JP5376586B2 - 金属空気電池モジュールおよび金属空気電池スタック - Google Patents
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Description
本発明は、正極活物質として酸素を用い、負極活物質として金属を用いた、金属空気電池モジュールおよび金属空気電池スタックに関し、特に、太陽光を利用する金属空気電池モジュールおよび金属空気電池スタックに関する。
近年、高エネルギ密度を有し、かつ、小型の電池の開発が期待されている。また、省資源および経済性の観点から、蓄電池として繰り返し利用することが可能な二次電池の開発が重要視されてきている。二次電池の種類として、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、鉛電池、レドックスフロー電池、NaS電池、および、金属空気電池などが挙げられる。
金属空気電池は、高いエネルギ変換効率を有すること、比較的安全に取扱いできること、および、高エネルギ密度化を図れることなどの理由から、従来から開発が検討されてきた電池である。そのため現在においても、電気自動車用または定置用の動力源など様々な用途での実用化を目指して、研究開発が進められている。
一般的な電池は、正極活物質と負極活物質とをともに電池内に有している。金属空気電池は、負極活物質として金属を使用し、正極活物質として外部から取り込んだ空気中の酸素を用いる。金属空気電池の基本的な構造は、正極、電解質層、負極、および、負極活物質層からなる。電池内に正極活物質層を設ける必要がないため、電池内に占める負極活物質層の容量を大きくすることが出来る。そのため、金属空気電池では、体積あたりの放電電力を大きくすることができるため、エネルギ密度の高い電池を得ることが可能となる。
現在、金属空気電池は、負極活物質に亜鉛またはリチウムを使用した一次電池として広く利用されている。上述のとおり、金属空気電池の二次電池化が検討されているが、負極活物質の再生において、負極活物質にデンドライトが析出することが問題となって実現されていない。負極活物質の再生方法について開示した先行文献として、特許文献1および2がある。
特許文献1に記載された金属空気型の電気化学セルでは、セルから着脱可能な金属極を空気極構造と電解質とを有する放電セルに挿入して放電する。その後、金属極を放電セルから取り外し、再充電セルに挿入する。再充電セルにおいて、金属極に電圧を印加することで、金属活物質を再生している。
特許文献2に記載された亜鉛燃料ペレットの製造方法では、放電後のセルから金属酸化物と電解液とをポンプで電解槽に送り、電解析出により負極活物質の再生を行なっている。再生した負極活物質をペレット状にして電解液とともにポンプでセルに戻すことにより、金属空気電池を充電している。
金属空気電池の負極活物質の再生方法、言い換えると、金属酸化物の還元方法として、特許文献1および2に記載された電気化学的方法以外の方法を開示した先行文献として、特許文献3がある。特許文献3に記載された水素製造方法では、集光した太陽光を金属酸化物の表面に照射して急速昇温させることにより、太陽光の熱エネルギの吸収効率を高めて金属酸化物を還元している。
特許文献1および2に記載の電気化学的に金属活物質を再生する方法では、発電部とは別に電池内に併設された再生部において、もしくは、電池外の電解槽において、金属酸化物を還元している。そのため、金属空気電池およびその周辺装置が大型化するという問題がある。また、負極活物質の再生の際のデンドライト析出という問題が依然として存在する。
特許文献3に記載の水素製造装置では、エネルギ密度が低い太陽光を集光法により密度を高めて利用しているが、金属酸化物を急速昇温させるために装置の受光部の面積が大きくなり、太陽光を効率的に利用することができず、実効的な再生方法には至っていない。
本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであって、太陽光の熱エネルギを用いて効率よく負極活物質を再生するとともに、装置の小型化も図ることができる、金属空気電池モジュールおよび金属空気電池スタックを提供することを目的とする。
本発明に基づく金属空気電池モジュールは、酸化還元反応により充電および放電可能な筒状のセル、セルの中心軸周りにセルを回転可能な状態で保持する収容部、および、セルを円周方向に回転させる駆動装置を含む金属空気電池を備えている。さらに、金属空気電池モジュールは、金属空気電池と対向するように配置され、太陽光を集光する集光装置を備えている。セルは、酸素を還元する正極層、正極層の外周に配置された電解質層、電解質層の外周に配置された負極層、負極層の外周に配置された負極活物質層を有している。収容部には、外周側面に開口部が形成されている。集光装置により集光された光が、開口部を通じて、負極活物質層に照射される。
このような構成によれば、セルが収容部内で回転することにより、収容部の開口部を通じて、集光された太陽光が放電した後の負極活物質層に照射されるようにすることができる。太陽光の熱エネルギにより、負極活物質は、還元されて再生される。よって、セルを着脱することなく、金属空気電池を充電することができる。また、充電用の再生部を電池内または電池外に別途設ける必要がないため、金属空気電池モジュールの小型化を図ることができる。
再生可能エネルギである集光太陽光により負極活物質を還元するため、環境への負荷を極めて小さくすることができる。さらに、金属空気電池の外形を筒形にすることにより、機械的強度を向上し、熱応力に対する耐力も確保することができる。
