JP5377140B2 - 双方向無線接続システム - Google Patents
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Description
さらに、詳しく言えば、本発明による双方向無線接続システムは、前記コンクリート壁等の一部を通信経路の一部として用いる双方向無線接続システムに関する。
特許文献1記載のアンテナ装置は壁または電波の通過には適していない壁で分けられる空間において、一方の空間で受信し、他方の空間に増幅して電波として放出するアンテナ装置を提案している。
特許文献2記載の発明は壁に穴を開けて両方の空間にあるアンテナ間の通信を可能にしたものである。
本発明の目的は、必然的に存在する壁による電波伝搬損失の影響を考慮し、特定の利用が許容されている搬送周波数(例えばf1 =2.4GHz)において、壁の一部をそれ自体に特殊な加工を施すことなく、壁外から壁内の端末ヘの通信経路(ダウンリンク)および壁内から壁外ヘの通信経路(アップリンク)の一部として利用する双方向無線接続システムを提供することにある。
本発明のさらに他の詳細な目的は、中継器には特定小電力無線局以外の免許を要しない無線局(IEEE802.1.1g/IEEE802.1.1b に準拠)を使用し、増幅器利得は外部への放射電界が規定値以下となるように設定し、壁外への放射電界も規定値以下となるような双方向無線接続システムを構成することにある。
壁で分けられる壁前方空間−壁後方空間(FAS−BAS)における双方向無線接続システムであって、
壁前方空間(FAS)に配置され第1の搬送周波数(f1 )で動作する壁前方空間送受信局と、
前記壁の壁後方空間(BAS)露出面に設置され、前記壁を透過した電波を収拾する大開口面ホーン型反射器と第1アンテナを有する第1アンテナ組立体と、
前記第1アンテナの出力が線路を介して直接接続される第2アンテナと反射板からなる第2アンテナ組立体と、
壁後方空間(BAS)に配置され第3アンテナを含み第1の搬送周波数(f1 )で動作する壁後方空間送受信局と、
第2アンテナの受信出力を増幅して第1アンテナに接続する増幅接続手段と、を含み、
前記壁を透過した壁前方空間送受信局の発信出力を第1アンテナ組立体で受信し第2アンテナ組立体の第2アンテナから放射し、第2アンテナ組立体の近接場を含む領域で第3アンテナで受信するダウンリンクと、
第3アンテナからの電波を第2アンテナで受信し、前記壁から放射される電力が前記壁後方空間送受信局に許容される最大出力を越えないことを限度に前記増幅接続手段の増幅器で増幅して第1アンテナから前記壁前方空間(FAS)へ放射するアップリンクと、
を形成したことを特徴とする。
第1,第2および第3アンテナはダイポールアンテナであることを特徴とする。
本発明による請求項3記載の双方向無線接続システムは、請求項2記載の双方向無線接続システムにおいて、
第1アンテナ組立体の第1アンテナは、送受信方向を除き前記壁後方空間内で遮蔽されており、増幅された電波を前記壁後方空間内に漏出させないことを特徴とする。
この漏出があると、システムに好ましくない障害を与えるので、完全な漏出防止構造を用いる。
前記壁後方空間送受信局は前記壁後方空間中の1以上の局と第1の搬送周波数とは異なる第2の搬送周波数(f2 )で通信する中継装置であり、前記1以上の局と前記壁前方空間送受信局との双方向通信を可能にすることを特徴とする。
本発明による請求項5記載の双方向無線接続システムは、請求項4記載の双方向無線接続システムにおいて、
第1の搬送周波数は2.4GHz、第2の搬送周波数は5.2GHzであることを特徴とする。
第3アンテナは第2アンテナの近接場に配置され第3アンテナへの入力電波をコンクリート壁への入射波とほぼ同じ強度で受信できるようにしたことを特徴とする。
本発明による請求項7記載の双方向無線接続システムは、請求項5記載の双方向無線接続システムにおいて、
前記増幅器の増幅度Gamp はアップリンクの伝搬損失をLU total としたとき、
LU total +Gamp =0 を満たすように設定することを特徴とする。
本発明による請求項8記載の双方向無線接続システムは、請求項5記載の双方向無線接続システムにおいて、
前記中継装置には免許不要な特定小電力装置を使うことを特徴とする。
アップリンクでは、中継装置からの電波を第2アンテナで受信、増幅器と大開口ホーンアンテナを介して屋外空間へ放射することができる。
先ず始めに全体の構成を示す図3を参照して本発明の双方向無線接続システムの概略を示し、次いでこのシステムの原理と作用を項分けして説明する。その後、各部の構成を詳細に説明する。
図3は、本発明による双方向無線接続システムのブロック図である。
本発明による双方向無線接続システムが適用される空間はFAS(コンクリート壁前方空間)7とBAS(コンクリート壁後方空間)8がコンクリート壁10で分離されている。コンクリート壁10背面(BAS8側)に第1アンテナ組立体100の開口を密着配置する。第1アンテナ組立体100は、大開口面を持つホーン型反射器と前記反射器で集められた第1の周波数の電波f1 (2.4GHz)を受信する第1アンテナ(第1ダイポールアンテナ1:図4参照)を備えている。
