する。
現在、地球規模での環境規制はますます厳しくなり、自動車を取り巻く状況も、燃費規制、排出ガス規制等厳しくなる一方である。この背景には地球温暖化等の環境問題と、石油資源の枯渇に対する懸念からの資源保護がある。以上の理由から自動車の省燃費化はますます進められると考えられる。
自動車の省燃費化を図るためには、自動車の軽量化、エンジンの改良等、自動車自体の改良だけでなく、エンジンにおける摩擦ロスを防ぐためのエンジン油の低粘度化、良好な摩擦調整剤の添加等、エンジン油自体の改良が極めて重要である。また、ディーゼルエンジンにおいては、パティキュレート・マター(PM)およびNOxなどの排出ガス成分による環境汚染を軽減するための対策が重要な課題となっている。その対策としては、自動車にパティキュレート・フィルターや排出ガス浄化触媒(酸化または還元触媒)などの排出ガス浄化装置を装着することが有力である。一方、そのような排出ガス浄化装置を装着した自動車に従来の内燃機関用潤滑油を用いた場合、パティキュレート・フィルターに付着した煤は酸化、燃焼により取り除かれるものの、燃焼により生成した金属酸化物や、リン酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩などによってフィルタが目詰まりするという問題が生じている。また、使用されたエンジン油の一部は燃焼し、排出ガスとして排出される。従って、潤滑油中の金属分や硫黄分もできるだけ少ない方が好ましい。さらに、触媒の劣化を防ぐためには、潤滑油中のリン分および硫黄分も減らすことも重要である。
そこで、潤滑油基油に対して、所定のモリブデンジチオカルバメート、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、およびホウ素含有コハク酸イミドを配合し、モリブデンジチオカルバメートに由来するモリブデンの量と、ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンの量、および、ホウ素含有コハク酸イミドに由来するホウ素の量を規定した潤滑油組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の潤滑油組成物によれば、特に中低温かつ低速運転下で低摩擦係数を与える旨の記載がある(明細書段落〔0011〕)。
また、潤滑油基油に対し、所定のホウ素含有無灰分散剤、およびジチオリン酸亜鉛を配合し、組成物中のホウ素含有量と、ホウ素含有量/リン含有量比を規定して、硫酸灰分量が1.0質量%以下である潤滑油組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2の潤滑油組成物によれば、高温清浄性に優れるとともに、低灰分でパティキュレートトラップや排ガス浄化装置への悪影響もない旨が記載されている(明細書段落〔0035〕)。
さらに、潤滑油基油に、所定のコハク酸イミド、そのホウ素誘導体、および所定の酸化防止剤を配合し、硫酸灰分を1.2質量%以下とした潤滑油組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3の潤滑油組成物によれば、低灰分量でありながら酸化安定性に優れる内燃機関用潤滑油組成物を提供できる旨の記載がある(明細書段落〔0008〕)。
特開平7−331269号公報 特開平8−48989号公報 特開2006−176672号公報
一方、内燃機関においては、シール性、耐薬品性および耐熱性に優れるフッ素ゴムが各部分に多用されている。しかしながら、内燃機関の内部は高温となるため、潤滑油に触れたフッ素ゴムが劣化してクラックが発生し、シール寿命が短くなるという問題がある。これに対して、特許文献1〜3に記載の内燃機関用潤滑油組成物は、フッ素ゴムシールへの適合性が考慮されておらず、内燃機関内部で使用されるフッ素ゴムシールの寿命が長いとはいえない。
そこで、本発明は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関に用いた場合に、高温清浄性に優れるとともに、内燃機関内部に使用されるフッ素ゴムシールへの適合性が良好な内燃機関用潤滑油組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決すべく、本発明は、以下のような内燃機関用潤滑油組成物を提供するものである。
[1]基油に、(A)アルケニル若しくはアルキルコハク酸イミドおよびそのホウ素化物を配合してなる内燃機関用潤滑油組成物であって、前記(A)成分は、(A−1)アルケニル若しくはアルキルコハク酸モノイミド構造および(A−2)アルケニル若しくはアルキルコハク酸ビスイミド構造を含み、前記(A−1)構造に由来する窒素と、前記(A−2)構造に由来する窒素との質量比((A−1)/(A−2))が0.5以下であり、前記(A)成分におけるアルケニル若しくはアルキルコハク酸イミドホウ素化物を構成するホウ素と窒素の質量比(B/N比)が0.5以上であり、前記(A)成分におけるアルケニル若しくはアルキルコハク酸イミドホウ素化物に由来するホウ素含有量が組成物全量基準において0.02〜0.05質量%であり、さらに(D)成分として、多価アルコールモノ脂肪酸エステルのホウ素化物を配合してなることを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
[2][1]に記載の内燃機関用潤滑油組成物において、さらに、(B)モリブデンジチオカーバメートを、組成物全量基準におけるモリブデン量換算で0.01〜0.08質量%配合してなることを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