好ましくは、開口部が、中心軸方向において、収容部の外周側面の一方の端部から他方の端部まで繋がったスリット状に形成されている。この場合、受光面積をより小さくして集中的に太陽光を照射することにより、効率的に負極活物質の再生を行なうことができる。
好ましくは、セルが円筒形状を有している。この場合、セルが中心軸を中心に回転する際に、円滑に回転しやすくすることができる。
好ましくは、金属空気電池が、電池電圧を検出する検出器、および、検出器の検出結果によりセルの回転速度を調節する制御部をさらに備えている。この場合、電池電圧を検出することにより、負極活物質の再生状況が確認できるため、その状況に応じてセルの回転速度を調節することにより効率的に充電をすることができる。
好ましくは、金属空気電池が、セルの内周側に酸素を供給する送風機をさらに備え、送風機の送風量を調節することにより金属空気電池の放電電流量を調整するようにする。この場合、正極層と接する酸素量を調節することにより、金属空気電池の放電電流量を調整することができる。また、正極層により多くの酸素を供給することができるため、還元反応が活発になり、より高い放電電力を得ることができる。
本発明に基づく金属空気電池スタックは、金属空気電池モジュールを構成する複数の金属空気電池を、1つの集光装置により集光された光が開口部を通して受光可能なように並列に配列し、金属空気電池同士を電気的に直列または並列に接続している。このような構成にすることにより、集光面積を増やすことなく、高い出力を得ることができる。
本発明によれば、セルが収容部内で回転することにより、収容部の開口部を通じて、集光された太陽光が放電した後の負極活物質層に照射され、太陽光の熱エネルギによって、負極活物質は、還元されて再生される。よって、セルを着脱することなく、金属空気電池を充電することができる。また、充電用の再生部を電池内または電池外に別途設ける必要がないため、金属空気電池モジュールの小型化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態1に係る金属空気電池モジュールについて、図を参照しながら説明する。
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1に係る金属空気電池の概略構成を示す模式断面図である。図2は、本実施の形態に係る金属空気電池の外観を示す模式平面図である。図1,2に示すように、本発明の実施の形態1に係る金属空気電池1は、空気中の酸素13を正極活物質、および、固体金属粒子を負極活物質とするものであり、外形は円筒形状である。
図1は、本発明の実施の形態1に係る金属空気電池の概略構成を示す模式断面図である。図2は、本実施の形態に係る金属空気電池の外観を示す模式平面図である。図1,2に示すように、本発明の実施の形態1に係る金属空気電池1は、空気中の酸素13を正極活物質、および、固体金属粒子を負極活物質とするものであり、外形は円筒形状である。
金属空気電池1の内部には、酸化還元反応により充電および放電可能な筒状のセルが配置されている。セルは、内周側から順に、酸素13を還元する正極層2、電解質層4、負極層3および負極活物質層5が配置されて構成されている。
正極層2、電解質層4、負極層3および負極活物質層5は、それぞれ同軸を有する円筒形状で形成されている。セルを円筒形状で形成することにより、セルが中心軸を中心に回転する際に、円滑に回転しやすくすることができる。なお、本実施形態のセルの断面形状は、円形であるが、中心軸を中心に回転可能であれば多角形でもよい。
セルは、セルの中心軸を中心に回転可能な状態で収容部に保持されている。収容部は、側面カバー6、端面カバー7、再生器10および酸素取込口12とから構成されている。側面カバー6は、負極活物質層5の外周を取囲むように配置される。端面カバー7は、セルの両端面と接合されている。端面カバー7は、円形の外形および円形の開口部を有している。本実施形態では、端面カバー7と酸素取込口12とを別の部材で形成したが、一体で形成してもよい。酸素取込口12は、円筒形状を有し、端面カバー7の開口部に嵌合されている。
再生器10は、側面カバー6の円周方向の両端部に挟まれるように配置される。収容部の外周側面に開口部11が形成されている。本実施形態では、開口部11は、セルの中心軸方向において、再生器10の外周側面の一方の端部から他方の端部まで繋がったスリット状に形成されている。開口部11をスリット状にすることにより、受光面積をより小さくして集中的に太陽光を照射することができ、効率的に負極活物質の再生を行なうことができる。
正極層2の端面の一部に正極集電体8が接続され、負極層3の端面の一部に負極集電体9が接続されている。正極集電体8および負極集電体9は、円柱状の形状を有している。集電体が設けられる側の端面カバー7には、正極集電体8および負極集電体9の位置に対応した孔が形成されている。正極集電体8および負極集電体9は、この孔の内部を通過して、外部に突き出している。
金属空気電池1では、酸素取込口12からセルの中空部に外部から空気が供給される。発電時には、正極層2からセル内に取込まれた空気中の酸素13は、正極層2と電解質層4との界面において、O2+4e-→2O2 -で示される還元反応を生じる。酸素13は、酸素イオンの形で電解質層4を通過して負極層3に供給される。負極層3では、負極活物質層5が、M+2O2-→MO2+4e-で示される酸化反応を生じる。これらの酸化還元反応で生じた電子は、金属空気電池1に外部負荷を接続することによって、起電力として取り出すことができる。