第2アンテナ組立体200は、平板反射器と前記平板反射器で集められた電波を受信する第2アンテナ(第2ダイポールアンテナ2:図4参照)を備えている。
ダウンリンクでは、第1ダイポールアンテナ1の出力(同軸の出力)はサーキュレータ4、同軸線路、他のサーキュレータ5を介して第2ダイポールアンテナ2の同軸入力端(アップリンクでは出力端となる)に直接接続される。すなわち第1ダイポールアンテナ1と第2ダイポールアンテナ2は、ダウンリンクでは、直接背中合わせに接続される。
アップリンクでは、第2ダイポールアンテナ2の同軸出力端をサーキュレータ5を介して増幅器(Gamp )6に接続して増幅し、増幅器6の出力はサーキュレータ4を介して第1ダイポールアンテナ1の同軸入力端(ダウンリンクでは出力端)に接続される。
第2アンテナ組立体200の第2ダイポールアンテナ2に近接してルータ付リレーステーションである中継装置300の第3ダイポールアンテナ3が配置されている。中継装置300は、BAS8内の例えばユーザPC(400−1〜400−n)と他の周波数f2 (5.2GHz)の電波で通信する。
なお中継装置300の第3ダイポールアンテナ3は、第2ダイポールアンテナ2との送受信アンテナとして使用される他、ユーザPC(400−1〜400−n)の図示しないアンテナとの送受信アンテナとしても使用される。
第3ダイポールアンテナ3には、通常、2周波共用アンテナが使われる。ダウンリンク動作では、第2アンテナ組立体200の第2ダイポールアンテナ2からの電波f1 (2.4GHz)を受信し、中継装置300内で増幅して他の周波数の電波f2 (5.2GHz)でユーザPCに伝達する。アップリンク動作では、2周波共用アンテナを介してユーザPCからの電波f2 (5.2GHz)を受信した後、周波数f1 (2.4GHz)に変換し、第2アンテナ組立体200の第2ダイポールアンテナ2に伝達する。第2アンテナ組立体200で受信された電波は増幅器6により増幅され、第1アンテナ組立体100の第1ダイポールアンテナ1から放射される。そしてコンクリート壁10を透過してFAS7に放出され、FAS空間の送受信設備500(例えばベースステーション)に送信される。中継装置300には、免許が不要な特定小電力装置の使用を想定する。
次に、前記システムの原理と作用を項分けして説明する。
(1)本願発明で実施例として示すコンクリート壁10は電波を弱める。しかし、約10%のエネルギーは透過する。電界強度比にして0.36が透過する。
本願発明ではこのコンクリート壁10の壁面の一部を電波の経路(アップリンク・ダウンリンク)の一部として用いる。
(2)コンクリート壁10で減衰した電波を、屋内空間(BAS8)で大きい開口のアンテナ組立体(第1アンテナ組立体100)を使って広い面積にわたって集める。
(3)収集した電力を屋内の第2アンテナ組立体200へ送り、第2アンテナ(第2ダイポールアンテナ2)から狭い断面積のビームとして屋内(BAS8)に再放射する。コンクリート壁によって低下した電界強度を回復した電波空間を室内空間に作ることができる。言い換えれば、第1アンテナ組立体100と第2アンテナ組立体200を適切に設計することによって、コンクリート壁10に入射した電波と同等な電界強度を有する空間を屋内空間(BAS8)に作り出すことができる。
(4)この領域内に中継装置300の第3アンテナ(第3ダイポールアンテナ3)を配置して第2ダイポールアンテナ2に近接結合させる。
中継装置300として特定小電力無線局以外の免許を要しない無線局(IEEE802.1.1g/IEEE802.1.1b に準拠)に対応する市販の装置を使用できる。中継装置300の増幅器利得は外部への放射電界が規定値以下となるように設定する。
(註:IEEE802.1.1g/IEEE802.1.1b :無線通信ネットワーク接続手順の国際標準規格)
(5)第2ダイポールアンテナ2と第3ダイポールアンテナ3を近接して結合させ、第3ダイポールアンテナ3への入力電界は壁がないときの仮想の電界強度とほぼ同じとすることが好ましい。
(6)この第2ダイポールアンテナ2と第3ダイポールアンテナ3のアンテナ結合は、双方向通信(ダウンリンク・アップリンク)で共用する。
すなわち、ダウンリンクの信号は、第2ダイポールアンテナ2→第3ダイポールアンテナ3→中継装置300→ユーザPC400−1〜400−nの流れで伝達される。
またアップリンクの信号は、ユーザPC400−1〜400−n→中継装置300→第3ダイポールアンテナ3→第2ダイポールアンテナ2の流れで伝達される。
(7)第2ダイポールアンテナ2は第3ダイポールアンテナ3から受信した電波(中継装置300がユーザPC400−1,・・,400−nからのアップリンク信号f2 をアップリンク用のf1 に変換した電波)を第1アンテナ組立体100の第1ダイポールアンテナ1に向けて送信する。