[3]上述の[1]または[2]に記載の内燃機関用潤滑油組成物において、さらに、(C)ジアルキルジチオリン酸亜鉛を、組成物全量基準におけるリン量換算で0.07〜0.09質量%配合してなることを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
[4]上述の[1]から[3]までのいずれか一つに記載の内燃機関用潤滑油組成物において、前記(D)成分を0.1〜1質量%配合してなることを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
[5]上述の[1]から[4]までのいずれか一つに記載の内燃機関用潤滑油組成物において、該組成物の硫酸灰分が0.6質量%以下であることを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
本発明によれば、特定のアルケニル若しくはアルキルコハク酸イミドおよびそのホウ素化物を所定量配合しているので、低灰分量であっても高温清浄性に優れ、かつ内燃機関内部に使用されるフッ素ゴムシールへの適合性が良好な内燃機関用潤滑油組成物を提供できる。
本発明は、基油に特定の(A)アルケニル若しくはアルキルコハク酸イミドおよびそのホウ素化物を配合してなる内燃機関用潤滑油組成物(以下、単に「本組成物」ともいう。)である。以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔基油〕
本組成物の基油としては、鉱油でも合成油でもよい。この鉱油や合成油の種類については特に制限はなく、従来、内燃機関用潤滑油の基油として使用されている鉱油や合成油の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製等の1つ以上の処理を行って精製した鉱油、あるいはワックス、GTL WAXを異性化することによって製造される鉱油等が挙げられる。
また、合成油としては、例えば、ポリブテン、ポリオレフィン[α−オレフィン単独重合体や共重合体(例えばエチレン−α−オレフィン共重合体)など]、各種のエステル(例えば、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、リン酸エステルなど),各種のエーテル(例えば、ポリフェニルエーテルなど)、ポリグリコール、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどが挙げられる。これらの合成油のうち、粘度特性、添加剤の溶解性およびシールゴムへの適合性の観点より特にポリオレフィン、ポリオールエステルが好ましい。
本発明においては、基油として、上記鉱油を1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記合成油を1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらには、鉱油1種以上と合成油1種以上とを組み合わせて用いてもよい。
基油の粘度については特に制限はなく、潤滑油組成物の用途に応じて異なるが、100℃の動粘度が3〜8mm/sであることが好ましく、100℃における動粘度が3mm/s以上であれば蒸発損失が少なく、一方8mm/s以下であれば、粘性抵抗による動力損失が小さく、燃費改善効果が得られる。
また、基油としては、環分析による%CAが3.0以下で硫黄分の含有量が50質量ppm以下のものが好ましく用いられる。ここで、環分析による%CAとは、環分析(n−d−M法)にて算出した芳香族分の割合(百分率)を示す。また、硫黄分は、JISK 2541に準拠して測定した値である。
%CAが、3.0以下で、硫黄分が50質量ppm以下の基油は、良好な酸化安定性を有し、酸価の上昇やスラッジの生成を抑制し得ると共に、金属に対する腐食性の少ない潤滑油組成物を提供することができる。より好ましい%CAは1.0以下、さらには、0.5以下であり、またより好ましい硫黄分は30質量ppm以下である。
さらに、基油の粘度指数は、70以上が好ましく、より好ましくは100以上、さらに好ましくは120以上である。この粘度指数が120以上の基油は、温度の変化による粘度変化が小さく、低い温度においても燃費改善効果が得られる。
〔(A)成分〕
本発明で用いる(A)成分は、アルケニル若しくはアルキルコハク酸イミド単体とそのホウ素化物との混合物である。コハク酸イミド単体だけを用いたのでは、高温清浄性とフッ素ゴムシールへの適合性の双方を満足することはできない。
また、(A)成分は、(A−1)アルケニル若しくはアルキルコハク酸モノイミド構造および(A−2)アルケニル若しくはアルキルコハク酸ビスイミド構造を含んでいる。ここで、(A−1)構造としては、アルケニル若しくはアルキルコハク酸モノイミド単体にもとづく構造と、アルケニル若しくはアルキルコハク酸モノイミドモノイミドのホウ素化物に基づく構造の双方が含まれる。(A−2)構造についても同様である。
(A−1)構造としてのアルケニル若しくはアルキルコハク酸モノイミドとしては、例えば、下記式(1)で示されるアルケニル若しくはアルキルコハク酸モノイミドが挙げられる。また、(A−2)構造としてのアルケニル若しくはアルキルコハク酸ビスイミドとしては、例えば、下記式(2)で示されるアルケニル若しくはアルキルコハク酸ビスイミドが挙げられる。
Figure 0005377925