図3は、本実施形態に係る金属空気電池モジュールの外観を示す模式斜視図である。図4は、本実施形態に係る金属空気電池モジュールにおいて、太陽光の集光状態を示す模式平面図である。
図3,4に示すように、本実施形態に係る金属空気電池モジュールは、金属空気電池1、および、金属空気電池1と対向するように配置され、太陽光14を集光する集光装置である集光板15から構成されている。集光された太陽光は、金属空気電池1の再生器10の開口部11を通じて、セルの負極活物質層5に照射される。金属空気電池1では、側面カバー6の内周側でセルが、セルの中心軸を中心に回転させられる。セルの端面と端面カバー7とは接合されているため、セルと端面カバー7と酸素取込口12とは共に回転する。金属空気電池1には、セルを円周方向に回転させる図示しない駆動装置が設けられている。
金属酸化物で構成される負極活物質層5は、セルが中心軸を中心として回転することにより、再生器10を順次通過する。再生器10では、太陽光の熱エネルギにより金属酸化物が熱分解されて還元される。還元された金属粒子で構成される負極活物質層5は、再生済みの燃料となる。負極活物質層5の還元により発生した酸素は、再生器10の開口部11からセル外へ排出してもよいし、酸素取込口13に導入して、再利用してもよい。
以下、各構成について詳細に説明する。
(正極層2について)
正極層2を構成する材料は、酸素を酸素イオンに還元する機能を有していれば特に限定されない。好ましくは、高温環境下で化学的に安定であり、かつ、高い導電性を有していることが好ましい。たとえば、電子導電性を持つペロブスカイト型酸化物である、LaMnO3、LaCoO3、ストロンチウムドープのLa1-xSrxMnO3またはLa1-xSrxCoO3(いずれもx=0.1〜0.5)が用いられることが好ましい。
(正極層2について)
正極層2を構成する材料は、酸素を酸素イオンに還元する機能を有していれば特に限定されない。好ましくは、高温環境下で化学的に安定であり、かつ、高い導電性を有していることが好ましい。たとえば、電子導電性を持つペロブスカイト型酸化物である、LaMnO3、LaCoO3、ストロンチウムドープのLa1-xSrxMnO3またはLa1-xSrxCoO3(いずれもx=0.1〜0.5)が用いられることが好ましい。
(電解質層4について)
電解質層4を構成する材料は、酸素イオンの透過性を有し、耐熱性を有していれば特に限定されない。たとえば、高い酸素イオンの透過性を有するイットリア安定型ジルコニア(以下、YSZと表記する)が用いられることが好ましい。その他にも、スカンジア安定化ジルコニア(以下、ScSZと表記する)、サマリアドープセリア、ランタンガレートなどを用いてもよい。
電解質層4を構成する材料は、酸素イオンの透過性を有し、耐熱性を有していれば特に限定されない。たとえば、高い酸素イオンの透過性を有するイットリア安定型ジルコニア(以下、YSZと表記する)が用いられることが好ましい。その他にも、スカンジア安定化ジルコニア(以下、ScSZと表記する)、サマリアドープセリア、ランタンガレートなどを用いてもよい。
YSZは、酸化および還元の広範囲の雰囲気の下で化学的に安定であり、電極材料との接合面における化学的安定性も良好である。本実施形態では、イットリアの添加量は、3〜10mol%が好ましい。イットリアの添加量が多いほど、酸素イオンの伝導率は高くなるが、強度は低下する。よって、強度が必要な場合には、イットリアの添加量を少なめにするほうが好ましい。
ScSZは、スカンジアの添加量が多いほど、酸素イオンの伝導率が高くなるが、コストも高くなる。よって、酸素イオンの伝導率を高くしたい場合には、スカンジアの添加量を多くするほうが好ましい。
上記の安定化セラミック材料は、主となる金属イオンとは価数の異なるカチオンを置換固溶して構造を安定化させている。そのため、安定化セラミック材料には、電気的中性条件を保つために、空格子点(酸素欠損)が生じる。安定化セラミック材料が高温状態になると、酸素イオンは空格子点を容易に移動することが可能となるため、酸素イオンの伝導率が向上する。
よって、上記の安定化セラミック材料を使用する場合はいずれも、金属空気電池1を高温環境下で作動させる必要がある。そのため、負極活物質層5の再生に使用する熱エネルギの余剰熱力は、断熱せずにそのまま金属空気電池1に与える。金属空気電池1が低温環境下で作動する場合には、電解質層4の厚みが大きいと、酸素イオンの伝導に対する内部抵抗が増加する。好ましくは、電解質層4の厚みを50μm以下とする。
(負極層3について)
負極層3を構成する材料は、酸素イオンの透過性を有し、耐熱性を有していれば特に限定されない。たとえば、ニッケルおよびイットリア型安定ジルコニアから構成されるもの(以下、Ni−YSZサーメットと表記する)、ニッケルおよびカルジア安定化型ジルコニアから構成されるもの(以下、Ni−CSZサーメットと表記する)、またはコバルトおよびイットリア安定型ジルコニアから構成されるもの(以下、Co−YSZサーメットと表記する)などが用いられることが好ましい。
負極層3を構成する材料は、酸素イオンの透過性を有し、耐熱性を有していれば特に限定されない。たとえば、ニッケルおよびイットリア型安定ジルコニアから構成されるもの(以下、Ni−YSZサーメットと表記する)、ニッケルおよびカルジア安定化型ジルコニアから構成されるもの(以下、Ni−CSZサーメットと表記する)、またはコバルトおよびイットリア安定型ジルコニアから構成されるもの(以下、Co−YSZサーメットと表記する)などが用いられることが好ましい。