(8)第1アンテナ組立体100は、この電波エネルギーをコンクリート壁10の背面(室内空間BAS側の面)に照射する。照射面積はダウンリンクで受信に使った面積と同じ面積である。コンクリート壁10の背面に、ダウンリンクとは逆に拡大されて入射させられるから、密度は小さくなる。
(9)この弱い入射波が壁によってさらに弱くなるから、これを補うために、アップリンクには、増幅器6を挿入する。
(10)増幅器6の利得は次の要領で設定される。
コンクリート壁10の前方空間(FAS)7(=壁の表面)に放射された電力を中継装置300に許容される最大出力電力を超えない値に設定する必要がある。
すなわち増幅器6の利得は、
(i)中継装置300のアンテナ(第3ダイポールアンテナ3)から第2ダイポールアンテナ2への電力伝送率損失、
(ii) 第1ダイポールアンテナ1への入力が壁背面につくる電界強度との関係を与える第1ダイポールアンテナ1の逆利得、
(iii) コンクリート壁10による電界強度の減衰量
の和((i)+(ii) +(iii) )、つまり全減衰量を打ち消す値に正確に決める。
(11)第3ダイポールアンテナ3と第2ダイポールアンテナ2は互いの近傍領域内で動作している。
この近傍領域内でのアンテナ動作に一般的に適用される解析(放射電磁界を適用できない)は知られていないから、本発明では、3次元電磁界シミュレーション技術を用いて正確に解析した。なお近接場結合については後出(15)参照。
数値解析結果の理解を助けるために、さらに事後解析(post processing)する。
(12)事後解析過程にアンテナファクタAF(Antenna Factor)の概念を導入する。
アンテナファクタは、近傍領域で動作しているアンテナの性能を定量的に表示するのに適している。アンテナファクタは、アンテナが置かれている開放領域空間内の電界強度とアンテナの入力同軸線路あるいは出力同軸線路上の電圧とを結びつける係数であり、次の式で定義される。
AF=E/Vi (単位は1/m。)
E=電界( Electric field in Volts per meter)
Vi =アンテナに誘起された電圧(Voltage at the antenna terminal in Volts)
(13)壁前方空間7(空気)、壁10、λ/4インピーダンス整合層11、第1ダイポールアンテナ1、同軸線路、第2ダイポールアンテナ2、中継装置300の第3ダイポールアンテナ3を結ぶ電波伝搬路に沿った電界強度を、3次元電磁界シミュレーションによって算出し、3次元電磁界シミュレーション結果から、アンテナファクタの概念を使って、アンテナシステム全体の動作性能を導く。
(14)アップリンク動作では、増幅器6によって増幅された電波が第1アンテナ組立体100に送り込まれ、ホーン型反射器、コンクリート壁10を通って壁前方空間7に放射される。その際、第1アンテナ組立体100の側壁あるいはホーンとコンクリート壁10の接続部から電波が室内空間に漏洩すると、増幅器入力の元となる電波と干渉し、システム全体の動作が不安定となる。これを避けるために、通常は周波数を変えて出力する。本発明では、上下左右に金属板を使ったホーン型反射器を使い、かつ、ホーン型反射器とコンクリート壁を密着させ、接合部を電波吸収材で覆う、あるいは、1/4波長チョークフランジを使用するなどの方法によって、室内に漏洩する電波を抑え、周波数変換の必要性を回避する。
(15)近接場結合について
近接場(Near field region および Antenna region )内では、静電効果、静磁効果が強い。
静電効果:アンテナ(ダイポール)上に存在する電荷が周囲空間に電界を誘起する効果。静磁効果:アンテナ(ダイポール)上に存在する電流が周囲空間に磁界を誘起する効果。電荷、電流が時間的に変化すると静電効果及び静磁効果が時間的に変化する。
静電効果及び静磁効果が時間的に変化することによって、放射電磁界が形成される。
遠方では放射電磁界成分が主成分となる。解析が容易となる。
静電効果、静磁効果が放射電磁界に変換されてゆく領域が、Antenna regionであり、Near field region である。解析的数式で表現することが難しいので、3次元数値シミュレーションが必要となる。
壁前方空間(FAS)と壁後方空間(BAS)とを隔てるコンクリート壁(厚さ10cm)に2.4GHzの平面波が入射する場合を考える。
伝搬軸(壁に垂直な直線)に沿っての電界強度分布のシミュレーション結果を図1に示す。
このシミュレーションには有限積分法(Finite Integration Method, Microwave Studio Ver.5.1, CST 社) を使った。コンクリートの誘電特性は、εr =9.81,tan δ=0.091とした。
これらの値は、後述する実験で使用した試料コンクリートの測定値である。
図1は、入射波(入射平面波強度Eincidentは1V/m、周波数2.4GHz)が、左から厚さ10cmのコンクリート壁10に入射した時の伝搬軸上の電界強度プロフィルを示している。壁透過波電界強度Etransmitted は0.36V/mとなっていることが分かる。
壁伝送係数(WF) を(1)式のように定義する。