上記式(1)および式(2)において、R、RおよびRは、アルケニル基若しくはアルキル基であり、質量平均分子量は、それぞれ、好ましくは500〜3,000、より好ましくは1,000〜3,000である。
上記したR、RおよびRの質量平均分子量が500未満であると、基油への溶解性が低下し、3,000を超えると、清浄性が低下するおそれがある。RおよびRは同一でも異なっていてもよい。
、RおよびRは、それぞれ炭素数2〜5のアルキレン基であり、RおよびRは同一でも異なっていてもよい。mは1〜10の整数を示し、nは0または1〜10の整数を示す。ここで、mは、好ましくは2〜5、より好ましくは3〜4である。mが2以上であると、良好な高温清浄性を与え、mが5以下であると、基油に対する溶解性が良好となる。
上記式(2)において、nは好ましくは1〜4であり、より好ましくは2〜3である。モノイミドと異なり、nが1以上であれば高温清浄性が良好であり、nが4以下であると、基油に対する溶解性が良好となる。
アルケニル基としては、例えば、ポリブテニル基、ポリイソブテニル基、エチレン− プロピレン共重合体を挙げることができ、アルキル基としてはこれらを水添したものが挙げられる。好適なアルケニル基としては、ポリブテニル基またはポリイソブテニル基が挙げられる。ポリブテニル基は、1−ブテンとイソブテンの混合物あるいは高純度のイソブテンを重合させたものとして好適に得られる。また、好適なアルキル基の代表例としては、ポリブテニル基またはポリイソブテニル基を水添したものが挙げられる。
上記のアルケニル若しくはアルキルコハク酸イミドは、通常、ポリオレフィンと無水マレイン酸との反応で得られるアルケニルコハク酸無水物、またはそれを水添して得られる
ルキルコハク酸無水物を、ポリアミンと反応させることによって製造することができる。
また、上記したコハク酸モノイミドおよびコハク酸ビスイミドは、アルケニルコハク酸無水物若しくはアルキルコハク酸無水物とポリアミンとの反応比率を変えることによって製造することができる。
上記したポリオレフィンを形成するオレフィン単量体としては、炭素数2〜8のα−オレフィンの1種または2種以上を混合して用いることができるが、イソブテンとブテン−1の混合物を好適に用いることができる。
一方、ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンチレンジアミン等の単一ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジ(メチルエチレン)トリアミン、ジブチレントリアミン、トリブチレンテトラミン、およびペンタペンチレンヘキサミン等のポリアルキレンポリアミンを挙げることができる。
また、アルケニル若しくはアルキルコハク酸イミドのホウ素化物は、常法により製造したものを使用することができる。
例えば、上記のポリオレフィンを無水マレイン酸と反応させてアルケニルコハク酸無水物とした後、更に上記のポリアミンと酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸無水物、ホウ酸エステル、ホウ素酸のアンモニウム塩等のホウ素化合物を反応させて得られる中間体と反応させてイミド化させることによって得られる。
ここで、本発明における(A)成分は、前記(A−1)構造に由来する窒素と、前記(A−2)構造に由来する窒素との質量比((A−1)/(A−2))が0.5以下であり、好ましくは0.4以下である。
質量比((A−1)/(A−2))が0.5以下であると、フッ素ゴムシールへの適合性を大幅に向上させることができる。質量比((A−1)/(A−2))が0.5より大きいとフッ素ゴムの劣化が著しくなり、シール寿命が短くなる。
また、本発明の(A)成分におけるアルケニル若しくはアルキルコハク酸イミドホウ素化物を構成するホウ素(B)と窒素(N)の質量比(B/N比)は、0.5以上であり、好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.8以上である。B/N比が0.5以上であると、高温清浄性が大きく向上する。
(A)成分におけるアルケニル若しくはアルキルコハク酸イミドホウ素化物に由来するホウ素含有量は、組成物全量基準において0.02〜0.05質量%である。(A)成分に含まれるホウ素が一定量以上存在することで、高温清浄性が発揮される。ホウ素含有量が、0.02質量%未満では、十分な高温清浄性は得られない。また、ホウ素含有量が0.05質量%を超えても高温清浄性についてさらなる向上が図れず、実用性に乏しい。
〔(B)成分〕
本組成物には、さらに(B)成分として、モリブデンジチオカーバメート(以下、「MoDTC」とも記載する。)が好ましく配合される。(B)成分としては、例えば、下記式(3)で示されるMoDTCが挙げられる。
Figure 0005377925
ここで、上記式(3)において、R〜R10は、好ましくは炭素数4〜22の炭化水素基であり、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等である。これらの中でも、R〜R10は炭素数4〜18の分枝鎖または直鎖のアルキル基またはアルケニル基が好ましく、炭素数8〜13のアルキル基がより好ましい。例えば、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基等が挙げられる。これは、あまり炭素数が少ないと基油に対する溶解性に乏しくなるためであり、あまりに炭素数が多くなると融点が高くなりハンドリング性が悪くなるとともに活性も低くなるためである。また、R〜R10は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいが、RおよびRと、RおよびR10が異なるアルキル基であると、基油への溶解性、貯蔵安定性および摩擦低減能の持続性が向上する。