Ni−YSZサーメットでは、Ni粒子とYSZ粒子とが均一に混合されている。Ni−YSZサーメットは、共沈法、噴霧熱分解法およびクエン酸重合法などの液相法を用いて合成することで容易に作製することができる。なお、Ni−CSZサーメット、Co−YSZサーメットについても同様である。
負極層3としてNi−YSZサーメットを使用する場合に、NiとYSZとの重量比は、電子導電性を確保しつつ、かつ、Ni粒子の凝集を抑制できる範囲であれば特に限定されない。この観点から、NiとYSZとの重量比は、ニッケル元素の酸化物(NiO)換算量と、YSZに含まれる元素の酸化物換算量、すなわち、NiO/YSZが50/50〜90/10の重量比であることが好ましい。
負極層3は、電解質層4との間の熱膨張差に起因する応力を緩和させるために、Ni/YSZの重量比を傾斜させた構造であってもよい。たとえば、電解質層4との界面側から順に、Ni/YSZ=50/50,70/30といった2層構造にしてもよい。
また、Ni−YSZサーメットから構成される負極層3には、Tiが含まれていてもよい。Tiを含むことにより、負極層3の電子導電性を向上させることができ、特に、図1に示すように、負極層3が円筒型の場合、負極層3での出力ロスを大きく低減させることができる。負極層3が、Ni−CSZサーメットまたはCo−YSZサーメットから構成されている場合にも同様である。
(負極活物質層5について)
負極活物質層5を構成する材料は、酸化還元反応が起こるあらゆる金属および金属化合物を利用することができる。活物質の収率の観点から、活物質は固体状態で酸化還元反応することが好ましい。そのため、負極活物質層5として用いる固体金属粒子の金属は、酸化物の還元に必要な温度が、金属単体の沸点よりも低いことが好ましい。
負極活物質層5を構成する材料は、酸化還元反応が起こるあらゆる金属および金属化合物を利用することができる。活物質の収率の観点から、活物質は固体状態で酸化還元反応することが好ましい。そのため、負極活物質層5として用いる固体金属粒子の金属は、酸化物の還元に必要な温度が、金属単体の沸点よりも低いことが好ましい。
好適な金属として、たとえば、銀、鉄、アルミニウムなどが挙げられる。特に、銀は、酸化生成物である酸化銀の熱分解に必要な加熱温度が300℃程度であり比較的低温であるため、少ない熱量で還元反応を起こすことができる。
負極活物質層5を構成する活物質に、亜鉛、マグネシウム、マンガン、およびその他の金属化合物など、酸化物の還元に必要な温度よりも金属単体の沸点が低い金属を用いることもできる。この場合、活物質は還元される際に気化するため、還元後の活物質を冷却するための補器を金属空気電池1に備える必要がある。このような構造として、活物質をセル内に保持することができれば、上記の活物質を用いることが可能となる。
負極活物質層5は、発電及び再生の効率を高めるために、0.2mm〜1mm程度の厚みとすることが好ましい。活物質となる金属粒子の直径は、表面活性を高めるために、0.1μm〜0.5μm程度であることが好ましい。
(側面カバー6、端面カバー7および酸素取込口12について)
側面カバー6、端面カバー7および酸素取込口12を構成する材料は、高い耐熱性、断熱性および絶縁性を有するものであれば特に限定されない。たとえば、ジルコニアもしくはアルミナのようなセラミック材料、または、オーステナイト系ステンレス鋼などの合金にセラミックコーティングを施した材料を用いることができる。
側面カバー6、端面カバー7および酸素取込口12を構成する材料は、高い耐熱性、断熱性および絶縁性を有するものであれば特に限定されない。たとえば、ジルコニアもしくはアルミナのようなセラミック材料、または、オーステナイト系ステンレス鋼などの合金にセラミックコーティングを施した材料を用いることができる。
(正極集電体8および負極集電体9について)
正極集電体8および負極集電体9には、外部負荷を接続することにより電気を外部に取り出す。正極集電体8および負極集電体9を構成する材料は、高い融点、高い導電性および耐熱性を有する材料であれば特に限定されない。集電体として、たとえば、金、白金、パラジウムなどの貴金属、もしくは、チタン、タンタル、タングステン、ニオブ、ニッケルなどの金属、または、ステンレス鋼やニッケル合金などの合金を用いることができる。
正極集電体8および負極集電体9には、外部負荷を接続することにより電気を外部に取り出す。正極集電体8および負極集電体9を構成する材料は、高い融点、高い導電性および耐熱性を有する材料であれば特に限定されない。集電体として、たとえば、金、白金、パラジウムなどの貴金属、もしくは、チタン、タンタル、タングステン、ニオブ、ニッケルなどの金属、または、ステンレス鋼やニッケル合金などの合金を用いることができる。
(駆動装置について)
セルを回転させる駆動装置として、電動機などの既存技術を用いることができる。電動機を端面カバー7に接合して、セルおよび端面カバー7をセルの中心軸を中心に回転させる。セルの回転速度は、セルが1回転する間に、電池の充電状態が飽和状態になるように調整されることが好ましい。
セルを回転させる駆動装置として、電動機などの既存技術を用いることができる。電動機を端面カバー7に接合して、セルおよび端面カバー7をセルの中心軸を中心に回転させる。セルの回転速度は、セルが1回転する間に、電池の充電状態が飽和状態になるように調整されることが好ましい。