WF=(Etransmitted /Eincident)=0.36 (1)
壁による電波伝搬損失Lw は
Lw =20log10WF=20log100.36=−8.87dB (2)
次に、λ/4のインピーダンス整合用誘電体層を前述のコンクリート壁の背後(BAS側)に装着した整合壁を用いた場合の伝搬軸上の電界強度分布のシミュレーション結果を図2に示す。
透過電界強度は0.41V/mに改善される。λ/4誘電体層11によってコンクリート壁10の背面からの反射が抑えられ、壁内部の多重反射が抑圧された。その結果、壁による伝搬損失が
Lw =20log100.41=−7.74dB (3)
となり、1.13dB改善された。
図2に示すように、コンクリート壁10の前面(FAS7)と空気の境界面における反射係数は0.51である。この反射係数からコンクリートの誘電率εr を近似計算すると
このεr 値は元の値9.81に近い。
図2に示すように、1V/mの平面波が左から厚さ10cmのコンクリート壁10に入射させられる。コンクリート壁10背面(BAS8側)に厚さ1.8cmの誘電体(PET)層11が装着されている。この条件下での伝搬軸上の電界強度プロフィルであり、透過波電界強度は0.41V/mとなる。入射波の周波数2.4GHz、コンクリート誘電特性εr =9.81,tan δ=0.091は前述の典型壁と同じであり、厚さ1.8cmの誘電体(PET)層11の比誘電率εrm=3.14である。
Lw =20log100.48=−6.38dB (5)
に低減する。しかし、実際には壁外側(前面)の工作は難しいので、本発明による双方向無線接続システムでは壁内側(背面)の工作だけで実現できる方法について述べる。−6.38dBがコンクリートの吸収による伝搬損失、残りの(−8.87+6.38)=−2.49dBは境界面における反射の寄与分である。
図4は第1アンテナ組立体100と第2アンテナ組立体200の実施例を示す斜視図である。
第1アンテナ組立体100は、図4(a)に示すように、大開口面ホーン型反射器と第1ダイポールアンテナ1および入出力同軸線路で構成されている。
大開口面ホーン型反射器は、ホーン101と上下金属板102,103よりなる。
大開口面ホーン型反射器の、コンクリート壁10背面上に直接または誘電体層11を介して密着させられる開口104は、25cm×36cmであり、上下に配置されている金属板102,103は、それぞれ25.5cm×36cmである。
第1,第2および第3ダイポールアンテナの基本的構成は共通している。
第1ダイポールアンテナ1の1aとギャップと1b(図示を省略。図7の3aとギャップと3bに対応)からなる全長は4.17cmで、ホーンの底(反射器頂角)から4.53cmの位置に配置されている。第1ダイポールアンテナ1の一方1a(図7の3aに対応)は50Ω同軸線の中心導体1d(図示を省略。図7の3dに対応)に他方1b(図7の3bに対応)は外導体1c(図示を省略。図7の3cに対応)に接続されている。
第2アンテナ組立体200は、図4(b)に示すように、平板反射器201(12.5cm×12.5cm)と第2ダイポールアンテナ2および第1ダイポールアンテナ1に接続される同軸線路で構成されている。第2ダイポールアンテナ2の全長(2aとギャップと2b)は4.67cmで平板反射器201から2.32cmの位置に配置されている。
アップリンク動作では、サーキュレータ5を介して接続され、増幅器6により増幅された電波は、同軸線路入力端面から第1アンテナ組立体100に入り、同軸線路、第1ダイポールアンテナ1、ホーン型反射器内部、ホーン型反射器の開口面、コンクリート壁10を通り、壁前方空間7に放射される。その際、第1アンテナ組立体100の側面およびコンクリート壁10との接合部から壁後方空間8に電波を漏出させないようにする必要がある。そのため、ホーン先端部(開口面)とコンクリート壁10の接合部を電波吸収材(図示せず)で覆う、あるいは、1/4波長チョーク付フランジを取り付けるなどの方法により、接合部からの漏洩電波を抑える。
図5はコンクリート壁背面に第1アンテナ組立体100と第2アンテナ組立体200を配置した状態を示す斜視図である。
第1アンテナ組立体100は、前述したように、大開口面ホーン型反射器とダイポールアンテナを含み、第2アンテナ組立体200は、平板反射器とダイポールアンテナを含んでいる。
第2アンテナ組立体200の第2ダイポールアンテナ2と、中継装置300の第3ダイポールアンテナ3間の距離は3cmである。
このコンクリート壁背面アンテナ組立のダウンリンクにおける役割は、コンクリート壁10を透過減衰した電波を広い面積で第1ダイポールアンテナ1に集めて第2ダイポールアンテナ2に送り、第2ダイポールアンテナ2のダイポール近傍に電界強度の高い領域を作り、そこに配置された中継装置300の第3ダイポールアンテナ3に結合することである。
図5のモデルで、左から2.4GHz平面波(1V/m)を照射した場合の電波伝搬を3Dシミュレーションにより解析した。電界強度モニタ線上の電界強度プロフィルを図6に示す。図6は下部の縦軸尺度を拡大表示し、同軸線路上では電圧に換算した値を併せて表示している。