また、上記式(3)においては、X〜Xは各々硫黄原子または酸素原子であり、X〜Xの全てが硫黄原子あるいは酸素原子であってもよい。ここで、硫黄原子と酸素原子の比が、硫黄原子/酸素原子=1/3〜3/1、更には1.5/2.5〜3/1であることが耐腐食性の面や、基油に対する溶解性を向上させる上で好ましい。
本発明においては当該(B)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、潤滑油組成物中の当該(B)成分の配合量は、組成物全量基準におけるモリブデン量換算で0.01〜0.08質量%であり、好ましくは0.03〜0.08質量%となるように調製される。0.01質量%を下回ると、十分な摩擦低減効果が得られず、0.08質量%を上回ると、基油への溶解性および金属材料への腐食性が高くなる。
〔(C)成分〕
本組成物には、さらに(C)成分として、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(以下、「ZnDTP」とも記載する。)が好ましく配合される。(C)成分としては、例えば、下記式(4)で示されるZnDTPが挙げられる。
Figure 0005377925
上記式(4)において、R11、R12、R13およびR14は、炭素数3〜22の第1級または第2級のアルキル基または炭素数3〜18のアルキル基で置換されたアルキルアリール基から選ばれた置換基であり、それらは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本発明においては、これらのZnDTPは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、特に、第2級のアルキル基のジチオリン酸亜鉛を主成分とするものが、耐摩耗性を高めるためには好ましい。
ZnDTPの具体例としては、ジプロピルジチオリン酸亜鉛、ジブチルジチオリン酸亜鉛、ジペンチルジチオリン酸亜鉛、ジヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジイソペンチルジチオリン酸亜鉛、ジエチルヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジオクチルジチオリン酸亜鉛、ジノニルジチオリン酸亜鉛、ジデシルジチオリン酸亜鉛、ジドデシルジチオリン酸亜鉛、ジプロピルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジペンチルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジプロピルメチルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジノニルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジドデシルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジドデシルフェニルジチオリン酸亜鉛等が挙げられる。
本発明の潤滑油組成物においては、前記(C)成分であるZnDTPの配合量は、組成物全量基準におけるリン量換算で0.07〜0.09質量%である。本組成物においては、リン量が0.07質量%未満では耐摩耗性が十分でなく、(B)成分のMoDTCによる摩擦低減効果も十分に発現されない。一方、リン量が0.09質量%を超えると、排出ガスの浄化触媒への被毒が著しくなって好ましくない。
〔(D)成分〕
本組成物には、さらに、(D)成分として、多価アルコールモノ脂肪酸エステルのホウ素化物を配合することが好ましい。
(D)成分を構成するための多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等が挙げられる。脂肪酸としては、例えば、炭素数8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられる。このような脂肪酸としては、例えば、ナタネ油、綿実油、大豆油、ラードおよび牛脂等の動植物油脂から得られたものが好適である。この中で特にグリセリンモノオレエートが金属間の摩擦係数の低減効果が大きく、省燃費性向上の点で好ましい。
多価アルコールモノ脂肪酸エステルのホウ素化物は、以下のような方法によって得ることができる。ここでは、多価アルコールとしてグリセリンを用いた場合を示す。
(1)グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンおよびホウ酸を100〜230℃の温度で反応させる方法。
(2)グリセリンとホウ酸を反応させた後、脂肪酸、脂肪酸の低級アルコールエステルおよび脂肪酸ハライドのいずれかと反応させる方法。
(3)グリセリンモノ脂肪酸エステル、脂肪酸およびホウ酸を混合し、約240〜280℃の温度で反応させる方法。
本組成物において、(D)成分は、組成物全量基準で0.1〜1質量%配合してなることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.6質量%である。
本組成物における(D)成分の配合量が0.1質量%以上であると、フッ素ゴムへの侵食性をより低減することができる。ただし、(D)成分の配合量が1質量%を超えてもあまり前記の効果は向上しない上に酸化安定性に悪影響を与える。