本実施形態では、セルの回転速度を調節するために、金属空気電池1には、充電操作中の電池電圧を検出する図示しない検出器が設けられている。さらに、金属空気電池1には、検出器の検出結果によりセルの回転速度を調節する制御部である図示しないマイクロコンピュータが設けられている。
検出器の検出結果は、マイクロコンピュータにより、充電操作開始からの経過時間に対する基準電圧値と比較される。マイクロコンピュータは、検出した電池電圧値と基準電圧値との大小関係により、駆動装置に流す電流値を増減させてセルの回転速度を調節する。駆動装置に必要な電力は、極小型の太陽電池または負極活物質層5を再生する際の余剰熱力を利用した圧電素子などによる少量の発電で賄うことが可能である。このように、電池電圧を検出することにより、負極活物質の再生状況が確認できるため、その状況に応じてセルの回転速度を調節することにより効率的に充電をすることができる。
(太陽光の集光方法について)
太陽光の集光する集光方法として、集光倍率が2〜500倍のフレネルレンズを使用する方法、集光倍率が30〜100倍のトラフ式太陽熱発電法、集光倍率が500〜5,000倍のタワー式太陽熱発電法、集光倍率が1,000〜10,000倍のディッシュ式太陽熱発電法など様々な集光法が考えられる。集光板15として、必要に応じた様々な方式、またそのサイズが選択可能である。
太陽光の集光する集光方法として、集光倍率が2〜500倍のフレネルレンズを使用する方法、集光倍率が30〜100倍のトラフ式太陽熱発電法、集光倍率が500〜5,000倍のタワー式太陽熱発電法、集光倍率が1,000〜10,000倍のディッシュ式太陽熱発電法など様々な集光法が考えられる。集光板15として、必要に応じた様々な方式、またそのサイズが選択可能である。
(再生器10について)
集光された太陽光は、再生器10のスリット状の開口部11を通して、セルの負極活物質層5の表面に照射される。再生器10を構成する材料として、負極活物質層5に使用される金属よりも融点および沸点が高く熱安定性に優れ、無孔性である金属、合金およびセラミック材料を用いることができる。また、再生器10には、シャッターなどの開口部11の開閉を行なう開閉手段を備えてもよい。開閉手段を備えた場合、必要に応じて開口部11を閉じることにより、太陽光14のセルへの入射を遮断することが可能となる。
集光された太陽光は、再生器10のスリット状の開口部11を通して、セルの負極活物質層5の表面に照射される。再生器10を構成する材料として、負極活物質層5に使用される金属よりも融点および沸点が高く熱安定性に優れ、無孔性である金属、合金およびセラミック材料を用いることができる。また、再生器10には、シャッターなどの開口部11の開閉を行なう開閉手段を備えてもよい。開閉手段を備えた場合、必要に応じて開口部11を閉じることにより、太陽光14のセルへの入射を遮断することが可能となる。
本実施形態の金属空気電池モジュールでは、セルが収容部内で回転することにより、収容部の開口部11を通じて、集光された太陽光が放電した後の負極活物質層5に照射されるようにすることができる。太陽光14の熱エネルギにより、負極活物質は、効率よく還元されて再生される。よって、セルを着脱することなく、金属空気電池1を充電することができる。また、充電用の再生部を電池内または電池外に別途設ける必要がないため、金属空気電池モジュールの小型化を図ることができる。
さらに、セルを回転させ続けて負極活物質の還元をしつつ放電させることにより、エンドレスで電力を得ることもできる。言い換えると、太陽光を集光させることができる間、継続して金属空気電池1を放電させることができる。
本実施形態の金属空気電池モジュールでは、再生可能エネルギである集光太陽光により負極活物質を還元するため、環境への負荷を極めて小さくすることができる。さらに、金属空気電池1の外形を筒形にすることにより、機械的強度を向上し、熱応力に対する耐力も確保することができる。
実施の形態2
図5は、本発明の実施の形態2に係る金属空気電池の概略構成を示す模式断面図である。図5に示すように、本発明の実施の形態2に係る金属空気電池20には、セルの内周側に酸素13を供給する送風機16が設けられている。本実施形態では、送風機16に酸素ボンベが接続され、純粋な酸素13が供給されるようにしたが、送風機16により空気をセルに供給するようにしてもよい。
図5は、本発明の実施の形態2に係る金属空気電池の概略構成を示す模式断面図である。図5に示すように、本発明の実施の形態2に係る金属空気電池20には、セルの内周側に酸素13を供給する送風機16が設けられている。本実施形態では、送風機16に酸素ボンベが接続され、純粋な酸素13が供給されるようにしたが、送風機16により空気をセルに供給するようにしてもよい。
セルの内周側に酸素を供給することにより、正極層2と接触する酸素量が増えるため還元反応が盛んになり、金属空気電池20の放電電流量が増加する。また、送風機16の送風量を調節することにより、金属空気電池20の放電電流量を調整することができる。送風機16以外の構成については、実施の形態1と同様であるため、説明を繰り返さない。
実施の形態3
図6は、本発明の実施の形態3に係る金属空気電池スタックの概略構成を示す模式平面図である。図6に示すように、本発明の実施の形態3に係る金属空気電池スタック21では、実施の形態1または2に記載の複数の金属空気電池が、1つの集光板15により集光された光が開口部11を通して受光可能なように並列に配列されている。本実施形態では、金属空気電池1A,1B,1C,1D,1Eの5つの金属空気電池を配置したが、配置する金属空気電池の数はこれに限られない。