図6から、コンクリート壁前面に入射する平面波電界強度はEincident=1.0V/m,壁透過後の電波の強度はEtransmitted =0.36V/m,第1ダイポールアンテナ1から第2ダイポールアンテナ2に向かって同軸線路上を進行する波の電圧はVcoax12=0.0257V,中継装置300の第3ダイポールアンテナ3が配置されている位置(第2ダイポールアンテナ2から3cm)の放射電界強度はE(3cm)=0.961V/m,中継装置300の第3ダイポールアンテナ3に接続された同軸線路電圧はVcoaxRep =0.0147Vであることが理解できる。
図6から、
と書ける。k=9.920×10-4は同軸線路内モニタ線上の電界強度を電圧に変換する係数である。
ここで、
AFD 1 はダウンリンクでの第1ダイポールアンテナ1のアンテナファクタ
AFD 2 はダウンリンクでの第2ダイポールアンテナ2のアンテナファクタ
である。
同軸線路内の電界強度Eρはモニタ線の中心軸からの距離に依存し一意的には決まらないので、同軸線路上の電圧Vcoaxに換算した値を併せて示した。換算過程を図7に示す。
第3ダイポールアンテナ3の3aおよび3bはそれぞれ2.4cmである。
同軸線路内の電界モニタ線の位置は、同軸線中心軸から0.083cmとする。電界モニタ線上電界と同軸線路電圧の換算式を図上部に記載して示してある。
(6)式で
である。ダウンリンクに要求される設計条件は、
WF=0.36 (8)
の条件の下で、
E(3cm)/Eincident≒1 (9)
を実現することである。
図5の設計例では、壁によって減衰した電波を開口面の大きいホーン型反射器を持つ第1アンテナ組立体100によって広い面積から収集して高い出力電圧Vcoax12をつくる。これを第2アンテナ組立体200に給電、再放射してその近傍に(9)式を満たす領域をつくる。
この領域に中継装置300の第3ダイポールアンテナ3を配置する。第2アンテナ組立体200は前述したように平板反射器201と第2ダイポールアンテナ2を備えている。中継装置300の第3ダイポールアンテナは5.2GHz帯の送受信アンテナをも兼ねるので、平板反射器を採用した。さて、(6)−(8)式から、
WF×AFD 2 ≒AFD 1 (10)
ならば、(9)式が満たされる。
図6は、壁前方から平面波を照射し、壁後方の室内空間へ電波が伝搬する状態を、電界モニタ線に沿った電界強度分布として示している。図6中の横軸はモニタ線上の距離cm(起点はモデルの左端)、縦軸は電界強度V/mである。縦軸のスケールが途中で変更されていることに注意する。
図6で、領域7は壁前方空間、領域10はコンクリート壁(厚さ10cm)、領域8は壁後方空間を指す。第1ダイポールアンテナ1、第2ダイポールアンテナ2、第3ダイポールアンテナ3の位置をそれぞれ1,2,3で示した。壁後面と第1ダイポールアンテナ1の間はホーン型反射器で囲われた領域、第1ダイポールアンテナ1と第2ダイポールアンテナ2の間は50Ωの同軸線路内部の空間、第2ダイポールアンテナ2は後方室内空間(BAS8)へ電波を再放射し、その近傍3の位置に第3ダイポールアンテナ3が配置されている。第3ダイポールアンテナ3には、受信信号出力線路として、短い50Ωの同軸線路が接続されている。
領域7の波形は、入射平面波(1V/m)と壁前面で反射された反射波がつくる定在波である。
領域10の波形は、壁内部を左から右へ減衰しながら伝搬する波と壁後面で反射され右から左へ減衰しながら伝搬する波の干渉によって生じた定在波である。
1と2の間の波形は、第1ダイポールアンテナ1から第2ダイポールアンテナ2へ伝送される波の上に僅かなインピーダンス不整合によって生じた定在波が重畳した波形である。2と3の間の波形は、BAS8へ放射された電波の電界強度を示している。
3後方の短い水平線は、第3ダイポールアンテナ3の50Ω受信信号出力同軸線路内の電界強度分布を示す波形である。同軸線路は50Ωで整合終端されているので、定在波成分はゼロである。
同軸線路は内導体半径0.0457cm、外導体内径0.151cm、外導体外径0.18cm、誘電体内径0.0457cm、誘電体外径0.151cmである。電界モニタ線は同軸線路の中心から半径0.083cmの位置にある。
領域7の波形の平均値から、入射波電界強度は1V/mであり、領域10の波形の平均値及び図1の結果から、壁透過後の電界強度は0.36V/m、1と2の間の波形の平均値から、同軸線路を通って第1ダイポールアンテナ1から第2ダイポールアンテナ2へ伝搬する波の電界強度は25.93V/m(同軸線路電圧に換算して0.0257V)となった。
第2ダイポールアンテナ2から3cmの位置における放射電界強度を算出するために、第3ダイポールアンテナ3を電界強度測定用標準アンテナとして使う。第3ダイポールアンテナ3の出力同軸線路内の電界強度は、図6から14.77V/mで、同軸線路電圧に換算して0.0147Vである。
図8は、標準ダイポールアンテナとして使用された第3ダイポールアンテナ近傍の電界強度分布を拡大して示している。