本組成物には、さらに、フェノール系やアミン系などの酸化防止剤を添加することが好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert―ブチルー4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール);2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール;2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール;2,6−ジ−t−アミル−p−クレゾール;2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール);4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド;n−オクチル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート;2,2’−チオ[ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが挙げられる。これらの中で、特にビスフェノール系およびエステル基含有フェノール系のものが好適である。
また、アミン系酸化防止剤としては、例えばモノオクチルジフェニルアミン;モノノニルジフェニルアミンなどのモノアルキルジフェニルアミン系、4,4’−ジブチルジフェニルアミン;4,4’−ジペンチルジフェニルアミン;4,4’−ジヘキシルジフェニルアミン;4,4’−ジヘプチルジフェニルアミン;4,4’−ジオクチルジフェニルアミン;4,4’−ジノニルジフェニルアミンなどのジアルキルジフェニルアミン系、テトラブチルジフェニルアミン;テトラヘキシルジフェニルアミン;テトラオクチルジフェニルアミン;テトラノニルジフェニルアミンなどのポリアルキルジフェニルアミン系、およびナフチルアミン系のもの、具体的にはα−ナフチルアミン;フェニル−α−ナフチルアミン;さらにはブチルフェニル−α−ナフチルアミン;ペンチルフェニル−α−ナフチルアミン;ヘキシルフェニル−α−ナフチルアミン;ヘプチルフェニル−α−ナフチルアミン;オクチルフェニル−α−ナフチルアミン;ノニルフェニル−α−ナフチルアミンなどのアルキル置換フェニル−α−ナフチルアミンなどが挙げられる。これらの中で、ナフチルアミン系よりジフェニルアミン系の方が、酸化防止効果の点から好ましい。
また、本発明においては、他の酸化防止剤としてモリブデンアミン系酸化防止剤をさらに添加してもよい。モリブデンアミン系酸化防止剤としては、6価のモリブデン化合物、具体的には三酸化モリブデンおよび/またはモリブデン酸とアミン化合物とを反応させてなるもの、例えば特開2003−252887号公報に記載の製造方法で得られる化合物を用いることができる。6価のモリブデン化合物と反応させるアミン化合物としては特に制限されないが、具体的には、モノアミン、ジアミン、ポリアミンおよびアルカノールアミンが挙げられる。より具体的には、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン等の炭素数1〜30のアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルキルアミン;エテニルアミン、プロペニルアミン、ブテニルアミン、オクテニルアミン、およびオレイルアミン等の炭素数2〜30のアルケニル基(これらのアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルケニルアミン;メタノールアミン、エタノールアミン、メタノールエタノールアミン、メタノールプロパノールアミン等の炭素数1〜30のアルカノール基(これらのアルカノール基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルカノールアミン;メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、およびブチレンジアミン等の炭素数1〜30のアルキレン基を有するアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミン;ウンデシルジエチルアミン、ウンデシルジエタノールアミン、ドデシルジプロパノールアミン、オレイルジエタノールアミン、オレイルプロピレンジアミン、ステアリルテトラエチレンペンタミン等の上記モノアミン、ジアミン、ポリアミンに炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基を有する化合物やイミダゾリン等の複素環化合物;これらの化合物のアルキレンオキシド付加物;およびこれらの混合物等が例示できる。また、特公平3−22438号公報および特開2004−2866公報に記載されているコハク酸イミドの硫黄含有モリブデン錯体等が例示できる。
上述した酸化防止剤の配合量は、組成物全量基準で、0.3質量%以上が好ましく0.5質量%以上であることがより好ましい。一方、2質量%を越えると、潤滑油基油に不溶となるおそれがある。従って、酸化防止剤の配合量は、組成物全量基準で0.3〜2質量%の範囲が好ましい。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてさらに他の添加剤、例えば粘度指数向上剤、金属系清浄剤、流動点降下剤、防錆剤、金属不活性化剤、界面活性剤、および消泡剤等を配合してもよい。