図6は、本発明の実施の形態3に係る金属空気電池スタックの概略構成を示す模式平面図である。図6に示すように、本発明の実施の形態3に係る金属空気電池スタック21では、実施の形態1または2に記載の複数の金属空気電池が、1つの集光板15により集光された光が開口部11を通して受光可能なように並列に配列されている。本実施形態では、金属空気電池1A,1B,1C,1D,1Eの5つの金属空気電池を配置したが、配置する金属空気電池の数はこれに限られない。
金属空気電池1A,1B,1C,1D,1E同士は、電気的に直列または並列に接続されている。集光板15は、回転軸17を中心に回転することにより集光方向を変更することができる。たとえば、金属空気電池1Aに太陽光14を集光して照射した後、金属空気電池1Bに集光した太陽光を照射する。このように、順に、金属空気電池1C,1D,1Eを充電していく。
上記のように、1つの集光板15により太陽光14を集光して、複数の金属空気電池1A,1B,1C,1D,1Eを充電することにより、集光面積はそのままで、多くの電力を発電することが可能となる。よって、集光面積あたりの出力密度を向上させることができる。その他の構成については、実施の形態1および2と同様であるため、説明を繰り返さない。
実験例
以下、実施の形態1から3の金属空気電池モジュールおよび金属空気電池スタックの出力および出力密度を計測した実験例について説明する。ここで、比較例として、平板状の金属空気電池を作製し、その出力および出力密度を計測した。表1は、実施の形態1から3および比較例の金属空気モジュールおよび金属空気スタックの出力および出力密度を示したものである。
以下、実施の形態1から3の金属空気電池モジュールおよび金属空気電池スタックの出力および出力密度を計測した実験例について説明する。ここで、比較例として、平板状の金属空気電池を作製し、その出力および出力密度を計測した。表1は、実施の形態1から3および比較例の金属空気モジュールおよび金属空気スタックの出力および出力密度を示したものである。
(実施の形態1の金属空気電池1の作製方法)
正極層2の構成材料として、La0.7Sr0.3MnO3で表されるストロンチウムをドープさせたランタンマンガナイトを作製した。作成方法として、まず、La、Sr、Mn各々の硝酸塩水溶液を、上記組成になるよう調合した後、シュウ酸水溶液を加え、共沈法により共沈させた。その後、沈殿物を熱処理して、原料粉末を得た。この粉末の平均粒子径は、30μmであった。さらに、押し出し成形法によって粉末を円筒状に成形した状態で、1200℃で4時間焼成を行なって正極層2を成形した。正極層2の肉厚は、3mmであった。
正極層2の構成材料として、La0.7Sr0.3MnO3で表されるストロンチウムをドープさせたランタンマンガナイトを作製した。作成方法として、まず、La、Sr、Mn各々の硝酸塩水溶液を、上記組成になるよう調合した後、シュウ酸水溶液を加え、共沈法により共沈させた。その後、沈殿物を熱処理して、原料粉末を得た。この粉末の平均粒子径は、30μmであった。さらに、押し出し成形法によって粉末を円筒状に成形した状態で、1200℃で4時間焼成を行なって正極層2を成形した。正極層2の肉厚は、3mmであった。
電解質層4の構成材料として、YSZを作製した。YSZの組成は、ZrO2が90mol%、Y2O3が10mol%含まれるようにした。作成方法として、まず、ZrO2を100℃に加熱した3N以上の濃硝酸に溶解した。その溶液を蒸留水で希釈して、硝酸塩水溶液を作製した。Y2O3についても同様の方法により硝酸塩水溶液を作製した。
それぞれの硝酸塩水溶液を上記組成になるように調合し、シュウ酸水溶液を加え、共沈させた。共沈して得られた沈殿物と上澄み液を200℃程度で乾燥、500℃程度で熱分解、さらに800℃程度で10時間熱処理して原料粉末を得た。この粉末の平均粒子径は、0.5μmであった。
上記粉末を溶媒として27重量%、エタノールを70重量%、バインダーとしてエチルセルロースを1.5重量%、分散剤としてポリオキシエチレンアルキルリン酸エステルを0.8重量%、消泡剤としてソルビタンセスキオレート0.7重量%含むように混合した。その後、混合物を攪拌してスラリーを調整した。正極層2の外表面上に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で2時間焼成した。電解質層4の厚さは、30μmであった。
負極層3の構成材料として、Ni−YSZサーメットを作製した。YSZの組成は、ZrO2が92mol%、Y2O3が8mol%含まれるようにした。作成方法として、まず、Ni、ZrおよびYそれぞれの硝酸塩水溶液を用いて、上記組成になるように調合した後、シュウ酸水溶液を加えて沈殿させた。この沈殿物に熱処理を施し、原料粉末を得た。
負極層3におけるNiO/YSZの重量比は、70/30とした。上記粉末を溶媒として15重量%、エタノールを80重量%、バインダーとしてエチルセルロースを3重量%、分散剤としてポリオキシエチレンアルキルリン酸エステルを1重量%、消泡剤としてソルビタンセスキオレートを0.2重量%、可塑剤としてフタル酸ジブチルを0.8重量%含むように混合した。その後、混合物を攪拌してスラリーを調整した。電解質層4の外表面上に、スラリーコート法で成膜し、1300℃で4時間焼成した。負極層3の厚さは、80μmであった。
正極層2は、外径が10cm、長手方向の長さが25cmとなるようにした。負極活物質層5には、平均粒子径が0.5μmの鉄の固体粒子を使用した。この固体粒子を、負極層3とステンレス鋼からなる側面カバー6との隙間に、厚さが均一に0.8mmとなるように充填した。