図8に示すように、この標準ダイポールアンテナを電界強度1V/mの平面波が伝搬している空間に配置した時、50Ω出力同軸線路に誘起される電圧は0.0153Vとなる。この標準ダイポールアンテナのアンテナファクタ(AF)は
AFstandard=Eincident/Vcoax=1/0.0153=65.36 (11)
となる。
上記2つの関係を併せると、第2ダイポールアンテナ2から3cmの位置における放射電界強度は
E(3cm)=65.36×0.0147=0.961V/m (12)
と算出される。
アップリンクシミュレーションは、中継装置300の第3ダイポールアンテナ3から第2ダイポールアンテナ2への電波伝搬と、第1アンテナ組立体100の第1ダイポールアンテナ1から屋外の空間(FAS7)への電波伝搬の2段階に分けて行う。
図9に中継装置300の第3ダイポールアンテナ3から第2アンテナ組立体200の第2ダイポールアンテナ2への電波伝搬シミュレーションに使うモデルを示す。
中継装置300の同軸線路入力ポートに2.4GHz,1Wを印加し、第2ダイポールアンテナ2への電波伝搬をシミュレートする。
図10に電界モニタ線上の電界強度プロフィルを示す。
図10に示すようにVcoaxRep =6.791V、Vcoax2 =3.689V となる。
図10から、中継装置300の第3ダイポールアンテナ3への入力は
Pin(第3ダイポールアンテナ3)=(6.7912 /50)=0.922W (13)
第2アンテナ組立体200の第2ダイポールアンテナ2の出力は
Pout (第2ダイポールアンテナ2)=(3.6982 /50)=0.274W(14)
中継装置300の第3ダイポールアンテナ3から3cm離れた第2ダイポールアンテナ2へ伝送される電力の比率TRepToAnt2 (3cm)は
TRepToAnt2 (3cm)=(0.274/0.922)=0.297 (15)
である。
ここではこれを見かけ上の電波伝搬損失LRepToAnt2 (3cm)として取り扱う。電波伝搬損失は
TRepToAnt2 (3cm)=LRepToAnt2 (3cm)=0.297
or (16)
LRepToAnt2 (3cm)(dB)=10log100.297=−5.28dB
となる。
ちなみに、中継装置300の第3ダイポールアンテナ3と第2ダイポールアンテナ2の距離を12cmとした場合の電波伝搬損失は
LRepToAnt2 (12cm)=0.0465
or (17)
LRepToAnt2 (12cm)(dB)=10log100.0465=−13.33dB
となる。後述する実験では距離を12cmに設定した。
図11は、第1アンテナ組立体100の第1ダイポールアンテナ1から壁前方空間(FAS)7への電波伝搬シミュレーションに用いたモデルの斜視図であり、厚さ10cmのコンクリート壁10を通しての第1ダイポールアンテナ1の放射特性シミュレーションモデルである。
第1ダイポールアンテナ1に接続した50Ω同軸線路の入力ポートに2.4GHz, 1Wを印加し電波を励振した。
図12は3直交面内の電界垂直成分分布スナップショットであり、図13は図12の電界モニタ線C1,C2,C3上の電界強度プロフィルを示すグラフである。
Pin(第1ダイポールアンテナ1)
=(6.0152 /43.41)=0.833W (18)
この数値計算での基準インピーダンスは43.41Ωであった。
遠方指向性パターン(リニアスケール)を図15に示す。
図15で、放射効率は第1ダイポールアンテナ1の入力ポートに印加された電力に対する放射電力の比率である。従って、放射効率=0.1666は第1ダイポールアンテナ1から壁前方空間(FAS)7までの伝搬損失(Lant1 To Air )を与える。
Lant1ToAir =0.1666
or (19)
Lant1ToAir (dB)=10log100.1666=−7.78dB
となる。
放射効率=0.1666はコンクリート壁の透過係数0.407に相当し、0.36よりやや高い。壁背面と第1アンテナ組立体100の間に挿入したλ/4誘電体層11による反射抑制効果であると考えられる(図2参照)。
中継装置300から壁前方空間(FAS)7までの電波伝搬損失(LU total )は中継装置300から第2ダイポールアンテナ2への伝搬損失((16)式参照)と第1ダイポールアンテナ1から壁前方空間(FAS)7までの伝搬損失((19)式参照)の和で与えられる。つまり、
LU total (dB)=LRepToAnt2 (dB)+Lant1ToAir (dB)
=−5.28−7.78=−13.06dB (20)
となる。アップリンク経路に利得Gamp (dB)の増幅器を挿入して、
LU total +Gamp =0 (21)
を満たすように利得を設定する。これをアップリンク設計条件とする。
この設計条件の下では、壁の外部空間に放射される電界強度が、室内で中継装置が放射する電界の強度を超えることはない。
さらに、第1アンテナ組立体100ではホーン型反射器を使用し、その開口部104を壁10背面に誘電体層11介して密着して使用する。
増幅された電波はホーン内部に閉じ込められ、室内空間に放射されることはない。