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート、オレフィン系共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体など)、分散型オレフィン系共重合体、スチレン系共重合体(例えば、スチレン−ジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体など)などが挙げられる。これら粘度指数向上剤の配合量は、配合効果の点から、組成物全量基準で、0.5〜15質量%程度であり、好ましくは1〜10質量%である。
金属系清浄剤としては、潤滑油に用いられる任意のアルカリ土類金属系清浄剤が使用可能であり、例えば、アルカリ土類金属スルフォネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレートおよびこれらの中から選ばれる2種類以上の混合物等が挙げられる。アルカリ土類金属スルフォネートとしては、分子量300〜1,500、好ましくは400〜700のアルキル芳香族化合物をスルフォン化することによって得られるアルキル芳香族スルフォン酸のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩および/またはカルシウム塩等が挙げられ、中でもカルシウム塩が好ましく用いられる。アルカリ土類金属フェネートとしては、アルキルフェノール、アルキルフェノールサルファイド、アルキルフェノールのマンニッヒ反応物のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩および/またはカルシウム塩等が挙げられ、中でもカルシウム塩が特に好ましく用いられる。アルカリ土類金属サリシレートとしては、アルキルサリチル酸のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩および/またはカルシウム塩等が挙げられ、中でもカルシウム塩が好ましく用いられる。前記アルカリ土類金属系清浄剤を構成するアルキル基としては、炭素数4〜30のものが好ましく、より好ましくは6〜18の直鎖または分枝アルキル基であり、これらは直鎖でも分枝でもよい。これらはまた1級アルキル基、2級アルキル基または3級アルキル基でもよい。また、アルカリ土類金属スルフォネート、アルカリ土類金属フェネートおよびアルカリ土類金属サリシレートとしては、前記のアルキル芳香族スルフォン酸、アルキルフェノール、アルキルフェノールサルファイド、アルキルフェノールのマンニッヒ反応物、アルキルサリチル酸等を直接、マグネシウムおよび/またはカルシウムのアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物等のアルカリ土類金属塩基と反応させたり、または一度ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩としてからアルカリ土類金属塩と置換させること等により得られる中性アルカリ土類金属スルフォネート、中性アルカリ土類金属フェネートおよび中性アルカリ土類金属サリシレートだけでなく、中性アルカリ土類金属スルフォネート、中性アルカリ土類金属フェネートおよび中性アルカリ土類金属サリシレートと過剰のアルカリ土類金属塩やアルカリ土類金属塩基を水の存在下で加熱することにより得られる塩基性アルカリ土類金属スルフォネート、塩基性アルカリ土類金属フェネートおよび塩基性アルカリ土類金属サリシレートや、炭酸ガスの存在下で中性アルカリ土類金属スルフォネート、中性アルカリ土類金属フェネートおよび中性アルカリ土類金属サリシレートをアルカリ土類金属の炭酸塩またはホウ酸塩を反応させることにより得られる過塩基性アルカリ土類金属スルフォネート、過塩基性アルカリ土類金属フェネートおよび過塩基性アルカリ土類金属サリシレートも含まれる。
本発明において金属系清浄剤としては、上記の中性塩、塩基性塩、過塩基性塩およびこれらの混合物等を用いることができ、特に過塩基性サリチレート、過塩基性フェネート、過塩基性スルフォネートの1種以上と中性スルフォネートとの混合がエンジン内部の清浄性、耐摩耗性において好ましい。
金属系清浄剤は、通常、軽質潤滑油基油等で希釈された状態で市販されており、また入手可能であるが、一般的に、その金属含有量が1.0〜20質量%、好ましくは2.0〜16質量%のものを用いるのが望ましい。
本発明において、金属系清浄剤の全塩基価は、通常10〜500mgKOH/g、好ましくは15〜450mgKOH/gであり、これらの中から選ばれる1種または2種以上併用することができる。なお、ここでいう全塩基価とは、JIS K 2501「石油製品および潤滑油−中和価試験方法」の7.に準拠して測定される電位差滴定法(塩基価・過塩素酸法)による全塩基価を意味する。
また、本発明の金属系清浄剤としては、その金属比に特に制限はなく、通常20以下のものを1種または2種以上混合して使用できるが、好ましくは、金属比が3以下、より好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.2以下の金属系清浄剤を必須成分とすることが、酸化安定性や塩基価維持性および高温清浄性等により優れるため特に好ましい。なお、ここでいう金属比とは、金属系清浄剤における金属元素の価数×金属元素含有量(mol%)/せっけん基含有量(mol%)で表され、金属元素とはカルシウム、マグネシウム等、せっけん基とはスルフォン酸基、フェノール基およびサリチル酸基等を意味する。