(充電操作)
上記の実施の形態1の金属空気電池1を用いて、以下のように充電した。操作開始時には、電解質層4の活性を高めるために、電解質層4を昇温させる必要がある。図3に示すように、セルを1.0rpmの回転速度で回転させた。集光板15として、集光面積が0.75m2のフレネルレンズを用いた。フレネルレンズにより100倍に集光した太陽光を照射して、金属空気電池1の全体が800℃程度になるまで加熱した。
上記の実施の形態1の金属空気電池1を用いて、以下のように充電した。操作開始時には、電解質層4の活性を高めるために、電解質層4を昇温させる必要がある。図3に示すように、セルを1.0rpmの回転速度で回転させた。集光板15として、集光面積が0.75m2のフレネルレンズを用いた。フレネルレンズにより100倍に集光した太陽光を照射して、金属空気電池1の全体が800℃程度になるまで加熱した。
充電する前に、放電させて、負極活物質層5の活物質を完全に酸化させた。具体的には、再生器10の開口部11をシャッターで閉じることにより、太陽光の照射を遮断する。その状態で、外部負荷装置と正極集電体8および負極集電体9を接続し、0.5Acm-2の定電流負荷をかけて、1時間放電させた。
その後、負荷を止めて、再生器10の開口部11を通して、集光した太陽光を負極活物質層5に照射した。セルは、0.7rpmの回転速度で1回転させ、負極活物質層5の活物質の還元(充電)を行ない、活物質を完全に還元させた。
(放電操作)
上記の充電した金属空気電池1を用いて、以下のように放電させた。本実験例では、放電を充電後直ちに行なっているため、セルの温度は動作温度である800℃以上となっている。そのため、電解質層4を改めて昇温させる必要がなかった。
上記の充電した金属空気電池1を用いて、以下のように放電させた。本実験例では、放電を充電後直ちに行なっているため、セルの温度は動作温度である800℃以上となっている。そのため、電解質層4を改めて昇温させる必要がなかった。
外部負荷装置を正極集電体8および負極集電体9に接続し、0.5Acm-2の定電流負荷をかけて、1時間放電させた。その間の放電特性として、出力および太陽光の単位受光面積あたりの出力密度について測定した。表1に示すように、出力は321.9W、出力密度は4.18W・cm-2であった。
(実施の形態2の金属空気電池20の放電操作)
実施の形態2の金属空気電池20を上記の充電操作と同様の方法で充電し、以下のように放電させた。
実施の形態2の金属空気電池20を上記の充電操作と同様の方法で充電し、以下のように放電させた。
図5に示すように、酸素取込口12に接続された送風機16により正極層2の内周側の中空部分に、酸素ボンベから供給された酸素を流量20L/minで流した。上記の放電操作と同様の方法で放電させた。放電特性を測定した結果、表1に示すように、出力は431.8W、出力密度は5.75W・cm-2であった。実施の形態1の金属空気電池1と比較して、出力および出力密度が増加して、放電特性の向上が認められた。
(実施の形態3の金属空気電池スタック21の放電操作)
実施の形態3の金属空気電池スタック21を、以下のように放電させた。図6に示すように、集光板15としてフレネルレンズを用いて、金属空気電池1Aの再生器10の開口部11を通して、集光した太陽光を照射し、上記の充電操作と同様の方法で充電した。充電が完了した金属空気電池1Aを、上記の金属空気電池1の放電操作と同様の方法で放電させた。
実施の形態3の金属空気電池スタック21を、以下のように放電させた。図6に示すように、集光板15としてフレネルレンズを用いて、金属空気電池1Aの再生器10の開口部11を通して、集光した太陽光を照射し、上記の充電操作と同様の方法で充電した。充電が完了した金属空気電池1Aを、上記の金属空気電池1の放電操作と同様の方法で放電させた。
金属空気電池1Aの充電が完了した後、回転軸17を中心にフレネルレンズを回転させ、集光した太陽光を金属空気電池1Bの再生器10の開口部11を通して、集光した太陽光を照射し、上記の充電操作と同様の方法で充電した。
その後同様に、金属空気電池1C〜1Eを順番に充電し、充電の完了したものから順次、放電させた。金属空気電池1Eの充電が完了した後、再び金属空気電池1Aを充電した。このように、充電操作および放電操作を繰り返し行なった。放電特性を測定した結果、表1に示すように、金属空気電池1A〜1Eを合わせた出力は1530.8W、出力密度は20.9W・cm-2であった。実施の形態1および2の金属空気電池モジュールと比較して、同一の集光面積を維持した状態で、大幅な放電特性の向上が認められた。
(比較例の金属空気電池30)
図7は、比較例として平板状の金属空気電池の概略構成を示す模式断面図である。図7に示すように、比較例の金属空気電池30は、順に、平板状の正極層31、電解質層33、負極層32および負極活物質層34が積層されたセルを備えている。セルの両端面には、側面カバー35が接合されている。セルの負極活物質層34側には、セルと対向するように、取り外し可能な外板36が設けられている。
図7は、比較例として平板状の金属空気電池の概略構成を示す模式断面図である。図7に示すように、比較例の金属空気電池30は、順に、平板状の正極層31、電解質層33、負極層32および負極活物質層34が積層されたセルを備えている。セルの両端面には、側面カバー35が接合されている。セルの負極活物質層34側には、セルと対向するように、取り外し可能な外板36が設けられている。