ホーン開口寸法を大きくとれば、指向性の高いビームを室外空間に形成できる。
本設計例では指向性(直線スケール)=34.22である。
図16に、伝搬損失実験の配置図を示す。同図において上部(a)は平面図、下部(b)は側面図である。伝搬損失実験で用いた電波暗箱の形状寸法は以下のとおりである。
左電波暗箱の長さ×幅×高さ=100cm×65cm×65cm
右電波暗箱の長さ×幅×高さ=150cm×65cm×65cm
典型的な建築用コンクリート(2.3×103 kg/m3 )を使った壁サンプル(70cm×70cm×10cm)を用いて伝搬損失を測定する。
壁サンプル(112.7kg)を図16に示すように左側と右側の電波暗箱で挟み垂直に保持した。電波暗箱はアルミ板の表面に厚さ2mmの電波吸収板を貼った構造である。この電波吸収板は導体板で裏打ちした状態で2.5GHzで無反射面として機能するよう設計されている。コンクリート板上に貼った状態では無反射面として機能しなかった。
この問題を回避するために、電界に平行なコンクリート壁縦側面上にはアルミ板を装着せず、かつ、壁中央部分だけを電波照射して、伝搬損失を測定した。左側電波暗箱内の反射板付きダイポールアンテナを励振源からの入力信号2.4GHz,0dBmで励振した。この状態で、標準ダイポールアンテナを電波暗箱中心軸上で走査して電界強度分布を測定した。電界強度測定にはスペクトラムアナライザ(Spectrum Master, MS2721, Anritsu)を使用した。測定結果を図17に示す。
コンクリート壁厚さは10cm、縦軸は電界強度(mV/m)、横軸は軸上の距離(cm)を示している。
図17から、伝搬損失Lw は
Lw (dB)=20log10(5.00/13.85)=−8.85dB (22)
壁前面における反射係数Γは
Γ=(21.00−13.85)/13.85=0.516 (23)
壁後面からの反射の影響を無視して、コンクリート壁の比誘電率を近似計算すると
εr =((1+0.516)/(1−0.516))2 =9.81 (24)
この様にして求めた比誘電率をシミュレーションに用いた。
ダウンリンク電波伝搬実験の装置の配置を図18に示す。図18の上部(a)は平面図、下部(b)は側面図である。
電波暗箱の形状寸法は前述したとおりである。
第1アンテナ組立体100の構造は図4(a)に示したとおりである。すなわち、第1アンテナ組立体100の開口は横36cm×縦25cmである。コーナーレフレクタ上辺と下辺に金属板を装着してホーン型反射器とした。全長4.17cmの第1ダイポールアンテナ1とレフレクタ頂角(ホーンの底)の距離は4.53cmである。給電線は50Ωセミリッジド同軸線路である。図4(b)に示したように、第2アンテナ組立体200は12.5cm×12.5cm平板レフレクタダイポールアンテナ(平板反射器201と第2ダイポールアンテナ2)である。
図18に示すようにダウンリンク無線接続実験の装置の配置では、コンクリート壁後面に厚さ1.8cmのPET( polyethylene terephthalate )(εr =3.05)層(λ/4インピーダンス整合層)を装着してある。右側電波暗箱内に第1アンテナ組立体100(高利得の第1ダイポールアンテナ1を含む)と第2アンテナ組立体200(低利得の第2ダイポールアンテナ2を含む)を背中合わせに直接接続した。
コンクリート壁と第1アンテナ組立体100の間に前述のλ/4インピーダンス整合層を挿入した。整合層は2mmと3mm厚のPET板を積層して構成したものである。
層の厚さ1.2,1.8,2.0,2.2cmとして定在波を測定した。1.8cmで定在波比が最少となった。この測定結果からPET層内波長λPET と比誘電率εPET を求めた。
12.5/(εPET )1/2 =7.2 or εPET =(12.5/7.2)2 =3.01
(25)
この値はλ/4インピーダンス整合層に要求される値
に近い。上記の配置の下で、左側電波暗箱中のアンテナを励振し、左右電波暗箱の中心軸上の電界強度分布を測定した。測定結果を図19に示す。
図19はダウンリンク電波伝搬実験の結果を示すグラフである。
同図は電波暗箱の中心軸上の電界強度分布を示しており、縦軸は電界強度(mV/m)で横軸は電波暗箱の中心軸上の距離(cm)である。
第2アンテナ組立体200の第2ダイポールアンテナ2近傍の電界強度は13.85mV/m以上であり、コンクリート壁前面入射電界強度は13.85mV/mであった。
つまり、この実験結果は、第2ダイポールアンテナ2の近傍で、電界強度がコンクリート壁入射波の電界強度13.85mV/mを越えることを示した。
アップリンク動作に関する実験は、第1アンテナ組立体100の逆方向(室内から室外)の電波伝搬特性を確認することを主目的として実施した。
アップリンク電波伝搬実験では図18の左側電波暗箱から励振用アンテナを取り除き、右側電波暗箱中の第2ダイポールアンテナ2から12cmの位置に裸のダイポールアンテナを配置した。このダイポールアンテナに0dBm, 2.4GHzを印加して、左側電波暗箱中心軸上の電界強度分布を測定した。測定結果を図20に示す。