本発明において、金属系清浄剤の配合量は、組成物全量基準において、金属元素換算量で1質量%以下であり、0.5質量%以下であることが好ましく、さらに組成物の硫酸灰分を0.8質量%以下に低減するためには、0.2質量%以下とするのが好ましい。また、金属系清浄剤の配合量は、金属元素換算量で0.005質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%以上であり、酸化安定性や塩基価維持性、高温清浄性をより高めるために、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、特に0.08質量%以上とすることでより長期間塩基価および高温清浄性を維持できる組成物を得ることができるため、特に好ましい。なお、ここでいう硫酸灰分とは、JIS K 2272の5.「硫酸灰分試験方法」に規定される方法により測定される値を示し、主として金属含有添加剤に起因するものである。
流動点降下剤としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリメタクリレート、ポリアルキルスチレン等が挙げられ、例えば、質量平均分子量が5,000〜50,000程度のポリメタクリレートが好ましく用いられる。これらは、組成物全量基準で、0.1〜5質量%程度の割合で使用される。
防錆剤としては、石油スルフォネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられる。これら防錆剤の配合量は、配合効果の点から、組成物全量基準で、0.01〜1質量%程度であり、好ましくは0.05〜0.5質量%である。
金属不活性化剤(銅腐食防止剤)としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、イミダゾール系およびピリミジン系化合物等が挙げられる。この中でベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。金属不活性化剤を配合することでエンジン部品の金属腐食および酸化劣化を抑制することができる。これら金属不活性化剤の配合量は、配合効果の点から、組成物全量基準で、好ましくは0.01〜0.1質量%、より好ましくは0.03〜0.05質量%である。
消泡剤としては、シリコーン油、フルオロシリコーン油およびフルオロアルキルエーテル等が挙げられ、消泡効果および経済性のバランスなどの点から、組成物全量に基づき、0.005〜0.1質量%程度配合させることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物においては、硫黄含有量が組成物全量基準で0.3質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは0.1質量%以下である。硫黄含有量が0.3質量%以下であると、排出ガスの浄化触媒の性能低下を効果的に抑えることができる。
また、本発明の潤滑油組成物においては、硫酸灰分は0.6質量%以下であることが好ましい。硫酸灰分が0.6質量%以下であると、ディーゼルエンジンにおいて、DPFのフィルタに堆積する灰分量が少なく、該フィルタの灰分詰まりが抑制され、DPFの寿命が長くなる。なお、この硫酸灰分とは、試料を燃やして生じた炭化残留物に硫酸を加えて加熱し、恒量にした灰分をいい、通常潤滑油組成物中の金属系添加剤の大略の量を知るために用いられる。具体的には、JIS K 2272の「5.硫酸灰分試験方法」に規定される方法により測定される。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、高温清浄性に優れるだけでなく、エンジン内部に多用されるフッ素ゴムシールへの適合性が良好であるので、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関に好適に用いることができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
〔実施例1、2、比較例1〜5〕
表1に示すように、下記の基油および添加剤を用いて潤滑油組成物(試料油)を調製し、それらの特性・性状を測定するとともに、高温清浄性およびフッ素ゴムシールへの適合性を評価した。
(基油および添加剤)
(1)基油:水素化精製基油、40℃動粘度21mm/s、100℃動粘度4.5mm/s、粘度指数127、%CA0.1以下、硫黄含有量20質量ppm未満、NOACK蒸発量13.3質量%
(2)ポリブテニルコハク酸ビスイミドA:ポリブテニル基の数平均分子量2300、窒素含有量0.99質量%、塩素含有量0.01質量%以下
(3)ポリブテニルコハク酸モノイミドB:ポリブテニル基の数平均分子量980、窒素含有量2.00質量%、塩素含有量0.01質量%以下
(4)ポリブテニルコハク酸モノイミドホウ素化物C:ポリブテニル基の数平均分子量980、窒素含有量1.76質量%、ホウ素含有量2.1質量%、B/N比比1.19、塩素含有量、0.01質量%以下。
(5)ポリブテニルコハク酸ビスイミドホウ素化物D:ポリブテニル基の数平均分子量1300、窒素含有量1.95質量%、ホウ含有量0.67質量%、B/N比比0.34、塩素含有量0.01質量%以下
(6)モリブデンジチオカーバメート(MoDTC):サクラルーブ515(株式会社ADEKA製)、Mo含有量10.0質量%、硫黄含有量11.5質量%
(7)ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP):Zn含有量9.0質量%、リン含有量8.2質量%、硫黄含有量17.1質量%、アルキル基;第2級ブチル基と第2級ヘキシル基の混合物