金属空気電池30では、酸素13がセルの正極層31側の側面から供給される。充電する際は、外板36を取り外し、負極活物質層34に集光した太陽光を照射する。本実験例では、各構成の材料として、実施の形態1の金属空気電池1と同じ材料を用いた。外板36の材料として、側面カバー35と同じ材料を用いた。
図8は、実施の形態1の金属空気電池と比較例の金属空気電池との外観を示す模式平面図である。図9は、実施の形態1の金属空気電池と比較例の金属空気電池との外観を示す模式側面図である。図8,9に示すように、太陽光の照射方向に対して垂直な面における断面積が、金属空気電池1のセルと金属空気電池30のセルとで等しくなるようにした。
(引用例の金属空気電池30の充電操作)
金属空気電池30を充電する前に、金属空気電池30の全体を800℃程度まで昇温させた。その後、外板36を装着した状態の金属空気電池30に、0.5Acm-2の定電流負荷を1時間かけて放電させ、負極活物質層34の活物質を完全に酸化させた。
金属空気電池30を充電する前に、金属空気電池30の全体を800℃程度まで昇温させた。その後、外板36を装着した状態の金属空気電池30に、0.5Acm-2の定電流負荷を1時間かけて放電させ、負極活物質層34の活物質を完全に酸化させた。
図10は、比較例の金属空気電池モジュールの外観を示す模式斜視図である。図11は、比較例の金属空気モジュールにおいて、金属空気電池に集光した太陽光を照射している状態を示す模式平面図である。
図10,11に示すように、放電後の金属空気電池30から外板36を取り外し、実施の形態1の金属空気電池1の充電操作と同様の方法で、太陽光14を集光させた。金属空気電池30の受光面積は、実施の形態1の金属空気電池1と同じ受光面積となるようにした。フレネルレンズを回転軸17を中心として回転させることにより、受光範囲を移動させながら、負極活物質層34の外表面全体に均一に集光した太陽光を照射して充電した。
(比較例の金属空気電池30の放電操作)
外板36を再び金属空気電池30に装着し、実施の形態1の金属空気電池1と同様の放電操作を行なった。表1に示すように、金属空気電池30の出力は105W、出力密度は1.33W・cm-2であった。実施の形態1の金属空気電池1と比較すると、金属空気電池30の放電特性が低いことが認められた。
外板36を再び金属空気電池30に装着し、実施の形態1の金属空気電池1と同様の放電操作を行なった。表1に示すように、金属空気電池30の出力は105W、出力密度は1.33W・cm-2であった。実施の形態1の金属空気電池1と比較すると、金属空気電池30の放電特性が低いことが認められた。
本実験結果から、本実施形態の金属空気電池のように、筒型回転式にすることにより、エネルギ出力を高めることが可能であることが確認できた。また、複数の金属空気電池を電気的に並列または直列に接続してスタック化することにより、さらに大きな電力を得ることができた。さらに、送風機を金属空気電池に接続して、セルに酸素を供給することにより高出力を得ることができ、酸素の供給量を調整することにより放電電流量を制御することができることも確認できた。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
1,1A,1B,1C,1D,1E,20,30 金属空気電池、2,31 正極層、3,32 負極層、4,33 電解質層、5,34 負極活物質層、6,35 側面カバー、7 端面カバー、8 正極集電体、9 負極集電体、10 再生器、11 開口部、12 酸素取込口、13 酸素、14 太陽光、15 集光板、16 送風機、17 回転軸、21 金属空気電池スタック、36 外板。
Claims (6)
- 酸化還元反応により充電および放電可能な筒状のセル、該セルの中心軸周りに前記セルを回転可能な状態で保持する収容部、および、前記セルを円周方向に回転させる駆動装置を含む金属空気電池と、
前記金属空気電池と対向するように配置され、太陽光を集光する集光装置とを備え、
前記セルは、酸素を還元する正極層、該正極層の外周に配置された電解質層、該電解質層の外周に配置された負極層、該負極層の外周に配置された負極活物質層を有し、
前記収容部には、外周側面に開口部が形成され、
前記集光装置により集光された光が、前記開口部を通じて、前記負極活物質層に照射される、金属空気電池モジュール。 - 前記開口部が、前記中心軸方向において、前記外周側面の一方の端部から他方の端部まで繋がったスリット状に形成された、請求項1に記載の金属空気電池モジュール。
- 前記セルが円筒形状を有する、請求項1または2に記載の金属空気電池モジュール。
- 前記金属空気電池が、電池電圧を検出する検出器、および、前記検出器の検出結果により前記セルの回転速度を調節する制御部をさらに備えた、請求項1から3のいずれかに記載の金属空気電池モジュール。
- 前記金属空気電池が、前記セルの内周側に酸素を供給する送風機をさらに備え、
前記送風機の送風量を調節することにより前記金属空気電池の放電電流量を調整する、請求項1から4のいずれかに記載の金属空気電池モジュール。 - 請求項1から5のいずれかに記載の前記金属空気電池モジュールを構成する複数の前記金属空気電池を、1つの前記集光装置により集光された光が前記開口部を通して受光可能なように並列に配列し、前記金属空気電池同士を電気的に直列または並列に接続した、金属空気電池スタック。
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