図20は、アップリンク無線接続実験の結果を示すグラフである。
縦軸は電界強度(mV/m)、横軸は伝搬軸上の壁表面からの距離(cm)、第2ダイポールアンテナ2のダイポール位置における電界強度測定値は17.12mV/m、コンクリート壁前面から25cmにおける電界強度測定値は1.92mV/mになっている。
図20の結果からアップリンクの伝搬損失LU overall を概算すると
LU total (dB)=20log10(1.92/17.12)=−19.0dB(27)となる。
中継装置300の第3ダイポールアンテナ3との距離を12cmとした場合のシミュレーションによる電波伝搬損失LRepToAnt2 (12cm)(dB)は(17)式で示したように、−13.33dBであった。
第1ダイポールアンテナ1の入力端子への入力電力と壁前方空間(FAS)7へ放射される電力の比率=0.1666(図15の説明文 放射効率=0.1666参照)。これをdBに変換すると−7.78dB((19)式参照)である。
第3ダイポールアンテナ3から壁前方空間(FAS)7までの電力伝搬損失はそれらの合計で与えられる。
従って、
LU total (dB)=−13.33−7.78=−21.11dB (28)
となり、実験で得た値−19.0dBに近い値となる。
これは先にアップリンクシミュレーションで述べた設計方法の妥当性を示したと言える。
実施例として、壁背後空間でダイポールアンテナをリンク内に用いる例を示したが、a.導波管型ホーンアンテナ、b.各種の平面アンテナ(ただし、適切なホーン型反射器との組み合わせ)を使用することも可能である。第1アンテナ組立体100で大口径反射板として、ホーン型のコーナーリフレクタを用いたが、パラボラ反射鏡を用いることもできる。
2 第2アンテナ(ダイポール)
3 第3アンテナ(ダイポール)
2a,3a ダイポールの一方
2b,3b ダイポールの他方
2c,3c 同軸の外導体
2d,3d 同軸の中心導体
4,5 サーキュレータ
6 増幅器
7 壁前方空間(FAS)
8 壁後方空間(BAS)
10 コンクリート壁
11 誘電体層
100 第1アンテナ組立体
101 ホーン
102 上金属板
103 下金属板
200 第2アンテナ組立体
201 平板反射器
300 中継装置(ルータ付リレーステーション)
400−1〜400−n ユーザPC
500 送受信設備(ベースステーション)
Claims (7)
- 壁で分けられる壁前方空間−壁後方空間における双方向無線接続システムであって、
壁前方空間に配置され第1の搬送周波数で動作する壁前方空間送受信局と、
前記壁の壁後方空間露出面に設置され、前記壁を透過した電波を収拾する大開口面ホーン型反射器と第1アンテナを有する第1アンテナ組立体と、
前記第1アンテナの出力が線路を介して直接接続される第2アンテナと反射板からなる第2アンテナ組立体と、
壁後方空間に配置され第3アンテナを含み第1の搬送周波数で動作する壁後方空間送受信局と、
第2アンテナの受信出力を増幅して第1アンテナに接続する増幅接続手段と、を含み、 前記壁を透過した壁前方空間送受信局の発信出力を第1アンテナ組立体で受信し第2アンテナ組立体の第2アンテナから放射し、第2アンテナ組立体の近接場を含む領域で第3アンテナで受信するダウンリンクと、
第3アンテナからの電波を第2アンテナで受信し、前記壁から放射される電力が前記壁後方空間送受信局に許容される最大出力を越えないことを限度に前記増幅接続手段の増幅器で増幅して第1アンテナから前記壁前方空間へ放射するアップリンクと、
を形成したことを特徴とする双方向無線接続システム。 - 請求項1記載の双方向無線接続システムにおいて、
第1,第2および第3アンテナはダイポールアンテナであることを特徴とする双方向無線接続システム。 - 請求項2記載の双方向無線接続システムにおいて、
第1アンテナ組立体の第1アンテナは、送受信方向を除き壁後方空間内で遮蔽されており、増幅された電波を壁後方空間内に漏出させないことを特徴とする双方向無線接続システム。 - 請求項1記載の双方向無線接続システムにおいて、
前記壁後方空間送受信局は前記壁後方空間中の1以上の局と第1の搬送周波数とは異なる第2の搬送周波数で通信する中継装置であり、前記1以上の局と前記壁前方空間送受信局との双方向通信を可能にすることを特徴とする双方向無線接続システム。 - 請求項4記載の双方向無線接続システムにおいて、
第1の搬送周波数は2.4GHz、第2の搬送周波数は5.2GHzであることを特徴とする双方向無線接続システム。 - 請求項5記載の双方向無線接続システムにおいて、
前記増幅器の増幅度Gamp はアップリンクの伝搬損失をLU total としたとき、
LU total +Gamp =0 を満たすように設定することを特徴とする双方向無線接続システム。 - 請求項5記載の双方向無線接続システムにおいて、
前記中継装置には免許不要な特定小電力装置を使うことを特徴とする双方向無線接続システム。
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