(8)グリセリンのモノオレイン酸エステルのホウ素化物:ホウ素含有量2.2質量%
(9)アミン系酸化防止剤:ジアルキルジフェニルアミン、窒素含有量4.6質量%
(10)フェノール系酸化防止剤:オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
(11)粘度指数向上剤:スチレン−イソブチレン共重合体、質量平均分子量584,000、樹脂量10質量%
(12)金属系清浄剤A:過塩基性カルシウムフェネート、塩基価(過塩素酸法)255mgKOH/g、カルシウム含有量9.3質量%、硫黄含有量3.0質量%
(13)金属系清浄剤B:カルシウムスルホネート、塩基価(過塩素酸法)17mgKOH/g、カルシウム含有量2.4質量%、硫黄含有量2.8質量%
(14)モリブデン系酸化防止剤:サクラルーブS−710(株式会社ADEKA製)モリブデン含有量10質量%
(15)その他の添加剤:金属不活性化剤、流動点降下剤、消泡剤
(基油および試料油の特性・性状測定法)
(1)基油および潤滑油組成物の動粘度:
JIS K 2283に規定される「石油製品動粘度試験方法」に準拠して測定した。
(2)基油の粘度指数:
JIS K 2283に規定される「石油製品動粘度試験方法」に準拠して測定した。
(3)基油の硫黄含有量:
JIS K 2541に準拠して測定した。
(4)基油の%CA:
環分析n−d−M法にて芳香族成分の割合(百分率)を算出した。
(5)基油のNOACK蒸発量:
JPI−5S−41−2004に準拠して測定した。
(6)ホウ素含有量:
JPI−5S−38−92に準拠して測定した。
(7)窒素含有量:
JIS K2609に準拠して測定した。
(8)モリブデンおよびリン含有量:
JPI−5S−38−92に準拠して測定した。
(9)硫酸灰分:
JIS K2272に準拠して測定した。
(高温清浄性評価法)
高温清浄性は、JPI−5S−55−99に準拠してホットチューブ試験で評価した。具体的には、内径2mmのガラス管中に試料油を0.31mL/hの流量で、空気を10mL/minの流量で16時間流し続けた。ガラス管の温度は300℃に保った。その後ガラス管中に付着したデポジット付着物の質量を測定した。デポジット付着物の質量が少ないほど高温清浄性に優れている。
(フッ素ゴムシールへの適合性評価法)
フッ素ゴムシールへの適合性は、以下の方法で評価した。フッ素ゴム試験片(RE1:CEC−L−39−T−96シールゴム適合性試験の試験ゴム材料)を、油温170℃で72時間試料油に浸漬し、浸漬後の試験片について引張試験を行い、クラック発生時のせん断伸張率を測定した。実用上は、せん断伸張率が150%以上あることが好ましい。
Figure 0005377925
〔評価結果〕
表1の結果より、本発明の潤滑油組成物を用いた実施例1、2では、ホットチューブ試験におけるデポジット付着量が少ないことから高温清浄性に優れていることがわかる。また、クラック発生時のせん断伸張率が高く、フッ素ゴムシールとの適合性に非常に優れることがわかる。
一方、比較例1および比較例2では、試料油に配合されたポリブテニルコハク酸イミドの、モノイミド/ビスイミド窒素含有量比が1.35および0.67と高いため、フッ素ゴムシールとの適合性が不良である。
比較例3では、フッ素ゴムシールとの適合性は良好であるが、試料油に配合されたポリブテニルコハク酸ビスイミドホウ素化物DのB/N比が0.34と低いためホットチューブ試験におけるデポジット付着量が多くなってしまい、高温清浄性が不良であることがわかる。
比較例4および比較例5では、フッ素ゴムシールとの適合性は良好であるが、ポリブテニルコハク酸イミドホウ素化物の配合量が少ないためホットチューブ試験におけるデポジット付着量が多くなり、高温清浄性が不良であることがわかる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関に好適に用いられる。

Claims (1)

  1. 基油に、(A)アルケニル若しくはアルキルコハク酸イミドおよびそのホウ素化物を配合してなる内燃機関用潤滑油組成物であって、
    前記(A)成分は、(A−1)アルケニル若しくはアルキルコハク酸モノイミド構造および(A−2)アルケニル若しくはアルキルコハク酸ビスイミド構造を含み、
    前記(A−1)構造に由来する窒素と、前記(A−2)構造に由来する窒素との質量比((A−1)/(A−2))が0.5以下であり、
    前記(A)成分におけるアルケニル若しくはアルキルコハク酸イミドホウ素化物を構成するホウ素と窒素の質量比(B/N比)が0.5以上であり、
    前記(A)成分におけるアルケニル若しくはアルキルコハク酸イミドホウ素化物に由来するホウ素含有量が組成物全量基準において0.02〜0.05質量%であり、
    さらに、(B)モリブデンジチオカーバメートを、組成物全量基準におけるモリブデン量換算で0.01〜0.08質量%配合してなり、
    さらに、(C)ジアルキルジチオリン酸亜鉛を、組成物全量基準におけるリン量換算で0.07〜0.09質量%配合してなり、
    さらに(D)成分として、多価アルコールモノ脂肪酸エステルのホウ素化物を0.1〜1質量%配合してなり、
    該組成物の硫酸灰分が0.6質量%以下である
    ことを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
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